本発明に係る静電容量型荷重センサは、付与された荷重に応じて処理を行う管理システムや電子機器の荷重センサに適用可能である。
管理システムとしては、たとえば、在庫管理システム、ドライバーモニタリングシステム、コーチング管理システム、セキュリティー管理システム、介護・育児管理システムなどが挙げられる。
在庫管理システムでは、たとえば、在庫棚に設けられた荷重センサにより、積載された在庫の荷重が検出され、在庫棚に存在する商品の種類と商品の数とが検出される。これにより、店舗、工場、倉庫などにおいて、効率よく在庫を管理できるとともに省人化を実現できる。また、冷蔵庫内に設けられた荷重センサにより、冷蔵庫内の食品の荷重が検出され、冷蔵庫内の食品の種類と食品の数や量とが検出される。これにより、冷蔵庫内の食品を用いた献立を自動的に提案できる。
ドライバーモニタリングシステムでは、たとえば、操舵装置に設けられた荷重センサにより、ドライバーの操舵装置に対する荷重分布(たとえば、把持力、把持位置、踏力)がモニタリングされる。また、車載シートに設けられた荷重センサにより、着座状態におけるドライバーの車載シートに対する荷重分布(たとえば、重心位置)がモニタリングされる。これにより、ドライバーの運転状態(眠気や心理状態など)をフィードバックすることができる。
コーチング管理システムでは、たとえば、シューズの底に設けられた荷重センサにより、足裏の荷重分布がモニタリングされる。これにより、適正な歩行状態や走行状態へ矯正または誘導することができる。
セキュリティー管理システムでは、たとえば、床に設けられた荷重センサにより、人が通過する際に、荷重分布が検出され、体重、歩幅、通過速度および靴底パターンなどが検出される。これにより、これらの検出情報をデータと照合することにより、通過した人物を特定することが可能となる。
介護・育児管理システムでは、たとえば、寝具や便座に設けられた荷重センサにより、人体の寝具および便座に対する荷重分布がモニタリングされる。これにより、寝具や便座の位置において、人がどのような行動を取ろうとしているかを推定し、転倒や転落を防止することができる。
電子機器としては、たとえば、車載機器(カーナビゲーション・システム、音響機器など)、家電機器(電気ポット、IHクッキングヒーターなど)、スマートフォン、電子ペーパー、電子ブックリーダー、PCキーボード、ゲームコントローラー、スマートウォッチ、ワイヤレスイヤホン、タッチパネル、電子ペン、ペンライト、光る衣服、楽器などが挙げられる。電子機器では、ユーザからの入力を受け付ける入力部に荷重センサが設けられる。
以下の実施形態における荷重センサは、上記のような管理システムや電子機器の荷重センサにおいて典型的に設けられる静電容量型荷重センサである。このような荷重センサは、「静電容量型感圧センサ素子」、「容量性圧力検出センサ素子」、「感圧スイッチ素子」などと称される場合もある。また、以下の実施形態における検出回路は、上記のような荷重センサに接続される検出回路であり、以下の実施形態における荷重検出装置は、上記のような荷重センサおよび検出回路を備える荷重検出装置である。以下の実施形態は、本発明の一実施形態あって、本発明は、以下の実施形態に何ら制限されるものではない。
以下、本発明の実施形態について、図を参照して説明する。便宜上、各図には互いに直交するX、Y、Z軸が付記されている。Z軸方向は、荷重センサ1の高さ方向である。
<実施形態1>
図1(a)~図4を参照して、荷重センサ1について説明する。
図1(a)は、基材11と、基材11の上面に設置された3つの導電弾性体12とを模式的に示す斜視図である。
基材11は、弾性を有する絶縁性の部材であり、X-Y平面に平行な平板形状を有する。基材11は、非導電性を有する樹脂材料または非導電性を有するゴム材料から構成される。基材11に用いられる樹脂材料は、たとえば、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂(たとえば、ポリジメチルポリシロキサン(PDMS)など)、アクリル系樹脂、ロタキサン系樹脂、およびウレタン系樹脂等からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂材料である。基材11に用いられるゴム材料は、たとえば、シリコーンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレン、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、および天然ゴム等からなる群から選択される少なくとも1種のゴム材料である。
導電弾性体12は、基材11の上面(Z軸正側の面)に接着剤等により設置される。図1(a)では、基材11の上面に、3つの導電弾性体12が設置されている。導電弾性体12は、弾性を有する導電性の部材である。各導電弾性体12は、基材11の上面においてY軸方向に長い帯状の形状を有しており、X軸方向に互いに離間した状態で並んで設置されている。各導電弾性体12のY軸負側の端部に、導電弾性体12と電気的に接続されたケーブル12aが設置される。導電弾性体12は、樹脂材料とその中に分散した導電性フィラー、またはゴム材料とその中に分散した導電性フィラーから構成される。
