JP7316761B2 - カーボンナノチューブ線材およびその製造方法、ワイヤハーネス - Google Patents

カーボンナノチューブ線材およびその製造方法、ワイヤハーネス Download PDF

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Description

本発明は、カーボンナノチューブ線材およびその製造方法、ワイヤハーネスに関する。
カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と記載することがある。)は、様々な特性を有する素材であり、多くの分野への応用が期待されている。
CNTは、六角形格子の網目構造を有する筒状体の単層、または略同軸で配された多層で構成される3次元網目構造体であり、軽量であると共に電気伝導性、熱伝導性、機械的強度、電流密度等の諸特性に優れる。このため、CNTを線材化して使用することが要望され、電流に応じて線径を大きくしたカーボンナノチューブ素線や、複数のカーボンナノチューブ素線を有するカーボンナノチューブ線材の使用が求められている。
しかし、CNTは高い剛性を有するため素線や線材への加工が困難な場合があった。例えば、カーボンナノチューブ線材を製造する場合、カーボンナノチューブ素線間に隙間が生じないような高密度の線構造とすることが困難な場合があった。このようにカーボンナノチューブ素線間に隙間が存在すると該カーボンナノチューブ素線間の密着力が少ないため、カーボンナノチューブ線材に外力が負荷されるとカーボンナノチューブ素線がほぐれ易くなる場合があった。また、カーボンナノチューブ線材に電圧印加して電流を流した場合、カーボンナノチューブ素線間の隙間が電子の流れを妨げ、導電性の低下に至る場合があった。この結果、機械的強度が低く、導電性も低いカーボンナノチューブ線材となる場合があった。
特許文献1(特開2013-76198号公報)は、炭素繊維の表面に、複数のカーボンナノチューブが絡みついてカーボンナノチューブのネットワーク薄膜が形成された構造を有する、CNT/炭素繊維複合素材を開示する(請求項1)。特許文献1では、上記のような構成を有することにより、母材を炭素繊維表面に剥離しないように強固に接着した繊維強化成形品を得ることができる、としている。
特許文献2(特開2006-261084号公報)は、円形の断面形状を有する2本以上の絶縁被覆電線と1本以上の裸電線を備えたヒータ線を開示する(図1、3、5)。
特許文献3(特許第5819888号公報)は、乾式法により、CNTからなるフィブリルを凝集させて繊維性凝集体を形成する方法を開示する(請求項6)。
特許文献4(特許第5990202号公報)は、乾式法により、多層カーボンナノチューブを凝集させてファイバーの糸を形成する工程、多層カーボンナノチューブをドーパントでドープする工程を含む、カーボンナノチューブファイバーの製造方法を開示する(請求項15)。
特許文献5(特許第5350635号公報)は、乾式法により、CNTのファイバーを含む糸を製造する方法を開示する(請求項19)。
特許文献6(特許第5135620号公報)は、湿式法により、カーボンナノチューブを含む凝集紡糸構造体を製造する方法を開示する([0037]~[0040])。
特開2013-76198号公報 特開2006-261084号公報 特許第5819888号公報 特許第5990202号公報 特許第5350635号公報 特許第5135620号公報
しかし、特許文献1のCNT/炭素繊維複合素材では、カーボンナノチューブは単にネットワーク薄膜として使用されており、カーボンナノチューブ線材等に関するものではなかった。また、特許文献1のCNT/炭素繊維複合素材では、複数のカーボンナノチューブが絡みついているものの基本となる炭素繊維の導体自体は円形断面を有するため、上記のような機械的強度および導電性の低下に十分に対応できていなかった。
特許文献2のヒータ線を構成する電線は断面形状が円形であるため、電線間の接触率が小さく、電線に求められる特性を十分に満たさない場合があった。
CNT単体は剛性のある直線状分子であるが、CNT集合体は分子間力によって凝集している。そのためCNT集合体からなるCNT素線には、金属結合結晶からなる銅線のような剛性はなく、自重で垂れ下がってしまう。
また、特許文献3~5のような乾式法によりCNT素線を紡糸する場合には、炉や基板などからCNT素線を引き出す際、CNT単体間の凝集状態の制御は困難であった。特許文献6のような湿式法によりCNT素線を紡糸する場合、分散液からCNT素線を引き抜く際のCNT単体の凝集状態の制御は困難であった。このため、均一な径や真円の断面形状を有するCNT素線を作製することは困難であった。
