JP7308593B2 - 窒化物半導体装置 - Google Patents

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Description

この発明は、III族窒化物半導体(以下単に「窒化物半導体」という場合がある。)からなる窒化物半導体装置に関する。
III族窒化物半導体とは、III-V族半導体においてV族元素として窒素を用いた半導体である。窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)が代表例である。一般には、AlInGa1-x-yN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)と表わすことができる。
このような窒化物半導体を用いたHEMT(High Electron Mobility Transistor;高電子移動度トランジスタ)が提案されている。このようなHEMTは、たとえば、GaNからなる電子走行層と、この電子走行層上にエピタキシャル成長されたAlGaNからなる電子供給層とを含む。電子供給層に接するように一対のソース電極およびドレイン電極が形成され、それらの間にゲート電極が配置される。GaNとAlGaNとの格子不整合に起因する分極のために、電子走行層内において、電子走行層と電子供給層との界面から数Åだけ内方の位置に、二次元電子ガスが形成される。この二次元電子ガスをチャネルとして、ソース・ドレイン間が接続される。ゲート電極に制御電圧を印加することで、二次元電子ガスを遮断すると、ソース・ドレイン間が遮断される。ゲート電極に制御電圧を印加していない状態では、ソース・ドレイン間が導通するので、ノーマリーオン型のデバイスとなる。
窒化物半導体を用いたデバイスは、高耐圧、高温動作、大電流密度、高速スイッチングおよび低オン抵抗といった特徴を有するため、パワーデバイスへの応用が検討されている。
しかし、パワーデバイスとして用いるためには、ゼロバイアス時に電流を遮断するノーマリーオフ型のデバイスである必要があるため、前述のようなHEMTは、パワーデバイスには適用できない。
ノーマリーオフ型の窒化物半導体HEMTを実現するための構造は、たとえば、特許文献1において提案されている。
特開2006-339561号公報
特許文献1は、AlGaN電子供給層にp型GaNゲート層(窒化物半導体ゲート層)を積層し、その上にゲート電極を配置し、前記p型GaNゲート層から広がる空乏層によってチャネルを消失させることで、ノーマリーオフを達成する構成を開示している。特許文献1では、ゲート電極としてはp型GaNゲート層とオーミック接合するPd(パラジウム)からなるゲート電極が用いられている。
ゲート電極として、p型GaNゲート層とショットキー接合するTiN(窒化チタン)等の金属からなるゲート電極を用いることが考えられる。このような構成の窒化物半導体装置を比較対象装置という場合がある。比較対象装置では、窒化物半導体ゲート層とゲート電極とがショットキー接合されるため、ゲートリーク電流が大きくなり、窒化物半導体ゲート層が劣化しやすいという問題がある。
この発明の目的は、比較対象装置に比べてゲートリーク電流を低減できる窒化物半導体装置を提供することにある。
この発明の一実施形態に係る窒化物半導体装置は、電子走行層を構成する第1窒化物半導体層と、前記第1窒化物半導体層上に形成され、前記第1窒化物半導体層よりもバンドギャップが大きく、電子供給層を構成する第2窒化物半導体層と、前記第2窒化物半導体層上に配置されたゲート部とを含み、前記ゲート部は、前記第2窒化物半導体層上に配置されかつアクセプタ型不純物を含む窒化物半導体ゲート層と、前記窒化物半導体ゲート層上に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とを含んでいる。
この構成では、窒化物半導体ゲート層とゲート電極との間にゲート絶縁膜が介在しているので、比較対象装置に比べてゲートリーク電流を低減できる。
この発明の一実施形態では、前記ゲート絶縁膜が、SiN、SiO、SiON、Al、AlN、AlON、HfO、HfN、HfON、HfSiONおよびAlONのうちから選択された1つから構成されている。
この発明の一実施形態では、前記ゲート絶縁膜は、前記窒化物半導体ゲート層とin-situで成膜される、in-situ SiNからなる。
この発明の一実施形態では、ゲートリーク電流が、1nA/mm以下である。
この発明の一実施形態では、前記窒化物半導体ゲート層の膜厚は100nm以下であり、前記ゲート絶縁膜の膜厚は3nm以上である。
この発明の一実施形態では、前記第1窒化物半導体層における前記第2窒化物半導体層とは反対側に配置され、バッファ層を構成する第3窒化物半導体層をさらに有する。
この発明の一実施形態では、前記窒化物半導体ゲート層と前記ゲート絶縁膜との界面の炭素濃度は、1×1013cm-2以下である。
この発明の一実施形態では、前記第1窒化物半導体層はGaN層からなり、前記第2窒化物半導体層はAlGaN層からなり、前記窒化物半導体ゲート層はp型GaN層からなる。
この発明の一実施形態では、前記第1窒化物半導体層はGaN層からなり、前記第2窒化物半導体層はAlGaN層からなり、前記窒化物半導体ゲート層はp型GaN層からなり、第3窒化物半導体層がAlGaN層からなる。
この発明の一実施形態では、前記アクセプタ型不純物は、マグネシウムまたは鉄である。
