JP7326721B2 - 青果物鮮度保持包装容器、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法 - Google Patents
青果物鮮度保持包装容器、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法 Download PDFInfo
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Description
そこで、適当な包装材料(例えば合成樹脂フィルム)により青果物を包装することで、青果物の鮮度劣化を抑制する検討が、これまで行われてきている。
特に最近、青果物の呼吸を考慮したうえで、適当な数、密度および径の孔が設けられた包装容器により青果物を包装することが広く行われてきている。合成樹脂フィルムに孔を設ける方法は、レーザ、熱針など様々な方法がありうる。
通常、青果物の流通においては、青果物の保管温度は一定ではなく、青果物の温度環境は様々に変化する。本発明者らは、そのような温度変化が様々に変化する環境下においては、青果物の劣化が進行しやすいことを課題として見出した。
そこで、本発明者らは、温度が様々に変化する環境下においても、青果物の鮮度を良好に保持すべく、新たな包装容器の検討を進めた。
この知見に基づき更に検討を進め、以下に提供される発明を完成させた。
貫通孔を有する合成樹脂フィルムにより構成された青果物鮮度保持包装容器であって、
前記合成樹脂フィルムは、少なくとも第1の層および第2の層を備え、
前記第1の層が含む第1の樹脂と、前記第2の層が含む第2の樹脂は、共通する構造単位を有し、
前記合成樹脂フィルムを、加熱温度5℃/分で25℃から250℃まで示差走査熱量測定して得られるDSC曲線において、少なくとも2つの融解ピークP1およびP2が観察され、
前記融解ピークP1のピークトップ温度をT1とし、前記融解ピークP2のピークトップ温度をT2としたとき、T1とT2の差の絶対値が3~40℃である、青果物鮮度保持包装容器
が提供される。
前記青果物鮮度保持包装容器により青果物を密封した青果物入り包装体
が提供される。
前記青果物鮮度保持包装容器を用いて青果物を包装する青果物の鮮度保持方法
が提供される。
すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
煩雑さを避けるため、(i)同一図面内に同一の構成要素が複数ある場合には、その1つのみに符号を付し、全てには符号を付さない場合や、(ii)特に図2以降において、図1と同様の構成要素に改めては符号を付さない場合がある。
すべての図面はあくまで説明用のものである。図面中の各部材の形状や寸法比などは、必ずしも現実の物品と対応するものではない。
本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
以下に説明する包装容器の特徴のうち、温度による熱膨張/収縮などにより値が変動しうる特徴については、25℃環境下での測定値を採用することができる。ただし、測定/環境条件を特に明記している特徴についてはこの限りではない。
本実施形態の青果物鮮度保持包装容器は、貫通孔を有する合成樹脂フィルムにより構成されている。
ここでの合成樹脂フィルムは、少なくとも第1の層および第2の層を備える。
第1の層が含む第1の樹脂と、第2の層が含む第2の樹脂は、共通する構造単位を有する。
また、本実施形態の青果物鮮度保持包装容器を構成する合成樹脂フィルムを、加熱温度5℃/分で25℃から250℃まで示差走査熱量測定して得られるDSC曲線において、少なくとも2つの融解ピークP1およびP2が観察される。
ここで、融解ピークP1のピークトップ温度をT1とし、融解ピークP2のピークトップ温度をT2としたとき、T1とT2の差の絶対値は3~40℃である。
(有孔合成樹脂フィルムの孔が温度変化により膨張または収縮することについては、例えば特開2014-140349号公報などを参照されたい。)
