JP7346761B1 - 熱伝導性シリコーン組成物および熱伝導性シリコーン組成物の製造方法 - Google Patents

熱伝導性シリコーン組成物および熱伝導性シリコーン組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】発熱体や放熱体等の基材に対して密着性・接着性が良好であり、熱伝導率が高いことにより放熱特性に優れ、かつ、柔軟性を保持しつつ、吐出圧による耐ケーキング性を有する、熱伝導性シリコーン組成物を提供する。【解決手段】熱伝導性シリコーン組成物は、(A)25℃で粘度500mPa・s以上7,000mPa・s以下である、アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン1.0質量部以上9.0質量部以下と、(B)25℃で粘度10,000mPa・s以上200,000mPa・s以下である、オルガノポリシロキサン0.05質量部以上1.0質量部以下と、(C)1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンと、(D)25℃で粘度500mPa・s以下のアルケニル基を有しないジオルガノポリシロキサンと、(E)付加触媒と、(F)熱伝導性フィラーと、を含む。【選択図】なし

Description

本開示は、熱伝導性シリコーン組成物および熱伝導性シリコーン組成物の製造方法に関する。
熱伝導性シリコーン組成物、例えば、ギャップフィラーは、電気自動車のバッテリーや電子機器の半導体など発熱体または放熱体に直接塗布され、それらから発する熱をヒートシンクなどの放熱部材に伝える機能を有する。塗布形成された界面において効率よく熱を伝えるためには、発熱体などとギャップフィラーとの接触界面の密着性が要求される。
例えば、電子機器向けのギャップフィラーは、回路基板上へのピンポイントでの少量かつ高精度塗布を行う。この際に、塗布量のばらつきの少なさが要求される。塗布量のばらつきを発生させる一つの要因としてケーキングと呼ばれる現象があげられる。本開示におけるケーキングはギャップフィラーを吐出装置から吐出する際に、フィラーとポリマーが分離し、フィラー成分のみが流路内で凝集してしまう現象のことである。このケーキングを発生させないことは、品質面、生産性どちらの側面においても重要である。
通常、ギャップフィラーは十分な熱伝導率を得るために熱伝導性フィラーを組成物に高含有率で配合する必要があるが、フィラーの高含有率配合化により、ギャップフィラーの粘度が上昇し、吐出性の悪化が発生する。吐出性の確保のため、低粘度のポリマーを用いると、ポリマー中の有機官能機の割合が増え、フィラーとの相溶性が悪化することで、吐出時のケーキング発生が懸念される。
ケーキングを抑制する方法の一つとして、例えば、カップリング剤によるフィラーの表面処理があげられる。しかし、カップリング剤の量を増やしてもフィラー表面を完全に処理することは難しく、大きな相溶性の改善を行うことはできない。
またフィラーと相溶性の高い、高粘度で高分子鎖のポリマーを用いるとギャップフィラーの粘度が増大し、吐出が困難となる。
特許文献1は、シリコーン組成物の沈降分離防止方法であって、D-ソルビトールとベンズアルデヒドの縮合反応生成物を配合して沈降分離防止性シリコーン組成物を製造することを開示している。しかし、充填剤(フィラー)に対する縮合反応生成物の配合量が多く、高い熱伝導性を維持できないという問題がある。また、特許文献1では、ポリマーとフィラーの分離を抑制した長期保存安定性を問題としている。
特許文献2は、窒化アルミニウム粉末が凝集体を形成することなく、樹脂中に均一に分散することができ、優れた熱伝導性を有する樹脂組成物を開示している。流動性改質剤を混合することによって、流動性を向上させている。しかし、特許文献2では、流動性の改善を行っているが、圧力をかけた長時間の吐出時にケーキングについては開示されていない。
特許第2946104号 特開平10-204300号公報
本開示は、発熱体や放熱体等の基材に対して密着性・接着性が良好であり、熱伝導率が高いことにより放熱特性に優れ、かつ、柔軟性を保持しつつ、吐出圧による耐ケーキング性を有する、熱伝導性シリコーン組成物およびその製造方法を提供する。
本開示の熱伝導性シリコーン組成物は、相溶性の高いベースポリマーを用いて、分離抑制用ポリマーを導入し、ジオルガノポリシロキサンにて粘度調整を行い、適正量の熱伝導性フィラーを加えることで高熱伝導、高吐出性、吐出圧力に対する耐ケーキング性を有する。
本開示の熱伝導性シリコーン組成物は、
(A)25℃で粘度500mPa・s以上7,000mPa・s以下である、アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン1.0質量部以上9.0質量部以下(全組成物100質量部に対し)と、
(B)25℃で粘度10,000mPa・s以上200,000mPa・s以下である、オルガノポリシロキサン0.05質量部以上1.0質量部以下(全組成物100質量部に対し)と、
(C)1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンと、
(D)25℃で粘度500mPa・S以下のアルケニル基を有しないジオルガノポリシロキサンと、
(E)付加触媒と、
(F)金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物の中から選択される少なくとも1種または2種以上の熱伝導性フィラーと、
を含む熱伝導性シリコーン組成物であって、
熱伝導性シリコーン組成物全体を100質量部としたときに、前記(F)成分を85質量部以上含み、
前記熱伝導性シリコーン組成物の混合粘度が、25℃で250Pa・s以下である。
前記熱伝導性シリコーン組成物は、(G)カップリング剤をさらに含んでいてもよい。
前記熱伝導性シリコーン組成物は、(H)シラノール基含有ポリジメチルシロキサンをさらに含んでいてもよい。
前記(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、側鎖にVi(ビニル基)があってもよく、少なくとも両末端にVi(ビニル基)が1つずつあるものでもよい。(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、両末端に各1個のVi基を有する直鎖状ジメチルポリシロキサンで、25℃の粘度が1,000mPa・s以上1,200mPa・s以下であることが好ましい。
前記(B)は、無官能性のジメチルポリシロキサンでもよい。25℃の粘度が80,000mPa・s以上120,000mPa・s以下であることが好ましい。
前記(C)は、側鎖にのみケイ素原子に結合する水素原子を12~18個有する、25℃の粘度が150mPa・s以上300mPa・s以下のジメチルポリシロキサンであることが好ましい。
前記(D)のアルケニル基を有しないジオルガノポリシロキサンは、無官能性のシロキサンであり、末端にトリメチルシリル基を有していてもよい。前記(D)成分は、25℃の粘度が30mPa・s以上60mPa・s以下の無官能性のジメチルポリシロキサンであることが好ましい。
前記(E)の付加触媒は、白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体であることが好ましい。
前記(F)の熱伝導性フィラーは、酸化亜鉛、不定形酸化アルミニウム、球状酸化アルミニウムであることが好ましい。
前記(H)は、両末端にシラノール基各1個を有する、25℃の粘度が30mPa・s以上60mPa・s以下である直鎖状ジメチルポリシロキサンであることが好ましい。
前記熱伝導性シリコーン組成物は、
互いに分包された第1液および第2液を有し、使用時に前記第1液と前記第2液とを(例えば、吐出装置内で、加圧下で)混合して熱伝導性シリコーン組成物とする2液型熱伝導性シリコーン組成物であって、
前記第1液は、(A),(B),(D),(E)および(F)を含んでいてもよく、
前記第2液は、(B),(C),(D),(F)を含んでいてもよく、(E)を含まない。
前記第2液は、(A)をさらに含んでいてもよい。
前記第1液および/または前記第2液は、(G)カップリング剤をさらに含んでいてもよい。
前記第1液および/または前記第2液は、(H)シラノール基含有ポリジメチルシロキサンをさらに含んでいてもよい。
前記第1液の全配合量および/または前記第2液の全配合量を100質量部としたときに、(A)成分が2.5質量部以上3.0質量部以下であることが好ましい。
前記第1液の全配合量および/または前記第2液の全配合量を100質量部としたときに、(B)成分が0.2質量部以上0.4質量部以下であることが好ましい。
