以下、本実施形態に係る内視鏡照明系と本実施形態に係る内視鏡について、このような構成をとった理由と作用を説明する。なお、これらの実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
本実施形態の内視鏡照明系は、挿入部に配置された内視鏡照明系であって、照明光が出射する出射面と、照明光が入射する入射側光学面と、照明光が出射する出射側光学面と、を有する。入射側光学面は、内側配光面と、外側配光面と、を有し、外側配光面は、内側配光面に比べて、挿入部の中心軸から遠くに位置する。内側配光面は、第1内側面を有し、第1内側面は、出射面に向かって凸形状の曲面である。外側配光面は、平面又は出射面に向かって凹形状の曲面である。
図1は、本実施形態の内視鏡照明系を示す図である。図1(a)は、本実施形態の内視鏡照明系の第1例を示す図である。図1(b)は、本実施形態の内視鏡照明系の第2例を示す図である。
本実施形態の内視鏡照明系は、内視鏡の挿入部の先端に配置されている。図1(a)と図1(b)は、挿入部の先端の断面図である。挿入部の先端の具体的な構造は後述する。
内視鏡照明系1は、第1例の内視鏡照明系である。内視鏡照明系6は、第2例の内視鏡照明系である。内視鏡照明系1と内視鏡照明系6は、出射面2を有する。内視鏡照明系1と内視鏡照明系6では、出射面2から照明光が出射する。
図2は、出射面の例を示す図である。図2(a)は、出射面の第1例を示す図である。図2(b)は、出射面の第2例を示す図である。図2(c)は、出射面の第3例を示す図である。
第1例の出射面は、発光素子の出射面である。図2(a)に示すように、発光素子10は、発光部11と、封止樹脂12と、を有する。発光素子10は、例えば、LED(発光ダイオード)又はLD(レーザダイオード)である。出射面13は、封止樹脂12の表面である。
発光部11から出射した光は、封止樹脂12内を進行し、出射面13に到達する。出射面13に到達した光は、出射面13から出射する。
第2例の出射面は、ライトガイドの端面である。図2(b)に示すように、ライトガイド20は、ファイババンドル21と、保護チューブ22と、を有する。ファイババンドル21は、複数の光ファイバで形成されている。出射面23は、ファイババンドル21の端面である。
光源(不図示)から出射した光は、ライトガイド20内を進行し、出射面23に到達する。出射面23に到達した光は、出射面23から出射する。
第3例の出射面は、照明ユニットの出射面である。図2(c)に示すように、照明ユニット30は、蛍光体31と、封止樹脂32と有する。出射面33は、封止樹脂32の表面である。
蛍光体31には、光ファイバ34が接続されている。光源(不図示)から出射した光は、光ファイバ34内を進行し、蛍光体31に到達する。蛍光体31では、光源から出射した光と蛍光が出射する。蛍光の波長は、光源から出射した光の波長よりも長い。
蛍光体31から出射した光は、封止樹脂32内を進行し、出射面33に到達する。出射面33に到達した光は、出射面33から出射する。
図1(a)と図1(b)に戻って説明する。図1(a)に示すように、内視鏡照明系1は、更に、入射側光学面3と、出射側光学面4と、を有する。内視鏡照明系1では、入射側光学面3は、出射面2と対向している。出射面2から出射した照明光は、入射側光学面3に入射する。
入射側光学面3は、内側配光面3aと、外側配光面3bと、を有する。外側配光面3bは、内側配光面3aに比べて、中心軸5から遠くに位置している。中心軸5は、挿入部の中心軸である。
内側配光面3aは、第1内側面を有する。第1内側面は、出射面2に向かって凸形状の曲面である。図1(a)では、内側配光面3aは、出射面2に向かって凸形状の曲面だけで形成されている。よって、内側配光面3aは、第1内側面だけで形成されている。
図1(b)に示すように、内視鏡照明系6は、更に、入射側光学面7と、出射側光学面4と、を有する。内視鏡照明系6では、入射側光学面7は、出射面2と対向している。出射面2から出射した照明光は、入射側光学面7に入射する。
入射側光学面7は、内側配光面7aと、外側配光面7bと、を有する。外側配光面7bは、内側配光面7aに比べて、中心軸5から遠くに位置している。
内側配光面7aは、第1内側面を有する。第1内側面は、出射面2に向かって凸形状の曲面である。図1(b)では、内側配光面7aは、出射面2に向かって凸形状の曲面だけで形成されている。よって、内側配光面7aは、第1内側面だけで形成されている。
第1内側面は、例えば、トロイダル面の一部を切り取った面である。トロイダル面は、平面上に円とそれに交わらない直線があるとき、直線を軸にして円を回転したときにできる回転体の表面である。
本実施形態の内視鏡照明系では、外側配光面は、平面又は出射面に向かって凹形状の曲面である。内視鏡照明系1では、外側配光面3bは、平面である。内視鏡照明系6では、外側配光面7bは、出射面2に向かって凹形状の曲面である。
図3は、内視鏡照明系と配光を示す図である。図3(a)は、第1例の内視鏡照明系を示す図である。図3(b)は、従来の内視鏡照明系を示す図である。図3(c)は、照明光の配光を示すグラフである。図1(a)と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
出射面からは様々な方向に照明光が出射する。図3(a)と図3(b)では、中心軸と平行に出射した照明光だけが図示されている。
内視鏡照明系1について、図3(a)を用いて説明する。上述のように、内視鏡照明系1は、本実施形態の内視鏡照明系の第1例である。
出射面2から、照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3が出射する。照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3は、入射側光学面3に入射する。入射側光学面3は、内側配光面3aと、外側配光面3bと、を有する。
内側配光面3aには、照明光IL3が入射する。内側配光面3aは曲面である。よって、照明光IL3は内側配光面3aで屈折され、収斂する。
外側配光面3bには、照明光IL1と照明光IL2が入射する。外側配光面3bは平面である。よって、照明光IL1と照明光IL2は外側配光面3bで屈折されず、中心軸5と平行に進行する。
入射側光学面3と出射側光学面4の間は、例えば、屈折率が1よりも大きい透明媒質で満たされている。照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3は透明媒質内を進行し、出射側光学面4に到達する。
出射側光学面4では、照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3は、平面に入射する。照明光IL1と照明光IL2は出射側光学面4で屈折されず、中心軸5と平行に進行する。照明光IL3は、収斂した後、発散する。
内視鏡照明系40について、図3(b)を用いて説明する。内視鏡照明系40は、従来の内視鏡照明系である。内視鏡照明系40は、出射面2と、入射側光学面41と、出射側光学面4と、を有する。
出射面2から、照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3が出射する。入射側光学面41は、出射面2と対向している。照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3は、入射側光学面41に入射する。
入射側光学面41は、出射面2に向かって凸形状の曲面のみで形成されている。よって、照明光IL1と照明光IL2は曲面で屈折され、中心軸5と交差するように進行する。照明光IL3は、曲面で屈折され、収斂する。
照明光IL1と照明光IL2は、照明光IL3に比べて、中心軸5から遠くに位置している。そのため、照明光IL1と照明光IL2では、照明光IL3に比べて、入射側光学面41に対する入射角が大きくなる。その結果、照明光IL1と照明光IL2は、照明光IL3よりも大きく屈折される。
入射側光学面41と出射側光学面4の間は、例えば、屈折率が1よりも大きい透明媒質で満たされている。照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3は透明媒質内を進行し、出射側光学面4に到達する。
出射側光学面4では、照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3は、平面に入射する。照明光IL1は、出射側光学面4で全反射によって反射される。照明光IL2は、出射側光学面4で更に屈折され、中心軸5と交差するように進行する。照明光IL3は、収斂した後、発散する。
内視鏡照明系40では、照明光IL1は、入射側光学面41で屈折された後、出射側光学面4で反射される。そのため、照明光IL1は、出射側光学面4から出射しない。照明光IL2は、入射側光学面41と出射側光学面4の両方で屈折されて、中心軸5と交差するように進行する。そのため、照明光IL2は、出射側光学面4から出射する。ただし、入射側光学面41における屈折が大きいので、照明光IL2は、観察範囲の外側に照射される。その結果、照明効率が低下する。
これに対して、内視鏡照明系1では、照明光IL1と照明光IL2は、入射側光学面3と出射側光学面4の両方で屈折されず、中心軸5と平行に進行する。そのため、照明光IL1と照明光IL2は、出射側光学面4から出射する。更に、照明光IL1と照明光IL2は、観察範囲の外側に照射されない。その結果、照明効率の低下を防止することができる。
図3(c)では、内視鏡照明系1における照明光の配光が実線で示され、内視鏡照明系40における照明光の配光が破線で示されている。図3(c)は、中心軸5を挟んで内視鏡照明系を対称に配置したときの配光を示している。横軸は角度で、縦軸は強度である。