第1の層が含む第1の樹脂および第2の層が含む第2の樹脂として、共通する構造単位を有するものを採用することで、第1の層と第2の層のおおよその膨張/収縮性を合わせるようにしつつ、合成樹脂フィルムが多層であることにより、一方の層が異常に膨張/収縮しようとしたときに、他方の層がそれをある程度抑えることができると考えられる。
上記(1)および(2)は、容器を構成する合成樹脂フィルム中に、適度に異なる様々な結晶・配向状態が存在することを意味する。
この「適度に異なる様々な結晶・配向状態が、1枚の合成樹脂フィルム中に存在する」ということにより、急激/不規則な温度変化でも、温度変化による開孔変化が「平均化」されやすくなると考えられる。つまり、急激/不規則な温度変化においても、適切な開孔変化を得やすいと考えられる。
そして、急激/不規則な温度変化においても、適切な開孔変化を得やすいことにより、様々な保存・輸送条件下でも、青果物の鮮度を良好に保持しやすいものと推測される。
示差走査熱量測定は、市販の示差走査熱量測定装置を用いて行うことができる。例えば、SII社の装置(品番:DSC6220)等を用いて、昇温条件:5℃/分、25~250℃の条件で行うことができる。また、データの解析は装置に付属のSII社のソフトウェアにより行うことができる。
T1そのものの値は、25~250℃の温度領域内であれば特に限定されない。素材の入手性や設計・製造のしやすさなどの点で、例えば140~180℃、好ましくは150~170℃である。
T2そのものの値は、25~250℃の温度領域内であれば特に限定されない。例えば、T1と同程度であることができる。
DSC曲線において、もし3つ以上の融解ピークが確認される場合は、一番高温側のピークトップ温度と、一番低温側のピークのピークトップ温度との差が、3~40℃であることが好ましい。
包装容器を構成する合成樹脂フィルムの原料(素材)は、任意の合成樹脂であってよい。
例えば、合成樹脂フィルムの第1の層は、第1の樹脂として、ポリエチレン、エチレン共重合体、ホモポリプロピレン、プロピレンのランダム共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましい。また、合成樹脂フィルムの第2の層も、上記のうち少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましい。ただし、上述のように、第1の樹脂と、第2の樹脂は、共通する構造単位を有する。
例えば、第1の樹脂と第2の樹脂が、ともにホモポリプロピレンである場合は、当然、「共通する構造単位を有する」場合に該当する。
また、別の例として、第1の樹脂がホモポリプロピレンであり、第2の樹脂がプロピレンのランダム共重合体である場合も、「共通する構造単位を有する」場合に該当する。第1の樹脂と第2の樹脂は、どちらも、プロピレンモノマーに由来する構造単位(-CH2-CH(CH3)-)を共通して有するためである。
例えば、第1の層がホモポリプロピレンを含み、第2の層がホモポリプロピレンおよびプロピレンのランダム共重合体とのブレンド(混合物)であることが好ましい。この場合、第1の樹脂はホモポリプロピレンであり、第二の樹脂はプロピレンのランダム共重合体である。
プロピレンのランダム共重合体としては、例えば、プロピレンとエチレンの共重合体、プロピレンと炭素数4~10のαオレフィンとの共重合体などを挙げることができる。
例えば、第1の樹脂として、融点が150~170℃(好ましくは155~165℃)のものを選択し、第2の樹脂として、融点が130~150℃(好ましくは135~145℃)のものを選択することができる。
包装容器を構成する合成樹脂フィルムの層構成や厚みなどは、基本的には包装容器の強度やハンドリング性などに基づき適宜設計することができる。
第1の層の厚みは、例えば5~50μm、好ましくは7~40μmである。
第2の層の厚みは、例えば第1の層と同程度とすることができる。
