JP7339217B2 - インクセット、画像記録方法、及び画像記録物 - Google Patents

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Description

本開示は、インクセット、画像記録方法、及び画像記録物に関する。
近年、近赤外線吸収色素を含有するインクジェットインクが知られている。
例えば、特許文献1には、分光特性に優れた近赤外吸収画像形成用組成物として、7個のメチン基からなるメチン鎖を含む特定の色素を含有する近赤外吸収画像形成用組成物、及び、この近赤外吸収画像形成用組成物からなるインクが開示されている。
また、特許文献2には、画像形成要素上の印刷インクとして使用できる安定な赤外色素組成物として、水を連続相として、そしてフェニレンジアミン部分が共有結合されている赤外ポリメチン色素が組み合わされている疎水性ポリマー粒子を分散相として含んで成るラテックス組成物が開示されている。
特開2008-255323号公報 特開2004-169035号公報
赤外線吸収色素を含有するインクジェットインクは、例えば、赤外線を照射することによって読み取られる赤外線吸収性画像(例えば、偽造防止等を目的とする赤外線吸収性画像)の記録に用いられる。
このような赤外線吸収性画像に対し、赤外線読み取り性(赤外線を照射した場合に読み取れる性質)と、不可視性(即ち、目視で視認されにくい性質)と、が求められる場合がある。
しかし、赤外線吸収色素を含有するインクジェットインクのみを用いて記録された赤外線吸収性画像単独では、不可視性が不足する場合(即ち、目視で視認される場合)がある。
本開示の一態様の課題は、平面視で互いに重なる重なり部分を含む赤外線吸収性画像及び有色画像を含む複合画像であって、赤外線吸収性画像の赤外線読み取り性及び不可視性に優れる複合画像を記録できる、インクセット及び画像記録方法、並びに、上記複合画像を備える画像記録物を提供することである。
上記課題を解決するための具体的手段は以下の態様を含む。
<1> 水及び赤外線吸収色素を含有し、750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値が、400nm~750nmの波長範囲における吸光度の最大値よりも大きい赤外線吸収性インクジェットインクと、
水及び有色色素を含有し、赤外線吸収性インクジェットインクの750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値に対する750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値の比が0.10以下である有色インクジェットインクと、
を備える、インクセット。
<2> 有色インクジェットインクを3種以上備え、3種以上の有色インクジェットインクが、
有色色素としてイエロー色素を含有する有色インクジェットインクYと、
有色色素として、マゼンタ色素、赤色素、バイオレット色素、及びピンク色素からなる群から選択される少なくとも1種を含有する有色インクジェットインクMと、
有色色素として、シアン色素及び青色素からなる群から選択される少なくとも1種を含有する有色インクジェットインクCと、
を含む、
<1>に記載のインクセット。
<3> 赤外線吸収性インクジェットインクが、樹脂粒子を含有し、
有色インクジェットインクが、樹脂粒子を含有する、
<1>又は<2>に記載のインクセット。
<4> 下記条件(1)、下記条件(2)、及び下記条件(3)のうちの少なくとも1つを満足する、<3>に記載のインクセット。
条件(1) … 赤外線吸収性インクジェットインクにおける樹脂粒子がアクリル樹脂粒子を含み、かつ、有色インクジェットインクにおける樹脂粒子がアクリル樹脂粒子を含む。
条件(2) … 赤外線吸収性インクジェットインクにおける樹脂粒子がウレタン樹脂粒子を含み、かつ、有色インクジェットインクにおける樹脂粒子がウレタン樹脂粒子を含む。
条件(3) … 赤外線吸収性インクジェットインクにおける樹脂粒子がポリエステル樹脂粒子を含み、かつ、有色インクジェットインクにおける樹脂粒子がポリエステル樹脂粒子を含む。
<5> 有色インクジェットインクに含有される有色色素が、有機染料及び有機顔料からなる群から選択される少なくとも1種である、
<1>~<4>のいずれか1つに記載のインクセット。
<6> 赤外線吸収色素が、シアニン色素及びナフタロシアニン色素の少なくとも一方を含む、
<1>~<5>のいずれか1つに記載のインクセット。
<7> 赤外線吸収性インクジェットインクが、更に、アルコール性溶剤を含有し、
有色インクジェットインクが、更に、アルコール性溶剤を含有する、
<1>~<6>のいずれか1つに記載のインクセット。
<8> 赤外線吸収性インクジェットインクにおけるアルコール性溶剤が、多価アルコールを含み、
有色インクジェットインクにおけるアルコール性溶剤が、多価アルコールを含む、
<7>に記載のインクセット。
<9> 赤外線吸収性インクジェットインクにおけるアルコール性溶剤が、2価アルコールモノエーテルを含有し、
有色インクジェットインクにおけるアルコール性溶剤が、2価アルコールモノエーテルを含有する、
<7>又は<8>に記載のインクセット。
<10> 赤外線吸収性インクジェットインクにおけるアルコール性溶剤が、1,2-アルカンジオールとアルカンジオールモノアルキルエーテルとを含有し、
有色インクジェットインクにおけるアルコール性溶剤が、1,2-アルカンジオールとアルカンジオールモノアルキルエーテルとを含有する、
<7>~<9>のいずれか1つに記載のインクセット。
<11> セキュリティ画像記録用インクセットである、<1>~<10>のいずれか1つに記載のインクセット。
<12> <1>~<11>のいずれか1つに記載のインクセットを用い、基材上に、平面視で互いに重なる重なり部分を有する赤外線吸収性画像及び有色画像を含む複合画像を記録する方法であって、
基材上に、赤外線吸収性インクジェットインク及び有色インクジェットインクを、平面視で互いに重なる重なり部分が生じる配置にて、インクジェット法によって付与して複合画像を得る工程と、
を含む、画像記録方法。
<13> 赤外線吸収性画像が、文字画像及びコード画像の少なくとも一方である、
<12>に記載の画像記録方法。
<14> 基材と、
基材上に設けられ、平面視で互いに重なる重なり部分を有する赤外線吸収性画像及び有色画像を含む複合画像と、
を備え、
赤外線吸収性画像が、赤外線吸収性インクジェットインクの乾燥物であり、
赤外線吸収性インクジェットインクは、水及び赤外線吸収色素を含有し、750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値が、400nm~750nmの波長範囲における吸光度の最大値よりも大きい赤外線吸収性インクジェットインクであり、
有色画像が、有色インクジェットインクの乾燥物であり、
有色インクジェットインクは、水及び有色色素を含有し、赤外線吸収性インクジェットインクの750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値に対する750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値の比が0.10以下である有色インクジェットインクである、
画像記録物。
<15> 赤外線吸収性画像が、文字画像及びコード画像の少なくとも一方である、<14>に記載の画像記録物。
本開示の一態様によれば、平面視で互いに重なる重なり部分を含む赤外線吸収性画像及び有色画像を含む複合画像であって、赤外線吸収性画像の赤外線読み取り性及び不可視性に優れる複合画像を記録できる、インクセット及び画像記録方法、並びに、上記複合画像を備える画像記録物が提供される。
本開示において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよく、また、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、「画像」とは、基材上にインクを付与して形成される膜全般を意味し、「画像の記録」及び「画像記録」とは、いずれも、基材上にインクを付与して膜を形成することを意味する。「画像」の概念には、ベタ画像(solid image)も包含される。
〔インクセット〕
本開示のインクセットは、
水及び赤外線吸収色素を含有し、750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値が、400nm~750nmの波長範囲における吸光度の最大値よりも大きい赤外線吸収性インクジェットインクと、
水及び有色色素を含有し、赤外線吸収性インクジェットインクの750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値に対する750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値の比が0.10以下である有色インクジェットインクと、
を備える。
本開示のインクセットによれば、平面視で互いに重なる重なり部分を含む赤外線吸収性画像及び有色画像を含む複合画像であって、赤外線吸収性画像の赤外線読み取り性及び不可視性に優れる複合画像を記録できる。
複合画像の一例として、セキュリティ画像(例えば、偽造防止等を目的とするセキュリティ画像)が挙げられるが、複合画像はセキュリティ画像であることには限定されない。
本開示のインクセットによって上記効果が奏される理由は、以下のように推測される。
本開示のインクセットにおけるIRインクは、750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値(以下、「Abs(NIR)」ともいう)が、400nm~750nmの波長範囲における吸光度の最大値(以下、「Abs(VIS)」ともいう)よりも大きい。即ち、本開示のインクセットにおけるIRインクは、吸光度比〔Abs(NIR)/Abs(VIS)〕が1超である。
これにより、上述した効果のベースとなる、赤外線吸収性画像の赤外線読み取り性が確保される。
しかし、前述のとおり、赤外線吸収色素を含有するインクジェットインクのみを用いて記録される赤外線吸収性画像単独では、不可視性が不足する場合(即ち、目視で視認される場合)がある。
かかる不可視性の不足の問題を解決するための方策として、赤外線吸収色素を含有するIRインクと、有色色素を含有する有色インクと、を備えるインクセットを用い、IRインク由来の赤外線吸収性画像と有色インク由来の有色画像とを含む複合画像を記録することが考えられる。かかる態様の複合画像において、赤外線吸収性画像及び有色画像は、平面視で互いに重なる重なり部分を含むように記録する。これにより、重なり部分において、有色画像の色によって赤外線吸収性画像の色を目立ちにくくする効果が得られ、その結果、重なり部分における赤外線吸収性画像の不可視性が確保される。
しかし、本発明者等の検討により、赤外線吸収性画像及び有色画像を含む複合画像に赤外線を照射して複合画像中の赤外線吸収性画像を読み取る際、赤外線吸収性画像だけでなく有色画像も読み取られてしまい、その結果、赤外線吸収性画像の赤外線読み取り性が損なわれる場合があることが判明した。この現象は、赤外領域における吸収(例えばAbs(NIR))が大きい有色インク(例えば、カーボンブラックを含有するブラックインク)を用いた場合に特に顕著である。
かかる赤外線読み取り性の問題を解決するための手段として、本開示のインクセットでは、IRインクのAbs(NIR)に対する有色インクのAbs(NIR)の比(以下、「Abs(NIR)比」ともいう)が0.10以下である。
Abs(NIR)比は、下記式で表される比である。
Abs(NIR)比
=有色インクのAbs(NIR)/IRインクのAbs(NIR)
=有色インクの750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値/IRインクの750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値
本開示において、各インクの吸光度は、各インクをジメチルスルホキシドで希釈した希釈液について、紫外可視近赤外分光光度計(例えば、日本分光株式会社製「V-570」)を用い、25℃で測定された値を意味する。
本開示のインクセットでは、Abs(NIR)比が0.10以下であることにより、IRインクのAbs(NIR)に対し有色インクのAbs(NIR)が相対的に小さくなり、その結果、複合画像に赤外線を照射して複合画像中の赤外線吸収性画像を読み取る際の赤外線読み取り性が損なわれる現象(具体的には、赤外線吸収性画像だけでなく有色画像も読み取られる現象)が抑制される。
本開示のインクセットでは、以上の理由により、平面視で互いに重なる重なり部分を含む赤外線吸収性画像及び有色画像を含む複合画像であって、赤外線吸収性画像の赤外線読み取り性及び不可視性に優れる複合画像を記録できると考えられる。
本開示のインクセットは、IRインクを1種のみ備えてもよいし、2種以上備えていてもよい。
本開示のインクセットは、有色インクを1種のみ備えてもよいし、2種以上備えていてもよい。
本開示のインクセットにおける有色インクは、
有色色素としてイエロー色素を含有する有色インクジェットインクY(以下、「有色インクY」ともいう)、
有色色素として、マゼンタ色素、赤色素、バイオレット色素、及びピンク色素からなる群から選択される少なくとも1種を含有する有色インクジェットインクM(以下、「有色インクM」ともいう)、及び、
有色色素として、シアン色素及び青色素からなる群から選択される少なくとも1種を含有する有色インクジェットインクC(以下、「有色インクC」ともいう)
からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
かかる好ましい態様において、イエロー色素、マゼンタ色素、赤色素、バイオレット色素、ピンク色素、シアン色素、及び青色素は、それぞれ、イエロー顔料、マゼンタ顔料、赤色顔料、バイオレット顔料、ピンク色顔料、シアン顔料、及び青色顔料が好ましい。
本開示のインクセットの好ましい態様の1つは、有色インクを3種以上備え、3種以上の有色インクが、有色インクYと、有色インクMと、有色インクCと、を含む態様である。
上記態様によれば、有色インクY、有色インクM、及び有色インクCによるフルカラーの画像と、赤外線吸収性画像と、を含む複合画像を記録できる。
上記態様のインクセットは、必ずしも、黒色色素を含有する黒色インクを含む必要はない。インクセットが、黒色インクを含まない場合であっても、基材上に、有色インクY、有色インクM、及び有色インクCの3色を重ねて付与することにより、黒色画像(いわゆる、コンポジットブラック画像)を記録できる。
上記態様のインクセットにおける有色インクは、有色インクY、有色インクM、及び有色インクC以外のその他の有色インクジェットインクを含んでいてもよい。
