JP7333509B2 - 炭化珪素半導体装置 - Google Patents

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Description

本発明は、Si(シリコン)半導体(以降Siと略記)より、バンドギャップが大きい炭化珪素半導体(以降SiCと略記)を用いた、高耐圧の炭化珪素半導体装置に関する。
高耐圧、大電流を制御するパワー半導体素子の材料としては、従来Siが多く用いられている。Si製パワー半導体素子にはいくつかの種類があり、用途に合わせてそれらが使い分けられているのが現状である。例えばIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)は、電流密度を多く取れるが、高速でのスイッチングができず、数十kHz程度の周波数が、その使用限界である。一方、パワーMOSFETは、大電流を流せないが、数MHzまでの高速で使用することができる。しかしながら、市場では大電流と高速性を兼ね備えたパワーデバイスへの要求が強く、IGBTやパワーMOSFETの改良に力が注がれ、現在ではほぼ材料限界に近いところまで開発が進んできた。そして、パワー半導体素子の観点からの材料検討も行われ、1989年に、非特許文献1にてK.Shenaiらが報告しているように、SiCは、次世代のパワー半導体素子として低オン電圧、高速・高温特性に優れた素子であることから、現在にいたるまで長く注目を集めている。これは、SiCが化学的に非常に安定した材料であり、バンドギャップが3eVと広く、高温でも半導体として極めて安定的に使用できるからである。また、SiCは、最大電界強度がシリコンより1桁以上大きい。
従来のパワー半導体素子の代表的なものとして、パワーMOSFETがある。パワーMOSFETは、高速で容易に駆動できる素子であり、その構造には、大きく分けてプレーナゲート型とトレンチゲート型の2種類がある。図11にプレーナゲート型MOSFETの断面構造を示し、図12にトレンチゲート型MOSFETの断面構造を示す。プレーナゲート型MOSFETは、n型(n)半導体基板1と、その上に形成されたnドリフト層2と、さらにその上に積層されたpベース層3と、その表面に選択的に形成されたnソース層4と、その上にゲート絶縁膜6を介して形成されたゲート電極7とを有する。エピタキシャル成長または不純物拡散によって、nドリフト層2、pベース層3が、順次n型半導体基板1上に形成されている。
一方、トレンチゲート型MOSFETは、n型(n)半導体基板1と、その上に形成されたnドリフト層2と、さらにその上に積層されたpベース層3と、その表面に選択的に形成されたnソース層4とを有する。nソース層4を貫通し、nドリフト層2に達するトレンチが掘られている。トレンチの中には、内壁面に形成されたゲート絶縁膜6を介して、ゲート電極7が充填されている。プレーナ型MOSFETと同様に、トレンチゲート型MOSFETにおいても、エピタキシャル成長または不純物拡散によって、nドリフト層2、pベース層3が、順次n型半導体基板1上に形成されている。さらに、nソース層4が、イオン注入等によって形成されている。そして、ゲートが設けられている部分において、エッチングしてpベース層3を貫き、nドリフト層2に達するトレンチが形成されている。トレンチの内部には、ゲート絶縁膜6とゲート材料が成膜され、その一部をエッチングしたところにゲート電極7が形成されている。最上部と最下部に、それぞれ電極8、9が形成されている。
図12に示したようなトレンチゲート型MOSFETを、ワイドバンドギャップ半導体で形成する場合、前述のとおり半導体材料の最大電界強度が高いため、例えば前記MOSFETのソース・ドレイン間に高電圧が印加された場合、半導体材料がアバランシェ破壊電界に達する前に、ゲートトレンチの底に加わる電界によって、シリコン酸化膜が絶縁破壊を起こしてしまう。そこで、例えばSiCのトレンチMOSFETの場合には、ゲートトレンチの底に、ゲート酸化膜の許容電界以上の電界がかからないようにするため、P層を設けるという手法が非特許文献2で提案されている。
このMOSFETを使ってインバータ回路を構成する場合、MOSFETに逆並列にダイオードを接続する必要がある(図13参照)。そのため、例えばSi-MOSFETの場合は、装置を小型化する目的で、図11、12に示すpベース層3とnドリフト層2ならびにn基板1とで構成される、PiN内蔵ダイオードを活用する場合がある。しかしながら、SiC-MOSFETの場合、前記pベース層3とnドリフト層2の拡散電位差が大きく2.7V程度もある。これはSi-MOSFET内蔵のPiNダイオードの拡散電位差0.6Vと比べて4倍以上と大きく、その結果として、そのオン電圧が極めて高くなるという問題がある。また、たとえ内蔵PiNダイオードを導通させても、PiNダイオードがバイポーラデバイスであるため、その電流をオフするために必要な時間である逆回復時間が、少数キャリアの注入により遅くなる。その結果として、MOSFETターンオン時のスイッチング損失が大きくなってしまうという問題もある。
つまり、SiC-MOSFETの内蔵ダイオードには、電流導通時のオン損失ならびに逆回復損失が、極めて大きくなるという欠点がある。さらに信頼性においても問題がある。SiC-MOSFETの内蔵PiNダイオードを導通させると、非特許文献3、4で報告されているとおり、PiNダイオードのバイポーラ動作の際に生じる電子・正孔の再結合時に発生するエネルギーにより、SiC-n基板近傍に存在する結晶欠陥である基底面転位が積層欠陥に成長し、その結果、素子内電流導通面積が減少、ダイオードの導通抵抗が増加するという、いわゆる内蔵ダイオードの順方向劣化現象が生じるのである。そして、この内蔵ダイオードの順方向電圧の劣化は、MOSFETのオン抵抗の増大をも引き起こしてしまう、という問題が指摘されている。それを解決する手段として、電子と正孔の再結合促進層(nバッファ層)をnSiC基板1とnドリフト層2の間に挿入し、基底面転位の存在する領域と電子・正孔の再結合は生じるところを離す方法が提案されている(非特許文献5)。しかしながら、この手法でも、完全に内蔵ダイオードの順方向劣化現象を排除できるかどうかは確認されていない。