第1の層と第2の層の厚み比(第2の層の厚み/第1の層の厚み)は、例えば0.2~5、好ましくは0.25~4である。第1の層の厚みと第2の層の厚みとを同程度とすることが、前述の推定メカニズムの観点からは好ましいと考えられる。
その他の層は任意の場所に存在してもよい。例えば、第1の層と第2の層の間に存在しもよいし、第1の層における第2の層とは反対側や、第2の層における第1の層とは反対側に存在してもよい。
前述のように、本実施形態の包装容器を構成する合成樹脂フィルムは、貫通孔を有する。
貫通孔の数が複数であるほうが、温度による青果物の呼吸量変化に応じた、適切な量の外気の取り入れ/内気の排出が行われやすいというメリットがある。また、貫通孔の数が複数であることにより、たとえ温度変化による開孔変化が孔ごとにバラついていたとしても、そのバラつきが「平均化」され、容器全体としてより適切な開孔変化を得やすいとも考えられる。
なお、包装容器を構成する合成樹脂フィルムが複数の孔を有する場合、全ての貫通孔の直径が、上記数値範囲に収まっていることが好ましい。これは、ひとつには製造のしやすさのためである。また、複数の孔において、おおよその膨張/収縮性を合わせやすくなり、結果、温度変化による開孔変化が「平均化」されやすくなるという側面もある。
孔は、好ましくは略円状または略楕円状であるが、スリット状などであってもよい。
ただし、孔が複数存在する場合、一部の孔の直径が30~500μmの範囲外である態様を本発明は排除するものではない。例えば、一部の孔の直径は30μm未満であってもよい。一部の孔の直径が30μm以下であっても、他の孔の直径が30~500μmであれば、容器の内外で適切な換気がなされ、青果物の鮮度保持の効果が得られると考えられるためである。
具体的には、孔の外周から10mm以内の領域における樹脂フィルムの最大厚みをTmax、最小厚みをTminとしたとき、Tmax/Tminが1.05以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましく、1.5以上であることが更に好ましい。また、Tmax/Tminは、8以下であることが好ましく、6.5以下であることがより好ましく、5以下であることが更に好ましい。
ここで、「孔の外周から10mm以内の領域」とは、例えば、包装容器を構成する合成樹脂フィルムにおいて、孔の中心点から孔の周縁部(外周)に直線を引いたとき、その直線上において、その直線と孔の周縁部との交点から貫通孔の中心点とは逆方向に10mm離れた箇所までの範囲を指す。
TmaxおよびTminの測定方法(すなわち、局所的なフィルム膜厚の測定方法)については、後述の実施例を参照されたい。
孔の周囲の「こぶ」は、例えば、後述のレーザにより合成樹脂フィルムを穿孔することで形成することができる。
孔の密度は、例えば1~1500個/m2、好ましくは2~1000個/m2の範囲で調整することができる。
5℃での開孔面積比率(定義は上記式のとおり)をR5、40℃での開孔面積比率をR40としたとき、{(R40-R5)/R5}×100で表される開孔変化率の値が、例えば-5~20であり、好ましくは-4~15、より好ましくは-3~12である。
フィルムに孔を設ける際に上記各因子を高度に制御することによって、ひずみのない開孔部が得られると考えられる。すなわち、フィルムに孔を設ける際に上記各因子を高度に制御することで、ひずみのない孔を設けることができる。これにより、開孔部の外周には、周縁補強効果を奏することができるため、温度変化による空気の膨張や収縮とともに、開孔面積が適切に変化するものと考えられる。
包装容器を構成する合成樹脂フィルムの、酸素等の気体の透過性を適切に調整・設計することで、青果物の呼吸環境をより好ましく制御することができる。
または酸素透過度の値は、窒素を充填させた直後の包装容器と、窒素を充填させてから一定時間放置した後の包装容器のそれぞれに関し、包装容器内の酸素濃度を測定し、その酸素濃度勾配から算出することもできる。
