JP7306837B2 - 嫌気処理システム及び嫌気処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、油脂含有排水を処理する嫌気処理システム及び嫌気処理方法に関するものである。
一般に、有機物を含む排水を処理する方法として、種々の微生物を利用した生物処理が知られている。特に、嫌気的な環境下での生物処理(以下、「嫌気処理」と呼ぶ)は、曝気動力が不要で、余剰汚泥がほとんど発生しないことなど、導入のメリットが高いことから広く用いられている。
一方、油脂含有排水の生物処理においては、油脂のような水難溶性物質は微生物で分解され難く、反応が進行しにくい。また、反応の過程で生成する高級脂肪酸等の遊離脂肪酸は、微生物の代謝を阻害することが知られている。したがって、油脂含有排水の生物処理においては、排水中の油脂を低減させることが必要となる。
特許文献1には、油脂などの汚濁物質を含有する排水(油脂含有排水)の処理において、嫌気性微生物を付着させた多孔性物質を分散配置した油脂吸着材に、油脂含有排水を通水し、油脂吸着材に吸着させた油脂を嫌気性微生物で消化分解する方法が記載されている。
特開平2-90997号公報
特許文献1に記載された処理方法では、配置した油脂吸着材の間を被処理水(油脂含有排水)が通水し、連続系で処理が行われる。しかし、微生物による油脂の分解は分解速度が遅く、十分な油脂分解が行われずに被処理水中に油脂が残留してしまうという問題がある。また、仮に処理槽内で油脂分解に優れる菌(油脂分解菌)が増殖しても、処理後に被処理水と共に系外に排出されてしまう。したがって、油脂含有排水の処理効率向上のために、処理系内で油脂分解菌を増殖させ、かつ処理系内に油脂分解菌を維持することが求められている。
一方、生物処理一般において、微生物を担体に付着させて保持したものを処理系内に維持することが広く行われている。しかし、油脂分解菌は増殖速度が遅く、油脂以外にも汚濁物質が存在する場合、油脂分解菌以外の菌が増殖する。このとき、担体への付着能力が高い油脂分解菌以外の菌が優先的に担体に付着し、油脂分解菌が担体に付着できずに流出するという問題がある。
本発明の課題は、油脂含有排水の嫌気処理において、油脂分解菌を増殖させ、かつ処理系内に維持することで油脂分解菌を有効利用し、油脂分解の性能を向上させることができる嫌気処理システム及び嫌気処理方法を提供することである。
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、油脂含有排水の嫌気処理において、凝集剤によって油脂分解菌を油脂吸着剤に強制的に付着させて固定し、この油脂分解菌が固定された油脂吸着剤を嫌気処理系内に備えることで、油脂分解菌を増殖させ、かつ処理系内に維持して油脂分解菌を有効利用し、油脂分解の性能向上が可能になることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の嫌気処理システム及び嫌気処理方法である。
上記課題を解決するための本発明の嫌気処理システムは、油脂含有排水を嫌気処理する嫌気処理システムにおいて、凝集剤により油脂分解菌が固定された油脂吸着剤を嫌気処理系内に備えるという特徴を有する。
本発明の嫌気処理システムによれば、凝集剤によって油脂分解菌と油脂吸着剤を強制的に付着させ、油脂吸着剤から油脂分解菌が流出することを抑制することが可能となる。また、油脂含有排水中の油脂が油脂吸着剤に吸着することで、油脂分解菌の増殖を促進し、かつ油脂分解菌による油脂分解を促進することができる。
また、本発明の嫌気処理システムの一実施態様としては、油脂吸着剤は、活性炭であるという特徴を有する。
この特徴によれば、微生物の付着能及び油脂吸着能に優れるという活性炭の特性に加え、活性炭が有する微生物の電気共生反応促進効果も得られるため、油脂分解菌の増殖の促進化及び油脂分解の効率化をより一層図ることが可能となる。
また、本発明の嫌気処理システムの一実施態様としては、嫌気処理系内に、破砕機を設けるという特徴を有する。
この特徴によれば、処理系内に存在するグラニュールなどの微生物の造粒物を破砕することで、油脂吸着剤への固定化に適したサイズに調整することができる。これにより、グラニュールに含まれる油脂分解菌を有効活用することができ、油脂分解菌の増殖の促進化及び油脂分解の効率化をより一層図ることが可能となる。
また、上記課題を解決するための本発明の嫌気処理方法は、油脂含有排水を嫌気処理する嫌気処理方法において、凝集剤により油脂吸着剤に油脂分解菌を固定するステップと、油脂吸着剤に固定された油脂分解菌で油脂含有排水を処理するステップとを備えるという特徴を有する。
本発明の嫌気処理方法によれば、凝集剤によって油脂分解菌と油脂吸着剤を強制的に付着させ、油脂吸着剤から油脂分解菌が流出することを抑制することが可能となる。また、油脂含有排水の処理において、油脂含有排水中の油脂が油脂吸着剤に吸着することで、油脂分解菌の増殖が促進され、かつ油脂分解菌による油脂の分解を促進することができる。
