JP7334747B2 - ドライパウダー、及びドライパウダーの製造方法 - Google Patents
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Description
その手法としては、酸素含有極性基を有さない異種のテトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーをドライブレンドする手法、上記手法において、さらに上記テトラフルオロエチレン系ポリマーの溶融温度付近にて加熱してから粉砕する手法(特許文献1参照)、上記パウダーの水分散液を凍結乾燥させる手法(特許文献2参照)、上記パウダーを含む水分散液を共凝析させる手法(特許文献3~5参照)、上記パウダーを含む水分散液を噴霧乾燥させる手法(特許文献6参照)が提案されている。
本発明者らは、従来知られていない、酸素含有極性基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーを使用した、異種のテトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダー同士のブレンドを検討した。その結果、それぞれのポリマーの物性を損なわずに、押出成形性と延伸成形性と接着性とに優れた成形品を形成するパウダー、及び、静電塗装に適した接着性の高いパウダーを得た。
<1> テトラフルオロエチレンに基づく単位及び酸素含有極性基を有するフルオロポリマーと、テトラフルオロエチレン系ポリマーとを含む、ドライパウダー。
<2> 前記フルオロポリマーの溶融温度が、140~320℃である、上記<1>のドライパウダー。
<3> 前記フルオロポリマーが、前記酸素含有極性基を有するモノマーに基づく単位を含む、上記<1>又は<2>のドライパウダー。
<4> 前記酸素含有極性基が、水酸基含有基又はカルボニル基含有基である、上記<1>~<3>のいずれかのドライパウダー。
<5> 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)とのコポリマー、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー、テトラフルオロエチレンとエチレンとのコポリマー、又はテトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとのコポリマーである、上記<1>~<4>のいずれかのドライパウダー。
<6> 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、ポリテトラフルオロエチレンである、上記<1>~<5>のいずれかのドライパウダー。
<7> 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの含有質量に対する前記フルオロポリマーの含有質量の比が、0.4以下である、上記<1>~<6>のいずれかのドライパウダー。
<8> 上記<1>~<7>のいずれかのドライパウダーの製造方法であって、前記フルオロポリマーの第1パウダーと、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの第2パウダーと、水とを含むパウダー分散液中において、前記第1パウダーと前記第2パウダーとを共凝析させてウェットパウダーを得て、該ウェットパウダーを乾燥して前記ドライパウダーを得る、ドライパウダーの製造方法。
<9> 上記<1>~<7>のいずれかのドライパウダーの製造方法であって、前記フルオロポリマーの第1パウダーと、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの第2パウダーと、水とを含むパウダー分散液を凍結させ、水を昇華させて除去して前記ドライパウダーを得る、ドライパウダーの製造方法。
<10> 上記<1>~<7>のいずれかのドライパウダーの製造方法であって、前記フルオロポリマーの第1パウダーと、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの第2パウダーと、水とを含むパウダー分散液を噴霧乾燥させて前記ドライパウダーを得る、ドライパウダーの製造方法。
<11> 上記<1>~<7>のいずれかのドライパウダーの製造方法であって、前記フルオロポリマーの第1パウダーと、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの第2パウダーとを混合し、320℃超にて熱処理して混合物を得て、該混合物を粉砕して前記ドライパウダーを得る、ドライパウダーの製造方法。
<12> 前記第1パウダーの体積基準累積50%径が、0.01~75μmであり、前記第2パウダーの体積基準累積50%径が、0.01~100μmである、上記<8>~<11>のいずれかの製造方法。
「パウダーのD90」は、体積基準累積90%径であり、レーザー回折・散乱法によって粒度分布を測定し、粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が90%となる点の粒子径である。
「モノマーに基づく単位」は、モノマー1分子が重合して直接形成される原子団と、この原子団の一部を化学変換して得られる原子団との総称である。本明細書において、モノマーに基づく単位を、単に「単位」とも記す。
