JP7329666B2 - コンクリート補強用繊維強化複合材料、コンクリート構造物 - Google Patents
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Description
本発明は、コンクリート補強用繊維強化複合材料およびそれを含むコンクリート構造物に関する。
柱や住宅、高層ビル等の建造物には、コンクリートが多用されている。建造物にコンクリートを用いる場合、コンクリートのみでは強度が不足する。そこで、コンクリートの強度を補強するために、コンクリート内部に補強材が配される。補強材が配されたコンクリートとしては、例えば、芯に鉄筋を配した鉄筋コンクリートや、金属繊維を配合した鋼繊維補強コンクリートが挙げられる。
大気中の二酸化炭素がコンクリート内に侵入すると、コンクリートが中性化する。コンクリートの中性化が進行するに伴って、コンクリート内部に配された鉄筋や金属繊維を構成する金属が錆びやすくなる。コンクリート内部で錆が発生すると、コンクリートにひび割れが生じる。さらに、コンクリートが金属繊維を含む場合、金属繊維は端部が非常に鋭利であるため、金属繊維により作業者が負傷する危険性がある。これらの理由から、金属に替わる補強材が考案されている。金属に替わる補強材としては、例えば、炭素繊維が挙げられる。
コンクリートに炭素繊維を配合する技術としては、例えば、セメント系無機質材に、エポキシ樹脂等のサイジング材を0.1質量%以上10質量%以下程度付与した炭素繊維を配合することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、コンクリートに炭素繊維を配合する技術としては、炭素繊維を12000本束ねた炭素繊維束にエポキシ樹脂を付与し、繊維ストランドに占める炭素繊維単糸の含有率が85質量%以上99.8質量%の炭素繊維ストランドを作製し、コンクリートにその炭素繊維ストランドを混合して、炭素繊維強化コンクリートを得ることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、サイジング材を0.1質量%以上10質量%以下程度付与した炭素繊維や、炭素繊維を12000本束ねた炭素繊維束にエポキシ樹脂を付与し、繊維ストランドに占める炭素繊維単糸の含有率が85質量%以上99.8質量%の炭素繊維ストランドは、コンクリートに対する定着力が十分ではなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、コンクリート材に対する高い定着力を有するコンクリート補強用繊維強化複合材料およびそれを含むコンクリート構造物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。
[1]強化繊維の束と熱可塑性樹脂を含む線状物であり、
前記強化繊維の束は、強化繊維の単繊維を1000本以上10000本以下束ねたものであり、
前記熱可塑性樹脂は、熱可塑性エポキシ樹脂であり、
繊維体積含有率(Vf値)が、20%以上40%以下であるコンクリート補強用繊維強化複合材料。
[2]前記コンクリート補強用繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面の太さが0.1mm以上3mm以下である、前記[1]に記載のコンクリート補強用繊維強化複合材料。
[3]前記強化繊維は、炭素繊維である、前記[1]に記載のコンクリート補強用繊維強化複合材料。
[4]コンクリート補強用繊維強化複合材料の長さ方向の長さが10mm以上100mm以下であり、全体を長さ方向に沿って連続して波形状に互い違いに屈曲させた形状である、[1]に記載のコンクリート補強用繊維強化複合材料。
[5]前記[1]~前記[4]のいずれかに記載のコンクリート補強用繊維強化複合材料を含むコンクリート材からなる、コンクリート構造物。
[6]前記コンクリート材における前記コンクリート補強用繊維強化複合材料の含有量が1kg/m3以上350kg/m3以下である、前記[5]に記載のコンクリート構造物。
[1]強化繊維の束と熱可塑性樹脂を含む線状物であり、
前記強化繊維の束は、強化繊維の単繊維を1000本以上10000本以下束ねたものであり、
前記熱可塑性樹脂は、熱可塑性エポキシ樹脂であり、
繊維体積含有率(Vf値)が、20%以上40%以下であるコンクリート補強用繊維強化複合材料。
[2]前記コンクリート補強用繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面の太さが0.1mm以上3mm以下である、前記[1]に記載のコンクリート補強用繊維強化複合材料。
[3]前記強化繊維は、炭素繊維である、前記[1]に記載のコンクリート補強用繊維強化複合材料。
[4]コンクリート補強用繊維強化複合材料の長さ方向の長さが10mm以上100mm以下であり、全体を長さ方向に沿って連続して波形状に互い違いに屈曲させた形状である、[1]に記載のコンクリート補強用繊維強化複合材料。
[5]前記[1]~前記[4]のいずれかに記載のコンクリート補強用繊維強化複合材料を含むコンクリート材からなる、コンクリート構造物。
[6]前記コンクリート材における前記コンクリート補強用繊維強化複合材料の含有量が1kg/m3以上350kg/m3以下である、前記[5]に記載のコンクリート構造物。
本発明によれば、コンクリート材に対する高い定着力を有するコンクリート補強用繊維強化複合材料およびそれを含むコンクリート構造物を提供することができる。
本発明のコンクリート補強用繊維強化複合材料およびそれを含むコンクリート構造物の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[コンクリート補強用繊維強化複合材料]
本実施形態のコンクリート補強用繊維強化複合材料(以下、「繊維強化複合材料」という。)は、強化繊維の束と熱可塑性樹脂を含む線状物である。
すなわち、本実施形態の繊維強化複合材料の形状は、線状であり、細長い形状である。
本実施形態のコンクリート補強用繊維強化複合材料(以下、「繊維強化複合材料」という。)は、強化繊維の束と熱可塑性樹脂を含む線状物である。
すなわち、本実施形態の繊維強化複合材料の形状は、線状であり、細長い形状である。
繊維強化複合材料は、コンクリート組成物中に配合して用いられる。
なお、本実施形態の繊維強化複合材料において、コンクリートは、砂、砂利、セメント、水等を混合して得られたものに限定されず、砂利等を含まないモルタルや、砂等も含まないセメントも含む。
なお、本実施形態の繊維強化複合材料において、コンクリートは、砂、砂利、セメント、水等を混合して得られたものに限定されず、砂利等を含まないモルタルや、砂等も含まないセメントも含む。
本実施形態の繊維強化複合材料に含まれる強化繊維は、後述する強化繊維の群から適宜選択されるが、それらの強化繊維の中でも炭素繊維が好ましい。
本実施形態の繊維強化複合材料に含まれる熱可塑性樹脂は、後述する熱可塑性樹脂の群から適宜選択されるが、それらの中でも熱可塑性エポキシ樹脂が好ましい。
本実施形態の繊維強化複合材料は、繊維体積含有率(Vf値)、すなわち、強化繊維の含有率が、10%以上70%以下であることが好ましい。
