JP7309226B2 - ブラインドナット - Google Patents
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Description
ここに、ブラインドナットとは、各種工作物等に設けられた孔内にナットを固定し、それにボルトを容易に取付けることができるものである。これらの孔は、射出成形、鋳物、コンクリート打設等による工作物製作と同時に設けられる孔及び工作物製作後にドリル等により穿孔されるあと加工された孔を含む。
また、ブラインドナットの固定状態(拡開状態)を確認できることが望ましい。拡開状態を目視やノギス、ゲージなどで簡単に確認できれば、ブラインドナットの固着強度に対する安心・安全の推定を得ることが容易となる。
さらに、アンカーボルトにコーンナットを螺着させ、穿設孔の底方向に移動し、それをスリーブの後端部開口に衝打させて、スリット間をアンダーカット部内に逆向き傘状に拡開させる拡開作業が極めて面倒である欠点があった。
また、部品点数が多くコスト高にならざるを得なかった。
さらには、穿設孔の深さを一定以上深くしなければならず、浅い穿設孔やプレートにそれを適用することができなかった。
これらに加え、拡開の状態が確認できず、固着状態の確認手段としては許容値までの引張やトルクを掛けて確認するなど、作業や機器類が必要であった。
また、拡開状態を目視、ノギス、ゲージで簡単に行うことができ、固着状態を容易に確認できるブラインドナットを提供することを課題とする。
前記スリット(3)に整合する複数の突起部(5)が外周に設けられ、内周に雌ねじ(6)が刻設され、前記各突起部(5)が前記開口からスリット(3)の前記側面(4b)に案内されてスリーブ(4)に内装され、その突起部(5)がスリット(3)に係止され、前記雌ねじ(6)に螺着されるボルト(7)に対して回り止めされるナット部材(8)と、を具備し、
前記スリーブ(4)が、その環状部(1)側から工作物(16)の孔部(10)に収納されるブラインドナットにおいて、
前記スリーブ(4)の前記拡大するテーパ面(2)の他端側に、テーパ面(2)の他端側の外径と等しい外径を有する軸線平行部(19)が形成されたブラインドナットである。
前記ナット部材(8)が前記スリーブ(4)の前記環状部(1)まで挿入された状態で、スリーブ(4)の前記テーパ面(2)が半径方向中心側に縮小されてなるブラインドナットである。
前記ナット部材(8)が前記スリーブ(4)の前記環状部(1)まで挿入された状態で、前記スリーブ(4)の前記テーパ面(2)が半径方向中心側に変形されてなるブラインドナットである。
前記テーパ面(2)のテーパ径が環状部(1)付近では前記孔部(10)の径よりも小さく、前記他端付近では少なくとも前記孔部(10)の径よりも大きい径となっているブラインドナットである。
前記各突起部(5)の周方向の幅L2が、前記スリット(3)の幅L1以下のブラインドナットである。
前記内周面(4a)がブラインドナットの軸心に平行な孔とされ、前記スリーブ(4)の肉厚が、前記環状部(1)から前記他端にかけて次第に厚肉に形成されたブラインドナットである。
前記スリーブ(4)の外周に、前記孔部(10)の内面に咬着される凹凸面(12)が形成されたブラインドナットである。
前記ナット部材(8)は、その突起部(5)から前記他端までの外周直径が次第に縮小するテーパ面(14)に形成されたブラインドナットである。
そして、ナット部材8をスリーブ4に対して軸方向に容易に相対移動して、スリーブ4の外周を孔部10内に咬着することができる。それと共に、ボルト7を孔部10内のナット部材8に締結することができる。
また、比較的浅い穿孔内または薄いプレートに、ナットを容易に固定できる。
さらに、スリーブ4のスリット3開口側端部からナット部材8の表面側端部までの引上げ状態を目視で確認したり、その距離をノギスやゲージで確認することにより、拡開がどのような状態にあるか知ることができる。