上記態様のインクセットにおける有色インクの種類は、好ましくは3種~6種である。
本開示のインクセットは、セキュリティ画像用インクセットであることが好ましい。
セキュリティ画像用インクセットとして、好ましくは、平面視で互いに重なる重なり部分を含む赤外線吸収性画像及び有色画像を含む複合画像であるセキュリティ画像を記録するためのセキュリティ画像用インクセットである。
<IRインク>
本開示のインクセットは、IRインク(即ち、水及び赤外線吸収色素を含有し、750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値が、400nm~750nmの波長範囲における吸光度の最大値よりも大きい赤外線吸収性インクジェットインク)を少なくとも1種備える。
(吸光度比〔Abs(NIR)/Abs(VIS)〕)
IRインクは、750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値(Abs(NIR))が、400nm~750nmの波長範囲における吸光度の最大値(Abs(VIS))よりも大きい。言い換えれば、前述のとおり、IRインクにおける吸光度比〔Abs(NIR)/Abs(VIS)〕は1超である。これにより、赤外線吸収性画像の赤外線読み取り性が確保される。
IRインクにおける吸光度比〔Abs(NIR)/Abs(VIS)〕は、赤外線吸収性画像の赤外線読み取り性をより向上させる観点から、好ましくは3以上であり、より好ましくは5以上である。
(赤外線吸収色素)
IRインクは、赤外線吸収色素を少なくとも1種含有する。
赤外線吸収色素としては、シアニン色素、ナフタロシアニン色素、カルボニウム色素、メチン色素、ピリリウム色素、ニッケルジチオレン錯体、スクアリリウム色素、キノンイミン色素、ジインモニウム色素、アゾ色素、金属錯塩アゾ色素、ナフトキノン色素、アントラキノン色素、キノンイミン色素、メチン色素、金属チオレート錯体、等が挙げられる。
赤外線吸収色素としては、より具体的には、例えば;
特開昭58-125246号、特開昭59-84356号、特開昭59-202829号、特開昭60-78787号、英国特許434,875号、国際公開第2006/093765号、国際公開第2019/163916号、等に記載されているシアニン色素;
国際公開第2011/025501号、国際公開第2010/019138号、等に記載のナフタロシアニン色素;
特開昭58-112792号、特開2019-001983号等に記載されているスクアリリウム色素;
特開昭58-173696号、特開昭58-181690号、特開昭58-194595号等に記載されているメチン色素;
特開昭58-112793号、特開昭58-224793号、特開昭59-48187号、特開昭59-73996号、特開昭60-52940号、特開昭60-63744号等に記載されているナフトキノン色素;
英国特許434,875号記載のシアニン染料;
等が挙げられる。
赤外線吸収色素は、シアニン色素及びナフタロシアニン色素の少なくとも一方を含むことが好ましい。
IRインクに含有される赤外線吸収色素の含有量は、IRインクの全量に対し、好ましくは0.1質量%~10.0質量%であり、より好ましくは0.2質量%~7.0質量%であり、更に好ましくは0.3質量%~3.0質量%である。
赤外線吸収色素の含有量が0.1質量%以上である場合には、赤外線吸収性画像の赤外線読み取り性がより向上する。
赤外線吸収色素の含有量が10.0質量%以下である場合には、赤外線吸収性画像の不可視性がより向上する。
赤外線吸収色素が、シアニン色素及びナフタロシアニン色素の少なくとも一方を含む場合、シアニン色素及びナフタロシアニン色素の合計量は、赤外線吸収色素の全量に対し、50質量%~100質量%であることが好ましく、60質量%~100質量%であることがより好ましく、80質量%~100質量%であることが更に好ましい。
赤外線吸収色素は、赤外線吸収顔料であっても赤外線吸収染料であってもよい。
IRインクが、赤外線吸収色素として赤外線吸収顔料を含有する場合、IRインクは、分散剤を少なくとも1種含有していてもよい。
分散剤としては、後述する有色インクに含有され得る分散剤と同様のものが挙げられる。
(シアニン色素の好ましい態様)
シアニン色素の好ましい態様は、式(A)で表される化合物である。
式(A)中、Z及びZは、それぞれ独立に、縮環してもよい5員又は6員の含窒素複素環を形成する非金属原子群を表し、R及びRは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい脂肪族基又は置換基を有してもよい芳香族基を表し、Lは、奇数個のメチンからなるメチン鎖を表し、a及びbは、それぞれ独立に、0又は1である。
式(A)中のCyで表される部位がカチオン部である場合、Xはアニオンを表し、cは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、
式(A)中のCyで表される部位がアニオン部である場合、Xはカチオンを表し、cは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、
式(A)中のCyで表される部位の電荷が分子内で中和されている場合、Xは存在しない。
式(A)において、Z及びZは、それぞれ独立に、縮環してもよい5員又は6員の含窒素複素環を形成する非金属原子群を表す。
含窒素複素環には、他の複素環、芳香族環又は脂肪族環が縮合してもよい。
含窒素複素環は、5員環が好ましい。5員の含窒素複素環にベンゼン環又はナフタレン環が縮合しているのがさらに好ましい。
含窒素複素環の具体例としては、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ナフトオキサゾール環、オキサゾロカルバゾール環、オキサゾロジベンゾフラン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、インドレニン環、ベンゾインドレニン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ナフトイミダゾール環、キノリン環、ピリジン環、ピロロピリジン環、フロピロール環、インドリジン環、イミダゾキノキサリン環、キノキサリン環等が挙げられ、キノリン環、インドレニン環、ベンゾインドレニン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環が好ましく、インドレニン環、ベンゾインドレニン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環が特に好ましい。
含窒素複素環及びそれに縮合している環は、置換基を有していてもよい。
置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、-OR10、-COR11、-COOR12、-OCOR13、-NR1415、-NHCOR16、-CONR1718、-NHCONR1920、-NHCOOR21、-SR22、-SO23、-SOOR24、-NHSO25又はSONR2627が挙げられる。R10~R27は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又はヘテロ環基を表す。なお、-COOR12のR12が水素の場合(すなわち、カルボキシ基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、カルボキシレート基)、塩の状態であってもよい。また、-SOOR24のR24が水素原子の場合(すなわち、スルホ基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、スルホネート基)、塩の状態であってもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
脂肪族基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアラルキル基が挙げられる。これらの基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げられ、カルボキシ基及びスルホ基が好ましく、スルホ基が特に好ましい。カルボキシ基及びスルホ基は、水素原子が解離していてもよく、塩の状態であってもよい。
アルキル基は、環状であっても鎖状であってもよい。鎖状アルキル基は、分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~12がさらに好ましく、1~8が最も好ましい。アルキル基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基及び2-エチルヘキシル基が挙げられる。置換を有するアルキル基の例には、2-ヒドロキシエチル基、2-カルボキシエチル基、2-メトキシエチル基、2-ジエチルアミノエチル基、2-スルホエチル基、3-スルホプロピル基、3-スルホブチル基及び4-スルホブチル基などが挙げられる。
アルケニル基は、環状であっても鎖状であってもよい。鎖状アルケニル基は、分基を有していてもよい。アルケニル基の炭素数は、2~20が好ましく、2~12がさらに好ましく、2~8が最も好ましい。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、2-ブテニル基、2-ペンテニル基及び2-ヘキセニル基などが挙げられる。
アルキニル基は、環状であっても鎖状であってもよい。鎖状アルキニル基は、分基を有していてもよい。アルキニル基の炭素数は、2~20が好ましく、2~12がさらに好ましく、2~8が最も好ましい。アルキニル基の例には、エチニル基及び2-プロピニル基が挙げられる。
アラルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アラルキル基のアリール部分は、後述するアリール基と同様である。アラルキル基の例には、ベンジル及びフェネチルが挙げられる。
本開示において、芳香族基は、アリール基が挙げられる。アリール基は置換基を有していてもよい。置換基としては、上述した脂肪族基が有してもよい置換基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
アリール基の炭素数は、6~25が好ましく、6~15がさらに好ましく、6~10が最も好ましい。アリール基の例として、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。置換基を有するアリール基としては、4-カルボキシフェニル基、4-アセトアミドフェニル基、3-メタンスルホンアミドフェニル基、4-メトキシフェニル基、3-カルボキシフェニル基、3,5-ジカルボキシフェニル基、4-メタンスルホンアミドフェニル基及び4-ブタンスルホンアミドフェニル基が挙げられる。
本開示において、ヘテロ環基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、上述した脂肪族基が有してもよい置換基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
ヘテロ環基のヘテロ環は、5又は6員環であることが好ましい。ヘテロ環は、単環であってもよく縮合環であってもよい。ヘテロ環の例には、ピリジン環、ピペリジン環、フラン環基、フルフラン環、チオフェン環、ピロール環、キノリン環、モルホリン環、インドール環、イミダゾール環、ピラゾール環、カルバゾール環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、インドリン環、チアゾール環、ピラジン環、チアジアジン環、ベンゾキノリン環及びチアジアゾール環が挙げられる。
式(A)において、R及びRは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい脂肪族基又は置換基を有してもよい芳香族基を表す。
脂肪族基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基が挙げられる。
芳香族基としては、アリール基が挙げられる。
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基及びアリール基としては、それぞれ、上記の置換基で説明したものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げられ、カルボキシ基及びスルホ基が好ましく、スルホ基が特に好ましい。カルボキシ基及びスルホ基は、水素原子が解離していてもよく、塩の状態であってもよい。
式(A)において、Lは、奇数個のメチンからなるメチン鎖を表す。Lは、3、5又は7のメチン基からなるメチン鎖が好ましい。
メチン基は置換基を有していてもよい。置換基を有するメチン基は、中央の(メソ位の)メチン基であることが好ましい。置換基の具体例としては、Z及びZの含窒素複素環が有してもよい置換基と同様である。また、メチン鎖の二つの置換基が結合して5又は6員環を形成しても良い。
式(A)において、a及びbは、それぞれ独立に、0又は1である。a及びbはともに0であることが好ましい。なお、a及びbがともに0の場合は、式(A)は以下のように表される。
式(A)で表される化合物は、下記式(1A)で表される化合物であることがより好ましい。
式(1A)中、R1A及びR2Aは、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を表し、
1Aは、奇数個のメチンからなるメチン鎖を表し、
及びBは、それぞれ独立に、置換基を有してもよい芳香族炭化水素環を形成するために必要な原子群又は置換基を有してもよい芳香族ヘテロ環を形成するのに必要な原子群を表す。
及びYは、それぞれ独立に、-S-、-O-、-NRX1-又はCRX2X3-を表し、RX1、RX2及びRX3は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
1A及びV2Aは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、-OR10、-COR11、-COOR12、-OCOR13、-NR1415、-NHCOR16、-CONR1718、-NHCONR1920、-NHCOOR21、-SR22、-SO23、-SOOR24、-NHSO25又はSONR2627を表し、R10~R27は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基又はヘテロ環基を表す。-COOR12のR12が水素原子である場合及びSOOR24のR24が水素原子である場合、それぞれ、水素原子が解離していてもよいし、塩の状態であってもよい。
