以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1には、第1実施形態に係る位置決め治具により、ダイスに対して加締金具を位置決めしている状態が断面図にて示されている。図1に示されるように、ホース100の軸方向の一端部には、継手102が配置されている。図1には、継手102をホース100に接続する前の状態が示されている。
継手102は、筒状に形成されており、内部に流体(例えば液体)が通る流路(図示省略)が形成されている。継手102は、本体部104と、本体部104の軸方向の一端側に設けられた加締金具106と、本体部104の軸方向の他端側に設けられると共に他の管体(図示省略)と接続される接続部108と、を備えている。加締金具106の内部には、ホース100の軸方向の一端部が挿入されている。言い換えると、ホース100には、加締金具106が外挿されている。図示を省略するが、加締金具106の半径方向内側には、本体部104から加締金具106に沿って延びた芯部が設けられており、芯部と加締金具106との間にホース100が挿入される構成とされている。加締金具106の厚みは、例えば、1mm以上4mm以下とされている。
本体部104は、軸方向の中間部が略六角形状に形成されており、中間部にスパナを掛けることが可能とされている。また、接続部108は、本体部104に対して回転可能とされている。一例として、接続部108には、内部に他の管体が接続される雌ねじ部(図示省略)が設けられている。接続部108の外形は略六角形状に形成されており、接続部108を回転させる際に接続部108にスパナを掛けることが可能とされている。
図17には、加締金具106を加締める加締装置114が加締金具106の軸方向から見た側面図にて示されている。図17に示されるように、加締装置114には、複数(本実施形態では8個)のダイス110が設けられている。ダイス110は、図17に示す加締金具106の軸方向視にて、略扇状とされている。複数のダイス110は、加締金具106の周りを囲むように略円筒状に並べて配置されている。言い換えると、複数のダイス110は、中心部に対して放射線状に配置されている。加締金具106を加締める前の状態で隣り合うダイス110の間には、隙間が設けられている。複数のダイス110の半径方向内側の内側面110Bは、加締金具106の周方向に沿って略円弧状に形成されている。また、ダイス110の軸方向の一端部には、半径方向外側からホース100の軸方向に沿って突出した突出部110Cが形成されている(図1参照)。
複数のダイス110は、筒状のガイド部112に対して半径方向内側に移動可能に支持されている。加締装置114は、図示しない駆動装置により複数のダイス110が半径方向内側に移動する(すなわち、縮径する)構成とされている。一例として、ガイド部112の内側に内径が徐々に縮小するテーパ面が形成されており、ガイド部112と複数のダイス110とを相対的に軸方向に移動させることで、複数のダイス110が半径方向内側に縮径する。複数のダイス110が半径方向内側(図1中の上下方向上側)に縮径することで、加締金具106をホース100に加締めて固定するようになっている。
図1及び図3に示されるように、位置決め治具10は、ダイス110の軸方向の端面110Aに磁力により吸着する吸着ブロック12と、吸着ブロック12からダイス110の軸方向に沿って延びる位置決め片の一例としてのゲージ14と、を備えている。さらに、位置決め治具10は、吸着ブロック12の軸方向におけるダイス110と反対側の端部に設けられた取付部24と、取付部24に対して着脱可能とされた保持部の一例としてのフォルダ16と、を備えている。図1では、構成を分かりやすくするため、ダイス110を1つ示している。
吸着ブロック12は、筒状のケース20と、ケース20の内部に配置された磁石22と、を有している(図2参照)。ケース20は、例えば、樹脂、アルミニウム合金などの非磁性の材料で形成されている。本実施形態では、ケース20は樹脂製とされている。磁石22は、ケース20を介して金属製のダイス110に吸着可能とされている。これにより、吸着ブロック12は、ダイス110の軸方向の端面110A(本実施形態では、ホース100側の端面)に磁力により吸着するようになっている。