また、本発明の嫌気処理方法の一実施態様としては、油脂吸着剤に固定される油脂分解菌の粒径を調整するステップをさらに備えるという特徴を有する。
この特徴によれば、処理系内に存在するグラニュールなどの微生物の造粒物を、油脂吸着剤への固定化に適したサイズに調整することができる。これにより、グラニュールに含まれる油脂分解菌を有効活用することができ、油脂分解菌の増殖の促進化及び油脂分解の効率化をより一層図ることが可能となる。
本発明によると、油脂含有排水の嫌気処理において、油脂分解菌を増殖させ、かつ処理系内に維持することで油脂分解菌を有効利用し、油脂分解の性能を向上させることができる嫌気処理システム及び嫌気処理方法を提供することができる。
本発明の第1の実施態様に係る嫌気処理システムの概略説明図である。 本発明の第1の実施態様に係る嫌気処理システムの別の一態様を示す概略説明図である。 本発明の第1の実施態様の嫌気処理システムに係る処理剤の概略説明図である。 本発明の第2の実施態様に係る嫌気処理システムの概略説明図である。
本発明の嫌気処理システム及び嫌気処理方法は、油脂含有排水の嫌気処理において好適に利用されるものである。
処理対象である油脂含有排水とは、水中に油脂分を含有する有機性の排水を示し、主に惣菜加工工場排水、菓子類製造工場排水、食用油製造工場排水等が挙げられる。また、油分を含有する有機性の排水であればよく、下水排水、牛や豚の畜舎排水等で油分を含有する汚泥も含まれる。
また、排水中に含まれる油脂は水に難溶性の物質であり、具体例としては、動物性油脂、植物性油脂、脂肪酸、炭化水素、芳香油、高級アルコール、界面活性剤等が挙げられる。これらの油脂は、水中にSS(Suspended Solid)として固体状態で存在してもよく、または水中に乳化分散した液体状態や水と分離した状態で存在するものであってもよい。
なお、処理対象である油脂含有排水中に含まれる油脂の量は特に限定されないが、油脂分解菌の増殖には、油脂分解菌にとっての栄養源(エネルギー源及び炭素源)である油脂が一定量あることが好ましい。したがって、油脂含有排水に含まれる油脂の量は、例えば、30mg/L以上であることが好ましい。これにより、処理系内で油脂分解菌が増殖するのに必要な栄養源を確保することが可能となる。
油脂含有排水の嫌気処理としては、例えば、酸生成菌及びメタン生成菌によるメタン発酵や、脱窒菌により硝酸・亜硝酸の還元を行う脱窒処理や、硫酸還元菌により硫酸の還元を行う硫酸還元処理等が挙げられる。処理コストや生成ガスの有用性の観点から、嫌気処理としてはメタンを生成するメタン発酵が特に好ましい。
以下、図面を参照しつつ本発明に係る嫌気処理システム及び嫌気処理方法の実施態様を詳細に説明する。なお、本発明の嫌気処理方法については、以下の嫌気処理システムの構成及び作動の説明に置き換えるものとする。また、この実施態様は、本発明に係る嫌気処理システム及び嫌気処理方法を説明するために例示したにすぎず、これに限定されるものではない。
〔第1の実施態様〕
図1は、本発明の第1の実施態様の嫌気処理システムの概略説明図である。
本実施態様に係る嫌気処理システム1aは、図1に示すように、油脂含有排水WOを導入して嫌気処理を行う嫌気処理槽10と、凝集剤によって油脂分解菌が固定された油脂吸着剤A(以下、「処理剤A」という。)を備えている。また、本実施態様の嫌気処理システム1aは、処理剤Aを備えるにあたり、処理剤Aを形成する処理剤形成部20として、凝集剤31を添加する凝集剤添加部30と、油脂分解菌41を添加する油脂分解菌添加部40と、油脂吸着剤51を添加する油脂吸着剤添加部50を有するものである。さらに、嫌気処理槽10に対して油脂含有排水WOを導入するための導入配管であるラインL1と、嫌気処理槽10から排出される処理水Wを処理系外に排出するための排出配管であるラインL2を有している。なお、図1の太線で示した矢印は水の流れを示すものである。
嫌気処理槽10は、油脂含有排水WOを嫌気処理するための反応槽である。図1に示すように、ラインL1を介して油脂含有排水WOが嫌気処理槽10に供給される。嫌気処理槽10では、内部に収容する微生物により、油脂含有排水WO中に含まれる成分の分解あるいは還元が行われる。嫌気処理後の処理水Wは、ラインL2を介して嫌気処理槽10から排出される。なお、嫌気処理槽10は、嫌気的条件の維持のために、天井を有し、閉じた空間を形成していることが好ましい。
嫌気処理槽10における嫌気処理としてメタン発酵を行う場合について説明する。
嫌気処理槽10でメタン発酵を行う場合、嫌気処理槽10内部に収容する酸生成菌により、油脂含有排水WO中の糖、蛋白質及び油分などの固体や高分子有機物を分解して、単糖類、アミノ酸、低級脂肪酸及び酢酸を生成する酸生成工程と、嫌気処理槽10内部に収容するメタン生成菌により、油脂含有排水WO中の単糖類、アミノ酸、低級脂肪酸及び酢酸等からメタンを生成するメタン生成工程により、メタン発酵が進行する。
