JP7338814B2 - 冷却装置の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、圧延ラインにおいて圧延材を冷却する冷却装置を制御する装置に関する。
熱間圧延における品質制御には、製品の寸法制御と圧延材の温度制御がある。寸法制御としては、板厚制御、板幅制御、平坦度制御などが例示される。温度制御としては、仕上圧延機出側温度制御、巻取温度制御などが例示される。仕上圧延機出側温度制御は、仕上圧延機の出側における圧延材の温度を制御する温度制御である。巻取温度制御は、巻取機の入側における圧延材の温度を制御する温度制御である。
巻取温度制御は、一般に、圧延ラインに設けられた複数の冷却バンクを用いて行われる。複数の冷却バンクは、全体として1つの冷却設備を構成する。巻取温度制御では、例えば、プリセット計算、フィードフォワード制御及びフィードバック制御が行われる。以下、説明の便宜上、フィードフォワードを「FF」とも称し、フィードバックを「FB」とも称す。
プリセット計算は、冷却開始前に行われる。プリセット計算では、例えば、制御目標(目標温度)が与えられ、冷却設備による冷却後の圧延材の温度がこの目標温度になるように複数の冷却バンクでの各注水量が決定される。FF制御は、冷却設備による冷却動作の開始後、冷却対象の圧延材(以下、「ストリップ」とも称す。)の温度などを計測することにより行われる。FF制御では、例えば、計測された実績値に基づいて、プリセット計算時の注水量が変更される。FB制御は、冷却設備の出側におけるストリップの温度を計測することにより行われる。FB制御では、例えば、計測された温度実績値に基づいて、プリセット計算時の注水量が変更される。
特許文献1は、複数の冷却バンクを、注水を行う水冷バンクと注水を行わない空冷バンクとに分けて、ストリップの搬送方向における水冷バンクの全長を示す「冷却長」をセグメントごとに変更する第1実施形態を開示する。第1実施形態において、「冷却長」の変更は、プリセット計算時に予測したストリップの速度と実際の速度のずれから生じる温度の変化を補償するために行われる。尚、セグメントとは、搬送方向においてストリップを仮想的な長さで区切ったときの一区間を指す。
第1実施形態では、また、水冷バンクの一部においてFB制御が行われる。このFB制御では、冷却設備による冷却後の圧延材の実績温度と目標温度の温度差に基づいて、FB制御が行われる水冷バンクでの各注水量が変更される。第1実施形態では、更に、FB制御が行われる水冷バンクの位置から冷却設備の出側の位置までのストリップの搬送によるむだ時間の補償機能が言及されている。
特許文献1は、また、水冷バンクの一部を「FF制御用の冷却バンク」(以下、「FFバンク」とも称す。)に割り当て、このFFバンクでの注水量をセグメントごとにFF制御する第2実施形態を開示する。この第2実施形態では、FFバンクの応答遅れのむだ時間に相当する距離だけ上流の位置において上記温度差が計算される。FF制御では、この温度差に基づいて、FFバンクでの注水量が変更される。尚、第2実施形態では、第1実施形態の構成と共通する構成の説明が省略されている。そのため、第2実施形態でも水冷バンクの一部においてFB制御が行われていると考えられる。第2実施形態において、FB制御が行われる水冷バンクは、「FB制御用の冷却バンク」(以下、「FBバンク」とも称す。)に該当すると言える。
日本特開2004-34122号公報
特許文献1の第2実施形態では、FFバンクの位置が特定されていない。また、この第2実施形態では、FBバンク以外の水冷バンクが全てFFバンクであるのか、それとも、FBバンク以外の水冷バンクの一部がFFバンクであるのかが不明である。そこで、まず、FBバンク以外の水冷バンクが全てFFバンクである場合を検討する。FFバンクの位置が圧延ラインの上流側に位置する場合を考える。この場合は、温度差が小さいことが予想される。そうすると、プリセット計算時の注水量をこの位置でわざわざ変更するメリットが小さい。そこで、今度は、FFバンクの位置が圧延ラインの下流側に位置する場合を考える。ただし、この場合は、冷却設備における冷却パターン(冷却ルール)を保つ観点から次の問題がある。
冷却パターンは、冷却設備による冷却後のストリップの材質に大きな影響を与えることから、ストリップの冷却において重要な要素である。冷却パターンとしては、前段冷却及び後段冷却が例示される。前段冷却では、圧延ラインの上流側に位置する冷却バンクでの注水量が多く、圧延ラインの下流側に向かうほど冷却バンクでの注水量が少なくなる。反対に、後段冷却では、圧延ラインの下流側に位置する冷却バンクでの注水量が多く、圧延ラインの上流側に向かうほど冷却バンクでの注水量が少なくなる。前段冷却では、高温状態のストリップが急速に冷却される。そのため、圧延材の化学成分にも依存するが、前段冷却によれば、強度は高いが加工しにくい材料となる場合がある。後段冷却では、ストリップの温度が下がってから水冷される。そのため、後段冷却によれば、強度はあまり高くないが加工しやすい粘り気のある材料となる。
特許文献1の第2実施形態では、前段冷却が行われるとの説明がある。しかし、前段冷却が行われる場合に、圧延ラインの下流側に位置するFFバンクにおいてFF制御が行われると、FFバンクでの注水量が増加されることで冷却パターンが崩れてしまう。この問題は、FBバンク以外の水冷バンクが全てFFバンクの場合だけでなく、FBバンク以外の水冷バンクの一部がFFバンクの場合にも当てはまる。後者の場合には、この問題は顕著となる。何故なら、後者の場合は、FFバンク、FBバンク及びその他の水冷バンクから別々に注水が行われるためである。このように、冷却設備による冷却後のストリップの材質を所望のものにするには、冷却パターンを崩さないことが求められる。故に、FFバンクでの注水量の変更には制約があると言える。従って、FFバンクにおける冷却パターンを保ちながら冷却設備の出側におけるストリップの実績温度を目標温度に制御するための改良が望まれる。
本発明の1つの目的は、FFバンクにおける冷却パターンを保ちながら、冷却設備の出側におけるストリップの実績温度を目標温度に制御することが可能な技術を提供することにある。
本発明は、圧延ラインに設けられて複数の冷却バンクによって圧延材を冷却する冷却装置の制御装置であり、次の特徴を有する。
前記制御装置は、前記冷却装置の出側に設けられた出側温度計の位置での前記圧延材の目標温度を示す出側温度目標値が、前記出側温度計により計測される前記圧延材の実績温度を示す出側温度実績値と一致するように、前記複数の冷却バンクでの各注水量を制御するように構成されている。
前記制御装置は、前記複数の冷却バンクでの各注水量の制御において、プリセット計算と、冷却履歴管理と、フィードフォワード計算と、フィードバック計算と、を行う。
前記制御装置は、前記プリセット計算において、
前記複数の冷却バンクを、注水量のフィードフォワード制御を行うためのフィードフォワードバンク、又は注水量のフィードバック制御を行うためのフィードバックバンクに設定する。前記フィードバックバンクは、前記圧延材に応じて前記圧延ラインの下流側から順に割り当てられる少なくとも1基の冷却バンクであり、前記フィードフォワードバンクは残りの冷却バンクである。
前記制御装置は、前記プリセット計算において、更に、
前記出側温度計の位置での前記圧延材の予測温度を示す出側温度予測値を計算し、
前記出側温度予測値が前記出側温度目標値と一致するように前記複数の冷却バンクでの各注水量を計算する。
