JP7293080B2 - 肉盛溶接割れ評価方法および管体の製造方法、および評価材 - Google Patents

肉盛溶接割れ評価方法および管体の製造方法、および評価材 Download PDF

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Description

本開示は、肉盛溶接割れ評価方法および管体の製造方法、および評価材に関するものである。
ボイラに用いられる火炉壁などには、内部に水や蒸気が流通する長尺の伝熱管と板状のフィンとが交互に溶接で接続された伝熱パネルが用いられるものがある。そして、伝熱管の耐腐食性を確保するために、伝熱管の表面に耐食性材料で螺旋巻溶接を行うことが知られている(例えば、特許文献1(段落0072等)参照)。特許文献1には、素管を回転させながらTIG溶接トーチを送る螺旋巻溶接により耐腐食層を素管の全周囲に形成することが開示されている。
特開2018-189282号公報
伝熱パネルに用いられる伝熱管は、内部が冷却水により冷却される一方で外部は高温環境にあるため、伝熱管の内側と外側とで熱伸び差が生じる。そして、伝熱管に生じる熱伸び差によって熱応力が繰り返しかかることにより、肉盛層を形成する溶接部に溶接割れが生じてしまう可能性がある。特に、肉盛溶接を行った溶接部の肉盛厚さが厚い場合や溶接部の凹凸が大きいほど、溶接割れが生じる可能性が高くなる場合がある。
さらに、通常の構造物相互間の溶接接合での溶接割れの評価とは異なり、伝熱管の外周表面に連続的に肉盛溶接を行った際に発生する熱影響部を含めて、溶接割れが生じないことを評価する必要があることが、発明者らにより明確になってきた。なお、肉盛溶接条件の適正を評価するにあたり、肉盛溶接を形成することにより発生する溶接割れは、肉盛溶接割れとして記載をしている。
肉盛溶接割れが生じにくい伝熱管を形成するためには、種々の溶接条件にて溶接された伝熱管の溶接状態を評価し、その評価結果に基づいて溶接条件を適切に設定する必要がある。溶接状態の評価方法としては、ASME(American Society of Mechanical Engineers)のSpec.IX規格が知られている。この規格は、表面に溶接が行われた対象物の一部を評価材として切り出し、評価材に曲げ加工を行い、評価材に溶接割れが発生しているか否かを評価するものである(ASME Spec.IXのQW-163,QW452.5,QW-462.2,QW-466.1等)。
しかしながら、ASMEのSpec.IXで規定される評価材は、溶接部が存在する面において、評価材の表面の全領域には溶接部が存在しておらず、曲げ加工が行われる位置を中心とした部分的な領域にのみ溶接部が存在している。そのため、曲げ加工が行われる位置の近傍の溶接部の評価はできるものの、その他の領域に溶接部が存在する場合の評価を適切に行うことができない可能性がある。
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、円筒状の管体の外周表面に形成された溶接部の肉盛溶接割れを適切に評価することが可能な肉盛溶接割れ評価方法を提供することを目的とする。また、肉盛溶接割れを適切に評価することが可能な肉盛溶接割れ評価方法による評価結果に基づいた適切な肉盛溶接条件で肉盛溶接が形成された管体を製造する製造方法を提供することを目的とする。また、肉盛溶接割れを適切に評価することが可能な肉盛溶接割れ評価方法に利用可能な評価材を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る肉盛溶接割れ評価方法は、軸線に沿って延びる円筒状の管体への肉盛溶接を形成した後の溶接割れを評価するものであり、前記管体の外周表面を覆うように前記軸線回りに螺旋状に延びる溶接部を形成する肉盛溶接を行う肉盛溶接工程と、前記肉盛溶接工程により前記溶接部が形成された前記管体を切断し、前記管体の表面に対応する面の全体に前記溶接部が形成された評価材を作成する評価材作成工程と、前記評価材作成工程により形成された前記評価材を所定の曲率半径で折り曲げる評価材曲げ工程と、前記評価材曲げ工程により折り曲げられた前記評価材に溶接割れが発生しているか否かを評価する溶接割れ評価工程と、を備える。
本開示の一態様に係る評価材は、軸線に沿って延びる円筒状の管体の外周表面に肉盛り溶接により形成された溶接部の肉盛溶接割れを評価するための評価材であって、外周表面を覆うように前記軸線回りに螺旋状に延びる前記溶接部により肉盛溶接が形成された前記管体から、前記軸線方向を長手方向とし前記軸線回りの周方向を短手方向とした所定サイズの短冊状に切り出され、所定の曲率半径で折り曲げることで、折り曲げられた前記評価材(EM)に肉盛溶接割れが発生しているか否かの評価を実施可能になるように、前記管体の外周表面に対応する面の全体に前記溶接部が形成されている。
本開示によれば、円筒状の管体の表面に形成された溶接部の肉盛溶接割れを適切に評価することが可能な肉盛溶接割れ評価方法を提供することができる。また、肉盛溶接割れを適切に評価することが可能な肉盛溶接割れ評価方法による評価結果に基づいた適切な肉盛溶接条件で肉盛溶接が形成された管体を製造する製造方法を提供することができる。また、肉盛溶接割れを適切に評価することが可能な肉盛溶接割れ評価方法に利用可能な評価材を提供することができる。
本開示の一実施形態に係るガス化炉設備が備えるガス化炉の縦断面図である。 図1に示すガス化炉壁の概略構成を示す横断面図である。 図1に示すガス化炉壁の概略構成を示す拡大断面図である。 本開示の一実施形態に係る溶接装置の側面図であり、伝熱管の表面に肉盛溶接を開始した状態を示す。 本開示の一実施形態に係る溶接装置の側面図であり、伝熱管の表面に肉盛溶接を行っている状態を示す。 本開示の一実施形態に係る溶接装置の側面図であり、伝熱管の表面への肉盛溶接を終了した状態を示す。 図4に示す可動台車の内部構造を示す斜視図である。 図4に示す溶接装置の制御構成を示す概略構成図である。 本実施形態の肉盛溶接割れ評価方法を示すフローチャートである。 溶接ビードが表面に形成された伝熱管を示す横断面図である。 伝熱管を切断して作成された評価材を示す斜視図である。 評価材の長手方向に沿って延びる切断面を示す側面図である。 曲げ加工治具に評価材を設置した状態を示す図である。 曲げ加工治具により評価材を折り曲げた状態を示す図である。 曲げ工程により折り曲げられた本実施形態の評価材を溶接ビードが形成された面からみた図である。 曲げ工程により折り曲げられた比較例の評価材を溶接ビードが形成された面からみた図である。 肉盛溶接条件に対する表面粗度の評価および肉盛溶接割れの評価を示す評価表である。
以下、本開示の一実施形態に係る肉盛溶接割れ評価方法で評価される伝熱管Tを溶接する溶接装置について、図面を参照して説明する。本実施形態の溶接装置200は、肉盛溶接を行う際に、冷却水(冷却媒体)を円筒状の伝熱管の内部に流通させることにより伝熱管自身および周囲を冷却して、伝熱管の外周表面に耐腐食性および耐熱性を向上させるための溶接材料を肉盛溶接する装置である。以下の説明で、上方や下方などの上と下の記載は鉛直方向での上や下を示すものとする。
