JP7303163B2 - 欠陥発生予測方法、及び欠陥発生予測装置 - Google Patents

欠陥発生予測方法、及び欠陥発生予測装置 Download PDF

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Description

本発明は、溶着ビードにより造形物を製造する際の欠陥発生予測方法、及び欠陥発生予測装置に関する。
近年、3Dプリンタを用いた積層造形による部品製造のニーズが高まっており、金属材料を用いた造形の実用化に向けて研究開発が進められている。金属材料を積層造形する3Dプリンタは、例えばレーザやアーク等の熱源を用いて、金属粉体や金属ワイヤを溶融及び凝固させ、溶接金属(溶着ビード)を積層することで所望の形状の造形物を作製する。
しかし、金属材料を用いた積層造形では、金属組織、硬度等の材料特性が製造条件に応じて変化しやすい。そのため、造形物を構成する金属材料の特性が、予期した特性から著しく変化する可能性がある。そこで、従来の溶接技術では、経験的に得られた知見、試行錯誤等に基づいて、指定の製造条件で製造した場合の造形物の特性を予測して、所望の形状及び特性が得られるように、製造条件を調整することが行われている。
さらに、上記の経験や試行錯誤による情報の活用を計算機上で具現化するため、例えば、溶接物の試験断面画像及び試験溶接物を用意し、これらから、強度、延性、硬度、靱性、粒状構造といった溶接物の各仕様の適合性を判断する処理に、機械学習を活用した事例が特許文献1に開示されている。また、特許文献2には、溶接電流、溶接電圧、溶加材送り速度等のプロファイル特徴から、造形物の良/不良を予測する技術が開示されている。
特開2019-5809号公報 特開2019-162666号公報
しかしながら、積層造形により製造される造形物の材料的観点に基づく特性の予測は、比較的単純な溶接プロセスと比較して、積層造形プロセスが複雑であることから困難と考えられる。また、積層造形は、製造条件が非常に自由度の高い製造方法であるため、製造条件によって定まる造形物の特性の組み合わせは多岐にわたり、特性の予測には膨大な演算処理が必要となる。
特に、積層構造中の欠陥の発見に関しては、積層造形により製造された造形物の形状が複雑なことから、超音波探傷等の接触式内部検査の適用が難しいケースがある。また、サイズの大きな造形物については、X線による探傷試験の適用が難しい。積層造形物は、このように造形後の、欠陥の発見を含む検査が難しいという課題を抱えている。そのため、超音波探傷やX線探傷といった計測手法を使わなくても、簡便に欠陥を予測する方法の構築が求められている。
そこで本発明は、少ない手間で効率よく造形物の欠陥発生を予測して、より適切な造形物の造形計画の作成を支援できる欠陥発生予測方法、及び欠陥発生予測装置を提供することを目的とする。
本発明は下記の構成からなる。
(1) 溶接ヘッドから供給される溶加材を溶融及び凝固させて形成する溶着ビードを、所望の形状に積層して造形物を製造する際の欠陥発生を予測する欠陥発生予測方法であって、
前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を含む入力情報と、当該入力情報の前記各項目の条件で積層造形した場合の前記造形物の欠陥情報を含む出力情報とを関係付ける数理モデルを生成する工程と、
前記数理モデルを用いて前記入力情報と前記出力情報との対応関係を表すデータベースを作成する工程と、
前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を前記データベースに入力し、前記造形物の欠陥情報を、前記データベースを検索して求める工程と、
求めた前記造形物の欠陥情報を提示する工程と、
を含み、
前記入力情報の項目のそれぞれは、互いに異なる複数の入力サブ項目を有し、
前記出力情報は、前記入力サブ項目に対応する複数の個別欠陥情報を有し、
前記数理モデルを生成する工程では、前記入力情報の前記入力サブ項目のそれぞれを、前記数理モデルで前記個別欠陥情報に関係付けする、
欠陥発生予測方法。
(2) 溶接ヘッドから供給される溶加材を溶融及び凝固させて形成する溶着ビードを、所望の形状に積層造形して造形物を製造する際の欠陥発生を予測する欠陥発生予測方法であって、
前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を含む入力情報と、当該入力情報の各項目の条件で積層造形した場合の前記造形物の温度履歴、前記溶着ビード形成時の溶融池形状の特徴量、前記溶着ビードのビード高さ又はビード幅の情報を含む中間出力情報とを関係付ける第1の数理モデル、及び前記中間出力情報と前記造形物の欠陥情報を含む出力情報とを関係付ける第2の数理モデルをそれぞれ生成する工程と、
前記第1の数理モデルと前記第2の数理モデルを用いて前記入力情報と前記出力情報との対応関係を表すデータベースを作成する工程と、
前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を前記データベースに入力し、前記造形物の欠陥情報を、前記データベースを検索して求める工程と、
求めた前記造形物の欠陥情報を提示する工程と、
を含み、
前記入力情報の項目のそれぞれは、互いに異なる複数の入力サブ項目を有し、
前記中間出力情報は、前記入力サブ項目に対応する個別中間値を有し、
前記出力情報は、前記個別中間値に対応する複数の個別欠陥情報を有し、
前記第1の数理モデル及び前記第2の数理モデルを生成する工程では、前記入力サブ項目のそれぞれを、前記第1の数理モデルで前記個別中間値に関係付けし、且つ、前記個別中間値のそれぞれを、前記第2の数理モデルで前記個別欠陥情報に関係付けする、
欠陥発生予測方法。
(3) 溶接ヘッドから供給される溶加材を溶融及び凝固させて形成する溶着ビードを、所望の形状に積層して造形物を製造する際の欠陥発生を予測する欠陥発生予測装置であって、
前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を含む入力情報と、当該入力情報の前記各項目の条件で積層造形した場合の前記造形物の欠陥情報を含む出力情報とを関係付ける数理モデルを生成する数理モデル生成部と、
前記数理モデルを用いて前記入力情報と前記出力情報との対応関係を表すデータベースを作成するデータベース作成部と、
前記データベースに入力される前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を用いて前記データベースを検索し、前記造形物の欠陥情報を求める検索部と、
求めた前記造形物の欠陥情報を提示する出力部と、
を含み、
前記入力情報の項目のそれぞれは、互いに異なる複数の入力サブ項目を有し、
前記出力情報は、前記入力サブ項目に対応する複数の個別欠陥情報を有し、
前記数理モデルを生成する工程では、前記入力情報の前記入力サブ項目のそれぞれを、前記数理モデルで前記個別欠陥情報に関係付けする、
欠陥発生予測装置。
(4) 溶接ヘッドから供給される溶加材を溶融及び凝固させて形成する溶着ビードを、所望の形状に積層して造形物を製造する際の欠陥発生を予測する欠陥発生予測装置であって、
前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を含む入力情報と、当該入力情報の各項目の条件で積層造形した場合の前記造形物の温度履歴、前記溶着ビード形成時の溶融池形状の特徴量、前記溶着ビードのビード高さ又はビード幅の情報を含む中間出力情報とを関係付ける第1の数理モデル、及び前記中間出力情報と前記造形物の欠陥情報を含む出力情報とを関係付ける第2の数理モデルをそれぞれ生成する数理モデル生成部と、
前記第1の数理モデルと前記第2の数理モデルを用いて前記入力情報と前記出力情報との対応関係を表すデータベースを作成するデータベース作成部と、
前記データベースに入力される前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を用いて前記データベースを検索し、前記造形物の欠陥情報を求める検索部と、
求めた前記造形物の欠陥情報を提示する出力部と、
を含み、
前記入力情報の項目のそれぞれは、互いに異なる複数の入力サブ項目を有し、
前記中間出力情報は、前記入力サブ項目に対応する個別中間値を有し、
前記出力情報は、前記個別中間値に対応する複数の個別欠陥情報を有し、
前記第1の数理モデル及び前記第2の数理モデルを生成する工程では、前記入力サブ項目のそれぞれを、前記第1の数理モデルで前記個別中間値に関係付けし、且つ、前記個別中間値のそれぞれを、前記第2の数理モデルで前記個別欠陥情報に関係付けする、
欠陥発生予測装置。
本発明によれば、複雑な計測手法を使わずに、簡便に欠陥を予測することができ、より適切な造形物の造形計画を作成できる。