前記制御装置は、前記冷却履歴管理において、
前記圧延材を搬送方向において仮想的な長さに区切ったときの一区間を示すセグメントごとに、前記圧延材の位置を把握し、
前記複数の冷却バンクの各位置での前記圧延材の実績速度と、前記複数の冷却バンクでの各注水量の履歴と、を含む冷却履歴をセグメントごとに記憶する。
前記制御装置は、前記フィードフォワード計算において、
前記冷却装置の入側に設けられた入側温度計の位置での前記圧延材の実績温度を示す入側温度実績値と、前記入側温度計の位置での前記圧延材の速度と、に基づいて、前記出側温度予測値をセグメントごとに計算し、
前記出側温度目標値と、セグメントごとに計算した前記出側温度予測値との差に基づいて、前記プリセット計算において計算された前記フィードフォワードバンクでの各注水量を変更する。
前記制御装置は、前記フィードバック計算において、前記出側温度実績値と、前記出側温度目標値との差をセグメントごとに計算する。
前記制御装置は、前記冷却履歴管理において、更に、前記フィードバック計算を再実施するための再計算位置を設定する。前記再計算位置は、前記フィードバックバンクの応答遅れに相当する距離だけ前記フィードバックバンクの位置よりも前記圧延ラインの上流側に位置する。
前記制御装置は、更に、前記再計算位置にセグメントが到達した場合、前記冷却履歴に基づいて、前記再計算位置に到達したセグメントについての前記出側温度予測値の再計算を行う。
前記制御装置は、前記フィードバック計算において、更に、
前記再計算位置にセグメントが到達した場合、前記フィードバックバンクの位置から前記出側温度計の位置までの搬送時間による遅れと、前記フィードバックバンクの応答遅れとを補償するための温度補正値を計算し、
前記出側温度目標値と、セグメントごとに計算した前記出側温度実績値と、再計算された前記出側温度予測値と、前記温度補正値と、に基づいて、前記プリセット計算において計算された前記フィードバックバンクでの各注水量をセグメントごとに変更する。
前記制御装置は、次の特徴を更に有していてもよい。
前記制御装置は、更に、前記圧延材の予測速度の計算を行うように構成されている。
前記制御装置は、前記再計算において、
前記入側温度計の位置から前記再計算位置までの前記冷却履歴に基づいて、前記入側温度計の位置から前記再計算位置まで搬送された前記圧延材の温度降下実績値をセグメントごとに計算し、
前記予測速度と、前記プリセット計算により得られた前記複数の冷却バンクでの各注水量と、に基づいて、前記再計算位置から前記出側温度計の位置までの前記圧延材の温度降下予測値をセグメントごとに計算し、
前記温度降下実績値と、前記温度降下予測値とに基づいて、前記出側温度予測値を計算する。
前記制御装置は、次の特徴を更に有していてもよい。
前記フィードフォワードバンクでの各注水量には、所定の冷却パターンが適用される。
前記制御装置は、前記フィードフォワード計算において、前記所定の冷却パターンの範囲内で前記フィードフォワードバンクでの各注水量を変更する。
前記制御装置は、次の特徴を更に有していてもよい。
前記フィードフォワードバンクでの各注水量には、所定の冷却パターンが適用される。
前記制御装置は、更に、
前記フィードバックバンクでの注水量が最大注水量又は最小注水量に近づいているか否かの判定を前記フィードバックバンクごとに行い、
前記フィードバックバンクでの注水量が最大注水量又は最小注水量に近づいていると判定された場合、前記所定の冷却パターンの範囲内で、前記フィードバックバンクでの注水又は注水の停止を前記フィードフォワードバンクに振り替える。
本発明によれば、冷却履歴管理において、フィードバック計算を再実施するための再計算位置の設定が行われる。この再計算位置は、フィードバックバンクの応答遅れに相当する距離だけフィードバックバンクの位置よりも圧延ラインの上流側に位置する。また、本発明によれば、再計算位置を利用した次のフィードバック計算が行われる。即ち、再計算位置にセグメントが到達した場合、フィードバックバンクの位置から出側温度計の位置までの搬送時間による遅れと、フィードバックバンクの応答遅れとを補償するための温度補正値が計算される。そして、出側温度目標値と、セグメントごとに計算した出側温度実績値と、再計算された出側温度予測値と、温度補正値と、に基づいて、プリセット計算において計算されたフィードバックバンクでの各注水量がセグメントごとに変更される。
再計算された出側温度予測値が各注水量の変更に考慮されることで、様々な圧延速度に対する温度制御の安定性をもたらすことが可能となる。加えて、温度補正値が各注水量の変更に考慮されることで、搬送時間による遅れと、フィードバックバンクの応答遅れとを補償することが可能となる。そのため、様々な圧延速度に対する温度制御の安定性を高めることも可能となる。従って、冷却設備の出側におけるセグメントの実績温度を目標温度に制御することが可能となる。
更に、本発明によれば、フィードバックバンクが冷却設備の出側から順に割り当てられる。そのため、フィードフォワードバンクにおける冷却パターンを遵守することも可能となる。故に、フィードフォワードバンクにおける冷却パターンを遵守しながら、冷却設備の出側におけるセグメントの実績温度を目標温度に制御することが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る制御装置が適用される圧延ラインの構成例を示す図である。 第1実施形態に係る制御装置の機能構成例を示す図である。 再計算位置を説明する図である。 制御装置が行うFB制御に関連する制御ブロック図である。 制御装置が行う温度制御の制御タイミングの一例を示す図である。 制御装置が行う温度制御の処理例を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る制御装置の比較例の機能構成を示す図である。 比較例において、制御装置が行うFB制御に関連する制御ブロック図である。 FBバンクでの注水量が最大注水量に近づいたときの制御の概要を説明する図である。 FBバンクでの注水量が最小注水量に近づいたときの制御の概要を説明する図である。 第2実施形態において制御装置が行う温度制御の処理例を示すフローチャートである。 第2実施形態において制御装置が行う温度制御の処理例を示すフローチャートである。 第2実施形態において制御装置が行う温度制御の処理例を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る冷却装置の制御装置について詳細に説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。また、本発明は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
1.第1実施形態
まず、図1~8を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る制御装置について説明する。
1-1.圧延ラインの構成例
図1は、第1実施形態に係る制御装置が適用される圧延ラインの構成例を示す図である。図1には、ランアウトテーブル(以下、「ROT」とも称す。)10の周辺の圧延ラインの構成例が描かれている。ROT10は、仕上圧延機11による圧延後の圧延材(つまり、ストリップM)をコイラー15に搬送するための設備である。ROT10には、冷却設備12が設けられている。冷却設備12は、ストリップMの搬送方向に並べられたN基の冷却バンクを有している。図1に示す番号#01~#Nは、これらの冷却バンクを区別するものであり、ROT10内の上流側から順に付されている。尚、本願における「上流」及び「下流」は、ストリップMの搬送方向を基準とする。