したがって、従来の乾式法や湿式法で製造したCNT素線を撚りあわせる場合には、不均一な断面形状を有し、かつ剛性のないCNT素線を複数本、撚り合わせることとなり、真円の断面形状を有するCNT線材を作製することは困難であった。また、このようなCNT素線からなるCNT線材は巻取時に押しつぶされてしまい扁平形状となってしまう、といった問題も存在していた。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、優れた導電性および機械的強度を有するカーボンナノチューブ線材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の各実施態様を有する。
[1]複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ集合体からなるカーボンナノチューブ素線を複数、有するカーボンナノチューブ線材であって、
前記カーボンナノチューブ素線同士の接触率が5%以上である、カーボンナノチューブ線材。
[2]前記カーボンナノチューブ素線同士の接触率が10%以上である、上記[1]に記載のカーボンナノチューブ線材。
[3]前記接触率は15%以上である、上記[2]に記載のカーボンナノチューブ線材。
[4]前記カーボンナノチューブ素線の断面形状が多角形である、上記[1]から[3]までの何れか1つに記載のカーボンナノチューブ線材。
[5]上記[1]から[4]までの何れか1つに記載の前記カーボンナノチューブ線材を複数、有するワイヤハーネス。
[6]複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ集合体からなるカーボンナノチューブ素線を複数、形成する工程と、
複数の前記カーボンナノチューブ素線を有するカーボンナノチューブ線材を形成する工程と、
前記カーボンナノチューブ線材に応力を負荷することにより、前記カーボンナノチューブ素線同士の接触率を5%以上とする工程と、
を有する、カーボンナノチューブ線材の製造方法。
優れた導電性および機械的強度を有するカーボンナノチューブ線材およびその製造方法を提供することができる。
第一実施形態に係るカーボンナノチューブ線材の説明図である。 第一から第二実施形態に係るカーボンナノチューブ線材に用いるカーボンナノチューブ素線の模式図である。 第一から第二実施形態に係るカーボンナノチューブ線材の変形例の説明図である。 第三実施形態のカーボンナノチューブ素線の模式図である。 実施例における「ほぐれにくさ」の測定方法を表す概略図である。
1.カーボンナノチューブ線材
以下に、各実施形態に係るカーボンナノチューブ線材について、図面を用いながら説明する。
図1(a)は第一実施形態のカーボンナノチューブ線材1の斜視図、図1(b)はCNT線材1の断面図である。第一実施形態に係るCNT線材1は、複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ集合体からなるカーボンナノチューブ素線2を複数、有する。CNT素線2の断面形状は六角形であり、CNT素線2同士の接触率は5%以上となっている。接触率は、得られたCNT線材1の断面画像より画像解析ソフトを用いてCNT素線2の外周部に対する接触部の割合をカウントすることで判断する。なお、CNT素線2の断面形状が多角形であるかどうかは、得られたCNT線材1の断面画像に対して画像解析ソフトを用いてCNT素線2の外周部を座標データ化し直線近似によって直線部をカウントする方法によって判断する。なお、図1では複数のCNT素線2が撚りあわされて撚線導体3となっている。複数のCNT素線2は、該CNT素線2を撚りあわせた撚線導体の形態となっていても、撚りあわせていなくてもよい。図1ではCNT素線2の断面形状は六角形であるが、CNT素線同士の接触率が5%以上であればこれ以外の断面形状を有していてもよい。また、CNT線材1は、CNT素線2を被覆するようにCNT線材1の外周部を構成する絶縁被覆層4を有する。なお、絶縁被覆層4は必須の構成ではなく、場合によっては、CNT線材1は絶縁被覆層4を有していなくてもよい。第一実施形態におけるCNT素線の接触率は10%以上(10~100%)であることが好ましく、15%以上(15~100%)であることがより好ましい。