繊維体積含有率(Vf値)が10%以上であれば、繊維強化複合材料において、繊維強化複合材料に含まれる強化繊維の強度を反映させることができる。一方、繊維体積含有率(Vf値)が70%以下であれば、熱可塑性樹脂とコンクリート材との高い定着力を保持することができる。
また、繊維強化複合材料を配合して得られるコンクリート構造物に対して優れた強度を付与することができる観点から、繊維体積含有率(Vf値)は、15%以上50%以下であることがより好ましく、20%以上40%以下であることがさらに好ましい。
繊維体積含有率(Vf値)が10%以上であれば、繊維強化複合材料において、繊維強化複合材料に含まれる強化繊維の強度を反映させることができる。一方、繊維体積含有率(Vf値)が70%以下であれば、熱可塑性樹脂とコンクリート材との高い定着力を保持することができる。
また、繊維強化複合材料を配合して得られるコンクリート構造物に対して優れた強度を付与することができる観点から、繊維体積含有率(Vf値)は、15%以上50%以下であることがより好ましく、20%以上40%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態の繊維強化複合材料における繊維体積含有率(Vf値)は、下記の式(1)によって算出することができる。
Vf値(%)=(W-ρ3×V)/[(ρ2-ρ3)×V]×100・・・(1)
Vf値(%)=(W-ρ3×V)/[(ρ2-ρ3)×V]×100・・・(1)
上記の式(1)において、Wは繊維強化複合材料の質量(g)、Vは繊維強化複合材料の体積(cm3)、ρ2は繊維強化複合材料に含まれる強化繊維の密度(g/cm3)、ρ3は繊維強化複合材料に含まれる熱可塑性樹脂の密度(g/cm3)を表す。
本実施形態の繊維強化複合材料は、繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面の太さが0.1mm以上3mm以下であることが好ましく、0.1mm以上2mm以下であることがより好ましく、0.3mm以上1.5mm以下であることがさらに好ましく、0.5mm以上1.2mm以下であることが最も好ましい。
繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面の太さが0.1mm以上であれば、繊維強化複合材料が十分な機械的強度を有し、取扱い中に折れることが軽減するため、取扱い性が向上する。一方、繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面の太さが3mm以下であれば、繊維強化複合材料に含まれる1本の強化繊維とコンクリート材との接触面積が大きくなるため、繊維強化複合材料を含むコンクリート構造物の機械的強度を向上させることができる。
繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面の太さが0.1mm以上であれば、繊維強化複合材料が十分な機械的強度を有し、取扱い中に折れることが軽減するため、取扱い性が向上する。一方、繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面の太さが3mm以下であれば、繊維強化複合材料に含まれる1本の強化繊維とコンクリート材との接触面積が大きくなるため、繊維強化複合材料を含むコンクリート構造物の機械的強度を向上させることができる。
なお、本実施形態の繊維強化複合材料において、繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面の形状が円形でない場合には、その断面の長径(最も長い部分)を太さとする。断面の形状としては、円形、楕円形、三角形、四角形(短冊状)、五角形以上の多角形、星形等が挙げられる。
断面の形状が三角形の場合、三角形の長辺が上記の太さの範囲を満たしていればよい。
断面の形状が三角形の場合、三角形の長辺が上記の太さの範囲を満たしていればよい。
本実施形態の繊維強化複合材料は、長さ方向の長さが10mm以上100mm以下であることが好ましく、20mm以上80mm以下であることがより好ましく、25mm以上60mm以下であることがさらに好ましい。
繊維強化複合材料の長さ方向の長さが10mm以上であれば、1本の繊維強化複合材料とコンクリート材との接触面積が大きくなり、コンクリート材と繊維強化複合材料の十分な定着力が発現し、繊維強化複合材料を含むコンクリート構造物の機械的強度を向上させることができる。一方、繊維強化複合材料の長さ方向の長さが100mm以下であれば、繊維強化複合材料のコンクリート組成物への混合が容易となり、繊維強化複合材料が混合時に折れることを軽減し、コンクリート組成物に繊維強化複合材料を十分に分散して配合することができる。
繊維強化複合材料の長さ方向の長さが10mm以上であれば、1本の繊維強化複合材料とコンクリート材との接触面積が大きくなり、コンクリート材と繊維強化複合材料の十分な定着力が発現し、繊維強化複合材料を含むコンクリート構造物の機械的強度を向上させることができる。一方、繊維強化複合材料の長さ方向の長さが100mm以下であれば、繊維強化複合材料のコンクリート組成物への混合が容易となり、繊維強化複合材料が混合時に折れることを軽減し、コンクリート組成物に繊維強化複合材料を十分に分散して配合することができる。
コンクリート組成物中に配合される繊維強化複合材料およびコンクリート材に含まれる繊維強化複合材料の形状(外形)は、線状であれば特に限定されず、任意の形状をなしていてもよい。繊維強化複合材料の形状としては、例えば、図1(a)に示すような直線状;テープ状;ひねり形状;L字型、波形等の曲がった形状等が挙げられる。
ひねり形状とは、直線状の繊維強化複合材料が軸方向に対してねじる等のひねりが付与された形状である。ひねり形状は、撚糸状やコイル状等も含む。ひねりの強さや回数は、特に限定されない。
曲がった形状とは、図1(b)~図4(f)に示すように直線状の繊維強化複合材料を折り曲げる等して角度を付与した形状である。繊維強化複合材料を曲げる箇所の数、繊維強化複合材料を曲げる角度、および繊維強化複合材料を曲げた部分の長さは、特に限定されない。
繊維強化複合材料の曲がった形状としては、例えば、図1(b)に示すように一端部をL字状に屈曲させた形状、図1(c)~図1(e)に示すように一端部を略L字状に屈曲させた形状(L字の角が曲率を有する形状)、図1(f)に示すように一端部をコ字状に屈曲させた形状、図2(a)に示すように一端部を半円状に屈曲させた形状、図2(b)および図2(c)に示すように一端部を渦巻き状に屈曲させた形状、図2(d)に示すように一端部を長さ方向に沿って連続して鋭角状または直角状に互い違いに屈曲させた形状、図2(e)に示すように両端部をL字状に屈曲させた形状、図2(f)に示すように両端部を曲線状に屈曲させた形状(曲線の向きが互いに反対向き)、図3(a)に示すように両端部を半円状に屈曲させた形状(半円の向きが互いに同じ向き)、図3(b)に示すように両端部を半円状に屈曲させた形状(半円の向きが互いに反対向き)、図3(c)および図3(d)に示すように両端部を長さ方向に沿って連続して波形状に互い違いに屈曲させた形状(波形の向きが互いに反対向き)、図3(e)に示すように中央部を枡形状に曲げた形状、図3(f)に示すように中央部を長さ方向に沿って連続して波形状に互い違いに屈曲させた形状、図4(a)に示すように全体を長さ方向に沿って連続して波形状に屈曲させた形状、図4(b)に示すように全体を長さ方向に沿って連続して鋭角状または直角状に互い違いに屈曲させた形状、図4(c)~図4(e)に示すように全体を長さ方向に沿って連続して波形状に互い違いに屈曲させた形状、図4(f)に示すように全体を長さ方向に沿って連続してコ字状に互い違いに屈曲させた形状等が挙げられる。
