JP7341373B1 - 電磁波検出器、電磁波検出器アレイ及び画像センサ - Google Patents

電磁波検出器、電磁波検出器アレイ及び画像センサ Download PDF

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Abstract

電磁波検出器(100)は、第1強誘電体層(5)と、二次元材料層(1)と、第1の電極対(2a)と、第2の電極対(2b)とを備える。第1の電極対(2a)は、第1電極(21)と第2電極(22)とを含む。第2の電極対(2b)は、第3電極(25)と第4電極(26)とを含む。第1の電極対(2a)及び第2の電極対(2b)は、二次元材料層(1)に電気的に接続されている。第3電極(25)と第4電極(26)とは、第1強誘電体層(5)の自発分極の分極方向に対して垂直な第1方向に互いに対向して配置されている。第1電極(21)と第2電極(22)とは、第1方向とは異なる第2方向に互いに対向して配置されている。

Description

本開示は、電磁波検出器、電磁波検出器アレイ及び画像センサに関する。
次世代の電磁波検出器に用いられる電磁波検出層の材料として、二次元材料層の一例であるグラフェンが知られている。グラフェンは、極めて高い移動度を有している。グラフェンの吸収率は、2.3%と低い。このため、二次元材料層としてグラフェンが用いられた電磁波検出器における高感度化手法が提案されている。
例えば、国際公開第2018/012076号(特許文献1)は、ソース電極と、ドレイン電極と、グラフェン層と、強誘電体層とを備える電磁波検出器を開示している。特許文献1の電磁波検出器では、ソース電極及びドレイン電極間に接続されたグラフェン層の下部または上部に強誘電体層が配置されている。上記電磁波検出器では、入射電磁波、特に赤外線波長域の電磁波が入射することにより強誘電体層が焦電効果を発生する。この焦電効果により、グラフェン層のゲート電圧が変調される。グラフェン層は原子層の厚さかつ電荷移動度が高いことから、わずかなゲート電圧変化によって巨大な電流応答変化が得らえる。このような効果を光ゲート効果と呼ぶ。この光ゲート効果により高感度化が実現できる。
国際公開第2018/012076号
しかしながら、特許文献1の電磁波検出器では、電磁波検出器のオフ動作が困難である。本開示は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、より高い検出感度を有しかつオフ動作が改善された電磁波検出器、電磁波検出器アレイ及び画像センサを提供することを目的とする。
本開示に係る電磁波検出器は、第1強誘電体層と、二次元材料層と、第1の電極対と、第2の電極対とを備える。第1強誘電体層は、第1主面を含み、かつ、自発分極を有する。二次元材料層は、第1強誘電体層の第1主面上に配置されている。第1の電極対は、第1電極と、第2電極とを含む。第2の電極対は、第3電極と、第4電極とを含む。第1の電極対は、二次元材料層に電気的に接続されている。第2の電極対は、二次元材料層に電気的に接続されている。第1主面の平面視において、第3電極と第4電極とは、第1強誘電体層の自発分極の第1分極方向に対して垂直な第1方向に互いに対向して配置されている。第1主面の平面視において、第1電極と第2電極とは、第1方向とは異なる第2方向に互いに対向して配置されている。
本開示に係る電磁波検出器アレイは、本開示の電磁波検出器を複数備える。複数の電磁波検出器が、第3方向および第3方向とは異なる第4方向の少なくともいずれかに沿って並んで配置されている。
本開示に係る画像センサは、本開示の電磁波検出器アレイと、本開示の電磁波検出器アレイに接続されている読出回路とを備える。
本開示の電磁波検出器によれば、より高い検出感度を有しかつオフ動作が改善された電磁波検出器、電磁波検出器アレイ及び画像センサを提供することができる。
実施の形態1に係る電磁波検出器の概略平面図である。 実施の形態1に係る電磁波検出器の、図1に示される断面線II-IIにおける概略断面図である。 実施の形態1に係る電磁波検出器の、図1に示される断面線III-IIIにおける概略断面図である。 実施の形態1の第1変形例に係る電磁波検出器を示す概略断面図である。 実施の形態1の第2変形例に係る電磁波検出器を示す概略断面図である。 実施の形態1の第3変形例に係る電磁波検出器を示す概略断面図である。 実施の形態1の第4変形例に係る電磁波検出器を示す概略平面図である。 実施の形態2に係る電磁波検出器の概略平面図である。 実施の形態3に係る電磁波検出器の概略断面図である。 実施の形態3に係る電磁波検出器の概略断面図である。 実施の形態4に係る電磁波検出器の概略断面図である。 実施の形態4の変形例に係る電磁波検出器の概略断面図である。 実施の形態5に係る電磁波検出器の概略断面図である。 実施の形態5の変形例に係る電磁波検出器の概略断面図である。 実施の形態6に係る電磁波検出器の概略断面図である。 実施の形態7に係る電磁波検出器の概略断面図である。 実施の形態8に係る電磁波検出器の概略平面図である。 実施の形態8に係る電磁波検出器の、図16に示される断面線XVII-XVIIにおける概略断面図である。 実施の形態8に係る電磁波検出器の、図16に示される断面線XVIII-XVIIIにおける概略断面図である。 実施の形態9に係る電磁波検出器の概略平面図である。 実施の形態9に係る電磁波検出器の、図19に示される断面線XX-XXにおける概略断面図である。 実施の形態9に係る電磁波検出器の、図19に示される断面線XXI-XXIにおける概略断面図である。 実施の形態10に係る電磁波検出器の概略平面図である。 実施の形態10に係る電磁波検出器の、図21Bに示される断面線XXIC-XXICにおける概略断面図である。 実施の形態11に係る電磁波検出器の概略平面図である。 実施の形態11に係る電磁波検出器の、図22に示される断面線XXIII-XXIIIにおける概略断面図である。 実施の形態12に係る電磁波検出器の概略平面図である。 実施の形態12に係る電磁波検出器の、図24に示される断面線XXV-XXVにおける概略断面図である。 実施の形態13に係る電磁波検出器の概略平面図である。 実施の形態13に係る電磁波検出器の、図26に示される断面線XXVII-XXVIIにおける概略断面図である。 実施の形態14に係る電磁波検出器の概略平面図である。 実施の形態14に係る電磁波検出器の、図28に示される断面線XXIX-XXIXにおける概略断面図である。 実施の形態15に係る電磁波検出器の回路図である。 実施の形態16に係る電磁波検出器を示す回路図である。 実施の形態17に係る電磁波検出器アレイの平面模式図である。 実施の形態17の変形例に係る電磁波検出器アレイを示す平面模式図である。 実施の形態17に係る画像センサの概略部分拡大図である。 実施の形態17に係る画像センサの概略部分拡大図である。
以下、実施の形態について図に基づいて説明する。なお、以下では、同一または相当する部分に同一の符号を付すものとし、重複する説明は繰り返さない。
以下に説明される実施の形態において、図は模式的なものであり、機能または構造を概念的に説明するものである。また、以下に説明される実施の形態により本開示が限定されるものではない。特記される場合を除いて、電磁波検出器の基本構成は全ての実施の形態において共通である。また、同一の符号が付されたものは、上述のように同一またはこれに相当するものである。これは明細書の全文において共通する。
以下に説明される実施の形態では、可視光または赤外光を検出する場合の電磁波検出器の構成が説明されるが、本開示の電磁波検出器が検出する光は可視光および赤外光に限定されない。以下に説明される実施の形態は、可視光および赤外光に加えて、例えば、X線、紫外光、近赤外光、テラヘルツ(THz)波、マイクロ波などの電波を検出する検出器としても有効である。なお、本開示の実施の形態において、これらの光および電波を総称して電磁波と記載する。
また、本実施の形態では、グラフェンとしてp型グラフェンおよびn型グラフェンの用語が用いられる場合がある。以下の実施の形態では、真性状態のグラフェンよりも正孔が多いものがp型グラフェンと呼ばれ、真性状態のグラフェンよりも電子が多いものがn型グラフェンと呼ばれる。つまり、n型の材料は、電子供与性を有する材料である。また、p型の材料は、電子求引性を有する材料である。
また、分子全体において電荷に偏りが見られる場合に電子が支配的になるものがn型と呼ばれる場合もある。分子全体において電荷に偏りが見られる場合に正孔が支配的になるものがp型と呼ばれる場合もある。二次元材料層の一例であるグラフェンに接触する部材の材料には、有機物および無機物のいずれか一方または有機物および無機物の混合物が用いられてもよい。
また、金属表面と光との相互作用である表面プラズモン共鳴現象等のプラズモン共鳴現象、可視光域および近赤外光域以外での金属表面にかかる共鳴という意味での擬似表面プラズモン共鳴と呼ばれる現象、または、波長以下の寸法の構造により波長を操作するという意味でのメタマテリアルまたはプラズモニックメタマテリアルと呼ばれる現象については、特にこれらを名称により区別せず、現象が及ぼす効果の面からは同等の扱いとする。ここでは、これらの共鳴を、表面プラズモン共鳴、プラズモン共鳴、または、単に共鳴と呼ぶ。
また、以下に説明する実施の形態では、二次元材料層の材料として、主にグラフェンを例に説明が行われているが、二次元材料層の材料はグラフェンに限られない。例えば、二次元材料層の材料としては、多層グラフェン、乱層積層グラフェン、遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD:Transition Metal Dichalcogenide)、黒リン(Black Phosphorus)、シリセン(シリコン原子による二次元ハニカム構造)、ゲルマネン(ゲルマニウム原子による二次元ハニカム構造)等の材料が適用され得る。遷移金属ダイカルコゲナイドとしては、例えば、二硫化モリブデン(MoS)、二硫化タングステン(WS)、二セレン化タングステン(WSe)等の遷移金属ダイカルコゲナイドが挙げられる。
より好ましくは、二次元材料層は、グラフェン、多層グラフェン、乱層積層グラフェン、遷移金属ダイカルゴゲナイト(TMD:Transition Metal Dichalcogenide)、黒リン(Black Phosphorus)、シリセン(シリコン原子による二次元ハニカム構造)、グラフェンナノリボンおよびボロフェンからなる群から選択されるいずれかの材料を含んでいる。
これらの材料は、グラフェンと類似の構造を有している。これらの材料では、原子が二次元面内に単層で配列されている。したがって、これらの材料が二次元材料層に適用された場合においても、二次元材料層にグラフェンが適用された場合と同様の作用効果が得られる。
また、本実施の形態において、絶縁層と表記されるものは、トンネル電流が生じない厚さを有する絶縁物の層である。
実施の形態1.
<電磁波検出器100の構成>
図1から図3を参照して、実施の形態1に係る電磁波検出器100を説明する。電磁波検出器100は、第1強誘電体層5と、二次元材料層1と、第1の電極対2aと、第2の電極対2bと、第1絶縁膜3と、裏面電極4と、第1動作回路30と、第2動作回路33と、信号検出回路40とを備える。
第1強誘電体層5は、第1主面5aと、第1主面5aとは反対側の第2主面5bとを含む。第1主面5a及び第2主面5bは、各々、x方向と、x方向に垂直なy方向とに延在している。第1主面5aの法線方向及び第2主面5bの法線方向は、x方向及びy方向に垂直なz方向である。第1強誘電体層5は、自発分極を有する。第1強誘電体層5の自発分極の第1分極方向は、例えば、+x方向である。
第1強誘電体層5は、電磁波検出器100に照射される電磁波の波長(以下、「検出波長」ということがある。)に感度を有している。第1強誘電体層5に検出波長を有する電磁波が照射されると、第1強誘電体層5は、電磁波を吸収して、発熱する。そのため、第1強誘電体層5の自発分極は、変化する。すなわち、第1強誘電体層5に焦電効果が生じる。本実施の形態では、電磁波は、図2及び図3の上方から電磁波検出器100に照射されている。電磁波検出器100を用いて電磁波を検出するためには、第1強誘電体層5に電磁波が照射されればよく、電磁波検出器100に対する電磁波の照射方向は特に限定されない。
本実施の形態では、第1強誘電体層5は、二次元材料層1の下に配置される。具体的には、第1強誘電体層5は、第1の電極対2a、第2の電極対2b及び二次元材料層1の下に配置されている。第1強誘電体層5は、二次元材料層1の上に配置されてもよいし、第1の電極対2a及び第2の電極対2bの上に配置されてもよい。第1強誘電体層5の第1主面5aは、第1絶縁膜3によって覆われている。
二次元材料層1は、第1強誘電体層5の第1主面5a上に配置されている。図2及び図3に示されるように、本実施の形態では、二次元材料層1は、第1の電極対2a及び第2の電極対2b上に配置されている。二次元材料層1は、第1の電極対2a及び第2の電極対2bの下に配置されてもよい。第1強誘電体層5の第1主面5aの平面視において、二次元材料層1は、好ましくは、第1強誘電体層5に重なるように配置されている。そのため、二次元材料層1に対する第1強誘電体層5の自発分極の変化の影響を大きくすることができる。
二次元材料層1は、第1細長部分11と、第2細長部分12とを含む。第1細長部分11の第1長手方向は、第2細長部分12の第2長手方向と異なっている。第1細長部分11の第1長手方向は、例えば、第1強誘電体層5の自発分極の第1分極方向(+x方向)に平行な方向(x方向)である。第2細長部分12の第2長手方向は、例えば、第1強誘電体層5の自発分極の第1分極方向(+x方向)に対して垂直な第1方向(y方向)である。
図2及び図3に示されるように、本実施の形態では、第1細長部分11は、第2細長部分12と同一層である。第1細長部分11と第2細長部分12とは、共通部分13を共有している。共通部分13は、第1細長部分11の中央部であり、かつ、第2細長部分12の中央部である。図1に示されるように、第1主面5aの平面視において、第1細長部分11の一部は第2細長部分12の一部と重なっている。本実施の形態では、第1主面5aの平面視において、第1細長部分11の中央部が第2細長部分12の中央部に重なっている。第1主面5aの平面視において、第1細長部分11は第2細長部分12に交差しており、二次元材料層1の形状は、十字である。第1主面5aの平面視における二次元材料層1の形状は、特に限定されず、電磁波検出器100への電磁波の照射時(以下、「明状態」ということがある。)において、第1の電極対2aから発生する第1電気信号と第2の電極対2bから発生する第2電気信号との間に差分が発生する形状であればよい。
本実施の形態では、第1主面5aの平面視において、二次元材料層1の端部の形状は、矩形である。二次元材料層1の端部の形状は、特に限定されず、三角形または櫛形などであってもよい。
第1主面5aの平面視において、第1電極21と第2電極22との間の第1細長部分11の形状は、第3電極25と第4電極26との間の第2細長部分12の形状と同一であることが好ましい。第1電極21と第2電極22との間の第1細長部分11の形状が、第3電極25と第4電極26との間の第2細長部分12の形状と同一である場合、第1電極21と第2電極22との間の第1細長部分11の電気抵抗は、第3電極25と第4電極26との間の第2細長部分12の電気抵抗と同一になる。そのため、電磁波検出器100への電磁波の非照射時(以下、「暗状態」ということがある。)において、信号検出回路40からの出力をゼロにすることができる。第1電極21と第2電極22との間の第1細長部分11の形状が、第3電極25と第4電極26との間の第2細長部分12の形状と異なる場合であっても、信号検出回路40を調整することによって、暗状態において信号検出回路40からの出力をゼロにすることができる。
二次元材料層1は、例えば、グラフェン、多層グラフェン、乱層積層グラフェン、遷移金属ダイカルゴゲナイト、黒リン、シリセン、グラフェンナノリボンおよびボロフェンからなる群から選択されるいずれかの材料で形成されている。二次元材料層1は、単一の単層二次元材料層で形成されてもよい。
第1の電極対2aは、二次元材料層1に電気的に接続されている。具体的には、第1の電極対2aは、第1細長部分11に電気的に接続されている。第1の電極対2aは、第1電極21と、第2電極22とを含む。第1主面5aの平面視において、第1電極21と第2電極22とは、第1強誘電体層5の自発分極の第1分極方向(+x方向)に対して垂直な第1方向(y方向)とは異なる第2方向に互いに対向して配置されている。そのため、電磁波検出器100への電磁波の照射時に、第1強誘電体層5の自発分極の変化に起因して、第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1の電気抵抗は変化する。