吸着ブロック12では、ケース20の厚みを調整することで、ダイス110の端面110Aへの磁石22の吸着力を調整可能とされている。言い換えると、ケース20の内部に磁石22を配置することで、ダイス110の端面110Aに磁石22を直接接触させず、磁石22をダイス110の端面110Aに対して浮かせた状態で、吸着ブロック12をダイス110の端面110Aに吸着させる構成とされている。磁石22は、そのままでは磁力が強すぎるため、ケース20を介して磁石22をダイス110の端面110Aに対して浮かせた状態で吸着させることで、磁力をコントロールすることができる。
取付部24は、筒状とされており、吸着ブロック12のケース20におけるダイス110に吸着される側と反対側に設けられている。取付部24とフォルダ16の後述するロッド28の端部には、取付部24に対してフォルダ16のロッド28を着脱可能とする着脱機構30が設けられている(図2参照)。着脱機構30については、後述する。
図2及び図3に示されるように、ゲージ14は、棒状の部材とされており、ゲージ14の一方の端部14Aがケース20に取り付けられている。一例として、ケース20の外面には、ゲージ14の端部14Aが嵌まり込む凹部が設けられており、ゲージ14の端部14Aは、ケース20の凹部に嵌められた状態で接着等によりケース20に固定されている。ゲージ14の他方の端部としての先端部14Bは、吸着ブロック12から取付部24と反対側の方向に延びている。加締金具106の半径方向におけるゲージ14の厚みは、例えば、1mm以上3mm以下とされている。なお、ゲージ14は、棒状の部材に代えて、ダイス110の内側面に沿って湾曲する板状の部材とされていてもよい。
本実施形態では、ケース20の軸方向の端面20Aからゲージ14の先端部14Bまでの距離は、ダイス110の端面110Aに対する加締金具106の位置となるように設定されている。これにより、位置決め治具10では、吸着ブロック12がダイス110の軸方向の端面110Aに吸着した状態で、ゲージ14の先端部14Bに加締金具106の軸方向の端面106Aを接触させることで、ダイス110に対して加締金具106の位置決めを行うようになっている(図1参照)。
フォルダ16は、本体部26と、本体部26から延びたロッド28と、を備えている。ロッド28の先端部の外径は、ロッド28の中間部の外径よりも小さい。着脱機構30は、吸着ブロック12の取付部24に形成された雌ねじ部32と、ロッド28の先端部に形成されて雌ねじ部32に螺合される雄ねじ部34と、を備えている。着脱機構30では、ロッド28の雄ねじ部34を吸着ブロック12の取付部24の雌ねじ部32に螺合させる(すなわち、締め付ける)ことで、フォルダ16のロッド28が吸着ブロック12の取付部24に取り付けられる(図2参照)。また、ロッド28の雄ねじ部34を吸着ブロック12の取付部24の雌ねじ部32から緩めて外すことで、フォルダ16のロッド28が吸着ブロック12の取付部24から離脱される(図6参照)。
本実施形態では、ロッド28の雄ねじ部34と吸着ブロック12の取付部24の雌ねじ部32には、複数のねじ山が螺合されている。なお、この構成に代えて、ロッド28の雄ねじ部34と吸着ブロック12の取付部24の雌ねじ部32は、ねじ山1~2程度螺合させることで、フォルダ16のロッド28を吸着ブロック12の取付部24に取り付ける構成としてもよい。
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
位置決め治具10を用い、ダイス110に対して加締金具106を位置決めする方法(位置決め方法)について説明する。図3に示されるように、位置決め治具10は、ロッド28の雄ねじ部34を吸着ブロック12の取付部24の雌ねじ部32に螺合させることで、フォルダ16のロッド28を吸着ブロック12の取付部24に取り付けた状態(すなわち、装着した状態)とする。そして、フォルダ16の本体部26を把持して操作することで、吸着ブロック12をダイス110の端面110Aに吸着させる方向に移動させる。また、ホース100の軸方向の一端部に継手102の加締金具106が外挿されている。一例として、加締装置114には、複数のダイス110の半径方向内側に加締金具106が予め挿入されている。
