(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る薬服用管理システムを前記図1ないし図16に基づいて説明する。本実施形態においては、使用者の服用時間にのみ使用者に対する薬の送出を行って使用者が薬を入手できるようにする装置を用いて、薬の服用管理等を実行するシステムの例について説明する。
前記各図において本実施形態に係る薬服用管理システム1は、使用者の服用対象の薬を内部に収め、あらかじめ設定された薬の服用時間における使用者の薬を入手しようとする動作に応じて、使用者の服用対象の薬50を入手可能な状態とする薬服用管理装置10と、この薬服用管理装置10からの情報をネットワーク100を介して受け取り、情報を記録し管理する管理部としての管理サーバ90とを備える構成である。
この薬服用管理システム1における薬服用管理装置10は、使用者の家など薬の服用を実際に行う場所に、一又は複数種類の薬を所定量収めた状態で設けられるものである。
詳細には、薬服用管理装置10は、使用者の服用対象の薬を収納する収納部11と、この収納部11に収納された薬を入手しようとする使用者の所定動作を検出する動作検出部12と、収納部11に収納された薬の中から、使用者による入手のために収納部11の外に出た薬の種類と量に係る情報を検出する薬検出部13と、収納部11に収納された薬の種類、薬の服用時間、及び服用量を示す情報をあらかじめ取得し、所定の薬の服用時間における動作検出部12による使用者の前記所定動作の検出に応じて、収納部11に収納された前記所定の薬の所定量が収納部11の外に出るのを許可する制御部14と、動作検出部12での前記所定動作の検出時点に係る第1の情報、及び、薬検出部13で検出された薬の種類及び量に係る第2の情報を、所定の通信相手に向けて送信する通信部15と、制御部14で収納部11の外に出るのを許可された薬を、収納部11から使用者が入手可能な位置まで搬出する薬供給部16とを備える構成である。
この他、薬服用管理装置10には、動作検出部12、薬検出部13、制御部14、及び、通信部15に電力を供給する電源として、内蔵される電池又は薬服用管理装置10に直接若しくはACアダプタ等を介して接続される商用電源が用いられる構成である。
この薬服用管理装置10は、最外部の筐体18内に、前記収納部11、動作検出部12、薬検出部13、制御部14、通信部15、及び、薬供給部16を収めた構成とされる。この薬服用管理装置10の下部には、使用者が手を差し入れられる程度の大きさの空間部10aが設けられており、また、この空間部10aの上方となる薬服用管理装置10の筐体所定箇所には、薬供給部16で搬出された薬を空間部10a側へ出すための開口部である送出口19が設けられる。薬服用管理装置10の空間部10aに使用者が手を差し入れると、薬供給部16で搬出された薬が送出口19を通って空間部側に送出され、ちょうど空間部10aに位置する使用者の手の上に落下して、使用者は薬を受け取って入手することができる仕組みとなっている。
前記薬50は、使用者が服用可能な錠剤やカプセル剤をそのままの状態で、又は、錠剤やカプセル剤、顆粒、粉末の形態のものをパッケージ51内に収めた状態で、薬服用管理装置10の収納部11に収納されて使用者による服用を管理される、公知の医薬品やサプリメント等の補助食品である。
薬50をパッケージ51に収めたものとする場合、そのパッケージ51は収納部11に効率的に収められるようにした薬服用管理装置10専用のものとすることもできる。その場合、あらかじめ所定の服用時間における薬の一回の服用分を一つのパッケージにまとめたものとすることもでき、薬の送出が行いやすく都合がよい。
薬のパッケージ51は、錠剤やカプセル剤である薬50を一又は所定数ずつ小分けにして収めるブリスターパックや、顆粒や粉末である薬50を1回の服用分ごとに包装した袋等とされる。
このパッケージ51は、薬の種類や量を識別可能とする情報を付与されたものとされる。詳細には、パッケージ51に、薬50を識別可能な所定の情報を読み取り可能又は読み書き可能として記録された無線タグ等の情報記録部52が、例えばパッケージ51の平坦面等への貼り付けやパッケージ51への埋め込み等により、設けられる(図5参照)。
なお、こうしたパッケージ51への薬を識別するための情報の付与手段として、RFID技術を利用した無線タグを用いる他に、磁気的に識別用情報を記録された磁性材料を用いたタグをパッケージ51と一体に設ける構成とすることもできる。また、パッケージ51と一体化されるタグを用いる構成の他に、パッケージ51に付与された外観上の特徴点、例えば、パッケージ表面に撮像又はスキャン可能に配設された、薬の種類ごとに特有な、バーコードや二次元コード等の識別用コード、文字や数字等の識別用符号、薬やパッケージ51の一部又は全体の特徴的形状や絵柄などを、薬の識別のために用いることができる。
前記収納部11は、薬服用管理装置10の筐体18内に設けられ、使用者の服用対象の薬50を、通常は人が容易に取り出せない状態として、種類ごとにそれぞれ収納するものである。収納部11近傍となる薬服用管理装置10の筐体18の一部は開閉可能とされており、開放状態で外部から収納部11に薬を補充できる。
収納部11に収められた薬50は、その薬の服用時間ごとに順次収納部11から所定量ずつ薬供給部16により搬出され、薬服用管理装置10に設けられた送出口19に達し、この送出口19から外部に送出される仕組みである。
前記動作検出部12は、収納部11に収納された薬を入手しようとする使用者の所定動作、例えば、薬服用管理装置10に設けられた入手用のスイッチの操作に係る動作や、収納部11から薬を搬出する薬供給部16の近傍に薬を受け取るために手を差し出す動作など、を検出するものである。
詳細には、動作検出部12は、薬服用管理装置10における空間部10aに面する箇所に設けられ、使用者が薬を入手するために薬供給部16の近傍となる薬服用管理装置10の空間部10aへ手を差し出し、手の一部を空間部10aに入れた際に、手の存在を感知可能なセンサとされるものである。これにより、動作検出部12は、使用者が薬50を入手しようとして空間部10aへ手を差し出す動作を検出することができる。
こうした薬を入手しようとする使用者の動作を検出するセンサとしては、焦電効果を利用したもの、光や超音波の反射を検出するもの、光の進行経路が妨げられた状態を検出するものなど、この種の手などの動きを検出する目的に用いられる公知のセンサを使用できる。
また、動作検知部12が、薬を入手するために薬服用管理装置10の空間部10aに使用者の手を入れる動作を検出すると、制御部14でその検出時間(時刻)が取得され、この時間に係る情報が第1の情報として、通信部15を経て管理サーバ90に送られる。
この他、動作検出部は、薬の入手に際し使用者に操作される所定のスイッチとして設けられて、使用者の薬を入手しようとする動作としての使用者のスイッチ操作を、スイッチの状態変化により検出する仕組みとすることもできる。
前記薬検出部13は、収納部11に収納された薬のうち、薬の服用時間が到来して収納部11の外に出ることが許可され、薬供給部16による搬出で収納部11の外に出た、一部の薬50の種類と量に係る情報を検出するものである。
この薬検出部13は、収納部11から薬服用管理装置10の送出口19に至る薬供給部16の薬搬出経路における所定位置の近傍に設けられ、前記一部の薬について、その種類と量に係る情報を、薬が薬供給部16により収納部11の外に出て、薬供給部16近傍の空間部10aに差し出された使用者の手の上に送出される間に、検出することとなる。
より詳細には、収納部11から搬出される薬50又は薬を包装するパッケージ51から、この薬を識別可能とする情報を検出する。
薬検出部13は、薬がパッケージ51内に収められたものの場合には、パッケージ51の情報記録部52から、これに記録された薬識別用の情報を読み取ることで、前記一部の薬の種類を少なくとも検出する。
この場合、薬50がそのパッケージ51ごと収納部11から搬出され、パッケージ51から薬50が取り出される過程で、薬のパッケージ51に埋め込まれた情報記録部52がそのパッケージ51の搬出経路近傍に設けられた薬検出部13の検出範囲に入ることで、記録された情報を読み取って薬の種類と数に係る情報として検出できることとなる。薬検出部13が薬のパッケージ51に設けられた情報記録部52から情報を検出する仕組みは、RFID技術によりタグの情報を読み取る公知のリーダと同様のものであり、詳細な説明を省略する。
この薬検出部13は、通信部15と電気的に接続されて情報をやり取り可能とされており、検出した薬50の種類と量に係る情報を第2の情報として通信部15を通じて外部に送信される仕組みである。
この他、薬50のパッケージ51が収納部11から搬出され、開封されて薬が取り出される際に、パッケージ51に埋め込まれた情報記録部(タグ)52の状態が変化して、情報記録部52の検出に係る状況も変化することを利用して、複数の情報記録部52が検知範囲に存在するような離れた場所からも情報記録部52の検出状況に係る情報に基づいて、薬検出部13で薬50の種類と量に係る情報の検出を行える仕組みとすることもできる。
この場合の情報記録部の状態変化としては、例えば、パッケージ51から薬が取り出される際に、パッケージ51の一部が破断又は切断されてパッケージ51が開封されるのと同時に、パッケージ51と一体化された無線タグの電子回路の一部配線も合わせて切断されるようにし、この一部配線がアンテナ回路を短絡するものであったためにアンテナが機能する状態に移行する仕組みや、前記一部配線がアンテナ回路の一部を構成するものであったためにアンテナが機能しない状態に移行する仕組み、また、前記一部配線が切断されると回路のインピーダンスが変化してこの情報記録部(タグ)との通信において検出可能な程度の影響を生じさせる仕組み、などを利用することができる。
また、薬検出部13としては、パッケージ51に付与された所定の情報記録部(タグ)52が搬出経路近傍のリーダの検出範囲を通るのに伴って、情報記録部52から薬の種類を検出する一方、パッケージ51から取り出されて送出口19に向かう薬が、透過型光電センサ(レーザセンサ)の光経路を通過するのに伴って数の検出を行うなど、複数の検出手段を用いる仕組みとすることもできる。
パッケージが無い錠剤等の薬は、収納部における専用スペースに種類ごとに収められ、この専用スペースから取り出された数を、薬の通過経路近傍の薬検出部13をなすセンサで計測し、その既知の薬の服用数として検出される。
この他、薬検出部による薬の種類及び量に係る情報の検出は、例えば、薬そのもの又は薬のパッケージの、一部又は全体の撮像又はスキャンを行い、これらの一部又は全体における外観上の特徴点を、薬の種類及び量に係る情報として取得するようにして行う構成とすることもできる。この場合、具体的には、薬検出部が撮像手段とされて、薬のパッケージ51に付与された外観上の特徴点としての、バーコードや二次元コード等の識別用コードをスキャンしてそれらに含まれる情報を取得したり、パッケージ51表面に付された文字や数字等の識別用符号、あるいは薬やパッケージの一部又は全体の特徴的形状などを、撮像して画像情報として取得して、これらが送信される管理サーバ90で薬の種類及び量の識別を行えるようにすることができる。
前記制御部14は、薬の服用情報、すなわち、収納部11に収納された薬の種類、薬の服用時間、及び服用量を示す情報、を薬ごとにあらかじめ取得し、所定の薬の服用時間における、使用者の薬を入手しようとする動作を動作検出部12で検出すると、収納部11に収納された前記所定の薬のうち、この薬の服用量として定められた量が、収納部11の外に出て使用者に入手されるのを許可するものである。