これらのSiC-MOSFETにおける、内蔵PiNダイオードに起因する問題を解決するために、内蔵ダイオードを、バイポーラ動作のPiNダイオードではなく、ユニポーラ動作のショットキーバリアダイオード(SBD)にするという手法が多く提案されている(特許文献1~3、非特許文献6~9)。これらの手法により、内蔵ダイオードの電流導通時のオン損失ならびに逆回復損失が大きく低減し、それに伴い、MOSFETのターンオン損失を低減させることも可能となる。さらに、内蔵ダイオードがSBDであり、ユニポーラ動作することから、内蔵ダイオードの順方向劣化問題が原理的に発生せず、信頼性を向上させることが可能となる。特に、SBDをトレンチMOSFET構造の中に内蔵した構造(特許文献3、非特許文献6、9)は、MOSFETの低オン抵抗化も実現できるため、将来のSiC-MOSFETとしても有望な構造の一つであるといえる。
交流モータを駆動するインバータ回路として、前述した図13の回路構成は一般的であり、SBDを内蔵したSiCトレンチMOSFETも、この回路内に組み込まれることにより、低損失で高効率、かつ高信頼性を有するインバータの実現が可能となる。しかしながら、図13に示すインバータ回路において、負荷が短絡するといった事故の対策として、SiC-MOSFETの破壊耐量を上げることは、実使用上きわめて重要である。現在の中・大容量パワーエレクトロニクス回路に用いられているSi-IGBTにおいてもこの負荷が短絡した際の破壊耐量(以下、負荷短絡耐量と記す)が十分である必要があり、現状では、負荷短絡耐量が最低でも5μsec以上必要であると言われている。SBDを内蔵したSiCトレンチMOSFETにおいて、そのオン抵抗やスイッチング特性が良好であることは報告されているが(特許文献3、非特許文献6~9)、その負荷短絡耐量を、他の特性を犠牲にすることなく向上させる方策については、いまだ解明されていない。
米国特許出願公開第2005/0077523号明細書 特許第5617175号公報 特開2017-79251号公報
K.Shenai et al, IEEE Transactions on Electron Devices, Vol.36, p.1811-1823, 1989 S.Harada et al, Materials Science Forum, vol.897, pp.497-500 J.P. Bergman et al, Material Science Forum, vol.353-356, 2001, pp.299-302 T. Kimoto and J. A. Cooper, Fundamentals of silicon carbide technology: growth, characterization, devices, and applications. Singapore: Wiley, Nov. 2014 T.Tawara et al , Materials Science Forum, vol.897, pp.419-422 Y.Kobayashi et al, Japanese Journal of Applied Physics, vol.56, 04CR08, (2017) W. Sung et al, IEEE Electron Device Lett, vol.37, no.12, 2016, pp.1605-1608 K.Kawahara et al, ISPSD 2017, pp.41-44 Y.Kobayashi et al, IEEE IEDM 9.1.1, pp.211-214, (2017) T.Hatakeyama et al, Materials Science Forum, vol.389-393, pp.1169-1172, (2002) A.Itoh et al, phys. Stat. sol. (a) vol.168, pp.389-408,, (1997)
SiCは、Siの材料限界を超える可能性が高いことから、パワー半導体用途、特にMOSFET用途の材料として大きく期待される。上述したように、パワーエレクトロニクス装置のインバータ回路動作において、SiC-MOSFETの内蔵PiNダイオードには、その電流導通時、ならびに逆回復時の損失が大きくなってしまうという欠点がある。そこで、内蔵ダイオードとしてユニポーラ動作するSBDを形成し、このSBDの形成時の構造を最適化することにより、前述した電流導通時、ならびに逆回復時の損失の低減を図ることができる。
SBDは、SiCなどのワイドバンドギャップ半導体においても、そのオン抵抗が小さくなり、ユニポーラ素子であるために逆回復損失が小さく、なおかつ十分な逆耐圧を保持できる。したがって、SBDを適用した半導体装置は、より小型となり、パワー損失が少なくてすむこととなる。これらは、特許文献1~3、非特許文献6~9で既に公開されている技術である。
しかしながら、SBDを内蔵したSiCトレンチMOSFETの負荷短絡耐量を、SBDを内蔵することよって負荷短絡耐量を劣化させることなく、かつ実用に耐え得る十分な値(例えば負荷短絡耐量5μsec以上)を示す構造は、未だ示されておらず、当該素子構造で本当に十分な負荷短絡耐量が得られるか明確ではなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、実用に耐え得る負荷短絡耐量を有する、炭化珪素半導体装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