一般的にCNT素線は不均一な形状の断面を有し、低い接触率となり、撚りあわせた場合であってもCNT素線間には微細な空隙が存在し、CNT線材の機械的強度を低下させる一因となる。また、CNT素線間の空隙は導電率が低いため、CNT線材全体の導電性を低下させることとなる。これに対して第一実施形態のCNT線材1は、CNT素線2同士の接触率が5%以上であるため、隣り合うCNT素線2間の接触面積を大きくして、CNT素線間の空隙を小さくすることができる。従って、CNT線材1全体の機械的強度を向上させて、折れ曲がりにくくして、外力に対する耐久性を向上させることができる。また、CNT線材1全体の導電性を優れたものとすることができる。
第二実施形態のCNT線材は、複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ集合体からなるCNT素線の撚線導体を有する。すなわち、第二実施形態では、複数のCNT素線を撚りあわせることで撚線導体が形成されている。このCNT素線の接触率は5%以上(5~100%)である。第二実施形態ではCNT素線の接触率が5%以上であるため、隣り合うCNT素線間の接触面積を大きくして、CNT素線間の空隙を小さくすることができる。従って、CNT線材全体の導電性を優れたものとすることができる。第二実施形態におけるCNT素線の接触率は10%以上(10~100%)であることが好ましく、15%以上(15~100%)であることがより好ましい。また、CNT線材は、撚線導体を被覆するようにCNT線材の外周部を構成する絶縁被覆層を有していてもよい。
以下では、第一から第二実施形態に係るCNT線材を構成する各部について詳細に説明する。
(カーボンナノチューブ素線)
図2は、第一から第二実施形態に係るカーボンナノチューブ線材に用いるカーボンナノチューブ素線の模式図である。図2に示すように、CNT素線2は、1層以上の層構造を有する複数のCNT11a,11a,・・・で構成されるカーボンナノチューブ集合体(以下、「CNT集合体」と記載することがある。)11の単数から、または複数が束ねられて形成されている。ここで、CNT集合体およびCNT素線とは、CNTの割合が90質量%以上のものを意味する。なお、CNT素線におけるCNT割合の算定においては、メッキとドーパントは除く。図2では、CNT素線2は、CNT集合体11が、複数、束ねられた構成となっている。CNT素線2の円相当直径は、特に限定されないが、例えば、0.01mm以上4.0mm以下である。
CNT集合体11は、1層以上の層構造を有するCNT11aの束である。CNT11aの長手方向が、CNT集合体11の長手方向を形成している。CNT集合体11における複数のCNT11a,11a、・・・は、その長軸方向がほぼ揃って配されている。従って、CNT集合体11における複数のCNT11a,11a、・・・は、配向している。CNT集合体11の円相当直径は、例えば、20nm以上1000nm以下であり、より典型的には、20nm以上80nm以下である。CNT11aの最外層の幅寸法は、例えば、1.0nm以上5.0nm以下である。
CNT集合体11を構成するCNT11aは、単層構造又は複層構造を有する筒状体であり、それぞれ、SWNT(single-walled nanotube)、MWNT(multi-walled nanotube)と呼ばれる。図2では、便宜上、2層構造を有するCNT11aのみを記載しているが、CNT集合体11には、3層構造以上の層構造を有するCNTや単層構造の層構造を有するCNTも含まれていてもよく、3層構造以上の層構造を有するCNTまたは単層構造の層構造を有するCNTから形成されていてもよい。なお、後述する第三実施形態と同様に、第一から第二実施形態のCNT素線2を構成するCNT集合体11の断面形状は多角形であってもよい。
CNT集合体11の配向性及びCNT11aの配向性は、後述する、湿式紡糸、液晶紡糸等の紡糸方法と該紡糸方法の紡糸条件とを適宜選択することで調節することができる。
第一から第二実施形態において、CNT線材1におけるCNT素線2の断面形状は多角形であってもよい。この場合、第一から第二実施形態におけるCNT素線2の断面形状は多角形であれば特に限定されない。CNT素線2の断面形状としては例えば、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形、十角形、十二角形などを挙げることができる。多角形であれば、複数のCNT素線からCNT線材を作成した場合、圧力など外力をかけて成型すると、円形の断面形状を有するCNT素線とは異なり、CNT素線間に面接触が形成され、CNT素線間の接触面積が大きく増大する。また、CNT素線2の断面形状は、正多角形であっても、不規則な形状の多角形であってもよい。さらに、各々のCNT素線2の断面の大きさ・形状は異なっていてもよい。好ましくは、隣りあうCNT素線間の接触率を高くして高密度に充填できるため、各々のCNT素線2の断面形状は同じ大きさの正多角形であるのがよい。