前記第2液の全配合量を100質量部としたときに、(C)成分が0.3質量部以上0.5質量部以下であることが好ましい。
前記第1液の全配合量および/または前記第2液の全配合量を100質量部としたときに、(D)成分が4.5質量部以上5.5質量部以下であることが好ましい。
前記第1液の全配合量を100質量部としたときに、(E)成分が0.15質量部以上0.25質量部以下であることが好ましい。
前記第1液の全配合量および/または前記第2液の全配合量を100質量部としたときに、(F)成分である酸化亜鉛が4.0質量部以上8.0質量部以下であることが好ましい。
前記第1液の全配合量および/または前記第2液の全配合量を100質量部としたときに、(F)成分である不定形酸化アルミニウムが20.0質量部以上40.0質量部以下であることが好ましい。
前記第1液の全配合量および/または前記第2液の全配合量を100質量部としたときに、(F)成分である球状酸化アルミニウムが45.0質量部以上65.0質量部以下であることが好ましい。
前記第1液の全配合量および/または前記第2液の全配合量を100質量部としたときに、(G)成分が0.4質量部以上0.5質量部以下であることが好ましい。
前記第1液の全配合量および/または前記第2液の全配合量を100質量部としたときに、(H)成分が0.25質量部以上0.35質量部以下であることが好ましい。
前記熱伝導性シリコーン組成物は、
前記第1液、前記第2液および前記熱伝導性シリコーン組成物のいずれも、下記ケーキング評価において凝集物が確認されないことが好ましい。
(ケーキング評価)
ディスペンサー(例えば、武蔵エンジニアリング社製 MPP-3)にて、0.03ccの吐出と待機時間0.20秒を繰り返し行い、材料1.0kgの吐出を行う。その後ディスペンサーを分解し凝集物がないかを目視確認する。
本開示の熱伝導性シリコーン組成物の製造方法は、
(A)25℃で粘度500mPa・s以上7,000mPa・s以下であるアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン1.0質量部以上9.0質量部以下(全組成物100質量部に対し)と、(B)25℃で粘度10,000mPa・s以上200,000mPa・s以下である、オルガノポリシロキサン0.05質量部以上1.0質量部と、(D)25℃で粘度500mPa・S以下のアルケニル基を有しないジオルガノポリシロキサンと、(E)付加触媒と、を混合し、次いで(F)金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物の中から選択される少なくとも1種または2種以上の熱伝導性フィラーを混合して第1液を得る、第1液製造工程と、
(B)25℃で粘度10,000mPa・s以上200,000mPa・s以下である、オルガノポリシロキサン0.05質量部以上1.0質量部以下と、(C)1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンと、(D)25℃で粘度500mPa・s以下のアルケニル基を有しないジオルガノポリシロキサンと、を混合し、次いで(F)金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物の中から選択される少なくとも1種または2種以上の熱伝導性フィラーを混合して第2液を得る、第2液製造工程と、
を含む。
前記第2液製造工程は、前記(F)成分を加える前に、(A)25℃で粘度500mPa・s以上7,000mPa・s以下であるアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン1.0質量部以上9.0質量部以下を他成分と混合してもよい。
前記第1液製造工程および/または第2液製造工程は、前記(F)成分を加える前に、(G)カップリング剤を他成分と混合してもよい。
前記第1液製造工程および/または第2液製造工程は、前記(F)成分を加える前に、(H)シラノール基含有ポリジメチルシロキサンを他成分と混合してもよい。
前記熱伝導性シリコーン組成物の製造方法は、
前記第1液製造工程で得られた第1液を所定の第1包装材に充填する第1液包装工程と、
前記第2液製造工程で得られた第2液を所定の第2包装材に充填する第2液包装工程と、
を含んでいてもよい。
本開示の熱伝導性シリコーン組成物の吐出方法は、
第1包装材から第1液がディスペンサーの第1液流路へ導入され、
第2包装材から第2液がディスペンサーの第2液流路へ導入され、
前記第1液流路と前記第2液流路とが合流する合流流路へ、前記第1液と前記第2液が所定の割合で導入され、
前記合流流路で接触された前記第1液と前記第2液の混在液をディスペンサーのノズルから基材に吐出する工程を含んでいてもよい。
前記「所定の割合」は、第1液と第2液の混合比であり、熱伝導性シリコーン組成物の仕様に応じて設定される。
本開示の熱伝導性部材の製造方法は、
前記第1液を第1液貯留部から混合部へ吐出する工程と、
前記第2液を第2液貯留部から前記混合部へ吐出する工程と、
前記混合部で前記第1液と前記第2液とを混合して熱伝導性シリコーン組成物を得る工程と、
前記熱伝導性シリコーン組成物を基材へ吐出して塗布する工程と、
前記基材へ塗布された前記熱伝導性シリコーン組成物を硬化させて熱伝導性部材を得る工程と、を含んでいてもよい。
熱伝導性部材の製造方法および熱伝導性シリコーン組成物の吐出方法において、第1液、第2液、熱伝導性シリコーン組成物を基材へ吐出する吐出圧は、ディスペンサーによって異なるが、例えば、下限値0.1MPaであり、好ましくは0.2MPa~0.8MPaである。
本開示の放熱部材は、基材と、前記基材の表面に設けられる、上記熱伝導性シリコーン組成物を硬化させて得られる熱伝導性部材を有していてもよい。
本開示の電気機器または電子機器は、前記放熱部材を有していてもよい。
(作用効果)
(1)熱伝導性ギャップフィラー組成物は、放熱体等の基材に対して密着性および接着性が良好であり、熱伝導率が高いことにより放熱特性に優れ、さらに、高い吐出性を保持しつつ、ケーキングを抑制するギャップフィラーとして有用である。
(2)長時間のディスペンシング時にも流路が詰まることが少ない熱伝導性シリコーン組成物として有用である。
以下に本発明に係る、熱伝導性シリコーン組成物、該熱伝導性シリコーン組成物の製造方法、熱伝導性部材の製造方法、および放熱部材の詳細を説明する。
(熱伝導性シリコーン組成物)
熱伝導性シリコーン組成物は、熱伝導性部材を形成するための組成物であればよく、熱伝導性部材としては例えば車のバッテリー等の発熱体や、発熱体を被覆するフィルム上に適用されるギャップフィラーや放熱シート、電気機器あるいは電子機器の基材、回路チップ、放熱部材などに硬化形成される構成が挙げられる。
熱伝導性シリコーン組成物は、その硬化前に液体状態で基材に塗布され、塗布後に硬化させて熱伝導性部材を与えるものであってもよく、硬化させて得られた熱伝導性部材を基材に適用する物であってもよい。
熱伝導性シリコーン組成物の硬化のための温度や手順等は、得られる硬化物の用途等に応じて適宜選択することができ、限定されない。本発明は、常温環境下でしか使用できない場合でも十分な性能、すなわち十分な硬化性、吐出圧下における基材への接着性、耐ケーキング性を発揮する熱伝導性シリコーン組成物を提供できることを特徴としているが、高温環境が許容される場合では、そのような環境での硬化を妨げるものではない。
熱伝導性シリコーン組成物の硬化方式は付加反応型であることが好ましい。室温から150℃程度に至るまでの様々な温度範囲で硬化を制御できること、体積変化や脱離ガスが少ないこと、熱伝導充填剤とのなじみが一般によいことなどが主な理由である。硬化温度は、一般には高い方が硬化は速いが、本発明では、用途に応じた種々の制約により熱伝導性シリコーン組成物を適用する工程、硬化する工程、さらに後工程の、一部または全部が常温の工程が必要である場合を想定しており、それに合わせた適切な硬化温度を設定することができる。
本発明に係る熱伝導性シリコーン組成物の硬化方式が、付加反応型である場合について、以下、熱伝導性シリコーン組成物の各成分について詳細に説明する。
((A)成分)
(A)成分は、熱伝導性シリコーン組成物の主剤であり、アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンである。アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、硬化した後に適度な硬度を有するためには末端Vi(ビニル基)であることが好ましい。アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、OH基を末端に有していても良い。