内視鏡照明系1では、強度がゼロになる角度は80°よりも小さい。これに対して、内視鏡照明系40では、強度がゼロになる角度は80°よりも大きい。角度の大きさが照明範囲の広さを表しているとすると、図3(c)は、内視鏡照明系1における照明範囲が内視鏡照明系40における照明範囲よりも狭いことを示している。
照明範囲よりも狭いと、観察範囲の外側に照射される照明光も少ない。よって、内視鏡照明系1では、内視鏡照明系40に比べて、観察範囲を効率良く照明することができる。
また、上述のように、外側配光面3bは、内側配光面3aに比べて、中心軸5から遠くに位置する。中心軸5上に観察範囲の中心が位置する場合、照明光IL1と照明光IL2は、観察範囲の周辺(観察範囲における周辺領域)に到達する。よって、観察範囲の周辺を明るく照明することができる。
図4は、内視鏡照明系と配光を示す図である。図4(a)は、第2例の内視鏡照明系を示す図である。図4(b)は、従来の内視鏡照明系を示す図である。図4(c)は、照明光の配光を示すグラフである。図1(b)と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。図4(b)は、図3(b)と同一である。
出射面からは様々な方向に照明光が出射するが、図4(a)と図4(b)では、中心軸と平行に出射した照明光だけが図示されている。
内視鏡照明系6について、図4(a)を用いて説明する。上述のように、内視鏡照明系6は、本実施形態の内視鏡照明系の第2例である。
出射面2から、照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3が出射する。照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3は、入射側光学面7に入射する。
入射側光学面7は、内側配光面7aと、外側配光面7bと、を有する。内側配光面7aには、照明光IL3が入射する。内側配光面7aは曲面である。よって、照明光IL3は内側配光面7aで屈折されて、収束する。
外側配光面7bには、照明光IL1と照明光IL2が入射する。外側配光面7bは出射面2に向かって凹形状の曲面である。よって、照明光IL1と照明光IL2は外側配光面7bで屈折される。照明光IL1は中心軸5から離れるように進行し、照明光IL2は中心軸ほぼ平行に進行する。
入射側光学面7と出射側光学面4の間は、例えば、屈折率が1よりも大きい透明媒質で満たされている。照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3は透明媒質内を進行し、出射側光学面4に到達する。
出射側光学面4では、照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3は、平面に入射する。照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3は、出射側光学面4で屈折される。照明光IL1は、中心軸5から離れるように進行する。照明光IL2は、中心軸ほぼ平行に進行する。照明光IL3は、収斂した後、発散する。
上述のように、内視鏡照明系40では、照明光IL1は、出射側光学面4から出射しない。照明光IL2は、出射側光学面4から出射するが、観察範囲の外側に照射される。その結果、照明効率が低下する。
これに対して、内視鏡照明系6では、照明光IL1と照明光IL2は、入射側光学面7と出射側光学面4の両方で屈折される。ただし、照明光IL1は、内視鏡照明系40のように大きく屈折されない。照明光IL2は、中心軸5とほぼ平行に進行する。そのため、照明光IL1と照明光IL2は、出射側光学面4から出射する。更に、照明光IL1と照明光IL2は、観察範囲の外側に照射されない。その結果、照明効率の低下を防止することができる。
図4(c)では、内視鏡照明系6における照明光の配光が実線で示され、内視鏡照明系40における照明光の配光が破線で示されている。図4(c)は、中心軸5を挟んで内視鏡照明系を対称に配置したときの配光を示している。横軸は角度で、縦軸は強度である。
内視鏡照明系6では、強度がゼロになる角度は80°よりも小さい。これに対して、内視鏡照明系40では、強度がゼロになる角度は80°よりも大きい。図4(c)は、内視鏡照明系6における照明範囲が内視鏡照明系40における照明範囲よりも狭いことを示している。
照明範囲よりも狭いと、観察範囲の外側に照射される照明光も少ない。よって、内視鏡照明系6では、内視鏡照明系40に比べて、観察範囲を効率良く照明することができる。
また、上述のように、外側配光面7bは、内側配光面7aに比べて、中心軸5から遠くに位置する。中心軸5上に観察範囲の中心が位置する場合、照明光IL1と照明光IL2は、観察範囲の周辺に到達する。よって、観察範囲の周辺を明るく照明することができる。
本実施形態の内視鏡照明系では、内側配光面は、第1内側面と、第2内側面と、を有し、第2内側面は、平面であり、第2内側面は、第1内側面に比べて、中心軸の近くに位置することが好ましい。
図5は、本実施形態の内視鏡照明系を示す図である。図5には、本実施形態の内視鏡照明系の第3例が示されている。図1(a)と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
内視鏡照明系50は、第3例の内視鏡照明系である。内視鏡照明系50は、出射面2と、入射側光学面51と、出射側光学面4と、を有する。内視鏡照明系50では、出射面2から照明光が出射する。
出射面2から出射した照明光は、入射側光学面51に入射する。入射側光学面51は、内側配光面51aと、外側配光面51bと、を有する。外側配光面51bは、内側配光面51aに比べて、中心軸5から遠くに位置している。
内側配光面51aは、第1内側面51a1と、第2内側面51a2と、を有する。第1内側面51a1は、出射面2に向かって凸形状の曲面である。第2内側面51a2は、平面である。第2内側面51a2は、第1内側面51a1に比べて、中心軸5の近くに位置する。
本実施形態の内視鏡照明系では、外側配光面は、平面または出射面に向かって凹形状の曲面である。内視鏡照明系50では、外側配光面51bは、平面である。
図6は、内視鏡照明系と配光を示す図である。図6(a)は、第3例の内視鏡照明系を示す図である。図6(b)は、従来の内視鏡照明系を示す図である。図6(c)は、照明光の配光を示すグラフである。図5と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
出射面からは様々な方向に照明光が出射するが、図6(a)と図6(b)では、中心軸と平行に出射した照明光だけが図示されている。
内視鏡照明系50について、図6(a)を用いて説明する。上述のように、内視鏡照明系50は、本実施形態の内視鏡照明系の第3例である。
出射面2から、照明光IL1、照明光IL2、照明光IL3、及び照明光IL4が出射する。照明光IL1、照明光IL2、照明光IL3、及び照明光IL4は、入射側光学面51に入射する。入射側光学面51は、内側配光面51aと、外側配光面51bと、を有する。
内側配光面51aには、照明光IL3と照明光IL4が入射する。内側配光面51aは、第1内側面51a1と、第2内側面51a2と、を有する。
第1内側面51a1には、照明光IL3が入射する。第1内側面51a1は曲面である。よって、照明光IL3は第1内側面51a1で屈折され、収斂する。
第2内側面51a2には、照明光IL4が入射する。第2内側面51a2は平面である。よって、照明光IL4は第2内側面42bで屈折されず、中心軸5と平行に進行する。
外側配光面51bには、照明光IL1と照明光IL2が入射する。外側配光面51bは平面である。よって、照明光IL1と照明光IL2は外側配光面51bで屈折されず、中心軸5と平行に進行する。
入射側光学面51と出射側光学面4の間は、例えば、屈折率が1よりも大きい透明媒質で満たされている。照明光IL1、照明光IL2、照明光IL3、及び照明光IL4は透明媒質内を進行し、出射側光学面4に到達する。
出射側光学面4では、照明光IL1、照明光IL2、照明光IL3、及び照明光IL4は、平面に入射する。照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL4は出射側光学面4で屈折されず、中心軸5と平行に進行する。照明光IL3は、収斂した後、発散する。
内視鏡照明系60について、図6(b)を用いて説明する。内視鏡照明系60は、従来の内視鏡照明系である。内視鏡照明系60は、出射面2と、入射側光学面61と、出射側光学面62と、を有する。
出射面2から、照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3が出射する。入射側光学面61は、出射面2と対向している。照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3は、入射側光学面61に入射する。
入射側光学面61は、出射面2に向かって凸形状の曲面のみで形成されている。よって、照明光IL1と照明光IL2は曲面で屈折され、中心軸5と交差するように進行する。照明光IL3は、曲面で屈折され、収斂する。
照明光IL1と照明光IL2は、照明光IL3に比べて、中心軸5から遠くに位置している。そのため、照明光IL1と照明光IL2では、照明光IL3に比べて、入射側光学面61に対する入射角が大きくなる。その結果、照明光IL1と照明光IL2は、照明光IL3よりも大きく屈折される。
入射側光学面61と出射側光学面62の間は、例えば、屈折率が1よりも大きい透明媒質で満たされている。照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3は透明媒質内を進行し、出射側光学面62に到達する。
