JP7345466B2 - アンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する組成物およびデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療へのその使用 - Google Patents
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Description
<1>
ヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソンの5’末端から第36~56番目のヌクレオチドからなる配列に相補的な塩基配列からなるアンチセンスオリゴマーもしくはその医薬的に許容可能な塩又はその水和物を含有する、ヒト患者のデュシェンヌ型筋ジストロフィーを治療するための医薬組成物であって、
前記治療は、アンチセンスオリゴマーもしくはその医薬的に許容可能な塩又はその水和物が40mg/kg~80mg/kgで前記ヒト患者に週1回静脈内投与することを含む、前記医薬組成物。
<2>
前記アンチセンスオリゴマーもしくはその医薬的に許容可能な塩又はその水和物が、40mg/kgで前記ヒト患者に週1回静脈内投与される、前記<1>に記載の医薬組成物。
<3>
前記アンチセンスオリゴマーもしくはその医薬的に許容可能な塩又はその水和物が、80mg/kgで前記ヒト患者に週1回静脈内投与される、前記<1>に記載の医薬組成物。
<4>
前記ヒト患者が、ジストロフィン遺伝子にエクソン43-52、45-52、47-52、48-52、49-52、50-52または52からなる群より選択されるいずれかのエクソンが欠損した変異を有する、前記<1>に記載の医薬組成物。
<5>
前記ヒト患者における治療前のジストロフィンタンパク質の発現が、ウェスタンブロッティングまたは質量分析による測定で健常人の1%以下である、前記<1>に記載の医薬組成物
<6>
前記ヒト患者において、治療前にジストロフィンタンパク質の発現がみられない、前記<5>に記載の医薬組成物。
<7>
前記アンチセンスオリゴマーの塩基部分の配列が、配列番号3に示す配列からなる、前記<1>に記載の医薬組成物。
<8>
前記アンチセンスオリゴマーもしくはその医薬的に許容可能な塩又はその水和物が、Viltolarsen又はその同等品である、前記<1>に記載の医薬組成物。
<9>
前記アンチセンスオリゴマーもしくはその医薬的に許容可能な塩又はその水和物を2.5~500mg/mlまたは10~100mg/mlの濃度で含む、前記<1>に記載の医薬組成物。
<10>
前記アンチセンスオリゴマーもしくはその医薬的に許容可能な塩又はその水和物を25mg/mlの濃度で含む、前記<1>に記載の医薬組成物。
<11>
前記アンチセンスオリゴマーもしくはその医薬的に許容可能な塩又はその水和物を50mg/mlの濃度で含む、前記<1>に記載の医薬組成物。
<12>
等張化剤、pH調整剤及び溶媒からなる群より選択される少なくとも1つの成分をさらに含む、前記<1>に記載の医薬組成物。
<13>
前記等張化剤が塩化ナトリウム、塩化カリウム、グルコース、フルクトース、マルトース、スクロース、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース及びグリセリンからなる群より選択される少なくとも1つである、前記<12>に記載の医薬組成物。
<14>
前記pH調整剤が塩酸、水酸化ナトリウム、クエン酸、乳酸、リン酸塩(リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム)及びモノエタノールアミンからなる群より選択される少なくとも1つである、前記<12>または<13>に記載の医薬組成物。
<15>
前記溶媒が水である、前記<12>~<14>のいずれかに記載の医薬組成物。
<16>
2.5~500mg/mlまたは10~100mg/mlの濃度のアンチセンスオリゴマー、8~10mg/mlの濃度の塩化ナトリウムを含み、かつpHが7.2~7.4の水溶液である、前記<1>に記載の医薬組成物。
<17>
前記治療により、以下の(1)~(6)からなる群より選択される少なくとも1つの効果が生じる、前記<1>に記載の医薬組成物:
(1)患者の骨格筋におけるジストロフィンタンパク質発現量の平均値が、ベースラインと比較して、24週間の投与後に9倍以上に増加すること;
(2)立ち上がり時間(TTSTAND)から得られる速度の変化が、ベースラインと比較して、24週間の投与後25週時に-0.055回/秒以上であること;
(3)10メートル走行/歩行時間(TTRW)から得られる速度の変化が、ベースラインと比較して、24週間の投与後25週時に-0.025メートル/秒以上であること;
(4)4段階段昇り時間(TTCLIMB)から得られる速度の変化が、ベースラインと比較して、24週間の投与後25週時に-0.060回/秒以上であること;
(5)ノース・スター歩行能力評価(NSAA)のスコアの変化が、ベースラインと比較して、24週間の投与後25週時に-2.2スコア以上であること;及び
(6)6分間歩行試験(6MWT)の変化が、ベースラインと比較して、24週間の投与後25週時に-7.5メートル以上であること。
<18>
7~9歳のデュシェンヌ型筋ジストロフィーのヒト患者に前記治療を84週間行った場合に、以下の(1)~(6)からなる群より選択される少なくとも一つの効果が生じる、前記<1>に記載の医薬組成物:
(1)治療開始から第85週までに、立ち上がり能力を喪失する患者が20%未満であること;
(2)治療開始から第85週までに、4段階段昇りが出来なくなる患者が10%未満であること;
(3)治療開始から第85週までに、自立歩行能力を喪失する患者が10%未満であること;
(4)治療開始から第85週までに、10メートル走行/歩行の速度に加齢による減少がみられないこと;
(5)治療開始から第85週までに、4段階段昇りの速度に加齢による減少がみられないこと;
及び
(6)治療開始から第85週までに、立ち上がりの速度に加齢による減少がみられないこと。
<19>
10~12歳のデュシェンヌ型筋ジストロフィーのヒト患者に前記治療を84週間行った場合に、以下の(1)~(6)からなる群より選択される少なくとも一つの効果が生じる、前記<1>に記載の医薬組成物:
(1)治療開始から第85週までに、立ち上がり能力を喪失する患者が60%未満であること;
(2)治療開始から第85週までに、4段階段昇りが出来なくなる患者が50%未満であること;
(3)治療開始から第85週までに、自立歩行能力を喪失する患者が50%未満であること;
及び
(4)治療開始から第85週までに、10メートル走行/歩行の速度に加齢による減少がみられないこと。
(5)治療開始から第85週までに、4段階段昇りの速度が増加する時期がみられること;
及び
(6)治療開始から第85週までに、立ち上がりの速度が増加する時期がみられること。
<20>
ヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソンの5’末端から第36~56番目のヌクレオチドからなる配列に相補的な塩基配列からなるアンチセンスオリゴマー又はその医薬的に許容可能な塩若しくは水和物を含有する医薬組成物を、
前記アンチセンスオリゴマーもしくはその医薬的に許容可能な塩又はその水和物を40mg/kg~80mg/kgでヒト患者に週1回静脈内投与することを含む、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療方法。
<20-1>
前記治療方法により、請求項17に記載の少なくとも1つの効果、請求項18に記載の少なくとも1つの効果または請求項19に記載の少なくとも1つの効果が生じる、前記<20>に記載の治療方法。
<21>
ヒト患者のデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療方法に用いるためのヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソンの5’末端から第36~56番目のヌクレオチドからなる配列に相補的な塩基配列からなるアンチセンスオリゴマー又はその医薬的に許容可能な塩若しくは水和物であって、
前記アンチセンスオリゴマー又はその医薬的に許容可能な塩若しくは水和物が40mg/kg~80mg/kgで前記ヒト患者に週1回静脈内投与される、
前記アンチセンスオリゴマー又はその医薬的に許容可能な塩若しくは水和物。
<21-1>
前記投与により、請求項17に記載の少なくとも1つの効果、請求項18に記載の少なくとも1つの効果または請求項19に記載の少なくとも1つの効果が生じる、前記<21>に記載のアンチセンスオリゴマー又はその医薬的に許容可能な塩若しくは水和物。
<22>
ヒト患者のデュシェンヌ型筋ジストロフィーを治療するための医薬組成物の製造のためのヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソンの5’末端から第36~56番目のヌクレオチドからなる配列に相補的な塩基配列からなるアンチセンスオリゴマー又はその医薬的に許容可能な塩若しくは水和物の使用であって、
前記アンチセンスオリゴマー又はその医薬的に許容可能な塩若しくは水和物が40mg/kg~80mg/kgで前記ヒト患者に週1回静脈内投与される、
前記使用。
[1]:約40mg/kg/週の用量で被験者にNS-065/NCNP-01を静脈内投与する工程を含む、エクソン53スキッピングによる治療に適したデュシェンヌ型筋ジストロフィーを有する被験者を治療するための方法。
[2]:約80mg/kg/週の用量で被験者にNS-065/NCNP-01を静脈内投与する工程を含む、エクソン53スキッピングによる治療に適したデュシェンヌ型筋ジストロフィーを有する被験者を治療するための方法。
[3]:40mg/kg/週以上80mg/kg/週以下の用量で被験者にNS-065/NCNP-01を静脈内投与する工程を含む、エクソン53スキッピングによる治療に適したデュシェンヌ型筋ジストロフィーを有する被験者を治療するための方法。
[4]:投与されるものが、
2.5mg/mL以上500mg/mL以下の濃度のNS-065/NCNP-01;および
等張化剤として、8.55mg/mL以上9.45mg/mL以下の濃度の塩化ナトリウム
を含む水溶液であり、