(A)成分の粘度や重合度は特に限定されず、要求される熱伝導性組成物の混合粘度等に応じて選択することができ、例えば、25℃における粘度が、25℃で粘度500mPa・s以上7,000mPa・s以下であってもよい。
ジオルガノポリシロキサンは、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これは、熱伝導性組成物の主剤であり、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に平均して、少なくとも2個、好ましくは2~50個、より好ましくは2~20個有するものである。
熱伝導性シリコーン組成物全体を100質量部としたとき、A成分は1.0質量部以上9.0質量部以下の範囲であり、好ましくは2質量部以上4質量部以下である。A成分は、第1液と第2液の両方に含まれることが好ましい。
(A)成分の分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状構造、一部分岐を有する直鎖状構造、分岐鎖状構造、環状構造、分岐を有する環状構造であってもよい。(A)成分は、このうち、実質的に直鎖状のオルガノポリシロキサンであることが好ましく、具体的には、分子鎖が主にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンであってもよい。分子鎖末端の一部または全部、または側鎖の一部がシラノール基であってもよい。
(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基の位置は特に制限されず、(A)成分は、分子鎖両末端にケイ素原子に結合しているアルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンであってもよい。分子鎖両末端にアルケニル基を1つずつ有するオルガノポリシロキサンであれば、架橋反応の反応点となるアルケニル基含有量が少なく、硬化後に得られるギャップフィラーの柔軟性が高められるという利点がある。
アルケニル基は分子鎖末端のケイ素原子又は分子鎖非末端(分子鎖途中)のケイ素原子のどちらか一方にのみ結合していてもよいし、これら両者に結合していてもよい。
また、(A)成分は、単一のシロキサン単位からなる重合体であっても、2種以上のシロキサン単位からなる共重合体であってもよい。
(A)成分の25℃における粘度は、500mPa・s以上7,000mPa・s以下であり、1,000mPa・s以上5,000mPa・s以下が好ましく、1,000mPa・s以上4,000mPa・s以下がさらに好ましく、1,000mPa・s以上2,000mPa・s以下がさらによく好ましい。
上記粘度範囲であれば、得られる熱伝導性組成物の適度な流動性が得られるため、吐出性が高く、生産性を高めることが可能になる。また、熱伝導性組成物を硬化して得られる熱伝導性部材の柔軟性を高くすることが可能になる。
液状組成物を混合して得られる熱伝導性組成物の硬化前の粘度(混合粘度)調整のため、粘度の異なる2種類以上のアルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンを用いることもできる。
具体的には、(A)成分は、平均組成式が下記一般式(1)で表される。
SiO(4-a)/2 (1)
(ただし、式(1)中、Rは、互いに同一または異種の炭素数1~18の非置換のまたは置換された一価炭化水素基である。aは1.7~2.1である。また、aは好ましくは1.8~2.5、より好ましくは1.95~2.05である。)
一つの実施形態において、上記Rで示される一価炭化水素基のうち、少なくとも2個以上はビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基などのアルケニル基から選ばれ、それ以外の基は、炭素数1~18の置換または非置換の一価炭化水素基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基などのアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などのシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基などのアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基などのアラルキル基や、これらの炭化水素基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子、シアノ基などによって置換されたクロロメチル基、2-ブロモエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、3-クロロプロピル基、シアノエチル基などのハロゲン置換アルキル基やシアノ置換アルキル基などから選ばれる。
の選択にあたって、2個以上必要なアルケニル基としてはビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、2ーメチルー1ープロペニル基、2ーメチルアリル基、2ーブテニル基が好ましく、ビニル基が特に好ましい。アルケニル基以外のR1としてはメチル基およびフェニル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。また、全R中の70モル%以上がメチル基であることが、硬化物の物性および経済性などの点で好ましく、通常はメチル基が80モル%以上のものが用いられる。
(A)成分の分子構造としては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサンコポリマー、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサンコポリマー、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサンコポリマー、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサンコポリマー、式:(CHViSiO1/2で示されるシロキサン単位、式:(CHSiO1/2で示されるシロキサン単位、式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン(式中のViは、ビニル基を表す)、これらのオルガノポリシロキサンのメチル基の一部または全部をエチル基、プロピル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロゲン化アルキル基で置換したオルガノポリシロキサン、およびこれらのオルガノポリシロキサンの2種類以上の混合物が例示されるが、分子鎖長の増長によって硬化物の切断までの伸びを高める観点から、直鎖状のジオルガノポリシロキサンで分子鎖両末端にビニル基を有するものが好ましい。
(A)成分中の1.0質量部以上9.0質量部以下が、分子鎖末端に少なくとも1個のシラノール基を有するアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンであってもよい。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物を2液型として貯蔵する場合には、シラノール基を有するアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンを第1液および/または第2液に配合してもよい。
これらのジオルガノポリシロキサンは市販のものを使用してもよく、また当業者に公知の方法で製造されたものを使用してもよい。
((B)成分)
(B)成分は、オルガノポリシロキサンである。
(B)成分の粘度や重合度は特に限定されず、要求される熱伝導性組成物の混合粘度等に応じて選択することができ、例えば25℃における粘度が10,000mPa・s以上200,000mPa・s以下であってもよい。
(B)成分はオルガノポリシロキサンであり、吐出圧力下におけるポリマーとフィラーとの分離を抑制する分離抑制剤の役割を果たす成分である。
(B)成分は、オルガノリシロキサンであればいかなるものでもよく、例えば、(A)成分と同じ構造でも良く、ビニル基を含まないジオルガノポリシロキサンでもよい。
(B)成分の25℃における粘度は、10,000mPa・s以上200,000mPa・s以下であり、10,000mPa・s以上150,000mPa・s以下が好ましく、15,000mPa・s以上100,000mPa・s以下がさらに好ましい。
