JP7322457B2 - 多層積層濾材 - Google Patents

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Description

本発明は多層積層濾材に関する。
近年、PM2.5等の大気汚染が問題となる中で、よりきれいな空気環境で生活を送りたいというニーズから、空気清浄機用フィルターや自動車用キャビンフィルター分野において、除塵性能と脱臭性能を両立する集塵脱臭濾材が求められている。除塵性能を有する濾材としては、繊維径の細い繊維で構成される不織布を用いた濾材が多く知られ、脱臭性能を有する濾材としては、粒子状あるいは繊維状の吸着剤をシート化する方法が多く知られている。例えば、複数の不織布間にガス除去粒子と接着パウダーの混合物を散布し、これを加熱溶融し接着してなる集塵脱臭濾材が開発されている(特許文献1)。
また、特許文献2では、吸着剤によって、吸着するガスが異なることから、揮発性有機化合物ガス(以下、VOCとすることがある)全般に対しての脱臭性能を高めるため、二種類の吸着剤を使用する濾材が開示されている。この濾材では、二層のシートのうちの一方のシートに所定の吸着剤を添着し、これら二層のシート間に、活性炭粉体を挟みこんでいる。
特開2011-212636号公報 特開2000-246827号公報
特許文献1記載の濾材から、さらに脱臭性能を高めるために、ガス除去粒子の量を増やした場合、濾材の厚みが厚くなるため、二層の基材間が剥がれやすくなるという問題や、プリーツフィルターとした場合、1ユニットあたりの濾材面積が少なくなるといった問題があった。そこで、機能性粒子の一種である特定ガスを除去する吸着剤(以下、吸着剤と称することがある)の粒子径を小さくすると、粒子径の小さい吸着剤は表面積が大きいため、初期の脱臭性能は高めることができるが、一方で、脱臭性能の持続期間が短いものとなるとの課題がある。そして、吸着剤の粒子径を大きくすると、粒子径の大きい吸着剤は表面積が小さいため、脱臭性能の持続期間は長いものとなるが、一方で、初期の脱臭性能は低いものとなる。そこで、初期の脱臭性能に優れ、かつ脱臭性能の持続期間を長いものとするには、粒子径の小さい吸着剤と粒子径の大きい吸着剤とを併用混合し、この混合物を一つの不織布層間に配置することが考えられる。しかし、この場合には、大きな吸着剤同士の空隙に、小さい吸着剤が充填され、吸着剤が配置されている不織布層間の通気性が悪化し、さらには、濾材の通気性が悪化する(すなわち、圧力損失が高くなる)との問題が発生する。そこで、二つの不織布層間を有する濾材とし、この濾材が備える二つの層間のうちの一方に、粒子径の小さい吸着剤を配置し、この二つの層間のうちの他方に、粒子径の大きい吸着剤を配置することで上記問題を解決することが考えられるが、このような層構成が複雑な濾材にあっては、その製造課程も複雑なものとなり、生産性が悪化するという傾向がみられる。
そこで、本発明は、粒子径の大きい機能性粒子と粒子径の小さい機能性粒子を含み、圧力損失が低く、生産性にも優れる多層積層濾材を提供することを課題とする。

本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。本発明は以下のとおりである。
(1)少なくとも不織布B,不織布Aおよび不織布Cをこの順に備え、前記不織布Bと前記不織布Aとで形成される層間に機能性粒子Aが配置されており、
前記不織布Cと前記不織布Aとで形成される層間に機能性粒子Bが配置されており、下記式(1)を満たす、多層積層濾材、
不織布Bの最頻値ポアサイズ<機能性粒子Aの50%粒子径(D50)<不織布Aの最頻値ポアサイズ<機能性粒子Bの50%粒子径(D50) (1)
(2)下記式(2)を満たす(1)の多層積層濾材、
不織布Bの最頻値ポアサイズ<機能性粒子Aの粒子径の10%粒子径(D10) (2)
(3)前記不織布Aおよび前記不織布Bの最頻値ポアサイズをDp(μm)とした場合、前記ポアサイズが0.8Dp~1.2Dpである孔の細孔径分布の合計値が孔全体の40%以上である(1)または(2)の多層積層濾材。