図1は、造形物を製造する造形システムの全体構成図である。 図2は、ロボット制御装置の概略的なブロック構成図である。 図3は、造形制御装置の概略的なブロック構成図である。 図4は、積層造形を行う造形プログラムの作成手順を示す説明図である。 図5は、データベースを構築する手順を示す説明図である。 図6は、データベースを構築する手順を示すフローチャートである。 図7は、第1の手順で用いる初期データベースの作成手順を示すフローチャートである。 図8の(A)は、入力情報と出力情報との数理モデルを用いた関係付けの様子を示す説明図で、図8の(B)は、入力情報と出力情報とが紐付けられたデータベースを示す説明図である。 図9は、入力情報が複数の項目からなる入力情報と、出力情報との数理モデルを用いた関係付けを示す説明図である。 図10は、作製しようとする造形物の形状を複数の要素形状に分割し、各要素形状の溶接軌道を求める処理を示す説明図である。 図11は、造形物の形状を要素形状に分解する場合の造形計画の作成手順を示すフローチャートである。 図12は、入力情報と中間出力情報と出力情報との数理モデルを用いた関係付けを示す説明図である。 図13は、造形時に形成される溶着ビードの特定位置における温度履歴を示すグラフである。 図14は、それぞれ異なる入熱量でビード形成した場合の冷却特性の違いを示すグラフで、(A)は比較的高い入熱量の場合の温度変化特性を示すグラフ、(B)は比較的低い入熱量の場合の温度変化特性を示すグラフである。 図15は、溶加材の先端で形成される溶融池を示す説明図である。 図16は、1層2列のビードの積層構造において発生した欠陥例を示す断面図である。 図17の(A)は、1層2列で積層した溶着ビードのモデル形状関数によるシミュレーション結果の断面図であり、図17の(B)は、図17の(A)におけるビード毎の形状を示す断面図である。 図18の(A)、は2層2列で積層した溶着ビードのモデル形状関数によるシミュレーション結果の断面図であり、図18の(B)は、図18の(A)における各層のビード毎の形状を示す断面図である。 図19は、入力情報と出力情報とを関係付ける複数のデータベースを選択的に用いる様子を示す説明図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
ここでは、溶接ヘッドから供給される溶加材を溶融及び凝固させて形成する溶着ビードを、造形装置により所望の形状に積層造形する場合を例に説明するが、造形方式及び造形装置の構成はこれに限らない。例えば、粉末焼結積層造形法等の他の造形方式を採用してもよい。
<造形システムの構成>
図1は、造形物を製造する造形システムの全体構成図である。本構成の造形システム100は、造形装置11と、造形装置11を制御する造形制御装置13とを備える。
造形装置11は、先端軸に溶接トーチ15を有する溶接ヘッドが設けられた溶接ロボット17と、溶接ロボット17を駆動するロボット制御装置21と、溶接トーチ15へ溶加材(溶接ワイヤ)Mを供給する溶加材供給部23と、溶接電流を供給する溶接電源25と、を備える。
(造形装置)
溶接ロボット17は、多関節ロボットであり、ロボットアームの先端軸に取り付けた溶接トーチ15の先端には、連続供給される溶加材Mが支持される。溶接トーチ15の位置や姿勢は、ロボット制御装置21からの指令により、ロボットアームの自由度の範囲で3次元的に任意に設定可能になっている。
溶接ロボット17の先端軸には、溶接トーチ15と一体に移動する形状センサ32と温度センサ30が設けられる。
形状センサ32は、形成される溶着ビード28の形状、必要に応じてビード形成位置周囲の形状を測定する非接触式のセンサである。形状センサ32による測定は、溶着ビードの形成と同時に行ってもよく、ビード形成前後の異なるタイミングで行ってもよい。形状センサ32としては、照射したレーザ光の反射光の位置、又は照射タイミングから反射光が検出されるまでの時間により3次元形状を検出するレーザセンサを利用できる。形状センサ32は、レーザに限らず他の検出方式のセンサであってもよい。
温度センサ30は、放射温度計、サーモグラフィ等の接触式のセンサであり、造形物の任意の位置の温度(温度分布)を検出する。
溶接トーチ15は、不図示のシールドノズルを有し、シールドノズルからシールドガスが供給されるガスメタルアーク溶接用のトーチである。アーク溶接法としては、被覆アーク溶接や炭酸ガスアーク溶接等の消耗電極式、TIG溶接やプラズマアーク溶接等の非消耗電極式のいずれであってもよく、作製する積層造形物に応じて適宜選定される。
例えば、消耗電極式の場合、シールドノズルの内部にはコンタクトチップが配置され、溶融電流が給電される溶加材Mがコンタクトチップに保持される。溶接トーチ15は、溶加材Mを保持しつつ、シールドガス雰囲気で溶加材Mの先端からアークを発生する。
溶加材供給部23は、溶加材Mが巻回されたリール29と、リール29から繰り出し機構及び溶接トーチ15に送られる溶加材Mの送給量を測定するワイヤ送給センサ31とを備える。溶加材Mは、溶加材供給部23からロボットアーム等に取り付けられた繰り出し機構(不図示)に送られ、必要に応じて繰り出し機構により正逆送給されながら溶接トーチ15へ送給される。
溶加材Mとしては、あらゆる市販の溶接ワイヤを用いることができる。例えば、軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用のマグ溶接及びミグ溶接ソリッドワイヤ(JIS Z 3312)、軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用アーク溶接フラックス入りワイヤ(JIS Z 3313)等で規定される溶接ワイヤが利用可能である。さらに、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル基合金等の溶加材Mを、求められる特性に応じて使用することができる。
そして、上記のように連続送給される溶加材Mをアークにより溶融及び凝固させると、ベースプレート27上に溶加材Mの溶融凝固体である溶着ビード28が形成される。ベースプレート27は、鋼板等の金属板であるが、板状に限らず、ブロック体、棒状、円柱状等、他の形状であってもよい。
(ロボット制御装置)
ロボット制御装置21は、溶接ロボット17を駆動して、溶接トーチ15を移動させるとともに、連続供給される溶加材Mを溶接電源25からの溶接電流及び溶接電圧によって溶融させる。
図2は、ロボット制御装置21の概略的なブロック構成図である。
ロボット制御装置21は、入出力インターフェース33と、記憶部35と、操作パネル37とを含んで構成されたコンピュータ装置である。
入出力インターフェース33には、溶接ロボット17、溶接電源25及び造形制御装置13が接続される。記憶部35には、後述する駆動プログラムを含む各種の情報が記憶される。記憶部35は、ROM,RAM等のメモリ、ハードディスク,SSD(Solid State Drive)等のドライブ装置、CD,DVD,各種メモリーカード等の記憶媒体に例示されるストレージからなり、各種情報の入出力が可能となっている。操作パネル37は、入力操作盤等の情報入力部であってもよく、溶接ロボット17の教示用の入力端末(教示用ペンダント)であってもよい。
ロボット制御装置21には、作製しようとする造形物に応じた造形プログラムが造形制御装置13から送信されてくる。造形プログラムは、多数の命令コードにより構成され、造形物の形状データ(CADデータ等)、材質、入熱量等の諸条件に応じて、適宜なアルゴリズムに基づいて作成される。
ロボット制御装置21は、記憶部35に記憶された造形プログラムを実行して、溶接ロボット17、溶加材供給部23及び溶接電源25等を駆動し、造形プログラムに応じて溶着ビード28を形成する。つまり、ロボット制御装置21は、溶接ロボット19を駆動して、造形プログラムに設定された溶接トーチ15の軌道(溶接軌道)に沿って溶接トーチ15を移動させるとともに、設定された溶接条件に応じて溶加材供給部23及び溶接電源25を駆動して、溶接トーチ15の先端の溶加材Mをアークによって溶融、凝固させる。これにより、ベースプレート27上に溶着ビード28が形成される。溶着ビード28が互いに隣接して溶着ビード層を形成し、この溶着ビード層の上に次層の溶着ビード層を積層することが繰り返されることで、所望の3次元形状の造形物が造形される。この造形制御装置21は、造形プログラムを生成する際に欠陥情報を提供する欠陥発生予測装置としても機能する。
なお、造形制御装置13は、造形装置11とは離隔して配置され、ネットワーク、通信手段、記憶媒体等を介して遠隔地から造形装置11に接続される構成であってもよい。造形プログラムは、造形制御装置13で作成される以外にも、他の装置で作成され、通信によって送信されてきたものであってもよい。
(造形プログラムの生成)
次に、造形制御装置13の構成と、造形制御装置13が造形プログラムを生成するまでの具体的な手順を説明する。
図3は、造形制御装置13の概略的なブロック構成図である。
造形制御装置13は、ロボット制御装置21と同様のコンピュータ装置であって、CPU41、記憶部43、入出力インターフェース45、入力部47、出力部49を含んで構成される。
記憶部43は、不揮発性の記憶領域であるROM,揮発性の記憶量域であるRAM等により構成される。入出力インターフェース45には、前述した形状センサ32、温度センサ30、ワイヤ送給センサ31を有する溶加材供給部23、溶接電源25、ロボット制御装置21、入力部47、出力部49が接続される。
入力部47は、キーボード及びマウス等の入力デバイスであり、出力部49は、モニタ等の表示デバイス又は出力信号が送信される出力端子を含む。