当該水溶液が約7.3のpHを有する、[1]に記載の方法。
[5]:投与されるものが、
2.5mg/mL以上500mg/mL以下の濃度のNS-065/NCNP-01;および
等張化剤として、8.55mg/mL以上9.45mg/mL以下の濃度の塩化ナトリウム
を含む水溶液であり、
当該水溶液が約7.3のpHを有する、[2]に記載の方法。
[6]:投与されるものが、
2.5mg/mL以上500mg/mL以下の濃度のNS-065/NCNP-01;および
等張化剤として、8.55mg/mL以上9.45mg/mL以下の濃度の塩化ナトリウム
を含む水溶液であり、
当該水溶液が約7.3のpHを有する、[3]に記載の方法。
[7]:約40mg/kg/週の用量で被験者にNS-065/NCNP-01を静脈内投与する工程を含む、エクソン53スキッピングによる治療に適したデュシェンヌ型筋ジストロフィーを有する被験者において、ジストロフィンタンパク質産生を誘導するための方法。
[8]:約80mg/kg/週の用量で被験者にNS-065/NCNP-01を静脈内投与する工程を含む、エクソン53スキッピングによる治療に適したデュシェンヌ型筋ジストロフィーを有する被験者において、ジストロフィンタンパク質産生を誘導するための方法。
[9]:40mg/kg/週以上80mg/kg/週以下の用量で被験者にNS-065/NCNP-01を静脈内投与する工程を含む、エクソン53スキッピングによる治療に適したデュシェンヌ型筋ジストロフィーを有する被験者において、ジストロフィンタンパク質産生を誘導するための方法。
[10]:投与されるものが、
2.5mg/mL以上500mg/mL以下の濃度のNS-065/NCNP-01;および
等張化剤として、8.55mg/mL以上9.45mg/mL以下の濃度の塩化ナトリウム
を含む水溶液であり、
当該水溶液が約7.3のpHを有する、[7]に記載の方法。
[11]:投与されるものが、
2.5mg/mL以上500mg/mL以下の濃度のNS-065/NCNP-01;および
等張化剤として、8.55mg/mL以上9.45mg/mL以下の濃度の塩化ナトリウム
を含む水溶液であり、
当該水溶液が約7.3のpHを有する、[8]に記載の方法。
[12]:投与されるものが、
2.5mg/mL以上500mg/mL以下の濃度のNS-065/NCNP-01;および
等張化剤として、8.55mg/mL以上9.45mg/mL以下の濃度の塩化ナトリウム
を含む水溶液であり、
当該水溶液が約7.3のpHを有する、[9]に記載の方法。
上記[1]~[12]において、NS-065/NCNP-01(本明細書において、「Viltolarsen」ともいう)は、その同等品であってもよい。また、上記[1]~[12]において、被験者はヒト患者であってもよい。
なお、本明細書において引用した全ての文献、および公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込むものとする。また、本明細書は、2018年6月26日に出願された本願優先権主張の基礎となる米国仮特許出願(US62/690,270)及び2018年10月1日に出願された本願優先権主張の基礎となる米国仮特許出願(US62/739,386)の明細書及び図面に記載の内容を包含する。
本発明は、第一の形態として、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを治療するための医薬組成物を提供する。すなわち、本発明の医薬組成物は、ヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソンの5’末端から第36~56番目のヌクレオチドからなる配列に相補的な塩基配列からなるアンチセンスオリゴマー(以下、「本発明のオリゴマー」ともいう)もしくはその医薬的に許容可能な塩又はその水和物を含有する、ヒト患者のデュシェンヌ型筋ジストロフィーを治療するための医薬組成物であって、
前記治療はアンチセンスオリゴマーもしくはその医薬的に許容可能な塩又はその水和物が40mg/kg~80mg/kgで前記ヒト患者に週1回静脈内投与することを含む、前記医薬組成物を提供する。
本発明において、「遺伝子」には、ゲノム遺伝子以外に、cDNA、mRNA前駆体及びmRNAも含まれる。好ましくは、遺伝子は、mRNA前駆体、即ち、pre-mRNAである。
ヒトゲノムにおいて、ヒトジストロフィン遺伝子は遺伝子座Xp21.2に存在する。ヒトジストロフィン遺伝子は、3.0Mbpのサイズを有しており、既知のヒト遺伝子としては最大の遺伝子である。但し、ヒトジストロフィン遺伝子のコード領域はわずか14kbに過ぎず、該コード領域は79個のエクソンとしてジストロフィン遺伝子内に分散している(Roberts,RG.,et al.,Genomics,16:536-538(1993))。ヒトジストロフィン遺伝子の転写物であるpre-mRNAは、スプライシングを受けて14kbの成熟mRNAを生成する。ヒトの野生型ジストロフィン遺伝子の成熟mRNAの塩基配列は公知である(GenBank Accession No.NM_004006)。
ヒトの野生型ジストロフィン遺伝子のエクソン53の塩基配列を配列番号1に示す。
ここで、本発明のオリゴマーは、ヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピングにより、DMD型ジストロフィン遺伝子でコードされるタンパク質を、BMD型ジストロフィンタンパク質に改変することを目的として作製されたものである。したがって、本発明のオリゴマーのエクソンスキッピングの対象となるジストロフィン遺伝子のエクソン53には、野生型だけではなく、変異型も含まれる。
スキッピング効率は、ヒトジストロフィン遺伝子のmRNAを被検細胞から回収し、該mRNAのうち、エクソン53がスキップしたバンドのポリヌクレオチド量「A」と、エクソン53がスキップしなかったバンドのポリヌクレオチド量「B」を測定し、これら「A」及び「B」の測定値に基づき、以下の式に従って計算することができる。
スキッピング効率(%)=A/(A+B)×100
修飾ヌクレオチドとは、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドを構成する核酸塩基、糖部分、及びリン酸結合部分の全部又は一部が修飾されているものをいう。
糖のその他の部分の修飾としては、例えば、リボース又はデオキシリボースの4’位のOをSに置換したもの、糖の2’位と4’位を架橋したもの、例えば、LNA(Locked Nucleic Acid)又はENA(2’-O,4’-C-Ethylene-bridged Nucleic Acids)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Wは、以下のいずれかの式で表わされる基を表す。
R1は、H、アルキルを表し;
R2及びR3は、同一又は異なって、H、アルキル、シクロアルキル、又は、アリールを表し;
Y1は、0、S、CH2又はNR1を表し;
Y2は、0、S又はNR1を表し;
Zは、0又はSを表す。))
nは、1~99の範囲内にある任意の整数であり、好ましくは、18~28の範囲内にある任意の整数である。]
1)P.E.Nielsen,M.Egholm,R.H.Berg,O.Buchardt,Science,254,1497(1991)
2)M.Egholm,O.Buchardt,P.E.Nielsen,R.H.Berg,Jacs.,114,1895(1992)
3)K.L.Dueholm,M.Egholm,C.Behrens,L.Christensen,H.F.Hansen,T.Vulpius,K.H.Petersen,R.H.Berg,P.E.Nielsen,O.Buchardt,J.Org.Chem.,59,5767(1994)
4)L.Christensen,R.Fitzpatrick,B.Gildea,K.H.Petersen,H.F.Hansen,T.Koch,M.Egholm,O.Buchardt,P.E.Nielsen,J.Coull,R.H.Berg,J.Pept.Sci.,1,175(1995)
5)T.Koch,H.F.Hansen,P.Andersen,T.Larsen,H.G.Batz,K.Otteson,H.Orum,J.Pept.Res.,49,80(1997)
Viltolarsenとは、NS-065/NCNP-01の国際一般名(INN)である。本明細書において、NS-065/NCNP-01は、NS-065/NCNP-01、NS-065/NCNP-01(Viltolarsen)またはViltolarsenとも称される。
本発明の医薬組成物は、水溶液の形態にあってもよい。本発明の医薬組成物は、本発明のオリゴマーもしくはその医薬的に許容可能な塩又はその水和物を、2.5~500mg/ml、5~450mg/ml、10~400mg/ml、15~350mg/ml、20~300mg/ml、20~250mg/ml、20~200mg/ml、20~150mg/ml、20~100mg/ml、20~50mg/ml、20~40mg/ml、20~30mg/ml、23~27mg/ml、24~26mg/ml又は25mg/mlの濃度で含んでいてもよい。または、本発明の医薬組成物は、本発明のオリゴマーもしくはその医薬的に許容可能な塩又はその水和物を、10~100mg/ml、15~95mg/ml、20~80mg/ml、25~75mg/ml、30~70mg/ml、35~65mg/ml、40~60mg/ml、45~55mg/ml、47~53mg/ml、48~52mg/ml、49~51mg/ml、又は50mg/mlの濃度で含んでいてもよい。
本発明のオリゴマーは、広範囲のpHにおいて安定性を示すが、本発明の医薬組成物は、pHが7.0~7.5、7.0~7.4、7.1~7.5、7.1~7.4、7.2~7.5、7.2~7.4、7.3~7.5、7.3~7.4又は7.3に調整されていることが好ましい。
あるいは、本発明の医薬組成物は、25mg/mlの濃度の本発明のオリゴマーを含み、かつpHが7.3に調整され、緩衝剤を含まない水溶液であってもよい。この医薬組成物において、pHの調整は塩酸及び/又は水酸化ナトリウムを用いて行われる。