(4)(1)~(3)のいずれかの多層積層濾材の製造方法であって、
前記不織布Bを前記不織布Aの鉛直下方に配置する工程と、
前記積層体の不織布A側の上方から、前記積層体に前記機能性粒子Aと前記機能性粒子Bとを含有する混合物を散布するとの工程とをこの順に有する、多層積層濾材の製造方法である。
本発明によれば、圧力損失が低く、脱臭性能に優れるとともに、生産性にも優れる多層積層濾材を提供することができる。

以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の多層積層濾材は、少なくとも不織布B,不織布Aおよび不織布Cをこの順に備え、不織布Bと不織布Aとで形成される層間(以下、層間Aと称することがある)には機能性粒子Aが配置されており、不織布Cと不織布Aとで形成される層間(以下、層間Bと称することがある)には機能性粒子Bが配置されている。また、この多層積層濾材においては、不織布Bの最頻値ポアサイズ<機能性粒子Aの50%粒子径(D50)<不織布Aの最頻値ポアサイズ<機能性粒子Bの50%粒子径(D50)の関係が成立する。
以下、機能性粒子Aの50%粒子径(D50)を機能性粒子AのD50、機能性粒子Bの50%粒子径(D50)を機能性粒子BのD50と称することがある。
このような構成を採用する本発明の多層積層濾材は、以下のメカニズムにて、本発明の効果を奏するものと考える。まず、上記のとおり、機能性粒子AのD50<機能性粒子BのD50の関係にある機能性粒子Aと機能性粒子Bとは、それぞれ層間Aと層間Bとに分けて配置されている。このことにより、一つの層間に機能性粒子Aと機能性粒子Bとが混在する際にみられる、機能性粒子B同士の隙間に機能性粒子Aが充填されるといった現象の発生が抑制される。これにより、層間における通気性の低下が抑制されるので、結果として、本発明の多層積層濾材の通気性は優れたものとなり、本発明の多層積層濾材の圧力損失は低いものとなる。また、機能性粒子Aと機能性粒子Bとを備える本発明の多層積層濾材の脱臭性能も優れたものとなる。そして、本発明の多層積層濾材では、上記のことに加え、不織布Bの最頻値ポアサイズ<機能性粒子Aの50%粒子径(D50)<不織布Aの最頻値ポアサイズ<機能性粒子Bの50%粒子径(D50)の関係が成立している。よって、この多層積層濾材の製造方法として、以下のものが採用し得る。まず、不織布Bを不織布Aの鉛直方向下方に配置する工程を得て、次に、この不織布A側の上方から、機能性粒子Aと機能性粒子Bとの混合物を散布するとの工程を有する多層積層濾材の製造方法である。この製造方法では、上記の関係により、機能性粒子Bは不織布Aの上に保持されるが、機能性粒子Aは不織布Aを通過したのち、不織布Bに保持される。よって、この製造方法では、1回の機能性粒子の散布にて、不織布の積層体の異なる層間に、機能性粒子Aおよび機能性粒子Bを分けて配置することが可能であり、このような製造方法を採用することができる本発明の多層積層濾材は生産性に優れたものであるといえる。すなわち、本発明の多層積層濾材は、上記の理由により、脱臭性能と通気性とに優れ、かつ、圧力損失が低いのみではなく、生産性にも優れたものである。
以下に、本発明の多層積層濾材に用いる部材について説明する。
本発明の多層積層濾材に用いる不織布は、特に限定されるものではなく、エアレイド不織布、湿式不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布などから任意に選択できる。高い除塵性能および高い通気性を得るため、少なくとも一層は、メルトブロー不織布または上記のメルトブロー不織布にエレクトレット加工を施したものが好ましく、さらに、平均繊維径が3μm以下のメルトブロー不織布または上記のメルトブロー不織布にエレクトレット加工を施したものがより好ましい。また、フィルター加工時のプリーツ形状の保持性を得るため、少なくとも一層は、ガーレ剛軟度が300mg以上の不織布を用いることがより好ましい。