JP7299277B2 - 粘着剤付き化粧シート及び構造体 - Google Patents

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Description

本開示は粘着剤付き化粧シート及び構造体に関する。
従来、メラミン化粧シートは、主に住宅内装材として使用されてきた。住宅内装材は、例えば、垂直面に使用される。垂直面に使用される住宅内装材として、例えば、建具の表面材、壁面の仕上げ材等がある。住宅内装材は、テーブル、机等の水平面にも使用される。
近年、メラミン化粧シートは、例えば、スーパー、展示場等の商業施設や、学校、介護施設等の公共施設の新装、改装にも使用される。
新装、改装における工期は短いことが好ましい。新装、改装における工期の短縮を目的とする化粧シートが特許文献1、2に開示されている。この化粧シートの表面はメラミン樹脂から成る。また、この化粧シートは粘着剤層を有する。
特開2018-20563号公報 特開2017-19272号公報
例えば、不特定多数の人が出入りする各種施設において、化粧シートが、例えば、消臭、抗ウイルス、抗アレルゲン等の機能を発現することが好ましい。本開示の1つの局面では、例えば、消臭、抗ウイルス、抗アレルゲン等の機能を発現する粘着剤付き化粧シート及び構造体を提供することが好ましい。
本開示の1つの局面は、表層(2)、化粧層(3)、混抄紙層(5)、及びコア層(4)が、前記表層、前記化粧層、前記混抄紙層、前記コア層の順、又は、前記表層、前記化粧層、前記コア層、前記混抄紙層の順で積層された化粧シート層(1)と、前記化粧シート層における前記表層とは反対側に設けられた粘着剤層(9)と、を備え、前記表層は、以下の(A)~(C)を含む主成分と、以下の(m)~(o)から成る群から選択される1以上の機能発現物質とを含む機能性組成物の硬化物を含む、粘着剤付き化粧シート(11、12、13)である。
(A)ケイ素アルコキシドの加水分解縮合物
(B)水性シリカゾルを親水性溶媒で置換したオルガノシリカゾル
(C)親水基と疎水基とを有するアクリルコポリマー
(m)消臭性物質
(n)抗ウイルス性物質
(o)抗アレルゲン性物質
本開示の1つの局面である粘着剤付き化粧シートは、例えば、消臭、抗ウイルス、抗アレルゲン等の機能を発現する。
実施例1の粘着剤付き化粧シートの構成を表す断面図である。 実施例83の粘着剤付き化粧シートの構成を表す断面図である。 実施例86の粘着剤付き化粧シートの構成を表す断面図である。 実施例87の構造体の要部を表す断面図である。 実施例88の構造体の要部を表す断面図である。
本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
1.粘着剤付き化粧シート
(1)(A)ケイ素アルコキシドの加水分解縮合物
本開示の粘着剤付き化粧シートは化粧シート層を備える。化粧シート層は表層を備える。表層は、機能性組成物の硬化物を含む。機能性組成物は、(A)ケイ素アルコキシドの加水分解縮合物(以下では(A)成分ともいう)を含む。
(A)成分は格子状の骨格を有する。(A)成分は、後述する機能発現物質を均一に分散させる。そのため、機能発現物質の添加量が少なくとも、機能発現物質は効果を奏する。
ケイ素アルコキシドとして、例えば、下記化学式1で示される構造を有するケイ素アルコキシドが挙げられる。nは整数である。
Figure 0007299277000001
化学式1で示される構造を有するケイ素アルコキシドとして、例えば、オルトケイ酸テトラメチル(Si(OCH)、オルトケイ酸テトラエチル(Si(OC)及びオルトケイ酸テトラプロピル(Si(OC)等が挙げられる。ケイ素アルコキシドは、例えば、四塩化ケイ素とアルキルアルコールとの反応、又は、金属ケイ素とアルキルアルコールとの反応により合成される。
ケイ素アルコキシドと水とを混合させ反応させると、化学式2に示す反応式に従って加水分解が進行する。mは整数である。
Figure 0007299277000002
加水分解液を安定させるために、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチルセロソルブ、混合アルコール等が溶媒として用いられる。
ケイ素アルコキシドの加水分解縮合物の市販品として、「HAS-1」(SiO含有量20.7~21.5質量%、エタノール/イソプロパノール/メタノール混合溶媒)、「HAS-6」(SiO含有量17.6~18.4質量%、エタノール/メタノール混合溶媒)、「HAS-10」(SiO含有量10.0~10.4質量%、エタノール/イソプロパノール/メタノール混合溶媒)等が挙げられる。「HAS-1」、「HAS-6」、及び「HAS-10」は、コルコート株式会社製の商品名である。
(2)(B)水性シリカゾルを親水性溶媒で置換したオルガノシリカゾル
本開示の粘着剤付き化粧シートは化粧シート層を備える。化粧シート層は表層を備える。表層は、機能性組成物の硬化物を含む。機能性組成物は、(B)水性シリカゾルを親水性溶媒で置換したオルガノシリカゾル(以下では(B)成分ともいう)を含む。
(B)成分のオルガノシリカゾルとして、例えば、平均粒子径1~40nmのコロイダルシリカを有機溶媒に安定的に分散させたコロイド溶液が挙げられる。コロイダルシリカの平均粒子径は7~30nmであることが一層好ましい。
(B)成分におけるシリカ濃度は1~50質量%の範囲が好ましい。(B)成分におけるシリカ濃度は、40質量%以下であることが一層好ましい。(B)成分におけるシリカ濃度が40質量%以下である場合、ゲル化を抑制できる。なお、コロイダルシリカの平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法で求めた粒度分布における積算値50%での粒子径である。
オルガノシリカゾルの市販品として、日産化学工業株式会社製の「IPA-ST」、「IPA-ST-ZL」、「メタノールシリカゾル」、「NPC-ST-30」、「MEK-AC-2140Z」、「EG-ST」、「DMAC-ST」等、触媒化成工業株式会社製の「OSCAL」、扶桑化学工業株式会社製の「クォートロン(登録商標)」、クラリアントジャパン株式会社製の「Highlink(登録商標)OGシリカオルガノゾル」等が挙げられる。
オルガノシリカゾルを、有機溶媒のうちの親水性溶媒に分散した場合、シリカ粒子表面の水酸基量が十分多くなり、シリカ粒子表面の水酸基がメラミン樹脂と密着し、粘着剤付き化粧シートの表面耐久性が優れる。オルガノシリカゾルを疎水性溶媒に分散した場合、シリカ表面の水酸基量が不十分であり、例えば、メラミン樹脂層の密着性が劣り易くなる。
ここで、親水性溶媒とは、水との親和性を有する溶媒である。親水性溶媒は極性溶媒である。親水性溶媒は、例えば、分子内に水酸基、カルボキシル基、カルボニル基等の親水基を有する。親水性溶媒として、プロトン性極性溶媒及び非プロトン性極性溶媒が挙げられる。プロトン性極性溶媒として、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロパノール、エチレンジアルコール、プロパノール等のアルコール系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、n-プロピルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒等が挙げられる。非プロトン性極性溶媒として、アセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DME)、ピリジン等が挙げられる。
(3)(C)親水基と疎水基を有するアクリルコポリマー
本開示の粘着剤付き化粧シートは化粧シート層を備える。化粧シート層は表層を備える。表層は、機能性組成物の硬化物を含む。機能性組成物は、(C)親水基と疎水基を有するアクリルコポリマー(以下では(C)成分ともいう)を含む。
(C)成分のアクリルポリマーとして、顔料との親和性を発揮する親水基を有する単量体と、相溶性をコントロールし立体障害を形成する疎水基を有する単量体との共重合体が好ましい。このようなアクリルポリマーは、親水基が機能発現物質を吸着し、疎水基が凝集を抑制することにより、機能発現物質を均一に分散できる。
20~30nm程度の粒子径を有するオルガノシリカゾルは、凝集して粒子径が600~1000nmである大きな集合体を形成する。(C)成分はオルガノシリカゾルの集合体を均一に分散させる。そのため、機能性組成物の硬化物の光散乱性が高まり、光の干渉による外観不良を低減することができる。
親水基として、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等のアニオン性基、アミノ基、アンモニウム基等のカチオン性基が挙げられる。親水基を有する単量体として、例えば、アクリル酸、アクリルアミド、メタクリル酸、ポリ(エチレングリコール)アクリレート及びメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、メタクリルアミド、ジメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、2-(メタクリロイルオキシ)メチルフタレート、2-(メタクリロイルオキシ)エチルスクシネート、3-スルホプロピルメタクリレート、3-スルホプロピルアクリレート等が挙げられる。
疎水基として、例えば、アルキル基、フェニル基等が挙げられる。疎水基を有する単量体として、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘキシルエチル、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、それらの混合物等が挙げられる。
(4)主成分について
本開示の粘着剤付き化粧シートは化粧シート層を備える。化粧シート層は表層を備える。表層は、機能性組成物の硬化物を含む。機能性組成物は、(A)~(C)成分を含む主成分を含む。
主成分において、(B)成分は、(A)成分1質量部(固形分換算)に対して、0.5~12質量部、より好ましくは1~9質量部配合されることが好ましい。(A)成分の配合割合が上記の下限値以上である場合、表層の機能性発現効果が一層向上する。(A)成分の配合割合が上記の上限値以下である場合、表層の耐溶剤性が向上する。機能性発現効果とは、例えば、消臭、抗ウイルス、抗アレルゲン等の機能を発現する効果である。
(C)成分は、(B)成分1質量部(固形分換算)に対して、0.005~0.3質量部(固形分換算)、より好ましくは0.01~0.07質量部(固形分換算)配合されることが好ましい。(C)成分の配合割合が上記の上限値以下である場合、コロイダルシリカの凝集性が抑制され、表層における、光の干渉による外観不良を抑制できる。また、(C)成分の配合割合が上記の下限値以上である場合、機能性組成物の粘度が適度になり、均一な表層が形成できる。その結果、表層では指紋が一層目立ちにくく、例えば、印刷紙の絵柄が一層鮮明な粘着剤付き化粧シートになる。
(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と、を含む主成分は、添加する機能発現物質の分散性を向上させる。具体的には、(A)成分の格子状の塗膜構造内に機能発現物質が入り込むため、機能発現物質を均一に塗工でき、また、機能発現物質の添加量が少量である場合でも、効率的な機能の発現が可能になる。特に、機能発現物質が、固体、例えば、平均粒子径が200~5000nmの固体粒子を含有する場合は、上記の効果が得られ易い。ここでいう平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法で求めた粒度分布における積算値50%での粒子径である。
(5)機能発現物質
本開示の粘着剤付き化粧シートは化粧シート層を備える。化粧シート層は表層を備える。表層は、機能性組成物の硬化物を含む。機能性組成物は、機能発現物質を含む。機能発現物質は、(m)消臭性物質、(n)抗ウイルス性物質、(o)抗アレルゲン性物質から成る群から選ばれる少なくとも1以上である。
例えば、主成分と機能発現物質とを混合し、ホモジナイザーにより6000~10000rpmで5~10分撹拌することが好ましい。ホモジナイザーは、主成分と機能発現物質との混合物を高圧で加圧する。混合物がスリット(隙間)を抜ける際に、混合物に強い剪断力がかかる。そのため、機能性組成物において、機能発現物質を均一に分散することが可能となる。
機能発現物質として、(m)消臭性物質がある。(m)消臭性物質は、例えば、多孔質材料である。(m)消臭性物質として、例えば、物理吸着型の消臭性物質がある。物理吸着型の消臭性物質として、例えば、活性炭等が挙げられる
物理吸着型の消臭性物質は、多孔質材料の細孔に臭い又はガスが吸着することで消臭効果を発揮する。物理吸着型の消臭性物質は、常温でガスを吸着した後に高温の熱、摩擦熱等の熱に触れると、吸着性能が低下し、吸着したガスを再放出することがある。
(m)消臭性物質として、例えば、化学吸着型の消臭性物質がある。化学吸着型の消臭性物質は、酸・アルカリによる中和作用、酸化・還元作用等の化学反応により、臭いを他の物質に変化させて除去する。化学吸着型の消臭性物質は、一旦臭い又はガスを吸着し、他の物質に変化させると、臭い又はガスを再放出しにくい。そのため、(m)消臭性物質として、化学吸着型の消臭性物質は好適である。化学吸着型の消臭性物質として、例えば、シリカ(二酸化ケイ素)、酸化銅、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、水酸化ジルコニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第一鉄、水酸化銅等の金属水酸化物等が挙げられる。
(m)消臭性物質は、住宅内で発生する生活臭を抑制できる。生活臭として、例えば、酸性臭気、中性臭気、塩基性臭気、及びそれらの複合臭等が挙げられる。近年の住宅は、従来の住宅に比べて高気密、高断熱の住宅である。そのため、近年の住宅の内部は、隙間がない密閉空間になっている。その結果、近年の住宅では生活臭がより感じられ易くなっている。(m)消臭性物質は、生活臭を抑制できる。