「ポリマーの溶融温度(融点)」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定したポリマーの融解ピークの最大値に対応する温度である。
「ポリマーの溶融粘度」は、ASTM D1238に準拠し、フローテスター及び2Φ-8Lのダイを用い、予め測定温度にて5分間加熱しておいたポリマーの試料(2g)を0.7MPaの荷重にて測定温度に保持して測定した値である。
「パウダー分散液の粘度」とは、B型粘度計を用いて、室温下(25℃)で回転数が30rpmの条件下で測定される値である。測定を3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
「パウダー分散液のチキソ比」とは、回転数が30rpmの条件で測定される粘度η1を回転数が60rpmの条件で測定される粘度η2で除して算出される値である。それぞれの粘度の測定は、3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
「積層体の剥離強度」とは、矩形状(長さ100mm、幅10mm)に切り出した積層体の長さ方向の一端から50mmの位置を固定し、引張り速度50mm/分、長さ方向の片端から積層体に対して90°で、金属箔と樹脂層とを剥離させた際にかかる最大荷重(N/cm)である。
ポリマーにおける「単位」は、重合反応によってモノマーから直接形成された原子団であってもよく、重合反応によって得られたポリマーを所定の方法で処理して、構造の一部が変換された原子団であってもよい。ポリマーに含まれる、モノマーAに基づく単位を、単に「モノマーA単位」とも記す。
本発明のドライパウダーから形成される成形品(ポリマー層等の成形部位を含む。以下、同様である。)は、押出成形性と延伸性とに優れ、強固な接着性を発現する。
Fポリマーに含まれる酸素含有極性基は、酸素含有極性基を有するモノマーに基づく単位に含まれていてもよく、ポリマー末端基に含まれていてもよく、表面処理(放射線処理、電子線処理、コロナ処理、プラズマ処理等)によりポリマー中に含まれていてもよく、最前者が好ましい。また、Fポリマーが有する酸素含有極性基は、酸素含有極性基を形成し得る基を有するポリマーを変性して調製された基であってもよい。ポリマー末端基に含まれる酸素含有極性基は、そのポリマーの重合に際して使用する成分(重合開始剤、連鎖移動剤等)を調整することにより得られる。
酸素含有極性基は、水酸基含有基、カルボニル基含有基、アセタール基及びオキシシクロアルカン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基が好ましく、水酸基含有基又はカルボニル含有基がより好ましい。
カルボニル含有基は、>C(O)、-CF2C(O)OH、>CFC(O)OH、カルボキシアミド基(-C(O)NH2等)、酸無水物残基(-C(O)OC(O)-)、イミド残基(-C(O)NHC(O)-等)、ジカルボン酸残基(-CH(C(O)OH)CH2C(O)OH等)、又はカーボネート基(-OC(O)O-)が好ましい。
オキシシクロアルカン基は、エポキシ基又はオキセタニル基が好ましい。
TFE単位の割合は、Fポリマーを構成する全単位のうち、50~99モル%が好ましく、90~99モル%がより好ましい。
PAE単位の割合は、Fポリマーを構成する全単位のうち、0~10モル%が好ましく、0.5~9.97モル%がより好ましい。
極性単位の割合は、Fポリマーを構成する全単位のうち、0.01~3モル%が好ましい。
FAEとしては、CH2=CH(CF2)2F(PFEE)、CH2=CH(CF2)3F、CH2=CH(CF2)4F(PFBE)、CH2=CF(CF2)3H、CH2=CF(CF2)4Hが挙げられ、PFEE又はPFBEが好ましい。
酸素含有極性基を有するモノマーの具体例としては、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物(別称:無水ハイミック酸;以下、「NAH」とも記す。)、無水マレイン酸が挙げられ、その好適な具体例としては、NAHが挙げられる。
他の単位を形成するモノマーとしては、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン(VDF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)が挙げられる。他の単位は、エチレン、VDF又はCTFEが好ましく、エチレンがより好ましい。
Fポリマーにおける他の単位の割合は、Fポリマーを構成する全単位のうち、0~50モル%が好ましく、0~40モル%がより好ましい。
なお、PTFEには、TFEのホモポリマーに加えて、極微量のコモノマー(PAVE、HFP、FAE等)とTFEとのコポリマーである、所謂、変性PTFEも包含される。また、PFAは、TFEとPAVE以外のモノマーに基づく単位とを含んでいてもよい。上述した他のコポリマーにおいても同様である。
上述した通り、成形品は、強固な接着性と耐クラック性とを示すだけでなく、TFE系ポリマーの物性が損なわれにくい。例えば、TFE系ポリマーがPTFEである場合、上記成形品は、PTFEの成形品が本来有する繊維状の表面物性やその多孔性が損なわれにくい。
上述した通り、本発明のドライパウダーは、強固な接着性を示すだけでなく、TFE系ポリマーの物性が損なわれにくい。例えば、TFE系ポリマーが非熱溶融性PTFEである場合、ブレンドパウダーは、非熱溶融性PTFEのパウダーが本来有する耐熱性が損なわれにくい。