一方、制御部14は、収納部11に収納された薬について、服用時間を示す情報に基づいて、服用時間以外には収納部11から外に出ない状態、すなわち、いずれの使用者も薬の入手が不可能な状態、に規制する仕組みである。
具体的には、服用時間以外に使用者がスイッチを操作したり、送出口近くの動作検出部の検出範囲に手を差し出すなどしても、薬供給部16を動かさないようにして、薬を送出させず、入手できない状態とする。すなわち、服用時間以外は、スイッチ操作を受けたり、送出口近傍で手の存在が検出されても、それらに反応して薬供給部16を作動させることがないようにする。
この制御部14と共に、使用者の個人認証用の情報を得るための情報取得部14aが、薬服用管理装置10に設けられる。
前記情報取得部14aは、個人を識別可能な指紋や虹彩等の身体的特徴情報を使用者の認証用の情報として読み取ったり、使用者の音声や顔等の撮像画像など個人を識別可能な情報の入力を受けたり、個人認証用の情報としての個人ごとに付与され暗号化された電子的情報が記録されたICカード等の記録媒体から情報を読み出し、管理サーバ90へ送信できるようにするものである。情報取得部14aの情報を読み取る機構については、公知の個人認証用の指紋や虹彩等の読み取り装置や音声等の入力装置、公知のカード情報読み取り装置等と同様のものであり、詳細な説明を省略する。
なお、情報取得部に代えて、あるいは情報取得部と共に、使用者ごとにあらかじめ設定された、個人の識別用番号(ID番号)と、これと対をなし、他人のなりすましを防ぐための暗証番号とを、個人認証用の情報として使用者に入力させる入力部を、薬服用管理装置10に設ける構成とすることもできる。
情報取得部14aに対しては、使用者が薬を入手するためには、事前に使用者が情報取得部14aに情報を取得させるよう規定される。情報取得部14aは、使用者が薬を入手しようとする直前の段階で、例えば使用者が情報取得部14aに近付けた、使用者の指紋や記録媒体等を読み取って、認証用の情報を取得する。
制御部14は、情報取得部14aにより得た認証用の情報に基づいて、薬を入手しようとする使用者があらかじめ登録された使用者であるか否かを判別可能とされる。そして、制御部14は、登録された使用者であると判定した場合のみ、服用時間に所定の薬が収納部11の外に出るのを許可することとなる。
情報取得部14aで得た情報に基づく制御部14での判定で、登録済の使用者として認定されない場合は、制御部14は服用については服用時間以外と同様に取り扱う。すなわち、登録済みでない使用者のスイッチ操作を受けたり、送出口近傍で手の存在が検出されても、それらには反応せず、薬供給部16を作動させることはない。
登録済みの使用者に対しては、制御部14は、収納部11に収納された薬のうち、所定の薬がその服用時間に至った場合に、その間に、使用者が薬を入手しようとして薬服用管理装置10の空間部10aに使用者が手を入れる動作を行って、それが動作検出部12で検出されると、この検出を受けて前記所定の薬の服用量として定められた量が収納部11の外に出るのを許可し、薬供給部16に収納部11からの薬の搬出を実行させる。薬供給部16により薬は収納部11から搬出されて使用者の手に送出され、使用者による薬の入手が実現することとなる。
前記通信部15は、動作検出部12での使用者の薬を入手しようとする所定動作の検出時点に係る第1の情報、及び、薬検出部13で検出された薬の種類及び量に係る第2の情報を、前記通信相手としての管理サーバ90に向けて送信するものである。
通信部15は、薬服用管理装置10に設けられ、動作検出部12及び薬検出部13と電気的に接続されて、動作検出部12での動作検出時点に係る第1の情報と、薬検出部13で検出された第2の情報とを受け取り可能とされてなり、必要に応じてネットワーク100に接続され、前記第1の情報と第2の情報とを送信可能とされる。
通信部15は、有線又は無線でLANやIP通信網等と接続し、これらを通じてネットワーク100に接続され、管理サーバ90との間で情報を送受信する仕組みである。通信部15をネットワークに接続する場合、その通信は、有線接続によるものの他、例えばIEEE 802.11シリーズやIEEE 802.15シリーズの規格方式等による無線通信や、いわゆるLPWANとされる各方式による省電力型の無線通信として行うことができる。
この他、通信部15は、薬を服用する使用者により用いられるスマートフォン等の所定の通信端末80と近距離通信を行い、この通信端末80を介して管理サーバ90との通信を行うようにすることもできる。この場合、通信部15は、薬服用管理装置10の所定距離以内に近付いた通信端末80との通信を可能にするものとされて、例えば、動作検出部12が使用者による薬の入手に係る動作を検出するごとに、この検出時点に係る第1の情報と、薬検出部13からの第2の情報を、一旦通信端末80に向け送信して、管理サーバ90に送る一方、通信端末80を通じて、管理サーバ90から送信される化粧品購入に係る情報等のデータを受信することとなる。こうした通信部15と通信端末80との通信は、ISO/IEC 18092等の規格方式による近距離無線通信や、例えばIEEE 802.11シリーズやIEEE 802.15シリーズの規格方式等による無線通信として行われる。
なお、通信端末80は、第1の情報及び第2の情報を管理サーバ90に送る一方で、管理サーバ90から送信される薬の購入に係る情報等のデータを受信して、使用者にそうした情報を報知することができる。
また、通信部15は、動作検出部12での使用者の薬を入手しようとする所定動作の検出時点に係る第1の情報、及び、薬検出部13で検出された薬の種類及び量に係る第2の情報を、通信相手としての管理サーバ90に向けて送信する構成としているが、これに限られるものではなく、他の通信相手として、管理サーバ90の管理者又は他者が設けた別のサーバや、所定の通信端末80に前記情報を送信するようにすることもできる。この場合、通信部15が、使用者の通う病院等のサーバ、あるいは、使用者の家族や、使用者の通う病院関係者、使用者の介護者等の通信端末80に、前記第1の情報及び第2の情報を送信するように設定しておけば、こうしたサーバや通信端末80で、管理サーバ90同様に、第1の情報から使用者の薬を服用した時間を、また、第2の情報から使用者が服用した薬の種類と量を、それぞれ取得できることとなる。これにより、使用者に関わりのある関係者が、使用者による薬の服用状態をサーバや通信端末80を通じて把握でき、例えば服用時間に薬が正しく服用されていない際には、使用者の健康状態を使用者本人に確認するなど、迅速に対応できる。
前記薬供給部16は、薬服用管理装置10に設けられ、収納部11に収納された薬50のうち、薬の服用時間の到来した一部の所定量の薬について、制御部14により収納部の外に出ることが許可されると、前記制御部14の制御に基づいて作動し、収納部11から使用者の入手可能な位置まで搬出するものである。
薬供給部16は、搬出の過程で、前記一部の薬が送出口19を通るように落下させることで、この薬供給部16近傍の空間部10aに差し出された使用者の手の上に薬を送り出し、使用者が薬を入手できるようにしている。
錠剤やカプセル剤など、ブリスターパックであるパッケージ51に入った薬の場合、薬供給部16は、薬のパッケージ51を移動させると共に、パッケージ51における薬の入った部位をゴム等からなる押圧部16aで押してパッケージ51の一部を破断させ、パッケージ51から薬を押し出す(図6参照)。押し出されて落下した薬が送出口19を通り、使用者の手に受け取られる。
一方、顆粒や粉末状の薬の場合、1回の服用分ごとに分包とされて収納部11に収められた薬50のパッケージ51を、薬供給部16が移動させると共に、その一部(例えば、角部のいずれか)を、最上部に位置させるようあらかじめ回転させた上で、切断して開封し、開封部分を薬がこぼれないよう挟持部16bで押さえながらパッケージ51を回転させて開封部分を下に向けた後、挟持部16bで開封部分を押さえた状態を解除して、パッケージ51から薬を流出させる(図7、図8参照)。この薬を流出させる際にはパッケージ51に振動を与えて流出を促すのが望ましい。流出して落ちる薬が送出口19を通り、手に受け取られる。
錠剤やカプセル剤など、パッケージ51に入っていない薬の場合、薬供給部16は、収納された薬に振動を与えて移動しやすい状態を生じさせながら、徐々に移動させると共に、移動の途中における一又は複数箇所に設けた仕切り部16cで移動経路を開閉可能に仕切って、薬が複数まとまらず一つずつ進行するように制御する(図9参照)。また、薬50をコンベヤ等で一つずつ横方向に搬送する場合、一つの薬が搬送路端部から落下して送出口19に向かうと、ゲート16dで搬送路端部を閉止したり、コンベヤを一時停止させるなどして、薬50がそれ以上落下しないようにする(図12参照)。このとき、横方向の搬送路に薬を移行させる上流側の移動経路も仕切った状態として、薬の不要な移行が生じないようにする。
横方向への搬送に際しても、薬が一錠ずつ進むよう案内部16eを設けて誘導したり(図11参照)、重なって進んで端部から複数が落下することのないよう、搬送路の上下方向の大きさを制限する制限板を設けたり、搬送路端部で薬の動きを必要に応じて止めるゲート16dを設ける場合に、上下動するゲート16dを適切な位置で停止させて、搬送路の上下方向の大きさを薬が一錠のみ通過できるように制限するようにすることもできる(図10参照)。
前記管理サーバ90は、前記管理部として、ネットワーク100に接続され、通信部15の一通信相手として、ネットワーク100を介して前記第1の情報、及び、第2の情報を受取り、これら各情報を記録し管理すると共に、第1の情報及び第2の情報に基づいて、使用者の薬の服用状態を取得し、使用者を対象として薬の服用状態に応じた所定のサービスを実行可能なものである。
この管理サーバ90は、使用者の服用対象の薬を識別、特定する情報と、使用者とこの使用者により所有され使用される薬服用管理装置10を識別、特定する情報をあらかじめ登録されており、使用者による薬50の服用に係る前記第1の情報及び第2の情報を取得すると、これらの情報の発信元である薬服用管理装置10とその使用者を識別した上で、これらの情報を使用者の服用する薬ごとに記録し格納する。また、この管理サーバ90は、使用者が用いる端末として、所定の通信端末80をあらかじめ登録して、この通信端末80ともネットワーク100を介して通信可能とされている。
管理サーバ90は、薬を服用する使用者を、前記第1の情報及び第2の情報に基づいて、これらの情報の発信元である薬服用管理装置10の使用者としてあらかじめ登録された使用者の中から特定した上で、使用者を対象としたその使用者の薬の服用状態に応じたサービスとして、主に薬の服用管理を実行することとなる。
具体的には、管理サーバ90は、第1の情報から使用者の薬を実際に服用した時間を、また、第2の情報から使用者が服用した薬の種類と量を、それぞれ取得して、あらかじめ指定された服用時間に薬が正しく服用されているか否かを確認し、服用されるべき薬が服用されていない場合がある、すなわち、飲み忘れがある場合には、その分の薬が後でまとめて服用されないよう、薬服用管理装置10の制御部14を制御するための情報を薬服用管理装置10の通信部15に送信したり、使用者への服用に係る注意点等の情報を使用者の通信端末80に送信し、通信端末80から使用者に報知させるようにする。
また、管理サーバ90は、第2の情報から得られる使用者が服用した薬の種類と量の情報を用いて、第1の情報から得られる使用者の薬の服用時点における、薬服用管理装置10の収納部11における当初の収納量から服用により減少した状態で収納部11内に残っている薬の量(残量)を算出又は推定できる。