導電弾性体12に用いられる樹脂材料は、上述した基材11に用いられる樹脂材料と同様、たとえば、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂(ポリジメチルポリシロキサン(たとえば、PDMS)など)、アクリル系樹脂、ロタキサン系樹脂、およびウレタン系樹脂等からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂材料である。導電弾性体12に用いられるゴム材料は、上述した基材11に用いられるゴム材料と同様、たとえば、シリコーンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレン、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、および天然ゴム等からなる群から選択される少なくとも1種のゴム材料である。
導電弾性体12に用いられる導電性フィラーは、たとえば、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)、C(カーボン)、ZnO(酸化亜鉛)、In2O3(酸化インジウム(III))、およびSnO2(酸化スズ(IV))等の金属材料や、PEDOT:PSS(すなわち、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)からなる複合物)等の導電性高分子材料や、金属コート有機物繊維、金属線(繊維状態)等の導電性繊維からなる群から選択される少なくとも1種の材料である。
図1(b)は、図1(a)の構造体に載置された3つの被覆付き銅線13を模式的に示す斜視図である。
被覆付き銅線13は、図1(a)に示した3つの導電弾性体12の上面に重ねて配置される。ここでは、3つの被覆付き銅線13が3つの導電弾性体12の上面に重ねて配置されている。各被覆付き銅線13は、導電性の線材と、当該線材の表面を被覆する誘電体とからなる。3つの被覆付き銅線13は、導電弾性体12の長手方向(Y軸方向)に沿って、導電弾性体12に交差するように並んで配置されている。各被覆付き銅線13は、3つの導電弾性体12に跨がるよう、X軸方向に延びて配置される。被覆付き銅線13の構成については、追って図3(a)、(b)を参照して説明する。
図2(a)は、図1(b)の構造体に設置された糸14を模式的に示す斜視図である。
図1(b)のように3つの被覆付き銅線13が配置された後、各被覆付き銅線13は、被覆付き銅線13の長手方向(X軸方向)に移動可能に、糸14で基材11に接続される。図2(a)に示す例では、12個の糸14が、導電弾性体12と被覆付き銅線13とが重なる位置以外の位置において、被覆付き銅線13を基材11に接続している。糸14は、導電性を有する材料により構成され、たとえば、繊維とその中に分散した導電性の金属材料から構成される。糸14に用いられる導電性の金属材料は、たとえば銀である。
図2(b)は、図1(b)の構造体に設置された基材15を模式的に示す斜視図である。
図2(a)に示した構造体の上方から、図2(b)に示すように、基材15が設置される。基材15は、絶縁性の部材である。基材15は、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、およびポリイミド等からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂材料である。基材15は、X-Y平面に平行な平板形状を有し、X-Y平面における基材15の大きさは、基材11と同様である。基材15の四隅の頂点が基材11の四隅の頂点に対して、シリコーンゴム系接着剤や糸などで接続されることにより、基材15が基材11に対して固定される。こうして、図2(b)に示すように、荷重センサ1が完成する。
図3(a)、(b)は、X軸負方向に見た場合の被覆付き銅線13の周辺を模式的に示す断面図である。図3(a)は、荷重が加えられていない状態を示し、図3(b)は、荷重が加えられている状態を示している。
図3(a)に示すように、被覆付き銅線13は、銅線13aと、銅線13aを被覆する誘電体13bと、により構成される。銅線13aは、銅により構成されており、銅線13aの直径は、たとえば、約60μmである。誘電体13bは、電気絶縁性を有し、たとえば、樹脂材料、セラミック材料、金属酸化物材料などにより構成される。誘電体13bは、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂(たとえば、ポリエチレンテレフテレート樹脂)、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂などからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂材料でもよく、Al2O3およびTa2O5などからなる群から選択される少なくとも1種の金属酸化物材料でもよい。
図3(a)に示す領域に荷重が加えられていない場合、導電弾性体12と被覆付き銅線13との間にかかる力、および、基材15と被覆付き銅線13との間にかかる力は、ほぼゼロである。この状態から、図3(b)に示すように、基材11の下面に対して上方向に荷重が加えられ、基材15の上面に対して下方向に荷重が加えられると、被覆付き銅線13によって導電弾性体12が変形する。なお、基材11の下面または基材15の上面が静止物体に載置されて、他方の基材に対してのみ荷重が加えられた場合も、反作用により静止物体側から同様に荷重を受けることになる。