本実施形態の包装容器の形状や大きさは、青果物を包装可能である限り特に限定されない。包装容器の形状は、典型的には袋状、より具体的には四角形(長方形、正方形等)の袋状である。
あくまで一例であるが、包装容器の大きさは、一般消費者向けの青果物の包装用途では、120mm×200mm~250mm×350mm程度の大きさとすることができる。
例えば、合成樹脂フィルムを用いて袋状の包装容器としたとき、第1の層が第2の層よりも内側に存在してもよいし、第2の層が第1の層よりも内側に存在してもよい。
ただし、第1の層と第2の層で、融点に違いがある場合には、ヒートシール性の観点などから、低融点の層がより内側に存在することが好ましい。
上記の青果物鮮度保持包装容器により、青果物を密封することで、青果物入り包装体を製造することができる。また、上記の青果物鮮度保持包装容器を用いて青果物を包装することで、青果物の鮮度を保持する(青果物の劣化を抑制する)ことができる。
開口部の閉じ方は、熱シールではなく、粘着テープ、輪ゴム、ひも、密閉可能なフタなどであってもよい。要は、開口部からの気体の出入りが十分に制限される閉じ方であればどのような閉じ方であってもよい。
本実施形態の青果物鮮度保持包装容器の製造方法について説明する。
製造は、大きく分けて、(1)合成樹脂フィルムの準備工程、(2)合成樹脂フィルムに孔を設ける穿孔工程および(3)合成樹脂フィルムを包装容器の形態とする工程により行うことができる。また、これら以外の工程を含んでもよい。
(2)と(3)の順番は特に限定されないが、生産性の観点からは(2)の後に(3)を行うことが好ましい。
以下、これらの工程について説明する。
フィルムの製造方法については、押出法(Tダイ法、インフレーション法)、カレンダーリング法、ドライラミ法、押出ラミネーション法等の手法を採用することができる。すなわち、これらの方法のうちいずれかを用いて、第1の樹脂を含む第1の層と、第2の樹脂を含む第2の層とを備えた合成樹脂フィルムを得ることができる。
特に、Tダイ法による2層(多層)共押出が、条件制御のしやすさ等の点から好ましい。
既に説明したように、第1の層が含む第1の樹脂および第2の層が含む第2の樹脂の種類を適切に選択することなどにより、T1とT2の差の絶対値を3~40℃としやすくなる。
具体的には、製膜時に、フィルムの片面だけに低温ロールを当てて、冷却条件をフィルムの表裏で異ならせることで、第1の層中の樹脂の結晶化度と、第2の層中の樹脂の結晶化度を異なるようにさせることが考えられる。
(1)の準備工程で準備した合成樹脂フィルムに対し、孔を設ける。孔を設ける方法としては、レーザ加工、打ち抜き加工、熱針加工などを挙げることができる。このうち、レーザ加工が、孔の性状の制御のしやすさ、製造装置のメンテナンスのしやすさ(フィルムに非接触で孔を設けることができるため、汚れにくい)、前述の「こぶ」を設けやすい等の観点で好ましい。
図1および図2は、レーザによる穿孔方法を説明するための、製造装置の断面図である。また、図3は、要部斜視図である。以下、これらの図を参照しつつ説明する。
この方法により孔が設けられた合成樹脂フィルム12は、巻き取りロール15により巻き取られる。なお、回転支持ロール14の前後には、2本のガイドロール16を設けることができる。
図2に示すように、レーザ照射装置13のノズル先端19の下方に合成樹脂フィルム12を走行させることができる。
焦点位置を意図的にフィルム外に出た位置とすることで、開孔面積が内表面と外表面で異なる孔を得やすい。
合成樹脂フィルム12の走行速度は、例えば60m/分程度である。
パルスレーザ20のパルス周波数は、例えば10Hz程度である。
圧縮気体の圧力は、例えば1.0kg/cm2(ゲージ圧)程度である。
回転支持ロール14には、例えば、図3に示されるように、レーザ照射位置に対応する溝25を設けることが好ましい。これにより、合成樹脂フィルム12の分解物をレーザ入射面と反対側からも揮散させることができる。