そして、管理サーバ90は、得られた各薬の残量が、薬を新たに収納部11に補充すべき目安としてあらかじめ設定された残量の所定下限値に達したか否かを判別する。
この薬の残量の所定下限値は、薬ごとに、薬を補充すべき目安の残量として、その残量に達した時点から数日の使用で薬の残量が0となることが予想される所定の残量とされており、収納部11の薬が完全になくなる前に、薬の購入などの対応を使用者側でとれるようにして、薬50の服用を中断なく継続できるようにされる。
薬50の残量の値が所定の下限値に達すると、管理サーバ90は、この薬を補充すべき残量まで薬が減少するに至った使用者の服用状態に応じた、使用者を対象とする薬に関する所定のサービス、例えば、使用者の通信端末80に、薬が無くなりかけた現状に対応して補充用の新品の薬の購入に関連する情報を送信し、その情報内容に基づく使用者への報知を通信端末80に行わせて、使用者に薬の購入を促すサービスを実行する。
なお、本実施形態をはじめとする本願で使用する「サーバ」の語は、必ずしも単独の実体のある装置を意味するものでなく、複数の装置がネットワーク接続されて協動して、要求される一又は複数のサービスを一体として提供する装置群である場合や、装置の一部機能に過ぎないものの、要求される一又は複数のサービスをあたかも一つの装置のように提供する機能を有して、サービスを提供される側からは一つの装置として取り扱える仮想装置である場合も包含する。
管理サーバ90は、薬服用管理装置10の収納部11における薬の残量の値が新しい薬を補充すべき目安となる所定下限値に達したと判定して、こうした薬の服用状態に応じた使用者を対象とする所定のサービスを実行する場合に、薬を服用する使用者が用いる端末としてあらかじめ登録された通信端末80に対して、必要に応じ通信状態を確立した上で、ネットワーク100を介して使用者に薬の購入を促す報知を実行するための購入促進情報をメール送信やプッシュ通知等の手法でそれぞれ送信する機能を有している。
この管理サーバ90から情報を送信される通信端末80は、表示デバイス81及び入力デバイス82を備え、IP通信網と接続して通信するための無線通信手段83を有する携帯電話やいわゆるスマートフォン、PDA(携帯情報端末)などの公知の装置であり、このうち、端末上でアプリケーションプログラムを実行可能とされるものである。この通信端末80は、タッチパネル式の表示デバイス81を有して、表示デバイスが入力デバイス82を兼ねる構成である。
この通信端末80は、必要に応じて、IP通信網への接続用の無線通信手段83とは別の、薬服用管理装置10の通信部15と直接無線通信で通信する通信接続手段84を備えて、使用者が通信端末80を薬服用管理装置10の通信部15に近付け、待機状態にあった前記通信接続手段84が通信部15からの電波を捕捉する、もしくは、待機状態にあった通信部15が通信接続手段84からの電波を捕捉して、通信接続手段84と通信部15との間で通信状態が確立すると、プログラムを自動的に起動、実行させることにより、又は、使用者の操作でプログラムを起動、実行させられることにより、この通信端末80を通じて管理サーバ90と通信部15との間での情報のやり取り(通信)が行えるようにする構成とすることもできる。
管理サーバ90は、収納部11に残る薬の量(残量)が数回の服用にも足りない量となっていると判断した場合、その薬を所有する使用者の端末として登録された通信端末80に、所定の情報を送信して、例えば、薬50の残量があと数回使用したら無くなることや、新しい薬を所定の購入用サイト又はアプリ内購入プロセスで購入でき、且つ購入のタイミングによっては、現在使用中の薬が無くなる前に使用者の下へ新しい薬を納品可能であることなどをそれぞれ示す所定の報知を、使用者の通信端末80に実行させる。前記報知として、例えば、通信端末80の表示デバイス画面による案内表示や、音声出力による案内がなされることで、使用者に的確に情報を伝えられ、使用者に対し強力に新しい薬の購入を促すことができる。
また、管理サーバ90は、購入促進情報の送信により、使用者の前記通信端末80に、使用者による薬購入に係る入力用のユーザインターフェースを提供させ(例えば、購入用サイトや購入用アプリ内での薬購入に係る入力用コンテンツ画面表示を行わせる)、実際に使用者が薬購入の手続を行えるようにすることができる。この状態で、通信端末80に対し使用者により薬購入の入力がなされると、それを受けた通信端末80から、薬購入の手続がされた旨の情報が管理サーバ90に対し送信される。
管理サーバ90は、通信端末80から使用者により薬購入の手続がなされたとの情報を受け取ると、管理サーバ90自体又は管理サーバにより管理される決済サービス用の他のサーバで、使用者の購入手続に対する決済処理を実行して決済を成立させ、薬の納品処理、例えば、配送業者に、製造者や卸業者等の薬の在庫のある拠点から登録された使用者の居所まで、決済済みの薬を配送可能とするための指示情報を送信する処理、を進めることとなる。
最終的に使用者が薬服用管理装置10の収納部11に、納品された新品の薬を補充すると、この補充に係る情報が管理サーバ90に伝わることで、管理サーバ90は補充の完了を認定して、管理サーバ90による管理が、収納部11に最大限収納された状態の薬を対象として再開されることとなる。また、管理サーバ90は、使用者の通信端末80に対し、購入促進情報の送信により実行させていた使用者への報知を終了させる。
なお、管理サーバ90が使用者の通信端末80に対し購入を促す情報の報知を終了させるのは、管理サーバ90が補充の完了を認定した場合に限られるものではなく、使用者が通信端末80で薬の購入手続を行ったり、管理サーバ90で購入手続に対する決済が成立した場合でもかまわない。また、管理サーバ90の管理者の指示操作により、任意のタイミングで管理サーバ90から所定の通信端末80に指示情報を送信して報知を終了させることもできる。例えば、薬の販売者など、薬の販売に係る管理サーバ90を含む購入用システムに関与して、管理サーバ90の取り扱い権限を与えられた管理者が、薬を服用する使用者からの電話やメール等での連絡を受けて、管理サーバ90を操作して該当の使用者の通信端末80宛の報知終了指示情報の送信を実行させて、通信端末80における報知を終了させることができる。
これにより、例えば薬を服用する使用者が、薬を通信端末80による購入ではない別の購入方法で正規に入手し、そのうち薬服用管理装置10の収納部11への薬補充を予定しているにもかかわらず、使用者の通信端末80に購入を促す情報が送信されてくるような場合でも、使用者がそうした状況を管理者に連絡すれば、管理サーバ90から通信端末80に解除情報を送信して、購入を促さない通常状態に復帰させられ、薬の入手方法によっては無用となる報知が行われる事態を防ぎ、新品の薬を既に購入して所有している使用者が、誤ってさらに通信端末80で新たな別の薬を購入するような、場合によって使用者にさらに負担を強いる状況を回避できる。
また、管理サーバ90が使用者の通信端末80に購入を促す情報を送信して報知を行わせるのは、使用者の服用で収納部11の薬が減少し、残量が所定の限度を下回った場合に限られるものではなく、管理サーバ90の管理者の指示操作により、任意のタイミングで管理サーバ90から所定の通信端末80に情報を送信させることもできる。例えば、薬の販売者など、薬の販売に係る管理サーバ90を含む購入用システムに関与して、管理サーバ90の取り扱い権限を与えられた管理者が、管理サーバ90を操作して該当の使用者の通信端末80宛の情報送信を実行させて、通信端末80に購入を促す報知を行わせることができる。
この他、管理サーバ90が、収納部11における薬50の残量があと数回使用したら無くなる状態に至ったのに合わせて、使用者の通信端末80に、新しい薬を通信端末80を介して購入できることを示す報知を実行させる際に、購入に合わせて所定の特典が付与されることを同時に報知させるようにして、薬の購入をより一層促すようにしてもよい。
次に、本実施形態に係る薬服用管理システムにおける薬の服用の管理及び薬の購入促進に係るサービスの実行状態について説明する。前提として、薬服用管理装置10は、室内の安定した平らな場所に設置され、電源として内蔵された電池又は接続された商用電源の電源供給能力に問題はなく、制御部14による制御の下で必要に応じて薬供給部16を作動させて薬50を収納部11から搬出し、使用者が入手できるようにすることが可能な状態にあるものとする。
また、薬服用管理装置10の通信部15と情報をやり取りする管理サーバ90には、薬服用管理装置10とこれを所有し使用する使用者、及び、この使用者の服用する薬50があらかじめ登録され、また、その時点までの収納部11における薬50の残量の情報や、その時点までの使用者の服用状態に係る情報が記録されているものとする。
薬服用管理装置10は、あらかじめ設定された服用時間以外の時間帯には、使用者により薬を入手しようとする所定動作がなされても、制御部14で、薬が収納部11から外に出ることを許可しないことから、薬の送出を行わず、使用者は薬を入手することはできない。
薬服用管理装置10の収納部11に収められた薬50のうち、一部の薬について服用時間になると、この服用時間を覚えている、又は、使用者の通信端末80に設定された服用スケジュールに基づく報知等により服用時間を認識した使用者が、まず、薬服用管理装置10の情報取得部14aに使用者の識別用の情報としての指紋等を読み取らせて入力する。
薬服用管理装置10では、情報取得部14aに読み取られた情報から、制御部14が、使用者をこの薬服用管理装置10から薬を入手可能な使用者としてあらかじめ登録された者であると認めると、必要に応じて登録された使用者であることを所定の報知手段で報知した上で、使用者の薬を入手しようとする動作を待つ状態に移行する。ここで、使用者があらかじめ登録された使用者と認められなかった場合は、前記服用時間の間、そのまま情報取得部14aに正しい使用者の識別用の情報入力が行われるのを待つ状態が継続し、薬服用管理装置10が薬の送出を行うことはない。
あらかじめ登録された使用者として認められ、薬を入手可能となった使用者は、薬服用管理装置10における空間部10aへ手を差し出し、送出口19から送出される薬を受け取れるように手の一部を空間部10aに入れると、空間部10aに入れた手の存在を動作検出部12が感知して、使用者の薬を入手しようとする動作として検出される。そして、この動作を動作検出部12で検出した時間が、制御部14で取得され、第1の情報として取り扱われる。
使用者の動作の検出が薬の服用時間中に生じたことを受けて、制御部14は、服用時間となっている一部の薬の、この服用時間における服用量に相当する量について、収納部11の外に出ることを許可する。これらの薬50は、制御部14により作動状態となった薬供給部16で収納部11から搬出され、薬供給部16で送出口19まで送られて、送出口19から使用者の手の上に載るように送出される。使用者はこうして手に入れた、この服用時間に服用すべき薬を、特に取捨選択する必要もなく全て服用することができる。
薬50が錠剤やカプセル剤など、パッケージ51に入ったものである場合、薬供給部16は、薬50をパッケージ51ごと移動させて収納部11から出し、薬50を送出口19の上方に位置させた上で、パッケージ51における薬の入った部位を押してパッケージ51の一部を破断させ、パッケージ51から薬を押し出すこととなる(図6参照)。パッケージ51から押し出されて落下した薬は、送出口19を通り、使用者の手の上に達する(図3参照)。
また、薬50がパッケージ51に入っていない状態の錠剤やカプセル剤などである場合、薬供給部16は、薬50を収納部11から出して搬送し、薬50を搬送の終点である送出口19の上方まで到達させた後、この搬送の終点から薬を送出して落下させることとなる(図10、図12参照)。落下した薬は、送出口19を通り、使用者の手の上に達する(図3参照)。