本実施形態の溶接装置200により溶接材料が肉盛溶接された伝熱管は、複数の板材に溶接により連結されて伝熱パネルとなる。伝熱パネルは、例えば、ボイラの火炉の内部や、ガス化炉の内部に配置される。以下では、溶接材料が肉盛溶接された伝熱管を用いた伝熱パネルが配置される一例として、ガス化炉について図面を参照して説明する。図1は、本開示の一実施形態に係るガス化炉の縦断面図である。
図1に示すガス化炉101は、石炭ガス化複合発電設備(IGCC:Integrated Coal Gasification Combined Cycle)において、主に水素と一酸化炭素を含む生成ガスを生成する装置である。ガス化炉101に供給する燃料としては、例えば、石炭等の炭素含有固体燃料が用いられ、石炭ミル(図示略)などで粉砕することで、細かい粒子状に粉砕した微粉炭が供給される。燃料から可燃性ガス(生成ガス)を生成する燃焼方式として、空気を主とする酸化剤を用いる空気燃焼方式を用いている。ガス化炉101が生成した生成ガスは、発電機を回転駆動するガスタービンの燃焼器に供給される。
図1に示すように、ガス化炉101は、鉛直方向に延びて形成されており、鉛直方向の下方側に微粉炭及び酸素が供給され、部分燃焼させてガス化した生成ガスが鉛直方向の下方側から上方側に向かって流通している。ガス化炉101は、圧力容器110と、圧力容器110の内部に設けられるガス化炉壁111とを有している。ガス化炉壁111として、伝熱管Tを含む伝熱パネルが利用される。
ガス化炉101は、圧力容器110とガス化炉壁111との間の空間にアニュラス部115を形成している。また、ガス化炉101は、ガス化炉壁111の内部の空間において、鉛直方向の下方側(つまり、生成ガスの流通方向の上流側)から順に、コンバスタ部116、ディフューザ部117、リダクタ部118を形成している。
圧力容器110は、内部が中空空間となる筒形状に形成され、上端部にガス排出口121が形成される一方、下端部(底部)にスラグホッパ122が形成されている。ガス化炉壁111は、内部が中空空間となる筒形状に形成され、その壁面が圧力容器110の内面と対向して設けられている。本実施形態では圧力容器110は例えば円筒形状で、ガス化炉壁111のディフューザ部117も例えば円筒形状に形成されている。そして、ガス化炉壁111は、図示しない支持部材により圧力容器110内面に連結されている。
ガス化炉壁111は、圧力容器110の内部を内部空間154と外部空間156に分離する。ガス化炉壁111は、横断面形状がコンバスタ部116とリダクタ部118との間のディフューザ部117で変化する形状とされている。ガス化炉壁111は、鉛直上方側となるその上端部が、圧力容器110のガス排出口121に接続され、鉛直下方側となるその下端部が圧力容器110の底部と隙間を空けて設けられている。
圧力容器110の底部に形成されるスラグホッパ122には、貯留水が溜められており、ガス化炉壁111の下端部が貯留水に浸水することで、ガス化炉壁111の内外を封止している。ガス化炉壁111には、バーナ装置126,127が挿入され、内部空間154にシンガスクーラ102が配置されている。
アニュラス部115は、圧力容器110の内側とガス化炉壁111の外側に形成された空間、つまり外部空間156であり、空気分離設備(図示略)で分離された不活性ガスである窒素が、図示しない窒素供給ラインを通って供給される。このため、アニュラス部115は、窒素が充満する空間となる。なお、このアニュラス部115の鉛直方向の上部付近には、ガス化炉101内を均圧にするための図示しない炉内均圧管が設けられている。炉内均圧管は、ガス化炉壁111の内外を連通して設けられ、ガス化炉壁111の内部(コンバスタ部116、ディフューザ部117及びリダクタ部118)と外部(アニュラス部115)との圧力差を所定圧力以内となるよう略均圧にしている。
コンバスタ部116は、微粉炭及びチャー(石炭の未反応分と灰分)と空気とを一部燃焼させる燃焼室となっており、コンバスタ部116におけるガス化炉壁111には、複数のバーナ装置126からなる燃焼装置が配置されている。コンバスタ部116で微粉炭及びチャーの一部を燃焼した高温の燃焼ガスは、ディフューザ部117を通過してリダクタ部118に流入する。
リダクタ部118は、ガス化反応に必要な高温状態に維持されコンバスタ部116からの燃焼ガスに微粉炭を供給し部分酸化燃焼させて、微粉炭を揮発分(一酸化炭素、水素、低級炭化水素等)へと分解してガス化されて生成ガスを生成する空間となっており、リダクタ部118におけるガス化炉壁111には、複数のバーナ装置127からなる燃焼装置が配置されている。
次に、ガス化炉壁111について図面を参照して説明する。図2は、図1に示すガス化炉壁111の概略構成を示す横断面図である。図3は、図1に示すガス化炉壁111の概略構成を示す拡大断面図である。
ガス化炉壁111の水平方向の断面形状は、多角筒形状や円筒形状の筒形状であるが、図3に示す形態では円筒形状のものの例であり、筒形状となる壁部140に複数の水冷壁管142が設けられている。つまり壁部140の一部に複数の水冷壁管142が同心円状に配置して設けられている。
ガス化炉101は、水冷壁管142内に冷媒(冷却水として給水や蒸気など)を循環させる冷却水循環機構(図示略)を有する。複数の水冷壁管142は、ガス化炉101を全域にわたって鉛直方向に沿って延設されており、一部が切断されることなく鉛直方向上下に伸び、周方向に並設されることで、ガス化炉101の壁部140が形成されている。
図3に示すように、水冷壁管142の少なくとも一部は、伝熱管Tと、伝熱管Tの外周に設けられた溶接ビードWBと、を有する。伝熱管Tは、内部に冷却水が流れる管路である。溶接ビードWBは、伝熱管Tの周方向の全周に配置され、伝熱管Tの外周面を覆っている。溶接ビードWBは、後述する溶接装置200が伝熱管Tの外周表面に肉盛溶接を行うことで形成される。
壁部140は、水冷壁管142と水冷壁管142との間に板材(フィン)166が設けられている。本実施形態の壁部140は、複数の水冷壁管142を同心円状に配置し、水冷壁管142と水冷壁管142との間を板材166で塞ぐことで、筒形状を形成している。また、壁部140は、水冷壁管142の溶接ビードWBと板材166とを連結する溶接部168を有する。溶接部168は、溶接ビードWBと板材166との接触部分の内部空間154側の端部と、外部空間156側の端部に形成されている。溶接部168は、溶接により形成され、溶接ビードWBと板材166との両方と密着することで、水冷壁管142の溶接ビードWBと板材166とを連結する。