冷却バンクのそれぞれは、ストリップMの上面及び下面の少なくとも一方から冷却水を供給する複数のバルブを備えている。ある冷却バンクにおいてバルブを開く個数を変更することで、この冷却バンクでの注水量が変更される。後段の冷却バンク(例えば、#02の冷却バンク)のバルブ1本当たりの注水量を、前段の冷却バンク(例えば、#01の冷却バンク)のそれに比べて少ない量に設定してもよい。この場合、前段と後段の冷却バンクにおいてバルブを開く個数が同じでも、これらの冷却バンクの間で冷却の度合いに差を付けることが可能となる。尚、冷却バンクが備えるバルブの構成は、開状態と閉状態を切り替えて注水量を変更するものでもよいし、開度を変更することで注水量を連続的に変更するものでもよい。
ストリップMは、ROT10上を図1の左側から右側に搬送される。ストリップMが冷却設備12を通過する間、ストリップMは、少なくとも1基の冷却バンクから供給される冷却水によって所望の温度まで冷却される。ストリップMの実績温度は、少なくとも入側温度計13及び出側温度計14において、常時、計測されている。入側温度計13は、冷却設備12の入側に設置された温度計である。出側温度計14は、冷却設備12の出側に設置された温度計である。冷却設備12を通過したストリップMは、コイラー15によって巻き取られる。
入側温度計13は、仕上圧延機11の出側に位置し、仕上圧延機出側温度計とも呼ばれる。出側温度計14は、コイラー15の入側に位置し、巻取温度計とも呼ばれる。以下、説明の便宜上、入側温度計13の位置を「FDT(Finisher Delivery Thermometer)位置」とも称す。出側温度計14の位置を「CT(Coiling Thermometer)位置」とも称す。
1-2.制御装置の構成例
第1実施形態に係る制御装置は、典型的には、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つのメモリ、及び、入出力インターフェースを備えるコンピュータから構成される。この制御装置は、製品板厚等の圧延に関する諸元を決定する上位コンピュータに接続されている。この上位コンピュータの機能の一部が制御装置に含まれていてもよい。
図2は、第1実施形態に係る制御装置の機能構成例を示す図である。図2に示されるように、制御装置20は、プリセット計算部21と、冷却履歴管理部22と、フィードフォワード計算部(FF計算部)23と、再計算部24と、フィードバック計算部(FB計算部)25と、を備えている。尚、これらの機能は、制御装置20のプロセッサがメモリに記憶されている所定のプログラムを実行することにより実現される。
プリセット計算部21は、ストリップMの冷却を開始する前に、上位コンピュータから受け取った操業指令に基づき、冷却バンクの初期注水量をそれぞれ決定する。操業指令には、ストリップMの出側温度目標値TCT AIM、冷却パターンなどが含まれる。出側温度目標値TCT AIMは、CT位置でのストリップMの目標温度である。冷却パターンとしては、前段冷却及び後段冷却が例示される。これらの例については既に説明したとおりである。
ストリップMの先端部から冷却を開始するため、プリセット計算部21は、ストリップMが入側温度計13に到達するよりも前に、冷却バンクの初期設定を決定し、かつ、冷却バンクでの各初期注水量を決定する。初期注水量の決定を行うタイミングは、バルブを開いてから冷却水がストリップに到達するまでの時間である「バルブ応答遅れ」を十分に考慮して決定される。この「バルブ応答遅れ」は、本明細書における「冷却バンクの応答遅れ」と同義である。
冷却バンクの初期設定では、冷却バンクがFFバンク又はFBバンクに設定される。第1実施形態では、FFバンクがROT10内の上流側(圧延ラインの上流側)から順に設定され、FBバンクがROT10内の下流側(圧延ラインの下流側)から順に設定される。冷却パターンはFFバンクに適用される。冷却パターンを崩さないようにするため、FBバンクの総数は製品の諸元に応じて1~2程度とされる。図2に示される例では、#N-1及び#Nの冷却バンクがFBバンクに該当し、残りの冷却バンク(つまり、#01~#N-2の冷却バンク)がFFバンクに該当する。
初期注水量の決定では、まず、FDT位置からCT位置までストリップMが搬送されたときの当該ストリップMの温度降下予測値dTが計算される。温度降下予測値dTの計算には、FDT位置でのストリップMの予測温度を示す入側温度予測値TFDT CALが用いられる。また、この計算の結果に基づいて、CT位置でのストリップMの予測温度を示す出側温度予測値TCT CALが計算される。そして、出側温度予測値TCT CALが出側温度目標値TCT AIMと一致するように、初期注水量が決定される。初期注水量の決定に際しては、冷却バンクでの注水量の将来における変更(増加及び減少)を見込んだ値が用いられる。
出側温度予測値TCT CALの計算は、例えば式(1)及び(2)を用いて行われる。
Figure 0007338814000001

Figure 0007338814000002
式(1)及び(2)の変数は次のとおりである。
t(FDT):FDT位置を通過する時刻[s]
t(CT):CT位置を通過する時刻[s]
h:ストリップMの板厚[m]
γ(T(t)):温度Tにおける比熱[J/(kg・degC)]
T(t):時間tにおけるストリップMの温度[degC]
ρ:密度[kg/m
q(vpre(t),T(t),δpre(t),・・・):熱流束[W/m
pre(t):ストリップMの予測速度[m/s]
δpre(t):決定された冷却の種類(注水による水冷又は空冷)[-]
尚、ストリップMの予測速度は、冷却設備12よりも上流側におけるストリップMの速度実績値、熱間圧延ラインの操業状況などに基づいて計算され、必要に応じて繰り返し修正される。
冷却履歴管理部22は、ストリップMの位置及び冷却履歴をセグメントSに基づいて管理する。セグメントSは、ストリップMを搬送方向において仮想的な長さに区切ったときの一区間を示す。冷却設備12を通過する各セグメントSの位置の管理(把握)は、圧延機(例えば、仕上圧延機11)の出側でのストリップMの速度に基づいて行われる。この速度は、圧延機のロール回転速度を用いて計算されてもよいし、直接計測されてもよい。冷却設備12を通過する各セグメントSの冷却履歴には、冷却バンクの各位置でのセグメントSの実績速度と、冷却バンクでの各注水量の履歴と、が含まれる。
冷却履歴管理部22は、また、フィードバック計算(FB計算)の再計算位置をセグメントSごとに決定する。再計算位置は、FBバンクでの各注水量の再計算を行う位置(つまり、FB計算の再実施の位置)である。FF計算の再実施については後述される。ここでは、まず、再計算位置について説明する。
図3は、再計算位置を説明する図である。図3には、#N-1の冷却バンクの再計算位置SPが示されている。この再計算位置SPは、#N-1の冷却バンクの位置よりも、むだ時間に相当する距離D2だけROT10内の上流側(圧延ラインの上流側)に位置している。むだ時間は、#N-1の冷却バンクのバルブ応答遅れに相当する。尚、図3には、距離D2の隣に距離D1が示されている。距離D1は、#N-1の冷却バンクの位置からCT位置までの距離である。