一方、薬が1回の服用分ごとに分包とされた、すなわちパッケージ51に入れられた顆粒や粉末状のものである場合、薬供給部16は薬のパッケージ51を移動させて収納部11から出してから、パッケージ51の端部を切断して開封する(図7(B)参照)。このパッケージ51の開封部分を薬がこぼれないよう押さえて閉止しながら(図7(C)参照)、薬供給部16はパッケージ51を回転させ、送出口19の上方で開封部分が下に向けられた状態とする(図8(A)参照)。この後、薬供給部16はパッケージ51の開封部分を押さえた状態を解除して、パッケージ51から薬を流下させて送出する(図8(C)参照)。薬は、送出口19を通り、使用者の手の上に達する。
こうして薬が薬供給部16で搬出される間に、薬供給部16の近傍に設けられた薬検出部13が、収納部11を出て使用者に入手されようとする薬の種類と量に係る情報の検出として、パッケージ51のタグから情報を読み取ったり、薬又はパッケージにおける特徴点を検出したり、薬の通過量をカウントすることを実行し、薬の種類と量に係る第2の情報を得る。
この薬検出部13での検出により得られた第2の情報を、薬を入手しようとする動作の検出時間に係る第1の情報と共に、通信部15からネットワーク100を介して管理サーバ90に送信する。
管理サーバ90は、通信部15から送信された薬50に係る第1の情報と第2の情報をネットワーク100を介して受け取り、第1の情報としての使用者の動作を検出した時間の情報と、第2の情報としての薬50の種類と量に係る情報をそれぞれ取得する(図13参照)。管理サーバ90は、第1の情報である使用者の動作を検出した時間を、使用者が薬を服用した時間と見なし、また、第2の情報から得られる薬50の種類と量を、使用者に入手され服用された薬50の種類及び量と見なして、この所定の時間に使用者が服用した薬50の種類と量を、対応する服用時間における使用者の服用状態として記録する。
ここで、服用時間の間に、使用者が薬服用管理装置10から薬を入手し忘れ、使用者の薬を入手しようとする動作の検出や収納部11を出た薬の種類と量に係る情報の検出がなされず、その結果、管理サーバ90が第1の情報及び第2の情報を受け取れず、使用者の服用状態を記録できなかった場合には、管理サーバ90は使用者が薬50を服用時間に正しく服用しなかったと判断して、使用者が服用時間に薬50を服用しなかったことを通知する服用状態情報を、ネットワーク100を通じて薬50の使用者の通信端末80に送信する(図14参照)。
通信端末80は、管理サーバ90からの服用状態情報を通信手段85を通じて受け取ると、使用者が薬50を正しく服用しなかったことを指摘する報知を表示等により行う(図14参照)。
こうした通信端末80による報知により、使用者は薬50を正しい服用時間に薬服用管理装置10から入手して服用することを、あらためて認識することとなり、薬の服用を忘れにくくなる。なお、使用者が服用時間を過ぎて薬の服用し忘れを思い出し、薬を入手しようとしても、薬服用管理装置10は服用時間以外は使用者の動作に反応しないことから、薬が使用者に渡らず、使用者が服用時間以外に薬を服用して悪影響を受ける事態を防止できる。
この他、管理サーバ90は、第1の情報と第2の情報を受け取り、第1の情報から使用者が薬を服用した時間を、第2の情報から服用された薬50の種類と量をそれぞれ取得し、使用者の服用状態について記録する一方、第2の情報から得られる服用された薬50の種類と量の情報を用いて、あらかじめ記録されている収納部11に収納された薬の当初量からの減少分を求め、その時点での収納部11における薬の残量を導く。そして、使用者が薬50を使用して収納部の薬が減少していくのに伴ってより小さい値に変化していくこの薬50の残量と、あと数回の使用で無くなるとして新しい薬を収納部11に補充すべき状況に対応するものとしてあらかじめ設定された残量の所定値とが比較されることとなる。
そして、管理サーバ90は、薬50の最新の服用時間における各情報に基づいて取得した収納部11の薬50の残量が、薬50を補充すべき目安となる残量に達したか否かを判別して、薬50を補充すべき状態にあるかを確認することとなる。
薬50を薬服用管理装置10の収納部11に新たに補充してからしばらくの間は、収納部11に薬50が十分に存在する状態が続くことから、薬の残量は上記の条件に該当せず、薬50を薬服用管理装置10に補充すべきとは判定されない状態がそのまま維持されて、薬服用管理装置10から薬が使用者により入手されて服用に供される状態が継続する。
一方、薬服用管理装置10の使用期間が長くなり、実際に薬の量が残り少なくなるのに対応して、管理サーバ90で導かれた収納部11における薬50の残量が、薬50を新たに補充すべき目安となる残量の下限値に達したと判定すると、管理サーバ90は、使用者に新しい薬50の購入とその薬の収納部への補充を促す購入促進情報を、ネットワーク100を通じて薬50を服用する使用者の通信端末80に送信する(図15参照)。
通信端末80は、管理サーバ90からの購入促進情報を通信手段85を通じて受け取ると、薬50の購入を促す報知を、例えば表示により行う。この時、薬50の使用者の通信端末80は、収納部11の薬がほとんど無くなっており、薬50を購入して収納部11に補充すべき状態に至っていることと、補充のための新しい薬50を通信端末80を使用して購入できることとをそれぞれ示す報知を実行する(図15参照)。
こうした通信端末80による報知に対応して、使用者が新たに薬50を購入して入手して、薬服用管理装置10の収納部11における薬50が完全に無くなった後、この薬服用管理装置10の一部を開放して収納部11に新しい薬50を補充する。
こうして収納部11に薬を補充した場合、この補充の実行の情報が通信部15から補充管理サーバ90に送られる。この情報を受け取った管理サーバ90は、薬服用管理装置10での薬50の補充を認定し、使用者の薬服用管理装置10ごとに記録していた薬50の残量を初期値にし、この薬50の補充機会を新たな前回の薬50補充として残量の記録等の管理を再開する。
この他、新しい薬50を包装する箱又は薬のパッケージ51に設けられた無線タグや二次元コード等として記録された情報を使用者の通信端末80で読み取り、この新しい薬の情報を通信端末80から管理サーバ90に送信して、管理サーバ90で使用者による補充の実行として認定する処理を実行することもできる。
一方、使用者が、通信端末80による報知に接しても、薬50の購入を行わない場合には、薬服用管理装置10の薬50がそれほど時間をおかずに、使用限界に達する事態となって、使用者は薬50の服用を続けたい場合は薬50を入手せざるを得なくなる。
薬服用管理装置10の収納部11が空になって薬50を入手服用できない不便な状態を使用者が認識することで、次からは通信端末80による報知に応じて、使用者が薬50の購入、補充を決意することを促せる。
なお、薬50の使用にあたり、薬の品質は時間が経過しても特に変化のないものとして取り扱い、管理サーバ90で薬の残量に係る条件のみを設定し、管理を行うようにしているが、この他、使用者や薬の種類によっては、薬の服用頻度が少ないために収納状態が長期にわたる場合など、薬の経時変化による劣化が見込まれることから、収納部11への収納開始からの収納期間に係る情報を管理サーバ90で取得し、こうした情報を用いて収納期間に係る管理を行い、薬の残量についての判別を行うのと合わせて、薬50の収納開始時からの収納期間が、薬の時間経過による劣化の点から薬50を新品に交換すべき目安となる所定の上限時間を超えたか否かの判別を行うようにし、収納期間が上限時間を超える場合は、薬の残量が所定下限値に達したと判定した場合と同様に、新品の薬の購入と収納部11の薬との交換を促すサービスとしての購入促進情報の通信端末80への送信を実行する構成とすることもできる。その場合、管理サーバ90は、薬50の収納期間等の情報以外に、薬の劣化に影響のある気温や湿度の情報等を収集、取得し、これらの情報に基づいて劣化度合いをより精度よく推測した上で、収納期間の上限をさらに調整制御するようにしてもかまわない。
また、薬服用管理装置10を用いて使用者に薬を入手、服用させるにあたり、あらかじめ設定された服用時間や服用量は、使用者の身体の状態に対応した処方箋等に基づいて設定されるものであるが、例えば管理サーバ90で他の情報、例えば、血圧計61による測定で得られた使用者の血圧や、活動量計62で得られた使用者の活動量や心拍数といった、使用者の身体の状態を新たに測定して得られた情報や、こうした計測情報や使用者についての直近の診断に基づいて医師や薬剤師が新たに作成した処方箋等の薬の服用に関する情報、を用いて、その使用者の服用する薬の種類や、服用時間、服用量をより適切なものとなるよう調整した上で、これらを含む使用者の服用情報を管理サーバ90から薬服用管理装置10に送って、調整後の服用時間や服用量に対応した薬の入手がなされるようにすることもできる。
なお、こうした服用情報の更新のために、管理サーバ90で、血圧計61や活動量計62で得られる使用者の身体の状態に係る計測情報を収集する場合に、薬服用管理装置10又は使用者の通信端末80が血圧計61や活動量計62等の機器と通信を行って計測情報を取得した上で、この計測情報を薬服用管理装置10又は通信端末80が血圧計等に代わって管理サーバ90に送信するようにしてもよく(図16参照)、一般に近距離無線通信機能のみ有する血圧計や活動量計等の測定機器で得られた情報も、薬服用管理装置10又は通信端末80を通じて、適切に管理サーバ90に送信して活用できることとなる。
さらに、前記血圧計61や活動量計62等で得られる使用者の身体状態の計測情報の他に、通信機能を有しない測定器で計測された使用者の例えば体温等の測定値や、使用者の体調、気分等を、使用者により通信端末80に対し入力させるようにして、通信端末80で使用者に係る情報を取得し、こうして得られた情報を管理部である管理サーバ90に送信して利用する構成とすることもできる。
この場合、管理サーバ90が得た使用者に係る情報に基づいて、医師又は処方用の人工知能が、使用者の現在の状態を判断した上で、使用者の服用する薬の種類や、服用時間、服用量を、使用者の状態により適合したものとなるよう調整、改善して、これら改善された内容を含んで更新された使用者の服用情報を、管理サーバ90から薬服用管理装置10に送って、薬服用管理装置10で新たな服用時間や服用量等に対応した薬の入手を使用者に行わせることができる。
一方、管理サーバ90が得た使用者に係る情報を踏まえて、遠隔又は直接の、医師による使用者についての新たな診断を実施するようにしてもよく、その診断結果から使用者の状態を判断して、使用者の服用する薬の種類や、服用時間、服用量を使用者の状態に合うよう調整して使用者の薬の服用情報を更新すれば、前記同様に、更新された服用情報を管理サーバ90から薬服用管理装置10に送って、薬服用管理装置10で使用者に新たな服用時間や服用量等に対応した薬の入手を行わせることができる。
このように、本実施形態に係る薬服用管理システムは、使用者による薬の服用について、薬服用管理装置10の動作検出部12で使用者の薬を入手しようとする動作を検出した時点に係る第1の情報と、薬検出部13で検出された薬の種類及び量に係る第2の情報とを、通信部15を介して管理サーバ90が収集し、管理サーバ90で使用者ごとにその第1の情報と第2の情報とから、使用者の薬の服用状態、例えば、使用者がいつどのような薬を服用したか、を取得して、こうした服用状態に応じたサービスを実行可能とすることから、例えば薬服用管理装置10の収納部11に収めた薬が無くなった状態に対応して、使用者に薬の購入を促すようなサービス等を、実際の使用者の薬の服用状態に基づいて行え、最適なタイミングでサービスを提供でき、薬の購入を使用者に促す場合には購入が実現する可能性を高めることができるなど、使用者に薬の購入及び服用を適切に継続させられる。