この発明の一実施形態に係る窒化物半導体装置は、電子走行層を構成する第1窒化物半導体層と、前記第1窒化物半導体層上に形成され、前記第1窒化物半導体層よりもバンドギャップが大きく、電子供給層を構成する第2窒化物半導体層と、前記第2窒化物半導体層上に配置されたゲート部とを含み、前記ゲート部は、前記第2窒化物半導体層上に配置されかつアクセプタ型不純物を含む窒化物半導体ゲート層と、前記窒化物半導体ゲート層上に形成された窒素を含む窒素含有層と、前記窒素含有層上に配置されたゲート電極とを含む。
この発明の一実施形態では、前記窒素含有層の厚さが10nm以下である。
この発明の一実施形態では、前記窒素含有層が、AlN膜若しくはSIN膜の単膜またはAlN膜およびSIN膜の積層膜からなる。
この発明の一実施形態では、前記窒素含有層が、前記窒化物半導体ゲート層上に形成されたAlN膜と、前記AlN膜上に形成されたSIN膜とからなる。
この発明の一実施形態では、前記窒素含有層と前記ゲート電極との間に形成されたゲート絶縁膜をさらに含む。
この発明の一実施形態では、前記ゲート絶縁膜が酸素を含む絶縁膜からなる。
この発明の一実施形態では、前記ゲート絶縁膜が、Al膜またはSiO膜からなる。
この発明の一実施形態では、ゲートリーク電流が、1nA/mm以下である。
図1は、この発明の第1実施形態に係る窒化物半導体装置の構成を説明するための断面図である。 図2Aは、前記窒化物半導体装置の製造工程の一例を示す断面図である。 図2Bは、図2Aの次の工程を示す断面図である。 図2Cは、図2Bの次の工程を示す断面図である。 図2Dは、図2Cの次の工程を示す断面図である。 図2Eは、図2Dの次の工程を示す断面図である。 図2Fは、図2Eの次の工程を示す断面図である。 図2Gは、図2Fの次の工程を示す断面図である。 図3は、第1比較例に係る窒化物半導体装置の構成を示す断面図である。 図4は、第1比較例のエネルギー分布を示すエネルギーバンド図である。 図5は、第1比較例の電界強度分布を示す電界強度分布図である。 図6は、本実施形態のエネルギー分布を示すエネルギーバンド図である。 図7は、本実施形態の電界強度分布を示す電界強度分布図である。 図8は、ゲート絶縁膜がSiOからなる場合のエネルギー分布を示すエネルギーバンド図である。 図9は、ゲート絶縁膜がSiOからなる場合の電界強度分布を示す電界強度分布図である。 図10は、この発明の第2実施形態に係る窒化物半導体装置の構成を説明するための断面図である。 図11は、図10のゲート部の拡大断面図である。 図12は、第2実施形態のゲート部の第1変形例を示す拡大断面図である。 図13は、第2実施形態のゲート部の第2変形例を示す拡大断面図である。 図14は、ゲート電圧Vgを5Vに設定した場合の高温ゲートバイアス試験結果を示すグラフである。 図14は、ゲート電圧Vgを-3Vに設定した場合の高温ゲートバイアス試験結果を示すグラフである。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る窒化物半導体装置の構成を説明するための断面図である。
窒化物半導体装置1は、基板2と、基板2の表面に形成されたバッファ層3と、バッファ層3上にエピタキシャル成長された第1窒化物半導体層4と、第1窒化物半導体層4上にエピタキシャル成長された第2窒化物半導体層5とを含む。さらに、この窒化物半導体装置1は、第2窒化物半導体層5上に形成されたゲート部20とを含む。
さらに、この窒化物半導体装置1は、第2窒化物半導体層5およびゲート部20を覆うパッシベーション膜9と、パッシベーション膜9上に積層されたバリアメタル膜10とを含む。さらに、この窒化物半導体装置1は、パッシベーション膜9とバリアメタル膜10との積層膜に形成されたソース電極用コンタクト孔11およびドレイン電極用コンタクト孔12を貫通して第2窒化物半導体層5にオーミック接触しているソース電極13およびドレイン電極14とを含む。ソース電極13およびドレイン電極14は、間隔を開けて配置されている。ソース電極13は、ゲート部20を覆うように形成されている。さらに、この窒化物半導体装置1は、ソース電極13およびドレイン電極14を覆う層間絶縁膜15を含む。
基板2は、たとえば、低抵抗のシリコン基板であってもよい。低抵抗のシリコン基板は、たとえば、1×1017cm-3~1×1020cm-3(より具体的には1×1018cm-3程度)の不純物濃度を有していてもよい。また、基板2は、低抵抗のシリコン基板の他、低抵抗のGaN基板、低抵抗のSiC基板等であってもよい。基板2の厚さは650μm程度である。
バッファ層3は、この実施形態では、複数の窒化物半導体膜を積層した多層バッファ層から構成されている。この実施形態では、バッファ層3は、基板2の表面に接するAlN膜からなる第1バッファ層3Aと、この第1バッファ層3Aの表面(基板2とは反対側の表面)に積層されたAlGaN膜からなる第2バッファ層3Bとから構成されている。第1バッファ層3Aの膜厚は、100nm~300nm程度である。第2バッファ層3Bの膜厚は、100nm~5μm程度である。
第1窒化物半導体層4は、電子走行層を構成している。この実施形態では、第1窒化物半導体層4は、アクセプタ型不純物がドーピングされたGaN層からなり、その厚さは100nm~5μm程度である。アクセプタ型不純物の濃度は、4×1016cm-3以上であることが好ましい。この実施形態では、アクセプタ型不純物は、C(炭素)である。
第2窒化物半導体層5は、電子供給層を構成している。第2窒化物半導体層5は、第1窒化物半導体層4よりもバンドギャップの大きい窒化物半導体からなっている。具体的には、第2窒化物半導体層5は、第1窒化物半導体層4よりもAl組成の高い窒化物半導体からなっている。窒化物半導体においては、Al組成が高いほどバッドギャップは大きくなる。この実施形態では、第2窒化物半導体層5は、Alx1Ga1-x1N層(0<x1<1)からなり、その厚さは10nm~30nm程度である。
