JP7335704B2 - セラミック繊維多層織物及びこれを用いた複合材 - Google Patents

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Description

本発明は、厚さ方向に積層した緯糸及び前記緯糸と交鎖する経糸で完全組織を構成するセラミック繊維多層織物及びこれを用いた複合材に関する。
繊維強化複合材料は、建物、航空機、自動車、船舶、高温炉等の様々な分野で広く使用されている。熱が加わらない用途では、樹脂のマトリックスを繊維で強化した繊維強化ブラスチックが使用されている。一方、高温にさらされる用途では、セラミックのマトリックスをセラミック繊維で強化したセラミック強化セラミック複合材料が用いられている。
繊維強化複合材料の一形態として、繊維は織布の形態で使用される。織布では、繊維が規則正しく絡まり合う。そのため、織布は、複合材料を強化するために有用な一つの骨材の形態である。織布はシート状であることから、板形状、パイプ形状等の様々な複合材料の骨材として広く使用されている。
特許文献1には、織物内に分配された通常相互直行する第1、第2、第3方向の繊維群を備え、前記第1、第2方向の繊維群が織成されないで積み重ねられる経糸層及び緯糸層から構成されて層状物を形成し、同層状物の上下部の層が各々緯糸層であり、前記第3方向の繊維群が前記層状物を貫通すると共に前記上下部の緯糸繊維を前後に通過して内部の経糸、緯糸層を固定して型通りの織物に形成する結び糸であり、前記織物は前記経糸層と緯糸層が全ての厚みにおいて相互結束されるウェブと、前記層状物が二分されて、各二分された層状物が各々第2の結び糸によって織成されるフランジと、を備える構造材強化用の三次元織物が記載されている。この発明によれば、平行六面体の断面を有する強化物を得るのみならず、I、T、J、及びΩ形状の断面を有する強化繊維も単体で得ることができ、その後構造材の生産物に用いることができることが記載されている。
特開昭57-176232号公報
構造材強化用の三次元織物では、織物を屈曲させて使用することがある。この際、曲面の内側では、繊維が座屈するように曲がる。高弾性のセラミック繊維は大きく曲げると折れやすく、強度低下の原因となる。またさらに、エポキシ樹脂等で含浸される繊維強化プラスチックに対して、全体がセラミックであるセラミック繊維強化複合材では、弾性率が高いため変形が分散しにくく、応力が集中し、繊維の破断が起きやすくなる。
本発明は、複合材の骨材として曲げて使用しても強度が低下しにくいセラミック繊維多層織物及びこれを用いた複合材を提供することを目的とする。
本発明のセラミック繊維多層織物(以下、「本多層織物」という。)は、厚さ方向にL層に積層したM本の緯糸及び前記緯糸と交鎖するN本の経糸で完全組織を構成するセラミック繊維多層織物であって、前記多層織物は、経糸方向に互いに隣接する前記緯糸が欠落した屈曲部を有する。
本発明の複合材(以下、「本複合材」という。)は、本多層織物とマトリックスとを含む。
本多層織物は、前記屈曲部を有することにより、かかる屈曲部で多層織物を屈曲させても、強度低下を抑制することができる。本複合材は、強度低下を抑制しつつ、種々の形状に対応することができる。
従来の多層織物Xの斜視図である。 多層織物Xの完全組織の(a)斜視図及び(b)組織図である。 変形例X’の完全組織の(a)斜視図及び(b)組織図である。 変形例X”の完全組織の(a)斜視図及び(b)組織図である。 従来の多層織物Yの斜視図である。 多層織物Yの完全組織の(a)斜視図及び(b)組織図である。 本発明の実施形態である多層織物Aの斜視図である。 欠落した緯糸を破線で示した多層織物Aの斜視図である。 多層織物Aの緯糸方向からの側面図である。 本発明の実施形態である多層織物Bの斜視図である。 欠落した緯糸を破線で示した多層織物Bの斜視図である。 多層織物Bをドビー織機で織る状態を示す図である。(a)は斜面図、(b)は側面概略図である。 多層織物Aを曲げたときの緯糸及び経糸の変化を示し、(a)及び(b)は折り曲げる前、(c)は折り曲げた後の断面図である。 多層織物Xを曲げたときの緯糸及び経糸の変化を示し、(a)は折り曲げる前、(b)は折り曲げた後の断面図である。