繊維強化複合材料の曲がった形状としては、例えば、図1(b)に示すように一端部をL字状に屈曲させた形状、図1(c)~図1(e)に示すように一端部を略L字状に屈曲させた形状(L字の角が曲率を有する形状)、図1(f)に示すように一端部をコ字状に屈曲させた形状、図2(a)に示すように一端部を半円状に屈曲させた形状、図2(b)および図2(c)に示すように一端部を渦巻き状に屈曲させた形状、図2(d)に示すように一端部を長さ方向に沿って連続して鋭角状または直角状に互い違いに屈曲させた形状、図2(e)に示すように両端部をL字状に屈曲させた形状、図2(f)に示すように両端部を曲線状に屈曲させた形状(曲線の向きが互いに反対向き)、図3(a)に示すように両端部を半円状に屈曲させた形状(半円の向きが互いに同じ向き)、図3(b)に示すように両端部を半円状に屈曲させた形状(半円の向きが互いに反対向き)、図3(c)および図3(d)に示すように両端部を長さ方向に沿って連続して波形状に互い違いに屈曲させた形状(波形の向きが互いに反対向き)、図3(e)に示すように中央部を枡形状に曲げた形状、図3(f)に示すように中央部を長さ方向に沿って連続して波形状に互い違いに屈曲させた形状、図4(a)に示すように全体を長さ方向に沿って連続して波形状に屈曲させた形状、図4(b)に示すように全体を長さ方向に沿って連続して鋭角状または直角状に互い違いに屈曲させた形状、図4(c)~図4(e)に示すように全体を長さ方向に沿って連続して波形状に互い違いに屈曲させた形状、図4(f)に示すように全体を長さ方向に沿って連続してコ字状に互い違いに屈曲させた形状等が挙げられる。
また、曲がった形状は、機械等で均一に形成されたものであってもよく、手作業で不均一に形成されたものであってもよい。繊維強化複合材料の曲げ部分は、直角、鋭角、鈍角等の角度を有していてもよく、曲率を有して緩やかな曲線をなしていてもよい。
繊維強化複合材料の形状は、直線状または曲がった形状であることが好ましく、曲がった形状であることがより好ましい。曲がった形状の中でも、波形の形状が特に好ましい。
繊維強化複合材料の形状が波形の形状であれば、繊維強化複合材料とコンクリート組成物の定着力がより強固になる。
繊維強化複合材料の形状が波形の形状であれば、繊維強化複合材料とコンクリート組成物の定着力がより強固になる。
繊維強化複合材料に上記のような形状を付与する際の温度は、特に限定されない。繊維強化複合材料を加熱して変形させてもよく、室温で変形させてもよい。
本実施形態の繊維強化複合材料は、図5(a)~図7(b)に示すように、例えば、表面に凹凸が設けられていてもよく、表面に切れ込み等の凹部が設けられていてもよく、表面に凸部が設けられていてもよい。凹凸、凹部および凸部の形状は、直線で形成されていてもよく、曲線で形成されていてもよい。繊維強化複合材料の表面に切れ込みを入れる方向は、繊維強化複合材料の長さ方向に対して縦方向(平行方向)であってもよく、繊維強化複合材料の長さ方向に対して横方向(垂直方向)あってもよく、繊維強化複合材料の長さ方向に対して斜め方向であってもよい。凹凸、凹部および凸部は、連続に設けられていてもよく、断続的に設けられていてもよい。
表面に凹凸を有する繊維強化複合材料としては、例えば、図5(a)に示すように、繊維強化複合材料10の表面10aにおいて長さ方向に沿ってかつ外周全周に螺旋状に凹部11が形成され、繊維強化複合材料10の表面10aに連続に凹凸が設けられたものが挙げられる。
表面に凹部を有する繊維強化複合材料としては、図5(b)に示すように、繊維強化複合材料20の表面20aにおいて略十字状の凹部21が間隔を置いて複数形成されたものが挙げられる。
表面に凹凸を有する繊維強化複合材料としては、例えば、図5(c)に示すように、繊維強化複合材料30の表面30aにおいて長さ方向に沿ってかつ外周全周に、間隔を置いて複数の線状(筋状)の凹部31が形成され、繊維強化複合材料30の表面30aに凹凸が連続に凹凸が設けられたものが挙げられる。
表面に凹部を有する繊維強化複合材料としては、図5(b)に示すように、繊維強化複合材料20の表面20aにおいて略十字状の凹部21が間隔を置いて複数形成されたものが挙げられる。
表面に凹凸を有する繊維強化複合材料としては、例えば、図5(c)に示すように、繊維強化複合材料30の表面30aにおいて長さ方向に沿ってかつ外周全周に、間隔を置いて複数の線状(筋状)の凹部31が形成され、繊維強化複合材料30の表面30aに凹凸が連続に凹凸が設けられたものが挙げられる。
表面に凹凸を有する繊維強化複合材料としては、例えば、図5(d)に示すように、繊維強化複合材料40の表面40aにおいて長さ方向に対して垂直方向かつ外周全周に凹部41が形成され、繊維強化複合材料40の表面40aに連続に凹凸が設けられたものが挙げられる。
表面に凹部を有する繊維強化複合材料としては、図5(e)に示すように、繊維強化複合材料50の表面50aにおいて長さ方向に対して垂直方向に直線状の凹部51が間隔を置いて複数形成されたものが挙げられる。
表面に凹部を有する繊維強化複合材料としては、図5(f)に示すように、繊維強化複合材料60の表面60aにおいて長さ方向に沿って直線状の凹部61が間隔を置いて複数形成されたものが挙げられる。
表面に凹部を有する繊維強化複合材料としては、図5(e)に示すように、繊維強化複合材料50の表面50aにおいて長さ方向に対して垂直方向に直線状の凹部51が間隔を置いて複数形成されたものが挙げられる。
表面に凹部を有する繊維強化複合材料としては、図5(f)に示すように、繊維強化複合材料60の表面60aにおいて長さ方向に沿って直線状の凹部61が間隔を置いて複数形成されたものが挙げられる。
表面に凹部を有する繊維強化複合材料としては、図6(a)に示すように、繊維強化複合材料70の表面70aにおいて長さ方向に対して斜めに直線状の凹部71が間隔を置いて複数形成されたものが挙げられる。
表面に凹部を有する繊維強化複合材料としては、図6(b)に示すように、繊維強化複合材料80の表面80aにおいて長さ方向に沿って連続して波形状に凹部81が形成されたものが挙げられる。
表面に凹部を有する繊維強化複合材料としては、図6(b)に示すように、繊維強化複合材料80の表面80aにおいて長さ方向に沿って連続して波形状に凹部81が形成されたものが挙げられる。
表面に凸部を有する繊維強化複合材料としては、図7(a)に示すように、繊維強化複合材料90の表面90aに粒状の樹脂が間隔を置いて付与され、その樹脂からなる凸部91が間隔を置いて複数形成されたものが挙げられる。
表面に凸部を有する繊維強化複合材料としては、図7(b)に示すように、繊維強化複合材料100の表面100aにおいて長さ方向に対して垂直方向かつ外周全周に直線状に樹脂が付与され、その樹脂からなる凸部101が間隔を置いて複数形成されたものが挙げられる。
表面に凸部を有する繊維強化複合材料としては、図7(c)に示すように、繊維強化複合材料110の表面110aにおいて長さ方向に沿ってかつ外周全周に螺旋状に樹脂が付与され、その樹脂からなる凸部111が形成されたものが挙げられる。