また、CNT線材1の断面で見た時に各々のCNT素線2は規則的に配置されていても、不規則に配置されていてもよい。好ましくは、隣りあうCNT素線間の接触率を高くできるため、各々のCNT素線2は規則的に配置されるのがよい。図3は、第一から第二実施形態のCNT線材1の断面図の例である。図3(a)、(b)、および(c)はそれぞれ、同じ大きさの正四角形、正八角形、および正十角形の断面形状を有するCNT素線2を規則的に配置したCNT線材1を表す図である。また、図3(d)は、同じ大きさの正四角形の断面形状を有するCNT素線2を不規則に配置したCNT線材1を表す図である。図3に示すように、第一から第二実施形態のCNT線材はその断面で見た時に、様々な多角形の断面形状を有するCNT素線を規則的または不規則に配置することができる。
(撚線導体)
また、第一実施形態では、各々のCNT素線2は撚りあわされて撚線導体3を構成することができる。第二実施形態では、各々のCNT素線2は撚りあわされて撚線導体3を構成する。各実施形態において撚線導体3を構成するCNT素線2の平均直径、本数、撚り方等は特に限定されず、CNT線材1の種類・径・用途などに応じて適宜、所望のものを選択することができる。また、場合によっては、撚線導体3は、CNT以外の材料からなる素線を有していてもよい。
(絶縁被覆層)
第一から第二実施形態において、CNT線材1が有していてもよい絶縁被覆層4は樹脂を含むことができる。樹脂の種類は特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の何れの材料も使用することができる。
熱可塑性樹脂としては例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミドイミド、ポリスチレン,ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体,ポリ乳酸樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルベンザール、ポリビニルブチラール、アイオノマー樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、ABS樹脂、フッ素樹脂などを挙げることができる。
熱硬化性樹脂としては例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、シリコーン樹脂等を挙げることができる。
2.カーボンナノチューブ素線
第三実施形態のカーボンナノチューブ素線は、複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ集合体の複数からなる。また、カーボンナノチューブ集合体の断面形状は多角形である。なお、CNT集合体の断面形状が多角形であるかどうかは前記CNT素線の場合と同様に、得られたCNT集合体の断面画像において直線部のカウントによって判断する。CNT素線におけるCNT集合体の断面形状は多角形であれば特に限定されない。CNT集合体の断面形状としては例えば、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形、十角形、十二角形などを挙げることができる。また、CNT集合体の断面形状は、正多角形であっても、不規則な形状の多角形であってもよい。さらに、各々のCNT集合体の断面の大きさ・形状は異なっていてもよい。好ましくは、隣りあうCNT集合体間の接触率を高くして高密度で充填できるため、各々のCNT集合体の断面形状は同じ大きさの正多角形であるのがよい。また、CNT素線の断面で見た時に各々のCNT集合体は規則的に配置されていても、不規則に配置されていてもよい。好ましくは、隣りあうCNT集合体間の接触率を高くできるため、各々のCNT集合体は規則的に配置されるのがよい。
図4は、第三実施形態に係るカーボンナノチューブ素線の模式図である。図4に示すように、CNT素線2は、1層以上の層構造を有する複数のCNT11a,11a,・・・で構成されるCNT集合体11の複数が束ねられて形成されている。ここで、CNT集合体とは、CNTの割合が90質量%以上のものを意味する。図4では、各々のCNT集合体11の断面形状が六角形になっている。CNT素線2は、CNT集合体11が、複数、束ねられた構成となっている。CNT素線2の円相当直径は、特に限定されないが、例えば、0.01mm以上4.0mm以下である。
3.カーボンナノチューブ線材の製造方法
