JP7335198B2 - 長尺形状部品のプレス成形法、及び同成形法により成形した車両用ピラー部材 - Google Patents
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Description
図1は車両用センターピラー部材10を車外方向から見た斜視図を示し、図2は正面図を示し、図3は側面図を示す。なお、図1の車両用センターピラー部材10は自動車等車両の進行方向左側に設置された構成を示している。上掲の背景技術でも説明したように、自動車等車両の側部には、車体の建付け構造としてピラー部材が配設される。ピラー部材には、自動車の前方から通称Aピラーと称されるフロントピラー部材、通称Bピラーと称されるセンターピラ―部材、通称Cピラーと称されるリヤピラー部材がある。本実施形態のピラー部材は、そのうちBピラーと称される車両用センターピラー部材10である。
次に、図4に基づいて、車両用センターピラー部材10の横断面形状を説明する。図4は図1及び図2におけるIV-IV線断面の形状を模式的に示したものである。車両用センターピラー部材10の横断面形状は、図4に示すように、基本形態がハット型形状として形成される。
図4に示すように、センターピラー部材10は横断面形状がハット型形状であることから、天板部24とフランジ部28との間は、側板部26で形成されるプレス成形品として深さを有する形状となっている。本明細書では、この深さを「ハット深さ」と称し、Hで表した。このハット深さHの深さは、センターピラー部材10の長尺方向の位置によって異なっている。図3の図示例のセンターピラー部材10の場合は、高さ方向の中央部位置のハット深さHが最も深く、中央部位置から上端部位置又は下端部位置に向けて徐々にハット深さHが浅くなっている。
次に、センターピラー部材10をプレス成形するプレス成形工程について説明する。本発明におけるプレス成形工程は冷間プレス成形であり、二種類のプレス成形工程行われる。本実施形態は、第1プレス成形工程12と第2プレス成形工程14とで行われる。図5に第1プレス成形工程12を示し、図6に第2プレス成形工程14を示す。
先ず、図5に示される第1プレス成形工程12を説明する。本実施形態では、この第1プレス成形工程12では、センターピラー部材10におけるハット型形状のハット深さHを半分程度までプレス成形する。すなわち、ハット深さHの浅い中間成形品S2を成形する。第1プレス成形工程12は絞り成形であるため、第1プレス成形工程12の成形を、本発明者らは「浅絞り成形」と称している。
図5の上段の図示状態は、第1プレス成形工程12の成形前(上死点)状態を示す。この成形前状態では、平板状の成形素材S1が上型30のダイ32とブランクホルダ38との間に保持されて、下型34のポンチ36の上面に位置する。なお、この状態では、ブランクホルダ38は不図示の加圧手段により上方への付勢力が付与されており、成形素材S1はブランクホルダ38への付勢力により保持される。ブランクホルダ38への加圧手段としては、ばね手段、ゴム、ガスシリンダ、油圧シリンダ、等がある。このため、ブランクホルダ38はクッションと称されることもある。
図5の中段の図示状態は、第1プレス成形工程12の成形途中状態を示す。この成形途中状態は、上型30のダイ32が成形素材S1をブランクホルダ38に保持した状態で下降移動する状態である。この状態では、成形素材S1は下型34のポンチ36の上面(成形面)に当たって、順次、ポンチ36によりプレス加工がなされる。なお、この状態では、上型30のダイ32の下面(成形面)は成形素材S1には当たっていない。したがって、この状態では、車両用センターピラー部材10の側板部26についての絞り成形の中間成形が行われる。
図5の下段の図示状態は、第1プレス成形工程12の成形後(下死点)状態を示す。この成形後状態は、前述の成形途中状態が進み、上型30のダイ32が当該第1プレス成形工程12における下死点まで移動した状態を示す。この状態では、中段に示す成形途中の成形素材S1は、上型30のダイ32と下型34のポンチ36とに挟まれて中間成形が完了した状態となり、中間成形品S2の成形が完了する。
次に、図6に示される第2プレス成形工程14を説明する。この第2プレス成形工程14は、前述の第1プレス成形工程12で成形した中間成形品S2を車両用センターピラー部材10の最終成形品S3に成形する工程である。すなわち、この第2プレス成形工程14においては、センターピラー部材10におけるハット型形状のハット深さHは最終製品形状の所定の深さに成形される。
図6の上段の図示状態は、第2プレス成形工程14の成形前(上死点)状態を示す。この成形前状態では、上型40のダイ42及びパッド50と、下型44のポンチ46とは空間部を有した離間した配置状態にある。そして、この両者40、44間に、前述の第1プレス成形工程12で成形された中間成形品S2が載置される。詳細には、中間成形品S2における天板部24の位置が、ポンチ46の上面(成形面)上に位置決めされて載置される。
図6の中段の図示状態は、第2プレス成形工程14の成形途中状態を示す。この成形途中状態は、上型40のダイ42及びパッド50が下降移動して、パッド50が中間成形品S2の天板部24に対応する位置に当たって、下型44のポンチ46とにより中間成形品S2の天板部24位置を挟持した状態にある。同時に、ダイ42が中間成形品S2のフランジ部28の位置に当たって、下型44のブランクホルダ48とにより中間成形品S2のフランジ部28の位置を挟持した状態にある。すなわち、中間成形品S2は上型40のダイ42と下型44のブランクホルダ48とにより掴まれた状態にある。なお、この状態では、上型40のダイ42と下型44のポンチ46との間には、まだ成形空間がある。