FF計算部23は、i番目(iは自然数)のセグメントSiがFDT位置を通過する時、このセグメントSiのCT位置での予測温度を示す出側温度予測値TCT CAL(i)を計算する。出側温度予測値TCT CAL(i)の計算は、例えば式(3)及び(4)を用いて行われる。
Figure 0007338814000003

Figure 0007338814000004
式(3)及び(4)に示される変数は次のとおりである。
FDT ACT(i):FDT位置でのセグメントSiの実績温度[degC]
t(FDT)(i):セグメントSiがFDT位置を通過する時間[s]
t(CT):セグメントSiがCT位置を通過する時間[s]
T(t)(i):時間tにおけるセグメントSiの温度[degC]
その他の変数については式(1)及び(2)の変数と基本的に同じである。
FF計算部23は、また、出側温度予測値TCT CAL(i)と出側温度目標値TCT AIM(i)の差が小さくなるように、FFバンクでの各注水量を変更する。変更に際しては、冷却パターンを維持するようこの冷却パターンの範囲内で各注水量が決定される。各注水量が決定されたら、FF制御が行われる。FF制御では、バルブ応答遅れが考慮される。具体的には、変更後の注水量に基づいた冷却に間に合うように、注水量が変更される冷却バンクにセグメントSiが到達する前に、この冷却バンクのバルブの開閉操作が開始される。
再計算部24は、セグメントSiが再計算位置SPに到達したときに、FDT位置から再計算位置SPまでの温度降下実績値dTactcalと、再計算位置SPからCT位置までの温度降下予測値dTと、に基づいて、セグメントSiのCT位置での出側温度予測値TCT CAL(i)を再計算する。温度降下実績値dTactcalは、冷却履歴に基づいて計算される。温度降下予測値dTは、ストリップMの予測速度と、FBバンクでの各注水量と、に基づいて計算される。出側温度予測値TCT CAL(i)の再計算は、例えば式(5)~(7)を用いて行われる。
Figure 0007338814000005

Figure 0007338814000006

Figure 0007338814000007
式(5)~(7)に示される変数は次のとおりである。
t(SP):セグメントSiが再計算位置SPを通過する時間[s]
act(t):セグメントSiの実績速度[m/s]
δact(t):セグメントSiの実績として得られた冷却の種類(注水による水冷又は空冷)[-]
その他の変数については式(1)~(4)の変数と基本的に同じである。
FB計算部25は、FB計算を行う。FB計算では、CT位置でのセグメントSiの実績温度を示す出側温度実績値TCT ACTと、出側温度目標値TCT AIMとの差が計算される。FB計算では、更に、スミス法を利用し、FBバンクの各位置からCT位置までの搬送時間による遅れと、当該FBバンクの応答遅れと、に伴うセグメントSiの温度変化が補償される。このFB計算について、図4を参照しながら説明する。
図4は、制御装置20が行うFB制御に関連する制御ブロック図である。図4には、フィードバックコントローラ26と、制御対象27と、が描かれている。フィードバックコントローラ26は、PIDコントローラGと、スミス補償器28と、を備えている。
制御対象27は、対象プラントGと、搬送遅れe-D1sと、バルブ応答遅れe-D2sと、から構成される(“s”はラプラス演算子)。搬送遅れe-D1sは、FBバンクの各位置からCT位置までの距離D1を、セグメントSiを搬送する時間だけ遅れることを示す。バルブ応答遅れe-D2sは、FBバンクの応答がむだ時間だけ遅れることを示す。
スミス補償器28は、対象プラントモデルGPMと、搬送遅れモデルe-D1Msと、バルブ応答遅れモデルe-D2Msと、から構成される。搬送遅れモデルe-D1Msは、FBバンクの各位置からCT位置までの搬送時間による遅れに伴うセグメントSiの温度補正値を計算するためのモデルである。バルブ応答遅れモデルe-D2MSは、FBバンクの応答遅れに伴うセグメントSiの温度補正値を計算するためのモデルである。
PIDコントローラ26aには、式(8)に示す温度差ΔTが入力される。
Figure 0007338814000008
式(8)に示される変数は次のとおりである。
r:プリセット計算において得られたストリップMのCT位置での予測温度
y:ストリップMのCT位置での実績温度
M1:セグメントSiが再計算位置SPに到達したときに計算される、当該セグメントSiのCT位置での予測温度
M22:セグメントSiが再計算位置SPに到達したときに計算されたyM1であって、この計算後にメモリに記録され、当該セグメントSiがCT位置に到達したときにメモリから読み出されたyM1
1-3.制御装置による温度制御の流れ
図5及び6を参照しながら、冷却設備12によるストリップMの冷却の開始から終了までの制御の流れを説明する。図5は、制御装置20が行う温度制御の制御タイミングの一例を示す図である。図6は、制御装置20が行う温度制御の処理例を示すフローチャートである。
ストリップMはROT10よりも上流に位置する圧延機において連続で圧延されている。そのため、例えば、ストリップMの最先端のセグメントS1が入側温度計13を通過した後、ストリップMの最尾端のセグメントSm(mは自然数)が出側温度計14を通過するまで数分を要する。図5(i)には、FB制御の開始前のROT10の状況が描かれている。この図5(i)に示されるように、FDT位置を通過したセグメントS1は、ROT10を進んでいき再計算位置SPに到達する。尚、図5(i)に示される再計算位置SPは、#N-1の冷却バンクの位置を基準としたものである。
セグメントSi(1≦i≦m)が再計算位置SPに到達するたびに、図6に示されるルーチンが実行される。図6に示されるルーチンでは、まず、カウンタItrがゼロに設定される(ステップS10)。カウンタItrは、ステップS14以降の処理で行われる収束計算に用いられる。
ステップS10の処理に続いて、出側温度予測値TCT CAL(i)が計算(再計算)される(ステップS11)。出側温度予測値TCT CAL(i)の計算(再計算)は、例えば式(5)~(7)を用いて行われる。ステップS11の処理で計算された出側温度予測値TCT CAL(i)は、予測温度yM1(i)としてメモリに保存される。
ステップS11の処理に続いて、CT位置にセグメントSiが存在するか否かが判定される(ステップS12)。ステップS12の処理は、FB制御を開始するか否かを判定するために行われる。CT位置にセグメントSiが存在するか否かは、例えば、出側温度計14において計測されたストリップMの実績温度に基づいて判定される。
ステップS12の処理において、CT位置にセグメントSiが存在すると判定された場合、FB制御が実行される(ステップS13)。図5(ii)には、FB制御の実行中のROT10の状況が描かれている。この図5(ii)には、CT位置に存在するセグメントSj(1≦j≦m)と、再計算位置SPに存在するセグメントSk(1≦k≦m)と、が描かれている。
ただし、セグメントSkの最先端部の実績温度の計測は安定しないことがある。そのため、この最先端部がCT位置に到達したときのセグメントSkに対するFB制御の実行は、この到達から所定時間(例えば、数秒)だけ遅らせて開始される。FB制御では、上記式(8)を用いて温度差ΔTが計算され、この温度差ΔTに基づいて#N-1のFBバンクでの注水量が変更される。
例えば、セグメントSkが再計算位置SPに到達したときの温度差ΔTは、式(9)及び(10)を用いて計算された予測温度yM1及びyM22を、上記式(8)に代入することにより計算される。
