JP7305929B2 - 積層フィルムの立体加工方法及びその装置 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、軟包材を用いて袋状容器を形成し、この袋状容器の所定部位を部分的に加熱・冷却してエンボス模様を形成する、エンボス模様付き袋状容器の成形方法が提案されている。しかし、特許文献1の方法によれば、加熱や冷却に時間を要し、生産性に劣るという問題があった。
本発明の他の目的は、金属蒸着層を備えた積層フィルム用いて、ホログラム調外観を有する加飾性の高い張出部を形成可能な立体加工方法を提供することである。
1.前記成形加工部が、相対する成形ロール及びアンビルロールを備えた回転加工装置の成形ロールに設置されていること、
2.前記成形加工部の加工幅が、6mm以上であること、
3.前記積層フィルムが、内面フィルムと外面フィルムの間に金属蒸着層を有すること、
4.前記伸びの小さい外面フィルムが、ナイロン又はポリエステルから成る延伸フィルムであり、前記伸びの大きい内面フィルムが、ポリオレフィンから成るフィルムであること、
5.前記成形加工部が、引張弾性率が2.5GPa以下の高分子化合物から成ること、
6.前記圧縮成形における圧縮量が、積層フィルムの厚みに対して30%以上50%以下であること、
が好適である。
なくとも有する積層フィルムを圧縮成形する成形加工部とを備えた、積層フィルムの被圧縮成形部に立体加工を施す回転加工装置において、前記成形加工部が、前記積層フィルムを構成するフィルムよりも柔らかく伸長しやすい材料から成り、前記成形加工部は弾性変形領域を平面方向に増加させながら前記積層フィルムの外面側を押圧することを特徴とする回転加工装置が提供される。
本発明の回転加工装置においては、前記成形加工部の加工幅が、6mm以上であることが好適である。
また本発明の立体加工方法によれば、積層フィルムを2枚重ね合わせた場合に、積層フィルムの一方のみ、或いは積層フィルム両面のいずれの態様においても加工幅の大きな張出部を成形することができると共に、張出部の加工幅を容易に調整することができ、種々のパターンの立体模様を形成することができる。
更に、立体加工を施す積層フィルムとして、内面フィルムと外面フィルムの間に金属蒸着層を有する積層フィルムを用い、加工幅の大きい張出部を形成することによって、ホログラム調の外観を張出部に形成することが可能になる。
本発明の立体加工方法は、最内面の伸びの大きい内面フィルムと外面側の伸びの小さい外面フィルムとを少なくとも有する積層フィルムを、該積層フィルムの厚み方向に成形加工部により圧縮成形することで、圧力を解放した後、圧縮成形部を外面側に張り出させるように立体加工する方法において、成形加工部を、積層フィルムを構成するフィルムの最も広い弾性変形領域よりも広い弾性変形領域を発現可能な材料から形成することが重要な特徴である。
すなわち、成形加工部の弾性変形領域が、積層フィルムを構成するフィルムの平面方向における最も広い弾性変形領域より広いということは、成形加工部が、積層フィルムを構成する各フィルム(内面フィルム及び外面フィルム、或いは必要により追加される他のフィルム)よりも柔らかく伸長しやすいことを意味している。これにより、圧縮成形に際して成形加工部自体が伸長変形して加工領域を増加させながら積層フィルムを押圧し、積層フィルムの平面方向に効率よく大きな引張作用を付与し、積層フィルムの平面方向の変形領域を広げることができるため、加工幅の大きい張出部を形成することが可能になる。
また成形加工部が圧縮成形に追従して変形することから、積層フィルムへの圧縮応力の印加及び解放による圧力の変化率の急激な変化を防ぐことができ、積層フィルムに形成される張出部にクラックや破断が発生してしまうことが有効に防止されている。
更に、本発明の立体加工方法により形成される張出部は、加工幅が大きいことから、なだらかな張出部であり、そのため張出部の輪郭付近に形成されやすい樹脂溜りが形成されにくいというメリットもある。
本発明の立体加工方法により形成される張出部は、同じ加工幅を有する金属素材から成る成形加工部を用いて形成された張出部に比して、1.1~5倍の加工幅を形成することができる。積層フィルムの組成や厚み、圧縮成形の条件などによって一概に規定できないが、10~50mmの加工幅を有し、加工高さ5~20mmの張出し部を形成することができる。
しかも、成形加工部2は、成形加工部2の伸長変形に追従して伸長すると共に、圧縮力の解放により復元するため、同様の加工幅を有する金属製加工部を用いた場合のように、積層フィルムにクラックや破断を発生することがない。