図3(b)に示すように、荷重が加えられると、被覆付き銅線13は、導電弾性体12に包まれるように導電弾性体12に近付けられ、被覆付き銅線13と導電弾性体12との間の接触面積が増加する。これにより、被覆付き銅線13内の銅線13aと導電弾性体12との間の静電容量が変化し、この領域の静電容量が検出され、この領域にかかる荷重が算出される。
図4は、Z軸負方向に見た場合の荷重センサ1を模式的に示す平面図である。図4では、便宜上、糸14および基材15の図示が省略されている。
図4に示すように、3つの導電弾性体12と3つの被覆付き銅線13とが交わる位置に、荷重に応じて静電容量が変化するセンサ部A11、A12、A13、A21、A22、A23、A31、A32、A33が形成される。各センサ部は、導電弾性体12と被覆付き銅線13を含み、被覆付き銅線13は、静電容量の他方の極(たとえば陽極)を構成し、導電弾性体12は、静電容量の一方の極(たとえば陰極)を構成する。
すなわち、被覆付き銅線13の銅線13aは、荷重センサ1(静電容量型荷重センサ)の一方の電極を構成し、導電弾性体12は、荷重センサ1(静電容量型荷重センサ)の他方の電極を構成し、被覆付き銅線13の誘電体13bは、荷重センサ1(静電容量型荷重センサ)において静電容量を規定する誘電体に対応する。この構成では、銅線13aが、特許請求の範囲に記載の「第1電極」に対応し、導電弾性体12が、特許請求の範囲に記載の「第2電極」に対応し、誘電体13bが、特許請求の範囲に記載の「誘電体」に対応する。
各センサ部に対してZ軸方向に荷重が加わると、荷重により被覆付き銅線13が導電弾性体12に包み込まれる。これにより、被覆付き銅線13と導電弾性体12との間の接触面積が変化し、当該被覆付き銅線13と当該導電弾性体12との間の静電容量が変化する。被覆付き銅線13のX軸負側の端部およびケーブル12aのY軸負側の端部は、図5を参照して後述する検出回路2に接続されている。
図4に示すように、3つの被覆付き銅線13をラインL11、L12、L13と称し、3つの導電弾性体12から引き出されたケーブル12aをラインL21、L22、L23と称する。ラインL11がラインL21、L22、L23に接続された導電弾性体12と交わる位置が、それぞれ、センサ部A11、A12、A13であり、ラインL12がラインL21、L22、L23に接続された導電弾性体12と交わる位置が、それぞれ、センサ部A21、A22、A23であり、ラインL13がラインL21、L22、L23に接続された導電弾性体12と交わる位置が、それぞれ、センサ部A31、A32、A33である。
センサ部A11に対して荷重が加えられると、センサ部A11において導電弾性体12と被覆付き銅線13との接触面積が増加する。したがって、ラインL11とラインL21との間の静電容量を検出することにより、センサ部A11において加えられた荷重を算出することができる。同様に、他のセンサ部においても、当該他のセンサ部において交わる2つのライン間の静電容量を検出することにより、当該他のセンサ部において加えられた荷重を算出することができる。
次に、荷重検出装置3の構成について説明する。
図5は、荷重検出装置3の回路構成を示す図である。荷重検出装置3は、上記のような荷重センサ1と、荷重センサ1に電気的に接続された検出回路2と、を備える。図5において、便宜上、荷重センサ1については、被覆付き銅線13と導電弾性体12のみが図示されており、導電弾性体12は、線状に図示されている。また、図5においては、被覆付き銅線13と導電弾性体12の数は、図1(a)~図4に示した例とは異なり、いずれも4個である。
検出回路2は、デジタル制御部21と、抵抗22と、切替部23と、電圧計測部24と、スイッチ31と、抵抗32と、を備える。検出回路2は、荷重センサ1に対し、被覆付き銅線13と導電弾性体12との交差位置における静電容量の変化を検出するための検出回路である。
デジタル制御部21は、演算処理回路とメモリを備え、たとえばFPGAやMPUにより構成される。デジタル制御部21は、信号線を介して、抵抗22と、切替部23と、電圧計測部24とに接続されている。また、デジタル制御部21は、4個の導電弾性体12に対してケーブル12a(図2(b)参照)を介して接続されている。
デジタル制御部21は、抵抗22を介して矩形の電圧信号(以下、「矩形電圧」と称する)を供給ラインL1に出力する。供給ラインL1は、抵抗22の下流側端子に接続されており、被覆付き銅線13の銅線13a(図3(a)、(b)参照)に矩形電圧を供給する。デジタル制御部21により回路に出力された矩形電圧は、抵抗22と荷重センサ1のセンサ部とにより形成されるRC回路に印加される。供給ラインL1には、切替部23と電圧計測部24が接続されている。
切替部23は、デジタル制御部21の制御により、供給ラインL1を、被覆付き銅線13の銅線13aに対して、接続および非接続の何れかに選択的に切り替える。具体的には、切替部23は、4個のマルチプレクサ23aを備えている。4個のマルチプレクサ23aは、それぞれ、4個の被覆付き銅線13(銅線13a)に対応して設けられている。各マルチプレクサ23aの出力側端子に、被覆付き銅線13の銅線13aが接続されている。各マルチプレクサ23aの入力側端子は2つ設けられている。一方の入力側端子に供給ラインL1が接続されており、この入力側端子に、供給ラインL1および抵抗22を介して、デジタル制御部21から矩形電圧が印加される。マルチプレクサ23aの他方の入力側端子には何も接続されていない。
