JP7321770B2 - 毛状体を有する樹脂シート及びその成形品 - Google Patents
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(1)一方の面に規則的に配列された毛状体を有する下地層と、下地層の毛状体とは反対側の面に基材層とを有する樹脂シートであって、下地層が熱可塑性ポリウレタン樹脂を含み、基材層がアクリロニトリル-エチレン・プロピレンゴム-スチレン(AES)樹脂を含み、キセノンランプ式促進耐候性試験による色差ΔE*が10以下である、樹脂シート。
(2)基材層が、ポリカーボネート系樹脂をさらに含む、(1)に記載の樹脂シート。
(3)熱可塑性ポリウレタン樹脂が、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及びカーボネート系ポリオールを原料として含む樹脂である、(1)又は(2)に記載の樹脂シート。
(4)下地層と基材層との間にシーラント層を有する、(1)から(3)のいずれかに記載の樹脂シート。
(5)毛状体の平均高さが30μm以上500μm以下、毛状体の平均径が1μm以上50μm以下、毛状体の平均間隔が20μm以上200μm以下である、(1)から(4)のいずれかに記載の樹脂シート。
(6)(1)から(5)のいずれかに記載の樹脂シートの成形品。
(7)自動車内装部材、電子機器、電子機器外装材、化粧品容器又は容器部材の表面に成形された、(6)に記載の成形品。
(8)(1)から(5)のいずれかに記載の樹脂シートを真空圧空成形、インサート成形又はインモールド成形することを含む、(6)又は(7)に記載の成形品の製造方法。
本発明の第一実施形態に係る樹脂シートは、一方の面に規則的に配列された毛状体を有する下地層と、下地層の毛状体とは反対側の面に基材層とを有し、下地層が熱可塑性ポリウレタン樹脂を含み、基材層がアクリロニトリル-エチレン・プロピレンゴム-スチレン(AES)樹脂を含み、キセノンランプ式促進耐候性試験による色差ΔE*が10以下である、樹脂シートである。
図1に示すように、毛状体及び下地層と基材層とが直接積層されたものである。すなわち、第一実施形態に係る樹脂シートの層構成は、上から下に向かって、毛状体及び下地層/基材層という構成を有している。本実施形態における基材層は、下地層と十分な接着性を備えたものとするのが好ましい。
下地層(1a)は、毛状体の下地になる層であり、符号1のうち、表面の毛状体1b以外の部分をいう。下地層の厚みは、毛状体の根元から下地層の反対側の表面までの厚みをいう。下地層の平均厚みは15μm~1000μmであることが好ましく、150μm~800μmであることがより好ましい。15μm以上とすることで、毛状体の高さを十分に発現することができる。また、1000μm以下とすることで、毛状体を効率よく形成することができる。下地層と毛状体との間には構造的な境界がなく、連続相を形成していてもよい。構造的に境界がないとは、下地層と毛状体とが一体型に形成され、これらの間に構造的に明確な境界部がないことを意味している。また、連続相を形成しているとは、下地層と毛状体との間に継ぎ目がなく、不連続でない(連続相となっている)状態をいう。この点で、下地層に毛状体を植毛している構造とは異なっている。下地層及び毛状体は同組成であってもよく、下地層と毛状体との結合には共有結合が含まれてもよい。共有結合とは、電子対が2つの原子に共有されることによって形成される化学結合をいうが、モノマーが連なった鎖状分子である熱可塑性樹脂において、個々のポリマーは共有結合により結合しており、ポリマー分子間で働くファンデルワールス結合や水素結合よりも強く結合している。
また、下地層及び毛状体は、別個ではない同一固体の熱可塑性樹脂シートに由来してもよい。同一固体の熱可塑性樹脂シートに由来するとは、例えば、毛状体及び下地層が同一の樹脂シートに基づいて直接的又は間接的に得られることを意味する。
また、下地層及び毛状体は、同一固体の熱可塑性樹脂シートから形成されたものであってもよい。同一固体の熱可塑性樹脂シートから形成されるとは、毛状体及び下地層が一の樹脂シートを加工することにより直接的に形成されることを意味する。
