JP7327433B2 - 車両搬送装置 - Google Patents

Description

本開示は、四輪の車両の搬送を行う車両搬送装置に関する。

特許文献１には、装置構成を簡素に形成して、小容量のアクチュエータを用いて車両を支持し、昇降し、搬送可能とするリフト搬送台車が開示されている。このリフト搬送台車は、アーム部で車両のタイヤを支持し、車両を持ち上げて走行することで車両の搬送を行う。

特許文献２には、四輪の車両を移動させるためのコンベヤ装置が開示されている。このコンベヤ装置は、収納可能な可動アームを備えるシャシーを含んでいる。ここで、シャシーは、テレスコピック構造を有し、それぞれが１対のアームを含む２つのセグメントで構成されている。また、セグメントは、可動アームが車輪に当接しない位置と、可動アームが車輪のトレッドに当接する位置との間で移動可能となっている。

特開２０１９－０７８０９９号公報 国際公開２０１６－１８９２３３号公報

特許文献１で開示されるように、従来、四輪の車両の下に台車部（台車フレーム）を挿入し、台車部に設けられるアーム群（アーム部）がそれぞれの車輪に当接することで車両を支持し、台車部を上昇させて車両を持ち上げた状態で移動することで車両の搬送を行う車両搬送装置（リフト搬送台車）が提案されている。このような装置により、種類の異なる複数の車両を搬送する場合、それぞれの車両の車輪の位置に合わせて、車輪に当接するアームの位置を調整することが必要となる。

特許文献２では、台車部（シャシー）が、テレスコピック構造を有し、２つのセグメントで構成される。これにより、セグメントが移動することで車輪を支持するアーム（可動アーム）の位置を調整することが可能である。しかしながら、このように台車部が部分的に伸縮する機構を採用すると、車両を搬送するための剛性を保つことができる台車部を構成するに当たって、装置が大型化してしまう。

本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、台車部が部分的に伸縮することなく、車両の車輪に当接するアームの位置を調整することが可能な車両搬送装置を提案することを目的とする。

第１の開示に係る車両搬送装置は、四輪の車両の前後方向に対して車両の下に台車部を挿入し、台車部に設けられるアーム群がそれぞれの車輪に当接することで車両を支持し、台車部を上昇させて車両を持ち上げた状態で移動することで車両の搬送を行う装置である。この車両搬送装置は、第１アーム群と接続し、第１アーム群が第１車輪と当接する支持状態と第１アーム群が第１車輪と当接しない解放状態とを切り替えるように動作する第１アームアクチュエータと、第２アーム群と接続し、第２アーム群が第２車輪と当接する支持状態と第２アーム群が第２車輪と当接しない解放状態とを切り替えるように動作する第２アームアクチュエータと、台車部の両側面それぞれに設けられ、台車部と独立して台車部の長手方向に沿ってスライドするスライド部材と、を備えている。ここで、第１車輪は、車両の前輪及び後輪の一方の車輪を示し、第２車輪は、車両の前輪及び後輪の他方の車輪を示す。また、第１アーム群は、第１車輪を支持するアームであり、第２アーム群は、第２車輪を支持するアームである。そして、第１アーム群及び第１アームアクチュエータは、スライド部材と結合し、スライド部材と一体的に台車部と独立して台車部の長手方向に沿ってスライドするように構成されている。

第２の開示に係る車両搬送装置は、第１の開示に係る車両搬送装置に対して、更に以下の特徴を含んでいる。
スライド部材は、台車部の両側面それぞれに設けられるレール部分に嵌合してスライドする。

第３の開示に係る車両搬送装置は、第１又は第２の開示に係る車両搬送装置に対して、更に以下の特徴を含んでいる。
車両搬送装置は、さらに、第１アーム群が設けられている側の台車部の長手方向の一端に設けられ、車両搬送装置の走行機能及び台車部の昇降機能を提供する本体部と、本体部とスライド部材の間に設けられ、スライド部材をスライドさせるスライドアクチュエータと、を備えている。スライドアクチュエータは、スライド部材と結合し台車部の長手方向に動作することによってスライド部材をスライドさせる棒形状の可動部分を含んでいる。第１アーム群は、本体部が設けられている側で第１車輪と当接する固定アームを含んでいる。ここで、固定アームは、台車部の長手方向に直行する方向に延びた状態で端部がスライド部材に螺合されている。また、スライド部材とスライドアクチュエータの可動部分の結合部は、台車部の長手方向に直行する方向において、スライド部材と固定アームとの螺合部分より内側に位置している。