(1)本発明の一態様に係る炭化珪素半導体装置は、第一導電型の半導体基板と、前記半導体基板の一方の主面に形成され、前記半導体基板より低い不純物濃度を有するの第一導電型のドリフト層と、前記ドリフト層の上に形成され、前記ドリフト層より高い不純物濃度を有する第二導電型のベース層と、前記ベース層の上に形成された第一導電型のソース層と、前記ソース層の上面から前記ドリフト層に達する位置まで、各層の厚み方向に貫通するように、前記厚み方向からの平面視において、中央に形成された第一トレンチ、およびその周囲に形成された第二トレンチと、前記第一トレンチの内部を、ゲート絶縁膜を介して充填する制御電極層と、前記第二トレンチの内壁面を構成する前記ドリフト層とショットキー接合する金属層と、前記第二トレンチの内部を充填し、かつ前記半導体基板の一方の主面上の露出面を覆う第一主電極層と、前記半導体基板の他方の主面に形成された第二主電極層と、を有し、前記金属層のショットキー接合面が、(11-20)面もしくは(1-100)面であり、かつ前記金属層と前記ドリフト層との間のショットキーバリアエネルギーが、1.76eV以上3.10eV以下である。
(2)前記(1)に記載の炭化珪素半導体装置において、前記ドリフト層のうち、前記第一トレンチの底面を構成する部分が第二導電型であることが好ましい。
(3)前記(1)または(2)のいずれかに記載の炭化珪素半導体装置において、前記ドリフト層のうち、前記第二トレンチの底面を構成する部分が第二導電型であることが好ましい。
(4)前記(1)~(3)のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置において、前記ショットキーバリアエネルギーが、1.95eV以上3.10eV以下であることが好ましい。
(5)前記(1)~(4)のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置において、前記第一導電型がn型であり、前記第二導電型がp型であることが好ましい。
(6)本発明の他の一態様に係る炭化珪素半導体装置は、第一導電型の半導体基板と、前記半導体基板の一方の主面に形成され、前記半導体基板よりも低い不純物濃度を有する第一導電型のドリフト層と、前記ドリフト層の上面から深さ方向広がるように形成され、前記ドリフト層より高い不純物濃度を有する第二導電型のベース層と、前記ドリフト層の上面のうち、前記ベース層の露出部分に形成された第一導電型のソース層と、ゲート絶縁膜を挟んで、少なくとも前記ソース層を覆うように形成された一体の制御電極と、前記半導体基板の一方の主面上の露出面を覆う第一主電極と、前記ドリフト層の上面において露出する前記ベース層の周囲とショットキー接合する金属層と、前記半導体基板の他方の主面に形成されたドレイン電極層と、を有する。
(7)前記(6)に記載の炭化珪素半導体装置において、前記金属層のショットキー接合面が(0001)面であり、かつ前記金属層と前記ドリフト層との間のショットキーバリアエネルギーが、1.95eV以上3.10eV以下であることが好ましい。
(8)前記(6)または(7)のいずれかに記載の炭化珪素半導体装置において、前記第一導電型がn型であり、前記第二導電型がp型であることが好ましい。
本発明は、SiCを使ったSBD内蔵トレンチMOSFET、およびプレーナMOSFETにおいて、良好な電気特性と負荷短絡耐量を同時に示すことが可能な素子構造を提供することができる。本発明の素子構造を適用することにより、炭化珪素半導体装置のさらなる小型化、低損失化を実現することができる。
本発明の第一実施形態に係る、炭化珪素半導体装置の断面図である。 本発明の第二実施形態に係る、炭化珪素半導体装置の断面図である。 本発明の比較例に係る、炭化珪素半導体装置の断面図である。 本発明の実施例1に係る、炭化珪素半導体装置の電気特性を示すグラフである。 本発明の実施例1に係る、炭化珪素半導体装置の負荷短絡耐量の評価に用いた回路図である。 本発明の実施例1に係る、炭化珪素半導体装置の負荷短絡耐量の実測結果を示すグラフである。 (a)本発明の実施例1に係る、炭化珪素半導体装置の断面図である。(b)、(c)(a)の炭化珪素半導体装置の負荷短絡時における温度分布、電流分布を示す図である。 本発明の実施例2に係る、炭化珪素半導体装置の負荷短絡耐量およびダイオード順方向電圧降下のφB依存性を示すグラフである。 本発明の比較例に係る、炭化珪素半導体装置の断面図である。 本発明の実施例5に係る、炭化珪素半導体装置の負荷短絡耐量およびダイオード順方向電圧降下のφB依存性を示すグラフである。 従来の炭化珪素半導体装置の断面図である。 従来の炭化珪素半導体装置の断面図である。 MOSFETを用いたインバータの回路図である。
以下、本発明を適用した実施形態に係る炭化珪素半導体装置について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態に係る炭化珪素半導体装置100が、トレンチゲート型MOSFETである場合について、その構成を模式的に示す断面図である。炭化珪素半導体装置100は、主に、半導体基板1と、ドリフト層2と、ベース層3と、ソース層4と、第一トレンチ8と、第二トレンチ9と、制御電極層7と、金属層500と、第一主電極層10と、第二主電極層11と、を有する。
半導体基板1としては、例えば、不純物濃度が1.0×1018cm-3以上の第一導電型のSiC基板が用いられる。
ドリフト層2は、半導体基板1より低い不純物濃度を有する第一導電型の半導体層であり、半導体基板の一方の主面1aに形成されている。本実施形態では、ドリフト層2が3つの層2A、2B、2Cを積層してなる場合について例示しているが、ドリフト層2は、4つ以上の層が積層されていてもよいし、単層で構成されていてもよい。ドリフト層2が複数の層を積層してなる場合、半導体基板1に接する最下層(ここでは層2A)は、他の層(ここでは層2B、2C)より低い不純物濃度を有していることが好ましい。
ベース層3は、ドリフト層2より高い不純物濃度を有する第二導電型の半導体層であり、ドリフト層2の上に形成されている。ソース層4は、ベース層3の上の所定の領域に選択的に形成された、第一導電型の半導体層である。
