本明細書で使用する場合、IL-17は、インターロイキン-17A(IL-17A)を指す。
用語「を含むこと」は、「が含まれること」ならびに「からなること」を包含し、例えば、X「を含む」組成物は、もっぱらXのみからなる可能性もあるし、何か追加のものが含まれる(例えば、X+Y)可能性もある。
そうではないという記述が具体的にない限り、又は文脈から明らかでない限り、本明細書で使用する場合、数値に関する用語「約」は、当技術分野の通常の許容範囲内、例えば平均値の二標準偏差内であると理解される。したがって、「約」は、記述した値の+/-10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.1%、0.05%、又は0.01%以内、好ましくは記述した値の+/-10%であり得る。数値範囲又は数の列挙の前に使用される場合、用語「約」は、系列内のそれぞれの数に適用される。例えば、表現「約1~5」は、「約1~約5」と解釈されるべきであり、又は例えば、表現「約1、2、3、4」は、「約1、約2、約3、約4など」と解釈されるべきである。
単語「実質的に」は、「完全に」を排除しない。例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まない可能性がある。必要に応じて、単語「実質的に」は、本開示の定義から省くことができる。
本明細書で言及される用語「抗体」には、天然起源の完全な抗体が含まれる。天然起源の「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互連結された少なくとも2本の重(H)鎖と2本の軽(L)鎖とを含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略される)及び重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2及びCH3からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略される)及び軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLからなる。VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称される、より保存される領域に割り込まれた、高頻度可変領域又は相補性決定領域(CDR)と称される高頻度可変性の領域にさらに細分化することができる。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端まで次の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配列される3つのCDR及び4つのFRからなる。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1の成分(C1q)を含めた宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合を媒介することができる。例示的な抗体としては、セクキヌマブ(表1)、抗XAB4(米国特許第9,193,788号明細書及びイキセキズマブ(米国特許第7,838,638号明細書)(それらの開示の内容全体が参照によって組み込まれる)が挙げられる。
抗体の用語「抗原結合断片」は、本明細書で使用する場合、抗原(例えば、IL-17)と特異的に結合する能力を保持する抗体の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の断片によって果たされ得ることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合断片の例としては、Fab断片、すなわちVL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価の断片;F(ab)2断片、すなわちヒンジ領域でのジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価の断片;VH及びCH1ドメインからなるFd断片;抗体の単一のアームのVL及びVHドメインからなるFv断片;VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.,1989 Nature 341:544-546);並びに単離されたCDRが挙げられる。例示的な抗原結合断片としては、配列番号1~6及び11~13(表1)に記述した通りのセクキヌマブのCDR、好ましくは重鎖CDR3が挙げられる。さらに、Fv断片の2つのドメイン、VL及びVHは、別の遺伝子によってコードされるが、これらが単一のタンパク質鎖(ここで、VL領域とVH領域とが対合して、一価の分子(一本鎖Fv(scFv)として公知;例えば、Bird et al.,1988 Science 242:423-426;及びHuston et al.,1988 Proc.Natl.Acad.Sci.85:5879-5883を参照されたい)を形成する)として振る舞うことを可能にする合成のリンカーにより、組換え方法を使用してこれらを連結することができる。こうした一本鎖抗体も用語「抗体」に包含されることが意図される。一本鎖抗体及び抗原結合部分は、当業者に公知の従来の技術を使用して得られる。
「単離された抗体」は、本明細書で使用する場合、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す(例えば、IL-17と特異的に結合する単離された抗体は、IL-17以外の抗原と特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。本明細書で使用する場合の用語「モノクローナル抗体」又は「モノクローナル抗体組成物」は、単一分子組成の抗体分子の調製を指す。用語「ヒト抗体」には、本明細書で使用する場合、そのフレームワークもCDR領域もヒト起源の配列に由来する可変領域を有する抗体が含まれることが意図される。「ヒト抗体」は、ヒト、ヒト組織又はヒト細胞によって産生される必要はない。本開示のヒト抗体は、ヒト配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダム又は部位特異的変異誘発により、抗体遺伝子の組換え中のインビボでのジャンクションでのN-ヌクレオチド付加により、又はインビボでの体細胞変異により導入される変異)を含むことができる。開示したプロセス及び組成物のいくつかの実施形態では、IL-17抗体は、ヒト抗体、単離された抗体及び/又はモノクローナル抗体である。
用語「IL-17」は、以前にはCTLA8として公知であったIL-17Aを指し、様々な種(例えば、ヒト、マウス及びサル)由来の野生型IL-17A、IL-17Aの多型変異体及びIL-17Aの機能的均等物が含まれる。本開示によるIL-17Aの機能的均等物は、好ましくは、野生型IL-17A(例えば、ヒトIL-17A)との少なくとも約65%、75%、85%、95%、96%、97%、98%、さらに99%の全体的な配列同一性を有し、ヒト皮膚線維芽細胞によるIL-6産生を誘発する能力を実質的に保持する。
用語「KD」は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度を指すことが意図される。用語「KD」は、本明細書で使用する場合、Kdに対するKaの比(すなわちKd/Ka)から得られ、モル濃度(M)として表される解離定数を指すことが意図される。抗体についてのKD値は、当技術分野で確立された方法を使用して決定することができる。抗体のKDを決定するための好ましい方法は、表面プラズモン共鳴を使用するか、又はBiacore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを使用することによるものである。いくつかの実施形態では、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブは、約100~250pMのKDで、ヒトIL-17と結合する。
用語「親和性」は、単一の抗原部位での抗体と抗原との間の相互作用の強さを指す。各抗原部位内では、抗体「アーム」の可変領域は、多数の部位で弱い非共有結合性の力を通じて抗原と相互作用し、相互作用が多いほど親和性が強くなる。様々な種のIL-17に対する抗体の結合親和性を評価するための標準のアッセイは、例えば、ELISA、ウエスタンブロット及びRIAを含めて、当技術分野で公知である。抗体の結合動態(例えば、結合親和性)は、当技術分野で公知のアッセイにより、例えばBiacore(登録商標)分析を用いて評価することもできる。
当技術分野で公知の方法論に従って決定され、且つ本明細書に記載したこれらのIL-17機能特性(例えば、生化学的、免疫化学的、細胞、生理学的又は他の生物学的活性など)の1つ又は複数を「阻害する」抗体は、抗体の非存在下で(又は無関係の特異性の対照抗体が存在する場合に)見られるものに対する、その特定の活性の統計的に有意な低下と関連することが理解されるであろう。IL-17活性を阻害する抗体は、例えば、測定されるパラメータの少なくとも約10%、少なくとも50%、80%又は90%の統計的に有意な低下をもたらし、開示した方法及び組成物のある種の実施形態では、使用されるIL-17抗体は、95%、98%又は99%を超えるIL-17機能活性を阻害することができる。
本明細書で使用される「IL-6を阻害する」は、IL-17抗体又はその抗原結合断片(例えばセクキヌマブ)が初代ヒト皮膚線維芽細胞からのIL-6産生を低下させる能力を指す。初代ヒト皮膚線維芽細胞におけるIL-6の産生は、IL-17に依存する(Hwang et al.,(2004)Arthritis Res Ther;6:R120-128)。手短に言えば、ヒト皮膚線維芽細胞を、Fc部分を有する様々な濃度のIL-17結合分子又はヒトIL-17受容体の存在下で、組換えIL-17で刺激する。キメラ抗CD25抗体Simulect(登録商標)(バシリキシマブ)を、陰性対照として好都合に使用することができる。16時間の刺激後、上清を取り出し、ELISAによってIL-6について定量する。IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブは、上の通りに試験される、すなわち、前記阻害活性が、ヒト皮膚線維芽細胞における、ヒトIL-17によって誘発されるIL-6産生に関して測定される場合に、典型的には、約50nM以下(例えば、約0.01から約50nM)という、(1nMヒトIL-17の存在下での)IL-6産生の阻害についてのIC50を有する。開示した方法及び組成物のいくつかの実施態様では、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ、及びその機能性誘導体は、約20nM以下、より好ましくは約10nM以下、より好ましくは約5nM以下、より好ましくは約2nM以下、より好ましくは約1nM以下という、上で定義した通りのIL-6産生の阻害についてのIC50を有する。
用語「誘導体」は、他に指示されない限り、本開示による、例えば特定の配列(例えば、可変ドメイン)、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブのアミノ酸配列変異体及び共有結合的修飾(例えば、ペグ化、脱アミド、ヒドロキシル化、リン酸化、メチル化など)を定義するために使用される。「機能性誘導体」には、開示したIL-17抗体と共通した定性的生物学的活性を有する分子が含まれる。機能性誘導体には、本明細書に開示したIL-17抗体の断片及びペプチド類似体が含まれる。断片は、本開示による、例えば特定の配列のポリペプチドの配列内の領域を含む。本明細書に開示したIL-17抗体の機能性誘導体(例えば、セクキヌマブ の機能性誘導体)は、本明細書に開示したIL-17抗体及びその抗原結合断片のVH及び/又はVL配列(例えば、表1のVH及び/又はVL配列)と少なくとも約65%、75%、85%、95%、96%、97%、98%、さらに99%の全体的な配列同一性を有するVH及び/又はVLドメインを含み、ヒトIL-17と結合する能力を実質的に保持するか、又は例えばIL-17によって誘発されるヒト皮膚線維芽細胞のIL-6産生を阻害することが好ましい。
表現「実質的に同一な」は、関連するアミノ酸又はヌクレオチド配列(例えば、VH又はVLドメイン)が、特定の基準配列と比較して同一となるか、又は(例えば、アミノ酸の保存的置換による)実質的ではない違いを有することを意味する。実質的ではない違いには、特定の領域(例えば、VH又はVLドメイン)の5アミノ酸の配列における1又は2個の置換などのわずかなアミノ酸変化が含まれる。抗体の場合、第2の抗体は、同じ特異性を有し、且つ少なくとも50%の親和性を有する。本明細書に開示した配列に対して実質的に同一な配列(例えば、少なくとも約85%の配列同一性)も本出願の一部である。いくつかの実施形態では、誘導体のIL-17抗体(例えば、セクキヌマブの誘導体、例えばセクキヌマブバイオシミラー抗体)の配列同一性は、開示した配列に対して約90%以上、例えば90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上である可能性がある。
天然のポリペプチド及びその機能性誘導体に関する「同一性」は、本明細書では、最大のパーセント同一性を得るために、必要に応じて配列を整列し、ギャップを導入した後の、対応する天然のポリペプチドの残基と同一である候補配列内のアミノ酸残基の割合と定義され、いかなる保存的置換も配列同一性の一部とみなされない。N又はC末端伸長部も挿入も同一性を低下させると解釈されないものとする。アラインメントのための方法及びコンピュータプログラムは、周知である。パーセント同一性は、標準のアラインメントアルゴリズム、例えばAltshul et al.((1990)J.Mol.Biol.,215:403 410)によって記載されているBasic Local Alignment Search Tool(BLAST);Needleman et al.((1970)J.Mol.Biol.,48:444 453)のアルゴリズム;又はMeyers et al.((1988)Comput.Appl.Biosci.,4:11 17)のアルゴリズムによって決定することができる。一連のパラメータは、12のギャップペナルティ、4のギャップ伸長ペナルティ及び5のフレームシフトギャップペナルティを伴うBlosum 62スコア行列であり得る。2つのアミノ酸又はヌクレオチド配列間のパーセント同一性は、PAM120重み剰余テーブル、12のギャップ長ペナルティ及び4のギャップペナルティを使用して、ALIGNプログラム(version 2.0)に組み込まれているE.Meyers及びW.Miller((1989)CABIOS,4:11-17)のアルゴリズムを使用して決定することもできる。
「アミノ酸」は、すべての天然起源のL-α-アミノ酸を指し、例えばD-アミノ酸が含まれる。表現「アミノ酸配列変異体」は、本開示による配列と比較するとそのアミノ酸配列がいくらか違う分子を指す。例えば、特定の配列の、本開示による抗体のアミノ酸配列変異体は、ヒトIL-17と結合する能力を依然として有するままであるか、又は例えばIL-17によって誘発されるヒト皮膚線維芽細胞のIL-6産生を阻害する。アミノ酸配列変異体には、置換変異体(本開示によるポリペプチド内の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、代わりに同じ位置に別のアミノ酸が挿入されたもの)、挿入変異体(本開示によるポリペプチド内の特定の位置のアミノ酸の直接隣に1つ又は複数のアミノ酸が挿入されたもの)及び欠失変異体(本開示によるポリペプチド内の1つ又は複数のアミノ酸が除去されたもの)が含まれる。
用語「薬学的に許容し得る」は、活性成分の生物学的活性の有効性を邪魔しない非毒性の材料を意味する。
ある化合物、例えばIL-17結合分子又は別の薬剤に関する用語「投与すること」は、その化合物の、あらゆる経路による患者への送達を指すために使用される。
本明細書で使用する場合、「治療有効量」は、患者(ヒトなど)への単一用量又は反復用量投与時、障害又は再発性の障害の少なくとも1つの症状を治療するか、予防するか、発症を予防するか、治癒させるか、遅らせるか、重症度を低下させるか、回復させるか、又は患者の生存をこうした治療が存在しない場合に予測される生存よりも延長させるのに有効である、IL-17アンタゴニスト、例えばIL-17結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL-17受容体結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片)の量を指す。単独で投与される個々の活性成分(例えば、IL-17アンタゴニスト、例えばセクキヌマブ)に適用される場合、この用語は、その成分単独を指す。組み合わせに適用される場合、この用語は、組み合わせで、連続的に又は同時に投与されるかにかかわらず、治療効果をもたらす活性成分の合わせた量を指す。
用語「治療」又は「治療する」は、本明細書では、本開示によるIL-17抗体、例えばセクキヌマブ若しくはイキセキズマブ又は前記抗IL-17抗体を含む医薬組成物の、対象への又は対象由来の単離された組織若しくは細胞株への適用又は投与(ここで、対象は、特定の疾患(例えば、HS)、その疾患(例えば、HS)に随伴する症状又はその疾患(例えば、HS(該当する場合))の発症の素因を有し、その目的は、疾患の1つ又は複数の症状を治癒させる(該当する場合)か、開始を遅らせるか、重症度を低下させるか、軽減するか、回復するか、疾患を改善するか、疾患のあらゆる随伴症状又は疾患の発症の素因を低下させるか又は改善することである)と定義される。用語「治療」又は「治療する」には、疾患を有することが疑われる患者及び病気であるか又は疾患若しくは医学的状態を患っていると診断されている患者を治療することが含まれ、また臨床的再発の抑制が含まれる。
本明細書で使用する場合、表現「患者の集団」は、患者の一群を意味するために使用される。開示した方法のいくつかの実施態様では、IL-17アンタゴニスト(例えば、セクキヌマブなどのIL-17抗体)は、HS患者の集団を治療するために使用される。
本明細書で使用する場合、表現「HSのための全身治療で以前に治療されていない」及び「を受けていない」は、HSのための全身性薬剤、例えば、メトトレキサート、シクロスポリン、生物製剤(例えば、ウステキヌマブ、アダリムマブ、又は他のTNFα阻害剤など)などで以前に治療されていないHS患者を指す。全身性薬剤(すなわち、経口的に、注射によって与えられる薬剤など)は、全身性薬剤が、患者に送達された場合に全身(体全体)への効果を与えるという点で、局所的薬剤(例えば、外用薬及び光線療法)とは異なる。開示した方法、レジメン、使用、キット、及び医薬組成物のいくつかの実施態様では、患者は、HSのための全身治療を以前に施されていない。