化学吸着型の消臭性物質として、例えば、酸化亜鉛、シリカ、ゼオライト、酸化銅、及び酸化ジルコニウムから成る群から選ばれる1以上が好ましい。例えば、化学吸着型の消臭性物質として、酸化亜鉛とシリカと含み、両者の配合比率が質量比で前者:後者=45~85:55~15であるものが好ましい。
(m)消臭性物質として、微粒子状の消臭性物質が好ましい。微粒子状の消臭性物質の平均粒子径は、0.2~10μmであることが好ましい。(m)消臭性物質が微粒子状の消臭性物質である場合、(m)消臭性物質は、機能性組成物での分散性が良い。ここでいう平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法で求めた粒度分布における積算値50%での粒子径である。
アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド等の中性臭、及びアンモニアトリメチルアミン等の塩基性臭に対しては、(m)消臭性物質として、変性シリカ、例えばアミノ変性シリカを用いると、消臭効果が高い。硫化水素、メルカプタン類等の硫黄系ガス、酢酸イソ吉草酸、酪酸等の酸性臭に対しては、(m)消臭性物質として、酸化亜鉛を用いると、消臭効果が高い。ゼオライトは、ゼオライト銀含有物質(すなわち、銀を含有するゼオライト)であってもよい。
主成分に対する(m)消臭性物質の配合量は、主成分の固形分100質量部に対して、30~60質量部(固形分換算)であることが好ましい。(m)消臭性物質の配合量が上記の下限値未満である場合、消臭効果が小さくなり易い。(m)消臭性物質の配合量が上記の上限値を超える場合、表層に白化ムラが生じ易くなる。ここでいう白化ムラとは、表層に生じている、部分的に白っぽくぼやけた部分をいう。
機能発現物質として、(n)抗ウイルス性物質がある。(n)抗ウイルス性物質は抗ウイルス性を発現する。抗ウイルス性物質として、例えば、光触媒が挙げられる。光触媒として、例えば、酸化チタン等が挙げられる。光触媒は、励起光により活性酸素を発生させ、ウイルスを不活化する。光触媒の効果は、原理的には半永久的に持続する。光触媒は、光の照射がないと性能を発揮できない。
(n)抗ウイルス性物質として、例えば、有機系抗ウイルス性物質が挙げられる。有機系抗ウイルス性物質は、ウイルスのタンパク質の外壁膜を破壊する。外壁膜を破壊されたウイルスはタンパク質の合成が阻害される。あるいは、有機系抗ウイルス性物質は、タンパク質を変性しウイルスを不活化する。有機系抗ウイルス性物質は、光触媒系と比較して効果の発現が早いという特徴がある。
有機系抗ウイルス性物質として、例えば、トリアジン-イミダゾール-チアゾール系物質、アミノ変性ポリビニルアルコール、及びアミノ変性アクリルポリマーから成る群から選ばれる1以上が好ましい。これらの有機系抗ウイルス性物質は、耐溶剤性、耐汚染性が要求される粘着剤付き化粧シートには好適である。
有機系抗ウイルス性物質は、微粒子状のものが好ましい。微粒子状の有機系抗ウイルス性物質として、例えば、トリアジン-イミダゾール-チアゾール系物質が担持された粒子、アミノ変性ポリビニルアルコール粒子、及びアミノ変性アクリルポリマー粒子から成る群から選ばれる以上が好ましい。微粒子状の有機系抗ウイルス性物質の平均粒子径は、0.5~3μmであることが好ましい。微粒子状の有機系抗ウイルス性物質の平均粒子径が0.5~3μmである場合、機能性組成物での微粒子状の有機系抗ウイルス性物質の分散性が良い。なお、ここでいう平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法で求めた粒度分布における積算値50%での粒子径である。
機能性組成物における(n)抗ウイルス性物質の配合量は、主成分の固形分100質量部に対して、35~75質量部(固形分換算)であることが好ましい。(n)抗ウイルス性物質の配合量が上記の下限値に満たないと、抗ウイルス効果が小さくなり易い。(n)抗ウイルス性物質の配合量が上記の上限値を超えると、表層に白化ムラが生じる易い。
機能発現物質として、(o)抗アレルゲン性物質がある。(o)抗アレルゲン性物質は抗アレルゲン性を発現する。空気中には目に見えないほこりが漂っており、ほこりの中にはスギ花粉やダニの死骸やふん等のアレルゲン物質が含まれる。アレルゲン物質はアレルギーを引き起こす原因となる。
(o)抗アレルゲン性物質として、アニオン変性された有機化合物と担持体との複合物が好ましい。複合物は、アレルゲン物質のタンパク質に化学吸着することにより、アレルゲン物質の低減効果を発揮する。複合物は、表層に物理的に固着することができる。そのため、複合物は、抗アレルゲン性を長時間維持することができる。
(o)抗アレルゲン性物質がアニオン変性された有機化合物のみの場合でも同様の低減効果を発揮する。しかしながら、(o)抗アレルゲン性物質がアニオン変性された有機化合物のみの場合は、(o)抗アレルゲン性物質を表層に固着させることが困難になる。その結果、抗アレルゲン性を長時間維持することが困難である。
アニオン変性された有機化合物として、例えば、アニオン変性直鎖アルカン、アニオン変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。アニオン変性直鎖アルカンとして、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等の酸性アニオン基によって変性された直鎖アルカンが挙げられる。酸性アニオン基のカウンターイオンとして、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられる。アニオン変性ポリビニルアルコールとして、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基等の塩基性アニオン基によって変性されたポリビニルアルコールが挙げられる。
また、担持体として、例えば、無機粒子、有機粒子等が挙げられる。無機粒子として、例えば、酸化銀粒子等が挙げられる。有機粒子として、例えば、塩基変性アクリル粒子等のアクリル粒子、塩基変性スチレン粒子等のスチレン粒子等が挙げられる。担持体として、スチレン粒子及び酸化銀から成る群から選ばれる1以上が好ましい。
(o)抗アレルゲン性物質として、微粒子状の抗アレルゲン性物質が好ましい。微粒子状の抗アレルゲン性物質の平均粒子径は、1~8μmが好ましい。なお、ここでいう平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法で求めた粒度分布における積算値50%での粒子径である。
機能性組成物において、(o)抗アレルゲン性物質の配合量は、主成分の固形分100質量部に対して、3~50質量部(固形分換算)であることが好ましい。(o)抗アレルゲン性物質の配合量が上記の下限値に満たないと、抗アレルゲン効果が小さくなり易い。(o)抗アレルゲン性物質の配合量が上記の上限値を超えると表層に白化ムラが生じ易くなる。
(m)消臭性物質と(n)抗ウイルス性物質とを組み合わせて用いる場合は、(m)消臭性物質の質量に対する(n)抗ウイルス性物質の質量の比率(以下ではm:n配合比率とする)が0.5~2.50であることが好ましく、0.60~2.0であることが一層好ましい。m:n配合比率は、(n)抗ウイルス性物質の質量を(m)消臭性物質の質量で除した値である。
m:n配合比率が上記の範囲から外れる場合、消臭性と抗ウイルス性とのバランスがくずれ易い。
機能性組成物において、(m)消臭性物質及び(n)抗ウイルス性物質の合計配合量は、主成分の固形分100質量部に対して、60~150質量部であることが好ましく、75~115質量部であることが一層好ましい。(m)消臭性物質及び(n)抗ウイルス性物質の合計配合量が上記の範囲内である場合、外観、消臭性、抗ウイルス性において特に優れた粘着剤付き化粧シートとなる。(m)消臭性物質及び(n)抗ウイルス性物質の合計配合量が上記の下限値未満の場合、消臭性、抗ウイルス性がやや劣る。(m)消臭性物質及び(n)抗ウイルス性物質の合計配合量が上記の上限値を超える場合、表層に白化ムラが生じ易くなる。
(m)消臭性物質と(o)抗アレルゲン性物質とを組み合わせて用いる場合は、(m)消臭性物質の質量に対する(o)抗アレルゲン性物質の質量の比率(以下ではm:o配合比率とする)が0.03~2.0であることが好ましく、0.08~1.8であることが一層好ましい。m:o配合比率は、(o)抗アレルゲン性物質の質量を(m)消臭性物質の質量で除した値である。
m:o配合比率が上記の範囲から外れる場合、消臭性と抗アレルゲン性とのバランスがくずれ易い。
機能性組成物において、(m)消臭性物質及び(o)抗アレルゲン性物質の合計配合量は、主成分の固形分100質量部に対して30~16質量部であることが好ましく、35~110質量部であることが一層好ましい。(m)消臭性物質及び(o)抗アレルゲン性物質の合計配合量が上記の範囲内であれば、外観、消臭性、抗アレルゲン性に特に優れた粘着剤付き化粧シートとなる。(m)消臭性物質及び(o)抗アレルゲン性物質の合計配合量が上記の下限値未満の場合は、消臭性、抗アレルゲン性がやや劣る。(m)消臭性物質及び(o)抗アレルゲン性物質の合計配合量が上記の上限値を超える場合は、表層に白化ムラが生じ易くなる。
(n)抗ウイルス性物質と(o)抗アレルゲン性物質とを組み合わせて用いる場合は、(n)抗ウイルス性物質の質量に対する(o)抗アレルゲン性物質の質量の比率(以下ではn:o配合比率とする)が1:0.01~2.0であることが好ましく、0.06~1.50であることが一層好ましい。n:o配合比率は、(o)抗アレルゲン性物質の質量を(n)抗ウイルス性物質の質量で除した値である。
n:o配合比率が上記の範囲から外れる場合、抗ウイルス性と抗アレルゲン性とのバランスがくずれ易い。
機能性組成物において、(n)抗ウイルス性物質及び(o)抗アレルゲン性物質の合計配合量は、主成分の固形分100質量部に対して15~200質量部であることが好ましく、35~125質量部であることが一層好ましい。(n)抗ウイルス性物質及び(o)抗アレルゲン性物質の合計配合量が上記の範囲内であれば、外観、抗ウイルス性、抗アレルゲン性に特に優れた粘着剤付き化粧シートとなる。(n)抗ウイルス性物質及び(o)抗アレルゲン性物質の合計配合量が上記の下限値未満の場合は抗ウイルス性、抗アレルゲン性がやや劣る。(n)抗ウイルス性物質及び(o)抗アレルゲン性物質の合計配合量が上記の上限値を超える場合は、表層に白化ムラが生じ易くなる。
(m)消臭性物質と(n)抗ウイルス性物質と(o)抗アレルゲン性物質とを組み合わせて用いる場合は、m:n配合比率は0.20~7.0であることが好ましく、0.6~4.5であることが一層好ましい。また、m:o配合比率は、0.05~5.5であることが好ましく、0.15~3.0であることが一層好ましい。
機能性組成物において、(m)消臭性物質、(n)抗ウイルス性物質、及び(o)抗アレルゲン性物質の合計配合量は、主成分の固形分100質量部に対して30~170質量部であることが好ましく、50~120質量部であることが一層好ましい。
m:n配合比率、m:o配合比率、並びに、(m)消臭性物質、(n)抗ウイルス性物質、及び(o)抗アレルゲン性物質の合計配合量が上記の範囲内であれば、外観、消臭性、抗ウイルス性、抗アレルゲン性がバランス良く優れ、機能性組成物の塗布量が少ない場合でも、相乗効果により、機能発現物質が単独で発揮する機能よりも同等以上の機能を発揮する粘着剤付き化粧シートとなる。勿論、所望の範囲でいずれかの機能を際立たせるために、(m)消臭性物質、(n)抗ウイルス性物質、(o)抗アレルゲン性物質のいずれかの配合量を適宜調整することができる。
(6)化粧層
本開示の粘着剤付き化粧シートは化粧シート層を備える。化粧シート層は化粧層を備える。化粧層は、例えば、メラミン樹脂の硬化物を含む。化粧層は、例えば、メラミン樹脂含浸パターン紙を含む。メラミン樹脂含浸パターン紙は、例えば、坪量が80~140g/m程度の化粧紙にメラミン樹脂を主成分とする樹脂液(以下、メラミン樹脂液とする)を含浸し、乾燥させたものである。メラミン樹脂含浸パターン紙における数式1で定義される含浸率は、70~160%の範囲が好ましい。
Figure 0007299277000003
メラミン樹脂含浸パターン紙の上には、例えば、オーバーレイ層が設けられる。オーバーレイ層には、例えば、メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙が配される。メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙は、例えば、坪量が16~60g/m程度オーバーレイ紙にメラミン樹脂液を含浸し、乾燥したものである。オーバーレイ層は、例えば、化粧紙の絵柄を保護する機能を有する。オーバーレイ層は、例えば、メラミン樹脂の硬化物を含む。
(7)表層
本開示の粘着剤付き化粧シートは化粧シート層を備える。化粧シート層は表層を備える。表層は、例えば、化粧シート層の表面に位置する。表層は、例えば、オーバーレイ層の上に積層されている。表層は、機能性組成物の硬化物を含む。機能性組成物は、(A)~(C)成分を含む主成分と、(m)~(o)から成る群から選択される1以上の機能発現物質とを含む。
表層を形成する方法として、例えば、塗工法、転写法等が挙げられる。塗工法は、化粧層の上に機能性組成物を含む塗工液を塗布する方法である。転写法では、転写シートを用意する。転写シートは、シート状基材と、シート状基材の片面に形成された硬化層とを備える。硬化層は、機能性組成物の硬化物から成る層である。
次に、転写シート、化粧層、混抄紙層、及びコア層をこの順に積層し、積層体を形成する。あるいは、転写シート、化粧層、コア層、及び混抄紙層をこの順に積層し、積層体を形成する。転写シートの向きは、硬化層が化粧層と対向する向きである。化粧層がオーバーレイ層を備える場合、転写シートの硬化層はオーバーレイ層と接する。化粧層がオーバーレイ層を備えない場合、転写シートの硬化層は、例えば、化粧層を構成するメラミン樹脂含浸パターン紙と接する。次に、積層体を熱圧成形する。次に、転写シートのシート状基材を除去する。転写シートの硬化層は転写され、表層となる。
