JP7344252B2 - 摩擦攪拌接合方法、摩擦攪拌接合用治具、および摩擦攪拌接合装置 - Google Patents
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Description
例えば、摩擦攪拌接合に用いられる工具には、円柱状の基部、基部の一方の端部に設けられたショルダ、及び、ショルダと同芯に設けられ、ショルダから突出する撹拌ピンが設けられている。一般的に攪拌ピンの側面にはねじ溝が設けられている。摩擦攪拌接合を行う際には、回転させた接合工具をショルダが母材表面に十分に接触するように接合する部材へ挿入し、接合する部材の表面と平行な方向へ移動させる。回転させたショルダと撹拌ピンが母材と接触して摩擦熱が発生し、この熱で軟化した母材が接合工具の押圧力と回転力によって塑性流動する。攪拌ピンの側面のねじ溝の働きにより、軟化した母材には回転方向および部材の裏面側(工具が挿入される側とは反対側)へ向かう螺旋軌道の塑性流動が生じる。ここで、母材の全板厚を接合する場合、塑性流動の範囲が母材の裏面側へ到達するように工具の母材への挿入深さや工具の回転数などを調整する。
図1(a)~(d)は、本実施の形態に係る摩擦攪拌接合方法を例示するための模式工程断面図である。
なお、一例として、2つの部材71、72を突き合わせ接合する場合を説明するが、1つの部材の一方の端部と、他方の端部とを突き合わせ接合してもよい。
無機材料は、部材71、72の材料の融点よりも高い融点を有する。無機材料は、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、層状結晶構造を有する固体潤滑剤などとすることができる。層状結晶構造を有する固体潤滑剤は、例えば、二硫化モリブデン(MoS2)、窒化ホウ素(BN)、二硫化タングステン(WS2)、石墨(C)などである。
溶媒は、有機材料の種類などに応じて適宜選択することができる。
例えば、まず、膜部1の裏当て101側とは反対側に、部材71、72の突き合わせ部分を設ける。この際、部材71の側面と部材72の側面とを接触させる。
部材71、72の形状には特に限定はない。例えば、図1(b)に示すように、板状の部材71、72とすることもできるし、ブロック状の部材71、72とすることもできる。
回転させた工具200を、突き合わせ部分に沿って移動させることで、突き合わせ部分に線状の接合部70が形成される。
前述したように、部材71、72と裏当て101との間には、膜部1が設けられている。膜部1が設けられていれば、部材71と部材72を接合した際の熱と圧力で、部材71、72が裏当て101に接合されるのを抑制することができる。そのため、接合された部材71、72を裏当て101から分離し易くなる。
膜部1は、無機材料を保持するバインダとなる有機材料を含んでいる。有機材料は、無機材料よりも耐薬品性が低い。そのため、例えば、酸やアルカリなどの薬剤を用いて、有機材料を除去することができる。有機材料を除去すれば、有機材料に保持されている無機材料の大部分を除去することができる。薬剤は、有機材料の種類に応じて適宜選択することができる。
本実施の形態に係る摩擦攪拌接合方法とすれば、接合された部材71、72に付着した膜部1の一部1aを容易に除去することができる。そのため、生産性の向上を図ることができる。
まず、図2(a)に示すように、裏当て101の表面に、摩擦攪拌接合用治具3を設ける。摩擦攪拌接合用治具3は、例えば、基部2と、基部2の一方の面に設けられた膜部1と、を有する。この場合、膜部1が裏当て101側とは反対側になるように、摩擦攪拌接合用治具3を裏当て101の一方の側に設ける。摩擦攪拌接合用治具3は、裏当て101に着脱可能に設けることができる。例えば、摩擦攪拌接合用治具3は、裏当て101の表面に設けられた凹部101aの内部に設けることができる。凹部101aの深さは、例えば、基部2の厚みと略同じとすることができる。
これに対して、本実施の形態に係る摩擦攪拌接合方法においては、膜部1を有する摩擦攪拌接合用治具3を用いる。前述したように、接合された部材71、72を裏当て101から分離した際に、膜部1の一部が破断する場合がある。膜部1の一部が破断すると、次の部材71、72を摩擦攪拌接合する前に、破断した膜部1を修復する必要がある。
例えば、まず、摩擦攪拌接合用治具3に設けられた膜部1の、裏当て101側とは反対側に、部材71、72の突き合わせ部分を設ける。この際、部材71の側面と部材72の側面とを接触させる。
続いて、回転させた工具200を、部材71、72の突き合わせ部分の内部に挿入して、摩擦攪拌接合を行う。摩擦攪拌接合の手順などは、前述したものと同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
また、裏当て101の表面に設けられた凹部101aの内部に、摩擦攪拌接合用治具3を設けるようにすれば、摩擦攪拌接合用治具3の位置決めと保持を行うことができる。そのため、摩擦攪拌接合用治具3の交換が容易となる。
次に、本実施の形態に係る摩擦攪拌接合装置100について例示をする。
図3は、本実施の形態に係る摩擦攪拌接合装置100を例示するための模式図である。 なお、図3中の矢印X、Y、Zは、互いに直交する三方向を表している。例えば、矢印Zは鉛直方向を表し、矢印Xと矢印Yは水平方向を表している。
図3に示す摩擦攪拌接合装置100は、部材71、72を突き合わせ、突き合わせた部分を接合する。
摩擦攪拌接合装置100は、例えば、床面などに設置することができる。
裏当て101には、部材71、72を突き合わせた状態で載置する。
部材71、72は、例えば、アルミニウム合金、銅合金などから形成された板材とすることができる。