下地層と毛状体との間には構造的な境界がなく、連続相を形成していることにより、外的刺激によって毛状体が下地層から分離することが抑制され、触感性が良いシートとなる。また、毛状体を植毛する場合よりも少ない工程で製造することができる。
無機系紫外線吸収剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セシウム、酸化鉄及びその他多くの種類のものが使用できる。その中でも特に酸化亜鉛は、透明性や紫外線不透過性の点で優れ好ましい。市販品としては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤「TINUVIN 1600」(BASF社製)などを用いることができる。
無機系紫外線吸収剤を使用する場合、その添加量は樹脂組成物の合計100質量部に対し1~5質量部が好ましい。添加量が1質量部未満では紫外線によるシートの劣化を抑制する効果が低くなる虞があり、5質量部を超えると生産コストが高くなる。
毛状体(1b)とは、図1に示すように下地層(1a)の表面から毛状に伸びている部分をいう。毛状体は、下地層の表面に規則的に配列されている。ここで、規則的に配列されているとは、毛状体がランダムではない配列状態、即ち、一方向又は二方向に整然と(例えば一定の間隔で)配列されている状態を意味するものである。毛状体の根元の配列状態をもって毛状体の配列が規則的であるか否かを判断する。ある実施形態では、毛状体は所定の間隔で下地層上に位置し、毛状体の底面の位置が下地層の長手方向及び短手方向に整然と配列している。また、毛状体の配置形態は特に限定はされず、縦横に配置した碁盤目配置や千鳥配置などを選択することができる。毛状体が下地層の表面に規則的に配列されていることにより、均一でムラがなく、良触感性が発現しやすくなる。毛状体は、例えば指でなぞるなど荷重がかかることによって毛倒れが起こり、周囲の部分とは光沢、色調が異なって見えるフィンガーマークを形成し得る。また、毛状体により、スエード調の起毛シートのような触感となり得る。
毛状体が下地層に対してほぼ直立している場合は、毛状体の根元から先端までの長さが毛状体の高さを表すことになる。一方、図2に示すように毛状体が下地層に対して傾斜している場合や、図3に示すように毛状体が巻回する部分を有する場合は、毛状体が下地層の表面から最も離間している箇所における、下地層の表面からの距離を毛状体の高さhとする。また、毛状体の先端から根元の中央部までを多点間計測により細分化した間隔の合計値を毛状体の長さLとする。
毛状体の平均高さ、および毛状体の平均長さは、電子顕微鏡及び画像処理ソフトを用いて、樹脂シートの任意の数箇所において毛状体の高さ、および毛状体の長さを測定し、その測定値の算術平均値を用いることができる。
また、毛状体のアスペクト比は、(毛状体の平均高さ/毛状体の平均径)として表すことができる。毛状体のアスペクト比は、2~20であることが好ましく、2~10であることがより好ましく、2~5であることがさらに好ましい。アスペクト比を2以上とすることで、良触感性が確保でき、アスペクト比を20以下とすることで、しっとり感、やわらか感、ふんわり感などの良触感性が得られるだけでなく、毛状体の長さに対する高さの比が一定以下となる虞を低減することができる。
一方、アスペクト比は、毛状体の平均底面径を基準とすることもできる。毛状体の平均底面径は10μm~150μmであることが好ましい。毛状体の平均底面径は、樹脂シートの数箇所において、隣接する毛状体の間隔を測定し、その測定値の算術平均値を用いた値とする。毛状体の底面径を基準とした場合のアスペクト比は、1.0~10であることが好ましく、1.0~5であることがより好ましく、1.0~2.5であることがさらに好ましい。アスペクト比を1.0以上とすることで、良触感性が確保でき、アスペクト比を10以下にすることで、しっとり感、やわらか感、ふんわり感などの良触感性が得られるだけでなく、毛状体の長さに対する高さの比が一定以下となる虞を低減することができる。
