JP7300230B1 - 古紙の蒸解方法 - Google Patents

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【課題】古紙をパルプ化する際に、工程の短縮による効率化と、コスト面や供給面の不安解消と、環境負荷の低減と、作業上の安全性の確保と、の各条件を全て満たすことが可能な方法を提供する。【解決手段】古紙をパルプ化する古紙の蒸解方法であって、地球釜1に古紙2,水3,水酸化ナトリウム4およびpH12以上のアルカリ性電解水5を投入し、前記地球釜1の内容物を加熱しつつ攪拌する工程からなる。【選択図】図1

Description

本発明は、古紙を原料として、例えばトイレットペーパーなどの製造用の古紙パルプを得るための蒸解方法に関する。
日本国内において、使用済みの紙は古紙として積極的にリサイクルがされており、回収された古紙は所定の手順でパルプに分解された後、得られた古紙パルプはトイレットペーパーや新聞、雑誌など、様々な紙製品として再利用されている。
古紙のパルプ化については様々な方法があり、例えば、特開平11-158788号公報(特許文献1)に開示されたようなパルパーによる離解処理を用いるものが広く採用されているほか、地球釜による蒸解処理を用いるものや、平釜による蒸煮処理を用いるものが知られている。
しかしながら、前記特許文献1に示したパルパーによる離解処理を用いるものは、パルパーによる離解工程とは別途に、インクを分離する脱墨工程が必要となるため、全体の工程が完了するまでに時間を要するほか、使用する装置もそれぞれの工程ごとに用意する必要があり、不便であった。
一方、例えば、特開昭61-194289号公報(特許文献2)に示された発明のように、高温加圧可能かつ回転可能な地球釜による蒸解処理を用いる場合は、単一の装置内で熱・圧力・回転によってパルプの離解を行いつつ脱墨も行うことが出来るため、工程を短縮することが可能な利点を有する。
蒸解処理における添加剤として、古紙のほぐれを促進するためのアルカリ剤と、古紙の漂白を行うための還元剤とをそれぞれ使用することが知られており、前記特許文献2に記載の発明では、アルカリ剤として水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)を、還元剤として亜ジチオン酸ナトリウム(ハイドロサルファイトナトリウム)または二酸化チオ尿素を用いるものである。なお、その他使用されるアルカリ剤としては例えばソーダ灰(炭酸ナトリウム)が、還元剤としては例えば亜硫酸ナトリウムが知られている。
このように、蒸解処理において還元剤を添加することによって、製造される紙に着色された繊維が残留することによって白色度の低下またはバラつきが発生するという不具合を回避することが可能であることが知られている。より詳細には、還元剤は酸化還元電位がマイナスであること、すなわち還元反応によって着色古紙の色の減退効果を図るとともに、得られる古紙パルプの色調が変化し、白色度の向上とは別に、見かけの白さも向上するという効果も得られる。
亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトナトリウム、二酸化チオ尿素は、この順に上述の効果が高まるが、価格も同様にこの順に高額となるため、コスト面の問題があった。
供給面においても、ハイドロサルファイトナトリウムや二酸化チオ尿素は輸入品を使用することが多く、価格変動や安定供給についての不安が常につきまとう。
また、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)、ハイドロサルファイトナトリウム(Na224)、二酸化チオ尿素(CH422S)はいずれもその化学構造内に硫黄を含むため、蒸解工程由来の硫酸イオンが発生する。発生した硫酸イオンは、例えば鋼などの金属類を用いた製造設備に対して腐食を生じさせる恐れがあるほか、排水に残留する場合、排水管やコンクリートの腐食を生じさせる恐れもある。希釈のために大量の水を使用する場合、環境負荷への影響がある。