ここで、平均繊維径の求め方は次のとおりである。1000mm×1000mmの不織布の面上から20個のサンプル取得箇所を無作為に選定し、各サンプル取得箇所1個あたり1個のタテ×ヨコ=3mm×3mmの測定サンプルを採取し、走査型電子顕微鏡(倍率:1000倍)により不織布の表面写真を各測定サンプル1枚あたり1枚ずつ、計20枚を撮影し、写真の中の全ての繊維について繊維径を測定する。各繊維径は、有効数字0.1μmの測定精度にて行い、写真に写った全ての繊維の本数を(a)とし、写真に写った繊維径が0.1μm以上3.0μm以下の繊維の本数を(b)とする。次に、次式により、繊維径0.1μm以上3.0μm以下の繊維の数の比を計算する。
(繊維径0.1μm以上3.0μm以下の繊維の数比)=(b)/(a)
本発明の多層積層濾材に用いる機能性粒子は、特に限定されるものではなく、脱臭剤、芳香剤、抗菌剤、防カビ剤、難燃剤等が使用できる。特に脱臭剤として機能する機能性粒子としては、活性炭、無機多孔質体、イオン交換樹脂等が挙げられ、これらの機能性粒子は単独で用いることもできるし、複合して用いることもできる。また、脱臭剤として機能する機能性粒子は除去対象とするガス成分との反応性を高める目的で薬剤が添着されたものであってもよい。その場合の薬剤としては特に限定されるものではないが、例えばアンモニアなどの塩基性ガスを除去する場合はリン酸や塩酸などが挙げられ、酢酸や二酸化硫黄などの酸性ガスを除去する場合は水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。さらにアルデヒド系のガスに対しては第一級から第三級アミン化合物であるアジピン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、カルボジヒドラジドなどのヒドラジド化合物やp-アミノベンゼンスルホン酸、エチレン尿素縮合体薬剤などが挙げられる。薬剤の添着量としては脱臭剤の質量に対して1.5~30質量%が好ましく、より好ましくは2~20質量%である。
機能性粒子BのD50は、600μm以下が好ましい。機能性粒子BのD50を600μm以下とすることで、脱臭剤が不織布層を突き破りにくくなり、多層積層濾材の折り曲げ加工等の後加工が容易となる。また、機能性粒子BのD50は、不織布Aの最頻値ポアサイズより大きい必要がある。機能性粒子BのD50が、不織布Aの最頻値ポアサイズより小さい場合、不織布Aを通り抜けて、層間Bとなる粒子が多くなり、機能性粒子B同士の隙間に機能性粒子Aが充填され、通気性が低下するためである。機能性粒子AのD50は、100μm以下であることが好ましい。機能性粒子AのD50が100μm以下の小さな粒子ほど、粒子間の隙間が詰まりやすいため、層間に分ける本発明の効果がより得やすい。また、機能性粒子AのD50は不織布Bの最頻値ポアサイズより大きい必要がある。機能性粒子AのD50が、不織布Bの最頻値ポアサイズより小さい場合、不織布Bを通り抜けて、脱落する粒子が多くなり、脱落した粒子は廃棄されるため、生産ロスにつながる。また、生産設備の清掃頻度を高くする必要が生じ、生産性が悪化する。さらに次の関係を満たすことで、機能性粒子Aが不織布Bから抜けて脱落することさらに抑制できる。
不織布Bの最頻値ポアサイズ<機能性粒子Aの粒子径の10%粒子径(D10)
ここで、機能性粒子のD10およびD50はそれぞれ、100個の機能性粒子について、機能性粒子の粒子径(Feret径)を測定して得られる粒子径個数分布において、粒子径の小さい方から累積して10個数%および50個数%になる点における粒子径をいう。 また、不織布の最頻値ポアサイズとは、バブルポイント法(ASTMF-316-86に基づく)によって算出される不織布の最頻値ポアサイズをいう。