表面に凸部を有する繊維強化複合材料としては、図7(b)に示すように、繊維強化複合材料100の表面100aにおいて長さ方向に対して垂直方向かつ外周全周に直線状に樹脂が付与され、その樹脂からなる凸部101が間隔を置いて複数形成されたものが挙げられる。
表面に凸部を有する繊維強化複合材料としては、図7(c)に示すように、繊維強化複合材料110の表面110aにおいて長さ方向に沿ってかつ外周全周に螺旋状に樹脂が付与され、その樹脂からなる凸部111が形成されたものが挙げられる。
表面に凹凸を有する繊維強化複合材料としては、図7(d)に示すように、繊維強化複合材料120の表面120aにおいて長さ方向に沿って外周全周に樹脂が連続的に波形状に付与され、その樹脂からなる凸部121と凹部122が複数形成されたものが挙げられる。
表面に凸部を有する繊維強化複合材料としては、図7(e)に示すように、繊維強化複合材料130の表面130aにおいて長さ方向に対して垂直方向かつ外周全周に球状に樹脂が付与され、その樹脂からなる凸部131が間隔を置いて複数形成されたものが挙げられる。
表面に凸部を有する繊維強化複合材料としては、図7(f)に示すように、繊維強化複合材料140の表面140aに球状の樹脂が間隔を置いて付与され、その樹脂からなる凸部141が間隔を置いて複数形成されたものが挙げられる。
表面に凸部を有する繊維強化複合材料としては、図7(e)に示すように、繊維強化複合材料130の表面130aにおいて長さ方向に対して垂直方向かつ外周全周に球状に樹脂が付与され、その樹脂からなる凸部131が間隔を置いて複数形成されたものが挙げられる。
表面に凸部を有する繊維強化複合材料としては、図7(f)に示すように、繊維強化複合材料140の表面140aに球状の樹脂が間隔を置いて付与され、その樹脂からなる凸部141が間隔を置いて複数形成されたものが挙げられる。
凹凸および凹部を形成する方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。強化繊維の束に熱可塑性樹脂を付与する際のダイスの開口部の形状によって凹凸および凹部を形成する方法、強化繊維の束に熱可塑性樹脂を付与した後、繊維強化複合材料の表面にカッター等で切れ込みを形成する方法、金型等の型を用いて繊維強化複合材料を加圧あるいは加熱加圧して凹凸および凹部を形成する方法、繊維強化複合材料の表面に粒状の樹脂や、無機物を含む樹脂を付与する方法。
本実施形態の繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面の形状は、特に限定されない。繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面の形状としては、例えば、円形、楕円形、三角形、四角形、五画形以上の多角形状、星形等が挙げられる。繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面の形状は、円形であることが好ましい。繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面の形状が円形であれば、コンクリート材の表面に対する繊維強化複合材料の付着力と、繊維強化複合材料の表面積とのバランスがとれて、繊維強化複合材料を含むコンクリート構造物中において、気泡が形成されることを抑制できる。
本実施形態の繊維強化複合材料に含まれる熱可塑性樹脂としては、強化繊維およびコンクリート材との親和性の高い樹脂を用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂を用いることにより、繊維強化複合材料を成形した後であっても、繊維強化複合材料を加熱して、再び、波形、L字型等の任意の形状に成形することができる。
また、熱可塑性樹脂を用いることにより、コンクリート組成物に含まれるセメントが固まる際に発する水和熱により強化繊維の束の表面に付着している熱可塑性樹脂が軟化、変形し、コンクリート組成物が硬化した際には、コンクリート材と繊維強化複合材料がより密着して定着するため、繊維強化複合材料を含むコンクリート構造物の機械的強度を向上させることができる。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ABS樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、レゾルシノール樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂の中でも、コンクリート組成物中の高アルカリ環境下においても優れた耐久性および機械的強度を有するものとして、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、レゾルシノール樹脂が好ましく、エポキシ樹脂が特に好ましい。熱可塑性エポキシ樹脂は、炭素繊維およびコンクリート材との定着力に優れる。また、熱可塑性エポキシ樹脂は、ケトン溶剤に溶解することができるため、繊維強化複合材料を構成する素材ごとに分別してリサイクルすることができる。
熱可塑性エポキシ樹脂としては、強化繊維の束に熱可塑性エポキシ樹脂を付与した後に反応させる後反応型の熱可塑性エポキシ樹脂が好ましい。
後反応型の熱可塑性エポキシ樹脂とは、架橋剤や触媒、重合開始剤や重合促進剤等の硬化剤を添加することにより、反応が開始または促進されて硬化する反応型樹脂であって、硬化した後も熱可塑性を有する樹脂である。
後反応型の熱可塑性エポキシ樹脂とは、架橋剤や触媒、重合開始剤や重合促進剤等の硬化剤を添加することにより、反応が開始または促進されて硬化する反応型樹脂であって、硬化した後も熱可塑性を有する樹脂である。
なお、本実施形態における後反応型の熱可塑性エポキシ樹脂は、反応後にフェノキシ樹脂となるものを含む。後反応型の熱可塑性エポキシ樹脂を用いた場合、強化繊維の束の内部にまで熱可塑性エポキシ樹脂が入り込むため、コンクリート構造物において、強化繊維の強度をより効果的に活用することができる。その結果、繊維強化複合材料を含むコンクリート構造物の機械的強度をより高くすることができる。また、強化繊維の束の内部にまで熱可塑性エポキシ樹脂が入り込んでいることにより、セメント、砂利、繊維強化複合材料等を配合したコンクリート組成物に水を添加する際に、繊維強化複合材料に水が吸収され、添加する水量が増加することを抑制し、得られるコンクリート材の強度が低下することを抑制できる。
本実施形態の繊維強化複合材料に含まれる強化繊維としては、無機繊維、有機繊維、またはこれらを複合したものが挙げられる。
強化繊維としては、具体的には、炭素繊維、黒鉛繊維、炭化ケイ素繊維、ボロン繊維、ガラス繊維、バサルト繊維、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(PBO)繊維、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維、ポリビニルアルコール(PVA)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維等が挙げられる。