更に言えば、ハイドロサルファイトナトリウム、二酸化チオ尿素は通常、粉体で納入・貯蔵されるが、少量の水分と反応し発熱する特性があり、火災を生じないよう、保管時には周囲の可燃物への注意が必要であった。また、添加時に粉塵の舞い上がりが生じることが多く、防塵マスクの装着や局所換気装置などの対策が必要となるなど、作業上の安全性の懸念もあった。
特開平11-158788号公報 特開昭61-194289号公報
そこで、本発明は、古紙をパルプ化する際に、工程の短縮による効率化と、コスト面や供給面の不安解消と、環境負荷の低減と、作業上の安全性の確保と、の各条件を全て満たすことが可能な方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた本発明は、古紙をパルプ化する古紙の蒸解方法であって、地球釜に古紙,水,水酸化ナトリウムおよびpH12以上のアルカリ性電解水を投入し、前記地球釜の内容物を加熱しつつ攪拌する工程からなる。
このように、還元剤はpH12以上のアルカリ性電解水を用いることによって、単一の工程のみによる効率的な古紙のパルプ化が可能となり、得られる古紙パルプは従来の還元剤を使用した蒸解方法と遜色ないものでありつつ、アルカリ性電解水は電解水生成装置によって安価かつ容易に製造できるため、コスト面や供給面での不安を解消しつつ、排水処理のための大量の水を不要として、環境負荷の低減も可能とし、更に、発火や粉塵発生の危険性も解消して作業上の安全性も確保することができる。
本発明において、前記アルカリ性電解水は、炭酸カリウムを添加した水を電気分解して得た、水素イオン指数がpH12~pH12.5で、酸化還元電位が-850mV以下のアルカリ性電解水である場合、例えば他の代表的な電解質である塩化ナトリウムを添加した水を電気分解する方法よりも効率的にアルカリ性電解水を得られるとともに、不要な酸性電解水を生成することもなく、このようにpHが高く、酸化還元電位が低いアルカリ性電解水は高い還元力を発揮して古紙の脱墨や漂白を行うことができる。
本発明において、前記アルカリ性電解水の添加量は、前記古紙の重量の0.5~2.0%である場合、十分な白色度を得つつ見た目の白さも実現して、コスト面でもバランスのよい優れた古紙パルプを得ることができる。
本発明において、前記工程において界面活性剤を使用しない場合、余計な洗浄用の水を必要とせず、排水処理において発泡の問題もなく、界面活性剤を対象とした処理を行う必要もないことから、コスト面の低減や環境負荷への影響を低減することができる。
本発明において、前記地球釜は、開口部が形成された球状で中空の本体と、前記開口部を開閉する蓋と、前記本体内に蒸気を導入する蒸気導入口と、前記本体を回転させる動力源とを有し、前記本体内に蒸気を導入するとともに前記本体を回転させることで内容物を加熱しつつ攪拌して、前記古紙の蒸解を行うものである場合、単一の装置内で熱・圧力・回転によって原料である古紙の離解と漂白を行うことが可能であり、投入前に古紙を裁断する必要もない。
本発明によれば、単一の工程で古紙を蒸解してパルプ化可能であり、効率面・コスト面・供給面・環境面・安全面の全ての要素において優れた古紙の蒸解方法を提供することができる。
本発明である古紙の蒸解方法の好ましい実施の形態の工程を示す、(a)地球釜に原料を投入する模様を示す図、(b)本体内に蒸気を導入しつつ回転させる様子を示す図、および(c)蒸解を終え、蓋を開けて内容物を取り出す様子を示す図。
以下、図面に基づいて本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、本発明である古紙の蒸解方法の好ましい実施の形態の工程を示す図であり、この図に示すように、蒸解装置として地球釜を用いる。
地球釜10は、開口部12が形成された球状で中空の本体11と、開口部12を開閉する蓋13と、本体11内に蒸気を導入する蒸気導入口14と、本体11を回転させる動力源15と、を有し、本体11内に蒸気を導入して加熱しつつ本体11を回転させて攪拌することによって内容物の蒸解を行うものである。
図1(a)は、地球釜10に、古紙2、水3、水酸化ナトリウム4およびアルカリ性電解水5を投入する様子を示す図である。