また、造形制御装置13は、それぞれ詳細を後述する、基本情報テーブル51、数理モデル生成部53、データベース作成部55、造形計画部57及び検索部59を更に備える。上記した各構成要素は、それぞれCPU41の指令によって動作して、それぞれの機能を発揮する。
図4は、積層造形を行う造形プログラムの作成手順を示す説明図である。
まず、操作者によって図3に示す造形制御装置13の入力部47から、製造しようとする造形物の材料、形状、溶接条件のデータ等を入力する。造形制御装置13は、入力されたデータに応じて、造形物が所望の特性を得られるように造形計画を作成する。例えば、形状データからモデルを生成し、生成されたモデルを所定の溶着ビードの高さ毎に層分割し、得られた各層を溶着ビードで埋めるように溶着ビードの材料、ビード幅、ビード形成順(溶接軌道)等の各種条件を決定する。これら溶接軌道等の決定方法には種々の方法があり、その決定方法は限定されない。
次に、予め用意された、各種の製造条件とこれにより製造された造形物の欠陥情報との対応関係を示すデータベース61を参照して、作成した造形計画で作製した場合に造形物に生じる欠陥を予測する。このとき、ここでいう欠陥とは、広義には欠陥情報を含む造形物の内部の特性を意味する。
予測した造形物に欠陥が生じる可能性があると予測された場合は、上記した各種製造条件を調整するなどして、再度造形計画を作成する。そして、作成した造形計画による造形物が欠陥を含まないことになったら、すなわち、欠陥を含む特性が所望の特性を満足するようになったら、その造形計画に応じた造形プログラムを作成する。こうして作成された造形プログラムは、図1に示すロボット制御装置21に送られる。ロボット制御装置21は、送られてきた造形プログラムを実行して、造形物を積層造形する。
本発明に係る造形計画支援方法及び装置では、作成した造形プログラムによって、造形物が所望の特性を得られるかの予測、判定に使用するデータベース61を、少ない手間で効率よく構築させる。これにより、正確かつ迅速な造形計画の判定が行え、以て、より適切な造形計画を円滑に作成できるように支援できる。
<第1のデータベース構成例>
次に、上記したデータベース61の構築方法について説明する。
図5は、データベース61を構築する手順を示す説明図である。ここでは、造形物の材料、溶着ビードの溶接条件及び部分的な溶接軌道の各項目を含む入力情報と、その入力情報の条件で積層造形された造形物の欠陥情報を含む出力情報とを、数理モデルを用いて関係付けする。その関係付けの処理を機械学習により繰り返し行い、得られた数理モデルに基づいて、図4に示す予測、判定で参照されるデータベース61を作成する。
具体的には、造形制御装置13が、入力された造形物の材料、形状、溶接条件等のデータに応じて造形計画を作成する。この造形計画で造形物を作製した場合の造形物の特性値を、次の第1の手順と第2の手順により求める。
第1の手順では、造形制御装置13が、造形計画と特性値との関係を予め登録した初期データベース63を参照し、作成した造形計画により積層造形される造形物の欠陥発生を予測する。
第2の手順では、造形制御装置13が、作成した造形計画の通りにロボット制御装置21を駆動して、造形装置11に造形物を積層造形させる。造形された造形物から試験サンプルを切り出して、機械的強度、金属組織等を試験(観察)により実測する。
このようにして得られた同一の造形計画による造形物の特性の予測結果と試験結果とを比較して、双方の差が小さくなるように数理モデル62を生成し、この数理モデル62を用いてデータベース61を作成する。上記した初期データベース63、及びデータベース61の作成は、図3に示すデータベース作成部55が行うが、造形制御装置13以外の装置が行ってもよい。
ここで、上記した第1の手順による初期データベース63による特性の予測結果と、第2の手順による試験結果とを機械学習して数理モデル62を生成し、この数理モデル62を用いてデータベース61を作成する、一連の処理の流れを説明する。
図6は、データベース61を構築する手順を示すフローチャートである。
まず、製造しようとする造形物を決定して形状データ(3D-CADによる形状データ)を作成する(S11)。この造形物の形状データから造形計画を作成する(S12)。造形計画には、造形物のモデルを所定の積層方向軸を定めて層分割して得た複数のスライスデータ、各スライスデータにおける溶着ビードの形状、溶着ビードを形成する溶接条件等が含まれる。
次に、作成した造形計画に基づいて、第1の手順により造形物の欠陥を予測する(S13)。予測される欠陥には、例えば、欠陥の有無、欠陥場所、欠陥サイズ、スパッタの有無等が含まれる。
造形物の欠陥は、初期データベース63を用いて予測する。初期データベース63は、過去の造形により得られた経験及び知見に基づく、各種の製造条件とこれにより製造された造形物の試験結果との対応関係を示す基本情報テーブル51(図3)から作成される。
図7は、第1の手順で用いる初期データベース63の作成手順を示すフローチャートである。
まず、予め用意された基本情報テーブル51から、データベースに用いるパラメータの情報(例えば、溶着ビードを形成するパス、パスの数、溶着ビードの形成順序(溶接軌道)、溶着ビードの断面形状等)を抽出し、これらを学習データとして準備する(S21)。
次に、準備した学習データと、学習データに対応する造形物の特性値とを、初期数理モデルにより関係付ける(S22)。つまり、複数の学習データと、これに対応する造形物の特性値とを繰り返し機械学習することで、双方の関係を表す初期数理モデルを生成する。ここでいう「数理モデル」とは、造形物の特性について、その定量的なふるまいを定式化し、計算によってその性質を模擬できるようにしたものを意味する。つまり、数理モデルは、実験にて収集し、所定のアルゴリズムで関連付けられた実験データ群を基に作成された計算モデルであり、この計算モデルは、所定の関数を仮定して実験データとよく整合するように最適化してもよいし、機械学習により入力情報、出力情報を与えて作成してもよい。具体的なアルゴリズムの例としては、サポートベクターマシン、ニューラルネットワーク、又はランダムフォレスト等が挙げられる。
そして、生成した初期数理モデルを用いて、複数の学習データに対応する造形物の特性値を予測し、これら予測値を学習データと対応させて初期データベース63のテーブル構成要素に登録する(S23)。このようにして、初期データベース63を作成する。
一方、第2の手順(図6のS14~S16)では、作成した造形計画に基づいて造形物を作製する。つまり、造形計画部57(図3)が造形計画に応じた造形プログラムを作成し(S14)、その造形プログラムの実行によって、図1に示す造形装置11を駆動して、造形物を造形する(S15)。そして、得られた造形物から試験サンプルを切り出し、試験サンプルの各種の特性を試験する(S16)。
そして、第1の手順で求めた造形物の特性の予測結果と、第2の手順で求めた試験結果とを比較する(S17)。予測結果と試験結果との差が大きい場合には、図5に示す数理モデル62(初期データベース63の作成に用いた初期数理モデルに相当する)を、双方の差が小さくなるように修正する(S18)。つまり、入力情報に対する試験結果を教師データとして、予測結果が試験結果に近づくように数理モデル62を機械学習させる。なお、予測結果と試験結果との差が小さい場合には、数理モデル62の修正を行わないが、数理モデル62の精度の向上に資するように機械学習させてもよい。このようにして、数理モデル62は、入力情報と出力情報の関係を機械学習した学習済みモデルとなる。
そして、初期数理モデルを更に機械学習させた数理モデル62を用いて、任意の複数の条件(入力情報)に対応する造形物の特性値(出力情報)を予測し、設定した条件と予測した特性値とを紐付けして、データベース61のテーブル構成要素にする。このようにして、初期データベース63から数理モデル62を用いて修正して、特定の条件に対する予測結果と試験結果とが精度よく一致するデータベース61を構築する(S19)。
このように、複数の入力情報を数理モデル62で出力情報を予測させることで、試験結果の存在しない部分を補完でき、これによりデータベース61の情報量を簡単に増加させ、予測の精度を向上できる。
次に、数理モデル62を用いてデータベース61を構築する具体的な手法について、より詳細に説明する。
図8の(A)は、入力情報と出力情報との数理モデルを用いた関係付けの様子を示す説明図で、図8の(B)は、入力情報と出力情報とが紐付けられたデータベースを示す説明図である。
ここでは入力情報の一つとして、造形物の材料となる溶加材を例に挙げて説明する。図8の(A)に示すように、溶加材としては多種の溶加材A,B,C,・・・が選択可能である。それぞれの溶加材A,B,C,・・・を用いて造形物を作製した場合、得られる造形物に生じ得る欠陥は、溶加材Aに対しては欠陥情報A、溶加材Bに対しては欠陥情報B、溶加材Cに対しては欠陥情報C,・・・となる。
その場合、溶加材Aに対する造形物の欠陥情報Aは数理モデルAを用い、溶加材Bに対する造形物の欠陥情報Bは数理モデルBを用い、溶加材Cに対する造形物の欠陥情報Cは数理モデルCを用いる、というように、溶加材の種類毎にそれぞれ個別の数理モデルを用いて欠陥情報と関係付けする。