また、使用者が薬服用管理装置10の収納部11に収納された薬を入手しようとして薬供給部16近傍に手を差し出すと、この薬を入手しようとする使用者の動作が動作検出部12で検出され、この動作の検出に基づいて、制御部14があらかじめ取得した薬の種類、量、及び薬ごとの服用時間の情報から、服用時間となった所定の薬が収納部11の外に出るのを許可し、薬供給部16が薬を収納部11から搬出し、使用者の差し出した手の上に薬を送出して、使用者が薬を入手可能とすることから、服用時間となった薬の服用量として定められた量のみが、実際に使用者の手に送出され、使用者が確実に適切な種類且つ量の薬を服用時間に入手して服用できることとなり、使用者が薬を誤って入手し服用する事態を防いで、使用者が薬の誤った服用に伴う悪影響を受けることを的確に排除できる。
さらに、薬供給部16による搬出で収納部11の外に出た薬についての情報を薬検出部13で検出するようにして、使用者が入手して服用した薬を判別でき、使用者による薬の服用状態を適切に把握可能として、使用者についての薬の服用管理を無理なく実行できると共に、収納部11における薬の残量も正しく取得でき、例えば所定の薬が収納部11から無くなる状況に対応して使用者への前記所定の薬の購入を促すようにすることが可能となり、使用者による薬の最適なタイミングでの購入と収納部11への補充も可能となる。
なお、前記実施形態に係る薬服用管理システムにおいては、薬服用管理装置10における通信部15の通信相手として第1の情報及び第2の情報を受取る管理部は、ネットワーク100を介して通信部15と情報をやり取りする管理サーバ90とされる構成としているが、これに限らず、図17に示すように、管理部として薬を服用する使用者の通信端末80を用いる構成とすることもできる。
この場合、通信端末80は、通信部の通信相手として、通信部から第1の情報と第2の情報を受け取ると、これらの情報を記録し管理すると共に、各情報やあらかじめ登録された情報に基づいて、使用者の薬の服用状態を取得し、薬を服用する使用者を対象とする服用状態に応じたサービスとして、使用者に対し薬の服用状態についての報知、例えば、服用時間に薬の服用が正しくなされていないことを注意する内容や、収納部11における薬が無くなる直前に、収納部11における減少した薬の補充又は残った薬の新品との交換が望ましいといった内容の報知を行うこととなる。
こうして通信端末80が、使用者の薬の服用状態についての所定の報知を、使用者を対象として実行することで、特に服用により薬が無くなりかけた状態の正確な把握に基づいて、適切なタイミングで使用者に薬の購入を促すことができ、使用者が薬の購入を決断しやすくして、使用者が薬を継続的に購入する可能性を大きくし、薬の販売の利益につなげられる。
また、前記実施形態に係る薬服用管理システムにおいて、薬服用管理装置10は制御部14を備え、この制御部14で収納部11に収納された薬50の種類、服用時間、及び服用量を示す情報を薬ごとにあらかじめ取得し、所定の薬の服用時間における使用者の薬を入手しようとする所定動作を動作検出部12が検出すると、収納部11に収納された所定の薬のうち、その薬の服用量として定められた量が収納部11の外に出るのを制御部14で許可する構成としているが、これに限らず、薬服用管理装置の制御部の代わりに、この薬服用管理装置とネットワーク100を介して情報をやり取りする管理サーバ90が、収納部11に収納された所定の薬が収納部11の外に出ることを許可するようにして、薬服用管理装置に制御部を設けない構成とすることもできる。
この場合、管理サーバ90では、使用者ごとに収納部11に収納された薬の種類、薬の服用時間、及び服用量を示す情報を薬ごとにあらかじめ記録蓄積して、所定の薬の服用時間に、薬服用管理装置10の動作検出部12で使用者の薬を入手しようとする所定動作が検出されていることを、通信部15から受け取った第1の情報から認定すると、収納部11に収納された前記所定の薬のうち、この薬の服用量として定められた量が、収納部11の外に出て使用者に入手されるのを許可する制御情報を薬服用管理装置10に送信する。これにより、薬服用管理装置10の薬供給部16を作動させ、薬50を収納部11から搬出して実際に使用者に入手させることができる。
こうして、薬服用管理装置10が、ネットワーク100を介して管理サーバ90と問題なく通信を行える環境にある場合に、制御部に行わせていた制御を管理サーバ90に受け持たせるようにすれば、薬服用管理装置をより一層簡略な構造とすることができ、さらなるコストダウンが図れることとなる。
また、前記実施形態に係る薬服用管理システムにおいては、薬服用管理装置10の収納部11に薬50を種類ごとに収納し、服用情報に基づいて、所定の服用時間に服用すべき薬をそれぞれ収納部11から外に出して使用者に入手させる構成としているが、これに限らず、薬の収納部への収納状態を、服用時間ごとに使用者に服用させる予定の薬を一パッケージにまとめ、こうしたパッケージとして収納するようにして、服用時間には対応する一パッケージを収納部から出し、パッケージのまま使用者に入手させる構成とすることもできる。
この他、収納部11に薬50を種類ごとに収納しつつ、薬服用管理装置10内で所定の服用時間に服用すべき薬をそれぞれ収納部11から外に出した後、パッケージングして一まとめにした状態で、装置から送出して使用者に入手させるようにしてもかまわない。
また、前記実施形態において、薬服用管理装置10は、薬服用管理システム1を構成するものとされて、この薬服用管理装置10から管理サーバ90が使用者の薬の服用に係る各情報を収集し、こうした情報に基づいて、管理サーバ90が使用者の薬の服用状態を取得し、使用者を対象として薬の服用状態に応じた所定のサービスを実行する構成としているが、これに限られるものではなく、使用者の薬の服用管理に必要な、薬服用管理装置の収納部に収納された薬50の種類、服用時間、及び服用量を示す情報を、直接入力等で取得でき、管理サーバ90等との通信を行わずに済む場合は、薬服用管理装置を使用者に対し正しい服用時間に薬を送出して入手させるサービスのみを実行する、単独で運用可能な装置として、システムに組み込まずに使用するようにしてもかまわない。
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る薬服用管理システムを前記図18ないし図21に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る薬服用管理システム2は、前記第1の実施形態同様、薬服用管理装置20と、管理サーバ90とを備える構成を有する一方、異なる点として、薬服用管理装置20における薬供給部26の下方に、使用者が手を近付けることのできる所定の載置面27が設けられ、薬供給部26が、収納部21から搬出した薬を載置面27上に送出可能とされ、載置面27上に達した薬を使用者が手に取って持ち出すことで薬を入手可能とされる構成を有するものである。
なお、前記管理サーバ90は、前記第1の実施形態同様、薬服用管理装置20の通信部25の一通信相手として、ネットワーク100を介して前記第1の情報、及び、第2の情報を受取り、これら各情報を記録し管理すると共に、第1の情報及び第2の情報に基づいて、使用者の薬の服用状態を取得し、使用者を対象として薬の服用状態に応じた所定のサービスを実行可能とされるものであり、詳細な説明を省略する。
本実施形態における薬服用管理装置20は、前記第1の実施形態同様、収納部21と、動作検出部22と、薬検出部23と、制御部24と、通信部25と、薬供給部26とを備える一方、異なる点として、薬服用管理装置20における薬供給部下方に所定の載置面27が設けられ、薬供給部26が、載置面27上に薬を送出可能とされ、動作検出部22が、使用者に操作されるスイッチとされる構成を有するものである。
前記薬服用管理装置20は、前記第1の実施形態同様、最外部の筐体28内に、前記収納部21、動作検出部22、薬検出部23、制御部24、通信部25、及び、薬供給部26を収めた構成とされるものである。ただし、この薬服用管理装置20の下部には、使用者が薬を入手可能な位置とされる所定の大きさの載置面27が設けられる。そして、この載置面27の上側に、使用者が手を差し入れて載置面27上の薬を手に取って外に持ち出せる程度の大きさの空間部20aが設けられる。また、この空間部20aに通じる薬服用管理装置20の筐体所定箇所には、薬供給部26で搬出された薬を載置面27側へ出すための開口部である送出口29が設けられる。薬服用管理装置20の薬供給部26で搬出された薬が送出口29を通って載置面27上に送出されると、使用者が空間部20aに手を差し入れて載置面27上の薬を手で掴み、そのまま手を空間部20aから引き出して薬を載置面27上から持ち出すと、使用者は薬を入手することができる仕組みとなっている。
この薬服用管理装置20で取り扱われる薬50は、前記第1の実施形態同様、使用者が服用可能な錠剤やカプセル剤をそのままの状態で、又は、錠剤やカプセル剤、顆粒、粉末の形態のものをパッケージ51内に収められた状態で、収納部21に収納される公知の医薬品やサプリメント等の補助食品であり、詳細な説明を省略する。
なお、薬服用管理装置20は、服用時間に薬供給部26により載置面27上に達した薬が、使用者に持ち出されずに載置面27上に残ったまま、服用時間が過ぎると、載置面27上に残った薬を、載置面27上から使用者の手の届かない所定箇所に移動させ、回収する仕組みを有しており(図21参照)、服用時間以外に使用者が薬を誤って入手することがないようにされる。
前記収納部21は、前記第1の実施形態同様、薬服用管理装置20の筐体28内に設けられ、薬50を外部から補充可能且つ薬供給部26で外部に搬出可能な状態で収納するものであり、詳細な説明を省略する。
前記動作検出部22は、使用者に操作されるスイッチとして薬服用管理装置20に操作可能に配設され、使用者のスイッチ操作に係る動作を、収納部21に収納された薬を入手しようとする使用者の所定動作として検出するものである。
詳細には、動作検出部22は、薬服用管理装置20における上部に設けられ、使用者の押下操作によるスイッチ状態変化を検出することとなる。この動作検出部22は、使用者認証用の情報取得部を兼ねるものとして、操作の際に接した使用者の指から指紋を読み取るようにされる。
また、動作検出部22が、薬を入手するための使用者によるこの動作検知部22への操作を検出すると、前記第1の実施形態同様、制御部24でその検出時間(時刻)が取得され、この時間に係る情報が第1の情報として通信部25を経て管理サーバ90に送られることとなる。
前記薬検出部23は、前記第1の実施形態同様、薬服用管理装置20内の薬供給部26の薬搬出経路における所定位置の近傍に設けられ、薬供給部26による搬出で収納部21の外に出た、一部の薬50の種類と量に係る情報を検出するものである。ただし、この薬検出部23は、一部の薬の種類と量に係る情報を、薬が薬供給部26により収納部21の外に出て載置面27上に達し、載置面27上から使用者により持ち出されるまでの間に、検出することとなる。この検出に係る点を除いて、薬検出部23は前記第1の実施形態と同様のものであり、詳細な説明を省略する。
前記制御部24は、前記第1の実施形態同様、収納部21に収納された薬の種類、薬の服用時間、及び服用量を示す情報を薬ごとにあらかじめ取得し、所定の薬の服用時間における、使用者の薬を入手しようとする動作を動作検出部22で検出すると、収納部21に収納された前記所定の薬のうち、この薬の服用量として定められた量が、収納部21の外に出て使用者に入手されるのを許可するものであり、詳細な説明を省略する。