本発明の医薬組成物を治療に用いる場合、本発明のオリゴマーもしくはその医薬的に許容可能な塩又はその水和物が40mg/kg~80mg/kgでヒト患者に週1回静脈内投与される(以下、「本発明の用法・用量」という)。あるいは、本発明の用法・用量は、本発明のオリゴマーもしくはその医薬的に許容可能な塩又はその水和物が40mg/kgでヒト患者に週1回静脈内投与されるものであってもよい。または、本発明の用法・用量は、本発明のオリゴマーもしくはその医薬的に許容可能な塩又はその水和物が80mg/kgでヒト患者に週1回静脈内投与されるものであってもよい。ここで、用量の単位「mg/kg」において分子の「mg」は、本発明のオリゴマーもしくはその医薬的に許容可能な塩又はその水和物の量をミリグラムで表すものであり、分母の「kg」はヒト患者の体重1キログラムを表す。
DMDはジストロフィン遺伝子における機能喪失突然変異によって引き起こされる筋疾患であり、患者の筋肉におけるジストロフィンタンパク質の喪失をもたらす(Hoffmanら、1987)。ジストロフィン遺伝子はX染色体上にあり、高い自然突然変異率を示し、研究された全ての世界の集団において、DMDの発生率は生存出産された男性5,000人に1人である。最近の評価では、グローバル患者データベースで評価された7,149人のDMD患者の10.1%がエクソン53スキッピングによる治療に適していることが示された(Bladen et al.,2015)。臨床症状は典型的には若年就学時期(4~6歳まで)に呈され、罹患した男児は近位筋力低下(例えば、階段を登ることの困難性、または走ることの困難性)に起因して、同年齢の児童と身体的に対応することに困難性を示す。床からの立ち上がりの困難性は、典型的なGowerの動きを用いて立位を達成する患者のほとんどに見られる(すなわち、立位を達成するために脚、膝、および大腿に手支持を使用する)(Hoffman EP,Brown RH,and Kunkel LM.(1987).Dystrophin:the protein product of the Duchenne muscular dystrophy locus.Cell 51,919-928.およびBladen CL,Salgado D,Monges S,Foncuberta ME,Kekou K,Kosma K,Dawkins H,Lamont L,Roy AJ,Chamova T,Guergueltcheva V,Chan S,Korngut L,Campbell C,
Karcagi V,Garami M,Viswanathan V,Bayat F,Buccella F,Kimura E,Koeks Z,van den Bergen JC,Rodrigues M,Roxburgh R,Lusakowska A,Kostera-Pruszczyk A,Zimowski J,Santos R,Neagu E,Artemieva S,Rasic VM,Vojinovic D,Posada M,Bloetzer C,Jeannet PY,Joncourt F,Diaz-Manera J,Gallardo E,Karaduman AA,
Bellgard MI,Kirschner J,Flanigan KM,Straub V,Bushby K,Verschuuren J,Aartsma-Rus A,Beroud C,Lochmuller H.(2015).The TREAT-NMD DMD Global Database:analysis of more than 7,000 Duchenne muscular dystrophy mutations.Hum Mutat.36(4):395-402)。
DMDは重篤な遺伝性筋障害であるが、最も一般的にはジストロフィン遺伝子からの1つ以上のエクソンが欠失し、アウト・オブ・フレーム(Out of Frame)アミノ酸翻訳が生じることによって引き起こされる。これにより筋肉機能に重要な患者の機能性ジストロフィンタンパク質が発現されなくなる。より重症度の低い形態の障害であるベッカー筋ジストロフィー(BMD)は、ジストロフィン遺伝子中に1つ以上のエクソンが存在しないが、残りのエクソンがインフレームでアミノ酸翻訳される場合に最も一般的に生じる。BMD患者は一般に、疾患の進行が遅く、障害の程度が低い。DMD患者の医学的処置は一般に、四肢の筋肉における症状の発症を遅らせるためのグルココルチコイド処置や呼吸のサポートを含む。2018年2月のFDAの最終ガイダンス「Duchenne Muscular Dystrophy and Related Dystrophinopathies:Developing Drugs for Treatment Guidance for Industry.」(https://www.fda.gov/downloads/Drugs/GuidanceComplianceRegulatoryInformation/Guidances/UCM450229.pdf.にて入手可能)に示されているように、DMD患者には、重大なアンメットメディカルニーズが存在する。
ここで、「治療」とは、患者におけるDMDの症状を軽減することを意味する。
(1)患者の骨格筋におけるジストロフィンタンパク質発現量の平均値が、ベースラインと比較して、24週間の投与後に9倍以上に増加すること;
(2)立ち上がり時間(TTSTAND)から得られる速度の変化が、ベースラインと比較して、24週間の投与後25週時に-0.055回/秒以上または0.024±0.075秒以上であること;
(3)10メートル走行/歩行時間(TTRW)から得られる速度の変化が、ベースラインと比較して、24週間の投与後25週時に-0.025メートル/秒以上または0.227±0.251メートル/秒以上であること;
(4)4段階段昇り時間(TTCLIMB)から得られる速度の変化が、ベースラインと比較して、24週間の投与後25週時に-0.060回/秒以上または0.032±0.088回/秒以上であること;
(5)ノース・スター歩行能力評価(NSAA)のスコアの変化が、ベースラインと比較して、24週間の投与後25週時に-2.2スコア以上または0.8±2.9スコア以上であること;及び
(6)6分間歩行試験(6MWT)の変化が、ベースラインと比較して、24週間の投与後25週時に-7.5メートル以上または28.9±36.3メートル以上であること。
(7)治療開始から第85週までに、立ち上がり能力を喪失する患者が20%未満であること;
(8)治療開始から第85週までに、4段階段昇りが出来なくなる患者が10%未満であること;
(9)治療開始から第85週までに、自立歩行能力を喪失する患者が10%未満であること;
(10)治療開始から第85週までに、10メートル走行/歩行の速度に加齢による減少がみられないこと;
(11)治療開始から第85週までに、4段階段昇りの速度に加齢による減少がみられないこと;及び
(12)治療開始から第85週までに、立ち上がりの速度に加齢による減少がみられないこと。
上記(7)~(12)に係る効果は、治療を開始した週を第1週と定め、第1週~第85週まで、第1週~第80週まで、第1週~第75週まで、第1週~第70週まで、第1週~第65週まで、第1週~第60週までのいずれかの時点で生じてもよい。
(13)治療開始から第85週までに、立ち上がり能力を喪失する患者が60%未満であること;
(14)治療開始から第85週までに、4段階段昇りが出来なくなる患者が50%未満であること;
(15)治療開始から第85週までに、自立歩行能力を喪失する患者が50%未満であること;
及び
(16)治療開始から第85週までに、10メートル走行/歩行の速度に加齢による減少がみられないこと。
(17)治療開始から第85週までに、4段階段昇りの速度が増加する時期がみられること;及び
(18)治療開始から第85週までに、立ち上がりの速度が増加する時期がみられること。
上記(13)~(18)に係る効果は、治療を開始した週を第1週と定め、第1週~第85週まで、第1週~第80週まで、第1週~第75週まで、第1週~第70週まで、第1週~第65週まで、第1週~第60週までのいずれかの時点で生じてもよい。
本発明は、その第二の形態の形態において、
ヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソンの5’末端から第36~56番目のヌクレオチドからなる配列に相補的な塩基配列からなるアンチセンスオリゴマー又はその医薬的に許容可能な塩若しくは水和物を含有する医薬組成物を、
前記アンチセンスオリゴマーもしくはその医薬的に許容可能な塩又はその水和物を40mg/kg~80mg/kgで前記ヒト患者に週1回静脈内投与することを含む、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療方法(以下、「本発明の治療方法」という)を提供する。
本発明の治療方法に係る各構成の意味は、すでに項目「I.第一の形態」で本発明の医薬組成物に係る構成について説明したものと同一である。
また、本発明の治療方法は、項目「I.第一の形態」の副項目「5.治療理論」で説明した(1)~(18)に係る効果の少なくとも1つを生じ得る。
さらに、本発明は、その第三の形態の形態において、
ヒト患者のデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療方法に用いるためのヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソンの5’末端から第36~56番目のヌクレオチドからなる配列に相補的な塩基配列からなるアンチセンスオリゴマー又はその医薬的に許容可能な塩若しくは水和物であって、
前記アンチセンスオリゴマー又はその医薬的に許容可能な塩若しくは水和物が40mg/kg~80mg/kgで前記ヒト患者に週1回静脈内投与される、
前記アンチセンスオリゴマー又はその医薬的に許容可能な塩若しくは水和物(以下、「本発明の用途特定形態」という)を提供する。
本発明の用途特定形態に係る各構成の意味は、すでに項目「I.第一の形態」で本発明の医薬組成物に係る構成について説明したものと同一である。
また、本発明の用途特定形態は、項目「I.第一の形態」の副項目「5.治療理論」で説明した(1)~(18)に係る効果の少なくとも1つを生じ得る。
さらに、本発明は、その第四の形態の形態において、
ヒト患者のデュシェンヌ型筋ジストロフィーを治療するための医薬組成物の製造のためのヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソンの5’末端から第36~56番目のヌクレオチドからなる配列に相補的な塩基配列からなるアンチセンスオリゴマー又はその医薬的に許容可能な塩若しくは水和物の使用であって、