m1及びm2は、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。
m1が2~4の整数である場合、複数のV1Aが、互いに結合して環を形成してもよく、m2が2~4の整数である場合、複数のV2Aが、互いに結合して環を形成してもよい。
式(1A)中のCyで表される部位がカチオン部である場合、Xはアニオンを表し、cは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、
式(1A)中のCyで表される部位がアニオン部である場合、Xはカチオンを表し、cは電荷のバランスを取るために必要な数を表し、
式(1A)中のCyで表される部位の電荷が分子内で中和されている場合、Xは存在しない。
式(1A)中、R1A及びR2Aの各々で表される、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、及び置換基を有してもよいヘテロ環基の各々における置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、アミノ基等が挙げられ、カルボキシ基又はスルホ基が好ましく、スルホ基が特に好ましい。カルボキシ基(-COOH基)及びスルホ基(-SOH基)は、水素原子が解離していてもよく(即ち、それそれ、カルボキシレート基(-COO基)及びスルホネート基(-SO 基)の形態であってもよく)、塩の形態(例えば、-COOK基、-SOK基の形態)であってもよい。
式(1A)で表される化合物中のカルボキシ基が塩の形態である場合、塩の形態のカルボキシ基は、カルボキシレート基(-COO基)と、Xで表されるカチオンと、から形成されているものであってもよい。
式(1A)で表される化合物中のスルホ基が塩の形態である場合、塩の形態のスルホ基は、スルホネート基(-SO 基)と、Xで表されるカチオンと、から形成されているものであってもよい。
1A及びR2Aの各々で表される、置換基を有してもよいアルキル基は、環状であっても鎖状であってもよい。鎖状アルキル基は、分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素数(置換基を有する場合には、置換基を除いた部分の炭素数)は、1~20が好ましく、1~12が更に好ましく、1~8が更に好ましい。アルキル基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基及び2-エチルヘキシル基が挙げられる。置換を有するアルキル基の例には、2-ヒドロキシエチル基、2-カルボキシエチル基、2-メトキシエチル基、2-ジエチルアミノエチル基、2-スルホエチル基、3-スルホプロピル基、3-スルホブチル基及び4-スルホブチル基などが挙げられる。
1A及びR2Aの各々で表される、置換基を有してもよいアルケニル基は、環状であっても鎖状であってもよい。鎖状アルケニル基は、分基を有していてもよい。アルケニル基の炭素数(置換基を有する場合には、置換基を除いた部分の炭素数)は、2~20が好ましく、2~12が更に好ましく、2~8が更に好ましい。アルケニル基の例には、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、2-ブテニル基、2-ペンテニル基及び2-ヘキセニル基などが挙げられる。
1A及びR2Aの各々で表される、置換基を有してもよいアルキニル基は、環状であっても鎖状であってもよい。鎖状アルキニル基は、分基を有していてもよい。アルキニル基の炭素数(置換基を有する場合には、置換基を除いた部分の炭素数)は、2~20が好ましく、2~12が更に好ましく、2~8が更に好ましい。アルキニル基の例には、エチニル基及び2-プロピニル基が挙げられる。
1A及びR2Aの各々で表される、置換基を有してもよいアラルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アラルキル基のアリール部分は、後述するアリール基と同様である。アラルキル基の例としては、ベンジル基及びフェネチル基が挙げられる。
1A及びR2Aの各々で表される、置換基を有してもよいアリール基の炭素数(置換基を有する場合には、置換基を除いた部分の炭素数)は、6~25が好ましく、6~15が更に好ましく、6~10が更に好ましい。アリール基の例として、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。
置換基を有するアリール基としては、4-カルボキシフェニル基、4-アセトアミドフェニル基、3-メタンスルホンアミドフェニル基、4-メトキシフェニル基、3-カルボキシフェニル基、3,5-ジカルボキシフェニル基、4-メタンスルホンアミドフェニル基及び4-ブタンスルホンアミドフェニル基が挙げられる。
1Aは、奇数個のメチン基からなるメチン鎖を表す。
1Aは、3個、5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖が好ましく、5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖がより好ましく、7個のメチン基からなるメチン鎖が更に好ましい。
メチン基は置換基を有していてもよい。置換基を有するメチン基は、中央の(メソ位の)メチン基であることが好ましい。また、メチン鎖の二つの置換基が結合して5又は6員環を形成してもよい。
メチン基が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、シアノ基、ニトロ基、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基、-OR10、-COR11、-COOR12、-OCOR13、-NR1415、-NHCOR16、-CONR1718、-NHCONR1920、-NHCOOR21、-SR22、-SO23、-SOOR24、-NHSO25又はSONR2627が挙げられる。R10~R27は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。なお、-COOR12のR12が水素原子である場合(すなわち、カルボキシ基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、カルボキシレート基(-COO基)であってもよく)、塩(例えば、-COOK基)の状態であってもよい。また、-SOOR24のR24が水素原子である場合(すなわち、スルホ基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、スルホネート基)、塩の状態であってもよい。
メチン基が有してもよい置換基のうち、脂肪族基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアラルキル基が挙げられる。
メチン基が有してもよい置換基のうち、脂肪族基の好ましい態様は、R1A及びR2Aの各々で表される、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、及び置換基を有してもよいアラルキル基の各々の好ましい態様と同様である。
10~R27の各々で表される、脂肪族基の好ましい態様も同様である。
メチン基が有してもよい置換基のうち、アリール基の好ましい態様は、R1A及びR2Aの各々で表される、置換基を有してもよいアリール基の好ましい態様と同様である。
10~R27の各々で表される、アリール基の好ましい態様も同様である。
メチン基が有してもよい置換基のうち、ヘテロ環基におけるヘテロ環は、5員環又は6員環であることが好ましい。ヘテロ環は、単環であってもよく縮合環であってもよい。ヘテロ環の例としては、ピリジン環、ピペリジン環、フラン環基、フルフラン環、チオフェン環、ピロール環、キノリン環、モルホリン環、インドール環、イミダゾール環、ピラゾール環、カルバゾール環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、インドリン環、チアゾール環、ピラジン環、チアジアジン環、ベンゾキノリン環及びチアジアゾール環が挙げられる。
10~R27の各々で表される、ヘテロ環基の例も同様である。
以下、L1Aで表されるメチン鎖の具体例を示すが、L1Aで表されるメチン鎖は、以下の具体例に限定されるものではない。
以下の具体例において、*は、結合位置を意味する。
(ナフタロシアニン色素の好ましい態様)
ナフタロシアニン色素の好ましい態様は、式(X)で表される化合物である。
式(X)中、
Mは、金属原子を表し、
Yは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、OSOM’基,又はOCOR基を表し、
M’は、水素原子又はカウンターカチオンを表し、
Rは、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基を表し、
pは、0又は1を表し、
Xは、水溶性基を表し、
mは0~4の整数を表し、
Aは2価の連結基を表し、
Bは、1価の基を表し、
nは0~2の整数を表す。
式(X)中、同一符号が複数存在する場合があるが、この場合、複数存在する同一符号の基は、同一種の基であってもよいし、異種の基であっていてもよい
式(X)中、Mとしては、
Cu原子、In原子、Ga原子、Tl原子、Ge原子、Sn原子、Sb原子、Bi原子、Zn原子、Co原子、Ni原子、Si原子、Ti原子、V原子、Cr原子、Mn原子、Y原子、Sc原子、Zr原子、Nb原子、Mo原子、Ru原子、Rh原子、Hf原子、又はTa原子が好ましく、
Cu原子、In原子、Si原子、又はGa原子がより好ましい。
式(X)中、複数のXは、それぞれ独立に、COOM’基、SOM’基、POM’基、NR 基、Y’基、又は(CHCHO)p1CH基であることが好ましい。
ここで、Y’は、ハロゲン原子、スルフェート基、スルホネート基、酸素アニオンを表し、p1は、1~500の整数である。
M’は前述のとおりである。
M’としては、水素原子、1価金属イオン(好ましくはアルカリ金属イオン、より好ましくは、K,Na、又はLi)、又は4級アンモニウムイオンが好ましい。
式(X)中、複数のAは、それぞれ独立に、-O-,-NH-、-COO-、-CONH-、CO-、-SO-、及び-SONH-からなる群AXから選択される1種の基、又は、群AXから選択される2種以上が連結した2価の連結基であることが好ましい。
式(X)中、複数のBは、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基を表す。
式(X)中、複数のBは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、又は炭素数6~12のアリール基であることが好ましい。
(樹脂粒子)
IRインクは、樹脂粒子を少なくとも1種含有することが好ましい。
これにより、赤外線吸収性画像の赤外線読み取り性(特に、複合画像の擦過後における赤外線吸収性画像の赤外線読み取り性)がより向上する。
樹脂粒子を構成する樹脂としては、水不溶性樹脂が好ましい。
IRインクが樹脂粒子を含有する場合、IRインクが同質量の水溶性樹脂を含む場合と比較して、IRインクの粘度上昇がより抑制される。その結果、インクをインクジェットインクとして用いた場合におけるインクジェットヘッドからのインクの吐出性(以下、単に「インクの吐出性」ともいう)がより向上する。
本開示において、「水溶性」とは、25℃の水100gに対する溶解量が1g以上である性質を意味する。「水溶性」として、好ましくは、25℃の水100gに対する溶解量が3g以上(より好ましくは10g以上)である性質である。
本開示において、「水不溶性」とは、25℃の水100gに対する溶解量が1g未満である性質を意味する。「水不溶性」として、好ましくは、25℃の水100gに対する溶解量が0.5g未満である性質である。
樹脂粒子としては、例えば、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂から選ばれる樹脂からなる樹脂粒子を用いることができる。
これらの樹脂は、変性された樹脂であってもよい。
樹脂粒子における樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニル樹脂(例:塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、又はポリビニルブチラール等)、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂(例:フタル酸樹脂等)、アミノ系材料(例:メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等)等が挙げられる。
また、樹脂粒子における樹脂は、1種のみであってもよいし2種以上(即ち、混合物)であってもよい。
また、樹脂粒子における樹脂が2種以上である場合、樹脂粒子自体が2種以上の樹脂の混合物からなるものには限られず、2種以上の樹脂が、例えば、コア/シェルのように積層されてなる複合樹脂粒子であってもよい。
樹脂粒子における樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、又はポリエステル樹脂が好ましい。
IRインクに含有される樹脂粒子は、複合画像の擦過後の赤外線吸収性画像の赤外線読み取り性をより向上させる観点から、アクリル樹脂粒子(即ち、アクリル樹脂からなる粒子)、ポリウレタン樹脂粒子(即ち、ポリウレタン樹脂からなる粒子)、及びポリエステル樹脂粒子(即ち、ポリエステル樹脂からなる粒子)のうちの少なくとも1つを含むことが好ましく、アクリル樹脂粒子及びウレタン樹脂粒子のうちの少なくとも一方を含むことがより好ましい。
IRインクに含有される樹脂粒子が、アクリル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子、及びポリエステル樹脂粒子のうちの少なくとも一方を含む場合、IRインクに含有される樹脂粒子に占める、アクリル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子、及びポリエステル樹脂粒子の総量の比率は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは80質量%以上である。
IRインクに含有される樹脂粒子がアクリル樹脂粒子及びウレタン樹脂粒子のうちの少なくとも一方を含む場合、IRインクに含有される樹脂粒子に占めるアクリル樹脂粒子及びウレタン樹脂粒子の総量の比率は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは80質量%以上である。
本開示において、アクリル樹脂とは、アクリル酸、アクリル酸の誘導体(例えば、アクリル酸エステル等)、メタクリル酸、及びメタクリル酸の誘導体(例えば、メタクリル酸エステル等)からなる群から選択される少なくとも1種を含む原料モノマーの重合体(単独重合体又は共重合体)を意味する。