本明細書で使用する場合、表現「HSのための全身性薬剤で以前に治療されている」は、全身性薬剤を使用するHS治療を以前に受けた患者を意味するために使用される。こうした患者には、ウステキヌマブ又はTNF-α阻害剤などの生物製剤で以前に治療された患者、及びシクロスポリンなどの非生物製剤で以前に治療された患者が含まれる。本開示のいくつかの実施態様では、患者は、HSのための全身性薬剤を以前に投与されている。いくつかの実施態様では、患者は、HSのための全身性薬剤(例えば、メトトレキサート、シクロスポリン)を以前に投与されているが、この患者は、HSのための全身性の生物学的薬物(すなわち、生きている生物によって産生される薬物、例えば、抗体、受容体デコイなど)(例えば、ウステキヌマブ、イキセキズマブ、ブロアダルマブ(broadalumab)、TNFα阻害剤(エタネルセプト、アダリムマブ、レミケードなど)、セクキヌマブなど)を以前に投与されていない。この場合には、患者は、「生物製剤を受けていない」とも称される。いくつかの実施態様では、患者は、生物製剤を受けていない。
本明細書で使用する場合、用語「TNF不成功(failure)」は、TNFαアンタゴニスト(例えば、エタネルセプト、アダリムマブなど)での以前の治療に対して不適切な反応を示した又は不耐性であった患者を指す。TNFαアンタゴニスト(例えば、エタネルセプト、アダリムマブなど)での以前の治療に対して適切に反応したが、副作用に起因して中断されている患者は、「不耐性」と呼ばれる。TNF不成功は、時として、「TNF-IR」患者とも称される。いくつかの実施態様では、患者は、IL-17アンタゴニストを投与する前に、TNF不成功である。本明細書で使用する場合、患者に関する「選択すること」及び「選択される」は、特定の患者が、その特定の患者があらかじめ定められた基準を有することに基づいて(に起因して)、患者のより大きい群から個々に選択されることを意味するために使用される。同様に、「選択的に治療すること」は、特定の疾患を有する患者(ここで、患者は、その特定の患者があらかじめ定められた基準を有することに基づいて個々に選択される)に治療を提供することを指す。同様に、「選択的に投与すること」は、その特定の患者があらかじめ定められた基準を有することに基づいて(に起因して)、患者のより大きい群から個々に選択された患者に薬物を投与することを指す。選択すること、選択的に治療すること及び選択的に投与することは、患者が、より大きい群内の患者の帰属のみに基づく標準の治療レジメンを送達されるのではなく、患者の個別の病歴(例えば、以前の治療介入、例えば生物製剤での以前の治療)、生物学(例えば、特定の遺伝子マーカー)及び/又は徴候(例えば、特定の診断基準を満たさないこと)に基づく個別化治療を送達されることを意味する。本明細書で使用される治療の方法に関する選択することは、特定の基準を有する患者の好運な治療を指すのではなく、患者が特定の基準を有することに基づいて患者に治療を施すという意図的な選択を指す。したがって、選択的な治療/投与は、特定の疾患を有するすべての患者にその個別の病歴、疾患の徴候及び/又は生物学にかかわらず特定の薬物を送達する標準の治療/投与と異なる。
いくつかの実施態様では、患者は、HSを有することに基づいて、治療について選択される。いくつかの実施態様では、患者は、少なくとも1年間HSと診断されていることに基づいて、治療について選択される。いくつかの実施態様では、患者は、中等症から重症のHSを有することに基づいて、治療について選択される。いくつかの実施態様では、患者は、全身的HS治療法で以前に治療されていないことに基づいて、治療について選択される。いくつかの実施態様では、患者は、従来の全身的HS治療法で以前に治療されていることに基づいて、治療について選択される。いくつかの実施態様では、患者は、従来の全身的HS治療法に対する不適切な反応を以前に示していることに基づいて、治療について選択される。
本明細書で使用する場合、従来の全身療法は、抗生物質、ステロイド、レチノイド、ホルモン療法、及びTNFα阻害剤(例えば、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブなど)を指す。
IL-17アンタゴニスト
開示した様々なプロセス、キット、使用、及び方法は、IL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17結合分子(例えば、可溶性IL-17受容体、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL-17受容体結合分子(例えば、IL-17受容体抗体又はその抗原結合断片)を利用する。いくつかの実施態様では、IL-17アンタゴニストは、IL-17結合分子、好ましくはIL-17抗体又はその抗原結合断片である。
一実施形態では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、高頻度可変領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)を含み、前記CDR1は、アミノ酸配列配列番号1を有し、前記CDR2は、アミノ酸配列配列番号2を有し、前記CDR3は、アミノ酸配列配列番号3を有する。一実施形態では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、高頻度可変領域CDR1’、CDR2’及びCDR3’を含む少なくとも1つの免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL’)を含み、前記CDR1’は、アミノ酸配列配列番号4を有し、前記CDR2’は、アミノ酸配列配列番号5を有し、前記CDR3’は、アミノ酸配列配列番号6を有する。一実施形態では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、高頻度可変領域CDR1-x、CDR2-x及びCDR3-xを含む少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)を含み、前記CDR1-xは、アミノ酸配列配列番号11を有し、前記CDR2-xは、アミノ酸配列配列番号12を有し、前記CDR3-xは、アミノ酸配列配列番号13を有する。
一実施形態では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、少なくとも1つの免疫グロブリンVHドメインと少なくとも1つの免疫グロブリンVLドメインとを含み、ここで、a)免疫グロブリンVHドメインは、(例えば、順に)i)高頻度可変領域CDR1、CDR2及びCDR3(前記CDR1は、アミノ酸配列配列番号1を有し、前記CDR2は、アミノ酸配列配列番号2を有し、前記CDR3は、アミノ酸配列配列番号3を有する)、又はii)高頻度可変領域CDR1-x、CDR2-x及びCDR3-x(前記CDR1-xは、アミノ酸配列配列番号11を有し、前記CDR2-xは、アミノ酸配列配列番号12を有し、前記CDR3-xは、アミノ酸配列配列番号13を有する)を含み、且つb)免疫グロブリンVLドメインは、(例えば、順に)高頻度可変領域CDR1’、CDR2’及びCDR3’(前記CDR1’は、アミノ酸配列配列番号4を有し、前記CDR2’は、アミノ酸配列配列番号5を有し、前記CDR3’は、アミノ酸配列配列番号6を有する)を含む。
一実施形態では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、a)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)、b)配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)、c)配列番号8として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメイン及び配列番号10として示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメイン、d)配列番号1、配列番号2及び配列番号3として示される高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメイン、e)配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメイン、f)配列番号11、配列番号12及び配列番号13として示される高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメイン、g)配列番号1、配列番号2及び配列番号3として示される高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメイン並びに配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメイン、又はh)配列番号11、配列番号12及び配列番号13として示される高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメイン並びに配列番号4、配列番号5及び配列番号6として示される高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインを含む。
参照を容易にするために、Kabat定義に基づく、また、X線分析によって決定される、また、Chothia及び共同研究者の手法を使用する、セクキヌマブモノクローナル抗体の高頻度可変領域のアミノ酸配列を、下の表1に提供する。
好ましい実施態様では、定常領域ドメインはまた、例えば“Sequences of Proteins of Immunological Interest”,Kabat E.A.et al,US Department of Health and Human Services,Public Health Service,National Institute of Healthに記載されている通りの、好適なヒト定常領域ドメインを含む。セクキヌマブのVLをコードするDNAは、配列番号9に記述される。セクキヌマブのVHをコードするDNAは、配列番号7に記述される。
いくつかの実施形態では、IL-17抗体又はその抗原結合断片(例えば、セクキヌマブ)は、配列番号10の3つのCDRを含む。他の実施形態では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、配列番号8の3つのCDRを含む。他の実施形態では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、配列番号10の3つのCDRと配列番号8の3つのCDRを含む。配列番号8及び配列番号10のCDRは、表1において参照することができる。軽鎖内の遊離のシステイン(CysL97)は、配列番号6において見ることができる。
いくつかの実施形態では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、配列番号14の軽鎖を含む。他の実施形態では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、配列番号15の重鎖を含む。他の実施形態では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、配列番号14の軽鎖と配列番号15の重ドメインとを含む。いくつかの実施形態では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、配列番号14の3つのCDRを含む。他の実施形態では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、配列番号15の3つのCDRを含む。他の実施形態では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、配列番号14の3つのCDRと配列番号15の3つのCDRとを含む。配列番号14及び配列番号15のCDRは、表1において参照することができる。
高頻度可変領域は、あらゆる種類のフレームワーク領域を伴うことができるが、ヒト起源のものが好ましい。好適なフレームワーク領域は、Kabat E.A.et al,ibidに記載されている。好ましい重鎖フレームワークは、ヒト重鎖フレームワーク、例えばセクキヌマブ抗体の重鎖フレームワークである。これは、順に、例えばFR1(配列番号8のアミノ酸1~30)、FR2(配列番号8のアミノ酸36~49)、FR3(配列番号8のアミノ酸67~98)及びFR4(配列番号8のアミノ酸117~127)領域からなる。X線分析によるセクキヌマブの決定された高頻度可変領域を考慮すると、別の好ましい重鎖フレームワークは、順に、FR1-x(配列番号8のアミノ酸1~25)、FR2-x(配列番号8のアミノ酸36~49)、FR3-x(配列番号8のアミノ酸61~95)及びFR4(配列番号8のアミノ酸119~127)領域からなる。同様に、軽鎖フレームワークは、順に、FR1’(配列番号10のアミノ酸1~23)、FR2’(配列番号10のアミノ酸36~50)、FR3’(配列番号10のアミノ酸58~89)及びFR4’(配列番号10のアミノ酸99~109)領域からなる。
一実施形態では、IL-17抗体又はその抗原結合断片(例えば、セクキヌマブ)は、少なくとも、a)順に、高頻度可変領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む可変ドメインと、ヒト重鎖の定常部又はその断片とを含む免疫グロブリン重鎖又はその断片(前記CDR1は、アミノ酸配列配列番号1を有し、前記CDR2は、アミノ酸配列配列番号2を有し、前記CDR3は、アミノ酸配列配列番号3を有する)と、b)順に、高頻度可変領域CDR1’、CDR2’及びCDR3’を含む可変ドメインと、ヒト軽鎖の定常部又はその断片とを含む免疫グロブリン軽鎖又はその断片(前記CDR1’は、アミノ酸配列配列番号4を有し、前記CDR2’は、アミノ酸配列配列番号5を有し、前記CDR3’は、アミノ酸配列配列番号6を有する)とを含むヒトIL-17抗体から選択される。
一実施形態では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、a)順に、高頻度可変領域CDR1、CDR2及びCDR3を含む第1のドメイン(前記CDR1は、アミノ酸配列配列番号1を有し、前記CDR2は、アミノ酸配列配列番号2を有し、前記CDR3は、アミノ酸配列配列番号3を有する)と、b)順に、高頻度可変領域CDR1’、CDR2’及びCDR3’を含む第2のドメイン(前記CDR1’は、アミノ酸配列配列番号4を有し、前記CDR2’は、アミノ酸配列配列番号5を有し、前記CDR3’は、アミノ酸配列配列番号6を有する)と、c)第1のドメインのN末端と第2のドメインのC末端とに又は第1のドメインのC末端と第2のドメインのN末端とに結合するペプチドリンカーとを含む抗原結合部位を含む一本鎖抗体又はその抗原結合断片から選択される。
或いは、開示した方法に使用されるIL-17抗体又はその抗原結合断片は、配列によって本明細書に記述したIL-17抗体の誘導体(例えば、ペグ化変異体、グリコシル化変異体、親和性成熟変異体など)を含むことができる。或いは、開示した方法に使用されるIL-17抗体又はその抗原結合断片のVH又はVLドメインは、本明細書に記述したVH又はVLドメインと実質的に同一であるVH又はVLドメイン(例えば、配列番号8及び10に記述したもの)を有することができる。本明細書に開示したヒトIL-17抗体は、配列番号15として示されるものと実質的に同一である重鎖及び/又は配列番号14として示されるものと実質的に同一である軽鎖を含むことができる。本明細書に開示したヒトIL-17抗体は、配列番号15を含む重鎖と配列番号14を含む軽鎖とを含むことができる。本明細書に開示したヒトIL-17抗体は、a)配列番号8に示したものと実質的に同一なアミノ酸配列を有する可変ドメインと、ヒト重鎖の定常部とを含む1本の重鎖と、b)配列番号10に示したものと実質的に同一なアミノ酸配列を有する可変ドメインと、ヒト軽鎖の定常部とを含む1本の軽鎖とを含むことができる。
或いは、開示した方法において使用されるIL-17抗体又はその抗原結合断片は、それがCysL97を含有する限り、本明細書に示される基準のIL-17抗体のアミノ酸配列変異体であり得る。本開示には、セクキヌマブのVH又はVLドメインのアミノ酸残基(CysL97以外)の1つ又は複数、典型的にはごく少数のみ(例えば、1~10個)が、例えば、対応するDNA配列の変異、例えば部位特異的変異導入によって変化した、IL-17抗体又はその抗原結合断片(例えば、セクキヌマブ)も含まれる。誘導体及び変異体のこうしたすべての場合において、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、約50nM以下、約20nM以下、約10nM以下、約5nM以下、約2nM以下又はより好ましくは約1nM以下の前記分子の濃度で約1nM(=30ng/ml)ヒトIL-17の活性を50%阻害することが可能であり、前記阻害活性は、国際公開第2006/013107号パンフレットの実施例1に記載されている通り、ヒト皮膚線維芽細胞においてhu-IL-17によって誘発されるIL-6産生に対して測定される。
いくつかの実施形態では、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブは、Leu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129を含む成熟したヒトIL-17のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、IL-17抗体、例えばセクキヌマブは、Tyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含む成熟したヒトIL-17のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、IL-17抗体、例えばセクキヌマブは、2本の成熟したヒトIL-17鎖を有するIL-17ホモ二量体のエピトープ(前記エピトープは、一方の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129と、他方の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80とを含む)に結合する。これらのエピトープを定義するために使用される残基のナンバリングスキームは、残基1が、成熟したタンパク質の第1のアミノ酸である(すなわち、IL-17Aは、23個のアミノ酸のN末端シグナルペプチドを欠損し、グリシンから開始する)ことに基づいている。未成熟のIL-17Aの配列は、Swiss-Prot entry Q16552に記述されている。いくつかの実施形態では、IL-17抗体は、約100~200pMのKD(例えば、Biacore(登録商標)分析により測定)を有する。いくつかの実施形態では、IL-17抗体は、約0.67nM ヒトIL-17Aの生物学的活性のインビトロでの中和に対する約0.4nMのIC50を有する。いくつかの実施形態では、皮下に(SC)投与されるIL-17抗体の絶対的バイオアベイラビリティは、約60%~約80%の範囲、例えば約76%である。いくつかの実施形態では、セクキヌマブなどのIL-17抗体は、約4週(例えば、約23~約35日、約23~約30日、例えば約30日)の消失半減期を有する。いくつかの実施形態では、IL-17抗体(セクキヌマブなど)は、約7~8日のTmaxを有する。