強化繊維としては、具体的には、炭素繊維、黒鉛繊維、炭化ケイ素繊維、ボロン繊維、ガラス繊維、バサルト繊維、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(PBO)繊維、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維、ポリビニルアルコール(PVA)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維等が挙げられる。
強化繊維は、熱可塑性樹脂と親和性の高いものを用いることが好ましく、上記の強化繊維の中でも、軽量かつ優れた機械的強度を有する観点から、炭素繊維が好ましい。
炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。これらの炭素繊維の中でも、弾性率、機械的強度、コストのバランスの観点から、PAN系炭素繊維がより好ましい。
本実施形態の繊維強化複合材料では、強化繊維としては、強化繊維の単繊維を複数本束ねた強化繊維の束が用いられる。
強化繊維の束とは、2本以上の強化繊維の単繊維を集束させたものであれば、集束剤で集束させたものであってもよく、集束剤を用いずに束ねたものであってもよい。生産性の観点からは、強化繊維の束としては、集束剤で集束させたものが好ましい。なお、集束剤を用いる場合には、熱可塑性樹脂と親和性の高いものを用いることが好ましい。熱可塑性樹脂と親和性の高い集束剤を用いることにより、強化繊維の束の内部に熱可塑性樹脂が含浸しやすくなるため、優れた強度を有するとともに、強度が安定した繊維強化複合材料を得ることができる。
強化繊維の束とは、2本以上の強化繊維の単繊維を集束させたものであれば、集束剤で集束させたものであってもよく、集束剤を用いずに束ねたものであってもよい。生産性の観点からは、強化繊維の束としては、集束剤で集束させたものが好ましい。なお、集束剤を用いる場合には、熱可塑性樹脂と親和性の高いものを用いることが好ましい。熱可塑性樹脂と親和性の高い集束剤を用いることにより、強化繊維の束の内部に熱可塑性樹脂が含浸しやすくなるため、優れた強度を有するとともに、強度が安定した繊維強化複合材料を得ることができる。
強化繊維の束は、強化繊維の単繊維を500本以上100000本以下束ねたものであることが好ましく、強化繊維の単繊維を1000本以上10000本以下束ねたものであることがより好ましい。
強化繊維の単繊維が500本以上であれば、十分な強度をコンクリート構造物に付与することができる繊維強化複合材料が得られる。一方、強化繊維の単繊維が100000本以下であれば、コンクリート組成物に繊維強化複合材料を十分な本数や密度で配合することができる。
強化繊維の単繊維が500本以上であれば、十分な強度をコンクリート構造物に付与することができる繊維強化複合材料が得られる。一方、強化繊維の単繊維が100000本以下であれば、コンクリート組成物に繊維強化複合材料を十分な本数や密度で配合することができる。
具体的には、強化繊維の束としては、例えば、炭素繊維メーカーから供給される炭素繊維の単繊維を3000本(3K)束ねた製品、6000本(6K)束ねた製品、12000本(12K)束ねた製品、24000本(24K)束ねた製品、40000本(40K)束ねた製品、50000本(50K)束ねた製品、60000本(60K)束ねた製品等が挙げられる。本実施形態の繊維強化複合材料では、これらの炭素繊維の束としては、繊維強化複合材料が必要とする機械的強度、長さおよび太さに応じて、1本または複数本束ねたもの、あるいは任意の本数に分繊したものが用いられる。
炭素繊維の束としては、具体的には、東レ株式会社製のトレカ(登録商標)糸(T700SC-24000等)、三菱ケミカル株式会社製のパイロフィル(登録商標)、東邦テナックス株式会社製のテナックス(登録商標)等の炭素繊維の束、または、これらの炭素繊維の束を複数束ねたものが挙げられる。
炭素繊維の束としては、無撚糸、有撚糸、解撚糸等が用いられる。
炭素繊維の束としては、無撚糸、有撚糸、解撚糸等が用いられる。
強化繊維の束の長さは、10mm以上100mm以下であることが好ましい。
強化繊維の束の長さが10mm以上であれば、繊維強化複合材料は、強化繊維が有する機械的強度を発揮することができる。一方、強化繊維の束の長さが100mm以下であれば、生産性に優れた繊維強化複合材料を提供することができる。
強化繊維の束の長さが10mm以上であれば、繊維強化複合材料は、強化繊維が有する機械的強度を発揮することができる。一方、強化繊維の束の長さが100mm以下であれば、生産性に優れた繊維強化複合材料を提供することができる。
強化繊維の束を構成する強化繊維の単繊維の長さは、強化繊維の束と同様に10mm以上100mm以下であることが好ましい。つまり、強化繊維の束を構成する強化繊維の単繊維の長さとは、強化繊維の単繊維を複数本一方向に束ねて得られる強化繊維の束の長さと実質的に同一であることが好ましい。
本実施形態の繊維強化複合材料によれば、強化繊維の束と熱可塑性樹脂を含み、熱可塑性樹脂が、強化繊維およびコンクリート材との親和性に優れるため、コンクリート材と繊維強化複合材料との定着性に優れ、コンクリート構造物の強度を向上することができる。
また、本実施形態の繊維強化複合材料によれば、熱可塑性樹脂を含むため、繊維強化複合材料を配合したコンクリート組成物に含まれるセメントが固まる際に発する水和熱により、強化繊維の束の表面に付着している熱可塑性樹脂が軟化、変形し、コンクリート組成物が硬化した際には、コンクリート材と繊維強化複合材料がより密着して定着する。したがって、本実施形態の繊維強化複合材料は、コンクリート材に対する高い定着力を有する。
よって、本実施形態の繊維強化複合材料によれば、機械的強度に優れた繊維強化複合材料を含むコンクリート構造物を提供することができる。
また、本実施形態の繊維強化複合材料によれば、金属以外の強化繊維を含むため、作業者が繊維強化複合材料を含むコンクリート構造物の取り扱いにおいて、安全に作業することができる。
また、本実施形態の繊維強化複合材料によれば、熱可塑性樹脂を含むため、繊維強化複合材料を配合したコンクリート組成物に含まれるセメントが固まる際に発する水和熱により、強化繊維の束の表面に付着している熱可塑性樹脂が軟化、変形し、コンクリート組成物が硬化した際には、コンクリート材と繊維強化複合材料がより密着して定着する。したがって、本実施形態の繊維強化複合材料は、コンクリート材に対する高い定着力を有する。
よって、本実施形態の繊維強化複合材料によれば、機械的強度に優れた繊維強化複合材料を含むコンクリート構造物を提供することができる。
また、本実施形態の繊維強化複合材料によれば、金属以外の強化繊維を含むため、作業者が繊維強化複合材料を含むコンクリート構造物の取り扱いにおいて、安全に作業することができる。
[コンクリート構造物]
本実施形態のコンクリート構造物は、本実施形態の繊維強化複合材料を含むコンクリート材からなる。すなわち、本実施形態のコンクリート構造物は、上述の強化繊維の束と熱可塑性樹脂を含む繊維強化複合材料を含有するコンクリート材からなる。
本実施形態のコンクリート構造物は、本実施形態の繊維強化複合材料を含むコンクリート材からなる。すなわち、本実施形態のコンクリート構造物は、上述の強化繊維の束と熱可塑性樹脂を含む繊維強化複合材料を含有するコンクリート材からなる。
コンクリート材は、コンクリート組成物を、水等を用いて硬化させたものであって、セメント、セメントと砂等の細骨材を混合させたモルタル、セメントと砂利等の粗骨材、砂等の細骨材を混合させたコンクリート等のことである。