本開示において、ウレタン樹脂とは、ウレタン結合を含む樹脂を意味する。
ウレタン樹脂は、好ましくは、ジオール化合物とジイソシアネート化合物との反応生成物である。
ジオール化合物及びジイソシアネート化合物の詳細については、例えば特開2001-247787号公報の段落0031~0036の記載を参照することができる。
中でも、主鎖中にエステル結合を有するポリエステル系ウレタン樹脂、主鎖中にカーボネート結合を有するポリカーボネート系ウレタン樹脂、又は、主鎖中にエーテル結合を有するポリエーテル系ウレタン樹脂が好ましい。
本開示において、ポリエステル樹脂とは、主鎖にエステル結合を含む樹脂(但し、ポリエステル系ウレタン樹脂を除く)を意味する。ポリエステル樹脂としては、多価カルボン酸(例えばジカルボン酸)とポリアルコール(例えばジオール)との重縮合物が挙げられる。
樹脂粒子としては、自己分散性樹脂粒子が好ましい。
自己分散性樹脂粒子としては、例えば、特開2016-188345号公報の段落0062~0076、国際公開第2013/180074号の段落0109~0140等に記載の自己分散性ポリマー粒子が挙げられる。
樹脂粒子に含有され得るアクリル樹脂としては、公知の合成方法により合成されたもの、又は、市販品を用いることができる。
アクリル樹脂は、脂環式構造又は芳香環式構造を含むことが好ましく、脂環式構造を含むことがより好ましい。
脂環式構造としては、炭素数5~10の脂環式炭化水素構造が好ましく、シクロヘキサン環構造、ジシクロペンタニル環構造、ジシクロペンテニル環構造、ノルボルナン環構造、イソボルナン環構造、ノルボルネン環構造、イソボルネン環構造、又はアダマンタン環構造が好ましい。
芳香環式構造としては、ナフタレン環又はベンゼン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
脂環式構造又は芳香環式構造の量としては、例えば、樹脂粒子における樹脂100gあたり0.01mol~1.5molであることが好ましく、0.1mol~1molであることがより好ましい。
アクリル樹脂は、樹脂粒子の水分散性をより向上させる観点から、構造中にイオン性基を有することが好ましい。
イオン性基としては、アニオン性基であってもカチオン性基であってもよいが、アニオン性基が好ましい。
アニオン性基としては、特に限定されないが、カルボキシ基、カルボキシ基の塩、スルホ基、又はスルホ基の塩が好ましい。
アクリル樹脂として、
より好ましくは、ベンジル(メタ)アクリレート単位、フェノキシエチル(メタ)アクリレート単位、及び脂環式構造含有(メタ)アクリレート単位からなる群から選択される少なくとも1種と、(メタ)アクリル酸単位と、を含むアクリル樹脂であり、
更に好ましくは、ベンジル(メタ)アクリレート単位、フェノキシエチル(メタ)アクリレート単位、及び脂環式構造含有(メタ)アクリレート単位からなる群から選択される少なくとも1種と、(メタ)アクリル酸単位と、炭素数1~4のアルキル基を含むアルキル(メタ)アクリレート単位と、を含むアクリル樹脂である。
脂環式構造含有(メタ)アクリレートとしては、炭素数3~10のシクロアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート)、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種が好ましく、
イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
樹脂粒子に含有され得るウレタン樹脂としては、公知の合成方法により合成されたもの、又は、市販品を用いることができる。
市販品としては、ウレタン樹脂であれば特に制限はなく、中でもポリエステル系ウレタン樹脂またはポリエーテル系ウレタン樹脂を使用することが好ましい。
ウレタン樹脂としては、例えば、NeoRez R-960(日本ルーブリゾール社製)、NeoRez R-989(日本ルーブリゾール社製)、NeoRez R-9320(日本ルーブリゾール社製)、NeoRad NR-440(日本ルーブリゾール社製)、ハイドランAP-30(DIC社製)、ハイドランAPX-601(DIC(株)製)、ハイドランSP-510(DIC社製)、ハイドランSP-97(DIC社製)、ハイドランHW140(DIC社製)、タケラックW-5025(三井武田ケミカル社製)、エラストロンMF-60(第一工業製薬社製)、エラストロンMF-9(第一工業製薬(株)製)、M-1064(第一工業製薬社製)、アイゼラックスS-1020(保土ヶ谷化学社製)、アイゼラックスS-1040(保土ヶ谷化学社製)、アイゼラックスS-1085C(保土ヶ谷化学社製)、アイゼラックスS-4040N(保土ヶ谷化学社製)、ネオタンUE-5000(東亞合成社製)、RU-40シリーズ(スタール・ジャパン製)、ユーコートUWS-145(三洋化成社製)、パーマリンUA-150(三洋化成社製)、WF-41シリーズ(スタール・ジャパン製)、WPC-101(日本ウレタン工業社製)、アクリットWBR-016U、同WEM-321U、同WBR-2018、同WBR-2000U、同WBR-601U、同WBR-2101(以上、大成ファインケミカル社製)等が挙げられる。
樹脂粒子における樹脂の酸価としては、自己分散性、画像記録時の凝集性等の観点から、好ましくは25mgKOH/g~100mgKOH/gであり、より好ましくは30mgKOH/g~90mgKOH/gであり、更に好ましくは35mgKOH/g~80mgKOH/gである。
樹脂粒子における樹脂の分子量としては、重量平均分子量で1000~30万であることが好ましく、2000~20万であることがより好ましく、5000~10万であることが更に好ましい。
本開示において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された値を意味する。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定は、測定装置として、HLC(登録商標)-8020GPC(東ソー社製)を用い、カラムとして、TSKgel(登録商標)Super Multipore HZ-H(4.6mmID×15cm、東ソー社製)を3本用い、溶離液として、THF(テトラヒドロフラン)を用いる。また、測定は、試料濃度を0.45質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μL、及び測定温度を40℃とし、RI検出器を用いて行う。検量線は、東ソー社製の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F-40」、「F-20」、「F-4」、「F-1」、「A-5000」、「A-2500」、「A-1000」、及び「n-プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
樹脂粒子の体積平均粒径は、1nm~200nmであることが好ましく、3nm~200nmであることがより好ましく、5nm~50nmであることが更に好ましい。
IRインクが樹脂粒子を含有する場合、IRインクの全量に対する樹脂粒子の含有量は、1質量%~25質量%であることが好ましく、2質量%~20質量%であることがより好ましく、2質量%~15質量%であることが更に好ましく、2質量%~10質量%であることが更に好ましい。
(水)
IRインクは、水を含有する。
水の含有量は、IRインクの全量に対し、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは40質量%以上であり、更に好ましくは50質量%以上であり、更に好ましくは55質量%以上である。
水の含有量の上限は、他の成分の含有量に応じて適宜定まる。水の含有量の上限としては、例えば、90質量%、80質量%等が挙げられる。
(アルコール性溶剤)
IRインクは、アルコール性溶剤を少なくとも1種含有することが好ましい。
IRインクがアルコール性溶剤を含有する場合には、インクジェットヘッドからのインクの吐出性が向上し、その結果、記録される赤外線吸収性画像のパターン精度が向上し、赤外線吸収性画像の赤外線読み取り性が向上する。
アルコール性溶剤としては、1価アルコール、多価アルコール、多価アルコールモノエーテル等が挙げられる。
1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール(別名:1,2-プロパンジオール)、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、チオジグリコール、2-メチルプロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、等の2価アルコール;
グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン等の3価アルコール;
ペンタエリスリトール等の4価アルコール;
ジペンタエリスリトール等の6価アルコール;
等が挙げられる。
多価アルコールとしては、2価アルコール又は3価アルコールが好ましく、2価アルコールがより好ましい。2価アルコールとしては、1,2-アルカンジオールが好ましく、プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、又は1,2-オクタンジオールがより好ましく、プロピレングリコール又は1,2-ブタンジオールが特に好ましい。
多価アルコールモノエーテルとしては;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の2価アルコールモノアルキルエーテル;
エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等の2価アルコールモノアリールエーテル;
等が挙げられる。
多価アルコールモノエーテルとしては、2価アルコールモノエーテルが好ましく、2価アルコールモノアルキルエーテルがより好ましい。
IRインクがアルコール性溶剤を含有する場合、IRインクに含有されるアルコール性溶剤は、赤外線吸収性画像の赤外線読み取り性をより向上させる観点から、
多価アルコール(好ましくは2価アルコール)を含むことが好ましく、
多価アルコール(好ましくは2価アルコール)と2価アルコールモノエーテル(好ましくは2価アルコールモノアルキルエーテル)とを含むことがより好ましく、
1,2-アルカンジオールとアルカンジオールモノアルキルエーテルとを含むことが更に好ましい。
IRインクが上述の好ましい態様の化合物(例えば多価アルコール)を含有する場合、IRインクに含有されるアルコール性溶剤の全量に対する上述の好ましい態様の化合物の総含有量は、50質量%~100質量%であることが好ましく、60質量%~100質量%であることがより好ましく、80質量%~100質量%であることが更に好ましい。
IRインクがアルコール性溶剤を含有する場合、赤外線吸収性画像の赤外線読み取り性をより向上させる観点から、IRインクの全量に対するアルコール性溶剤の含有量は、IRインクの全量に対し、好ましくは5質量%~60質量%であり、より好ましくは10質量%~50質量%であり、更に好ましくは15質量%~35質量%であり、更に好ましくは20質量%~30質量%である。
IRインクが2価アルコールを含有する場合におけるIRインクの全量に対する2価アルコールの含有量の好ましい範囲も、上述のIRインクの全量に対するアルコール性溶剤の含有量の好ましい範囲と同様である。
IRインクが2価アルコールと2価アルコールモノエーテル(好ましくは2価アルコールモノアルキルエーテル)とを含有する場合における、IRインクの全量に対する2価アルコールと2価アルコールモノエーテルとの総含有量の好ましい範囲も、上述のIRインクの全量に対するアルコール性溶剤の含有量の好ましい範囲と同様である。
IRインクが1,2-アルカンジオールとアルカンジオールモノアルキルエーテルとを含有する場合における、IRインクの全量に対する1,2-アルカンジオールとアルカンジオールモノアルキルエーテルとの総含有量の好ましい範囲も、上述のIRインクの全量に対するアルコール性溶剤の含有量の好ましい範囲と同様である。
IRインクが1,2-アルカンジオールとアルカンジオールモノアルキルエーテルとを含有する場合、1,2-アルカンジオールの好ましい含有量は、IRインクの全量に対して、5質量%~30質量%が好ましく、10質量%~25質量%がより好ましく、15質量%~20質量%が更に好ましい。
(その他の有機溶剤)
IRインクは、アルコール性溶剤以外のその他の有機溶剤を含有してもよい。
その他の有機溶剤としては、水溶性有機溶剤が好ましい。「水溶性」の定義は前述のとおりである。
その他の有機溶剤としては、例えば;
アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、モルホリン、N-エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等);
アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等)、メトキシプロピオンアミド、N-メチルメトキシプロピオンアミド、N,N-ジメチルメトキシプロピオンアミド、n-ブトキシプロピオンアミド、N-メチルn-ブトキシプロピオンアミド、N,N-ジメチルn-ブトキシプロピオンアミド等);複素環類(例えば、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2-オキサゾリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、γ-ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチレンウレア等);
スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等);
スルホン類(例えば、スルホラン等);
その他(尿素、アセトニトリル、アセトン等);
等が挙げられる。
(界面活性剤)
IRインクは、界面活性剤の少なくとも1種を含んでもよい。
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ベタイン界面活性剤等が挙げられる。
好ましい界面活性剤として、ノニオン性界面活性剤の一種である、アセチレングリコール系界面活性剤が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、国際公開第2017/149917号の段落0070~0080に記載されているアセチレングリコール系界面活性剤を用いることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤の例としては、