開示した方法に使用される特に好ましいIL-17抗体又はその抗原結合断片は、ヒト抗体、特に、国際公開第2006/013107号パンフレットの実施例1及び2に記載されているセクキヌマブである。開示した方法、キット、及びレジメンに使用するための他の好ましいIL-17抗体は、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第8,057,794号明細書;米国特許第8,003,099号明細書;米国特許第8,110,191号明細書;及び米国特許第7,838,638号明細書、並びに米国特許出願公開第20120034656号明細書及び米国特許出願公開第20110027290号明細書に記述されているものである。
HSのためのIL-17アンタゴニストの治療及び使用の方法
開示したIL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL-17受容体結合分子(例えば、IL-17受容体抗体又はその抗原結合断片)は、HS患者(例えばヒト患者)を治療するために、インビトロ、エクスビボで使用する、又は医薬組成物に組み込んでインビボで投与することができる。
HSは、主として体の腋窩、鼠径部、***下部、生殖肛門、及び会陰領域の皮膚間擦部を侵す、慢性の、炎症性の、瘢痕化状態である。HSは、反対型ざ瘡とも称される。3つの診断基準により、HSの診断が確立されている:典型的な病変(初期の第1の病変では、深在性の有痛性の小結節[口のない]腫物、又は第2の病変では、膿瘍、排膿洞、つながった瘢痕、及び「墓石状(tombstone)」開放面皰);典型的な組織分布(腋窩、鼠径部、性器、会陰及び肛門周囲領域、臀部、及び***下部及び***間領域;並びに慢性化及び再発(Margesson and Danby(2014)Best Practices and Res.Clin.Ob.And Gyn 28:1013-1027)。HSの身体的な程度は、下の表2に示したHurleyの臨床ステージ分類(Hurley’s clinical staging)を使用して分類することができる:
HSは、毛包性角栓、管断裂、及び第2の炎症から構成される。患者は、最初に、毛包管の詰まりを経験し、これは、時間と共に、管の漏出及び真皮への水平方向の断裂をもたらす。毛包-毛嚢脂腺(FPSB)の修復に失敗した場合、毛包断片は、HS疾患過程を開始させる3つの反応を刺激する。1番目は、自然免疫系によって引き起こされる炎症反応であり、化膿及び組織破壊を引き起こし、異物反応及び広範な瘢痕化をもたらす。第2の反応は、炎症反応によって引き起こされる破壊を生き延びたFPSB単位に由来する幹細胞から生じる可能性がある、上皮で覆われた洞をもたらす。第3の、炎症細胞を含有するゲルからなる侵襲性の増殖性のゼラチン状の塊は、ほとんどの場合に生じ、上に記載した上皮で覆われた要素の前駆物質と仮定される(Margesson及びDanby(2014)を参照のこと)。本明細書で使用する場合、表現「HS疾患進行を遅らせること」は、上に記載したHS疾患過程の様相のいずれか、特に炎症反応の進行速度を減速させることを意味する。本開示のいくつかの実施態様では、IL-17アンタゴニスト(例えばセクキヌマブ)での治療は、HS疾患進行を遅らせる。
患者におけるHSの再発には、丘疹、膿疱又は炎症性小結節、疼痛及びそう痒、膿瘍、排膿、及びこれらのあらゆる組み合わせの発生が含まれる。本明細書で使用する場合、「HS紅斑」(など)は、ベースラインに対する2ANの最小の増大を伴う、膿瘍及び炎症性小結節の数(AN)の少なくとも25%の増加と定義される。本開示のいくつかの実施態様では、開示した方法に従うIL-17アンタゴニスト(例えばセクキヌマブ)での治療は、HS紅斑を予防する、HS紅斑の重症度を低下させる、及び/又はHS紅斑の頻度を低下させる。いくつかの実施態様では、HS患者の集団が、開示した方法に従って治療される場合、5%未満、10%未満、15%未満、又は20%未満が、最初の16週の治療中に、紅斑を経験する。
本明細書で使用する場合、表現「HS紅斑の重症度を低下させること」などは、HS紅斑の強度を軽減させること、例えば、膿瘍及び/又は炎症性小結節の数及び/又はサイズを低下させること、ある特定の紅斑構成成分の強さを低下させること(例えば、膿瘍及び/又は炎症性小結節の数、サイズ、厚さなどを低下させること、皮膚刺激性(そう痒、疼痛)などの程度を軽減させること)、及び/又は紅斑(若しくはその構成成分)が持続する時間の量を低下させることを意味する。
本明細書で使用する場合、表現「HS紅斑の頻度を低下させること」などは、HS紅斑の発生率を低下させること、例えば、膿瘍及び/又は炎症性小結節の発生率を低下させることを意味する。HS紅斑の頻度を低下させることによって、患者は、より少ないHS再発を経験することとなる。紅斑の発生率は、患者を経時的に観察して紅斑の有病率が低下したかどうかを判定することによって評価することができる。
本明細書で使用する場合、表現「HS紅斑を予防すること」は、将来的なHS紅斑及び/又は紅斑構成成分を排除することを意味する。
HS治療の有効性は、HS病態及び/又はHS臨床反応を測定する、様々な公知の方法及び手段を使用して評価することができる。いくつかの例としては、例えば、Hurleyのステージ分類、Sartoriusスコア、改変Sartoriusスコア、HS医師総合評価(HS-PGA)スコア、皮膚関連の疼痛を評価するための視覚的アナログスケール(VAS)又は数値評価スケール(NRS)、皮膚疾患の生活の質指標(DLQI)、膿瘍と炎症性小結節の合計に基づくHS臨床反応(HiSCR)、簡易HiSCR、EuroQuol-5D(EQ5D)、病因における不安と抑うつの尺度(hospital anxiety and depression scale)、医療資源活用(healthcare resources utilization)、化膿性汗腺炎重症度指標(Hidradenitis Suppurativa Severity Index)(HSSI)、作業生産性指標(Work productivity index)(WPI)、炎症体表面積(inflamed body surface area)(BSA)、反対型ざ瘡重症度指標(Acne Inversa Severity Index)(AISI)などが挙げられる(例えば、Deckers and Prens(2016)Drugs 76:215-229;Sartorius et al.(2009)Br.J.Dermatol 161:831-39;Chiricozzi et al.(2015)Wounds 27(10):258-264を参照のこと)。いくつかの実施態様では、HS患者は、HS治療に反応して、HiSCRを達成する。いくつかの実施態様では、HS患者の集団が、開示した方法に従って治療される場合、少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも61%、又は少なくとも71%が、治療の第16週までに、HiSCRを達成する。
治療反応に対する好ましいスコアリングシステムは、HiSCR、簡易HiSCR、NRS(特にNRS30)、改変Sartoriusスコア、HS-PGA、炎症性病変数(膿瘍、炎症性小結節、及び/又は排膿瘻孔の数)、及びDLQIである。
化膿性汗腺炎臨床反応(Hidradenitis Suppurativa Clinical Response)(HiSCR)は、HS治療に対する臨床反応の尺度である。治療に対する(ベースラインと比較した)HiSCR反応は、次の通りである:1)膿瘍及び炎症性小結節の少なくとも50%の減少、及び2)膿瘍の数の増加なし、及び3)排膿瘻孔の数の増加なし。本明細書で使用する場合、「簡易HiSCR」又は「sHiSCR」は、病変の進行を評価する場合にベースライン(上記、2))に対する膿瘍計数を含まない、改変されたHiSCRを指す。好ましい実施態様では、HS患者は、HS治療に反応して、簡易HiSCRを達成する。いくつかの実施態様では、HS患者の集団が、開示した方法に従って治療される場合、少なくとも41%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも61%、又は少なくとも71%が、治療の第16週までに、簡易HiSCRを達成する。
疼痛は、数値評価スケール(NRS)を使用して評価することができる。いくつかの実施態様では、HS患者は、HS治療に反応して、NRSの向上を達成する。NRS30は、3以上のベースラインスコアを有する患者におけるベースラインからの、疼痛の少なくとも30%軽減、且つ皮膚疼痛の患者の総合評価(Patient’s Global Assessment(PGA)of Skin Pain)におけるベースラインからの少なくとも1単位の減少と定義される。いくつかの実施態様では、HS患者は、HS治療に反応して、NRS30を達成する。いくつかの実施態様では、HS患者の集団が、開示した方法に従って治療される場合、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、又は少なくとも60%が、治療の第16週までに、NRS30を達成する。
DLQIは、最も確立された皮膚科の生活の質の測定手段である。これは、前の週の間の日常生活活動の感情及び別の面に対する皮膚疾患の影響に関する質問から構成される。各質問は、0(全くそうではない)から3(非常にそうである)までスコア付けされる。合計30ポイントが最大スコアであり、ここでは、患者の生活に対して、0~1は影響なし、2~5は小さい、6~10は中程度の、11~20は非常に大きい、及び21~30は極めて大きい影響であるとみなされる(Finlay及びKhan(1994)Clin Exp Dermatol 19:210-16を参照のこと)。いくつかの実施態様では、HS患者は、HS治療に反応して、DLQIの向上を達成する。
Sartorius HSスコア(HSスコア、又はHSSとも呼ばれる)は、HS患者における侵襲された領域、小結節、及び洞管を計数することによって付けられる(Sartorius et al.(2003)Br J Dermatol 149:211-13)。改変Sartorius HSスコアは、使用をより実用的にする少しの単純化、例えば、スコアに含める個々の病変をより少なくすること、各パラメータに対して与えられる点の数への変更などを行うことによる、元のバージョンのHSSの改正版である(Sartorius et al.(2009)Br.J Dermatol.161:831-839)。いくつかの実施態様では、HS患者は、HS治療に反応して、改変Sartorius HSの向上を達成する。
HS医師総合評価(HS-PGA)は、HS病変(すなわち、膿瘍、排膿瘻孔、炎症性小結節、及び非炎症性小結節)の数に基づく、6つの尺度の評価スケール(スコア範囲0~5)である(Chiricozzi et al.(2015)Wounds 27(10):258-264)。いくつかの実施態様では、HS患者は、HS治療に反応して、HS-PGAの向上を達成する。いくつかの実施態様では、HS患者は、HS治療に反応して、ベースラインからの少なくとも2等級の向上を伴う、問題のない(clear)、最小の、又は軽症のHS-PGAスコアを達成する。
いくつかの実施態様では、患者は、主張した方法に従って、少なくとも36週、少なくとも48週、少なくとも52週、又は少なくとも2年間、HSについて治療される。いくつかの実施態様では、HS患者の集団が、開示した方法に従って治療される場合、第16週までに治療に反応した患者(例えば、第16週までにHiSCR又は簡易HiSCRを達成する患者)の少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%は、治療の1年(52週)後に、反応を持続していた。本明細書で使用する場合、用語「持続した」は、転帰又は目標(例えば、疼痛軽減、炎症軽減)が、所与の時間、実質的に維持されることを意味する。
本明細書で使用する場合、表現「中等症から重症の」は、患者が少なくとも2つの異なる解剖学的領域に影響を及ぼす≧5個の活動期の炎症性病変[すなわち、膿瘍及び/又は炎症性小結節]を有するHS疾患を指す。いくつかの実施態様では、HS患者は、を中等症から重症のHS疾患を有する。
いくつかの実施態様では、患者は、少なくとも1年間、HSと診断されている。
いくつかの実施態様では、患者は、HSの結果としての広範な瘢痕化を有しない(すなわち、排膿又は排膿されていない<20個の瘻孔)。
いくつかの実施態様では、患者は、従来の全身的HS治療法に対する不適切な反応を以前に示した
いくつかの実施態様では、患者は、中等症から重症のHSを有する青年期の患者(≧12歳)である。いくつかの実施態様では、患者は、中等症から重症のHSを有する成人の患者である。
いくつかの実施態様では、主張した方法に従う治療に反応して、患者は、初回投薬の早ければ1週後に、VAS又はNRSによって測定される疼痛の迅速な軽減を経験する。
いくつかの実施態様では、患者には全身療法が適応である、すなわち、HS疾患は全身的介入を必要とするのに十分に重症である(例えば、>5% BSA、HurleyステージII又はIIなど)。
いくつかの実施態様では、患者は、HSを有する成人のヒト患者である。いくつかの実施態様では、患者は、HSを有する小児のヒト患者である。小児患者を定義するために使用される年齢の上限は、専門家の間で異なり、21歳という年齢までの青年が含まれ得る(例えば、Berhman RE,Kliegman R,Arvin AM,Nelson WE.Nelson Textbook of Pediatrics,15th Ed.Philadelphia:W.B.Saunders Company;1996;2.Rudolph AM,et al.Rudolph’s Pediatrics,21st Ed.New York:McGraw-Hill;2002;及びAvery MD,First LR.Pediatric Medicine,2nd Ed.Baltimore:Williams&Wilkins;1994を参照のこと)。本明細書で使用する場合、用語「小児の」は、一般に、≧16歳(これは、米国FDAによって使用されるヒト小児の定義である)であるヒトを指す。しかし、小児患者の他の例としては、≧14歳及び≧12歳のヒトが挙げられる。
いくつかの実施態様では、小児患者は、第0、1、2、3、及び4週の間、次いで、その後2週毎に、患者の体重にかかわらず約300mgの用量としてのIL-17抗体(例えばセクキヌマブ)(毎週)のSC投与を施される。
いくつかの実施態様では、小児患者は、第0、1、2、3、及び4週の間、次いで、その後4週毎に(毎月)、患者の体重にかかわらず約300mgの用量としてのIL-17抗体(例えばセクキヌマブ)(毎週)のSC投与を施される。
いくつかの実施態様では、小児患者は、第0、1、2、3、及び4週の間、次いで、その後2週毎又は4週毎に、患者の体重が<25kgであるならば約75mg、又は患者の体重が>25kgであるならば150mgの用量としてのIL-17抗体(例えばセクキヌマブ)(毎週)のSC投与を施される。いくつかの実施態様では、小児患者は、第0、1、2、3、及び4週の間、次いで、その後2週毎又は4週毎に、患者の体重が<50kgであるならば約75mg、又は患者の体重が>50kgであるならば150mgの用量としてのIL-17抗体(例えばセクキヌマブ)(毎週)のSC投与を施される。
いくつかの実施態様では、小児患者は、第0、1、2、3、及び4週の間、次いで、その後2週毎又は4週毎に、患者の体重が<25kgであるならば約150mg、又は患者の体重が>25kgであるならば300mgの用量としてのIL-17抗体(例えばセクキヌマブ)(毎週)のSC投与を施される。いくつかの実施態様では、小児患者は、第0、1、2、3、及び4週の間、次いで、その後2週毎又は4週毎に、患者の体重が<50kgであるならば約150mg、又は患者の体重が>50kgであるならば300mgの用量としてのIL-17抗体(例えばセクキヌマブ)(毎週)のSC投与を施される。
いくつかの実施態様では、主張した方法に従う治療に反応して、患者は、早ければ初回投薬の1週後に、標準のCRP測定又は高感度CRP(hsCRP)測定によって測定されるCRPの迅速な低下を経験する。本明細書で使用する場合、「C反応性タンパク質」及び「CRP」は、血清C反応性タンパク質、すなわち、炎症に対する急性期反応の指標として一般に使用される血漿タンパク質を指す。血漿中のCRPのレベルは、あらゆる濃度(例えば、mg/dl、nmol/L)で示すことができる。CRPのレベルは、様々な標準の測定法、例えば、放射免疫拡散法、エレクトロイムノアッセイ、免疫比濁法、ELISA、比濁法、蛍光偏光イムノアッセイ、及びレーザー比濁分析法によって測定することができる。CRPについて検査することは、標準のCRP検査又は高感度CRP(hs-CRP)検査(すなわち、レーザー比濁分析法を使用して試料中の低レベルのCRPを測定することが可能である高感度検査)を用いることができる。CRPのレベルを検出するためのキットは、様々な会社、例えば、Calbiotech,Inc、Cayman Chemical、Roche Diagnostics Corporation、Abazyme、DADE Behring、Abnova Corporation、Aniara Corporation、Bio-Quant Inc.、Siemens Healthcare Diagnosticsなどから購入することができる。
IL-17アンタゴニスト、例えばIL-17結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL-17受容体結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片)は、薬学的に許容し得る担体と組み合わせた場合、医薬組成物として使用することができる。こうした組成物は、IL-17アンタゴニストに加えて、担体、種々の希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定剤、可溶化剤及び当技術分野で周知の他の材料を含有することができる。担体の特性は、投与経路に依存する。開示した方法に使用するための医薬組成物は、標的とされる特定の障害の治療のための追加の治療薬も含有することができる。例えば、医薬組成物は、抗炎症剤も含むことができる。医薬組成物中にこうした追加の因子及び/又は薬剤を含めて、IL-17結合分子との相乗効果を生じるか、又はIL-17アンタゴニスト、例えばIL-17結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL-17受容体結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片)によって引き起こされる副作用を最小限にすることができる。好ましい実施態様では、開示した方法に使用するための医薬組成物は、150mg/mlのセクキヌマブを含む。
開示した方法に使用するための医薬組成物は、従来の方式で製造することができる。一実施形態では、医薬組成物は、凍結乾燥形態で提供される。即時投与のために、これは、好適な水性の担体、例えば注射のための滅菌水又は滅菌した緩衝生理食塩水に溶解される。ボーラス注射ではない注入による投与のためのより大きい体積の溶液を構成することが望ましいと考えられる場合、製剤時、ヒト血清アルブミン又は患者自身のヘパリン処理した血液を生理食塩水に組み込むことが好都合である可能性がある。過剰量のこうした生理学的に不活性なタンパク質の存在は、注入溶液と共に使用される容器及び管の壁への吸着による抗体の喪失を予防する。アルブミンが使用される場合、好適な濃度は、生理食塩溶液の重量に対して0.5~4.5%である。他の製剤は、すぐに使用できる液体製剤を含む。