図1~図3は本発明の第1実施例を示し、図1はその取付け方法を順に(A)~(D)によって示す説明図、図2は同ブラインドナット15の正面図(A),平面図(B),(B)のC-C断面図(C)、図3は同ブラインドナット15の分解斜視図(A),その組付け状態を示す斜視図(B)である。
スリーブ4は端部に環状部1が設けられ、その環状部1の外周から上方に向かってテーパ面2が立ち上げられ、その立ち上げ部には、周方向に離間して等間隔にスリット3が欠切されている。各スリット3は環状部1から一端まで形成されている。各スリット3の内面側には周方向に対向して一対の側壁4bが形成されている。外周のテーパ面2は、上方ほど直径が大に形成され、その厚みも上方ほど厚く形成されている。スリーブ4の内周面4aは、軸線に平行に形成され、その上端は開口されている。
ナット部材8の突起部5の幅L2は、スリーブ4のスリット3の幅L1に略等しいか、それより僅かに小に形成されている。
また、ナット部材8は突起部5の位置から図において、上方に直径が次第に縮小するテーパ面14に形成されている。また、突起部5より図において下方は同一直径に形成されている。
以下、順にその施工方法につき説明する。
先ず、スリーブ4の最大直径よりも小に設けられた孔部10にスリーブ4の下部を挿入する。この孔部10は、アンダーカットなどの拡大部がない直線状の孔でよい。次いで、同図(B)の如くスリーブ4をハンマー等で下方に押し込み、その上端が孔部10に埋設されるようにする。次いで、スリーブ4に内装されたナット部材8に軸部材9を螺着し、その軸部材9を回転することにより、ナット部材8を軸方向上方に移動させる。それに伴って、ナット部材8のテーパ面14がスリーブ4の内周面を半径方向外側に押圧し、スリーブ4を孔部10の内面に咬着させる。この時、ナット部材8の軸方向移動位置を目視、ノギス、ゲージなどで確認することができ、有効な拡開状態を得られているか否かの確認・判断ができる。
次いで、この例では軸部材9をナット部材8から取り外す。次いで、図1(D)に示す如く、ボルト7をナット部材8の内ネジに螺着し、そのボルト7を工作物16に締結固定する。この例では、ボルト7を工作物16に締結した例を示す。その工作物16は、コンクリートの建築物や設備,金属材,樹脂材等の各種のものに適用できる。この例では、軸部材9を用いてナット部材8を上昇させたが、ボルト7を用いて直接ナット部材8を上昇させてもよい。このときは、拡開状態の確認としてトルクレンチで締付け力を管理すればよい。
また、孔部10は図6に示す如く、プレートを貫通するものでもよい。このとき、スリーブ4の高さH1よりも工作物16の厚みH2が小であってもよい。
次に、図5の(A)~(C)はその凹凸面12の他の例を夫々示す。
同図(A)では外周に綾模様の凹凸面12が形成されている。また、(B)ではスリーブ4の軸線Oに対して斜めに形成された多数の溝によって凹凸面12を形成する。さらには、(C)の例では凹凸面12はスリーブ4の軸線Oに直交する方向に形成されている。
この例は、スリット3内にナット部材8を収納した後に、スリット3の上端部に圧力を加えて僅かに塑性変形する。それにより、ナット部材8の移動を制限する。その状態で、ブラインドナット15を孔部10の内部に挿入および圧入し、図1の工程順と同様にしてナット部材8にボルト7を螺着締結すればよい。
このようにスリーブ4の外周を変形させることにより、ナット部材8の移動を制限すると共に、ナット部材8がブラインドナット15から不用意に抜け出ることを防止できる。
それにより、ナット部材8とスリーブ4とを分離させることなく、ブラインドナット15の搬送を円滑に行うことができ、また孔部10への挿入が容易となる。
このような軸線平行部19を形成することにより、ブラインドナット15の取付けをより容易にすることができる。
図7~図9に示す如く、ブラインドナット15のスリーブ4の外周を変形させることにより、ナット部材8の軸方向移動を制限すると、ブラインドナット15を天井面の孔部10に容易に取付けることが可能となる。その際、ナット部材8が不用意にスリーブ4から下方に落下することを防止できる。