第一トレンチ8、第二トレンチ9は、それぞれ、ソース層の上面4aから深さ方向に沿って、ドリフト層2に達する位置まで、各層を厚み方向Tに貫通するように形成されている。第一トレンチ8、第二トレンチ9底面は、ドリフト層2の上面から下面の間にあるものとする。第一トレンチ8、第二トレンチ9の内壁面のうち底面は、ドリフト層2で構成されている。各層の厚み方向Tからの平面視において、第一トレンチ8は中央に形成され、第二トレンチ9はその周囲の2箇所に形成されている。ドリフト層2のうち、第一トレンチ8、第二トレンチ9の底面を構成する一部分または全部が、第二導電型であることが好ましい。
ドリフト層2(2A、2B、2C)、ベース3、ソース層4で構成される第一トレンチ8の内壁面に沿って、ゲート絶縁膜6が形成されている。制御電極(ゲート電極)層7は、このゲート絶縁膜6を介して第一トレンチ8の内部を充填している。
金属層500は、第二トレンチの内壁面を構成するドリフト層2と、ショットキー接合している。金属層500の材料としては、例えばチタン、ニッケル、金、タングステン、白金、クロム等を用いることができる。金属層500の厚みは、概ね40nm以上300nm以下であることが好ましい。
第一主電極(ソース電極)層10は、第二トレンチ9の内部を充填し、かつ半導体基板の一方の主面1a上の露出面を覆っている。金属層500は、この第一主電極層10に接続されている。第二主電極(ドレイン電極)層11は、半導体基板の他方の主面に形成されている。
金属層500と第1導電型ドリフト層2との間のショットキーバリアエネルギーは、1.76eV以上3.10eV以下、好ましくは1.95eV以上3.10eV以下となるように設定する。その際、トレンチMOSFETとしてのチャネル移動度を高めるため、第一トレンチ8を構成する、第1導電型のソース層4、第2導電型のベース層3、および第1導電型のドリフト層2の表面、ならびにゲート絶縁膜6が接するチャネル層の結晶面を、(11-20)面(a面)、もしくは(1-100)面(m面)とする。そのため、第二トレンチ9の内壁面とショットキー接合を形成する、金属層500のショットキー接合面(結晶面)も、(11-20)面(a面)もしくは(1-100)面(m面)となる。
本実施形態の炭化珪素半導体装置100では、ゲート電極部7だけでなくソース電極部10にも、互いに近接した形でトレンチが形成されている。そして、ソース電極部10の第二トレンチ9内において、金属層500が、第1導電型のドリフト層2とショットキー接合されている。これにより、SiC半導体のトレンチMOSFETとして、低オン抵抗を示し、なおかつ逆回復時間の速い内蔵ショットキーダイオードを実現することができる。
さらに、内蔵ショットキーダイオード部の、第1導電型ドリフト層22と接する部分のショットキーバリアハイト(ショットキーバリアエネルギー)ΦBが1.76eV以上、好ましくは1.95eV以上に設定されている。これにより、当該トレンチMOSFETが負荷短絡した際に、1000K(ケルビン)以上にもなる素子内温度上昇に伴う、ショットキーバリアダイオードからSiC基板に向かった熱電界放出によるもれ電流を低減させることができる。その結果、負荷短絡耐量を、例えば5μsec以上とすることができ、十分大きな耐量の確保を実現することができる。
SiCの場合、Siとは異なり、ショットキー接合で発生するもれ電流に関しては、熱電界放出が支配的であることが知られている(非特許文献10)。このショットキーバリアハイトΦBを、3.50eVを超える値に設定すると、内蔵されたショットキーバリアダイオードが動作する前に、寄生しているPiNダイオードが動作してしまい、損失の増大ならびに順方向電圧特性の劣化を引き起こしてしまう。本実施形態のように、ショットキーバリアハイトΦBを1.76eV以上3.50eV以下、好ましくは1.95eV以上3.50eV以下にすることによって、低オン抵抗でスイッチング損失が少なく、かつ負荷短絡耐量が十分大きい、SBD内蔵SiCトレンチMOSFETを実現することができる。
以上のように、本実施形態では、SiC基板を使ったSBD内蔵トレンチMOSFETにおいて、良好な電気特性と負荷短絡耐量を同時に示すことが可能な素子構造を提供することができる。本実施形態の素子構造を適用することにより、炭化珪素半導体装置のさらなる小型化、低損失化を実現することができる。
<第二実施形態>
図2は、本発明の第二実施形態として、炭化珪素半導体装置200がプレーナ型MOSFETである場合について、その構成を模式的に示す断面図である。本実施形態の炭化珪素半導体装置200は、制御電極層7を半導体層内に埋め込んでいない点で、第一実施形態の炭化珪素半導体装置100と異なる。すなわち、本実施形態では、一体の制御電極7が、ドリフト層2の上面のうち、少なくとも、2つのベース層3の露出部分にそれぞれ形成された第一導電型のソース層4を、ゲート絶縁膜を間に挟んで、覆うよう形成されている。それ以外の構成については、第一実施形態の炭化珪素半導体装置100の構成と同様であり、炭化珪素半導体装置100と対応する箇所については、形状の違いによらず、同じ符号で示している。
炭化珪素半導体装置200は、第一導電型のドリフト層2の上面とショットキー接合を形成する金属層500を有する。金属層500は、第一導電型ソース層4の上面と第二導電型ベース層3の上面とを共通に被覆する第一主電極10と接続されている。金属層500と第一導電型ドリフト層2との間のショットキーバリアエネルギーを、1.95eV以上3.10eV以下となるように設定する。その際、プレーナゲート部の第一導電型ソース層4の主面と第2導電型ベース層3の主面、ならびにゲート絶縁膜が接するチャネル層の結晶面は(0001)面となるため、ショットキー接合を形成する結晶面も(0001)面となる。
本実施形態では、内蔵ショットキーダイオード部の、第1導電型ドリフト層2と接する部分のショットキーバリアハイトΦBが、1.95eV以上に設定されている。これにより、当該プレーナMOSFETが負荷短絡した際に、1000K(ケルビン)以上にもなる素子内温度上昇に伴う、ショットキーバリアダイオードからSiC基板に向かった熱電界放出によるもれ電流を低減させることができる。その結果、負荷短絡耐量を、例えば5μsec以上とすることができ、十分大きな耐量のを確保を実現することができる。