出射側光学面62では、照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3は、平面に入射する。照明光IL1は、出射側光学面62で全反射によって反射される。照明光IL2は、出射側光学面62で更に屈折され、中心軸5と交差するように進行する。照明光IL3は、収斂した後、発散する。
内視鏡照明系60では、内視鏡照明系40と同様に、照明光IL1は、出射側光学面62から出射しない。照明光IL2は、出射側光学面62から出射する。ただし、入射側光学面61における屈折が大きいので、照明光IL2は、観察範囲の外側に照射される。その結果、照明効率が低下する。
これに対して、内視鏡照明系50では、照明光IL1と照明光IL2は、入射側光学面51と出射側光学面4の両方で屈折されず、中心軸5と平行に進行する。そのため、照明光IL1と照明光IL2は、出射側光学面4から出射する。更に、照明光IL1と照明光IL2は、観察範囲の外側に照射されない。その結果、照明効率の低下を防止することができる。
図6(c)では、内視鏡照明系1における照明光の配光が実線で示され、内視鏡照明系60における照明光の配光が破線で示されている。図6(c)は、中心軸5を挟んで内視鏡照明系を対称に配置したときの配光を示している。横軸は角度で、縦軸は強度である。
内視鏡照明系1では、強度がゼロになる角度は80°よりも小さい。これに対して、内視鏡照明系60では、強度がゼロになる角度は約80°である。角度の大きさが照明範囲の広さを表しているとすると、図6(c)は、内視鏡照明系50における照明範囲が内視鏡照明系60における照明範囲よりも狭いことを示している。
照明範囲よりも狭いと、観察範囲の外側に照射に照射される照明光も少ない。よって、内視鏡照明系50では、内視鏡照明系60に比べて、観察範囲を効率良く照明することができる。
また、上述のように、外側配光面51bは、内側配光面51aに比べて、中心軸5から遠くに位置する。中心軸5上に観察範囲の中心が位置する場合、照明光IL1と照明光IL2は、観察範囲の周辺に到達する。よって、観察範囲の周辺を明るく照明することができる。
また、照明光IL4も、外側配光面51bと出射側光学面4の両方に対して垂直に入射する。この場合、外側配光面51bと出射側光学面4の両方で屈折されず、中心軸5と平行に進行する。照明光IL4は、中心軸5側に位置している。そのため、照明光IL4は、観察範囲の中央側に照射される。その結果、照明効率の低下を防止しつつ、観察範囲の中央付近を明るく照明することができるができる。
本実施形態の内視鏡照明系では、出射側光学面は、第1出射側面と、第2出射側面と、を有し、第1出射側面は、平面であり、第2出射側面は、曲面であり、第2出射側面は、第1出射側面に比べて、中心軸から遠くに位置し、中心軸と平行で、且つ第1出射側面と第2出射側面の境界を通過する直線が、出射面と交差することが好ましい。
図7は、本実施形態の内視鏡照明系を示す図である。図7(a)は、第1例の内視鏡照明系を示す図である。図7(b)は、第4例の内視鏡照明系を示す図である。図1(a)と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
図7(a)と図7(b)では、出射面から出射した照明光のうち、一部の照明光だけが図示されている。また、出射面からは様々な方向に照明光が出射するが、中心軸と平行に出射した照明光だけが図示されている。
内視鏡照明系70について、図7(a)を用いて説明する。内視鏡照明系70は、本実施形態の内視鏡照明系の第1例である。
出射側光学面71は、第1出射側面71aと、第2出射側面71bと、を有する。第1出射側面71aは、平面である。第2出射側面71bは、曲面である。
第2出射側面71bは、第1出射側面71aに比べて、中心軸5から遠くに位置している。直線72は、中心軸5と平行で、且つ第1出射側面71aと第2出射側面71bの境界を通過する直線である。
内視鏡照明系70では、直線72が出射面2と交差しない。この場合、照明光IL1と照明光IL2は、第1出射側面71aに到達する。第1出射側面71aは平面である。よって、照明光IL1と照明光IL2は、出射側光学面71で屈折されず、中心軸5と平行に進行する。
内視鏡照明系80について、図7(b)を用いて説明する。内視鏡照明系80は、本実施形態の内視鏡照明系の第4例である。
出射側光学面81は、第1出射側面81aと、第2出射側面81bと、を有する。第1出射側面81aは、平面である。第2出射側面81bは、曲面である。
第2出射側面81bは、第1出射側面81aに比べて、中心軸5から遠くに位置している。直線82は、中心軸5と平行で、且つ第1出射側面81aと第2出射側面81の境界を通過する直線である。
内視鏡照明系80では、直線82が出射面2と交差する。この場合、照明光IL1と照明光IL2は、第2出射側面81bに到達する。第2出射側面81bは曲面である。よって、照明光IL1と照明光IL2は、出射側光学面81で屈折されて、中心軸5と交差するように進行する。
照明光IL1の屈折と照明光IL2の屈折は、第2出射側面81bだけで生じる。この場合、従来の内視鏡照明系と比べると、照明光IL1の屈折と照明光IL2は大きく屈折されない。そのため、照明光IL1と照明光IL2は、観察範囲の外側に照射されない。その結果、照明効率の低下を防止することができる。
上述のように、第2出射側面81bは、第1出射側面81aに比べて、中心軸5から遠くに位置する。中心軸5上に観察範囲の中心が位置する場合、照明光IL1と照明光IL2は、観察範囲の中心付近に到達する。よって、観察範囲の中心付近を明るく照明することができる。
図8は、内視鏡照明系と配光を示す図である。図8(a)は、第5例の内視鏡照明系を示す図である。図8(b)は、従来の内視鏡照明系を示す図である。図8(c)は、照明光の配光を示すグラフである。図4(a)、(b)と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
出射面からは様々な方向に照明光が出射するが、図8(a)と図8(b)では、中心軸と平行に出射した照明光だけが図示されている。
内視鏡照明系90について、図8(a)を用いて説明する。内視鏡照明系90は、本実施形態の内視鏡照明系の第5例である。
出射面2から、照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3が出射する。照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3は、入射側光学面7に入射する。
入射側光学面7は、内側配光面7aと、外側配光面7bと、を有する。内側配光面7aには、照明光IL3が入射する。外側配光面7bには、照明光IL1と照明光IL2が入射する。
照明光IL3は内側配光面7aで屈折されて、収束する。照明光IL1と照明光IL2は外側配光面7bで屈折される。照明光IL1は中心軸5から離れるように進行し、照明光IL2は中心軸ほぼ平行に進行する。
入射側光学面7と出射側光学面91の間は、例えば、屈折率が1よりも大きい透明媒質で満たされている。照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3は透明媒質内を進行し、出射側光学面91に到達する。
出射側光学面91は、第1出射側面91aと、第2出射側面91bと、を有する。第1出射側面91aは平面で、第2出射側面91bは曲面である。第2出射側面91bは、第1出射側面91aに比べて、中心軸5から遠くに位置している。
内視鏡照明系90では、直線92が出射面2と交差する。この場合、直線92が出射面2と交差しない場合に比べて、第2出射側面91bは中心軸5の近くに位置する。そのため、照明光IL1と照明光IL2は第2出射側面91bに入射し、照明光IL3は第1出射側面91aに入射する。
照明光IL1は、第2出射側面91bで屈折され、中心軸5から離れるように進行する。照明光IL2は、第2出射側面91bで屈折され、中心軸ほぼ平行に進行する。照明光IL3は、収斂した後、発散する。
また、第2出射側面91bが球面の場合、曲率中心が外側配光面7bに近づく。曲率中心が外側配光面7bに近づくと、照明光IL1では、第2出射側面91bに対する入射角が小さくなる。この場合、第2出射側面91bにおける照明光IL1の屈折が小さくなるので、照明光IL1は観察範囲の外側に照射されない。その結果、照明効率の低下を防止することができる。
内視鏡照明系100について、図8(b)を用いて説明する。内視鏡照明系100は、従来の内視鏡照明系である。内視鏡照明系100は、出射面2と、入射側光学面41と、出射側光学面101と、を有する。
出射面2から、照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3が出射する。入射側光学面41は、出射面2と対向している。照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3は、入射側光学面41に入射する。
入射側光学面41と出射側光学面101の間は、例えば、屈折率が1よりも大きい透明媒質で満たされている。照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3は透明媒質内を進行し、出射側光学面101に到達する。
出射側光学面101は、第1出射側面101aと、第2出射側面101bと、を有する。第1出射側面101aは平面で、第2出射側面101bは曲面である。第2出射側面101bは、第1出射側面101aに比べて、中心軸5から遠くに位置している。
内視鏡照明系100では、直線102が出射面2と交差する。この場合、直線102が出射面2と交差しない場合に比べて、第2出射側面101bは中心軸5の近くに位置する。しかしながら、照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3は、第2出射側面101bに入射しない。