次に、図4に示されるように、フォルダ16の本体部26を把持して操作することで、吸着ブロック12のケース20の端面20Aをダイス110の端面110Aに接触させ、磁石22の磁力により吸着ブロック12をダイス110の端面110Aに吸着させる。そして、吸着ブロック12から延びたゲージ14をダイス110の内側面110Bに接触させる。これにより、吸着ブロック12から延びたゲージ14がダイス110の軸方向に沿って配置された状態となる。この状態では、ゲージ14の先端部14Bとダイス110の軸方向の端面110Aとが接触していない。
そして、図1に示されるように、ホース100と共に加締金具106を軸方向に沿って動かすことで、ゲージ14の先端部14Bに加締金具106の軸方向の端面106A(ホース100側の端面)を接触させる。これにより、ダイス110の端面110Aに対して加締金具106の加締金具106の軸方向の端面106A(ホース100側の端面)が定められた距離となる。
この状態では、ダイス110の端面110Aに対して加締金具106の位置が安定しない。このため、図5及び図6に示されるように、ロッド28の雄ねじ部34を吸着ブロック12の取付部24の雌ねじ部32から緩めて外すことで、フォルダ16のロッド28を吸着ブロック12の取付部24から離脱させる。これにより、吸着ブロック12の取付部24からフォルダ16が取り外させるので、ダイス110の軸方向の空間から、ゲージ14の先端部14Bと加締金具106の軸方向の端面106Aとの位置関係(接触関係)を確認(視認)することができる。なお、フォルダ16のロッド28を吸着ブロック12の取付部24から離脱させた後に、ゲージ14の先端部14Bに加締金具106の端面106Aを接触させてもよい。
ゲージ14の先端部14Bと加締金具106の軸方向の端面106Aとの位置関係が適切であることが確認されたら、図5に示されるように、複数のダイス110を半径方向内側(矢印A方向)に僅かに縮径させる。このとき、複数のダイス110は、半径方向内側であって、加締完了位置よりも半径方向外側の位置に移動させる。これにより、複数のダイス110の圧迫により加締金具106を僅かに加締めてホース100に仮固定する。このため、ダイス110の端面110Aに対する加締金具106の位置が安定し、加締金具106がより適切に位置決めされる。この状態では、ホース100に加締金具106が仮固定されているので、ホース100に対して加締金具106が移動することが防止される。
この状態で、継手102の加締金具106が軸方向(位置決め治具10に対して離れる方向)に移動することを抑制するためのバックストップが必要な場合は、継手102の加締金具106と反対側の接続部108の端面に図示しないバックストップ部材を突き当てる。継手102のバックストップが不要な場合は、そのまま図7に示す位置決め治具10の離脱及び図8に示す加締金具106の加締めを行う。
図7に示すように、フォルダ16の本体部26を把持して回転させ、ロッド28の雄ねじ部34を吸着ブロック12の取付部24の雌ねじ部32に螺合させることで、フォルダ16のロッド28を吸着ブロック12の取付部24に取り付ける。
そして、図8に示されるように、フォルダ16の本体部26を把持して矢印方向に引っ張ることで、吸着ブロック12をダイス110の端面110Aから引き離し、ダイス110から位置決め治具10を離脱させる。この状態で、図9に示されるように、複数のダイス110を半径方向内側(矢印A方向)に加締完了位置まで縮径させ、複数のダイス110の圧迫により加締金具106を加締めてホース100に固定する。
上記の位置決め治具10を用いることで、ダイス110の端面110Aに対して加締金具106が位置決めされる。そして、位置決め治具10をダイス110から取り外した後、複数のダイス110を半径方向内側に縮径させることにより、加締金具106をホース100に加締めて固定することで、所定の加締金具106の加締長さを得ることができる。このため、位置決め治具10によれば、エンコーダ等を用いてダイスに対して加締金具を位置決めする場合と比べて、低コストでダイス110に対して加締金具106を位置決めすることができる。
また、位置決め治具10では、吸着ブロック12は、非磁性のケース20の内部にダイス110に吸着可能な磁石22を有しており、磁石22の磁力により吸着ブロック12がダイス110に吸着する。これにより、吸着ブロック12をダイス110に吸着させたり、吸着ブロック12をダイス110から取り外したりすることが容易となる。さらに、ケース20の厚みを調整することで、磁石22により吸着ブロック12をダイス110に吸着させる吸着力を調整することができる。