抗体、例えばIL-17に対する抗体は、典型的には、直ちに非経口投与可能な水性の形態において又は投与前の好適な希釈剤での再構成のための凍結乾燥物として製剤化される。開示した方法及び使用の好ましい実施態様では、IL-17アンタゴニスト、例えばIL-17抗体、例えばセクキヌマブは、すぐに使用できる(すなわち、安定なすぐに使用できる)液体医薬製剤として製剤化される。開示した方法及び使用のいくつかの実施形態では、IL-17アンタゴニスト、例えばIL-17抗体、例えばセクキヌマブは、凍結乾燥物として製剤化される。好適な凍結乾燥物製剤は、皮下投与を可能にするために小体積の液体(例えば、2ml以下、例えば2ml、1ml等)に再構成することができ、低レベルの抗体凝集を伴う溶液を提供することができる。医薬の活性成分としての抗体の使用は、HERCEPTIN(商標)(トラスツズマブ)、RITUXAN(商標)(リツキシマブ)、SYNAGIS(商標)(パリビズマブ)という製品などを含めて、現在、広く普及している。医薬グレードへの抗体の精製のための技術は、当技術分野で周知である。治療有効量のIL-17アンタゴニスト、例えばIL-17結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL-17受容体結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片)が静脈内、皮膚又は皮下注射によって投与される場合、IL-17アンタゴニストは、パイロジェンフリーの非経口的に許容し得る溶液の形態となるであろう。静脈内、皮膚又は皮下注射のための医薬組成物は、IL-17アンタゴニストに加えて、塩化ナトリウム、リンゲル液、デキストロース、デキストロースと塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液などの等張性ビヒクル又は当技術分野で公知の他のビヒクルを含有することができる。
本開示の治療又は使用の方法のいくつかを実施する際、治療有効量のIL-17アンタゴニスト、例えばIL-17結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL-17受容体結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片)が患者、例えば哺乳類(例えば、ヒト)に投与される。開示した方法は、IL-17アンタゴニスト(例えば、セクキヌマブ)を使用してHS患者の治療を提供することが理解されるが、これは、患者が最終的にIL-17アンタゴニストで治療される場合、こうしたIL-17アンタゴニスト療法が必然的に単剤療法であることを排除しない。実際、患者がIL-17アンタゴニストでの治療について選択される場合、IL-17アンタゴニスト(例えば、セクキヌマブ)は、本開示の方法に従って、単独で又はHS患者を治療するための他の薬剤及び治療法と組み合わせて、例えば少なくとも1種の追加のHS薬と組み合わせて投与することができる。1種又は複数の追加のHS薬と共投与される場合、IL-17アンタゴニストは、他の薬剤と同時に又は連続的に投与することができる。連続的に投与される場合、担当する医師は、他の薬剤と組み合わせてIL-17アンタゴニストを投与する適切な順序及び共送達のための適切な投薬量を決定する。
様々な治療法を、HSの治療中の、セクキヌマブなどの開示したIL-17抗体と有益に組み合わせることができる。こうした従来の治療法には、局所的治療(クリーム[非ステロイド性又はステロイド性]、洗浄剤、消毒剤)、全身治療(例えば、生物製剤、抗生物質、ホルモン、レチノイド、又は化学的実体を用いる)、消毒剤、光線力学療法、及び外科的介入(レーザー、排膿又は切開、切除)が含まれる。追加の組み合わせ療法としては、JAK阻害剤の使用、IL-23標的化治療(例えばグセルクマブ)、マイクロバイオーム治療、及び硬化療法が挙げられる。
セクキヌマブなどの開示したIL-17抗体と共に使用するための局所用HS薬剤の非限定的な例としては、過酸化ベンゾイル、外用ステロイドクリーム、アミノグリコシド系の外用抗生物質、例えばクリンダマイシン、ゲンタマイシン、及びエリスロマイシンなど、レゾルシノールクリーム、ヨードスクラブ(iodine scrub)、及びクロルヘキシジンが挙げられる。
セクキヌマブなどの開示したIL-17抗体と共に使用するための全身治療に使用されるHS薬剤の非限定的な例としては、さらに、IL-17アンタゴニスト(イキセキズマブ、ブロダルマブ、CJM112)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)遮断薬(Enbrel(登録商標)(エタネルセプト)、Humira(登録商標)(アダリムマブ)、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ)、及びSimponi(登録商標)(ゴリムマブ)など)、インターロイキン12/23遮断薬(Stelara(登録商標)(ウステキヌマブ)、タソシチニブ、及びブリアキヌマブなど)、p19阻害剤、PDE4阻害剤、ロイコトリエンA4ヒドロラーゼ阻害剤、補体経路阻害剤、C5a阻害剤、IL-1アンタゴニスト(カナキヌマブ、リロナセプト、アナキンラ)、CXCR1/2阻害剤、IL-18アンタゴニスト、IL-6アンタゴニスト、CD20アンタゴニスト、CTLA4アンタゴニスト、IL-8アンタゴニスト、B細胞枯渇剤(depletor)(特にCD20アンタゴニスト、並びにBAFF-R及びCD40アンタゴニスト)、IL-21アンタゴニスト、IL-22アンタゴニスト、VEGFアンタゴニスト、CXCLアンタゴニスト、MMPアンタゴニスト、及びデフェンシンアンタゴニスト(例えば、受容体デコイ、アンタゴニスト抗体など)が挙げられる。
HSの治療中の、セクキヌマブなどの開示したIL-17抗体と組み合わせた使用のための追加のHS薬剤としては、レチノイド、例えばアシトレチン(例えば、Soriatane(登録商標))及びイソトレチノインなど、免疫系抑制剤(例えば、ラパマイシン、T細胞遮断薬[例えば、Amevive(登録商標)(アレファセプト)及びRaptiva(登録商標)[エファリズマブ])、シクロスポリン、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸、レフルノミド、タクロリムスなど)、ヒドロキシ尿素(例えば、Hydrea(登録商標))、スルファサラジン、6-チオグアニン、フマレート(例えば、フマル酸ジメチル及びフマル酸エステル)、アザチオプリン、コルヒチン、アリトレチノイン、ステロイド、副腎皮質ステロイド、セルトリズマブ、アプレミラスト、モメタゾン、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、ボツリヌス毒素、トリアムシノロン、IFX-1(InflaRx)、ビメキズマブ(UCB)、MaBp1(XBiotech)、LY-3041658(Eli Lilly)、TE-2232(Immunwork)、NSAID、処方薬の麻薬、ケトプロフェン、コデイン、ガバペンチン、プレガバリンゲンタニル(pregabalin gentanyl)、抗生物質(外用、経口用、IV)(例えば、クリンダマイシン、リファンピン、テトラサイクリン、サレサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、リメサイクリン、トリメトプリム-スルファメトキサゾール、エリスロマイシン、セフトリアキソン、モキシフロキサシン、メトロニダゾール、単独で又は組み合わせとして)、副腎皮質ステロイド(注射用又は経口用)、抗アンドロゲン/ホルモン療法(経口避妊薬、スピロノラクトン、フィナステリド、デュタステリド、プロゲステロンIUD、酢酸シプロテロン、エチニルエストラジオール、ゲストデン、ノルゲスチメート、デソゲストレル、ドロスピレノン、スピロノラクトン)、トリアムシノロンアセトニド、MEDI8968、ヒドロキシクロロキン、ダプソン、メトホルミン、アダパレン、アゼライン酸、及び亜鉛が挙げられる。
開示したキット、方法、及び使用に使用するための好ましい組み合わせには、TNFα阻害剤(例えばアダリムマブ)又はIL-1β遮断薬(例えばカナキヌマブ)と組み合わせた、IL-17結合分子(例えばIL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL-17受容体結合分子(例えばIL-17受容体抗体又はその抗原結合断片)が含まれる。
当業者は、セクキヌマブなどの開示したIL-17抗体との共送達のための、上述のHS薬剤の適切な投薬量を認識することができるであろう。
IL-17アンタゴニスト、例えばIL-17結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL-17受容体結合分子(例えば、IL-17受容体抗体又はその抗原結合断片)は、好都合には、非経口的に、例えば静脈内に(例えば、肘前他の末梢静脈に)、筋肉内に又は皮下に投与される。本開示の医薬組成物を使用する静脈内(IV)療法の期間は、治療される疾患及び状態の重症度並びにそれぞれ個々の患者の個別の反応に応じて変動する。企図されるのは、本開示の医薬組成物を使用する皮下(SC)療法でもある。医療提供者は、本開示の医薬組成物を使用する、IV又はSC療法の適切な期間及びこの療法の投与のタイミングを決定する。好ましい実施態様では、IL-17アンタゴニスト(例えばセクキヌマブ)は、皮下(SC)経路を介して投与される。
IL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL-17受容体結合分子(例えば、IL-17受容体抗体又はその抗原結合断片)は、例えば、第0、2、及び4週中、1週おきに、約10mg/kgで、患者に静脈内(IV)投与し、その後、例えば、第6週中に開始し、2週毎に、約300mg~約450mg(例えば、約300mg、約450mg)で、患者に皮下(SC)投与することができる。この方式では、患者は、第0、2、4週中、約10mg/kgをIV投与することができ、次いで、第6、8、10、12、14週、その他の間、約300mg~約450mg(例えば、約300mg、約450mg)のIL-17アンタゴニスト(例えばセクキヌマブ)をSC投与される。
或いは、IL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL-17受容体結合分子(例えば、IL-17受容体抗体又はその抗原結合断片)は、例えば、第0、2、及び4週中、1週おきに、約10mg/kgで、患者に静脈内(IV)投与し、その後、例えば、第8週中に開始し、毎月(4週毎に)、約300mg~約450mg(例えば、約300mg、約450mg)で、患者に皮下(SC)投与することができる。この方式では、患者は、第0、2、4週中、約10mg/kgをIV投与することができ、次いで、第8、12、16、20週、その他の間、約300mg~約450mg(例えば、約300mg、約450mg)のIL-17アンタゴニスト(例えばセクキヌマブ)をSC投与される。
或いは、IL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL-17受容体結合分子(例えば、IL-17受容体抗体又はその抗原結合断片)は、例えば、第0、1、2、及び3週中、毎週、約300mg~約450mg(例えば、約300mg、約450mg)で、患者にSC投与し、その後、例えば、第4週中に開始し、2週毎に、約300mg~約450mg(例えば、約300mg、約450mg)で、患者にSC投与することができる。この方式では、患者は、第0、1、2、3、4、6、8、10、12週、その他の間、約300mg~約450mg(例えば、約300mg、約450mg)のIL-17アンタゴニスト(例えばセクキヌマブ)をSC投与される。
好ましくは、IL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL-17受容体結合分子(例えば、IL-17受容体抗体又はその抗原結合断片)は、例えば、第0、1、2、及び3週中、毎週、約300mg~約450mg(例えば、約300mg、約450mg)で、患者にSC投与し、その後、例えば、第4週中に開始し、毎月(4週毎に)、約300mg~約450mg(例えば、約300mg、約450mg)で、患者にSC投与することができる。この方式では、患者は、第0、1、2、3、4、8、12、16、20週、その他の間、約300mg~約450mg(例えば、約300mg、約450mg)のIL-17アンタゴニスト(例えばセクキヌマブ)をSC投与される。
或いは、IL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL-17受容体結合分子(例えば、IL-17受容体抗体又はその抗原結合断片)は、維持レジメン中に、30mcg/mL超、40mgc/mL超、60mcg/mL超、80mcg/mL超、又は100mcg/mL超のトラフ濃度を提供するのに十分な用量で患者にSC投与することができる。
より好ましくは、IL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL-17受容体結合分子(例えば、IL-17受容体抗体又はその抗原結合断片)は、負荷レジメンを伴わずに、患者に投与することができる。例えば、このアンタゴニストは、2週毎に、約300mg~約450mg(例えば、約300mg、約450mg)で、患者にSC投与することができる。この方式では、患者は、第0、2、4、6、8、12週、その他の間、約300mg~約450mg(例えば、約300mg、約450mg)のIL-17アンタゴニスト(例えばセクキヌマブ)をSC投与される。
或いは、IL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL-17受容体結合分子(例えば、IL-17受容体抗体又はその抗原結合断片)は、負荷レジメンを伴わずに、患者に投与することができる。例えば、このアンタゴニストは、4週毎に、約300mg~約450mg(例えば、約300mg、約450mg)で、患者にSC投与することができる。この方式では、患者は、第0、4、8、12、16、20週、その他の間、約300mg~約450mg(例えば、約300mg、約450mg)のIL-17アンタゴニスト(例えばセクキヌマブ)をSC投与される。
或いは、IL-17アンタゴニスト、例えばIL-17抗体、例えばセクキヌマブは、病巣内注射を使用して局所的に、また、(例えば、Rani Therapeutics技術、例えば、米国特許第8,734,429号;第9,492,378号;第9,456,988号;第9,415,004号;第9,6297,99号;第9,757,548号;第9,757,514号;第9,402,806号明細書;米国特許出願公開第2017/0189659号、第2017/0100459号明細書に記述した技術を使用して腸管腔に)経口的に送達することもできる。
ある種の患者、例えば、治療の第12週、第16週、第20週、第24週、第48週、又は第52週までに、IL-17アンタゴニスト、例えばIL-17結合分子(例えばIL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL-17受容体結合分子(例えば、IL-17受容体抗体又はその抗原結合断片)での治療に対して(例えば、本明細書で開示したHSスコアリングシステムのいずれか、例えば、HiSCR、簡易HiSCR、NRS[特にNRS30]、改変Sartoriusスコア、HS-PGA、炎症性病変数(膿瘍、炎症性小結節、及び/又は排膿瘻孔の数)、DLQIなどによって測定された場合に)不十分な反応を呈するHS患者にとっては、用量漸増が必要とされる可能性があることが理解されよう。したがって、セクキヌマブのSC投薬量は、約300mg~約450mg(SC)、例えば、約350mg、約400mg、約450mg(元々300mg用量の場合);約500mg、約550mg、約600mg(元々450mg用量の場合)などよりも大きい可能性があり;同様に、IV投薬量は、約10mg/kg、例えば、約11mg/kg、12mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kgなどよりも大きい可能性がある。ある種の患者、例えば、IL-17アンタゴニスト(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)での治療に対する有害事象又は有害反応を呈するHS患者にとっては、用量低下が必要とされる可能性もあることも理解されよう。したがって、IL-17アンタゴニスト(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)の投薬量は、約300mg~約450mg(SC)、例えば、約250mg、約200mg、約150mg(元々300mg用量の場合);約400mg、約350mg、約300mg(元々450mg用量の場合)などよりも小さい可能性がある。同様に、IV投薬量は、約10mg/kg、例えば、約9mg/kg、8mg/kg、5mg/kg、4mg/kg、3mg/kg、2mg/kg、1mg/kgなどよりも小さい可能性がある。いくつかの実施態様では、IL-17アンタゴニスト、例えば、IL-17結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)又はIL-17受容体結合分子(例えば、IL-17受容体抗体又はその抗原結合断片)は、300mg又は450mg(SC送達)の初回用量で患者に投与することができ、この用量はその後、医師によって決定される通りに、必要に応じて、約450mg(元々300mg用量の場合)又は約600mg(元々450mg用量の場合)に漸増させることができる。
本明細書で使用する場合、「固定用量」は、一定の用量、すなわち、患者の特性にかかわらず変更されない用量を指す。したがって、固定用量は、体表面積に基づく用量又は体重に基づく用量(典型的にはmg/kgとして与えられる)などの可変の用量とは異なる。開示した方法、使用、医薬組成物、キットなどの好ましい実施態様では、HS患者は、固定用量のIL-17抗体、例えば、固定用量のセクキヌマブ、例えば、固定用量の約75mg~約450mgのセクキヌマブ、例えば、約75mg、約150mg、約300mg、約400mg、又は約450mgのセクキヌマブを投与される。
投薬のタイミングは、一般に、セクキヌマブの第1の投与の日(「ベースライン」としても公知である)から測定される。しかし、医療提供者はしばしば、表3に示す通りの、投薬スケジュールを明確にするための異なる命名規則を使用する。
特に、第0週は、医療提供者によっては第1週とみなされる可能性があり、一方で、第0日は、医療提供者によっては第1日とみなされる可能性がある。したがって、異なる医師が、同じ投薬スケジュールを指すのに、例えば、3週の間/第21日に、3週の間/第22日に、4週の間/第21日に、4週の間/第22日に、ある用量が与えられると称することとなる可能性がある。一貫性を保つために、投薬の最初の週は、本明細書では、第0週とみなすこととするのに対して、投薬の最初の日は、第1日とみなすこととする。しかし、この命名規則は、単に一貫性を保つために使用され、制限的なものと解釈されるべきではない、すなわち、医師が、ある特定の週を「第1週」と呼ぶか「第2週」と呼ぶかにかかわらず、毎週の投薬は、IL-17抗体の毎週の用量の規定であることが、当業者によって理解されよう。