本実施態様における嫌気処理槽10は、嫌気処理を行う反応槽であればよい。また、図1には、1つの反応槽のみを記載しているが、これに限定されるものではない。例えば、嫌気処理槽10は、酸生成工程とメタン生成工程を1つの槽内で行う反応槽であってもよく、酸生成工程またはメタン生成工程のいずれか1つを行う反応槽であってもよい。また、酸生成工程とメタン生成工程を別々の槽で行う複数の反応槽からなるものであってもよい。なお、酸生成工程とメタン生成工程を別々の槽で行う複数の反応槽からなるものについては、他の実施態様として後述する。
嫌気処理槽10は、さらに付帯する各種設備を設けることができる。例えば、嫌気処理槽10に、内部の水温調整手段、pH調整剤の投入手段、微生物が必要とする栄養源である窒素、リン、コバルト及びニッケル等の金属類を添加する手段を備えたものとしてもよい。特に、嫌気処理として酸生成菌及びメタン生成菌によるメタン発酵を行う場合、嫌気処理槽10に付帯する設備として、メタンガスの回収、精製及び貯留を行う手段を備えるものとすることが好ましい。
なお、本実施態様において、嫌気処理として酸生成菌及びメタン生成菌によるメタン発酵について説明したが、これに限定されるものではなく、他の微生物による嫌気処理を行うものとしてもよい。
本実施態様の処理剤Aは、油脂含有排水中の油脂の分解を行うためのものであり、嫌気処理系内に備えられるものである。なお、嫌気処理系内とは、嫌気処理を伴う処理システム全体を指し、嫌気処理槽10のみを指すものではない。例えば、嫌気処理槽20に油脂含有排水WOを導入する導入配管であるラインL1などの配管等も含まれる。
また、本実施態様の処理剤Aは、凝集剤31により油脂分解菌41と油脂吸着剤51が強制的に付着しているものである。本実施態様の処理剤Aは、処理剤形成部20(凝集剤添加部30、油脂分解菌添加部40、及び油脂吸着剤添加部50)により、凝集剤31と油脂分解菌41と油脂吸着剤51とを混合することで形成されるものである。
通常、油脂含有排水の嫌気処理において油脂分解菌を利用する場合、油脂分解菌以外の微生物も存在している。したがって、従来法のように油脂分解菌と担体のみを混合しても、油脂分解菌以外の微生物のほうが担体に対する付着能力に優れていれば、油脂分解菌は担体に付着・保持されずに処理系外に流出してしまう。仮に、油脂分解菌が増殖しても、他の微生物が既に担体に付着しているため、増殖した分の油脂分解菌は担体に付着・保持されずに処理系外に流出してしまうことになる。また、油脂分解菌と担体が付着しても、処理槽内の水流などの外的要因により、担体から油脂分解菌が流出してしまうという問題があった。
一方、本実施態様の処理剤Aは、凝集剤31により油脂分解菌41を油脂吸着剤51に対して強固に付着させ、保持するものである。これにより、油脂分解菌41の油脂吸着剤51への付着能力にかかわらず、油脂分解菌41は油脂吸着剤51に保持されるため、増殖した油脂分解菌41も含め、処理系外への流出を抑制することが可能となる。また、油脂吸着剤51を用いることで、油脂分解菌41の栄養源となる油脂が常に油脂分解菌41に供給される環境が形成されるため、油脂分解菌41の増殖を促進することが可能となる。
以下、本実施態様における処理剤形成部20として、凝集剤31を添加する凝集剤添加部30と、油脂分解菌41を添加する油脂分解菌添加部40と、油脂吸着剤51を添加する油脂吸着剤添加部50について、より詳細に説明する。
凝集剤添加部30は、凝集剤31を添加して、油脂分解菌41と油脂吸着剤51を強固に付着させるためのものである。
凝集剤添加部30は、油脂分解菌41と油脂吸着剤51の混合物に凝集剤31を添加することができれば、どの位置に設置してもよい。例えば、図1に示すように、ラインL1上において、油脂分解菌添加部40と油脂吸着剤添加部50の後段に設けるものとすることが挙げられる。また、その他の態様として、嫌気処理槽10に対して直接設けるものとすることなどが挙げられる。
凝集剤添加部30の具体的な構造としては、凝集剤31を添加することができるものであれば特に限定されない。例えば、図1に示すように、凝集剤31を貯留する貯留槽32から、添加量を制御するための構造(バルブ等)を有した配管33を介して凝集剤31を添加するものが挙げられる。なお、凝集剤31の添加量の制御は、手動又は自動のいずれであってもよい。例えば、油脂分解菌41と油脂吸着剤51の添加量に応じ、凝集剤31の添加量を自動制御するものとしてもよい。
凝集剤31としては、無機凝集剤、高分子凝集剤のいずれでもよく、特に制限されない。なお、油脂分解菌41などの微生物への影響を抑制するために、排水処理において一般に用いられているものが好ましい。
無機凝集剤としては、例えば、ポリ硫酸第二鉄、塩化第二鉄、ポリシリカ鉄、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等が挙げられる。