ガス化炉壁111は、伝熱管Tが第1材料で製作され、溶接ビードWBが第2材料で作製されている。また、板材166及び溶接部168は、第2材料で作製されていてもよい。第1材料及び第2材料は、金属である。第2材料は、第1材料よりも耐食性(耐腐食性)が高く、かつ、耐熱性が高い材料である。ガス化炉壁111は、溶接ビードWBを伝熱管Tよりも耐食性が高く、かつ、耐熱性が高い材料で形成することで、伝熱管Tを保護することができる。
具体的には、ガス化炉壁111の内側の可燃性ガスが流れる内部空間154は、酸化剤(酸素を含むガス)と燃料が部分燃焼されてガス化した生成ガスとなって流れ、かつ高温となる。伝熱管Tの内部空間154側の面を溶接ビードWBで覆うことで、伝熱管Tを腐食や高温の使用環境から保護することができる。
また、ガス化炉壁111の伝熱管Tや溶接ビードWBや板材166に石炭などのスラグが付着と脱落を発生することで、ガス化炉壁111の壁面の温度変化が発生して、伝熱管Tや溶接ビードWBで温度分布が生じると、材質の違いによる熱膨張差の影響が大きくなり、局部的な熱応力が大きくなる場合があるので溶接ビードWBは耐熱性が高い材料で形成している。
さらにガス化炉壁111のコンバスタ部116、ディフューザ部117、リダクタ部118の内側の内部空間154では1500℃を越える高温雰囲気であることで温度差は大きくなり易い。このため本実施形態では、ガス化炉壁111の外部空間156側と内部空間154側は、伝熱管Tの軸心と板材166の板厚中心を結ぶ面に対して対称となる同じ形状としてあり、局所的な温度分布が発生しても熱膨張差による熱負荷の増大を抑制することができて、ガス化炉壁111の耐久性を向上できる。
次に、伝熱管Tの外周表面に螺旋状に肉盛溶接を行う溶接装置200について、図面を参照して説明する。図4は、本開示の一実施形態に係る溶接装置200の側面図であり、伝熱管Tの表面に肉盛溶接を開始して溶接ビードWBが形成され始めた状態を示す。図5は、本開示の一実施形態に係る溶接装置200の側面図であり、伝熱管Tの外周表面に肉盛溶接を行って溶接ビードWBが形成している状態を示す。
図6は、本開示の一実施形態に係る溶接装置200の側面図であり、伝熱管Tの表面への肉盛溶接を終了した状態を示す。図7は、図4に示す可動台車10の内部構造を示す斜視図である。図8は、図4に示す溶接装置200の制御構成を示す概略構成図である。
図4から図6に示す溶接装置200は、ガス化炉壁111の水冷壁管142に対して、伝熱管T外周表面に、溶接材料を螺旋状に肉盛溶接して溶接ビードWBを形成する装置である。図4から図6に示すように、伝熱管Tは、紙面水平方向に延びる軸線Xに沿って配置される円筒状の管体である。図4から図6に示すように、溶接装置200は、可動台車10と、肉盛溶接機構20と、下方支持機構30と、上方支持機構40と、冷却機構50と、計測機構60と、本体部70と、撮像部80と、表示部85と、制御部90と、を備える。
溶接装置200は、伝熱管Tを設置面Sに平行となるように設置面Sから一定の高さに配置して下方支持機構30および上方支持機構40により支持する。溶接装置200は、可動台車10により、伝熱管Tを移動方向MDに沿って所定の速度で移動させながら軸線X回りに所定の回転数で回転させる。溶接装置200は、移動方向MDに沿って移動しながら軸線X回りに回転する伝熱管Tに対して、紙面上方に設置面Sに対して固定して位置に設置された肉盛溶接機構20により肉盛溶接を行う。
図4に示す状態で伝熱管Tの表面に肉盛溶接が開始され、図5に示すように螺旋状に形成される溶接ビードWBの範囲が増加し、図6に示す状態で伝熱管Tの表面への肉盛溶接が終了する。溶接装置200は、図4から図6までの動作を実行することにより、伝熱管Tの表面に溶接材料を螺旋状に肉盛溶接された溶接ビードWBを形成する。
可動台車10は、伝熱管Tを軸線Xに沿って所定速度で移動させながら所定速度で回転させる機構の一例である。図12に示すように、可動台車10は、伝熱管Tを軸線Xに沿って移動させる移動機構11と、伝熱管Tを軸線X回りに回転させる回転機構12とを備える。
図7に示すように、移動機構11は、移動用モータ11aを駆動させることにより、駆動軸11bに連結された第1ギア11cを駆動軸11bと同軸方向に回転させ、第1ギア11cに係合した第2ギア11dを回転させる。第2ギア11dは、連結軸11eを介して連結された第3ギア11fを回転させる。第3ギア11fは、溶接装置200が設置される設置面Sに対して固定された本体部70に設けられたラックギア71と係合している。そのため、第3ギア11fが回転することにより、移動機構11の台車部11gが本体部70のレール72に沿って移動方向MDに移動する。ここで、移動方向MDは、伝熱管Tの軸線X方向と平行な方向である。
伝熱管Tは、回転機構12により、可動台車10に軸線X回りに回転可能な状態で、移動機構11に対して軸線X方向に移動しないように伝熱管Tの外周表面を固定部12eで保持して固定されている。そのため、移動機構11が軸線Xに沿って移動すると、伝熱管Tもそれに伴って軸線Xに沿って移動する。このように、移動機構11は、移動用モータ11aを駆動させることにより、伝熱管Tを軸線Xに沿って移動させる。移動用モータ11aの駆動は、制御部90から伝達される制御信号により制御される。
図7に示すように、回転機構12は、回転用モータ12aを駆動させることにより、駆動軸12bに連結された第1ギア12cを回転させ、第1ギア12cに係合した第2ギア12dを回転させる。第2ギア12dは、伝熱管Tの外周表面を保持して第2ギア12dに対して回転不能に固定される固定部12eと一体となるように連結されている。そのため、第2ギア12dが回転すると、伝熱管Tもそれに伴って軸線X回りに回転する。
このように、回転機構12は、回転用モータ12aを駆動させることにより、伝熱管Tを軸線X回りに一定の方向に所定の回転数で回転させる。回転用モータ12aの駆動は、制御部90から伝達される制御信号により制御される。
肉盛溶接機構20は、軸線X上の所定の溶接位置を通過する伝熱管Tの外周表面に溶接材料を供給しながら螺旋状に溶接ビードWBを形成する装置である。肉盛溶接機構20は、溶接装置200が設置される設置面Sに対して本体部70を介して固定されている。肉盛溶接機構20は、例えばタングステン電極(図示略)を有する溶接トーチ21により、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接を行う。肉盛溶接機構20は、制御部90から伝達される制御信号によりタングステン電極に電圧を印可して電流を供給することで、タングステン電極の先端と伝熱管Tの外周表面との間に溶接電流が流れてアークを形成して温度が上昇する。
溶接トーチ21によって形成されたアークに対して、溶接ワイヤ(溶接材料)が供給されるようになっている。溶接ワイヤは、制御部90から伝達される制御信号によって所定の送給量が供給されるようになっており、溶接ワイヤに電流を流すことによって、ジュール熱で溶接ワイヤが加熱される。本実施形態の溶接ワイヤとしては、例えばインコネル(登録商標)等の固溶強化型ニッケル基合金や高クロム含有合金を含む耐腐食性材料などを用いることができる。