デジタル制御部21は、4個の導電弾性体12に対して個別に矩形の電圧信号(以下、「デジタル信号」と称する)を印加する。すなわち、4個の導電弾性体12には、デジタル制御部21の基板から、抵抗等のアナログ回路を介さずに直接的にデジタル信号が印加される。
電圧計測部24は、供給ラインL1の電位、すなわち、供給ラインL1とグランドとの電位差を測定し、デジタル制御部21に出力する。
スイッチ31および抵抗32は、供給ラインL1とグランドとの間に設置されている。スイッチ31は、デジタル制御部21の制御により、供給ラインL1を、抵抗32を介してグランドに対して接続および非接続の何れかに選択的に切り替える。
デジタル制御部21は、被覆付き銅線13の銅線13aに印加する矩形電圧の電圧値および印加タイミングと、導電弾性体12に印加するデジタル信号の電圧値および印加タイミングと、切替部23の切り替えタイミングと、スイッチ31の切り替えタイミングと、を制御する。デジタル制御部21は、電圧計測部24により測定された供給ラインL1の電位に基づいて、対象となるセンサ部にかかる荷重を算出する。
次に、荷重検出時のデジタル制御部21の制御について説明する。
荷重検出装置3が起動すると、デジタル制御部21は、たとえば以下に示すように、被覆付き銅線13と導電弾性体12との交差位置(図5の場合は16箇所)におけるセンサ部の静電容量を順に測定し、各センサ部にかかる荷重を算出する。
たとえば、図5において最も上の被覆付き銅線13と最も左の導電弾性体12とが交わる位置のセンサ部A11について荷重の測定を行う場合について説明する。
デジタル制御部21は、センサ部A11について測定を開始すると、測定対象のセンサ部A11の電極を構成する被覆付き銅線13の銅線13a(図3(a)、(b)参照)に接続されたマルチプレクサ23aが供給ラインL1に接続されるよう、このマルチプレクサ23aの切り替えを行う。また、デジタル制御部21は、他の3個のマルチプレクサ23aが供給ラインL1に対して非接続となるよう、他の3個のマルチプレクサ23aの切り替えを行う。また、デジタル制御部21は、スイッチ31を非接続状態に設定する。
続いて、デジタル制御部21は、測定対象のセンサ部A11を構成する導電弾性体12にローレベルのデジタル信号を印加し、測定対象以外のセンサ部を構成する他の3個の導電弾性体12にハイレベルのデジタル信号を印加する。実施形態1において、ローレベルのデジタル信号は、グランドレベルの電圧すなわち0Vであり、ハイレベルのデジタル信号は、矩形電圧に等しい。そして、デジタル制御部21は、抵抗22を介して、デジタル信号の印加と同時に矩形電圧を出力させる。
図6は、センサ部A11が測定対象となっている場合に、矩形電圧およびデジタル信号の印加が開始された後の状態を模式的に示す回路図である。図6において、太線は、供給ラインL1の電位と等電位の部分を示しており、二重線は、デジタル制御部21と抵抗22との間の電位と等電位の部分を示している。
図6に示すように、矩形電圧およびデジタル信号の印加が開始されると、測定対象のセンサ部A11に、抵抗22を介して矩形電圧が印加され、測定対象のセンサ部A11に電荷がチャージされる。これに伴い、抵抗22の抵抗値Rと、荷重に応じたセンサ部A11の容量とで規定される時定数により、センサ部A11の電位が上昇する。この電位は、供給ラインL1の電位に反映される。そして、この電位は、電圧計測部24により測定されて、デジタル制御部21に出力される。
デジタル制御部21は、矩形電圧の印加期間の所定のタイミングにおいて、電圧計測部24の測定電圧を参照し、この測定電圧と上記時定数および矩形電圧の電圧値とに基づいて、測定対象のセンサ部A11の静電容量Cを算出する。そして、デジタル制御部21は、静電容量Cに基づいて、センサ部A11にかかる荷重を算出する。
このとき、測定対象のセンサ部A11と同じ行(同じ被覆付き銅線13)の他のセンサ部A12~A14には、陰極側にデジタル制御部21からのハイレベルのデジタル信号が印加されるため、陽極の電位と陰極の電位とが近付けられる。よって、他のセンサ部A12~A14に電荷が貯まることが抑制されるため、測定対象のセンサ部A11に適切に電荷が貯まり、センサ部A11の電圧を精度良く計測できる。
なお、測定対象のセンサ部A11と同じ行(同じ被覆付き銅線13)にはない他の12個のセンサ部は、陽極が供給ラインL1から切り離されているため、これら他のセンサ部に貯まった電荷が、電圧計測部24におけるセンサ部A11の電位の測定に影響を及ぼすことはない。
デジタル制御部21は、測定対象のセンサ部A11に対して荷重を算出すると、矩形電圧の印加を停止する。こうして1つのセンサ部における荷重の測定が終了する。その後、デジタル制御部21は、全ての導電弾性体12に対してローレベルのデジタル信号を印加し、スイッチ31を接続状態に設定する。これにより、各センサ部に貯まった電荷が放電される。
図7は、放電が行われる状態を模式的に示す回路図である。