2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールのポリアルキレンオキシド付加物(好ましくはポリエチレンオキシド付加物)、
3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオールのポリアルキレンオキシド付加物(好ましくはポリエチレンオキシド付加物)、
2,5,8,11-テトラメチル-6-ドデシン-5,8-ジオールのポリアルキレンオキシド付加物(好ましくはポリエチレンオキシド付加物)、
2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオールのポリアルキレンオキシド付加物(好ましくはポリエチレンオキシド付加物)
等が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤の市販品としては、エアープロダクツ社製又は日信化学工業(株)製のサーフィノールシリーズ(例えば、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485)、オルフィンシリーズ(例えば、オルフィンE1010、オルフィンE1020)、ダイノールシリーズ(例えばダイノール604)等;川研ファインケミカル(株)製のアセチレノール等;などが挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤の市販品は、ダウケミカル社、ゼネラルアニリン社などからも提供されている。
界面活性剤としては、特開昭59-157636号公報の第37~38頁及びリサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)に界面活性剤として挙げた化合物も挙げられる。また、特開2003-322926号、特開2004-325707号、特開2004-309806号の各公報に記載の、フッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等も挙げられる。
IRインクが界面活性剤を含む場合、IRインクにおける界面活性剤の含有量は、IRインクの表面張力を考慮して適宜調整される。
IRインクにおける界面活性剤の含有量は、IRインクの全量に対し、0.01質量%~5質量%が好ましく、0.05質量%~3質量%がより好ましく、0.1質量%~2質量%が更に好ましい。
(その他の成分)
IRインクは、上記以外のその他の成分を含有していてもよい。
その他の成分としては、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の添加剤が挙げられる。
上記各成分については、特開2008-144004号公報の段落0044~0050の記載を参照してもよい。
(IRインクの好ましい物性)
IRインクの粘度としては、0.5mPa・s~30mPa・sが好ましく、2mPa・s~20mPa・sがより好ましく、2mPa・s~15mPa・sであることが好ましく、2mPa・s~10mPa・sであることが更に好ましい。
上記粘度は、粘度計(例えば、「VISCOMETER TV-22(TOKI SANGYO CO.LTD製))を用い、30℃の条件で測定された値を意味する。
IRインクの表面張力としては、60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m~50mN/mであることがより好ましく、25mN/m~45mN/mであることが更に好ましい。
上記表面張力は、表面張力測定装置(例えば、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学社製))を用い、25℃の条件で、プレート法によって測定された値を意味する。
<有色インク>
有色インクは、水及び有色色素を含有し、赤外線吸収性インクジェットインクの750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値(即ち、Abs(NIR))に対する750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値(即ち、Abs(NIR))の比(即ち、Abs(NIR)比=有色インクのAbs(NIR)/IRインクのAbs(NIR))が0.10以下である。
有色インクの好ましい態様は、前述した、インクY、インクM、及びインクCであるが、これらには限定されない。
Abs(NIR)比が0.10以下であることにより、前述した通り、複合画像に赤外線を照射して複合画像中の赤外線吸収性画像を読み取る際の赤外線読み取り性が損なわれる現象(具体的には、赤外線吸収性画像だけでなく有色画像も読み取られる現象)が抑制される。
かかる効果がより効果的に奏される観点から、Abs(NIR)比は、好ましくは0.07以下である。
Abs(NIR)比は0であってもよいし、0超であってもよい。
(有色色素)
有色インクは、有色色素を少なくとも1種含有する。
有色色素は、有機染料及び有機顔料からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
耐光性の観点から、有機色素は、有機顔料からなる群から選択される少なくとも1種であることが特に好ましい。
有機顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、橋本勲著「有機顔料ハンドブック」(2006年刊)、特開2002-12607号公報、特開2002-188025号公報、特開2003-26978号公報、特開2003-342503号公報等に記載の顔料が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、イエロー顔料、マゼンタ顔料、赤色顔料、バイオレット顔料、ピンク色顔料、シアン顔料、青色顔料、緑色顔料、オレンジ色顔料、茶色顔料、黒色顔料などが挙げられる。
イエロー顔料としては、例えば;
C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等)、C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料;
C.I.ピグメントイエロー12(ジスアゾイエロー等)、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー219の如きジスアゾ顔料;
C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料;
C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエロー等)、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー166の如き縮合アゾ顔料;
C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料;
C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料;
C.I.ピグメントイエロー24(フラバントロンイエロー)の如きアントラキノン系顔料;
イソインドリノンイエロー3RLT(Y-110)の如きイソインドリノン顔料;
C.I.ピグメントイエロー138(キノフタロンイエロー)の如きキノフタロン顔料;
C.I.ピグメントイエロー139(イソインドリンイエロー)の如きイソインドリン顔料;
C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料;
C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料;
C.I.ピグメントイエロー120(ベンズイミダゾロンイエロー)、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー194等の如きアセトロン顔料;
C.I.ピグメントイエロー150の如きニッケルアゾ顔料;
等が挙げられる。
これらの中でも、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、又はC.I.ピグメントイエロー180が好ましい。
マゼンタ顔料及び赤色顔料としては、例えば;
C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料;
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド6等の如きB-ナフトール顔料;
C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料;
C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)、C.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B等)、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド48(B-オキシナフト酸レーキ等)の如きアゾレーキ顔料;
C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッド等)、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド242の如き縮合アゾ顔料;
C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)、C.I.ピグメントレッド172(エリスロシンレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料;
C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料;
C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料;
C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料;
C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料;
C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド224の如きペリレン顔料;
C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209の如きキナクリドン顔料;
上記複数のキナクリドン顔料の固溶体であるキナクリドン顔料;
C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料;
C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料;
C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド208の如きナフトロン顔料;
C.I.ピグメントレッド247の如きナフトールAS系レーキ顔料;
C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド256、C.I.ピグメントレッド268、C.I.ピグメントレッド269の如きナフトールAS顔料;
C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド27の如きジケトピロロピロール顔料;
等が挙げられる。
これらの中でも、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209の如きキナクリドン顔料、又は、これらのキナクリドン顔料を複数含む固溶体であるキナクリドン顔料が好ましい。
シアン顔料及び青色顔料としては、例えば;
C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料;
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料;
C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料;
C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料;
C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料;
C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV-5:1)の如きアルカリブルー顔料;
等が挙げられる。
これらの中でも、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6などの銅フタロシアニン顔料が好ましい。
緑色顔料としては、例えば;
C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)の如きフタロシアニン顔料;
C.I.ピグメントグリーン8(ニトロソグリーン)、C.I.ピグメントグリーン10等の如きアゾ金属錯体顔料;
等が挙げられる。
オレンジ色顔料としては、例えば;
C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料;
C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料;
C.I.ピグメントオレンジ2、C.I.ピグメントオレンジ3、C.I.ピグメントオレンジ5の如きΒ-ナフトール顔料;
C.I.ピグメントオレンジ4、C.I.ピグメントオレンジ22、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ74等の如きナフトールAS顔料;
C.I.ピグメントオレンジ61等の如きイソインドリノン顔料;
C.I.ピグメントオレンジ43等の如きペリノン顔料;
C.I.ピグメントオレンジ15、C.I.ピグメントオレンジ16等の如きジスアゾ顔料;
C.I.ピグメントオレンジ48、C.I.ピグメントオレンジ49等の如きキナクリドン顔料;
C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ62、C.I.ピグメントオレンジ60、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ72等の如きアセトロン顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ34等の如きピラゾロン顔料;
等が挙げられる。
茶色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン32等のナフトロン顔料などが挙げられる。