第2方向は、好ましくは、第1強誘電体層5の自発分極の第1分極方向(+x方向)に平行であり、第1電極21と第2電極22とは、好ましくは、第1主面5aの平面視において、第1強誘電体層5の自発分極の第1分極方向(+x方向)に互いに対向して配置されている。そのため、第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1の電気抵抗の変化は最大化される。
第2の電極対2bは、二次元材料層1に電気的に接続されている。具体的には、第2の電極対2bは、第2細長部分12に電気的に接続されている。第2の電極対2bは、第3電極25と、第4電極26とを含む。第1主面5aの平面視において、第3電極25と第4電極26とは、第1強誘電体層5の自発分極の第1分極方向に対して垂直な第1方向(y方向)に互いに対向して配置されている。そのため、第2の電極対2bから出力される第2電気信号は、明状態において生じる第1強誘電体層5の自発分極の変化の影響を受けない。明状態における第3電極25と第4電極26との間の二次元材料層1の電気抵抗は、暗状態における第3電極25と第4電極26との間の二次元材料層1の電気抵抗から変化しない。暗状態と明状態との間で、第2の電極対2bから出力される第2電気信号は、変化しない。
これに対し、上記のとおり、第1電極21と第2電極22とは、第1強誘電体層5の自発分極の第1分極方向(+x方向)に対して垂直な第1方向(y方向)とは異なる第2方向に互いに対向して配置されている。そのため、第1の電極対2aから出力される第1電気信号は、明状態において生じる第1強誘電体層5の自発分極の変化の影響を受ける。明状態における第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1の電気抵抗は、暗状態における第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1の電気抵抗から変化する。暗状態と明状態との間で、第1の電極対2aから出力される第1電気信号は、変化する。
暗状態における第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1の電気抵抗を、暗状態における第3電極25と第4電極26との間の二次元材料層1の電気抵抗に等しくする。信号検出回路40は、第1の電極対2aから出力される第1電気信号と第2の電極対2bから出力される第2電気信号との間の差分信号を出力する。こうして、暗状態において信号検出回路40から出力される信号は、ゼロになる。
これに対し、明状態では、第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1の電気抵抗は変化するが、暗状態における第3電極25と第4電極26との間の二次元材料層1の電気抵抗は変化しない。信号検出回路40は、第1の電極対2aから出力される第1電気信号と第2の電極対2bから出力される第2電気信号との間の差分信号を出力する。そのため、明状態において信号検出回路40から出力される信号から、暗電流の影響を取り除くことができる。電磁波検出器100のオフ動作が改善される。
第1絶縁膜3は、第1強誘電体層5の第1主面5a上に形成されている。第1絶縁膜3は、第1強誘電体層5と二次元材料層1との間に配置されている。第1絶縁膜3は、電磁波検出器100に入射する電磁波を吸収して、発熱する。そのため、第1絶縁膜3は、明状態における第1強誘電体層5の自発分極の変化を増強することができる。
裏面電極4は、第1強誘電体層5の第2主面5b上に形成されている。裏面電極4を通して二次元材料層1にバックゲート電圧Vbgを印加することによって、バックゲート電圧Vbgが二次元材料層1に効率的に印加され得る。電磁波検出器100が裏面電極4を含む場合には、電磁波は、図2及び図3の上方から電磁波検出器100に照射されることが好ましい。
第1動作回路30は、第1の電極対2aに接続されている。第1動作回路30は、例えば、第1電極21と第2電極22との間にバイアス電圧Vd1を印加する第1電圧源31を含む。第1電圧源31は、二次元材料層1の第1細長部分11にバイアス電圧Vd1を印加する。
第2動作回路33は、第2の電極対2bに接続されている。第2動作回路33は、例えば、第3電極25と第4電極26との間にバイアス電圧Vd2を印加する第2電圧源34を含む。第2電圧源34は、二次元材料層1の第2細長部分12にバイアス電圧Vd2を印加する。
信号検出回路40は、第1信号検出器41と、第2信号検出器42と、差分器44とを含む。
第1信号検出器41は、第1の電極対2aに接続されている。具体的には、第1信号検出器41は、第1の電極対2aに含まれる第1電極21及び第2電極22の一方(本実施の形態では、第1電極21)に接続されている。第1電極21及び第2電極22の他方(本実施の形態では、第2電極22)は、例えば、接地されている。第1信号検出器41は、第1動作回路30に接続されている。第1信号検出器41は、第1の電極対2aから出力される第1電気信号を検出する。第1信号検出器41は、例えば、第1電流計を含む。第1電流計は、第1動作回路30が第1電極21と第2電極22との間にバイアス電圧Vd1を印加することによって、第1電極21と第2電極22との間の第1細長部分11を流れる電流Id1を検出する。
第2信号検出器42は、第2の電極対2bに接続されている。具体的には、第2信号検出器42は、第2の電極対2bに含まれる第3電極25及び第4電極26の一方(本実施の形態では、第3電極25)に接続されている。第3電極25及び第4電極26の他方(本実施の形態では、第4電極26)は、例えば、接地されている。第2信号検出器42は、第2動作回路33に接続されている。第2信号検出器42は、第2の電極対2bから出力される第2電気信号を検出する。第2信号検出器42は、例えば、第2電流計を含む。第2電流計は、第2動作回路33が第3電極25と第4電極26との間にバイアス電圧Vd2を印加することによって、第3電極25と第4電極26との間の第2細長部分12を流れる電流Id2を検出する。
差分器44は、第1信号検出器41と第2信号検出器42とに接続されている。差分器44は、第1電気信号と第2電気信号との間の差分信号を出力する。例えば、第1電気信号は第1電極21と第2電極22との間の第1細長部分11を流れる電流Id1であり、第2電気信号は第3電極25と第4電極26との間の第2細長部分12を流れる電流Id2であり、差分器44は電流Id1と電流Id2との間の差分信号を出力する。そのため、暗状態において、信号検出回路40から出力される信号をゼロにすることができる。明状態において信号検出回路40から出力される信号から、暗電流の影響を取り除くことができる。電磁波検出器100のオフ動作が改善される。
次に、二次元材料層1、第1の電極対2a、第2の電極対2b、第1絶縁膜3及び第1強誘電体層5の構成について詳細に説明する。
<二次元材料層1の構成>
二次元材料層1は、例えば、単層のグラフェンである。単層のグラフェンは、二次元炭素結晶の単原子層である。グラフェンは、六角形状に配置された複数の連鎖の各々にそれぞれ配置された複数の炭素原子を有している。グラフェンの吸収率は、2.3%と低い。具体的には、グラフェンの白色光の吸収率は、2.3%である。なお、本実施の形態において、白色光は、可視光線の波長を有する光が均等に混ざった光である。また、二次元材料層1は、複数のグラフェン層が積層された多層グラフェンであってもよい。多層グラフェン中のグラフェンのそれぞれの六方格子の格子ベクトルの向きは、一致していてもよいし、異なっていてもよい。また、多層グラフェン中のグラフェンのそれぞれの六方格子の格子ベクトルの向きは、完全に一致していてもよい。また、二次元材料層1は、p型またはn型の不純物がドープされたグラフェンであってもよい。
例えば、2層以上のグラフェン層が積層されることによって、二次元材料層1にバンドギャップが形成される。すなわち、積層されたグラフェン層の数を変更することによって、バンドギャップの大きさを調整することができる。これにより、二次元材料層1は、光電変換の対象となる電磁波(検出波長)を選択する波長選択効果を有することができる。また、例えば、多層グラフェンのグラフェン層の数が増加すると、二次元材料層1の移動度が低下する。一方で、多層グラフェンのグラフェン層の数が増加すると、二次元材料層を支持する下地からのキャリア散乱の影響が抑制されるため、電磁波検出器100のノイズが低下する。このため、二次元材料層1として多層グラフェンが用いられると、二次元材料層1における電磁波の吸収が増加して、電磁波に対する電磁波検出器100の検出感度が向上する。
また、多層グラフェンは、乱層構造部分を含んでもよい。乱層構造部分の作製方法は、適宜に決められてもよい。例えば、CVD法で作製された単層のグラフェンが複数回転写され、多層グラフェンが積層されることで乱層構造部分が形成されてもよい。また、グラフェン上にエタノールまたはメタンなどが炭素源として配置され、グラフェンがCVD法によって成長することで、乱層構造部分が形成されてもよい。
より詳細には、乱層構造部分を含まない通常の積層グラフェンは、複数のグラフェン層の格子が互いに整合した状態で積層される。このような複数のグラフェン層の積層状態は、AB積層と呼ばれる。
これに対し、乱層構造部分を含む多層グラフェンは、次のように形成される。CVD法によって作成されたグラフェンは、多結晶を有する。このため、下層のグラフェンの上にさらにグラフェンが複数回転写された場合、またはCVD法によって下層のグラフェンを核としてさらにグラフェンが積層された場合には、複数のグラフェンの格子が互いに不整合な状態で積層される。すなわち、多層グラフェンに、乱層構造部分が形成される。乱層構造部分では、互いに隣り合うグラフェン層間の相互作用が少なく、乱層構造部分の各グラフェン層は、単層グラフェンと同等の性質を有する。そして、二次元材料層1は下地からキャリア散乱の影響を受けると、二次元材料層1の移動度は低下する。しかし、乱層構造部分において、下地に接触するグラフェンはキャリア散乱の影響を受けるが、当該グラフェン上に乱層構造で積層された上層のグラフェンは、下地からキャリア散乱の影響を受けにくくなる。また、乱層構造のグラフェンでは、互いに隣り合うグラフェン層間の相互作用が少ないため、向上された導電率を有する。以上より、乱層構造のグラフェンではキャリアの移動度が向上し、乱層構造のグラフェンを含む電磁波検出器100は、電磁波に対して向上された感度を有する。
また、二次元材料層1としてナノリボン状のグラフェン(グラフェンナノリボン)が用いられてもよい。二次元材料層1は、グラフェンナノリボン単体であってもよい。二次元材料層1は、複数のグラフェンナノリボンが積層された構造を有してもよい。二次元材料層1は、グラフェンナノリボンが平面上に周期的に配列された構造を有してもよい。二次元材料層1がグラフェンナノリボンが周期的に配列された構造を有する場合、グラフェンナノリボンにおいてプラズモン共鳴を発生するため、電磁波検出器100の感度が向上する。グラフェンナノリボンが周期的に配列された構造は、グラフェンメタマテリアルと呼ばれることもある。二次元材料層1としてグラフェンメタマテリアルが用いられた電磁波検出器100では、プラズモン共鳴を発生するため、電磁波検出器100の感度が向上する。
二次元材料層1の端部はグラフェンナノリボンであってもよい。この場合、グラフェンナノリボンはバンドギャップを有するため、グラフェンナノリボンと電極との接合領域においてショットキー接合が形成される。
二次元材料層1が第1の電極対2aに接触することによって、第1の電極対2aから二次元材料層1にキャリアがドープされる。例えば、二次元材料層1がグラフェンで形成されており、かつ、第1の電極対2aが金(Au)で形成されている場合、キャリアは正孔である。グラフェンの仕事関数と金(Au)の仕事関数との差によって、二次元材料層1のうち第1の電極対2aに接している部分に正孔がドープされる。二次元材料層1のの当該部分に正孔がドープされた状態において、電磁波検出器100が電子伝導状態で駆動されると、正孔の影響によって、チャネル内に流れる電子の移動度が低下する。このため、二次元材料層1と第1の電極対2aとの間のコンタクト抵抗が増加する。特に、二次元材料層1の全ての領域が単層グラフェンによって形成されている場合、第1の電極対2aから二次元材料層1に注入されるキャリアの量(ドープ量)が大きい。このため、電磁波検出器100の電子の移動度の低下は、顕著である。したがって、二次元材料層1の全ての領域が単層グラフェンによって形成されている場合、電磁波検出器100の性能は低下する。
また、第1の電極対2aから多層グラフェンにドープされるキャリアの量は、第1の電極対2aから単層グラフェンにドープされるキャリアの量よりも小さい。このため、キャリアがドープされやすい第1の電極対2aとの接合部が多層グラフェンで形成されることによって、二次元材料層1と第1の電極対2aとの間のコンタクト抵抗の増加を抑制することができる。これにより、電磁波検出器100の電子の移動度の低下を抑制することができて、電磁波検出器100の性能を向上させることができる。
<第1の電極対2aおよび第2の電極対2bの構成>
第1の電極対2a及び第2の電極対2bは、任意の導電材料で形成されている。第1の電極対2a及び第2の電極対2bの材料は、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)およびパラジウム(Pd)の少なくともいずれかを含んでいてもよい。第1の電極対2aと第1絶縁膜3との間及び第2の電極対2bと第1絶縁膜3との間に、密着層(図示せず)が設けられてもよい。密着層は、第1の電極対2aと第1絶縁膜3との間の密着性及び第2の電極対2bと第1絶縁膜3との間の密着性を高める。密着層の材料は、例えば、クロム(Cr)またはチタン(Ti)等の金属材料を含んでいる。
<第1絶縁膜3の構成>
第1絶縁膜3の材料は、例えば、酸化ケイ素(SiO)である。第1絶縁膜3の材料は、酸化ケイ素に限られず、例えば、オルトケイ酸テトラエチル(Si(OC)、窒化ケイ素(Si)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ニッケル(NiO)、窒化ボロン(BN)、または、シロキサン系のポリマー材料であってもよい。例えば、窒化ボロン(BN)の原子配列は、グラフェンの原子配列と似ている。このため、窒化ボロン(BN)がグラフェンからなる二次元材料層1に接触する場合、二次元材料層1の電子の移動度の低下が抑制される。よって、窒化ボロン(BN)は、二次元材料層1の下に配置される下地膜としての第1絶縁膜3に好適な材料である。
第1絶縁膜3の材料は、ReNiO(Reは希土類元素を表す)またはTaSなどのようなモット絶縁体であってもよい。電磁波がモット絶縁体層に照射されることによって、モット絶縁体層に相転移が生じて、モット絶縁体層の物性(例えば、温度)が変化する。そのため、モット絶縁体層は、電磁波の照射時における第1強誘電体層5の自発分極の変化を増強することができる。
第1絶縁膜3の厚さは、第1の電極対2a及び第2の電極対2bが第1強誘電体層5に対して電気的に絶縁され、かつトンネル電流が第1の電極対2aと第1強誘電体層5との間及び第2の電極対2bと第1強誘電体層5との間に生じない限りにおいて、特に制限されない。絶縁層は、二次元材料層1の下方に配置されていなくてもよい。
<第1強誘電体層5の構成>
第1強誘電体層5の材料は、検出波長を有する電磁波が第1強誘電体層5に入射した際に第1強誘電体層5に自発分極の変化が生じる材料であればよい。第1強誘電体層5の材料は、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、タンタル酸ビスマス酸ストロンチウム(SBT)、ビスマスフェライト(BFO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ハフニウム(HfO)および有機ポリマーであるポリフッ化ビニリデン系の強誘電体(PVDF、P(VDF-TrFE)、P(VDF-TrFE-CTFE)等)の少なくともいずれかを含む。また、第1強誘電体層5は、異なる複数の強誘電体材料が積層または混合されることによって形成されてもよい。
第1強誘電体層5の材料は、焦電効果を奏する焦電体であれば、上記の材料に限られない。具体的には、第1強誘電体層5の材料は、第1強誘電体層5の内部の熱エネルギーの変化に対して自発分極の変化が生じる強誘電体であればよい。なお、焦電効果において電磁波は単に熱源として作用する。このため、焦電効果には、基本的に波長依存性はなく、第1強誘電体層5には、基本的に波長依存性はない。したがって、第1強誘電体層5は、広帯域の電磁波に感度を有する。
第1強誘電体層5の材料は、自発分極を有する。電磁波の照射によって第1強誘電体層5の温度が上昇すると、第1強誘電体層5の自発分極は減少する。このため、第1強誘電体層5から二次元材料層1に印加される電界が減少する。第1強誘電体層5の自発分極の変化により、二次元材料層1に抵抗変化が生じる。そのため、二次元材料層1と第1強誘電体層5とを含む電磁波検出器100は、電磁波を検出することができる。