非熱溶融性PTFEにおけるTFE単位の割合は、全単位のうち、99.5モル%以上が好ましく、99.9モル%以上がより好ましい。
非熱溶融性PTFEの平均分子量の指標である標準比重は、2.14~2.22が好ましく、2.15~2.21がより好ましい。
非熱溶融性PTFEの380℃における溶融粘度は、1×109Pa・s以上が好ましい。上記溶融粘度の上限は、通常、1×1010Pa・sである。
非熱溶融性PTFEの数平均分子量、標準比重及び溶融粘度のうちの少なくとも一つが、上記範囲にあれば、非熱溶融性PTFEのフィブリル性がより良好であり、機械的物性等により優れた成形品が形成できる。
例えば、PTFEは、水中でTFEを乳化重合して得られるポリマーであるのが好ましい。かかるPTFEの第1パウダーは、水中でTFEを乳化重合して得られるポリマーが粒子として水に分散したパウダーである。かかるパウダーの使用に際しては、水に分散したパウダーをそのまま使用してもよく、水からパウダーを回収して使用してもよい。
TFE系ポリマーは、パウダー、又は、その分散液を市販品として広く入手できる。
その理由は必ずしも明確ではないが、FポリマーとTFE系ポリマーとが共にTFE単位を含むフルオロポリマーであり相溶性が高い点に加えて、Fポリマーが酸素含有極性基を有する点が挙げられる。つまり、Fポリマーは、酸素含有極性基を有することから、水性媒体中での安定性が高くTFE系ポリマーとも相互作用するため、それぞれのパウダーは均一に分散した状態にあると考えられる。かかる良好な分散状態にあるパウダー分散液を共凝析処理に供すると、第1パウダーと第2パウダーとの共凝析が、パウダー同士を巻き込む形で進行すると考えられ、その結果、均質なパウダーが得られたと考えられる。
第1のドライパウダーのD50は、100~1000μmが好ましく、300~800μmがより好ましい。第1のドライパウダーの見掛密度は、0.40~0.60g/mLが好ましく、0.45~0.55g/mLがより好ましい。見掛密度は、JIS K6892に準拠して測定される値である。
第1のドライパウダーは、押出成形性と延伸成形性とに特に優れ、得られる成形品は強固な接着性を示す。第1のパウダーを押出成形してシートを得、該シートを延伸処理すれば延伸シートが得られる。延伸条件としては、5~1000%/秒の速度にて、200%以上の延伸倍率を採用できる。
また、第1のドライパウダーを押出成形すれば被覆材も得られる。
前者の第1のドライパウダーの押出成形において、TFE系ポリマーがフィブリル性の高分子量PTFEであれば、多孔質の延伸膜も製造できる。
例えば、第1のドライパウダーをシートに成形する際の押出成形の方法は、ファインパウダーをペースト押出して得られる押出ビードを、カレンダリング等により、シート状に成形する方法が好ましい。
この場合の第1のドライパウダーは、ナフサ等の石油系炭化水素に代表される潤滑剤を含んでいてもよい。潤滑剤の混合割合は、通常、ファインパウダーの100質量部に対して、潤滑剤の15~30質量部である。
第2のドライパウダーは、元のTFE系ポリマーの物性を具備し、静電塗装に適した接着性のパウダーである。
その理由は必ずしも明確ではないが、FポリマーとTFE系ポリマーとが共にTFE単位を含むフルオロポリマーであり相溶性が高い点に加えて、Fポリマーが酸素含有極性基を有する点が挙げられる。つまり、Fポリマーの酸素含有極性基は接着性を発現するだけでなく、ドライパウダー全体の静電性をバランスさせると共に、ポリマー同士の間での相互作用、例えば、マトリックスの形成を促進すると考えられる。上述したとおり、ドライパウダーは均質性が高いため、このマトリックスの形成が一層促進され、それぞれのポリマー鎖が均一に絡みやすい状態が形成されると考えられる。その結果、元のTFE系ポリマーの物性を損なうことなく、良好な静電塗装性と優れた接着性とが発現したと考えられる。
第2のドライパウダーのD50は、0.01~75μmが好ましく、0.05~6μmがより好ましく、0.1~4μmがさらに好ましい。
第2のドライパウダーのD90は、8μm以下が好ましく、6μm以下がより好ましい。
第2のドライパウダーの安息角は、50°以下が好ましく、35°以下がより好ましい。また、安息角の下限値は、特に限定されず、通常5°である。この場合、静電塗装における塗装装置へのドライパウダーの供給がスムーズになり、塗膜の表面平滑性、厚み均一性及び加工性が優れる。
なお、安息角は、乾燥させたドライパウダーを「JIS R 9301-2-2 アルミナ粉末-第2部:物性測定方法-2:安息角」に準じて測定して求められる。
塗装物品は、基材と、この基材上に、第2のドライパウダーから形成された塗膜である焼成物とを有し、接着性、表面平滑性、厚み均一性及び加工性に優れる。
基材の材質は、金属が好ましく、アルミニウム又は銅がより好ましい。
塗装物品としては、屋根、アルミニウムコンポジットパネル、カーテンウォール用アルミニウムパネル、カーテンウォール用アルミニウムフレーム、アルミニウムウィンドウフレーム等の建築外装部材;信号機、電柱、道路標示のポール、ガードレール等の道路資材;自動車の車体や部品(バンパー、ワイパーブレード、タイヤホイール等);家電製品(エアコンの室外機、温水器の外装等);風力発電用ブレード、太陽電池バックシート、太陽熱発電用集熱鏡の裏面、ナス電池外装、発電機が挙げられる。
静電塗装された第2のドライパウダーの加熱温度は、通常、260~380℃である。かかる加熱温度に維持する時間は、通常、1~60分間である。