レーザの出力は、例えば150ワット程度とすることができる。
また、レーザによって穿孔された部分の樹脂フィルムの材料は、大部分が分解、揮散し、圧縮気体により吹き飛ばされる。このため、レーザ照射装置の出射光学部(レンズ)が、分解物により汚染されることもない。
さらに、レーザ照射装置の基数を選定し、パルスレーザの周期と樹脂フィルムの走行速度を調整することにより、孔の位置や密度を所望の値に変更することができる。
有孔合成樹脂フィルムを包装容器の形態とする方法については、公知の方法を特に制限なく適用することができる。
例えば、後掲の実施例に記載のように、有孔合成樹脂フィルムを適当な大きさの四角形に切ったものを2枚準備し、それらを重ねて、四角形の4辺のうち3辺をヒートシールすることで、袋状の包装容器を製造することができる。ヒートシールのシール幅は、例えば10mm程度である。
もちろん、これ以外の方法であっても、青果物を包装可能な形状の包装容器を製造することができる任意の方法を適用することができる。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
貫通孔を有する合成樹脂フィルムにより構成された青果物鮮度保持包装容器であって、
前記合成樹脂フィルムは、少なくとも第1の層および第2の層を備え、
前記第1の層が含む第1の樹脂と、前記第2の層が含む第2の樹脂は、共通する構造単位を有し、
前記合成樹脂フィルムを、加熱温度5℃/分で25℃から250℃まで示差走査熱量測定して得られるDSC曲線において、少なくとも2つの融解ピークP 1 およびP 2 が観察され、
前記融解ピークP 1 のピークトップ温度をT 1 とし、前記融解ピークP 2 のピークトップ温度をT 2 としたとき、T 1 とT 2 の差の絶対値が3~40℃である、青果物鮮度保持包装容器。
2.
1.に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記ピークP 1 および前記ピークP 2 のうち、前記DSC曲線の直線状のベースラインを基準としたときの低いほうの高さをH 1 、高いほうの高さをH 2 としたとき、H 1 /H 2 の値が0.3~0.9である、青果物鮮度保持包装容器。
3.
1.または2.に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記貫通孔の外周から10mm以内の領域における前記樹脂フィルムの最大厚みをT max 、最小厚みをT min としたとき、T max /T min が1.05以上である青果物鮮度保持包装容器。
4.
1.~3.のいずれか1つに記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記合成樹脂フィルムは複数の貫通孔を有する青果物鮮度保持包装容器。
5.
1.~4.のいずれか1つに記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記合成樹脂フィルムは30個以下の貫通孔を有する青果物鮮度保持包装容器。
6.
1.~5.のいずれか1つに記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記貫通孔の直径が、30~500μmである青果物鮮度保持包装容器。
7.
1.~6.のいずれか1つに記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記第1の樹脂および前記第2の樹脂は、ポリエチレン、エチレン共重合体、ホモポリプロピレン、プロピレンのランダム共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂からなる群より選ばれる少なくともいずれかである青果物鮮度保持包装容器。
8.
1.~7.のいずれか1つに記載の青果物鮮度保持包装容器により青果物を密封した青果物入り包装体。
9.