前記アンチセンスオリゴマー又はその医薬的に許容可能な塩若しくは水和物が40mg/kg~80mg/kgで前記ヒト患者に週1回静脈内投与される、
前記使用(以下、「本発明のスイスタイプ使用」という)を提供する。
本発明のスイスタイプ使用に係る各構成の意味は、すでに項目「I.第一の形態」で本発明の医薬組成物に係る構成について説明したものと同一である。
また、本発明のスイスタイプ使用は、項目「I.第一の形態」の副項目「5.治療理論」で説明した(1)~(18)に係る効果の少なくとも1つを生じ得る。
(1)アミノメチルポリスチレン樹脂に担持された4-{[(2S,6R)-6-(4-ベンズアミド-2-オキソピリミジン-1-イル)-4-トリチルモルホリン-2-イル]メトキシ}-4-オキソブタン酸の製造
工程1:4-{[(2S,6R)-6-(4-ベンズアミド-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-4-トリチルモルホリン-2-イル]メトキシ}-4-オキソブタン酸の製造
アルゴン雰囲気下、N-{1-[(2R,6S)-6-(ヒドロキシメチル)-4-トリチルモルホリン-2-イル]-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル}ベンズアミド22.0gと4-ジメチルアミノピリジン(4-DMAP)7.04gをジクロロメタン269mLに懸濁し、無水コハク酸5.76gを加え、室温で3時間撹拌した。反応液にメタノール40mLを加え、減圧濃縮した。残渣に酢酸エチルと0.5Mのリン酸二水素カリウム水溶液を用いて抽出操作を行った。得られた有機層を0.5Mのリン酸二水素カリウム水溶液、水、飽和食塩水の順で洗浄した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、25.9gの目的物を得た。
4-{[(2S,6R)-6-(4-ベンズアミド-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-4-トリチルモルホリン-2-イル]メトキシ}-4-オキソブタン酸23.5gをピリジン(脱水)336mLに溶解し、4-DMAP4.28g、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩40.3gを加えた。次いで、アミノメチルポリスチレン樹脂 1%DVB架橋(東京化成工業社製、A1543)25.0g、トリエチルアミン24mLを加え、室温で4日間振とうした。反応後、樹脂をろ取した。得られた樹脂をピリジン、メタノール、ジクロロメタンの順で洗浄し、減圧乾燥した。得られた樹脂にテトラヒドロフラン(脱水)150mL、無水酢酸15mL、2,6-ルチジン15mLを加え、室温で2時間振とうした。樹脂をろ取し、ピリジン、メタノール、ジクロロメタンの順で洗浄し、減圧乾燥し、33.7gの目的物を得た。
当該目的物のローディング量は、公知の方法を用いて、樹脂1g当たりのトリチルのモル量を409nmにおけるUV吸光度を測定することにより決定した。樹脂のローディング量は、397.4μmol/gであった。
機器:U-2910(日立製作所)
溶媒:メタンスルホン酸
波長:265nm
ε値:45000
PMO No.8は、エクソン53中の「第36~56番目」を標的配列としり、5’末端の基は「基(3)」であり、塩基部分の配列は配列番号3で表される。
アミノメチルポリスチレン樹脂に担持された4-{[(2S,6R)-6-(4-ベンズアミド-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-4-トリチルモルホリン-2-イル]メトキシ}-4-オキソブタン酸(参考例1)2g(800μmol)を反応槽に移し入れ、ジクロロメタン30mLを添加し、30分間静置した。さらに、ジクロロメタン30mLで2回洗浄した後、下記合成サイクルを開始した。標記化合物の塩基配列になるよう、各サイクルにおいて所望のモルホリノモノマー化合物を添加した。
得られた目的物を含有する水溶液を陰イオン交換樹脂カラムで精製した。使用した条件は下記のとおりである。
ESI―TOF―MS 計算値:6924.82
測定値:6923.54
第II相用量設定試験「NS-065/NCNP-01-201試験」が2016年12月に「IND127474」のもとに開始された。本試験はClinicalTrials.gov認識番号「NCT02740972」として「Safety and Dose Finding Study of NS-065/NCNP-01 in Boys With Duchenne Muscular Dystrophy(DMD)」の表題のもとに行われた。本試験の治験実施計画書は、https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT02740972から入手可能であり、その内容の全体が参考として援用される。本試験は、エクソン53スキッピングによる治療に適したデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者において、点滴静注として送達される高用量(80mg/kg)および低用量(40mg/kg)のNS-065/NCNP-01(Viltolarsen)の安全性を評価することを主な目的とした。また、忍容性、筋肉機能および筋力、薬物動態、および薬力学がさらなる目的として含まれた。
・実際の登録:16人の参加者。
・割付:無作為化。
・介入モデル:並列割り当て。
・マスキング:Quadruple(参加者、ケア提供者、治験責任医師、アウトカム評価者)。
・主要目的:治療。
・実際の試験開始日:2016年12月。
・初回完了日:2018年3月。
・実験:NS-065/NCNP-01(Viltolarsen) 40mg/kg
エクソン53スキッピングによる治療に適した遺伝子欠失を有するDMDが確認された6人の患者に、NS-065/NCNP-01(Viltolarsen) 40mg/kg用量を週1回24週間点滴静注した。
・実験:NS-065/NCNP-01(Viltolarsen) 80mg/kg
エクソン53スキッピングによる治療に適した遺伝子欠失を有するDMDが確認された6人の患者に、NS-065/NCNP-01(Viltolarsen) 80mg/kg用量を週1回24週間点滴静注した。
・プラセボ比較剤:プラセボ
各用量群の2人または3人の患者に、4週間、週に1回、点滴静注としてプラセボを投与し、その後、20週間のオープンラベル処置を行った。
・4歳以上、10歳未満の男性。
・エクソン53のスキッピング治療によるジストロフィンmRNAリーディングフレームの回復に適したジストロフィン遺伝子におけるDMD突然変異(単数または複数)を有することが確認されていること
・補助装置なしで独立して歩くことができること
・立ち上がるまでの時間、走る/歩くまでの時間、および評価を上昇させるまでの時間
・グルココルチコイドの少なくとも3ヵ月間の安定投与
・治験薬の初回投与前4週間以内の急性疾患。
・症候性心筋症の証拠。(調査時の無症候性心臓異常は除外せず)
・薬物療法に対する重度のアレルギーまたは過敏症
・治験責任医師の意見において、治験への参加を妨げる重篤な行動上または認知上の問題
・治験責任医師の意見による、安全性に影響を及ぼす可能性があるか、治療および追跡調査が正しく完了する見込みが低いか、または治験結果の評価を損うような、以前または進行中の病状、病歴、身体所見または臨床検査値異常
・現在または治験薬投与開始前3ヵ月以内に他の治験薬の服用。
・NS-065/NCNP-01(Viltolarsen)の最初の予想される投与前3ヶ月以内に手術を受けたか、または試験期間に外科手術を予定していた患者
・以前に本試験に参加した患者又はNS-065/NCNP-01(Viltolarsen)が投与されて以前に他の試験に参加していた患者
・NS-065/NCNP-01(Viltolarsen)注射液の低用量(40mg/kg/週)および高用量(80mg/kg/週)静脈内(IV)投与の安全性および忍容性
・治療の20~24週間後に筋肉におけるジストロフィンタンパク質の誘導をウェスタンブロットによって測定し、これをNS-065/NCNP-01(Viltolarsen)注射液の低および高IV用量の効果とした。
1.mRNA分析のためのリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT‐PCR)によって測定した筋肉におけるジストロフィンmRNAの誘導(タイムフレーム20~24週の処置)
RT-PCRはジストロフィンRNAの変化したスプライシングを測定する。この方法において、mRNAは凍結筋生検から単離され、cDNAに逆転写される。PCRプライマーはジストロフィンmRNA上のエクソン53部位に隣接して設計される。スプライシングされたジストロフィンmRNAの特定のバージョンに対応するRT-PCRバンドを、ゲル電気泳動によって可視化し、異なるmRNAアイソフォームの量を比較する。薬剤がRNA標的にうまく結合する場合、エクソン53は得られるmRNA転写物から除外される。
2.タンパク質分析のためのウェスタンブロットによって測定される筋肉で誘導されたジストロフィンタンパク質。(タイムフレーム:20~24週間の処置)
アウトカム測定1
アウトカム測定1(すなわち、de novoジストロフィンmRNAレベルのRT-PCR検出)について得られた結果は、以下のとおりである。
アウトカム測定2(すなわち、ウェスタンブロット法を用いた骨格筋におけるde novoジストロフィンタンパク質発現量の測定)について得られた結果は、ベースラインの平均値と治療中の平均値との間で比較して、ベースラインから19.0倍の増加(40mg/kg/週で24週間)および9.8倍の増加(80mg/kg/週で24週間)、ならびに各患者の増加率の平均値として計算して、27.2倍の増加(40および80mg/kg/週で24週間)を示した。得られたデータを以下の表8および図2に要約する。
(https://www.fda.gov/downloads/AdvisoryCommittees/CommitteesMeetingMaterials/PediatricAdvisoryCommittee/UCM557917.pdfより入手可能)
