JP7335123B2 - 樹脂組成物、硬化性組成物、塗膜付き物品、塗膜付き物品の製造方法、コーティング剤及び積層塗膜付き基材の製造方法 - Google Patents
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Description
本実施形態に係る樹脂組成物は、所定の架橋剤と、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体(以下、「単量体A」ともいう)由来の第1の構造単位及びカルボキシ基を有する重合性二重結合含有単量体(以下、「単量体B」ともいう)由来の第2の構造単位を有する共重合体と、を含有する。かかる共重合体における第1の構造単位の含有量は70質量%以上であり、第2の構造単位の含有量は1質量%以上である。また、かかる架橋剤の含有量は、共重合体100質量部に対して、0.1~4質量部である。
架橋剤は、オキサゾリン基を有する架橋剤、エポキシ基を有する架橋剤、カルボジイミド基を有する架橋剤及びメラミン樹脂系架橋剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
本実施形態に係る共重合体は、単量体A由来の第1の構造単位及び単量体B由来の第2の構造単位を有する。
本実施形態に係る硬化性組成物は、所定の架橋剤と、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体及びカルボキシ基を有する重合性二重結合含有単量体を含むモノマーと、ラジカル発生剤と、を含有する。水酸基を有する(メタ)アクリル単量体の含有量は、モノマー全量を基準として、70質量%以上であり、カルボキシ基を有する重合性二重結合含有単量体の含有量は、モノマー全量を基準として、1質量%以上である。また、かかる架橋剤の含有量は、モノマー100質量部に対して、0.1~4質量部である。
架橋剤は、オキサゾリン基を有する架橋剤、エポキシ基を有する架橋剤、カルボジイミド基を有する架橋剤及びメラミン樹脂系架橋剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である。架橋剤の好ましい種類は、上記樹脂組成物において説明した架橋剤の種類と同様であり、ここでは重複する説明を省略する。
本実施形態に係るモノマーに含まれる、水酸基を有する(メタ)アクリル単量体及びカルボキシ基を有する重合性二重結合含有単量体としては、それぞれ上記樹脂組成物において説明した単量体A及び単量体Bと同様のものを用いることができる。また、モノマーには、単量体A及び単量体Bのいずれでもない単量体Cを含んでいてもよい。当該単量体Cとしては、上記樹脂組成物において説明した単量体Cと同様のものを用いることができる。
ラジカル発生剤としては、例えば光ラジカル発生剤及び熱ラジカル発生剤が挙げられる。
上述した本実施形態に係る樹脂組成物又は硬化性組成物を用いて基材上に塗膜を形成することで、塗膜付き物品を得ることができる。すなわち、本実施形態に係る塗膜付き物品は、基材と、該基材上に設けられた、上記樹脂組成物又は硬化性組成物を架橋してなる架橋体を含む塗膜と、を備える。
本実施形態に係るコーティング剤は、上述した架橋剤を含有する第1剤と、上述した共重合体を含む第2剤と、を備える。このように、第1剤と第2剤とを別々に備えるコーティング剤を用いることで、第1剤から形成される第1の塗膜と第2剤から形成される第2の塗膜とを別々に形成することができ、結果として、基材と、該基材上に設けられた第1の塗膜と、第1の塗膜上の該基材とは反対側の主面上に設けられた第2の塗膜と、を備える積層塗膜付き基材を得ることができる。
[GLMA(グリセロールモノアクリレート)]
撹拌子を入れた反応容器にガス導入管、温度計、冷却管、及び、留出液受器に繋げたトの字管を付し、アクリル酸メチル230g、2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノール(DOM)70gを仕込み、ガス導入管を通して酸素/窒素混合ガス(酸素濃度7vol%)を吹き込みながら反応溶液を攪拌し、オイルバス(バス温110℃)で加熱を開始した。留出液に水が出てこなくなってから、チタンテトライソプロポキシド4.5gを反応容器に添加し、エステル交換反応を開始させた。生成してくるメタノールをアクリル酸メチルで共沸留去しながら、ガスクロマトグラフィ(GC)分析によりiPGLMA(イソプロピリデングリセリルアクリレート)/DOMの面積比を追跡した。反応開始から7時間後のGC分析で、iPGLMA/DOMの面積比が9/1を超えたのを確認し、反応を終了し、室温まで冷却した。このようにして、GLMA合成の中間体として、1,3―ジオキソラン構造を有する単量体である、iPGLMAを得た。反応液に精製水150gと抽出溶媒として酢酸エチル300gを加え10分撹拌した。チタンテトライソプロポキシドの加水分解により生じた酸化チタンの沈殿を、吸引濾過で除いた濾液を分液漏斗に移し、有機層と水層を分離した。有機層を精製水で2回洗浄したのち、ロータリーエバポレーターに移し、残存アクリル酸メチル及び軽沸成分を留去し、iPGLMA96gを得た。