機能性粒子Bの目付けは、500g/m2以下が好ましく、300g/m2以下がより好ましい。500g/m2以下とすることで、多層積層濾材の厚みが厚くなりすぎず、折り曲げ加工等の後加工が容易となる。機能性粒子Aの目付けは、100g/m以下が好ましく、80g/m以下がより好ましい。例えば、50%粒子径(D50)が100μmの場合でも、機能性粒子Aの目付けを100g/m以下とすることで、粒子間の空隙が詰まることによる通気性の悪化を抑制することができる。80g/m以下とすることでより通気性が特に優れたものとなり、圧力損失の上昇をより抑えることができる。また、機能性粒子Bおよび機能性粒子Aの目付けは、5g/m2以上が好ましい。5g/m2以上とすることで、不織布への散布ムラを低減することができる。
本発明の多層積層濾材は、この多層積層濾材の有する複数の層間において機能性粒子を保持するのに、上記の層間に機能性粒子に加えてバインダー樹脂を有していることが好ましい。このバインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂の種類としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン-アクリル共重合体等が挙げられる。また、本発明の多層積層濾材の製造工程において、不織布上に散布されるバインダー樹脂の形状は、特に限定されるものではなく、球状、破砕状等が挙げられる。また、2種類以上の熱可塑性樹脂のバインダー樹脂を併用しても良い。多層積層濾材に含まれる熱可塑性樹脂(バインダー樹脂)の量は、機能性粒子の質量に対し、5~40質量%が好ましい。この範囲内であれば、機能性粒子の脱落が抑制され、かつ、通気性にも優れた多層積層濾材が得られる。
本発明では、多層積層濾材を構成する各不織布と各機能性粒子とが次の関係である。
すなわち、不織布Bの最頻値ポアサイズ<機能性粒子Aの50%粒子径(D50)<不織布Aの最頻値ポアサイズ<機能性粒子Bの50%粒子径(D50) である。
ここで、上記関係を満たすことで、不織布Aによる篩効果により、後に述べる製造方法にあるように、一回の機能性粒子の散布工程で、多層積層濾材を得ることができ、この多層積層濾材の生産性が大きく向上する。
また、本発明では、不織布Aおよび不織布Bの最頻値ポアサイズをDp(μm)とした場合、前記ポアサイズが0.8Dp~1.2Dpである孔の細孔径分布の合計値が孔全体の40%以上であることが好ましい。0.8Dp~1.2Dpである孔の細孔径分布の合計値が40%以上の不織布は、細孔径分布のばらつきが小さく、本発明における不織布による篩効果が顕著となる。
本発明における多層積層濾材の製造方法の一例について説明する。この製造方法の一例では、熱可塑性樹脂Aの粒状物(以下、熱可塑性樹脂粒子Aと称することがある)および熱可塑性樹脂Bの粒状物(以下、熱可塑性樹脂粒子Bと称することがある)を用いているが、これらの熱可塑性樹脂粒子を用いることは、本発明の多層積層濾材の製造方法において必須ではない。ここで、熱可塑性樹脂粒子Aの50%粒子径(D50)(以下、熱可塑性樹脂粒子AのD50と称することがある)と機能性粒子AのD50との比(熱可塑性樹脂粒子AのD50/機能性粒子AのD50)は0.7~1.3であることが好ましく、熱可塑性樹脂粒子Bの50%粒子径(D50)(以下、熱可塑性樹脂粒子BのD50と称することがある)と機能性粒子BのD50との比(熱可塑性樹脂粒子BのD50/機能性粒子BのD50)は0.7~1.3であることが好ましい。熱可塑性樹脂粒子Bと機能性粒子Bとの比を0.7以上とすることで、熱可塑性樹脂粒子Bの多くが不織布Aから抜けて層間Aに脱落することを防ぐことができ、層間Bの接着性を保つことができる。熱可塑性樹脂粒子Aと機能性粒子Aとの比を0.7以上とすることで、熱可塑性樹脂粒子Aの多くが不織布Bから抜けて脱落することを防ぐことができ、層間Aの接着性を保つことができるとともに、前述のように、脱落した接着剤により生産頻度が高くなることによる生産性の悪化を防ぐことができる。熱可塑性樹脂粒子と機能性粒子との比を1.3以下とすることで、熱可塑性樹脂粒子の散布ムラの発生を抑えることができる。例えば、同重量の熱可塑性樹脂粒子を比較した場合、粒子径の大きい熱可塑性樹脂が、より個数が少なくなるため、散布ムラが発生しやすくなると考える。