黒色顔料としては、例えば;
ピグメントブラック1(アニリンブラック)等の如きインダジン顔料;
C.I.ピグメントブラック31、C.I.ピグメントブラック32の如きペリレン顔料;
等が挙げられる。
有色色素(例えば有色顔料)の含有量は、有色インクの全量に対し、好ましくは0.5質量%~10質量%であり、より好ましくは0.5質量%~5質量%である。
有色顔料の体積平均粒径は、好ましくは0.01μm~0.8μmであり、より好ましくは0.01μm~0.6μmであり、更に好ましくは0.01μm~0.4μmであり、更に好ましくは0.02μm~0.3μmである。
体積平均粒径は、レーザー回折・散乱法を用い、トリプロピレングリコールメチルエーテルを測定溶媒として測定される値である。測定装置としては、例えば、LA-960(堀場製作所製)を用いる。
(分散剤)
有色インクは、分散剤を少なくとも1種含有していてもよい。
分散剤としては、例えば;
高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤;
スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、及びフマル酸誘導体からなる群から選択される2種以上の単量体が共重合した共重合体(例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体、およびこれらの塩);
等を挙げることができる。
有色インクは、分散剤を含有せず、自己分散顔料としての赤外線吸収色素を含有してもよい。
ここで、自己分散顔料とは、分散剤なしで分散が可能な顔料を指し、特に好ましくは、表面に極性基を有する顔料である。
表面に極性基を有する顔料としては、例えば;
表面に直接極性基が結合している顔料;
直接又は連結基を介して極性基が結合している有機顔料母核を有する有機化合物(以下、顔料誘導体ともいう);
等が挙げられる。
極性基としては、例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、燐酸基、硼酸基、水酸基が挙げられるが、好ましくはスルホン酸基又はカルボン酸基であり、更に好ましくは、スルホン酸基である。
表面に極性基を有する顔料を得る方法としては、例えば、WO97/48769号公報、特開平10-110129号公報、特開平11-246807号公報、特開平11-57458号公報、同11-189739号公報、特開平11-323232号公報、特開2000-265094公報等に記載の、顔料表面を適当な酸化剤で酸化させることにより、顔料表面の少なくとも一部に、極性基(例えば、スルホン酸基又はその塩)を導入する方法が挙げられる。
また、表面に極性基を有する顔料を得る方法としては;
特開平11-49974号公報、特開2000-273383公報、同2000-303014公報等に記載の、顔料誘導体をミリングなどの処理によって顔料表面に吸着させる方法;
特願2000-377068、同2001-1495、同2001-234966に記載の、顔料を顔料誘導体と共に溶剤で溶解した後、貧溶剤中で晶析させる方法;
等を挙げることができる。
いずれの方法でも容易に、表面に極性基を有する顔料粒子を得ることができる。
顔料表面における極性基は、フリーの状態でも塩の状態でもよい。
塩としては、例えば、無機塩(リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ニッケル、アンモニウム)、有機塩(トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ピリジニウム、トリエタノールアンモニウム等)が挙げられ、好ましくは1価の価数を有する塩である。
(樹脂粒子)
有色インクは、樹脂粒子を少なくとも1種含有することが好ましい。
これにより、有色画像の耐擦性がより向上し、有色画像及び赤外線吸収性画像の赤外線読み取り性(特に、複合画像の擦過後における赤外線吸収性画像の赤外線読み取り性)がより向上する。
有色インクに含有され得る樹脂粒子の好ましい態様(好ましい種類、好ましい含有量等)は、前述した、IRインクに含有され得る樹脂粒子の好ましい態様と同様である。
本開示のインクセットは、IRインクが樹脂粒子を含有し、有色インクが樹脂粒子を含有し、かつ、下記条件(1)、下記条件(2)及び下記条件(3)のうちの少なくとも1つ(より好ましくは、下記条件(1)及び下記条件(2)のうちの少なくとも一方)を満足することが好ましい。
条件(1) … IRインクにおける樹脂粒子がアクリル樹脂粒子を含み、かつ、有色インクにおける樹脂粒子がアクリル樹脂粒子を含む。
条件(2) … IRインクにおける樹脂粒子がウレタン樹脂粒子を含み、かつ、有色インクにおける樹脂粒子がウレタン樹脂粒子を含む。
条件(3) … IRインクにおける樹脂粒子がポリエステル樹脂粒子を含み、かつ、有色インクにおける樹脂粒子がポリエステル樹脂粒子を含む。
本開示のインクセットが、条件(1)、条件(2)、及び条件(3)のうちの少なくとも1つ(好ましくは条件(1)及び条件(2)のうちの少なくとも一方)を満足する場合には、複合画像における赤外線吸収性画像の赤外線読み取り性(特に、複合画像の擦過後における赤外線吸収性画像の赤外線読み取り性)が向上する。この理由は、赤外線吸収性画像と有色画像との密着性が向上するためと考えられる。
(水)
有色インクは、水を含有する。
有色インクの全量に対する水の含有量の好ましい範囲は、前述した、IRインクの全量に対する水の含有量の好ましい範囲と同様である。
(アルコール性溶剤)
有色インクは、アルコール性溶剤を少なくとも1種含有することが好ましい。
有色インクがアルコール性溶剤を含有する場合には、インクジェットヘッドからのインクの吐出性が向上し、その結果、記録される有色画像のパターン形成性が向上し、その結果、有色画像及び赤外線吸収性画像を含む複合画像における赤外線吸収性画像の赤外線読み取り性が向上する。
有色インクに含有され得るアルコール性溶剤の好ましい態様(好ましい種類、好ましい含有量等)は、前述した、IRインクに含有され得るアルコール性溶剤の好ましい態様と同様である。
例えば、有色インクがアルコール性溶剤を含有する場合、有色インクに含有されるアルコール性溶剤は、有色画像及び赤外線吸収性画像を含む複合画像における赤外線吸収性画像の赤外線読み取り性をより向上させる観点から、
多価アルコールを含むことが好ましく、
2価アルコールを含むことがより好ましく、
2価アルコールと2価アルコールモノエーテルとを含むことがより好ましく、
2価アルコールと2価アルコールモノアルキルエーテルとを含むことが更に好ましく、
1,2-アルカンジオールとアルカンジオールモノアルキルエーテルとを含むことが更に好ましい。
(その他の有機溶剤)
有色インクは、アルコール性溶剤以外のその他の有機溶剤を含有してもよい。
有色インクに含有され得るその他の有機溶剤の好ましい態様は、前述した、IRインクに含有され得るその他の有機溶剤の好ましい態様と同様である。
(界面活性剤)
有色インクは、界面活性剤の少なくとも1種を含んでもよい。
有色インクに含有され得る界面活性剤の好ましい態様は、前述した、IRインクに含有され得る界面活性剤の好ましい態様と同様である。
(その他の成分)
有色インクは、上記以外のその他の成分を含有していてもよい。
有色インクに含有され得るその他の成分は、前述した、IRインクに含有され得るその他の成分と同様である。
(有色インクの好ましい物性)
有色インクの好ましい物性(粘度及び表面張力)の範囲は、前述した、IRインクの好ましい物性の範囲と同様である。
〔画像記録方法〕
本開示の一例に係る画像記録方法(以下、「記録方法X」ともいう)は、
前述した本開示のインクセットを用い、基材上に、平面視で互いに重なる重なり部分を有する赤外線吸収性画像及び有色画像を含む複合画像を記録する方法であって、
基材上に、IRインク及び有色インクを、平面視で互いに重なる重なり部分が生じる配置にて、インクジェット法によって付与して複合画像を得る工程(以下、「付与工程」ともいう)を含む。
記録方法Xは、必要に応じ、その他の工程を含んでいてもよい。
記録方法Xでは、前述した本開示のインクセットを用い、赤外線吸収性画像及び有色画像を含む複合画像を記録するので、前述した本開示のインクセットによって得られる効果と同様の効果が得られる。
記録方法Xは、セキュリティ画像記録方法であることが好ましい。
セキュリティ画像記録方法として、好ましくは、平面視で互いに重なる重なり部分を含む赤外線吸収性画像及び有色画像を含む複合画像であるセキュリティ画像を記録するためのセキュリティ画像記録方法である。
<複合画像>
記録方法Xによって記録される複合画像は、平面視で互いに重なる重なり部分を有する赤外線吸収性画像及び有色画像を含む。
重なり部分では、赤外線吸収性画像の少なくとも一部と、有色画像の少なくとも一部と、が重なっていればよい。赤外線吸収性画像の不可視性をより向上させる観点(即ち、赤外線吸収性画像がより視認されにくくする観点)から、赤外線吸収性画像の全部と、有色画像の少なくとも一部と、が重なっていることが好ましい。
また、重なり部分において、有色画像は、赤外線吸収性画像に対し、上層側に配置されていてもよいし、下層側に配置されていてもよいし、上層側及び下層側の両方に配置されていてもよい。これらの配置は、付与工程におけるインクの付与順序によって決定される。
いずれも場合においても、有色画像の色によって赤外線吸収性画像の色を目立ちにくくする効果が得られ、その結果、重なり部分における赤外線吸収性画像の不可視性が確保される。また、いずれの場合においても、複合画像に赤外線を照射して複合画像中の赤外線吸収性画像を読み取る際の赤外線読み取り性が損なわれる現象(具体的には、赤外線吸収性画像だけでなく有色画像も読み取られる現象)が抑制される。
複合画像(例えばセキュリティ画像)における赤外線吸収性画像は、赤外線読み取り性の観点から、文字画像及びコード画像の少なくとも一方であることが好ましい。
コード画像は、ドットコード画像、バーコード画像及びQRコード(登録商標)の少なくとも1つであることが好ましい。
コード画像は、ドットコード画像を含むことがより好ましい。
ドットコード画像としては、複数の微小なドットパターン(円形、又は、矩形(例えば正方形パターン)が配列されてなるドットコード画像が挙げられる。
ドットコード画像を構成するドットパターンの直径(矩形である場合には一辺の長さ)は、25μm~70μmが好ましく、30μm~60μmがより好ましい。
記録方法Xによって記録される複合画像における有色画像については特に制限はない。有色画像としては、赤外線吸収性画像と重なる重なり部分を形成し得る程度の面積を有する画像であればよい。
<基材>
記録方法Xにおける基材としては、特に制限はなく、例えば;
非コート紙、コート紙、紙器に用いられる厚紙、等の紙類;
樹脂基材;
金属基材;
ガラス基材;
等を用いることができる。
樹脂基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、延伸ポリスチレン(OPS)フィルム、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、延伸ナイロン(ONy)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、トリアセテートセルロース(TAC)フィルム等の樹脂フィルムが挙げられる。
樹脂基材の材質としては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類等も挙げられる。
基材としては;
上記で例示した基材に対し、水性インク、溶剤インク、紫外線硬化型インク等のインクによって画像が記録されてなる画像付き基材;
上記で例示した基材に対し、水性ニス、溶剤ニス、紫外線硬化型ニス等が塗工されてなる塗工層付き基材;
上記で例示した基材に対し、樹脂ラミネートが施されてなるラミネート基材;
等も挙げられる。
基材の形状は特に限定されず、ボトル等の立体形状、シート形状、フィルム形状等が挙げられる。
基材には、表面処理がなされていてもよい。
表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、熱処理、摩耗処理、光照射処理(例えば、紫外線照射処理)及び火炎処理が挙げられる。
コロナ処理は、例えば、コロナマスター(信光電気計社製、PS-10S)を用いて行うことができる。コロナ処理の条件は、基材の種類、インクの組成等に応じて適宜選択すればよい。コロナ処理は、例えば、下記の条件で行うことができる。
・処理電圧:10~15.6kV
・処理速度:30~100mm/s
<付与工程>
記録方法Xにおける付与工程は、基材上に、IRインク及び有色インクを、平面視で互いに重なる重なり部分が生じる配置にて、インクジェット法によって付与して複合画像を得る工程である。
IRインク及び有色インクは、それぞれ、1種のみ付与してもよいし、2種以上付与してもよい。
各インクの付与順序には特に制限はない。
重なり部分については、複合画像の項で説明したとおりである。
付与工程における各インクの付与は、インクジェット法によって行われる。
インクジェット法によるインクの付与方式としては特に限定されず、公知の方式、例えば;
静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式;
ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式);
電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式;
インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式;
等が挙げられる。
インクの付与方式としては、例えば、特開昭54-59936号公報に記載の方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させる方式を利用してもよい。
また、インクの付与方式については、特開2003-306623号公報の段落0093~0105に記載の方法も参照できる。
インクジェット法によるインクの付与に用いるインクジェットヘッドとしては、短尺のシリアルヘッド、及び、基材の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドが挙げられる。
短尺のシリアルヘッドは、例えば、ヘッドを基材の幅方向に走査させながら行うシャトル方式のインクの付与に用いられる。
ラインヘッドは、記録素子の配列方向と交差する方向に基材を走査させながら行うライン方式(シングルパス方式ともいう)のインクの付与に用いられる。
ライン方式では、短尺のシリアルヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。