このように第1窒化物半導体層4(電子走行層)と第2窒化物半導体層5(電子供給層)とは、バンドギャップ(Al組成)の異なる窒化物半導体からなっており、それらの間には格子不整合が生じている。そして、第1窒化物半導体層4および第2窒化物半導体層5の自発分極ならびにそれらの間の格子不整合に起因するピエゾ分極によって、第1窒化物半導体層4と第2窒化物半導体層5との界面における第1窒化物半導体層4の伝導帯のエネルギーレベルはフェルミ準位よりも低くなる。これにより、第1窒化物半導体層4と第2窒化物半導体層5との界面に近い位置(たとえば界面から数Å程度の距離)には、二次元電子ガス(2DEG)16が広がっている。
ゲート部20は、第2窒化物半導体層5上にエピタキシャル成長された窒化物半導体ゲート層6と、窒化物半導体ゲート層6上に形成されたゲート絶縁膜7と、ゲート絶縁膜7上に形成されたゲート電極8とを含む。窒化物半導体ゲート層6は、アクセプタ型不純物がドーピングされた窒化物半導体からなる。この実施形態では、窒化物半導体ゲート層6は、アクセプタ型不純物がドーピングされたGaN層(p型GaN層)からなっており、その厚さは10nm~100nm程度である。窒化物半導体ゲート層6の膜厚は、100nm以下であることが好ましい。この理由については後述する。この実施形態では、窒化物半導体ゲート層6の膜厚は、60nmである。
窒化物半導体ゲート層6に注入されるアクセプタ型不純物の濃度は、3×1017cm-3以上であることが好ましい。この実施形態では、アクセプタ型不純物は、Mg(マグネシウム)である。アクセプタ型不純物は、Fe等のMg以外のアクセプタ型不純物であってもよい。窒化物半導体ゲート層6は、ゲート部20の直下の領域において、第1窒化物半導体層4(電子走行層)と第2窒化物半導体層5(電子供給層)との界面に生じる二次元電子ガス16を相殺するために設けられている。窒化物半導体ゲート層6の表面(上面)はGaN結晶のc面であり、窒化物半導体ゲート層6の側面はGaN結晶のm面である。
ゲート絶縁膜7は、窒化物半導体ゲート層6の表面(c面)に接するように形成されている。ゲート絶縁膜7は、この実施形態では、窒化物半導体ゲート層6とin-situ(その場)で成膜されるin-situ SiNからなる。ゲート絶縁膜7の厚さは、3nm~30nm程度である。ゲート絶縁膜7の膜厚は、3nm以上であることが好ましい。この実施形態では、ゲート絶縁膜7の膜厚は、30nmである。ゲート絶縁膜7は、in-situ SiNの他、SiN(in-situ SiNを除く)、SiO、SiON、Al、AlN、AlON、HfO、HfN、HfON、HfSiON、AlON等から構成されてもよい。
この実施形態では、窒化物半導体ゲート層6と前記ゲート絶縁膜7との界面の炭素濃度は、1×1013cm-2以下である。
ゲート電極8は、ゲート絶縁膜7の表面に接するように形成されている。ゲート電極8は、この実施形態では、TiN層から構成されており、その厚さは50nm~200nm程度である。ゲート電極8は、ソース電極用コンタクト孔11寄りに偏って配置されている。
パッシベーション膜9は、第2窒化物半導体層5の表面(コンタクト孔11,12が臨んでいる領域を除く)およびゲート部20の側面および表面を覆っている。この実施形態では、パッシベーション膜9はSiN膜からなり、その厚さ50nm~200nm程度である。この実施形態では、パッシベーション膜9の厚さは、50nmである。
パッシベーション膜9上には、バリアメタル膜10が積層されている。この実施形態では、バリアメタル膜10はTiN膜からなり、その厚さは10nm~50nm程度である。この実施形態では、バリアメタル膜10の厚さは、25nmである。
ソース電極13およびドレイン電極14は、この実施形態では、第2窒化物半導体層5に接する下層(オーミックメタル層)13A,14Aと、下層13A,14Aに積層された中間層(主電極メタル層)13B,14Bと、中間層13B,14Bに積層された上層(バリアメタル層)13C,14Cとからなる。下層13A,14Aは、例えば、厚さが10nm~20nm程度のTi層である。中間層13B,14Bは、厚さが100nm~300nm程度のAl層である。上層13C,14Cは、例えば、厚さが10nm~50nm程度のTiNである。
層間絶縁膜15は、例えば、Si0からなる。層間絶縁膜15の厚さは、1μm程度である。
この窒化物半導体装置1では、第1窒化物半導体層4(電子走行層)上にバンドギャップ(Al組成)の異なる第2窒化物半導体層5(電子供給層)が形成されてヘテロ接合が形成されている。これにより、第1窒化物半導体層4と第2窒化物半導体層5との界面付近の第1窒化物半導体層4内に二次元電子ガス16が形成され、この二次元電子ガス16をチャネルとして利用したHEMTが形成されている。ゲート電極8は、ゲート絶縁膜7およびp型GaN層からなる窒化物半導体ゲート層6を挟んで第2窒化物半導体層5に対向している。
ゲート電極8の下方においては、p型GaN層からなる窒化物半導体ゲート層6に含まれるイオン化アクセプタによって、第1窒化物半導体層4および第2窒化物半導体層5のエネルギーレベルが引き上げられるため、ヘテロ接合界面における伝導帯のエネルギーレベルはフェルミ順位よりも大きくなる。したがって、ゲート電極8(ゲート部20)の直下では、第1窒化物半導体層4および第2窒化物半導体層5の自発分極ならびにそれらの格子不整合によるピエゾ分極に起因する二次元電子ガス16が形成されない。よって、ゲート電極8にバイアスを印加していないとき(ゼロバイアス時)には、二次元電子ガス16によるチャネルはゲート電極8の直下で遮断されている。こうして、ノーマリーオフ型のHEMTが実現されている。ゲート電極8に適切なオン電圧(たとえば3V)を印加すると、ゲート電極8の直下の第1窒化物半導体層4内にチャネルが誘起され、ゲート電極8の両側の二次元電子ガス16が接続される。これにより、ソース-ドレイン間が導通する。