第1強誘電体層5内における自発分極の変化の速度が可能な限り速くなるように第1強誘電体層5を構成することによって、電磁波検出器100の応答速度を向上させることができる。具体的には、第1強誘電体層5の厚さは、電磁波の照射による第1強誘電体層5の自発分極の変化の影響を二次元材料層1に与えることができる範囲内でできるだけ薄いことが望ましい。具体的には、第1強誘電体層5は、10μm以下の厚さを有する強誘電体薄膜であることが望ましい。
第1強誘電体層5の厚さは、電磁波が第1強誘電体層5に照射された際に、第1強誘電体層5の自発分極の変化に起因して、二次元材料層1にできる限り大きな電気抵抗の変化を与えることができる厚さであることが望ましい。
第1強誘電体層5上に、保護膜(図示せず)が設けられてもよい。保護膜は、二次元材料層1、第1の電極対2a及び第2の電極対2bを覆うように設けられてもよい。保護膜の材料は、例えば、酸化物または窒化物等の絶縁体である。保護膜の材料は、例えば、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化アルミニウム(Al)または窒化ボロン(BN)等である。
<電磁波検出器100の製造方法>
本実施の形態の電磁波検出器100の製造方法の一例を説明する。
本実施の形態の電磁波検出器100の製造方法の一例は、準備工程、裏面電極形成工程、絶縁膜形成工程、電極形成工程及び二次元材料層形成工程を主に含んでいる。
最初に、準備工程が実施される。準備工程では、第1強誘電体層5として、強誘電体基板が準備される。強誘電体基板の材料は、予め定められた検出波長に感度を有している材料である。
続いて、裏面電極形成工程が実施される。裏面電極形成工程では、第1強誘電体層5の表面(第2主面5bを除く)に保護膜が形成される。保護膜は、例えば、レジストである。第1強誘電体層5の表面が保護膜によって保護された状態で、第1強誘電体層5の第2主面5bに、裏面電極4が形成される。裏面電極4が形成される前に、第1強誘電体層5の第2主面5bに、密着層(図示せず)が形成されてもよい。なお、裏面電極形成工程は、第1強誘電体層5の表面が保護膜によって保護されている限り、絶縁膜形成工程から二次元材料層形成工程までのいずれの工程の後に実施されてもよい。裏面電極4が形成された後に、保護膜は、第1強誘電体層5の表面から除去される。
続いて、絶縁膜形成工程が実施される。絶縁膜形成工程では、第1強誘電体層5の第1主面5a上に第1絶縁膜3が形成される。第1絶縁膜3の成膜方法は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法またはスパッタリング法であってもよい。例えば、プラズマCVD法などで第1強誘電体層5の第1主面5a上にテトラエトキシシランなどを形成することによって、第1絶縁膜3が形成されてもよい。
続いて、電極形成工程が実施される。電極形成工程では、第1絶縁膜3上に第1の電極対2a及び第2の電極対2bが形成される。第1の電極対2a及び第2の電極対2bが形成される前に、第1絶縁膜3のうち第1の電極対2a及び第2の電極対2bが形成される領域に、密着層(図示せず)が形成されてもよい。密着層は、第1の電極対2aと第1絶縁膜3との間の密着性及び第2の電極対2bと第1絶縁膜3との間の密着性を向上させる。
第1の電極対2a及び第2の電極対2bの形成方法として、例えば、以下のプロセスが用いられる。まず、第1絶縁膜3上に、レジストマスクが形成される。レジストマスクは、フォトリソグラフィ法または電子線(EB)描画法などによってパターニングされて、レジストマスクのうち第1の電極対2a及び第2の電極対2bが形成される領域に、開口部が形成される。それから、蒸着法またはスパッタリング法などが用いて、レジストマスク上に、第1の電極対2a及び第2の電極対2bとなる金属膜などの導電膜が形成される。導電膜は、レジストマスクの開口部内及びレジストマスクの上部表面上に形成される。その後、レジストマスクが導電膜の一部と共に除去される。レジストマスクの開口部内にある導電膜が第1絶縁膜3上に残存して、第1絶縁膜3上に第1の電極対2a及び第2の電極対2bとなる。上述した第1の電極対2a及び第2の電極対2bの形成方法は、一般的に、リフトオフ法と呼ばれている。
第1の電極対2a及び第2の電極対2bの形成方法として、他の方法が用いられてもよい。例えば、第1絶縁膜3上に第1の電極対2a及び第2の電極対2bとなる金属膜などの導電膜が形成される。それから、導電膜上にレジストマスクが形成される。レジストマスクは、フォトリソグラフィ法または電子線(EB)描画法などによってパターニングされて、レジストマスクに開口部が形成される。レジストマスクは第1の電極対2a及び第2の電極対2bが形成される領域を覆い、開口部は第1の電極対2a及び第2の電極対2bが形成されない領域に形成される。それから、レジストマスクをエッチングマスクとして用いて、ウェットエッチングまたはドライエッチングにより、導電膜が部分的に除去される。レジストマスクから露出している導電膜は、除去される。レジストマスクによって覆われている導電膜は第1絶縁膜3上に残存して、第1の電極対2a及び第2の電極対2bがとなる。最後に、レジストマスクが除去される。こうして、第1の電極対2a及び第2の電極対2bが形成されてもよい。
続いて、二次元材料層形成工程が実施される。本実施の形態の二次元材料層形成工程では、第1の電極対2a、第2の電極対2b、第1絶縁膜3が二次元材料層1によって覆われるように、二次元材料膜が形成される。二次元材料膜の形成方法は、特に制限されない。二次元材料膜は、例えば、エピタキシャル成長によって形成されてもよいし、スクリーン印刷法によって形成されてもよい。また、二次元材料膜は、予めCVD法により形成された二次元材料膜を第1絶縁膜3に転写して貼り付けることによって、二次元材料膜が形成されてもよい。機械剥離等により剥離されたフィルム状の二次元材料膜を第1絶縁膜3に転写して貼り付けることによって、二次元材料膜が形成されてもよい。
それから、二次元材料膜上にレジストマスクが形成される。レジストマスクは、フォトリソグラフィ法または電子線(EB)描画法などによってパターニングされる。レジストマスクは、二次元材料膜のうち第1の電極対2a及び第2の電極対2bが形成される領域を覆う。二次元材料膜のうち第1の電極対2a及び第2の電極対2bが形成されない領域は、レジストマスクから露出している。レジストマスクをエッチングマスクとして用いて、二次元材料膜がエッチングされる。二次元材料膜のエッチング方法は、例えば、酸素プラズマによるドライエッチングである。最後に、レジストマスクが除去される。こうして、二次元材料層1が形成される。
以上の工程によって、本実施の形態の電磁波検出器100が製造される。
なお、上述した製造方法の一例では、第1の電極対2a及び第2の電極対2bの上に二次元材料層1が形成されたが、第1絶縁膜3または第1強誘電体層5上に二次元材料層1が形成され、それから二次元材料層1上に第1の電極対2a及び第2の電極対2bが形成されてもよい。ただし、第1の電極対2a及び第2の電極対2bの形成時に、二次元材料層1が第1の電極対2a及び第2の電極対2bの形成プロセスによって損傷しないように注意する必要がある。例えば、二次元材料層1のうち第1の電極対2a及び第2の電極対2bが形成されない領域を保護膜によって覆った後に、保護膜から露出した二次元材料層1上に第1の電極対2a及び第2の電極対2bを形成する。こうして、第1の電極対2a及び第2の電極対2bの形成プロセスによって二次元材料層1が損傷することが抑制される。
<電磁波検出器100の動作原理>
図1から図3を参照して、本実施の形態の電磁波検出器100の動作原理を説明する。
暗状態において、第1動作回路30に含まれる第1電圧源31は、第1電極21と第2電極22との間にバイアス電圧Vd1を印加する。第2動作回路33に含まれる第2電圧源34は、第3電極25と第4電極26との間にバイアス電圧Vd2を印加する。第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1(第1細長部分11)に、電流Id1が流れる。第3電極25と第4電極26との間の二次元材料層1(第2細長部分12)に、電流Id2が流れる。第1信号検出器41に含まれる第1電流計は、第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1(第1細長部分11)に流れる電流Id1を検出する。第2信号検出器42に含まれる第2電流計は、第3電極25と第4電極26との間の二次元材料層1(第2細長部分12)に流れる電流Id2を検出する。暗状態において電流Id1と電流Id2とが互いに等しくなるように、バイアス電圧Vd1及びバイアス電圧Vd2は調整される。
それから、第1強誘電体層5に電磁波が照射される。第1強誘電体層5の焦電効果により、第1強誘電体層5の自発分極の変化が生じる。第1電極21と第2電極22とが互いに対向している第2方向は、第1強誘電体層5の自発分極の第1分極方向(+x方向)に対して垂直な第1方向(y方向)と異なっている。そのため、第1強誘電体層5における自発分極の変化は、第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1に電荷密度の勾配を生じさせて、第1電極21及び第2電極22間の二次元材料層1に電界変化を与える。具体的には、x方向に第1強誘電体層5の自発分極の変化が発生して、第1電極21と第2電極22との間に電位差が生じる。この結果、二次元材料層1は、擬似的にpn接合が形成された状態となり、第1電極21及び第2電極22間の二次元材料層1の電気抵抗が変化する。これを光ゲート効果とも呼ぶ。第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1における電気抵抗の変化により、第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1に流れる電流Id1が変化する。第1強誘電体層5への電磁波の照射時に二次元材料層1に流れる電流を、光電流ということがある。
これに対し、第3電極25と第4電極26とが互いに対向している第1方向は、第1強誘電体層5の自発分極の第1分極方向(x方向)に対して垂直である。そのため、第1方向において、第1強誘電体層5の分極変化は発生しない。第3電極25と第4電極26との間に電位差は生じず、第3電極25及び第4電極26間の二次元材料層1に、電界変化は生じない。第3電極25と第4電極26との間の二次元材料層1に流れる電流Id2は、暗状態と明状態との間で変化しない。つまり、電磁波照射時に、電流Id1のみが変化する。よって、信号検出回路40により電流Id1と電流Id2との差分信号を検出することで、暗電流をゼロにすることができ、電磁波照射時のみ光電流を取り出すことができる。つまり、電流Id1と電流Id2のとの差分信号を検出することによって、電磁波検出器100に照射された電磁波を検出することができる。
<電磁波検出器100の動作>
図1から図3を参照して、本実施の形態の電磁波検出器100の具体的な動作を説明する。例えば、二次元材料層1としてグラフェンが用いられるとともに、第1強誘電体層5としてニオブ酸リチウム(LiNbO)が用いられる電磁波検出器100の動作を説明する。
図1に示すように、第1の電極対2a及び第2の電極対2bに電圧を印加すると、二次元材料層1に電流が流れる。
検出波長の電磁波が第1強誘電体層5に入射すると、焦電効果により第1強誘電体層5において自発分極の変化が発生する。具体的には、第1強誘電体層5の自発分極の向き(+x方向)に、自発分極の変化が生じる。第1強誘電体層5における自発分極の変化により、第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1に電荷密度の勾配が生じて、二次元材料層1において電界変化が生じる。上述のように、二次元材料層1を構成するグラフェンは移動度が高く、わずかな電界変化に対して大きな変位電流を得ることができる。そのため、第1強誘電体層5の焦電効果により二次元材料層1のフェルミレベルは大きく変化し、二次元材料層1の面内で擬似的にpn接合が形成される。これにより、第1電極21と第2電極22との間に電位差が発生し、二次元材料層1に電流が流れる。このように、本実施の形態に係る電磁波検出器100では、発生する電流が吸収する材料の量子効率に依存しない。そのため、電磁波検出器100の量子効率は100%を超えて、電磁波検出器100の高感度化が可能となる。
さらに、第1強誘電体層5の自発分極の変化の速度が可能な限り速くなるように設計されていれば、電磁波が電磁波検出器100に入射してから二次元材料層1において電気抵抗の変化が生じるまでの時間が短くなる。このような電磁波検出器100によれば、光ゲート効果による増幅の遅延が解消され、電磁波検出器100の高速応答化が可能となる。
(変形例)
図4に示されるように、本実施の形態の第1変形例に係る電磁波検出器101では、第1絶縁膜3が省略されており、第1の電極対2a及び第2の電極対2bは第1強誘電体層5上に形成されている。
本実施の形態の第1変形例の電磁波検出器101の製造方法における電極形成工程では、第1強誘電体層5上に第1の電極対2a及び第2の電極対2bが形成される。第1の電極対2a及び第2の電極対2bが形成される前に、第1強誘電体層5の第1主面5aのうち第1の電極対2a及び第2の電極対2bが形成される領域に、密着層(図示せず)が形成されてもよい。密着層は、第1の電極対2aと第1強誘電体層5との間の密着性及び第2の電極対2bと第1強誘電体層5との間の密着性を向上させる。
図5に示されるように、本実施の形態の第2変形例に係る電磁波検出器102は、本実施の形態の第1変形例に係る電磁波検出器101と同様に構成されているが、基板6をさらに備える。基板6は、第1強誘電体層5と裏面電極4との間に配置されている。基板6は、主面6aと、主面6aとは反対側の主面6bとを含む。第1強誘電体層5は、基板6の主面6a上に形成されている。第1強誘電体層5の第2主面5bは、基板6の主面6aに対向している。裏面電極4は、主面6b上に形成されている。基板6が例えばシリコンのような半導体材料で形成されている場合には、第1動作回路30、第2動作回路33及び信号検出回路40が基板6に形成されてもよい。
本実施の形態の第2変形例の電磁波検出器102の製造方法における準備工程では、基板6が準備される。本実施の形態の第2変形例の電磁波検出器102の製造方法では、準備工程に続いて、強誘電体層形成工程が実施される。強誘電体層形成工程では、基板6上に第1強誘電体層5が形成される。第1強誘電体層5を形成する方法は、特に限定されない。
例えば、第1強誘電体層5が強誘電ポリマー系材料によって形成される場合には、スピンコート法等によって、基板6の主面6a上に強誘電ポリマー膜が形成される。それから、フォトリソグラフィ法によって、強誘電ポリマー膜がパターニングされる。こうして、第1強誘電体層5が形成される。
第1強誘電体層5の材料が強誘電ポリマー系材料とは異なる材料である場合には、スパッタ、蒸着、金属有機物分解法(MODコート法、MOD:Metal Organic Composition)またはALD(Atomic Layer Deposition)法等によって第1強誘電体層5が形成される。それから、フォトリソグラフィ法によって、第1強誘電体層5がパターニングされる。こうして、第1強誘電体層5が形成される。第1強誘電体層5のパターニングには、リフトオフ法が用いられてもよい。リフトオフ法では、パターニングされたレジストマスクを基板6の主面6a上に形成する。それから、レジストマスク上とレジストマスクから露出する基板6の主面6a上とに、第1強誘電体層5を形成する。レジストマスクを除去する。こうして、第1強誘電体層5がパターニングされる。
また、第1強誘電体層5は、強誘電体基板を基板6に接合することによって形成されてもよい。例えば、基板6上と強誘電体基板上とに、SiOなどの酸化膜を形成する。基板6上に形成された酸化膜と強誘電体基板上に形成された酸化膜とを対向させて、酸化膜が形成された基板6と酸化膜が形成された強誘電体基板とを、熱圧着などにより互いにボンディングする。基板6と、基板6に接合された強誘電体基板とを含む第1強誘電体層5が得られる。なお、強誘電体基板を基板6に接合した後に、強誘電体基板を研削して強誘電体基板を薄くすることによって、第1強誘電体層5を得てもよい。
図6Aに示されるように、本実施の形態の第3変形例に係る電磁波検出器103aでは、第1主面5aの平面視において、第1細長部分11は、共通部分13に向かって先細の形状を有している。第1主面5aの平面視において、第2細長部分12は、共通部分13に向かって先細の形状を有している。そのため、第1電極21と第2電極22との間の第1細長部分11に流れる電流Id1が、共通部分13において、第3電極25及び第4電極26に流れ込みにくくなる。第3電極25と第4電極26との間の第2細長部分12に流れる電流Id2が、共通部分13において、第1電極21及び第2電極22に流れ込みにくくなる。信号検出回路40において、電流Id1と電流Id2との間の差分信号が、より正確かつより容易に検出され得る。こうして、電磁波検出器103aの感度が向上する。電磁波検出器103aのオフ動作が、より一層改善される。