肉盛溶接機構20は、本体部70に固定されているが、伝熱管Tは移動方向MDに沿って移動し、かつ軸線X回りに回転している。そのため、肉盛溶接機構20は本体部70の固定された位置で伝熱管Tへの溶接を行うことで、伝熱管Tの外周表面上に耐腐食性材料が、螺旋状に肉盛溶接される。また、肉盛溶接機構20は本体部70の固定された位置であるために、溶接トーチ21と伝熱管Tの位置関係を精度高く管理することができる。
下方支持機構30は、伝熱管Tを下方から支持する機構であり、設置面Sに対して固定されている。下方支持機構30は、第1下方支持部31と、第2下方支持部32と、第3下方支持部33と、を備える。第1下方支持部31は、肉盛溶接機構20に最も近接した位置で伝熱管Tの下方側の外周表面を支持し、肉盛溶接機構20が固定される本体部70に対して固定されている。第2下方支持部32は、第1下方支持部31に隣接して配置され、第1下方支持部31よりも軸線Xに沿った伝熱管Tの移動方向MDの上流側(紙面右側)に配置されている。
第3下方支持部33は、第1下方支持部31に対して伝熱管Tの移動方向MDの下流側(紙面左側)の複数箇所と、第2下方支持部32に対して伝熱管Tの移動方向MDの上流側(紙面右側)の複数箇所に配置される。第3下方支持部33は、伝熱管Tを支持する先端位置の設置面Sに対して直交する方向(紙面上下方向)の距離を調整可能な高さ調整機構(切替機構)33cを備える。
高さ調整機構33cは、伝熱管Tを支持する位置に第3下方支持部33の先端を保持する支持状態と、伝熱管Tを支持しない位置に第3下方支持部33の先端を退避させた退避状態とを切り替え可能な機構である。高さ調整機構33cは、第3下方支持部33の先端位置を、設置面Sに対して直交する方向(紙面上下方向)に沿って移動させる機構である。高さ調整機構33cは、例えば、圧縮空気源(図示略)から供給される圧縮空気の圧力によって鉛直方向上下に伸縮して、図示しないストッパで第3下方支持部33の先端位置を管理する機構となっている。
第3下方支持部33のうち、第1下方支持部31に対して伝熱管Tの移動方向MDの下流側の複数箇所に配置されるものは、可動台車10の移動方向MDへの移動に際して接触しないように高さ調整機構33cにより先端位置を下方側へ退避状態となるように移動させる。伝熱管Tの移動方向MDの最も下流側に配置される第3下方支持部33は、図4および図5に示す状態では、可動台車10が通過していないため、可動台車10との接触を避けるために第3下方支持部33の先端位置を退避状態となる。一方、図6に示す状態では、可動台車10が通過しているため、第3下方支持部33の先端位置は支持状態となる。
第3下方支持部33のうち、第1下方支持部31に対して伝熱管Tの移動方向MDの上流側の複数箇所に配置されるものは、冷却機構50に接触しないように高さ調整機構33cにより第3下方支持部33の先端位置を退避状態となるように移動させる。伝熱管Tの移動方向MDの最も上流側に配置される第3下方支持部33は、図4に示す状態では、冷却機構50が通過していないため、第3下方支持部33の先端位置は支持状態となる。一方、図5および図6に示す状態では、冷却機構50が通過しているため、冷却機構50との接触を避けるために第3下方支持部33の先端位置は退避状態となる。
上方支持機構40は、伝熱管Tを上方から支持する機構であり、肉盛溶接機構20が固定される本体部70に対して固定されている。上方支持機構40は、肉盛溶接機構20よりも伝熱管Tの移動方向MDの上流側かつ肉盛溶接機構20に近接した位置で伝熱管Tを支持することにより、肉盛溶接機構20の溶接トーチ21から伝熱管Tまでの距離や溶接トーチ21との角度など溶接トーチ21と伝熱管Tの位置関係が変動することを抑制する。上方支持機構40は、高さ調整機構により、伝熱管Tを支持する先端位置の設置面Sに対して直交する方向(紙面上下方向)の距離を調整可能となっている。
冷却機構50は、伝熱管Tの移動方向MDの上流側端部Tuから冷却水(冷却媒体)を伝熱管T内に流入させるとともに伝熱管Tの移動方向MDの下流側端部Tdから冷却水を伝熱管T内から流出させることにより伝熱管Tを内部から冷却する機構である。ここで冷却媒体は、水の他に、熱媒体や機械作動油などの液体や、窒素などの気体を用いてもよい。
冷却機構50は、伝熱管Tの移動方向MDに沿って、上流側端部Tuから下流側端部Tdに向けて伝熱管T内に流入した冷却水を流通させる。伝熱管Tの上流側端部Tuから溶接位置までの領域は、溶接ビードWBが形成されていない領域である。そのため、冷却水は、伝熱管Tの中で最も高温となる溶接位置近傍へは加熱されて温度上昇されない状態で供給され、溶接位置の近傍の伝熱管Tを適切に効果的に冷却することができる。これにより、伝熱管Tの溶接ビードWBが形成時に熱影響による溶け込み量の変化や熱応力による伝熱管Tの反り変形を抑制することができる。
計測機構60は、肉盛溶接機構20が配置される溶接位置よりも移動方向MDの下流側に配置される機構である。計測機構60は、例えば非接触式のセンサを用いることにより、計測位置を通過する伝熱管Tの外径を計測する機構である。制御部90は、計測機構60から伝達される肉盛溶接がされていない伝熱管Tの外径と肉盛溶接がされた伝熱管Tの外径とに基づいて、溶接ビードWBの肉盛厚さが適切な厚さとなっているかどうかを判断することができる。
制御部90は、例えば、溶接ビードWBの肉盛厚さが適切な厚さでないと判断した場合、肉盛厚さ目標範囲から外れて適切な厚さでないことを示す情報を表示部85に表示させる。また、制御部90は、肉盛溶接機構20による伝熱管Tの肉盛溶接を一時停止するよう肉盛溶接機構20を制御してもよい。このとき、制御部90は、肉盛溶接機構20による伝熱管Tの各種の肉盛溶接条件を設定値との差異の情報を表示部85に表示して、肉盛厚さが適切な厚さから外れた要因を判断し易くするようにしても良い。
本体部70は、溶接装置200が設置される設置面Sに対して固定される筐体である。本体部70には、肉盛溶接機構20と、第1下方支持部31と、上方支持機構40が固定される。また、本体部70は、図7に示すラックギア71およびレール72を備え、可動台車10がレール72に沿って軸線X方向に平行な移動方向MDへ往復移動が可能となっている。
撮像部80は、溶接トーチ21の先端に設けられるタングステン電極の先端と伝熱管Tの外周表面とを含む溶接位置の近傍を撮像する撮像装置である。撮像部80は、撮像した溶接位置の近傍の画像を表示部85に出力することができる。溶接装置200を操作する作業者は、表示部85に表示される画像を目視することで、肉盛溶接機構20により伝熱管Tに形成される溶接ビードWBに異常がないかどうかを確認することができる。作業者は、溶接ビードWBに異常があると判断した場合は、溶接装置200の動作を一時停止させる。また、撮像部80で撮像された画像を制御部90で解析し、異常があると判断した場合は、制御部90からの信号で自動的に溶接装置200の動作を一時停止させてもよい。