また、ライン方式では、キャリッジの移動と基材との複雑な走査制御が不要になり、基材だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。
インクジェットヘッドから吐出されるインクの打滴量は、1pL(ピコリットル)~100pLであることが好ましく、3pL~80pLであることがより好ましく、3pL~20pLであることがさらに好ましい。
インクジェットヘッドとしては、ピエゾ型のインクジェットヘッドが好ましい。
印刷の解像度としては320dpi(dot per inch)×320dpi~4000dpi×4000dpiが好ましく、400dpi×400dpi~1,600dpi×1,600dpiがより好ましく、720dpi×720dpi~1,600dpi×1,600dpiがさらに好ましい。なお、dpiとは、2.54cm(1inch)当たりのドット数を表す。
付与工程は、基材上に、IRインク及び有色インクを付与し、基材上に付与されたIRインク及び有色インクを加熱乾燥させて複合画像を得る工程であってもよい。
これにより、複合画像の堅牢性(耐擦性、密着性等)がより向上する。
この場合、IRインク及び有色インクの各々を付与する毎に(即ち、インク1種毎に)、加熱乾燥を行ってもよいし、全部のIRインク及び有色インクを付与した後、全部のIRインク及び有色インクをまとめて加熱乾燥させてもよい。
加熱乾燥を行うための手段としては、ヒータ等の公知の加熱手段、ドライヤ等の公知の送風手段、及び、これらを組み合わせた手段が挙げられる。
インクの加熱を行うための方法としては、例えば、基材の画像記録面とは反対側からヒータ等で熱を与える方法、基材の画像記録面に温風又は熱風をあてる方法、基材の画像記録面又は画像記録面とは反対側から、赤外線ヒータで熱を与える方法、これらの複数を組み合わせた方法、等が挙げられる。
基材上のインクを加熱する際の加熱温度は、60℃以上が好ましく、65℃以上がより好ましく、70℃以上が特に好ましい。
加熱温度の上限には特に制限はないが、上限としては、例えば150℃以下が好ましい。
基材上のインクを加熱する際の加熱時間には特に制限はないが、1秒~300秒が好ましく、1秒~30秒がより好ましい。
<その他の工程>
記録方法Xは、その他の工程を含んでいてもよい。
その他の工程としては、下塗り層を形成する工程、可視画像を記録する工程、オーバーコート層を形成する工程、保護膜を形成する工程、等が挙げられる。
〔画像記録物〕
本開示の一例に係る画像記録物は、
基材と、
基材上に設けられ、平面視で互いに重なる重なり部分を有する赤外線吸収性画像及び有色画像を含む複合画像と、
を備え、
赤外線吸収性画像が、赤外線吸収性インクジェットインクの乾燥物であり、
赤外線吸収性インクジェットインクは、水及び赤外線吸収色素を含有し、750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値が、400nm~750nmの波長範囲における吸光度の最大値よりも大きい赤外線吸収性インクジェットインクであり、
有色画像が、有色インクジェットインクの乾燥物であり、
有色インクジェットインクは、水及び有色色素を含有し、赤外線吸収性インクジェットインクの750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値に対する750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値の比が0.10以下である有色インクジェットインクである、
画像記録物である。
本一例に係る画像記録物は、必要に応じ、基材及び複合画像以外のその他の要素を備えていてもよい。
本一例に係る画像記録物は、前述の記録方法Xにより、本開示のインクセット(詳細には、本開示のインクセットにおけるIRインク及び有色インク)を用い、前述した記録方法Xによって製造できる。
従って、本一例に係る画像記録物は、前述した本開示のインクセットによって得られる効果と同様の効果が奏される。
本一例に係る画像記録物において、基材及び複合画像の好ましい態様は、記録方法Xにおける基材及び複合画像の好ましい態様と同様である。
例えば、本一例に係る画像記録物における赤外線吸収性画像は、文字画像及びコード画像の少なくとも一方であることが好ましい。
本一例に係る画像記録物は、セキュリティ画像記録物であることが好ましい。
セキュリティ画像記録物として、好ましくは、平面視で互いに重なる重なり部分を含む赤外線吸収性画像及び有色画像を含む複合画像であるセキュリティ画像と、基材と、を備えるセキュリティ画像記録物である。
以下、本開示の実施例を示すが、本開示は以下の実施例には限定されない。
以下において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り、「質量部」及び「質量%」を意味する。
また、「水」は、特に断りが無い限り、イオン交換水を意味する。
〔実施例1~16、比較例1~4〕
<アクリル樹脂粒子の水分散物(アクリルA;固形分25.0質量%)の調製>
機械式攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2L三口フラスコに、メチルエチルケトン(540.0g)を仕込んで75℃まで昇温した。
メチルメタクリレート(108g)と、イソボルニルメタクリレート(388.8g)と、メタクリル酸(43.2g)と、メチルエチルケトン(108g)と、「V-601」(富士フイルム和光純薬(株)製の油溶性アゾ重合開始剤。以下同じ。)(2.1g)と、からなる混合溶液を準備した。
上記三口フラスコ内のメチルエチルケトンの温度を75℃に保ちながら、上記反応容器内のメチルエチルケトンに対し、上記混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。
その後、反応容器内を85℃に昇温して、更に2時間攪拌を続け、メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸(=20/72/8[質量比])共重合体の樹脂溶液を得た。
得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、60,000であり、酸価は、54.2mgKOH/gであり、ガラス転移温度は124℃であった。
次に、上記樹脂溶液(588.2g)を秤量して反応容器に入れ、ここに、イソプロパノール(165g)と、1モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液(120.8ml)と、を加え、反応容器内の温度を80℃に昇温した。次に、この反応容器内の液体に対し、蒸留水(718g)を20mL/minの速度で滴下し、水分散化した。
次に、大気圧下にて反応容器内を、温度80℃で2時間保ち、次いで温度85℃で2時間保ち、次いで90℃で2時間保つことにより、反応容器内の溶媒を留去した。
次に、反応容器内を減圧し、イソプロパノール、メチルエチルケトン、及び蒸留水を留去し、アクリル樹脂粒子の水分散物である「アクリルA」(固形分25.0質量%)を得た。
<赤外線吸収性インクジェットインクの調製>
以下のようにして、赤外線吸収性インクジェットインク(以下、「IRインク」ともいう)として、インクIR-1~IR-12を調製した。
(インクIR-1の調製)
表1に示す各成分を混合し、1時間撹拌混合した。
次いで目開き5μmのフィルターでろ過し、インクIR-1を調製した。
表1及び後述の表2中、各インクにおける各成分の欄に示す数字は、該当するインク全量に対する含有量(質量%)を意味し、空欄は、該当する成分を含有しないことを意味する。
表1中の各成分の詳細は以下のとおりである。
IC1(シアニン色素)は、国際公開第2019/163916号の段落0255に記載されたシアニン色素であり、構造は以下のとおりである。
オルフィンE1020は、信越化学工業社製の界面活性剤である。
PGは、プロピレングリコールであり、
1,2-BDOは、1,2-ブタンジオールであり
GLは、グリセリンであり、
DEGmMEは、ジエチレングリコールモノメチルエーテルである。
(インクIR-2~IR-12)
原料の配合を表1に示すように変更したこと以外はインクIR-1の調製と同様にして、IR-2~IR-12をそれぞれ調製した。
表1中の各成分の詳細は以下のとおりである。
表1中、赤外線吸収色素としてのIC2(ナフタロシアニン色素)は、国際公開第2011/025501号のExample2であり、構造は以下のとおりである。
アクリルBは、トーヨーケム社製の「TOCRYL W-4998](アクリル樹脂粒子の水分散物;固形分40質量%)である。
ウレタンAは、大成ファインケミカル社製の「WBR-2101](ウレタン樹脂粒子の水分散物;固形分25質量%)である。
ポリエステルAは、互応化学社製の「プラスコートZ565」(ポリエステル樹脂粒子の水分散物;固形分25質量%)である。
(各IRインクの吸光度比〔Abs(NIR)/Abs(VIS)〕の確認)
IRインク(インクIR-1~IR-12)の各々を水で2000倍に希釈し、得られた希釈液について、日本分光株式会社製のV-570を用い、25℃で、400nm~1000nmの波長範囲を含む波長範囲における吸光度を測定した。
得られた結果に基づき、
Abs(VIS)(即ち、400nm~750nmの波長範囲における吸光度の最大値)と、
Abs(NIR)(即ち、750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値)と、
Abs(VIS)に対するAbs(NIR)の比である吸光度比〔Abs(NIR)/Abs(VIS)〕と、
を求めた。
その結果、インクIR-1~IR-12では、いずれも、吸光度比〔Abs(NIR)/Abs(VIS)〕が5以上であった。
以上の結果から、インクIR-1~IR-12は、750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値(Abs(NIR))が、400nm~750nmの波長範囲における吸光度の最大値(Abs(VIS))よりも大きいこと、即ち、赤外線吸収性及び不可視性を有するインクであることが確認された。
<有色インクジェットインクの調製>
赤外線吸収色素の代わりに表2に示す有色顔料を使用し、かつ、表2に示す組成となるように原料の配合を適宜調整したこと以外はインクIR-1の調製と同様にして、有色インクジェットインク(以下、「有色インク」ともいう)として、インクCO-1~CO-8及びCO-101~CO-103をそれぞれ調製した。
有色インクの調製では、まず、水、有色顔料、及び分散剤を含む顔料分散物を調製し、調製した顔料分散物と、有色インクに含まれる他の成分(表1参照)と、を混合することにより、有色インクを調製した。
顔料分散物として、例えば、イエロー顔料分散物は、以下のようにして調製した、
(イエロー顔料分散物の調製)
-分散剤(BzMA-MAA共重合体のNaOH中和物)の合成-
メタクリル酸(MAA)(172g)と、メタクリル酸ベンジル(BzMA)(828g)と、イソプロパノール(375g)と、を混合することにより、モノマー供給組成物を調製した。
また、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(22.05部g)と、イソプロパノール(187.5g)とを混合することにより、開始剤供給組成物を調製した。
次に、イソプロパノール(187.5g)を窒素雰囲気下、80℃に加温し、そこに、上記モノマー供給組成物及び上記開始剤供給組成物の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、得られた溶液を更に4時間、80℃に保った後、25℃まで冷却した。
冷却後、溶媒を減圧除去することにより、重量平均分子量約30,000、酸価112mgKOH/gのBzMA-MAA共重合体を得た。
上記で得られたBzMA-MAA共重合体中のメタクリル酸(MAA)量の0.8当量を、水酸化カリウム水溶液を用いて中和し、次いで、分散剤(BzMA-MAA共重合体のNaOH中和物)濃度が25質量%となるようにイオン交換水を加えることにより、分散剤(BzMA-MAA共重合体のNaOH中和物)水溶液を得た。
-イエロー顔料分散物の調製-
上記分散剤(BzMA-MAA共重合体のNaOH中和物)水溶液(36g)と、イエロー顔料(ピグメントイエロー74)(30g)と、水(64g)と、ジプロピレングリコール(20g)と、を混合し、ビーズミル(ビーズ径0.1mmφ、ジルコニアビーズ)で分散することにより、イエロー顔料濃度15質量%のイエロー顔料分散物を得た。
<インクセットの準備>
IRインクと有色インクとを、表3及び表4に示すように組み合わせたインクセットを準備した。
(IRインクのAbs(NIR)に対する有色インクのAbs(NIR)の比;Abs(NIR)比)
各有色インクを水で2000倍に希釈し、得られた希釈液について、日本分光株式会社製のV-570を用い、25℃で、750nm~1000nmの波長範囲を含む波長範囲における吸光度を測定し、得られた結果に基づき、Abs(NIR)(即ち、750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値)を求めた。
次に、各インクセットにおける有色インクごとに、下記Abs(NIR)比を求めた。
Abs(NIR)比
=有色インクの750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値/IRインクの750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値
得られたAbs(NIR)比を以下のようにランク分けした。
表3及び表4中、有色インク名に、「Abs(NIR)比」のランクを併記した。例えば、「CO-1[A]」のように表記した。
以下のランクにおいて、ランクA及びランクBであれば、Abs(NIR)比が0.10以下であることを満足している。
-Abs(NIR)比のランク-
A:Abs(NIR)比が、0.07以下であった。
B:Abs(NIR)比が、0.07超0.10以下であった。
C:Abs(NIR)比が、0.10超0.20以下であった。
D:Abs(NIR)比が、0.20超であった。
<複合画像の記録>
インクジェット記録装置(FUJIFILM DMP-2831)のインクカートリッジに、上記インクセットにおけるIRインク及び有色インクを充填し、充填したIRインク及び有色インクを用い、基材としてのコート紙(詳細には、王子製紙社製OKトップコート)上に、赤外線吸収性画像(以下、「IR画像」ともいう)及び有色画像を含む複合画像を記録した。複合画像の詳細は後述する。
複合画像を記録する際のインクの付与順(即ち、IR画像及び有色画像の記録順)は、表2に示す順序とした。