以下、図面に記載された本発明の実施形態を参照しながら、本発明を説明する。尚、本発明は、本書面及び図面に記載された具体的に実施形態に限られず、目的、用途に応じて種々変更することができる。
1.セラミック繊維多層織物
従来の多層織物の一例を図1及び図5に示す。従来の多層織物X及びYでは、セラミック繊維の緯糸(1)が厚さ方向に複数(多層織物Xでは3層、多層織物Yでは6層)積層され、これがセラミック繊維の経糸(2)によって織り合わせている。尚、本書面において、「経糸」は織機での巻取り方向の糸を意味し、「緯糸」はそれに直交する方向の糸を意味する。また、経糸は平面視1本ずつ並んで配置され、緯糸は平面視複数本が積層して配置されている。
「完全組織」とは、織布を構成する最小単位である。図1及び図5の破線で囲まれた領域は完全組織であり、多層織物Xでは、経糸方向に2単位、緯糸方向に4単位の完全組織(3)を有する。多層織物Yでは、経糸方向に2単位、緯糸方向に2単位の完全組織(3)を有する。
図2及び図6は、多層織物X及びYの完全組織を示す。(a)は斜視図である。図2(a)中の数字は、複数層の緯糸に対する経糸の位置を示す。即ち、数字「α」(α;1~緯糸の積層数、図2であれば「3」)は第α層を構成する緯糸(以下、「第α層緯糸」という。)の下に経糸が位置することを示している。例えば、(a)において、「1」は経糸が第1層緯糸の下に位置することを意味する。一方、(a)において、「0」は経糸が第1層緯糸の上に浮いて第1表面に表れていることを意味する。尚、本書面において、「第1表面」は、多層織物の一方の側の表面を意味し、「第2表面」は、その反対側の表面を意味する。そして、「第1層緯糸」は、第1層(第1表面の層)を構成する緯糸を意味し、積層された緯糸のうち、第1層緯糸から第2表面へ向かって、第2層緯糸、第3層緯糸、・・と表現する。図2において、第2表面の層を構成する緯糸は第3層緯糸である。
図2及び図6の(b)は完全組織の組織図であり、個々のマス目は、経糸と緯糸とが交わる点(交鎖点)を模式的に示している。黒塗りのマス目は、経糸が第1層緯糸の上に浮いて第1表面に表れている交鎖点を示し、「組織点」と呼ばれている。数字は(a)と同じ意味である。一般的な多層織物において組織点は、1つの完全組織中、経糸方向及び緯糸方向の各列で1つずつ存在する。組織点の位置は、上記ルールに基づき、どのように配置されていてもよい。組織点の配置の仕方によって様々な模様が形成される。例えば、(6,6)の行列で示される多層織物Xでは、組織点は(i,i)(i=1~6)の位置に存在する。また、(12,12)の行列で示される多層織物Yでは、組織点は(i,i)(i=1~12)の位置に存在する。
多層織物Xの変形例X’及びX”の完全組織を図3及び図4に示す。(a)は斜視図、(b)は組織図である。(b)中の黒塗りのマス目及び数字は、図2(b)のマス目及び数字と同じ意味である。変形例X’及びX”と多層織物Xとは、組織点の配置が異なる。
多層織物X(3層構造)を曲げた場合の緯糸及び経糸の変化を図14に示す。(a)は折り曲げる前、(b)は折り曲げた後の断面図である。(a)及び(b)において、経糸(1)は1本のみ示している。多層織物Xでは、3層分の緯糸(2)が積層されているので、曲げた内側では緯糸(2)の間隔が密になり、外側では疎になる。それに伴って経糸(1)には大きな張力がかかり、緯糸(2)にかかる負担が大きくなる。また、曲げた箇所の内側では経糸が強く圧縮されるので、当該箇所における経糸(図示せず)が座屈しやすくなる。その結果、繊維の破断が起きやすくなる。
本発明の実施形態である多層織物Aを図7及び図8に、他の実施形態である多層織物Bを図10及び11に示す。多層織物Aの完全組織は、厚さ方向に3層に積層した18本の緯糸及び前記緯糸と交鎖する6本の経糸で構成される。多層織物Bの完全組織は、厚さ方向に6層に積層した72本の緯糸及び前記緯糸と交鎖する12本の経糸で構成される。
多層織物A及びBに限らず、本多層織物の層数は2以上であれば特に限定はなく、必要に応じて種々の層数とすることができる。前記層数として具体的には、例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15それ以上の層数とすることができる。