((C)成分)
(C)成分は、1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンである。(C)成分は、架橋剤として機能する。
(C)成分の粘度や重合度は特に限定されず、要求される熱伝導性組成物の混合粘度等に応じて選択することができ、例えば25℃における粘度が10mPa・s以上10,000mPa・s以下であってもよい。
(C)成分は1分子中にケイ素原子に結合しているヒドロシリル基を3個以上含有するジオルガノポリシロキサンでもよく、熱伝導性シリコーン組成物を硬化させるための架橋剤の役割を果たす成分である。
ケイ素原子に結合しているヒドロシリル基の数は2個以上であれば結合箇所は特に限定されない。
(C)成分の水素含有量(H content)は特に限定されないが、熱伝導性シリコーン組成物を硬化して得られる熱伝導性部材に実用上十分な伸びを与えるためには、(C)成分の水素含有量(H content)は0.01mmol/g以上4.0mmol/g以下であることが好ましく、0.3mmol/g以上3.0mmol/g以下であることがより好ましく、1.0mmol/g以上2.0mmol/g以下であることがさらにより好ましい。
(C)成分は、オルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができる。(C)成分は、アルケニル基と付加反応することにより硬化物を形成するものであり、分子中の側鎖に少なくとも1個以上のケイ素原子に結合した水素原子(ヒドロシリル基)を有するものであってもよい。
(C)成分は、架橋剤として機能してもよい。架橋剤としては、好ましくは1分子中のヒドロシリル基の数が3個以上であり、かつ、分子中の側鎖に少なくとも1個のヒドロシリル基を有するものであってもよい。架橋剤としては、ヒドロシリル基を5個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンがより好ましく、10個以上18個以下有するものであってもよい。架橋剤であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、その側鎖に少なくとも2個のヒドロシリル基を有するものである。分子鎖末端のヒドロシリル基の数は0個以上2個以下であることができるが、2個であることが経済的には好ましい。オルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網状構造のいずれであってもよい。水素原子が結合するケイ素原子の位置は特に制約はなく、分子鎖の末端でも非末端、側鎖でもよい。その他の条件、ヒドロシリル基以外の有機基、結合位置、重合度、構造等については特に限定されず、また2種以上のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用してもよい。
上記シリコーン組成物中、(C)成分の含有量は、(A)成分および(B)成分中のアルケニル基に対する(C)成分中のヒドロシリル基の個数の比が2/5~7となる範囲であることが好ましく、1/2~2となる範囲であることがより好ましく、2/5~5/4の範囲であることがさらにより好ましい。上記範囲内であれば熱伝導性シリコーン組成物が十分に硬化し、熱伝導性組成物全体の硬さがより好適な範囲となり、ギャップフィラーとして使用する場合に割れが生じにくくなるほか、柔軟性、接着性を兼ね備えるという利点がある。
(C)成分中のヒドロシリル基は、分子鎖末端にあってもよく、側鎖にあってもよく、分子鎖末端と側鎖の両方にあってもよい。分子鎖末端にのみヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、分子鎖側鎖にのみヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを混合して使用してもよい。
(C)成分は、耐熱性向上の観点からは、分子中に芳香族の基を分子中に少なくとも1個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを含むこともできる。経済的な理由により芳香族の基としてはフェニル基であることがより好ましい。芳香族基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、芳香族基を含まないオルガノハイドロジェンポリシロキサンを混合して用いることもできる。
(C)成分の25℃における粘度は、10mPa・s以上10,000mPa・s以下であり、20mPa・s以上5,000mPa・s以下が好ましく、30mPa・s以上2,000mPa・s以下がさらに好ましい。
最終的な生成物である熱伝導性組成物の粘度調整のため、粘度の異なる2種類以上の、水素原子を有するジオルガノポリシロキサンを用いることもできる。ギャップフィラー組成物の混合粘度は10Pa・s以上1,000Pa・s以下の範囲であってもよく、20Pa・s以上500Pa・s以下の範囲であればより好ましく、30Pa・s以上250Pa・s以下の範囲であればさらにより好ましい。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物中、(C)成分の含有量は、(A)および(B)成分中のアルケニル基の個数に対する(C)成分中のヒドロシリル基の個数の比が1/5~7となる範囲とすることができる。
上記範囲内であれば、熱伝導性組成物の硬化後の硬さが適切な範囲を有することができる。
((D)成分)
(D)成分は、アルケニル基を有しないジオルガノポリシロキサンである。
(D)成分は、熱伝導性シリコーン組成物の粘度コントロールとして機能する。(D)成分の粘度は、25℃で粘度500mPa・s以下である。
(D)成分の分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、分岐状または環状の、好ましくは直鎖状のジオルガノポリシロキサンである。
(D)成分としては、具体的には、両末端トリメチルシリル基封鎖の直鎖ジメチルポリシロキサン、両末端トリエチルシリル基封鎖の直鎖ジエチルポリシロキサンが挙げられる。特に両末端トリメチルシリル基封鎖の直鎖ジメチルポリシロキサンが好ましい。
((E)成分)
(E)成分は、付加触媒であり、上述した(A)成分におけるケイ素原子に結合しているアルケニル基と、上述した(C)成分におけるケイ素原子に結合している水素原子との付加硬化反応を促進する。
付加触媒は、当業者には公知の触媒である。(E)成分としては白金、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、ルテニウムなどの白金族金属、または、これらを微粒子状の担体材料(例えば、活性炭、酸化アルミニウム、酸化ケイ素)に固定したものが挙げられる。
さらに、(E)成分としては、白金ハロゲン化物、白金-オレフィン錯体、白金-アルコール錯体、白金-アルコラート錯体、白金-ビニルシロキサン錯体、ジシクロペンタジエン-白金ジクロライド、シクロオクタジエン-白金ジクロライド、シクロペンタジエン-白金ジクロライド等の白金化合物が挙げられる。
また、経済的な観点から、上述したような白金族金属以外の金属化合物触媒を(E)成分として用いてもよい。例えば、ヒドロシリル化鉄触媒としては、鉄-カルボニル錯体触媒、シクロペンタジエニル基を配位子として有する鉄触媒、ターピリジン系配位子や、ターピリジン系配位子とビストリメチルシリルメチル基を有する鉄触媒、ビスイミノピリジン配位子を有する鉄触媒、ビスイミノキノリン配位子を有する鉄触媒、アリール基を配位子として有する鉄触媒、不飽和基を有する環状または非環状のオレフィン基を有する鉄触媒、不飽和基を有する環状または非環状のオレフィニル基を有する鉄触媒である。その他、ヒドロシリル化のコバルト触媒、バナジウム触媒、ルテニウム触媒、イリジウム触媒、サマリウム触媒、ニッケル触媒、マンガン触媒などが例示される。
(E)成分の配合量は用途により所望される硬化温度や硬化時間に応じた有効量が用いられるが、通常、熱伝導性シリコーン組成物の合計質量に対して、触媒金属元素の濃度として好ましくは0.5ppm以上1,000ppm以下、より好ましくは1ppm以上500ppm以下、より一層好ましくは1ppm以上100ppm以下の範囲である。配合量が0.5ppm未満の場合は、付加反応が著しく遅くなり、一方、配合量が1,000ppmを超えるとコストが上昇するため経済的に好ましくない。
((F)成分)