第一実施形態に係る樹脂シートにおける基材層としては、下地層との接着性に優れる熱可塑性樹脂を使用することが好ましく、AES樹脂を主成分とする樹脂を用いることができる。
また、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性樹脂と任意の割合でアロイしたものも用いることができ、特にポリカーボネート系樹脂とアロイしたものを好適に用いることができる。その割合としては、99:1~20:80が好ましく、80:20~30:70がより好ましく、60:40~40:60が更に好ましい。また、積層する場合、共押出成形による積層や無延伸フィルム、二軸延伸フィルムを用いた押出ラミネート成形、ドライラミネート成形による積層がある。
また、本実施形態において、本発明の効果を阻害しない範囲で、基材層が部分的に架橋構造を有していてもよい。
本実施形態において、基材層の平均厚みは、50μm~1500μmが好ましく、100μm~1000μmであることがより好ましく、150μm~500μmであることがさらに好ましい。50μm以上とすることで、製膜工程が容易になり、1500μm以下とすることで、生産コストを抑えることができる。
本発明の一実施形態において、キセノンランプ式促進耐候性試験機を用いて、ブラックパネル温度63℃、放射照度60W/m2で500時間照射した際の、試験前後の樹脂シートの色差ΔE*が10以下であることが好しく、5以下であることがより好ましく、3以下であることがさらに好ましい。樹脂シートの色差ΔE*が10以下であれば、紫外線光などが照射される場所に用いても変色が少ないことから、車内装材としての使用などに適している。
なお、上記の摩擦係数は、樹脂シートの原料を選択したり、毛状体の高さを変更することで達成することができる。
なお、上記の摩擦係数の変動は、樹脂シートの原料を選択したり、毛状体の高さを変更することで達成することができる。
なお、上記の粗さの変動は、毛状体の高さや形状を変更することで達成することができる。
本発明の第二実施形態に係る樹脂シートの例としては、図5に示すように、下地層(1)と基材層(3)との間に、シーラント樹脂層(2)が形成された樹脂シートである。すなわち、第二実施形態に係る樹脂シートの層構成は、上から下に向かって、毛状体及び下地層(1)、シーラント樹脂層(2)、基材層(3)である。ここで、毛状体は、第一実施形態において説明したものと同じであるので、説明を省略する。但し、毛状体の平均高さ及び下地層の平均厚みの合計で表される毛状体及び下地層の厚みは、150μm~1500μmが好ましく、150μm~1050μmであることがより好ましく、150μm~500μmであることがさらに好ましい。150μm以上とすることで良触感性を確保でき、1500μm以下とすることで生産コストを抑えることができる。
シーラント樹脂層は、下地層と基材層との接着性を発現させるためのものであり、樹脂成分としては、変性オレフィン系樹脂、水添スチレン系熱可塑性エラストマー等を用いることができる。
本発明に係る樹脂シートの製造方法は、限定されず、如何なる方法によってもよいが、典型的には、原料樹脂を溶融押出し、得られた押出し樹脂シートの少なくとも一方の面に規則的に配列された毛状体を付与する工程を含んでなる。
凹凸加工が成された転写ロールとして、レーザー彫刻法や電鋳法、エッチング法、ミル彫刻法などによりロールの表面に数μm~数百μmサイズの微細な凹凸が規則的に施されたものを用いることができる。ここで、規則的とは、凹凸がランダムではない配列状態、即ち、一方向又は二方向に整然と配列した状態を意味するものである。ある実施形態における凹凸の配置として、縦横に配置した碁盤目配置や千鳥配置などを選択することができる。凹凸部の形状としては、例えば、凹部の形状であれば、錐形(円錐、四角錐、三角錐、六角錐など)、半円形、矩形(四角柱)などが挙げられる。サイズとしては、凹部の開口径、凹部深さ、凹部形状の間隔が数μmから数百μmである。転写ロールの材質として、例えば金属、セラミック等を用いることができる。転写ロールの凹部の間隔を調節することで毛状体の間隔を調節することができ、転写ロールの凹部深さを調節することで毛状体高さを調節することができ、それにより触感を調節することもできる。