使用に際しては、たとえば、ソース電極13とドレイン電極14との間に、ドレイン電極14側が正となる所定の電圧(たとえば200V~300V)が印加される。その状態で、ゲート電極8に対して、ソース電極13を基準電位(0V)として、オフ電圧(0V)またはオン電圧(3V)が印加される。
図2A~図2Gは、前述の窒化物半導体装置1の製造工程の一例を説明するための断面図であり、製造工程における複数の段階における断面構造が示されている。
まず、図2Aに示すように、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法によって、基板2上に、バッファ層3および第1窒化物半導体層(電子走行層)4が順にエピタキシャル成長される。さらに、MOCVD法によって、第1窒化物半導体層4上に第2窒化物半導体層(電子供給層)5がエピタキシャル成長される。
次に、図2Bに示すように、MOCVD法によって、第2窒化物半導体層5上に、窒化物半導体ゲート層6の材料膜であるゲート層材料膜31が形成される。次に、ゲート層材料膜31上にゲート絶縁膜7の材料膜である絶縁材料膜32が形成される。前述の実施形態のように、ゲート絶縁膜7がSiNからなる場合には、ゲート層材料膜31の成膜に引き続いて、同じMOCVD装置によって、絶縁材料膜32を成膜することができる。この場合には、絶縁材料膜32は、ゲート層材料膜31とin-situ(その場)で成膜されるin-situ SiNとなる。
なお、ゲート絶縁膜7がSiNである場合、プラズマCVD法によって、ゲート層材料膜31上に絶縁材料膜32を成膜することもできる。また、ゲート絶縁膜7がSiO等のSiN以外の絶縁材料から構成される場合には、プラズマCVD法、LPCVD(Low Pressure CVD)法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等によって、ゲート層材料膜31上に絶縁材料膜32を成膜することができる。
この後、スパッタ法または蒸着法によって、絶縁材料膜32上にゲート電極8の材料膜であるゲート電極膜33が形成される。ゲート電極膜33は、たとえば、TiNの金属膜からなる。
次に、図2Cに示すように、ゲート電極膜33表面におけるゲート電極作成予定領域を覆うレジスト膜34が形成される。そして、レジスト膜34をマスクとして、ゲート電極膜33、絶縁材料膜32およびゲート層材料膜31が選択的にエッチングされる。
これにより、ゲート電極膜33がパターニングされてゲート電極8が得られる。また、絶縁材料膜32およびゲート層材料膜31が、ゲート電極8と同じパターンにパターニングされる。このようにして、第2窒化物半導体層5上に、窒化物半導体ゲート層6、ゲート絶縁膜7およびゲート電極8からなるゲート部20が形成される。
次に、レジスト膜34が除去される。この後、図2Dに示すように、プラズマCVD法またはLPCVD法によって、露出した表面全域を覆うように、パッシベーション膜9が形成される。そして、スパッタ法によって、パッシベーション膜9の表面に、バリアメタル膜10が形成される。パッシベーション膜9は、たとえばSiN層からなる。バリアメタル膜10は、たとえばTiN層からなる。
次に、図2Eに示すように、パッシベーション膜9とバリアメタル膜10との積層膜に、ソース電極用コンタクト孔11およびドレイン電極用コンタクト孔12が形成される。
次に、図2Fに示すように、露出した表面全域を覆うようにソース・ドレイン電極膜35が形成される。ソース・ドレイン電極膜35は、下層としてのTi層35A、中間層としてのAl層35Bおよび上層としてのTiN層35Cを積層した積層金属膜からなり、各層を順に蒸着することによって形成される。
次に、図2Gに示すように、ソース・ドレイン電極膜35がエッチングによってパターニングされ、さらにアニール処理が施されることによって、第2窒化物半導体層5にオーミック接触するソース電極13およびドレイン電極14が形成される。この際、ソース電極13は、Ti層35Aからなる下層13Aと、Al層35Bからなる中間層13Bと、TiN層35Cからなる上層13Cとから構成される。また、ドレイン電極14は、Ti層35Aからなる下層14Aと、Al層35Bからなる中間層14Bと、TiN層35Cからなる上層14Cとから構成される。
この後、ソース電極13およびドレイン電極14を覆うように、層間絶縁膜15が形成されることにより、図1に示すような構造の窒化物半導体装置1が得られる。
以下において、図1の窒化物半導体装置1に対して、ゲート絶縁膜7が設けられていない構成の窒化物半導体装置を第1比較例ということにする。図3は、第1比較例に係る窒化物半導体装置101の構成を示す断面図である。第1比較例に係る窒化物半導体装置101では、ゲート部20は、第2窒化物半導体層5上に形成された窒化物半導体ゲート層6と、窒化物半導体ゲート層6上に形成されたゲート電極8とからなる。第1比較例では、p型GaNからなる窒化物半導体ゲート層6にTiNからなるゲート電極8がショットキー接合されている。第1比較例の窒化物半導体ゲート層6の膜厚は80nmである。なお、前述の窒化物半導体装置1の窒化物半導体ゲート層6の膜厚は60nmであり、ゲート絶縁膜7の膜厚は30nmである。
第1比較例に係る窒化物半導体装置101では、ゲート電極8が窒化物半導体ゲート層6にショットキー接合されているため、ゲートリーク電流が大きい。このため、窒化物半導体ゲート層6が劣化しやすい。