(F)成分の熱伝導性フィラーは、熱伝導性組成物の熱伝導率を向上させるための充填材成分である。(F)成分は、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物の中から選択される少なくとも1種または2種以上の熱伝導性フィラーである。
電子基板等に適用するための絶縁性の高いギャップフィラーを得るためには、(F)熱伝導性フィラーは熱伝導性のみならず絶縁性にも優れた材料を使用することが好ましい。
(F)熱伝導性フィラーとしては、例えば、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ベリリウム等の金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の窒化物;炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ケイ素等の炭化物;グラファイト、黒鉛等の石墨、アルミニウム、銅、ニッケル、銀等の金属、およびこれらの混合物からなるのもが挙げられる。特に、シリコーン組成物に電気絶縁性が必要な場合は、金属酸化物、金属水酸化物、窒化物、またはこれらの混合物であることが好ましく、両性水酸化物または両性酸化物であってもよく、具体的には、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよび水酸化マグネシウムからなる群より選択される1種又は2種以上を用いることが好ましい。
なお、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素は絶縁材料であり、成分(A)および(B)との相溶性が比較的良好であり、工業的に広範囲な粒径の品種が選択可能であり、資源的に入手が容易であり、比較的安価で入手可能であることから、熱伝導性無機充填材として好適である。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物では、(F)成分として酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、および窒化ホウ素から選択される少なくとも1種を使用することがより好ましい。(F)成分として1種のみを使用する場合には、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、または酸化亜鉛を選択することが好ましく、酸化アルミニウムを選択することがより好ましい。また、1種のみを使用する場合であっても、形状の異なるものを2種以上組み合わせることがより好ましい。例えば、球状酸化アルミニウムと不定形酸化アルミニウムを組み合わせる場合や、球状酸化亜鉛と不定形酸化亜鉛を組み合わせる場合が挙げられる。
(F)成分としては、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、および窒化ホウ素から選択される少なくとも2種を使用することが、さらに好ましい。例えば、球状酸化アルミニウムと、不定形酸化アルミニウムと、不定形酸化亜鉛を組み合わせる場合が挙げられる。
熱伝導性フィラーの形状は、特に限定されず、例えば、球状、不定形、微粉末、繊維状、鱗片状等であってもよい。熱伝導性部材の熱伝導性を高くするために必要な量の熱伝導性フィラーを配合するためには、熱伝導性フィラーの形状は球状であることが好ましく、平均粒径は1~100μmであってもよい。ここでいう球状とは、真球状のみならず、丸み状であってもよい。
(F)成分として球状酸化アルミニウムを用いる場合には、高温溶射法あるいはアルミナ水和物の水熱処理により得られるα-アルミナを使用してもよい。
熱伝導性フィラーの充填率を向上させるためには、球状の熱伝導性フィラーと球状以外の熱伝導性フィラーとを使用することがより好ましい。形状が異なる少なくとも2種以上の熱伝導性フィラーを併用すると、最密充填に近い状態で充填でき、熱伝導性がより高くなる効果が得られる。球状と球状以外の熱伝導性フィラー(例えば、不定形の熱伝導性フィラーである)を併用とすると、より熱伝導性を高めることが可能となる。
熱伝導性フィラーは、熱伝導率が10W/m・K以上であることが好ましい。熱伝導率が10W/m・K未満であると、熱伝導性シリコーン組成物の熱伝導率そのものが小さくなるおそれがある。
特に、熱伝導性部材に電気絶縁性が必要な場合は、非導電性の熱伝導性フィラーを選択することが考えられる。
熱伝導性フィラーは、熱伝導性部材の熱伝導性を高く(例えば2.0W/m・K以上である)するために必要となる量が配合されていればよく、例えば、熱伝導性シリコーン組成物全体を100質量部としたときに、(F)成分の含有量は70質量部以上95質量部以下としてもよい。
上記範囲内であれば、熱伝導性組成物全体として十分な熱伝導率を有し、配合時に混合しやすく、硬化後にも柔軟性が維持され、さらに比重も大きくなりすぎないことから、熱伝導性と軽量化が求められる熱伝導性部材を形成するための熱伝導性組成物としてより好適である。(F)成分の含有量が少なすぎると、得られる熱伝導性組成物の硬化物の熱伝導率を十分に高めることが困難となり、一方、(F)成分の含有量が多すぎるとシリコーン組成物は高粘度になり、熱伝導性組成物を均一に塗布することが困難となるおそれがあり、硬化後の組成物の熱抵抗値の上昇、柔軟性の低下といった問題が生じる場合がある。
(F)成分の平均粒径は特に限定されず、1μm以上100μm以下の範囲であってもよい。平均粒径が小さすぎると、シリコーン組成物の流動性が低下し、平均粒径が大きすぎると、塗布装置の摺動部分に挟まり、装置の削れなどの問題発生のおそれがある。なお、(F)成分の平均粒径は、レーザー回折式粒度測定装置で測定された体積基準累積粒度分布における50%粒子径であるD50(又はメジアン径)である。
((G)成分)
(G)成分のカップリング剤は、例えば、シランカップリング剤が挙げられる。
シランカップリング剤としては、1分子中にエポキシ基、アルキル基、アリール基、ビニル基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基、イソシアヌレート基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、酸無水物等の炭素数3以上の有機基と、ケイ素原子結合アルコキシ基とを有する有機ケイ素化合物またはオルガノシロキサンが挙げられる。シランカップリング剤の一例としてオクチルトリメトキシシラン,オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物等のシラン化合物がある。前記シラン化合物は、ヒドロシリル基を有しない化合物であってもよく、1種又は2種以上混合して使用することができる。前記シランカップリング剤で熱伝導性フィラーの表面を処理することにより、シリコーンポリマーとの親和性が良くなり、組成物の粘度を下げることができ、熱伝導性フィラーの充填性が向上することが可能となる。したがってより多くの熱伝導性フィラーを配合することで、熱伝導率を向上することが可能である。
シランカップリング剤の熱伝導性フィラーに対する配合量は用途により所望される硬化温度や硬化時間に応じた有効量が用いられるが、通常、熱伝導性フィラーに対して0.5wt%以上2wt%以下が一般的な最適量であるが、必要量の目安として次の式により計算され、1~3倍量配合してもよい。
シランカップリング剤の必要量(g)=熱伝導性フィラー質量(g)×熱伝導性フィラーの比表面積(m/g)÷シランカップリング剤の固有の最小被覆面積(m/g)
((H)成分)
(H)成分は、シラノール基含有ポリジメチルシロキサンである。
(H)成分は、吐出液の糸切れ性を向上させる機能を発揮する。
(H)成分の粘度は、25℃で粘度10mPa・s以上1,000mPa・s以下である。
(H)成分の25℃で粘度10mPa・s以上500mPa・s以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサンは、熱伝導性シリコーン組成物の貯蔵安定性を向上させ、かつ、該組成物を硬化して得られる熱伝導性部材の柔軟性と耐ポンプアウト性を向上させるために配合される。
(H)成分は、アルケニル基またはケイ素原子に結合している水素原子(ヒドロシリル基)を有しない化合物であることができる。また、分子鎖両末端に少なくとも1つのシラノール基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサンであってもよい。(H)成分がこのような構造であれば、結果として糸切れ性を向上させる。