照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3は、第1出射側面101aに入射する。すなわち、照明光IL1、照明光IL2、及び照明光IL3は、平面に入射する。そのため、照明光IL1は、第1出射側面101aで全反射によって反射される。照明光IL2は、第1出射側面101aで更に屈折され、中心軸5と交差するように進行する。照明光IL3は、収斂した後、発散する。
内視鏡照明系100では、照明光IL1は、入射側光学面41で屈折された後、出射側光学面101で反射される。そのため、照明光IL1は、出射側光学面101から出射しない。照明光IL2は、入射側光学面41と出射側光学面101の両方で屈折されて、中心軸5と交差するように進行する。そのため、照明光IL2は、出射側光学面91から出射する。ただし、入射側光学面41における屈折が大きいので、照明光IL2は、観察範囲の外側に照射される。その結果、照明効率が低下する。
これに対して、内視鏡照明系90では、照明光IL1と照明光IL2は、入射側光学面7と出射側光学面91の両方で屈折される。ただし、照明光IL1は、内視鏡照明系100のように大きく屈折されない。照明光IL2は、中心軸5とほぼ平行に進行する。そのため、照明光IL1と照明光IL2は、出射側光学面91から出射する。更に、照明光IL1と照明光IL2は、観察範囲の外側に照射されない。その結果、照明効率の低下を防止することができる。
図8(c)では、内視鏡照明系90における照明光の配光が実線で示され、内視鏡照明系100における照明光の配光が破線で示されている。図8(c)は、中心軸5を挟んで内視鏡照明系を対称に配置したときの配光を示している。横軸は角度で、縦軸は強度である。
強度がゼロになる角度は、内視鏡照明系90ではほぼ70°である。これに対して、内視鏡照明系100では、強度がゼロになる角度は70°よりも大きい。図8(c)は、内視鏡照明系90における照明範囲が内視鏡照明系100における照明範囲よりも狭いことを示している。
照明範囲よりも狭いと、観察範囲の外側に照射に照射される照明光も少ない。よって、内視鏡照明系90では、内視鏡照明系100に比べて、観察範囲を効率良く照明することができる。
また、上述のように、外側配光面7bは、内側配光面7aに比べて、中心軸5から遠くに位置する。中心軸5上に観察範囲の中心が位置する場合、照明光IL1と照明光IL2は、観察範囲の周辺に到達する。よって、観察範囲の周辺を明るく照明することができる。
本実施形態の内視鏡照明系は、以下の条件式(1)を満足することが好ましい。
8≦d1/d2≦32 (1)
ここで、
d1は、内側配光面の幅、
d2は、外側配光面の幅、
である。
図9は、パラメータを示す図である。図9には、挿入部の中心軸を含む断面図が示されている。図9(a)は、第1例の内側配光面を示す図である。図9(b)は、第2例の内側配光面を示す図である。図9(c)は、第3例の内側配光面を示す図である。図1(a)及び図5と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
d1は、内側配光面の幅である。d2は、外側配光面の幅である。d1とd2は、挿入部の中心軸を含む断面における幅である。
第1例の内側配光面について、図9(a)を用いて説明する。第1例の内側配光面では内側配光面3aは、外側配光面3bと面S1に接している。内側配光面3aは、曲面である。外側配光面3bと面S1は、平面である。この場合、内側配光面3aと外側配光面3bとの境界B1と、内側配光面3aと平面S1との境界B2は、明確である。よって、第1例の内側配光面では、d1を境界B1と境界B2から求めることができる。
第2例の内側配光面について、図9(b)を用いて説明する。第2例の内側配光面では、内側配光面3aは、外側配光面3bと面S2に接している。
内側配光面3aは曲面である。外側配光面3bは平面なので、内側配光面3aと外側配光面3bとの境界B1は明確である。面S2は内側配光面3aと同じ曲面なので、内側配光面3aと平面S2との境界は明確でない。よって、第2例の内側配光面では、d1を境界から求めることができない。そこで、第2例の内側配光面では、d1を境界B1と位置P1、又は境界B1と位置P2から求める。
境界B1と位置P1を用いる場合、d1は、境界B1と位置P1との間隔Δ1で表される。位置P1は、内側配光面3aと直線SLとの交点である。直線SLは、出射面2の端を通り、中心軸と平行な直線である。
境界B1と位置P2を用いる場合、d1は、境界B1と位置P2との間隔Δ2で表される。位置P2は、内側配光面3aと所定の照明光との交点である。所定の照明光は、観察範囲に到達する照明光のうち、位置P1から最も離れた位置を通過する照明光である。
第3例の内側配光面について、図9(c)を用いて説明する。第3例の内側配光面では、内側配光面51aは、外側配光面51bと面S3に接している。
内側配光面51aは、第1内側面51a1と、第2内側面51a2と、を有する。第1内側面51a1は、外側配光面51bに接している。第2内側面51a2は、面S3に接している。
第1内側面51a1は曲面である。外側配光面3bは平面なので、第1内側面51a1と外側配光面51bとの境界B1は明確である。第2内側面51a2は平面である。面S3は第2内側面51a2と同じ平面なので、第2内側面51a2と平面S3との境界は明確でない。よって、第3例の内側配光面では、d1を境界から求めることができない。そこで、第3例の内側配光面では、d1を境界B1と位置P3、又は境界B1と位置P4から求める。
境界B1と位置P3を用いる場合、d1は、境界B1と位置P3との間隔Δ3で表される。境界B1と位置P4を用いる場合、d1は、境界B1と位置P4との間隔Δ4で表される。位置P3は、内側配光面51aと直線SLとの交点である。位置P4は、内側配光面51aと所定の照明光との交点である。
第1例では、境界B2を、内側配光面3aと所定の照明光との交点と見なすことができる。或いは、境界B2を、内側配光面3aと所定の照明光との交点よりも中心軸側に位置させても良い。
条件式(1)を満足することで、広い配光を確保しつつ、照明効率の低下を防止することができる。
条件式(1)の下限を下回る場合、外側配光面が大きくなり過ぎる。この場合、相対的に、内側配光面が狭くなる。内側配光面では、照明光は収斂した後、発散する。内側配光面が狭くなると、照明光の発散が小さくなる。その結果、配光が狭くなる。
条件式(1)の上限を上回る場合、外側配光面が狭くなり過ぎる。そのため、観察範囲の外側に照射される照明光が多くなる。その結果、照明効率が低下する。
図10は、内視鏡照明系と配光を示す図である。図10(a)は、第6例の内視鏡照明系を示す図である。図10(b)は、従来の内視鏡照明系を示す図である。図10(c)は、照明光の配光を示すグラフである。
出射面からは様々な方向に照明光が出射するが、図10(a)と図10(b)では、中心軸と平行に出射した照明光だけが図示されている。
内視鏡照明系110について、図10(a)を用いて説明する。内視鏡照明系110は、本実施形態の内視鏡照明系の第6例である。
内視鏡照明系110は、出射面2と、入射側光学面111と、出射側光学面112と、を有する。内視鏡照明系110では、出射面2から照明光が出射する。
照明光は、入射側光学面111に入射する。入射側光学面111は、内側配光面111aと、外側配光面111bと、を有する。外側配光面111bは、内側配光面111aに比べて、中心軸5から遠くに位置している。
内側配光面111aは、第1内側面を有する。第1内側面は、出射面2に向かって凸形状の曲面である。図10(a)では、内側配光面111aは、出射面2に向かって凸形状の曲面だけで形成されている。よって、内側配光面111aは、第1内側面だけで形成されている。
本実施形態の内視鏡照明系では、外側配光面は、平面または出射面に向かって凹形状の曲面である。内視鏡照明系110では、外側配光面111bは平面である。
照明光IL1は、外側配光面111bと出射側光学面112を通過する。外側配光面111bと出射側光学面112では、照明光IL1は平面に入射する。よって、照明光IL1は、中心軸5と平行に進行する。
内視鏡照明系110では、d1/d2の値は20.4である。よって、第6例の内視鏡照明系は条件式(1)を満足する。
内視鏡照明系120について、図10(b)を用いて説明する。内視鏡照明系120は、従来の内視鏡照明系である。内視鏡照明系120は、出射面2と、入射側光学面121と、出射側光学面122と、を有する。入射側光学面121は、出射面2に向かって凸形状の曲面のみで形成されている。
内視鏡照明系120では、照明光IL1は、出射側光学面122から出射する。ただし、入射側光学面121における屈折が大きいので、照明光IL1は、観察範囲の外側に照射される。その結果、照明効率が低下する。
これに対して、内視鏡照明系110では、照明光IL1は、入射側光学面111と出射側光学面112の両方で屈折されず、中心軸5と平行に進行する。そのため、照明光IL1は、観察範囲の外側に照射されない。その結果、照明効率の低下を防止することができる。
図10(c)では、内視鏡照明系110における照明光の配光が実線で示され、内視鏡照明系120における照明光の配光が破線で示されている。図10(c)は、中心軸5を挟んで内視鏡照明系を対称に配置したときの配光を示している。横軸は角度で、縦軸は強度である。
内視鏡照明系110では、強度がゼロになる角度は80°よりも小さい。これに対して、内視鏡照明系120では、強度がゼロになる角度は約80°である。角度の大きさが照明範囲の広さを表しているとすると、図10(c)は、内視鏡照明系110における照明範囲が内視鏡照明系120における照明範囲よりも狭いことを示している。