また、高分子凝集剤としては、例えば、ポリアミノアルキルメタクリレート、ポリエチレンイミン、ハロゲン化ポリジアリルアンモニウム、キトサン、尿素-ホルマリン樹脂等のカチオン性高分子凝集剤、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド部分加水分解物、部分スルホメチル化ポリアクリルアミド、ポリ(2-アクリルアミド)-2-メチルプロパン硫酸塩等のアニオン性高分子凝集剤、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド等のノニオン性高分子凝集剤、アクリルアミドとアミノアルキルメタクリレートとアクリル酸ナトリウムの共重合体等の両性高分子凝集剤が挙げられる。
なお、本実施態様における凝集剤31としては、油脂分解菌41を油脂吸着剤51に付着させるため、油脂分解菌41及び油脂吸着剤51の種類や大きさによらず凝集させることが可能となるように、高分子凝集剤を使用することが好ましい。また、油脂分解菌41及び油脂吸着剤51の種類や所望する凝集状態に応じて、無機凝集剤と高分子凝集剤を併用してもよい。
油脂分解菌添加部40は、油脂分解菌41を嫌気処理系内に添加し、油脂吸着剤51と混合するためのものである。
油脂分解菌添加部40は、油脂分解菌41を嫌気処理系内に添加するとともに、油脂吸着剤51と混合することができれば、どの位置に設置してもよい。例えば、図1に示すように、ラインL1上において、凝集剤添加部30及び油脂吸着剤添加部50の前段に設けるものとすることが挙げられる。なお、図1においては油脂分解菌添加部40が油脂吸着剤添加部50の前段に設けられているが、油脂分解菌添加部40と油脂吸着剤添加部50の配置を逆とするものであってもよい。また、その他の態様として、嫌気処理槽10に対して直接設けるものとすることなどが挙げられる。
油脂分解菌添加部40の具体的な構造としては、油脂分解菌41を添加することができるものであれば特に限定されない。例えば、図1に示すように、油脂分解菌41を貯留する貯留槽42から、添加量を制御するための構造(バルブ等)を有した配管43を介して油脂分解菌41を添加するものが挙げられる。なお、油脂分解菌41の添加量の制御は、手動又は自動のいずれであってもよい。例えば、油脂含有排水WOに含まれる油脂の量に応じ、油脂分解菌41の添加量を自動制御するものとしてもよい。
油脂分解菌41としては、油脂を分解できる能力を有する微生物であればよく、特に制限されない。例えば、既知の油脂分解菌としてBurkholderia属細菌、Pseudomonas属細菌、Rhodococcus属細菌、Acinetobacter属細菌、Bacillus属細菌、Enterobacter属細菌、Syntrophomonas属細菌、Microcossus属細菌、Alcanivorax属細菌などが挙げられる。
油脂分解菌41として単離された菌を用いる場合、取り扱い容易性や入手容易性の観点から、微生物製剤として入手可能であるものを用いることが好ましい。また、油脂分解菌41としては、1種類の菌を用いてもよく、複数の菌が混合された複合微生物として用いるものとしてもよい。
また、油脂分解菌41は、単離された菌(微生物製剤)以外のものを用いてもよい。例えば、本実施態様の嫌気処理槽10では、油脂分解を伴う油脂含有排水の処理を行うことにより、油脂分解菌が増殖するため、嫌気処理槽10内の汚泥中には油脂分解菌が含まれている。したがって、嫌気処理槽10から排出される汚泥を、本実施態様の油脂分解菌41として用いるものとしてもよい。嫌気処理槽10内の汚泥中に含まれる油脂分解菌は、処理対象である油脂含有排水中の油脂の分解に適したものが増殖していることから、本実施態様の油脂分解菌41として特に好適に利用することができる。
なお、汚泥を油脂分解菌41として用いる場合、嫌気処理槽10から排出される汚泥に限定されるものではない。例えば、嫌気処理システム1aの立ち上げ時など、嫌気処理槽10において油脂分解菌41が十分に増殖していない場合、他の生物処理槽から排出される汚泥を油脂分解菌41として用いるものとしてもよい。
図2は、本実施態様における油脂分解菌添加部40の別の態様を示す概略説明図である。
油脂分解菌添加部40の別の態様としては、図2に示すように、嫌気処理槽10から排出される汚泥を返送する返送ライン44を設け、返送ライン44はラインL1側に延伸するものである。これにより、嫌気処理槽10から排出される汚泥を油脂分解菌41として循環させて有効活用することが可能となる。なお、返送ライン44の延伸先は、ラインL1側に限定されるものではない。例えば、凝集剤添加部30及び油脂吸着剤添加部50による凝集剤31と油脂吸着剤51の添加箇所に応じて、返送ライン44の延伸先を選択するものとしてもよい。
また、返送ライン44は、汚泥の返送量を可変する制御機構を設けるものとしてもよい。これにより、油脂分解菌41の添加量を処理効率に応じて適切に制御することが可能となる。