・eteplirsen ウェスタンブロッティング:3.1倍(0.3%から0.93%への変化)(30mg/kg/週、180週間)。(「短指伸筋(EDB)の生検からのウェスタンブロットではジストロフィンレベルは平均して正常値の約0.3%でしたが、その範囲は検出不能から正常値の約1%以上までであった。」「本出願人が使用した最も正確な定量的方法であるウェスタンブロット法では、eteplirsen処置から約3.5年後の平均ジストロフィンレベルは、健康被験者の0.93%±0.84%であった(平均±標準偏差))
(https://www.fda.gov/downloads/advisorycommittees/committeesmeetingmaterials/drugs/peripheralandcentralnervoussystemdrugsadvisorycommittee/ucm497063.pdf.より入手可能)
・eteplirsen ウェスタンブロット:180週で0.93%、範囲は0%~2.47%(30mg/kg/週、180週)であった(Kenji Rowel Q Lim,et al.,“Eteplirsen in the treatment of Duchenne muscular dystrophy.”Drug Des.Devel.Ther.,11:533-545(2017)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5338848/)。
・さらに、「eteplirsenについて180週目に実施された試験では、30mg/kgと50mg/kgの週投与量によるジストロフィン産生量に対する用量反応に差は見られなかった。このことはこのアプローチが他のエクソンについては有効ではない可能性を示唆する」(Kenji Rowel Q Lim,et al.,“Eteplirsen in the treatment of Duchenne muscular dystrophy.”Drug Des.Devel.Ther.,11:533-545(2017) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5338848/)
(http://investorrelations.sarepta.com/news-releases/news-release-details/sarepta-therapeutics-announces-positive-results-its-study.より入手可能)
・golodirsen ウェスタンブロット:最小0.09%、最大4.30%(30mg/kg/週で48週間。25例中2例で3%以上のジストロフィン値の上昇が認められた(22nd International Congress of the World Muscle Society(3-7 October 2017,St.Malo,France),
http://www.google.co.jp/url?sa=t&source=web&cd=2&ved=2ahUKEwid7ZTQ9OrbAhUETLwKHX3xDk8QFjABegQIARAB&url=http%3A%2F%2Finvestorrelations.sarepta.com%2Fstatic-files%2F64d8d897-2e4a-4119-80b4-115cbae17993&usg=AOvVaw1Amh1Mq1VauvLkPvYWfVdR)。
NS-065/NCNP-01(Viltolarsen)を高用量および低用量(40mg/kg/週および80mg/kg/週)を投与したDMD患者16例の安全性データについては、試験の実施、データの質、または参加者の安全性に大きな懸念はなかった。36週間の時点で治療を中止した参加者はいなかった。具体的には、重篤な有害事象はなく、中止に至った有害事象もなく、薬剤関連有害事象もなかった。すべての有害事象は軽度または中等度であった。
第II相用量設定試験「NS-065/NCNP-01-201試験」が2016年12月に「IND127474」のもとに開始された。本試験はClinicalTrials.gov認識番号「NCT02740972」として「Safety and Dose Finding Study of NS-065/NCNP-01 in Boys With Duchenne Muscular Dystrophy(DMD)」の表題のもとに行われた。本試験の治験実施計画書は、https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT02740972で入手可能であり、その内容の全体が参考として援用される。本試験は、エクソン53スキッピングによる治療に適したデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者において、点滴静注として送達される高用量(80mg/kg)および低用量(40mg/kg)のNS-065/NCNP-01(Viltolarsen)の安全性を評価することを主な目的とした。また、忍容性、筋肉機能および筋力、薬物動態、および薬力学が更なる目的として含まれた。
より具体的には、第II相多施設2期間無作為化プラセボ対照用量設定試験であり、DMDの4歳以上10歳未満の外来男児にNS-065/NCNP-01(Viltolarsen)を週1回24週間点滴投与した。2つの用量レベルコホートを含めた。期間1は、二重盲検様式で試験した。患者は無作為にNS-065/NCNP-01(Viltolarsen)またはプラセボを、参加の最初の4週間(期間1)週1回点滴静注され、次いでNS-065/NCNP-01(Viltolarsen)を、5~24週間(20週間の実薬治療-期間2)点滴静注された。40mg/kg用量コホートの期間1からの安全性データの分析は、80mg/kg用量コホートに患者を登録する前に完了した。24週間の試験を完了した患者は、非盲検延長試験を受けることができた。
・実際の登録:16人の参加者。
・割付:無作為化。
・介入モデル:並列割り当て。
・マスキング:Quadruple(参加者、ケア提供者、治験責任医師、アウトカム評価者)。
・主な目的:治療。
・実際の試験開始日:2016年12月。
・初回完了日:2018年3月。
・実験:NS-065/NCNP-01(Viltolarsen) 40mg/kg
エクソン53スキッピングによる治療に適した遺伝子欠失を有するDMDが確認された6人の患者に、NS-065/NCNP-01(Viltolarsen) 40mg/kg用量を週1回24週間点滴静注した。
・実験:NS-065/NCNP-01(Viltolarsen) 80mg/kg
エクソン53スキッピングによる治療に適した遺伝子欠失を有するDMDが確認された5人の患者に、NS-065/NCNP-01(Viltolarsen) 80mg/kg用量を週1回24週間点滴静注した。
・プラセボ比較剤:プラセボ
40mg/kg用量群の2人の患者および80mg/kg用量群の3人の患者に、4週間、週に1回、点滴静注としてプラセボを投与し、その後、20週間のオープンラベル処置を行った。
・同意時に4歳以上であり、初回点滴静注時に10歳未満の男性。
・エクソン53のスキッピング治療によるジストロフィンmRNAリーディングフレームの回復に適したジストロフィン遺伝子におけるDMD突然変異(単数または複数)を有することが確認されていること。
・補助装置なしで独立して歩くことができること
・運動機能評価者が立ち上がり時間(TSTAND)、10メートル走行/歩行時間(TTRW)、および4段階段昇り時間(TTCLIMB)の評価を実施可能と判断した患者
・グルココルチコイドの少なくとも3ヵ月間の安定投与
・治験薬の初回投与前4週間以内の急性疾患。
・症候性心筋症の証拠(調査時の無症候性心臓異常は除外せず)
・薬物療法に対する重度のアレルギーまたは過敏症
・治験責任医師の意見において、治験への参加を妨げる重篤な行動上または認知上の問題
・治験責任医師の意見による、安全性に影響を及ぼす可能性があるか、治療および追跡調査が正しく完了する見込みが低いか、または治験結果の評価を損うような、以前または進行中の病状、病歴、身体所見または臨床検査値異
・現在または治験薬投与開始前3ヵ月以内に他の治験薬の服用
・NS-065/NCNP-01(Viltolarsen)の最初の予想される投与前3ヶ月以内に手術を受けたか、または試験期間に外科手術を予定していた患者
・以前に本試験に参加した患者又はNS-065/NCNP-01(Viltolarsen)が投与された他の試験に参加していた患者
・NS-065/NCNP-01(Viltolarsen)注射液250mgの低用量(40mg/kg/週)および高用量(80mg/kg/週)静脈内(IV)投与の安全性および忍容性
・治療の20~24週間後に筋肉におけるジストロフィンタンパク質の誘導をウェスタンブロットによって測定し、これをNS-065/NCNP-01(Viltolarsen)注射液250mgの低および高IV用量の効果とした。
・NS-065/NCNP-01(Viltolarsen)の血中薬物濃度
・NS-065/NCNP-01(Viltolarsen)注射液250mgの低用量および高用量静注が、20~24週間の治療後に筋肉中のジストロフィンmRNAおよびタンパク質の誘導に及ぼす効果を、RT-PCR法によるmRNA分析、並びに免疫蛍光染色及び質量分析法によるタンパク質分析で測定することにより評価する。
・NS-065/NCNP-01(Viltolarsen)注射液250mgの低用量および高用量の静脈内投与が、20~24週間の治療後に筋力、可動性、および機能的運動能力に及ぼす影響を調べるために、立ち上がり時間(TSTAND)、10メートル走行/歩行時間(TTRW)、4段階段昇り時間(TTCLIMB)、ノース・スター歩行能力評価(NSAA)、6分間歩行試験(6MWT)、および定量的筋肉試験(QMT)を対応する自然歴対照群との比較において測定した。
米国/カナダ第2相試験NS-065/NCNP-01-201に登録された患者を、ベースライン、13週目、および25週目に筋肉機能について臨床的に評価した。本試験の目的において4週間のプラセボ期間について補正は行っていない。これらの評価にはいくつかのタイプの時間機能検査が含まれた:仰臥位からの立ち上がり時間(TTSTAND);10メートル走行/歩行時間(TTRW);4段階段昇り時間(TTCLIMB);6分間歩行試験(6MWT);およびノース・スター歩行能力評価(NSAA)。経時変化を、CINRG DNHSで試験した対応する患者における疾患軌跡と比較した。