図6の状態から、矩形電圧の印加が停止され、導電弾性体12にローレベルのデジタル信号が印加されることにより、全てのセンサ部がグランドに接続された状態と等しい状態になる。これにより、全てのセンサ部に貯まった電荷が放電される。また、スイッチ31が接続状態に設定されることにより、測定対象とされたセンサ部A11が位置する被覆付き銅線13の銅線13aが、供給ラインL1および抵抗32を介してグランドに接続される。これにより、導電弾性体12の放電に加えて、被覆付き銅線13の放電も行われるため、さらに短時間で電荷を放電することができる。
その後、デジタル制御部21は、次のセンサ部の荷重を測定するために、スイッチ31を非接続状態に設定し、次の測定対象のセンサ部の位置に応じて、マルチプレクサ23aの接続状態を設定し、各導電弾性体12に対してハイレベルまたはローレベルのデジタル信号を印加する。また、デジタル制御部21は、デジタル信号の印加と同時に、矩形電圧の印加を開始する。こうして、デジタル制御部21は、各センサ部の静電容量を順に測定し、各センサ部にかかる荷重を算出する。
上記のように、検出回路2によれば、測定対象のセンサ部と同じ行にある他のセンサ部を構成する導電弾性体12に対して、デジタル制御部21からハイレベルのデジタル信号が印加される。これにより、他のセンサ部において意図しない電荷が貯まることを抑制できる。このように他のセンサ部を構成する導電弾性体12に対してハイレベルのデジタル信号が供給されると、導電弾性体12ごとに、電圧の印加および非印加を切り替えるアナログスイッチ(マルチプレクサ等)を設ける必要がない。このことについて、図8の比較例1の回路構成を参照して説明する。
図8は、比較例1の荷重検出装置5の回路構成を示す図である。
荷重検出装置5は、実施形態1と同様の荷重センサ1と、荷重センサ1に電気的に接続された検出回路4と、を備える。比較例1の検出回路4には、図5に示した実施形態1の検出回路2と比較して、等電位生成部25と、他の切替部26と、が追加されている。
等電位生成部25は、オペアンプであり、供給ラインL1の電位と等電位の電圧を他の供給ラインL2に出力する。他の切替部26は、4つのマルチプレクサ26aを備えている。各マルチプレクサ26aは、それぞれ、4個の導電弾性体12に対応して設けられている。各マルチプレクサ26aの出力側端子に、ケーブル12a(図2(b)参照)を介して導電弾性体12が接続されている。各マルチプレクサ26aの入力側端子は2つ設けられている。一方の入力側端子にグランドが接続されており、他方の入力側端子に他の供給ラインL2が接続されている。
たとえば、図8において最も上の被覆付き銅線13と最も左の導電弾性体12とが交わる位置のセンサ部A11について荷重の測定を行う場合について説明する。
デジタル制御部21は、センサ部A11について測定を開始すると、実施形態1の場合と同様、測定対象のセンサ部A11の電極を構成する被覆付き銅線13の銅線13a(図3(a)、(b)参照))が供給ラインL1に接続され、他の被覆付き銅線13の銅線13aが供給ラインL1に対して非接続となるよう、各マルチプレクサ23aの切り替えを行う。また、デジタル制御部21は、測定対象のセンサ部A11の電極を構成する導電弾性体12がグランドに接続され、他の3個の導電弾性体12が他の供給ラインL2に接続されるよう、各マルチプレクサ26aの切り替えを行う。また、デジタル制御部21は、スイッチ31を非接続状態に設定する。
その後、デジタル制御部21は、抵抗22を介して、矩形電圧を出力する。このとき、等電位生成部25により生成された供給ラインL1と等電位の電圧が、他の供給ラインL2を介して、センサ部A12~A14を構成する他の3個の導電弾性体12に印加される。この状態で電圧計測部24により測定された電圧がデジタル制御部21に出力され、荷重が算出される。しかる後、矩形電圧の印加が停止される。そして、全ての導電弾性体12がグランドに繋がるように各マルチプレクサ26aが切り替えられ、スイッチ31が接続状態に設定され、全てのセンサ部に貯まった電荷が放電される。
比較例1によれば、測定対象のセンサ部と同じ行にある他のセンサ部において、陽極側の電位(供給ラインL1の電位)と、陰極側の電位(他の供給ラインL2の電位)とを同じ電位に設定できるため、他のセンサ部において電荷が貯まることを抑制できる。しかしながら、比較例1では、実施形態1に比べて等電位生成部25と他の切替部26を設ける必要があり、回路構成が複雑になってしまう。これに対し、実施形態1では、4つの導電弾性体12に対してデジタル制御部21からデジタル信号が印加されるため、電圧の印加および非印加を切り替える他の切替部26(4つのマルチプレクサ26a)や、陰極側の電位を設定する等電位生成部25を設ける必要がない。
次に、発明者らは、上記実施形態1と、理想的な電圧変化を生じる比較例2とにおいて、電圧変化のシミュレーションを行った。
以下のシミュレーションにおいて、実施形態1では、荷重センサ1の行列を3×3とした。すなわち、実施形態1では、3個の被覆付き銅線13および3個の導電弾性体12を配置した。比較例2では、実施形態1と比較して、荷重センサ1の行列を1×1とした。すなわち、比較例2では、1個の被覆付き銅線13および1個の導電弾性体12のみを配置し、導電弾性体12には常にローレベルのデジタル信号を印加した。