(H)成分としては、具体的には、両末端ジメチルヒドロキシシリル基封鎖の直鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジエチルヒドロキシシリル基封鎖の直鎖ジエチルポリシロキサンが挙げられる。特に両末端ジメチルヒドロキシシリル基封鎖の直鎖ジメチルポリシロキサンが好ましい。
なお、他成分(例えば、(D))において、不純物レベル(例えば、その成分全量に対し0.001質量部以下である)でシラノール基を含有していてもよく、かかる場合にH成分の配合量には含めない。
熱伝導性シリコーン組成物には、本開示の目的を損なわない範囲において、さらに、上記(A)成分~(G)以外のさらなる任意成分として、シリコーンゴム、ゲルへの添加物として従来公知のものを使用することができる。このような添加物としては、有機ケイ素化合物、架橋剤、接着助剤、顔料、染料、硬化抑制剤、耐熱付与剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、気密性向上剤、放射線遮蔽剤、電磁波遮蔽剤、防腐剤、安定剤、有機溶剤、可塑剤、防かび剤、あるいは、1分子中に1個のケイ素原子結合水素原子またはアルケニル基を含有し、他の官能性基を含有しないオルガノポリシロキサンや、ケイ素原子結合水素原子が例示され、これらのさらなる任意成分は、1種を単独で使用してもよく、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の熱伝導性シリコーン組成物は、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)またはドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン(D7)、ヘキサデカメチルシクロオクタシロキサン(D8)のうちいずれか1種または2種以上を含んでいてもよい。上記(D4)、(D5)、(D6)、(D7)および(D8)のそれぞれの含有量合計は、第1液の全配合量および/または前記第2液の全配合量を100質量部としたときに、0.1質量部未満(すなわち1,000ppm未満)であってもよい。
(基材)
ここで基材としてはガラス、金属、セラミックス、および樹脂から選択される1種以上であってもよい。
熱伝導性シリコーン組成物が接着する金属基材は、アルミニウム、マグネシウム、鉄、ニッケル、チタン、ステンレス、銅、鉛、亜鉛、モリブデン、シリコンから選択される金属基材であることが好ましい。
熱伝導性シリコーン組成物が接着するセラミックス基材は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、アルミナジルコニア、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、酸化ベリリウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、などそのほか、酸化物、炭化物、窒化物であることが好ましい。
熱伝導性シリコーン組成物が硬化して接着する樹脂基材は、ポリエステル、エポキシ、ポリアミド、ポリイミド、エステル、ポリアクリルアミド、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、スチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、アクリル、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)およびシリコーンから選択される樹脂基材であることが好ましい。
熱伝導性シリコーン組成物が硬化して得られる熱伝導性部材が、バッテリーユニット用ギャップフィラーである場合、接着する基材であるバッテリーユニット筐体は、基材表面がカチオン電着塗装により少なくとも一部を被覆された鉄表面を有してもよく、ヒートシンクとしてはアルミニウム表面有してもよい。
熱伝導性シリコーン組成物はカチオン電着塗装により被覆された鉄表面とアルミニウム表面との間を埋めるように注入され、硬化することによりギャップフィラーを与える。
電気機器、電子機器は、特に制限されず、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット、スマートウオッチ、コンピュータ、半導体パッケージ基板、電子回路基板、LEDパッケージ基板、センサ基板、撮像素子基板、液晶基板、有機EL基板などが挙げられる。
(熱伝導性シリコーン組成物の製造方法)
第一の製造方法は、2液混合型熱伝導性シリコーン組成物の硬化物を得る方法である。
第1液は、上述の(A),(B),(D),(E)および(F)の各成分を含む。
第2液は、上述の(B),(C),(D)および(F)の各成分を含む。第2液は、成分(A)をさらに含んでいてもよい。
第1液および/または第2液は、上述の成分(G)をさらに含んでいてもよい。
第1液および/または第2液は、上述の成分(H)をさらに含んでいてもよい。
第1液製造工程で、成分(A),(B),(D),(E)を混合し、次いで成分(F)を混合する。
成分(A):
アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン
25℃で粘度500mPa・s以上7,000mPa・s以下
第1液全組成100質量部に対し、1.0質量部以上9.0質量部以下
成分(B):
オルガノポリシロキサン
25℃で粘度10,000mPa・s以上200,000mPa・s以下
第1液全組成100質量部に対し、0.05質量部以上1.0質量部以下
成分(D):
アルケニル基を有しないジオルガノポリシロキサン
25℃で粘度500mPa・s以下
第1液全組成100質量部に対し、0.1質量部以上9.0質量部以下
成分(E):
付加触媒
第1液全組成100質量部に対し、0.01質量部以上1.0質量部以下
成分(F):
熱伝導性フィラー
第1液全組成100質量部に対し、70.0質量部以上95.0質量部以下
第1液製造工程で、成分(A),(B),(D),(E),(G),(H)を混合してもよい。この場合の成分(G)、(H)は以下である。
成分(G):
カップリング剤(WACKER社製 SILANE 25013 VP)
第1液全組成100質量部に対し、0.01質量部以上2.0質量部以下
成分(H):
シラノール基含有ポリジメチルシロキサン
25℃で粘度10mPa・s以上1,000mPa・s以下
第1液全組成100質量部に対し、0.01質量部以上2.0質量部以下
第2液製造工程で、成分(A),(B),(C),(D)を混合し、次いで成分(F)を混合する。
成分(A):
アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン
25℃で粘度500mPa・s以上7,000mPa・s以下
第2液全組成100質量部に対し、1.0質量部以上9.0質量部以下
成分(B):
オルガノポリシロキサン
25℃で粘度10,000mPa・s以上200,000mPa・s以下
第2液全組成100質量部に対し、0.05質量部以上1.0質量部以下
成分(C):
1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン
25℃で粘度が10mPa・s以上10,000mPa・s以下
第2液全組成100質量部に対し、0.01質量部以上10.0質量部以下
成分(D):
アルケニル基を有しないジオルガノポリシロキサン
25℃で粘度500mPa・s以下
第2液全組成100質量部に対し、0.1質量部以上9.0質量部以下
成分(F):
熱伝導性フィラー
第2液全組成100質量部に対し、70.0質量部以上95.0質量部以下
第2液製造工程で、成分(A),(B),(C),(D),(G),(H)を混合してもよい。この場合の成分(G)、(H)は以下である。
成分(G):
カップリング剤
第2液全組成100質量部に対し、0.01質量部以上2.0質量部以下
成分(H):
シラノール基含有ポリジメチルシロキサン
25℃で粘度10mPa・s以上1,000mPa・s以下
第2液全組成100質量部に対し、0.01質量部以上2.0質量部以下
(熱伝導性部材の製造方法)
熱伝導性部材の製造方法は、2液内部混合式のディスペンサーに、第1液と第2液をセットし、第1液と第2液のそれぞれに所定圧をかけて、第1液と第2液を所定の割合で混合し、基材向かって、所定量の混合した液を吐出する方法である。
製造方法は、
第1液を第1液貯留部から混合部へ吐出する工程と、
第2液を第2液貯留部から前記混合部へ吐出する工程と、
混合部で前記第1液と前記第2液とを混合して熱伝導性シリコーン組成物(混合液)を得る工程と、
熱伝導性シリコーン組成物を基材へ吐出して塗布する工程と、