Figure 0007338814000009

Figure 0007338814000010
ここで、式(9)において予測温度yM22にyM1[j]を用いる理由は次のとおりである。即ち、式(8)の説明で述べたように、式(8)に示した予測温度yM22は、セグメントSiが再計算位置SPに到達したときに計算される、搬送遅れ及びバルブ応答遅れを考慮した当該セグメントSiのCT位置での予測温度である。ただし、この予測温度は、セグメントSjが再計算位置SPに到達したときに計算された、当該セグメントSjのCT位置での予測温度と等しい。そのため、式(9)では予測温度yM22にyM1[j]が用いられている。
式(10)に示される予測温度yM1[k]の計算は、上記式(5)に基づいて行われる(ただし、式(5)の“i”を“k”と読み替える)。
ステップS13の処理は、再計算位置SPにセグメントSiが存在すると判定されている間、繰り返し実行される。図5(iii)には、セグメントSm(最尾端のセグメントSi)が再計算位置SPに到達したときの状況が描かれている。セグメントSmが再計算位置SPを通過した後は、図6に示されるルーチンの処理が終了される。
ステップS12の処理において、CT位置にセグメントSiが存在しないと判定された場合、ステップS14以降の処理が実行される。ステップS14以降の処理は、FB制御の開始前の温度制御である。ステップS14では、ステップS11の処理で計算された出側温度予測値TCT CAL(i)と出側温度目標値TCT AIMの差の絶対値が、閾値ΔTtolよりも小さいか否かが判定される。閾値ΔTtolは、FBバンクでの注水量の変更が必要となる温度差であり、事前に設定されている。
ステップS14の処理において、絶対値が閾値ΔTtol以上であると判定された場合、出側温度予測値TCT CAL(i)と出側温度目標値TCT AIMの差の符号が負であるか否かが判定される(ステップS15)。この符号が負であるということは、出側温度予測値TCT CAL(i)が出側温度目標値TCT AIMよりも低いことを意味する。反対に、この符号が正であるということは、出側温度予測値TCT CAL(i)が出側温度目標値TCT AIMよりも高いことを意味する。
よって、符号が負であると判定された場合、FBバンクでの注水量を減らす(ステップS16)。注水量の減少は、具体的に、FBバンクが有するバルブの1本を閉じることにより行われる。一方、符号が正であると判定された場合、FBバンクでの注水量を増やす(ステップS17)。注水量の増加は、具体的に、FBバンクが有するバルブの1本を開くことにより行われる。
ステップS16又はS17の処理に続いて、出側温度予測値TCT CAL(i)が計算(再々計算)される(ステップS18)。ステップS18の処理の内容は、ステップS12の処理と基本的に同じである。ステップS18の処理で計算された出側温度予測値TCT CAL(i)は、予測温度yM1(i)としてメモリに保存される。
ステップS18の処理に続いて、カウンタItrが閾値Itrmaxを下回るか否かが判定される(ステップS19)。閾値Itrmaxは、ステップS14~S18の処理の繰り返し回数の上限であり、事前に設定されている。閾値Itrmaxは、セグメントS(i)の次に再計算位置SPに到達するセグメントS(i+1)の温度制御の実行を妨げないようにセグメントS(i)の長さ、セグメントS(i)の速度実績、プロセッサの計算処理速度等を考慮して設定される。
ステップS19の処理において、カウンタItrが閾値Itrmaxを上回ると判定された場合、図6に示されるルーチンの処理が終了される。そうでないと判定された場合、ステップS14の処理に戻る。
1-4.効果
図7及び8を参照しながら、第1実施形態による効果について説明する。図7は、第1実施形態に係る制御システムの比較例の構成を示す図である。図8は、この比較例において、制御装置が行うFB制御に関連する制御ブロック図である。図7は図2に対応しており、図8は図4に対応している。
図2と図7を比較すると分かるように、図7に示される比較例では、制御装置30の機能構成において図2に示した制御装置20のそれと異なる。具体的に、制御装置30は、再計算部24を備えていない点で制御装置20と異なる。
既に説明したように、再計算部24は、FDT位置から再計算位置SPまでの温度降下実績値dTactcalと、再計算位置SPからCT位置までの温度降下予測値dTと、に基づいて出側温度予測値TCT CAL(i)を再計算する。これに対し、制御装置30は、再計算部24を備えていない。そのため、制御装置30では、FBバンクでの各注水量のFB制御において、CT位置でのセグメントSiの実績温度を示す出側温度実績値TCT ACTと、出側温度目標値TCT AIMとの差に基づいたFB計算を行うことしかできない。
この点、第1実施形態によれば、再計算位置SPにおいて出側温度予測値TCT CAL(i)が再計算される。更に、PIDコントローラ26aに入力される温度差ΔTに、この再計算された出側温度予測値TCT CAL(i)が考慮される。従って、様々な圧延速度に対する温度制御の安定性をもたらすことが可能となる。
ここで、特許文献1の第1実施形態のように、FB制御においてストリップの搬送によるむだ時間を補償することを考える。そこで、このむだ時間の補償を図7の制御装置30で行う構成を考える。この場合に制御装置30が行うFBバンクでの各注水量のFB制御に関連する制御ブロック図を示したものが図8に該当する。図4と図8を比較すると分かるように、図8に示される比較例では、制御対象27にバルブ応答遅れe-D2Sが含まれない。また、スミス補償器28がバルブ応答遅れモデルe-D2MSを有していない。そのため、図8に示される比較例では、PIDコントローラ26aに入力される温度差ΔTにバルブ応答遅れが考慮されない。
この点、第1実施形態によれば、温度差ΔTに搬送遅れとバルブ応答遅れの両方が考慮されるので、様々な圧延速度に対する温度制御の安定性を高めることが可能となる。具体的に、図2に示した再計算位置SPからCT位置までの距離が20mで、ストリップMの搬送速度が10又は20m/sである場合を考える。この場合、搬送時間は2.0s又は1.0sとなる。バルブ応答遅れは一般に2~2.5s程度であることから、バルブ応答遅れを無視することはできない。また、ストリップMの搬送速度は板厚が小さくなるほど増加する傾向があり、板厚20mmでは2.0m/sであった搬送速度が、板厚1.2mmでは20m/sまで増加する。従って、特に薄い製品の圧延の際には、バルブ応答遅れの影響が大きくなる。
このように、第1実施形態によれば、再計算された出側温度予測値TCT CAL(i)と、搬送遅れと、バルブ応答遅れとを考慮したFB制御が行われる。従って、セグメントSiの実績温度を目標温度に制御することが可能となる。また、第1実施形態によれば、FBバンクがROT10内の下流側(圧延ラインの下流側)に1~2基程度設定される。従って、ROT10内の上流側(圧延ラインの上流側)に設定されるFFバンクでの冷却パターンを遵守しながら、セグメントSiの実績温度を目標温度に制御することが可能となる。
2.第2実施形態
次に、図9~13を参照しながら、本発明の第2実施形態に係る温度制御システムについて説明する。なお、第1実施形態の説明と重複する説明については適宜省略される。
2-1.第2実施形態の概要