1.~7.のいずれか1つに記載の青果物鮮度保持包装容器を用いて青果物を包装する青果物の鮮度保持方法。
まず、後掲の表1に示される「1層目素材」および「2層目素材」を準備した。
これら2つの素材を、Tダイ(マルチダイ)を用いて、温度230℃で、共押出した。このときの2層の厚み比は、後掲の表1に記載のとおりである。
Tダイから押し出された樹脂を冷却固化した後、流れ方向に5倍、幅方向に9倍の逐次延伸処理を施した。
以上により合成樹脂フィルムを得た。
共押出ではなく、ホモポリプロピレンの単層を押出成形した以外は、上記と同様にして合成樹脂フィルムを得た。
直径318mm、幅725mmのロールに、両端より150mmの位置から100mm間隔で、幅5mm、深さ5mmの溝を図3に示す形状となるように5条有する回転支持ロールを準備した。
レーザ照射装置としては、最大出力150ワットの炭酸ガスレーザを準備した。
このレーザ照射装置5基をそれぞれ、レーザ照射させる位置が、回転支持ロールの溝の位置に対応するように設置した。なお、レーザ照射装置は、合成樹脂フィルムとの距離が10~15mmとなるように設置した。また、レーザの焦点は、合成樹脂フィルムのレーザ入射面の反対側の面よりわずかにフィルム外に出た位置とした。
パルスレーザ照射の間隔は、最終的な包装容器1つあたりの孔数が20個程度となるように適宜調整した。
まず、穿孔された各合成樹脂フィルムを2枚重ね合わせた。
その後、インパルスシーラーを用いて、三方(両サイドおよび底)にヒートシール加工を施した。インパルスシーラーとしては、富士インパルス社製、FI-400Y-10PKを用いた。ヒートシール加工は、160℃、シール時間1秒の条件で行い、10mm幅の熱シール部分を形成した。
以上により、略長方形状の袋状の包装容器を得た。得られた包装容器の袋サイズ(外寸)は140×210mmであった。
なお、実施例の包装容器においては、内表面側の層の融点が、外表面側の層の融点よりも低くなるようにし、ヒートシールが容易となるように留意した。
まず、上記で得られた包装容器を構成する合成樹脂フィルムの一部(孔が設けられていない部分)を切り出して測定サンプルとした。
その測定サンプルを、SII社の示差走査熱量測定装置(品番:DSC6220)にセットし、昇温条件:5℃/分、25~250℃の条件で測定し、DSC曲線を得た。
データの解析(ピークトップ温度の特定、ベースラインの設定など)は、装置に付属のSII社のソフトウェアにより行った。
以上により、融解ピークのピークトップ温度、ベースラインを基準としたときのピークの高さなどを求めた。そして、T1とT2の差の絶対値や、H1/H2の値を求めた。
参考までに、実施例2の包装容器を構成する合成樹脂フィルムの一部の測定により得られたDSC曲線を図4に示す(図4には、DSC曲線だけでなくDDSC曲線(DSC曲線の微分)も示している)。
・Tmax/Tmin
孔の外周から10mm以内の領域における合成樹脂フィルムの最大厚みTmaxおよび最小厚みTminについては、JIS K 7130の機械的走査による測定方法(A法)に準じて測定を行った。具体的には、孔周辺領域(孔の外周から10mm以内の領域)において任意に選択した複数点のフィルムの厚みを、JIS K 7130の機械的走査による測定方法(A法)に準じて測定を行った。そして、得られたフィルムの厚みに関する複数の測定結果のうち、最大値をTmax、最小値をTminとした。
孔を光学顕微鏡で観察し、孔の直径を測定した。
なお、今回、各実施例および比較例において、包装容器が備える複数の孔の直径は、ほぼ100μmで揃っていた。
まず、エダマメを洗浄し、そして脱水した。そのエダマメを、上記で作製した包装容器に200gずつ入れ、包装容器の開口部をヒートシールで密封し、青果物入り包装体を得た。
得られた青果物入り包装体に対して、予冷、輸送、青果市場、店舗バックヤード、店舗陳列などの条件を模した温度変化を加えた。具体的には、以下(1)~(5)の順番で温度を変化させた。
(1)7℃、24時間(予冷庫を想定)
(2)15℃、6時間(輸送を想定)
(3)30℃、12時間(青果市場での常温保管を想定)
(4)15℃、6時間(店舗バックヤードを想定)
(5)25℃、48時間(店舗での陳列を想定)
そして、(5)の後のエダマメ(以下では「評価用エダマメ」とも表記する)の莢の変色と食味を、以下のようにして評価した。
評価用エダマメと、別途準備した新鮮なエダマメとを目視で比較した。
変色が認められなかった場合を○(良好)、変色が認められた場合を×(不良)とした。
評価は、10人のパネラーで行った。表1では、10人中6人以上が○としたものに○を記載し、そうでないものに×を記載した。