ある投薬レジメンでは、抗体は、第0、1、2、3、4、8、12、16、20週、その他の間に投与される。このレジメンを、5週間毎週、次いでその後、第8週中に開始し毎月(又は4週毎に)と称する可能性がある提供者がいるのに対して、このレジメンを、4週間毎週、次いでその後、第4週中に開始し毎月(又は4週毎に)と称する可能性がある提供者もいる。第0、1、2、及び3週での注射、それに続く第4週に開始する月1回の投薬を患者に施すことは以下と同じであることが、当業者によって理解されるであろう:1)第0、1、2、3、及び4週での注射、それに続く第8週に開始する月1回の投薬を患者に施すこと;2)第0、1、2、3、及び4週での注射、それに続く4週毎の投薬を患者に施すこと;及び3)第0、1、2、3、及び4週での注射、それに続く毎月の投与を患者に施すこと。
ある投薬レジメンでは、抗体は、第0、1、2、3、4、6、8、10、12週、その他の間に投与される。このレジメンを、5週間毎週、次いでその後、第6週中に開始し1週おきに(又は2週毎に)と称する可能性がある提供者がいるのに対して、このレジメンを、4週間毎週、次いでその後、第4週中に開始し1週おきに(又は2週毎に)と称する可能性がある提供者もいる。第0、1、2、及び3週での注射、それに続く第4週に開始する1週おきの(又は2週毎の)投与を患者に施すことは以下と同じであることが、当業者によって理解されるであろう:1)第0、1、2、3、及び4週での注射、それに続く第6週に開始する1週おきの(又は2週毎の)投薬を患者に施すこと;2)第0、1、2、3、及び4週での注射、それに続く2週毎の投薬を患者に施すこと;及び3)第0、1、2、3、及び4週での注射、それに続く1週おきの投与を患者に施すこと。
本明細書で使用する場合、表現「[指定された用量]の[投与経路]送達を可能にするための投薬量で製剤化される」は、所与の医薬組成物が、指定された投与経路(例えば、SC又はIV)を介して、所望される用量のIL-17アンタゴニスト、例えばIL-17抗体、例えばセクキヌマブを提供するために使用できることを意味するために使用される。一例として、所望されるSC用量が300mgである場合、臨床医は、150mg/mlの濃度を有するIL-17抗体製剤の2ml、300mg/mlの濃度を有するIL-17抗体製剤の1ml、600mg/mlの濃度を有するIL-17抗体製剤の0.5mlなどを使用することができる。こうした各場合において、これらのIL-17抗体製剤は、IL-17抗体の皮下送達を可能にするのに十分に高い濃度である。皮下送達は、典型的には、約2ml以下の体積、好ましくは約1ml以下の体積の送達を必要とする。好ましい製剤は、約25mg/mL~約150mg/mLセクキヌマブ、約10mM~約30mMヒスチジン(pH5.8)、約200mM~約225mMトレハロース、約0.02%ポリソルベート80及び約2.5mM~約20mMメチオニンのすぐに使用できる液体医薬組成物である。
本明細書で使用する場合、表現「[指定された用量]の送達を可能にするのに十分な量のIL-17アンタゴニストを有する容器」は、所与の容器(例えば、バイアル、ペン(pen)、シリンジ)が、所望される用量を提供するために使用することができる、(例えば、医薬組成物の一部としての)ある体積のIL-17アンタゴニストをその中に配置していることを意味するために使用される。一例として、所望される用量が300mgである場合、臨床医は、150mg/mlの濃度を有するIL-17抗体製剤を含有する容器からの2ml、300mg/mlの濃度を有するIL-17抗体製剤を含有する容器からの1ml、600mg/mlの濃度を有するIL-17抗体製剤を含有する容器からの0.5mlなどを使用することができる。こうした各場合において、これらの容器は、所望される300mg用量の送達を可能にするのに十分な量のIL-17アンタゴニストを有する。
開示した使用、方法、及びキットのいくつかの実施態様では、IL-17抗体(例えばセクキヌマブ)又はその抗原結合断片の用量は、約300mgであり、IL-17抗体(例えばセクキヌマブ)又はその抗原結合断片は、150mg/mlの濃度で液体医薬製剤中に含まれ、2mlの医薬製剤が、2本のプレフィルドシリンジ、ペン型注射器、又は自己注射器(それぞれ1mlの医薬製剤を有する)に配分される。この場合、患者は、各投与中、300mgの総用量について、それぞれ1mlの2回の注射を受ける。いくつかの実施態様では、IL-17抗体(例えばセクキヌマブ)又はその抗原結合断片の用量は、約300mgであり、IL-17抗体(例えばセクキヌマブ)又はその抗原結合断片は、150mg/mlの濃度で液体医薬製剤中に含まれ、2mlの医薬製剤が、自己注射器又はPFSに配分される。この場合、患者は、各投与中、300mgの総用量について、2mlの1回の注射を受ける。2mlの1回の注射を用いる(例えば、単回のPFS又は自己注射器を介する)方法(すなわち「単回投与調製物」)では、薬物曝露(AUC)及び最大濃度(Cmax)は、1mlの2回の注射を用いる(例えば、2回のPFS又は2回のAIを介する)方法(すなわち、「反復投与調製物」)と等しい(同様である、すなわち、米国FDA標準による許容変動の範囲内である)。
本明細書で開示したのは、化膿性汗腺炎(HS)を治療する方法であって、第0、1、2、及び3週中、毎週、約300mg~約450mgの用量のIL-17抗体(例えばセクキヌマブ)又はその抗原結合断片を、それを必要とする患者に皮下(SC)投与し、その後、a)第4週中に開始し、毎月(4週毎に);又はb)第4週中に開始し、1週おきに(2週毎に)、約300mg~約450mgの用量でSC投与することを含む方法である。本明細書で開示したのはまた、第0、1、2、及び3週中、毎週、約300mg~約450mgの用量のIL-17抗体又はその抗原結合断片を、それを必要とする患者に皮下(SC)投与し、その後、a)第4週中に開始し、毎月(4週毎に);又はb)第4週中に開始し、1週おきに(2週毎に)、約300mg~約450mgの用量でSC投与することを含む、HSを治療するのに使用するためのIL-17抗体(例えばセクキヌマブ)又はその抗原結合断片である。或いは、本明細書で開示したのは、第0、1、2、及び3週中、毎週、約300mg~約450mgの用量のIL-17抗体又はその抗原結合断片を、それを必要とする患者に皮下(SC)投与し、その後、a)第4週中に開始し、毎月(4週毎に);又はb)第4週中に開始し、1週おきに(2週毎に)、約300mg~約450mgの用量でSC投与することを含む、HSを治療するための医薬品の製造に使用するためのIL-17抗体(例えばセクキヌマブ)又はその抗原結合断片である。
本明細書で開示したのは、化膿性汗腺炎(HS)を治療する方法であって、第0、1、2、及び3週中、毎週、約300mg~約450mgの用量のIL-17抗体(例えばセクキヌマブ)又はその抗原結合断片を、それを必要とする患者に皮下(SC)投与し、その後、a)第4週中に開始し、毎月(4週毎に);又はb)第4週中に開始し、1週おきに(2週毎に)、約300mg~約450mgの用量でSC投与することを含む方法であり、ここでは、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、2本の成熟したIL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモ二量体のエピトープに結合し、前記エピトープは、一方の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129と、他方の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80とを含み、ここでは、IL-17抗体は、バイオセンサーシステム(例えばBIACORE)によって測定される場合に約100~200pMのKDを有し、且つ、IL-17抗体は、約23から約30日というインビボでの半減期を有する。本明細書で開示したのはまた、第0、1、2、及び3週中、毎週、約300mg~約450mgの用量のIL-17抗体又はその抗原結合断片を、それを必要とする患者に皮下(SC)投与し、その後、a)第4週中に開始し、毎月(4週毎に);又はb)第4週中に開始し、1週おきに(2週毎に)、約300mg~約450mgの用量でSC投与することを含む、HSを治療するのに使用するためのIL-17抗体(例えばセクキヌマブ)又はその抗原結合断片であり、ここでは、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、2本の成熟したIL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモ二量体のエピトープに結合し、前記エピトープは、一方の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129と、他方の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、ここでは、IL-17抗体は、バイオセンサーシステム(例えばBIACORE(登録商標))によって測定される場合に約100~200pMのKDを有し、且つ、IL-17抗体は、約23から約30日というインビボでの半減期を有する。或いは、本明細書で開示したのは、第0、1、2、及び3週中、毎週、約300mg~約450mgの用量のIL-17抗体又はその抗原結合断片を、それを必要とする患者に皮下(SC)投与し、その後、a)第4週中に開始し、毎月(4週毎に);又はb)第4週中に開始し、1週おきに(2週毎に)、約300mg~約450mgの用量でSC投与することを含む、HSを治療するための医薬品の製造に使用するためのIL-17抗体(例えばセクキヌマブ)又はその抗原結合断片であり、ここでは、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、2本の成熟したIL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモ二量体のエピトープに結合し、前記エピトープは、一方の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129と、他方の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含み、ここでは、IL-17抗体は、バイオセンサーシステム(例えばBIACORE)によって測定される場合に約100~200pMのKDを有し、且つ、IL-17抗体は、約23から約30日というインビボでの半減期を有する。
本明細書で開示したのは、化膿性汗腺炎(HS)を治療する方法であって、第0、1、2、及び3週中、毎週、約300mg~約450mgの用量のIL-17抗体(例えばセクキヌマブ)又はその抗原結合断片を、それを必要とする患者に皮下(SC)投与し、その後、a)第4週中に開始し、毎月(4週毎に);又はb)第4週中に開始し、1週おきに(2週毎に)、約300mg~約450mgの用量でSC投与することを含む方法であり、ここでは、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、i)配列番号8として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号10として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメイン;ii)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメイン;又はiii)配列番号11、配列番号12、及び配列番号13として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインを含む。本明細書で開示したのはまた、第0、1、2、及び3週中、毎週、約300mg~約450mgの用量のIL-17抗体又はその抗原結合断片を、それを必要とする患者に皮下(SC)投与し、その後、a)第4週中に開始し、毎月(4週毎に);又はb)第4週中に開始し、1週おきに(2週毎に)、約300mg~約450mgの用量でSC投与することを含む、HSを治療するのに使用するためのIL-17抗体(例えばセクキヌマブ)又はその抗原結合断片であり、ここでは、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、i)配列番号8として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号10として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメイン;ii)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメイン;又はiii)配列番号11、配列番号12、及び配列番号13として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインを含む。或いは、本明細書で開示したのは、第0、1、2、及び3週中、毎週、約300mg~約450mgの用量のIL-17抗体又はその抗原結合断片を、それを必要とする患者に皮下(SC)投与し、その後、a)第4週中に開始し、毎月(4週毎に);又はb)第4週中に開始し、1週おきに(2週毎に)、約300mg~約450mgの用量でSC投与することを含む、HSを治療するための医薬品の製造に使用するためのIL-17抗体(例えばセクキヌマブ)又はその抗原結合断片であり、ここでは、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、i)配列番号8として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号10として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメイン;ii)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメイン;又はiii)配列番号11、配列番号12、及び配列番号13として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメインを含む。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、IL-17抗体又は抗原結合断片の用量は、約300mg又は約450mgである。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、第0、1、2、及び3週中、毎週、約300mgの用量でSC投与され、その後、第4週中に開始し、1週おきに(2週毎に)、約300mgの用量でSC投与される。
開示した方法、使用、及びキットの他の好ましい実施態様では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、第0、1、2、及び3週中、毎週、約300mgの用量でSC投与され、その後、第4週中に開始し、毎月(4週毎に)、約300mgの用量でSC投与される。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者は、(簡易)化膿性汗腺炎臨床反応(Hidradenitis Suppurativa Clinical Response)(HiSCR)、数値評価スケール(Numerical Rating Scale)(NRS)、改変Sartorius HSスコア、化膿性汗腺炎-医師総合評価(Hidradenitis Suppurativa-Physician Global Assessment)(HS-PGA)、又は皮膚疾患の生活の質指標(Dermatology Life Quality Index)(DLQI)によって測定される場合の、治療の1年後の反応の持続を達成する。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者は、IL-17抗体又は抗原結合断片での治療前に、HSのための全身性薬剤で以前に治療されている。開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、全身性薬剤は、局所的治療、抗生物質、免疫系抑制剤、TNF-α阻害剤、IL-1アンタゴニスト、及びその組み合わせからなる群から選択される。
開示した方法、使用、及びキットのいくつかの実施態様では、患者は、IL-17抗体又は抗原結合断片での治療前に、HSのための全身性薬剤又は局所的治療で以前に治療されていない。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、IL-17抗体又は抗原結合断片は、TNF-α阻害剤、抗生物質、IL-1阻害剤、又は免疫抑制剤のうちの少なくとも1つと組み合わせて投与される。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、IL-17抗体又は抗原結合断片の用量は、約300mgである。開示した方法、使用、及びキットの他の好ましい実施態様では、IL-17抗体又は抗原結合断片の用量は、約450mgである。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者は、中等症から重症のHSを有する。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者は、成人である。開示した方法、使用、及びキットのいくつかの実施態様では、患者は、青年である。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、IL-17抗体又は抗原結合断片は、医薬製剤中に配分され、ここでは、前記医薬製剤は、緩衝液及び安定剤をさらに含む。開示した方法、使用、及びキットのいくつかの実施態様では、医薬製剤は、液体形態である。開示した方法、使用、及びキットのいくつかの実施態様では、医薬製剤は、凍結乾燥形態である。開示した方法、使用、及びキットのいくつかの実施態様では、医薬製剤は、プレフィルドシリンジ、バイアル、ペン型注射器、又は自己注射器内に配分される。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、IL-17抗体又は抗原結合断片の用量は、約300mgであり、医薬製剤は、プレフィルドシリンジ、ペン型注射器、及び自己注射器からなる群から選択される投与のための手段内に配分され、前記手段は、キット内に配分され、キットは、使用のための説明書をさらに含む。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、IL-17抗体又は抗原結合断片の用量は、約300mgであり、医薬製剤は、自己注射器又はプレフィルドシリンジ内に配分され、且つ自己注射器又はプレフィルドシリンジは、キット内に配分され、キットは、使用のための説明書をさらに含む。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、IL-17抗体又は抗原結合断片の用量は、約300mgであり、医薬製剤は、自己注射器又はプレフィルドシリンジ内に配分され、自己注射器又はプレフィルドシリンジは、キット内に配分され、キットは、使用のための説明書をさらに含む。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、IL-17抗体又は抗原結合断片の用量は、約450mgであり、医薬製剤は、自己注射器又はプレフィルドシリンジ内に配分され、自己注射器又はプレフィルドシリンジは、キット内に配分され、キットは、使用のための説明書をさらに含む。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、用量は、300mgであり、これは、150mg/mlのIL-17抗体又は抗原結合断片を含む製剤からの2mlの総体積の単回皮下投与として投与され、ここでは、IL-17抗体又は抗原結合断片への患者の薬理学的曝露は、同じ製剤のそれぞれ1mlの総体積の2回の別の皮下投与を使用するIL-17抗体又は抗原結合断片への患者の薬理学的曝露と等しい。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、用量は、300mgであり、これは、150mg/mlのIL-17抗体又は抗原結合断片を含む製剤からのそれぞれ1mlの体積の2回の別の皮下投与として投与される。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者は、IL-17抗体又は抗原結合断片での治療の前に、≧3のHS-PGAスコアを有する。いくつかの実施態様では、患者は、≧3のHS-PGAスコアを有することに基づいて、治療について選択される。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者は、IL-17抗体又は抗原結合断片での治療の前に、HurleyステージII又はIIIに分類される。いくつかの実施態様では、患者は、HurleyステージII又はIIIに分類されることに基づいて、治療について選択される。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者は、治療の第16週までに、(簡易)HiSCRを達成する。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者は、治療の第16週までに、NRS30を達成する。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者は、治療の第16週までに、HS紅斑の減少を有する。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者は、治療の第16週までに、DLQIによって測定される場合の≦6の低下を達成する。