第４の開示に係る車両搬送装置は、第３の開示に係る車両搬送装置に対して、更に以下の特徴を含んでいる。
スライド部材は、複数のリブを有しており、スライド部材とアームとの螺合部分は、リブにより挟持されている。

第５の開示に係る車両搬送装置は、第１乃至第４の開示のいずれか１つの開示に係る車両搬送装置に対して、更に以下の特徴を含んでいる。
車両搬送装置は、さらに、第１アーム群及びスライド部材と結合する天板を備えている。そして、天板は、スライド部材と一体的に台車部と独立して台車部の長手方向にスライドするように構成されている。

第６の開示に係る車両搬送装置は、第５の開示に係る車両搬送装置に対して、更に以下の特徴を含んでいる。
スライド部材は、複数のリブを有しており、天板とスライド部材は、リブで結合している。

第７の開示に係る車両搬送装置は、第１乃至第６のいずれか１つの開示に係る車両搬送装置に対して、更に以下の特徴を含んでいる。
車両搬送装置は、さらに、アームアクチュエータに動力を供給するワイヤーハーネスを保護する保護部材を備えている。そして、ハーネス保護部材は、スライド部材と結合し、スライド部材と一体的に台車部と独立して台車部の長手方向にスライドするように構成されている。

本開示に係る車両搬送装置によれば、第１アーム群及び第１アームアクチュエータが、台車部と独立して台車部の長手方向にスライドするように構成される。これにより、台車部が部分的に伸縮することなく、アームの位置を車両の車輪の位置に合わせて調整することができる。延いては、装置を大型化することなく、車両搬送装置にアームの位置を調整することが可能な機構を採用することができる。

本実施の形態に係る車両搬送装置の斜視図である。 アームアクチュエータの動作を説明するための概念図である。 本実施の形態に係る車両搬送装置が車両を支持する動作の例を示す概念図である。 本実施の形態に係る車両搬送装置が車両を持ち上げる動作の例を示す概念図である。 第１アーム群及び第１アームアクチュエータのスライドの例を示す概念図である。 本実施の形態に係る車両搬送装置のスライド機構の構造について説明するための概念図である。 車両搬送装置のスライド機構によるスライドの例を示す概念図である。 スライドアクチュエータの動作を説明するための概念図である。 スライド部材の構成を説明するための概念図である。 車両搬送装置のスライド機構部分の上面図である。

以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲などの数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数が特定される場合を除いて、その言及した数に、本開示に係る思想が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構成等は、特に明示した場合や原理的に明らかにそれに特定される場合を除いて、本開示に係る思想に必ずしも必須のものではない。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を附しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。

１．車両搬送装置
図１は、本実施の形態に係る車両搬送装置１０の斜視図である。車両搬送装置１０は、本体部１００と、台車部２００と、第１アーム群２１１と、第２アーム群２１２と、第１アームアクチュエータ２２１と、第２アームアクチュエータ２２２と、を備えている。本体部１００は、第１アーム群が設けられている側の台車部２００の長手方向の一端に設けられている。

車両搬送装置１０は、四輪の車両の前後方向に対して車両の下に台車部２００を挿入し、台車部２００に設けられる第１アーム群２１１及び第２アーム群２１２が車両の前輪及び後輪それぞれに当接することで車両を支持する。そして、台車部２００を上昇させて車両を持ち上げた状態で移動することで車両の搬送を行う。

典型的には、車両搬送装置１０は、車両の前方から台車部２００を挿入する。つまり、第１アーム群２１１が車両の前輪に当接し、第２アーム群２１２が車両の後輪に当接することで車両を支持する。ただし、車両の後方から台車部２００を挿入して、車両を支持しても良い。