図6の下段の図示状態は、第2プレス成形工程14の成形後(下死点)状態を示す。この成形後状態は、前述の成形途中状態が進み、上型40のダイ42と下型44のポンチ46との間の成形空間が無くなるまで成形され、最終成形品S3に成形された状態を示す。これにより、車両用センターピラ―部材10のプレス成形が終了する。
次に、本実施形態が特徴とする、第2プレス成形工程14の上型40にパッド50を複数個配設し、プレス型にプレス基準ピン52を用いてプレス成形を行うプレス成形法について説明する。
パッド50の配設状態を示す。なお、図9においては、パッド50の配置位置を模式的に斜線範囲で示すものであり、パッド50の構造形態を示すものではない。しかるところ、パッド50は、図9に示すように、長尺方向に分割して複数個所配設されており、本実施形態では、3個所に分割して配設されている。説明の都合上、この3個のパッド50を、図9で見て、右側から順に、第1パッド50a、第2パッド50b、第3パッド50cとした。
次に、図11~図13によりプレス型によるプレス成形状態を説明する。プレス基準ピン52は、通常、プレス型における下型34、44に設定される。図11~図13のプレス型はパッド50が配設された場合であるので、図9に示す上型40にパッド50が配設されて中間成形品S2が最終成形品S3に成形される場合である。したがって、必要に応じて、図9を参照しつつ説明する。
次に、上述した本実施形態の作用効果を説明する。
以上、本発明の特定の実施形態について説明したが、本発明は、その他各種の形態でも実施できる。
なお、最後に上述の「課題を解決するための手段」における各発明に対応する上記実施形態の作用効果を付記しておく。
12 第1プレス成形工程
14 第2プレス成形工程
16 取付部
18 ルーフサイドレール
20 取付部
22 サイドシル
24 天板部
26 側板部
26L 左側の側板部
26R 右側の側板部
28 フランジ部
28L 左側のフランジ部
28R 右側のフランジ部
30 上型(第1プレス成形工程用)
32 ダイ(第1プレス成形工程用)
34 下型(第1プレス成形工程用)
36 ポンチ(第1プレス成形工程用)
38 ブランクホルダ(第1プレス成形工程用)
40 上型(第2プレス成形工程用)
42 ダイ(第2プレス成形工程用)
44 下型(第2プレス成形工程用)
46 ポンチ(第2プレス成形工程用)
48 ブランクホルダ(第2プレス成形工程用)
50 パッド
50a 第1パッド
50b 第2パッド
50c 第3パッド
52 プレス基準ピン
52a 第1基準ピン
52b 第2基準ピン
52c 第3基準ピン
54 プレス基準ピン孔
54a 第1基準ピン孔
54b 第2基準ピン孔
54c 第3基準ピン孔
56 嵌合穴
56a 第1嵌合穴
56b 第2嵌合穴
56c 第3嵌合穴
H ハット深さ
S1 成形素材
S2 中間成形品
S3 最終成形品
t パッドのプレスストローク
Claims (5)
- プレス成形品は長尺形状で長尺方向に直交する横断面形状がハット型形状で中央部に天板部、両端部にフランジ部を有する長尺形状部品であり、この長尺形状部品のプレス成形品を冷間プレス成形により成形する、長尺形状部品のプレス成形法であって、
前記長尺形状部品における前記ハット型形状のフランジ部から天板部までのハット深さは長尺方向の位置で異なっており、
前記ハット深さの成形を、中間成形品を成形する第1プレス成形工程と、最終成形品を成形する第2プレス成形工程との複数回のプレス成形工程により成形し、
前記第2プレス成形工程におけるプレス型には、その上型には前記ハット型形状の天板部に対応する位置にパッドが配設され、下型には前記ハット型形状のフランジ部に対応する位置にプレス成形品を挟持するブランクホルダが配設されており、
前記パッドは、前記長尺形状部品の長尺方向に分割して複数配設されており、
前記第2プレス成形工程の成形当初における前記パッドの上型からのプレス成形方向への飛び出し量は、前記長尺方向に分割して配設される複数のパッドにおける当該パッドが配設される位置の異なりによる前記ハット深さの異なりに関係して設定される、長尺形状部品のプレス成形法。 - 請求項1に記載の長尺形状部品のプレス成形法であって、
前記第2プレス成形工程の成形当初における前記パッドの上型からのプレス成形方向への飛び出し量は、当該複数の各パッドが配設される位置における前記最終成形品におけるハット深さ(H1)と前記中間成形品におけるハット深さ(H2)との差(H1-H2)である、長尺形状部品のプレス成形法。 - 請求項1又は請求項2に記載の長尺形状部品のプレス成形法であって、
前記第2プレス成形工程におけるプレス型には、前記長尺形状部品に対するプレス基準ピンが設定されており、当該プレス基準ピンは前記分割して配設されるパッドに設定されている、長尺形状部品のプレス成形法。 - 請求項3に記載の長尺形状部品のプレス成形法であって、
前記複数の各パッドが配設される位置における前記最終成形品におけるハット深さ(H1)と前記中間成形品におけるハット深さ(H2)を定める設定位置は、前記プレス基準ピンが設定される位置である、長尺形状部品のプレス成形法。 - 請求項1に記載の長尺形状部品のプレス成形法であって、
当該長尺形状部品は車両用ピラー部材である長尺形状部品のプレス成形法。
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