また、位置決め治具10では、着脱機構30は、吸着ブロック12の軸方向におけるダイス110と反対側の取付部24に設けられた雌ねじ部32と、フォルダ16のロッド28の端部に設けられた雄ねじ部34とを備えている。これにより、フォルダ16のロッド28に設けられた雄ねじ部34を吸着ブロック12の取付部24の雌ねじ部32に螺合させることで、フォルダ16が吸着ブロック12に装着される。また、フォルダ16のロッド28に設けられた雄ねじ部34を吸着ブロック12の取付部24の雌ねじ部32に対して緩める方向に回転させることで、フォルダ16が吸着ブロック12から離脱される。このため、吸着ブロック12に対してフォルダ16を容易に着脱させることができる。
また、本実施形態の位置決め方法によれば、フォルダ16を吸着ブロック12に装着した状態で、フォルダ16を操作することで、ダイス110の軸方向の端面110Aに吸着ブロック12を磁石22の磁力により吸着させる。さらに、吸着ブロック12からダイス110の軸方向に沿って延びたゲージ14の先端部14Bに加締金具106の軸方向の端面106Aを接触させ、ダイス110に対して加締金具106の位置決めを行う。そして、吸着ブロック12からフォルダ16を離脱させ、ダイス110を加締金具106の側であって加締完了位置よりも半径方向外側の位置に移動させることで、加締金具106をホース100に仮止めする。さらに、吸着ブロック12にフォルダ16を装着し、フォルダ16の本体部26を操作することで、位置決め治具10をダイス110及び加締金具106から取り外す。そして、ダイス110を半径方向内側の加締完了位置まで移動させることで、加締金具106を加締めてホース100に固定する。この位置決め方法では、エンコーダ等を用いてダイスに対して加締金具を位置決めする場合と比べて、低コストでダイス110に対して加締金具106を位置決めすることができる。
図18には、比較例のノギス200を用いてダイス110の軸方向の端面110Aに対して加締金具106を位置決めする方法が示されている。
図18及び図19に示されるように、ノギス200は、板状の本体部202と、本体部202の長手方向の端面202Aから延びたディップス204と、を備えている。ディップス204は、長さが短い短尺部204Aと、短尺部204Aよりも長さが長い長尺部204Bとで構成されている。ノギス200は、本体部202の端面202Aを基準面としており、本体部202の端面202Aをダイス110の軸方向の端面110Aに接触させる。そして、本体部202の端面202Aから延びたディップス204の長尺部204Bの先端面に加締金具106の軸方向の端面106Aを接触させ、ダイス110に対して加締金具106を位置決めする。
その後、図20に示されるように、ノギス200をダイス110から外した状態で、複数のダイス110を半径方向内側の加締完了位置まで縮径させ、加締金具106を加締めてホース100に固定する。
しかし、ノギス200を用いる位置決め方法では、ノギス200の本体部202の小さい端面202Aを基準面としてダイス110の軸方向の端面110Aに接触させるため、ノギス200の位置が安定しにくい。また、ディップス204は本体部202に対してさらに細く、また、本体部202に対してディップス204がダイス110の奥側に配置されているため、ディップス204の長尺部204Bの先端面を加締金具106の端面106Aに当てにくい。このため、ディップス204の長尺部204Bの先端面が加締金具106の端面106Aに当たっているかどうかが分かりにくい(視認性が低い)。さらに、ダイス110に対して加締金具106を位置決めした後、加締金具106がガタ付きやすく、この状態でノギス200をダイス110から外す必要がある。ノギス200をダイス110から外すと、加締金具106がダイス110に対して軸方向の前後に動く可能性があり、加締金具106の加締位置がずれやすい。