一方、この制御部24で、薬を入手しようとする使用者があらかじめ登録された使用者であるか否かを判別可能とするための、認証用の情報を得る情報取得部は、前記動作検出部22に一体に組み込まれたものとなっており、動作検出部22の操作の際に認証用の情報としての指紋が読み取られる仕組みである。ただし、これに限られるものではなく、情報取得部が、動作検出部22とは別に設けられて、個人を識別可能な虹彩等の他の身体的特徴情報を使用者の認証用の情報として読み取ったり、個人認証用の情報としての電子的情報が記録されたICカード等の記録媒体から情報を読み出すものであってもかまわない。
前記通信部25は、前記第1の実施形態同様、動作検出部22での使用者の薬を入手しようとする所定動作の検出時点に係る第1の情報、及び、薬検出部23で検出された薬の種類及び量に係る第2の情報を、通信相手としての管理サーバ90に向けて送信するものであり、詳細な説明を省略する。
前記薬供給部26は、前記第1の実施形態同様、収納部21に収納された薬50のうち、薬の服用時間の到来した一部の薬について、制御部24により収納部21の外に出ることが許可されると、前記制御部24の制御に基づいて作動し、収納部21から使用者が入手可能な位置まで搬出するものである。
ただし、この薬供給部26は、搬出の過程で、前記一部の薬が薬服用管理装置20の送出口29を通るように落下させることで、送出口29を通った薬を載置面27上に到達させることとなる。これにより、使用者は載置面27上から薬を入手できる。こうして薬の搬出先となる位置が異なる点を除いて、薬供給部26は前記第1の実施形態と同様のものであり、詳細な説明を省略する。
前記管理サーバ90は、前記第1の実施形態同様、通信部25の一通信相手として、ネットワーク100を介して前記第1の情報、及び、第2の情報を受取り、これら各情報を記録し管理すると共に、第1の情報及び第2の情報に基づいて、使用者の薬の服用状態を取得し、使用者を対象として薬の服用状態に応じた所定のサービスを実行可能とされるものであり、詳細な説明を省略する。
次に、本実施形態に係る薬服用管理システムにおける薬の服用の管理及び薬の購入促進に係るサービスの実行状態について説明する。前提として、薬服用管理装置20は、前記第1の実施形態同様、室内の安定した平らな場所に設置され、電源として内蔵された電池又は接続された商用電源の電源供給能力に問題はなく、制御部24による制御の下で必要に応じて薬供給部26を作動させて薬50を収納部21から搬出し、使用者が入手できるようにすることが可能な状態にあるものとする。
また、薬服用管理装置20の通信部25と情報をやり取りする管理サーバ90には、薬服用管理装置20とこれを所有し使用する使用者、及び、この使用者の服用する薬50があらかじめ登録され、また、その時点までの収納部21における薬50の残量の情報や、その時点までの使用者の服用状態に係る情報が記録されているものとする。
薬服用管理装置20は、前記第1の実施形態と同様、あらかじめ設定された服用時間以外の時間帯には、使用者により薬を入手しようとする所定動作がなされても、制御部24で、薬が収納部21から外に出ることを許可しないことから、薬の送出を行わず、使用者は薬を入手することはできない。
薬服用管理装置20の収納部21に収められた薬50のうち、一部の薬について服用時間になると、この服用時間を覚えている、又は、使用者の通信端末80に設定された服用スケジュールに基づく報知等により服用時間を認識した使用者が、まず、薬服用管理装置20の動作検出部22の操作を行い、同時に使用者の識別用の情報としての指紋等を読み取らせて入力する。
薬服用管理装置20では、情報取得部をなす動作検出部22に読み取られた情報から、制御部24が、使用者をこの薬服用管理装置20から薬を入手可能な使用者としてあらかじめ登録された者であると認めると、必要に応じて登録された使用者であることを所定の報知手段で報知した上で、使用者の薬を入手しようとする動作を受入可能となり、動作検出部22が使用者の薬を入手しようとする動作として検出した、使用者の操作がなされた時間を、制御部24で取得し、第1の情報として取り扱うようにする。
ここで、使用者があらかじめ登録された使用者と認められなかった場合は、前記服用時間の間、そのまま情報取得部をなす動作検出部22に正しい使用者の識別用の情報入力が行われるのを待つ状態が継続し、薬服用管理装置20が薬の送出を行うことはない。
そして、使用者の動作の検出が薬の服用時間中に生じたことを受けて、制御部24は、服用時間となっている一部の薬の、この服用時間における服用量に相当する量について、収納部21の外に出ることを許可する。これらの薬50は、制御部24により作動状態となった薬供給部26で収納部21から搬出され、薬供給部26で送出口29まで送られて、送出口29から送出された薬は載置面27上に達する(図20参照)。
使用者は、薬服用管理装置20の空間部20aへ手を差し入れ、載置面27上にある薬を手に取ってから、空間部20aから手を引き出し、載置面27上から薬を持ち出すことで、薬を入手できる。使用者は、載置面27上に存在する薬を、特に取捨選択する必要もなく全て取り出して服用すれば、この服用時間に服用すべき薬を確実に服用することができる。
仮に、載置面27上に達した薬が、使用者に持ち出されずに載置面27上に残ったまま、服用時間が過ぎると、載置面27上に残った薬は、載置面27上から使用者の手の届かない所定箇所に移動させられ、回収される(図21参照)。
薬が薬供給部26で搬出されて載置面27上に至る間に、薬供給部26の近傍に設けられた薬検出部23は、収納部21を出て使用者に入手されようとする薬の種類と量に係る情報の検出として、パッケージ51のタグから情報を読み取ったり、薬又はパッケージにおける特徴点を検出したり、薬の通過量をカウントすることを実行し、薬の種類と量に係る第2の情報を得る。
この薬検出部23での検出により得られた第2の情報を、薬を入手しようとする動作の検出時間に係る第1の情報と共に、通信部25からネットワーク100を介して管理サーバ90に送信する。
管理サーバ90は、前記第1の実施形態同様、薬50に係る第1の情報と第2の情報をネットワーク100を介して受け取り、第1の情報としての使用者の動作を検出した時間の情報と、第2の情報としての薬50の種類と量に係る情報をそれぞれ取得する。管理サーバ90は、第1の情報である使用者の動作を検出した時間を、使用者が薬を服用した時間と見なすと共に、第2の情報から得られる薬50の種類と量を、使用者に入手され服用された薬50の種類及び量と見なして、対応する服用時間における使用者の服用状態を記録する。
服用時間の間に、使用者が薬服用管理装置20から薬を入手し忘れた場合、前記第1の実施形態同様、管理サーバ90は使用者が服用時間に薬50を服用しなかったことを通知する服用状態情報を、ネットワーク100を通じて薬50の使用者の通信端末80に送信する。この管理サーバ90からの服用状態情報を受け取った通信端末80が、使用者が薬50を正しく服用しなかったことを指摘する報知を行うことで、使用者は薬50を正しい服用時間に薬服用管理装置20から入手して服用することを、あらためて認識して、薬の服用を忘れにくくなる。
また、管理サーバ90は、第1の情報と第2の情報に基づいて、前記第1の実施形態同様、その時点での収納部21における薬の残量を導き、この薬50の残量と、あらかじめ設定された残量の所定下限値とを比較して、最新の各情報に基づいて取得した収納部21の薬50の残量が、薬50を補充すべき目安となる残量に達したか否かを判別して、薬50を補充すべき状態にあるかを確認する。
薬服用管理装置20の使用期間が長くなり、実際に薬の量が残り少なくなるのに対応して、管理サーバ90で導かれた収納部21における薬50の残量が、薬50を新たに補充すべき目安となる残量の下限値に達したと判定すると、管理サーバ90は、使用者に新しい薬50の購入とその薬の収納部21への補充を促す購入促進情報を、ネットワーク100を通じて薬50を服用する使用者の通信端末80に送信する。
通信端末80は、管理サーバ90からの購入促進情報を受け取ると、前記第1の実施形態同様、薬50の購入を促す報知を行う。こうした報知に応じて、使用者が新たに薬50を購入して入手し、薬服用管理装置20の収納部21における薬50が完全に無くなった後、この薬服用管理装置20の収納部21に新しい薬50を補充する。
こうして収納部21に薬を補充した場合、この補充の実行の情報が通信部25から補充管理サーバ90に送られ、管理サーバ90は、薬服用管理装置20での薬50の補充を認定し、記録していた薬50の残量を初期値にし、この薬50の補充機会を新たな前回の薬50補充として残量の記録を再開する。
このように、本実施形態に係る薬服用管理システムにおいては、薬服用管理装置20の収納部21から使用者が入手可能な位置まで薬を搬出可能な薬供給部26が設けられ、薬を入手しようとする使用者の動作が動作検出部22で検出され、服用時間となった薬について収納部21の外に出ることを制御部24が許可すると、薬供給部26が薬を収納部21から搬出し、使用者が手を近付けられる載置面27上に薬を送出することから、服用時間となった薬の服用量として定められた量のみが、実際に載置面27に送出されて、この載置面27上から薬を使用者が持ち出せば、使用者が確実に適切な種類且つ量の薬を服用時間に入手して服用できることとなり、使用者が薬を誤って入手し服用する事態を確実に防止して、薬の誤った服用に伴う悪影響を的確に排除できる。また、薬供給部26により収納部21から搬出され載置面27に向かう薬を、薬検出部23で収納部21の外に出た薬として検出することで、収納部21に残る薬と収納部21の外に出た薬とを無理なく容易に判別でき、使用者による薬の服用状態を正確に把握して薬の服用管理を適切に行え、収納部における薬の残量も正しく取得できる。
また、前記実施形態に係る薬服用管理システムにおいては、薬服用管理装置20の薬検出部23で、薬が薬供給部26で搬出されて載置面27上に至る間に、パッケージ51の情報記録部52から情報を読み取るなどして、薬の種類と量に係る第2の情報を得る構成としているが、この他、薬検出部を撮像手段として空間部20aに面するように配設し、収納部21を出て載置面27上に達した薬を撮像し、得られた撮像画像の情報を第2の情報として通信部25を通じて管理サーバ90に送り、管理サーバ90での画像解析により薬の種類と量を識別可能に取得する構成とすることもできる。
この場合、実際に使用者が手にする状態の薬に基づいて、薬の種類と量を識別でき、薬供給部26での搬送中の検出に比べ、薬の誤認識が起こりにくく、使用者の薬の服用状態を正確に把握した上で薬の残量等の管理が行える。
(本発明の第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る薬服用管理システムを前記図22ないし図27に基づいて説明する。本実施形態においては、収納部としての箱状容器を使用者が開閉して服用時間に服用すべき薬を取り出して入手する薬服用管理装置を用いるシステムの例について説明する。
前記各図において本実施形態に係る薬服用管理システム3は、前記第1の実施形態同様、薬服用管理装置30と、管理サーバ90とを備える構成を有する一方、異なる点として、薬服用管理装置30が、内側に薬を収める箱状の収納部31と、この収納部31を薬の入手のために開放しようとする使用者の所定動作を検出する動作検出部32と、収納部31に収められた薬50の重量を検出する重量センサとされる薬検出部33と、薬の服用時間に使用者の前記所定動作を動作検出部32で検出すると、収納部31を開放可能として薬50が収納部31の外に取り出されるのを許可する制御部34とを備える構成を有するものである。