本多層織物では、厚さ方向にL層に積層したM本の緯糸及び前記緯糸と交鎖するN本の経糸で完全組織を構成する(L,N,M;2以上の整数)。前記完全組織の層数(L)と前記完全組織を構成する緯糸の本数(M)及び経糸の本数(N)との関係には特に限定はない。L、M、及びNは必要に応じて種々の数値とすることができる。本多層織物において、M=2L且つN=2Lであることが好ましい。多層織物Aでは、L=3、M=2×3=18、N=2×3=6である。多層織物Bでは、L=6、M=2×6=72、N=2×6=12である。
L=6である多層織物Bの完全組織において、積層された一組の緯糸と交差する経糸の位置を、前述する複数層の緯糸に対する経糸の位置αとして順に記載すると、0,1,2,3,4,5,6,5,4,3,2,1となる。「α=0」「α=6」は1回ずつ、「α=1」~「α=5」は2回ずつ出現する。即ち、完全組織の経糸の数(N)はそれらの総和12本であり、N=2Lとなる。また、緯糸は経糸と同様に12組必要であり、1つの緯糸群にそれぞれ6層あるため、72本、M=2Lとなる。これは6層に限らず、何層でも同様に適用できる。
本多層織物は、経糸方向に互いに隣接する緯糸が欠落した屈曲部を有する。本多層織物は、前記屈曲部で適宜屈曲させることにより、種々の形状とすることができる。
多層織物Aの屈曲部を図7~図9に示す。図8では、従来の多層織物との比較のため、屈曲部において欠落した緯糸を破線で示している。図9中、「●」は緯糸が存在する位置、「○」は、緯糸が欠落している位置を示す。図7及び図8の上から6、7番目(f、g)の緯糸の位置及び図9の位置f、gが屈曲部(4)に該当する。欠落した緯糸の本数はそれぞれ上から6番目(図9の位置f);1本、7番目(図9の位置g);1本である。
緯糸が存在する場合は「1」,存在しない場合は「0」として、多層織物Aの各緯糸群について配列を用いて表記すると、位置aの緯糸群では(1,1,1)、位置fの緯糸群では(0、1,1)となる。多層織物Aの位置a~lについて配列を用いて表記すると、以下の通りとなる。
(1,1,1):a~e,h~l
(0,1,1):f,g
多層織物Aを屈曲部で曲げたときの緯糸及び経糸の変化を図13に示す。(a)及び(b)は折り曲げる前の状態を示す。(a)では、便宜上、欠落した緯糸の位置も含めて記載している。(a)中、「●」は緯糸が存在する位置、「○」は、緯糸が欠落している位置を示す。(a)及び(b)において、経糸は1本のみ示している。経糸が最も高くなっている位置で、上に凸となるように多層織物Aは曲げられる。
図13(a)及び(b)より、折り曲げる前の状態では、屈曲部(4)の経糸(2)は折り曲げる位置で経糸がないので緯糸2本分にわたって浮いた状態となる。(c)より、折り曲げた後、屈曲部(4)では緯糸(1)が欠落しているので織物がもともと薄く、また、曲げに伴う緯糸(1)にかかる伸びを緯糸2本分の長さで分散することができるので、緯糸(1)にかかる負担を小さくすることができる。その結果、本多層織物では、折り曲げた際の強度低下を抑制することができる(尚、当該説明は、発明者個人の見解であり、本発明を限定又は定義する趣旨の記載ではなく、その意図もない。)。
多層織物Bの屈曲部を図10及び11に示す。図11では、従来の多層織物との比較のため、屈曲部において欠落した緯糸を破線で示している。図10及び図11の上から3~9番目(c~i)の緯糸の位置が屈曲部(4)に該当する。欠落した緯糸の本数はそれぞれ上から3番目(図11の位置c);1本、4番目(図11の位置d);2本、5番目(図11の位置e);3本、6番目(図11の位置f);4本、7番目(図11の位置g);3本、8番目(図11の位置h);2本、9番目(図11の位置i);1本である。
多層織物Bの各緯糸群について、多層織物Aと同様に配列を用いて表記すると、以下の通りとなる。緯糸の欠落しているc~iが屈曲部であり、aより前、mより後は記載されていないが任意の配列をとることができる。
(1,1,1,1,1,1):a,b,j~m
(0,1,1,1,1,1):c,i
(0,0,1,1,1,1):d,h
(0,0,0,1,1,1):e,g
(0,0,0,0,1,1):f
屈曲部の構造が異なる他の本発明の実施形態である多層織物C~Hについて説明する。多層織物C~Hはいずれも多層織物Bと同様に、厚さ方向に緯糸が6層積層されている。