ここで、返送ライン44と配管43はどちらか片方を設けるものとしてもよく、両方を設けることとしてもよい。
返送ライン44と配管43の両方を設けた場合、返送ライン44及び配管43から別々に油脂分解菌41を供給することができるため、油脂分解処理効率の低減を防ぐことが可能となる。一方、返送ライン44と配管43のいずれか片方を設けた場合、嫌気処理システム1aを簡素化することができる。
油脂吸着剤添加部50は、油脂吸着剤51を嫌気処理系内に添加し、油脂分解菌41と混合するためのものである。
油脂吸着剤添加部50は、油脂吸着剤51を嫌気処理系内に添加するとともに、油脂分解菌41と混合することができれば、どの位置に設置してもよい。例えば、図1に示すように、ラインL1上において、油脂分解菌添加部40の後段、かつ凝集剤添加部30の前段となるように設けるものとすることが挙げられる。なお、図1においては油脂吸着剤添加部50が油脂分解菌添加部40の後段に設けられているが、油脂分解菌添加部40と油脂吸着剤添加部50の配置を逆とするものであってもよい。また、その他の態様として、嫌気処理槽10に対して直接設けるものとすることなどが挙げられる。
油脂吸着剤添加部50の具体的な構造としては、油脂吸着剤51を添加することができるものであれば特に限定されない。例えば、図1に示すように、油脂吸着剤51を貯留する貯留槽52から、添加量を制御するための構造(バルブ等)を有した配管53を介して油脂吸着剤51を添加するものが挙げられる。なお、油脂吸着剤51の添加量の制御は、手動又は自動のいずれであってもよい。例えば、油脂含有排水に含まれる油脂の量や油脂分解菌41の添加量に応じ、油脂吸着剤51の添加量を自動制御するものとしてもよい。
油脂吸着剤51としては、油脂を吸着するものであれば特に限定されない。具体的な材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸アルキル、ポリメタクリル酸アルキル、ポリエステル、ポリウレタン等のポリマー材料、ガラス、珪藻土、シラス、活性炭、木炭、ゼオライト、天然セルロース等が挙げられる。
また、油脂吸着剤51としては、油脂含有排水WOとの接触面積が大きく、油脂の吸着や油脂分解菌41の付着の容易性から、多数の細孔を有する多孔質体であることが好ましい。
なお、油脂吸着剤51としては活性炭を用いることが特に好ましい。活性炭の特性として、多孔質体であるため、微生物を付着させる能力及び油脂吸着能力に優れるということに加え、微生物間の電気共生を誘発して共生反応を促進するという微生物の電気共生反応促進効果を有することが知られている。これにより、油脂分解菌の増殖の促進化及び油脂分解の効率化を図ることが可能となる。
また、油脂吸着剤51の形状についても特に限定されない。例えば、微粒子として用いるものであってもよく、成形体として用いるものであってもよい。成形体の形状としては、例えば、球状、ペレット状、ハニカム状、小円筒状、チューブ状、立方体状、直方体状等が挙げられる。また、複数の形状を組み合わせるものであってもよい。
また、油脂吸着剤51の大きさについても特に限定されない。入手容易性、油脂の吸着効率や油脂分解菌41の付着効率を考慮して適宜選択することができる。例えば、油脂吸着剤51としては粒径1mm以上とすることが好ましく、粒径3mm以上とすることがより好ましい。これにより、本実施態様の油脂吸着剤51は、油脂の吸着能力と油脂分解菌41を付着させる能力において、油脂含有排水WOの処理に対して必要十分な能力を備えるものとすることが可能となる。
上述した凝集剤添加部30、油脂分解菌添加部40、及び油脂吸着剤添加部50により、凝集剤31と油脂分解菌41と油脂吸着剤51とが混合されることで、凝集剤31により油脂吸着剤51に油脂分解菌41が固定され、処理剤Aが形成される。
凝集剤31と油脂分解菌41と油脂吸着剤51の混合は、図1に示すように、処理剤形成部20(凝集剤添加部30、油脂分解菌添加部40、及び油脂吸着剤添加部50)を設けたラインL1内で行われるものや、嫌気処理槽20内で行われるものが挙げられる。なお、凝集剤31と油脂分解菌41と油脂吸着剤51の混合効率を上げるために、ラインL1内や嫌気処理槽20内に撹拌機構を設けるものとしてもよい。
また、凝集剤31と油脂分解菌41と油脂吸着剤51の混合に係る処理剤形成部20の構造については、上述した内容に限定されない。
例えば、ラインL1上に油脂含有排水WOを一時的に貯留する前処理槽を設け、凝集剤添加部30、油脂分解菌添加部40、及び油脂吸着剤添加部50から、それぞれ凝集剤31、油脂分解菌41、及び油脂吸着剤51を前処理槽内に添加するものとしてもよい。また、前処理槽内には撹拌機構を設けるものとしてもよい。前処理槽内で凝集剤31、油脂分解菌41、油脂吸着剤51の混合を行い、処理剤Aを形成した後、ラインL1を介し、処理剤Aが嫌気処理槽10に導入される。前処理槽を設け、凝集剤31、油脂分解菌41、油脂吸着剤51をバッチ式で混合することにより、混合効率を高めることができ、処理剤Aの形成効率を上げることが可能となる。