また、転写ロール表面に高アスペクト比の凹凸加工することが好ましい。例えば、転写ロール表面に凹部形状を加工する場合のアスペクト比(凹部深さ/凹部開口径)は1.0~9.0であることが好ましい。転写ロール表面に高アスペクト比の凹凸加工をするには、レーザー彫刻法または、電鋳法が、エッチング法やブラスト法、ミル彫刻法等に比べて、深さ方向に精密な加工をする場合に適するため、特に好適に用いられる。
転写ロールの材質としては、例えば金属、セラミック等を用いることができる。一方、タッチロールとしては、様々な材質のものを用いることができるが、例えばシリコン系ゴム、NBR系ゴム、EPT系ゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴム製のロールを用いることができる。ある実施形態において、ゴム硬度(JIS K 6253)40~100のタッチロールを用いることができる。また、タッチロールの表面に、テフロン(登録商標)層が形成されていてもよい。
タッチロールとしては、様々な材質のものを用いることができるが、例えばシリコン系ゴム、NBR系ゴム、EPT系ゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴム製のロールを用いることができる。ある実施形態において、ゴム硬度(JIS K 6253)40~100のタッチロールを用いることができる。また、タッチロールの表面に、テフロン(登録商標)層が形成されていてもよい。
上記の転写ロール及びタッチロールのロールセットを用いることで、本実施形態の樹脂シートを製造することができる。
ある実施形態において、転写ロールの温度を熱可塑性樹脂の結晶融解温度、ガラス転移点または融点の付近の温度(例えば、ランダムポリプロピレンを用いる場合は100~150℃)に調節し、転写ロールとタッチロールとのピンチ圧を30~120Kg/cm2としてキャスティングすることで、本実施形態の樹脂シートを製造することができる。キャスティングした樹脂シートは、ピンチロール等を用いて0.5~30m/分のライン速度で引き取られる。
また、上記実施形態を具体的に示しているが、これらに限定されるものではない。
本発明の成形品は、本発明の樹脂シートを用いた成形品である。本発明の樹脂シートは、一般的な成形への対応が可能であり、成形方法としては、インサート成形、インモールド成形の他にも、一般的な真空成形、圧空成形やこれらの応用として、樹脂シートを真空状態化で加熱軟化させ、大気圧下に開放することで既存の成形品表面へオーバーレイ(成形)する方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、成形前にシートを加熱軟化させる方法として非接触加熱である赤外線ヒーター等による輻射加熱等、公知のシート加熱方法を適応することができる。ある実施形態の真空圧空成形において、例えば樹脂シートは表面温度が60℃~220℃で、20秒~480秒間加熱してから既存の成形品表面へと成形され、表面の形状により1.05~2.50倍に延伸され得る。
本発明にかかる毛状体を表面に付与した樹脂シートは、前記に示した良触感性が必要とされる用途に適用できる。例えば、本発明の樹脂シートは、自動車内装部材、電子機器、電子機器外装材、化粧品容器又は容器部材、文房具部材、照明器具部材、生活用品部材として適用できる。
(1)毛状体及び下地層
・(A-1)TPU(ウレタン系エラストマー)「XN2001:HDI/ポリカーボネート系」(東ソー社製)
・(A-2)TPU(ウレタン系エラストマー)「HD1085A:HDI/ポリカーボネート系」(BASF社製)
・(A-3)TPU(ウレタン系エラストマー)「ET880:MDI/ポリエーテル系」(BASF社製)
・(B)離型剤 「ワックスマスターV」(エフ・シー・アイ社製)
(2)基材層
・(C-1)AES 「ユニブライト UB-311」(日本エイアンドエル社製)