まず、機能性粒子Aおよび機能性粒子Bと熱可塑性樹脂粒子Aおよび熱可塑性樹脂粒子Bを所定の質量秤量し、混合し混合粒子を得る。混合粒子における、熱可塑性樹脂粒子Aの質量は機能性粒子Aの5~40質量%が好ましく、熱可塑性樹脂粒子Bの質量は機能性粒子Bの5~40質量%が好ましい。
次に、不織布Bを不織布Aの鉛直方向下方に配置する。このとき、不織布Aと不織布Bの間隙は、1cm以上、20cm以下であることが好ましい。この範囲内であれば、機能性粒子Aが不織布Aを効率良くすり抜け、また散布ムラや飛散も生じにくい。そして、この不織布A側の上方から、混合粒子を散布する。さらに、その上から、不織布Cを重ね合わせ、熱プレス処理を行う。熱プレスの際の不織布Bおよび不織布Cの表面温度は、熱可塑性樹脂粒子Aの融点および熱可塑性樹脂粒子Bの融点で、より高い方の融点の3~50℃、好ましくは5~20℃高いことが好ましい。50℃より高い場合、熱可塑性樹脂粒子が溶融しすぎてシート状になり、多層積層濾材の通気性が悪化する。3℃より低い場合は、十分な接着力が得られない。また、1回の熱プレスで加工するため、熱可塑性樹脂粒子Aおよび熱可塑性樹脂粒子Bの融点の差は、0℃~20℃であることが好ましい。
また、混合粒子を散布する際に、不織布Aをバイブレーター等により振動させてもよい。振動を加えることにより、機能性粒子Aおよびバインダー粒子Aが不織布Aをすり抜けて、不織布Aと不織布Bとにより形成される層間により確実に配置することができる。
この製造方法に用いる製造設備としては、たとえば、ロール間熱プレス法、あるいは、上下ともにフラットな熱ベルトコンベヤー間に挟み込むダブルベルト熱プレス法等が挙げられる。接着圧をかけることなく、より均一な厚み、接着状態となる後者がより好ましい。
以下、実施例を用いて本発明をより具体的に説明する。なお、本実施例における評価方法を下記の通りである。
(1)10%粒子径(D10)および50%粒子径(D50)
多層積層濾材の不織布を単離し、不織布上の機能性粒子を光学顕微鏡(デジタルマクロスコープ(KEYENCE製 型番VHX-6000))を用いて、視野のサイズ1700μm×1300μmを倍率200倍、解像度1600ピクセル×1200ピクセルで観察し、撮影を行う。次に、上記の光学顕微鏡の計測モードにより、粒子をはさむ一定方向の二本の平行性の間隔を計測し機能性粒子の粒子径とする(Feret径)。上記の操作を、不織布上に存在する機能性粒子のうちから無作為に選出する100個の機能性粒子ついて行い、機能性粒子の粒子径個数分布を得る。この作業を、不織布層上から無作為に選出した10点の観測部位について行う。そして、得た粒子径個数分布より、D10およびD50はそれぞれ、粒子径分布において粒子径の小さい方から累積して10個数%および50個数%になる点における粒子径とする。
(2)不織布の最頻値ポアサイズ(μm)
濾材の不織布層を単離し、 「多孔質材料自動細孔測定システム Perm-Porometer」(PMI社製、型番CFP-1200AEX)を用いて、バブルポイント法(ASTMF-316-86に基づく)によって最頻値ポアサイズを算出する。測定サンプル径を25mmとし、測定液としては、Galwickを使用して、細孔径分布測定を行う。得られた細孔径分布曲線において最大ピークとなるポアサイズを最頻値ポアサイズとする。
(3)濾材圧力損失(Pa)
平面状の濾材を有効間口面積0.1mのホルダーにセットし、面風速4.5m/minで鉛直方向に空気を通過させ、フィルター上下流の圧力差を差圧計(山本電気製作所製MANOSTAR W081FN100DV)で測定する。測定は1検体から任意に5箇所をサンプリングして行い、その平均値を用いる。室温20℃で実施する。
(4)粒子の脱落