前述の実施形態に係る窒化物半導体装置1(以下、第1実施例という)では、窒化物半導体ゲート層6上にゲート絶縁膜7が形成され、そのゲート絶縁膜7上にゲート電極8が形成されている。つまり、第1実施例では、窒化物半導体ゲート層6とゲート電極8との間にゲート絶縁膜7が介在しているので、第1比較例に比べて、ゲートリーク電流を小さくすることができる。これにより、窒化物半導体ゲート層6が劣化しにくくなる。第1実施例では、ゲートリーク電流は、1nA/mm以下である。
また、後述するように、第1実施例では、第1比較例に比べて閾値電圧Vthを高くすることができる。また、第1実施例では、第1比較例に比べて、窒化物半導体ゲート層6を薄くすることが可能となるため、窒化物半導体ゲート層6の電解強度を低減でき、窒化物半導体ゲート層6の経時絶縁破壊(TDDB:Time Dependent Dielectric Breakdown)が起こりにくくなる。さらに、第1実施例では、第1比較例に比べて、閾値電圧Vthを安定させることができる。
第1実施例では、第1比較例に比べて閾値電圧Vthを高くできる理由および第1比較例に比べて窒化物半導体ゲート層6を薄くできる理由について説明する。
図4は、第1比較例のエネルギー分布を示すエネルギーバンド図である。図5は、第1比較例の電界強度分布を示す電界強度分布図である。図4および図5において、GaNは第1窒化物半導体層4を示し、AlGaNは第2窒化物半導体層5を示し、P-GaNは窒化物半導体ゲート層6を示し、Metalは、ゲート電極8を示している。図4において、Eは伝導帯のエネルギーレベルであり、Eは価電子帯のエネルギーレベルであり、Eはフェルミ準位である。
第1比較例では、ゲート電極8は、窒化物半導体ゲート層6とショットキー接合される。ゲート電極8と窒化物半導体ゲート層6との界面の電位障壁(ショットキー障壁)Φは、閾値電圧Vthに影響を及ぼす。
図4の例では、閾値電圧Vthは2[V]となる。窒化物半導体装置の閾値電圧Vthは、Si半導体装置の閾値電圧Vthに比べて小さいので、閾値電圧Vthを大きくすることが重要である。第1比較例において閾値電圧Vthを上げるためには、窒化物半導体ゲート層6の膜厚を大きくする必要がある。p-GaNのアクセプタであるMg,Feはメモリ効果を有するため、図5からわかるように、窒化物半導体ゲート層6の膜厚を大きくすると、窒化物半導体ゲート層6内部の電界強度は、ゲート電極8との境界部に近づくにつれて高くなる。また、窒化物半導体は、絶縁膜に比べて、許容できる電界強度が小さい。そのため、窒化物半導体ゲート層6の膜厚をあげることができず、閾値電圧Vthを高くすることは困難である。窒化物半導体ゲート層6の膜厚は、通常、100nm以下にされる。
図6は、第1実施例のエネルギー分布を示すエネルギーバンド図である。図7は、本実施例の電界強度分布を示す電界強度分布図である。図6および図7において、GaNは第1窒化物半導体層4を示し、AlGaNは第2窒化物半導体層5を示し、P-GaNは窒化物半導体ゲート層6を示し、SiNはゲート絶縁膜7を示し、Metalはゲート電極8を示している。図6において、Eは伝導帯のエネルギーレベルであり、Eは価電子帯のエネルギーレベルであり、Eはフェルミ準位である。
第1実施例では、窒化物半導体ゲート層6上にゲート絶縁膜7が形成されている。ゲート絶縁膜7内部の電界強度分布は一様で、ゲート絶縁膜7を厚くしても電界強度が増えることはない。そのため、第1実施例では、窒化物半導体ゲート層6の膜厚を第1比較例の窒化物半導体ゲート層6の膜厚に比べて薄くしながら(従ってゲート絶縁膜7におけるゲート電極8との境界での電界強度が小さいことを維持しながら)、閾値電圧Vthを高く(図6では3[V])とすることができる。
第1実施例では、窒化物半導体ゲート層6上にゲート絶縁膜7を形成することによって、閾値電圧Vthを高くできるため、閾値電圧Vthを高くするために窒化物半導体ゲート層6の膜厚を厚くする必要がない。そこで、第1実施例では、窒化物半導体ゲート層6の膜厚を第1比較例に比べて薄くしている。これにより、図7に示すように、第1実施例の窒化物半導体ゲート層6におけるゲート絶縁膜7との境界部での電解強度は、第1比較例の窒化物半導体ゲート層6におけるゲート電極8との境界部での電解強度を小さくなるから、第1実施例では、第1比較例に比べて窒化物半導体ゲート層6の経時絶縁破壊(TDDB)が起こりにくくなる。
なお、第1実施例において、ゲート絶縁膜7におけるゲート電極8との境界部での電解強度は、窒化物半導体ゲート層6におけるゲート絶縁膜7との境界部での電解強度よりも高くなるが、ゲート絶縁膜7の絶縁破壊電圧は、窒化物半導体ゲート層6の絶縁破壊電圧よりも大きいので問題はない。
次に、第1実施例では、第1比較例に比べて閾値電圧Vthを安定させることができる理由について説明する。
p型GaNからなる窒化物半導体ゲート層6は、分極性材料であるため、その表面(c面)には分極電荷が現れる。窒化物半導体装置の製造過程において、窒化物半導体ゲート層6の表面が大気に晒されると、その表面の分極電荷を打ち消すように、大気中の極性有機分子(カルボン酸、シロキ酸等)がその表面に付着する。
第1比較例では、CVD装置によって窒化物半導体ゲート層6の材料膜(ゲート層材料膜)を形成した後、スパッタ装置によってゲート層材料膜上にゲート電極の材料膜(ゲート電極膜)が形成される。このため、窒化物半導体ゲート層6の表面が大気に晒されるので、その表面に大気中の有機分子が付着する。これにより、ショットキー障壁Φの大きさが変動し、閾値電圧Vthが不安定になる。