カーボンナノチューブ線材の製造方法は、複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ集合体からなるカーボンナノチューブ素線を複数、形成する工程と、複数のカーボンナノチューブ素線を有するカーボンナノチューブ線材を形成する工程と、カーボンナノチューブ線材に応力を負荷することによりカーボンナノチューブ素線同士の接触率を5%以上とする工程とを有する。以下に、第一から第二実施形態に係るCNT線材1の製造例について説明する。
第一から第二実施形態ではまず、CNT11が凝集したCNT凝集体を製造する。CNT凝集体は、浮遊触媒法(特許第5819888号公報)や、基板法(特許第5590603号公報)などの手法で作製することができる。CNT素線2は例えば、湿式紡糸(特許第5135620号公報、特許第5131571号公報、特許第5288359号公報)、液晶紡糸(特表2014-530964号公報)等で作製することができるが、これらの方法に限定されない。より具体的には、CNTが溶解または分散した溶液からCNT素線2を作製する場合には、細孔を備えたノズル通過後の材料を凝固液中に浸漬させた後に乾燥することで所望の多角形の断面形状を有するCNT素線2を得ることができる。
次に、上記のようにして得られた複数のCNT素線2を束ねるか、または撚りあわせることによってCNT線材1を得る。CNT素線2を撚りあわせる場合には撚り機を用いることができる。次に、CNT線材1に応力を負荷することにより、CNT素線2同士の接触率を5%以上とする。CNT線材1に応力を負荷する方法は特に限定されないが例えば、CNT素線2の側面から外圧を負荷することにより、隣り合うCNT素線2間の接触率を向上させることができる。外圧は気体の圧力であっても、機械的な力であってもよい。外圧の値を調節することで、接触率を調節することができる。
一実施形態に係るCNT線材1は、ワイヤハーネス等の一般電線として使用することができ、また、CNT線材1を使用した一般電線からケーブルを作製してもよい。CNT線材1をワイヤハーネス等の一般電線として使用する場合、例えば、複数のCNT線材1を束ねることで、CNT線材1を複数、有するワイヤハーネスとすることができる。
(実施例1~5および比較例1~2)
浮遊触媒気相成長(CCVD)法を用い、CNT製造装置の電気炉によって、1300℃に加熱された、内径φ60mm、長さ1600mmのアルミナ管内部に、炭素源であるベンゼンまたはトルエン、ナフタレンのうち少なくとも一つ以上から得られる芳香族炭化水素組成物、触媒であるフェロセン、及び反応促進剤であるチオフェンを含む原料溶液を、スプレー噴霧により供給した。キャリアガスは、水素を9.5L/minで供給した。生成したCNTを連続的に巻き取りながら回収し、CNT凝集体を得た。次に、1質量%のCNT凝集体および1質量%のドデシルスルホン酸ナトリウムを含む水溶液を調整し、超音波ホモジナイザー処理を30分行い、CNT凝集体の分散液を得た。この分散液を、0.3mm正多角孔を有するノズルを用いてシリンジより、エタノール中へ1m/minの速度で注入した。続いて水槽へ移し洗浄および乾燥させることで、平均径が20μm、表1の断面形状を有するCNT素線を得た。次に、CNT素線を19本、束ねると共に、撚線機にて回転ピッチを撚りあわせることで表1の接触率を有するCNT線材を得た。なお、撚線機の回転ピッチ上げることで接触率を向上させ、下げることで接触率を低下させることができる。
以下に、カーボンナノチューブ素線の断面形状の判定方法、接触率、体積抵抗率、および、ほぐれにくさの評価方法を示す。
(カーボンナノチューブ素線の断面形状の判定方法)
各CNT素線を研磨により面出し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって100~2000倍の倍率にて観察してその断面画像を得た。画像解析ソフトによりCNT素線の断面画像の外周部を座標データ化した。外周部の各直線部上の点を少なくとも5点以上抽出し、その座標データから最小二乗法を用いて直線近似を行った際に、相関係数の二乗R2が0.95以上となるものを直線部とみなした。該外周部が直線部で囲まれたものを多角形と判断した。また、多角形と判断される場合には、直線部の数の多角形と判断した(例えば、直線部の数がn個の場合には、n角形と判断した)。
(接触率)
前記と同様に、断面画像上でのCNT素線における全周囲長に対する辺(面)接触している箇所の長さの割合を接触率とした。任意のCNT素線を10個以上選定し平均接触率を算出した。接触率が15%以上のものを「◎」、10%以上15%未満のものを「○」、5%以上10%未満のものを「△」、5%未満のものを「×」とした。
(体積抵抗率)