ショットキーバリアハイトΦBを、3.50eVを超える値に設定すると、内蔵されたショットキーバリアダイオードが動作する前に、寄生しているPiNダイオードが動作してしまい、損失の増大ならびに順方向電圧特性の劣化を引き起こしてしまう。本実施形態のように、ショットキーバリアハイトΦBを1.76eV以上3.50eV以下、好ましくは1.95eV以上3.50eV以下にすることによって、低オン抵抗でスイッチング損失が少なく、かつ負荷短絡耐量が十分大きい、SBD内蔵SiCトレンチMOSFETを実現することができる。
以上のように、本実施形態では、SiC基板を使ったSBD内蔵レーナMOSFETにおいて、良好な電気特性と負荷短絡耐量を同時に示すことが可能な素子構造を提供することができる。本実施形態の素子構造を適用することにより、炭化珪素半導体装置のさらなる小型化、低損失化を実現することができる。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1)
縦型トレンチゲートMOSパワー半導体デバイスとして、耐圧1200VのトレンチMOSFETを作製した。なお、第1導電型をn型、第2導電型をp型として記述するが、その逆でもよい。
まず、十分に高濃度のn型SiCの半導体基板1を用意した。ここでは、不純物として窒素を5×1018cm-3程度含むSiC半導体とした。半導体基板1の一方の主面に、窒素を8.0×1015cm-3程度含むn型SiC層2Aを9μm程度成長させ、その上に少し高濃度で1.0×1017cm-3程度含むn型SiC層2Bを、0.5μm程度成長させた。ここで、アルミニウム3.0×1018cm-3程度含む、幅1.5μmのp型SiC層2Dをイオン注入法と熱処理で2.5μmおきに形成した。
その後1.0×1017cm-3程度含むn型SiC層2Cを0.5μm程度成長させた。そしてさらに、アルミ二ウムを2.0×1017cm-3程度含むp型SiC層3を、1.3μmエピタキシャル成長させた。活性領域内に、pコンタクト層5やnソース層4をイオン注入法と熱処理で形成した。不純物元素として、pコンタクト層にはアルミ二ウムを用い、nソース層にはリンを用いた。そして、不純物活性化のため、熱処理を実施した。熱処理温度を1720℃とし、熱処理時間を1分とした。
次に、pコンタクト層およびnソース層の表面に、厚さ1.6μmのシリコン酸化膜(以下酸化膜と略す)を成長させ、フォトリソグラフおよびエッチングにより2.5μmおきに0.8μm幅の酸化膜マスクを形成した。その後、トレンチエッチングにより、所定の位置(ゲート電極形成部、ソース電極形成部)において、n型半導体層2A、2B、2C、およびp型半導体層3をエッチングにより取り除いた。なお、このときのトレンチ深さは1.8μmとした。つまり、このトレンチ溝は、前述のp型SiC層2Dに到達するように形成した。
ゲート電極形成部では、トレンチ内部に80nmのゲート酸化膜6を成長させた後に、ゲート電極7を埋め込み平坦化し、リンガラス(PSG:Phospho Silicate Glass)膜を用いて絶縁層を形成した。その際、トレンチに沿ってnソース層4、p型SiC層3、およびn型SiC層2A、2B、2Cの表面、ならびにゲート絶縁膜が接するチャネル層の結晶面を(1-100)面(m面)とした。
ソース電極部においても、同様にトレンチ溝を形成した。ソース電極部のトレンチ溝も前述のゲート電極部のトレンチ溝と同時に形成した。その際、トレンチ幅は0.8μm、深さはゲート電極部と同じ1.8μmとした。ソース電極部のトレンチを形成後、トレンチ内部においてn型半導体層2Cと接する領域に、ショットキーバリアを形成するための金属層を、スパッタとその後の熱処理で形成した。その際、ショットキー接合を形成する結晶面を(1-100)面(m面)とした。本実施例では、チタン、ニッケルをスパッタ法と熱処理により形成した。熱処理は、アニール無ならびに400℃から850℃の間で変えて行った。これは、n型ドリフト層2とショットキー金属間のバリアハイトΦBを変えるためである。
その後、ソース電極部のトレンチ溝の内部に、スパッタにより、アルミニウムを厚さ5μmほど埋め込み、ソース電極を形成した。さらに、半導体基板1の裏面に、ドレイン電極としてニッケルをスパッタし、レーザーアニールを用いて900℃でアニールし、シリサイド化させることにより、裏面のオーミック電極を形成した。その後、チタン、ニッケル、金を蒸着して形成して、図1に示すSBD内蔵トレンチMOSFETが完成させた。
このSBD内蔵トレンチMOSFETの電気特性の測定結果及びシミュレーション結果を、表1~3に示す。金に関しては、非特許文献11で開示された(0001)面でのΦBの値を用い、チタンならびにニッケルの(0001)面と(1-100)面のΦBの違いから、金の各熱処理温度でのΦBを手計算で求め、その値を用いてシミュレーションした。
Figure 0007333509000001
Figure 0007333509000002
Figure 0007333509000003
各温度での各ショットキー金属とn型半導体層22とのショットキーバリアハイトΦBを、表1~3に記載する。なお、本実験で得られたチタン、ニッケルでのショットキーバリアハイトΦBの一部の結果(ΦB<1.75eV)は、非特許文献6で開示されている結果といい一致をしている。チップサイズは3mm角、活性面積は5.5mmであり、定格電流は25Aである。どの条件の素子も、オン抵抗(RonA)はおよそ2.70mΩcmと十分低い値を示し、初期の素子耐圧も1430V~1460Vと、1200V素子となり、十分良好な特性を示している。