制御部90は、図8の制御構成図に示すように、移動機構11と、回転機構12と、肉盛溶接機構20とを含む溶接装置200の各部を制御する装置である。制御部90は、移動機構11が伝熱管Tを軸線Xに沿って移動方向MDに所定の一定の移動速度で移動させ、かつ回転機構12が伝熱管Tを軸線X回りに所定の一定の回転速度で回転させる状態で、肉盛溶接機構20が伝熱管Tの外周表面に螺旋状に肉盛溶接を行うよう制御する。
制御部90は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。
本実施形態において、伝熱管Tは、例えば、低合金鋼により形成されている。溶接されていない伝熱管Tの外径は、例えば、30mm以上かつ50mm以下である。また、伝熱管Tの軸線Xに沿った長さは、例えば、2000mm以上かつ8000mm以下である。溶接装置200は、伝熱管Tの外周表面に形成される溶接ビードWBの肉盛厚さが、例えば1mm以上かつ2.5mm以下となるように肉盛溶接機構20による溶接を行う。溶接ビードWBの肉盛厚さは、例えば耐腐食性と耐熱性から伝熱管Tを保護することができるものとして設定される。
制御部90は、溶接ビードWBの肉盛厚さが、1mm以上かつ2.5mm以下となるように、移動機構11による伝熱管Tの軸線X方向の所定の移動速度が設定され、回転機構12による軸線X回りの伝熱管Tの所定の回転速度が設定されている。制御部90は、計測機構60から伝達される計測値に基づいた、肉盛溶接がされた伝熱管Tの外径および/または溶接ビードWBの肉盛厚さが目標仕様の範囲内になるよう、伝熱管Tの軸線X方向の移動速度と、軸線X回りの伝熱管Tの回転速度を所定範囲内で制御してもよい。
制御部90は、伝熱管Tの軸線X方向の移動速度(送り速度)が例えば20mm/min以上かつ50mm/min以下となるように移動機構11を制御する。また、制御部90は、伝熱管Tの軸線X回りの回転速度が例えば5rpm以上かつ10rpm以下となるように回転機構12を制御する。
次に、本実施形態の溶接装置200により伝熱管Tの外周表面に形成された溶接ビードWBの肉盛溶接割れを評価する肉盛溶接割れ評価方法について、図面を参照して説明する。図9は、本実施形態の肉盛溶接割れ評価方法を示すフローチャートである。図10は、溶接ビードWBが外周表面に形成された伝熱管Tを示す横断面図である。
図11は、伝熱管Tを切断して作成された評価材EMを示す斜視図である。図12は、評価材EMの長手方向に沿って延びる切断面CSを示す側面図である。図13は、曲げ加工治具300に評価材EMを設置した状態を示す図である。図14は、曲げ加工治具300により評価材EMを折り曲げた状態を示す図である。
図9に示す本実施形態の肉盛溶接割れ評価方法は、軸線Xに沿って延びる円筒状の伝熱管(管体)Tの外周表面に形成された溶接ビードWBの肉盛溶接割れを評価するものである。
ステップS101で、制御部90は、溶接装置200に設置された伝熱管Tの外周表面を覆うように軸線X回りに螺旋状に延びる溶接ビードWBを形成する肉盛溶接を行う第1溶接工程を実行するよう溶接装置200を制御する。
制御部90は、第1溶接工程を実行する際に、予め定められた所定の肉盛溶接条件を設定して肉盛溶接を行う。肉盛溶接条件には、伝熱管Tに溶接を行う肉盛溶接機構20に対する伝熱管Tの軸線X回りの回転数Rtと、肉盛溶接機構20に対する伝熱管Tの軸線X方向への移動速度Vtとの比率である溶接ピッチ(Vt/Rt)が含まれる。
ステップS102では、伝熱管Tの肉盛溶接割れを評価するための評価材EMを作成する。図10から図12に示すように、評価材EMは、第1溶接工程により溶接ビードWBが外周表面に形成された伝熱管Tの一部を切断することにより作成される。評価材EMは、伝熱管Tの外周表面に対応する溶接面WSの全周に螺旋状に溶接ビードWBが形成され、溶接面WSに対して略直交する面が切断面CSとなっている。
図11に示すように、ステップS102で作成される評価材EMは、軸線X方向を長手方向とし、軸線X回りの周方向を短手方向とした短冊状に切り出して形成される。評価材EMの長手方向の長さL1は、例えば、200mm以上かつ300mm以下である。評価材EMの短手方向の長さL2は、例えば、約10mmである。評価材EMの一方向の表面全面には溶接ビードWBが形成されている。
ステップS103では、第1溶接工程により溶接ビードWBが形成された伝熱管Tの溶接ビードWB部分の凹凸形状の起伏として表面粗度を計測し、表面粗度が評価基準を満たしているかどうかを評価する。表面粗度とは、図12に示すように、伝熱管Tの一部(例えば、軸線Xに沿った長手方向が50mmの部分)において、溶接ビードWBの高さが最も高い位置であるBUmaxと、溶接ビードWBの高さが最も低い位置であるBUminとの差分であるBUtのことを示す。例えば、BUtが0.15mm以下であれば評価基準を満たし、BUtが例えば0.15mmより大きければ評価基準を満たさないものとする。
ステップS104では、表面粗度BUtが例えば0.15mm以下であれば評価基準を満たすと判断してステップS105へ処理を進め、表面粗度BUtが例えば0.15mmより大きければ評価基準を満たさないと判断してステップS110へ処理を進める。
ステップS105では、ステップS102で作成された評価材EMを折り曲げる評価材曲げ工程が実行される。ステップS105の評価材曲げ工程は、曲げ加工治具300を用いて実行される。図13および図14に示すように、曲げ加工治具300は、加圧用治具310と、本体治具320とを有する。
加圧用治具310は、先端に曲率半径r1の半円筒状(円弧状)の外周面311を有する部材である。本体治具320は、曲率半径r2の半円筒状(円弧状)の内周面321を有する部材である。曲率半径r2と曲率半径r1との差分は、評価材EMの短手方向の長さL2と略一致している。曲率半径r1は、短冊状に切り出して形成される評価材EMのサイズに対して、折り曲げにより伝熱管Tが座屈破断しない範囲で適切に設定された所定の曲率半径であり、例えば、約20mmであり、曲率半径r2は、r2=r1+L2±評価材EMの切り出し誤差で設定される。
ステップS105で、曲げ加工治具300の作業者は、本体治具320の中心部と評価材EMの長手方向の中央部が鉛直方向に一致するように載置する。図13に示すように、評価材EMは、長手方向に延びる切断面CSに加圧用治具310が突き当てられるように配置される。その後、作業者は、評価材EMの長手方向の中央部に加圧用治具310の先端の外周面311を突き当てる。
図13に示す状態に評価材EMを設置した後、作業者は、油圧シリンダ等の加圧機構により加圧用治具310を下方に向けて移動させ、評価材EMの長手方向の中央部に加圧用治具310の外周面311を突き当てて評価材EMを折り曲げる。評価材EMが本体治具320の内周面321に接触する位置まで加圧用治具310を押し下げると、図14に示す状態となる。