図6Bに示されるように、本実施の形態の第4変形例に係る電磁波検出器103bでは、第1主面5aの平面視において、第1細長部分11は、第1電極21から第2電極22に向かうにつれて先細となる先細形状を有している。そのため、第1電極21と第1細長部分11との間の接触面積は、第2電極22と第1細長部分11との間の接触面積と異なる。第1電極21と第1細長部分11との間の接触抵抗は、第2電極22と第1細長部分11との間の接触抵抗と異なる。第1電極21と第2電極22とが互いに対向する第2方向において、二次元材料層1に温度勾配が生じる。これにより、第2方向において、第1強誘電体層5に温度勾配が生じる。電磁波の照射時に光電流が発生すると、第2方向における第1強誘電体層5の分極変化が増強される。
これに対し、第3電極25と第4電極26とが互いに対向している第1方向は、第1強誘電体層5の自発分極の第1分極方向(+x方向)に対して垂直である。電磁波の照射時に、第1方向において、第1強誘電体層5の分極変化は発生しない。第3電極25と第4電極26との間の二次元材料層1に流れる電流Id2は、電磁波の照射時(明状態)と電磁波の非照射時(暗状態)との間で変化しない。そのため、電流Id1と電流Id2のとの差分信号が増加する。信号検出回路40において、電流Id1と電流Id2との間の差分信号が、より正確かつより容易に検出され得る。こうして、電磁波検出器103bの感度は向上する。電磁波検出器103bのオフ動作は、より一層改善される。
第2細長部分12は、第1細長部分11と同じ形状を有していることが好ましい。例えば、第1主面5aの平面視において、第2細長部分12は、第3電極25から第4電極26に向かうにつれて先細となる先細形状を有している。そのため、電磁波の非照射時における電流Id2は、電磁波の非照射時における電流Id1に等しくなる。電磁波の非照射時(暗状態)において、信号検出回路40から出力される信号をゼロにすることができる。明状態において信号検出回路40から出力される信号から、暗電流の影響を取り除くことができる。電磁波検出器100のオフ動作は改善される。
第1細長部分11は、第1電極21と第2電極22とが互いに対向する第2方向において二次元材料層1に温度勾配を生じさせればよく、第1細長部分11の形状は三角形に限られない。例えば、第1細長部分11に孔を設けることによって、第2方向において二次元材料層1に温度勾配を生じさせてもよい。
本実施の形態の第5変形例では、第1動作回路30は、例えば、第1電極21と第2電極22との間にバイアス電流を印加する第1電流源(図示せず)を含んでもよい。第1電流源は、二次元材料層1の第1細長部分11にバイアス電流を印加する。第2動作回路33は、例えば、第3電極25と第4電極26との間にバイアス電流を印加する第2電流源(図示せず)を含んでもよい。第2電流源は、二次元材料層1の第2細長部分12にバイアス電流を印加する。第1電流源及び第2電流源は、例えば、定電流源である。第1信号検出器41は、例えば、第1電圧計を含む。第1電圧計は、第1動作回路30が第1電極21と第2電極22との間にバイアス電流を印加することによって、第1の電極対2aに発生する電圧を検出する。第2信号検出器42は、例えば、第2電圧計を含む。第2電圧計は、第2動作回路33が第3電極25と第4電極26との間にバイアス電流を印加することによって、第2の電極対2bに発生する電圧を検出する。差分器44は第1の電極対2aに発生する電圧と第2の電極対2bに発生する電圧との間の差分信号を出力する。
本実施の形態の第6変形例では、本実施の形態の電磁波検出器100と同様に構成されているが、第1動作回路30及び第2動作回路33が省略されてよい。そのため、電磁波検出器100は、電磁波照射時にのみ、第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1を流れる電流の変化が発生する。そのため、暗電流をゼロすることができる。電磁波検出器100のノイズを抑制することができる。ただし、本実施の形態の第6変形例において第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1に流れる電流は、第1動作回路30及び第2動作回路33を含む本実施の形態の電磁波検出器100において第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1に流れる電流よりも小さくなる。本実施の形態の第6変形例では、本実施の形態の電磁波検出器100よりも、信号検出回路40から出力される信号が小さくなる。
本実施の形態の第7変形例では、本実施の形態の第5変形例と同様に構成されているが、第1動作回路30及び第2動作回路33が省略されてよい。そのため、電磁波検出器100は、電磁波照射時にのみ、第1の電極対2aに発生する電圧の変化が発生する。そのため、暗電流をゼロすることができる。電磁波検出器100のノイズを抑制することができる。ただし、本実施の形態の第7変形例において第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1に発生する電圧は、第1動作回路30及び第2動作回路33を含む本実施の形態の第7変形例において第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1に発生する電圧よりも小さくなる。本実施の形態の第7変形例では、本実施の形態の第5変形例よりも、信号検出回路40から出力される信号が小さくなる。
<作用効果>
本実施の形態の作用効果を説明する。
本実施の形態に係る電磁波検出器100,101,102,103a,103bでは、図1から図3に示されるように、第1強誘電体層5上で、第1の電極対2a及び第2の電極対2bが、二次元材料層1に電気的に接続されている。そのため、焦電効果によって第1強誘電体層5の自発分極が変化したときに、第1電極21と第2電極22と間の二次元材料層1の電気抵抗が変化し得る。その結果、上記光ゲート効果により、二次元材料層1の導電率が変調されて、二次元材料層1において光電流を増幅できる。
第1強誘電体層5の自発分極の変化に起因する二次元材料層1における電流変化量は、通常の半導体における電流変化量より大きくなる。特に、二次元材料層1では、通常の半導体と比較して、わずかな電位変化に対して大きな電流変化が生じる。例えば、二次元材料層1として単層のグラフェンを用いた場合、二次元材料層1の厚さは原子層一層分であって極めて薄い。また、単層のグラフェンにおけるキャリア(例えば、電子または正孔)の移動度は大きい。この場合、二次元材料層1におけるキャリアの移動度及び二次元材料層1の厚さなどから算出される二次元材料層1での電流変化量は、通常の半導体における電流変化量の数百倍~数千倍程度となる。
したがって、光ゲート効果を利用することで、二次元材料層1からの電流の取り出し効率は大幅に向上する。このような光ゲート効果は、通常の半導体のように光電変換材料の量子効率を直接的に増強するのではなく、電磁波照射による二次元材料層1における電流変化を大きくする。そのため、電磁波照射による差分電流から算出された電磁波検出器100,101,102,103a,103bの等価的な量子効率は、100%を超えることができる。よって、本実施の形態に係る電磁波検出器100,101,102,103a,103bによる電磁波の検出感度は、従来の半導体電磁波検出器による電磁波の検出感度及び光ゲート効果が適用されていないグラフェン電磁波検出器による電磁波の検出感度よりも高い。
また、本実施の形態に係る電磁波検出器100,101,102,103a,103bでは、暗状態において電流Id1と電流Id2とを互いに等しくするとともに、電流Id1と電流Id2との間の差分を信号検出回路40にて検出する。そのため、電磁波検出器100,101,102,103a,103bでは暗電流をゼロにでき、かつ、電磁波照射時のみ電気信号を検出することができる。グラフェンを含む電磁波検出器では、オフ動作が困難であることから、暗電流が大きくなり、ノイズの原因となる。本実施の形態では、暗電流をゼロにすることができるため、電磁波検出器100,101,102,103a,103bがグラフェンを含んでいても、信号検出回路40から出力される検出信号からノイズを低減することができる。
また、第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1(第1細長部分11)及び第3電極25と第4電極26との間の二次元材料層1(第2細長部分12)として、同一のグラフェン層を用いることで、グラフェンの品質に依存する二次元材料層1の電気抵抗のばらつきを低減することができる。また、第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1(第1細長部分11)及び第3電極25と第4電極26との間の二次元材料層1(第2細長部分12)の間で異なるグラフェン層を用いた場合でも、製造プロセスによるグラフェン層へのダメージを、第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1(第1細長部分11)及び第3電極25と第4電極26との間の二次元材料層1(第2細長部分12)の間で同一にすることができる。そのため、暗状態において信号検出回路40から出力される信号を減少させることができる。
以上のように、本実施の形態に係る電磁波検出器100,101,102,103a,103bの量子効率は100%を超えて、電磁波に対する電磁波検出器100,101,102,103a,103bの感度を向上させることができる。さらに、電磁波検出器100,101,102,103a,103bのオフ動作が改善される。
実施の形態2.
図7を参照して実施の形態2に係る電磁波検出器104を説明する。本実施の形態の電磁波検出器104は、実施の形態1の電磁波検出器100と同様の構成を備えるとともに、同様の効果を奏するが、主に以下の点で実施の形態1の電磁波検出器100と異なっている。
電磁波検出器104では、第2の電極対2bに含まれる第4電極26は、第1の電極対2aに含まれる第2電極22である。第1の電極対2aと第2の電極対2bとは、一つの共通電極(第2電極22、第4電極26)を共有している。
本実施の形態では、第1細長部分11と第2細長部分12との共通部分13は、第2電極22に近い第1細長部分11の一方の端部であり、かつ、第4電極26に近い第2細長部分12の一方の端部である。第1主面5aの平面視において、第1細長部分11の一方の端部が第2細長部分12の一方の端部に重なっている。第1主面5aの平面視において、二次元材料層1の形状は、L字である。
第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1(第1細長部分11)は、第3電極25と第4電極26との間の二次元材料層1(第2細長部分12)と異なる材料で形成されてもよい。また、第1の電極対2aと第2の電極対2bとが共有する一つの共通電極(第2電極22、第4電極26)が、第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1(第1細長部分11)と第3電極25と第4電極26との間の二次元材料層1(第2細長部分12)とに電気的に接続されている限り、第1電極21と第2電極22との間の二次元材料層1(第1細長部分11)は、第3電極25と第4電極26との間の二次元材料層1(第2細長部分12)から分離されてもよい。
<作用効果>
本実施の形態に係る電磁波検出器104は、実施の形態1の電磁波検出器100よりも電極の数を減少させることができる。そのため、電磁波検出器104は、より簡素な構成を実現することができる。
実施の形態3.
図8及び図9を参照して、実施の形態3に係る電磁波検出器105を説明する。本実施の形態の電磁波検出器105は、実施の形態1の電磁波検出器100と同様の構成を備え、同様の効果を奏するが、主に以下の点で実施の形態1の電磁波検出器100と異なっている。
本実施の形態の電磁波検出器105は、第1半導体層7aと、第2半導体層7bとをさらに備えている。第1半導体層7aは、二次元材料層1(第1細長部分11)と第2電極22との間に配置されている。第2半導体層7bは、二次元材料層1(第2細長部分12)と第4電極26との間に配置されている。第1半導体層7aは、第2半導体層7bと同一構造を有していることが好ましい。電磁波検出器105は、第1半導体層7a及び第2半導体層7bの一方のみを備えてもよい。
<第1半導体層7a及び第2半導体層7bの構成>
第1半導体層7a及び第2半導体層7bの材料は、例えば、珪素(Si)等の半導体材料である。具体的には、第1半導体層7a及び第2半導体層7bは、不純物がドープされたシリコン等である。第1半導体層7a及び第2半導体層7bの材料は、例えば、ゲルマニウム(Ge)、または、化合物半導体であってもよい。化合物半導体は、例えば、シリコンカーバイド(SiC)、III-V族半導体(窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化インジウムガリウム(InGaAs)、ヒ化インジウム(InAs)もしくはアンチモン化イリジウム(InSb)など)、または、II-V族半導体(テルル化カドミウム水銀(HgCdTe)、鉛セレン(PbSe)、鉛硫黄(PbS)もしくはカドミウム硫黄(CdS))などである。半導体層7は、これら半導体材料のうちの少なくとも二つが組み合わされた材料で形成されてもよい。
第1半導体層7a及び第2半導体層7bは、多層構造を有してもよい。半導体層7は、量子井戸または量子ドットを含んでもよい。半導体層7の材料は、TypeII超格子を含んでもよい。第1半導体層7a及び第2半導体層7bは、pn接合フォトダイオード、pinフォトダイオード、ショットキーフォトダイオードまたはアバランシェフォトダイオードであってもよい。第1半導体層7a及び第2半導体層7bは、フォトトランジスタであってもよい。
第1半導体層7a及び第2半導体層7bの電気抵抗率が100Ω・cm以下になるように、第1半導体層7a及び第2半導体層7bに不純物がドーピングされていることが望ましい。このように不純物が第1半導体層7a及び第2半導体層7bに高濃度にドーピングされることによって、第1半導体層7a及び第2半導体層7b内におけるキャリア(正孔または電子)の移動度が向上する。そのため、電磁波検出器105の応答速度が向上する。
第1半導体層7a及び第2半導体層7bの厚さは、10μm以下であることが望ましい。第1半導体層7a及び第2半導体層7bの厚さが小さくなるため、第1半導体層7a及び第2半導体層7bにおけるキャリア(正孔または電子)の失活が低減される。
第2電極22と第1半導体層7aとの間の密着性を向上させるために、第2電極22と第1半導体層7aとの間に密着層(図示せず)が設けられてもよい。第4電極26と第2半導体層7bとの間の密着性を向上させるために、第4電極26と第2半導体層7bとの間に密着層(図示せず)が設けられてもよい。密着層の材料は、例えば、クロム(Cr)またはチタン(Ti)等の金属材料を含んでいる。
<作用効果>
本実施の形態に係る電磁波検出器105では、第1半導体層7aと二次元材料層1(第1細長部分11)との間にショットキー接合が形成される。第2半導体層7bと二次元材料層1(第2細長部分12)との間にショットキー接合が形成される。第1電圧源31のバイアス電圧Vd1及び第2電圧源34のバイアス電圧Vd2を調整して、ショットキー接合に対して逆バイアス電圧を印加する。こうして、暗状態において二次元材料層1に流れる電流をゼロにすることができる。つまり、暗電流を低減することができて、電磁波検出器105のオフ動作が改善される。
電磁波が第1強誘電体層5に照射されると、焦電効果により第1強誘電体層5の自発分極が変化し、二次元材料層1のフェルミレベルが変調される。そのため、二次元材料層1と第1半導体層7aとの間のエネルギー障壁が低下する。その結果、電磁波検出器105に電磁波が照射された時にのみ、電流が第1半導体層7aを流れて、第1電流計で電流Id1が検出される。
また、電磁波検出器105に電磁波が照射されたときの電流Id1の変化量は、第1強誘電体層5の自発分極の変化に起因する二次元材料層1の電気抵抗の変化によって発生する電流の変化量と、二次元材料層1と第1半導体層7aとの間のエネルギー障壁の変化によって発生する電流の変化量とを含む。つまり、本実施の形態に係る電磁波検出器105では、電磁波の入射により、上述した光ゲート効果で生じた電流に加えて、二次元材料層1と第1半導体層7aとの間のエネルギー障壁の変化に起因する光電流も検出することができる。信号検出回路40からより大きな信号を取り出すことができる。
実施の形態4.