したがって、図8の(B)に示すように、作成されるデータベース61は、溶加材Aと欠陥情報Aとが紐付けされ、溶加材Bと欠陥情報Bとが紐付けされ、溶加材Cと欠陥情報Cとが紐付けされる、というように、それぞれが個別に関係付けられる。これによれば、溶加材の種類毎に数理モデルが個別に機械学習されて欠陥情報が決定されるため、溶加材の特性に応じた欠陥情報が、正確、且つきめ細かに設定できる。よって、欠陥の予測精度を向上できる。
溶加材の種類としては、例えばMG-51T、MG-S63B(神戸製鋼所製ソリッドワイヤ)のように商品名で特定してもよく、溶加材の成分組成(例えば炭素量)で区別してもよい。
上記例では溶加材の種類毎に欠陥情報を関係付けした例であるが、実際の入力情報には、更に多種の項目が存在する。
図9は、入力情報が複数の項目からなる入力情報と、出力情報との数理モデルを用いた関係付けを示す説明図である。
入力情報としては、少なくとも、造形物の材料と、溶接条件と、部分的な溶接軌道とがある。溶接物の材料としては、上記した溶加材の他、溶着ビードが形成されるベースプレート27(図1)、溶着ビードに接合されて造形物の構成要素なる不図示の構造材等の部材が挙げられる。
溶接条件としては、溶着ビード形成時における、溶接電流、溶接電圧、溶接速度、溶接軌道のピッチ幅、パス間時間、溶接ヘッドの狙い位置、溶接ヘッドの溶接姿勢、溶加材の供給速度の少なくとも何れか、又はこれらの組み合わせが挙げられる。ここで、溶接ヘッドの狙い位置とは、溶接位置にトーチ先端を配置するためのトーチ先端位置であり、溶接ヘッドの溶接姿勢とは、鉛直軸とトーチ軸との傾斜角及び鉛直軸周りのトーチ傾斜方向の円周角である。また、溶接軌道のピッチ幅とは、隣接する溶接軌道同士の間の距離であり、パス間時間とは、複数の溶接軌道において、1つの溶接軌道の溶接パスから次の溶接軌道の溶接パスに移るまでの間の時間を表す。
上記のパス間時間は、形成される溶着ビードの金属組織に影響を及ぼす。
溶着ビードの形成時、溶融した軟鋼製の溶加材が急冷されると、ベイナイトを主とする混合組織となる。また、溶融した軟鋼製の溶加材が自然凝固すると、粗大なフェライト、パーライト、ベイナイトを含む組織となる。溶着ビードを積層する場合には、これらの組織は、次層以降の溶着ビードが積層されることによりフェライトの変態点を超えて加熱されると、パーライト及びベイナイトはフェライトに変態し、粗大なフェライトは微細化した組織となる。
パス間時間を調整して、例えば、パス間温度が200℃~550℃の範囲内に納まるように、層間時間及び入熱量を制御しながら次層の溶着ビードを積層し、同様に、次層以降の溶着ビードを積層すると、溶着ビードがフェライトの変態点を超えて加熱される。その場合、平均結晶粒径が10μm以下の微細なフェライト相からなる均一化された組織が得られる。そのような溶着ビードは、高硬度(例えばビッカース硬度で130~180Hv程度)となり、機械的強度が良好で、ばらつきの少ない略均一な硬度となる。
一方、次層の溶着ビードを積層する際に、パス間温度が200℃未満であると、次層以降の溶着ビードを積層することで溶着ビードが加熱されても、フェライトの変態点を超えず、微細なフェライト相からなる均一化された組織が得られない。例えば、造形初期においてはベースプレート27による抜熱によって、次層の溶着ビードを積層する際のパス間温度が200℃未満となる。その場合、造形初期の溶着ビードはベイナイトを主とする混合組織となる。また、パス間温度が550℃を超えると、次層の溶着ビードの積層により溶着ビードが加熱されて、溶着ビードの扁平化や垂れ落ちが発生して所定の形状に積層できなくなる。さらに、造形後期(造形物の最上層)の溶着ビードは、次層の溶着ビードが積層されず、再度加熱されることがないので、溶融した溶加材が自然凝固した状態、即ち、粗大なフェライト、パーライト、及びベイナイトを含む組織のままとなる。
このように、パス間時間で形成される溶着ビードの金属組織は変化し、これにより造形物に生じる欠陥も変化する。上記はパス間時間が造形物の欠陥に及ぼす影響についてであるが、同様に、他のパラメータについても造形物の特性に影響を及ぼすことがわかっている。
部分的な溶接軌道とは、造形物の形状の一部を切り出した要素形状に対する溶接軌道であって、複雑な形状を単純な形状(要素形状)に分解したときの、その単純な形状を造形するための溶接軌道を意味する(この点については後述する)。それぞれの溶接軌道の情報は、溶着ビードを形成するパス、パスの数、溶着ビードの形成順序、溶着ビードの断面形状の情報を含む。
ここで、上記した造形材の材料、溶接条件、部分的な溶接軌道のそれぞれを「項目」といい、各項目に対する溶加材A,B,C,・・、及び溶接電流,溶接電圧,溶接速度,・・・、要素形状,パス,パスの数,・・・のそれぞれを「入力サブ項目」という。
入力情報の各項目を複数の入力サブ項目に分割することで、入力可能な範囲を制限できる。つまり、入力データとして、入力サブ項目以外の内容が設定されることを防止して、例えば造形装置11の溶接ロボット17等の推奨範囲、溶加材の使用推奨条件等を逸脱しないようにできる。これにより、装置の不良や材料に起因するトラブルを未然に防止して、不正な条件が提示されるのを回避できる。
図9に示すように、入力情報は、造形物の材料、溶接条件、部分的な溶接軌道の複数の項目からなり、各項目のそれぞれは、互いに異なる複数の入力サブ項目を有する。
また、項目の内容が数値で表される場合、各項目の入力データは、その範囲を複数の区間で区切った入力サブ項目を定め、各入力サブ項目に対応する代表値を入力データとして定めてもよい。入力サブ項目の代表値は、例えば入力サブ項目内の中央値、又は上限値、下限値の値等、入力サブ項目を代表するものであればよい。
また、入力データの範囲は、実績データである入力情報と同一である必要はない。データベース作成部55は、このようにして定めた入力サブ項目毎の入力データを、数理モデル生成部53により作成された数理モデルに入力して、入力サブ項目毎の出力データを得る。
また、出力情報の出力データは、入力データに対応する数理モデルの出力値である。ここで、入力サブ項目毎の各入力データは、例えば入力サブ項目として定めたデータ区間の中央値を代表値として、入力データとすることができる。そして、データベース作成部55は、入力サブ項目毎の入力データを数理モデルに入力することで得られた出力データと、入力データとの対応関係を、入力サブ項目毎に蓄積保存してデータベースを作成する。つまりデータベース作成部55は、入力データの各項目の範囲を複数区間で区切った入力サブ項目毎の出力データを蓄積したデータベースを作成する。
このように、各項目の入力サブ項目同士は、互いの組み合わせの数の数理モデルによって造形物の欠陥情報と関係付けられる。上記のように複数の数理モデルを全ての組み合わせで学習させることもできるが、ある特定の溶接条件、溶接軌道のパターン等に基づいて、おおよそ一つの数理モデルに集約し、その数理モデルをベースにして、各パラメータに合せてチューニングするのが好ましい。ここでいうチューニングとは、ある領域で学習したこと(学習済みモデル)を別の領域に役立たせ、効率的に学習させる、転移学習(Transfer Learning)等が挙げられる。これによれば、学習データを削減して演算量を軽減できる。
次に、部分的な溶接軌道を求める際の要素形状と、要素形状毎の溶接軌道について、造形物の具体例と共に説明する。
図10は、作製しようとする造形物の形状を複数の要素形状に分割し、各要素形状の溶接軌道を求める処理を示す説明図である。
ここでは、造形物65として、本体65Aと、本体65Aの一方の面に接続された第1突起部65Bと、本体65Aの他方の面に接続された第2突起部65Cとを備えるものを例示する。この造形物65を単純な形状の要素形状に分割すると、円筒体の第1突起部65Bと、立方体の本体65Aと、U字形の第2突起部65Cとなる。要素形状への分割は、手動で分割してもよく、予め登録してある単純形状等とのパターンマッチングにより分割してもよい。
分割した各要素形状について、それぞれ個別に溶着ビードの形成順を表す溶接軌道を求める。つまり、分割した要素形状毎に溶接軌道を決定する。各要素形状の溶接軌道は、要素形状に分割する毎に逐次設計して求めてもよいが、要素形状が単純形状であるため、予め複数種の単純形状の溶接軌道(基準溶接軌道)を要素データベースに登録しておき、この要素データベースを参照して、要素形状に対応する形状の溶接軌道を決定することであってもよい。
例えば、円筒状の要素形状であれば、円筒体が複数の層に分割され、分割された各層について、溶着ビードの形成パス(トーチの軌道)がそれぞれ定められた基準溶接軌道となる。この基準溶接軌道を第1突起部65Bに適用することで、第1突起部65Bを溶着ビードで造形する際の造形手順である溶接軌道Bを簡単に決定できる。
本体65A,第2突起部65Cについても同様に、要素データベースから近い形状の基準溶接軌道を検索して求め、求めた基準溶接軌道から、本体65Aの溶接軌道Aと第2突起部65Cの溶接軌道Cを簡単に決定できる。このように、複雑な形状の造形物であっても、要素形状に分割することで造形物を単純形状の集合体とみなし、造形計画を簡単化できる。また、要素形状毎に欠陥発生を予測できため、造形物の全体のどの位置(どの付近)に欠陥が生じるかを特定することにも貢献する。
図11は、造形物の形状を要素形状に分解する場合の造形計画の作成手順を示すフローチャートである。