第1実施形態のFB制御によれば、圧延材の速度変化があった場合においても、セグメントSiの実績温度を目標温度に制御することが可能となる。しかしながら、FBバンクが有するバルブの本数には限りがあることから、注水量の増加代又は減少代には限界がある。そこで、第2実施形態では、FBバンクでの注水量が最大注水量又は最小注水量に到達する前に、FBバンクでの注水をFFバンクでの注水に振り替える。
図9は、FBバンクでの注水量が最大注水量(MAX)に近づいたときの制御の概要を説明する図である。図9では、FBバンクとしての#N-1の冷却バンクに着目する。図9(i)に示されるように、#N-1の冷却バンクでは合計6本のバルブから冷却水が供給されている。図9(i)は、#N-1の冷却バンクの合計4本のバルブが開かれていた状況において、圧延ラインの上流側に位置する上下2本のバルブが更に開かれた直後の状況を示している。ここで、#N-1の冷却バンクが有するバルブの総本数が例えば8の場合、図9(i)に示される状況は、FBバンクでの注水量が最大注水量に近づいていると言える。一方、FFバンクとしての#h(1≦h≦N-2)の冷却バンクでは冷却水の供給が行われていない(つまり、空冷)。
第2実施形態では、そこで、図9(ii)に示されるように、#N-1の冷却バンクの合計4本のバルブからの注水を、#hの冷却バンクの合計2本のバルブからの注水に振り替える。#hの冷却バンクからの注水だけでこの振替が賄えない場合は、冷却パターンを遵守しながら#hの冷却バンクと、これ以外の冷却バンクとで#N-1の冷却バンクでの注水を分担してもよい。例えば、冷却パターンが前段冷却の場合、この冷却のパターンを遵守するため、#N-1の冷却バンクでの注水を、#h及び#h+1の冷却バンクで分担してもよい。振替に伴う#hの冷却バンクでの注水は、振り替えられた注水が行われるセグメントSi(以下、「対象セグメントTSi」とも称す。)が#hの冷却バンクの位置に到達する前に開始される。#hの冷却バンクでの注水は、また、バルブ応答遅れを考慮して開始される。
図9(iii)に示されるように、振替に伴う#N-1の冷却バンクの4本のバルブからの注水の停止は、対象セグメントTSiが#N-1の冷却バンクの位置に到達する前に行われる。対象セグメントTSiに冷却水がかからないように、注水の停止は、バルブ応答遅れの分だけ早く行われる。
図10は、FBバンクでの注水量が最小注水量(MIN)に近づいたときの制御の概要を説明する図である。図9同様、図10でも、FBバンクとしての#N-1の冷却バンクに着目する。図10(i)に示されるように、#N-1の冷却バンクでは合計2本のバルブから冷却水が供給されている。図10(i)は、#N-1の冷却バンクの合計4本のバルブが開かれていた状況において、圧延ラインの上流側に位置する上下2本のバルブが閉じられた直後の状況を示している。故に、図10(i)に示される状況は、FBバンクでの注水量が最小注水量に近づいていると言える。一方、FFバンクとしての#hの冷却バンクでは、合計4本のバルブから冷却水の供給が行われている。
第2実施形態では、そこで、図10(ii)に示されるように、#N-1の冷却バンクの合計2本のバルブからの注水の停止を、#hの冷却バンクの合計2本のバルブからの注水の停止に振り替える。#hの冷却バンクの注水の停止だけでこの振替が賄えない場合は、冷却パターンを遵守しながら#hの冷却バンクと、これ以外の冷却バンクとで#N-1の冷却バンクでの注水を分担してもよい。例えば、冷却パターンが前段冷却の場合、この冷却のパターンを遵守するため、#N-1の冷却バンクでの注水の停止を、#h-1及び#hの冷却バンクで分担してもよい。振替に伴う#hの冷却バンクでの注水の停止は、対象セグメントTSiが#hの冷却バンクの位置に到達する前に行われる。#hの冷却バンクでの注水の停止は、また、バルブ応答遅れを考慮して行われる。
図10(iii)に示されるように、振替に伴う#N-1の冷却バンクの2本のバルブからの注水は対象セグメントTSiが#N-1の冷却バンクの位置に到達する前に行われる。対象セグメントTSiに冷却水がかかるように、注水は、バルブ応答遅れの分だけ早く行われる。
注水の振替を行うか否かは、例えば、最大注水量に相当する上限側閾値、又は最小注水量に相当する下限側閾値に関する次の条件(11)及び(12)に基づいて判定される。条件(11)又は(12)が満たされる場合、注水の振替を行う。
Figure 0007338814000011

Figure 0007338814000012
条件(11)及び(12)の両辺の値の意味は次のとおりである。
αFB UP:上限側閾値の調整係数
αFB LW:下限側閾値の調整係数
FB AVA:使用可能なバルブの総数
FB ON:現在開いているバルブの総数
2-2.制御装置による処理例
図11~13は、第2実施形態において制御装置20が行う温度制御の処理例を示すフローチャートである。図11~13に示されるフローチャートは、例えば、図6に示したステップS13の処理の一部として実行される。
図11に示されるルーチンでは、まず、条件(11)が満たされるか否かが判定される(ステップS20)。条件(11)が満たされるということは、FBバンクでの注水量が最大注水量に近づいていることを意味する。この場合は、図12に示されるルーチンの処理が実行される。一方、条件(11)が満たされないと判定された場合、条件(12)が満たされるか否かが判定される(ステップS21)。条件(12)が満たされるということは、FBバンクでの注水量が最小注水量に近づいていることを意味する。この場合は、図13に示されるルーチンの処理が実行される。
2-2-1.注水量が最大注水量に近づいている場合
図12に示されるルーチンでは、まず、ケース番号Nmmが設定される(ステップS30)。ケース番号Nmmは、ステップS31~S33の処理の結果をメモリに保存するための連続番号である(Nmmの初期値は1)。ステップS30の処理では、また、FFバンクのバルブの変更数NCH_FFの初期値NCH_FF INIと、FBバンクのバルブの変更数NCH_FBの初期値NCH_FB INIが設定される。
初期値NCH_FF INI及びNCH_FB INIは、式(13)及び(14)により表される。
Figure 0007338814000013

Figure 0007338814000014
尚、変更数NCH_FB及びNCH_FFは、調整項として適宜変更することができる。
FBバンクのバルブの本数を減らすときの変更数NCH_FBの上限NCH_FB MAX_Decは、事前に設定されている。例えば、一度の変更で最大4本のバルブを閉じることができるとする(つまり、NCH_FB MAX_Dec=4)。一方、FFバンクのバルブの本数を増やすときの変更数NCH_FFの上限NCH_FF MAX_Incは、冷却パターンに従い、現状使用可能な閉状態のバルブ(つまり、振替によって開状態に変更可能なバルブ)の数が設定される。
ステップS30の処理では、更に、振替の対象となるFFバンクのバルブ(以下、「振替バルブ」とも称す。)が冷却パターンに従って決定される。冷却パターンが前段冷却の場合を考える。この場合、振替バルブは、FFバンクが有する現状使用可能な閉状態のバルブのうち、ROT10内の最も上流に位置するバルブ(つまり、冷却設備12の入側に最も近いFFバンクのバルブ)である。変更数NCH_FBが2以上の場合は、振替の対象となるFFバンク(以下、「振替バンク」とも称す。)が有する2以上のバルブが振替バルブに該当する。