また以下、図１に示すように、車両搬送装置１０の向きについて、本体部１００が設けられている方向を第１方向として、第１方向に対して後方を第２方向、第１方向に対して左方を第３方向、第１方向に対して右方を第４方向とする。また、以下では、車両の下部に台車部２００が挿入されたときに第１方向に位置する車両の車輪を「第１車輪」とも称し、第２方向に位置する車両の車輪を「第２車輪」とも称する。

本体部１００は、車両搬送装置１０の走行機能を提供する駆動輪１１０と、台車部２００の昇降機能を提供する昇降装置１２０と、を含んでいる。駆動輪１１０及び昇降装置１２０それぞれは、典型的には、アクチュエータにより動作する。ここで、昇降装置１２０の機構については限定されない。例えば、油圧シリンダにより台車部２００の昇降を実現しても良いし、エアバネにより台車部２００の昇降を実現しても良い。

また本体部１００は、図１において明示しない動力源と、制御装置と、を含んでいる。
動力源は、車両搬送装置１０に備える種々のアクチュエータに動力を供給する。典型的には、動力源となるバッテリがアクチュエータそれぞれとワイヤーハーネスにより電気的に接続し、電力を供給する。以下の説明において、動力源はバッテリとし、アクチュエータそれぞれはワイヤーハーネスを介して電力が供給されるとする。

制御装置は、車両搬送装置１０に備える種々のアクチュエータを駆動し制御するための制御信号を出力する。アクチュエータは、制御信号に従って動作する。制御装置は、アクチュエータそれぞれに情報を伝達することができるように構成されている。典型的には、制御装置は、アクチュエータそれぞれとワイヤーハーネスにより電気的に接続している。ただし、その他の方法により構成されていても良い。例えば、無線通信や光通信により情報を伝達することができるように構成されていても良い。

なお、制御装置は、車両搬送装置１０の外部に備えられる装置であっても良い。この場合、制御装置は、通信によりそれぞれのアクチュエータに情報を伝達することができるように構成される。

第１アーム群２１１と、第２アーム群２１２と、第１アームアクチュエータ２２１と、第２アームアクチュエータ２２２と、は台車部２００に設けられている。

第１アーム群２１１は、アームＡＭ１１と、アームＡＭ１２と、アームＡＭ１３と、アームＡＭ１４と、を含んでいる。アームＡＭ１１とアームＡＭ１３は対を成し、第１車輪（例えば、左前輪）を挟むように当接する。アームＡＭ１２とアームＡＭ１４は対を成し、第１車輪（例えば、右前輪）を挟むように当接する。

第２アーム群２１２は、アームＡＭ２１と、アームＡＭ２２と、アームＡＭ２３と、アームＡＭ２４と、を含んでいる。アームＡＭ２１とアームＡＭ２３は対を成し、第２車輪（例えば、左後輪）を挟むように当接する。アームＡＭ２２とアームＡＭ２４は対を成し、第２車輪（例えば、右後輪）を挟むように当接する。

このように、第１アーム群２１１と第２アーム群２１２が、それぞれの車輪に当接することで車両を支持する。

第１アームアクチュエータ２２１は、第１アーム群２１１と接続し、第１アーム群が第１車輪と当接する支持状態と、第１アーム群が第１車輪と当接しない解放状態とを切り替えるように動作するアクチュエータである。第２アームアクチュエータ２２２は、第２アーム群２１２と接続し、第２アーム群が第２車輪と当接する支持状態と、第２アーム群が第２車輪と当接しない解放状態とを切り替えるように動作するアクチュエータである。以下、第１アームアクチュエータ２２１と第２アームアクチュエータ２２２とを区別する場合を除き、これらを「アームアクチュエータ」と総称する。

図２は、アームアクチュエータ（第１アームアクチュエータ２２１又は第２アームアクチュエータ２２２）の動作を説明するための概念図である。図２の上部は、解放状態でのアームＡＭ及びアームアクチュエータを示しており、図２の下部は、支持状態でのアームＡＭ及びアームアクチュエータを示している。アームアクチュエータは、位置ＣＰにおいてアームＡＭと連結されるロッドＲＤと、このロッドを収納するシリンダＣＬと、を有している。