作製しようとする造形物の形状データを、図3に示す造形制御装置13の造形計画部57に入力すると(S31)、造形計画部57は、形状データから作成されるモデルを,複数の要素形状に分解する(S32)。そして、分解された各要素形状に対応する基準溶接軌道及び溶接条件等の諸情報を、予め用意された要素データベース(不図示)を検索してそれぞれ抽出する(S33)。ここで用いる要素データベースは、要素形状に対応して設定される基準溶接軌道及び溶接条件を含む情報であり、これらの情報が予め要素データベースに登録されている。
抽出された基準溶接軌道を、対応する要素形状に適用した溶接軌道をそれぞれ求め(S34)、溶接条件と合わせて造形物全体の造形計画を作成する(S35)。
作成された造形計画は、図7に示すS12の造形計画となる。したがって、要素形状に分解して、要素形状毎に溶接軌道及び溶接条件を決定した造形計画も、前述と同様に数理モデルを生成して、データベース61を構築することで、図4に示す造形計画が支援される。
なお、溶接条件に関しては、造形装置11、ワイヤ送給センサ31、形状センサ32、溶接ロボット17の駆動信号等から、溶接条件に関する情報を簡単に収集できる。それらの値は、必要に応じてモデルの形状をフィードバック制御する場合にも使用できる。
<第2のデータベース構成例>
次に、前述したデータベース61の入力情報と出力情報に加えて、中間出力情報を設ける場合について説明する。
図12は、入力情報と中間出力情報と出力情報との数理モデルを用いた関係付けを示す説明図である。
入力情報の造形物の材料と、溶接条件と、部分的な溶接軌道との各項目は、それぞれ複数の入力サブ項目を有する。それぞれの入力サブ項目同士の組み合わせに、中間出力情報が個別の第1の数理モデルによって関係付けられている。また、中間出力情報の各入力サブ項目が、出力情報の各入力サブ項目に第2の数理モデルによって関係付けられている。
ここで、中間出力情報は、造形物の温度履歴、溶着ビード形成時の溶融池形状の特徴量、溶着ビードのビード高さ又はビード幅の情報を含み、アーク形状の特性量、スパッタの有無等を含んでもよい。溶融池等に関しては、図15を参照して後述する。また、ビードの性状については、図16~図18を参照して後述する。
まず、造形物の温度履歴について説明する。温度履歴は、造形物の積層構造の、欠陥を含む内部状態(例えば材質)に大きく影響する。そのため、温度履歴を解析して造形物の内部状態を推定することは、欠陥の発生の可能性やその程度(例えば欠陥サイズ)の予測に役立つ。
溶加材等の造形物の材料が、溶接条件に応じて加熱され、所定の溶接軌道に沿って溶融、凝固される場合、形成される造形物(溶着ビード)の温度履歴は、上記した各項目の条件によって異なる。そのため、形成された造形物の機械的強度、金属組織等の特性も条件に応じて異なり、したがって、発生する欠陥にも影響する。
造形物の欠陥情報を推定するにあたり、入力情報の各項目(各条件)から直接的に造形物の欠陥情報を推定することが困難である場合でも、各項目に応じた温度履歴、溶融池形状の特徴量、ビード高さ又はビード幅が把握できれば、造形物の欠陥情報を推定しやすくなることがある。そこで、入力情報と出力情報である造形物の欠陥情報を関係付ける際に、まず、入力情報の各項目と中間出力情報とを関係付けし、さらに中間出力情報と出力情報である造形物の、欠陥情報(広義には、欠陥も含めた造形物の内部状態)とを関係付けするという、2段階の関係付けを行う。これによれば、入力情報と出力情報とを直接関係付けする場合と比較して、より高精度な関係付け、推定が可能となる。
温度履歴、溶融池形状の特徴量、ビード高さ又はビード幅を中間出力とすることで、造形条件の代表的特徴が集約され、各特徴に欠陥情報と対応付けしやすくなる。また、ここに挙げた中間出力情報は、形状センサ、温度センサを設けることで、造形中であっても情報の収集が容易に行える。
図13は、造形時に形成される溶着ビードの特定位置における温度履歴を示すグラフである。図13に示すように、繰り返し積層される溶着ビードは、自身が溶融及び凝固して溶着ビードとなった後、上層に積層される溶着ビードによって再び入熱され、加熱(近接層であれば溶融することもある)と冷却とを繰り返す。温度履歴の各ピークは、特定位置の溶着ビードよりも上層ほど、特定位置から離れるため、温度が低下している。
溶着ビードの融点Twを、鉄(炭素鋼)の融点である1534℃とし、溶着ビードの変態点Tt(炭素鋼のA1変態点)を723℃とすると、凝固後の溶着ビードの材質は、変態点Tt以上、融点以下Tw以下の範囲での温度履歴によって概ね決定される。つまり、積層造形では加熱と冷却が繰り返されるが、造形物の組織に影響を及ぼす要因は、上記した範囲Awの温度履歴にある。そこで、変態点Tt以上、融点以下Tw以下の範囲(検査温度範囲)Awの温度履歴の特徴量を抽出すれば、造形物の特性が予測できる。
例えば、図13に示す複数のピークのうち、融点Twを超えるピークと、変態点Tt未満のピークについては無視する。そして、変態点Tt以上、融点Tw以下の検査温度範囲Awのピークのうち、変態点Ttに最も近い低温側極大点Pk2の温度と、変態点Ttに2番目に近い高温側極大点Pk1の温度を抽出する。これら高温側極大点Pk1,低温側極大点Pk2の温度を温度履歴の特徴量、すなわち、中間出力情報として設定する。
図14は、それぞれ異なる入熱量でビード形成した場合の冷却特性の違いを示すグラフで、(A)は比較的高い入熱量の場合の温度変化特性を示すグラフ、(B)は比較的低い入熱量の場合の温度変化特性を示すグラフである。
図14の(A)に示すように、入熱量をQaからQb、Qc、Qdの順に高めても、350℃程度にまで冷却されるまでの時間は殆ど変わらず、この場合は約15秒となる(Pend参照)。一方、図14の(B)に示すように、入熱量が比較的低い場合には、冷却される時間を約15秒とすると約300℃程度にまで冷却されてしまう(Pend参照)。つまり、入熱量が高いほど冷却速度が遅くなり、入熱量が低いほど冷却速度が速くなる。よって、冷却速度は入熱量に依存するものであり、低温側極大点Pk2の温度がわかれば、溶着ビードの組織を予測できる。そして、低温側極大点Pk2の温度と、高温側極大点Pk1の温度とを合わせて組織等の特性を予測することで、いずれかの温度だけで予測する場合よりも予測精度が高められる。
このように、溶着ビードの材質を決定する要因となる温度履歴が、上記した特徴量から特定できれば、その温度履歴で形成された溶着ビードの材質を比較的高い精度で予測でき、これを欠陥発生の可能性の判定に活用することができる。そこで、中間処理情報の項目を、造形材の材質の決定要因に設定して、入力情報と中間出力情報とを第1の数理モデルによって関係付け、中間出力情報と出力情報とを第2の数理モデルによって関係付ける。これにより、入力情報と出力情報とを直接関係付ける場合よりも、正確に双方を関係付けできる効果が期待できる。
この温度履歴については、造形中に温度センサ30(図1)によって造形物を温度監視して所定位置の温度データを取得してもよい。温度センサ30は、形状センサ32と協働して温度を検出するものであってもよい。つまり、形状センサ32が造形物の形状を検出し、温度センサ30が造形物の特定位置の温度を検出する。
また、溶加材の種類や溶接条件を基に、温度のシミュレーション計算を行ってもよい。以下に温度シミュレーションに使用される基本式の一例を示す。
Figure 0007303163000001
基本式(1)は、いわゆる陽解法FEM(Finite Element Method)による伝熱解析の式である。基本式(1)の各パラメータは以下のとおりである。
H:エンタルピ
C:節点体積の逆数
K:熱伝導マトリックス
F:熱流束
Q:体積発熱
これによれば、エンタルピを未知数とすることにより、潜熱放出等の非線形現象を精度よく計算できる。なお、溶接時の入熱量は、体積発熱又は熱流束のパラメータに入力する。
上記の3次元熱伝導方程式である基本式(1)において、造形(溶接)時の入熱量は、溶接速度に合わせて溶接領域に付与してもよい。また、溶着ビードが短い場合は、1ビード全体の入熱を付与してもよい。
次に、中間出力情報が溶融池等に関する特徴量である場合について説明する。
図15は、溶加材の先端で形成される溶融池を示す説明図である。図15では、特徴量(画像特徴情報)として、アーク中心71、溶加材先端73、溶融池先端75、溶融池左端77、溶融池右端79が示されている。但し、これに限定されるものではなく、例えば、アークの幅、アークの形状等を特徴量として推測して抽出してもよい。
一例として、溶接中の造形物の一部に複雑な形状の突起等が存在し、あるいは、近くにワークの壁部が存在する場合、その存在によってトーチの移動が制限される、また、発生するアークが、突起、壁部に引き寄せられ、アーク方向が変化する。そうすると、溶融池の面積や位置が正常な範囲から外れたり、溶加材先端とアーク中心との距離が遠くなったりする、といった特徴量の変動が生じ得る。このような変動の傾向を機械学習することで、入力情報(造形物の材料、溶接条件、軌道計画等の少なくとも1つ)から、溶融池やアークに関する特徴量を予測(推定)できる。
そして、溶融池やアークの特徴量に、例えば正常範囲からの逸脱が認められるとき、例えば、溶融金属の一部のみが集中的に加熱されて早く溶け、凝固するが、他部の温度は遅れて上昇してきて、その温度上昇によって先に凝固した部分が不均一に再溶融されて接合強度不足が生じる可能性もある。このような傾向を機械学習できれば、溶融池等の特徴量から、欠陥の発生の可能性やその程度、その発生位置等について予測(推定)できる。