比較のために、ソース電極部トレンチ内にSBDを形成せず、深いp層を形成した従来型のトレンチMOSFET300(図3参照)を形成し、耐圧を測定したところ、素子耐圧1455Vとほぼ同等であった。内蔵したショットキーダイオードのI-V特性を測定したところ良好な特性が得られ、例えば25A導通時のダイオードのオン電圧は、全素子条件において2.2V以下と、Siの1200V PiNダイオードのオン電圧2.2V(@RT)と同等以下の、低い値を示した。さらに、内蔵ショットキーダイオードの逆回復特性を測定したところ、ショットキー金属の違いによらず、同一定格電圧・電流のSi-PiNダイオードに比べ、逆回復時間が極めて小さく、その結果ダイオードでの発生損失はSi-PiNダイオードと比べて、175℃において約10分の1に低減し、かつ25℃での特性とほどんど変わらない特性が得られ、125℃において約10分の1の低損失特性が可能となった(図4参照:ニッケル750℃アニール素子の場合)。
次に、負荷短絡耐量の測定ならびにシミュレーションを行った。測定ならびにシミュレーションに用いた回路を図5に示す。直流電圧800Vをソース・ドレイン間に印加し、この状態でゲート電極にゲート電圧Vgとして+20Vのパルス電圧を印加して負荷短絡耐量を評価した。測定温度は175℃とした。評価に用いた素子は、ショットキー金属種とその後のアニール条件がそれぞれ異なるものを用いた。また、印加するゲート電圧のパルス幅を2μsecから1μsec刻みで増やしていき、素子が破壊した時点の1つ前のパルス幅を、負荷短絡耐量と定義した。表2に負荷短絡耐量評価結果を示す。表4、5に、チタン、ニッケルの各ショットキー金属とn半導体層22とのショットキーバリアハイトΦBとして、事前に評価した値を記載してある。なお、比較のために内蔵SBDの無いトレンチMOSFETの評価結果も併せて示した。
Figure 0007333509000004
Figure 0007333509000005
Figure 0007333509000006
この結果から分かるように、負荷短絡耐量はバリアハイトΦBに大きく依存し、例えばΦB=1.30eVのチタン400℃アニールの場合、負荷短絡耐量は内蔵SBDの無いトレンチMOSFETの半分以下の3μsecであった。これに対し、チタン750℃アニールのΦB=1.95eVの場合、負荷短絡耐量は、内蔵SBDの無いトレンチMOSFETと同等以上の11μsecまで向上した。
また、ΦB=1.60eVのニッケル400℃アニールの場合、負荷短絡耐量は内蔵SBDの無いトレンチMOSFETの半分以下の3μsecであった。これに対し、ニッケル750℃アニールのΦB=2.08eVの場合、負荷短絡耐量は内蔵SBDの無いトレンチMOSFETと同等以上の11μsecまで向上した。
図6に、ΦB=1.30eVのチタン400℃アニール条件での負荷短絡耐量評価結果を示す。ΦB=1.30eVのチタン400℃アニール条件により、素子内部状態を解析するため、デバイスシミュレーションを実施した。
図7(a)に示すSBD内蔵トレンチMOSFETのうち、破線で囲んだ部分における、温度分布、全電流分布の結果を、それぞれ図7(b)、(c)に示す。負荷短絡時には素子内の温度が上昇し、負荷短絡が起こってから3μsec経過後では、ショットキー金属とn半導体層22界面近傍で、その温度が約1000K以上にまで到達している。そして、ショットキー金属側から、もれ電流がMOSFET内に流れていることが判明した。つまり、SiC-MOSFETの負荷短絡発生により、高電圧印加と大電流導通が同時に生じたため、素子内温度が急上昇し、それに伴ってショットキー金属とn半導体層22界面の温度も上昇し、ついには熱電界放出によるもれ電流により、大電流が流れ破壊に至ったと考えられる。
そこで、ΦBが大きくなるようにショットキー金属、ならびにその後のアニール条件を最適化すると、熱電界放出によるもれ電流の発生が収まり、ΦB=1.76eV以上では負荷短絡耐量がSBDを内蔵しないトレンチMOSFETとほぼ同等で、実使用上問題ない8μsecに向上した。さらに、ΦB=1.95eV以上の条件においては、負荷短絡耐量がSBDを内蔵しないトレンチMOSFETとほぼ同等以上の特性を示していることが分かる。金については、シミュレーションを実施した。その結果を表3ならびに表6に示す。その結果は、チタンならびにニッケルと同様の傾向を示しており、ΦB=1.76eV以上では負荷短絡耐量がSBDを内蔵しないトレンチMOSFETとほぼ同等で、実使用上問題ない8μsec以上に向上した。さらに、ΦB=1.95eV以上の条件においては、負荷短絡耐量がSBDを内蔵しないトレンチMOSFETと、ほぼ同等以上の特性を示していることが分かる。
(実施例2)
実施例1で作製したSBD内蔵トレンチMOSFETに対し、デバイスシミュレーションを行い、負荷短絡耐量のΦB依存性を調査した。その結果を図8に示す。ΦBが1.76eV以上では9μsecという実用に耐え得る破壊耐量が得られ、かつSBDを内蔵しないトレンチMOSFETと同等以上の負荷短絡耐量を示した。また、ΦBを1.76eV以上増加させると、負荷短絡耐量の向上はさらに向上するがΦBを1.95eV以上にすると10~10.5μsecで飽和することが分かる。一方、ΦBが3.1eVを超えると、内蔵したSBDの順方向電流特性において、SBDが動作する前に寄生のPiNダイオードが動作することが判明した。
これは図8中に記載の、電流25A導通時のダイオードの順方向電圧降下が、ΦBが3.1eVを超えた領域からSBD内蔵トレンチMOSFETのほうが大きな値を示していることからも分かる。つまり、ΦBが3.1eVを超えると本発明素子のダイオード順方向電圧降下の方がSiC-PiNダイオードの順方向電圧降下の3.3Vよりも大きくなってしまう。このことと実施例1の結果から、SBD内蔵トレンチMOSFETの特徴を示し、かつ高負荷短絡耐量を維持するためには、ΦBは1.76eV以上3.10eV以下、さらに好ましくは1.95eV以上3.10eV以下に設定することが必要であることが判明した。
(実施例3)