コンクリート組成物は、セメントと、砂利等の粗骨材と、砂等の細骨材とを含み、必要に応じて、流動化剤、減水剤等の公知の混和材や混和剤を配合したものである。
セメントとしては、特に限定されず、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント等が挙げられる。
コンクリート組成物における粗骨材や細骨材の含有量は、目的とするコンクリート構造物の必要とする機械的強度等に応じて適宜調整される。
コンクリート組成物に対する水の添加量は、コンクリート組成物における粗骨材や細骨材の含有量を考慮して、コンクリート組成物におけるセメントの含有量に応じて適宜調整される。
本実施形態のコンクリート構造物は、コンクリート材100体積%に対して、繊維強化複合材料を0.10体積%以上20体積%以下含むことが好ましく、1.0体積%以上15体積%以下含むことがより好ましく、2.0体積%以上10体積%以下含むことがさらに好ましい。
繊維強化複合材料の含有率が0.10体積%以上であれば、繊維強化複合材料によりコンクリート構造物を十分に補強することができる。一方、繊維強化複合材料の含有率が20体積%以下であれば、繊維強化複合材料によりコンクリート構造物が有する機械的強度が損なわれない。
繊維強化複合材料の含有率が0.10体積%以上であれば、繊維強化複合材料によりコンクリート構造物を十分に補強することができる。一方、繊維強化複合材料の含有率が20体積%以下であれば、繊維強化複合材料によりコンクリート構造物が有する機械的強度が損なわれない。
本実施形態のコンクリート構造物は、コンクリート材におけるコンクリート補強用繊維強化複合材料の含有量が1kg/m3以上350kg/m3以下であることが好ましく、10kg/m3以上250kg/m3以下であることがより好ましく、25kg/m3以上160kg/m3以下であることがさらに好ましい。
コンクリート材におけるコンクリート補強用繊維強化複合材料の含有量が1kg/m3以上であれば、繊維強化複合材料によりコンクリート構造物を十分に補強することができる。一方、コンクリート材におけるコンクリート補強用繊維強化複合材料の含有量が350kg/m3以下であれば、コンクリート構造物の生産性と機械的強度のバランスを保持することができる。
コンクリート材におけるコンクリート補強用繊維強化複合材料の含有量が1kg/m3以上であれば、繊維強化複合材料によりコンクリート構造物を十分に補強することができる。一方、コンクリート材におけるコンクリート補強用繊維強化複合材料の含有量が350kg/m3以下であれば、コンクリート構造物の生産性と機械的強度のバランスを保持することができる。
本実施形態のコンクリート構造物によれば、本実施形態の繊維強化複合材料を含むため、繊維強化複合材料とコンクリート材の定着力に優れるコンクリート構造物を提供することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
複数の強化繊維を一方向に束ねた強化繊維の束として炭素繊維を6000本(6K)束ねたものと、熱可塑性樹脂として熱可塑性エポキシ樹脂を含む熱可塑性樹脂溶液とを用いて、直線状の繊維強化複合材料を作製した。
炭素繊維を6000本(6K)束ねたものとしては、東レ株式会社製のトレカ(登録商標)T300-6000を用いた。
熱可塑性樹脂溶液としては、熱可塑性エポキシ樹脂(後反応型樹脂DENATITE XNR6850V、ナガセケムテックス株式会社製)100質量部と、硬化剤(DENATITE XNH6850V、ナガセケムテックス株式会社製)6.5質量部と、メチルエチルケトン10質量部とを含むものを用いた。
複数の強化繊維を一方向に束ねた強化繊維の束として炭素繊維を6000本(6K)束ねたものと、熱可塑性樹脂として熱可塑性エポキシ樹脂を含む熱可塑性樹脂溶液とを用いて、直線状の繊維強化複合材料を作製した。
炭素繊維を6000本(6K)束ねたものとしては、東レ株式会社製のトレカ(登録商標)T300-6000を用いた。
熱可塑性樹脂溶液としては、熱可塑性エポキシ樹脂(後反応型樹脂DENATITE XNR6850V、ナガセケムテックス株式会社製)100質量部と、硬化剤(DENATITE XNH6850V、ナガセケムテックス株式会社製)6.5質量部と、メチルエチルケトン10質量部とを含むものを用いた。
炭素繊維の束を巻いたドラムから、そのまま炭素繊維の束を引き出しながら、炭素繊維の束に熱可塑性樹脂溶液(粘度100mPa・s、B型粘度計、ローターNo.20、12rpm。東機産業株式会社:TVB-15型粘度計、20℃)を付与した。
その後、熱可塑性樹脂溶液を付与した炭素繊維の束を、150℃にて20分間熱処理し、熱可塑性樹脂溶液を反応させて、固化させ、炭素繊維の束と熱可塑性樹脂からなる直線状の固化物を得た。
その後、その固化物を40mmの長さに切断して、繊維体積含有率(Vf値)が30%の繊維強化複合材料を得た。
得られた繊維強化複合材料は、その長さ方向に対して垂直な方向の断面の形状が円形であり、太さが1.0mmであった。
なお、引抜試験用の試料として、別途、長さ1.2mmの繊維強化複合材料を作製した。
得られた繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面を、走査型電子顕微鏡(商品名:S3000H、株式会社日立サイエンスシステムズ製)を用いて100倍で観察した結果、炭素繊維の内部まで熱可塑性樹脂が入り込んでいることが確認された。
その後、熱可塑性樹脂溶液を付与した炭素繊維の束を、150℃にて20分間熱処理し、熱可塑性樹脂溶液を反応させて、固化させ、炭素繊維の束と熱可塑性樹脂からなる直線状の固化物を得た。
その後、その固化物を40mmの長さに切断して、繊維体積含有率(Vf値)が30%の繊維強化複合材料を得た。
得られた繊維強化複合材料は、その長さ方向に対して垂直な方向の断面の形状が円形であり、太さが1.0mmであった。
なお、引抜試験用の試料として、別途、長さ1.2mmの繊維強化複合材料を作製した。
得られた繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面を、走査型電子顕微鏡(商品名:S3000H、株式会社日立サイエンスシステムズ製)を用いて100倍で観察した結果、炭素繊維の内部まで熱可塑性樹脂が入り込んでいることが確認された。
[実施例2]
実施例1と同様にして、炭素繊維の束と熱可塑性樹脂からなる直線状の固化物を得た。
得られた固化物を再度加熱して波形に成形し、繊維体積含有率(Vf値)が30%の繊維強化複合材料を得た。
得られた繊維強化複合材料は、その長さ方向に対して垂直な方向の断面の形状が楕円形であり、太さ(長径の長さ)が2.0mmであった。
なお、引抜試験用の試料として、別途、長さ1.2mmの繊維強化複合材料を作製した。
得られた繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面を、実施例1と同様にして走査型電子顕微鏡を用いて100倍で観察した結果、炭素繊維の内部まで熱可塑性樹脂が入り込んでいることが確認された。
実施例1と同様にして、炭素繊維の束と熱可塑性樹脂からなる直線状の固化物を得た。
得られた固化物を再度加熱して波形に成形し、繊維体積含有率(Vf値)が30%の繊維強化複合材料を得た。