・(C-2)PC/AES 「テクニエース W-101」(日本エイアンドエル社製)
・(C-3)ABS 「デンカABS GT-R-61A」(デンカ社製)
毛状体及び下地層の熱可塑性樹脂原料について、熱プレス機により厚さ約0.3mmのシートを作製し、キセノンランプ式促進耐候性試験機(キセノンウェザーメーター、スガ試験機製)にて、ブラックパネル温度63±3℃、照射強度60W/m2、500時間照射し、色差計Color meter ZE6000(日本電色工業製)を用いて、シートの試験前後の色差(透過法)ΔE*を測定した。
樹脂シートの毛状体の高さ(h)、毛状体の径(d)、毛状体の間隔(t)、下地層の厚みを、レーザー顕微鏡(VK-X100、キーエンス社製)を用いて測定した。なお、測定した試料は、ミクロトームを用いて樹脂シートの任意の3箇所より断面切片を切り出し用いた。毛状体の平均高さは、それぞれの試料について毛状体10個の高さを測定し、その30測定値の算術平均値を用いた。毛状体の平均径については、それぞれの試料について10個の毛状体の中間高さ(h/2)における径を測定し、その30測定値の算術平均値を用いた。毛状体の平均間隔については、それぞれの試料について毛状体の根元の中心と隣接する毛状体の根元の中心との距離を10箇所測定し、その30測定値の算術平均値を用いた。下地層の平均厚みについては、それぞれの試料について毛状体の根元から他方の層界面までの厚みを10箇所測定し、その30測定値の算術平均値を用いた。
良触感性は、男性5人、女性5人の計10人に樹脂シートを触ってもらう官能評価を実施した。樹脂シート表面を触った際の感触を5段階で評価し、特に点数の高かった触感(滑らかさやしっとり感等)で分別した。
両面真空成形機(NGF-0709-S型、布施真空社製)で樹脂シートを真空雰囲気下で加熱し、その後、大気圧雰囲気下で準備したスマートフォンカバーの表面へ真空圧空成形することにより成形品を作製した。シートの表面温度80℃~220℃の範囲でシートを40秒間~300秒間で加熱し、最も延伸された箇所では1.5倍に延伸された。
賦形性の評価は、スマートフォンカバー側面におけるシート追従性を外観により行った。評価基準として、追従できている場合に○とし、追従できない場合(スマートフォンカバーとシートとの間に隙間がある場合)に×とした。
成形前と成形後の毛状体10個の高さを測定し、その30測定値の算術平均値を用い測定し、(成形後の毛状体の平均高さ)/(成形前の毛状体の平均高さ)を算出し、毛状体の平均高さ維持率とした。
風合い試験機「KES-FB4-A表面試験機(カトーテック製)」を用いて、20cm×20cmの大きさの樹脂シートを、毛状体形状を付与した面を上にして、試験台に取り付け、荷重25gf、1mm/secの速度で測定子をサンプルの表面で移動させ、室温23℃、相対湿度50%の雰囲気の条件下にてシートの摩擦係数(MIU)を測定した。機械方向、幅方向ともに測定を3回(合計6回)行い、その全てのデータの平均値の少数第3位を四捨五入した値をそのシートの摩擦係数とした。なお接触子としては、標準摩擦子(指紋タイプ)を使用した。
風合い試験機「KES-FB4-A表面試験機(カトーテック製)」を用いて、20cm×20cmの大きさの樹脂シートを、毛状体形状を付与した面を上にして、試験台に取り付け、荷重25gf、1mm/secの速度で測定子をサンプルの表面で移動させ、室温23℃、相対湿度50%の雰囲気の条件下にてシートの摩擦係数の変動(MMD)を測定した。機械方向、幅方向ともに測定を3回(合計6回)行い、その全てのデータの平均値の少数第4位を四捨五入した値をそのシートの摩擦係数の変動とした。なお接触子としては、標準摩擦子(指紋タイプ)を使用した。
風合い試験機「KES-FB4-A表面試験機(カトーテック製)」を用いて、20cm×20cmの大きさの樹脂シートを、毛状体形状を付与した面を上にして、試験台に取り付け、荷重10gf、1mm/secの速度で測定子をサンプルの表面で移動させ、室温23℃、相対湿度50%の雰囲気の条件下にてシートの表面粗さの変動(SMD)を測定した。機械方向、幅方向ともに測定を3回(合計6回)行い、その全てのデータの平均値の少数第4位を四捨五入した値をそのシートの表面粗さの変動とした。なお接触子としては、1本の直径0.5mmのピアノ線を使用した。