アームアクチュエータは、シリンダＣＬの軸方向にロッドを移動させる。ロッドＲＤが押し出されると、アームＡＭは位置ＰＶ１を中心として回転し、シリンダＣＬは位置ＰＶ２を中心として回転する。ロッドＲＤが引き込まれると、アームＡＭ及びシリンダＣＬは、これとは反対の方向に回転する。これにより、アームＡＭは、解放状態から支持状態、又は支持状態から解放状態となるように動作する。

なお、第１アーム群２１１を構成するアームＡＭであって、本体部１００が設けられている側で第１車輪と当接するアームＡＭ（図１におけるアームＡＭ１１及びアームＡＭ１２、以下、「固定アーム」とも称する。）は、第１アームアクチュエータ２２１が接続しておらず、台車部２００の長手方向に直行する方向（図１における第３方向又は第４方向）に延びた状態で固定されている。固定の方法については後述する。

次に、図３及び図４を参照して、本実施の形態に係る車両搬送装置１０による車両１の搬送に係る動作について説明する。ここで、車両搬送装置１０は、車両１の前方から台車部２００を挿入するとする。

図３は、車両搬送装置１０の上面図を示し、車両１を支持する動作の例を示している。図３の上部に示すように、車両搬送装置１０は、第１アーム群２１１及び第２アーム群２１２を解放状態にして、車両１の前方から車両１の下に台車部２００を挿入する。このとき、固定アーム（アームＡＭ１１及びアームＡＭ１２）は、第１車輪（車両１の前輪ＦＷ）と当接する。そして、図３の下部に示すように、第１アーム群２１１及び第２アーム群２１２を支持状態とすることで、第１アーム群２１１及び第２アーム群２１２が第１車輪及び第２車輪（車両１の前輪ＦＷ及び後輪ＲＷ）それぞれに当接し、車両１を支持する。

図４は、車両搬送装置１０の側面図を示し、車両１を持ち上げる動作の例を示している。図４に示すように、車両搬送装置１０は、車両１を第１アーム群２１１及び第２アーム群２１２により支持した状態で、昇降装置１２０により台車部２００を上昇させることで車両１を持ち上げる。

ここで、図４に示すように、台車部２００の車輪２３０は、台車部２００が上昇した状態においても地面に接し転がることができるように構成されている。例えば、車両搬送装置１０は、台車部２００の上昇に対して車輪２３０の位置を維持するように動作するアクチュエータを備える。なお、車輪２３０は、図４に示す位置と異なる位置に複数備えられていても良い。

車両搬送装置１０は、車両１を持ち上げた状態で移動することで、車両１の搬送を行う。

２．スライド機構
前述したように、車両搬送装置１０が車両１を持ち上げるためには、第１アーム群２１１及び第２アーム群２１２が第１車輪及び第２車輪それぞれに当接し、車両１を支持することが必要となる。一方で、車両搬送装置１０は、種類の異なる複数の車両１を搬送することが想定される。この場合、搬送する車両１によって第１車輪及び第２車輪の位置が異なることが考えられる。このため、車両搬送装置１０は、搬送する車両１の第１車輪及び第２車輪の位置に合わせて、第１アーム群２１１又は第２アーム群２１２の位置を調整することが必要となる。

本実施の形態に係る車両搬送装置１０は、第１アーム群２１１及び第１アームアクチュエータ２２１が、台車部２００と独立して台車部２００の長手方向に沿ってスライドするスライド機構を備える。

図５は、第１アーム群２１１及び第１アームアクチュエータ２２１のスライドの例を示す概念図である。図５では、第１アーム群２１１及び第１アームアクチュエータ２２１のスライドの状態として（ａ）と（ｂ）の２つの例を示している。（ｂ）では、（ａ）と比較して、第１アーム群２１１及び第１アームアクチュエータ２２１が台車部２００の長手方向に沿って第２方向にスライドしている。ここで、台車部２００は伸縮せず、第１アーム群２１１及び第１アームアクチュエータ２２１は台車部２００と独立してスライドする。

このように、本実施の形態に係る車両搬送装置１０は、第１アーム群２１１及び第１アームアクチュエータ２２１が、台車部２００と独立して台車部２００の長手方向に沿ってスライドすることができるように構成される。