転写法で用いるシート状基材として、例えば、プラスチックフィルム、金属箔等が挙げられる。プラスチックフィルムとして、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリルフィルム等が挙げられる。
金属箔として、例えば、金箔、銀箔、銅箔、亜鉛箔、インジウム箔、アルミニウム箔、錫箔、鉄箔(ステンレス(SUS)箔を含む)、チタン箔等が挙げられる。
転写シートを製造する方法は、例えば、機能性組成物を含む塗工液をシート状基材に塗布する方法である。塗工液をシート状基材に塗布する方法として、例えば、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、カーテンコート法、リバースコート法、コンマコート法等が挙げられる。
機能性組成物が(m)消臭性物質を含有する場合、表層の厚みは、塗工法及び転写法のいずれの方法を用いる場合でも、乾燥状態で2.0~6.5μmが好ましい。表層の厚みが2.0μm以上である場合、消臭性能が一層高い。表層の厚みが6.5μm以下である場合、表層に白化ムラが生じ難い。
機能性組成物が(n)抗ウイルス性物質を含有する場合、表層の厚みは、塗工法及び転写法のいずれの方法を用いる場合でも、乾燥状態で1.5~3.5μmが好ましい。表層の厚みが1.5μm以上である場合、抗ウイルス性能が一層高い。表層の厚みが3.5μm以下である場合、表層に白化ムラが生じ難い。
機能性組成物が(o)抗アレルゲン性物質を含有する場合、表層の厚みは、塗工法及び転写法のいずれの方法を用いる場合でも、乾燥状態で2.0~8.0μmが好ましい。表層の厚みが2.0μm以上である場合、抗アレルゲン性能が一層高い。表層の厚みが8.0μm以下である場合、表層に白化ムラが生じ難い。
機能性組成物を含む塗工液のpHは、塗工法及び転写法のいずれの場合でも、3以上であることが好ましい。pHが3に満たないと(A)成分の格子構造が破壊され易く、表層に白化ムラが生じ易い。
塗工液のpHとは、固形分濃度が20質量%となるように調整された塗工液において測定されるpHをいう。固形分濃度とは、機能性組成物に含まれる主成分及び機能発現物質の固形分の濃度である。また、pHの値は、JIS Z8802:2011「pH測定方法」に準拠する方法で、ガラス電極法の操作に基づいて求められる。
(8)混抄紙層
本開示の粘着剤付き化粧シートは化粧シート層を備える。化粧シート層は混抄紙層を備える。混抄紙層は、混抄紙により構成される層である。
混抄紙は、例えば、結合水を有する珪酸マグネシウム混抄紙を基材とする。結合水を有する珪酸マグネシウム混抄紙とは、結合水を有する珪酸マグネシウム化合物を含む混抄紙である。珪酸マグネシウム混抄紙は、抄造する際に、パルプと、結合水を有する珪酸マグネシウム化合物とを含むスラリーを抄造し、脱水、乾燥することで製造される。この際、スラリーには、凝集バインダー、薬剤、有機繊維、無機繊維、定着剤等が添加されていてもよい。
スラリーを抄紙にするためには、丸網抄紙機、長網多筒型抄紙機、長網-円網コンビネーション抄紙機、傾斜抄紙機等を用いるとよい。珪酸マグネシウム混抄紙の坪量は、60~400g/mであるとよい。珪酸マグネシウム混抄紙は、自己消火性を有し、炎が広がることを抑えることができる。パルプとして、例えば、木材パルプ、木綿パルプ、植物繊維パルプ等の天然パルプが挙げられる。パルプとして、特に、広葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ等の繊維長が短い木材パルプを化学的に処理したケミカルパルプを用いると紙力強度が高く、含浸性に優れるため好ましい。広葉樹晒クラフトパルプと針葉樹クラフトパルプとを併用してもよい。広葉樹晒クラフトパルプと針葉樹クラフトパルプとは、晒、未晒のいずれでもよい。
結合水を有する珪酸マグネシウム化合物として、例えば、含水珪酸マグネシウム[MgSi1230(OH(OH)6~8HO](セピオライト)、含水珪酸マグネシウム[MgSi10(OH)](タルク)、含水珪酸マグネシウムアルミニウム[MgSi20(OH)(HO)4・4HO](アタパルジャイト)、含水珪酸マグネシウムアルミニウム[(Mg,Fe,Al)(Al,Si)10(OH)・4HO](バーミキュライト)等が挙げられる。特に、セピオライトは、不燃性、耐水性に優れるため好ましい。
珪酸マグネシウム混抄紙の質量を100質量%としたとき、珪酸マグネシウム化合物の含有量は40~95質量%であることが好ましく、55~85質量%であることがより好ましい。珪酸マグネシウム化合物の含有量が40質量%未満では珪酸マグネシウム混抄紙の不燃性能が低下し易く、95質量%を超えると珪酸マグネシウム混抄紙の引っ張り強度等の紙力が低下し易い。
混抄紙は、例えば、熱硬化性樹脂を有する樹脂液を珪酸マグネシウム混抄紙に含浸し、乾燥して形成した熱硬化性樹脂含浸紙である。また、混抄紙は、例えば、珪酸マグネシウム混抄紙に難燃剤を含浸し、乾燥して形成した難燃剤含浸紙である。熱硬化性樹脂含浸紙又は難燃剤含浸紙を用いることによりバランスが良くなり、仕上がった粘着剤付き化粧シートの反りを抑制することができる。熱硬化性樹脂含浸紙又は難燃剤含浸紙に用いられる繊維質基材は、耐熱性を有することがよい。
熱硬化性樹脂含浸紙に用いられる熱硬化性樹脂として、例えば、アミノ-ホルムアルデヒド樹脂、フェノール-アルデヒド樹脂、ビニルエステル樹脂等が挙げられる。アミノ-ホルムアルデヒド樹脂は、メラミン、尿素、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のアミノ化合物とホルムアルデヒドとの縮合によって得ることができる。
フェノール-アルデヒド樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを、フェノール性水酸基1モルに対してアルデヒド類1~1.3モルの割合で、塩基性触媒下にて反応させて得られる。フェノール類として、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、オクチルフェノール、フェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF等が挙げられる。
また、アルデヒド類として、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グリオキザール等が挙げられる。
フェノール-アルデヒド樹脂は、必要に応じて、パラスルフォンアミド、桐油、リン酸エステル類、グリコール類等の、可塑化を促す変性剤で変性された変性フェノール-アルデヒド樹脂であってもよい。
塩基性触媒として、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、及びマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物が挙げられる。また、他の塩基性触媒として、例えば、及びトリエチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン類、アンモニア等が挙げられる。
ビニルエステル樹脂は、エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸とをエステル化触媒を用いて反応して得られる。エポキシ樹脂として、例えば、ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ビスフェノールAとエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとの付加物のジグリシジルエーテル、ビスフェノールF系エポキシ樹脂、ノボラック系エポキシ樹脂、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂等が挙げられる。
不飽和一塩基酸として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、モノメチルマレート、モノプロピルマレート、ソルビン酸あるいはモノ(2-エチルヘキシル)マレート等が挙げられ、多塩基酸を併用しても良い。不飽和一塩基酸と併用される多塩基酸として、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,12-ドデカン二酸の他ダイマー酸等が挙げられる。
エステル化触媒として、例えば、ジメチルベンジルアミン、トリブチルアミン等の第三級アミン類;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩;塩化リチウム、塩化クロム等の無機塩;2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;テトラメチルホスフォニウムクロライド、ジエチルフェニルプロピルホスフォニウムクロライド、トリエチルフェニルホスフォニウムクロライド、ベンジルトリエチルフェニルホスフォニウムクロライド、ジベンジルエチルメチルホスフォニウムクロライド、ベンジルメチルジフェニルホスフォニウムクロライド、テトラフェニルホスフォニウムブロマイド等のホスフォニウム塩;第二級アミン類;テトラブチル尿素;トリフェニルホスフィン;トリトリールホスフィン;トリフェニルスチビン等が挙げられる。
(9)コア層
本開示の粘着剤付き化粧シートは化粧シート層を備える。化粧シート層はコア層を備える。
コア層は、例えば、繊維質基材を含むプリプレグを1枚又は2枚以上含む。プリプレグは、例えば、バインダー成分を含むスラリーを繊維質基材に含浸し、乾燥させて製造される。プリプレグは、例えば、バインダー成分及び吸熱性金属水酸化物を含むスラリーを繊維質基材に含浸し、乾燥させて製造される。
プリプレグに用いられる繊維質基材として、例えば、有機繊維基材、無機繊維基材等が挙げられる。有機繊維基材として、例えば、有機成分を含む有機繊維からなる不織布、織物が挙げられる。有機繊維に含まれる有機成分として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン等、又は、これらの変成物、エチレン-酢酸ビニル共重合体等に代表される各種共重合体、又はこれらの混合物が挙げられる。
無機繊維基材として、例えば、無機成分を含む無機繊維からなる不織布、織布等が挙げられる。無機繊維に含まれる無機成分として、例えば、ガラス繊維、ロックウール、炭素繊維等が挙げられる。
無機繊維基材を用いた場合は、有機繊維基材を用いた場合よりも、粘着剤付き化粧シートの不燃性が一層向上する。無機繊維基材の中でも、特に、ガラス繊維を含む不織布は、繊維方向がない。そのため、ガラス繊維を含む不織布を用いた場合は、粘着剤付き化粧シートの反りが抑制される。また、ガラス繊維を含む不織布を用いた場合、粘着剤付き化粧シートの耐熱性、耐炎性、スラリーの含浸性が一層向上する。
コア層に用いられているプリプレグにおいて、無機繊維基材の坪量は、10~200g/mの範囲が好ましい。コア層を構成するプリプレグは、繊維質基材に加えて、さらに、バインダー成分を含むことが好ましい。バインダー成分は、例えば、熱可塑性樹脂からなる。
バインダー成分は、結着剤としての役割を担う。バインダー成分は、プリプレグを構成する材料同士、プリプレグ間、及びプリプレグにより構成されるコア層とコア層に隣接する層とを結着する。
バインダー成分として、熱可塑性樹脂が好ましい。コア層のプリプレグは、アクリル樹脂エマルジョンを含むことが好ましい。バインダー成分である熱可塑性樹脂として、アクリル樹脂エマルジョンが好ましい。特に、ガラス転移温度(Tg)が-20℃以上のアクリル樹脂エマルジョンを用いると、コア層の密着性や成形性が向上するため、より好ましい。その中でも、平均粒子径が150~300nmのアクリル樹脂エマルジョンを用いると、コア層の結着力、及び粘着剤付き化粧シートの曲げ加工性や平滑性を一層向上させることができるため、さらに好ましい。平滑性が向上する理由は、アクリル樹脂エマルジョンが微粒子であるためであると推測される。アクリル樹脂エマルジョンは、(メタ)アクリル酸エステルを主モノマーとして水中で乳化重合又は懸濁重合して得られるものである。アクリル樹脂エマルジョンの製造に使用するモノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヒドロキシエチル等のエステルが挙げられる。これらのモノマーに加えて、他の共重合可能なモノマーや多官能モノマーを共重合させてもよい。
なお、平均粒子径は、レーザー光回折・散乱式粒子径測定装置(大塚電子株式会社製ELS-8000)を使用し、レーザーの照射時に検出された散乱光に基づいて計算した値である。
プリプレグにおいて繊維質基材に含浸されているスラリー中での熱可塑性樹脂の配合割合は、固形分で3~17質量%とすることが好ましい。熱可塑性樹脂の配合割合が17質量%限以下であることにより、粘着剤付き化粧シートの不燃性が一層向上するとともに、化粧シート層の熱圧成形時にプリプレグから合成樹脂が染み出したりすることを抑制できる。また、熱可塑性樹脂の配合割合が3質量%以上であることにより、プリプレグ同士の密着性が一層向上するとともに、繊維質基材へ含浸するスラリーの量のコントロールが一層容易になる。
コア層中の熱可塑性樹脂の量は、10~100g/mであることが好ましい。コア層中の熱可塑性樹脂の量とは、単位面積のコア層中の熱可塑性樹脂の重量である。熱可塑性樹脂の量が100g/m以下である場合、粘着剤付き化粧シートの不燃性が一層向上する。また、熱可塑性樹脂の量が100g/m以下である場合、化粧シート層を熱圧成形により製造するときに、熱可塑性樹脂が染み出したりすることを抑制できる。