図10を参照して、実施の形態4に係る電磁波検出器106を説明する。本実施の形態の電磁波検出器106は、実施の形態1の電磁波検出器100と同様の構成を備え、同様の効果を奏するが、主に以下の点で実施の形態1の電磁波検出器100と異なっている。
本実施の形態に係る電磁波検出器106では、第1絶縁膜3と二次元材料層1との間に空隙8が設けられている。二次元材料層1は、第1絶縁膜3から離れて配置された部分を有している。二次元材料層1は、空隙8に面した表面を有している。空隙8は、第1電極21と第2電極22との間に設けられているとともに、第3電極25と第4電極26との間に設けられている。二次元材料層1と第1絶縁膜3との間に、二次元材料層1を支える支柱(図示せず)が設けられてもよい。そのため、二次元材料層1と第1絶縁膜3との間に空隙8がより確実に形成され得る。
図11を参照して、本実施の形態の第1変形例に係る電磁波検出器107では、実施の形態1の第1変形例の電磁波検出器101と同様に、第1絶縁膜3が省略されている。空隙8は、第1強誘電体層5と二次元材料層1との間に設けられている。二次元材料層1と第1強誘電体層5との間に、二次元材料層1を支える支柱(図示せず)が設けられてもよい。そのため、二次元材料層1と第1絶縁膜3との間に空隙8がより確実に形成され得る。
二次元材料層1は、可能な限り空隙8に面していることが好ましい。空隙8によって第1強誘電体層5の表面のキャリアの散乱の影響または第1絶縁膜3の表面のキャリアの散乱の影響を抑制することができる限り、空隙8の厚さは特に限定されない。ただし、二次元材料層1が第1強誘電体層5からの電界の影響を最大限に受けるためには、空隙8の厚さは可能な限り薄い方が好ましい。空隙8の厚さが薄いほど、第1強誘電体層5からの電界の影響が大きくなり、二次元材料層1の電気抵抗の変化が大きくなる。
<作用効果>
本実施の形態に係る電磁波検出器106,107では、第1絶縁膜3と二次元材料層1との間(図10を参照)または第1強誘電体層5と二次元材料層1との間(図11を参照)に、空隙8が設けられている。このため、二次元材料層1が第1絶縁膜3または第1強誘電体層5に接触することによって発生するキャリアの散乱の影響を減少させることができる。この結果、二次元材料層1におけるキャリアの移動度の低下を抑制することができる。したがって、電磁波検出器106,107の感度を向上させることができる。
実施の形態5.
図12を参照して、実施の形態5に係る電磁波検出器108を説明する。本実施の形態の電磁波検出器108は、実施の形態1の第2変形例の電磁波検出器102と同様の構成を備え、同様の効果を奏するが、主に以下の点で実施の形態1の第2変形例の電磁波検出器102と異なっている。
本実施の形態に係る電磁波検出器108では、基板6に孔8bが設けられている。孔8bは、主面6aから主面6bまで延在しており、基板6の厚さ方向(z方向)において基板6を貫通している。第1強誘電体層5の第2主面5bの少なくとも一部は、孔8bにおいて、基板6から露出しており、電磁波検出器108の周囲雰囲気に露出されている。第1主面5aの平面視において、孔8bは、二次元材料層1に重なっている。孔8bは、二次元材料層1の下方に設けられている。
図13を参照して、本実施の形態の変形例に係る電磁波検出器108bでは、実施の形態1の第1変形例の電磁波検出器101と同様に、基板6が省略されている。第1強誘電体層5の第2主面5bに凹部8cが設けられている。第1強誘電体層5の第2主面5bの少なくとも一部は、凹部8cにおいて、裏面電極4から露出しており、電磁波検出器108bの周囲雰囲気に露出されている。第1主面5aの平面視において、凹部8cは、二次元材料層1に重なっている。凹部8cは、二次元材料層1の下方に設けられている。
<作用効果>
電磁波検出器108では、基板6に孔8bが設けられているため、第1強誘電体層5と基板6との間の接触面積が減少する。そのため、第1強誘電体層5から基板6に熱が散逸しにくい。電磁波検出器108bでは、第1強誘電体層5の第2主面5bに凹部8cが設けられているため、第1強誘電体層5と裏面電極4との間の接触面積が減少する。そのため、第1強誘電体層5から裏面電極4に熱が散逸しにくい。本実施の形態に係る電磁波検出器108,108bによれば、第1強誘電体層5の断熱性能が向上し、電磁波照射後の放熱を抑制することができる。この結果、第1強誘電体層5の自発分極の変化を大きくすることができる。したがって、電磁波検出器108,108bの感度を向上させることができる。
実施の形態6.
図14を参照して、実施の形態6に係る電磁波検出器109を説明する。本実施の形態の電磁波検出器109は、実施の形態1の第2変形例の電磁波検出器102と同様の効果を備え、同様の効果を奏するが、主に以下の点で実施の形態1の第2変形例の電磁波検出器102と異なっている。
第1電極21と第2電極22との間において、第1強誘電体層5の厚さが変化している。第1電極21と第2電極22との間において、第1主面5aの高さが変化している。具体的には、第1強誘電体層5は、第1強誘電体層部分51と、第2強誘電体層部分52とを含む。第1主面5aの平面視において、第1強誘電体層部分51は第1電極21の側に配置されており、第2強誘電体層部分52は第2電極22の側に配置されている。第1強誘電体層部分51と第2強誘電体層部分52とは、第1電極21と第2電極22とが互いに対向している第2方向(例えば、x方向)に配列されている。第2強誘電体層部分52の厚さは、第1強誘電体層部分51の厚さと異なっている。例えば、第2強誘電体層部分52は、第1強誘電体層部分51より薄い。第1強誘電体層部分51と第2強誘電体層部分52との境界に、段差55が形成されている。第1強誘電体層5の第2主面5bは、第1強誘電体層部分51及び第2強誘電体層部分52にわたって面一である。
二次元材料層1の第1細長部分11は、第1強誘電体層部分51及び第2強誘電体層部分52上に配置されている。二次元材料層1は、段差55を覆っている。
第1強誘電体層5は、第3電極25と第4電極26との間で自発分極の変化が生じないように構成されていることが好ましい。そのため、例えば、第1主面5aの平面視において第3電極25と第4電極26との間にある第1強誘電体層5は、第3電極25と第4電極26とが互い離間されている方向では一定の構造を有し、かつ、第1強誘電体層の自発分極の分極方向では対称な構造を有してもよい。また、第3電極25と第4電極26との間で自発分極の変化が生じないように第1強誘電体層5が構成されている限り、第1強誘電体層部分51および第2強誘電体層部分52の分極方向は、x方向でなくてもよく、例えばz方向であってもよい。さらに、第1電極21と第2電極22との間において、第1強誘電体層5は、互いに異なる厚さを有する三つ以上の強誘電体層部分を含んでもよい。第1電極21と第2電極22との間において、第1強誘電体層5の厚さは連続的に変化してもよく、第1強誘電体層5の第1主面5aは第1強誘電体層5の第2主面5bに対して傾斜してもよい。
<作用効果>
本実施の形態に係る電磁波検出器109では、第1電極21と第2電極22との間において、第1強誘電体層5の厚さが変化している。第1強誘電体層5の厚さが変化すると、第1強誘電体層5の焦電効果によって二次元材料層1に生じる電圧変化量も変わる。すなわち、より大きな厚さを有する第1強誘電体層5の部分(第1強誘電体層部分51)上にある二次元材料層1に生じる電圧変化量は、より小さな厚さを有する第1強誘電体層5の部分(第2強誘電体層部分52)上にある二次元材料層1に生じる電圧変化量と異なる。そのため、より大きな厚さを有する第1強誘電体層5の部分(第1強誘電体層部分51)上にある二次元材料層1に印加される電圧は、より小さな厚さを有する第1強誘電体層5の部分(第2強誘電体層部分52)上にある二次元材料層1に印加される電圧と異なる。二次元材料層1に擬似的にpn接合が形成されることになり、二次元材料層1からの電流の取り出し効率が向上する。また、電磁波照射時において二次元材料層1に対する第1強誘電体層5の自発分極の変化の影響が大きくなる。したがって、電磁波検出器109の検出感度が向上する。
実施の形態7.
図15を参照して、実施の形態7に係る電磁波検出器110を説明する。本実施の形態の電磁波検出器110は、実施の形態1の電磁波検出器100と同様の構成を備え、同様の効果を奏するが、主に以下の点で実施の形態1の電磁波検出器100と異なっている。
第1電極21と第2電極22との間において、第1強誘電体層5の誘電率が変化している。具体的には、第1強誘電体層5は、第1強誘電体層部分51と、第2強誘電体層部分52とを含む。第1主面5aの平面視において、第1強誘電体層部分51は第1電極21の側に配置されており、第2強誘電体層部分52は第2電極22の側に配置されている。第1強誘電体層部分51と第2強誘電体層部分52とは、第1電極21と第2電極22とが互いに対向している第2方向(例えば、x方向)に配列されている。第1強誘電体層部分51の誘電率は、第2強誘電体層部分52の誘電率と異なっている。例えば、第1強誘電体層部分51を形成する強誘電体材料は、第2強誘電体層部分52を形成する強誘電体材料と異なっている。第1強誘電体層部分51の吸収波長域は、第2強誘電体層部分52の吸収波長域と異なってもよい。
二次元材料層1の第1細長部分11は、第1強誘電体層部分51及び第2強誘電体層部分52上に配置されている。
第1強誘電体層5は、第3電極25と第4電極26との間で自発分極の変化が生じないように構成されていることが好ましい。第1強誘電体層5は、互いに異なる分極率を有する三つ以上の強誘電体層部分を含んでもよい。また、第3電極25と第4電極26との間で自発分極の変化が生じないように第1強誘電体層5が構成されている限り、第1強誘電体層部分51および第2強誘電体層部分52の分極方向は、x方向でなくてもよく、例えばz方向であってもよい。
<作用効果>
本実施の形態に係る電磁波検出器110では、第1強誘電体層部分51の誘電率は、第2強誘電体層部分52の誘電率と異なっている。強誘電体の誘電率が異なると、強誘電体の焦電効果によって二次元材料層1に生じる電圧変化量も異なる。すなわち、第1強誘電体層部分51上にある二次元材料層1に生じる電圧変化量は、第2強誘電体層部分52上にある二次元材料層1に生じる電圧変化量と異なる。そのため、第1強誘電体層部分51上にある二次元材料層1に印加される電圧は、第2強誘電体層部分52上にある二次元材料層1に印加される電圧と異なり、二次元材料層1に擬似的にpn接合が形成されることになる。二次元材料層1からの電流の取り出し効率が向上する。また、電磁波照射時において二次元材料層1に対する第1強誘電体層5の自発分極の変化の影響が大きくなる。したがって、電磁波検出器110の検出感度が向上する。
第1強誘電体層部分51の吸収波長域を第2強誘電体層部分52の吸収波長域と異ならせることによって、電磁波検出器110は、複数の波長域において感度を有する。電磁波検出器110による電磁波の検出帯域を広げることができる。
実施の形態8.
図16から図18を参照して、実施の形態8に係る電磁波検出器111を説明する。本実施の形態の電磁波検出器111は、実施の形態1の電磁波検出器100と同様の構成を備え、同様の効果を奏するが、主に以下の点で実施の形態1の電磁波検出器100と異なっている。
本実施の形態に係る電磁波検出器111では、第1電極21は、第2電極22と異なる金属材料で形成されている。第3電極25は、第4電極26と異なる金属材料で形成されている。第1電極21は、第3電極25と同じ材料で形成されてもよい。第2電極22は、第4電極26と同じ材料で形成されてもよい。
<作用効果>
本実施の形態に係る電磁波検出器111では、第1電極21は、第2電極22と異なる金属材料で形成されている。第3電極25は、第4電極26と異なる金属材料で形成されている。
二次元材料層1と金属とが互いに接触すると、金属の仕事関数と二次元材料層1を形成する材料(例えば、グラフェン)の仕事関数との間の差に起因して、金属から二次元材料層1にキャリア(正孔または電子)がドーピングされる。二次元材料層1のフェルミレベルが変化する、あるいは、二次元材料層1と金属との間の接触抵抗が変化する。
そのため、第1電極21を第2電極22とは異なる金属材料で形成すると、二次元材料層1のうち第1電極21に接触する第1部分のエネルギーギャップは、二次元材料層1のうち第2電極22に接触する第2部分のエネルギーギャップと異なるようになる。第3電極25を第4電極26とは異なる金属材料で形成すると、二次元材料層1のうち第3電極25に接触する第3部分のエネルギーギャップは、二次元材料層1のうち第4電極26に接触する第4部分のエネルギーギャップと異なるようになる。二次元材料層1は、擬似的にpn接合が形成された状態となる。したがって、第1の電極対2aからの電気信号(例えば、電流)の取り出し効率と、第2の電極対2bからの電気信号(例えば、電流)の取り出し効率とが向上する。電磁波検出器111の感度を向上させることができる。
実施の形態9.