図14に示す状態で、評価材EMは、加圧用治具310の外周面311と本体治具320の内周面321の双方に隙間なく接触する状態まで折り曲げられて略U字状となる。評価材EMの短手方向の長さL2、加圧用治具310の外周面311の曲率半径r1と本体治具320の内周面321の曲率半径r2や評価材EMの切り出し誤差などの各サイズによっては、隙間が小さくなった状態まで折り曲げられて略U字状となる。
ステップS106では、ステップS105で曲げ加工治具300により折り曲げられた評価材EMの溶接ビードWBの表面および溶接面WSと溶接ビードWBとの間(熱影響部)に溶接割れが発生しているか否かを評価する。肉盛溶接割れの評価は、例えば、浸透探傷試験(Penetrant Testing)により行われてもよい。
従来は肉盛溶接に対して製品としての十分な評価が行われていなかったが、曲げ加工治具300により折り曲げられた評価材EMに、例えば浸透探傷試験により溶接割れが発生しているか否を評価することで、溶接ビードWBや伝熱管Tの熱影響部の曲げ加工による強度低下を加味した評価が行われ、製品として問題なく使用できる伝熱管Tであるかどうかを適切に評価することができる。
浸透探傷試験は、以下の手順により行われる。まず、評価材EMに付着する油や汚れなどの不純物を洗浄液など使用して除去する。次に、評価材EMの溶接ビードWBの全領域に溶接割れ部分への浸透性の高い着色された浸透液を塗布する。評価材EMに溶接割れが発生している場合には、溶接割れ部分に浸透液が浸透する。次に、評価材EMの表面に塗布された浸透液を、水等を用いて除去する。評価材EMに溶接割れが発生している場合には、溶接割れ部分に浸透した浸透液は水等では除去されずに残存する。
次に、溶接ビードWBの全領域に溶接割れ部分へ侵入する現像剤を塗布する。評価材EMに溶接割れが発生している場合には、溶接割れ部分へ現像剤が侵入し、現像剤が侵入したことによって浸透液が評価材EMの表面に吸い上げられる。評価材EMの表面に吸い上げられた浸透液は、溶接割れの部分よりも拡大した領域に広がる。そのため、評価材EMを観察する作業者は、溶接割れが発生しているかどうかを外観の目視により適切に評価することができる。
ステップS107で、作業者は、浸透探傷試験が行われた評価材EMの外観を目視することにより、評価材EMに溶接割れが発生しているか否かを判断する。評価材EMに溶接割れが発生していない場合には、肉盛溶接が評価基準を満たすと判断し、ステップS108へ処理を進める。一方、評価材EMに溶接割れが発生している場合には、肉盛溶接が評価基準を満たさないと判断し、ステップS110へ処理を進める。
作業者は、着色された浸透液が視認できる場合には溶接割れが発生して肉盛溶接が評価基準を満たさないと判断し、着色された浸透液が視認できない場合には溶接割れが発生しておらず肉盛溶接が評価基準を満たすと判断する。なお、作業者は、着色された浸透液が視認できる場合であっても、浸透液が広がる領域が所定の大きさ以下(例えば、最大の長さが3mm以下)である場合には、溶接割れが発生していないと判断してステップS108へ処理を進めるようにしてもよい。
ステップS108で、作業者は、ステップS101で肉盛溶接が行われた伝熱管Tの表面粗度が評価基準を満たし、かつステップS101で肉盛溶接が行われた伝熱管Tから切り出した評価材EMが溶接割れの評価基準を満たすため、ステップS101での肉盛溶接条件を適切な肉盛溶接条件として溶接装置200に設定する。
ステップS109で、溶接装置200は、ステップS108で設定された肉盛溶接条件で溶接ビードWBが形成されていない伝熱管Tの表面に肉盛溶接を行う第2溶接工程を実行する。ステップS108で設定される肉盛溶接条件は、肉盛溶接された伝熱管Tに溶接割れが発生しない適切な肉盛溶接条件であるため、溶接割れの発生しない適切な肉盛溶接された伝熱管Tが製造される。ステップS109が終了すると、本フローチャートの処理が終了する。
ステップS110で、作業者は、ステップS101で肉盛溶接が行われた伝熱管Tの表面粗度が評価基準を満たさず、あるいはステップS101で肉盛溶接が行われた伝熱管Tから切り出した評価材EMが溶接割れの評価基準を満たさないため、ステップS101での肉盛溶接条件を変更し、新たな肉盛溶接条件を溶接装置200に設定する。
作業者は、肉盛溶接条件として、例えば、伝熱管Tに溶接を行う肉盛溶接機構20に対する伝熱管Tの軸線X回りの回転数Rtと、肉盛溶接機構20に対する伝熱管Tの軸線X方向への移動速度Vtのいずれか、もしくは両方を変更して、移動速度Vtと回転数Rtとの比率である溶接ピッチ(Vt/Rt)を変更する。
以上の図9に示すフローチャートを実行することにより、肉盛溶接が行われた伝熱管Tの表面粗度が評価基準を満たし、かつ肉盛溶接が行われた伝熱管Tから切り出した評価材EMが溶接割れの評価基準を満たすように、適切に肉盛溶接が可能な肉盛溶接条件が設定される。そして、要求される肉盛溶接の製品仕様を満足する適切な肉盛溶接条件により肉盛溶接が行われた伝熱管Tを製造することができる。
次に、図15から図17を参照して、本実施形態の評価方法と、比較例の評価方法とを対比した一例を用いて説明する。図15は、評価材曲げ工程により折り曲げられた本実施形態の評価材EMを溶接ビードWBが形成された面からみた図である。図16は、評価材曲げ工程により折り曲げられた比較例の評価材EM´を溶接ビードWBが形成された面からみた図である。図17は、肉盛溶接条件に対する表面粗度の評価および肉盛溶接割れの評価を示す評価表の一例である。
図15に示すように、本実施形態の評価材EMは、伝熱管Tの表面に対応する溶接面WSの全体に溶接ビードWBが形成されたものである。一方、図16に示すように、比較例の評価材EM´は、伝熱管Tの表面に対応する溶接面WSの長手方向の中央部の近傍領域にのみ溶接ビードWB´が形成され、評価材曲げ工程により折り曲げられた近傍領域にのみ溶接ビードWB´が形成されたものである。
まず、表面粗度の評価について説明する。溶接装置200においては、肉盛溶接機構20に対する伝熱管Tの軸線X方向への移動速度が大きくなると、肉盛溶接機構20により形成される溶接ビードWBの軸線Xに沿った間隔(ビード間隔)が広くなり、溶接ビードWBの凹凸形状の起伏が大きくなって肉盛溶接割れが発生しやすくなる条件がある。図17では、条件3の溶接ピッチを基準(1.0)とし、他の条件を基準に対する比率で示している。
図17に示すように、溶接ピッチが条件3よりも1.17倍大きい条件5においては、表面粗度が0.15mmより大きくなり表面粗度の評価基準を満たさない。一方、溶接ピッチが条件4の溶接ピッチ(条件3の溶接ピッチの1.08倍)以下であれば、溶接ピッチが小さいため、表面粗度の評価基準を満たす。
次に、肉盛溶接割れの評価について説明する。溶接装置200においては、肉盛溶接機構20に対する伝熱管Tの軸線X回りの回転数Rtが高くなると、肉盛溶接機構20により形成される溶接ビードWBの軸線Xに沿った間隔(ビード間隔)が狭くなり、溶接ビードWBの重なりが大きくなることで熱影響が局所に集中して肉盛溶接時の伝熱管Tへの熱影響が大きくなり、伝熱管Tの靭性が低下することで、肉盛溶接による割れが発生しやすくなる。