・ベースライン時の年齢が4歳から10.5歳未満の男児。
・12ヵ月以上の時間機能テストデータを有する患者。
・地域:北米(米国、カナダ)。
・ステロイドが少なくとも3ヵ月間投与されており、12/24ヵ月の観察期間を通じてステロイドを持続投与されること
・別の臨床試験への不参加
時間機能検査はTTSTAND,TTRW,TTCLIMB,6MWTであった。TSTANDおよびTTRWは、別個の評価項目として事前に特定され、時間および6点満点評価のスケールに基づいて評価された。TSTANDおよびTTRWはNSAAの構成項目でもある。したがって、それらを1回測定してそのデータを独立型エンドポイントとして用い、さらに組み合わせてNSAA試験の一部として使用した。TSTANDおよびTTRWは、組み合わされたNSAAスケールとの関係について以下でさらに説明される。TTCLIMBを用いて、患者が4段階段を昇るのに要した時間(秒)を評価した。上記「米国/カナダ第2相試験」に記載された臨床プロトコルでは、TTCLIMB試験がNSAAの一部として実施したと誤って記載されていることに留意すべきである。
・ハンドグリップ。
・肘屈筋(二頭筋)。
・肘伸筋(三頭筋)。
・膝屈筋(ハムストリング)。
・膝伸筋(四頭筋)。
NSAAは、本来は少なくとも10メートルの歩行が可能なDMDを患う男児のために設計され、臨床医の採点による17項目からなる機能評価系である(E.S.Mazzone,S.Messina,G.Vasco,M.Main,M.Eagle,A.D’Amico,L.Doglio,L.Politano,F.Cavallaro,S.Frosini,L.Bello,F.Magri,A.Corlatti,E.Zucchini,B.Brancalion,F.Rossi,M.Ferretti,M.G.Motta,M.R.Cecio,A.Berardinelli,P.Alfieri,T.Mongini,A.Pini,G.Astrea,R.Battini,G.Comi,E.Pegoraro,L.Morandi,M.Pane,C.Angelini,C.Bruno,M.Villanova,G.Vita,M.A.Donati,E.Bertini,and E.Mercuri,“Reliability of the North Star Ambulatory Assessment in a multicentric setting,”Neuromuscular Disorders,Vol.19,Issue 7,pp.458-461,Jul 2009,Elsevier B.V.)。この評価ツールは立ち上がり、フロアからの起き上がり、決められたステップ、ホッピング、およびランニングを含む機能的活動を評価する。評価は、2=試験内容を正常に実行する能力;1=修正された方法または補助があれば試験内容を実行することができる;および0=試験を実行することができない、という3点評価尺度に基づく。したがって、総スコアは、これらの評価において、0(完全に歩行不能)から34(障害なし)までの範囲となり得る。個々の試験項目のスコアと合計スコアを記録した。TSTANDおよびTTRWはNSAAの一部として実行した。
・TTSTANDはDMD患者の標準的な臨床検査として行われるルーチン試験である。この試験では、患者が床に平らに横たわることから立つことまでに要した時間を用いて評価する。試験を実行するのに必要な秒数と、および患者がどのように立位に達したかを6点満点で評価した点数を記録した。
・TTRWを用いて、患者が10メートル歩行/走行するのに要した時間(秒単位)を評価した(走行/歩行の質についての6点満点評価スケールを含む)。
高用量および低用量のNS-065/NCNP-01(Viltolarsen)(40mg/kg/週または80mg/kg/週)を投与したDMD患者16例の安全性データについては、試験の実施、データの質、または参加者の安全性に大きな懸念はなかった。48週間の時点で治療を中止した参加者はいなかった。具体的には、NS-065/NCNP-01(Viltolarsen)の投与中止又は減量を要したTEAE(治療時に発現した有害事象)は認められなかった。すべての有害事象(有害事象)は軽度または中等度であった。
(ア)pH安定性評価(1)
溶液の液性とViltolarsenの安定性との関係を調べるため、ブリットン-ロビンソン(Britton-Robinson)緩衝液(pH3,4,5,6,7,8,9,10または11)を用いて、各種pH溶液中でのViltolarsenの安定性を評価した。
薬液濃度:Viltolarsen 2mg/mL
溶解液 :ブリットン-ロビンソン緩衝液(pH3,4,5,6,7,8,9,10または11)
保存条件:(1)121℃(オートクレーブ処理)で10,30または60分;あるいは
(2)80℃恒温器中で4または7日
エンドポイント:外観(目視確認)、pH(pH計)、純度試験(HPLC法)、回収率(残存率)(HPLC法)
HPLC条件:
流量:毎分1.0mL
検出器:市外吸光光度計(測定波長:264nm)
カラム:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に3.5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填した(Waters,X-bridge C18)。
カラム温度:60℃
移動相:
・リン酸水素二ナトリウム1.42gを水約750mLに溶かし、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH12.0に調製した後、水を加えて1000mLとした(P液)。
・P液700mLにアセトニトリル300mLを加え、臭化テトラブチルアンモニウム16.12gを溶かした(移動相A)。
・P液300mLにアセトニトリル300mLを加え、臭化テトラブチルアンモニウム9.67gを溶かした(移動相B)。
・移動相の送液:移動相A/B(100vol%/0vol%)から(0vol%/100vol%)へ30分かけて変更した。
本実施例および以下の実施例において、純度試験の値として、不純物を含む検出された全ピークの面積の合計を100とした場合のViltolarsenの主ピークの面積の百分率(主ピーク面百(%))を表す。
試験結果を表10及び図5に示す。「ST」とは、同じ薬液濃度で精製水に希釈したViltolarsen水溶液であり、試験時にその都度調製した(保存は行っていない)。その結果、Viltolarsenは、酸性領域の溶液中では不安定であったが、中性~弱アルカリ性の溶液中では比較的安定であった。
Viltolarsenの安定なpH領域を更に詳細に調べるため、リン酸カリウム-ホウ砂緩衝液(pH6.0,6.5,7.0,7.5,8.0,8.5,9.0または9.2)を用いて、pH6~9の各種pH溶液中でのViltolarsenの安定性を評価した。
薬液濃度:Viltolarsen 2mg/mL
溶解液 :リン酸カリウム-ホウ砂緩衝液(pH6.0,6.5,7.0,7.5,8.0,8.5,9.0または9.2)
保存条件:(1)121℃(オートクレーブ処理)で10,30または60分;あるいは
(2)80℃恒温器中で1,4,7または14日
エンドポイント:外観(目視確認)、pH(pH計)、純度試験(HPLC法)、回収率(残存率)(HPLC法)
HPLC条件:
カラム温度を50℃とした以外は(ア)に同じ。
試験結果を表11及び図6に示す。その結果、ViltolarsenはpH7~7.5の溶液中で最も安定であった。
本実施例は、Viltolarsen注射液を安定なpH域(pH7~7.5)へ調整するためのpH調整剤を選択することを目的とする。各種pH調整剤(10mM KH2PO4、10mM Na2HPO4、10mM KH2PO4-Na2HPO4または100mM KH2PO4-Na2HPO4)を添加して安定pHに調整した10mg/mL Viltolarsen溶液の安定性を評価した。
薬液濃度:Viltolarsen 10mg/mL
薬液処方:下記表12のとおり
保存条件:121℃(オートクレーブ処理)で30~60分まで
エンドポイント:外観(目視確認)、pH(pH計)、純度試験(HPLC法)、回収率(残存率)(HPLC法)
試験結果を表13並びに図7に示す。その結果、Viltolarsenは、緩衝剤なしの場合であってもリン酸緩衝剤ありの場合と同等以上に安定であった。特に、高濃度のリン酸緩衝液(本実施例では100mM KH2PO4-Na2HPO4)中よりも安定であった。
Viltolarsenは、保存条件によっては多量体が形成し、単量体の純度が低下することがある。本実施例において、等張化剤として塩化ナトリウムを0.9添加した50mg/mLのViltolarsen薬液に、さらに各種緩衝剤を添加したときの多量体の生成を測定した。
薬液濃度:Viltolarsen 50mg/mL
保存条件:60℃恒温器中で5日まで
エンドポイント:多量体(HPLC法、SECカラム)
分析条件:
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:260nm)
カラム:内径7.8mm、長さ30cmのステンレス管に7μmの液体クロマトグラフィー用スチレン系ビニルポリマーゲルを充填し、そのカラム2本を直列に接続した(TSK gel G3000 PWXL、7μm、7.8mm×30cm、東ソー)。
カラム温度:25°C
移動相:リン酸二水素ナトリウム二水和物15.6gを水750mLに溶かし、水酸化ナトリウム試液を加えてpHを7.3に調整した後、水を加えて1000mLとした。この液800mLにアセトニトリル200mLを加えた。
流量:Viltolarsenの単量体の保持時間が約21分になるように調整した。
面積測定範囲:Viltolarsenの単量体のピークまでの範囲
試験結果を表14に示す。その結果、50mMリン酸緩衝液(リン酸二水素ナトリウム・二水和物-リン酸水素二ナトリウム:NaH2PO4・2H2O-Na2HPO4)やクエン酸緩衝液(クエン酸三ナトリウム・二水和物)を添加することにより、多量体の生成が増加した。
注射液の高濃度化の検討を実施した。
薬液 :下記の2種類