以下、本実施の形態に係る車両搬送装置１０のスライド機構について詳しく説明する。

２－１．スライド機構の構造
図６は、車両搬送装置１０のスライド機構の構造について説明するための概念図である。図６は、第１アーム群２１１及び第１アームアクチュエータ２２１付近の車両搬送装置１０の部分を示している。図６の上部は、該当部分の外観を示し、図６の下部は、天板２４０やカバーＣＶＲを外した内部構造を示している。ここで、カバーＣＶＲは、内部の装置を保護し、車両搬送装置１０の保守性を向上させるための部材である。天板２４０については後述する。

図６の下部に示すように、車両搬送装置１０は、スライド部材２５０と、スライドアクチュエータ２６０と、を備えている。

スライド部材２５０は、台車部２００の両側面それぞれに設けられる。スライド部材２５０は、台車部２００と独立して台車部２００の長手方向に沿ってスライド可能なように構成されている。スライド部材２５０の構成については後述する。

スライドアクチュエータ２６０は、スライド部材２５０をスライドさせるためのアクチュエータである。スライドアクチュエータ２６０が動作することにより、スライド部材２５０のスライドの状態が変化する。スライドアクチュエータ２６０の動作については後述する。スライドアクチュエータ２６０の動作は、典型的には、制御装置により制御される。

第１アーム群２１１及び第１アームアクチュエータ２２１は、スライド部材２５０と結合している。従って、スライド部材２５０がスライドすることにより、第１アーム群２１１及び第１アームアクチュエータ２２１は、スライド部材２５０と一体的にスライドする。延いては、台車部２００と独立して台車部２００の長手方向に沿ってスライドする。

ここで、スライド部材２５０のスライドに伴って第１アームアクチュエータ２２１が台車部２００の長手方向に沿って第２方向にスライドすると、第１アームアクチュエータ２２１に電力を供給するワイヤーハーネスＨＮＳの一部が露出することとなる。延いては、車両搬送装置１０の保守性が低下する虞がある。

そこで、本実施の形態に係る車両搬送装置１０は、ワイヤーハーネスＨＮＳを保護するハーネス保護部材２７０を備えている。また、ハーネス保護部材２７０は、スライド部材２５０と結合している。従って、スライド部材２５０がスライドすることにより、ハーネス保護部材２７０は、スライド部材２５０と一体的にスライドする。延いては、台車部２００と独立して台車部２００の長手方向に沿ってスライドする。これにより、第１アームアクチュエータ２２１のスライドによるワイヤーハーネスＨＮＳの露出を防ぎ、車両搬送装置１０の保守性を向上させることができる。

ところで、図６の上部に示すように、車両搬送装置１０は、天板２４０を備えている。天板２４０は、第１アーム群２１１及びスライド部材２５０と結合している。これにより、車両１により受ける荷重に対する第１アーム群２１１及びスライド部材２５０の剛性を高めることができる。また、天板２４０は、台車部２００の両側面で分離せずに単体で、第１アーム群２１１及びスライド部材２５０と結合している。これにより、車両１の荷重を受ける面積を増加することができ、さらに車両１により受ける荷重に対する剛性を高めることができる。

ここで、天板２４０は、第１アーム群２１１及びスライド部材２５０と結合する一方で、台車部２００と結合していない。従って、スライド部材２５０がスライドすることにより、天板２４０は、スライド部材２５０と一体的にスライドする。延いては、台車部２００と独立して台車部２００の長手方向にスライドする。

図７は、車両搬送装置１０のスライド機構によるスライドの例を示す概念図である。図７では、スライド部材２５０のスライドの状態が異なる（ａ）と（ｂ）それぞれの場合について、第１アーム群２１１及び第１アームアクチュエータ２２１付近の車両搬送装置１０の部分を示している。（ｂ）は、（ａ）と比較して、スライド部材２５０が台車部２００の長手方向に沿って第２方向にスライドしている状態である。

図７に示すように、スライド部材２５０がスライドすることにより、第１アーム群２１１、第１アームアクチュエータ２２１、及び天板２４０は、台車部２００と独立して台車部２００の長手方向に沿ってスライドする。また、同様に、ハーネス保護部材２７０がスライドすることで、ワイヤーハーネスＨＮＳの露出を防ぐことができる。