図17に示すように、本実施形態の評価材EMを用いて肉盛溶接割れの評価を評価した場合、溶接ピッチが条件3の溶接ピッチ以上である場合は肉盛溶接による熱影響が局所への集中が過剰にならず、肉盛溶接割れが発生しないと評価される。一方、条件2の溶接ピッチ(条件3の溶接ピッチの0.97倍)以下である場合は肉盛溶接による熱影響が局所への集中が過剰となり、伝熱管Tの靭性の低下により、溶接割れが発生していると評価される。
一方、比較例の評価材EM´を用いて肉盛溶接割れの評価を評価した場合、溶接ピッチが条件2の溶接ピッチ以上である場合は肉盛溶接による熱影響が局所に集中が過剰にはならなく、肉盛溶接割れが発生するに至らなかったと評価される。一方、条件1の溶接ピッチ(条件3の溶接ピッチの0.93倍)以下である場合は、熱影響が局所に集中が過剰となり、伝熱管Tの靭性の低下により、溶接割れが発生していると評価される。
本実施形態の評価材EMを用いた肉盛溶接割れの評価方法と、比較例の評価材EM´を用いた肉盛溶接割れの評価方法を対比すると、本実施形態の評価方法では条件2は肉盛溶接割れが発生する肉盛溶接条件であると評価されるのに対し、比較例の評価方法では条件2は肉盛溶接割れが発生しない肉盛溶接条件であると評価される。同じ条件2において、本実施形態の評価材EMと比較例の評価材EM´では肉盛溶接割れの評価結果が異なっている。
本実施形態の評価方法で条件2は肉盛溶接割れが発生する肉盛溶接条件であると評価しているのは、評価材EMに、曲げ加工が行われる位置を中心とした部分的な領域だけでなく、その他の領域にも溶接ビードWBが存在しているためである。本実施形態の評価方法では、曲げ加工が行われる位置から離れた位置において肉盛溶接が行われることにより肉盛溶接割れが発生し易くなる条件があることを適切に評価し、条件2を不適切な肉盛溶接条件であると判別することができる。
このように、本実施形態と比較例の評価方法を対比すると、本実施形態の評価材EMを用いた肉盛溶接割れの評価方法の方が、比較例よりも曲げ加工が行われる位置から離れた位置において肉盛溶接割れが発生する肉盛溶接条件が不適切であることを適切に判断することができる。
以上説明した各実施形態に記載の肉盛溶接割れ評価方法は、例えば以下のように把握される。
本開示に係る肉盛溶接割れ評価方法は、軸線に沿って延びる円筒状の管体への肉盛溶接を形成した後の溶接割れを評価する肉盛溶接割れ評価方法であって、前記管体の外周表面を覆うように前記軸線回りに螺旋状に延びる溶接部を形成する肉盛溶接を行う肉盛溶接工程と、前記溶接工程により前記溶接部が形成された前記管体を切断し、前記管体の表面に対応する面の全体に前記溶接部が形成された評価材を作成する評価材作成工程と、前記評価材作成工程により形成された前記評価材を所定の曲率半径で折り曲げる評価材曲げ工程と、前記評価材曲げ工程により折り曲げられた前記評価材に溶接割れが発生しているか否かを評価する肉盛溶接割れ評価工程と、を備える。
本開示に係る肉盛溶接割れ評価方法によれば、評価材曲げ工程により折り曲げられる評価材は、螺旋状に延びる溶接部が形成された管体を切断し、管体の外周表面に対応する面の全体に溶接部が形成されたものである。評価材には、評価材曲げ加工が行われる位置を中心とした部分的な領域だけでなく、その他の領域にも溶接部が存在する。そのため、曲げ加工が行われる位置における肉盛溶接割れの評価だけでなく、曲げ加工が行われる位置から離れた位置における肉盛溶接割れの評価も適切に行うことができる。
本開示に係る肉盛溶接割れ評価方法において、前記評価材作成工程は、前記軸線方向を長手方向とし前記軸線回りの周方向を短手方向とした短冊状の前記評価材を作成する。
評価対象である評価材が、管体が延びる軸線方向を長手方向としているため、螺旋状に形成される溶接部の各周回の境界を複数箇所に渡って1つの評価材に配置することができる。これにより、溶接割れが生じやすい箇所を1つの評価材に数多く配置し、肉盛溶接割れを適切に評価することができる。
本開示に係る肉盛溶接割れ評価方法において、前記評価材曲げ工程は、前記評価材の切断面の前記長手方向の中央部を折り曲げる。
本開示に係る肉盛溶接割れ評価方法によれば、評価材曲げ工程において、評価材の切断面が評価材の長手方向の中央部において引き延ばされる。そのため、管体の外周表面に形成される溶接部と管体との境界部分が評価材の中で最も大きく変形する。溶接部と管体との境界部分は、特に肉盛溶接割れが発生しやすい部分であるため、この部分を大きく変形させることにより、肉盛溶接割れを適切に評価することができる。
本開示に係る肉盛溶接割れ評価方法において、前記評価材曲げ工程は、前記評価材の前記長手方向の中央部に前記所定の曲率半径となる領域を含む円弧状の外周面を有する治具を突き当てて折り曲げる。
本開示に係る肉盛溶接割れ評価方法によれば、円弧状の外周面を有する治具により評価材の長手方向の中央部が折り曲げられるため、適切な曲率半径を有する円弧状の外周面とすることにより、評価材の長手方向の中央部の全体を略均一に変形するため、局所的に過度な変形を生じさせることなく、肉盛溶接割れを適切に評価することができる。
本開示に係る肉盛溶接割れ評価方法において、前記肉盛溶接割れ評価工程は、折り曲げられた前記評価材に浸透液を染み込ませた後に現像剤により前記評価材の表面に吸い上げられた前記浸透液を観察する浸透探傷試験により前記評価材に溶接割れが発生しているか否かを評価する。
本開示に係る肉盛溶接割れ評価方法によれば、浸透探傷試験により、肉盛溶接割れが発生した箇所に染み込ませた浸透液を吸い上げて溶接割れを拡大して視認できるようにし、肉盛溶接割れを適切に評価することができる。
以上説明した実施形態に記載の管体(T)の製造方法は、例えば以下のように把握される。
本開示に係る肉盛溶接が形成された管体(T)の製造方法は、軸線に沿って延びる円筒状の管体の製造方法であって、前記管体の表面を覆うように前記軸線回りに螺旋状に延びる溶接部を形成する肉盛溶接を行う第1溶接工程(S101)と、前記第1溶接工程により前記溶接部が形成された前記管体を切断し、前記管体の表面に対応する面の全体に前記溶接部が形成された評価材を作成する評価材作成工程(S104)と、前記評価材作成工程により形成された前記評価材を折り曲げる評価材曲げ工程(S105)と、前記評価材曲げ工程により前記評価材に形成された前記溶接部に溶接割れが発生しているか否かを評価する肉盛溶接割れ評価工程(S106)と、前記肉盛溶接割れ評価工程の評価結果に基づいて前記溶接部を形成する際の肉盛溶接条件を設定する肉盛溶接条件設定工程(S108)と、前記肉盛溶接条件設定工程により設定された前記肉盛溶接条件に基づいて前記管体の外周表面を覆うように前記軸線回りに螺旋状に延びる溶接部を形成する肉盛溶接を行う第2溶接工程(S109)と、を備える。