また、他の例として、前処理槽を設ける代わりに、ラインL1に分岐ラインを設け、分岐ラインに対して凝集剤添加部30、油脂分解菌添加部40、及び油脂吸着剤添加部50から、それぞれ凝集剤31、油脂分解菌41、及び油脂吸着剤51を添加するものとしてもよい。また、このとき、分岐ラインの油脂含有排水WOの流速をラインL1の油脂含有排水WOの流速よりも遅くするものとしてもよい。これにより、凝集剤31、油脂分解菌41、油脂吸着剤51の混合効率を高め、処理剤Aの形成効率を上げることが可能となる。
また、処理剤形成部20の別の態様として、凝集剤添加部30及び油脂吸着剤添加部50により、凝集剤31及び油脂吸着剤51を嫌気処理槽10に直接添加し、嫌気処理槽10内の汚泥を油脂分解菌41として、処理剤Aが嫌気処理槽10内で形成される場合、油脂分解菌添加部40の構造を省略するものとしてもよい。これにより、嫌気処理システム1aを簡易な構造とすることができる。
処理剤形成部20により形成される処理剤Aは、凝集剤31により油脂吸着剤51に油脂分解菌41が固定されたものであればよく、油脂分解菌41と油脂吸着剤51の大きさの相関関係については特に限定されない。
図3は、処理剤Aを模式的に示した概略説明図である。
例えば、図3Aに示すように、油脂分解菌41よりも油脂吸着剤51のほうが大きく、油脂吸着剤51を核とした周囲に油脂分解菌41が付着し、凝集剤31により固定化されるものが挙げられる。また、他の例として、図3Bに示すように、油脂分解菌41と油脂吸着剤51が略同じ大きさであり、油脂分解菌41と油脂吸着剤51が、凝集剤31により一体的に固定化されるものが挙げられる。
なお、油脂含有排水WO中の油脂と油脂分解菌41の接触効率を高め、油脂分解菌41による油脂の分解効率を高めるために、油脂分解菌41の大きさは小さい方が好ましい。したがって、図3Aに示すように、油脂吸着剤51を核とした周囲に油脂分解菌41を付着させ、凝集剤31によって固定化させることがより好ましい。
処理剤Aを嫌気処理系内に備えることで、油脂分解菌41が処理系外に流出することを抑制した状態で、油脂含有排水WO中の油脂の分解を継続して行うことが可能となる。また、処理剤A中の油脂吸着剤51により、油脂含有排水WOから油脂を吸着除去することができるとともに、油脂吸着剤51に吸着した油脂は、油脂分解菌41の栄養源として利用することができる。これにより、油脂分解菌41の増殖及び油脂分解菌41による油脂分解を推進することが可能となる。
本実施態様の処理剤Aは、油脂分解菌41の流出がなく、かつ油脂分解菌41の増殖が促進されるものである。また、油脂吸着剤51に吸着した油脂も油脂分解菌41により分解されるため、油脂吸着剤51の油脂吸着能力の低下が起こらないものである。したがって、処理剤Aは、一度形成されれば、継続して油脂含有排水WOの処理を行うことができるものである。
しかし、油脂含有排水WOの処理を継続して行う過程で、処理剤A同士の接触などにより、油脂吸着剤51が摩耗し、処理剤Aの機能が低下する可能性がある。
したがって、処理剤Aを形成する処理剤形成部20は、定期的に作動させるものとしてもよい。これにより、処理剤Aを常に嫌気処理系内に備えることが可能となる。
また、嫌気処理槽10内の処理効率やラインL2からの処理水Wの水質などを監視する監視機構を設け、監視機構により嫌気処理槽10内の処理効率低下や処理水Wの水質低下などが検知され、処理剤Aの機能が低下していると判断された場合、処理剤形成部20により処理剤Aを形成するものとしてもよい。これにより、必要に応じて適切な量の処理剤Aを形成し、嫌気処理系内に供給することが可能となる。
以上のように、凝集剤によって油脂分解菌と油脂吸着剤を強制的に付着させた処理剤を形成することで、油脂吸着剤から油脂分解菌が流出することを抑制し、処理系外への流出を抑制することが可能となる。また、この処理剤を用いて油脂含有排水の処理を行うことにより、油脂分解菌による油脂分解を安定して継続することが可能となる。さらに、油脂含有排水中の油脂が処理剤の油脂吸着剤に吸着することで、油脂分解菌の増殖を促進し、かつ油脂分解菌による油脂分解を促進することができるという効果を奏する。
〔第2の実施態様〕
図4は、本発明の第2の実施態様の嫌気処理システム1bの概略説明図である。
本実施態様に係る嫌気処理システム1bは、図4に示すように、第1の実施態様の嫌気処理システム1aにおける嫌気処理槽10として、酸生成槽11とメタン発酵槽12を備えるものである。なお、酸生成槽11とメタン発酵槽12はラインL3により接続されている。
また、第1の実施態様における油脂分解菌添加部40に、油脂分解菌41の粒径を調整する粒径調整部46をさらに設け、油脂吸着剤51に付着させる油脂分解菌41の粒径制御を可能とするものである。