コア層中の熱可塑性樹脂の量が10g/m以上である場合、コア層を構成するプリプレグ同士の密着性が一層向上する。また、熱可塑性樹脂の量が10g/m以上である場合、繊維質基材へスラリーを含浸させてコア層を製造する場合に、スラリーの含浸量を一層容易にコントロールできる。
コア層を構成するプリプレグは、繊維質基材に、上記のバインダー成分に加えて、さらに、吸熱性金属水酸化物を含むことが好ましい。
吸熱性金属水酸化物とは、吸熱反応を生じさせ得る金属水酸化物をいう。吸熱性金属水酸化物は、結晶水を含むものが多い。吸熱性金属水酸化物は、高温時に分解し、水を放出する。吸熱性金属水酸化物の反応は吸熱反応であるため、吸熱性金属水酸化物は燃焼時に温度上昇を抑制する効果がある。コア層が吸熱性金属水酸化物を含む場合、粘着剤付き化粧シートの不燃性が向上する。
吸熱性金属水酸化物として、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、特に水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムが好ましい。繊維質基材に含浸されるスラリーの固形分の含有量を100質量部とする。スラリー中の吸熱性金属水酸化物の含有量が20~95質量部である場合、粘着剤付き化粧シートの密着性及び不燃性能が向上する。
吸熱性金属水酸化物の平均粒子径は、例えば、1~50μmの範囲内とすることができる。この平均粒子径は、レーザー回折・散乱法(マイクロトラック法)により検出された粒度分布(体積分布)から算出された算術平均径である。吸熱性金属水酸化物の平均粒子径が上記の範囲内である場合、スラリー中での吸熱性金属水酸化物の分散性が向上し、スラリーの繊維質基材への含浸性が向上する。また、粘着剤付き化粧シートの表面が平滑になる。
コア層中の吸熱性金属水酸化物の量は、50~600g/mの範囲内が好ましい。コア層中の吸熱性金属水酸化物の量とは、単位面積のコア層中の吸熱性水酸化物の重量である。コア層中の吸熱性金属水酸化物の量がこの範囲内である場合、コア層を構成するプリプレグ同士の密着性が高くなり、粘着剤付き化粧シートの不燃性が向上する。
前記のコア層用のスラリーは、他に、吸熱性金属水酸化物以外の無機充填材、シランカップリング剤、難燃剤等を含んでもよい。吸熱性金属水酸化物以外の無機充填材として、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の炭酸塩、シリカ、タルク、フライアッシュ等が挙げられる。無機充填材の平均粒子径は、例えば、0.05~20μmの範囲内である。無機充填材の平均粒子径がこの範囲内である場合、繊維質基材へのスラリー含浸性が一層向上する。無機充填材の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法(マイクロトラック法)により検出された粒度分布(体積分布)から算出された算術平均径で算出された値である。
無機充填材の中でも、特に、炭酸塩、炭酸塩の中でも特に炭酸カルシウムを選択することが好ましい。炭酸塩を選択した場合、粘着剤付き化粧シートの製造工程における作業性、切削性が一層向上する。炭酸カルシウムとして、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム(沈降性炭酸カルシウム)等を用いることができる。炭酸カルシウムの平均粒子径は、例えば、0.05~10μm、より好ましくは0.1~5μmである。炭酸カルシウムの平均粒子径が0.05μm以上である場合、スラリー中で炭酸カルシウムの凝集が生じ難くなり、繊維質基材へのスラリーの含浸性が向上する。また、炭酸カルシウムの平均粒子径が10μm以下である場合、粘着剤付き化粧シートの表面が一層平滑となり、粘着剤付き化粧シートの外観が向上する。
軽質炭酸カルシウムとは、石灰石を焼成し化学的に製造される炭酸カルシウムを意味する。重質炭酸カルシウムとは、白色結晶質石灰石を乾式又は湿式粉砕して造った微粉炭酸カルシウムを意味する。
コア層を構成するプリプレグに含まれる全無機充填材中に占める吸熱性金属水酸化物の配合割合は30~100質量%とすることができる。配合割合がこの範囲内の場合、化粧シート層、及び粘着剤付き化粧シートの不燃性及び切削性が一層向上する。
コア層を構成するプリプレグを製造するために繊維質基材に含浸されるスラリーは、例えば、シランカップリング剤を含む。スラリーがシランカップリング剤を含む場合は、シランカップリング剤を含まない場合よりも、日本工業規格JIS K-6902:2007「熱硬化性樹脂高圧化粧板試験方法」の耐煮沸性において、プリプレグの重量増加率が一層小さくなり、また、プリプレグと混抄紙層との密着性が一層向上する。コア層を構成するプリプレグにおけるシランカップリング剤の配合割合は、固形分換算でスラリー全成分中の0.1~10質量%の範囲であることが好ましい。
シランカップリング剤として、例えば、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン、p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル基含有シラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基含有シラン等が挙げられる。特に、エポキシ基含有シランやアミノ基含有シランを用いると、プリプレグにおける架橋密度が一層向上する。
シランカップリング剤の量は、1~20g/mの範囲内が好ましい。シランカップリング剤の量がこの範囲内である場合、上述したシランカップリング剤による効果が一層顕著になる。シランカップリング剤の量とは、単位面積のコア層が含むシランカップリング剤の重量である。
コア層は、難燃剤を含むことが好ましい。難燃剤は、例えば、プリプレグを形成するためのスラリーに含まれる。
難燃剤として、例えば、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、リン・窒素系難燃剤が好ましい。リン系難燃剤として、例えば、リン酸エステル、含リンポリオール、含リンアミン等が挙げられる。窒素系難燃剤として、例えば、メラミンシアヌレート、トリアジン化合物、グアニジン化合物等が挙げられる。リン・窒素系難燃剤として、例えば、リン酸グアニジン、リン酸グアニル尿素等が挙げられる。
リン・窒素系難燃剤は、リン系難燃剤と窒素系難燃剤との機能を併せ持つ化合物である。リン・窒素系難燃剤は、一分子中にリン原子と窒素原子との両方を有する。リン・窒素系難燃剤が高温に曝されると、リンは強い脱水作用で酸素を遮断し、窒素はアンモニアガス等を発生し、酸素の遮断を行う。そのため、リン・窒素系難燃剤は、断熱・難燃効果を向上させ、プリプレグを燃え難くする。難燃剤における全窒素含有割合は、1~50質量%の範囲が好ましい。難燃剤の配合割合は、固形分換算でスラリー全成分に対し、0.1~15質量%の範囲であることが好ましい。化粧シート層中の熱硬化性樹脂がアミノ-ホルムアルデヒド樹脂、特にメラミン-ホルムアルデヒド樹脂である場合、コア層に含まれる難燃剤は、窒素系難燃剤が好ましい。この場合、コア層と他の層との接着強度が向上する。
難燃剤の量は、1~100g/mの範囲内が好ましい。この範囲内であることにより、上述した難燃剤による効果が一層顕著になる。難燃剤の量とは、単位面積のコア層中の難燃剤の重量である。
コア層を製造するために繊維質基材にスラリーを含浸するときは、上記の数式1で定義される含浸率が500~1200%の範囲になるようにすることが好ましい。含浸率が1200%以下である場合、プリプレグからのスラリー固形分の脱落を抑制することができ、プリプレグを取り扱い易くなる。含浸率が500%以上である場合、プリプレグの層間剥離が生じ難くなる。
(10)粘着剤層
本開示の粘着剤付き化粧シートは粘着剤層を備える。粘着剤層は、化粧シート層における表層とは反対側に設けられている。
粘着剤層は粘着剤を有する。粘着剤層は、粘着剤だけでなく離型紙も有していてもよい。粘着剤層の表面は離型紙により被覆されていてもよい。粘着剤として、例えば、アクリル重合体と粘着付与剤とを含有するアクリル系粘着剤、スチレン-ブタジエンを含有する溶剤ゴム系の粘着剤等が挙げられる。
アクリル系粘着剤のアクリル重合体を構成する単量体として、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸又はアクリル酸を意味する。また、粘着付与剤として、例えば、ロジン系、テルペン系、フェノール系、クマロン系等の粘着付与剤が挙げられる。離型紙は、例えば、シリコーン離型剤を塗布加工した公知の離型紙である。粘着剤層の厚みは、例えば、50~180μmである。粘着剤層の厚みがこの範囲内である場合、粘着剤層の粘着力が一層高い。
(11)化粧シート層の構成
本開示の粘着剤付き化粧シートは化粧シート層を備える。化粧シート層では、表層、化粧層、混抄紙層、及びコア層がこの順に積層されている。
混抄紙層は、例えば、バランス層である。バランス層は、化粧シート層の平滑性を高め、粘着剤付き化粧シートの反りを抑制する。例えば、化粧層は比較的硬い材質から成り、コア層は比較的柔らかい材質から成る。バランス層は、例えば、化粧層の硬さとコア層の堅さとの中間の硬さを持つことが好ましい。この場合、粘着剤付き化粧シートの反りを抑制することができる。
混抄紙層は紙を基材として含む層である。コア層の繊維質基材がガラス繊維である場合、混抄紙層により、化粧シート層の表面平滑性を向上させることができる。
化粧層の厚みは、0.05mm以上0.15mm以下が好ましい。化粧層の厚みが0.05mm以上0.15mm以下である場合、化粧シート層における化粧層以外の層の合計厚みは、0.15mmよりも大きく1.8mm以下が好ましく、0.2mm以上1.3mm以下であることが一層好ましい。
粘着剤付き化粧シートの厚みが0.44mm~066mmである場合、100R(Rは半径、単位はmm)の曲面に粘着剤付き化粧シートを施工することが容易である。化粧層は比較的硬い熱硬化性樹脂を含む。熱や湿気等により収縮応力等の変形力が化粧層に働いたときに、混抄紙層及びコア層は、混抄紙層及びコア層の厚みによって、化粧層の変形を抑制し、粘着剤付き化粧シートの反り等の変形を抑制する。
化粧シート層のうち、表層を除く部分は、例えば、化粧層と、混抄紙層と、コア層とを積層し、平板プレス、連続プレス等のプレス機で熱圧成形することで得られる。
化粧シート層の裏面に粘着剤層を設ける方法として、例えば、化粧シート層を製造した後に、化粧シート層の裏面に、粘着剤層を圧着、ラミネートする方法が挙げられる。
図1に示すように、本開示の粘着剤付き化粧シート11は、化粧シート層1と、化粧シート層1の裏面に設けられた粘着剤層9とを備える。化粧シート層1は、下から順に、コア層4、混抄紙層5、化粧層3、表層2が積層された積層構造を有することが好ましい。「下」とは、粘着剤層9の側を意味する。化粧シート層1がこのような積層構造を有する場合、コア層4の素材の色が化粧シート層1の表面に現れ難く、粘着剤付き化粧シート11の平滑性が優れる。
図2に示すように、化粧層3の上方にオーバーレイ層8が積層されて形成されていてもよい。この場合は、化粧層3の絵柄の鮮明性はやや劣るものの、耐摩耗性に優れた粘着剤付き化粧シート12となる。
図3に示すように、化粧シート層1は、下から順に、バランス層5、コア層4、化粧層3、オーバーレイ層8が積層された積層構造を有していてもよい。
化粧シート層の厚みは0.2~2.0mmであることが好ましい。化粧シート層の厚みがこの範囲内である場合、粘着剤付き化粧シートの反りを一層抑制することができる。化粧シート層の厚みが0.2~0.8mmである場合、粘着剤付き化粧シートは、常温での曲げ加工性にも優れる。
粘着剤付き化粧シートは、例えば、基材の上に貼着される。基材として、例えば、木質系の基材、無機質系の基材、プラスチック系基材、金属製基材、及び、化粧材と基材との複合基材等が挙げられる。
化粧材として、例えば、メラミン系樹脂化粧板、ポリエステル系樹脂塗装、アクリル系樹脂塗装等が挙げられる。粘着剤付き化粧シートは、例えば、テーブル、カウンター、机、壁等の表面材として用いることができる。粘着剤付き化粧シートは、オフィス用家具、飲食店舗用家具等の業務用家具の表面材や、JIS S 1021:2011「学校用家具-教室用机・いす」に基づく学校用家具の表面材として用いることができる。
粘着剤付き化粧シートを用いる施工は、例えば、下記(イ)~(二)のステップに基づいて行うことができる。
(イ)粘着剤付き化粧シートと基材とを用意する。
(ロ)基材の表面の汚れを拭き取る。基材に凹部がある場合はパテ処理を行う。基材に凸部がある場合は研磨し、平滑に仕上げる。
(ハ)前記(イ)のステップで得られた基材に対し、粘着剤付き化粧シートを貼り合わせ、接着することで、複合体を形成する。複合体は、粘着剤付き化粧シートと基材とから成る。
(二)前記(ハ)のステップで得られた複合体の端部を仕上げる。
粘着剤付き化粧シートを所定のサイズにカットするときや、粘着剤付き化粧シートの角部を仕上げカットするときは、例えば、電動丸鋸、カッターナイフ、はさみ等を使用することができる。粘着剤付き化粧シートと基材との密着をより強固にするために、前記(ハ)のステップの前に、基材を水系プライマー又は溶剤系プライマーで処理してもよい。
基材に対し、粘着剤付き化粧シートを貼り合わせ、接着した後、粘着剤付き化粧シートの端部を電動トリマーにて切削し、仕上げてもよい。
2.構造体
本開示の構造体は、基材と、粘着剤付き化粧シートとを備える。粘着剤付き化粧シートは、基材に接着されている。
3.実施例
(1)実施例1
(1-1)主成分の製造
以下の各成分を混合することにより、主成分を製造した。
オルトケイ酸テトラエチル(エチルシリケート)加水分解液(商品名「HAS-1」、コルコート株式会社製):100質量部
「NPC-ST-30」(商品名、日産化学工業株式会社製、平均粒子径10~15nm、エチレングリコールモノn-プロピルエーテル分散シリカゾル、SiO30質量%):600質量部(固形分換算)