照明範囲よりも狭いと、観察範囲の外側に照射に照射される照明光も少ない。よって、内視鏡照明系110では、内視鏡照明系120に比べて、観察範囲を効率良く照明することができる。
また、上述のように、外側配光面111bは、内側配光面111aに比べて、中心軸5から遠くに位置する。中心軸5上に観察範囲の中心が位置する場合、照明光IL1は、観察範囲の周辺に到達する。よって、観察範囲の周辺を明るく照明することができる。
図11は、内視鏡照明系と配光を示す図である。図11(a)は、第7例の内視鏡照明系を示す図である。図11(b)は、従来の内視鏡照明系を示す図である。図11(c)は、照明光の配光を示すグラフである。
出射面からは様々な方向に照明光が出射するが、図11(a)と図11(b)では、中心軸と平行に出射した照明光だけが図示されている。
内視鏡照明系130について、図11(a)を用いて説明する。内視鏡照明系130は、本実施形態の内視鏡照明系の第7例である。
内視鏡照明系130は、出射面2と、入射側光学面131と、出射側光学面132と、を有する。内視鏡照明系130では、出射面2から照明光が出射する。
照明光は、入射側光学面131に入射する。入射側光学面131は、内側配光面131aと、外側配光面131bと、を有する。外側配光面131bは、内側配光面131aに比べて、中心軸5から遠くに位置している。
内側配光面131aは、第1内側面を有する。第1内側面は、出射面2に向かって凸形状の曲面である。図11(a)では、内側配光面131aは、出射面2に向かって凸形状の曲面だけで形成されている。よって、内側配光面131aは、第1内側面だけで形成されている。
本実施形態の内視鏡照明系では、外側配光面は、平面または出射面に向かって凹形状の曲面である。内視鏡照明系130では、外側配光面131bは平面である。
照明光IL1と照明光IL2は、外側配光面131bと出射側光学面132を通過する。外側配光面131bと出射側光学面132では、照明光IL1と照明光IL2は平面に入射する。よって、照明光IL1と照明光IL2は、中心軸5と平行に進行する。
内視鏡照明系130では、d1/d2の値は16.9である。よって、第7例の内視鏡照明系は条件式(1)を満足する。
内視鏡照明系140について、図11(b)を用いて説明する。内視鏡照明系140は、従来の内視鏡照明系である。内視鏡照明系140は、出射面2と、入射側光学面141と、出射側光学面142と、を有する。入射側光学面141は、出射面2に向かって凸形状の曲面のみで形成されている。
内視鏡照明系140では、照明光IL1は、出射側光学面142から出射しない。照明光IL2は、出射側光学面142から出射する。ただし、入射側光学面141における屈折が大きいので、照明光IL2は、観察範囲の外側に照射される。その結果、照明効率が低下する。
これに対して、内視鏡照明系130では、照明光IL1と照明光IL2は、入射側光学面131と出射側光学面132の両方で屈折されず、中心軸5と平行に進行する。そのため、照明光IL1と照明光IL2は、観察範囲の外側に照射されない。その結果、照明効率の低下を防止することができる。
図11(c)では、内視鏡照明系130における照明光の配光が実線で示され、内視鏡照明系140における照明光の配光が破線で示されている。図11(c)は、中心軸5を挟んで内視鏡照明系を対称に配置したときの配光を示している。横軸は角度で、縦軸は強度である。
内視鏡照明系130では、強度がゼロになる角度は80°よりも小さい。これに対して、内視鏡照明系140では、強度がゼロになる角度は約80°である。角度の大きさが照明範囲の広さを表しているとすると、図11(c)は、内視鏡照明系130における照明範囲が内視鏡照明系140における照明範囲よりも狭いことを示している。
照明範囲よりも狭いと、観察範囲の外側に照射に照射される照明光も少ない。よって、内視鏡照明系130では、内視鏡照明系140に比べて、観察範囲を効率良く照明することができる。
また、上述のように、外側配光面131bは、内側配光面131aに比べて、中心軸5から遠くに位置する。中心軸5上に観察範囲の中心が位置する場合、照明光IL1と照明光IL2は、観察範囲の周辺に到達する。よって、観察範囲の周辺を明るく照明することができる。
各例の内視鏡照明系について、条件式(1)の対応値を以下に示す。各例の内視鏡照明系は、条件式(1)を満足している。
d1/d2
第1例 11.1
第2例 8.1
第3例 14.1
第5例 8
第6例 20.4
第7例 16.9
本実施形態の内視鏡照明系は、光透過部材を有し、光透過部材の内面は、入射側光学面を有し、光透過部材の外面は、出射側光学面を有することが好ましい。
図12は、本実施形態の内視鏡照明系を示す図である。図12には、本実施形態の内視鏡照明系の第8例が示されている。図1(a)と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
第8例の内視鏡照明系では、1つの光透過部材が用いられている。内視鏡照明系150は、光透過部材151を有する。光透過部材151は、内面152と、外面153と、を有する。
内面152は、入射側光学面3と、内周面154と、を有する。外面153は、出射側光学面4と、外周面155と、を有する。
光透過部材151は、先端カバーとして用いることができる。光透過部材151は、成型で製作することができる。外側配光面3bが存在しない場合、内側配光面3aが直接、内周面154と繋がる。この場合、成型では、結果として、内周面154と内側配光面3aの接続部分に平面が形成されることがある。
光透過部材151では、内側配光面3aと内周面154の間に、外側配光面3bが位置している。外側配光面3bは意図して形成された面であるので、結果として形成された面ではない。
本実施形態の内視鏡照明系は、第1光透過部材と、第2透過部材と、を有し、第1光透過部材は、出射面と第2光透過部材の間に位置し、第1光透過部材の内面は、入射側光学面を有し、第2光透過部材の外面は、出射側光学面を有することが好ましい。
図13は、本実施形態の内視鏡照明系を示す図である。図13には、本実施形態の内視鏡照明系の第9例が示されている。図1(a)と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
第9例の内視鏡照明系では、2つの光透過部材が用いられている。内視鏡照明系160は、第1光透過部材161と、第2光透過部材162と、を有する。第1光透過部材161は、出射面と第2光透過部材162との間に位置している。
第1光透過部材161は、内面163を有する。内面163は、入射側光学面3を有する。
第2光透過部材162は、外面164を有する。外面164は、出射側光学面4と、外周面165と、を有する。
第1光透過部材161は、第2光透過部材162に密着されている方が好ましい。図13では、見易さのために、第1光透過部材161と第2光透過部材162の間に隙間を設けている。
本実施形態の内視鏡照明系では、第1領域と第2領域は、中心軸を含む仮想平面で、挿入部を二分したときの領域であって、第1領域と第2領域の各々に、出射面、入射側光学面、及び出射側光学面が設けられていることが好ましい。
図14は、本実施形態の内視鏡照明系を示す図である。図14(a)は、挿入部の先端の正面図である。図14(b)は、切断線A-Aにおける挿入部の先端の断面図である。
内視鏡照明系170について説明する。内視鏡照明系170は、本実施形態の内視鏡照明系の第10例である。内視鏡照明系170は、挿入部171に配置されている。
挿入部171は、中心軸172を含む仮想平面で二つの領域に分けることができる。直線173は、仮想平面の位置を示している。二つの領域のうち、一方の領域を第1領域174とし、他方の領域を第2領域175とする。
内視鏡照明系170は、内視鏡照明系180と、内視鏡照明系190と、を有する。内視鏡照明系180は、第1領域174に位置する。内視鏡照明系190は、第2領域175に位置する。
内視鏡照明系180は、出射面181と、入射側光学面182と、出射側光学面183と、を有する。出射面181は、ライトガイド184の端面である。出射面181から出射した照明光は、入射側光学面182に入射する。
入射側光学面182は、内側配光面182aと、外側配光面182bと、を有する。外側配光面182bは、内側配光面182aに比べて、中心軸172から遠くに位置している。中心軸172は、挿入部171の中心軸である。
内側配光面182aは、第1内側面を有する。第1内側面は、出射面181に向かって凸形状の曲面である。図14(b)では、内側配光面182aは、出射面181に向かって凸形状の曲面だけで形成されている。よって、内側配光面182aは、第1内側面だけで形成されている。外側配光面182bは平面である。
内視鏡照明系190は、出射面191と、入射側光学面192と、出射側光学面193と、を有する。出射面191は、ライトガイド194の端面である。出射面191から出射した照明光は、入射側光学面192に入射する。
入射側光学面192は、内側配光面192aと、外側配光面192bと、を有する。外側配光面192bは、内側配光面192aに比べて、中心軸172から遠くに位置している。
内側配光面192aは、第1内側面を有する。第1内側面は、出射面191に向かって凸形状の曲面である。図14(b)では、内側配光面192aは、出射面191に向かって凸形状の曲面だけで形成されている。よって、内側配光面192aは、第1内側面だけで形成されている。外側配光面192bは平面である。
図14(a)では、出射面181の形状と出射面191の形状は、円環の一部である。出射面の形状は、円、楕円、多角形、又は櫛形(長方形の一辺が円弧になった形状)にすることができる。
本実施形態の内視鏡照明系では、出射面、入射側光学面、及び出射側光学面は、第1領域と第2領域で同一であることが好ましい。