また圧縮量は、用いる積層フィルムの厚みの30~50%の圧縮量で圧縮成形する。圧縮量は回転加工装置においては、成形加工部とアンビルロールのクリアランスを調整することにより設定できる。圧縮量が上記範囲よりも小さい場合には、十分な張出部を形成することができないおそれがあり、圧縮量が上記範囲より大きい場合には、積層フィルムにクラックが発生したり、或いは破断されてしまうおそれがある。
本発明の立体加工方法においても、積層フィルムは、それ単独(1枚)のみならず、積層フィルムを2枚重ね合わせた状態で立体加工方法を適用できる。フィルムを2枚重ね合わせる場合、成形加工部側の積層フィルムのみに張出加工部が形成される態様、或いは両方の積層フィルムに外面フィルム側に張出した張出加工部が形成される態様があるが、積層フィルムに作用する圧縮荷重を調整することにより何れの態様にも加工可能である。
また、2枚の積層フィルムを重ね合わせ、両方の積層フィルムにそれぞれ、相対する方向に加工幅が大きく且つ加工高さの高い張出部を成形する場合には、プレス加工装置では成形加工部とアンビル、回転加工装置においてはアンビルロールの表面を、成形加工部と同様に、積層フィルムを構成するフィルムの最も広い弾性変形領域よりも広い弾性変形領域を発現可能な材料から形成することが好適である。
尚、本発明の立体加工方法においては、張出部の加工幅を大きくするために積層フィルムの伸ばし量が非常に大きく、特に回転加工装置においては積層フィルムの搬送の影響を受けやすいことから、積層フィルムを2枚重ね合わせた状態、例えば、積層フィルムの内面側ヒートシール性フィルム同士を重ね合わせたパウチ等の状態で加工することが特に望ましい。
本発明の立体加工方法は、積層フィルムを加熱することなく圧縮成形を行う冷間であってもよいし、内面フィルムの軟化点温度近傍まで加熱して行う熱間、あるいは冷間と熱間の中間の温度域(温間)で行ってもよい。例えば、内面フィルムがポリエチレンの場合には少なくとも積層フィルムを35~80℃の温度に加熱する温間、80~100℃の温度に加熱する熱間であってもよく、必要により圧縮成形後に冷却を行う。温間または熱間で圧縮成形を行う場合は、より小さい圧縮荷重で立体加工が可能となり設備が簡素化できる。また、冷間で圧縮成形を行う場合は、積層フィルムの加熱工程や圧縮成形後の冷却工程が不要であるため効率よく立体加工が可能となる。
前述したとおり、本発明の立体加工方法においては、用いる積層フィルムを構成する樹脂フィルムの平面方向における最も広い弾性変形領域よりも広い弾性変形領域を発現可能な弾性材料から成形加工部を形成することが重要である。成形加工部は、その全体をこのような弾性材料から形成してもよいし、或いは成形加工部の表面付近を弾性材料から形成してもよく、弾性材料から形成される成形加工部の厚みによっても、成形加工部の弾性変形領域の広さを制御することができる。
成形加工部を形成可能な弾性材料としては、後述する積層フィルムを用いる場合には、これに限定されないが、以下の弾性材料を使用することができる。
例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン-プロピレンゴム、ヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の各種架橋ゴム、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、或いはスチレン系、ウレタン系等の各種発泡材料を挙げることができる。
これらの中でも、引張弾性率が2.5MPa以下の高分子化合物等を好適に用いることができる。
本発明の立体加工方法においては、用いる積層フィルムとして、張出方向に位置する外面フィルムとして伸びの小さいフィルム、内面フィルムに伸びの大きいフィルムを少なくとも有する積層フィルムを用いる。これにより積層フィルムの厚み方向に圧縮すると、伸びの大きい内面フィルムは弾性変形により圧縮された面から押し出されるように引張方向に大きく伸び、伸びの小さい外面フィルムは内面フィルムの伸びに応じて塑性変形により伸びる。圧縮力が解放されると内面フィルムは大きく復元する一方、外面フィルムの復元が小さいことから、内外面フィルムの間に復元量の差が生じて外面フィルム側に張り出した張出部が形成される。
内面フィルムとして用いる伸びの大きいフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンから成るヒートシール性を有するフィルムを用いることが好ましく、一方外面フィルムとして用いる伸びの小さいフィルムとしては、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」ということがある)等の延伸フィルムを用いることが望ましい。積層フィルムを構成する上記フィルムの中では、内面フィルムを構成する伸びの大きいフィルムが最も広い弾性変形領域を有し、成形加工部を構成する材料の弾性変形領域の基準になる。