ステップS30の処理に続いて、対象セグメントTSiが決定される(ステップS31)。FFバンクのあるバルブを開くとき、そのバルブの注水量が実際に変化するまでにはバルブ応答遅れが存在する。そこで、ステップS31の処理では、早期の振替を行うため、振替バルブを開くことで注水量が変化したときに、この振替バルブの位置を最初に通過するセグメントSiが予測される。このセグメントSiが対象セグメントTSiに設定される。
尚、近年の計算機制御システムであれば計算時間及び伝送時間は数msec程度であることから、対象セグメントTSiの予測計算に要する時間が対象セグメントTSiの温度変化に影響することは殆どない。また、この予測計算において、対象セグメントTSiの搬送に要する時間は、ストリップMの予測速度により計算される。この予測速度は、ストリップMの速度実績値、熱間圧延ラインの操業状況などに基づいて計算され、必要に応じて繰り返し修正される。
ステップS31の処理に続いて、対象セグメントTSiのCT位置での予測温度を示す出側温度予測値TCT CAL(Nmm)が計算される(ステップS32)。出側温度予測値TCT CAL(Nmm)の計算は、例えば式(5)~(7)を用いて行われる(ただし、式(5)~(7)の“セグメントSi”を“対象セグメントTSi”と読み替える)。
ステップS32の処理に続いて、ステップS32の処理で計算された出側温度予測値TCT CAL(Nmm)と、出側温度目標値TCT AIMの差の絶対値が、閾値ΔTtolよりも小さいか否かが判定される(ステップS33)。ステップS33の処理は、図6に示したステップS14の処理と基本的に同じである。
ステップS33の処理において、絶対値が閾値ΔTtol以上であると判定された場合、ステップS31~S33の処理の結果が保存される(ステップS34)。続いて、出側温度予測値TCT CAL(Nmm)と出側温度目標値TCT AIMの差の符号が負であるか否かが判定される(ステップS35)。ステップS35の処理は、図6に示したステップS15の処理と同じである。
差の符号が負であるということは、出側温度予測値TCT CAL(Nmm)が出側温度目標値TCT AIMよりも低いことを意味する。そこで、符号が負であると判定された場合は、FBバンクが有する開状態のバルブの数を1本減らす(変更数NCH_FB→変更数NCH_FB-1)(ステップS36)。これにより、FBバンクでの注水量が減るので、出側温度予測値TCT CAL(Nmm)が上昇する。
差の符号が正であるということは、出側温度予測値TCT CAL(Nmm)が出側温度目標値TCT AIMよりも高いことを意味する。そのため、FBバンクが有する開状態のバルブの数を増やすことが考えられるが、FBバンクでの注水量は最大注水量に近づいている。そこで、符号が正であると判定された場合は、振替バンクにおける振替バルブ(閉状態から開状態に切り替えるバルブ)の数を1本増やす(変更数NCH_FF→変更数NCH_FF+1)(ステップS37)。これにより、振替バンクでの注水量が増えるので、出側温度予測値TCT CAL(Nmm)が減少する。
ステップS36又はS37の処理に続いて、変更数NCH_FB又はNCH_FFが上限に到達したか否かが判定される(ステップS38)。ステップS38の処理は、条件(15)又は(16)が満たされるか否かにより行われる。
Figure 0007338814000015

Figure 0007338814000016
式(15)に示すabs(NCH_FB)は変更数NCH_FBの絶対値であり、式(16)に示すabs(NCH_FF)は変更数NCH_FFの絶対値である。
ステップS38の処理において、変更数NCH_FB又はNCH_FFが上限に到達していないと判定された場合は、ケース番号Nmmを1だけ増加させてステップS31の処理に戻る(Nmm→Nmm+1)。つまり、ステップS31~S38の処理は、ステップS33の処理において肯定的な判定結果が得られるまでケース番号Nmmを増やしながら繰り返し実行される。
ステップS38の処理において、変更数NCH_FB又はNCH_FFが上限に到達したと判定された場合は、ケース番号Nmmと対象セグメントTSiの最適な組み合わせが選択される(ステップS39)。最適な組み合わせは、ステップS34の処理によってメモリに保存されていたケース番号Nmmの内から、出側温度予測値TCT CAL(Nmm)と出側温度目標値TCT AIMの差の絶対値が最も小さいケース番号Nmmを選択することにより行われる。
2-2-2.注水量が最小注水量に近づいている場合
図13に示されるルーチンでは、まず、ケース番号Nmmが設定される(ステップS40)。ステップS40の処理の内容は、図12に示したステップS30のそれと基本的に同じである。ただし、初期値NCH_FF INI及びNCH_FB INIは、式(17)及び(18)により表される。
Figure 0007338814000017

Figure 0007338814000018
FBバンクのバルブの本数を増やすときの変更数NCH_FBの上限NCH_FB MAX_Incは、事前に設定されている。例えば、一度の変更で最大4本のバルブを開くことができるとする(つまり、NCH_FB MAX_Inc=4)。一方、FFバンクのバルブの本数を減らすときの変更数NCH_FFの上限NCH_FF MAX_Decは、冷却パターンに従い、現状使用可能な開状態のバルブ(つまり、振替によって閉状態に変更可能なバルブ)の数が設定される。
ステップS40の処理では、更に、振替バルブが冷却パターンに従って決定される。冷却パターンが前段冷却の場合を考える。この場合、振替バルブは、FFバンクが有する現状使用可能な開状態のバルブのうち、最も下流に位置するバルブ(つまり、冷却設備12の出側に最も近いFFバンクのバルブ)である。変更数NCH_FBが2以上の場合は、振替バンクが有する2以上のバルブが振替バルブに該当する。
ステップS40の処理に続いて、対象セグメントTSiが決定される(ステップS41)。FFバンクのあるバルブを閉じるとき、そのバルブの注水量が実際に変化するまでにはバルブ応答遅れが存在する。そこで、ステップS41の処理では、早期の振替を行うため、振替バルブを閉じることで注水量が変化したときに、この振替バルブの位置を最初に通過するセグメントSiが予測される。このセグメントSiが対象セグメントTSiに設定される。
ステップS41の処理に続いて、ステップS42~S45の処理が行われる。ステップS42及びS43の処理の内容は、図12に示したステップS32~S35のそれと同じである。
ステップS45の処理において、差の符号が負であるということは、出側温度予測値TCT CAL(Nmm)が出側温度目標値TCT AIMよりも低いことを意味する。そのため、FBバンクが有する閉状態のバルブの数を増やすことが考えられるが、FBバンクでの注水量は最小注水量に近づいている。そこで、差の符号が負であると判定された場合は、FFバンクにおける振替バルブ(開状態から閉状態に切り替えるバルブ)の数を1本増やす(変更数NCH_FF→変更数NCH_FF+1)(ステップS46)。これにより、振替バンクでの注水量が減るので、出側温度予測値TCT CAL(Nmm)が上昇する。
一方、差の符号が正であるということは、出側温度予測値TCT CAL(Nmm)が出側温度目標値TCT AIMよりも高いことを意味する。そこで、差の符号が正であると判定された場合は、FBバンクが有する開状態のバルブの数を1本増やす(変更数NCH_FB→変更数NCH_FB+1)(ステップS47)。これにより、FBバンクでの注水量が増えるので、出側温度予測値TCT CAL(Nmm)が減少する。