これに対して、本実施形態の位置決め治具10では、磁石22を備えた吸着ブロック12をダイス110の端面110Aに吸着させるため、吸着ブロック12の位置が安定化する。また、吸着ブロック12にフォルダ16が着脱可能とされているため、吸着ブロック12からフォルダ16を離脱させることで、ゲージ14の先端部14Bが加締金具106の端面106Aに当たっているかどうかを視認しやすい。また、ゲージ14の先端部14Bが加締金具106の端面106Aに当たった状態で、加締金具106を僅かに縮径させてホース100に仮固定することで、ダイス110に対する加締金具106の位置を安定化させることができる。
〔第2実施形態〕
次に、図10~図12を用いて、第2実施形態の位置決め治具について説明する。なお、第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
図10及び図11に示されるように、位置決め治具50は、吸着ブロック12と、ゲージ14と、吸着ブロック12におけるゲージ14の突出する側に対して反対側(ダイス110に吸着される側に対して反対側)の端部に設けられた円筒状の取付部52と、を備えている。さらに、位置決め治具50は、取付部52に対して着脱可能とされた保持部の一例としてのフォルダ54を備えている。
フォルダ54は、本体部26と、ロッド28と、ロッド28の端部に形成された円柱状の小径部70と、を備えている。小径部70の外径は、ロッド28の外径よりも小さい。また、小径部70の外径は、取付部52の内径よりも小さく、小径部70が取付部52の内部に挿入可能とされている。吸着ブロック12の取付部52とフォルダ54の小径部70には、吸着ブロック12の取付部52に対してフォルダ54の小径部70を着脱可能とする着脱機構60が設けられている。
図12に示されるように、着脱機構60は、フォルダ54の小径部70に形成された溝部72を備えている。溝部72は、小径部70の周面に周方向に沿って形成されている。溝部72は、軸方向に沿った断面にて略V字状とされている。また、小径部70の先端の周縁部には、先端側に向かうにしたがって小径とされたテーパ部70Aが形成されている。
また、着脱機構60は、吸着ブロック12の取付部52に設けられると共にフォルダ54の溝部72に係合される係合部材62を備えている。取付部52には、取付部52の軸方向に対して直交する方向に形成された貫通孔52Aを備えている。係合部材62は、貫通孔52Aの内側に取り付けられた管体63と、管体63の内部における取付部52の周面側を塞ぐ支持部64と、支持部64に一端部が支持された弾性体の一例としてのコイルスプリング66と、を備えている。さらに、係合部材62は、コイルスプリング66の他端部(すなわち、支持部64と反対側の端部)に設けられた係合部の一例としての球体68を備えている。球体68は、コイルスプリング66に支持されることで、フォルダ54の小径部70の溝部72に係合する方向に進退可能とされている。
上記の位置決め治具50では、図10に示されるように、フォルダ54の小径部70を取付部52の内部に挿入すると、球体68がテーパ部70Aに当たり、コイルスプリング66が縮む。この状態で、フォルダ54の小径部70が取付部52の内部に更に挿入される。そして、小径部70の溝部72が球体68の位置まで挿入されると、コイルスプリング66の圧縮が解除されて球体68が溝部72に係合される(図11及び図12参照)。これにより、吸着ブロック12の取付部52にフォルダ54の小径部70が装着される。この状態で、フォルダ54の本体部26を操作することで、位置決め治具50の吸着ブロック12をダイス110の端面110A(図1参照)に吸着させる。なお、着脱機構60には、球体68が溝部72に係合された状態でロックするロック機構を設けてもよい。
また、図11に示されるように、吸着ブロック12のダイス110の端面110A(図1参照)への吸着力よりも強い力で吸着ブロック12の取付部52からフォルダ54の小径部70を引き抜こうとすると、溝部72のV字状の傾斜面に沿って球体68が摺動する。これにより、コイルスプリング66が圧縮され、球体68と溝部72との係合が解除される。さらに、吸着ブロック12の取付部52からフォルダ54の小径部70を引き抜くことで、図10に示されるように、吸着ブロック12の取付部52からフォルダ54の小径部70が離脱される。