図19から図21Aを参照して、実施の形態9に係る電磁波検出器112aを説明する。本実施の形態の電磁波検出器112aは、実施の形態1の電磁波検出器100と同様の構成を備え、同様の効果を奏するが、主に以下の点で実施の形態1の電磁波検出器100と異なっている。
本実施の形態に係る電磁波検出器112aは、第1接触層9aと、第2接触層9bとをさらに備える。第1接触層9a及び第2接触層9bは、二次元材料層1に接触している。
具体的には、第1接触層9aは、二次元材料層1の第1細長部分11に接触している。第1接触層9aは、第1細長部分11のうち第2電極22に近位する部分に配置されている。第1接触層9aは、第1細長部分11のうち、第1細長部分11と第2細長部分12との共通部分13よりも第2電極22の近くに配置されている。第2接触層9bは、二次元材料層1の第2細長部分12に接触している。第2接触層9bは、第2細長部分12のうち第4電極26に近位する部分に配置されている。第2接触層9bは、第2細長部分12のうち、第1細長部分11と第2細長部分12との共通部分13よりも第4電極26の近くに配置されている。第1細長部分11に対する第1接触層9aの相対的な位置が、第2細長部分12に対する第2接触層9bの相対的な位置と同一であることが好ましい。
第1接触層9aは、二次元材料層1の第1細長部分11に接触して、第1細長部分11にキャリア(正孔または電子)を供給する。第1細長部分11は、第1接触層9aによって、ドーピングされる。第2接触層9bは、二次元材料層1の第2細長部分12に接触して、第2細長部分12にキャリア(正孔または電子)を供給する。第2細長部分12は、第2接触層9bによって、ドーピングされる。
そのため、二次元材料層1ののうち第1電極21に接触する第1部分のエネルギーギャップは、二次元材料層1のうち第2電極22に接触する第2部分のエネルギーギャップと異なるようになる。二次元材料層1のうち第3電極25に接触する第3部分のエネルギーギャップは、二次元材料層1のうち第4電極26に接触する第4部分のエネルギーギャップと異なるようになる。二次元材料層1は、擬似的にpn接合が形成された状態となる。このため、第1の電極対2aからの電気信号(例えば、電流)の取り出し効率と、第2の電極対2bからの電気信号(例えば、電流)の取り出し効率とが向上する。電磁波検出器112aの感度を向上させることができる。
第1接触層9a及び第2接触層9bは、二次元材料層1にキャリア(正孔または電子)をドーピングすることができる程度の厚さを有する必要がある。しかし、電磁波が二次元材料層1に照射された場合に、電磁波が第1接触層9a及び第2接触層9bに吸収されて、過度に減衰した電磁波が二次元材料層1、第1絶縁膜3及び第1強誘電体層5に到達することを防止するために、第1接触層9aの厚さ及び第2接触層9bの厚さは薄い方が好ましい。
第1接触層9a及び第2接触層9bは、二次元材料層1中に電荷密度の勾配を形成するように構成されていればよい。第1接触層9a及び第2接触層9bの各々は、複数の接触部分を含んでもよい。複数の接触部分は、二次元材料層1上に互いに積層されてもよいし、二次元材料層1上に並列に配置されてもよい。複数の接触部分は、互いに同じ材料で形成されてもよい、互いに異なる材料で形成されてもよい。
以下、第1接触層9a及び第2接触層9bを詳細に説明する。
第1接触層9a及び第2接触層9bの材料は、電荷の偏りが生じて分極を生じる材料である限りいかなる材料であってもよく、例えば、有機物、金属、半導体、絶縁体もしくは二次元材料、または、これら材料のいずれかの混合物であってもよい。
第1接触層9a及び第2接触層9bの材料が無機物である場合、二次元材料層1は、第1接触層9a及び第2接触層9bによって、以下のようにドーピングされる。第1接触層9a及び第2接触層9bの仕事関数が二次元材料層1の仕事関数よりも大きければ、二次元材料層1は第1接触層9a及び第2接触層9bによってp型にドーピングされる。第1接触層9a及び第2接触層9bの仕事関数が二次元材料層1の仕事関数よりも小さければ、二次元材料層1はn型にドーピングされる。
これに対し、有機物は、明確な仕事関数を有していない。そこで、第1接触層9a及び第2接触層9bの材料が有機物である場合には、第1接触層9a及び第2接触層9bによる二次元材料層1のドーピングの態様は、第1接触層9a及び第2接触層9bの材料の極性基に基づいて判断される。第1接触層9a及び第2接触層9bの材料の極性基は、第1接触層9a及び第2接触層9bの材料を構成する有機物の分子の極性によって判断される。
第1接触層9a及び第2接触層9bの材料は、例えば、ポジ型フォトレジストである。ポジ型フォトレジストは、例えば、キノンジアジト基を有する感光剤とノボラック樹脂とを含有する組成物である。第1接触層9a及び第2接触層9bの材料がポジ型フォトレジストである場合、二次元材料層1のうちポジ型フォトレジストが形成された領域がp型領域となる。ポジ型フォトレジストは、例えば、フォトリソグラフィ工程により、二次元材料層1上に形成される。これにより、二次元材料層1に接触するマスクの形成プロセスが不要となる。二次元材料層1がマスクの形成プロセスによって損傷することを抑制することができるとともに、プロセスが簡素化され得る。
第1接触層9a及び第2接触層9bの材料は、例えば、極性基を有する材料であってもよい。より具体的には、第1接触層9a及び第2接触層9bの材料は、例えば、電子求引基を有する材料であってもよい。電子求引基を有する材料は、二次元材料層1の電子密度を減少させる。電子吸引基を有する材料は、例えば、ハロゲン、ニトリル基、カルボキシル基またはカルボニル基等を有する材料である。第1接触層9a及び第2接触層9bの材料は、例えば、電子供与基を有する材料であってもよい。電子供与基を有する材料は、二次元材料層1の電子密度を増加させる。電子供与基を有する材料は、例えば、アルキル基、ヒドロキシ基またはアミノ基等を有する材料である。
第1接触層9a及び第2接触層9bの材料は、第1接触層9a及び第2接触層9bに電磁波が照射されることによって極性変換が生じる材料であってもよい。本明細書において、極性変換は、極性基が化学的に変化する現象を意味する。極性変換は、例えば、電子求引基が電子供与基に変化する現象、電子供与基が電子求引基に変化する現象、極性基が非極性基に変化する現象、または、非極性基が極性基に変化する現象を意味する。極性変換を生じさせる電磁波は、検出波長を有してもよいし、検出波長を有していなくてもよい。極性変換が生じる材料は、特に限定されないが、例えば、フォトレジストなどである。第1接触層9a及び第2接触層9bにおいて極性変換が生じることで、極性変換の際に生じたキャリア(正孔または電子)が二次元材料層1に供給される。二次元材料層1のうち、第1接触層9a及び第2接触層9bが接触している部分に、キャリア(正孔または電子)がドーピングされる。
第1接触層9a及び第2接触層9bの材料として、検出波長を有する電磁波が照射されることによって極性変換が生じる材料が選択されてもよい。そのため、検出波長を有する電磁波が照射された時のみ、第1接触層9a及び第2接触層9bにおいて極性変換が生じる。検出波長を有する電磁波が照射された時のみ、二次元材料層1にキャリアがドーピングされて、二次元材料層1を流れる光電流を増大させることができる。
第1接触層9a及び第2接触層9bの材料として、検出波長を有しない電磁波が照射されることによって極性変換が生じる材料が選択されてもよい。この場合、検出波長を有しない電磁波が第1接触層9a及び第2接触層9bに照射された後に、第1接触層9a及び第2接触層9bは取り除かれてもよい。第1接触層9a及び第2接触層9bが取り除かれた後も、二次元材料層1のうち第1接触層9a及び第2接触層9bに接触していた部分は、キャリア(正孔または電子)がドープされたままである。また、第1接触層9a及び第2接触層9bが取り除かれることによって、検出波長を有する電磁波が照射される二次元材料層1の領域、第1絶縁膜3の領域及び第1強誘電体層5の領域が増加する。このため、電磁波検出器112aの検出感度を向上させることができる。
第1接触層9a及び第2接触層9bの材料は、第1接触層9a及び第2接触層9bに電磁波が照射されることによって酸化還元反応が生じる材料であってもよい。これにより、酸化還元反応によって生じるキャリア(正孔または電子)が、二次元材料層1にドーピングされる。酸化還元反応を生じさせる電磁波は、検出波長を有してもよいし、検出波長を有していなくてもよい。
第1接触層9a及び第2接触層9bに酸化還元反応を生じさせる電磁波は、検出波長を有する電磁波であってもよい。検出波長を有する電磁波が照射された時のみ、二次元材料層1にキャリアがドーピングされて、二次元材料層1を流れる光電流を増大させることができる。第1接触層9a及び第2接触層9bに酸化還元反応を生じさせる電磁波は、検出波長を有しない電磁波であってもよい。第1接触層9a及び第2接触層9bに酸化還元反応を生じさせる電磁波が検出波長を有しない電磁波である場合、検出波長を有しない電磁波が第1接触層9a及び第2接触層9bに照射された後に、第1接触層9a及び第2接触層9bは取り除かれてもよい。
第1接触層9a及び第2接触層9bは、分子などを二次元材料層1に供給する材料で形成されてもよい。例えば、第1接触層9a及び第2接触層9bは、分子を含む液体層または気体層であり、二次元材料層1は、当該液体層に浸漬されてもよい、または、当該気体層に曝されてもよい。分子レベルで、液体層または気体層から二次元材料層1にキャリアが供給され得る。
<作用効果>
本実施の形態に係る電磁波検出器112aでは、第1接触層9a及び第2接触層9bは、二次元材料層1に接触して、二次元材料層1にキャリア(正孔または電子)を供給する。二次元材料層1のうち第1接触層9aに接触する部分と、二次元材料層1のうち第2接触層9bに接触する部分は、n型またはp型にドーピングされる。そのため、二次元材料層1のうち第1電極21に接触する第1部分のエネルギーギャップは、二次元材料層1のうち第2電極22に接触する第2部分のエネルギーギャップと異なるようになる。二次元材料層1のうち第3電極25に接触する第3部分のエネルギーギャップは、二次元材料層1のうち第4電極26に接触する第4部分のエネルギーギャップと異なるようになる。第1の電極対2aからの電気信号(例えば、電流)の取り出し効率と、第2の電極対2bからの電気信号(例えば、電流)の取り出し効率とが向上する。電磁波検出器112aの感度を向上させることができる。
実施の形態10.
図21B及び図21Cを参照して、実施の形態10に係る電磁波検出器112bの構成を説明する。本実施の形態の電磁波検出器112bは、実施の形態1の電磁波検出器100と同様の構成を備え、同様の効果を奏するが、主に以下の点で実施の形態1の電磁波検出器100と異なっている。
電磁波検出器112bは、電磁波遮蔽部材60をさらに備えている。電磁波遮蔽部材60は、電磁波を遮って、電磁波が第1強誘電体層5の一部に入射することを防止する。そのため、第1強誘電体層5の自発分極の第1分極方向(+x方向)において、第1強誘電体層5に分極率の勾配が生じる。電磁波遮蔽部材60は、第1強誘電体層5の吸収波長を有する電磁波を遮る材料で形成されている。電磁波遮蔽部材60は、例えば、黒体、アルミニウム(Al)もしくは金(Au)のような金属、または、アルマイト加工された材料で形成されている。
本実施の形態では、電磁波は、第1強誘電体層5に対して第1の電極対2aの側から電磁波検出器112bに入射するため、電磁波遮蔽部材60は、第1電極21に対して第1強誘電体層5の側とは反対側に(第1電極21の上方に)配置される。電磁波遮蔽部材60は、二次元材料層1から離れて配置されている。そのため、電磁波遮蔽部材60は、二次元材料層1の移動度を劣化させない。
電磁波遮蔽部材60は、第1主面5aの平面視において、第1強誘電体層5のうち、第1強誘電体層5の自発分極の第1分極方向(+x方向)における第1強誘電体層5の中心に対して、一方の側だけを覆っている。そのため、電磁波遮蔽部材60は、第1強誘電体層5の一方の側だけを、電磁波から遮る。一方の側は、図21B及び図21Cに示されるように第1電極21の側であってもよいし、第2電極22の側であってもよい。
電磁波が、第1強誘電体層5に対して裏面電極4の側から電磁波検出器112bに入射する場合には、電磁波遮蔽部材60は、裏面電極4に対して第1強誘電体層5の側とは反対側に(裏面電極4の下方に)配置される。電磁波遮蔽部材60は、二次元材料層1の移動度を劣化させない限り、二次元材料層1に接触してもよい。
電磁波が第1強誘電体層5に対して第1の電極対2aの側から電磁波検出器112bに入射し、かつ、第1の電極対2aが電磁波に対して不透明である場合には、電磁波遮蔽部材60を設けることに代えて、第1電極21及び第2電極22のうちの一方を拡大して、第1電極21及び第2電極22のうちの一方のうちの拡大部分を、電磁波に対する電磁波遮蔽部材として機能させてもよい。電磁波が第1強誘電体層5に対して裏面電極4の側から電磁波検出器112bに入射し、かつ、裏面電極4が電磁波に対して不透明である場合には、電磁波遮蔽部材60を設けることに代えて、裏面電極4を、電磁波に対する電磁波遮蔽部材として機能させてもよい。
電磁波遮蔽部材60は、例えば、二次元材料層1が電磁波から遮られないように配置される。電磁波遮蔽部材60は、二次元材料層1が電磁波から完全に遮られるように配置されてもよい。
<作用効果>
電磁波遮蔽部材60は、第1主面5aの平面視において、第1強誘電体層5のうち、第1強誘電体層5の自発分極の第1分極方向(+x方向)における第1強誘電体層5の中心に対して、一方の側だけを覆っている。そのため、電磁波は、電磁波遮蔽部材60によって第1強誘電体層5の一方の側に照射されず、第1強誘電体層5の他方の側に照射される。第1強誘電体層5の自発分極の第1分極方向(+x方向)において、第1強誘電体層5の分極率に変化が生じる。具体的には、第1強誘電体層5の一方の側では、第1強誘電体層5の分極率が変化しないのに対し、第1強誘電体層5の他方の側では、第1強誘電体層5の分極率が変化する。これにより、第1強誘電体層5の自発分極の第1分極方向(+x方向)において、第1強誘電体層5に分極変化が生じる。その結果、二次元材料層1に電荷密度勾配が形成されて、第1電極21と第2電極22との間において二次元材料層1の電気抵抗が変化する。これにより、第1の電極対2aから取り出される光電流が向上する。よって、電磁波検出器112bの感度を向上させることができる。
実施の形態11.
図22及び図23を参照して、実施の形態11に係る電磁波検出器113の構成を説明する。本実施の形態の電磁波検出器113は、実施の形態1の電磁波検出器100と同様の構成を備え、同様の効果を奏するが、主に以下の点で実施の形態1の電磁波検出器100と異なっている。
本実施の形態に係る電磁波検出器113では、第1細長部分11と第2細長部分12とは、互いに別々の層であり、互いに積層されている。第2細長部分12は、第1細長部分11上に積層されている。第2細長部分12は、第1細長部分11に関して、第1強誘電体層5とは反対側に配置されている。第1細長部分11は、第2細長部分12と第1強誘電体層5との間に配置されている。
二次元材料層1は、例えば、以下の方法によって形成される。二次元材料膜を、第1絶縁膜3、第1の電極対2a及び第2の電極対2b上に転写する。フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程により二次元材料膜をパターニングして、第1細長部分11を形成する。それから、第2細長部分12も、第1細長部分11と同様の工程で、形成される。第2細長部分12をパターニングする際に第1細長部分11がダメージを受けることを防止するために、第1細長部分11の形成後かつ第2細長部分12の形成前に、第1細長部分11上に保護膜(図示せず)が形成されてもよい。
<作用効果>
本実施の形態に係る電磁波検出器113では、第1細長部分11と第2細長部分12とは、互いに積層されている。第2細長部分12は、第1細長部分11に関して、第1強誘電体層5とは反対側に配置されている。
互いに隣り合う二次元材料層間の電気抵抗は、二次元材料層1の面内の電気抵抗よりもはるかに大きい。そのため、本実施の形態に係る電磁波検出器113では、実施の形態1に係る電磁波検出器100よりも、第1電極21と第2電極22との間の第1細長部分11に流れる電流Id1の経路が、第3電極25と第4電極26との間の第2細長部分12に流れる電流Id2の経路から分離される。第1電極21と第2電極22との間の第1細長部分11に流れる電流Id1が、より一層、第3電極25及び第4電極26に流れ込みにくくなる。第3電極25と第4電極26との間の第2細長部分12に流れる電流Id2が、より一層、第1電極21及び第2電極22に流れ込みにくくなる。また、第2細長部分12が、電磁波の照射時の第1強誘電体層5の自発分極の変化の影響をより一層受けにくくなる。電磁波の照射時と非照射時との間の電流Id1の変化が増加するとともに、電磁波の照射時と非照射時との間の電流Id2の変化は減少する。
そのため、信号検出回路40において、電流Id1と電流Id2との間の差分信号が、より正確かつより容易に検出され得る。電磁波検出器113の感度が向上する。電磁波検出器113のオフ動作が、より一層改善される。
第1細長部分11及び第2細長部分12は、各々、複数のグラフェン層の積層体であり、複数のグラフェン層の各々における格子の回転角を調整することによって、モアレ超格子、魔法角(Magic angle)またはランダム積層が形成されてもよい。
第1細長部分11及び第2細長部分12にモアレ超格子を用いることによって、複数のグラフェン層の積層角に応じたバンドギャップが形成され得る。そのため、任意の波長に対する電磁波検出器113の感度を増強することができる。
複数のグラフェン層のうち互いに隣り合うグラフェン層を魔法角(約1.1度の格子の回転角)だけずれるように積層することによって、第1細長部分11及び第2細長部分12に発現する超伝導を、小さな電圧変化で制御することができる。そのため、電磁波検出器113の暗電流を減少させることができる。
複数のグラフェン層が格子不整合かつランダムに積層されると、複数のグラフェン層の間の相互作用が減少して、複数のグラフェン層の各々は、単層グラフェンと同等に振る舞う。そのため、複数のグラフェン層を積層することによって生じる移動度の低下などが抑制され得る。電磁波検出器113の感度が向上する。
実施の形態12.
図24及び図25を参照して、実施の形態12に係る電磁波検出器114を説明する。本実施の形態の電磁波検出器114は、実施の形態11の電磁波検出器113と同様の構成を備え、同様の効果を奏するが、主に以下の点で実施の形態11の電磁波検出器113と異なっている。
本実施の形態に係る電磁波検出器114は、第2絶縁膜3bをさらに備える。第2絶縁膜3bは、第1細長部分11と第2細長部分12との間に配置されている。第2絶縁膜3bは、第2細長部分12を第1細長部分11から電気的に絶縁している。第2絶縁膜3bは、第1細長部分11の形成後かつ第2細長部分12の形成前に、形成される。
<作用効果>
本実施の形態に係る電磁波検出器114は、第2絶縁膜3bをさらに備える。第2絶縁膜3bは、第1細長部分11と第2細長部分12との間に配置されている。
そのため、本実施の形態に係る電磁波検出器114では、実施の形態11に係る電磁波検出器113よりも一層、第1電極21と第2電極22との間の第1細長部分11に流れる電流Id1の経路が、第3電極25と第4電極26との間の第2細長部分12に流れる電流Id2の経路から分離される。第1電極21と第2電極22との間の第1細長部分11に流れる電流Id1が第3電極25及び第4電極26に流れ込むことが防止される。第3電極25と第4電極26との間の第2細長部分12に流れる電流Id2が第1電極21及び第2電極22に流れ込むことが防止される。また、第2細長部分12が、電磁波の照射時の第1強誘電体層5の自発分極の変化の影響をより一層受けにくくなる。電磁波の照射時と非照射時との間の電流Id1の変化が増加するとともに、電磁波の照射時と非照射時との間の電流Id2の変化は減少する。
そのため、信号検出回路40において、電流Id1と電流Id2との間の差分信号が、より正確かつより容易に検出され得る。電磁波検出器114の感度が向上する。電磁波検出器114のオフ動作が、より一層改善される。
実施の形態13.