内視鏡照明系170では、内視鏡照明系180は、内視鏡照明系190と同一である。出射面191の形状は、出射面181の形状と同一である。入射側光学面192の形状は、入射側光学面182の形状と同一である。出射側光学面193の形状は、出射側光学面183の形状と同一である。
本実施形態の内視鏡照明系では、入射側光学面は、第1領域と第2領域で異なることが好ましい。
図15は、本実施形態の内視鏡照明系を示す図である。図15(a)は、第11例の内視鏡照明系を示す図である。図15(b)は、第12例の内視鏡照明系を示す図である。図14(b)と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
内視鏡照明系200について、図15(a)を用いて説明する。内視鏡照明系200は、本実施形態の内視鏡照明系の第11例である。内視鏡照明系200は、挿入部171に配置されている。
内視鏡照明系200は、内視鏡照明系180と、内視鏡照明系210と、を有する。内視鏡照明系210は、第2領域175に位置する。
内視鏡照明系210は、出射面191と、入射側光学面211と、出射側光学面193と、を有する。出射面191から出射した照明光は、入射側光学面211に入射する。
入射側光学面211は、内側配光面211aと、外側配光面211bと、を有する。外側配光面211bは、内側配光面211aに比べて、中心軸172から遠くに位置している。
内側配光面211aは、第1内側面を有する。第1内側面は、出射面191に向かって凸形状の曲面である。図15(a)では、内側配光面211aは、出射面191に向かって凸形状の曲面だけで形成されている。よって、内側配光面211aは、第1内側面だけで形成されている。外側配光面211bは、出射面191に向かって凹形状の曲面である。
内視鏡照明系200では、内視鏡照明系180と内視鏡照明系210は同一ではない。入射側光学面211の形状は、入射側光学182の形状と異なる。内視鏡照明系180では外側配光面182bが平面であるのに対して、内視鏡照明系210では外側配光面211bが曲面である。
内視鏡照明系220について、図15(b)を用いて説明する。内視鏡照明系220は、本実施形態の内視鏡照明系の第12例である。内視鏡照明系220は、挿入部171に配置されている。
内視鏡照明系220は、内視鏡照明系180と、内視鏡照明系230と、を有する。内視鏡照明系230は、第2領域175に位置する。
内視鏡照明系230は、出射面191と、入射側光学面231と、出射側光学面193と、を有する。出射面191から出射した照明光は、入射側光学面231に入射する。
入射側光学面231は、内側配光面231aと、外側配光面231bと、を有する。外側配光面231bは、内側配光面231aに比べて、中心軸172から遠くに位置している。
内側配光面231aは、第1内側面231a1と、第2内側面231a2と、を有する。第1内側面231a1は、出射面191に向かって凸形状の曲面である。第2内側面231a2は、平面である。外側配光面231bは、平面である。
内視鏡照明系220では、内視鏡照明系180と内視鏡照明系230は同一ではない。入射側光学面231の形状は、入射側光学面182の形状と異なる。内視鏡照明系180では内側配光面182bが曲面だけで形成されているのに対して、内視鏡照明系230では内側配光面231aは平面と曲面で形成されている。
図16は、本実施形態の内視鏡照明系を示す図である。図16は、第13例の内視鏡照明系を示す図である。図15(b)と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
内視鏡照明系240について、図16を用いて説明する。内視鏡照明系240は、本実施形態の内視鏡照明系の第13例である。内視鏡照明系240は、挿入部171に配置されている。
内視鏡照明系240は、内視鏡照明系230と、内視鏡照明系250と、を有する。内視鏡照明系250は、第1領域174に位置する。
内視鏡照明系250は、出射面181と、入射側光学面251と、出射側光学面183と、を有する。出射面181から出射した照明光は、入射側光学面251に入射する。
入射側光学面251は、内側配光面251aと、外側配光面251bと、を有する。外側配光面251bは、内側配光面251aに比べて、中心軸172から遠くに位置している。
内側配光面251aは、第1内側面251a1と、第2内側面251a2と、を有する。第1内側面251a1は、出射面181に向かって凸形状の曲面である。第2内側面251a2は、平面である。外側配光面251bは、平面である。
内視鏡照明系240では、内視鏡照明系230と内視鏡照明系250は同一ではない。第1内側面251a1の幅は、第1内側面231a1の幅と異なる。第2内側面251a2の幅は、第2内側面231a2と幅が異なる。
図17は、本実施形態の内視鏡照明系を示す図である。図17(a)は、第14例の内視鏡照明系を示す図である。図17(b)は、第15例の内視鏡照明系を示す図である。
内視鏡照明系270について、図17(a)を用いて説明する。内視鏡照明系270は、本実施形態の内視鏡照明系の第14例である。内視鏡照明系270は、出射面271と、出射面272と、出射面273と、を有する。
出射面271と対向する位置、出射面272と対向する位置、及び出射面273と対向する位置に、入射側光学面と出射側光学面が設けられている。
内視鏡照明系270では、3つの出射面が用いられている。よって、入射側光学面の数と出射側光学面の数も3である。1つの出射面は、他の出射面と同一であっても、異なっていても良い。1つの入射側光学面は、他の入射側光学面と同一であっても、異なっていても良い。
内視鏡照明系280について、図17(b)を用いて説明する。内視鏡照明系280は、本実施形態の内視鏡照明系の第15例である。内視鏡照明系280は、出射面281と、出射面282と、出射面283と、出射面284と、を有する。
出射面281と対向する位置、出射面282と対向する位置、出射面283と対向する位置、及び出射面284と対向する位置に、入射側光学面と出射側光学面が設けられている。
内視鏡照明系280では、4つの出射面が用いられている。よって、入射側光学面の数と出射側光学面の数も4である。1つの出射面は、他の出射面と同一であっても、異なっても良い。1つの入射側光学面は、他の入射側光学面と同一であっても、異なっても良い。
挿入部の中央には、円筒形の空間285が形成されている。空間285には、例えば、対物光学系を配置することができる。第15例の内視鏡照明系では、空間285の中心軸は、挿入部の中心軸と一致している。よって、第15例の内視鏡照明系では、空間285に対物光学系を配置した場合、対物光学系は挿入部の中心に対して偏心しない。
本実施形態の内視鏡照明系では、出射面は、第1領域と第2領域で異なることが好ましい。
図18と図19は、本実施形態の内視鏡照明系と配光を示す図である。図18(a)と図19(a)は、第16例の内視鏡照明系を示す図である。図18(b)と図19(b)は、照明光の配光を示すグラフである。図14(b)と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
第16例の内視鏡照明系は、図17(b)に示す内視鏡照明系280と同じように、4つの内視鏡照明系を有する。上述のように、内視鏡照明系280では、空間285の中心軸は挿入部の中心軸と一致している。これに対して、第16例の内視鏡照明系では、円筒形の空間の中心軸は挿入部の中心軸に対して偏心している。
内視鏡照明系280において、内視鏡照明系283から内視鏡照明系281に向かう方向を第1の方向とし、内視鏡照明系282から内視鏡照明系284に向かう方向を第2の方向とする。第16例の内視鏡照明系では、円筒形の空間は第1の方向に偏心しているが、第2の方向には偏心していない。
第16例の内視鏡照明系では、第1の方向に内視鏡照明系290が配置され、第2の方向に、内視鏡照明系320が配置されている。
内視鏡照明系290について、図18(a)を用いて説明する。内視鏡照明系290は、挿入部171に配置されている。内視鏡照明系290は、内視鏡照明系300と、内視鏡照明系190と、を有する。内視鏡照明系300は、第1領域174に位置する。
内視鏡照明系300は、出射面301と、入射側光学面302と、出射側光学面183と、を有する。出射面301は、ライトガイド303の端面である。出射面301から出射した照明光は、入射側光学面302に入射する。
入射側光学面302は、内側配光面302aと、外側配光面302bと、を有する。外側配光面302bは、内側配光面302aに比べて、中心軸172から遠くに位置している。
内側配光面302aは、第1内側面を有する。第1内側面は、出射面301に向かって凸形状の曲面である。図18(a)では、内側配光面302aは、出射面301に向かって凸形状の曲面だけで形成されている。よって、内側配光面302aは、第1内側面だけで形成されている。外側配光面302bは平面である。
第1の方向では、円筒形の空間310の中心軸は中心軸172に対して偏心している。空間310の半分以上が、第1領域174に位置している。この場合、内視鏡照明系を配置することができる範囲は、第2領域175に比べて第1領域174の方が狭い。
そのため、内視鏡照明系290では、内視鏡照明系300と内視鏡照明系190は同一ではない。出射面301の幅は、出射面191の幅と異なる。出射面301の幅の方が、出射面191の幅よりも狭い。入射側光学面302の形状は、入射側光学面192の形状と異なる。入射側光学面302の幅の方が、入射側光学面192の幅よりも狭い。
図18(b)では、内視鏡照明系290における照明光の配光が実線で示され、従来の内視鏡照明系(不図示)における照明光の配光が破線で示されている。横軸は角度で、縦軸は強度である。