上記の位置決め治具50では、第1実施形態の位置決め治具10と同じ構成により、同様の作用及び効果を得ることができる。また、位置決め治具50では、球体68を溝部72に係合させる着脱機構60を備えているため、吸着ブロック12の取付部52に対してフォルダ54の小径部70を着脱させる際に、フォルダ54を回転する必要がなく、操作性が向上する。
〔第3実施形態〕
次に、図13~図14を用いて、第3実施形態の位置決め治具について説明する。なお、第1及び第2実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
図13に示されるように、位置決め治具80は、吸着ブロック12と、吸着ブロック12からダイス110の軸方向に沿って延びる位置決め片の一例としてのゲージ82と、を備えている。さらに、位置決め治具80は、吸着ブロック12におけるゲージ82の突出する側に対して反対側(ダイス110に吸着される側に対して反対側)の端部に設けられた取付部24と、着脱機構30により取付部24に対して着脱可能とされたフォルダ16と、を備えている。
ゲージ82は、棒状の部材とされており、ゲージ82の一方の端部82Aが吸着ブロック12におけるケース20の凹部に接着等により取り付けられている。ゲージ82の他方の端部としての先端部82Bは、吸着ブロック12から取付部24と反対側の方向に延びている。加締金具106の半径方向におけるゲージ82の厚みは、第1及び第2実施形態のゲージ14よりも薄く、例えば、0.5mm以上1mm以下とされている。より具体的には、加締金具106の半径方向におけるゲージ82の厚みは、ダイス110により加締金具106をホース100に加締めた状態で、ダイス110とホース100との間から引き抜き可能な厚みに設定されている。言い換えると、加締金具106の半径方向におけるゲージ82の厚みは、ダイス110を半径方向内側の加締完了位置に縮径させた状態で、ゲージ82がダイス110により破損しない厚みに設定されている。
上記の位置決め治具80では、図13に示されるように、吸着ブロック12をダイス110の端面110Aに吸着させた状態で、ゲージ82の先端部82Bに加締金具106の端面106Aを接触させることで、ダイス110に対して加締金具106が位置決めされる。このとき、吸着ブロック12の取付部24からフォルダ16が離脱され、ゲージ82の先端部82Bに加締金具106の端面106Aとの位置関係(接触関係)が確認される。
そして、図14に示されるように、吸着ブロック12及びゲージ82をダイス110から取り外すことなく、複数のダイス110を半径方向内側の加締完了位置まで縮径させることで、加締金具106を加締めてホース100に固定する。その際、加締金具106の半径方向におけるゲージ82の厚みは、ダイス110により加締金具106をホース100に加締めた状態で、ダイス110とホース100との間から引き抜き可能な厚みに設定されている。このため、ダイス110により加締金具106を加締めても、ゲージ82が破損しない。加締金具106を加締めてホース100に固定した後、ダイス110を加締前の元の位置に戻し、吸着ブロック12及びゲージ82をダイス110から取り外す。
上記の位置決め治具80では、第1実施形態の位置決め治具10と同じ構成により、同様の作用及び効果を得ることができる。また、位置決め治具80では、吸着ブロック12及びゲージ82をダイス110から取り外すことなく、加締金具106を加締めてホース100に固定することができるため、加締金具106の加締時の操作性が向上する。
〔第4実施形態〕
次に、図15~図16を用いて、第4実施形態の位置決め治具について説明する。なお、第1~第3実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
図15に示されるように、位置決め治具150は、加締金具106をホース100に加締めるダイス120の軸方向の端面120Aに接触する接触部152と、接触部152をダイス120の取付部122に固定する固定手段の一例としてのボルト160と、を備えている。さらに、位置決め治具150は、接触部152からダイス120の軸方向に沿って延びる位置決め片の一例としてのゲージ154を備えている。