好ましい実施態様では、中等症から重症のHSを有する患者の集団を治療するために、開示した方法、使用、又はキットが用いられる場合、少なくとも51%の前記患者が、前記投与ステップに反応して、治療の第16週までに簡易HiSCRを達成する。
好ましい実施態様では、中等症から重症のHSを有する患者の集団を治療するために、開示した方法、使用、又はキットが用いられる場合、少なくとも40%の前記患者が、前記投与ステップに反応して、治療の第16週までにNRS30反応を達成する。
好ましい実施態様では、中等症から重症のHSを有する患者の集団を治療するために、開示した方法、使用、又はキットが用いられる場合、15%未満の前記患者が、前記投与ステップに反応して、16週の治療中にHS紅斑を経験する。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者は、IL-17抗体又は抗原結合断片での治療の前に、HSの結果としての広範な瘢痕化を有しない(<20個の瘻孔)。いくつかの実施態様では、患者は、HSの結果としての広範な瘢痕化を有しないこと(<20個の瘻孔)に基づいて、治療について選択される。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者は、IL-17抗体又はその抗原結合断片と組み合わせて、少なくとも1種の局所的薬物療法及び少なくとも1種の消毒剤でさらに治療される。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者は、IL-17抗体又はその抗原結合断片で少なくとも1年間治療される。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者は、IL-17抗体又はその抗原結合断片の初回投与の早ければ1週後に、VAS又はNRSによって測定される、疼痛の迅速な軽減を受ける。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者は、IL-17抗体又はその抗原結合断片の初回投与の早ければ1週後に、標準のCRP測定を使用して測定される、CRPの迅速な低下を有する。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者は、16週まで治療によって、改変Sartoriusスコアの低下を有する。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、患者は、16週の治療によって、DLQIの向上を有する。
本開示の好ましい実施態様では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、モノクローナル抗体である。
本開示の好ましい実施態様では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、ヒト又はヒト化抗体である。
本開示の好ましい実施態様では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、ヒト抗体である。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、IL-17抗体又は抗原結合断片は、ヒトモノクローナル抗体である。
本開示の好ましい実施態様では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、IgG1サブタイプのヒト抗体である。
好ましい実施態様では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、κ軽鎖を有する。
本開示の好ましい実施態様では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、IgG1 κ型のヒト抗体である。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、IL-17抗体又は抗原結合断片は、約7~8日のTmaxを有する。
開示した方法、使用、及びキットの好ましい実施態様では、IL-17抗体又は抗原結合断片は、約60%~約80%の絶対的バイオアベイラビリティを有する。
本開示の好ましい実施態様では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、セクキヌマブである。
キット
本開示は、HSを治療するためのキットも包含する。こうしたキットは、IL-17アンタゴニスト、例えばIL-17結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)、又はIL-17受容体結合分子(例えば、IL-17抗体又はその抗原結合断片)(例えば、液体若しくは凍結乾燥形態で)、又はIL-17アンタゴニストを含む医薬組成物(上に記載)を含む。さらに、こうしたキットは、IL-17アンタゴニストを投与するための手段(例えば、自己注射器、シリンジ及びバイアル、プレフィルドシリンジ、プレフィルドペン)及び使用のための説明書を含むことができる。これらのキットは、HSを治療するための、例えば封入されたIL-17アンタゴニスト、例えばIL-17結合分子、例えばIL-17抗体、例えばセクキヌマブと組み合わせた送達のための追加のHS治療薬(上に記載)を含有することができる。こうしたキットは、HS患者を治療するためのIL-17アンタゴニスト(例えば、IL-17抗体、例えばセクキヌマブ)の投与のための説明書も含むことができる。こうした説明書は、封入されたIL-17アンタゴニスト、例えばIL-17結合分子、例えばIL-17抗体、例えばセクキヌマブと共に使用するための、用量(例えば、10mg/kg、300mg、450mg)、投与経路(例えば、IV、SC)及び投薬レジメン(例えば、毎週、毎月、毎週の後に毎月、毎週の後に1週おきに)を提供することができる。
表現「投与するための手段」は、限定はされないが、プレフィルドシリンジ、バイアル及びシリンジ、ペン型注射器、自己注射器、点滴静注バッグ、ポンプなどを含めた、患者に薬物を全身的に投与するためのあらゆる利用可能な道具を示すために使用される。こうしたものを用いて、患者が薬物を自己投与する(すなわち薬物を医師の補助を受けずに投与する)ことができ、又は医師が薬物を投与することができる。いくつかの実施態様では、300mgの総用量が、それぞれが150mg/mlのIL-17抗体、例えばセクキヌマブを有する1mlの体積を含有する2つのPFS又は自己注射器に配分された2mlの総体積で送達されることとなる。この場合、患者は、2回の1ml注射(反復投与調製物)を受ける。好ましい実施態様では、300mgの総用量が、単一のPFS又は自己注射器に配分された150mg/mlのIL-17抗体、例えばセクキヌマブを有する2mlの総体積で送達されることとなる。この場合、患者は、1回の2ml注射(単回投与調製物)を受ける。
本明細書で開示したのは、IL-17アンタゴニスト(例えばIL-17結合分子、例えばIL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)と、HS患者にIL-17アンタゴニストを投与するための手段とを含む、HSを有する患者を治療するのに使用するためのキットである。いくつかの実施態様では、このキットは、IL-17アンタゴニストの投与のための説明書をさらに含み、ここでは、説明書は、IL-17アンタゴニスト(例えばIL-17結合分子、例えばIL-17抗体又はその抗原結合断片、例えばセクキヌマブ)が、
1)第0、1、2、及び3週中、毎週、約300mg~約450mg(例えば、約300mg、又は約450mg)で、SCで、その後、
a)第4週中に開始し、毎月(4週毎に);又は
b)第4週中に開始し、1週おきに(2週毎に)、
約300mg~約450mg(例えば、約300mg、約450mg)で、SCで、
2)第0、2、及び4週中、1週おきに、約3mg/kg~約10mg/kg(例えば、約3mg/kg、約10mg/kg)で、IVで、その後、
a)第8週中に開始し、毎月(4週毎に);又は
b)第6週中に開始し、1週おきに(2週毎に)、
約300mg~約450mg(例えば、約300mg、約450mg)で、SCで、
患者に投与されるべきであることを示す。
全般
開示した使用、方法、及びキットの最も好ましい実施態様では、IL-17アンタゴニストは、IL-17抗体又はその抗原結合断片である。開示した使用、方法、及びキットのいくつかの実施態様では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、以下からなる群から選択される:a)Leu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129を含むヒトIL-17のエピトープに結合するIL-17抗体又はその抗原結合断片;b)Tyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80を含むヒトIL-17のエピトープに結合するIL-17抗体又はその抗原結合断片;c)2本の成熟したヒトIL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモ二量体のエピトープ(前記エピトープは、一方の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129と、他方の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80とを含む)に結合するIL-17抗体又はその抗原結合断片;d)2本の成熟したヒトIL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモ二量体のエピトープ(前記エピトープは、一方の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129と、他方の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80とを含む)に結合するIL-17抗体又はその抗原結合断片(ここでは、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、約100~200pMのKDを有し、且つ、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、約23から約35日というインビボでの半減期を有する);e)2本の成熟したIL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモ二量体のエピトープ(前記エピトープは、一方の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129と、他方の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80とを含む)に結合するIL-17抗体(ここでは、IL-17抗体は、バイオセンサーシステム(例えばBiacore(登録商標))によって測定される場合に約100~200pMのKDを有し、且つ、IL-17抗体は、約23から約30日というインビボでの半減期を有する);及びf)以下を含むIL-17抗体又はその抗原結合断片:i)配列番号8として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH);ii)配列番号10として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL);iii)配列番号8として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号10として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVLドメイン;iv)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメイン;v)配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメイン;vi)配列番号11、配列番号12、及び配列番号13として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメイン;vii)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメイン;viii)配列番号11、配列番号12、及び配列番号13として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVHドメインと、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンVLドメイン;ix)配列番号14として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖;x)配列番号15として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖;又はxi)配列番号14として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖と、配列番号15として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖。
開示した方法、キット、又は使用の最も好ましい実施態様では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、モノクローナル抗体である。開示した方法、キット、又は使用の最も好ましい実施態様では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、ヒト又はヒト化抗体、好ましくはヒト抗体である。開示した方法、キット、又は使用の最も好ましい実施態様では、IL-17抗体又はその抗原結合断片は、IgG1アイソタイプのヒト抗体である。開示した方法、キット、又は使用の最も好ましい実施態様では、抗体又はその抗原結合断片は、セクキヌマブである。
開示した方法、キット、又は使用の最も好ましい実施態様では、抗体又はその抗原結合断片は、セクキヌマブであり、用量サイズは一定であり(「固定」用量とも称され、これは、体重に基づく又は体表面積に基づく投薬とは異なる)、用量は300mgであり、投与経路はSCであり、レジメンは、第0、1、2、3、4、6、8、10、12週などでの(第0、1、2、及び3週中に毎週、次いで第6週中に開始し、1週おきの)投与である。
本開示の1つ又は複数の実施形態の詳細は、上の随伴する説明に記述されている。本明細書に記載したものと類似の又は均等なあらゆる方法及び材料を本開示の実施又は試験において使用することができるが、好ましい方法及び材料をここで記載する。本開示の他の特徴、目的及び利点は、この説明及び特許請求の範囲から明らかであろう。本明細書及び添付の特許請求の範囲では、単数形には、文脈によって他に明確に指示されない限り、複数の指示内容が含まれる。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって共通に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に引用したすべての特許及び刊行物を参照によって組み込む。以下の実施例は、本開示の好ましい実施形態をより詳細に説明するために与えられる。これらの実施例は、添付の特許請求の範囲によって定義される開示した主題の範囲を限定するものと決して解釈されるべきではない。
実施例1:HSを治療することにおける抗IL-17抗体の初期の研究
抗IL-17抗体、CJM112の効果の初期の臨床的証拠は、HSを有する患者のための有効な治療法としての抗IL-17抗体の可能性を裏付ける。セクキヌマブのように、CJM112は、自己免疫性及び炎症性状態の治療の可能性のために開発された、IgG1/κアイソタイプの組換え完全ヒト抗インターロイキン-17Aモノクローナル抗体である。CJM112は、セクキヌマブよりも高い親和性(6pM)で、ヒトホモ二量体IL-17Aに結合し、IL-17Aの生体活性をインビトロで無効化する。
この第2相研究(CCJM112X2202)は、USA、Denmark、Switzerland、Germany、及びNetherlandsにおいて行われた、並行群における、中等症から重症の慢性HSを有する患者における、2つの期間を伴う、無作為化された、プラセボ対照の、二重盲検の、多施設研究であった。この研究は、およそ4週のスクリーニング期間、16週の2つの連続的な治療期間(期間1及び延長期間2)、及びおよそ12週の追跡調査(治療なし)から構成されていた。患者は、次の3つの治療シークエンスの1つに、2:1:1の比で無作為に割り付けた:
・治療シークエンス1:期間1におけるCJM112 300mg(s.c.);延長期間2におけるプラセボ(s.c.)