評価用エダマメ100gを、600Wの電子レンジで2分加熱して調理した。また、別途準備した新鮮なエダマメ100gについても、同様に調理した。
これらについて、10人のパネラーで食味を評価した。新鮮なエダマメと比較して十分に美味しく感じられた場合を○(良好)、新鮮なエダマメと比較して不味く感じられた場合を×(不良)とした。
表1では、10人中6人以上が○をつけたものに○を記載し、そうでないものには×を記載した。
下表中、全体厚みの単位はμm、T1とT2の差の絶対値の単位は℃である。
・hPP:日本ポリプロ社製のホモポリプロピレン素材、品番:FB3B
・rPP:プライムポリマー社製のランダムポリプロピレン素材(エチレンとの共重合体)、品番:WFW5T
・LLDPE(比較例):宇部丸善ポリエチレン社製の直鎖状低密度ポリエチレン素材、品番:1540F
比較例1の評価結果が悪かった原因としては、フィルムが単層構成であったため、急激/不規則な温度変化の下、孔の膨張または収縮が適切に行われず、適切な量の外気の取り入れ/内気の排出が行えなかったことが考えられる。
また、比較例2の評価結果が悪かった原因としては、T1とT2の差の絶対値が40℃超であった、すなわち、1層目の樹脂と2層目の樹脂の結晶・配向状態が「異なりすぎた」ことにより、急激/不規則な温度変化の下で孔の膨張または収縮が適切に行われなかったことや、温度変化による開孔変化の「平均化」の効果が得られなかったことが考えられる。
12 合成樹脂フィルム
13 レーザ照射装置
14 回転支持ロール
15 ロール
16 ガイドロール
17 浮きロール
18 圧縮気体導入路
19 ノズル先端
20 パルスレーザ
21 導光路
22 出射光学部(レンズ)
23 円錐形ビーム
24 孔
25 溝
Claims (8)
- レーザ加工により穿孔された貫通孔を有する合成樹脂フィルムにより構成された青果物鮮度保持包装容器であって、
前記合成樹脂フィルムは、少なくとも第1の層および第2の層を備え、
前記第1の層が含む第1の樹脂と、前記第2の層が含む第2の樹脂は、共通する構造単位を有し、
前記合成樹脂フィルムを、加熱温度5℃/分で25℃から250℃まで示差走査熱量測定して得られるDSC曲線において、少なくとも2つの融解ピークP1およびP2が観察され、
前記融解ピークP1のピークトップ温度をT1とし、前記融解ピークP2のピークトップ温度をT2としたとき、T1とT2の差の絶対値が3~40℃であり、
前記貫通孔の直径が、30~500μmである、青果物鮮度保持包装容器。 - 請求項1に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記ピークP1および前記ピークP2のうち、前記DSC曲線の直線状のベースラインを基準としたときの低いほうの高さをH1、高いほうの高さをH2としたとき、H1/H2の値が0.3~0.9である、青果物鮮度保持包装容器。 - 請求項1または2に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記貫通孔の外周から10mm以内の領域における前記樹脂フィルムの最大厚みをTmax、最小厚みをTminとしたとき、Tmax/Tminが1.05以上である青果物鮮度保持包装容器。 - 請求項1~3のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記合成樹脂フィルムは複数の貫通孔を有する青果物鮮度保持包装容器。 - 請求項1~4のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記合成樹脂フィルムは30個以下の貫通孔を有する青果物鮮度保持包装容器。 - 請求項1~5のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装容器であって、
前記第1の樹脂および前記第2の樹脂は、ポリエチレン、エチレン共重合体、ホモポリプロピレン、プロピレンのランダム共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂およびポリアミド樹脂からなる群より選ばれる少なくともいずれかである青果物鮮度保持包装容器。 - 請求項1~6のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装容器により青果物を密封した青果物入り包装体。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の青果物鮮度保持包装容器を用いて青果物を包装する青果物の鮮度保持方法。
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