また、以下のシミュレーションにおいて、荷重が加えられていないとき(無荷重状態)および低荷重が加えられているときのセンサ部の容量を10pFとし、高荷重が加えられているときのセンサ部の容量を100pFとした。抵抗22の抵抗値を220kΩとし、回路全体に含まれる寄生容量を70pFとした。矩形電圧を3.3Vとした。実施形態1のデジタル制御部21から導電弾性体12に印加されるハイレベルのデジタル信号を3.3Vとした。
図9(a)、(b)は、それぞれ、測定対象となるセンサ部に低荷重および高荷重を加えた状態で、電圧計測部24により取得される供給ラインL1の電位(測定電圧)をシミュレーションにより算出した結果である。
図9(a)、(b)には、矩形電圧が点線で示され、実施形態1においてデジタル制御部21から出力されるハイレベルのデジタル信号が細い実線で示され、実施形態1において測定される抵抗22の下流側の測定電圧が太い実線で示され、比較例2において測定される抵抗22の下流側の測定電圧が破線で示されている。なお、図9(a)、(b)では、矩形電圧とデジタル信号は完全に一致している。
本シミュレーションでは、10μ秒が経過したときに、矩形電圧とハイレベルのデジタル信号の印加を開始した。このとき、比較例2では、測定対象のセンサ部と同じ行(被覆付き銅線13の銅線13a)に他のセンサ部がないため、他のセンサ部の影響を受けることなく、10μ秒後から滑らかに測定電圧が上昇した。
一方、実施形態1では、測定対象のセンサ部と同じ行に2つの他のセンサ部があるため、他のセンサ部の影響を受けて10μ秒後に電圧が一段高くなるものの、その後、比較例2よりも小さい傾きで滑らかに測定電圧が上昇した。このように、実施形態1の測定電圧は、低荷重と高荷重の何れの場合も、理想的な電圧変化を生じる比較例2の測定電圧に沿った形状となった。したがって、たとえば、50μ秒付近の読取時間Trにおいて測定電圧を読み取ることにより、実施形態1においても適正な測定電圧を取得できることが分かった。
<実施形態の効果>
以上、実施形態によれば、以下の効果が奏される。
被覆付き銅線13の銅線13aと導電弾性体12の交差位置のうち、測定対象以外の交差位置の導電弾性体12に、デジタル制御部21からデジタル信号(ハイレベルの電圧信号)を印加することにより、これら交差位置に電荷が貯まることを抑制できる。よって、測定対象の交差位置の静電容量に応じた電圧を適切に測定できる。ここで、測定対象以外の交差位置の導電弾性体12には、デジタル制御により所定の電圧レベルの信号(ハイレベルのデジタル信号)が供給されるため、図8に示した比較例1のように、導電弾性体12ごとに、電圧の印加および非印加を切り替えるアナログスイッチ(マルチプレクサ26a等)や、導電弾性体12に供給ラインL1と同等の電圧を印加するための等電位生成部25を設ける必要がない。よって、回路構成が複雑になることを抑制し、回路構成の簡素化とコストの低減を図ることができる。
デジタル制御部21は、矩形電圧と等しい電圧レベルにデジタル信号(ハイレベルの電圧信号)を設定する。これにより、図9(a)、(b)に示したように、供給ラインL1に生じる電位(実施形態1の測定電圧)を理想的な電圧変化(比較例2の測定電圧の変化)に近付けることができるため、精度よく荷重を測定することができる。なお、矩形電圧とデジタル制御部21が印加するハイレベルのデジタル信号とは完全に一致してなくてもよく、実質的に等しいレベルであればよい。
デジタル制御部21は、矩形電圧の出力開始タイミングと同じタイミングで、ハイレベルのデジタル信号の印加を開始する。これにより、これにより、図9(a)、(b)に示したように、供給ラインL1に生じる電位(実施形態1の測定電圧)を理想的な電圧変化(比較例2の測定電圧の変化)に近付けることができるため、精度よく荷重を測定することができる。なお、矩形電圧の出力開始タイミングと、デジタル制御部21がハイレベルのデジタル信号の印加を開始するタイミングとは完全に一致してなくてもよく、実質的に等しいタイミングであればよい。
複数の被覆付き銅線13(銅線13a)が導電弾性体12の延びる方向に沿って並んで配置されており、導電弾性体12は、銅線13aに対し、誘電体13bを介して交差している。また、切替部23は、供給ラインL1を各銅線13aに対して接続および非接続の何れかに選択的に切り替える。これにより、マトリクス状に配置された交差位置の荷重(センサ部にかかる荷重)を測定することができる。
<実施形態2>
上記実施形態1では、図9(a)、(b)に示したように、デジタル制御部21が導電弾性体12に印加するハイレベルのデジタル信号は、矩形電圧と等しく設定された。これに対し、実施形態2では、デジタル制御部21が導電弾性体12に印加するハイレベルのデジタル信号は、矩形電圧よりも低く設定される。
図10(a)、(b)は、それぞれ、実施形態2に係る、測定対象となるセンサ部に低荷重および高荷重を加えた状態で、電圧計測部24により取得される供給ラインL1の電位(測定電圧)をシミュレーションにより算出した結果である。
図10(a)、(b)に示すように、ハイレベルのデジタル信号は、矩形電圧に比べて低く、1V程度に設定されたことで、図9(a)、(b)に示した実施形態1の場合と比較して、実施形態2の測定電圧の曲線は下方向に移動し、比較例2に近付けられている。特に、10μ秒における測定電圧の立ち上がりが顕著に低く抑えられている。これにより、実施形態2の測定電圧と比較例2の測定電圧との交点が、実施形態1の場合と比較して早められている。