撹拌子を入れた反応容器にガス導入菅、温度計、冷却管を付し、単量体としてGLMA13.3g、アクリル酸(AA)0.7g、溶媒としてイオン交換水125.0gを仕込み、窒素ガスを流しながら98℃まで昇温した。アゾ系ラジカル重合開始剤0.007g(和光純薬株式会社製、商品名:VA086)をイオン交換水1.0gに溶解した溶液を投入し、重合反応を開始した。温度を99℃以上に保ちながら、反応を7時間継続し、その間、反応開始から1時間後、3時間後、5時間後にそれぞれ、0.0035gのVA086をイオン交換水0.5gに溶解した溶液を投入した。
後述する実施例1~7及び比較例1~4で得られた試料フィルムを以下の方法で評価した。結果を表1、表2及び表3に示す。
マイクロメーターにより測定した。
動摩擦測定機(トリニティラボ社製、商品名:TL201Tt)により、ステンレス鋼(SUS)の平板接触子を用いて、荷重400g、速度1000mm/sec、10往復、往復距離10mmの条件で、試料フィルムの摺動抵抗値を測定した。なお、摺動抵抗の測定は、市販のシアノアクリレート系接着剤で、試料フィルムの縁部をポリスチレン製シャーレに固定子、イオン交換水を注ぎ、試料フィルムを浸漬した状態で行った。
上記で得られた共重合体を固形分換算で100質量部、及び架橋剤としてのエポクロスWS-700(オキサゾリン系架橋剤:株式会社日本触媒製)を固形分換算で2質量部配合し、エタノールで希釈して濃度5%に調整し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を、ペットフィルム(東レ ルミラー)上に、バーコーターを用いて塗布し、室温で乾燥後、熱風乾燥機により120℃で30分間、熱処理し試料フィルムとした。
架橋剤の種類及び配合量を下記表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、試料フィルムを得た。表1中の商品名又は略語の詳細を以下に示す。
WS700:エポクロスWS-700(オキサゾリン基含有架橋剤:株式会社日本触媒製)
V-02:カルボジライト V-02(カルボジイミド基含有架橋剤:日清紡ケミカル株式会社製)
エポクロスWS-700をイソプロピルアルコールで濃度0.5%に希釈して得られた第1剤と、上記で得られた共重合体を水で希釈して得られた第2剤(濃度:5%)とを備えるコーティング剤を準備した。続いて、アンダーコートとして第1剤を、バーコーターを用いてペットフィルム上に塗布し、80℃で5分間乾燥した。次に、第2剤を、バーコーターを用いてその上からオーバーコートして塗布した。室温で乾燥後熱風乾燥機により120℃で30分間、熱処理し試料フィルムとした。
第1剤に含まれる架橋剤をカルボジライト V-02に変更した以外は実施例3と同様にして、試料フィルムを得た。
第2剤として、GLMA50質量部、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)45質量部、アクリル酸(AA)5質量部及びラジカル発生剤としてルペロックス575(有機過酸化物:アルケマ吉富社製)0.5質量部からなる液を調製した以外は実施例3と同様にして、試料フィルムを得た。
アンダーコートを行わなかった以外は実施例3と同様にして、試料フィルムを得た。
GLMA:上記グリセロールモノアクリレート
HEA :ヒドロキシエチルアクリレート
AA :アクリル酸
ルペロックス575:ルペロックス575(有機過酸化物:アルケマ吉富社製)
表3に記載の配合で、モノマー、架橋剤及びラジカル発生剤を混合し、硬化性組成物を調製した。得られた硬化性組成物を、ペットフィルム(東レ ルミラー)上に、バーコーターを用いて塗布し、熱風乾燥機により120℃で30分間、熱処理し試料フィルムを得た。
試験生物として、内湾海域の人工構造物に大量付着するタテジマフジツボの付着期幼生(キプリス)を用いた。タテジマフジツボ成体(姫路沿岸産)は、循環式水槽(水温23±1℃)内でアルテミアを給餌することによって、維持・飼育した。成体から孵出したノープリウス幼生を回収し、ろ過海水で満たしたガラスビーカー内に移し、浮遊珪藻Cheatoceros calcitransを与えて飼育することによって、人工的に付着期幼生(キプリス幼生)を得た。得られたキプリス幼生は冷暗処理によって維持した。これらの幼生を試験前に室温に戻し、活発に遊泳する固体を選別し、付着試験に用いた。
実施例3で準備したコーティング剤を用い、アンダーコートとして第1剤を、バーコーターを用いて3cm×3cmの硬質塩化ビニル樹脂板上に塗布し、80℃で5分間乾燥した。次に、第2剤を、バーコーターを用いてその上からオーバーコートして塗布した。室温で乾燥後熱風乾燥機により120℃で30分間、熱処理し試料フィルムとした。