図15及び図16に示されるように、接触部152は、板状とされており、ダイス120の軸方向の端面120Aに面接触する構成とされている。接触部152には、縁部から切り欠かれた略U字状の切欠き部153が形成されている(図16参照)。切欠き部153は、接触部152の下側(すなわち、ダイス120の半径方向外側)に向けて開口している。切欠き部153の壁間の径は、ボルト160の頭部160Aの外径よりも小さく、ボルト160の軸部160Bの外径よりも大きい。ダイス120の取付部122には、ボルト160の軸部160Bが締め付けられるねじ穴124が形成されている。ねじ穴124は、固定手段の一例である。
位置決め治具150の接触部152は、ボルト160によりダイス120の取付部122に対して取り外しに可能とされている。より詳細には、ボルト160の軸部160Bをねじ穴124に螺合させると共にボルト160を緩めた状態で、接触部152における切欠き部153の縁部をボルト160の頭部160Aと取付部122との間に挿入することが可能である。このとき、接触部152における切欠き部153の縁部をボルト160の軸部160Bに上方から下方に向けて嵌め込む。そして、ボルト160をねじ穴124に締め付けることで、接触部152がダイス120の端面120Aに固定される(図15参照)。また、ボルト160を緩めた状態で、接触部152における切欠き部153の縁部をボルト160の頭部160Aと取付部122との間から引き抜くことができる。
ゲージ154は、例えば、棒状の部材で構成されており、接触部152に対して略直交する方向に屈曲されている。ゲージ154の先端部154Aに加締金具106の軸方向の端面106Aを接触させることで、ダイス120に対して加締金具106を位置決めする。加締金具106の半径方向におけるゲージ154の厚みは、例えば、1mm以上3mm以下とされている。
上記の位置決め治具150では、第1実施形態の位置決め治具10と同じ構成により、同様の作用及び効果を得ることができる。また、位置決め治具150は、接触部152とゲージ154とを備えているため、構造が簡単である。また、位置決め治具150の接触部152は、切欠き部153を備えており、ボルト160によりダイス120の端面120Aに対して簡単に固定又は取り外すことができる。
また、位置決め治具150を取り外す前に、ダイス120を半径方向内側に僅かに縮径させ、加締金具106をホース100に仮止めしてもよい。上記の位置決め治具150によれば、低コストでダイス120に対して加締金具106を位置決めすることができる。
なお、加締金具106の半径方向におけるゲージ154の厚みは、ダイス120により加締金具106をホース100に加締めた状態で、ダイス120とホース100との間から引き抜き可能な厚みに設定してもよい。これにより、位置決め治具150をダイス120から取り外すことなく、ダイス120を半径方向内側の加締完了位置まで縮径することで、加締金具106を加締めてホース100に固定することができると共に、ゲージ154の破損を抑制できる。
なお、上記第1~第3実施形態において、吸着ブロック12及び取付部24、52の形状は、変更可能である。また、フォルダ16、54の形状及び構成部品は、変更が可能である。
また、上記第1~第4実施形態において、ゲージ14、82、154の形状や厚みは変更が可能である。
また、上記第1及び第3実施形態では、着脱機構30として、吸着ブロック12の取付部24に雌ねじ部32が設けられ、フォルダ16のロッド28の端部に雄ねじ部34が設けられていたが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、着脱機構として、吸着ブロックの取付部に雄ねじ部が設けられ、フォルダのロッドの端部に雌ねじ部が設けられていてもよい。
また、上記第2実施形態では、着脱機構60として、吸着ブロック12の取付部52に係合部材62が設けられ、フォルダ16の小径部70に係合部材62の球体68が係合される溝部72が設けられていたが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、着脱機構として、フォルダのロッドの端部に弾性体により進退可能な係合部が設けられ、吸着ブロックの取付部に係合部が係合される溝部が設けられていてもよい。
また、上記第1~第4実施形態において、継手102の構成は、変更可能である。
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。