第2のドライパウダーを静電塗装する手段としては、タンクから塗装ガンへドライパウダーを供給し、塗装ガンから基材の表面に向けて第2のドライパウダーを吐出(スプレー)する静電塗装法が好ましい。
塗装ガンからの第2のドライパウダー(粉体塗料)の吐出量は、50~200g/分に設定できる。
静電塗装法を工業的に実施する場合には、接地された導電性の水平ベルトコンベアを塗装室に敷設し、塗装室内の水平ベルトコンベアの鉛直上方に塗装ガンを設置するのが好ましい。塗装パターン幅は50~500mmが好ましく、塗装ガンの運行スピードは1~30m/分が好ましく、コンベアスピードは1~50m/分が好ましい。
第2のドライパウダーを基材の表面に静電塗工し、基材を加熱して塗膜を形成した後は、塗装物品を室温(20~25℃)まで冷却すればよい。冷却は、急冷及び徐冷のいずれでもよく、塗膜の基材からの剥離を抑制する観点から徐冷が好ましい。
その理由は必ずしも明確ではないが、上述した通り、それぞれのパウダーが均一に分散した状態にある水分散液を、噴霧乾燥(スプレードライ)に供するため、水の揮発に伴い、第1パウダーと第2パウダーとの均質なパウダーが形成されたと考えられる。
第3のドライパウダーも、第1のドライパウダー又は第2のドライパウダーと同様に、押出成形及び延伸成形に供すれば、接着性に優れた延伸シートや多孔質の延伸膜に加工できる。また、静電塗装に供すれば、接着性、表面平滑性、厚み均一性及び加工性に優れた塗装物品を形成できる。
その理由は必ずしも明確ではないが、次のように考えられる。
混合物を得る際の熱処理の温度が320℃超であれば、Fポリマーの溶融温度を上回りやすくなり、TFE系ポリマーの溶融温度付近になりやすくなる。このため、熱処理において、TFE系ポリマーはゲル化(軟化)した状態に、Fポリマーは高度に溶融した状態になり、よって両者は結着又は融着しやすい状態にある。この際、酸素含有極性基を有するFポリマーは、TFE系ポリマーとの相互作用が増大するとともに、混合物中でマトリックスを形成して、TFE系ポリマーの結晶化を抑制すると考えられる。また、かかる混合物を粉砕して第4のドライパウダーを得るため、TFE系ポリマーとFポリマーとの均一性が高いパウダーが得られたとも考えられる。
すなわち、第4のドライパウダーにおけるTFE系ポリマーは、溶融温度が320℃超であるPTFEが好ましく、上述した非溶融性PTFEであるのが好ましい。また、第4のドライパウダーにおけるFポリマーの溶融温度は、260~320℃であるのが好ましい。
また、第4のドライパウダーでは、TFE系ポリマー本来の物性(耐熱性等)が良好に保持されるため、例えば、静電塗装用の粉体塗料として好適に使用できる。具体的には、第4のドライパウダーも、第2のドライパウダーと同様に、静電塗装に供すれば、接着性、表面平滑性、厚み均一性及び加工性に優れた塗装物品を形成できる。
第4のドライパウダーにおけるFポリマーの質量に対するTFE系ポリマーの質量の比(TFE系ポリマーの含有量/Fポリマーの含有量)は、5以上が好ましく、5~50がより好ましく、10~25がさらに好ましい。この場合、パウダー同士の間での相互作用が良好となり、第4のドライパウダー中には、TFE系ポリマーとFポリマーとがより均一に存在しやすい。このため、TFE系ポリマーの物性を損なわずに、接着性に特に優れたパウダーが得られやすい。
第4のドライパウダーは、その用途に応じて、さらに、種々の後処理に供してもよい。かかる後処理としては、放射線処理、コロナ処理、電子線処理、プラズマ処理が挙げられる。
第4のドライパウダーのD50は、0.1~50μmが好ましく、0.3~40μmがより好ましく、1~30μmがさらに好ましい。
第4のドライパウダーのD90は、80μm以下が好ましく、65μm以下がより好ましく、40μm以下がさらに好ましい。
このパウダー分散液は、第1パウダー及び第2パウダーのそれぞれが、水を主成分とする水性媒体中にそれぞれ粒子状に分散している分散液であるとも言える。
第1の方法により得られるドライパウダーは、第1パウダーと第2パウダーとの共凝析により得られ、FポリマーとTFE系ポリマーが高度に均一混合した、ファインパウダーであると言える。これは、それぞれのポリマーの配合比率によらない。
第1の方法における第1パウダーは、Fポリマー以外の成分を含んでいてもよいが、Fポリマーを主成分とするのが好ましい。第1パウダーにおけるFポリマーの含有量は、80質量%以上が好ましく、100質量%がより好ましい。
第1パウダーのD90は、8μm以下が好ましく、6μm以下がより好ましい。
第1の方法におけるTFE系ポリマーの範囲は、好適な範囲を含めて、本発明のドライパウダーにおける、TFE系ポリマーの範囲と同様である。
第1の方法における第2パウダーは、TFE系ポリマー以外の成分を含んでいてもよいが、TFE系ポリマーを主成分とするのが好ましい。第2パウダーにおけるTFE系ポリマーの含有量は、80質量%以上が好ましく、100質量%がより好ましい。なお、本明細書においては、TFE系ポリマーの製造において使用された成分(界面活性剤等)が第2パウダーに含まれる場合、該成分はTFE系ポリマー以外の成分には含めない。
第2パウダーのD90は、200μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。
この場合、パウダー同士の間での相互作用が良好となり、第1パウダーと第2パウダーとの共凝析性と成形品の物性とを更に向上しやすい。