10cm角のホルダー2個、30cm×30cmの紙、12cm×12cmの不織布を準備する。2個のホルダーで12cm角(0,01m)の不織布を挟む。機能性粒子を10g秤量し、不織布の鉛直方向上方から散布する。その後、2個のホルダー毎、10回往復で振ったときに紙の上に脱落した機能性粒子の質量を測定する。機能性粒子の質量が0.5~0.1gの場合、脱落が少ないとし、0.1g未満の場合は、脱落が極めて少ないとする。
(実施例1)
最頻値ポアサイズが82μmのガラス繊維製湿式抄紙不織布の鉛直方向下方に最頻値ポアサイズが20μmのPP製エレクトレットメルトブロー不織布を配置し、前記ガラス繊維製湿式抄紙不織布の鉛直方向上方から、混合粒子として、50%透過粒子径が75μmおよび10%透過粒子径が30μmの多孔質シリカ、50%透過粒子径が75μmのポリエチレン接着剤、50%透過粒子径が350μmの多孔質シリカ、50%透過粒子径が350μmのポリエチレン接着剤を3:1:3:1の割合で混合したものを100g/m散布し、散布後、平均ポアサイズ120μmの湿式抄紙不織布を積層し、加熱により熱可塑性樹脂を溶融させ、濾材を得た。ここで、透過粒子径とは、機能性粒子の粒子径分布をふるい分け法(JIS-Z-8815:1994)によって測定し、機能性粒子の総質量の10質量%が通過するふるい目の大きさに相当する粒子径を粒子径の10%透過粒子径とし、機能性粒子の総質量の50質量%が通過するふるい目の大きさに相当する粒子径を粒子径の50%透過粒子径とした。濾材の圧力損失は25Paとなった。
(実施例2)
機能粒子Aとして、50%透過粒子径が75μmおよび10%透過粒子径が15μmの多孔質シリカを用いること以外は、実施例1と同様に濾材を得た。濾材の圧力損失は26Paとなった。
(実施例3)
混合粒子として、50%透過粒子径が75μmおよび10%透過粒子径が30μmの多孔質シリカ、50%透過粒子径が75μmのポリエチレン接着剤、50%透過粒子径が350μmの多孔質シリカ、50%透過粒子径が350μmのポリエチレン接着剤を3:1:6:2の割合で混合したものを240g/m散布すること以外は、実施例1と同様に濾材を得た。濾材の圧力損失は28Paとなった。
(実施例4)
混合粒子として、50%透過粒子径が75μmおよび10%透過粒子径が30μmの多孔質シリカ、50%透過粒子径が75μmのポリエチレン接着剤、50%透過粒子径が350μmの多孔質シリカ、50%透過粒子径が350μmのポリエチレン接着剤を6:2:3:1の割合で混合したものを240g/m散布すること以外は、実施例1と同様に濾材を得た。濾材の圧力損失は31Paとなった。
(比較例1)
最頻値ポアサイズが20μmのPP製エレクトレットメルトブロー不織布の鉛直方向上方から、機能性粒子として、50%透過粒子径が75μmおよび10%透過粒子径が15μmの多孔質シリカ、50%透過粒子径が75μmのポリエチレン接着剤を3:1の割合で混合したものを50g/m散布し、散布後、平均ポアサイズ40μmのガラス繊維製湿式抄紙不織布を積層し、前記ガラス繊維製湿式抄紙不織布上の鉛直方向上方から、機能性粒子として、50%透過粒子径が350μmの多孔質シリカ、50%透過粒子径が350μmのポリエチレン接着剤を3:1の割合で混合したものを50g/m散布し、散布後、最頻値ポアサイズが120μmの湿式抄紙不織布を積層し、加熱により接着パウダーを溶融させ、濾材を得た。圧力損失は27Paとなった。
(比較例2)
最頻値ポアサイズが40μmのガラス繊維製湿式抄紙不織布の鉛直方向下方に最頻値ポアサイズが20μmのPP製エレクトレットメルトブロー不織布上を配置し、前記ガラス繊維製湿式抄紙不織布の鉛直方向上方から、機能性粒子として、50%透過粒子径が75μmおよび10%透過粒子径が15μmの多孔質シリカ、50%透過粒子径が75μmのポリエチレン接着剤、50%透過粒子径が350μmの多孔質シリカ、50%透過粒子径が350μmのポリエチレン接着剤を3:1:3:1の割合で混合したものを100g/m散布し、散布後、最頻値ポアサイズが120μmの湿式抄紙不織布を積層し、加熱により接着パウダーを溶融させ、濾材を得た。濾材の圧力損失は34Paとなった。