古紙は、例えば模造古紙、色上古紙、ケント古紙など、再生可能な古紙であれば着色の有無を含めてその種類を問わない。
水酸化ナトリウムは、濃度25%の水酸化ナトリウム水溶液として投入される。計量作業や投入作業の利便性のため液体(水溶液)で取り扱うことが望ましいが、固体(粉体)で取り扱うものであってもよい。
アルカリ性電解水は、飲用や清掃用としても広く知られているが、強アルカリ性電解水とも呼ばれるpH10以上の電解水は浸透力が強く、またマイナス方向に高い酸化還元電位を有し、強い還元力を発揮することが知られているため、工業用としても様々な用途に使用されている。本実施の形態では、pH12以上のアルカリ性電解水が使用可能であるが、炭酸カリウムを添加した水を電気分解して得たアルカリ性電解水を使用することが望ましい。このように炭酸カリウムを添加した水を電気分解する場合は、pHの高いアルカリ性電解水が得られるとともに酸性電解水が生成されないため特に好適である。
本実施の形態においては、株式会社Eプラン製の『スーパーアルカリイオン水生成装置UF-15α』を電解水生成装置として、炭酸カリウムを添加した水を電気分解して得た、pH12.5で酸化還元電位が-920mVであるアルカリ性電解水、またはpH12で酸化還元電位が-850mVであるアルカリ性電解水を用いた。
上述のように、アルカリ性電解水は、炭酸カリウムを添加した水を電気分解して得た、水素イオン指数がpH12~pH12.5で、酸化還元電位が-850mV以下であるものが好適であり、特に、酸化還元電位が-900mV以下であることが望ましい。このように酸化還元電位がマイナス方向に大きいアルカリ性電解水を用いることで、高い還元力を発揮して古紙の漂白を行うことができる。
なお、pH12.5を超えるアルカリ性電解水であっても使用することはできるが、前記電解水生成装置のようにイオン交換膜を用いた連続生成型の生成装置においては、生成するアルカリ性電解水のpHを高くしようとすると生成効率が悪化することから、望ましくない。
反対に、pH10以上12未満であるアルカリ性電解水や酸化還元電位が-850mV以上であるアルカリ性電解水であっても使用することはできるが、その場合、使用量が多くなり、取り扱い重量が増して作業の手間が増加することなどから、望ましくない。
アルカリ性電解水の添加量は、古紙重量に対して0.1%~7.0%の範囲内で設定可能であり、0.5%~2.0%である場合、十分な白色度を得つつ、見た目の白さも実現して、コスト面でもバランスのよい優れた古紙パルプを得ることができるため特に望ましい。古紙重量に対して2.0%を超えて添加した場合、古紙の種類や着色度合いによって差はあるものの、製造される紙の白色度は向上する一方、黄色味が増すため、見た目の白さが低下する場合がある。
なお、アルカリ性電解水は上記の手順により生成されたものには限定されない。例えば、塩化ナトリウムを添加した水を電気分解して得たアルカリ性電解水を用いるものとしてもよい。
古紙パルプを製造する際に、界面活性剤を添加することでアルカリ剤の浸透性が良くなり、古紙の離解性が向上すると共に、脱墨効果も向上するので、効率的な脱墨(脱インキ)が行えることが知られているが(例えば、特許文献2参照)、本実施の形態においては界面活性剤が無くともアルカリ性電解水の高い還元力によって古紙の脱墨や漂白を行い、十分な品質の古紙パルプを得ることができるため、特に必要としない。このように界面活性剤を使用しないことで、余計な洗浄用の水を必要とせず、排水処理において界面活性剤による発泡の問題もなく、当該物質を対象とした処理をする必要もないことから、コスト面の低減や環境負荷への影響を低減することができる。
図1(b)は、図1(a)において地球釜1の本体11内に古紙2、水3、水酸化ナトリウム4およびアルカリ性電解水5を投入して蓋13を閉めた後、蒸気導入口14から本体11内に蒸気を導入しつつ回転させる様子を示す図である。
蒸解温度は、100℃前後が効果面及びコスト面で最適である。蒸解温度の範囲は特に限定されるものではないが、アルカリ性電解水の還元力は温度が高いほど増加する性質があるため、80℃以上であることが望ましい。