実施例1と同様、ゲート電極部ならびにソース電極部のトレンチにおいて、nソース層、p型SiC層3、およびn型SiC層2A、2B、2Cの表面、ならびにゲート絶縁膜が接するチャネル層の結晶面、ならびにショットキー接合を形成する結晶面も(11-20)面(a面)とした素子を試作し、シミュレーションを行い、同様の評価を行った。その結果、実施例1の(1-100)面(m面)の場合と同様の結果を得ることができた。その結果、SBD内蔵トレンチMOSFETの特徴を示し、かつ高負荷短絡耐量を維持するためには、ΦBは1.76eV以上3.10eV以下、さらに好ましくは1.95eV以上3.10eV以下に設定することが必要であることが判明した。
(実施例4)
縦型プレーナゲートMOSパワー半導体デバイスとして、耐圧1200VのMOSFETを作製した。なお、第1導電型をn型、第2導電型をp型として記述するが、その逆でもよい。
まず、十分に高濃度のn型SiC半導体基板1を用意した。ここでは、不純物として窒素を5×1018cm-3程度含むSiC半導体とした。半導体基板1の一方の主面に、窒素を8.0×1015cm-3程度含むn型SiC層2を9μm程度成長させ、その上に幅13μmで深さ0.5μmのp層31を、イオン注入法で形成した。その際のイオンとしてはアルミニウムを用いた。また、不純物濃度が1.0×1018cm-3となるように、ドーズ量を設定した。さらに、その上にpベース層3を厚さ0.5μm厚でp層31ならびにnドリフト層2上に、イオン注入法を用いて選択的に形成した。その際の不純物はアルミニウムとし、不純物濃度は1.0×1017cm-3となるようにした。その後、Nソース層4、P+コンタクト層5をpベース層3内に選択的に形成した。そして、不純物活性化のため熱処理を実施した。熱処理温度・時間は1720℃・1分とした。
その後、厚さ80nmのゲート酸化膜を熱酸化で形成し、窒素雰囲気中にて1200℃付近でアニールした。リンがドープされた多結晶シリコン層をゲート電極として形成し、パターニング後、層間絶縁膜としてリンガラス(PSG:Phospho Silicate Glass)を1.0μm厚で成膜し、パターニングして熱処理を行った。n型ドリフト層2と接する領域にショットキーバリアを形成するための金属層500を、スパッタとその後の熱処理で形成した。このとき、n型SiC層2がショットキー電極と接する結晶面が(0001)面となる。本実施例では、チタン、ニッケルをスパッタ法と熱処理により形成した。金属とその後の熱処理温度を熱処理無、ならびに400℃から850℃の間で変えて作成した。これは、n型ドリフト層2とショットキー金属間のバリアハイトΦBを変えるためである。
その後、アルミニウムを、ソース電極部として形成するため厚さ5μmほどスパッタすることでソース電極として形成した。さらに、半導体基板1の裏面に、ドレイン電極としてニッケルをスパッタし、レーザーアニールを用いて900℃でアニールし、シリサイド化させることにより、裏面のオーミック電極を形成した。その後、チタン、ニッケル、金を蒸着して形成して、図2に示すSBD内蔵プレーナMOSFETが完成させた。
チップサイズは3mm角で活性面積は5.5mmであり、定格電流は25Aとした。どの条件の素子も、オン抵抗(RonA)は、およそ4.70mΩcmと十分低い値を示し、初期の素子耐圧も1480V~1520Vと、1200V素子として十分良好な特性を示している。比較のために、n型ドリフト層2上にSBDを形成せず、そのかわりに前記pベース層3を形成した従来型のプレーナMOSFET400(図9参照)を形成し耐圧を測定したところ、素子耐圧1495Vとほぼ同等であった。内蔵したショットキーダイオードのI-V特性を測定したところ良好な特性が得られ、例えば25A導通時のダイオードのオン電圧は全素子条件において2.2V以下と、Siの1200V PiNダイオードのオン電圧2.2V(@RT)と同等の、低い値を示した。さらに、内蔵ショットキーダイオードの逆回復特性を測定したところ、ショットキー金属の違いによらず同一定格電圧・電流のSi-PiNダイオードに比べ、逆回復時間が極めて小さく、その結果ダイオードでの発生損失はSi-PiNダイオードとくらべ、125℃において約10分の1の低損失特性が可能となった。
次に、負荷短絡耐量の測定を行った。測定に用いた回路を図5に示す。直流電圧800Vをソース・ドレイン間に印加し、この状態でゲート電極にゲート電圧Vgとして+20Vのパルス電圧を印加して負荷短絡耐量を評価した。測定温度は175℃とした。評価に用いた素子は、ショットキー金属種と、その後のアニール条件がそれぞれ異なるものを用いた。また、印加するゲート電圧のパルス幅を2μsecから1μsec刻みで増やしていき、素子が破壊した時点の1つ前のパルス幅を負荷短絡耐量と定義した。
表7~9に、それぞれチタン、ニッケルならびに金を用いた時の負荷短絡耐量評価結果を示す。なお、本実験で得られたチタン、ニッケルでのショットキーバリアハイトΦBの一部の結果(ΦB<1.85eV)は、非特許文献6、11で開示されている結果といい一致をしている。金に関しては、非特許文献11で開示された(0001)面でのΦBの値を用い、チタンならびにニッケルの(0001)面と熱処理温度によるΦBの違いから、手計算でΦBを求めその値を用いてシミュレーションした。各ショットキー金属とnドリフト層2とのショットキーバリアハイトΦBは、事前に評価解析した値を表中に記載してある。なお、比較とために内蔵SBDの無いプレーナMOSFETの評価結果も併せて示す。
Figure 0007333509000007
Figure 0007333509000008
Figure 0007333509000009
この結果から分かるように、負荷短絡耐量はバリアハイトΦBに大きく依存し、ΦB=1.22eVのチタン400℃アニールの場合、負荷短絡耐量は内蔵SBDの無いプレーナMOSFETの1/5以下の2μsecであったが、これがニッケル800℃アニールのΦB=1.99eVの場合、負荷短絡耐量は、内蔵SBDの無いプレーナMOSFETと同等の11μsecまで向上した。
(実施例5)