次に、中間出力情報が、ビード高さ、ビード幅等の、溶着ビードの性状についての情報である場合について説明する。
図16は、1層2列のビードの積層構造において発生した欠陥例を示す断面図である。ここで示す積層構造では、ベースプレート27上に第1ビード81が形成され、この第1ビード81の一部と重なって第2ビード83が形成されている。
第1ビード81と第2ビード83との間には、空洞(巣)85の欠陥が発生しており、図示はしないが、各ビードの周囲には、スラグ、スパッタ等の付着も認められる。スラグ、スパッタは、積層構造の外側に形成されるが、ビードの積層を行う場合に、ビード間に挟まれて、積層構造の内部に入り込むことがある。その場合、接合強度、耐久性、機械的強度等の特性に影響を及ぼす。このように、隣接したビードの性状は、ビード内部の欠陥にも密接に関連し、欠陥の発生を予測する有益な情報となり得る。
このようなビード内部の欠陥は、カメラでビードの外観形状を撮像しただけでは、検出できず、超音波又はX線を用いた探傷試験に頼らざるを得ない。しかし、本予測方式によれば、撮像画像から得られる情報をモデル形状関数に当てはめることで、構成要素である溶着ビードに分解でき、分解した各溶着ビードの性状を把握することで、高い精度で欠陥発生の推定が可能となる。ここで、モデル形状関数について具体的に説明する。
図17の(A)は1層2列で積層した溶着ビードのモデル形状関数によるシミュレーション結果の断面図であり、図17の(B)は、図17の(A)における溶着ビード毎の形状を示す断面図である。
図17の(A)において、BD1は1層2列の溶着ビード全体の断面形状である。この断面形状は、図17の(B)に示す第1ビードの形状BD1-1と第2ビードの形状BD1-2とを合成して得られる。つまり、溶着ビード全体の断面形状は、第1ビードと第2ビードとに分解でき、各ビードのそれぞれについて、個別に欠陥情報の推定ができる。
図18の(A)は、2層2列で積層した溶着ビードのモデル形状関数によるシミュレーション結果の断面図であり、図18の(B)は、図18の(A)における溶着ビード毎の形状を示す断面図である。
図18の(A)において、BD2は2層2列の溶着ビード全体の断面形状である。この断面形状は、図18の(B)に示す1層目の第1ビードの形状BD2-1、及び第2ビードの形状BD2-2と、2層目の第3ビードの形状BD2-3、及び第4ビードの形状BD2-4とを合成して得られる。なお、2層目の第3、第4ビードのそれぞれは、1層目の第1,第2ビードが形成された後に盛り付けされるビード形状を示している。つまり、溶着ビード全体の断面形状は、第1~第4ビードに分解でき、各ビードのそれぞれについて、個別に欠陥情報の推定ができる。
このように、溶着ビードの形状検出結果から得られる溶着ビードの全体の外観形状の情報に、モデル形状関数を適用することで、各層における溶着ビードのビード高さ、ビード幅等の形状情報を特定できる。特定された形状情報を、例えば学習モデルのパラメータとしてデータベースに登録しておき、試験結果で得られる欠陥情報との対応付けを行うことで、各溶着ビードの性状も考慮した、より精度の高い欠陥の予測が可能となる。
<他のデータベース構成例>
図19は、入力情報と出力情報とを関係付ける複数のデータベースを選択的に用いる様子を示す説明図である。
前述した第1のデータベース構成例は、入力情報と出力情報とを数理モデルIを用いて関係付けして、この数理モデルIによりデータベースDB1(前述のデータベース61)を構築する。
また、第2のデータベース構成例は、入力情報と中間出力情報とを数理モデルIIaを用いて関係付けし、中間出力情報と出力情報とを数理モデルIIbを用いて関係付けして、これら数理モデルIIa,IIbによりデータベースDB2(前述のデータベース61)を構築する。
そして、構築されたデータベースDB1とデータベースDB2とを比較して、入力情報に対する出力情報がより正確な方のデータベースを、図4に示すデータベース61として使用する。データベースDB1,DB2の比較は、例えば対応関係が既知である入力情報と出力情報の組(教師データ)を用いて、入力に対する出力の正確性を判断する。
これによれば、複数のデータベースを構築して、より精度の高いデータベースを選択的に用いることで、造形物の欠陥(広義には欠陥を含む特性)の予測精度が高まり、より適切な造形計画の作成を支援できる。
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 溶接ヘッドから供給される溶加材を溶融及び凝固させて形成する溶着ビードを、所望の形状に積層して造形物を製造する際の欠陥発生を予測する欠陥発生予測方法であって、
前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を含む入力情報と、当該入力情報の前記各項目の条件で積層造形した場合の前記造形物の欠陥情報を含む出力情報とを関係付ける数理モデルを生成する工程と、
前記数理モデルを用いて前記入力情報と前記出力情報との対応関係を表すデータベースを作成する工程と、
前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を前記データベースに入力し、前記造形物の欠陥情報を、前記データベースを検索して求める工程と、
求めた前記造形物の欠陥情報を提示する工程と、
を含み、
前記入力情報の項目のそれぞれは、互いに異なる複数の入力サブ項目を有し、
前記出力情報は、前記入力サブ項目に対応する複数の個別欠陥情報を有し、
前記数理モデルを生成する工程では、前記入力情報の前記入力サブ項目のそれぞれを、前記数理モデルで前記個別欠陥情報に関係付けする、
欠陥発生予測方法。
この欠陥発生予測方法によれば、欠陥発生に関するデータベースを構築することで、積層造形を行う前に造形物の欠陥発生を予測することができる。また、積層造形により製造され、形状が複雑であるために超音波探傷等の接触式内部検査の適用が難しい造形物についても、あるいは、サイズが大きくX線による探傷試験の適用が難しい造形物についても、簡便に欠陥を予測できる。
(2) 溶接ヘッドから供給される溶加材を溶融及び凝固させて形成する溶着ビードを、所望の形状に積層造形して造形物を製造する際の欠陥発生を予測する欠陥発生予測方法であって、
前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を含む入力情報と、当該入力情報の各項目の条件で積層造形した場合の前記造形物の温度履歴、前記溶着ビード形成時の溶融池形状の特徴量、前記溶着ビードのビード高さ又はビード幅の情報を含む中間出力情報とを関係付ける第1の数理モデル、及び前記中間出力情報と前記造形物の欠陥情報を含む出力情報とを関係付ける第2の数理モデルをそれぞれ生成する工程と、
前記第1の数理モデルと前記第2の数理モデルを用いて前記入力情報と前記出力情報との対応関係を表すデータベースを作成する工程と、
前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を前記データベースに入力し、前記造形物の欠陥情報を、前記データベースを検索して求める工程と、
求めた前記造形物の欠陥情報を提示する工程と、
を含み、
前記入力情報の項目のそれぞれは、互いに異なる複数の入力サブ項目を有し、
前記中間出力情報は、前記入力サブ項目に対応する個別中間値を有し、
前記出力情報は、前記個別中間値に対応する複数の個別欠陥情報を有し、
前記第1の数理モデル及び前記第2の数理モデルを生成する工程では、前記入力サブ項目のそれぞれを、前記第1の数理モデルで前記個別中間値に関係付けし、且つ、前記個別中間値のそれぞれを、前記第2の数理モデルで前記個別欠陥情報に関係付けする、
欠陥発生予測方法。
この欠陥発生予測方法によれば、温度履歴、溶融池等の特徴量、ビード高さ又はビード幅等を中間出力とすることで、造形条件の代表的特徴が集約されて欠陥情報と対応付けしやすくなる。また、ここに挙げた中間出力情報は、造形物の造形中において、形状センサ、温度センサを設けることで容易に情報の収集が行え、簡便な手法で実現が可能である。例えば、予測される温度履歴から造形物の内部の状態が、欠陥が生じやすい、あるいは欠陥が生じる可能性が通常よりも高いと判定されるような状態であるかを把握できる。さらに、溶接に直接的に関係する溶融池等の特徴量から、例えば正常範囲から外れた溶接が実施される可能性を推測し、欠陥発生の有無、程度を絞り込める。また、溶着ビードの各層における溶着ビードの形状情報を、モデル形状関数等を用いて推定し、溶着ビードの形状、大きさ、つぶれ具合、外形の乱れ、構造的不安定さの程度も考慮して、欠陥の位置やサイズ等を予測できる。さらには、スパッタ発生の有無等をも考慮して、上記欠陥を予測できる。このように、データベースを活用した簡便な手法で、学習量を大きく増大させることなく、従来にない高精度の欠陥発生の予測が可能となる。
また、複数の中間出力情報を組み合わせて欠陥発生を予測することで、その予測精度を向上させることも可能である。また、中間出力情報の種類を増やすことで、さらに予測の確度を高めることもできる。