第1の方法におけるパウダー分散液における、FポリマーとTFE系ポリマーとの合計での割合は、20~70質量%が好ましく、30~60質量%がより好ましい。
分散剤は、疎水部位と親水部位とを有する化合物が好ましく、アセチレン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が挙げられる。これらの分散剤は、ノニオン性が好ましい。
分散剤は、フルオロアルコールが好ましく、フルオロモノオール又はフルオロポリオールがより好ましい。
フルオロモノオールは、ノニオン性であるのが好ましい。
フルオロモノオールの水酸基価は、40~100mgKOH/gが好ましく、50~100mgKOH/gがより好ましく、60~100mgKOH/gがさらに好ましい。
式(a):Ra-(OQa)ma-OH
式中の記号は、下記の意味を示す。
Raは、ポリフルオロアルキル基又はエーテル性酸素原子を含むポリフルオロアルキル基を示し、-CH2(CF2)4F、-CH2(CF2)6F、-CH2CH2(CF2)4F、-CH2CH2(CF2)6F、-CH2CF2OCF2CF2OCF2CF3、-CH2CF(CF3)CF2OCF2CF2CF3、-CH2CF(CF3)OCF2CF(CF3)OCF3、又は-CH2CF2CHFO(CF2)3OCF3が好ましい。
Qaは、炭素数1~4のアルキレン基を示し、エチレン基(-CH2CH2-)又はプロピレン基(-CH2CH(CH3)-)が好ましい。Qaは、2種以上の基からなっていてもてよい。2種以上の基からなっている場合、基の並び方は、ランダム状であってもよく、ブロック状であってもよい。
maは、0~20の整数を示し、4~10の整数が好ましい。
フルオロモノオールの水酸基は、2級水酸基又は3級水酸基が好ましく、2級水酸基がより好ましい。
かかるフルオロモノオールは、市販品(アークロマ社製「Fluowet N083」、「Fluowet N050」等)として入手できる。
フルオロポリオールは、ノニオン性であるのが好ましい。
フルオロポリオールの水酸基価は、10~35mgKOH/gが好ましく、10~30mgKOH/gがより好ましく、10~25mgKOH/gがさらに好ましい。
フルオロポリオールの重量平均分子量は、2000~80000が好ましく、6000~20000がより好ましい。
フルオロポリオールは、フルオロ(メタ)アクリレートに基づく単位を含むフルオロポリオールが好ましい。なお、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの総称である。
式(f):CH2=CXfC(O)O-Qf-Rf
式中の記号は、下記の意味を示す。
Xfは、水素原子、塩素原子又はメチル基を示す。
Qfは、炭素数1~4のアルキレン基又は炭素数2~4のオキシアルキレン基を示す。
Rfは、炭素数1~6のポリフルオロアルキル基、エーテル性酸素原子を含む炭素数3~6のポリフルオロアルキル基又は炭素数4~12のポリフルオロアルケニル基を示し、-CF(CF3)(C(CF(CF3)2)(=C(CF3)2))、-C(CF3)=C(CF(CF3)2)2、-(CF2)4F又は-(CF2)6Fが好ましい。
式(o):CH2=CXoC(O)-(OZo)mo-OH
式中の記号は、下記の意味を示す。
Xoは、水素原子又はメチル基を示す。
Zoは、炭素数1~4のアルキレン基を示し、エチレン基(-CH2CH2-)が好ましい。
moは、1~200の整数であり、4~30の整数が好ましい。
なお、Zoは、2種以上の基からなっていてもよい。この場合、異種のアルキレン基の並び方は、ランダム状であってもよく、ブロック状であってもよい。
上記フルオロポリオールに含まれる全単位に対する式(f)で表されるモノマーに基づく単位の含有量は、60~90モル%が好ましく、70~90モル%がより好ましい。
上記フルオロポリオールに含まれる全単位に対する式(o)で表されるモノマーに基づく単位の含有量は、10~40モル%が好ましく、10~30モル%がより好ましい。
上記フルオロポリオールに含まれる全単位に対する、式(f)で表されるモノマーに基づく単位と式(o)で表されるモノマーとの合計での含有量は、90~100モル%が好ましく、100モル%がより好ましい。
パウダー分散液におけるフルオロアルコールの割合は、10質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.01質量%以下がさらに好ましい。上記割合の下限は、通常、0%超である。
水性媒体は、水のみからなってもよく、水と水溶性化合物とからなっていてもよい。
ただし、水溶性化合物としては、25℃で液状であり、Fポリマー及びTFE系ポリマーと反応しない、加熱等によって容易に除去できる化合物が好ましい。また、水性媒体における水の割合は、95質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましく、100質量%がさらに好ましい。
パウダー分散液における水性媒体の割合は、15~65質量%が好ましく、25~50質量%がより好ましい。この範囲において、パウダー分散液の共凝集性が特に優れる。
この際のポリマーの含有量は、8~25質量%が好ましい。かかる含有量になるように、必要に応じて、パウダー分散液を水で希釈すればよい。
共凝析における温度は、5~30℃が好ましい。