「DISPERBYK-2009」(アクリルコポリマーの溶液、アクリルコポリマー44質量%、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル)(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製):13.2質量部(固形分換算)
「HAS-1」は(A)成分である。「NPC-ST-30」は親水性溶媒に分散されたオルガノシリカゾルである。「NPC-ST-30」は(B)成分である。「DISPERBYK-2009」は(C)成分である。
(1-2)機能性組成物の製造
微粒子状の(m)消臭性物質を製造した。(m)消臭性物質の組成は、酸化亜鉛74質量%及びアミノ変性シリカ26質量%であった。(m)消臭性物質の平均粒子径は350nmであった。
上記(1-1)で製造した主成分100質量部と、(m)消臭性物質40質量部とを混合し、ホモジナイザーを用いて、8100rpmで10分撹拌して機能性組成物(M)を得た。機能性組成物(M)の機能は消臭性である。
(1-3)転写シートの製造
機能性組成物(M)を含む塗工液をプラスチックフィルムに塗工して転写シート(M)を得た。塗工液を塗布して得られた塗膜の膜厚は、塗膜の乾燥後において4.5μmであった。塗工液を塗布して得られた塗膜は、機能性組成物(M)の硬化物の層である。機能性組成物(M)の硬化物の層は、表層となる。
塗工液の固形分濃度は20質量%であった。固形分濃度とは、塗工液の全質量に対する、機能性組成物(M)の固形分の質量の質量比である。塗工液のpHは5.8であった。塗工液のpHは、ガラス電極式pHメーター(製品名:LAQUA 型番 F-71、株式会社堀場製作所製)を用いて測定した。
(1-4)メラミン樹脂含浸パターン紙(M)の製造
メラミン-ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂液(AA)を化粧紙に含浸し、メラミン樹脂含浸パターン紙(M)を得た。化粧紙の坪量は100g/mであった。化粧紙の表面には、導管部を有する木目模様の絵柄が印刷されていた。メラミン樹脂含浸パターン紙(M)において、数式1で定義される含浸率は140%であった。メラミン樹脂含浸パターン紙(M)は化粧層を構成する。
(1-5)混抄紙の製造
珪酸マグネシウム混抄紙(商品名:GP-18、タイガレックス株式会社製)を用意した。珪酸マグネシウム混抄紙の坪量は180g/mであった。珪酸マグネシウム混抄紙は、含水珪酸マグネシウム(セピオライト)80質量%と、パルプ10質量%と、ガラス繊維5質量%と、有機バインダー5質量%とを含んでいた。
珪酸マグネシウム混抄紙に、リン酸グアニジン(アピノン307、三和ケミカル株式会社製、全窒素含有量31%)を、数式1で定義される含浸率が20%となるように含浸し、乾燥して、リン酸グアニジン含浸混抄紙を製造した。リン酸グアニジンは難燃剤である。リン酸グアニジン含浸混抄紙におけるリン酸グアニジンの単位面積当たりの含有量は36g/mであった。リン酸グアニジン含浸混抄紙は混抄紙層を構成する。
(1-6)プリプレグの製造
以下の各成分を混合し、混合物を製造した。
アクリル樹脂エマルジョン(品番RAX-208、アイカ工業株式会社製):32質量部
水酸化アルミニウム:300質量部
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:2.7質量部
リン酸グアニジン(アピノン303、三和ケミカル株式会社製、全窒素含有量39%):29質量部
アクリル樹脂エマルジョンはバインダーである。アクリル樹脂エマルジョンのガラス転移温度(Tg)は60℃であった。アクリル樹脂エマルジョンにおける主モノマーは2-エチルヘキシルアクリレートとメチルメタアクリレートとであった。アクリル樹脂エマルジョンの平均粒子径は200nmであった。
水酸化アルミニウムは吸熱性金属水酸化物である。水酸化アルミニウムの平均粒子径は8μmであった。3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランはシランカップリング剤である。リン酸グアニジンは難燃剤である。
上記の混合物に水を加えてスラリーを得た。スラリーをガラス繊維不織布に含浸し、乾燥してプリプレグを製造した。プリプレグにおける数式1で定義される含浸率は850%であった。プリプレグはガラス繊維布基材プリプレグであった。プリプレグの説明における質量部は、固形分換算値である。プリプレグはコア層を構成する。
(1-7)化粧シート層の製造
下から順に、1枚のプリプレグ、1枚のリン酸グアニジン含浸混抄紙、1枚のメラミン樹脂含浸パターン紙(M)、及び転写シート(M)を積層し、積層体を形成した。転写シート(M)の向きは、機能性組成物(M)の硬化物の層がメラミン樹脂含浸パターン紙(M)と対向する向きであった。リン酸グアニジン含浸混抄紙はバランス層を構成した。機能性組成物(M)の硬化物の層は表層となった。
積層体を、平板プレス機を用い、温度132℃、圧力70kgf/cm、処理時間64分の条件で熱圧成形して厚み0.48mmの化粧シート層(M)を得た。
(1-8)粘着剤付き化粧シートの製造
化粧シート層(M)の裏面に、粘着シート(日栄化工株式会社製)を貼着して、厚み0.55mmの粘着剤付き化粧シートを得た。裏面とは、化粧シート層(M)の表面のうち、表層とは反対側の表面である。粘着シートは、シリコーン離型紙と、シリコーン離型紙の上にアクリル樹脂を主成分とするアクリル系粘着剤を塗布して成る粘着材層とを備えるものであった。粘着シートの厚みは136μmであった。
(2)実施例2~14
基本的には実施例1と同様にして粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。
実施例2では、機能性組成物(M)を製造するとき、主成分100質量部に対し、(m)消臭性物質を60質量部配合した。
実施例3では、機能性組成物(M)を製造するとき、主成分100質量部に対し、(m)消臭性物質を30質量部配合した。
実施例4では、主成分を製造するとき、(C)成分である「DISPERBYK-2009」の配合量を9.3質量部とした。
実施例5では、主成分を製造するとき、(C)成分である「DISPERBYK-2009」の配合量を16.8質量部とした。
実施例6では、主成分を製造するとき、(B)成分である「NPC-ST-30」の配合量を400質量部とした。
実施例7では、主成分を製造するとき、(B)成分である「NPC-ST-30」の配合量を900質量部とした。
実施例8では、(m)消臭性物質の平均粒子径を200nmにした。
実施例9では、(m)消臭性物質の平均粒子径を1000nmにした。
実施例10では、転写シートを製造するとき、塗工液を塗布して得られた塗膜の膜厚を、塗膜の乾燥後において2.0μmとした。
実施例11では、転写シートを製造するとき、塗工液を塗布して得られた塗膜の膜厚を、塗膜の乾燥後において6.5μmとした。
実施例12では、(m)消臭性物質の組成を、酸化亜鉛を45質量%含み、アミノ変性シリカを55質量%含む組成とした。
実施例13では、(m)消臭性物質の組成を、酸化亜鉛を85質量%含み、アミノ変性シリカを15質量%含む組成とした。
実施例14では、(m)消臭性物質に代えて、(n)抗ウイルス性物質を製造した。(n)抗ウイルス性物質は、トリアジン-イミダゾール-チアゾール系の有機系合成抗ウイルス性物質であった。(n)抗ウイルス性物質の平均粒子径は1000nmであった。
実施例14では、主成分100質量部と、(n)抗ウイルス性物質50質量部とを混合し、ホモジナイザーを用いて、8100rpmで10分撹拌して機能性組成物(N)を得た。機能性組成物(N)の機能は抗ウイルス性である。
実施例14では、転写シート(M)に代えて、転写シート(N)を製造した。転写シート(N)は、機能性組成物(N)を含む塗工液をプラスチックフィルムに塗工して得た。塗工液を塗布して得られた塗膜の膜厚は、塗膜の乾燥後において2.2μmであった。塗工液のpHは8.3であった。
実施例14では、転写シート(M)に代えて、転写シート(N)を用いて化粧シート層を製造した。
(3)実施例15~19
基本的には実施例14と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。
実施例15では、主成分を製造するとき、(C)成分である「DISPERBYK-2009」の配合量を26.4質量部とした。また、機能性組成物(N)を製造するとき、(n)抗ウイルス性物質の配合量を35質量部とした。
実施例16では、主成分を製造するとき、(C)成分である「DISPERBYK-2009」の配合量を26.4質量部とした。また、機能性組成物(N)を製造するとき、(n)抗ウイルス性物質の配合量を75質量部とした。
実施例17では、主成分を製造するとき、(C)成分である「DISPERBYK-2009」の配合量を9.3質量部とした。
実施例18では、主成分を製造するとき、(C)成分である「DISPERBYK-2009」の配合量を16.8質量部とした。
実施例19では、主成分を製造するとき、(C)成分である「DISPERBYK-2009」の配合量を26.4質量部とした。また、転写シートを製造するとき、機能性組成物(N)を含む塗工液を塗布して得られた塗膜の膜厚を、塗膜の乾燥後において3.5μmとした。
(4)実施例20~21
基本的には実施例19と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。
実施例20では、転写シートを製造するとき、機能性組成物(N)を含む塗工液を塗布して得られた塗膜の膜厚を、塗膜の乾燥後において1.5μmとした。
実施例21では、(n)抗ウイルス性物質の平均粒子径を3000nmにした。また、転写シートを製造するとき、機能性組成物(N)を含む塗工液を塗布して得られた塗膜の膜厚を、塗膜の乾燥後において2.2μmとした。
(5)実施例22
基本的には実施例21と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、実施例22では、(n)抗ウイルス性物質の平均粒子径を500nmにした。
(6)実施例23
基本的には実施例1と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。
実施例23では、(m)消臭性物質に代えて、(o)抗アレルゲン性物質を製造した。(o)抗アレルゲン性物質の平均粒子径は2000nmであった。(o)抗アレルゲン性物質は、酸性アニオン基変性直鎖アルカンのナトリウム塩とスチレン粒子との複合体である有機系合成抗アレルゲン性物質(「アレルバスターBV」、積水マテリアルソリューションズ株式会社製)であった。
実施例23では、主成分100質量部と、(o)抗アレルゲン性物質10質量部とを混合し、ホモジナイザーを用いて、8100rpmで10分撹拌して機能性組成物(O)を得た。機能性組成物(O)の機能は抗アレルゲン性である。
実施例23では、転写シート(M)に代えて、転写シート(O)を製造した。転写シート(O)は、機能性組成物(O)を含む塗工液をプラスチックフィルムに塗工して得た。塗工液を塗布して得られた塗膜の膜厚は、塗膜の乾燥後において4.0μmであった。塗工液のpHは6.8であった。
実施例23では、転写シート(M)に代えて、転写シート(O)を用いて化粧シート層を製造した。粘着剤付き化粧シートの厚みは0.55mmであった。
(7)実施例24~31
基本的には実施例23と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。
実施例24では、機能性組成物(O)を製造するとき、主成分100質量部に対し、(o)抗アレルゲン性物質を3質量部配合した。
実施例25では、機能性組成物(O)を製造するとき、主成分100質量部に対し、(o)抗アレルゲン性物質を50質量部配合した。
実施例26では、(o)抗アレルゲン性物質の平均粒子径を5000nmとした。
実施例27では、(o)抗アレルゲン性物質の平均粒子径を1000nmとした。
実施例28では、転写シートを製造するとき、機能性組成物(O)を含む塗工液を塗布して得られた塗膜の膜厚を、塗膜の乾燥後において2.0μmとした。
実施例29では、転写シートを製造するとき、機能性組成物(O)を含む塗工液を塗布して得られた塗膜の膜厚を、塗膜の乾燥後において8.0μmとした。
実施例30では、主成分を製造するとき、(B)成分である「NPC-ST-30」の配合量を900質量部とした。
実施例31では、主成分を製造するとき、(B)成分である「NPC-ST-30」の配合量を300質量部とした。
(8)実施例32
基本的には実施例1と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。
実施例32では、混抄紙を製造するとき、リン酸グアニジンに代えて、ビニルエステル樹脂を主成分とする樹脂液を珪酸マグネシウム混抄紙に含侵した。ビニルエステル樹脂を主成分とする樹脂液の組成は、ビスフェノール系ビニルエステル61-65%、メタクリルモノマー13-17%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(希釈剤)20%、アクリル酸2%であった。実施例32における混抄紙は、ビニルエステル樹脂含浸混抄紙であった。
(9)実施例33
基本的には実施例2と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、実施例33では、粘着シートの厚みが80μmであった。
(10)実施例34
基本的には実施例3と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、実施例34では、粘着シートの厚みが50μmであった。
(11)実施例35
基本的には実施例1と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。
実施例35では、粘着シートとして、溶剤ゴム系粘着剤(スチレン-イソプレンブロック共重合体)が塗布された厚み140μmの粘着シート(日栄化工株式会社製)を用いた。
(12)実施例36