本実施形態における薬服用管理装置30は、前記第1の実施形態同様、収納部31と、動作検出部32と、薬検出部33と、制御部34と、通信部35とを備える一方、異なる点として、収納部31から薬を搬出する薬供給部を設けられる代わりに、使用者が箱状の収納部31を開放状態として、服用する必要のある薬を自らの手で収納部31から取り出して入手するようにされた構成を有するものである。
この他、薬服用管理装置30には、動作検出部32、薬検出部33、制御部34、及び、通信部35に電力を供給する電源として、内蔵される電池又は薬服用管理装置30に直接若しくはACアダプタ等を介して接続される商用電源が用いられる構成である。
この薬服用管理装置30で取り扱われる薬50は、前記第1の実施形態同様、使用者が服用可能な錠剤やカプセル剤をそのままの状態で、又は、錠剤やカプセル剤、顆粒、粉末の形態のものをパッケージ51内に収められた状態で、収納部31に収納される公知の医薬品やサプリメント等の補助食品であり、詳細な説明を省略する。
前記収納部31は、使用者の服用対象の薬50を内側に収める箱状に形成され、薬服用管理装置30の筐体としての外枠38内に引き出しとして設けられるものである。
収納部31は、外枠38から引き出されると開放状態となり、使用者が収納部31から薬を取り出したり、収納部31に外部から薬を補充することができる。一方、収納部38が外枠38に収められると閉止状態となり、収納部38への薬の出し入れは行えない仕組みである。収納部31の正面側には、使用者が収納部31を引き出す時に手を掛ける取っ手部31aが設けられる。
この収納部31には、服用時間以外や、使用者が登録済みの使用者でない場合に、例えば収納部31と外枠38とを一時的に連結状態にするなどして、使用者が収納部31を引き出して開放状態にするのを規制することで、収納部31を外枠38に収められた閉止状態に維持し、収納部31が不正に開放状態とされて薬を取り出されることを防ぐ規制手段31bが設けられる。
この規制手段31bは、服用時間の到来した所定の薬について、制御部34により収納部31の外に出ることが許可されると、規制を解除して、使用者が収納部31を引き出して開放状態とした上で薬を取り出すことができるようにする仕組みである。
収納部11に収められた薬50は、その薬の服用時間ごとに使用者により開放された収納部31から使用者の手により取り出される。
前記動作検出部32は、収納部31に収納された薬を入手しようとする使用者の所定動作として、使用者が収納部31を薬を取り出して入手可能な開放状態とするために、収納部31を薬服用管理装置30の外枠38から引き出そうとする動作、を検出するものである。
詳細には、動作検出部32は、収納部31正面の取っ手部31b近傍の所定箇所に設けられ、手の存在を感知可能なセンサである。この動作検出部12で、使用者が薬50を入手しようとして、収納部31の取っ手部31bに手を掛けて収納部31を引き出そうとする動作を検出することができる。
こうした薬を入手しようとする使用者の動作を検出するセンサとしては、焦電効果を利用したもの、光や超音波の反射を検出するもの、光の進行経路が妨げられた状態を検出するものなど、この種の手などの動きを検出する目的に用いられる公知のセンサを使用できる。
また、動作検知部32が、薬を入手するための使用者によるこの収納部31の取っ手部31bに手を掛ける動作を検出すると、前記第1の実施形態同様、制御部34でその検出時間(時刻)が取得され、この時間に係る情報が第1の情報として通信部35を経て管理サーバ90に送られることとなる。
この他、動作検出部は、薬の入手に際し使用者に操作される所定のスイッチとして設けられて、使用者の薬を入手しようとする動作としての使用者のスイッチ操作を、スイッチの状態変化により検出する仕組みとすることもできる。
前記薬検出部33は、収納部31に収納された薬のうち、薬の服用時間が到来して収納部31の外に出ることが許可され、使用者による入手のために収納部31から取り出されて収納部31の外に出た、一部の薬50の種類と量に係る情報を検出するものである。
この薬検出部33は、使用者による前記一部の薬の収納部31からの取り出しに伴って生じる、収納部31における所定の状態変化に基づいて、前記一部の薬の種類と量に係る情報を検出するものである。
より具体的には、薬検出部33は、収納部31に設けられて、この収納部31の底部に載置した薬等の物体の重量を検出可能な重量センサとされる。薬検出部33は、使用者による収納部31からの薬の取り出しで生じる、収納部31内に残る薬の量の変化に伴って、収納部31内で増減する重量の値を、薬の種類と量に係る前記第2の情報として検出する仕組みである。
この薬検出部33での重量の検出値を用いれば、管理サーバ90で、あらかじめ記録された薬の情報からわかる各薬ごとの重量の差異に基づいて、収納部31の外に出た薬の種類と量を算出可能となる。
なお、薬検出部33を、収納部31の底部に加わる圧力を検出可能な圧力センサとし、使用者の薬の取り出しで生じる薬の量変化に伴って前記底部において変化する下向きの圧力の値を、薬の種類と量に係る情報(第2の情報)として検出するようにしてもよい。
この他、薬50がパッケージ51内に収められ、パッケージ51に情報記録部52が設けられているものの場合には、薬検出部33が、収納部31に収納されている薬50のパッケージ51における情報記録部52から、これに記録された薬識別用の情報を読み取れる状態に対して、薬が収納部31から出て薬検出部33から離れると、パッケージ51の情報記録部52から情報を読み取れなくなることに基づいて、収納部31を出た薬の種類を検出するようにすることもできる。
前記制御部34は、前記第1の実施形態同様、収納部31に収納された薬の種類、薬の服用時間、及び服用量を示す情報を薬ごとにあらかじめ取得し、所定の薬の服用時間における、使用者の薬を入手しようとする動作を動作検出部32で検出すると、収納部31に収納された前記所定の薬のうち、この薬の服用量として定められた量が、収納部31の外に出て使用者に入手されるのを許可するものである。具体的には、制御部34は、所定の薬について収納部31の外に出ることの許可として、収納部31の規制手段31bの規制を解除させ、使用者が収納部31を引き出せるようにすることで、使用者が適切な薬を収納部31から取り出して入手可能としている。
一方、制御部34は、収納部31に収納された薬について、服用時間を示す情報に基づいて、服用時間以外には収納部31から外に出ない状態、すなわち、いずれの使用者も薬の入手が不可能な状態、に規制する仕組みである。具体的には、服用時間以外に使用者が収納部31における動作検出部32の検出範囲にある取っ手部31bに手を掛けて収納部31を引き出そうとしても、規制手段31bによる規制を解除させないようにして、収納部31を引き出せず薬を入手できない状態とする。すなわち、服用時間以外は、動作検出部32で使用者の動作が検出されても、それらに反応して規制手段31bによる規制の解除がないようにする。
この制御部34と共に、使用者の個人認証用の情報を読み取るための情報取得部34aが、薬服用管理装置30に設けられる。情報取得部34aは、前記第1の実施形態同様、個人を識別可能な指紋や虹彩等の情報を読み取ったり、個人認証用の電子的情報が記録されたICカード等の記録媒体から情報を読み出し、管理サーバ90へ送信できるようにする公知の読み取り装置である。この情報取得部34aは、使用者が薬を入手しようとする直前の段階で、使用者が情報取得部34aに近付けた、使用者の指紋や記録媒体等を読み取って、認証用の情報を取得する。
制御部34は、情報取得部34aにより得た認証用の情報に基づいて、薬を入手しようとする使用者があらかじめ登録された使用者であるか否かを判別し、使用者が登録されている場合のみ、服用時間に所定の薬が収納部31の外に出るのを許可し、動作検出部32で使用者の動作が検出された際に、収納部31の規制手段31bの規制を解除させ、使用者が収納部31を引き出して開放状態にできるようにする。
前記通信部35は、前記第1の実施形態同様、動作検出部32での使用者の薬を入手しようとする所定動作の検出時点に係る第1の情報、及び、薬検出部33で検出された薬の種類及び量に係る第2の情報を、通信相手としての管理サーバ90に向けて送信するものであり、詳細な説明を省略する。
前記管理サーバ90は、前記第1の実施形態同様、通信部35の一通信相手として、ネットワーク100を介して前記第1の情報、及び、第2の情報を受取り、これら各情報を記録し管理すると共に、第1の情報及び第2の情報に基づいて、使用者の薬の服用状態を取得し、使用者を対象として薬の服用状態に応じた所定のサービスを実行可能とされるものである。
ただし、この管理サーバ90では、薬検出部33で検出されて通信部35から送信される第2の情報が、収納部31内にある薬50の重量の計測値とされるのに対応して、薬50の一つあたりの重量を薬の種類ごとにあらかじめ登録される仕組みである。この既知の薬の重量の情報や使用者がその服用時間に服用予定である薬の種類と量の情報に基づいて、管理サーバ90は、前記第2の情報から収納部31を出た薬の種類と量を算出又は推定して取得し、これらを使用者に入手され服用された薬50の種類及び量と見なして記録することとなる。
そして、管理サーバ90は、前記第1の実施形態同様、第2の情報から得られたこの使用者が服用した薬の種類と量の情報を用いて、第1の情報から得られる使用者の薬の服用時点における、薬服用管理装置30の収納部31における当初の収納量から服用により減少した状態で収納部31内に残っている薬の量(残量)を算出又は推定できる。
次に、本実施形態に係る薬服用管理システムにおける薬の服用の管理及び薬の購入促進に係るサービスの実行状態について説明する。前提として、薬服用管理装置30は、前記第1の実施形態同様、室内の安定した平らな場所に設置され、電源としての内蔵された電池又は接続された商用電源の電源供給能力に問題はなく、制御部34による制御の下で必要に応じて収納部31を開放状態として、使用者が薬50を収納部31から取り出して入手できるようにし、且つ薬検出部33で収納部31における薬の状態変化を検出することが可能な状態にあるものとする。
また、薬服用管理装置30の通信部35と情報をやり取りする管理サーバ90には、薬服用管理装置30とこれを所有し使用する使用者、及び、この使用者の服用する薬50があらかじめ登録され、また、その時点までの収納部31における薬50の残量の情報や、その時点までの使用者の服用状態に係る情報が記録されているものとする。
薬服用管理装置30は、前記第1の実施形態と同様、あらかじめ設定された服用時間以外の時間帯には、使用者により薬を入手しようとする所定動作がなされても、制御部34で、薬が収納部31から外に出ることを許可しないことから、収納部31の規制手段31bによる規制は解除されず、使用者は収納部31を引き出して薬を入手することはできない。
薬服用管理装置30の収納部31に収められた薬50のうち、一部の薬について服用時間になると、この服用時間を覚えている、又は、使用者の通信端末80に設定された服用スケジュールに基づく報知等により服用時間を認識した使用者が、まず、前記第1の実施形態同様、薬服用管理装置30の情報取得部34aに使用者の識別用の情報としての指紋等を読み取らせて入力する。
薬服用管理装置30では、情報取得部34aに読み取られた情報から、制御部34が、使用者をこの薬服用管理装置30から薬を入手可能な使用者としてあらかじめ登録された者であると認めると、必要に応じて登録された使用者であることを所定の報知手段で報知した上で、使用者の薬を入手しようとする動作を待つ状態に移行する。ここで、使用者があらかじめ登録された使用者と認められなかった場合は、前記服用時間の間、そのまま情報取得部34aに正しい使用者の識別用の情報入力が行われるのを待つ状態が継続し、薬服用管理装置30から収納部31を引き出して薬を取り出せる状態とはならない。