２－２．スライドアクチュエータの動作
図８は、スライドアクチュエータ２６０の動作を説明するための概念図である。図８では、スライド部材２５０のスライドの状態が異なる（ａ）と（ｂ）それぞれの場合について、図６の下部と同等の図を示している。

スライドアクチュエータ２６０は、台車部２００の長手方向に動作する棒形状の可動部分ＭＰを含んでいる。可動部分ＭＰは、スライド部材２５０と結合している。図７に示すように、スライドアクチュエータ２６０は、可動部分ＭＰが台車部２００の長手方向に動作することで、スライド部材２５０を押し込む又は引き込むようにスライドさせる。

２－３．スライド部材の構成
図９は、スライド部材２５０の構成を説明するための概念図である。図９は、台車部２００の第３方向の側面に備えるスライド部材２５０付近の車両搬送装置１０の部分を示している。ここで、スライド部材２５０、アームＡＭ１１、スライドアクチュエータ２６０の可動部分ＭＰ、及び台車部２００を示す一方で、他の車両搬送装置１０の構成部分は省略している。

スライド部材２５０は、スライド部分２５１と、ジョイント部分２５２と、により構成される。

スライド部分２５１は、スライド部材２５０のスライド機能を提供する部分である。図９に示すように、スライド部分２５１は、台車部２００の両側面それぞれに設けられるレール部分ＲＡＬに嵌合してスライドする。典型的には、スライド部分２５１は、ボールや円筒コロ等の転動体を介してレール部分ＲＡＬに嵌合し、転動体が転がることでスライドする。

このようにスライド部分２５１が台車部２００の両側面それぞれに設けられるレール部分ＲＡＬに嵌合してスライドする構造とすれば、スライド機構を備えるために必要とする台車部２００の上下の空間を抑えることができる。延いては、台車部２００の高さを抑えることができ、搬送することが可能な車両１の車高の範囲を拡げることができる。

ジョイント部分２５２は、第１アーム群２１１や第１アームアクチュエータ２２１等を結合して取り付ける部分である。ジョイント部分２５２は、スライド部分２５１と結合し一体的となっている。図８に示すように、ジョイント部分２５２は、複数のリブＲＢを有している。

天板２４０は、リブＲＢでスライド部材２５０と結合する。これにより、スライド部材２５０において車両１の荷重を均等に分散することができる。また、支持状態と解放状態とが切り替わるように回転するアームＡＭが取り付けられた状態において、アームＡＭの回転軸（位置ＰＶ１）の負荷を低減することができる。

リブＲＢは、ワイヤーハーネスＨＮＳを通すための凹みを有している。ただし、リブＲＢは凹みによって分離していない。このように、リブＲＢが分離せずに凹みを有することにより、ジョイント部分２５２の剛性の低下を抑えつつ、ワイヤーハーネスＨＮＳを通すことができる。また、天板２４０とリブＲＢは、リブＲＢの凹みの両脇で結合する。

アームＡＭ１１は、固定アームであり、第３方向に延びた状態で端部がジョイント部分２５２に螺合されている。これにより、アームＡＭ１１は、台車部２００の長手方向に直行する方向に延びた状態で固定される。ここで、前述したように、アームＡＭ１１は、第１アームアクチュエータ２２１が接続していない。また、スライド部材２５０と一体的にスライドしつつスライドアクチュエータ２６０やハーネス保護部材２７０を備える場所を確保するため、懸架による支持をすることができない。このため、アームＡＭ１１は、車両１により受ける荷重に対して、剛性が十分でなく、応力を十分に低減することができない虞がある。

そこで、本実施の形態に係る車両搬送装置１０では、図９に示すように、スライド部材２５０とスライドアクチュエータ２６０の可動部分ＭＰの結合部を、台車部２００の長手方向に直行する方向において、ジョイント部分２５２の内側とし、ジョイント部分２５２の外側にアームＡＭ１１の螺合部分を設けることができるように構成する。これにより、アームＡＭ１１にかかる曲げモーメントを低減することができる。さらに、アームＡＭ１１の螺合部分をリブＲＢで挟持する。これにより、アームＡＭ１１の剛性を高めることができる。このようにして、アームＡＭ１１に発生する応力を十分に低減することができる。