これに対して、第1実施例では、MOCVD装置によって窒化物半導体ゲート層6の材料膜(ゲート層材料膜31)を形成した後、引き続いて同じMOCVD装置によってゲート層材料膜31上にin-situ SiNからなるゲート絶縁膜7の材料膜(絶縁材料膜32)が形成される。このため、窒化物半導体装置1の製造過程において、窒化物半導体ゲート層6の表面(c面)は、大気に晒されない。このため、第1実施例では、第1比較例に比べて、窒化物半導体ゲート層6の表面(c面)に有機分子が付着されにくい。これにより、第1実施例では、第1比較例に比べて、ゲート電極8とゲート絶縁膜7との界面の電位障壁Φが安定し、閾値電圧Vthが安定する。
なお、絶縁材料膜32がin-situ SiN以外の材料、例えばSiOからなる場合には、MOCVD法によって窒化物半導体ゲート層6の材料膜(ゲート層材料膜31)を形成した後、その表面が大気に晒されることになる。この場合には、プラズマCVD装置、LPCVD装置、ALD装置等の絶縁膜成膜装置内において、ゲート層材料膜31を400℃以上に加熱することにより、ゲート層材料膜31の表面に付着した有機分子を除去した後に、絶縁材料膜32を形成すればよい。
ゲート絶縁膜7がSiOからなる場合のエネルギー分布および電界強度分布を図8および図9に示す。図8および図9の例では、ゲート絶縁膜(SiO)7の膜厚は30nmであり、窒化物半導体ゲート層(p-GaN)6の膜厚は50nmである。
図10は、この発明の第2実施形態に係る窒化物半導体装置の構成を説明するための断面図である。図11は、図10のゲート部の拡大断面図である。図10において、前述の図1の各部に対応する部分には図1と同じ符号を付して示す。
第2実施形態に係る窒化物半導体装置1Aは、第1実施形態と比べて、ゲート部の構造が異なっている。その他の点は、第1実施形態に係る窒化物半導体装置1と同様である。
以下、第2実施形態に係る窒化物半導体装置1Aのゲート部20Aの構造について説明する。
ゲート部20Aは、第2窒化物半導体層5上にエピタキシャル成長された窒化物半導体ゲート層6と、窒化物半導体ゲート層6上に形成された窒素を含む窒素含有層50と、窒素含有層51上に形成されたゲート絶縁膜7と、ゲート絶縁膜7上に形成されたゲート電極8とを含む。
窒化物半導体ゲート層6は、アクセプタ型不純物がドーピングされた窒化物半導体からなる。この実施形態では、窒化物半導体ゲート層6は、アクセプタ型不純物がドーピングされたGaN層(p型GaN層)からなっており、その厚さは10nm~100nm程度である。窒化物半導体ゲート層6の膜厚は、100nm以下であることが好ましい。この実施形態では、窒化物半導体ゲート層6の膜厚は、60nmである。
窒化物半導体ゲート層6に注入されるアクセプタ型不純物の濃度は、3×1017cm-3以上であることが好ましい。この実施形態では、アクセプタ型不純物は、Mg(マグネシウム)である。アクセプタ型不純物は、Fe等のMg以外のアクセプタ型不純物であってもよい。
窒素含有層50は、この実施形態では、窒化物半導体ゲート層6上に形成されたAlN膜51と、AlN膜51上に積層されたSiN膜との積層膜からなる。窒素含有層50の膜厚は、10nm以下であることが好ましい。この実施形態では、AlN膜51の膜厚は2nm程度あり、SiN膜52は5nm程度である。
ゲート絶縁膜7は、窒素含有層50の表面に接するように形成されている。ゲート絶縁膜7は、この実施形態では、SiOからなる。ゲート絶縁膜7の厚さは、3nm~30nm程度である。ゲート絶縁膜7の膜厚は、3nm以上であることが好ましい。この実施形態では、ゲート絶縁膜7の膜厚は、30nmである。ゲート絶縁膜7は、SiOの他、Al、SiN、SiON、AlN、AlON、HfO、HfN、HfON、HfSiON、AlON等から構成されてもよい。
ゲート電極8は、ゲート絶縁膜7の表面に接するように形成されている。ゲート電極8は、この実施形態では、TiN層から構成されており、その厚さは50nm~200nm程度である。ゲート電極8は、ソース電極用コンタクト孔11寄りに偏って配置されている。
この第2実施形態では、窒化物半導体ゲート層6上に窒素含有層50が形成され、その窒素含有層50上にゲート絶縁膜7が形成され、そのゲート絶縁膜7上にゲート電極8が形成されている。つまり、第2実施形態では、窒化物半導体ゲート層6とゲート電極8との間にゲート絶縁膜7が介在しているので、第1比較例に比べて、ゲートリーク電流を小さくすることができる。これにより、窒化物半導体ゲート層6が劣化しにくくなる。第2実施形態では、ゲートリーク電流は、1nA/mm以下である。
また、第2実施形態では、第1実施形態と同様な理由により、第1実施形態と同様な効果が得られる。すなわち、第2実施形態では、第1比較例に比べて閾値電圧Vthを高くすることができる。また、第2実施形態では、第1比較例に比べて、窒化物半導体ゲート層6を薄くすることが可能となるため、窒化物半導体ゲート層6の電解強度を低減でき、窒化物半導体ゲート層6の経時絶縁破壊(TDDB)が起こりにくくなる。
さらに、第2実施形態では、窒化物半導体ゲート層6上に窒素含有層50が形成されているので、ゲート絶縁膜7がSiO等のように酸素を含む絶縁膜から構成されている場合でも、閾値電圧Vthを安定させることができるという効果が得られる。以下、この点について説明する。
酸素を含む絶縁膜からなるゲート絶縁膜7を窒化物半導体ゲート層6の表面に接するように形成した場合、窒化物半導体ゲート層6が酸化し、窒化物半導体ゲート層6上にGa酸化膜が形成されるおそれがある。窒化物半導体ゲート層6上にGa酸化膜が形成されると、閾値電圧Vthが変動しやすくなる。