フラインドナットは、図3及び図4に示す形状のスリーブ4とナット部材8とからなるブラインドナット15を使用し、その環状部1の径は15.98mm、他端側最大径が20.0mm、全長23mmを使用した。
鋼板はSS400相当材で厚さ30mmにφ16mm、φ18mmの2つの孔のそれぞれに孔深さ25mmの孔を設けた。
これらの孔に図1に示す手順でブラインドナット15を固定し、同図(D)に示す取付物(厚さ1.6mm、孔径8.5mm)を強度区分10.9のM8ボルトでワッシャーを介して締付け、その時の最大トルクを測定した。各孔径について各々3本の試験を行なった。
2 テーパ面
2a テーパ面の端
3 スリット
4 スリーブ
4a 内周面
4b 側壁
5 突起部
6 雌ねじ
7 ボルト
8 ナット部材
10 穿孔部
12 凹凸面
14 テーパ面
15 ブラインドナット
16 工作物
17 衝打部
18 プレス体
19 軸線平行部
Claims (8)
- 一端部に設けた環状部(1)と、その環状部(1)から他端に向けて、次第に外周半径が拡大するテーパ面(2)と、その環状部(1)の一端が貫通し、その内面から前記他端に形成された内周面(4a)と、その周方向に互いに離間し、前記テーパ面(2)と内周面(4a)との間を横断して、前記環状部(1)から前記他端まで設けられた複数のスリット(3)とを有し、各スリット(3)の内側には対向する側面(4b)が形成され、前記内周面(4a)の前記他端側が開口されたスリーブ(4)と、
前記スリット(3)に整合する複数の突起部(5)が外周に設けられ、内周に雌ねじ(6)が刻設され、前記各突起部(5)が前記開口からスリット(3)の前記側面(4b)に案内されてスリーブ(4)に内装され、その突起部(5)がスリット(3)に係止され、前記雌ねじ(6)に螺着されるボルト(7)に対して回り止めされるナット部材(8)と、を具備し、
前記スリーブ(4)が、その環状部(1)側から工作物(16)の孔部(10)に収納されるブラインドナットにおいて、
前記スリーブ(4)の前記拡大するテーパ面(2)の他端側に、テーパ面(2)の他端側の外径と等しい外径を有する軸線平行部(19)が形成されたブラインドナット。 - 請求項1に記載のブラインドナットにおいて、
前記ナット部材(8)が前記スリーブ(4)の前記環状部(1)まで挿入された状態で、スリーブ(4)の前記テーパ面(2)が半径方向中心側に縮小されてなるブラインドナット。 - 請求項1に記載のブラインドナットにおいて、
前記ナット部材(8)が前記スリーブ(4)の前記環状部(1)まで挿入された状態で、前記スリーブ(4)の前記テーパ面(2)が半径方向中心側に変形されてなるブラインドナット。 - 請求項1~請求項3のいずれかに記載のブラインドナットにおいて、
前記テーパ面(2)のテーパ径が環状部(1)付近では前記孔部(10)の径よりも小さく、前記他端付近では少なくとも前記孔部(10)の径よりも大きい径となっているブラインドナット。 - 請求項1~請求項4のいずれかに記載のブラインドナットにおいて、
前記各突起部(5)の周方向の幅L2が、前記スリット(3)の幅L1以下のブラインドナット。 - 請求項1~請求項3、または請求項請求項5のいずれかに記載のブラインドナットにおいて、
前記内周面(4a)がブラインドナットの軸心に平行な孔とされ、前記スリーブ(4)の肉厚が、前記環状部(1)から前記他端にかけて次第に厚肉に形成されたブラインドナットであるブラインドナット。 - 請求項1~請求項6のいずれかに記載のブラインドナットおいて、
前記スリーブ(4)の外周に、前記孔部(10)の内面に咬着される凹凸面(12)が形成されたブラインドナット。 - 請求項1~請求項7のいずれかに記載のブラインドナットにおいて、
前記ナット部材(8)は、その突起部(5)から前記他端までの外周直径が次第に縮小するテーパ面(14)に形成されたブラインドナット。
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