基本的には実施例9と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。
実施例36では、混抄紙を製造するとき、珪酸マグネシウム混抄紙(商品名:GP-18、タイガレックス株式会社製)に代えて、珪酸マグネシウム混抄紙(商品名:GP-12、タイガレックス株式会社製)を使用した。GP-12の坪量は120g/mであった。GP-12は、含水珪酸マグネシウム(セピオライト)80質量%と、パルプ10質量%と、ガラス繊維5質量%と、有機バインダー5質量%とを含んでいた。
(13)実施例37
基本的には実施例1と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。
実施例37では、混抄紙を製造するとき、珪酸マグネシウム混抄紙(商品名:GP-18、タイガレックス株式会社製)に代えて、珪酸マグネシウム混抄紙(商品名:GP-35、タイガレックス株式会社製)を使用した。GP-35の坪量は350g/mであった。GP-35は、含水珪酸マグネシウム(セピオライト)80質量%と、パルプ10質量%と、ガラス繊維5質量%と、有機バインダー5質量%とを含んでいた。
(14)実施例38
基本的には実施例1と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。実施例38では、化粧シート層において、下から順に、混抄紙、プリプレグ、メラミン樹脂含浸パターン紙、表層の順に積層されている。
(15)実施例39
基本的には実施例15と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。実施例39では、混抄紙におけるリン酸グアニジンの含浸率を5%とした。
(16)実施例40
基本的には実施例16と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。実施例40では、混抄紙におけるリン酸グアニジンの含浸率を50%とした。
(17)実施例41
基本的には実施例19と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。実施例41では、混抄紙を製造するとき、リン酸グアニジンに代えて、メラミン樹脂を主成分とする含浸樹脂を用いた。
(18)実施例42
基本的には実施例20と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。実施例42では、混抄紙を製造するとき、リン酸グアニジンに代えて、フェノール樹脂を主成分とする含浸樹脂を用いた。
(19)実施例43~45
基本的には実施例1と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。
実施例43では、(m)消臭性物質としてゼオライトを用いた。
実施例44では、(m)消臭性物質として酸化銅を用いた。
実施例45では、(m)消臭性物質として酸化ジルコニウムを用いた。
(20)実施例46~47
基本的には実施例14と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。
実施例46では、(n)抗ウイルス性物質としてアミノ変性ポリビニルアルコール粒子を用いた。
実施例47では、(n)抗ウイルス性物質としてアミノ変性アクリル粒子を用いた。
(21)実施例48~49
基本的には実施例23と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。
実施例48では、(n)抗アレルゲン性物質におけるアニオン変性された有機化合物として、酸性アニオン基変性直鎖アルカンのナトリウム塩に代えて、塩基性アニオン基変性ポリビニルアルコールを用いた。
実施例49では、(n)抗アレルゲン性物質の担持体として、スチレン粒子に代えて、酸化銀粒子を用いた。
(22)実施例50
基本的には実施例1と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。
実施例50では、メラミン樹脂含浸パターン紙(M)に代えて、メラミン樹脂含浸パターン紙(Mt)を製造した。メラミン樹脂含浸パターン紙(Mt)の製造方法は以下のとおりであった。
<メラミン樹脂含浸パターン紙(Mt)の製造>
坪量100g/mの茶色の木目柄の印刷を施した化粧紙に、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂液(AA)を、数式1で定義される含浸率が140%になるように含浸した。次に、その化粧紙に、実施例1で製造した機能性組成物(M)を含む塗工液を、乾燥後の膜厚が4.5μmとなるように塗布してメラミン樹脂含浸パターン紙(Mt)を得た。なお、化粧紙の表面には、導管部を有する木目模様の絵柄が印刷されていた。
下から順に、5枚のプリプレグ、1枚のメラミン樹脂含浸パターン紙(Mt)を積層し、フラット仕上げプレートを用いて140℃、100kg/cm、処理時間90分間の条件で熱圧成形して化粧シート層(Mt)を得た。
上記のように得た化粧シート層(Mt)を用いる点を除き、実施例1と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。
(23)実施例51
基本的には実施例14と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。
実施例51では、化粧シート層(M)に代えて、化粧シート層(Mt)を用いた。化粧シート層(Mt)は、メラミン樹脂含浸パターン紙(Nt)を用いて製造した。メラミン樹脂含浸パターン紙(Nt)の製造方法は以下のとおりであった。
<メラミン樹脂含浸パターン紙(Nt)の製造>
坪量100g/mの茶色の木目柄の印刷を施した化粧紙に、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂液(AA)を、数式1で定義される含浸率が140%になるように含浸し含浸紙を得た。次に、その含浸紙の表面に、実施例14で製造した機能性組成物(N)を含む塗工液を、乾燥後の膜厚が2.2μmとなるように塗工してメラミン樹脂含浸パターン紙(Nt)を得た。なお、化粧紙の表面には、導管部を有する木目模様の絵柄が印刷されていた。
下から順に、5枚のプリプレグ、1枚のメラミン樹脂含浸パターン紙(Nt)を積層し、フラット仕上げプレートを用いて140℃、100kg/cm、処理時間90分間の条件で熱圧成形して化粧シート層を得た。
(24)実施例52
基本的には実施例23と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。
実施例52では、メラミン樹脂含浸パターン紙(M)に代えて、メラミン樹脂含浸パターン紙(Ot)を製造した。メラミン樹脂含浸パターン紙(Ot)の製造方法は以下のとおりであった。
<メラミン樹脂含浸パターン紙(Ot)の製造>
坪量100g/mの茶色の木目柄の印刷を施した化粧紙に、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂を主成分とする樹脂液(AA)を、数式1で定義される含浸率が140%になるように含浸し含浸紙を得た。次に、その含浸紙の表面に、実施例23で製造した機能性組成物(O)を含む塗工液を、乾燥後の膜厚が4.0μmとなるように塗工してメラミン樹脂含浸パターン紙(Ot)を得た。なお、化粧紙の表面には、導管部を有する木目模様の絵柄が印刷されていた。
下から順に、5枚のプリプレグ、1枚のメラミン樹脂含浸パターン紙(Ot)を積層し、フラット仕上げプレートを用いて140℃、100kg/cm、処理時間90分間の条件で熱圧成形して化粧シート層を得た。
(25)比較例1~3
基本的には実施例1と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。
比較例1では、主成分を製造するとき、(A)ケイ素アルコキシドの加水分解縮合物に代えて、(a)アクリル樹脂とシロキサンとが複合化されたシロキサングラフト型ポリマー(商品名「ZX-036」、富士化成工業株式会社製)を用いた。「ZX-036」の水酸基価は119であった。「ZX-036」における溶剤種は酢酸ブチル/2-プロパノールであった。
比較例2では、主成分を製造するとき、(B)成分である 「NPC-ST-30」に代えて、(b)疎水性シリカゾル(商品名「サイロホービック」、富士シリシア化学株式会社製)を用いた。
比較例3では、主成分を製造するとき、(C)親水基と疎水基とを有するアクリルポリマーに代えて、(x)反応性(メタ)アクリルポリマーであるメタクリロイル官能基含有アクリルポリマー(商品名「RA-3705MB」、根上工業株式会社製)100質量部を用いた。また、主成分を製造するとき、熱重合開始剤である1,6-ビス(t-ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン(商品名「カヤレン6-70」、化薬アクゾ株式会社製)を0.4質量部配合した。
(26)比較例4~9
基本的には比較例3と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。
比較例4では、表層が機能発現物質を含有しなかった。
比較例5~9では、各成分の種類、配合量、物性等を、表4-1及び表4-2に示すとおりとした。
(27)実施例53~67
基本的には実施例1と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、各成分の種類、配合量、物性等を、表5-1及び表5-2に示すとおりとした。
なお、表5-1及び表5-2における(m)消臭性物質は、実施例1で製造した(m)消臭性物質である。また、表5-1及び表5-2における(n)抗ウイルス性物質は、実施例14で製造した(n)抗ウイルス性物質である。また、表5-1及び表5-2における(o)抗アレルゲン性物質は、実施例23で製造した(o)抗アレルゲン性物質である。
(28)実施例68~86
基本的には実施例1と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、各成分の種類、配合量、物性等を、表6-1及び表6-2に示すとおりとした。
なお、表6-1及び表6-2における(m)消臭性物質は、実施例1で製造した(m)消臭性物質である。また、表6-1及び表6-2における(n)抗ウイルス性物質は、実施例14で製造した(n)抗ウイルス性物質である。また、表6-1及び表6-2における(o)抗アレルゲン性物質は、実施例23で製造した(o)抗アレルゲン性物質である。
また、実施例77においては、(A)成分として、「HAS-1」に代えて、(A1)オルトケイ酸テトラエチル(エチルシリケート)の加水分解縮合物である「HAS-6」を用いた。
また、実施例78においては、(A)成分として、「HAS-1」に代えて、(A2)オルトケイ酸テトラエチル(エチルシリケート)の加水分解縮合物である「HAS-10」を用いた。
また、実施例79においては、(B)成分として、「NPC-ST-30」に代えて、(B1)「IPA-ST」(商品名、日産化学工業株式会社製)を用いた。「IPA-ST」は、イソプロピルアルコール分散シリカゾルである。シリカゾルの平均粒子径は10~15nmである。「IPA-ST」におけるSiOの質量比は30質量%である。
また、実施例80においては、(B)成分として、「NPC-ST-30」に代えて、(B2)「MEK-AC-2140Z」(商品名、日産化学工業株式会社製)を用いた。「MEK-AC-2140Z」はメチルエチルケトン分散シリカゾルである。シリカゾルの平均粒子径は10~15nmである。「MEK-AC-2140Z」におけるSiOの質量比は40質量%である。
また、実施例81においては、(C)成分として、「DISPERBYK-2009」に代えて、(C1)「DISPERBYK-2000」(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)を用いた。「DISPERBYK-2000」は、アクリルコポリマーの溶液である。「DISPERBYK-2000」は、アクリルコポリマー40質量%を含む。「DISPERBYK-2000」の溶媒は、1-メトキシ-2-プロピルアセタートと、エチレングリコールモノブチルエーテルとである。
また、実施例82においては、(C)成分として、「DISPERBYK-2009」に代えて、(C2)「DISPERBYK-2008」(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)を用いた。「DISPERBYK-2008」は、アクリルコポリマーの溶液である。「DISPERBYK-2008」は、アクリルコポリマー60質量%と、ポリプロピレングリコール40%とを含む。
(29)実施例83
実施例83は、化粧層の上方にオーバーレイ層を形成する実施例である。上方とは表層の側である。坪量22g/mのオーバーレイ紙に実施例1で製造した樹脂液(AA)を含浸し、メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙を得た。メラミン樹脂含浸オーバーレイにおける数式1で定義される含浸率は260%であった。
木目模様が印刷された化粧紙にメラミン樹脂を含侵させ、メラミン樹脂含浸パターン紙を得た。メラミン樹脂含浸パターン紙における数式1で定義される含浸率は100%であった。実施例1と同様に、プリプレグ、及び混抄紙を製造した。実施例68と同様に転写シートを製造した。
下から順に、1枚のプリプレグ、1枚の混抄紙、1枚のメラミン樹脂含浸パターン紙、1枚のメラミン樹脂含浸オーバーレイ紙、及び1枚の転写シートを積層し、積層体を形成した。フラット仕上げプレートを用いて140℃、100kg/cm、処理時間90分間の条件で熱圧成形した。次に、転写シートのプラスチックフィルムを剥がして化粧シート層を得た。
次に、化粧シート層の裏面に、粘着シート(日栄化工株式会社製)を貼着して、厚み0.55mmの粘着剤付き化粧シートを得た。粘着シートは、シリコーン離型紙と、シリコーン離型紙の上にアクリル樹脂を主成分とするアクリル系粘着剤を塗布して成る粘着材層とを備えるものであった。粘着シートの厚みは136μmであった。