多層織物Cの各緯糸群を、同様に配列を用いて示すと、以下の通りとなる。緯糸の欠落しているc~kが屈曲部であり、aより前、mより後は記載されていないが任意の配列をとることができる。多層織物Cは、多層織物Bよりも1層深く緯糸が欠落している。
(1,1,1,1,1,1):a,b,l,m
(0,1,1,1,1,1):c,k
(0,0,1,1,1,1):d,j
(0,0,0,1,1,1):e,i
(0,0,0,0,1,1):f,h
(0,0,0,0,0,1):g
多層織物Dの各緯糸群を、同様に配列を用いて示すと、以下の通りとなる。緯糸の欠落しているc~mが屈曲部であり、aより前、oより後は任意の配列をとることができる。多層織物Dは、多層織物Cよりも更に1層深く緯糸が欠落し、緯糸が全て欠落している部分hが存在する。
(1,1,1,1,1,1):a,b,n,o
(0,1,1,1,1,1):c,m
(0,0,1,1,1,1):d,l
(0,0,0,1,1,1):e,k
(0,0,0,0,1,1):f,j
(0,0,0,0,0,1):g,i
(0,0,0,0,0,0):h
多層織物Eの各緯糸群を、同様に配列を用いて示すと、以下の通りとなる。緯糸の欠落しているc~iが屈曲部であり、aより前、kより後は記載されていないが任意の配列をとることができる。多層織物Eは、多層織物Bに対し、両側から緯糸を欠落させ、緯糸が全て欠落している部分fが存在する。
(1,1,1,1,1,1):a,b,j,k
(0,1,1,1,1,1):c,i
(0,0,1,1,1,0):d,h
(0,0,0,1,0,0):e,g
(0,0,0,0,0,0):f
多層織物Fの各緯糸群を、同様に配列を用いて示すと、以下の通りとなる。緯糸の欠落しているg~iが屈曲部であり、aより前、mより後は記載されていないが任意の配列をとることができる。多層織物Fは、緯糸群hでは全て緯糸を欠落させ、その両隣は、半分の緯糸を欠落させている。
(1,1,1,1,1,1):a~f,j~m
(0,1,0,1,0,1):g,i
(0,0,0,0,0,0)h
多層織物Gの各緯糸群を、同様に配列を用いて示すと、以下の通りとなる。緯糸の欠落しているc~iが屈曲部であり、aより前、kより後は記載されていないが任意の配列をとることができる。多層織物Fは、多層織物Eに対し、欠落している緯糸が1層浅く、緯糸が全て欠落している部分がない。
(1,1,1,1,1,1):a~c,i~k
(0,1,1,1,1,1):d,h
(0,0,1,1,1,0):e,g
(0,0,0,1,0,0):f
多層織物Hの各緯糸群を、同様に配列を用いて示すと、以下の通りとなる。緯糸の欠落しているc~iが屈曲部であり、aより前、mより後は記載されていないが任意の配列をとることができる。多層織物Hは、多層織物Bに対し、表層部分の緯糸を残しつつV字型に緯糸を欠落させた構造をとっている。
(1,1,1,1,1,1):a,b,j~m
(0,1,1,1,1,1):c,i
(0,0,1,1,1,1):d,h
(1,0,0,1,1,1):e,g
(1,1,0,0,1,1):f
本多層織物において、前記屈曲部は、本多層織物の任意の箇所に設けることができる。また、前記屈曲部は、本多層織物のうちの1箇所だけでもよく、2箇所以上に設けてもよい。前記屈曲部を2箇所以上設ける場合、第1表面側又は第2表面側にのみ設けてもよく、第1表面側と第2表面側の両方に設けてもよい。具体的には、例えば、多層織物A~Dでは、屈曲部が第1表面側に1箇所設けられている。一方、多層織物E及びGでは、屈曲部は、第1表面と第2表面のそれぞれに対向する位置にそれぞれ設けられ、それぞれ内層に向かって欠落される緯糸の本数が徐々に少なくなっている。
本多層織物において、前記屈曲部は、経糸方向に互いに隣接する緯糸が欠落した構成を有する限り、具体的構成に特に限定はない。欠落した緯糸の本数は、経糸方向に互いに隣接する限り、その本数に限定はなく、要求される屈曲部の幅等を考慮して、必要に応じて適宜の本数とすることができ、例えば2本以上、3本以上、4本以上とすることができる。該本数の上限は、例えば、20本以下、18本以下、16本以下とすることができる。
前記屈曲部では、多層織物A(図7~9)のように経糸方向に互いに隣接する緯糸が欠落している層が1層だけでもよいが、多層織物B(図10及び11)等のように、複数層にわたって、経糸方向に互いに隣接する緯糸が欠落していることが好ましい。また、多層織物B(図10及び11)等のように、経糸方向に互いに隣接する緯糸が欠落した層が2層以上連続していてもよく、あるいは、多層織物Fのように、かかる層が連続していなくてもよい。