複合画像における各画像(IR画像及び有色画像)は、それぞれ各画像毎に(即ち各インク毎に)、コート紙上に、上記インクジェット記録装置のインクジェットヘッドからインクを吐出して付与し、次いで100℃の温風で1分間加熱乾燥させることによって記録した。詳細には、付与順1番目のインクの付与及び加熱乾燥を行って1番目の画像を記録し、次いで、付与順2番目のインクの付与及び加熱乾燥を行って2番目の画像を記録した。コンポジットブラック画像を記録した実施例4では、更に、付与順3番目のインクの付与及び加熱乾燥を行って3番目の画像を記録し、次いで、付与順4番目のインクの付与及び加熱乾燥を行って4番目の画像を記録した。
各インクの吐出条件は、600dpi(dots per inch)、1ドット10pLとした。
複合画像において、IR画像及び有色画像は、平面視で互いに重なる重なり部分を有するように記録した。
詳細には、本実施例では、複合画像として、複合画像A及び複合画像Bをそれぞれ記録した。
複合画像Aにおける有色画像は、50%網点画像である2cm角の正方形画像であり、複合画像AにおけるIR画像は、互いに直交する幅1mm及び長さ1cmの線画像からなる十字画像である。複合画像Aにおいて、正方形画像である有色画像の中心と、十字画像であるIR画像の中心とは、平面視で重なっており、IR画像の全体が有色画像の領域内に配置されている。
複合画像Bにおける有色画像は、50%網点画像である2cm角の正方形画像であり、複合画像BにおけるIR画像は、5個の0.5mm角の正方形画像が2mm間隔で一直線上に配列されているコード画像である。複合画像Bにおいて、正方形画像である有色画像の中心と、コード画像であるIR画像の中心(即ち、中央に位置する正方形の中心)とは、平面視で重なっており、IR画像の全体が有色画像の領域内に配置されている。
<複合画像の評価>
上記で記録された複合画像について、以下の評価を実施した。
結果を表3及び表4に示す。
(複合画像の色)
複合画像A全体の色を目視で確認した。
(IR画像の不可視性)
複合画像Aを目視で観察し、観察した結果に基づき、下記評価基準により、複合画像A中のIR画像(即ち、十字画像)の不可視性を評価した。
下記評価基準において、IR画像の不可視性に最も優れるランクは、「3」である。
-IR画像の不可視性の評価基準-
3:複合画像A中のIR画像(即ち、十字画像)を視認できなかった。
2:複合画像A中のIR画像(即ち、十字画像)をわずかに視認できた。
1:複合画像A中のIR画像(即ち、十字画像)を明瞭に視認できた。
(IR画像のIR読み取り性)
複合画像BにおけるIR画像(即ち、5個の正方形画像が一直線上に配列されてなるコード画像)を、携帯デジタル色計測機能付顕微鏡 HandyScope(スペクトラ・コープ社製)を用い、IR LEDを光源とし、赤外線(ピーク波長783nm)を照射することによって読み取った(以下、この操作を「IR読み取り」ともいう)。この際の読み取り性(以下、「IR読み取り性」ともいう)を、下記評価基準に従って評価した。
下記評価基準において、IR画像のIR読み取り性に最も優れるランクは、「4」である。
-IR画像のIR読み取り性の評価基準-
4:コード画像における5個の正方形画像のうち、明瞭に読み取ることができた正方形画像の数が5個であった。
3:コード画像における5個の正方形画像のうち、明瞭に読み取ることができた正方形画像の数が4個であった。
2:コード画像における5個の正方形画像のうち、明瞭に読み取ることができた正方形画像の数が3個であった。
1:コード画像における5個の正方形画像のうち、明瞭に読み取ることができた正方形画像の数が2個以下であった。
(密着性試験後のIR読み取り性)
複合画像Bの全面に粘着テープ(商標名:セロテープ(登録商標)、ニチバン社製)を貼り付けた後、直ちに剥がした。剥がした後の複合画像BにおけるIR読み取り性を、前述したIR画像のIR読み取り性と同様の評価基準にて評価した。
(耐擦後のIR読み取り性)
複合画像Bの表面を綿棒で5往復擦過し、擦過後の複合画像BにおけるIR読み取り性を、前述したIR画像のIR読み取り性と同様の評価基準にて評価した。
表1~表4に示すように、水及びIR色素を含有するIRインクと、水及び有色色素を含有し、下記のAbs(NIR)比が0.10以下である有色インクと、を備えるインクセットを用い、IR画像及び有色画像を含む複合画像を記録した実施例1~16では、複合画像におけるIR画像のIR読み取り性及び不可視性に優れていた。
Abs(NIR)比
=有色インクの750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値/IRインクの750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値
実施例に対し、有色インクを用いなかった比較例1では、有色画像を記録できなかった。その結果、IR画像を有色画像によって隠すことができなかったので、IR画像の不可視性が低下した。
また、Abs(NIR)比が0.10超である、比較例2~4では、IR画像のIR読み取り性が低下した。この理由は、有色画像の赤外線吸収性が大きすぎたために、複合画像BにおけるIR画像のIR読み取りを行う際、IR画像だけでなく有色画像も読み取ってしまい、正確なIR読み取りを行えなかったためと考えられる。
実施例1、9、10及び11のうち、下記条件(1)、下記条件(2)及び下記条件(3)のうちの少なくとも一方を満足する実施例1、9、及び10では、擦過後のIR読み取り性により優れていた。
実施例1、9、及び10の中でも、下記条件(1)及び下記条件(2)のうちの少なくとも一方を満足する実施例1及び9は、密着性試験後のIR読み取り性により優れていた。
条件(1) … IRインクにおける樹脂粒子がアクリル樹脂粒子を含み、かつ、有色インクにおける樹脂粒子がアクリル樹脂粒子を含む。
条件(2) … IRインクにおける樹脂粒子がウレタン樹脂粒子を含み、かつ、有色インクにおける樹脂粒子がウレタン樹脂粒子を含む。
条件(3) … IRインクにおける樹脂粒子がポリエステル樹脂粒子を含み、かつ、有色インクにおける樹脂粒子がポリエステル樹脂粒子を含む。
実施例12及び16のうち、IRインクにおけるアルコール性溶剤が、多価アルコールを含み、有色インクにおけるアルコール性溶剤が、多価アルコールを含む実施例12では、IR画像のIR読み取り性により優れていた。
実施例1、12、及び13のうち、IRインクにおけるアルコール性溶剤が、1,2-アルカンジオールとアルカンジオールモノアルキルエーテルとを含み、有色インクにおけるアルコール性溶剤が、1,2-アルカンジオールとアルカンジオールモノアルキルエーテルとを含む実施例1では、IR画像のIR読み取り性、密着性試験後のIR読み取り性及び擦過後のIR読み取り性により優れていた。

Claims (16)

  1. 水及び赤外線吸収色素を含有し、750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値が、400nm~750nmの波長範囲における吸光度の最大値よりも大きく、
    前記赤外線吸収色素の含有量が、赤外線吸収性インクジェットインクの全量に対し、0.5質量%~1.5質量%である赤外線吸収性インクジェットインクと、
    水及び有色色素を含有し、前記赤外線吸収性インクジェットインクの前記750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値に対する750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値の比が0.10以下であり、
    前記有色色素は、有機顔料であり、
    前記有色色素の含有量は、有色インクジェットインクの全量に対し、0.5質量%~10質量%である有色インクジェットインクと、を備える、インクジェットインクセット。
  2. 前記赤外線吸収色素が、シアニン色素、ナフタロシアニン色素、カルボニウム色素、メチン色素、ピリリウム色素、ニッケルジチオレン錯体、スクアリリウム色素、キノンイミン色素、ジインモニウム色素、アゾ色素、金属錯塩アゾ色素、ナフトキノン色素、アントラキノン色素、キノンイミン色素、メチン色素、及び金属チオレート錯体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む請求項1に記載のインクジェットインクセット。
  3. 前記有色インクジェットインクを3種以上備え、前記3種以上の前記有色インクジェットインクが、
    前記有色色素としてイエロー色素を含有する有色インクジェットインクYと、
    前記有色色素として、マゼンタ色素、赤色素、バイオレット色素、及びピンク色素からなる群から選択される少なくとも1種を含有する有色インクジェットインクMと、
    前記有色色素として、シアン色素及び青色素からなる群から選択される少なくとも1種を含有する有色インクジェットインクCと、
    を含む、
    請求項1又は請求項2に記載のインクジェットインクセット。
  4. 前記赤外線吸収性インクジェットインクが、樹脂粒子を含有し、
    前記有色インクジェットインクが、樹脂粒子を含有する、
    請求項1請求項3のいずれか1項に記載のインクジェットインクセット。
  5. 下記条件(1)、下記条件(2)、及び下記条件(3)のうちの少なくとも1つを満足する、請求項に記載のインクジェットインクセット。
    条件(1) … 前記赤外線吸収性インクジェットインクにおける樹脂粒子がアクリル樹脂粒子を含み、かつ、前記有色インクジェットインクにおける樹脂粒子がアクリル樹脂粒子を含む。
    条件(2) … 前記赤外線吸収性インクジェットインクにおける樹脂粒子がウレタン樹脂粒子を含み、かつ、前記有色インクジェットインクにおける樹脂粒子がウレタン樹脂粒子を含む。
    条件(3) … 前記赤外線吸収性インクジェットインクにおける樹脂粒子がポリエステル樹脂粒子を含み、かつ、前記有色インクジェットインクにおける樹脂粒子がポリエステル樹脂粒子を含む。
  6. 前記赤外線吸収色素が、シアニン色素及びナフタロシアニン色素の少なくとも一方を含む、
    請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のインクジェットインクセット。
  7. 前記赤外線吸収性インクジェットインクが、更に、アルコール性溶剤を含有し、
    前記有色インクジェットインクが、更に、アルコール性溶剤を含有する、
    請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のインクジェットインクセット。
  8. 前記赤外線吸収性インクジェットインクにおける前記アルコール性溶剤が、多価アルコールを含み、
    前記有色インクジェットインクにおける前記アルコール性溶剤が、多価アルコールを含む、
    請求項7に記載のインクジェットインクセット。
  9. 前記赤外線吸収性インクジェットインクにおける前記アルコール性溶剤が、2価アルコールモノエーテルを含有し、
    前記有色インクジェットインクにおける前記アルコール性溶剤が、2価アルコールモノエーテルを含有する、
    請求項7又は請求項8に記載のインクジェットインクセット。
  10. 前記赤外線吸収性インクジェットインクにおける前記アルコール性溶剤が、1,2-アルカンジオールとアルカンジオールモノアルキルエーテルとを含有し、
    前記有色インクジェットインクにおける前記アルコール性溶剤が、1,2-アルカンジオールとアルカンジオールモノアルキルエーテルとを含有する、
    請求項7~請求項9のいずれか1項に記載のインクジェットインクセット。
  11. セキュリティ画像記録用インクセットである、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載のインクジェットインクセット。
  12. 請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のインクジェットインクセットを用い、基材上に、平面視で互いに重なる重なり部分を有する赤外線吸収性画像及び有色画像を含む複合画像を記録する方法であって、
    前記基材上に、前記赤外線吸収性インクジェットインク及び前記有色インクジェットインクを、平面視で互いに重なる重なり部分が生じる配置にて、インクジェット法によって付与して前記複合画像を得る工程と、
    を含む、画像記録方法。
  13. 前記赤外線吸収性画像が、文字画像及びコード画像の少なくとも一方である、
    請求項12に記載の画像記録方法。
  14. 基材と、
    基材上に設けられ、平面視で互いに重なる重なり部分を有する赤外線吸収性画像及び有色画像を含む複合画像と、
    を備え、
    前記赤外線吸収性画像が、赤外線吸収性インクジェットインクの乾燥物であり、
    前記赤外線吸収性インクジェットインクは、水及び赤外線吸収色素を含有し、750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値が、400nm~750nmの波長範囲における吸光度の最大値よりも大きく、
    前記赤外線吸収色素の含有量が、前記赤外線吸収性インクジェットインクの全量に対し、0.5質量%~1.5質量%である赤外線吸収性インクジェットインクであり、
    前記有色画像が、有色インクジェットインクの乾燥物であり、
    前記有色インクジェットインクは、水及び有色色素を含有し、前記赤外線吸収性インクジェットインクの前記750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値に対する750nm~1000nmの波長範囲における吸光度の最大値の比が0.10以下であり、
    前記有色色素は、有機顔料であり、
    前記有色色素の含有量は、前記有色インクジェットインクの全量に対し、0.5質量%~10質量%である有色インクジェットインクである、画像記録物。
  15. 前記赤外線吸収色素が、シアニン色素、ナフタロシアニン色素、カルボニウム色素、メチン色素、ピリリウム色素、ニッケルジチオレン錯体、スクアリリウム色素、キノンイミン色素、ジインモニウム色素、アゾ色素、金属錯塩アゾ色素、ナフトキノン色素、アントラキノン色素、キノンイミン色素、メチン色素、及び金属チオレート錯体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む請求項14に記載の画像記録物。
  16. 前記赤外線吸収性画像が、文字画像及びコード画像の少なくとも一方である、請求項14又は請求項15に記載の画像記録物。
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