基材へ塗布された前記熱伝導性シリコーン組成物(混合液)を硬化させて熱伝導性部材を得る工程とを含む。
上記第1液と第2液を使用していることで、吐出圧力下において、第1液貯留部、第2液貯留部、混合部、ノズルから吐出されるまでケーキングが生じない。
<実施例>
実施例を説明するが、以下の実施例に制限されるものではない。実施例の各成分の配合比を表1に、評価結果を表3に示す。比較例の各成分の配合比を表2に、評価結果を表4に示す。表1、表2中に示す配合比の数値は質量部を示す。なお、本明細書内において記載する粘度は、25℃、せん断速度:10/sで、回転粘度計(JIS K7117-2)により測定した値である。
実施例と比較例にそれぞれ示した第1液と第2液をそれぞれ製造した。
ディスペンサー(例えば、武蔵エンジニアリング社製 MPP-3)に第1液と第2液を装填し、基材へ吐出する。ディスペンサー内において、第1液と第2液の混合比は、1:1の割合に設定した。ディスペンサーの吐出圧は、0.5MPaに設定した。
<混合粘度の測定方法>
ディスペンサーから吐出した混合液を、25℃、せん断速度:10/sで、回転粘度計(JIS K7117-2)により測定した値である。
粘度は、250kPa以下であることが好ましい。
<熱伝導率の測定方法>
ディスペンサーから吐出した混合液を、直径30mm×高さ6mmの円柱状のプレス金型に流し込み、23℃、24時間の条件で硬化させ、円柱状の硬化物を作製した。硬化物の熱伝導率はISO 22007-2に準拠したホットディスク法により測定する機械[TPS-500、京都電子工業(株)製]を用いて測定した。上記で作成した2個の円柱状の硬化物にセンサーを挟み、上記装置で熱伝導率を測定した。
熱伝導率は2.0W/m・K以上であることが好ましい。
<硬さ(Shore00)の測定方法>
ディスペンサーから吐出した混合液を、直径30mm×高さ6mmの円柱状のプレス金型に流し込み、23℃、24時間の条件で硬化させ、円柱状の硬化物を作製した。硬化物の硬さはJIS K 6253-3に準拠した方法により測定する機械テックロック社製硬度計Shore00を用いて測定した。
硬さ(Shore00)は、30から80の間が好ましい。
<ケーキングの測定方法>
ディスペンサー(武蔵エンジニアリング社製 MPP-3)にて、0.03ccの吐出と待機時間0.20秒を繰り返し行い、材料1.0kgの吐出を行う。その後ディスペンサーを分解しケーキングがないかを確認する。
判定基準は、以下のA、B、Cである。
A:凝集物が全く確認されない、B:数mm程度の凝集物が確認されるが、経路内の詰まりはない、C:経路内に詰まりが発生している
<初期吐出性の測定方法>
ディスペンサー(武蔵エンジニアリング社製 MPP-3)にて、吐出圧0.5MPaに設定を行い、10秒間の吐出を行い、吐出物の量を確認し、時間あたりの吐出量を計算する。
判定基準は、以下のA、B、Cである。
A:0.2cc/秒以上、B:0.2cc/秒未満、0.1cc/秒以上、C:0.1cc/秒未満
<糸切れ性の測定方法>
熱伝導性組成物が充填され、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング製MPP3)からアルミ板上高さ2.5mmから幅10mm長さ20mmにビード塗布を行う。10mm間隔を空け5か所に吐出を行い、4か所のビード間隔を測定し、その平均値が10mmに近いほど糸引き性は良好であり、0mmに近いほど糸切れ性は悪いと判断される。
評価結果は次の通りA=良い、B=普通、C=悪い、の3段階とした。
A:6mm以上
B:2以上6mm未満
C:2mm未満
[第1液]
表1、表2の配合比に基づいて、成分(A),(B),(D),(E),(G),(H)をそれぞれ計量し加え、プラネタリミキサーを用いて室温で30分間混練りした。その後、成分(F)を加え、プラネタリミキサーを用いて室温で15分間混練りした。
[第2液]
表1、表2の配合比に基づいて、成分(A),(B),(C),(D),(G),(H)をそれぞれ計量し加え、プラネタリミキサーを用いて室温で30分間混練りした。その後、成分(F)を加え、プラネタリミキサーを用いて室温で15分間混練りした。
<成分>
(A-1) 両末端に各1個のアルケニル基を有し、粘度が1,000mPa・sである直鎖のジメチルポリシロキサン
(A-2) 両末端に各1個のアルケニル基を有し、粘度が500mPa・sである直鎖のジメチルポリシロキサン
(A-3) 両末端に各1個のアルケニル基を有し、粘度が7,000mPa・sである直鎖のジメチルポリシロキサン
(A-4) 両末端に各1個のアルケニル基を有し、粘度が100mPa・sである直鎖のジメチルポリシロキサン
(B-1) 粘度が100,000mPa・sである直鎖のオルガノポリシロキサン
(B-2) 粘度が200,000mPa・sである直鎖のオルガノポリシロキサン
(B-3) 粘度が1,000,000mPa・sである直鎖のオルガノポリシロキサン
(B-4) 粘度が10,000mPa・sである直鎖のオルガノポリシロキサン
(C) 側鎖にケイ素原子に結合する水素原子を12~18個有する、粘度200mPa・sのジメチルポリシロキサンである。
(D-1) アルケニル基を有しない、粘度が50mPa・sである直鎖のジメチルポリシロキサン
(D-2) アルケニル基を有しない、粘度が500mPa・sである直鎖のジメチルポリシロキサン
(E) 白金-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体
(F-1) 不定形の酸化亜鉛(平均粒径(D50)0.6μm、BET比表面積は4.1 m/g)を使用した。
(F-2) 不定形の酸化アルミニウム(平均粒径(D50)3.9μm、BET比表面積は0.9 m/gである)を使用した。
(F-3) 球状の酸化アルミニウム平(均粒径(D50)40μm、 BET比表面積は0.12 m/gである)を使用した。
(G) Wacker Chemie AG社製のSILANE 25013 VPである。
(H) 両末端にシラノール基1個を有する粘度が50mPa・sである直鎖状ジオルガノポリシロキサンである。
(評価)
表3に実施例1から15の評価結果を示す。
実施例1は、ベースポリマーに適切な粘度のポリマーを使用し、適切な粘度の分離抑制用のポリマーを導入することでケーキングを抑制し、吐出性、糸切れ性も良好で、熱伝導率も高かった。
実施例2は、実施例1よりも分離抑制用のポリマーが少ないもののケーキングをやや抑制し(実質的に使用に際し問題ない程度)、他の項目は良好であった。
実施例3は、ベースポリマーにやや高粘度のポリマーを使用し、適切な粘度の分離抑制用のポリマーを導入することでケーキングを抑制し、吐出性はやや良好で、糸切れ性は良好で、熱伝導率も高かった。
実施例4は、ベースポリマーにやや低粘度のポリマーを使用し、適切な粘度の分離抑制用のポリマーを導入することでケーキングをやや抑制し、吐出性、糸切れ性は良好で、熱伝導率も高かった。
実施例5は、ベースポリマーに適切な粘度のポリマーを使用し、やや高粘度の分離抑制用のポリマーを導入することでケーキングを抑制し、吐出性もやや良好で、糸切れ性は良好で、熱伝導率も高かった。
実施例6は、ベースポリマーに適切な粘度のポリマーを使用し、やや低粘度の分離抑制用のポリマーを導入することでケーキングをやや抑制し、吐出性、糸切り性も良好で、熱伝導率も高かった。
実施例7は、ベースポリマーに適切な粘度のポリマーを使用し、適切な粘度の分離抑制用のポリマーを導入し、ベースポリマー量を増加させることでケーキングは抑制し、吐出性もやや良好で、糸切れ性は良好で、熱伝導率も高かった。
実施例8は、ベースポリマーに適切な粘度のポリマーを使用し、適切な粘度の分離抑制用のポリマーを導入し、ベースポリマー量を低減させることでケーキングはやや抑制し、吐出性、糸切り性も良好で、熱伝導率も高かった。
実施例9は、ベースポリマーに適切な粘度のポリマーを使用し、適切な粘度の分離抑制用のポリマーを導入し、分離抑制用ポリマーの量を増加させることでケーキングは抑制し、吐出性もやや良好で、糸切れ性は良好で、熱伝導率も高かった。
実施例10は、ベースポリマーに適切な粘度のポリマーを使用し、適切な粘度の分離抑制用のポリマーを導入し、分離抑制用ポリマーの量を低減させることでケーキングは抑制し、吐出性もやや良好で、糸切れ性は良好で、熱伝導率も高かった。
実施例11は、ベースポリマーに適切な粘度のポリマーを使用し、適切な粘度の分離抑制用のポリマーを導入した。粘度調整用のジメチルオイルにやや高粘度(500mPa・s)を使用したことでケーキングを抑制し、吐出性もやや良好で、糸切れ性は良好で、熱伝導率も高かった。