(30)実施例84~86
基本的には実施例83と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。
実施例84では、実施例69で製造した転写シートを用いた。
実施例85では、実施例70で製造した転写シートを用いた。
実施例86では、化粧シート層を製造するとき、下から順に、リン酸グアニジン含浸混抄紙を1枚、ガラス繊維布基材プリプレグを1枚、メラミン樹脂含浸パターン紙を1枚、メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙を1枚、転写シートを1枚積層した点以外は同様に実施した。リン酸グアニジン含浸混抄紙は、浸混抄紙層を構成する。浸混抄紙層はバランス層として機能する。
(31)実施例87
実施例87~100は、本開示の粘着剤付き化粧シートを使用する施工例である。
<基材の用意>
学校用机を用意した。学校用机は、メラミン化粧板から成る表層材を備えていた。表層材のサイズは、幅650mm、長さ450mmであった。幅650mm、長さ450mmは、JIS S 1021:2011に準拠したサイズであった。表層材を基材とした。
<粘着剤付き化粧シートのカット>
実施例83で製造した粘着剤付き化粧シートを用意した。粘着剤付き化粧シートを、電動丸鋸を用いて、幅650mm、長さ450mmのサイズにカットした。次に、カットした粘着剤付き化粧シートの角部を、はさみを用いて曲面にカットした。その結果、粘着剤付き化粧シートの角部の形状は、机の角部の形状と一致した。
<基材の平滑・下地処理>
基材の表面の汚れを拭き取った。次に、アクリル樹脂系パテにより、基材の表面の凹部を処理した。また、サンドペーパーを用いて、基材の表面の凸部を研磨し、基材の表面を平滑に仕上げた。
次に、基材の表面に下地処理を行った。下地処理は、水系プライマーを塗布し、十分に乾燥させる処理であった。水系プライマーの塗布量は80g/mであった。水系プライマーは、合成ゴム系専用水系プライマー(品番:RA-910、アイカ工業株式会社製)であった。RA-910は、乾燥が遅いタイプのプライマーである。乾燥時間は約2時間である。
<粘着剤付き化粧シートと基材の接着>
粘着剤付き化粧シートの一端を基材の一方の端部に位置を合わせて貼着した。次に、スキージー(へら)を粘着剤付き化粧シートの表面に当てがい、一方の端部から他方の端部に向けて皺が寄らないように摺動させて、粘着剤付き化粧シートを基材に貼り合わせた。次に、粘着剤付き化粧シートの上で金属ローラーを転動させて粘着剤付き化粧シートを基材に圧締し、接着した。
<仕上げ>
粘着剤付き化粧シートの周縁をサンドペーパーで面取りして仕上げた。図4に、基材30と、粘着剤付き化粧シート11とから成る構造体を示す。図4において「20」はプライマーの層を表す。
(32)実施例88
<基材の用意>
飲食店舗用の机を用意した。机は、ラワン合板から成る表層材を備えていた。表層材とは下地の基材である。表層材のサイズは、幅600mm、長さ1200mmであった。表層材を基材とした。
<粘着剤付き化粧シートのカット>
実施例83で製造した粘着剤付き化粧シートを、カッターナイフを用いて、幅600mm、長さ1200mmのサイズにカットした。
<基材の平滑処理>
基材の表面を実施例87と同様に平滑に仕上げた。プライマー処理は行わなかった。
<粘着剤付き化粧シートと基材の接着>
実施例87と同様に行った。
<仕上げ>
実施例87と同様に行った。図5に、基材30と、粘着剤付き化粧シート11とから成る構造体を示す。
(33)実施例89
<基材の用意>
シナ合板から成るラウンドテーブルを用意した。ラウンドテーブルの天板の形状は、直径800mmの円形であった。ラウンドテーブルの天板を基材とした。
<粘着剤付き化粧シートのカット>
実施例83で製造した粘着剤付き化粧シートを、電動丸鋸を用いて、幅800mm、長さ800mmの矩形の形状にカットした。
<基材の平滑・下地処理>
基本的には実施例87と同様に、基材の平滑・下地処理を行った。ただし、下地処理に溶剤系プライマーを使用した。溶剤系プライマーは合成ゴム系専用溶剤系プライマー(品番:RQ-900P、アイカ工業株式会社製)であった。溶剤系プライマーの塗布量は120g/mであった。RQ-900Pは10分程度で乾燥する速乾タイプのプライマーである。
<粘着剤付き化粧シートと基材の接着>
実施例87と同様に行った。
<仕上げ>
粘着剤付き化粧シートの周縁を、電動トリマーを用いて切削した。その結果、粘着剤付き化粧シートの周縁は、基材の周縁に一致した。
(34)実施例90
<粘着剤付き化粧シートの製造>
基本的には実施例83と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。
実施例90では、メラミン樹脂含浸オーバーレイ紙を用いなかった。無地の化粧紙にメラミン樹脂を含侵させ、メラミン樹脂含浸パターン紙を製造した。メラミン樹脂含浸パターン紙における数式1で定義される含浸率は100%であった。メラミン樹脂含浸パターン紙を用いて、厚さ0.45mmの粘着剤付き化粧シートを得た。
<基材の平滑・下地処理>
学校のトイレの下地を基材とした。基材の面は垂直面であった。基材は珪酸カルシウム板であった。基材の表面の汚れをアルコールや乾いたウエスで拭き取った。基材の表面の凹部を、主剤と硬化剤とから成るエポキシパテで処理した。基材の表面の凸部を、サンドペーパーを用いて研磨し、基材の表面を平滑に仕上げた。
次に、基材の表面に下地処理を行った。下地処理は、水系プライマーを塗布し、十分に乾燥させる処理であった。水系プライマーの塗布量は80g/mであった。水系プライマーは、合成ゴム系専用水系プライマー(品番:RA-910、アイカ工業株式会社製)であった。
<粘着剤付き化粧シートと基材の接着>
粘着剤付き化粧シートの一端を基材の一方の端部に位置を合わせて貼着し、次いで、スキージー(へら)を粘着剤付き化粧シートの表面に当てがい、一方の端部から他方の端部に向けて皺が寄らないように摺動させて、粘着剤付き化粧シートを基材に貼り合わせた。次に、粘着剤付き化粧シートの上で金属ローラーを転動させて粘着剤付き化粧シートを基材に圧締し、接着した。
(35)実施例91
<粘着剤付き化粧シートの用意>
実施例83で製造した粘着剤付き化粧シートを、電動丸鋸を用いて幅900mm、長さ900mmのサイズにカットした。
<基材の平滑・下地処理>
コンビニエンスストアの壁面の下地を基材とした。基材の表面は垂直面であった。基材は亜鉛メッキ鋼板であった。基材の表面の汚れをアルコールや乾いたウエスで拭き取った。基材の表面の凹部を、主剤と硬化剤とから成るエポキシパテで処理した。基材の表面の凸部を、グラインダーを用いて研磨し、基材の表面を平滑に仕上げた。
次に、基材の表面に下地処理を行った。下地処理は、溶剤系プライマーを塗布し、十分に乾燥させる処理であった。溶剤系プライマーの塗布量は120g/mであった。溶剤系プライマーは、合成ゴム系専用溶剤系プライマー(品番:RQ-900P、アイカ工業株式会社製)であった。
<粘着剤付き化粧シートと基材の接着>
粘着剤付き化粧シートの一端を基材の一方の端部に位置を合わせて貼着した。次に、スキージー(へら)を粘着剤付き化粧シートの表面に当てがい、一方の端部から他方の端部に向けて皺が寄らないように摺動させて、粘着剤付き化粧シートを基材に貼り合わせた。次に、粘着剤付き化粧シートの上で金属ローラーを転動させて粘着剤付き化粧シートを基材に圧締し、接着した。
(36)実施例92~94
基本的には実施例91と同様に施工を行った。ただし、以下の点で相違する。
実施例92では、基材は焼付塗装鋼板であった。
実施例93では、基材はステンレス板であった。
実施例94では、基材はアルミニウム合金板であった。
(37)実施例95
<粘着剤付き化粧シートの用意>
実施例91と同様に、粘着剤付き化粧シートを用意した。
<基材の平滑・下地処理>
一般住宅の腰壁の下地を基材とした。基材はラワン合板であった。基材の表面の汚れを拭き取った。次に、アクリル樹脂系パテにより、基材の表面の凹部を処理した。また、サンドペーパーを用いて基材の表面の凸部を研磨し、基材の表面を平滑に仕上げた。
次に、基材の表面に下地処理を行った。下地処理は、水系プライマーを塗布し、十分に乾燥させる処理であった。水系プライマーの塗布量は80g/mであった。水系プライマーは、合成ゴム系専用水系プライマー(品番:RA-910、アイカ工業株式会社製)であった。
<粘着剤付き化粧シートと基材の接着>
粘着剤付き化粧シートの一端を基材の一方の端部に位置を合わせて貼着した。次に、スキージー(へら)を粘着剤付き化粧シートの表面に当てがい、一方の端部から他方の端部に向けて皺が寄らないように摺動させて、粘着剤付き化粧シートを基材に貼り合わせた。次に、粘着剤付き化粧シートの上で金属ローラーを転動させて粘着剤付き化粧シートを基材に圧締し、接着した。
(38)実施例96
基本的には実施例95と同様に施工を行った。ただし、基材はシナ合板であった。
(39)実施例97
<粘着剤付き化粧シートの用意>
実施例90と同様に、粘着剤付き化粧シートを用意した。粘着剤付き化粧シートの厚さは0.45mmであった。
<基材の平滑・下地処理>
学校のトイレの壁面を基材とした。基材の表面は垂直面であった。基材の表面は4000Rの曲面であった。基材はラワン合板であった。基材の表面の汚れを拭き取った。次に、アクリル樹脂系パテにより基材の表面の凹部を処理した。また、サンドペーパーを用いて基材の表面の凸部を研磨し、基材の表面を平滑に仕上げた。
次に、基材の表面に下地処理を行った。下地処理は、水系プライマーを塗布し、十分に乾燥させる処理であった。水系プライマーの塗布量は80g/mであった。水系プライマーは、合成ゴム系専用水系プライマー(品番:RA-910、アイカ工業株式会社製)であった。
<粘着剤付き化粧シートと基材の接着>
粘着剤付き化粧シートの一端を基材の一方の端部に位置を合わせて貼着した。次に、スキージー(へら)を粘着剤付き化粧シートの表面に当てがい、一方の端部から他方の端部に向けて皺が寄らないように摺動させて、粘着剤付き化粧シートを基材に貼り合わせた。次に、粘着剤付き化粧シートの上で金属ローラーを転動させて粘着剤付き化粧シートを基材に圧締し、接着した。
(40)実施例98
基本的には実施例96と同様に施工を行った。ただし、学校のトイレの壁面を基材とした。基材の表面は垂直面であった。基材の表面は4000Rの曲面であった。基材はシナ合板であった。
(41)実施例99
基本的には実施例90と同様に施工を行った。ただし、以下の点で相違する。粘着剤付き化粧シートは、実施例83で製造したものであった。また、基材の表面は垂直面であった。基材の表面は4000Rの曲面であった。基材は珪酸カルシウム板であった。
(42)実施例100
基本的には実施例91と同様に施工を行った。ただし、以下の点で相違する。基材の表面は垂直面であった。基材の表面は4000Rの曲面であった。基材は亜鉛メッキ鋼板であった。実施例87~100の施工条件を表19に示す。
(43)実施例101~122
基本的には実施例1と同様にして、粘着剤付き化粧シートを製造した。ただし、以下の点で相違する。
実施例101~106では、各成分の種類、配合量、物性等を表7-1及び表7-2に示すとおりとした。
実施例107~110では、各成分の種類、配合量、物性等を表8-1及び表8-2に示すとおりとした。
実施例111~122では、各成分の種類、配合量、物性等を表9-1及び表9-2に示すとおりとした。
上記実施例及び比較例について、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含む主成分及び機能性組成物の配合量や配合割合、機能発現物質の粒子径、塗工液のpH、塗布量、並びにコア層のコア材の種類を、表1-1~表9-2に示す。塗布量とは、塗工液を塗布して得られた塗膜の膜厚を、塗膜が乾燥後に測定した値である。
各表における記載の意味は以下のとおりである。
A:ケイ素アルコキシドの加水分解縮合物
B:水性シリカゾルを親水性溶媒で置換したオルガノシリカゾル
C:親水基と疎水基とを有するアクリルコポリマー
B/A:(B)成分の質量を(A)成分の質量で除した値である。
C/B:(C)成分の質量を(B)成分の質量で除した値である。
m:消臭性物質
n:抗ウイルス性物質
o:抗アレルゲン性物質
また、各表における(A)、(B)、及び(C)成分の質量部の数値は固形分の質量である。
また、m、n、及びoの配合量の数値は、主成分の固形分100質量部に対する、機能発現物質の固形分の配合量(質量部)である。
Figure 0007299277000004
Figure 0007299277000005
Figure 0007299277000006
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Figure 0007299277000020
Figure 0007299277000021
4.実施例の評価
(1)評価方法
各実施例及び各比較例に係る粘着剤付き化粧シートを、以下の方法で評価した。
<外観の評価>
粘着剤付き化粧シートの外観を、JIS K 6902:2007「熱硬化性樹脂高圧化粧シート試験方法」に基づき評価した。また、手のひらで粘着剤付き化粧シートの表面に5秒間触れた後に手を離し、表面を目視で観察することにより、指紋が目立つか否かを評価した。粘着剤付き化粧シートの外観の評価は、以下の基準で行った。
○:異常なし(表面に白化ムラが生じておらず、指紋も目立たない)。
△1:僅かに表面に白化ムラが生じるが、化粧層の木目模様の絵柄の導管部は認識できる。指紋は目立たない。
△2:表面に白化ムラは生じてはいないが指紋がやや目立つ。
×:著しく表面に白化ムラが生じ、化粧層の木目模様の絵柄が不鮮明で導管部が認識できない。指紋は目立たない。
なお、表面に白化ムラが生じると指紋は目立ちにくくなる。
<硫化水素消臭性能の評価>