共凝析においては、必要に応じて、パウダー分散液のpHを調節してもよい。また、パウダー分散液に、pH調整剤、電解質、有機溶媒、凝集助剤を添加してもよい。
電解質としては、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩が挙げられる。
有機溶剤としては、アルコール、アセトンが挙げられる。
凝集助剤としては、硝酸、塩酸、硫酸、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウムが挙げられる。
これにより、湿潤状態のファインパウダー(凝析パウダー)であるウェットパウダーが得られる。
乾燥における温度は、110~250℃が好ましく、120~230℃がより好ましい。この場合、第1のドライパウダーの生産性と押出成形性とがバランスしやすい。
この分散液は、第1パウダー及び第2パウダーのそれぞれが、水中に粒子状に分散している分散液であるとも言える。
第2の方法により得られる第2のドライパウダーは、凍結したパウダー分散液から水が昇華により除去されて得られる、FポリマーとTFE系ポリマーとを含む均質性の高い、ドライパウダーであると言える。これは、それぞれのポリマーの配合比率によらない。
第2の方法における第1パウダーの範囲は、好適な範囲を含めて、第1の方法における第1パウダーの範囲と同様である。
第2の方法におけるTFE系ポリマーの範囲は、好適な範囲を含めて、本発明のドライパウダーにおける、TFE系ポリマーの範囲と同様である。
第2の方法における第1パウダーの範囲は、好適な範囲を含めて、第1の方法における第1パウダーの範囲と同様である。
第2の方法における、TFE系ポリマーの質量に対するFポリマーの質量の比(Fポリマーの含有量/TFE系ポリマーの含有量)の範囲は、好適な範囲を含めて、第1の方法における、それと同様である。
第2の方法におけるパウダー分散液の範囲は、好適な範囲を含めて、第1の方法における、それと同様である。
凍結させたパウダー分散液(凍結物)からの水の昇華による除去は、パウダー分散液の融解を抑制した条件下で行われればよい。
水を昇華させる際の温度は、0℃未満が好ましい。具体的には、凍結物を-78~+0℃の雰囲気に暴露するのが好ましい。また、水を昇華させる際の圧力は、通常、減圧雰囲気であり、0~6.12×102Paの減圧雰囲気が好ましい。水を昇華させる際の時間は、通常、4~72時間である。
昇華に使用する装置としては、遠心分離器、棚段乾燥器等が挙げられる。
この分散液は、第1パウダー及び第2パウダーのそれぞれが、水中に粒子状に分散している分散液であるとも言える。
第3の方法により得られるドライパウダーは、噴霧乾燥によってパウダー分散液から水揮発除去されて得られる、FポリマーとTFE系ポリマーとを含む均質性の高い、ブレンドパウダーであると言える。これは、それぞれのポリマーの配合比率によらない。
第3の方法は、100℃超の雰囲気下に、パウダー分散液を噴霧して行うのが好ましい。具体的な方法としては、鉛直上方に100℃超の不活性ガス(窒素ガスが好ましい。)を流通させた系において、パウダー分散液を鉛直下法に噴霧して、パウダー分散液の乾燥させる方法が好ましい。かかる方法には、晶析塔等の装置を使用できる。
第3の方法における第1パウダーの範囲は、好適な範囲を含めて、第1の方法における第1パウダーの範囲と同様である。
第3の方法におけるTFE系ポリマーの範囲は、好適な範囲を含めて、本発明のドライパウダーにおける、TFE系ポリマーの範囲と同様である。
第3の方法における第1パウダーの範囲は、好適な範囲を含めて、第1の方法における第1パウダーの範囲と同様である。
第3の方法における、TFE系ポリマーの質量に対するFポリマーの質量の比(Fポリマーの含有量/TFE系ポリマーの含有量)の範囲は、好適な範囲を含めて、第1の方法における、それと同様である。
第3の方法におけるパウダー分散液の範囲は、好適な範囲を含めて、第1の方法における、それと同様である。
第1パウダーのD50は、0.01~100μmが好ましく、0.1~10μmがより好ましい。
第1パウダーのD90は、200μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。
この場合、パウダー同士の間での相互作用が良好となり、第4のドライパウダーの物性を更に向上しやすい。
第2パウダーのD50は、0.01~75μmが好ましく、0.05~6μmがより好ましい。
第2パウダーのD90は、100μm以下が好ましく、6μm以下がより好ましい。
また、熱処理における時間は、10~120分間が好ましく、15~100分間がより好ましい。
得られた混合物を粉砕すれば、第4のドライパウダーを製造できる。
粉砕には、ジェットミル、ハンマーミル、ピンミル、ビーズミル、ターボミル等が好適に使用される。粉砕方法の具体例としては、国際公開第2016/017801号に記載される方法が挙げられる。
例えば、本発明のドライパウダーは、上述した実施形態に構成において、他の任意の構成を追加してもよいし、同様の機能を発揮する任意の構成と置換されていてよい。
また、本発明のドライパウダーの製造方法は、それぞれ上記実施形態に構成において、他の任意の工程を追加で有してもよいし、同様の作用を生じる任意の工程と置換されていてよい。
各種測定方法を以下に示す。
<パウダーのD50及びD90>
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、「LA-920測定器」)を用い、パウダーを水中に分散させて測定した。