試験結果を表16に示す。100mg/mLのViltolarsen注射液を調製したところ、溶解性や滅菌フィルターによるろ過に問題はなく、無色澄明の溶液となった。冷所保存後は粘性が出たものの外観に変化はなかった。以上のことから、100mg/mLの注射液は調製可能であることがわかった。
50mg/mLの薬液の溶解性を評価した。薬液を調製し、溶解性や滅菌フィルターによるろ過を行った。
薬液 :
エンドポイント :外観(目視確認)、pH(pH計)、純度試験(HPLC法)、定量(HPLC法)
試験結果を表18に示す。その結果、50mg/mLは無色澄明の溶液となり、ろ過前後での含量に変化はなかった。以上のことから、50mg/mLの注射液は調製可能であり、スケールアップも問題なかった
[実施例8]
ジストロフィンタンパク質の質量分析による定量
(実験方法)
概要:生物学的分析法
サンプルはSDS-PAGE電気泳動によってタンパク質の分離を行い、ゲル内にてトリプシンによる酵素消化を行って、ペプチド断片とした。ペプチド断片をゲル片から抽出し、乾燥させた。ペプチドを再溶解し、逆相カラムによるHPLC-MS/MSでのジストロフィンタンパク質の同定と定量を行った。検量線の範囲は、正常コントロールのジストロフィンタンパク質量を100%とした場合の1%~25%であり、濃度は標準化タンパク質にフィラミンCを用いて、ピーク面積比から算出した。回帰式には最小2乗法を用い、y=mx+b(y:ピーク面積比、x:%ジストロフィン)の式を得た。
LC-MS/MS分析で測定するサンプルは、SDS-PAGE(SDS:ドジデル硫酸ナトリウム、PAGE:ポリアクリルアミド電気泳動)し、分子量によるタンパク質の分離を行い、ゲル内消化にて得た。各ゲルは標準曲線を構成する検量体(0.0%,1.0%,3.0%,10.0%,25.0%ジストロフィン)、安定同位体標識アミノ酸を加えて培養したヒト筋管細胞から抽出したタンパク質(SILAC)12.5μg、blank、臨床試験4サンプルの合計11サンプルで構成した。ゲルには12レーンあり、残り1レーンは分子量マーカーに用いた。検量体は5種類の非DMD筋生検、2種類のDMD筋生検からのタンパク質抽出液を混合して作製した。DMD筋生検はBinghamton大から入手し、倫理審査を終えている。本実施例に先立ち、Western Blotにより、各筋生検のジストロフィン量を予め測定しておいた。凍結切片作製装置により筋生検から厚さ10μmの連続切片70枚を得た。筋切片は予めドライアイス上で冷やしてあったマイクロチューブに移した。Thermo Scientific社のプロテアーゼとホスファターゼ阻害剤を加えたRIPAバッファーを用いて、筋切片よりタンパク質を抽出した。抽出液のタンパク質濃度は、BCAprotein assay kit(Pierce)を用いて定量した。電気泳動に供するサンプルは、各サンプルが50μgのタンパク質を含むようにし、SILACを12.5μg添加して調整した。検量体と臨床サンプルには%ジストロフィンを求める際の内部標準として、SILAC抽出液を加えている。NuPAGE3-8% Tris-Acetateゲルを用いて150V 75分間の電気泳動を行った。ゲル泳動は同一のサンプルに対して2枚のゲル(ゲルAとゲルB)を用い、duplicateで実施した。電気泳動を終えたゲルはメタノール:水:酢酸(50:45:5)にて30分間の固定をし、水に交換し再水和を2回行った。クマシーブルー染色を1時間行った。ゲルの脱色は4℃下で一晩行った。分子量マーカーで460kDaから268kDaの範囲のジストロフィンタンパク質が存在するゲルを切出し、水:アセトニトリル(50:50)で2度洗浄した。トリプシン(Gold mass spectrometry grade,Promega Corporation)を用いてゲル内消化し、ペプチド断片を得て、減圧遠心にて乾燥した。ジストロフィンのペプチド断片は、-80℃で保管しておき、Q Exactive Nano-LC-MS/MSでの分析に用いた。
臨床試験に参加した患者は16名で、各患者から投与前後の筋生検を得た。32検体からduplicateのため64サンプルの分析を行った。また、4検体のduplicateとなる8サンプルは再分析を実施したので、合計72サンプルを分析した。
高速液体クロマトグラフィーシステムDionex Ultimate 3000 RSLCnano(ThermoFisher Scientific)と質量分析装置Q Exactive Plus(HBMS:High Resolution Mass Spectrometer)(ThermoFisher Scientific)を組合せた液体クロマトグラフィー質量分析法(LC-MS/MS)により、得られたペプチド断片を分析した。
乾燥ペプチド断片は2%アセトニトリル(ACN)+0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を用いて再溶解した。LC-MS/MSへの試料導入にはインジェクションループ5μL Dinoex nanoViper sample loop(ThermoFisher Scientific)を使用した。
分析カラム:逆相カラムAcclaim Pepmap RSLC C18 15cm×75μm、粒子径3μm、EASY SPRAY(Thermo Fisher)
分析カラム温度:50℃
移動相A:1%ギ酸(HCOOH)、移動相B:0.1%ギ酸ACN
流速:0.500μL/min(NC)
試料注入モード:Partial loop(loop size 5μL)
試料注入量:1.00‐4.00μL
オートサンプラー温度:10℃
実行時間:40.00分
イオン源:Thermo Fisher EASY-Spray
イオンモード:陽イオン
スキャン:並列反応モニタリング
クロムピーク幅(半値全幅):10秒
最小総サイクル時間:40分
分解能:17,500
自動利得制御(Automatic Gain Control)ターゲット:1e5
最大試料注入時間:50ミリ秒
四重極型質量検出器分離幅:1.0m/z単位
スペクトラムデータ:プロファイル
Mass許容範囲:10ppm
Typical Tunable Parameters(Dystrophin Tune File)
Spray Voltage:1.8kV
Capillary Temperature:275℃
S-Lens RF-Level:70
ジストロフィンとフィラミンCのピーク面積はプロダクトイオンに一致するピーク面積を合計することで計算した。ジストロフィンのピーク面積は、ジストロフィンの1種類のペプチド断片(DYST2アミノ酸配列:IFLTEQPLEGLEK(配列番号4))から得た。フィラミンCのピーク面積は、フィラミンCの2種類のペプチド断片(FILC1アミノ酸配列:VAVGQEQAFSVNTR(配列番号6)、FILC2アミノ酸配列:SPFVVNVAPPLDLSK(配列番号8))の平均値とした。
分析した各サンプルの%ジストロフィンは事前に規定した合否基準により、採択を決定した。測定した72サンプルのうち、60サンプルが基準を満たした。測定結果を表25及び26に示す。各検体はduplicateのサンプルを用いて試験を行っているが、40mg/kg投与群の2患者(表25の患者E及びF)から得られた投与前後4検体については、一方のサンプル(ゲルB)が基準を満たさなかったので、得られた測定値は1サンプル(ゲルA)からの1つのみとなった。すなわち、40mg/kg投与群では投与前の8検体16サンプルのうち14サンプルを測定できた。1サンプルが1%を示し、11サンプルは定量限界以下であった。また、25週時の8検体16サンプルのうち14サンプルを測定できた。1検体が2回の測定ともに定量限界以下となった他は、1%以上のジストロフィンが検出された。
80mg/kg投与群では投与前の8検体16サンプル全てが定量限界未満となった。また、25週時の8検体16サンプルでは、全てのサンプルにおいて定量限界以上のジストロフィンが検出され、平均で4.2%であった。
以上からViltolarsenの40mg/kgおよび80mg/kgの投与によってジストロフィンタンパク質の発現が回復することが確認された。
運動機能試験(13、25週時(初回投与から12、24週経過時))
(実験方法)
本剤群の運動機能評価を、自然歴群を対照として比較した。自然歴群は米国の筋ジストロフィーの臨床試験ネットワークであるcooperative international neuromuscular research group(CINRG)が実施したDuchenne natural history study(CINRG DNHS)と呼ばれる研究から、ベースライン時のデータに基づき選択した。
CINRG DNHSは男性440名のDMD患者を対象とした縦断的自然歴研究であり、2006年から2016年のデータを収集し、ベースライン時、1年目に4回、2年目に2回、その後年1回、最長10年間来院することとしていた。各来院時には時間機能検査、筋力検査、アンケートによる機能検査、肺機能検査、生活の質の評価が実施された。201試験はCINRGに所属する施設によって実施され、標準操作手順書(SOP)及び臨床評価者訓練手順書は両試験間で一致させた。
・最低12ヵ月の時間機能検査データがある[ベースライン時の立ち上がり時間(TTSTAND)、4段階段昇り時間(TTCLIMB)及び10m歩行/走行時間(TTRW)のデータが必要]。
・ベースライン時に4歳から10歳未満
・北アメリカ(米国又はカナダ)
・コルチコステロイドを最低3ヵ月間投与し、12-24ヵ月の観察期間を通して継続して使用している。
・他のエクソンスキップ薬の臨床試験に同時に登録していない。
・下記の遺伝的適格性基準を満たす。
(選択基準):
遺伝子検査結果がある患者
重複変異をもつ患者
ナンセンス変異又はフレームシフトを引き起こす微小変異をもつ患者
(除外基準):
プロモーターからエクソン8の間に変異がある患者(病状の進行が遅いとの報告(1)Hum Mutat.2018;39:1193-1202及び(2)Hum Mutat.2008;29(5):728-37があることから除外した)
エクソン44スキッピングによる治療に適した患者(病状の進行が遅いとの報告(1)があることから除外した)
インフレーム変異をもつ患者