蒸気は一定時間導入した後停止し、本体の回転のみさせることで脱墨を促進しつつ漂白を行う。例えば、3~4時間程度の回転時間のうち、前半の1時間程度を蒸気導入(加熱・加圧)期間とすることができる。より具体的には、3時間45分の回転時間のうち、蒸気を導入して98℃まで加熱する時間を65分とし、その後2時間40分は回転のみとすることができる。
地球釜1の回転は0.3~1.0RPMの緩速攪拌とすることができ、本実施の形態では、0.7RPMとした。
図1(c)は、蒸解を終え、蓋13を開けて開口部12より内容物を取り出す様子を示す図である。このように、地球釜を用いた単一の工程(蒸解工程)を行うのみで、古紙パルプ6を得ることができる。
得られた古紙パルプは、その後従来周知の選別、洗浄、ニーディング等の工程を経た後、抄紙機などによって種々の紙製品を製造するために用いられる。
なお、本発明における加熱手段(熱源)は、蒸気に限られず、電熱によるものなど、その他従来周知の加熱手段を使用可能である。
従来知られている、特許文献2に記載された地球釜による蒸解処理は、本明細書における背景技術の欄において前述した通り、還元剤として亜ジチオン酸ナトリウム(ハイドロサルファイトナトリウム)または二酸化チオ尿素を使用すると、コスト面・供給面・環境面・安全面において問題があった。
また、ハイドロサルファイトナトリウムおよび二酸化チオ尿素は、その利用において別の還元性物質に変化させる必要があるため、蒸解処理に投入された水酸化ナトリウム等のアルカリ剤はこれらの反応に消費される部分があった。
例えば、二酸化チオ尿素は水酸化ナトリウムと反応し、還元力の強いスルフィン酸ナトリウムやスルフィン酸を生成するが、この反応において、二酸化チオ尿素1kgは約0.74kgの水酸化ナトリウムを消費してしまうため、投入された水酸化ナトリウムはその100%が蒸解において古紙を解す作用に使用されることはない。従って、水酸化ナトリウムは、二酸化チオ尿素やハイドロサルファイトナトリウムといった還元剤との反応に消費される分を過剰に添加する必要があった。
その他の還元剤として知られている亜硫酸ナトリウムは比較的安価に入手できる還元剤であるが、二酸化チオ尿素、ハイドロサルファイトナトリウムに比べ還元力が弱いため、これらより添加量が多くなり、また還元剤としての活性を発揮させるためには二酸化チオ尿素やハイドロサルファイトナトリウムよりも蒸解温度を高く保つ必要があった。例えば二酸化チオ尿素、ハイドロサルファイトナトリウムの場合、蒸解温度は100℃程度でその効果を発揮できるのに対し、亜硫酸ナトリウムではこれを130℃以上に保つことが必要なるため蒸解の熱エネルギーを多く消費する必要があった。
コスト面・供給面について、例えば二酸化チオ尿素は、その購入単位(量)にも左右されるものの、600円/1kg程度のコストが掛かり、しかもその大半を海外生産品が占めているため、供給面での不安もあった。
これに対して、本実施の形態において使用されるアルカリ性電解水は、一度電解水生成装置を導入すれば、その後はありふれた材料である炭酸カリウムを電解質として水に添加して電気分解を行うことで非常に安価に(20円以下/1L)量産することが可能であるため、コスト面・供給面の不安を解消することができる。
また、環境面においても特別な処理は必要とせず、硫酸イオンも発生させず、また界面活性剤も必要としないことから、環境への負荷を格段に低減し、安全面においても発火の恐れはなく、人体への刺激性も低く、液体での取り扱いとなるため粉塵が舞い上がる恐れもない。
以上の様に、本発明によれば、単一の工程で古紙を蒸解してパルプ化可能であり、効率面・コスト面・供給面・環境面・安全面の全ての要素において優れた古紙の蒸解方法を提供することができる。
以下、本発明である古紙の蒸解方法の実施例について説明する。
実施例1は、還元剤無添加の場合(ブランクA)と、従来の還元剤を用いる場合(比較例A)と、本発明のアルカリ性電解水を用いる場合(実施例A1,A2,A3)とをサンプルとして比較するための小規模の実験である。