実施例12は、ベースポリマーに適切な粘度のポリマーを使用し、適切な粘度の分離抑制用のポリマーを導入し、熱伝導性フィラーを85%にすることでケーキングを抑制し、吐出性、糸切り性も良好で、熱伝導率も高かった。
実施例13は、第2液にベースポリマーを使用せず、第1液のベースポリマーの導入量を多くしているが、ベースポリマーに適切な粘度のポリマーを使用し、適切な粘度の分離抑制用のポリマーを導入したことで、ケーキングを抑制し、吐出性もやや良好で、糸切れ性は良好で、熱伝導率も高かった。
実施例14は、ベースポリマーに適切な粘度のポリマーを使用し、適切な粘度の分離抑制用のポリマーを導入していることで、ケーキングを抑制し、吐出性も良好であったが、成分Hを使用していないため糸切れ性は良くなかった。熱伝導率は高かった。
実施例15は、ベースポリマーに適切な粘度のポリマーを使用し、適切な粘度の分離抑制用のポリマーを導入していることで、ケーキングを抑制し糸切れ性は良好であったが、成分Gを使用していないため吐出性はやや良好であった。熱伝導率は高かった。
表4に比較例1から3の評価結果を示す。
比較例1は、ベースポリマーに低粘度のポリマーを使用し、適切な粘度の分離抑制用のポリマーを導入したことでケーキングが発生した。吐出性は良好で、熱伝導率も高かった。
比較例2は、ベースポリマーに適切な粘度のポリマーを使用し、高粘度の分離抑制用のポリマーを導入することでケーキングを抑制したが、吐出性と糸切れ性は悪く、熱伝導率は高かった。
比較例3は、ベースポリマーに低粘度のポリマーを使用したがフィラー量を低減し、適切な粘度の分離抑制用のポリマーを導入したことでケーキングを抑制し、吐出性と糸切れ性は良好であったが、熱伝導率は低かった。

Claims (11)

  1. (A)25℃で粘度500mPa・s以上7,000mPa・s以下である、アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン1.0質量部以上9.0質量部以下と、
    (B)25℃で粘度10,000mPa・s以上200,000mPa・s以下である、オルガノポリシロキサン0.05質量部以上1.0質量部以下と、
    (C)1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンと、
    (D)25℃で粘度500mPa・s以下のアルケニル基を有しない無官能性のジオルガノポリシロキサンと、
    (E)付加触媒と、
    (F)金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物の中から選択される少なくとも1種または2種以上の熱伝導性フィラーと、
    を含む熱伝導性シリコーン組成物であって、
    前記熱伝導性シリコーン組成物全体を100質量部としたときに、前記(F)成分を85質量部以上含み、
    前記熱伝導性シリコーン組成物の混合粘度が、25℃で250Pa・s以下であり、
    前記(C)の前記オルガノポリシロキサンは、前記(A)、(B)、(D)とは異なるオルガノポリシロキサンである、
    熱伝導性シリコーン組成物。
  2. 前記熱伝導性シリコーン組成物は、(H)シラノール基含有ポリジメチルシロキサンをさらに含む、
    請求項1に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  3. 前記熱伝導性シリコーン組成物は、
    互いに分包された第1液および第2液を有し、使用時に前記第1液と前記第2液とを混合して熱伝導性シリコーン組成物とする2液型熱伝導性シリコーン組成物であって、
    前記第1液は、前記(A),(B),(D),(E)および(F)を含み、
    前記第2液は、前記(B),(C),(D),(F)を含み(E)を含まない、
    請求項1に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  4. 前記第1液および/または前記第2液は、(H)シラノール基含有ポリジメチルシロキサンをさらに含む、請求項3に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
  5. 前記熱伝導性シリコーン組成物は、
    前記第1液、前記第2液および前記熱伝導性シリコーン組成物のいずれも、下記ケーキング評価において凝集物が確認されない、請求項3または4に記載の熱伝導性シリコーン組成物。
    (ケーキング評価)
    ディスペンサーにて、0.03ccの吐出と待機時間0.20秒を繰り返し行い、材料1.0kgの吐出を行う。その後ディスペンサーを分解し凝集物がないかを目視確認する。
  6. 熱伝導性シリコーン組成物の製造方法であって、
    (A)25℃で粘度500mPa・s以上7,000mPa・s以下である、アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン1.0質量部以上9.0質量部以下、(B)25℃で粘度10,000mPa・s以上200,000mPa・s以下である、オルガノポリシロキサン0.05質量部以上1.0%質量部と、(D)25℃で粘度500mPa・s以下のアルケニル基を有しない無官能性のジオルガノポリシロキサンと、(E)付加触媒と、を混合し、次いで(F)金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物の中から選択される少なくとも1種または2種以上の熱伝導性フィラーを混合して第1液を得る、第1液製造工程と、
    (B)25℃で粘度10,000mPa・s以上200,000mPa・s以下である、オルガノポリシロキサン0.05質量部以上1.0質量部以下と、(C)1分子中にヒドロシリル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンと、(D)25℃で粘度500mPa・s以下のアルケニル基を有しない無官能性のジオルガノポリシロキサンと、を混合し、次いで(F)金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物の中から選択される少なくとも1種または2種以上の熱伝導性フィラーを混合して第2液を得る、第2液製造工程と、
    を含み、
    前記(C)の前記オルガノポリシロキサンは、前記(A)、(B)、(D)とは異なるオルガノポリシロキサンである、
    熱伝導性シリコーン組成物の製造方法。
  7. 前記第2液製造工程は、前記(F)成分を加える前に、(A)25℃で粘度500mPa・s以上7,000mPa・s以下である、アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン1.0質量部以上9.0質量部以下を他成分と混合する、
    請求項6に記載の熱伝導性シリコーン組成物の製造方法。
  8. 前記第1液製造工程および/または第2液製造工程は、前記(F)成分を加える前に、(H)シラノール基含有ポリジメチルシロキサンを他成分と混合する、
    請求項6または7に記載の熱伝導性シリコーン組成物の製造方法。
    熱伝導性部材の製造方法。
  9. 熱伝導性部材の製造方法であって、
    請求項3に記載の第1液を第1液貯留部から混合部へ吐出する工程と、
    請求項3に記載の第2液を第2液貯留部から前記混合部へ吐出する工程と、
    前記混合部で前記第1液と前記第2液とを混合して熱伝導性シリコーン組成物を得る工程と、
    前記熱伝導性シリコーン組成物を基材へ吐出して塗布する工程と、
    前記基材へ塗布された前記熱伝導性シリコーン組成物を硬化させて熱伝導性部材を得る工程と、を含む、
    熱伝導性部材の製造方法。
  10. 基材と、前記基材の表面に設けられる熱伝導性部材とを有する放熱性部材の製造方法であって、
    前記熱伝導性部材は、
    請求項1または2に記載の熱伝導性シリコーン組成物を硬化させて得られる熱伝導性部材、請求項6または7の熱伝導性シリコーン組成物の製造方法で得られる熱伝導性シリコーン組成物を硬化させて得られる熱伝導性部材、または請求項9の熱伝導性部材の製造方法で得られる熱伝導性部材である、
    放熱性部材の製造方法
  11. 放熱部材を有する電気機器または電子機器の製造方法であって、
    前記放熱部材は、請求項10に記載の放熱性部材の製造方法で得られる放熱部材である、
    電気機器または電子機器の製造方法。
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