抵抗測定機(ケースレー社製、装置名「DMM2000」)にCNT線材を接続し、4端子法により抵抗測定を実施した。体積抵抗率は、r=RA/L(R:抵抗、A:CNT線材の断面積、L:測定長さ)の計算式に基づいて算出した。体積抵抗率が5×10-4Ωcm以下のものを「◎」、5×10-4Ωcmを超え8×10-4Ωcm以下のものを「○」、8×10-4Ωcmを超え1×10-3Ωcm以下のものを「△」、1×10-3Ωcm超のものを「×」とした。
(ほぐれにくさ)
図5は、「ほぐれにくさ」の測定方法を表す概略図である。図5に示すようにまず、曲げR=3mmの治具20の間に1本のCNT線材21を担持させる(状態a)。次に、CNT線材21を冶具に沿って90度曲げた後(状態b)、元の直線状の状態aに戻し、更に反対方向に90度曲げた後(状態c)に、元の直線状の状態aに戻す。上記の一連の動作を1回として、毎分約20回の速度でCNT線材1の曲げ試験を行った。そして、CNT線材21がほぐれて内部のCNT素線がむき出しになるまで曲げ試験を繰り返し、CNT線材21のほぐれが発生するまでの曲げ回数が2000以上の場合を「◎」、1000以上1999以下の場合を「○」、500以上999以下の場合を「△」、500未満の場合を「×」とした。
上記の評価結果を下記表1に示す。
表1に示すように、接触率が5~100%の範囲内であることにより、カーボンナノチューブ線材は優れた体積抵抗率を示すと共にほぐれにくくなっていることが分かる。この結果、本発明では、優れた導電性および機械的強度を有するカーボンナノチューブ線材が得られることを確認できた。
1、21 カーボンナノチューブ線材
2 カーボンナノチューブ素線
3 撚線導体
4 絶縁被覆層
11 カーボンナノチューブ集合体
11a カーボンナノチューブ
20 治具

Claims (6)

  1. 複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ集合体からなるカーボンナノチューブ素線を複数、有するカーボンナノチューブ線材であって、
    前記カーボンナノチューブ素線同士の接触率が5%以上であり、
    前記カーボンナノチューブ線材が前記カーボンナノチューブ素線を撚りあわせることで形成され、
    下記試験において、前記カーボンナノチューブ線材のほぐれが発生するまでの曲げ回数が1000以上であることを特徴とするカーボンナノチューブ線材。
    <試験>
    曲げR=3mmの治具の間に1本のカーボンナノチューブ線材を直線状の状態に担持させ、次にカーボンナノチューブ線材を治具に沿って一方方向に90度曲げた後、元の直線状の状態に戻し、さらに反対方向に90度曲げた後、元の直線状の状態に戻す一連の動作を1回として、毎分20回の速度で試験を実施し、カーボンナノチューブ線材がほぐれて内部のカーボンナノチューブ素線がむき出しになるまでの回数を測定する。
  2. 前記カーボンナノチューブ素線同士の接触率が10%以上である、請求項1に記載のカーボンナノチューブ線材。
  3. 前記接触率は15%以上である、請求項2に記載のカーボンナノチューブ線材。
  4. 前記カーボンナノチューブ素線の断面形状が多角形である、請求項1から3までの何れか1項に記載のカーボンナノチューブ線材。
  5. 請求項1から4までの何れか1項に記載の前記カーボンナノチューブ線材を複数、有するワイヤハーネス。
  6. 複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ集合体からなるカーボンナノチューブ素線を複数、形成する工程と、
    撚りあわせた複数の前記カーボンナノチューブ素線を有するカーボンナノチューブ線材を形成する工程と、
    前記カーボンナノチューブ線材に応力を負荷することにより、前記カーボンナノチューブ素線同士の接触率を5%以上とし、且つ下記試験において、前記カーボンナノチューブ線材のほぐれが発生するまでの曲げ回数が1000以上となるようなカーボンナノチューブ線材とする工程と、
    を有する、カーボンナノチューブ線材の製造方法。
    <試験>
    曲げR=3mmの治具の間に1本のカーボンナノチューブ線材を直線状の状態に担持させ、次にカーボンナノチューブ線材を治具に沿って一方方向に90度曲げた後、元の直線状の状態に戻し、さらに反対方向に90度曲げた後、元の直線状の状態に戻す一連の動作を1回として、毎分20回の速度で試験を実施し、カーボンナノチューブ線材がほぐれて内部のカーボンナノチューブ素線がむき出しになるまでの回数を測定する。
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