以上のように、実施形態2によれば、デジタル制御部21は、導電弾性体12に印加するハイレベルのデジタル信号の電圧レベルが、矩形電圧よりも低く設定される。これにより、実施形態2の測定電圧と比較例2の測定電圧との交点が早められるため、供給ラインL1に生じる電位を理想的な電圧変化に早いタイミングで近付けることができる。たとえば、図10(a)、(b)の場合、低荷重および高荷重の何れの場合も、読取時間Trを18μ秒付近に設定することにより、理想的な測定電圧を取得することができる。よって、1つのセンサ部にかかる荷重の測定時間を短く設定できるため、荷重検出装置3による荷重の測定を迅速に行うことができる。
<実施形態3>
上記実施形態1では、図9(a)、(b)に示したように、デジタル制御部21が導電弾性体12にハイレベルのデジタル信号の印加を開始するタイミングは、矩形電圧の出力開始タイミングと同じに設定された。これに対し、実施形態3では、矩形電圧の出力開始タイミングから所定時間だけ遅れたタイミングで、デジタル制御部21がハイレベルのデジタル信号の印加を開始する。
図11(a)、(b)は、それぞれ、実施形態3に係る、測定対象となるセンサ部に低荷重および高荷重を加えた状態で、電圧計測部24により取得される供給ラインL1の電位(測定電圧)をシミュレーションにより算出した結果である。
図11(a)に示すように、低荷重の場合、ハイレベルのデジタル信号の印加は、矩形電圧の出力開始タイミングよりも15μ秒程度遅く開始されたことで、実施形態3の測定電圧は、図9(a)に示した実施形態1の場合と比較して、読取時間Tr付近において、さらに比較例2に近付けられている。一方、図11(b)に示すように、高荷重の場合、実施形態3の測定電圧は、図9(b)に示した実施形態1の場合と比較して、読取時間Tr付近において、やや比較例2の曲線から離れている。ただし、高荷重の場合、ハイレベルのデジタル信号の印加を遅らせる遅延時間を15μ秒よりも小さくすることで、実施形態3の測定電圧を、図9(b)に示した実施形態1の場合と比較して、読取時間Tr付近において、さらに比較例2に近付けることができる。
以上のように、実施形態3によれば、デジタル制御部21は、矩形電圧の出力開始タイミングから所定時間だけ遅れたタイミングで、導電弾性体12にハイレベルのデジタル信号の印加を開始する。これにより、供給ラインL1に生じる電圧を理想的な電圧値に顕著に漸近させることができる。
<実施形態4>
上記実施形態2では、ハイレベルのデジタル信号が、矩形電圧よりも低く設定され、上記実施形態3では、ハイレベルのデジタル信号の印加を開始するタイミングが、矩形電圧の出力開始タイミングよりも遅く設定された。
ここで、上記実施形態2のように、矩形電圧の出力開始タイミングと同じタイミングで、矩形電圧よりも低い電圧レベルのデジタル信号(ハイレベルのデジタル信号)の印加を開始する動作モードを「第1モード」と称する。また、上記実施形態3のように、矩形電圧の出力開始タイミングから所定時間だけ遅れたタイミングで、矩形電圧と等しい電圧レベルのデジタル信号(ハイレベルのデジタル信号)の印加を開始する動作モードを「第2モード」と称する。実施形態4では、上記のような2つの動作モードが状況に応じて切り替えられる。
図12は、実施形態4の動作モードの切り替えを示すフローチャートである。
荷重検出装置3が起動すると、デジタル制御部21は、動作モードを第1モードに設定する(S11)。これにより、上記実施形態2のように、ハイレベルのデジタル信号が、矩形電圧よりも低く設定される。続いて、デジタル制御部21は、各センサ部にかかる荷重に基づいて、荷重の変動頻度を取得する(S12)。S12において、デジタル制御部21は、たとえば、センサ部ごとに、一定の時間内に所定の閾値以上の荷重変動が何回生じたかをカウントし、各センサ部のカウント数を平均した値を、荷重の変動頻度として取得する。
続いて、デジタル制御部21は、S12で取得した荷重の変動頻度が閾値Th1より大きいか否かを判定する(S13)。荷重の変動頻度が閾値Th1より大きい場合(S13:YES)、デジタル制御部21は、処理をS11に戻して第1モードを維持する。
他方、荷重の変動頻度が閾値Th1以下である場合(S13:NO)、デジタル制御部21は、動作モードを第2モードに設定する(S14)。続いて、デジタル制御部21は、各センサ部にかかる荷重に基づいて、各センサ部が検出した荷重の合計である総荷重と、S12と同様の荷重の変動頻度とを取得する(S15)。なお、S15において、総荷重に代えて、各センサ部が検出した荷重の平均が取得されてもよい。
続いて、デジタル制御部21は、S15で取得した総荷重が閾値Th2より大きいか否かを判定する(S16)。総荷重が閾値Th2以下である場合(S16:NO)、デジタル制御部21は、ハイレベルのデジタル信号を導電弾性体12に印加するタイミングを、第1タイミングに設定する(S17)。第1タイミングは、たとえば、図11(a)の場合、30μ秒に設定される。他方、総荷重が閾値Th2より大きい場合(S16:YES)、デジタル制御部21は、ハイレベルのデジタル信号を導電弾性体12に印加するタイミングを、第1タイミングよりも早く矩形電圧の出力開始タイミングよりも遅いタイミングに設定する(S18)。