得られた繊維強化複合材料は、その長さ方向に対して垂直な方向の断面の形状が楕円形であり、太さ(長径の長さ)が2.0mmであった。
なお、引抜試験用の試料として、別途、長さ1.2mmの繊維強化複合材料を作製した。
得られた繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面を、実施例1と同様にして走査型電子顕微鏡を用いて100倍で観察した結果、炭素繊維の内部まで熱可塑性樹脂が入り込んでいることが確認された。
[実施例3]
複数の強化繊維を一方向に束ねた強化繊維の束として、炭素繊維を60000本(60K)束ねたものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、直線状でかつ長さ40mm、繊維体積含有率(Vf値)が30%の繊維強化複合材料を得た。
炭素繊維としては、三菱ケミカル株式会社製のパイロフィルTRH50 60Mを用いた。
得られた繊維強化複合材料は、その長さ方向に対して垂直な方向の断面の形状が円形であり、太さが2.5mmであった。
なお、引抜試験用の試料として、別途、長さ1.2mmの繊維強化複合材料を作製した。
得られた繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面を、実施例1と同様にして走査型電子顕微鏡を用いて100倍で観察した結果、炭素繊維の内部まで熱可塑性樹脂が入り込んでいることが確認された。
複数の強化繊維を一方向に束ねた強化繊維の束として、炭素繊維を60000本(60K)束ねたものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、直線状でかつ長さ40mm、繊維体積含有率(Vf値)が30%の繊維強化複合材料を得た。
炭素繊維としては、三菱ケミカル株式会社製のパイロフィルTRH50 60Mを用いた。
得られた繊維強化複合材料は、その長さ方向に対して垂直な方向の断面の形状が円形であり、太さが2.5mmであった。
なお、引抜試験用の試料として、別途、長さ1.2mmの繊維強化複合材料を作製した。
得られた繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面を、実施例1と同様にして走査型電子顕微鏡を用いて100倍で観察した結果、炭素繊維の内部まで熱可塑性樹脂が入り込んでいることが確認された。
[実施例4]
実施例1と同様の強化繊維および熱可塑性樹脂溶液を用いて、直線状でかつ長さ40mm、繊維体積含有率(Vf値)が50%の繊維強化複合材料を得た。
得られた繊維強化複合材料は、その長さ方向に対して垂直な方向の断面の形状が円形であり、太さが0.7mmであった。
なお、引抜試験用の試料として、別途、長さ1.2mmの繊維強化複合材料を作製した。
得られた繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面を、実施例1と同様にして走査型電子顕微鏡を用いて100倍で観察した結果、炭素繊維の内部まで熱可塑性樹脂が入り込んでいることが確認された。
実施例1と同様の強化繊維および熱可塑性樹脂溶液を用いて、直線状でかつ長さ40mm、繊維体積含有率(Vf値)が50%の繊維強化複合材料を得た。
得られた繊維強化複合材料は、その長さ方向に対して垂直な方向の断面の形状が円形であり、太さが0.7mmであった。
なお、引抜試験用の試料として、別途、長さ1.2mmの繊維強化複合材料を作製した。
得られた繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面を、実施例1と同様にして走査型電子顕微鏡を用いて100倍で観察した結果、炭素繊維の内部まで熱可塑性樹脂が入り込んでいることが確認された。
[実施例5]
実施例1と同様にして、炭素繊維の束と熱可塑性樹脂からなる線状の固化物を得た。
得られた固化物を実施例2と同様にして再度加熱して波形に成形し、繊維体積含有率(Vf値)が50%の繊維強化複合材料を得た。
得られた繊維強化複合材料は、その長さ方向に対して垂直な方向の断面の形状が楕円形であり、太さ(長径の長さ)が1.9mmであった。
なお、引抜試験用の試料として、別途、長さ1.2mmの繊維強化複合材料を作製した。
得られた繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面を、実施例1と同様にして走査型電子顕微鏡を用いて100倍で観察した結果、炭素繊維の内部まで熱可塑性樹脂が入り込んでいることが確認された。
実施例1と同様にして、炭素繊維の束と熱可塑性樹脂からなる線状の固化物を得た。
得られた固化物を実施例2と同様にして再度加熱して波形に成形し、繊維体積含有率(Vf値)が50%の繊維強化複合材料を得た。
得られた繊維強化複合材料は、その長さ方向に対して垂直な方向の断面の形状が楕円形であり、太さ(長径の長さ)が1.9mmであった。
なお、引抜試験用の試料として、別途、長さ1.2mmの繊維強化複合材料を作製した。
得られた繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面を、実施例1と同様にして走査型電子顕微鏡を用いて100倍で観察した結果、炭素繊維の内部まで熱可塑性樹脂が入り込んでいることが確認された。
[実施例6]
実施例3と同様の強化繊維と、実施例1と同様の熱可塑性樹脂溶液とを用いて、直線状の繊維体積含有率(Vf値)が50%の繊維強化複合材料を得た。
得られた繊維強化複合材料は、その長さ方向に対して垂直な方向の断面の形状が円形であり、太さが2.4mmであった。
なお、引抜試験用の試料として、別途、長さ1.2mmの繊維強化複合材料を作製した。
得られた繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面を、実施例1と同様にして走査型電子顕微鏡を用いて100倍で観察した結果、炭素繊維の内部まで熱可塑性樹脂が入り込んでいることが確認された。
実施例3と同様の強化繊維と、実施例1と同様の熱可塑性樹脂溶液とを用いて、直線状の繊維体積含有率(Vf値)が50%の繊維強化複合材料を得た。
得られた繊維強化複合材料は、その長さ方向に対して垂直な方向の断面の形状が円形であり、太さが2.4mmであった。
なお、引抜試験用の試料として、別途、長さ1.2mmの繊維強化複合材料を作製した。
得られた繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面を、実施例1と同様にして走査型電子顕微鏡を用いて100倍で観察した結果、炭素繊維の内部まで熱可塑性樹脂が入り込んでいることが確認された。
[定着性の評価]
実施例1~実施例6で得られた繊維強化複合材料の一端部を、次のようにして、コンクリート材に固定した。
図8(a)に示すように、繊維強化複合材料200の一端部200Aの外周に、第1のポリプロピレン製テープ(リンテック社製シリコーン粘着テープ)300を巻き回した。
第1のPPテープ300は、繊維強化複合材料200が所定の長さ以上にコンクリート材700と定着することを防ぐために設けた。
図8(a)に示すように、巻き回した第1のPPテープ300の上面300aから、繊維強化複合材料200の長さ方向に沿って20mmの間隔を置いて、繊維強化複合材料200の外周に、第1のPPテープと同一組成の第2のポリプロピレン製テープ(以下、「第2のPPテープ」と言う。)400を巻き回した。