<積層体の剥離強度>
矩形状(長さ:100mm、幅:10mm)に切り出した積層体の長さ方向の一端から50mmの位置を固定し、引張り速度50mm/分、長さ方向の片端から積層体に対して90°で、銅箔と塗膜とを剥離させた際にかかる最大荷重を剥離強度(N/cm)として測定した。
[ポリマー]
Fポリマー1:TFE単位、NAH単位及びPPVE単位を、この順に97.9モル%、0.1モル%、2.0モル%含むコポリマー(溶融温度:300℃、380℃の溶融粘度:3×105Pa・s以下)
非Fポリマー1:TFE単位及びPPVE単位を、この順に98.0モル%、2.0モル%含む、酸素含有極性基を有さないコポリマー(溶融温度:305℃、380℃の溶融粘度:3×105Pa・s以下)
PTFE1:TFEに基づく単位を99.9モル%以上含む、フィブリル性PTFE(標準比重:2.18、380℃における溶融粘度:3.0×109Pa・s、溶融温度:320℃超)
第1パウダー1:Fポリマー1のパウダー(D50:0.3μm、D90:1.8μm)
第1パウダー2:Fポリマー1のパウダー(D50:1.8μm)
パウダーA:非Fポリマー1のパウダー(D50:0.3μm、D90:1.5μm)
パウダーB:非Fポリマー1のパウダー(D50:1.8μm)
第2パウダー1:PTFE1のパウダー(D50:0.3μm);なお、この第2パウダー1は、PTFE1の水分散液として入手できる。
[分散剤]
フルオロモノオール:F(CF2)6CH2(OCH2CH2)7OCH2CH(CH3)OH(フッ素含有量:34質量%、水酸基価:78mgKOH/g)
[例1-1]パウダー分散液11の製造例
30質量部の第1パウダー1、5質量部のフルオロモノオール1及び65質量部の水を含む分散液と、第2パウダー1を50質量%含む水分散液とを混合した。これにより、それぞれのパウダーが水中に分散し、PTFE1とFポリマー1との合計に対して、PTFE1を90質量%、Fポリマー1を10質量%含むパウダー分散液11(Fポリマー1の質量/PTFE1の質量:0.11)を得た。
[例1-2]パウダー分散液Aの製造例
第1パウダー1に代えて、パウダーAを使用した以外は、例1-1と同様にして、パウダー分散液1Aを得た。
[例2-1]ドライパウダー11の製造例
水を添加して、パウダー分散液11におけるポリマーの含有量が10質量%となるように調整し、20℃にてパウダー分散液を激しく撹拌すると、湿潤状態のドライパウダーであるウェットパウダーが形成した。このウェットパウダーを回収して、200℃にて乾燥してドライパウダー11を得た。
[例2-2]ドライパウダー1Aの製造例
パウダー分散液11に代えて、パウダー分散液1Aを使用した以外は、例2-1と同様にして、ドライパウダー1Aを得た。
[例3-1]延伸シート11の製造例
まず、100質量部のドライパウダー11と、40質量部の潤滑油(エクソン社製、「アイソパーH(登録商標)」)とを混合して混合物を得た。次に、この混合物を25℃にて2時間放置してから、ペースト押出装置(シリンダー径:60mm、ダイ口径:8mm)を用いて押出成形して、押出ビードを得た。次に、この押出ビードを、一対の250mm径のカレンダーロールに供給して、55℃にて圧延し、厚さ1000μmの圧延フィルムに加工し、さらに85℃に加熱して乾燥させて、シートを得た。
このシートを、二軸延伸試験装置を用い、温度300℃、予熱3分、延伸速度2m/分の条件で、二軸延伸して延伸シート11を得た。なお、延伸シート11の寸法は、延伸前のシートの寸法に対して、タテ及びヨコの双方とも等倍で延伸倍率を200%とした。
ドライパウダー1に代えて、ドライパウダー1Aを使用した以外は、例3-1と同様にして、延伸シート1Aを得た。
それぞれの延伸シートは、多孔質膜であり、開孔状態を比較すると、孔径分布は小さい順から、延伸シート11、延伸シート1Aであった。
また、延伸シート11と市販のPTFEシートとを熱圧着(温度:300℃、圧力:1MPa、時間:60分)させると、両者のシートは強固に接着した。
[例4-1]パウダー分散液21の製造例
30質量部の第1パウダー1、5質量部のフルオロモノオール1及び65質量部の水を含む分散液と、第2パウダー1を50質量%で含む水分散液とを混合した。これにより、それぞれのパウダーが水中に分散し、PTFE1とFポリマー1との合計に対して、PTFE1を50質量%、Fポリマー1を50質量%含むパウダー分散液21(Fポリマー1の質量/PTFE1の質量:1.0)を得た。
[例1-2]パウダー分散液2Aの製造例
第1パウダー1に代えて、パウダー2Aを使用した以外は、例4-1と同様にして、パウダー分散液2Aを得た。
[例5-1]ドライパウダー21の製造例
パウダー分散液21で満たしたシャーレを-20℃の雰囲気に暴露して、パウダー分散液21を凍結させた。ついで、-5℃に温調した減圧容器中にシャーレを移し、減圧容器内を真空ポンプにて減圧して、水の昇華を開始した。シャーレの質量を経時的に測定し、その質量変化率(g/hr)が±1%以内に収束した時点で、減圧を終了してシャーレ内容物を回収し、Fポリマー1とPTFE1とを含むドライパウダー21を得た。
[例5-2]ドライパウダー2Aの製造例
パウダー分散液21に代えて、パウダー分散液2Aを使用した以外は、例5-1と同様にして、ドライパウダー2Aを得た。
[例6-1]積層体21の製造例