続いて、デジタル制御部21は、S15で取得した荷重の変動頻度が閾値Th1より大きいか否かを判定する(S19)。荷重の変動頻度が閾値Th1より大きい場合(S19:YES)、デジタル制御部21は、処理をS11に戻して動作モードを第1モードに変更する。他方、荷重の変動頻度が閾値Th1以下である場合(S19:NO)、デジタル制御部21は、処理をS14に戻して第2モードを維持する。
以上のように、実施形態4によれば、荷重の変動周期や、荷重の大小に応じて、第1モードと第2モードとを選択的に切り替えることにより、荷重の測定精度を高めることができる。
すなわち、荷重の変動頻度が大きい場合には第1モードに設定されるため、図10(a)、(b)に示したように、読取時間Trを早めたとしても測定電圧を精度よく取得できる。これにより、読取時間Trを早めて荷重の変動に合わせた迅速な荷重測定を行うことができるとともに、荷重の測定精度を高めることができる。
また、上記実施形態3で説明したように、ハイレベルのデジタル信号の開始タイミングが矩形電圧の開始タイミングに対して比較的大きく遅れる場合(図11(a)のような場合)、低荷重を精度よく測定できる。一方、ハイレベルのデジタル信号の開始タイミングが矩形電圧の開始タイミングに対して小さく遅れている場合、高荷重を精度よく測定できる。そして、実施形態4によれば、総荷重が閾値Th2以下である場合にハイレベルのデジタル信号の印加タイミングを第1タイミングに設定し、総荷重が閾値Th2より大きい場合にハイレベルのデジタル信号の印加タイミングを第2タイミングに設定する。したがって、実施形態4によれば、荷重に応じてハイレベルのデジタル信号の印加タイミングが設定されるため、荷重の大きさに応じて荷重をより精度良く測定できる。
なお、ハイレベルのデジタル信号を印加するタイミングは、矩形電圧の出力開始タイミングに対して、同じタイミング、第1タイミング、および第2タイミングにする3種類の設定が考えられ、また、ハイレベルのデジタル信号のレベルは、矩形電圧に対して、同じレベルおよび低いレベルの2種類の設定が考えられる。したがって、これらを適宜組み合わせることにより、デジタル制御部21は、6種類の動作モードを備えていてもよい。
また、実施形態4では、荷重の変動周期や荷重の大小に応じて自動的に動作モードが切り替えられたが、ユーザが、荷重の変動頻度や荷重の大小を考慮して、ボタン等の操作部を介して動作モードを選択してもよい。
<変更例>
荷重センサ1、検出回路2および荷重検出装置3の構成は、上記実施形態に示した構成以外に、種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施形態において、荷重センサ1は、複数の被覆付き銅線13を備えたが、少なくとも1つ以上の被覆付き銅線13を備えればよい。たとえば、荷重センサ1に備えられる被覆付き銅線13は、1つでもよい。
また、上記実施形態において、切替部23は、4つのマルチプレクサ23aを備えたが、切替部23の構成はこれに限らない。たとえば、切替部23は、1つのデマルチプレクサのみを備えてもよい。
図13は、この場合の変更例に係る、荷重検出装置3の回路構成を示す図である。
切替部23は、1つのデマルチプレクサ23bを備えている。デマルチプレクサ23bの入力側端子は1つ設けられており、この入力側端子に供給ラインL1が接続される。デマルチプレクサ23bの出力側端子は4つ設けられており、4つの出力側端子にそれぞれ被覆付き銅線13の銅線13a(図3(a)、(b)参照)が接続される。
このように切替部23がデマルチプレクサ23bにより構成される場合も、上記実施形態と同様、供給ラインL1を、被覆付き銅線13の銅線13aに対して、接続および非接続の何れかに選択的に切り替えることができる。また、切替部23がデマルチプレクサ23bにより構成されるため、切替部23の構成を簡素化できる。
また、上記実施形態において、被覆付き銅線13に代えて、銅以外の物質からなる線状の導電部材と、当該導電部材を被覆する誘電体と、により構成された電極が用いられてもよい。この場合の電極の導電部材は、たとえば、金属体、ガラス体およびその表面に形成された導電層、樹脂体およびその表面に形成された導電層などにより構成される。
また、上記実施形態において、荷重センサ1の構成は、必ずしも、被覆付き銅線13と導電弾性体12とを組み合わせた構成でなくてもよく、たとえば、上下の電極の間に伸縮性の誘電体が挟まれた構成であってもよい。
また、上記実施形態において、被覆付き銅線13の銅線13aは、切替部23(4個のマルチプレクサ23a)によって、供給ラインL1に対して接続および非接続の何れかに選択的に切り替えられた。しかしながら、切替部23はマルチプレクサによって構成されなくてもよく、マルチプレクサ以外の切替回路により構成されてもよい。
また、上記実施形態では、デジタル制御部21が抵抗22を介して矩形電圧を供給ラインL1に出力したが、直流電源からの電圧を抵抗22に対して供給するためのスイッチをデジタル制御部21が制御することにより、抵抗22を介して供給ラインL1に矩形電圧が供給される構成であってもよい。
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。