前記屈曲部において、各層で欠落している緯糸の本数は同じでもよく、異なってもよい。例えば、前記屈曲部のある層において欠落している緯糸の本数は、他の層、特に前記ある層の直下の層において欠落している緯糸の本数と同じでもよく、あるいは多くても又は少なくてもよい。具体的には、例えば、多層織物B~E及びGに示すように、各層で欠落している緯糸の本数が全て異なってもよい。また、多層織物F及びHに示すように、ある層と他の層で欠落している緯糸の本数が同じでもよい。
前記屈曲部において、緯糸の欠落パターンにも特に限定はない。例えば、多層織物A及びB(図7~図11)並びにC及びDに示すように、第1表面から内層に向かって、欠落している緯糸の本数が徐々に少なくなるパターンとすることができる。これとは逆に、第2表面から内層に向かって、欠落している前記緯糸の本数が徐々に少なくなるパターン(第2表面側の屈曲部)とすることもできる。多層織物の第1表面と第2表面のそれぞれに対向する位置に屈曲部をそれぞれ設ける場合、多層織物E及びGに示すように、いずれか一方の屈曲部は、第1表面から第2表面に向かって、欠落している緯糸の本数が徐々に少なくなるパターンとし、且つ他方の屈曲部は、第1表面から第2表面に向かって、欠落している緯糸の本数が徐々に増えるパターン、即ち、第1表面及び第2表面から内層に向かって欠落される緯糸の本数が徐々に少なくなるパターンとすることができる。
また、多層織物Hのように、ある層中で、経糸方向に互いに隣接する緯糸が欠落している構成が、緯糸を挟んでいて2以上存在するパターンとすることもできる。当該構成間の緯糸の本数は、必要に応じて適宜設定することができる。該本数は通常、1以上であり、好ましくは1~5である。
前記セラミック繊維は、セラミックスで製造された繊維である限り、材質に特に限定はない。上記セラミック繊維として、例えば、炭化珪素繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、ムライト繊維、及びシリカ繊維が挙げられる。
緯糸及び経糸を構成するセラミック繊維の材質は同じでもよく、異なってもよい。例えば、緯糸及び経糸を全て同じ材質のセラミック繊維としてもよく、又は緯糸を全て同じ材質のセラミック繊維とし、且つ経糸は全て、前記緯糸とは異なる材質のセラミック繊維とすることができる。更に、緯糸として、材質が異なる2以上のセラミック繊維を併用してもよく、同様に、経糸として、材質が異なる2以上のセラミック繊維を併用してもよい。
前記セラミック繊維は、複数本のセラミック繊維を束ねたセラミック繊維束でもよい。セラミック繊維がまとまって束で存在すると、セラミック繊維間に空間ができにくいので、セラミック複合材料中のセラミック繊維の存在比率を高くすることができ、高強度のセラミック複合材料を得ることができる。前記セラミック繊維束を構成するセラミック繊維の本数には特に限定はなく、例えば、100~5000本とすることができる。
本発明において、緯糸及び経糸の織り合わせは、多層織物の形態を維持できる限り、具体的に限定はない。
本多層織物の製造方法には特に限定はない。本多層織物は、通常の織機、例えば、複数の経糸を連携して上下させることができるドビー織機、あるいは複数の経糸を個別に制御できるジャガード織機により製造することができる。トビー織機では、単純なパターンの繰り返しの織物の製造に好適である。一方、完全組織の経糸の本数が多い場合又は繰り返し構造の多層織物でない場合には、ジャガード織機で織ることが好ましい。
本多層織物の製造例として、多層織物Bをドビー織機で織る状態を図12に示す。バックビーム(5)には、多層織物Bの製造に必要な本数の経糸が同時に巻回されている。バックビーム(5)側からクロスビーム(6)側に向かって経糸(2)が送られ、送られる過程で経糸(2)の間に緯糸(1)が織りこまれる。完全組織に含まれる経糸(2)の本数のへドル(7)が使用され、完全組織の同じ位置にある経糸(2)は、連携して上下するようになっている。組織図のパターンに従ってへドル(7)を上下させ、所定の経糸(2)の間をシャトル(8)に巻かれた緯糸(1)が通過し、多層織物が形成される。緯糸を打ち込むためのシャトル(8)を止めることにより、織物構造中から緯糸(1)を欠落させることができる。よって、所望の箇所でシャトル(8)を止めて織物構造中から緯糸(1)を欠落させることにより、前記屈曲部を形成することができる。