実施例1において、装置はオートクレーブ(熊谷理機工業株式会社製『KRC9810135』)を用いて蒸解工程を行った。
ブランクAは、古紙600gをオートクレーブに入れ、これに水2400gを加え、更に25%水酸化ナトリウム水溶液4.0mlを添加したものである。
比較例Aは、古紙600gをオートクレーブに入れ、これに水2400gを加え、更に1.25gの二酸化チオ尿素および25%水酸化ナトリウム水溶液7.0mlを添加したものである。
実施例A1は、古紙600gをオートクレーブに入れ、これに水2400gを加え、更に3.0gのアルカリ性電解水および25%水酸化ナトリウム水溶液4.0mlを添加したもの(アルカリ性電解水の添加量は古紙重量の0.5%)である。
実施例A2は、古紙600gをオートクレーブに入れ、これに水2400gを加え、更に6.0gのアルカリ性電解水および25%水酸化ナトリウム水溶液4.0mlを添加したもの(アルカリ性電解水の添加量は古紙重量の1.0%)である。
実施例A3は、古紙600gをオートクレーブに入れ、これに水2400gを加え、更に12.0gのアルカリ性電解水および25%水酸化ナトリウム水溶液4.0mlを添加したもの(アルカリ性電解水の添加量は古紙重量の2.0%)である。
古紙は、模造古紙400gと色上古紙200gの混合物を用いた。アルカリ性電解水は、株式会社Eプラン製の『スーパーアルカリイオン水生成装置UF-15α』を電解水生成装置として、炭酸カリウムを添加した水を電気分解して得た、水素イオン指数がpH12.0で、酸化還元電位が-850mVのアルカリ性電解水を用いた。
蒸解工程は、オートクレーブを10RPMで回転させながら、常温(約26℃)から1時間かけて100℃まで加熱し、その後2時間100~103℃に保ちながら回転を続けた後、回転を停止して内容物を排出した。
蒸解工程後、各サンプルから得られた古紙パルプを用いて、坪量約50g/m2の手抄きシートを作成し、その白色度を測定した。シート白色度の測定は有限会社東京電色製の『白色度計TC-6D』を用いた。
上記条件および実験結果を下記表1にまとめた。
Figure 0007300230000002
前記表1に示すように、還元剤としてアルカリ性電解水を用いる実施例A1,A2,A3は、還元剤として二酸化チオ尿素を用いる比較例Aに匹敵する白色度の向上効果が認められた。
次に、シートの色調を静岡県富士工業技術支援センターに設置されている試験装置『カラータッチPC』により測定した結果(色空間座標,CIE Lab)を下記表2に示す。
Figure 0007300230000003
この結果によれば、手抄きシートの色調は還元剤無添加の場合、赤味の強い色調の紙になるのに対し、二酸化チオ尿素を還元剤としたときは赤味が減衰し青味傾向(a*値及びb*値の減衰)の色調になり、アルカリ性電解水の添加では赤味が減衰し黄色味傾向(a*値の減衰、b*値の増加)になることが確認された。このため、アルカリ性電解水には紙の白色度の向上以外に色調も変化させる効果があることが確認できた。
しかし、アルカリ性電解水を古紙重量の2.0%添加した実施例A3においては、色調が黄色味傾向に変化することにより、肉眼ではやや黄ばんでいるように見えることがあった。
以上の結果より、見た目の白さを追求するのであればアルカリ性電解水の添加量は、古紙重量の2.0%を超えないことが望ましいと考えられる。また、最低添加量は古紙重量の0.5%と考えられる。
実施例2は、還元剤無添加の場合(ブランクB)と、従来の還元剤を用いる場合(比較例B)と、本発明のアルカリ性電解水を用いる場合(実施例B)とをサンプルとして比較するための量産規模の実験である。
実施例2において、装置は家庭紙工場に設置された地球釜を用いた。この地球釜は、鋼製で内容量は59m3である。
ブランクBは、古紙11.8tを地球釜に入れ、これに水20m3を加え、更に25%水酸化ナトリウム溶液80Lを添加したものである。
比較例Bは、古紙11.8tを地球釜に入れ、これに水20m3を加え、更に25kgの二酸化チオ尿素および25%水酸化ナトリウム溶液140Lを添加したものである。