何も塗装しない3cm×3cmの硬質塩化ビニル樹脂板を準備した。
Claims (15)
- オキサゾリン基を有する架橋剤、エポキシ基を有する架橋剤、カルボジイミド基を有する架橋剤及びメラミン樹脂系架橋剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋剤と、
水酸基を有する(メタ)アクリル単量体由来の第1の構造単位及びカルボキシ基を有する重合性二重結合含有単量体由来の第2の構造単位を有する共重合体と、
を含有し、
前記共重合体における前記第1の構造単位の含有量が、70質量%以上であり、
前記共重合体における前記第2の構造単位の含有量が、1質量%以上であり、
前記架橋剤の含有量が、前記共重合体100質量部に対して、0.1~3質量部であり、
前記第1の構造単位における少なくとも10質量%が、グリセロール(メタ)アクリレート由来の構造単位を含む、
樹脂組成物。 - 前記架橋剤が、水溶性を有するオキサゾリン環含有重合体である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 防汚塗料用である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 医療用具コーティング用である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- オキサゾリン基を有する架橋剤、エポキシ基を有する架橋剤、カルボジイミド基を有する架橋剤及びメラミン樹脂系架橋剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋剤と、
水酸基を有する(メタ)アクリル単量体及びカルボキシ基を有する重合性二重結合含有単量体を含むモノマーと、
ラジカル発生剤と、
を含有し、
前記水酸基を有する(メタ)アクリル単量体の含有量が、前記モノマー全量を基準として、70質量%以上であり、
前記カルボキシ基を有する重合性二重結合含有単量体の含有量が、前記モノマー全量を基準として、1質量%以上であり、
前記架橋剤の含有量が、前記モノマー100質量部に対して、0.1~3質量部であり、
前記水酸基を有する(メタ)アクリル単量体が、グリセロール(メタ)アクリレートを含む、
硬化性組成物。 - 前記架橋剤が、水溶性を有するオキサゾリン環含有重合体である、請求項5に記載の硬化性組成物。
- 防汚塗料用である、請求項5又は6に記載の硬化性組成物。
- 医療用具コーティング用である、請求項5又は6に記載の硬化性組成物。
- 基材と、該基材上に設けられた、請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂組成物又は請求項5~8のいずれか一項に記載の硬化性組成物を架橋してなる架橋体を含む塗膜と、を備える、塗膜付き物品。
- 基材の少なくとも一方の主面上に、請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂組成物又は請求項5~8のいずれか一項に記載の硬化性組成物を塗布して塗膜を形成するコーティング工程を備える、塗膜付き物品の製造方法。
- オキサゾリン基を有する架橋剤、エポキシ基を有する架橋剤、カルボジイミド基を有する架橋剤及びメラミン樹脂系架橋剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋剤を含有する第1剤と、
水酸基を有する(メタ)アクリル単量体及びカルボキシ基を有する重合性二重結合含有単量体を含むモノマーと、ラジカル発生剤と、を含有し、前記水酸基を有する(メタ)アクリル単量体の含有量が、前記モノマー全量を基準として、70質量%以上であり、前記カルボキシ基を有する重合性二重結合含有単量体の含有量が、前記モノマー全量を基準として、1質量%以上であり、前記水酸基を有する(メタ)アクリル単量体が、グリセロール(メタ)アクリレートを含む、第2剤と、
を備える、コーティング剤。 - 前記架橋剤が、水溶性を有するオキサゾリン環含有重合体である、請求項11に記載のコーティング剤。
- 防汚塗料用である、請求項11又は12に記載のコーティング剤。
- 医療用具コーティング用である、請求項11又は12に記載のコーティング剤。
- 基材の少なくとも一方の主面上に、請求項11~14のいずれか一項に記載のコーティング剤における前記第1剤を塗布して第1の塗膜を形成するアンダーコーティング工程と、
前記第1の塗膜上に、前記第2剤を塗布して第2の塗膜を形成するコーティング工程と、
を備える、積層塗膜付き基材の製造方法。
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