(3) 前記入力情報における前記材料の情報は、溶加材の種類の情報を含む、(1)又は(2)に記載の欠陥発生予測方法。
この欠陥発生予測方法によれば、溶加材の種類に応じて溶融時の溶着ビードの粘性が異なり、それに伴って溶着ビードの断面形状が異なる傾向があるため、溶加材の種類毎に分けて数理モデルを作成することで、各溶加材に適した欠陥発生予測を実施できる。このことは、各溶加材に適した溶接条件や軌道計画の効率的な策定にも寄与する。
(4) 前記入力情報における前記溶接条件の情報は、前記溶着ビード形成時の、溶接電流、溶接電圧、溶接速度、隣接する前記溶接軌道同士のピッチ幅、複数の前記溶接軌道のうち特定の溶接軌道から他の溶接軌道へ移るまでのパス間時間、前記溶接ヘッドの狙い位置、前記溶接ヘッドの溶接姿勢、前記溶加材の供給速度の少なくとも何れか、又はこれらの組み合わせの情報を含む、(1)~(3)のいずれか1つに記載の欠陥発生予測方法。
この欠陥発生予測方法によれば、溶接条件の多様な項目に着目して、例えばいくつか有力なものに限定したり、多様なパターンで切り出したりすることで、その選択した項目に対応した中間出力情報や欠陥発生情報を出力できる。つまり、欠陥発生の予測に際して、様々なバリエーションを得ることができる。これによって、データ数の拡充も容易となる。また、いずれも造形中に監視できる指標であるため、容易にデータを収集できる。
(5) 前記入力情報における前記溶接軌道の情報は、前記溶着ビードを形成するパス、前記パスの数、前記溶着ビードの形成順序、前記溶着ビードの断面形状の少なくともいずれかの情報を含む、(1)~(4)のいずれか1つに記載の欠陥発生予測方法。
この欠陥発生予測方法によれば、上記(4)と同様の効果を得ることができる。
(6) 前記溶接軌道は、前記造形物の全体形状の一部を切り出した要素形状に対応する部分的溶接軌道を含む、(1)~(5)のいずれか1つに記載の欠陥発生予測方法。
この欠陥発生予測方法によれば、造形物の全体を複数の要素形状に分割し、要素形状毎の軌道計画を設定することで、複雑な造形物を単純な要素形状の組み合わせで表せる。これにより、入力情報に応じた中間出力情報、及び最終的な出力情報である欠陥情報を、演算量を軽減して予測できる。つまり、部分的な軌道計画と関連付けてデータベースを作成することで、対象が複雑な造形物であっても、形状を適切に分解すれば予測が簡単になり、汎用性を向上できる。
また、部分的な軌道計画に基づく欠陥予測情報を集約すれば、造形物全体についての欠陥予測が行える。この要素形状毎の分解は、手動で行ってもよく、予め登録してある単純形状とパターンマッチングすることで切り出してもよい。
切り出された各要素形状は例えば、所定の積層方向軸を定めて層分解することもでき、また、各層は、所定のビード単位に分割することで、各溶着ビードを形成する軌道を作成することも可能である。このように、要素形状毎に欠陥発生を予測できるため、造形物のどの位置に欠陥が生じるかを簡単に特定することができる。また、各要素形状に対応する部分的な溶接軌道を様々なバリエーションで作成しておくことで、複雑な形状の造形物であっても、煩雑な処理を要せずに、欠陥を含めた造形物の特性を高効率に予測でき、適切な造形計画を作成できる。
(7) 前記出力情報は、欠陥サイズ、欠陥形状、スパッタ発生量、欠陥発生有無の少なくともいずれかの情報を含む、(1)~(6)のいずれか1つに記載の欠陥発生予測方法。
この欠陥発生予測方法によれば、造形物の品質に関わる重要な指標を出力情報として、データベースによる検索、すわなち、欠陥等の推定が可能である。そのため、実際の造形に先立ち、データベースを用いた欠陥予測を行って、造形物の品質に関わる重要な指標となり得る欠陥情報を得ることができる。つまり、それらの重要な指標を出力情報とすることで、造形物の品質を効率良く予測することが可能となる。
(8) 前記数理モデルは、前記入力情報と前記出力情報との関係を機械学習した学習済みモデルである、(1)~(7)のいずれか1つに記載の欠陥発生予測方法。
この欠陥発生予測方法によれば、データさえあれば簡単に数理モデルが構築でき、かつ積層造形の度にデータを拡充してモデルの精度向上を図れる。機械学習によって数理モデルを構築することで、試験データのない部分を補完して、予測精度を向上させることができる。また、入力と出力に対応するデータは、例えば、壁造形やブロック造形等の基礎的な形状の造形物よりデータを収集できるため、簡単に機械学習データを用意でき、実現性にも優れた構成にできる。
(9) 前記入力情報の入力範囲を、予め定めた条件に基づいて限定した範囲に制限する、(1)~(8)のいずれか1つに記載の欠陥発生予測方法。
この欠陥発生予測方法によれば、造形装置を駆動する推奨範囲、及び溶加材の使用推奨条件等を逸脱しないように、入力範囲に制限を設けることで、装置不良や材料に起因するトラブルを起こしやすい条件の入力を回避できる。また、例えば、溶接機の推奨範囲、溶加材の使用推奨条件、等を逸脱するケースは検索対象外とすることで、数理モデルの計算負荷を低減することも可能である。
(10) 溶接ヘッドから供給される溶加材を溶融及び凝固させて形成する溶着ビードを、所望の形状に積層して造形物を製造する際の欠陥発生を予測する欠陥発生予測装置であって、
前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を含む入力情報と、当該入力情報の前記各項目の条件で積層造形した場合の前記造形物の欠陥情報を含む出力情報とを関係付ける数理モデルを生成する数理モデル生成部と、
前記数理モデルを用いて前記入力情報と前記出力情報との対応関係を表すデータベースを作成するデータベース作成部と、
前記データベースに入力される前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を用いて前記データベースを検索し、前記造形物の欠陥情報を求める検索部と、
求めた前記造形物の欠陥情報を提示する出力部と、
を含み、
前記入力情報の項目のそれぞれは、互いに異なる複数の入力サブ項目を有し、
前記出力情報は、前記入力サブ項目に対応する複数の個別欠陥情報を有し、
前記数理モデルを生成する工程では、前記入力情報の前記入力サブ項目のそれぞれを、前記数理モデルで前記個別欠陥情報に関係付けする、
欠陥発生予測装置。
この欠陥発生予測装置によれば、欠陥発生に関するデータベースを構築することで、積層造形を行う前に造形物の欠陥発生を予測できる。また、積層造形により製造され、形状が複雑であるために超音波探傷等の接触式内部検査の適用が難しい造形物についても、また、サイズが大きくX線による探傷試験の適用が難しい造形物についても、簡便に欠陥を予測できる。
(11)溶接ヘッドから供給される溶加材を溶融及び凝固させて形成する溶着ビードを、所望の形状に積層して造形物を製造する際の欠陥発生を予測する欠陥発生予測装置であって、
前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を含む入力情報と、当該入力情報の各項目の条件で積層造形した場合の前記造形物の温度履歴、前記溶着ビード形成時の溶融池形状の特徴量、前記溶着ビードのビード高さ又はビード幅の情報を含む中間出力情報とを関係付ける第1の数理モデル、及び前記中間出力情報と前記造形物の欠陥情報を含む出力情報とを関係付ける第2の数理モデルをそれぞれ生成する数理モデル生成部と、
前記第1の数理モデルと前記第2の数理モデルを用いて前記入力情報と前記出力情報との対応関係を表すデータベースを作成するデータベース作成部と、
前記データベースに入力される前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を用いて前記データベースを検索し、前記造形物の欠陥情報を求める検索部と、
求めた前記造形物の欠陥情報を提示する出力部と、
を含み、
前記入力情報の項目のそれぞれは、互いに異なる複数の入力サブ項目を有し、
前記中間出力情報は、前記入力サブ項目に対応する個別中間値を有し、
前記出力情報は、前記個別中間値に対応する複数の個別欠陥情報を有し、
前記第1の数理モデル及び前記第2の数理モデルを生成する工程では、前記入力サブ項目のそれぞれを、前記第1の数理モデルで前記個別中間値に関係付けし、且つ、前記個別中間値のそれぞれを、前記第2の数理モデルで前記個別欠陥情報に関係付けする、
欠陥発生予測装置。
この欠陥発生予測装置によれば、温度履歴、溶融池等の特徴量、ビード高さ又はビード等を中間出力とすることで、造形条件の代表的特徴が集約されて欠陥情報と対応付けしやすくなる。また、ここに挙げた中間出力情報は、造形物の造形中において、形状センサ、温度センサを設けることで容易に情報の収集が行えるため、簡便な手法で実現が可能である。例えば、予測される温度履歴から造形物の内部の状態が、欠陥が生じやすい、あるいは欠陥が生じる可能性が通常よりも高いと判定されるような状態であるかを把握できる。さらに、溶接に直接的に関係する溶融池等の特徴量から、例えば正常範囲から外れた溶接が実施される可能性を推測し、欠陥発生の有無、程度を絞り込める。また、溶着ビードの各層における溶着ビードの形状情報を、モデル形状関数等を用いて推定し、溶着ビードの形状、大きさ、つぶれ具合、外形の乱れ、構造的不安定さの程度も考慮して、欠陥の位置やサイズ等を予測できる。さらには、スパッタ発生の有無等をも考慮して、上記欠陥を予測できる。このように、データベースを活用した簡便な手法で、学習量を大きく増大させることなく、従来にない高精度の欠陥発生の予測が可能となる。