なお、螺合部分とリブＲＢとの間に詰め物となる部品を挟み込むことによって、アームＡＭ１１の螺合部分をリブＲＢで挟持するように構成しても良い。

図９において説明したスライド部材２５０の構成は、台車部２００の両側面に備えるスライド部材２５０で共通である。つまり、台車部２００の第４方向の側面に備えるスライド部材２５０の構成は、図９において説明したものと同等である。この場合、ジョイント部分２５２に螺合される固定アームは、アームＡＭ１２となる。

２－４．備考
図１０は、車両搬送装置１０のスライド機構部分の上面図である。図１０は、台車部２００の第３方向の半面を示している。ただし、台車部２００の第４方向の半面は、図１０と対称的であって同様に示される。

前述したように、アームＡＭ、第１アームアクチュエータ２２１、スライドアクチュエータ２６０の可動部分ＭＰ、及びハーネス保護部材２７０は、スライド部材２５０のジョイント部分２５２と結合して取り付けられている。ワイヤーハーネスＨＮＳは、リブＲＢの凹みを通るように構成される。

ここで、図１０に示すように、スライドアクチュエータ２６０は、接合部材ＪＮＴを介して台車部２００と接続している。これにより、車両１の荷重による撓みについて、スライド部材２５０の撓みと、スライドアクチュエータ２６０全体の撓みと、を均等にすることができる。延いては、スライドアクチュエータ２６０の可動部分ＭＰの動作が撓みによって阻害されることを防ぐことができ、スムーズな動作が可能となる。

３．効果
以上説明したように、本実施の形態に係る車両搬送装置１０によれば、第１アーム群２１１及び第１アームアクチュエータ２２１が、台車部２００と独立して台車部２００の長手方向にスライドするように構成されている。これにより、台車部２００が部分的に伸縮することなく、アームＡＭの位置を車両１の車輪の位置に合わせて調整することができる。延いては、装置を大型化することなく、車両搬送装置１０にアームＡＭの位置を調整することが可能な機構を採用することができる。

次に、本実施の形態に係る車両搬送装置１０によれば、スライド機構は、スライド部材２５０のスライド部分２５１が、台車部２００の両側面それぞれに設けられるレール部分ＲＡＬに嵌合してスライドする構造となっている。これにより、スライド機構を備えるために必要とする台車部２００の上下の空間を抑えることができる。延いては、台車部２００の高さを抑えることができ、搬送することが可能な車両１の車高の範囲を拡げることができる。

次に、本実施の形態に係る車両搬送装置１０によれば、固定アーム（アームＡＭ１１及びアームＡＭ１２）は、台車部２００の長手方向に直行する方向に延びた状態で端部がスライド部材２５０に螺合されている。ここで、スライド部材２５０とスライドアクチュエータ２６０の可動部分ＭＰの結合部は、台車部２００の長手方向に直行する方向において、ジョイント部分２５２の内側であり、スライド部材２５０と固定アームとの螺合部分は、ジョイント部分２５２の外側である。つまり、スライド部材２５０とスライドアクチュエータ２６０の可動部分ＭＰの結合部は、台車部２００の長手方向に直行する方向において、スライド部材２５０と固定アームとの螺合部分より内側に位置している。また、固定アームは、ジョイント部分２５２のリブＲＢにより挟持されている。これにより、車両１により受ける荷重に対する固定アームの剛性を高めることができ、固定アームに発生する応力を低減することができる。

次に、本実施の形態に係る車両搬送装置１０によれば、第１アーム群２１１及びスライド部材２５０と結合する天板２４０を備えている。ここで、天板２４０は、ジョイント部分２５２のリブＲＢと結合する。これにより、車両１により受ける荷重に対する第１アーム群２１１及びスライド部材２５０の剛性を高めるとともに、アームＡＭの回転軸の負荷を低減することができる。また、天板２４０は、スライド部材と一体的にスライドすることができる。

次に、本実施の形態に係る車両搬送装置１０によれば、ハーネス保護部材２７０を備え、ハーネス保護部材２７０は、スライド部材２５０と結合している。これにより、第１アームアクチュエータ２２１のスライドによるワイヤーハーネスＨＮＳの露出を防ぎ、車両搬送装置１０の保守性を向上させることができる。