裏当て101は、例えば、金属板とすることができる。例えば、裏当て101は、工具鋼や炭素鋼などから形成される。ただし、裏当て101の材料は例示をしたものに限定されるわけではない。摩擦攪拌接合用治具3を用いる場合には、裏当て101の表面に凹部101aが設けられる。摩擦攪拌接合用治具3を用いない場合には、裏当て101の表面に膜部1が設けられる。
保持部102は、例えば、裏当て101の、摩擦攪拌接合用治具3または膜部1が設けられる面に設けられる。保持部102は、部材71、72を互いに近接する方向(例えば、Y方向)に加圧するとともに、裏当て101に押し付ける。保持部102は、例えば、チャックなどとすることができる。
加工部104は、例えば、サーボモータなどの制御モータ104bを備えている。
移動部105は、ステージ103を介して、部材71、72の位置を変化させる。例えば、移動部105は、X方向における部材71、72の位置を変化させて、回転させた工具200が挿入された位置を移動させる。そのため、部材71、72の突き合わせ部分を線状に接合することができる。
除去装置300は、接合された部材71、72に付着した膜部1の一部1aにレーザ光Lを照射する。
例えば、除去装置300は、摩擦攪拌接合装置100のステージ103に設けることもできるし、摩擦攪拌接合装置100と離隔した位置に設けることもできる。
レーザ発振器301は、例えば、近赤外波長のレーザ光Lを発振させる。例えばレーザ光Lの波長は1.06μmであり、繰り返し周波数は100kHzである。レーザ発振器301は、例えば、YAGレーザ発振器、ファイバーレーザ発振器などとすることができる。
照射ヘッド303は、例えば、ケース303a、集光部303b、および照射位置制御部303cを有する。
ミラー303c1は、ケース303aの中心軸に対して傾いている。また、ミラー303c1は、ケース303aの中心軸に対して揺動可能に設けられている。
照射位置制御部303cが設けられていれば、所望の範囲にレーザ光Lを照射することができる。
ブロー装置304は、例えば、アルゴンガスなど不活性のガスGを、照射ヘッド303と、接合された部材71、72との間に供給する。ブロー装置304が設けられていれば、除去された有機材料、および除去された無機材料を外部に排出することができる。そのため、接合された部材71、72と窓303a1が汚れるのを抑制することができる。また、部材71、72の酸化を抑制できる。
Claims (13)
- 裏当ての少なくとも1つの面に、無機材料と有機材料とを含む膜部を設ける工程と、
前記膜部の上に接合する部材の付き合わせ部が載るように、前記接合する部材を前記裏当ての上へ搭載する工程と、
前記部材の突き合わせ部分へ、前記膜部側とは反対側から、回転させた摩擦攪拌接合工具を挿入する工程と、
を備え、
前記無機材料は層状結晶構造を有する摩擦攪拌接合方法。 - 板状の基部と、前記基部の少なくとも1つの面に設けられた無機材料と有機材料とを含む膜部と、を有する摩擦攪拌接合用治具を、前記膜部が裏当て側とは反対側になるように、前記裏当ての一方の側に設ける工程と、
前記膜部の上に接合する部材の付き合わせ部が載るように、前記接合する部材を前記裏当ての上へ搭載する工程と、
前記部材の突き合わせ部分へ、前記膜部側とは反対側から、回転させた摩擦攪拌接合工具を挿入する工程と、
を備えた摩擦攪拌接合方法。 - 前記基部の融点は前記部材の融点よりも高い請求項2に記載の摩擦攪拌接合方法。
- 前記無機材料は層状結晶構造を有する請求項2または3に記載の摩擦攪拌接合方法。
- 突き合わせ接合された前記部材に付着した前記膜部に、レーザ光を照射する工程をさらに備えた請求項1~4のいずれか1つに記載の摩擦攪拌接合方法。
- 前記層状結晶構造を有する前記無機材料は、二硫化モリブデン(MoS2)、窒化ホウ素(BN)、二硫化タングステン(WS2)、および石墨(C)の少なくともいずれかである請求項1または4に記載の摩擦攪拌接合方法。
- 摩擦攪拌接合を行う際に、裏当てと、部材の突き合わせ部分と、の間に設けられ、
板状を呈する基部と、前記基部の面に設けられ、無機材料と有機材料とを含む膜部と、を有し、前記膜部が前記裏当て側とは反対側になるように、前記裏当ての一方の側に設けられる摩擦攪拌接合用治具。 - 前記基部の融点は前記部材の融点よりも高い請求項7記載の摩擦攪拌接合用治具。
- 前記無機材料は層状結晶構造を有する請求項7または8に記載の摩擦攪拌接合用治具。
- 前記層状結晶構造を有する前記無機材料は、二硫化モリブデン(MoS2)、窒化ホウ素(BN)、二硫化タングステン(WS2)、および石墨(C)の少なくともいずれかである請求項9記載の摩擦攪拌接合用治具。
- 裏当てと、
前記裏当ての一方の側に設けられ、無機材料と有機材料とを含む膜部と、
前記膜部の、前記裏当て側とは反対側に設けられる部材の突き合わせ部分に、回転させた摩擦攪拌接合工具を挿入可能な加工部と、
を備え、
前記無機材料は層状結晶構造を有する摩擦攪拌接合装置。 - 板状を呈し、前記膜部が設けられ、前記裏当ての一方の側に着脱可能に設けられた基部をさらに備えた請求項11記載の摩擦攪拌接合装置。
- 前記層状結晶構造を有する前記無機材料は、二硫化モリブデン(MoS2)、窒化ホウ素(BN)、二硫化タングステン(WS2)、および石墨(C)の少なくともいずれかである請求項11または12に記載の摩擦攪拌接合装置。
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JP2008238224A (ja) | 2007-03-27 | 2008-10-09 | Osaka Industrial Promotion Organization | 摩擦攪拌接合方法 |
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