第2実施形態では、窒化物半導体ゲート層6上に窒素含有層50が形成されているので、窒化物半導体ゲート層6の酸化を抑制することができ、閾値電圧Vthを安定させることができる。より具体的には、窒化物半導体ゲート層6上に形成されたAlN膜51は、下地窒化物半導体(窒化物半導体ゲート層6)表面を再構成する界面制御層として作用する。AlN膜51上に形成されたSiN層52は、ゲート絶縁膜7が酸素原子を持つ物質の場合にプロセス中に生じるAlN膜51の酸化を抑制する酸化防止層として作用する。このようなAlN膜51およびSiN層52の働きによって、窒化物半導体ゲート層6とゲート絶縁膜7の間に良好な界面を形成することができる。
図12は、第2実施形態のゲート部の第1変形例を示す拡大断面図である。
図12のゲート部20Bは、窒化物半導体ゲート層6と、窒化物半導体ゲート層6上に形成された窒素含有層50Aと、窒素含有層50A上に形成されたゲート絶縁膜7と、ゲート絶縁膜7上に形成されたゲート電極8とを含む。図12のゲート部20Bは、図11のゲート部20Aに比べて、窒素含有層50Aの構成が異なっている。窒素含有層50Aは、窒化物半導体ゲート層6上に形成されたSiN膜の単膜から構成されている。この例では、窒素含有層50Aの膜厚は、2nm程度である。
図13は、第2実施形態のゲート部の第2変形例を示す拡大断面図である。
図13のゲート部20Cは、窒化物半導体ゲート層6と、窒化物半導体ゲート層6上に形成された窒素含有層50Bと、窒素含有層51上に形成されたゲート絶縁膜7と、ゲート絶縁膜7上に形成されたゲート電極8とを含む。図13のゲート部20Cは、図11のゲート部20Aに比べて、窒素含有層50Bの構成が異なっている。窒素含有層50Bは、窒化物半導体ゲート層6上に形成されたSiN膜53と、SiN膜53上に形成されたAlN膜54とから構成されている。この例では、SiN膜53の膜厚は、5nm程度であり、AlN膜54の膜厚は、2nm程度である。
以下において、図10に示される第2実施形態に係る窒化物半導体装置1Aに対して、窒素含有層50が設けられていない構成の窒化物半導体装置を第2比較例ということにする。また、図10に示される第2実施形態に係る窒化物半導体装置1Aを、第2実施例ということにする。
第2実施例および第2比較例に対して、温度が150℃の環境下で、ゲート電圧Vgを5Vに設定した場合と-3Vに設定した場合の2種類の高温ゲートバイアス試験(HTGB : High Temperature Gate Bias test)を行い、閾値電圧Vthの変化量ΔVthを測定した。高温ゲートバイアス試験とは、高温下でソース・ドレイン間をショートさせた状態でゲートのみにバイアスを印可する試験である。
高温ゲートバイアス試験の開始前および開始後の所定の複数のタイミングにおいて、閾値電圧Vthを測定し、試験開始前に測定した閾値電圧Vthからの閾値電圧Vthの変化量ΔVthを測定した。ただし、ドレインゲート電圧Vdが0.1Vでドレイン電流Idが100μAのときをHEMTのオン状態と定義して、そのときゲート・ソース間電圧Vgsを閾値電圧Vthとした。
図14は、ゲート電圧Vgを5Vに設定した場合の高温ゲートバイアス試験結果を示すグラフである。図15は、ゲート電圧Vgを-3Vに設定した場合の高温ゲートバイアス試験結果を示すグラフである。図14および図15において、”SiO2 only”は第2比較例を示し、” AlN/SiN/ SiO2”は第2実施例を示している。
図14および図15から、第2実施例では、ゲート電圧Vgを5Vである場合および-3Vである場合の両方において、閾値電圧Vthの変化量ΔVthが小さいことがわかる。
以上、この発明の第1および第2実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、第1窒化物半導体層(電子走行層)4がGaN層からなり、第2窒化物半導体層(電子供給層)5がAlGaN層からなる例について説明したが、第1窒化物半導体層4と第2窒化物半導体層5とはバンドギャップ(例えばAl組成)が異なっていればよく、他の組み合わせも可能である。たとえば、第1窒化物半導体層4/第2窒化物半導体層5の組み合わせとしては、GaN/AlN、AlGaN/AlNなどを例示できる。
また、前述の第1および第2実施形態では、基板2の材料例としてシリコンを例示したが、ほかにも、サファイア基板やGaN基板などの任意の基板材料を適用できる。
また、前述の第1および第2実施形態では、ゲート電極7を窒化物半導体ゲート層6に接合させたとすると、それらがショットキー接合するような材料からゲート電極7が構成されている場合について説明した。しかし、ゲート電極7を窒化物半導体ゲート層6に接合させたとすると、それらがオーミック接合するような材料からゲート電極7が構成されている場合にも、この発明を適用することができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1,1A 窒化物半導体装置
2 基板
3 バッファ層
3A 第1バッファ層
3B 第2バッファ層
4 第1窒化物半導体層
5 第2窒化物半導体層
20,20A,20B,20C ゲート部
6 窒化物半導体ゲート層
7 ゲート絶縁膜
8 ゲート電極
9 パッシベーション膜
10 バリアメタル膜
11 ソース電極用コンタクト孔
12 ドレイン電極用コンタクト孔
13 ソース電極
14 ドレイン電極
13A,14A 下層
13B,14B 中間層
13C,14C 上層
15 層間絶縁膜
16 二次元電子ガス
31 ゲート層材料膜
32 絶縁材料膜
33 ゲート電極膜
34 レジスト膜
35 ソース・ドレイン電極膜
50,50A,50B 窒素含有層

Claims (19)

  1. 電子走行層を構成する第1窒化物半導体層と、
    前記第1窒化物半導体層上に形成され、前記第1窒化物半導体層よりもバンドギャップ
    が大きく、電子供給層を構成する第2窒化物半導体層と、