静電塗装機を用いて、タンクから塗装ガンにドライパウダー21を供給し、塗装ガンから銅箔の表面に向けて吐出し、ドライパウダー21を静電塗装した。ついで、ドライパウダー21が静電塗装された銅箔を、340℃雰囲気中で10分間保持した後、25℃まで冷却して、銅箔と、銅箔の表面に形成された塗膜(ドライパウダー21の焼成物)とを有する積層体21を得た。
なお、塗膜の平均厚さは60μmであり、最大厚さと最小厚さとの差は3μm未満であり、銅箔と塗膜との剥離強度は10N/cm以上であった。また、静電塗装中に塗装ガンの詰まりは発生しなかった。
[例6-2]積層体2Aの製造例
ドライパウダー1に代えて、ドライパウダー2Aを使用した以外は、例6-1と同様にして、銅箔と、銅箔の表面に形成された塗膜(ドライパウダー2Aの焼成物)とを有する積層体2Aを得た。
なお、塗膜の平均厚さは60μmであり、最大厚さと最小厚さとの差は10μmであり、銅箔と塗膜との剥離強度は1N/cmであった。
[例7-1]ドライパウダー41の製造例
まず、120質量部の第2パウダー1と10質量部の第1パウダー2とを混合し、大気雰囲気中、325℃にて120分間で熱処理して混合物を得た。この混合物を25℃まで徐冷した後に、ジェットミルで粉砕して、D50が20μmのドライパウダー41を得た。
[例7-2(比較例)]ドライパウダー42の製造例
熱処理における温度を275℃に変更した以外は、例7-1と同様にしてドライパウダー42を得た。
[例7-3(比較例)]ドライパウダー43の製造例
第1パウダー2をパウダーBに変更した以外は、例7-1と同様にして、ドライパウダー43を得た。
[例8-1]積層体41の製造例
静電塗装機を用いて、タンクから塗装ガンにドライパウダー41を供給し、塗装ガンから銅箔の表面に向けて吐出し、ドライパウダー41を静電塗装した。
ついで、ドライパウダー41が静電塗装された銅箔を、340℃雰囲気中で10分間保持した後、25℃まで冷却した。これにより、銅箔と、銅箔の表面に形成されたドライパウダー41の焼成層とを有する積層体(平均厚さ:60μm)を得た。
[例8-2(比較例)]積層体42の製造例
ドライパウダー41をドライパウダー42に変更した以外は、例8-1と同様にして、積層体42を得た。
[例8-3(比較例)]積層体43の製造例
ドライパウダー41をドライパウダー43に変更した以外は、例8-1と同様にして、積層体43を得た。
得られた積層体の剥離強度(N/cm)を測定し、以下の基準に従って評価した。
[評価基準]
○: 10N/cm以上
×: 10N/cm未満
静電塗装機を用いた塗装作業における作業性を、以下の基準に従って評価した。
[評価基準]
○: タンクから塗装ガンへ複合パウダーがスムーズに供給され、また塗装中に複合パウダーのフィブリル化が抑制されるので、塗装ガンが詰まることがなかった。
×: 塗装中に複合パウダーのフィブリル化により塗装ガンが詰まりやすく吐出が安定しなかった。
結果をまとめて、表1に示す。
Claims (8)
- テトラフルオロエチレンに基づく単位及び酸素含有極性基を有するフルオロポリマーと、テトラフルオロエチレン系ポリマーとを含む、ドライパウダーの製造方法であって、
前記フルオロポリマーの第1パウダーと、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの第2パウダーと、水とを含むパウダー分散液中において、前記第1パウダーと前記第2パウダーとを共凝析させてウェットパウダーを得て、該ウェットパウダーを乾燥して前記ドライパウダーを得るか、
前記パウダー分散液を凍結させ、前記水を昇華させて除去して前記ドライパウダーを得るか、または、
前記パウダー分散液を噴霧乾燥させて前記ドライパウダーを得る、
ドライパウダーの製造方法。 - 前記第1パウダーの体積基準累積50%径が、0.01~75μmであり、前記第2パウダーの体積基準累積50%径が、0.01~100μmである、請求項1に記載の製造方法。
- 前記フルオロポリマーの溶融温度が、140~320℃である、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記フルオロポリマーが、前記酸素含有極性基を有するモノマーに基づく単位を含む、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
- 前記酸素含有極性基が、水酸基含有基又はカルボニル基含有基である、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)とのコポリマー、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー、テトラフルオロエチレンとエチレンとのコポリマー、又はテトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとのコポリマーである、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、ポリテトラフルオロエチレンである、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの含有質量に対する前記フルオロポリマーの含有質量の比が、0.4以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
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