図26及び図27を参照して、実施の形態13に係る電磁波検出器115を説明する。本実施の形態の電磁波検出器115は、実施の形態12の電磁波検出器114と同様の構成を備え、同様の効果を奏するが、主に以下の点で実施の形態12の電磁波検出器114と異なっている。
本実施の形態に係る電磁波検出器115は、ゲート絶縁膜3c,3dと、ゲート電極28,29とをさらに備える。
ゲート絶縁膜3cは、第1細長部分11上に配置されている。ゲート絶縁膜3cは、第1細長部分11に接触している。ゲート絶縁膜3cは、第1細長部分11と第2細長部分12との間に配置されてもよく、第1細長部分11を第2細長部分12から電気的に絶縁してもよい。第1主面5aの平面視において、ゲート絶縁膜3cは、第2細長部分12から露出している部分を含む。
ゲート電極28は、ゲート絶縁膜3c上に配置されている。具体的には、ゲート電極28は、ゲート絶縁膜3cのうち、第2細長部分12から露出している部分上に配置されている。第1主面5aの平面視において、ゲート電極28の少なくとも一部は、二次元材料層1のうち第1電極21と第2電極22との間にある部分と重なっている。第1電極21は、例えば、ドレイン電極であおり、第2電極22は、例えば、ソース電極である。
ゲート絶縁膜3dは、第2細長部分12上に配置されている。具体的には、ゲート絶縁膜3dは、第1強誘電体層5に対向する表面とは反対側の表面上に配置されている。ゲート絶縁膜3dは、第2細長部分12に接触している。
ゲート電極29は、ゲート絶縁膜3d上に配置されている。第1主面5aの平面視において、ゲート電極29の少なくとも一部は、二次元材料層1のうち第3電極25と第4電極26との間にある部分と重なっている。第3電極25は、例えば、ドレイン電極であり、第4電極26は、例えば、ソース電極である。
(変形例)
ゲート絶縁膜3c及びゲート電極28の形状及び数は、特に限定されない。ゲート絶縁膜3d及びゲート電極29の形状及び数は、特に限定されない。ゲート絶縁膜3c,3d及びゲート電極28,29は、実施の形態1の二次元材料層1上に設けられてもよい。
電磁波検出器115は、ゲート絶縁膜3c,3dの一方とゲート電極28,29の一方とを備え、ゲート絶縁膜3c,3dの他方とゲート電極28,29の他方とは省略されてもよい。すなわち、電磁波検出器115は、二次元材料層1上に設けられているゲート絶縁膜3cとゲート電極28とを備えるが、ゲート絶縁膜3dとゲート電極29とを備えていなくてもよい。電磁波検出器115は、二次元材料層1上に設けられているゲート絶縁膜3dとゲート電極29とを備えるが、ゲート絶縁膜3cとゲート電極28とを備えていなくてもよい。
<作用効果>
本実施の形態に係る電磁波検出器115によれば、ゲート電極28,29から二次元材料層1にゲート電圧を印加することができる。そのため、二次元材料層1の電気抵抗および移動度を制御することができる。暗状態における電流Id1または電流Id2の少なくとも一つの調整が容易となる。そのため、信号検出回路40において、電流Id1と電流Id2との間の差分信号が容易に検出され得る。電磁波検出器115の性能を向上させることができる。
実施の形態14.
図28及び図29を参照して、実施の形態14に係る電磁波検出器116を説明する。本実施の形態の電磁波検出器116は、実施の形態11の電磁波検出器113と同様の効果を備え、同様の効果を奏するが、主に以下の点で実施の形態11の電磁波検出器113と異なっている。
本実施の形態に係る電磁波検出器116は、自発分極を有する第2強誘電体層5cをさらに備える。第2強誘電体層5cは、第2細長部分12上に形成されている。第2強誘電体層5cは、第2細長部分12に関して、第1強誘電体層5とは反対側に配置されている。第2強誘電体層5cは、第1細長部分11に関して、第1強誘電体層5とは反対側に配置されている。第2強誘電体層5cの自発分極の第2分極方向は、第1強誘電体層5の自発分極の第1分極方向(+x方向)に対して垂直な第1方向(y方向)に平行である。第2強誘電体層5cの自発分極の第2分極方向は、第3電極25と第4電極26とが互いに対向している第1方向(y方向)または第2細長部分12の長手方向(y方向)に平行である。第1主面5aの平面視において、第2強誘電体層5cは、好ましくは、第3電極25と第4電極26との間の二次元材料層1を覆っている。
(変形例)
第2強誘電体層5cは、実施の形態1の二次元材料層1の第2細長部分12上に設けられてもよい。第2細長部分12が第2の電極対2bに電気的に接続されている限り、第2強誘電体層5cは、第2細長部分12の下に(例えば、第1細長部分11と第2細長部分12の間に)設けられてもよい。
<作用効果>
本実施の形態に係る電磁波検出器116に電磁波が照射されると、第1強誘電体層5の自発分極と第2強誘電体層5cの自発分極とが変化する。第1強誘電体層5の自発分極の第1分極方向は第1電極21と第2電極22とが互いに対向している第2方向(x方向)に平行であるため、第1電極21と第2電極22との間の第1細長部分11は、第1強誘電体層5の自発分極の変化の影響を受ける。第2強誘電体層5cの自発分極の第2分極方向は第3電極25と第4電極26とが互いに対向している第1方向(y方向)に平行であるため、第3電極25と第4電極26との間の第2細長部分12は、第2強誘電体層5cの自発分極の変化の影響を受ける。
そのため、電磁波検出器116に電磁波が照射されると、第1電極21と第2電極22との間の第1細長部分11に流れる電流Id1だけでなく、第3電極25と第4電極26との間の第2細長部分12を流れる電流Id2も変化する。電流Id1の変化と電流Id2の変化とが逆になるように電流Id1及び電流Id2を検出することによって、信号検出回路40において検出される電流Id1と電流Id2との間の差分信号が増加する。電流Id1の変化と電流Id2の変化とが逆になるように電流Id1及び電流Id2を検出することは、例えば、第1強誘電体層5の自発分極の第1分極方向、第2強誘電体層5cの自発分極の第2分極方向、バイアス電圧Vd1またはバイアス電圧Vd2の少なくとも一つを調整することによって実現され得る。したがって、電磁波検出器116の感度が向上する。電磁波検出器116のオフ動作が、より一層改善される。
実施の形態15.
図30を参照して、実施の形態15に係る電磁波検出器117を説明する。本実施の形態の電磁波検出器117は、実施の形態1の電磁波検出器100と同様の構成を備え、同様の効果を奏するが、主に以下の点で実施の形態1の電磁波検出器100と異なっている。
本実施の形態に係る電磁波検出器117は、動作回路35と、平衡回路36とを備えている。
動作回路35は、第1の電極対2aまたは第2の電極対2bの少なくとも一つに接続されている。本実施の形態では、動作回路35は、第1の電極対2a及び第2の電極対2bの両方に接続されている。具体的には、動作回路35は、第1の電極対2aに接続されている第1動作回路30と、第2の電極対2bに接続されている第2動作回路33とを含む。本実施の形態の第1動作回路30は、実施の形態1の第1動作回路30と同様に構成されている。本実施の形態の第2動作回路33は、実施の形態1の第2動作回路33と同様に構成されている。
平衡回路36は、第1の電極対2aと第2の電極対2bとに接続されている。具体的には、平衡回路36は、第1電極21及び第2電極22の一方と第3電極25及び第4電極26の一方とに接続されている。本実施の形態では、平衡回路36は、第2電極22と第4電極26とに接続されている。こうして、平衡回路36は、二次元材料層1に電気的に接続されている。具体的には、平衡回路36は、第1細長部分11と第2細長部分12とに電気的に接続されている。平衡回路36は、複数の電気抵抗素子を含む。複数の電気抵抗素子は、固定抵抗器であってもよいし、可変抵抗器であってもよい。平衡回路36と、第1電極21と第2電極22との間の第1細長部分11と、第3電極25と第4電極26との間の第2細長部分12とは、ブリッジ回路を形成している。
本実施の形態では、信号検出回路40は、第2電極22と第4電極26とに接続されている。本実施の形態の信号検出回路40は、実施の形態1の信号検出回路40と同様に構成されている。例えば、信号検出回路40は、第1信号検出器41(図1を参照)と、第2信号検出器42(図1を参照)とを含む。第1信号検出器41及び第2信号検出器42は、電流計であってもよいし、電圧計であってもよい。
動作回路35及び平衡回路36は、第1の電極対2aから出力される第1電気信号と第2の電極対2bから出力される第2電気信号とを調整することができる。
例えば、第1動作回路30及び第2動作回路33が電圧源である場合については、以下のとおりである。第1動作回路30から第1細長部分11に印加するバイアス電圧Vd1(図1及び図2を参照)を調整することによって、第1信号検出器41(図1を参照)によって検出される第1電気信号としての電流Id1(図1及び図2を参照)を調整することができる。第2動作回路33から第2細長部分12に印加するバイアス電圧Vd2(図1及び図3を参照)を調整することによって、第2信号検出器42(図1を参照)によって検出される第2電気信号としての電流Id2(図1及び図3を参照)を調整することができる。平衡回路36は、第1細長部分11と第2細長部分12とに電気的に接続されているため、第1電気信号としての電流Id1及び第2電気信号としての電流Id2を調整することができる。
また、第1動作回路30及び第2動作回路33が電流源である場合については、以下のとおりである。第1動作回路30から第1細長部分11に流すバイアス電流を調整することによって、第1信号検出器41(図1を参照)によって検出される第1電気信号としての第1電極21と第2電極22との間の電圧を調整することができる。第2動作回路33から第2細長部分12に流すバイアス電流を調整することによって、第2信号検出器42(図1を参照)によって検出される第2電気信号としての第3電極25と第4電極26との間の電圧を調整することができる。平衡回路36は、第1細長部分11と第2細長部分12とに電気的に接続されているため、第1電気信号としての第1電極21と第2電極22との間の電圧及び第2電気信号としての第3電極25と第4電極26との間の電圧を調整することができる。
電磁波検出器117に電磁波が非照射である場合(暗状態)において、第1電極21と第2電極22との間の第1細長部分11の電気抵抗と第3電極25と第4電極26との間の第2細長部分12の電気抵抗とが互いに等しくなるように、動作回路35及び平衡回路36は調整されている。そのため、第1信号検出器41及び第2信号検出器42が電流計である場合、暗状態において、第1電極21と第2電極22との間の第1細長部分11に流れる電流Id1は、第3電極25と第4電極26との間の第2細長部分12に流れる電流Id2に等しくなる。第1信号検出器41及び第2信号検出器42が電圧計である場合、暗状態において、第1電極21と第2電極22との間の第1細長部分11の電圧は、第3電極25と第4電極26との間の第2細長部分12の電圧に等しくなる。したがって、信号検出回路40から出力される電気信号は、ゼロになる。
(変形例)
第1電極21と第2電極22との間の第1細長部分11の電気抵抗と第3電極25と第4電極26との間の第2細長部分12の電気抵抗とが互いに等しくなるのであれば、電磁波検出器117は、動作回路35及び平衡回路36の一方のみを備え、動作回路35及び平衡回路36の他方は備えていなくてもよい。すなわち、暗状態において、第1電極21と第2電極22との間の第1細長部分11の電気抵抗と第3電極25と第4電極26との間の第2細長部分12の電気抵抗とが互いに等しくなるように、動作回路35または平衡回路36の少なくとも一つが調整されていればよい。
<作用効果>
本実施の形態に係る電磁波検出器117では、動作回路35及び平衡回路36の少なくとも一つにより、第1の電極対2aから出力される第1電気信号と第2の電極対2bから出力される第2電気信号とを調整することができる。そのため、動作回路35または平衡回路36の少なくとも一つによって、第1電極21と第2電極22との間の第1細長部分11の電気抵抗と第3電極25と第4電極26との間の第2細長部分12の電気抵抗とを互いに等しくすることができる。暗電流を低減することができる。また、信号検出回路40により、明状態における、第1の電極対2aから出力される第1電気信号(例えば、第1電極21と第2電極22との間の第1細長部分11に流れる電流Id1)と第2の電極対2bから出力される第2電気信号(例えば、第3電極25と第4電極26との間の第2細長部分12に流れる電流Id2)との間の差分信号の検出が可能となる。電磁波検出器117のオフ動作が改善される。
実施の形態16.
図31を参照して、実施の形態16に係る電磁波検出器118を説明する。実施の形態16の電磁波検出器118は、実施の形態1の電磁波検出器100と同様の構成を備え、同様の効果を奏するが、主に以下の点で実施の形態1の電磁波検出器100と異なっている。
本実施の形態に係る電磁波検出器118では、信号検出回路40は、差動増幅回路45を含む。差動増幅回路45は、第1の電極対2aに含まれる第1電極21及び第2電極22の一方(本実施の形態では、第1電極21)に接続されている。信号検出回路40は、第2の電極対2bに含まれる第3電極25及び第4電極26の一方(本実施の形態では、第3電極25)に接続されている。
差動増幅回路45は、オペアンプ46を含んでもよい。具体的には、差動増幅回路45は、オペアンプ46と、電源47と、コンデンサ48とを含む積分回路であってもよい。オペアンプ46のマイナス端子は、第1電極21及び第2電極22の一方(本実施の形態では、第1電極21)と、第3電極25及び第4電極26の一方(本実施の形態では、第3電極25)とに接続されている。電源47は、オペアンプ46のプラス端子と接地電位とに接続されている。コンデンサ48は、オペアンプ46に並列に接続されている。具体的には、コンデンサ48は、オペアンプ46のマイナス端子とオペアンプ46の出力端子とに接続されている。
<作用効果>
本実施の形態に係る電磁波検出器118は差動増幅回路45を備えているため、平衡回路(図30を参照)が不要となる。そのため、電磁波検出器118は、小型化され得る。また、差動増幅回路45がオペアンプ46を含むため、第1電気信号と第2電気信号との間の差分信号の平均値を得ることができる。そのため、信号検出回路40から出力される差分信号のS/N比が向上する。電磁波検出器118の性能が向上する。
実施の形態17.