なお、本実施態様における嫌気処理システム1bの構成のうち、第1の実施態様の嫌気処理システム1aの構成と同じものについては、説明を省略する。
酸生成槽11は、ラインL1により供給される油脂含有排水WOに対し、内部に収容する酸生成菌(主として嫌気性の酸生成菌)により、糖、蛋白質及び油分などの固体や高分子有機物を分解して、単糖類、アミノ酸、低級脂肪酸及び酢酸を生成する酸生成工程を行うものである。酸生成槽11で処理された被処理水W1は、ラインL3を介してメタン発酵槽12へ供給される。なお、酸生成槽11は、内部の水温調整手段、pH調整剤の投入手段、菌が必要とする栄養源である窒素、リン、コバルト及びニッケル等の金属類を添加する手段を備えたものとしてもよい(不図示)。
メタン発酵槽12は、ラインL3により供給される酸生成槽11で処理された被処理水W1に含まれる低級脂肪酸からメタンを生成するメタン発酵工程を行うものである。メタン発酵工程は、浮遊法、固定床法、流動床法、UASB(Upflow Anaerobic Sludge Blanket)法、EGSB(Expanded Granular Sludge Bed)法等により保持されたメタン生成菌により溶存酸素のない嫌気性雰囲気で行うものである。
メタン発酵槽12には、図4に示すように、嫌気処理に適した嫌気性菌が存在するグラニュール層13が形成される。そして、酸生成槽11から被処理水W1がラインL3を介してメタン発酵槽12内に導入されると、グラニュール層13に含まれる嫌気性菌によってメタン発酵が行われる。その結果、メタン発酵槽12内では、メタン及び二酸化炭素を主成分とするガスが発生するとともに、処理水Wを生成する。なお、メタン発酵槽12の内部には気固液分離手段であるセトラー14が設けられていてもよい。メタン発酵槽12内で発生したガスは槽外に放出又は回収される(不図示)。また、メタン発酵槽12で生成された処理水WはラインL2を介して系外に排出される。
本実施態様において、処理剤Aを備え、処理剤Aによる油脂分解を行う箇所については、図4に示したラインL1から酸生成槽11、ラインL3、メタン発酵槽12、ラインL2までの一連の嫌気処理系内のいずれであってもよい。
例えば、図4に示すように、処理剤形成部20をラインL1上に設け、形成した処理剤Aを酸生成槽11に備え、処理剤Aによる油脂分解を行うものとすることが挙げられる。
また、他の例としては、処理剤形成部20を酸生成槽11に設け、形成した処理剤Aを酸生成槽11に備え、処理剤Aによる油脂分解を行うものとすることが挙げられる。さらに、その他の例としては、処理剤形成部20をラインL3上又はメタン発酵槽12に設け、形成した処理剤Aをメタン発酵槽12に備え、処理剤Aによる油脂分解を行うものとすることが挙げられる。
本実施態様においては、メタン発酵槽12内で油脂分解を伴う油脂含有排水WOの処理を行うことにより、油脂分解菌が増殖するため、グラニュール層13には油脂分解菌が含まれている。したがって、このグラニュール層13を形成するグラニュールを油脂分解菌41として用いることが好ましい。グラニュール層13中に含まれる油脂分解菌は、処理対象である油脂含有排水WO中の油脂の分解に適したものが増殖していることから、本実施態様の油脂分解菌41として特に好適に利用することができる。ここで、グラニュールとは、自己固定化作用(Self-immobilization)を利用した微生物塊であり、高い菌体濃度を有する直径0.3~3mm程度の微生物の造粒物である。
グラニュール層13のグラニュールを油脂分解菌41として用いる場合、図4に示すように、油脂分解菌添加部40としてメタン発酵槽12内のグラニュール層13からグラニュールを回収する回収ライン45を設けるものが挙げられる。また、メタン発酵槽12内上部に設けられたセトラー14近傍の水面に浮遊している固体分(グラニュールに相当)についても回収する回収ライン45を設けるものが挙げられる。なお、回収ライン45は1つであってもよく、複数設けるものとしてもよい。
グラニュール層13のグラニュールを油脂分解菌41として油脂分解菌添加部40から添加する場合、油脂吸着剤51よりも小さい粒径とし、油脂吸着剤51への付着を容易とするとともに、油脂分解菌41として油脂との接触効率が上がるようにすることが好ましい。
本実施態様の嫌気処理システム1bにおいては、油脂分解菌添加部40に、油脂分解菌41の粒径を調整する粒径調整部46をさらに設けている。
粒径調整部46は、油脂吸着剤51に付着させる油脂分解菌41の粒径制御を行うものである。これにより、油脂分解菌41を、油脂吸着剤51への固定化に適したサイズに調整することができる。
粒径調整部46は、油脂分解菌41として、汚泥やグラニュールのように微生物からなる造粒物のサイズを、微生物に影響を与えることなく調整できるものであれば特に限定されない。なお、粒径調整部46により、グラニュールのように粒径が数mm程度の微生物の造粒物を、1mm以下の粒子にすることができるものが好ましい。