実施例Bは、古紙11.8tを地球釜に入れ、これに水20m3を加え、更に120kgのアルカリ性電解水および25%水酸化ナトリウム溶液80Lを添加したもの(アルカリ性電解水の添加量は古紙重量の1.02%)である。
古紙は、模造古紙5.9tとケント古紙5.9tの混合物を用いた。古紙は入荷の都度性状のバラツキがあるため、同日に入荷した模造古紙とケント古紙をそれぞれ3等分して性状の平準化を図り試験に供した。アルカリ性電解水は、株式会社Eプラン製の『スーパーアルカリイオン水生成装置UF-15α』を電解水生成装置として、炭酸カリウムを添加した水を電気分解して得た、水素イオン指数がpH12.5で、酸化還元電位が-920mVのアルカリ性電解水を用いた。
蒸解工程は、地球釜を0.7RPMで回転させながら、蒸気によって65分掛けて98℃まで加熱し、その後2時間40分間回転を続けた後、回転を停止して内容物を排出した。
蒸解工程後、各サンプルから得られた古紙パルプを用いて、同工場内の原料製造設備を用いて、「粗選」「精選」「洗浄」「ニーディング」の工程を経た後、更に「洗浄」と「除塵」の工程を行った状態で、抄紙機として丸網ヤンキー式を用い、坪量19~20g/m2の原紙(トイレットペーパー)を製造し、その白色度や、強度等の物性を測定した。シート白色度の測定は有限会社東京電色製の『白色度計TC-6D』を用いた。
得られた古紙パルプから原紙を製造するまでの一連の上記工程における処理条件および抄紙機での製造条件は各サンプル間で同一のものであり、使用した水はいずれも古紙仕込み量(11.8t)の約80倍であった。
上記条件および実験結果を下記表3にまとめた。
Figure 0007300230000004
前記表2に示すように、還元剤としてアルカリ性電解水を用いる実施例Bは、還元剤として二酸化チオ尿素を用いる比較例Bに匹敵する白色度の向上効果が認められた。また強度等の物性もブランクBや比較例Bに比して問題はなかった。
以上の様に、アルカリ性電解水を使用する本発明の古紙の蒸解方法によれば、得られる古紙パルプは、還元剤として二酸化チオ尿素を用いる従来の蒸解方法により得られる古紙パルプと遜色がなく、効率面・コスト面・供給面・環境面・安全面の全ての要素において従来発明よりも優れた古紙の蒸解方法を提供できることが実証された。
本明細書における古紙の種類(模造、ケント、色上)は、公益財団法人古紙再生促進センターの主要銘柄26分類(平成28年5月26日)および経済産業省の古紙統計での区分(9分類)のどちらにおいても、「模造・色上(アート古紙を含む)」に該当するものである。
1 地球釜、2 古紙、3 水、4 水酸化ナトリウム、5 アルカリ性電解水、6 古紙パルプ、11 本体、12 開口部、13 蓋、14 蒸気導入口、15 動力源

Claims (5)

  1. 古紙をパルプ化する古紙の蒸解方法であって、
    地球釜に古紙,水,水酸化ナトリウムおよびpH12以上のアルカリ性電解水を投入し、前記地球釜の内容物を加熱しつつ攪拌する工程からなる、
    ことを特徴とする古紙の蒸解方法。
  2. 前記アルカリ性電解水は、炭酸カリウムを添加した水を電気分解して得た、水素イオン指数がpH12~pH12.5で、酸化還元電位が-850mV以下のアルカリ性電解水であることを特徴とする請求項1記載の古紙の蒸解方法。
  3. 前記アルカリ性電解水の添加量は、前記古紙の重量の0.5~2.0%であることを特徴とする請求項1記載の古紙の蒸解方法。
  4. 前記工程において界面活性剤を使用しないことを特徴とする請求項1記載の古紙の蒸解方法。
  5. 前記地球釜は、開口部が形成された球状で中空の本体と、前記開口部を開閉する蓋と、前記本体内に蒸気を導入する蒸気導入口と、前記本体を回転させる動力源と、を有し、
    前記本体内に蒸気を導入するとともに前記本体を回転させることで内容物を加熱しつつ攪拌して、前記古紙の蒸解を行うものであることを特徴とする請求項1,2,3または4記載の古紙の蒸解方法。
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