あらかじめ登録された使用者として認められ、薬を入手可能となった使用者は、収納部31における取っ手部31bに手を掛けて、収納部31を薬服用管理装置30の外枠38から引き出そうとすると、取っ手部31b近傍の動作検出部32の検出範囲に入った使用者の手がこの動作検出部32で検出される。こうして、動作検出部32で、取っ手部31bに手を掛けて収納部31を引き出して薬50を入手しようとする使用者の動作を検出することとなる。
使用者の薬を入手しようとする動作の検出が薬の服用時間中に生じたことを受けて、制御部34は、服用時間となっている一部の薬の、この服用時間における服用量に相当する量について、収納部31の外に出ることを許可し、収納部31の規制手段31bの規制を解除させ、使用者が収納部31を引き出せるようにする。
そして、この使用者の薬を入手しようとする動作を動作検出部32で検出した時間が、前記第1の実施形態同様、制御部34で取得され、第1の情報として取り扱われる。
使用者は、規制を解除された収納部31を引き出し、開放状態とした上で、収納部31から適切な薬を取り出して入手する(図24参照)。薬の入手後、使用者は収納部31を薬服用管理装置30の外枠38内に戻し、収納部31を閉止状態に復帰させる。使用者は、服用時間に服用する薬として認識していた薬を全て取り出して服用すれば、この服用時間に服用すべき薬を確実に服用することができる。
使用者が薬50を取り出すと、収納部31における薬の状態としての収納された薬の重量が変化し、薬検出部33は、収納部31を出て使用者に入手されようとする薬の種類と量に係る第2の情報の検出として、この収納部31に収納された薬の重量計測を実行し、薬の重量の値を得る。
ただし、薬50がパッケージ51に入れられた、錠剤やカプセル剤、一回の服用分の顆粒や粉末状のものであり、且つ、使用者がパッケージ51における薬の入った部位を押してパッケージ51の一部を破断させたり、パッケージ51の端部を切断して開封すると、パッケージ51に埋め込まれた情報記録部(タグ)52において、開封によりその記録された情報を検出可能な状態と検出不可能な状態とが入れ替わる仕様である場合、これを利用して、薬検出部33が、使用者が収納部31から出したパッケージ51を開封して、パッケージ51から薬を出す際に生じる、情報記録部(タグ)52の記録情報の検出状態変化を、第2の情報として得るようにしてもよい。
薬検出部33での検出により得られた第2の情報は、薬を入手しようとする動作の検出時間に係る第1の情報と共に、通信部35からネットワーク100を介して管理サーバ90に送信される(図25参照)。
管理サーバ90は、前記第1の実施形態同様、薬50に係る第1の情報と第2の情報をネットワーク100を介して受け取り、第1の情報としての使用者の動作を検出した時間を、使用者が薬を服用した時間と見なすようにする。また、薬50の種類と量に係る第2の情報としての収納部31に残った薬50の重量の値の情報から、既知の薬の重量情報等に基づいて、収納部31を出た薬の種類と量を算出し、得られた薬50の種類と量を、使用者に入手され服用された薬50の種類及び量と見なし、上記の使用者が薬を服用した時間における使用者の服用状態として記録する。
服用時間の間に、使用者が薬服用管理装置30から薬を入手し忘れた場合、前記第1の実施形態同様、管理サーバ90は使用者が服用時間に薬50を服用しなかったことを通知する服用状態情報を、ネットワーク100を通じて薬50の使用者の通信端末80に送信する。この管理サーバ90からの服用状態情報を受け取った通信端末80が、使用者が薬50を正しく服用しなかったことを指摘する報知を行うことで、使用者は薬50を正しい服用時間に薬服用管理装置30から入手して服用することを、あらためて認識して、薬の服用を忘れにくくなる。
また、管理サーバ90は、第1の情報と第2の情報に基づいて、前記第1の実施形態同様、その時点での収納部31における薬の残量を導き、この薬50の残量と、あらかじめ設定された残量の所定下限値とを比較して、最新の各情報に基づいて取得した収納部31の薬50の残量が、薬50を補充すべき目安となる残量に達したか否かを判別して、薬50を補充すべき状態にあるかを確認する。
薬服用管理装置30の使用期間が長くなり、実際に薬の量が残り少なくなるのに対応して、管理サーバ90で導かれた収納部31における薬50の残量が、薬50を新たに補充すべき目安となる残量の下限値に達したと判定すると、管理サーバ90は、使用者に新しい薬50の購入とその薬の収納部31への補充を促す購入促進情報を、ネットワーク100を通じて薬50を服用する使用者の通信端末80に送信する(図26参照)。
通信端末80は、管理サーバ90からの購入促進情報を受け取ると、前記第1の実施形態同様、薬50の購入を促す報知を行う。こうした報知に応じて、使用者が新たに薬50を購入して、薬服用管理装置30の収納部31における残りの薬50を取り出して入手、服用することでその薬が収納部31から無くなった後、収納部31の同じ箇所に新しい薬50を補充する。
こうして収納部31に購入した新しい薬を補充した場合、収納部31での薬の新たな重量の値が薬検出部31で第2の情報として検出され、通信部35からこの第2の情報が管理サーバ90に送られる。この情報を受け取った管理サーバ90は、第2の情報である薬の重量のこれまでの値との大きな変化から収納部31での薬50の補充完了を認定し、薬50ごとに記録していた薬の残量を初期値にし、この薬50の補充機会を新たな前回の薬50補充として残量の記録等の管理を再開する。
この他、新しい薬50のパッケージ51に設けられた情報記録部52に記録された識別用の情報を第2の情報として薬服用管理装置30の薬検出部33で読み取り、この新しい薬の第2の情報を通信部35から管理サーバ90に送信して、管理サーバ90で取得した第2の情報で特定される薬の種類と量を、薬服用管理装置30の収納部31に補充した薬として認定する処理を実行するようにすることもできる。
なお、管理サーバ90は、通信部35から送信された薬50に係る第1の情報と第2の情報をネットワーク100を介して受け取り、第1の情報から使用者が薬を服用した時間を、第2の情報から服用された薬50の種類と量をそれぞれ取得して、服用時間の間に使用者が薬を服用していることを認める一方で、取得した各情報とその服用時間に使用者に本来服用されるべき薬の種類と量の設定情報との照合から、使用者が薬を過少又は過大に入手したり、異なる薬を入手しているなど、使用者が薬50を正しく入手、服用していないと判定した場合には、薬を入手し忘れた場合と同様に、管理サーバ90は使用者が服用時間に正しく薬50を服用しなかったことを通知する服用状態情報を、ネットワーク100を通じて薬50の使用者の通信端末80に送信する(図27参照)。
通信端末80は、管理サーバ90からの服用状態情報を受け取ると、使用者が薬50を正しく服用しなかったことを指摘する報知を表示等により行う(図27参照)。
こうした通信端末80による報知により、使用者は適切な薬50のみを服用時間に薬服用管理装置30から入手して服用することを、あらためて認識することとなり、薬の誤った服用を防止できる。
このように、本実施形態に係る薬服用管理システムは、薬服用管理装置30の収納部31が薬50を取り出せるように開放可能とされ、薬50を入手しようとする使用者の動作が動作検出部32で検出され、服用時間となった薬について収納部31の外に出ることを制御部34が許可すると、使用者が収納部31を開放状態として、服用する薬を収納部31から取り出して入手することから、収納部31を開放して服用時間となった薬の服用量として定められた量の薬を使用者が取り出せば、使用者が薬を服用時間に速やかに入手して服用でき、使用者が薬を入手するための構造を大幅に簡略化でき、装置コストを抑えられる。また、薬の取り出しにより生じた収納部31の状態の変化に基づいて、具体的には、収納部31に残っている薬の減少した重量の値を、薬検出部33が収納部31の外に出た薬に係る情報として検出することで、収納部31の外に出た薬の種類と量を簡略に判別可能となり、使用者による薬の服用状態をより低コストで把握可能として、薬の服用管理を簡易に導入することができる。
なお、前記第3の実施形態に係る薬服用管理システムにおいては、薬服用管理装置30に設けた動作検出部32や薬検出部33、制御部34、通信部35の電源として、内蔵電池又は商用電源を用いる構成としているが、これに限らず、薬服用管理装置30に極小の発電部を設け、使用者による薬服用管理装置30の外枠38から収納部31を引き出す動きや、収納部31を外枠38内に戻す動きを発電のための動力として利用して発電し、得られた電力を直接又は一旦コンデンサ等に蓄電状態とした上で、動作検出部32や薬検出部33、制御部34、通信部35に供給し、検出や制御、通信を行う構成とすることもでき、電池を不要としたり、電力供給を必要最小限とすることで、メンテナンスの頻度を減らし、その分のコストを抑えることができる。
また、前記第3の実施形態に係る薬服用管理システムにおいては、薬服用管理装置30の収納部31に薬50を種類ごとに収納し、服用情報に基づいて、所定の服用時間に服用すべき薬をそれぞれ収納部31から使用者が外に出して入手する構成としているが、これに限らず、薬の収納部への収納状態を、服用時間ごとに使用者に服用させる予定の薬を一つの容器55にまとめ、こうした容器55を複数収納して、服用時間には対応する一容器を収納部から出し、容器55のまま使用者が入手する構成とすることもできる。
この場合に、図28及び図29に示すように、薬の服用のために容器55を開封すると、記録された情報の検出が可能となる情報記録部(タグ)56を、容器55に設けて、容器55が開封された際に情報記録部56の記録情報を薬検出部(リーダ)で検出して、容器55ごと入手して服用された薬の種類と量を得ると共に、使用者が収納部から薬を一回分以上取り出して開封すると、服用量を超えた不適切な服用状態につながるものとして、通信端末80による報知で警告を行うようにすれば、使用者は適切な薬50のみを服用時間に薬服用管理装置から入手して服用することを、あらためて認識することとなり、薬の誤った服用を防止できる。
さらに、容器55の開封を検出した時間に係る情報を管理サーバ90に送信し、開封の検出が服用時間に行われていない、すなわち使用者が容器55を開封して薬を入手し、服用した時期が服用時間から外れている場合には、不適切状態として通信端末80による報知等で使用者に警告を行うようにしてもよい。
また、前記第1ないし第3の各実施形態に係る薬服用管理システムにおいては、薬服用管理装置に設けた薬検出部で、使用者が収納部を出た薬の種類及び量に係る第2の情報を検出し、この第2の情報を管理サーバ90に送信して、薬の服用管理に用いる構成としているが、この他、薬服用管理装置での情報検出に関わる内蔵電池の残量や、動作検出部、薬検出部、通信部、及び薬供給部の自己診断状態など、薬服用管理装置で得られる他の各種情報についても管理サーバ90に送信して、こうした情報を管理サーバ90で活用したり、管理サーバ90から必要に応じて使用者の通信端末80に情報を送信して、通信端末80から使用者に各部の状態の報知を行わせる構成とすることもできる。さらに、薬服用管理装置にLED等の発光により使用者に情報を報知可能な報知部を設けて、上記の内蔵電池残量や動作検出部等の異常状態の他、薬の服用時間になった状態や、収納部の薬50がほぼ無くなった状態、といった情報を、報知部からの報知により使用者が把握可能な構成とするようにしてもよい。