(比較例3)
最頻値ポアサイズが80μmのガラス繊維製湿式抄紙不織布の鉛直方向下方に最頻値ポアサイズが80μmのPP製エレクトレットメルトブロー不織布上を配置し、前記ガラス繊維製湿式抄紙不織布の鉛直方向上方から、機能性粒子として、50%透過粒子径が75μmおよび10%透過粒子径が15μmの多孔質シリカ、50%透過粒子径が75μmのポリエチレン接着剤、50%透過粒子径が350μmの多孔質シリカ、50%透過粒子径が350μmのポリエチレン接着剤を3:1:3:1の割合で混合したものを100g/m散布し、散布後、最頻値ポアサイズが120μmの湿式抄紙不織布を積層し、加熱により接着パウダーを溶融させ、濾材を得た。機能性粒子の一部が前記PP製エレクトレットメルトブロー不織布から抜け落ち、濾材の加工はできなかった。

得られた濾材から不織布および不織布の層間に配置された粒子を、それぞれ単離した。そして、上記の不織布については、その最頻値ポアサイズを「(2)不織布の最頻値ポアサイズ(μm)」の項に記載の方法で測定し、上記の粒子については、そのD10およびD50を「(1)10%粒子径(D10)および50%粒子径(D50)」の項に記載の方法で測定した。次に、上記の測定で得られた不織布の最頻値ポアサイズおよび粒子のD50を対比し、さらに、「不織布Bの最頻値ポアサイズ<機能性粒子Aの50%粒子径(D50)<不織布Aの最頻値ポアサイズ<機能性粒子Bの50%粒子径(D50)」との関係性を考慮し、不織布A、不織布B、不織布C、機能性粒子Aおよび機能性粒子Bを特定した。そして、上記の分析結果を表1にまとめた。また、不織布Bと機能性粒子Aを用いて、粒子の脱落を確認した。
Figure 0007322457000001
比較例1は、工程数が増えるため、生産性が悪化し、比較例2は、ガラス繊維製湿式抄紙不織布と外層の湿式抄紙不織布の間に、50%透過粒子径が350μmの多孔質シリカと50%透過粒子径が75μmの多孔質シリカが混在したため、前記50%透過粒子径が350μmの多孔質シリカの間隙を前記50%透過粒子径が75μmの多孔質シリカが埋めてしまい、通気性が悪化した。また、実施例1は粒子の脱落が非常に少なかったため、生産後の清掃が容易であった。実施例4は、機能性粒子Aの50%粒子径(D50)が、100μm以下であり、かつ、目付が100g/m以上であったため、通気性が実施例3対比悪化した。
本発明の多層積層濾材は生産性に優れ、空気清浄機用フィルターや自動車用キャビンフィルター等に好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 少なくとも不織布B,不織布Aおよび不織布Cをこの順に備え、
    前記不織布Bと前記不織布Aとで形成される層間に機能性粒子Aが配置されており、
    前記不織布Cと前記不織布Aとで形成される層間に機能性粒子Bが配置されており、
    下記式(1)を満たす、多層積層濾材。
    不織布Bの最頻値ポアサイズ<機能性粒子Aの50%粒子径(D50)<不織布Aの最頻値ポアサイズ<機能性粒子Bの50%粒子径(D50) (1)
  2. 下記式(2)を満たす請求項1に記載の多層積層濾材。
    不織布Bの最頻値ポアサイズ<機能性粒子Aの粒子径の10%粒子径(D10) (2)
  3. 前記機能性粒子Aの50%粒子径(D50)が、100μm以下であり、かつ、
    前記機能性粒子Aの目付が、5~100g/mである、請求項1または2に記載の多層積層濾材。
  4. 請求項1~のいずれかに記載の多層積層濾材の製造方法であって、
    前記不織布Bを前記不織布Aの鉛直方向下方に配置する工程と、
    前記不織布A側の上方から、前記機能性粒子Aと前記機能性粒子Bとを含有する混合物を散布する工程とをこの順に有する、多層積層濾材の製造方法。
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