実施例4で作製したプレーナMOSFETについて、デバイスシミュレーションを行い、負荷短絡耐量のΦB依存性を調査した。その結果を図10に示す。ΦBが1.95eV以上ではおよそ11μsecという実用に耐え得る破壊耐量が得られ、かつSBDを内蔵しないプレーナMOSFETと同等以上の負荷短絡耐量を示した。また、ΦBを1.95eV以上増加させても、負荷短絡耐量はほとんど向上しないことが分かる。一方、ΦBが3.1eVを超えると、内蔵したSBDの順方向電流特性において、SBDが動作する前に寄生のPiNダイオードが動作することが判明した。これは、図10中に記載の、電流25A導通時のダイオードの順方向電圧降下が、ΦBが3.1eVを超えた領域からSBD内蔵プレーナMOSFETの方が大きな値を示していることからも分かる。つまり、ΦBが3.1eVを超えると本発明素子のダイオード順方向電圧降下の方がSiC-PiNダイオードの順方向電圧降下の3.3Vよりも大きくなってしまう。このことから、SBD内蔵プレーナMOSFETの特徴を示し、かつ高負荷短絡耐量を維持するためには、ΦBは1.95eV以上3.10eV以下に設定することが必要であることが判明した。
100、200、300、400・・・炭化珪素半導体装置
1・・・半導体基板
2、2A、2B、2C、2D・・・ドリフト層
3・・・ベース層
4・・・ソース層
5・・・コンタクト層
6・・・ゲート絶縁膜
7・・・ゲート電極(制御電極)
8・・・第一トレンチ
9・・・第二トレンチ
10・・・ソース電極(第一主電極)
11・・・ドレイン電極(第二主電極)
500・・・金属層
T・・・厚み方向

Claims (7)

  1. 第一導電型の半導体基板と、
    前記半導体基板の一方の主面に形成され、前記半導体基板より低い不純物濃度を有する第一導電型のドリフト層と、
    前記ドリフト層の上に形成され、前記ドリフト層より高い不純物濃度を有する第二導電型のベース層と、
    前記ベース層の上に形成された第一導電型のソース層と、
    前記ソース層の上面から前記ドリフト層に達する位置まで、各層の厚み方向に貫通するように、前記厚み方向からの平面視において、中央に形成された第一トレンチ、およびその周囲に形成された第二トレンチと、
    前記第一トレンチの内部を、ゲート絶縁膜を介して充填する制御電極層と、
    前記第二トレンチの内壁面を構成する前記ドリフト層とショットキー接合する金属層と、
    前記第二トレンチの内部を充填し、かつ前記半導体基板の一方の主面上の露出面を覆う第一主電極層と、
    前記半導体基板の他方の主面に形成された第二主電極層と、を有し、
    前記金属層のショットキー接合面が、(11-20)面もしくは(1-100)面であり、かつ前記金属層と前記ドリフト層との間のショットキーバリアエネルギーが、1.95eV以上3.10eV以下であり、
    前記金属層の材料が、チタン、ニッケル、金のいずれか一つであることを特徴とする炭化珪素半導体装置。
  2. 前記ドリフト層のうち、前記第一トレンチの底面を構成する部分が第二導電型であることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
  3. 前記ドリフト層のうち、前記第二トレンチの底面を構成する部分が第二導電型であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の炭化珪素半導体装置。
  4. 前記第一導電型がn型であり、前記第二導電型がp型であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の炭化珪素半導体装置。
  5. n型の半導体基板と、
    前記半導体基板の一方の主面に並んで形成され、前記半導体基板より低い不純物濃度を有するn型のドリフト層およびp型層と、
    前記n型のドリフト層の上に形成され、前記n型のドリフト層より高い不純物濃度を有するp型のベース層と、
    前記ベース層の上に形成されたn型のソース層と、
    前記ソース層の上面から前記p型層に達する位置まで、各層の厚み方向に貫通するように、前記厚み方向からの平面視において、中央に形成された第一トレンチ、およびその周囲に形成された第二トレンチと、
    前記第一トレンチの内部を、ゲート絶縁膜を介して充填する制御電極層と、
    前記第二トレンチの内壁面を構成する前記n型のドリフト層とショットキー接合する金属層と、
    前記第二トレンチの内部を充填し、かつ前記半導体基板の一方の主面上の露出面を覆う第一主電極層と、
    前記半導体基板の他方の主面に形成された第二主電極層と、を有し、
    前記金属層のショットキー接合面が、(11-20)面もしくは(1-100)面であり、かつ前記金属層と前記n型のドリフト層との間のショットキーバリアエネルギーが、1.76eV以上3.10eV以下であることを特徴とする炭化珪素半導体装置。
  6. 第一導電型の半導体基板と、
    前記半導体基板の一方の主面に形成され、前記半導体基板よりも低い不純物濃度を有する第一導電型のドリフト層と、
    前記ドリフト層の上面から深さ方向広がるように形成され、前記ドリフト層より高い不純物濃度を有する第二導電型のベース層と、
    前記ドリフト層の上面のうち、前記ベース層の露出部分に形成された第一導電型のソース層と、
    ゲート絶縁膜を挟んで、少なくとも前記ソース層を覆うように形成された一体の制御電極と、
    前記半導体基板の一方の主面上の露出面を覆う第一主電極と、
    前記ドリフト層の上面において露出する前記ベース層の周囲とショットキー接合する金属層と、
    前記半導体基板の他方の主面に形成されたドレイン電極層と、を有し、
    前記金属層のショットキー接合面が(0001)面であり、かつ前記金属層と前記ドリフト層との間のショットキーバリアエネルギーが、1.95eV以上3.10eV以下であることを特徴とする炭化珪素半導体装置。
  7. 前記第一導電型がn型であり、前記第二導電型がp型であることを特徴とする請求項6に記載の炭化珪素半導体装置。
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