内視鏡照明系290では、強度がゼロになる角度は80°よりも小さい。これに対して、従来の内視鏡照明系では、強度がゼロになる角度は約80°である。角度の大きさが照明範囲の広さを表しているとすると、図18(b)は、内視鏡照明系290における照明範囲が従来の内視鏡照明系における照明範囲よりも狭いことを示している。
照明範囲よりも狭いと、観察範囲の外側に照射に照射される照明光も少ない。よって、内視鏡照明系290では、従来の内視鏡照明系に比べて、観察範囲を効率良く照明することができる。
内視鏡照明系320について、図19(a)を用いて説明する。内視鏡照明系320は、挿入部171に配置されている。内視鏡照明系320は、内視鏡照明系330と、内視鏡照明系340と、を有する。内視鏡照明系330は、第3領域174’に位置する。内視鏡照明系340は、第4領域175’に位置する。
第3領域と第4領域は、別の仮想平面で挿入部を二分したときの領域である。別の仮想平面は、図14(a)に示す直線173と直交する直線を含む面である。
内視鏡照明系330は、出射面331と、入射側光学面332と、出射側光学面183と、を有する。出射面331は、ライトガイド333の端面である。出射面331から出射した照明光は、入射側光学面332に入射する。
入射側光学面332は、内側配光面332aと、外側配光面332bと、を有する。外側配光面332bは、内側配光面332aに比べて、中心軸172から遠くに位置している。
内側配光面332aは、第1内側面を有する。第1内側面は、出射面331に向かって凸形状の曲面である。図19(a)では、内側配光面332aは、出射面331に向かって凸形状の曲面だけで形成されている。よって、内側配光面332aは、第1内側面だけで形成されている。外側配光面332bは平面である。
内視鏡照明系340は、出射面341と、入射側光学面342と、出射側光学面193と、を有する。出射面341は、ライトガイド343の端面である。出射面341から出射した照明光は、入射側光学面342に入射する。
入射側光学面342は、内側配光面342aと、外側配光面342bと、を有する。外側配光面342bは、内側配光面342aに比べて、中心軸172から遠くに位置している。
内側配光面342aは、第1内側面を有する。第1内側面は、出射面341に向かって凸形状の曲面である。図19(a)では、内側配光面342aは、出射面341に向かって凸形状の曲面だけで形成されている。よって、内側配光面342aは、第1内側面だけで形成されている。外側配光面342bは平面である。
第2の方向では、円筒形の空間310の中心軸は中心軸172に対して偏心していない。空間310の半分は第1領域174’に位置し、残りの半分は第2領域175’に位置している。この場合、内視鏡照明系を配置することができる範囲は、第1領域174’と第2領域175’とで同じになる。
そのため、内視鏡照明系320では、内視鏡照明系330は、内視鏡照明系340と同一である。出射面341の形状は、出射面331の形状と同一である。入射側光学面342の形状は、入射側光学面332の形状と同一である。出射側光学面193の形状は、出射側光学面183の形状と同一である。
図19(b)では、内視鏡照明系320における照明光の配光が実線で示され、従来の内視鏡照明系(不図示)における照明光の配光が破線で示されている。横軸は角度で、縦軸は強度である。
内視鏡照明系320では、強度がゼロになる角度は80°よりも小さい。これに対して、従来の内視鏡照明系では、強度がゼロになる角度は約80°である。角度の大きさが照明範囲の広さを表しているとすると、図19(b)は、内視鏡照明系320における照明範囲が従来の内視鏡照明系における照明範囲よりも狭いことを示している。
照明範囲よりも狭いと、観察範囲の外側に照射に照射される照明光も少ない。よって、内視鏡照明系320では、従来の内視鏡照明系に比べて、観察範囲を効率良く照明することができる。
本実施形態の内視鏡照明系は、第1領域と第2領域だけでなく、第3領域と第4領域の各々に、出射面、入射側光学面、及び出射側光学面が設けられている。第3領域と第4領域は、仮想平面と直交する仮想平面で、挿入部を二分したときの領域である。第2領域における入射側光学面は、第1領域における入射側光学面よりも大きく、且つ以下の条件式(2)を満足し、第3領域における入射側光学面は、第4領域における入射側光学面と同じであり、且つ以下の条件式(3)を満足する。
8≦din2/dout2≦32 (2)
8≦din3/dout3≦26 (3)
ここで、
din2は、第2領域における内側配光面の幅、
dout2は、第2領域における外側配光面の幅、
din3は、第3領域における内側配光面の幅、
dout3は、第3領域における外側配光面の幅、
である。
上述のように、第16例の内視鏡照明系では、第2領域175における入射側光学面192は、第1領域174における入射側光学面302よりも大きい。第3領域174’における入射側光学面332は、第4領域175’における入射側光学面332と同じである。
第16例の内視鏡照明系について、条件式(2)の対応値と条件式(3)の対応値を以下に示す。参考として、第1領域と第4領域についても、内側配光面の幅(din1、din4)と外側配光面の幅(dout1、dout4)との比の値を示す。
第1領域 din1/dout1 17.5
第2領域 din2/dout2 31.5
第3領域 din3/dout3 25.1
第4領域 din4/dout4 25.1
第16例の内視鏡照明系は、条件式(2)と条件式(3)を満足している。条件式(2)と条件式(3)を満足することで、広い配光を確保しつつ、照明効率の低下を防止することができる。
円筒形の空間310には、例えば、対物光学系を配置することができる。第1の方向では、円筒形の空間310の中心軸は中心軸172に対して偏心している。そのため、空間310に対物光学系を配置した場合、対物光学系は挿入部の中心に対して偏心する。しかしながら、条件式(2)と条件式(3)を満足しているので、広い配光を確保しつつ、照明効率の低下を防止することができる。
本実施形態の内視鏡は、本実施形態の内視鏡照明系と、対物光学系と、を有し、内視鏡照明系は、対物光学系に比べて、中心軸から遠くに位置する。
図20は、内視鏡システムを示す図である。図20では、内視鏡の構成を説明するために、内視鏡の部分のみが大きく描かれている。
内視鏡システム350は、内視鏡360と、画像処理装置370と、を有する。内視鏡360は、スコープ部360aと、接続コード部360bと、を有する。画像処理装置370には、表示ユニット380が接続されている。
スコープ部360aは、操作部390と挿入部391に大別される。挿入部391は、細長で患者の体腔内へ挿入可能になっている。また、挿入部391は、可撓性を有する部材で構成されている。観察者は、操作部390に設けられているアングルノブ等により、諸操作を行うことができる。
また、操作部390からは、接続コード部360bが延設されている。接続コード部360bは、ユニバーサルコード400を備えている。ユニバーサルコード400は、コネクタ410を介して画像処理装置370に接続されている。
ユニバーサルコード400は、各種の信号等の送受信に用いられる。各種の信号としては、電源電圧信号及びCCD駆動信号等がある。これらの信号は、電源装置やビデオプロセッサからスコープ部360aに送信される。また、各種の信号として映像信号がある。この信号は、スコープ部360aからビデオプロセッサに送信される。
なお、画像処理装置370内のビデオプロセッサには、図示しないビデオプリンタ等の周辺機器が接続可能である。ビデオプロセッサは、スコープ部360aからの映像信号に対して信号処理を施す。映像信号に基づいて、表示ユニット380の表示画面上に内視鏡画像が表示される。
図21は、挿入部の先端の断面図である。図14(a)、図14(b)と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
挿入部391の先端には、内視鏡照明系170と対物光学系420が配置されている。内視鏡照明系170は、対物光学系420に比べて、中心軸172から遠くに位置する。
対物光学系420によって、物体の像が形成される。物体の像は、撮像素子430によって撮像される。その結果、物体の画像を取得することができる。
図21では、対物光学系420は、中心軸172に対して偏心していない。よって、対物光学系420の光軸は、中心軸172と一致している。しかしながら、対物光学系420は、中心軸172に対して偏心していても良い。
本実施形態の内視鏡照明系は、挿入部に配置された内視鏡照明系であって、照明光が出射する出射面と、照明光が入射する入射側光学面と、照明光が出射する出射側光学面と、を有する。入射側光学面は、挿入部の中心軸に近い方から順に、第1の平面と、第1の平面に連なる第1の曲面と、第1の曲面に連なる第2の平面と、を有する。出射側光学面は、挿入部の中心軸に近い方から順に、第3の平面と、第3の平面に連なる第2の曲面と、を有する。第1の曲面は、出射面側に凸形状の面であり、第2の曲面は、外側に凸形状の面である。
図22は、本実施形態の内視鏡照明系を示す図である。図22は、第17例の内視鏡照明系を示す図である。図5と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
内視鏡照明系500は、第17例の内視鏡照明系である。内視鏡照明系500は、出射面2と、入射側光学面51と、出射側光学面510と、を有する。
第2内側面51a2を第1の平面とし、第1内側面51a1を第1の曲面とし、外側配光面51bを第2の平面とする。この場合、入射側光学面51は、挿入部の中心軸5に近い方から順に、第1の平面と、第1の平面に連なる第1の曲面と、第1の曲面に連なる第2の平面と、を有する。第1の曲面は、出射面2側に凸形状の面である。
出射側光学面510は、第1出射側面510aと、第2出射側面510bと、を有する。第1出射側面510aは、平面である。第2出射側面510bは、曲面である。