第2のPPテープ400は、繊維強化複合材料200が所定の長さ以上にコンクリート材700と定着することを防ぐために設けた。
図8(a)に示すように、巻き回した第2のPPテープ400の外周にシリコーンキャップ500を装着した。
シリコーンキャップ500は、コンクリート材700の上面700aにて繊維強化複合材料200に応力が集中することを防ぐために設けた。
このように第1のPPテープ300、第2のPPテープ400およびシリコーンキャップ500を設けた繊維強化複合材料200を、図8(a)に示すように、その一端部200Aが鉛直下方となるように固化する前のコンクリート組成物600中に埋め込んだ。
その後、コンクリート組成物600を固化させてコンクリート材700とし、コンクリート材700に繊維強化複合材料200の一端部200Aおよび第2のPPテープ400とシリコーンキャップ500を設けた部分を固定した。
コンクリート材700からの繊維強化複合材料200の引抜試験を行うことにより、繊維強化複合材料200とコンクリート材700との定着性を評価した。
引抜試験による連続繊維補強材とコンクリートとの付着強度試験方法(JSCE-E 539-2007)に準拠して、株式会社島津製作所製の万能試験機(UH-100kNI)を用いて、引抜試験を行った。
実施例1~実施例6で得られた繊維強化複合材料の一端部を、次のようにして、コンクリート材に固定した。
図8(a)に示すように、繊維強化複合材料200の一端部200Aの外周に、第1のポリプロピレン製テープ(リンテック社製シリコーン粘着テープ)300を巻き回した。
第1のPPテープ300は、繊維強化複合材料200が所定の長さ以上にコンクリート材700と定着することを防ぐために設けた。
図8(a)に示すように、巻き回した第1のPPテープ300の上面300aから、繊維強化複合材料200の長さ方向に沿って20mmの間隔を置いて、繊維強化複合材料200の外周に、第1のPPテープと同一組成の第2のポリプロピレン製テープ(以下、「第2のPPテープ」と言う。)400を巻き回した。
第2のPPテープ400は、繊維強化複合材料200が所定の長さ以上にコンクリート材700と定着することを防ぐために設けた。
図8(a)に示すように、巻き回した第2のPPテープ400の外周にシリコーンキャップ500を装着した。
シリコーンキャップ500は、コンクリート材700の上面700aにて繊維強化複合材料200に応力が集中することを防ぐために設けた。
このように第1のPPテープ300、第2のPPテープ400およびシリコーンキャップ500を設けた繊維強化複合材料200を、図8(a)に示すように、その一端部200Aが鉛直下方となるように固化する前のコンクリート組成物600中に埋め込んだ。
その後、コンクリート組成物600を固化させてコンクリート材700とし、コンクリート材700に繊維強化複合材料200の一端部200Aおよび第2のPPテープ400とシリコーンキャップ500を設けた部分を固定した。
コンクリート材700からの繊維強化複合材料200の引抜試験を行うことにより、繊維強化複合材料200とコンクリート材700との定着性を評価した。
引抜試験による連続繊維補強材とコンクリートとの付着強度試験方法(JSCE-E 539-2007)に準拠して、株式会社島津製作所製の万能試験機(UH-100kNI)を用いて、引抜試験を行った。
コンクリート組成物600は、セメント、細骨材および水からなるモルタルを、100mm×100mm×100mmの角柱となるように打設して用いた。
セメントとしては、ポルトランドセメントを用いた。
コンクリート組成物600の配合を表1に示す。
セメントとしては、ポルトランドセメントを用いた。
コンクリート組成物600の配合を表1に示す。
実施例1~実施例6で得られた繊維強化複合材料の引抜試験の結果を表2に示す。
実施例1、実施例2および実施例5では、コンクリート材に埋め込まれていない部分の繊維強化複合材料が破断した。
実施例3、実施例4および実施例6では、コンクリート材から繊維強化複合材料が抜けてしまった。コンクリート材から抜けた繊維強化複合材料を観察したところ、コンクリート材と熱可塑性樹脂の界面が剥離していた。
実施例3、実施例4および実施例6では、コンクリート材から繊維強化複合材料が抜けてしまった。コンクリート材から抜けた繊維強化複合材料を観察したところ、コンクリート材と熱可塑性樹脂の界面が剥離していた。
実施例1~実施例6における繊維強化複合材料の引抜試験の結果から、繊維体積含有率(Vf値)が小さい(熱可塑性樹脂の含有量が多い)繊維強化複合材料の方が、長さが等しく、繊維体積含有率(Vf値)が大きい繊維強化複合材料よりも、コンクリート材との定着性に優れることが分かった。また、波形の繊維強化複合材料の方が、直線状の繊維強化複合材料よりも、コンクリート材との定着性に優れることが分かった。
また、実施例3は、実施例1よりも強化繊維の量が10倍となっているが、引張強度は2倍程度しか向上しなかった。この結果から、強度増加や生産におけるコストの観点から、繊維強化複合材料に含まれる強化繊維の量は少ないことが好ましく、繊維強化複合材料は細いことが好ましいことが分かった。
本発明のコンクリート補強用繊維強化複合材料は、耐久性に優れるだけでなく、作業者の負担軽減や安全性向上といった作業性の改善に寄与するとともに、作業効率の向上に寄与することができるため、その産業利用可能性は大である。
10,20,30,40,50,60,70,80,90,100,110,120,130,140,200・・・繊維強化複合材料、11,21,31,41,51,61,71,81,122・・・凹部、91,101,111,121,131,141・・・凸部、300・・・第1のPPテープ、400・・・第2のPPテープ、500・・・シリコーンキャップ、600・・・コンクリート組成物、700・・・コンクリート材。
Claims (6)
- 強化繊維の束と熱可塑性樹脂を含む線状物であり、
前記強化繊維の束は、強化繊維の単繊維を1000本以上10000本以下束ねたものであり、
前記熱可塑性樹脂は、熱可塑性エポキシ樹脂であり、
繊維体積含有率(Vf値)が、20%以上40%以下である、コンクリート補強用繊維強化複合材料。 - 前記コンクリート補強用繊維強化複合材料の長さ方向に対して垂直な方向の断面の太さが0.1mm以上3mm以下である、請求項1に記載のコンクリート補強用繊維強化複合材料。
- 前記強化繊維は、炭素繊維である、請求項1に記載のコンクリート補強用繊維強化複合材料。
- コンクリート補強用繊維強化複合材料の長さ方向の長さが10mm以上100mm以下であり、全体を長さ方向に沿って連続して波形状に互い違いに屈曲させた形状である、請求項1に記載のコンクリート補強用繊維強化複合材料。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載のコンクリート補強用繊維強化複合材料を含むコンクリート材からなる、コンクリート構造物。
- 前記コンクリート材における前記コンクリート補強用繊維強化複合材料の含有量が1kg/m3以上350kg/m3以下である、請求項5に記載のコンクリート構造物。
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