・治療シークエンス2:期間1におけるプラセボ(s.c.);延長期間2におけるCJM112 50mg(s.c.)
・治療シークエンス3:期間1におけるプラセボ(s.c.);延長期間2におけるCJM112 300mg(s.c.)
各治療期間中、患者には、合計10回投与した。研究薬物は、臨床施設で、皮下に(s.c.)投与した。被験薬CJM112 150mg/ml、及び適合するプラセボは、ガラスバイアル(それぞれが液体としての150mg CJM112又はプラセボを含有する)中に提供した。各治療期間において、最初の5回の投与は毎週施し、それに続いて5回の隔週の投与を行った。
選択した主要評価項目は、臨床反応率(化膿性汗腺炎-医師総合評価(Hidradenitis Suppurativa-Physician Global Assessment)(HS PGA)スコアのベースラインからの2ポイントの減少として定義された反応者に基づく)であった。HS-PGAスコアは、Kimball et al 2012 Ann Intern Med 157:846-855に記載されている静的な全般的重症度の6ポイントスケールである。
以前の抗生物質療法を受けていた、(スクリーニングの前に)少なくとも1年間臨床的に診断された慢性HSを有する成人の男性及び女性患者から構成される研究集団は、ベースラインでの少なくとも中程度の重症度(6ポイントスケールのうちの3以上のスコア)のHS-PGAスコア、少なくとも2個の異なる解剖学的領域に存在する少なくとも4個の炎症性膿瘍及び/又は炎症性小結節(AN)を有しており、且つ少なくとも1つの領域は、最小で、ベースラインでのHurleyステージII(中等症)である必要があった。多くとも25個の排膿瘻孔が、ベースラインでの適格性について認められた。
さらに、体重は、50から150kgである必要があった。
除外基準には、IL-17又はIL-17Rを遮断する生物製剤薬剤(セクキヌマブ、イキセキズマブ、及びブロダルマブが含まれる)での以前の治療、他の生物製剤の最近の使用(例えば、過去3か月以内のアダリムマブ)、無作為化の直前4週間のHSのためのいずれかの全身治療の使用(レチノイド若しくは他の免疫調節剤など)、又は無作為化/第1の治療前の最後の週のHSのための全身性抗生物質の使用が含まれた。スピロノラクトン又は他の抗アンドロゲン(フィナステリド、酢酸シプロテロンなど)が(HSのために)使用されるならば、過去3か月安定な用量を用い、且つ研究の期間継続するように計画されている患者のみが適格である。重症全身性カンジダ感染の病歴、又は選択の直前2週間のカンジダ症のエビデンスを有する患者、並びに無作為化/第1の治療前の2週の間に活動期の全身又は皮膚感染症(感冒又はHS関連以外)を有する患者は、除外される必要があった。追加の除外基準を確かに適用した。外用抗生物質及び消毒剤、並びに標準の創傷処置は、研究全体を通して許容された。経口用抗生物質は、皮膚感染症の場合の救急治療として使用することが可能であったが、2週よりも長く使用されるべきではなかった。
合計66人の対象を登録し、期間1に無作為に割り付けた(CJM112 300mg群に33人及びプラセボ群に33人)、そのうちの60人(90.9%)の患者(CJM112 300mg群における29人とプラセボ群における31人)が、期間1における第16週を完了した。合計6人の患者は、第16週よりも前に研究を中断した。研究中断の理由は、「追跡調査からの脱落」、「有害事象」(CJM112群における膀胱炎)、及び「患者/保護者の決定」であった。
主要評価項目は、プラセボと比較した第16週(期間1の最後)での臨床的反応者率を使用することによって、HS患者におけるCJM112 300mgの有効性を決定することにしていた。この目的のために、6ポイントスケールに対するベースラインからの少なくとも2ポイントの減少として定義されるHS-PGA(化膿性汗腺炎-医師総合評価(Hidradenitis Suppurativa-Physician Global Assessment)、Kimball 2012参照)の反応者率を使用した。
HS-PGAの反応者率を図1に示し、ベイズ統計学を使用して、第16週での治療を比較した(表4)。
第16週でこの評価項目に到達する患者の割合(HS-PGA反応者率)は、プラセボでの12.5%(又は32人のうちの4人)に対して、抗IL17治療で32.3%反応者(又は31人のうちの10人)であった。CJM112を支持する事後確率は、0.97という高さであり、これが真の効果を反映する可能性があることが示された。
この研究の主要評価項目は、HUMIRA(Kimball et al 2012 Ann Intern Med 157:846-855)を使用する、以前に行われた第2相研究の主要評価項目とは少し異なっていた。同じ6ポイントのHS-PGAスコアが使用されたが、研究によって反応者の定義が異なっていた。Kimballは、反応者ステータスを達成するためにベースラインからの2ポイントの低下且つ第16週での問題のない/最小の/軽症の段階が必要とされる、よりストリンジェント且つ複合的な定義を使用した。
本発明者らは、比較目的で、「Kimball 2012」定義を用いた反応者率のスコアを算出した。CJM112群では31人の患者のうちの6人が反応し(19.4%)、プラセボ治療群では32人の患者のうちの2人のみが反応した(6.3%)。これは、第2相研究においてアダリムマブが達成したものに匹敵する(表5)。
主要評価項目(HS-PGA)に加えて、炎症性病変の、主に炎症性小結節の数値的減少を、両方の治療群、すなわちCJM112とプラセボにおいて観察し、CJM112群では減少の程度が大きかった。治療効果の大きさは、アダリムマブで観察された効果と同様であった(CJM112ではプラセボに対して-2.6の炎症性病変、それに対してアダリムマブではプラセボに対して-2.4から-3.0)。しかし、炎症性病変を減少させることにおける治療効果は、この小さい第2相研究では、統計的に有意ではなかった。
CJM112第2相研究において観察される炎症性病変数に対する効果の臨床的関連性をより良く理解するために、データを、アダリムマブの公的に利用可能なデータと比較した(表6)。絶対的病変数の結果は、第3相研究から公的にしか入手できない。PIONEER 1は、CJM112第2相研究により近い、PIONEER 2よりも重症の集団を採用し、したがって、下の比較には、PIONEER 1を使用する。
CJM112第2相研究の集団は、ベースラインで、PIONEER 1研究よりも多くの数の炎症性病変を有していたが、研究中の炎症性病変数の観察された変化の大きさは、両方の研究のプラセボ群間で同様であり、これは、CJM112第2相に入っている集団が、研究中に期待された変動性内で挙動する中等症から重症のHS集団の代表であることを裏付けていた。
アダリムマブ及びCJM112についての治療効果は、主として、炎症性病変数において観察され、CJM112での大きさが、アダリムマブよりも少し大きかった。どちらの研究においても、膿瘍及び排膿瘻孔においては、ほんの少しの治療効果しか観察されなかった。これと一致する結果が、PIONEER 2においても観察された(Kimball et al 2016a N Engl J Med;375(5):422-434)。
比較的に高い用量のIL-17遮断薬の使用(最初に5回のCJM112 300mg用量を毎週投与し、それに続いて5回の隔週の投与を行った)にもかかわらず、有意な臨床的安全性シグナルは検出されなかった。大部分のAEの重症度は、軽度又は中等度であった。感染症全体は、活性成分群ではプラセボ治療群と比較して同じ頻度であったが、いくつかの感染症は、CJM112で治療された患者において、より頻繁に発生した(上咽頭炎、上気道感染症、膀胱炎など)。有害事象は、群間で頻度が異なっていたが、数の少ない患者を、このやや小さい集団と判断することは認められない。重篤有害事象は、プラセボ治療期間において観察されただけであり、関連しないとみなされた(狭心症及び膿瘍)。後者は、CJM112の最終投与のおよそ23週後に発生し、HS膿瘍の除去のために入院した。
高親和性の抗IL-17A抗体、CJM112での治療後のHS集団において、新しい又は予測されていない安全性シグナルは検出されなかった。
実施例2:
実施例2A:より高い投薬量(450mg)及びより高頻度の投薬(Q2w)のセクキヌマブに対する重量のある対象における反応者率予測
この実施例におけるモデル化とシミュレーション(M&S)作業の目的は、上で言及した2つのより高い投薬量レジメン(450 Q4W及び300 Q2W)後の、重量のある対象におけるセクキヌマブのシミュレーションされた有効性を調査することである。本発明者らは、ここに、より高い用量レジメン、すなわち450mg Q4W又は300mg Q2Wを使用する予測される反応と比較した、乾癬におけるセクキヌマブについての標準のレジメン、すなわち300mg Q4Wを使用して、患者≧体重90kgにおけるPASI 75及びPASI 90の反応者率を調査した、モデル化とシミュレーション(M&S)作業を報告する。この作業の主目的は、より重量のある患者において、より高い用量を用いた改善の大きさを推定するために、モデルによって予測された(すなわちシミュレーションされた)反応率を使用することである。
この分析には、第52週までの研究CAIN457A2302及びCAIN457A2303からのPASIデータを使用した。モデル構築には、対象≧90kgのみを使用した(n=641)。このデータは、最初に第12週までプラセボで治療し、且つその後150mg又は300mgに無作為に割り付けた患者に加えて、150mgと300mgレジメンの両方からの反応を含んでいた。反応変数、PASI 75又はPASI 90のいずれか、二値転帰を、血清セクキヌマブ濃度の関数としてモデル化した。反応と濃度との間の時間のずれにより、間接反応モデルを使用した。第52週までのすべての測定値を、このモデルに使用した。PASI測定の時点での予測された濃度を使用して、以前に開発されたセクキヌマブ集団の薬物動態学的(PK)モデルの事後推定値から算出した。
簡単に言うと、このモデルは、一次吸収と、中央クリアランス(CL)、中央及び末梢コンパートメントの分布容積(V2及びV3)、及びコンパートメント間クリアランス(Q)に対する共変数としての体重を用いる、2コンパートメントモデルであった。A2302及びA2303における患者についてのPKモデルパラメータに対する事後推定値を、薬力学的(PD)モデル化への入力として使用した。乾癬におけるセクキヌマブについての以前のモデル化の試みには、連続的なPASIスコアに対する集団PK/PDモデルも含まれていた。しかし、このモデルは、PASI 75反応者率を表すのにいくらかの制限(例えば、導入期の間のわずかな過剰予測)があり、これは、PASI 90のような、より極端な反応閾値では、より明白であった。共変数探索(ベースラインPASI又は体重など)も、以前に調査され、モデル適合を向上させないことが判明しており、したがって、共変数探索は、ここでは、実行しなかった。
集団モデルの2つの構成要素は、データの系統的傾向、及び可能な限りまでこれらの傾向をもたらす機構を説明する構造モデルと;これらの傾向についての対象間及び対象内変動性を説明するランダム効果モデルである。この分析では、モデルの構成要素は、以前の知識、セクキヌマブのPASI反応のモデル化経験、及び統計的及び発見的規則によって導かれる、データから誘導される意思決定の組み合わせに基づいて選択及び組み立てられる。この分析は、GPSIIからアクセスされるMODESIM高性能コンピュータ処理環境を利用する、NONMEMソフトウェアシステム、NONMEM version 7.3.0(Icon Development Solutions,Ellicott City,MD,USA)を使用して実施した。実行自動化のために、Perl-speaks-NONMEM 4.2.0を使用した。すべてのモデル構築は、ラプラスの方法を使用して実施した。この分析を実施して、集団パラメータ(平均及び対象間変動性)を推定した。
モデル診断の閲覧の後、尤度及びベイズ情報量規準(Bayesian Information Criteria)(BIC)に基づいて、最終の(最良の)モデルを選択した。最良のモデルを使用して、PASI 75又はPASI 90反応者率を予測するために、シミュレーションを使用した。各レジメン(すなわち300mg Q4W、300mg Q2W、及び450mg Q4W)について、NONMEMのONLYSIMULATIONオプションを使用して、1000個の複製を作成した。固定効果パラメータ(すなわちemax、ec50、kout、gamma、及びalpha)、並びにサンプリングの個人間変動性についての最終の推定値を使用して、シミュレーションを作成した。このモデルから決定された確率を有する二値分布から抽出することによって、PASI 75又はPASI 90二値反応をシミュレーションした。シミュレーションのためのソースデータセットは、モデルを確立する、すなわち体重≧90kgを有する対象を使用する際に使用されたのと同じデータセットであり、対象の事後PK推定値が含まれる。300mg Q4W、300mg Q2W、及び450mg Q4Wについての定期的な投薬スケジュール(第4週まで週1回、次いで、第52週まで、Q4Wについては4週毎又はQ2Wについては2週毎)が、定期的なサンプリングスケジュール(すなわち第12週まで週1回、及びその後4週毎)と共に、シミュレーションデータセットに含められた。各シミュレーション複製に対して、及び各時点で、予測される反応者率を算出した。1000回の実行から、反応者率についての中央値及び95%予測区間を決定した。
図2は、90kg以上の体重を有する対象における異なるレジメンについてのシミュレーションされたPASI 90反応者率を示す。表7は、異なるレジメンについての第12、16、及び52週でのPASI 75及びPASI 90に対する予測される反応者率を含有する。
シミュレーションでは、重量のある対象における、より高い反応者率(PASI 75又はPASI 90に対して)は、標準の300mg Q4Wレジメンと比較して、より高い投薬量レジメン、300mg Q2W又は450mg Q4Wのいずれかの結果である可能性が高いことが予測される。このシミュレーションは、第16週での反応者率が、より高い投薬レジメンのいずれかについて、同様となることを示唆する(PASI 75に対して91%及びPASI 90に対して76%、表7参照)。しかし、450mg Q4Wと比較して、300mg Q2Wレジメンは、第20週から、より高い反応率を与えることが予測される。第52週までに、300mg Q2W対450mg Q4W後の反応者率の中央値は、PASI 75に対して99%対96%、PASI 90に対して93%対87%であると予測される(表7参照)。
この情報に基づくと、より重量のある患者である傾向があり、且つ深在性の組織疾患を有するHS患者は、セクキヌマブのより高頻度の投与又はより高い用量のセクキヌマブから利益を得ることができることが期待される。
実施例2B:重量のある患者についてのセクキヌマブ用量反応モデル化及びシミュレーション