第1出射側面510aを第3の平面とし、第2出射側面510bを第2の曲面とする。この場合、出射側光字面510は、挿入部の中心軸5に近い方から順に、第3の平面と、第3の平面に連なる第2の曲面と、を有する。第2の曲面は、外側に凸形状の面である。
本実施形態の内視鏡照明系では、中心軸と平行で、且つ第1の曲面と第2の平面の境界を通過する直線が、第2の曲面と交差することが好ましい。
図22には、直線520が示されている。直線520は、中心軸と平行で、第1の曲面と第2の平面の境界を通過する直線である。内視鏡照明系500では、直線520が、第2出射側面510b、すなわち第2の曲面と交差する。
本実施形態の内視鏡照明系では、第1の曲面と第3平面を通過する光線の割合は、出射面から出射した光線全体の70%以上であることが好ましい。
出射面から出射した光線は、入射側光学面と出射側光学面を通過する。上述のように、入射側光学面は、第1の平面と、第1の曲面と、第2の平面と、を有する。出射側光字面は、第3の平面と、第2の曲面と、を有する。よって、出射面から垂直に出射する光線は、第1の光線群、第2の光線群、第3の光線群及び第4の光線群に分けることができる。
第1の光線群は、第1の平面と第3の平面を通過する光線で形成されている。第2の光線群は、第1の曲面と第3の平面を通過する光線で形成されている。第3の光線群は、第1の曲面と第2の曲面を通過する光線で形成されている。第4の光線群は、第2の平面と第2の曲面を通過する光線で形成されている。
曲面は、製造誤差の影響を受けやすい。そのため、第1の曲面と第2の曲面では、相対的な位置や面同士のなす角度はばらつきやすい。第3の光線群は、第1の曲面と第2の曲面を通過する光線で形成されている。第3の光線群が多いほど、製造誤差の影響で配光のばらつきが大きくなってしまう。
広い配光を実現するためには、第1の曲面は必要である。そこで、第3の平面を通過するになる光線を多くすることで、第2の曲面を通過する光線をすくなくすることができる。第2の光線群は、第1の曲面と第3の平面を通過する光線で形成されている。そこで、第2の光線群の割合を第1の曲面を通る光線全体の70%以上にすることで、製造誤差の影響を受けにくい照明設計を実現させることができる。
本実施形態の内視鏡照明系では、出射面は、第1領域に位置する第1出射面と、第2領域に位置する第2出射面と、を有し、以下の条件式(4)を満足することが好ましい。
120°≦α+β (4)
ここで、
αは、第1出射面を含む扇形の領域の中心角、
βは、第2出射面を含む扇形の領域の中心角、
扇形は、所定の円の2本の半径とその間にある円弧によって囲まれた図形、
所定の円は、中心軸と直交する仮想平面における中心軸を中心とする円、
である。
図23は、本実施形態の内視鏡照明系を示す図である。図23は、第18例の内視鏡照明系を示す図である。
内視鏡照明系600は、本実施形態の内視鏡照明系の第18例である。内視鏡照明系600では、出射面は、第1出射面601と、第2出射面602と、を有する。第1出射面601は第1領域603に位置し、第2出射面602は第2領域604に位置する。第1領域603と第2領域604は、中心軸605を含む仮想平面で分けられた二つの領域である。直線606は、仮想平面の位置を示している。
第1出射面601は、扇形の領域607に含まれている。第2出射面602は、扇形の領域608に含まれている。扇形の領域607と扇形の領域608は、所定の円の2本の半径とその間にある円弧によって囲まれた図形である。所定の円は、中心軸605と直交する仮想平面における中心軸605を中心とする円である。
内視鏡照明系600では、第1出射面601から出射した光は、第2領域604に向かって進行する。第2出射面602から出射した光は、第1領域603に向かって進行する。
第1出射面601が広くなると、第2領域604に向かって進行する光が多くなる。第2出射面602が広くなると、第1領域603に向かって進行する光が多くなる。その結果、前方の照明範囲を、広く且つ明るく照明することができる。
角度αは、扇形の領域607の中心角である。第1出射面601が広くなると、角度αが大きくなる。角度βは、扇形の領域608の中心角である。第2出射面602が広くなると、角度βが大きくなる。
条件式(4)を満足する場合、第1出射面601と第2出射面602を十分に広くすることができる。その結果、照明範囲を、広く且つ明るく照明することができる。図23では、α+β=220°である。
条件式(4)を満足しない場合、第1出射面601と第2出射面602を十分に広くすることができない。この場合、矢印で示す範囲が広くなる。矢印で示す範囲には、照明光が到達しないか、又は到達する照明光が少ない。そのため、照明範囲を、広く且つ明るく照明することができない。
条件式(4)に代えて、条件式(4’)を満足することが好ましい。
180°≦α+β (4’)
条件式(4’)を満足する場合、照明範囲を、より広く且つ明るく照明することができる。
空間609には、図21に示すように、対物光学系と撮像素子が配置されている。図23には、撮像素子の受光面610が図示されている。角度αと角度βが大きくなるほど、受光面610の対角方向に進行する光が多くなる。
上述のように、条件式(4)を満足する場合、前方の照明範囲を、広く且つ明るく照明することができる。よって、物体を良好に撮像することができる。
図23では、空間609は、中心軸605に対して偏心していない。しかしながら、図18(a)に示す内視鏡照明系290と同様に、空間609は、中心軸609に対して偏心していても良い。この場合も、条件式(4)を満足することで、前方の照明範囲を、広く且つ明るく照明することができる。よって、物体を良好に撮像することができる。
本実施形態の内視鏡照明系では、第2内側面の幅は、位置によって変化することが好ましい。
図24(a)、(b)は、本実施形態の内視鏡照明系を示す図である。図24は、第19例の内視鏡照明系を示す図である。図24(a)は、偏心方向の内視鏡照明系を示す図である。図24(b)は、非偏心方向の内視鏡照明系を示す図である。図16と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
内視鏡照明系700は、内視鏡照明系230と、内視鏡照明系250と、内視鏡照明系710と、内視鏡照明系720と、を有する。内視鏡照明系700では、対物光学系は挿入部の中心に対して偏心している。
上述のように、第1の方向は、図17(b)に示す内視鏡照明系280において、内視鏡照明系283から内視鏡照明系281に向かう方向である。第2の方向は、内視鏡照明系282から内視鏡照明系284に向かう方向である。第19例の内視鏡照明系では、円筒形の空間は第1の方向に偏心しているが、第2の方向には偏心していない。
内視鏡照明系710は、出射面711と、入射側光学面712と、出射側光学面193と、を有する。出射面711は、ライトガイド713の端面である。出射面711から出射した照明光は、入射側光学面712に入射する。
入射側光学面712は、内側配光面712aと、外側配光面712bと、を有する。外側配光面712bは、内側配光面712aに比べて、中心軸172から遠くに位置している。
内側配光面712aは、第1内側面712a1と、第2内側面712a2と、を有する。第1内側面712a1は、出射面711に向かって凸形状の曲面である。第2内側面712a2は、平面である。外側配光面712bは、平面である。
内視鏡照明系720は、出射面721と、入射側光学面722と、出射側光学面193と、を有する。出射面721は、ライトガイド723の端面である。出射面721から出射した照明光は、入射側光学面722に入射する。
入射側光学面722は、内側配光面722aと、外側配光面722bと、を有する。外側配光面722bは、内側配光面722aに比べて、中心軸172から遠くに位置している。
内側配光面722aは、第1内側面722a1と、第2内側面722a2と、を有する。第1内側面722a1は、出射面721に向かって凸形状の曲面である。第2内側面722a2は、平面である。外側配光面722bは、平面である。
第1の方向では、円筒形の空間310の中心軸は中心軸172に対して偏心している。空間310の半分以上が、内視鏡照明系710側に位置している。この場合、内視鏡照明系を配置することができる範囲は、内視鏡照明系720側に比べて内視鏡照明系710側の方が狭い。
そのため、内視鏡照明系700では、内視鏡照明系710と内視鏡照明系720は同一ではない。出射面711の幅は、出射面721の幅と異なる。出射面711の幅の方が、出射面721の幅よりも狭い。
入射側光学面712の形状は、入射側光学面722の形状と異なる。入射側光学面712の幅の方が、入射側光学面722の幅よりも狭い。第2内側面712a2の方が、第2内側面722a2の幅よりも狭い。
対物光学系が挿入部の中心に対して偏心している場合、配光の均一性を保つには、入射側光字面の曲面と出射側光字面の曲面の位置関係が、場所によらず常に同じになるようにすることが望ましい。入射側光字面の曲面と出射側光字面の曲面の位置関係を維持するには、第2内側面の幅を場所によって変えればよい。このようにすることで、配光ムラを低減することができる。
本実施形態の内視鏡照明系では、出射面は一つの面で形成されていても、複数の面で形成されていても良い。例えば、出射面の形状が円環の場合、出射面は一つの面で形成されている。出射面の形状が部分円環の場合、出射面は複数の面で形成されている。部分円環は、円環の一部を切り取ったときの形状である。
入射側光字面は一つの面で形成されていても、複数の面で形成されていても良い。例えば、入射側光字面の形状が円環の場合、出射面は一つの面で形成されている。入射側光字面の形状が部分円環の場合、出射面は複数の面で形成されている。