図32を参照して、実施の形態17に係る電磁波検出器アレイ120を説明する。
電磁波検出器アレイ120は、電磁波検出器121を複数備える。複数の電磁波検出器121は、実施の形態1から実施の形態16及びこれらの変形例の電磁波検出器100-118のいずれかである。複数の電磁波検出器121は、互いに同じ構成を有している。そのため、電磁波検出器アレイ120は、電磁波に対して向上された検出感度を有する。
複数の電磁波検出器121は、第3方向126及び第3方向126とは異なる第4方向127の少なくともいずれかに沿って配列されている。第4方向127は、例えば、第3方向126に垂直である。本実施の形態では、複数の電磁波検出器121は、第3方向126及び第4方向127に沿って配列されており、2×2のアレイ状に配置されている。電磁波検出器アレイ120が備える電磁波検出器121の数は、四つに限られない。例えば、電磁波検出器アレイ120が備える電磁波検出器121の数は九つであり、複数の電磁波検出器121は、3×3のアレイ状に配置されてもよい。複数の電磁波検出器121は、周期的に配列されてもよいし、非周期的に配列されてもよい。複数の電磁波検出器121は、基板6上に配置されてもよい。
図33を参照して、本実施の形態の変形例に係る電磁波検出器アレイ120は、複数の電磁波検出器121,122,123,124を備える。複数の電磁波検出器121,122,123,124は、実施の形態1から実施の形態16の電磁波検出器100-118のいずれかである。複数の電磁波検出器121,122,123,124は、互いに異なる構成を有している。
複数の電磁波検出器121,122,123,124は、例えば、互いに異なる検出波長を有してもよい。例えば、第1強誘電体層5(図2及び図3などを参照)または第1半導体層7a(図8を参照)及び第2半導体層7b(図9を参照)が電磁波に対して感度を有する(すなわち、電磁波を吸収する)場合には、複数の電磁波検出器121,122,123,124の間で、第1強誘電体層5の材料または第1半導体層7a及び第2半導体層7bの材料を異ならせることによって、複数の電磁波検出器121,122,123,124に互いに異なる検出波長を持たせることができる。
そのため、電磁波検出器アレイ120は、互いに異なる波長を有する複数の電磁波を検出することができる。電磁波検出器アレイ120は、より広い波長域の電磁波を検出することができる。電磁波検出器アレイ120は、例えば、紫外光、赤外光、テラヘルツ波または電波などの任意の波長域において、電磁波の波長を識別できる。例えば、複数の電磁波検出器121,122,123,124の一部の検出波長は可視光であり、複数の電磁波検出器121,122,123,124の残部の検出波長は赤外線である場合、電磁波検出器100は、昼間には可視光画像カメラとして使用され得るとともに、夜間には赤外線画像として使用され得る。
複数の電磁波検出器121,122,123,124は、例えば、互いに異なる偏光感度を有してもよい。例えば、電磁波検出器121は0°の偏光角度を有する電磁波に感度を有しており、電磁波検出器122は45°の偏光角度を有する電磁波に感度を有しており、電磁波検出器123は90°の偏光角度を有する電磁波に感度を有しており、電磁波検出器124は135°の偏光角度を有する電磁波に感度を有してもよい。例えば、複数の電磁波検出器121,122,123,124の二次元材料層1がグラフェンナノリボンが周期的に配列された構造を有する場合、複数の電磁波検出器121,122,123,124間でグラフェンナノリボンの周期配列の向きを変えることによって、複数の電磁波検出器121,122,123,124に互いに異なる偏光感度を持たせてもよい。
図34及び図35を参照して、本実施の形態の電磁波検出器アレイ120は、画像センサ130として用いられ得る。
例えば、互いに異なる検出波長を有する複数の電磁波検出器121,122,123,124を備える電磁波検出器アレイ120は、互いに異なる波長を有する複数の電磁波を検出することができる画像センサとして用いられ得る。これにより、従来、CMOS(Complementary MOS)センサ等で必要とされていたカラーフィルタを用いることなく、互いに異なる波長を有する複数の電磁波を検出することができる。また、電磁波の波長の違いを色の違いとして示した、カラー化された画像を得ることができる。
例えば、互いに異なる偏光感度を有する複数の電磁波検出器121,122,123,124を備える電磁波検出器アレイ120は、偏光識別イメージセンサとして用いられ得る。例えば、0°の偏光角度を有する電磁波に対して感度を有する電磁波検出器121と、90°の偏光角度を有する電磁波に対して感度を有する電磁波検出器122と、45°の偏光角度を有する電磁波に対して感度を有する電磁波検出器123と、135°の偏光角度を有する電磁波に対して感度を有する電磁波検出器124とを含む電磁波検出器アレイ120を複数配置することによって、偏光識別イメージングセンサが構成され得る。偏光識別イメージセンサは、例えば、人工物と自然物の識別、材料の識別、赤外波長域において同一温度を有する複数の物体の識別、複数の物体間の境界の識別、または、等価的な分解能の向上などを可能にする。
図34及び図35に示されるように、画像センサ130は、本開示の電磁波検出器アレイ120に加えて、読出回路131をさらに備えてもよい。読出回路131は、電磁波検出器アレイ120に電気的に接続されている。読出回路131はCTIA (Capacitive Transimpedance Amplifier)型などが用いられるが、この方式には限定されず、他の読み出し方式でもよい。
画像センサ130に含まれる電磁波検出器(例えば、電磁波検出器100)は、絶縁層133と、引出電極134,136と、パッド135,137とをさらに含む。絶縁層133は、二次元材料層1を覆っている。引出電極134は、第1電極21に電気的に接続されており、絶縁層133上に引き出されている。パッド135は、引出電極134及び絶縁層133上に配置されている。引出電極136は、第3電極25に電気的に接続されており、絶縁層133上に引き出されている。パッド137は、引出電極136及び絶縁層133上に配置されている。二次元材料層1は、引出電極134,136から電気的に絶縁されている。パッド135,137を構成する材料は、アルミニウムシリコン、ニッケルまたは金などの導電材料である。
パッド135は、バンプ138を介して読出回路131に電気的に接続されている。パッド137は、バンプ139を介して読出回路131に電気的に接続されている。言い換えると、読出回路131は、画像センサ130に含まれる電磁波検出器(例えば、電磁波検出器100)に、いわゆるハイブリッド接合されている。バンプ138,139を構成する材料は、インジウムなどのような導電性材料である。
電磁波検出器アレイ120は、画像センサ130以外のセンサとして用いられてもよい。電磁波検出器アレイ120は、例えば、物体の位置を検出する位置検出センサとして用いられ得る。
なお、実施の形態1-17及びそれらの変形例において、第1絶縁膜3(図1から図3などを参照)、第1半導体層7a(図8を参照)及び第2半導体層7b(図9を参照)、並びに、第1接触層9a(図19及び図20を参照)及び第2接触層9b(図19及び図21Aを参照)のいずれかが、電磁波が照射されることによって特性が変化して、二次元材料層1に電位の変化を生じさせる材料で形成されていればよい。このような材料は、例えば、量子ドット、強誘電体材料、液晶材料、フラーレン、希土類酸化物、半導体材料、pn接合材料、金属-半導体接合材料または金属-絶縁物-半導体接合材料等である。例えば、第1接触層9a及び第2接触層9bが、電磁波が照射されることによって特性が変化して二次元材料層1に電位の変化を与える材料で形成されている場合、第1接触層9a及び第2接触層9bは、二次元材料層1に直接接触している必要はなく、例えば、第1絶縁膜3など介して二次元材料層1の上方または下方に配置されてもよい。
今回開示された実施の形態1-17及びこれらの変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態1-17及びこれらの変形例の少なくとも二つを組み合わせてもよい。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 二次元材料層、2a 第1の電極対、2b 第2の電極対、3 第1絶縁膜、3b 第2絶縁膜、3c,3d ゲート絶縁膜、4 裏面電極、5 第1強誘電体層、5a 第1主面、5b 第2主面、5c 第2強誘電体層、6 基板、6a,6b 主面、7 半導体層、7a 第1半導体層、7b 第2半導体層、8 空隙、8b 孔、8c 凹部、9a 第1接触層、9b 第2接触層、11 第1細長部分、12 第2細長部分、13 共通部分、21 第1電極、22 第2電極、25 第3電極、26 第4電極、28,29 ゲート電極、30 第1動作回路、31 第1電圧源、33 第2動作回路、34 第2電圧源、35 動作回路、36 平衡回路、40 信号検出回路、41 第1信号検出器、42 第2信号検出器、44 差分器、45 差動増幅回路、46 オペアンプ、47 電源、48 コンデンサ、51 第1強誘電体層部分、52 第2強誘電体層部分、55 段差、60 電磁波遮蔽部材、100,101,102,103a,103b,104,105,106,107,108,108b,109,110,111,112a,112b,113,114,115,116,117,118,121,122,123,124 電磁波検出器、120 電磁波検出器アレイ、126 第3方向、127 第4方向、130 画像センサ、131 読出回路、133 絶縁層、134,136 引出電極、135,137 パッド、138,139 バンプ。

Claims (33)

  1. 第1主面を含み、かつ、自発分極を有する第1強誘電体層と、
    前記第1強誘電体層の前記第1主面上に配置されている二次元材料層と、
    第1電極と、第2電極とを含む第1の電極対と、
    第3電極と、第4電極とを含む第2の電極対とを備え、
    前記第1の電極対は、前記二次元材料層に電気的に接続されており、
    前記第2の電極対は、前記二次元材料層に電気的に接続されており、
    前記第1主面の平面視において、前記第3電極と前記第4電極とは、前記第1強誘電体層の前記自発分極の第1分極方向に対して垂直な第1方向に互いに対向して配置されており、
    前記第1主面の前記平面視において、前記第1電極と前記第2電極とは、前記第1方向とは異なる第2方向に互いに対向して配置されている、電磁波検出器。
  2. 前記第1主面の前記平面視において、前記第2方向は、前記第1分極方向に平行である、請求項1に記載の電磁波検出器。
  3. 前記二次元材料層は、第1細長部分と、第2細長部分とを含み、
    前記第1細長部分の第1長手方向は、前記第2細長部分の第2長手方向と異なっており、
    前記第1主面の前記平面視において、前記第1細長部分の一部は前記第2細長部分の一部と重なっている、請求項1に記載の電磁波検出器。
  4. 前記第1主面の前記平面視において、前記第1電極と前記第2電極との間の前記第1細長部分の形状は、前記第3電極と前記第4電極との間の前記第2細長部分の形状と同一である、請求項3に記載の電磁波検出器。
  5. 前記二次元材料層は、単一の単層二次元材料層で形成されており、
    前記第1主面の前記平面視において、前記第1細長部分は、前記第1細長部分と前記第2細長部分との共通部分に向かって先細の形状を有しており、
    前記第1主面の前記平面視において、前記第2細長部分は、前記共通部分に向かって先細の形状を有している、請求項3に記載の電磁波検出器。
  6. 前記第1細長部分と前記第2細長部分とは、互いに積層されており、
    前記第2細長部分は、前記第1細長部分に関して前記第1強誘電体層とは反対側に配置されている、請求項3に記載の電磁波検出器。
  7. 前記第1細長部分と前記第2細長部分との間に配置されている第2絶縁膜をさらに備える、請求項6に記載の電磁波検出器。
  8. 前記第1細長部分に接触する第1接触層と、
    前記第2細長部分に接触する第2接触層とをさらに備え、
    前記第1接触層は、前記第1細長部分のうち前記第2電極に近位する部分に配置されており、
    前記第2接触層は、前記第2細長部分のうち前記第4電極に近位する部分に配置されている、請求項3に記載の電磁波検出器。
  9. 電磁波遮蔽部材をさらに備え、
    前記電磁波遮蔽部材は、前記第1主面の前記平面視において、前記第1強誘電体層のうち、前記第1強誘電体層の前記自発分極の前記第1分極方向における前記第1強誘電体層の中心に対して、一方の側だけを覆っている、請求項3に記載の電磁波検出器。
  10. 自発分極を有する第2強誘電体層をさらに備え、
    前記第2強誘電体層は、前記第2細長部分上に形成されており、
    前記第2強誘電体層の前記自発分極の第2分極方向は、前記第1方向に平行である、請求項3に記載の電磁波検出器。
  11. 前記二次元材料層は、単一の単層二次元材料層で形成されている、請求項1に記載の電磁波検出器。
  12. 前記第1強誘電体層は、10μm以下の厚さを有する強誘電体薄膜である、請求項1に記載の電磁波検出器。
  13. 裏面電極をさらに備え、
    前記第1強誘電体層は、前記第1主面とは反対側の第2主面を含み、
    前記裏面電極は、前記第2主面上に形成されている、請求項1に記載の電磁波検出器。
  14. 第1絶縁膜をさらに備え、
    前記第1絶縁膜は、前記第1強誘電体層の前記第1主面上に形成されており、かつ、前記第1強誘電体層と前記二次元材料層との間に配置されている、請求項1に記載の電磁波検出器。
  15. 前記第1絶縁膜と前記二次元材料層との間に空隙が設けられている、請求項14に記載の電磁波検出器。
  16. 前記第1強誘電体層と前記二次元材料層との間に空隙が設けられている、請求項1に記載の電磁波検出器。
  17. 前記第4電極前記第2電極が一つの共通電極として構成されている、請求項1に記載の電磁波検出器。
  18. 基板をさらに備え、
    前記第1強誘電体層は、前記第1主面とは反対側の第2主面を含み、
    前記第1強誘電体層は、前記基板上に形成されており、
    前記第1強誘電体層の前記第2主面は、前記基板に対向している、請求項1に記載の電磁波検出器。
  19. 前記基板に孔が設けられており、
    前記第1強誘電体層の前記第2主面の少なくとも一部は、前記孔において、前記電磁波検出器の周囲雰囲気に露出されている、請求項18に記載の電磁波検出器。
  20. 第1半導体層または第2半導体層の少なくとも一つをさらに備え、
    前記第1半導体層は、前記二次元材料層と前記第2電極との間に配置されており、
    前記第2半導体層は、前記二次元材料層と前記第4電極との間に配置されている、請求項1に記載の電磁波検出器。
  21. 前記第1強誘電体層は、前記第1主面とは反対側の第2主面を含み、
    前記第1強誘電体層の前記第2主面に凹部が設けられており、
    前記第1強誘電体層の前記第2主面の少なくとも一部は、前記凹部において、前記電磁波検出器の周囲雰囲気に露出されている、請求項1に記載の電磁波検出器。
  22. 前記第1電極と前記第2電極との間において、前記第1強誘電体層の厚さは変化している、請求項1に記載の電磁波検出器。
  23. 前記第1強誘電体層は、第1強誘電体層部分と、第2強誘電体層部分とを含み、
    前記第1強誘電体層部分と前記第2強誘電体層部分は、前記第1電極と前記第2電極とが互いに対向している前記第2方向に配列されており、
    前記第1強誘電体層部分の誘電率は、前記第2強誘電体層部分の誘電率と異なっている、請求項1に記載の電磁波検出器。
  24. 前記第1強誘電体層は、第1強誘電体層部分と、第2強誘電体層部分とを含み、
    前記第1強誘電体層部分と前記第2強誘電体層部分は、前記第1電極と前記第2電極とが互いに対向している前記第2方向に配列されており、
    前記第1強誘電体層部分の吸収波長域は、前記第2強誘電体層部分の吸収波長域と異なっている、請求項1に記載の電磁波検出器。
  25. 前記第1電極は、前記第2電極と異なる金属材料で形成されており、
    前記第3電極は、前記第4電極と異なる金属材料で形成されている、請求項1に記載の電磁波検出器。
  26. 前記二次元材料層上に配置されているゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に形成されているゲート電極とをさらに備える、請求項1に記載の電磁波検出器。
  27. 前記二次元材料層は、グラフェン、多層グラフェン、乱層積層グラフェン、遷移金属ダイカルゴゲナイト、黒リン、シリセン、グラフェンナノリボンおよびボロフェンからなる群から選択されるいずれかの材料で形成されている、請求項1に記載の電磁波検出器。
  28. 第1信号検出器と、第2信号検出器と、差分器とを含む信号検出回路をさらに備え、
    前記第1信号検出器は、前記第1の電極対に接続されており、かつ、前記第1の電極対から出力される第1電気信号を検出し、
    前記第2信号検出器は、前記第2の電極対に接続されており、かつ、前記第2の電極対から出力される第2電気信号を検出し、
    前記差分器は、前記第1信号検出器と前記第2信号検出器とに接続されており、かつ、前記第1電気信号と前記第2電気信号との間の差分信号を出力する、請求項1に記載の電磁波検出器。
  29. 動作回路または平衡回路の少なくとも一つをさらに備え、
    前記動作回路は、前記第1の電極対に接続されている第1動作回路と、前記第2の電極対に接続されている第2動作回路とを含み、
    前記平衡回路は、前記第1の電極対と前記第2の電極対とに接続されており、
    前記電磁波検出器に電磁波が非照射である場合において、前記第1電極と前記第2電極との間の前記二次元材料層の電気抵抗値と前記第3電極と前記第4電極との間の前記二次元材料層の電気抵抗値とが互いに等しくなるように、前記動作回路または前記平衡回路の前記少なくとも一つは調整されている、請求項28に記載の電磁波検出器。
  30. 前記平衡回路は、複数の電気抵抗素子を含み、
    前記平衡回路と、前記第1電極と前記第2電極との間の前記二次元材料層と、前記第3電極と前記第4電極との間の前記二次元材料層とは、ブリッジ回路を形成している、請求項29に記載の電磁波検出器。
  31. 信号検出回路をさらに備え、
    前記信号検出回路は、前記第1の電極対及び前記第2の電極対に接続されている差動増幅回路を含む、請求項1に記載の電磁波検出器。
  32. 請求項1から請求項31のいずれか一項に記載の電磁波検出器を複数備え、
    前記複数の電磁波検出器が、第3方向および前記第3方向とは異なる第4方向の少なくともいずれかに沿って配列されている、電磁波検出器アレイ。
  33. 請求項32に記載の前記電磁波検出器アレイと、
    前記電磁波検出器アレイにハイブリッド接合されている読出回路とを備える、画像センサ。
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