本開示に係る管体の製造方法によれば、評価材曲げ工程により折り曲げられる評価材は、螺旋状に延びる溶接部が形成された管体を切断し、管体の外周表面に対応する面の全体に溶接部が形成されたものである。評価材には、折り曲げ加工が行われる位置を中心とした部分的な領域だけでなく、その他の領域にも溶接部が存在する。そのため、曲げ加工が行われる位置における肉盛溶接割れの評価だけでなく、折り曲げ加工が行われる位置から離れた位置における肉盛溶接を行うことによる肉盛溶接割れの評価も適切に行うことができる。そして、評価結果に基づいて設定された肉盛溶接条件に基づいて第2溶接工程を実行するため、肉盛溶接割れが生じにくい適切な肉盛溶接条件で肉盛溶接が形成された管体を製造することができる。
本開示に係る管体の製造方法において、前記溶接条件は、前記管体に肉盛溶接を行う肉盛溶接機構(20)に対する前記管体の前記軸線回りの回転数と、前記肉盛溶接機構に対する前記管体の前記軸線方向への移動速度との比率を含む。
肉盛溶接機構に対する管体の軸線回りの回転数が高くなると、肉盛溶接機構により形成される溶接部の軸線に沿った間隔(ビード間隔)が狭くなり、肉盛溶接による熱影響が局所に過剰に集中して伝熱管Tの靭性の低下することで肉盛溶接割れが発生しやすくなる。
また、肉盛溶接機構に対する管体の軸線方向への移動速度が大きくなると、肉盛溶接機構により形成される溶接部の軸線に沿った間隔(ビード間隔)が広くなり、溶接部の凹凸形状の起伏が大きくなって肉盛溶接割れが発生しやすくなる。そこで、本開示に係る管体の製造方法によれば、管体の軸線回りの回転数と管体の軸線方向への移動速度の比率を適切に調整することで、肉盛溶接割れが生じにくい適切な肉盛溶接条件で肉盛溶接が形成された管体を製造することができる。
以上説明した実施形態に記載の評価材(EM)は、例えば以下のように把握される。
本開示に係る評価材(EM)は、軸線に沿って延びる円筒状の管体の外周表面に肉盛溶接により形成された溶接部(WB)の肉盛溶接割れを評価するためのものであり、外周表面を覆うように前記軸線回りに螺旋状に延びる前記溶接部が形成された前記管体から、前記軸線方向を長手方向とし前記軸線(X)回りの周方向を短手方向とした所定サイズの短冊状に切り出され、所定の曲率半径で折り曲げることで、折り曲げられた前記評価材に肉盛溶接割れが発生しているか否かの評価を実施可能になるように、肉盛溶接が形成された前記管体の外周表面に対応する面の全体に前記溶接部が形成されている。
本開示に係る評価材によれば、曲げ加工が行われる位置における肉盛溶接割れの評価だけでなく、曲げ加工が行われる位置から離れた位置における肉盛溶接を行うことによる肉盛溶接割れの評価も適切に行うことが可能となる。
10 可動台車
11 移動機構
20 肉盛溶接機構
21 溶接トーチ
30 下方支持機構
40 上方支持機構
50 冷却機構
60 計測機構
70 本体部
80 撮像部
85 表示部
90 制御部
200 溶接装置
300 曲げ加工治具
310 加圧用治具
311 外周面
320 本体治具
321 内周面
BUt 表面粗度
CS 切断面
EM,EM´ 評価材
T 伝熱管(管体)
WB,WB´ 溶接ビード(溶接部)
WS 溶接面
X 軸線
r1,r2 曲率半径

Claims (8)

  1. 軸線に沿って延びる円筒状の管体への肉盛溶接を形成した後の溶接割れを評価する肉盛溶接割れ評価方法であって、
    前記管体の外周表面を覆うように前記軸線回りに螺旋状に延びる溶接部を形成する肉盛溶接を行う肉盛溶接工程と、
    前記肉盛溶接工程により前記溶接部が形成された前記管体を切断し、前記管体の表面に対応する面の全体に前記溶接部が形成された評価材を作成する評価材作成工程と、
    前記評価材作成工程により形成された前記評価材を所定の曲率半径で折り曲げる評価材曲げ工程と、
    前記評価材曲げ工程により折り曲げられた前記評価材に溶接割れが発生しているか否かを評価する肉盛溶接割れ評価工程と、を備える肉盛溶接割れ評価方法。
  2. 前記評価材作成工程は、前記軸線方向を長手方向とし前記軸線回りの周方向を短手方向とした短冊状の前記評価材を作成する請求項1に記載の肉盛溶接割れ評価方法。
  3. 前記評価材曲げ工程は、前記評価材の切断面の前記長手方向の中央部を折り曲げる請求項2に記載の肉盛溶接割れ評価方法。
  4. 前記評価材曲げ工程は、前記評価材の前記長手方向の中央部に前記所定の曲率半径となる領域を含む円弧状の外周面を有する治具を突き当てて折り曲げる請求項2または請求項3に記載の肉盛溶接割れ評価方法。
  5. 前記肉盛溶接割れ評価工程は、折り曲げられた前記評価材に浸透液を染み込ませた後に現像剤により前記評価材の表面に吸い上げられた前記浸透液を観察する浸透探傷試験により前記評価材に溶接割れが発生しているか否かを評価する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の肉盛溶接割れ評価方法。
  6. 軸線に沿って延びる円筒状の肉盛溶接が形成された管体の製造方法であって、
    前記管体の外周表面を覆うように前記軸線回りに螺旋状に延びる溶接部を形成する肉盛溶接を行う第1溶接工程と、
    前記第1溶接工程により前記溶接部が形成された前記管体を切断し、前記管体の外周表面に対応する面の全体に前記溶接部が形成された評価材を作成する評価材作成工程と、
    前記評価材作成工程により形成された前記評価材を折り曲げる評価材曲げ工程と、
    前記評価材曲げ工程により前記評価材に形成された前記溶接部に溶接割れが発生しているか否かを評価する肉盛溶接割れ評価工程と、
    前記肉盛溶接割れ評価工程の評価結果に基づいて前記溶接部を形成する際の肉盛溶接条件を設定する肉盛溶接条件設定工程と、
    前記肉盛溶接条件設定工程により設定された前記肉盛溶接条件に基づいて前記管体の外周表面を覆うように前記軸線回りに螺旋状に延びる溶接部を形成する肉盛溶接を行う第2溶接工程と、を備える肉盛溶接が形成された管体の製造方法。
  7. 前記肉盛溶接条件は、前記管体に肉盛溶接を行う肉盛溶接機構に対する前記管体の前記軸線回りの回転数と、前記肉盛溶接機構に対する前記管体の前記軸線方向への移動速度との比率を含む請求項6に記載の肉盛溶接が形成された管体の製造方法。
  8. 軸線に沿って延びる円筒状の管体の外周表面に肉盛溶接により形成された溶接部の肉盛溶接割れを評価するための評価材であって、
    外周表面を覆うように前記軸線回りに螺旋状に延びる前記溶接部が形成された前記管体から、前記軸線方向を長手方向とし前記軸線回りの周方向を短手方向とした所定サイズの短冊状に切り出され、所定の曲率半径で折り曲げることで、折り曲げられた前記評価材に肉盛溶接割れが発生しているか否かの評価を実施可能になるように、肉盛溶接が形成された前記管体の外周表面に対応する面の全体に前記溶接部が形成されている評価材。
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