2.セラミック複合材
本発明のセラミック複合材(以下、単に「本複合材」という。)は、本多層織物及びマトリックスを含む限り、その具体的構成に特に限定はない。本複合材は通常、本多層織物を骨材とし、これにマトリックス材料が浸透することにより形成される。
前記マトリックスの材質には特に限定はない。前記マトリックスとして例えば、セラミックマトリックスが挙げられる。具体的には、耐熱性等の観点から、黒鉛、炭素、炭化珪素、アルミナ、窒化珪素、及び窒化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも一種のマトリックスであることが好ましい。前記マトリックスがセラミックマトリックスである場合、マトリックスを構成するセラミックの材質は、セラミック繊維を構成するセラミックの材質と同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記マトリックスは、必要に応じて他の成分及び/又は部材を含んでいてもよい。例えば、前記マトリックスは中空体を含んでいてもよい。
本複合材の製造方法に特に限定はない。本複合材は通常、骨材である本多層織物に、公知の方法でマトリックスを形成することにより製造される。具体的には、例えば、本多層織物に対してマトリックス材料又はマトリックス前駆体を含むスラリーを含浸させ、次いで焼成することにより、本複合材を製造することができる。また、CVD炉内で、本多層織物に対して加熱した状態のマトリックス材料原料ガスを導入し、該ガスを本多層織物に接触させることにより、本複合材を製造することができる。
本複合材の用途には特に限定はない。本複合材は、公知の繊維強化複合材料が使用されている分野、例えば建物、航空機、自動車、船舶、高温炉等において使用することができる。本複合材から形成される部材の形状には特に限定はなく、用途に応じて様々な形状とすることができる。上記のように、本複合材の骨材である本多層織物は、前記屈曲部を有することにより、曲げて使用しても強度が低下しにくい。よって、本複合材から形成される部材は、前記屈曲部において屈曲された形状であることが好ましい。
X,Y;従来の多層織物、X’及びX”;多層織物Xの変形例、A,B;本発明の実施態様の多層織物。1;緯糸、2;経糸、3;完全組織、4;屈曲部、5;バックビーム、6;クロスビーム、7;へドル、8;シャトル。

Claims (7)

  1. 厚さ方向にL層に積層したM本の緯糸及び前記M本の緯糸を織り合わせるN本の経糸で完全組織を構成する部分と(L,N,M;2以上の整数)、屈曲部と、を有するセラミック繊維多層織物であって、
    前記経糸は、平面視1本ずつ並んで配置され、前記緯糸は平面視複数本が積層して配置され、
    前記屈曲部では、経糸方向に互いに隣接する前記緯糸が欠落している、セラミック繊維多層織物。
  2. 前記屈曲部では、複数層にわたって前記緯糸が欠落している、請求項1に記載のセラミック繊維多層織物。
  3. 前記屈曲部では、前記多層織物の第1表面又は第2表面から内層に向かって、層内において欠落させる前記緯糸の本数が徐々に少なくなっている、請求項1又は2に記載のセラミック繊維多層織物。
  4. 前記屈曲部は、前記多層織物の第1表面と第2表面とのそれぞれに対向する位置にそれぞれ備えられている、請求項1~3のいずれか1項に記載のセラミック繊維多層織物。
  5. 前記厚さ方向にL層に積層したM本の前記緯糸と、前記緯糸と交鎖するN本の前記経糸はそれぞれ、
    M=2L且つN=2L
    を満たす、請求項1~4のいずれか1項に記載のセラミック繊維多層織物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載のセラミック繊維多層織物からなる骨材及びマトリックスを含む、複合材料。
  7. 前記マトリックスはセラミックからなる、請求項6に記載の複合材料。
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