すなわち、図3に示す積層フィルム20は、外面フィルム21と内面フィルム22の間に、金属蒸着層23aが基材フィルム23bに形成された金属蒸着フィルム23が、金属蒸着層23aが内面フィルム側となるように配置されている。図3(A)の金属蒸着層部分を拡大して示す模式図から明らかなように、金属蒸着層23aは、金属(アルミニウム)23aがランダムに基材フィルム23b上に積層された上、オーバーコート剤23cで固定化されている。この積層フィルム20が本発明の立体加工方法に付されると、図3(B)に示すように、金属蒸着層23aが適度に崩れて、その表面に凹凸が形成されることに起因して光の乱反射が増加し、光の干渉が生じてホログラム調の外観が得られるようになる。
尚、金属蒸着層に起因するホログラム調外観を張出部に形成するためには、金属蒸着層が引張応力を受け十分伸ばされることが必要であることから、金属蒸着層が内面フィルムのような伸びの大きい材料に隣接していることが望ましい。
積層フィルムとしては、これに限定されないが、内面/外面の順で、ポリエチレンフィルム/延伸ナイロンフィルム、ポリエチレンフィルム/延伸ナイロンフィルム/延伸PETフィルム、ポリエチレンフィルム/延伸PETフィルム/延伸ナイロンフィルム、ポリエチレンフィルム/アルミ蒸着延伸ナイロンフィルム/延伸PETフィルム、ポリエチレンフィルム/アルミ蒸着延伸PETフィルム/延伸ナイロンフィルム、ポリプロプレン/延伸ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム/延伸ナイロンフィルム/延伸PETフィルム、ポリプロピレンフィルム/延伸PETフィルム/延伸ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム/アルミ蒸着延伸ナイロンフィルム/延伸PETフィルム、ポリプロピレンフィルム/アルミ蒸着延伸PETフィルム/延伸ナイロンフィルム等を例示できる。
更に、積層フィルムに他の層を設ける場合には、積層フィルムの総厚みが60~250μmの範囲にあることが望ましい。
Claims (9)
- 最内面の伸びの大きい内面フィルムと外面側の伸びの小さい外面フィルムとを少なくとも有する積層フィルムを、該積層フィルムの厚み方向に成形加工部により圧縮成形することにより、圧縮成形部を外面側に張出させる立体加工方法において、
前記成形加工部が、前記積層フィルムを構成するフィルムよりも柔らかく伸長しやすい材料から成り、
前記圧縮成形においては、前記成形加工部が弾性変形領域を平面方向に増加させながら前記積層フィルムの外面側を押圧することにより行う
ことを特徴とする立体加工方法。 - 前記成形加工部が、相対する成形ロール及びアンビルロールを備えた回転加工装置の成形ロールに設置されている請求項1記載の立体加工方法。
- 前記成形加工部の加工幅が、6mm以上である請求項1又は2記載の立体加工方法。
- 前記積層フィルムが、内面フィルムと外面フィルムの間に蒸着層を有する請求項1~3の何れかに記載の立体加工方法。
- 前記伸びの小さい外面フィルムが、ナイロン又はポリエステルから成る延伸フィルムであり、前記伸びの大きい内面フィルムが、ポリオレフィンから成るフィルムである請求項1~4記載の何れかに記載の立体加工方法。
- 前記成形加工部が、引張弾性率が2.5GPa以下の高分子化合物から成る請求項5記載の立体加工方法。
- 前記圧縮成形における圧縮量が、積層フィルムの厚みに対して30%以上50%以下である請求項1~6の何れかに記載の立体加工方法。
- 相対する成形ロール及びアンビルロールと、この成形ロールに設けられ、最内面の伸びの大きい内面フィルムと外面側の伸びの小さい外面フィルムとを少なくとも有する積層フィルムを圧縮成形する成形加工部とを備えた、積層フィルムの被圧縮成形部に立体加工を施す回転加工装置において、
前記成形加工部が、前記積層フィルムを構成するフィルムよりも柔らかく伸長しやすい材料から成り、
前記成形加工部は弾性変形領域を平面方向に増加させながら前記積層フィルムの外面側を押圧する
ことを特徴とする回転加工装置。 - 前記成形加工部の加工幅が、6mm以上である請求項8記載の回転加工装置。
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