また、複数の中間出力情報を組み合わせて欠陥発生を予測することで、その予測精度を向上させることも可能である。また、中間出力情報の種類を増やすことで、予測の確度をさらに高めることもできる。
11 造形装置
13 造形制御装置
15 溶接トーチ
17 溶接ロボット
21 ロボット制御装置
23 溶加材供給部
25 溶接電源
27 ベースプレート
29 リール
30 温度センサ
31 ワイヤ送給センサ
32 形状センサ
33 入出力インターフェース
35 記憶部
37 操作パネル
39 溶着ビード層
41 CPU
43 記憶部
45 入出力インターフェース
47 入力部
49 出力部
51 基本情報テーブル
53 数理モデル生成部
55 データベース作成部
57 造形計画部
59 検索部
61 データベース
63 初期データベース
65,64A 造形物
65A 本体(要素形状)
65B 第1突起部(要素形状)
65C 第2突起部(要素形状)

Claims (11)

  1. 溶接ヘッドから供給される溶加材を溶融及び凝固させて形成する溶着ビードを、所望の形状に積層して造形物を製造する際の欠陥発生を予測する欠陥発生予測方法であって、
    前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を含む入力情報と、当該入力情報の前記各項目の条件で積層造形した場合の前記造形物の欠陥情報を含む出力情報とを関係付ける数理モデルを生成する工程と、
    前記数理モデルを用いて前記入力情報と前記出力情報との対応関係を表すデータベースを作成する工程と、
    前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を前記データベースに入力し、前記造形物の欠陥情報を、前記データベースを検索して求める工程と、
    求めた前記造形物の欠陥情報を提示する工程と、
    を含み、
    前記入力情報の項目のそれぞれは、互いに異なる複数の入力サブ項目を有し、
    前記出力情報は、前記入力サブ項目に対応する複数の個別欠陥情報を有し、
    前記数理モデルを生成する工程では、前記入力情報の前記入力サブ項目のそれぞれを、前記数理モデルで前記個別欠陥情報に関係付けする、
    欠陥発生予測方法。
  2. 溶接ヘッドから供給される溶加材を溶融及び凝固させて形成する溶着ビードを、所望の形状に積層造形して造形物を製造する際の欠陥発生を予測する欠陥発生予測方法であって、
    前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を含む入力情報と、当該入力情報の各項目の条件で積層造形した場合の前記造形物の温度履歴、前記溶着ビード形成時の溶融池形状の特徴量、前記溶着ビードのビード高さ又はビード幅の情報を含む中間出力情報とを関係付ける第1の数理モデル、及び前記中間出力情報と前記造形物の欠陥情報を含む出力情報とを関係付ける第2の数理モデルをそれぞれ生成する工程と、
    前記第1の数理モデルと前記第2の数理モデルを用いて前記入力情報と前記出力情報との対応関係を表すデータベースを作成する工程と、
    前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を前記データベースに入力し、前記造形物の欠陥情報を、前記データベースを検索して求める工程と、
    求めた前記造形物の欠陥情報を提示する工程と、
    を含み、
    前記入力情報の項目のそれぞれは、互いに異なる複数の入力サブ項目を有し、
    前記中間出力情報は、前記入力サブ項目に対応する個別中間値を有し、
    前記出力情報は、前記個別中間値に対応する複数の個別欠陥情報を有し、
    前記第1の数理モデル及び前記第2の数理モデルを生成する工程では、前記入力サブ項目のそれぞれを、前記第1の数理モデルで前記個別中間値に関係付けし、且つ、前記個別中間値のそれぞれを、前記第2の数理モデルで前記個別欠陥情報に関係付けする、
    欠陥発生予測方法。
  3. 前記入力情報における前記材料の情報は、溶加材の種類の情報を含む、請求項1又は2に記載の欠陥発生予測方法。
  4. 前記入力情報における前記溶接条件の情報は、前記溶着ビード形成時の、溶接電流、溶接電圧、溶接速度、隣接する前記溶接軌道同士のピッチ幅、複数の前記溶接軌道のうち特定の溶接軌道から他の溶接軌道へ移るまでのパス間時間、前記溶接ヘッドの狙い位置、前記溶接ヘッドの溶接姿勢、前記溶加材の供給速度の少なくとも何れか、又はこれらの組み合わせの情報を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の欠陥発生予測方法。
  5. 前記入力情報における前記溶接軌道の情報は、前記溶着ビードを形成するパス、前記パスの数、前記溶着ビードの形成順序、前記溶着ビードの断面形状の少なくともいずれかの情報を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の欠陥発生予測方法。
  6. 前記溶接軌道は、前記造形物の全体形状の一部を切り出した要素形状に対応する部分的溶接軌道を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の欠陥発生予測方法。
  7. 前記出力情報は、欠陥サイズ、欠陥形状、スパッタ発生量、欠陥発生有無の少なくともいずれかの情報を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の欠陥発生予測方法。
  8. 前記数理モデルは、前記入力情報と前記出力情報との関係を機械学習した学習済みモデルである、請求項1~7のいずれか1項に記載の欠陥発生予測方法。
  9. 前記入力情報の入力範囲を、予め定めた条件に基づいて限定した範囲に制限する、請求項1~8のいずれか1項に記載の欠陥発生予測方法。
  10. 溶接ヘッドから供給される溶加材を溶融及び凝固させて形成する溶着ビードを、所望の形状に積層して造形物を製造する際の欠陥発生を予測する欠陥発生予測装置であって、
    前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を含む入力情報と、当該入力情報の前記各項目の条件で積層造形した場合の前記造形物の欠陥情報を含む出力情報とを関係付ける数理モデルを生成する数理モデル生成部と、
    前記数理モデルを用いて前記入力情報と前記出力情報との対応関係を表すデータベースを作成するデータベース作成部と、
    前記データベースに入力される前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を用いて前記データベースを検索し、前記造形物の欠陥情報を求める検索部と、
    求めた前記造形物の欠陥情報を提示する出力部と、
    を含み、
    前記入力情報の項目のそれぞれは、互いに異なる複数の入力サブ項目を有し、
    前記出力情報は、前記入力サブ項目に対応する複数の個別欠陥情報を有し、
    前記数理モデルを生成する工程では、前記入力情報の前記入力サブ項目のそれぞれを、前記数理モデルで前記個別欠陥情報に関係付けする、
    欠陥発生予測装置。
  11. 溶接ヘッドから供給される溶加材を溶融及び凝固させて形成する溶着ビードを、所望の形状に積層して造形物を製造する際の欠陥発生を予測する欠陥発生予測装置であって、
    前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を含む入力情報と、当該入力情報の各項目の条件で積層造形した場合の前記造形物の温度履歴、前記溶着ビード形成時の溶融池形状の特徴量、前記溶着ビードのビード高さ又はビード幅の情報を含む中間出力情報とを関係付ける第1の数理モデル、及び前記中間出力情報と前記造形物の欠陥情報を含む出力情報とを関係付ける第2の数理モデルをそれぞれ生成する数理モデル生成部と、
    前記第1の数理モデルと前記第2の数理モデルを用いて前記入力情報と前記出力情報との対応関係を表すデータベースを作成するデータベース作成部と、
    前記データベースに入力される前記造形物の材料、溶接条件及び溶接軌道の各項目を用いて前記データベースを検索し、前記造形物の欠陥情報を求める検索部と、
    求めた前記造形物の欠陥情報を提示する出力部と、
    を含み、
    前記入力情報の項目のそれぞれは、互いに異なる複数の入力サブ項目を有し、
    前記中間出力情報は、前記入力サブ項目に対応する個別中間値を有し、
    前記出力情報は、前記個別中間値に対応する複数の個別欠陥情報を有し、
    前記第1の数理モデル及び前記第2の数理モデルを生成する工程では、前記入力サブ項目のそれぞれを、前記第1の数理モデルで前記個別中間値に関係付けし、且つ、前記個別中間値のそれぞれを、前記第2の数理モデルで前記個別欠陥情報に関係付けする、
    欠陥発生予測装置。
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