Viltolarsenの治療を受けた被験者(Viltolarsen投与群)16例とCINRG DNHSの自然歴群(DNHS群)65例における、13週時と25週時における投与前もしくはベースラインからの時間機能検査[6分間歩行試験(6MWT)、立ち上がり時間(TTSTAND)の速度、4段階段昇り時間(TTCLIMB)の速度、10メートル走行/歩行時間(TTRW)の速度]とノース・スター歩行能力評価(NSAA)の変化を比較した。
本実施例で使用している解析方法では、「投与前値」またはベースラインを結果に影響を与える背景因子である共変量とし、13週時と25週時のデータを特定の被験者で繰り返し測定された値(repeated measures)として用いMMRM解析を行った。その結果、6分間歩行距離及び10メートル走行/歩行時間の速度で本実施例のViltolarsen投与群の方が有意に改善していた。また、その他の全ての運動機能試験においても本剤群の方が自然歴の経過より改善していた。
運動機能試験(85週時(初回投与から84週経過時)まで)
(実験方法)
時間機能検査[6分間歩行試験(6MWT)、立ち上がり時間(TTSTAND)、4段階段昇り時間(TTCLIMB)、10メートル走行/歩行時間(TTRW)]とノース・スター歩行能力評価(NSAA)は、初回投与1週間前と、初回投与時(1週時)から12週が経過する時点毎(13,25,37,49,61,73,85週時)に測定した。201試験はCINRGに所属する施設によって実施され、運動機能試験はCINRGのDNHSで用いられた標準操作手順書(SOP)及び臨床評価者訓練手順書に一致させて行われた。被験者が子供であることもあり、試験実施への興味が持続しない等の理由で、試験によっては実施できない項目があった。
結果を図9~図16に示す。ノース・スター歩行能力評価では、Viltolarsen投与群の5歳以上の多くの患者においてスコアが維持もしくは向上した。イタリアとイギリスの自然歴データを元に、臨床試験のような患者エントリー基準を設けて1,2年後のNSAAスコアの変化を研究した文献によると、エクソン53スキッピング対象治療患者の1年間の平均変化量は-4.1ポイントであった(J Neurol Neurosurg Psychicary 87,149-55,2016)。文献のエントリー基準に一致するViltolarsen投与群の患者の48週経過時の変化量は+1.3ポイントであった。DHNSの結果を報告した文献(Muscle Nerve 48,55-67,2013)において7歳から9歳のDMD患者のうち20%が立ち上がり能力を喪失するが、Viltolarsen投与群では該当する患者はいなかった。7歳から9歳のDMD患者のうち10%は4段階段昇りが出来なくなるが、Viltolarsen投与群では該当する患者はいなかった。速度は、加齢とともに減少していくが、Viltolarsen投与群では全体としては速度の上昇が見られた。7歳から9歳のDMD患者のうち10%は自立歩行能力を喪失するが、NSPでは該当する患者はいなかった。また10メートル走行/歩行時間の速度は、加齢とともに減少していくが、Viltolarsen投与群では全体としては速度の上昇が見られた。WBによるジストロフィン定量値のベースラインからのジストロフィン発現量の変化と立ち上がり時間試験、4段階段昇り試験、10m歩行/走行試験のベースラインからの48週間での速度変化について、相関の有無と直線回帰式をExcelにて計算した。立ち上がり時間試験と10メートル走行/歩行試験に関しては、ジストロフィン発現量と速度変化において有意な相関関係があり(P<0.05)、ジストロフィンの増加に伴い運動機能の速度変化が上昇することが示唆された。
Claims (23)
- ヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソンの5’末端から第36~56番目のヌクレオチドからなる配列に相補的な塩基配列からなるアンチセンスオリゴマーもしくはその医薬的に許容可能な塩又はその水和物を含有する、ヒト患者のデュシェンヌ型筋ジストロフィーを治療するための医薬組成物であって、
前記アンチセンスオリゴマーはViltolarsenであり、
前記治療は、前記Viltolarsenが40mg/kg~80mg/kgで前記ヒト患者に週1回静脈内投与されることを含む、前記医薬組成物。 - 前記Viltolarsenが、40mg/kgで前記ヒト患者に週1回静脈内投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
- 前記Viltolarsenが、80mg/kgで前記ヒト患者に週1回静脈内投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
- 前記ヒト患者が、ジストロフィン遺伝子にエクソン43-52、45-52、47-52、48-52、49-52、50-52または52からなる群より選択されるいずれかのエクソンが欠損した変異を有する、請求項1に記載の医薬組成物。
- 前記ヒト患者における治療前のジストロフィンタンパク質の発現が、ウェスタンブロッティングまたは質量分析による測定で健常人の1%以下である、請求項1に記載の医薬組成物
- 前記ヒト患者において、治療前にジストロフィンタンパク質の発現がみられない、請求項5に記載の医薬組成物。
- 前記Viltolarsenを2.5~500mg/mlまたは10~100mg/mlの濃度で含む、請求項1に記載の医薬組成物。
- 前記Viltolarsenを25mg/mlの濃度で含む、請求項1に記載の医薬組成物。
- 前記Viltolarsenを、50mg/mlの濃度で含む、請求項1に記載の医薬組成物。
- 等張化剤、pH調整剤及び溶媒からなる群より選択される少なくとも1つの成分をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
- 前記等張化剤が塩化ナトリウム、塩化カリウム、グルコース、フルクトース、マルトース、スクロース、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース及びグリセリンからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項10に記載の医薬組成物。
- 前記pH調整剤が塩酸、水酸化ナトリウム、クエン酸、乳酸、リン酸塩(リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム)及びモノエタノールアミンからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項10または11に記載の医薬組成物。
- 前記溶媒が水である、請求項10または11に記載の医薬組成物。
- 前記溶媒が水である、請求項12に記載の医薬組成物。
- 2.5~500mg/mlまたは10~100mg/mlの濃度のViltolarsen、8~10mg/mlの濃度の塩化ナトリウムを含み、かつpHが7.2~7.4の水溶液である、請求項1に記載の医薬組成物。
- 前記治療により、以下の(1)~(6)からなる群より選択される少なくとも1つの効果が生じる、請求項1に記載の医薬組成物:
(1)患者の骨格筋におけるジストロフィンタンパク質発現量の平均値が、ベースラインと比較して、24週間の投与後に9倍以上に増加すること;
(2)立ち上がり時間(TTSTAND)から得られる速度の変化が、ベースラインと比較して、24週間の投与後25週時に-0.055回/秒以上であること;
(3)10メートル走行/歩行時間(TTRW)から得られる速度の変化が、ベースラインと比較して、24週間の投与後25週時に-0.025メートル/秒以上であること;
(4)4段階段昇り時間(TTCLIMB)から得られる速度の変化が、ベースラインと比較して、24週間の投与後25週時に-0.060回/秒以上であること;
(5)ノース・スター歩行能力評価(NSAA)のスコアの変化が、ベースラインと比較して、24週間の投与後25週時に-2.2スコア以上であること;及び
(6)6分間歩行試験(6MWT)の変化が、ベースラインと比較して、24週間の投与後25週時に-7.5メートル以上であること。 - 7~9歳のデュシェンヌ型筋ジストロフィーのヒト患者に前記治療を84週間行った場合に、以下の(1)~(6)からなる群より選択される少なくとも一つの効果が生じる、請求項1に記載の医薬組成物:
(1)治療開始から第85週までに、立ち上がり能力を喪失する患者が20%未満であること;
(2)治療開始から第85週までに、4段階段昇りが出来なくなる患者が10%未満であること;
(3)治療開始から第85週までに、自立歩行能力を喪失する患者が10%未満であること;
(4)治療開始から第85週までに、10メートル走行/歩行の速度に加齢による減少がみられないこと;
(5)治療開始から第85週までに、4段階段昇りの速度に加齢による減少がみられないこと;及び
(6)治療開始から第85週までに、立ち上がりの速度に加齢による減少がみられないこと。 - 10~12歳のデュシェンヌ型筋ジストロフィーのヒト患者に前記治療を84週間行った場合に、以下の(1)~(6)からなる群より選択される少なくとも一つの効果が生じる、請求項1に記載の医薬組成物:
(1)治療開始から第85週までに、立ち上がり能力を喪失する患者が60%未満であること;
(2)治療開始から第85週までに、4段階段昇りが出来なくなる患者が50%未満であること;
(3)治療開始から第85週までに、自立歩行能力を喪失する患者が50%未満であること;
及び
(4)治療開始から第85週までに、10メートル走行/歩行の速度に加齢による減少がみられないこと。
(5)治療開始から第85週までに、4段階段昇りの速度が増加する時期がみられること;及び
(6)治療開始から第85週までに、立ち上がりの速度が増加する時期がみられること。 - リン酸緩衝液を含まない、請求項1~11、13、及び15~18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
- 緩衝液を含まない、請求項19に記載の医薬組成物。
- 前記Viltolarsenを50mg/mlの濃度で含み、塩化ナトリウムを8.55mg/mL~9.45mg/mLの濃度で含み、7.0~7.5のpHを有する水溶液である、請求項19又は20に記載の医薬組成物。
- pHが7.2~7.4である、請求項21に記載の医薬組成物。
- pHが7.3である、請求項21に記載の医薬組成物。
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