粒径調整部46としては、例えば、破砕刃や撹拌機構等を用いた機械式破砕、篩(メッシュ)を通過させることによる篩い分けなどが挙げられる。
また、粒径調整部46は、油脂分解菌41と油脂吸着剤51の混合前に油脂分解菌41の粒径を調整することができれば、どの位置に設けるものとしてもよい。例えば、図4に示すように、回収ライン45上に設けるものが挙げられる。また、粒径調整部46を複数段設け、油脂分解菌41の粒径を段階的に調整するものとしてもよい。これにより、急激なサイズ調整により、油脂分解菌41に対して急激な環境変化による負荷をかけることなく、油脂分解菌41の粒径を調整することが可能となる。
以上のように、本実施態様における嫌気処理システム1bにより、処理系内に存在するグラニュールなどの微生物の造粒物の粒径を調整することで、油脂吸着剤への固定化に適したサイズとすることができる。また、本実施態様における嫌気処理システム1bにより、グラニュールに含まれる油脂分解菌を有効活用することができ、油脂分解菌の増殖の促進化及び油脂分解の効率化をより一層図ることが可能となる。
なお、上述した実施態様は嫌気処理システム及び嫌気処理方法の一例を示すものである。本発明に係る嫌気処理システム及び嫌気処理方法は、上述した実施態様に限られるものではなく、請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、上述した実施態様に係る嫌気処理システム及び嫌気処理方法を変形してもよい。
本発明の嫌気処理システムは、実施態様において例示した嫌気処理システムを組み合わせてなるものとしてもよい。
例えば、第2の実施態様の嫌気処理システムにおける粒径調整部を第1の実施態様の嫌気処理システムに組み合わせるものとしてもよい。これにより、嫌気処理槽内の汚泥を油脂分解菌として用いる際に、油脂吸着剤への付着に適したサイズとすることができる。
また、本実施態様の嫌気処理システム及び嫌気処理方法において、処理剤形成部を設けず、嫌気処理系外で調製した処理剤を用いるものとしてもよい。例えば、他の処理系統の嫌気処理システムにおいて形成された処理剤を回収し、本実施態様の嫌気処理システム及び嫌気処理方法に用いるものとしてもよい。これにより、本実施態様の嫌気処理システムの立ち上げ時などにおいて、凝集剤、微生物製剤、及び油脂吸着剤を添加することなく、安定した嫌気処理を低コストで行うことが可能となる。
本発明の嫌気処理システムは、油脂を含む排水の嫌気処理に利用される。特に、本発明の嫌気処理システムは、油脂を含む排水の嫌気処理において、グラニュールなどの微生物の造粒物を用いる嫌気処理に対して好適に利用される。
1a,1b 嫌気処理システム、10 嫌気処理槽、11 酸生成槽、12 メタン発酵槽、13 グラニュール層、14 セトラー、20 処理剤形成部、30 凝集剤添加部、31 凝集剤、32 貯留槽、33 配管、40 油脂分解菌添加部、41 油脂分解菌、42 貯留槽、43 配管、44 返送ライン、45 回収ライン、46 粒径調整部、50 油脂吸着剤添加部、51 油脂吸着剤、52 貯留槽、53 配管、L1~L3 ライン、A 処理剤、WO 油脂含有排水、W 処理水、W1 被処理水

Claims (5)

  1. 油脂含有排水を嫌気処理する嫌気処理システムにおいて、
    前記油脂含有排水に、凝集剤を添加する凝集剤添加部と、
    前記油脂含有排水に、油脂分解菌を添加する油脂分解菌添加部と、
    前記油脂含有排水に、油脂吸着剤を添加する油脂吸着剤添加部と、を備え、
    前記凝集剤により前記油脂分解菌が固定された前記油脂吸着剤を嫌気処理系内に配置するとともに、
    前記油脂分解菌添加部は、前記嫌気処理で利用された油脂分解菌を添加することを特徴とする、嫌気処理システム。
  2. 前記油脂吸着剤は、活性炭であることを特徴とする、請求項1に記載の嫌気処理システム。
  3. 前記嫌気処理系内に、破砕機を設けることを特徴とする、請求項1又は2に記載の嫌気処理システム。
  4. 油脂含有排水を気処理する嫌気処理方法において、
    前記油脂含有排水に凝集剤を添加する凝集剤添加ステップと、
    前記油脂含有排水に油脂分解菌を添加する油脂分解菌添加ステップと、
    前記油脂含有排水に油脂吸着剤を添加する油脂吸着剤添加ステップと、
    前記凝集剤により前記油脂吸着剤に前記油脂分解菌を固定する油脂分解菌固定ステップと、
    油脂吸着剤に固定された油脂分解菌で油脂含有排水を処理する油脂含有排水処理ステップと、を備え、
    前記油脂分解菌添加ステップは、前記嫌気処理で利用された油脂分解菌を添加することを特徴とする、嫌気処理方法。
  5. 前記油脂吸着剤に固定される油脂分解菌の粒径を調整するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項4に記載の嫌気処理方法。
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