１ 車両
１０ 車両搬送装置
１００ 本体部
２００ 台車部
２１１ 第１アーム群
２１２ 第２アーム群
２２１ 第１アームアクチュエータ
２２２ 第２アームアクチュエータ
２４０ 天板
２５０ スライド部材
２５１ スライド部分
２５２ ジョイント部分
２６０ スライドアクチュエータ
２７０ ハーネス保護部材

Claims (6)

1. 四輪の車両の前後方向に対して前記車両の下に台車部を挿入し、前記台車部に設けられるアーム群がそれぞれの車輪に当接することで前記車両を支持し、前記台車部を上昇させて前記車両を持ち上げた状態で移動することで前記車両の搬送を行う車両搬送装置であって、
   前記アーム群は、前記車両の前輪及び後輪の一方の前記車輪を示す第１車輪を支持する第１アーム群と、前記前輪及び前記後輪の他方の前記車輪を示す第２車輪を支持する第２アーム群と、を含み、
   前記第１アーム群と接続し、前記第１アーム群が前記第１車輪と当接する支持状態と前記第１アーム群が前記第１車輪と当接しない解放状態とを切り替えるように動作する第１アームアクチュエータと、
   前記第２アーム群と接続し、前記第２アーム群が前記第２車輪と当接する支持状態と前記第２アーム群が前記第２車輪と当接しない解放状態とを切り替えるように動作する第２アームアクチュエータと、
   前記台車部の両側面それぞれに設けられ、前記台車部と独立して前記台車部の長手方向に沿ってスライドするスライド部材と、
   前記第１アーム群が設けられている側の前記長手方向の一端に設けられ、前記車両搬送装置の走行機能及び前記台車部の昇降機能を提供する本体部と、
   前記本体部と前記スライド部材の間に設けられ、前記スライド部材をスライドさせるスライドアクチュエータと、
   を備え、
   前記第１アーム群及び前記第１アームアクチュエータは、
   前記スライド部材と結合し、前記スライド部材と一体的に前記台車部と独立して前記長手方向に沿ってスライドするように構成されており、
   前記スライドアクチュエータは、前記スライド部材と結合し前記長手方向に動作することによって前記スライド部材をスライドさせる棒形状の可動部分を含み、
   前記第１アーム群は、前記本体部が設けられている側で前記第１車輪と当接する固定アームを含み、
   前記固定アームは、前記長手方向に直行する方向に延びた状態で端部が前記スライド部材に螺合されており、
   前記スライド部材と前記可動部分の結合部は、
   前記長手方向に直行する方向において、前記スライド部材と前記固定アームとの螺合部分より内側に位置する
   ことを特徴とする車両搬送装置。
2. 請求項１に記載の車両搬送装置であって、
   前記スライド部材は、
   前記台車部の両側面それぞれに設けられるレール部分に嵌合してスライドする
   ことを特徴とする車両搬送装置。
3. 請求項１又は請求項２に記載の車両搬送装置であって、
   前記スライド部材は、
   複数のリブを有し、
   前記螺合部分は、
   前記リブにより挟持されている
   ことを特徴とする車両搬送装置。
4. 請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載の車両搬送装置であって、
   前記第１アーム群及び前記スライド部材と結合する天板を備え、
   前記天板は、
   前記スライド部材と一体的に前記台車部と独立して長手方向にスライドするように構成されている
   ことを特徴とする車両搬送装置。
5. 請求項４に記載の車両搬送装置であって、
   前記スライド部材は、
   複数のリブを有し、
   前記天板と前記スライド部材は、
   前記リブで結合している
   ことを特徴とする車両搬送装置。
6. 請求項１乃至請求項５のいずれか１項に記載の車両搬送装置であって、
   前記第１アームアクチュエータ及び前記第２アームアクチュエータに動力を供給するワイヤーハーネスを保護するハーネス保護部材を備え、
   前記ハーネス保護部材は、
   前記スライド部材と結合し、前記スライド部材と一体的に前記台車部と独立して前記長手方向に沿ってスライドするように構成されている
   ことを特徴とする車両搬送装置。

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