この実施例におけるモデル化及びシミュレーションは、セクキヌマブOPTIMIZE研究からの第52週のデータからなる。OPTIMIZE(NCT02409667)は、中等症から重症の慢性局面型(plaque-type)乾癬を有する患者における長期の治療最適化におけるセクキヌマブ300mg(SC)の有効性、安全性、及び忍容性を評価するための、盲検評価を伴う、第52週の、無作為化された、多施設の、非盲検の、比較試験であった。この研究では、第24週での最適以下の反応者、すなわち、セクキヌマブ300mg q4w下での24週後、PASI75(すなわち、PASIスコアのベースラインからの75%低下)に到達したが、PASI90に到達しなかった患者を、続いて、セクキヌマブ300mg q4w又はセクキヌマブ300mg q2w(第52週まで)のいずれかに無作為に割り付けた。
図5の上のパネルは、その部分的サブグループにおける、治療群(q2w又はq4w)及び体重分類(<90又は>90kg)ごとの、反応者(PASI90、すなわち、第52週でのPASIスコアのベースラインからの90%低下を達成した患者)の割合を示す。下のパネルは、同じサブグループにおける第52週でのセクキヌマブトラフ濃度(mcg/mLとして与える)を表す。
シミュレーションでは、より重量のある患者(>90kg)が、300mg Q2Wを投与されることから、曝露という面だけでなく有効性の面でも利益を得ることが示される。PASI%反応は、より高い抗体濃度が、>90kgである患者における有効性を向上させることを示す。しかし、同じことは、90kg未満である患者には見られない。データは、約30mcg/mL超で、乾癬患者における有効性が最大化されることを示唆する(PASI 90~60%)。この情報に基づくと、より重量のある患者である傾向があり、且つ深在性の組織疾患を有するHS患者は、セクキヌマブのより高頻度の投与から利益を得ることができることが期待される。
実施例3:中等症から重症のHSを有する成人患者におけるセクキヌマブの有効性及び安全性
下の表8は、16週の治療後にHiSCRに到達した対象の割合を評価することによる、プラセボと比較した2つのセクキヌマブ投与レジメンの有効性を実証するための臨床試験設計の詳細を記述する。
毎週の導入投薬、それに続く維持投薬(4週毎)(Q4W)を利用するレジメンに加えて、本発明者らは、次の理由で、局面型乾癬の治療において典型的に使用される治療レジメンを用いるよりも高い曝露を達成するために、Q2W維持レジメンを用いることとなる:
・HSを有する患者の集団について、典型的な乾癬集団と比較して、より大きい体重(HS集団について、およそ10kg重い体重)が予想され(Kimball et al(2016)N Engl J Med;375(5):422-434)、したがって、適切な曝露を達成するために、より高い用量を潜在的に必要とする。全身曝露は、アロメトリーな関係で、体重と共に変動する。セクキヌマブクリアランスについては、アロメトリック指数は、1に近いと推定され;言い換えれば、体重の倍加は、クリアランスのほぼ2倍の増大をもたらし、したがって、血清曝露を低下させるであろう(Bruin et al(2017)J Clin Pharmacol 57(7):876-885)。したがって、乾癬レジメンから得られるものよりも大きい曝露を用いるセクキヌマブ投薬レジメンの評価が、HS患者集団において適切である。
・深在性の炎症性皮膚病変を有するこの疾患には、乾癬におけるものよりも大きい局所的皮膚曝露が必要である可能性がある。
・HSにおけるアダリムマブ(HUMIRA(登録商標))での臨床経験は、乾癬におけるものよりも大きいHSにおける曝露を用いる投薬レジメンを裏付ける。
・重要なことに、図4から分かる通り、本発明者らは、短縮した維持投与間隔(2週毎に)を使用して、最初の1か月の間の同じ導入期間の後、4週の維持間隔を用いて到達できるよりもかなり高い且つより一定のセクキヌマブへの全身曝露を達成することが可能であることを究明している。この用量発見戦略は、乾癬患者における約30mcg/mL超のセクキヌマブトラフ濃度、有効性が最大化される(PASI 90~60%)ことを示す図5によって、さらに裏付けられる。
本発明は、以下の態様を含み得る。
[1]
化膿性汗腺炎(HS)を治療する方法であって、第0、1、2、及び3週中、毎週、約300mg~約450mgの用量のIL-17抗体又はその抗原結合断片を、それを必要とする患者に皮下(SC)投与し、その後、
a)第4週中に開始し、毎月(4週毎に);又は
b)第4週中に開始し、1週おきに(2週毎に)
約300mg~約450mgの用量でSC投与することを含み、
前記IL-17抗体又はその抗原結合断片が、
i)配列番号8として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリンV
H
ドメインと、配列番号10として記述したアミノ酸配列を含む免疫グロブリンV
L
ドメイン;
ii)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンV
H
ドメインと、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンV
L
ドメイン;又は
iii)配列番号11、配列番号12、及び配列番号13として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンV
H
ドメインと、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6として記述した高頻度可変領域を含む免疫グロブリンV
L
ドメイン
を含み、
且つ
前記IL-17抗体又はその抗原結合断片が、2本の成熟したIL-17タンパク質鎖を有するIL-17ホモ二量体のエピトープ(前記エピトープは、一方の鎖上のLeu74、Tyr85、His86、Met87、Asn88、Val124、Thr125、Pro126、Ile127、Val128、His129と、他方の鎖上のTyr43、Tyr44、Arg46、Ala79、Asp80とを含む)に結合し、ここでは、前記IL-17抗体は、バイオセンサーシステムによって測定される場合の約100~200pMのK
D
を有し、且つ、前記IL-17抗体は、約23から約30日というインビボでの半減期を有する
方法。
[2]
前記IL-17抗体又は抗原結合断片の用量が、約300mg又は約450mgである、[1]に記載の方法。
[3]
第0、1、2、及び3週中、毎週、約300mgの用量で、その後、第4週中に開始し、1週おきに(2週毎に)、約300mgの用量で、前記IL-17抗体又はその抗原結合断片をSC投与することを含む、[1]に記載の方法。
[4]
第0、1、2、及び3週中、毎週、約300mgの用量で、その後、第4週中に開始し、毎月(4週毎に)、約300mgの用量で、前記IL-17抗体又はその抗原結合断片をSC投与することを含む、[1]に記載の方法。
[5]
前記患者が、炎症性病変数、化膿性汗腺炎臨床反応(Hidradenitis Suppurativa Clinical Response)(HiSCR)、数値評価スケール(Numerical Rating Scale)(NRS)、改変Sartorius HSスコア、化膿性汗腺炎-医師総合評価(Hidradenitis Suppurativa-Physician Global Assessment)(HS-PGA)、又は皮膚疾患の生活の質指標(Dermatology Life Quality Index)(DLQI)によって測定される場合の、治療の1年後の反応の持続を達成する、[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6]
前記患者が、簡易HiSCR(sHiSCR)によって測定される場合の、治療の1年後の反応の持続を達成する、[1]~[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7]
前記患者が、前記IL-17抗体又は抗原結合断片での治療前に、HSのための全身性薬剤で以前に治療されている、[1]~[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8]
前記全身性薬剤が、局所的治療、抗生物質、免疫系抑制剤、TNF-α阻害剤、IL-1アンタゴニスト、及びその組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
[9]
前記患者が、前記IL-17抗体又は抗原結合断片での治療前に、HSのための全身性薬剤又は局所的治療で以前に治療されていない、[1]~[8]のいずれか一項に記載の方法。
[10]
前記IL-17抗体又は抗原結合断片が、TNF-α阻害剤、抗生物質、IL-1阻害剤、又は免疫抑制剤のうちの少なくとも1つと組み合わせて投与される、[1]~[9]のいずれか一項に記載の方法。
[11]
前記IL-17抗体又は抗原結合断片の用量が、約300mgである、[1]~[10]のいずれか一項に記載の方法。
[12]
前記IL-17抗体又は抗原結合断片の用量が、約450mgである、[1]~[2]又は[5]~[10]のいずれか一項に記載の方法。
[13]
前記患者が、中等症から重症のHSを有する、[1]~[12]のいずれか一項に記載の方法。
[14]
前記患者が、成人である、[1]~[13]のいずれか一項に記載の方法。
[15]
前記患者が、青年である、[1]~[14]のいずれか一項に記載の方法。
[16]
前記IL-17抗体又は抗原結合断片が、医薬製剤中に配分され、ここでは、前記医薬製剤が、緩衝液及び安定剤をさらに含む、[1]~[15]のいずれか一項に記載の方法。
[17]
前記医薬製剤が、液体形態である、[1]~[16]のいずれか一項に記載の方法。
[18]
前記医薬製剤が、凍結乾燥形態である、[1]~[17]のいずれか一項に記載の方法。
[19]
前記医薬製剤が、プレフィルドシリンジ、バイアル、ペン型注射器、又は自己注射器内に配分される、[1]~[18]のいずれか一項に記載の方法。
[20]
前記IL-17抗体又は抗原結合断片の用量が、約300mgであり、前記医薬製剤が、プレフィルドシリンジ、ペン型注射器、及び自己注射器からなる群から選択される投与のための手段内に配分され、前記手段が、キット内に配分され、前記キットが、使用のための説明書をさらに含む、[1]~[19]のいずれか一項に記載の方法。
[21]
前記IL-17抗体又は抗原結合断片の用量が、約300mgであり、前記医薬製剤が、自己注射器又はプレフィルドシリンジ内に配分され、前記自己注射器又はプレフィルドシリンジが、キット内に配分され、前記キットが、使用のための説明書をさらに含む、[1]~[20]のいずれか一項に記載の方法。
[22]
前記IL-17抗体又は抗原結合断片の用量が、約300mgであり、前記医薬製剤が、自己注射器又はプレフィルドシリンジ内に配分され、前記自己注射器又はプレフィルドシリンジが、キット内に配分され、前記キットが、使用のための説明書をさらに含む、[1]~[21]のいずれか一項に記載の方法。
[23]
前記IL-17抗体又は抗原結合断片の用量が、約450mgであり、前記医薬製剤が、自己注射器又はプレフィルドシリンジ内に配分され、前記自己注射器又はプレフィルドシリンジが、キット内に配分され、前記キットが、使用のための説明書をさらに含む、[1]~[22]のいずれか一項に記載の方法。
[24]
前記用量が、300mgであり、これが、150mg/mlの前記IL-17抗体又は抗原結合断片を含む製剤からの2mlの総体積の単回皮下投与として投与され、ここでは、前記IL-17抗体又は抗原結合断片への患者の薬理学的曝露が、同じ製剤のそれぞれ1mlの総体積の2回の別の皮下投与を使用するIL-17抗体又は抗原結合断片への患者の薬理学的曝露と等しい、[1]~[23]のいずれか一項に記載の方法。
[25]
前記用量が、300mgであり、これが、150mg/mlの前記IL-17抗体又は抗原結合断片を含む製剤からのそれぞれ1mlの体積の2回の別の皮下投与として投与される、[1]~[23]のいずれか一項に記載の方法。
[26]
前記IL-17抗体又は抗原結合断片が、約7~8日のT
max
を有する、[1]~[25]のいずれか一項に記載の方法。
[27]
前記IL-17抗体又は抗原結合断片が、約60%~約80%の絶対的バイオアベイラビリティを有する、[1]~[26]のいずれか一項に記載の方法。
[28]
前記IL-17抗体又は抗原結合断片が、ヒトモノクローナル抗体である、[1]~[27]のいずれか一項に記載の方法。
[29]
前記IL-17抗体又は抗原結合断片が、IgG
1
/κアイソタイプのものである、[1]~[28]のいずれか一項に記載の方法。
[30]
前記患者が、前記IL-17抗体又は抗原結合断片での治療の前に、≧3のHS-PGAスコアを有する、[1]~[29]のいずれか一項に記載の方法。
[31]
前記患者が、前記IL-17抗体又は抗原結合断片での治療の前に、HurleyステージII又はIIIに分類される、[1]~[30]のいずれか一項に記載の方法。
[32]
前記患者が、治療の第16週までに、簡易HiSCRを達成する、[1]~[31]のいずれか一項に記載の方法。
[33]
前記患者が、治療の第16週までに、NRS30を達成する、[1]~[32]のいずれか一項に記載の方法。
[34]
前記患者が、治療の第16週までに、HS紅斑の減少を有する、[1]~[33]のいずれか一項に記載の方法。
[35]
前記患者が、治療の第16週までに、DLQIによって測定される場合の≦6の低下を達成する、[1]~[34]のいずれか一項に記載の方法。
[36]
中等症から重症のHSを有する患者の集団を治療するために前記方法が使用される場合、少なくとも51%の前記患者が、前記投与ステップに反応して、治療の第16週までに簡易HiSCRを達成する、[1]~[35]のいずれか一項に記載の方法。
[37]
中等症から重症のHSを有する患者の集団を治療するために前記方法が使用される場合、少なくとも40%の前記患者が、前記投与ステップに反応して、治療の第16週までにNRS30反応を達成する、[1]~[36]のいずれか一項に記載の方法。
[38]
中等症から重症のHSを有する患者の集団を治療するために前記方法が使用される場合、15%未満の前記患者が、前記投与ステップに反応して、16週の治療中にHS紅斑を経験する、[1]~[37]のいずれか一項に記載の方法。
[39]
前記患者が、前記IL-17抗体又は抗原結合断片での治療の前に、HSの結果としての広範な瘢痕化を有しない(<20個の瘻孔)、[1]~[38]のいずれか一項に記載の方法。
[40]
前記患者が、前記IL-17抗体又はその抗原結合断片と組み合わせて、少なくとも1種の局所的薬物療法及び少なくとも1種の消毒剤でさらに治療される、[1]~[39]のいずれか一項に記載の方法。
[41]
前記患者が、前記IL-17抗体又はその抗原結合断片で少なくとも1年間治療される、[1]~[40]のいずれか一項に記載の方法。
[42]
前記患者が、前記IL-17抗体又はその抗原結合断片の初回投与の早ければ1週後に、VAS又はNRSによって測定される、疼痛の迅速な軽減を受ける、[1]~[41]のいずれか一項に記載の方法。
[43]
前記患者が、前記IL-17抗体又はその抗原結合断片の初回投与の早ければ1週後に、標準のCRP測定を使用して測定される、CRPの迅速な低下を有する、[1]~[42]のいずれか一項に記載の方法。
[44]
前記患者が、16週の治療によって、改変Sartoriusスコアの低下を有する、[1]~[43]のいずれか一項に記載の方法。
[45]
前記患者が、16週の治療によって、DLQIの向上を有する、[1]~[44]のいずれか一項に記載の方法。
[46]
前記IL-17抗体又は抗原結合断片が、セクキヌマブである、[1]~[45]のいずれか一項に記載の方法。