粘着剤付き化粧シートから、100mm×200mmの大きさの試験片を切り出した。有効面積が200cmになるように、アルミテープで試験片の裏面と側面とを被覆した。試験片を袋の中に入れた。袋はテドラーバッグであった。袋内での濃度が4ppmになるように、袋内に硫化水素ガス3Lを注入した。24時間経過後に、袋内での硫化水素残存濃度を測定した。この測定値により、消臭された硫化水素の総量を算出し、硫化水素ガスの消臭率(%)とした。
<アンモニア消臭性能の評価>
粘着剤付き化粧シートから、100mm×200mmの大きさの試験片を切り出した。有効面積が200cmになるように、アルミテープで試験片の裏面と側面とを被覆した。試験片を袋の中に入れた。袋はテドラーバッグであった。袋内での濃度が100ppmになるように、袋内にアンモニアガス3Lを注入した。24時間経過後に、袋内でのアンモニア残存濃度を測定した。この測定値により、消臭されたアンモニアの総量を算出し、消臭率(%)とした。
<抗ウイルス性能ファージ試験>
試験ウイルスはバクテリオファージQβであった。試験規格は、JIS R 1756:2020「ファインセラミックス―可視光応答形光触媒材料の抗ウイルス性試験方法―バクテリオファージQβを用いる方法」であった。測定時間は24時間であった。
粘着剤付き化粧シートから試験片を切り出した。試験片に試験菌ウイルスバクテリオファージQβを接触させた。24時間後に試験菌溶液を回収し、ウイルス感染価を算出した。算出したウイルス感染価により、抗ウイルス活性値を下記算出式に基づいて算出した。
抗ウイルス活性値=log(未加工品のウイルス感染価)-log(加工品のウイルス感染価)
なお、未加工品とは、表層が形成されていない粘着剤付き化粧シートであり、加工品とは各実施例及び各比較例に係る粘着剤付き化粧シートである。
<抗アレルゲン性能アンモニア>
試験菌はダニアレルゲン(Der fII)、スギアレルゲン(Cry jI)であった。測定時間は24時間であった。測定方法はELISA法(酵素免疫測定法)であった。
粘着剤付き化粧シートから、50mm×50mmの大きさの試験片を切り出した。試験片に、接着剤で40mm×40mmの枠を作製した。一定濃度に調製したアレルゲン溶液0.4mlを枠内に滴下し、フィルムを密着させた。
24時間経過後の溶液を回収し、ELISA法でアレルゲン濃度を測定した。その測定値と、未加工品の場合の測定値との濃度差を算出し、アレルゲンの低減率(%)とした。
<耐薬品性>
試験液は以下のとおりであった。
q:オスバン液 0.025%溶液
r:クレゾール石鹸水 5.0%溶液
s:次亜塩素酸ナトリウム 6.0%溶液
t:1%塩酸水溶液
u:1%水酸化ナトリウム水溶液
粘着剤付き化粧シートから試験片を切り出した。試験片を洗浄し、その後乾燥させた。試験液0.2mlを試験片に滴下し、24時間放置した。その後、試験液を水で洗い落とし、試験片の変化を肉眼で観察し、以下の基準で評価した。
○:変化なし
△:侵食は無いが色調、艶が変化
×:侵食している
<不燃性>
ISO5660に準拠したコーンカロリーメーターによる20分試験の発熱性試験を行った。総発熱量が8MJ/m以下であり、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えておらず、試験後の試験体において裏面まで貫通する割れ、ひび等がない場合を○とした。この3条件を一つでも満たさないものを×とした。
(2)評価結果
評価結果を表10-1~表18-2に示す。
Figure 0007299277000022
Figure 0007299277000023
Figure 0007299277000024
Figure 0007299277000025
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Figure 0007299277000029
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Figure 0007299277000031
Figure 0007299277000032
Figure 0007299277000033
Figure 0007299277000034
Figure 0007299277000035
Figure 0007299277000036
Figure 0007299277000037
Figure 0007299277000038
Figure 0007299277000039
Figure 0007299277000040
(3)考察
表16-1に示すように、実施例101では、(m)消臭性物質の配合量が少なく消臭性能がやや劣っていた。実施例102では、(m)消臭性物質の配合量が多く、外観において僅かに白化ムラが生じた(△1)。実施例103では、(n)抗ウイルス性物質の配合量が少なく抗ウイルス性能がやや劣っていた。
実施例104では、(n)抗ウイルス性物質の配合量が多く、外観において僅かに白化ムラが生じた(△1)。実施例105では、(o)抗アレルゲン性物質の配合量が少なく抗アレルゲン性がやや劣っていた。実施例106では、(o)抗アレルゲン性物質の配合量が多く、外観において僅かに白化ムラが生じた(△1)。
表8-1、表17-1に示すように、実施例107では、機能性組成物が(A)成分、(B)、及び(C)成分を含むものの、(A)成分の固形分1質量部に対して(B)成分の配合量が0.5質量部未満であり、消臭性能がやや劣り、耐薬品性もやや劣っていた。
実施例108では、機能性物組成物が(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含むものの、(A)成分の固形分1質量部に対して(B)成分の配合量が12質量部を超えており、外観において、指紋は目立たないものの、僅かに白化ムラが生じた(△1)。
実施例109では、機能性組成物が(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含むものの、(B)成分の固形分1質量部に対して(C)成分の配合量が0.005質量部未満であり、白化ムラは生じてはいないものの、指紋がやや目立った(△2)。
実施例110では、機能性組成物が(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含むものの、(B)成分の固形分1質量部に対して(C)成分の配合量が0.3質量部を超えており、外観において、指紋は目立たないものの、僅かに白化ムラが生じた(△1)。
表18-1に示すように、実施例111では、消臭性がやや劣っていた。実施例112では、外観において、指紋は目立たないものの、僅かに白化ムラが生じた(△1)。実施例113では、抗ウイルス性がやや劣っていた。
実施例114では、外観において、指紋は目立たないものの、僅かに白化ムラが生じた(△1)。実施例115では、消臭性がやや劣っていた。実施例116では、外観において、指紋は目立たないものの、僅かに白化ムラが生じた(△1)。
実施例117では、抗アレルゲン性がやや劣っていた。実施例118では、外観において、指紋は目立たないものの、僅かに白化ムラが生じた(△1)。実施例119では、抗ウイルス性がやや劣っていた。
実施例120では、外観において、指紋は目立たないものの、僅かに白化ムラが生じた(△1)。
実施例121では、抗アレルゲン性がやや劣っていた。実施例122では、外観において、指紋は目立たないものの、僅かに白化ムラが生じた(△1)。
4.他の実施形態
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
(1)上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
(2)上述した粘着剤付き化粧シートの他、当該粘着剤付き化粧シートを構成要素とするシステム、粘着剤付き化粧シートの製造方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。
1…化粧シート層、2…表層、3…化粧層、4…コア層、5…混抄紙層、8…オーバーレイ層、9…粘着剤層、11、12、13…粘着剤付き化粧シート、30…基材

Claims (11)

  1. 表層(2)、化粧層(3)、混抄紙層(5)、及びコア層(4)が、前記表層、前記化粧層、前記混抄紙層、前記コア層の順、又は、前記表層、前記化粧層、前記コア層、前記混抄紙層の順で積層された化粧シート層(1)と、
    前記化粧シート層における前記表層とは反対側に設けられた粘着剤層(9)と、を備え、
    前記表層は、以下の(A)~(C)を含む主成分と、以下の(m)~(o)から成る群から選択される1以上の機能発現物質とを含む機能性組成物の硬化物を含み、
    固形分換算で、前記(B)成分は、前記(A)成分1質量部に対して、0.5~12質量部配合され、
    固形分換算で、前記(C)成分は、前記(B)成分1質量部に対して、0.005~0.3質量部配合された、
    粘着剤付き化粧シート(11、12、13)。
    (A)ケイ素アルコキシドの加水分解縮合物
    (B)水性シリカゾルを親水性溶媒で置換したオルガノシリカゾル
    (C)親水基と疎水基とを有するアクリルコポリマーであって、ポリアミン構造を有するアクリルコポリマー
    (m)消臭性物質
    (n)抗ウイルス性物質
    (o)抗アレルゲン性物質
  2. 請求項1に記載の粘着剤付き化粧シートであって、
    前記機能性組成物は前記(m)消臭性物質を含み、
    前記機能性組成物において、前記(m)消臭性物質の配合量が、前記主成分の固形分100質量部に対して30~60質量部である、
    粘着剤付き化粧シート。
  3. 請求項1又は2に記載の粘着剤付き化粧シートであって、
    前記機能性組成物は前記(n)抗ウイルス性物質を含み、
    前記機能性組成物において、前記(n)抗ウイルス性物質の配合量が、前記主成分の固形分100質量部に対して、35~75質量部である、
    粘着剤付き化粧シート。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の粘着剤付き化粧シートであって、
    前記機能性組成物は前記(o)抗アレルゲン性物質を含み、
    前記機能性組成物において、前記(o)抗アレルゲン性物質の配合量が、前記主成分の固形分100質量部に対して、3~50質量部である、
    粘着剤付き化粧シート。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の粘着剤付き化粧シートであって、
    前記機能性組成物は前記(m)消臭性物質を含み、
    前記(m)消臭性物質は、化学吸着型の消臭性物質である、
    粘着剤付き化粧シート。
  6. 請求項5に記載の粘着剤付き化粧シートであって、
    前記化学吸着型の消臭性物質は、酸化亜鉛、シリカ、ゼオライト、酸化銅、及び酸化ジルコニムから成る群から選ばれる1以上を含む、
    粘着剤付き化粧シート。
  7. 表層(2)、化粧層(3)、混抄紙層(5)、及びコア層(4)が、前記表層、前記化粧層、前記混抄紙層、前記コア層の順、又は、前記表層、前記化粧層、前記コア層、前記混抄紙層の順で積層された化粧シート層(1)と、
    前記化粧シート層における前記表層とは反対側に設けられた粘着剤層(9)と、を備え、
    前記表層は、以下の(A)~(C)を含む主成分と、以下の(m)~(o)から成る群から選択される1以上の機能発現物質とを含む機能性組成物の硬化物を含み、
    前記機能性組成物は前記(n)抗ウイルス性物質を含み、
    前記(n)抗ウイルス性物質は、トリアジン-チアゾール-イミダゾール系物質、及びアミノ変性アクリルポリマーから成る群から選ばれる1以上を含む、
    粘着剤付き化粧シート(11、12、13)。
    (A)ケイ素アルコキシドの加水分解縮合物
    (B)水性シリカゾルを親水性溶媒で置換したオルガノシリカゾル
    (C)親水基と疎水基とを有するアクリルコポリマーであって、ポリアミン構造を有するアクリルコポリマー
    (m)消臭性物質
    (n)抗ウイルス性物質
    (o)抗アレルゲン性物質
  8. 表層(2)、化粧層(3)、混抄紙層(5)、及びコア層(4)が、前記表層、前記化粧層、前記混抄紙層、前記コア層の順、又は、前記表層、前記化粧層、前記コア層、前記混抄紙層の順で積層された化粧シート層(1)と、
    前記化粧シート層における前記表層とは反対側に設けられた粘着剤層(9)と、を備え、
    前記表層は、以下の(A)~(C)を含む主成分と、以下の(m)~(o)から成る群から選択される1以上の機能発現物質とを含む機能性組成物の硬化物を含み、
    前記機能性組成物は前記(o)抗アレルゲン性物質を含み、
    前記(o)抗アレルゲン性物質は、アニオン変性された有機化合物と担持体との複合物である、
    粘着剤付き化粧シート(11、12、13)。
    (A)ケイ素アルコキシドの加水分解縮合物
    (B)水性シリカゾルを親水性溶媒で置換したオルガノシリカゾル
    (C)親水基と疎水基とを有するアクリルコポリマーであって、ポリアミン構造を有するアクリルコポリマー
    (m)消臭性物質
    (n)抗ウイルス性物質
    (o)抗アレルゲン性物質
  9. 請求項8に記載の粘着剤付き化粧シートであって、
    前記アニオン変性された有機化合物は、アニオン変性直鎖アルカン、及びアニオン変性ポリビニルアルコールから成る群から選ばれる1以上である、
    粘着剤付き化粧シート。
  10. 請求項8又は9に記載の粘着剤付き化粧シートであって、
    前記担持体は、スチレン粒子、及び酸化銀粒子から成る群から選ばれる1以上を含む、
    粘着剤付き化粧シート。
  11. 基材と、
    前記基材に接着された請求項1~10いずれか1項に記載の粘着剤付き化粧シートと、
    を備える構造体。
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