ステップS46又はS47の処理に続いて、変更数NCH_FB又はNCH_FFが上限に到達したか否かが判定される(ステップS48)。ステップS48の処理は、条件(19)又は(20)が満たされるか否かにより行われる。
Figure 0007338814000019

Figure 0007338814000020
ステップS48の処理において、変更数NCH_FB又はNCH_FFが上限に到達していないと判定された場合は、ケース番号Nmmを1だけ増加させてステップS41の処理に戻る(Nmm→Nmm+1)。つまり、ステップS41~S48の処理は、ステップS43の処理において肯定的な判定結果が得られるまでケース番号Nmmを増やしながら繰り返し実行される。
ステップS48の処理において、変更数NCH_FB又はNCH_FFが上限に到達したと判定された場合は、ケース番号Nmmと対象セグメントTSiの最適な組み合わせが選択される(ステップS49)。ステップS49の処理の内容は図12に示したステップS39のそれと同じである。
2-3.効果
第2実施形態によれば、FBバンクでの注水量が最大注水量又は最小注水量になること回避しながら、対象セグメントTSiを含むセグメントSiの実績温度を目標温度に制御することが可能となる。
10 ランアウトテーブル(ROT)
12 冷却設備
13 入側温度計
14 出側温度計
20,30 制御装置
21 プリセット計算部
22 冷却履歴管理部
23 フィードフォワード計算部
24 再計算部
25 フィードバック計算部
26 フィードバックコントローラ
27 制御対象
28 スミス補償器
M ストリップ(圧延材)
S,Si,Sj,Sk,Sm セグメント
SP 再計算位置
CT ACT 出側温度実績値
CT AIM 出側温度目標値
CT CAL 出側温度予測値
FDT CAL 入側温度予測値
dT 温度降下予測値
dTactcal 温度降下実績値

Claims (4)

  1. 圧延ラインに設けられて複数の冷却バンクによって圧延材を冷却する冷却装置の制御装置であって、
    前記制御装置は、前記冷却装置の出側に設けられた出側温度計の位置での前記圧延材の目標温度を示す出側温度目標値が、前記出側温度計により計測される前記圧延材の実績温度を示す出側温度実績値と一致するように、前記複数の冷却バンクでの各注水量を制御するように構成され、
    前記制御装置は、前記複数の冷却バンクでの各注水量の制御において、プリセット計算と、冷却履歴管理と、フィードフォワード計算と、フィードバック計算とを行い、
    前記制御装置は、前記プリセット計算において、
    前記複数の冷却バンクを、注水量のフィードフォワード制御を行うためのフィードフォワードバンク、又は注水量のフィードバック制御を行うためのフィードバックバンクに設定し、
    前記フィードバックバンクは、前記圧延材に応じて前記圧延ラインの下流側から順に割り当てられる少なくとも1基の冷却バンクであり、前記フィードフォワードバンクは残りの冷却バンクであり、
    前記出側温度計の位置での前記圧延材の予測温度を示す出側温度予測値を計算し、
    前記出側温度予測値が前記出側温度目標値と一致するように前記複数の冷却バンクでの各注水量を計算し、
    前記制御装置は、前記冷却履歴管理において、
    前記圧延材を搬送方向において仮想的な長さに区切ったときの一区間を示すセグメントごとに、前記圧延材の位置を把握し、
    前記複数の冷却バンクの各位置での前記圧延材の実績速度と、前記複数の冷却バンクでの各注水量の履歴と、を含む冷却履歴をセグメントごとに記憶し、
    前記制御装置は、前記フィードフォワード計算において、
    前記冷却装置の入側に設けられた入側温度計の位置での前記圧延材の実績温度を示す入側温度実績値と、前記入側温度計の位置での前記圧延材の速度と、に基づいて、前記出側温度予測値をセグメントごとに計算し、
    前記出側温度目標値と、セグメントごとに計算した前記出側温度予測値との差に基づいて、前記プリセット計算において計算された前記フィードフォワードバンクでの各注水量を変更し、
    前記制御装置は、前記フィードバック計算において、前記出側温度実績値と、前記出側温度目標値との差をセグメントごとに計算し、
    前記制御装置は、前記冷却履歴管理において、更に、前記フィードバック計算を再実施するための再計算位置を設定し、
    前記再計算位置は、前記フィードバックバンクの応答遅れに相当する距離だけ前記フィードバックバンクの位置よりも前記圧延ラインの上流側に位置し、
    前記制御装置は、更に、前記再計算位置にセグメントが到達した場合、前記冷却履歴に基づいて、前記再計算位置に到達したセグメントについての前記出側温度予測値の再計算を行い、
    前記制御装置は、前記フィードバック計算において、更に、
    前記再計算位置にセグメントが到達した場合、前記フィードバックバンクの位置から前記出側温度計の位置までの搬送時間による遅れと、前記フィードバックバンクの応答遅れとを補償するための温度補正値を計算し、
    前記出側温度目標値と、セグメントごとに計算した前記出側温度実績値と、再計算された前記出側温度予測値と、前記温度補正値と、に基づいて、前記プリセット計算において計算された前記フィードバックバンクでの各注水量をセグメントごとに変更する
    ことを特徴とする冷却装置の制御装置。
  2. 前記制御装置は、更に、前記圧延材の予測速度の計算を行い、
    前記制御装置は、前記再計算において、
    前記入側温度計の位置から前記再計算位置までの前記冷却履歴に基づいて、前記入側温度計の位置から前記再計算位置まで搬送された前記圧延材の温度降下実績値をセグメントごとに計算し、
    前記予測速度と、前記プリセット計算により得られた前記複数の冷却バンクでの各注水量と、に基づいて、前記再計算位置から前記出側温度計の位置までの前記圧延材の温度降下予測値をセグメントごとに計算し、
    前記温度降下実績値と、前記温度降下予測値とに基づいて、前記出側温度予測値を計算する
    ことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置の制御装置。
  3. 前記フィードフォワードバンクでの各注水量には、所定の冷却パターンが適用され、
    前記制御装置は、前記フィードフォワード計算において、前記所定の冷却パターンの範囲内で前記フィードフォワードバンクでの各注水量を変更する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却装置の制御装置。
  4. 前記フィードフォワードバンクでの各注水量には、所定の冷却パターンが適用され、
    前記制御装置は、更に、
    前記フィードバックバンクでの注水量が最大注水量又は最小注水量に近づいているか否かの判定を前記フィードバックバンクごとに行い、
    前記フィードバックバンクでの注水量が最大注水量又は最小注水量に近づいていると判定された場合、前記所定の冷却パターンの範囲内で、前記フィードバックバンクでの注水又は注水の停止を前記フィードフォワードバンクに振り替える
    ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の冷却装置の制御装置。
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