1台の40mm単軸押出機から、毛状体及び下地層となる(A)熱可塑性樹脂と(B)離型剤のドライブレンド品を流し、1台の65mm単軸押出機から、基材層となる(C)熱可塑性樹脂を流し、Tダイ法により押出された樹脂シートを、酸化クロム溶射かつレーザー彫刻法で凹凸加工がなされ、60℃~150℃に調節された凹凸加工が成された転写ロールと、10℃~90℃に調節されたゴム硬度70のシリコン系ゴム製のタッチロールとを用い、キャスティングすることで、ピンチロールを用いてライン速度1m/分~15m/分で引き取った。これにより表1に示す組成、厚み及び表面形状の樹脂シートを得た。
1台の40mm単軸押出機から、毛状体及び下地層となる(A)熱可塑性樹脂と(B)離型剤のドライブレンド品を流し、Tダイ法により押出された樹脂シートを、酸化クロム溶射かつレーザー彫刻法で凹凸加工がなされ、60℃~150℃に調節された凹凸加工が成された転写ロールと、10℃~90℃に調節されたゴム硬度70のシリコン系ゴム製のタッチロールとを用い、キャスティングすることで、ピンチロールを用いてライン速度1m/分~15m/分で引き取った。
実施例1~4の全ての樹脂シートは、耐候性試験において、試験前後の色差(透過法)ΔE*が10以下を示した。また、良触感性に関する評価物性であるKES法に従い測定される摩擦係数、摩擦係数の変動、粗さの変動を満足し、特定の触感性を有することが示された。
走査電子顕微鏡像から、毛状体同士が絡合することなく一定方向に伸びていることが観察された。また、毛状体の形状は、下地層から離れるにつれ、断面積が漸次小さくなる形状のものや、断面積が漸次小さくなった後に一旦大きくなってから終端する形状のものがあった。また、下地層から離れるにつれ、断面積が漸次小さくなった後に一旦大きくなってから終端する形状の毛状体の先端部は、つぼみ状又はきのこ形状であり、つぼみ状又はきのこ形状の部分が一部中空となっていることが観察された。このような形状を有することにより、より良好な触感が発現していることが推察された。
1a 下地層
1b 毛状体
d 毛状体径
h 毛状体の高さ
t 毛状体の間隔
2 シーラント樹脂層
3 基材層
Claims (6)
- 一方の面に規則的に配列された毛状体を有する下地層と、下地層の毛状体とは反対側の面に基材層とを有する樹脂シートであって、下地層がヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及びカーボネート系ポリオールを原料として含む熱可塑性ポリウレタン樹脂を含み、基材層がアクリロニトリル-エチレン・プロピレンゴム-スチレン(AES)樹脂を含み、キセノンランプ式促進耐候性試験機を用いて、ブラックパネル温度63℃、放射照度60W/m 2 で500時間照射した際の、試験前後の樹脂シートの色差ΔE*が10以下であり、毛状体の平均高さが30μm以上500μm以下、毛状体の平均径が1μm以上50μm以下、毛状体の平均間隔が20μm以上200μm以下である、樹脂シート。
- 基材層が、ポリカーボネート系樹脂をさらに含む、請求項1に記載の樹脂シート。
- 下地層と基材層との間にシーラント層を有する、請求項1又は2に記載の樹脂シート。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載の樹脂シートの成形品。
- 自動車内装部材、電子機器、電子機器外装材、化粧品容器又は容器部材の表面に成形された、請求項4に記載の成形品。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載の樹脂シートを真空圧空成形、インサート成形又はインモールド成形することを含む、請求項4又は5に記載の成形品の製造方法。
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