    前記第2窒化物半導体層上に配置されたゲート部と、
    前記ゲート部を覆うように形成されたパッシベーション膜と、
    前記第2窒化物半導体層の表面に沿う方向において、前記ゲート部を挟むように配置されたソース電極およびドレイン電極とを含み、
    前記ゲート部は、
    前記第2窒化物半導体層上に配置されかつアクセプタ型不純物を含む窒化物半導体ゲート層と、
    前記窒化物半導体ゲート層上に形成されたゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とを含み、
    前記ソース電極は、前記ゲート部および前記パッシベーション膜を覆うように形成され、前記ゲート部を超えて前記ドレイン電極と対向するように配置されており、
    ゲートリーク電流が、1nA/mm以下である、窒化物半導体装置。
  2. 前記ゲート絶縁膜が、SiN、SiO、SiON、Al、AlN、AlON、HfO、HfN、HfON、HfSiONおよびAlONのうちから選択された1つから構成されている、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
  3. 前記ゲート絶縁膜は、SiNからなる、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
  4. 前記窒化物半導体ゲート層の膜厚は100nm以下であり、
    前記ゲート絶縁膜の膜厚は3nm以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
  5. 前記第1窒化物半導体層における前記第2窒化物半導体層とは反対側に配置され、バッファ層を構成する第3窒化物半導体層をさらに有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
  6. 前記窒化物半導体ゲート層と前記ゲート絶縁膜との界面の炭素濃度は、1×1013cm-2以下である、請求項1に記載の窒化物半導体装置。
  7. 前記第1窒化物半導体層はGaN層からなり、前記第2窒化物半導体層はAlGaN層からなり、前記窒化物半導体ゲート層はp型GaN層からなる、請求項1~6のいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
  8. 前記第1窒化物半導体層はGaN層からなり、前記第2窒化物半導体層はAlGaN層からなり、前記窒化物半導体ゲート層はp型GaN層からなり、第3窒化物半導体層がAlGaN層からなる、請求項5に記載の窒化物半導体装置。
  9. 前記アクセプタ型不純物は、マグネシウムまたは鉄である、請求項7または8に記載の窒化物半導体装置。
  10. 電子走行層を構成する第1窒化物半導体層と、
    前記第1窒化物半導体層上に形成され、前記第1窒化物半導体層よりもバンドギャップが大きく、電子供給層を構成する第2窒化物半導体層と、
    前記第2窒化物半導体層上に配置されたゲート部と、
    前記ゲート部を覆うように形成されたパッシベーション膜と、
    前記第2窒化物半導体層の表面に沿う方向において、前記ゲート部を挟むように配置されたソース電極およびドレイン電極とを含み、
    前記ゲート部は、
    前記第2窒化物半導体層上に配置されかつアクセプタ型不純物を含む窒化物半導体ゲート層と、
    前記窒化物半導体ゲート層上に形成された窒素を含む窒素含有層と、
    前記窒素含有層上に配置されたゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極とを含み、
    前記ソース電極は、前記ゲート部および前記パッシベーション膜を覆うように形成され、前記ゲート部を超えて前記ドレイン電極と対向するように配置されており、
    ゲートリーク電流が、1nA/mm以下である、窒化物半導体装置。
  11. 前記窒素含有層の厚さが10nm以下である、請求項10に記載の窒化物半導体装置。
  12. 前記窒素含有層が、AlN膜若しくはSiN膜の単膜またはAlN膜およびSiN膜の積層膜からなる、請求項10または11に記載の窒化物半導体装置。
  13. 前記窒素含有層が、前記窒化物半導体ゲート層上に形成されたAlN膜と、前記AlN膜上に形成されたSiN膜とからなる、請求項12に記載の窒化物半導体装置。
  14. 前記ゲート絶縁膜が酸素を含む絶縁膜からなる、請求項10~13のいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
  15. 前記ゲート絶縁膜が、Al膜またはSiO膜からなる、請求項14に記載の窒化物半導体装置。
  16. 前記パッシベーション膜上に形成されたバリアメタル膜を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
  17. 前記ソース電極および前記ソース電極の上面と、前記ソース電極および前記ソース電極の対向面とを覆う層間絶縁膜を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
  18. 前記ソース電極における前記ドレイン側の端面が、前記ゲート電極を覆っている前記パッシベーション膜における前記ドレイン側の端面と面一である、請求項1~17のいずれか一項に記載の窒化物半導体装置。
  19. 前記第3窒化物半導体層が、前記シリコン基板上に形成されたAlN膜と、前記AlN膜上に積層されたAlGaN膜とからなる、請求項5に記載の窒化物半導体装置。
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