JP7291105B2 - (9z,11e)-9,11-ヘキサデカジエナールの製造方法 - Google Patents

(9z,11e)-9,11-ヘキサデカジエナールの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエナールの製造方法に関する。
Sugarcane borer(Diatraea saccharalis)は、米国、キューバ、コロンビア、アルゼンチン及びブラジル等の北中南米におけるサトウキビの最重要害虫であり、難防除害虫として知られている。例えば、世界最大のサトウキビ栽培国ブラジルでは広大な栽培面積でDiatraea saccharalisの被害が出ており、毎年莫大な被害が出ている。本害虫の幼虫は茎の中に入り込むため、殺虫剤が届かず効果が出にくい。この様な理由から、生物学的防除方法が注目されつつあり、その一つとして性フェロモン物質の利用が期待されている。
Diatraea saccharalisの性フェロモン主成分は、ジエナール化合物の一つである(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエナールであることが報告されている(特許文献1、非特許文献1、2)。
このヘキサデカジエナールの合成方法としては、例えば、11-[(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ]-2-ウンデシン-1-オールを出発原料とし、二酸化マンガンによる水酸基の酸化、ウィッティヒ(Wittig)反応によるエンイン骨格の構築、ジシクロヘキシルボランによるヒドロホウ素化及びエタノール中p-トルエンスルホン酸(p-TsOH)によるテトラヒドロピラニル基の脱保護により、(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエン-1-オールを合成し、そして合成した(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエン-1-オールの水酸基をニクロム酸ピリジニウム(PDC)酸化する方法が報告されている(非特許文献3)。
また、アセチレン及びアクロレインを出発原料とした合成方法も報告されている(非特許文献4)。具体的には、当該出発原料、酢酸パラジウム(II)及びリチウムブロマイドを用いて(4Z,6E)-7-ブロモ-4,6-ヘプタジエナールを合成し、その後、ホルミル基のジメチルアセタール化、ジクロロ[1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(II)を用いたカップリング反応及びジメチルアセタールの加水分解により、(4Z,6E)-4,6-ウンデカジエナールを合成する。その後、(テトラヒドロピラニルオキシ)ペンチルマグネシウム=ブロミドのホルミル基への付加反応、続く水酸基のトシル化とジエチル=エーテル中水素化アルミニウムリチウムによるスルホン酸エステルの還元、テトラヒドロピラニル基の脱保護により、(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエン-1-オールを合成し、そして合成した(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエン-1-オールの水酸基をクロロクロム酸ピリジニウム(PCC)酸化する方法が報告されている。
米国特許4357474A
Arlene G.Correa et al.,2002,Z.Naturforsch.57c:753-758. B.Kalinova et al.,2005,J.Appl.Entomol.129(2):70-74. C.Rikard Unelius et al.,2002,J.Nat.Prod.65:909-915. Yunhai Tao et al.,2013,Synthetic Communications.43:415-424.
しかしながら、非特許文献3では、沸点が低く引火しやすいジエチル=エーテルを用いるため、工業的生産に適さない。また、環境負荷が極めて大きい二酸化マンガン及びクロム化合物であるPDCを用いた酸化反応を行う上に、当該酸化反応は爆発の危険を伴うことが多いことから、工業スケールでの実施が難しい。さらに、当該合成方法は総収率も16%と極めて低い上に、5工程と工程数が長い。
一方、非特許文献4では、高価なパラジウム触媒やニッケル触媒を用いている上に、第一工程において高価な臭化リチウムを当量以上使用しているため経済的でない。また、発火性のある水素化アルミニウムリチウムを用いる上に、環境負荷の極めて大きいクロム化合物であるPCCを用いた酸化反応を用いており、さらに当該酸化反応は爆発の危険を伴うことが多いことから、工業スケールでの実施が難しい。加えて当該合成方法は、総収率も19%と極めて低い上に、8工程と工程数が非常に長い。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、効率的な(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエナールの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、(2E)-2-ヘプテナールが(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエナールの製造において有用な中間体であることを見出した。そして、該(2E)-2-ヘプテナールを用いることにより、(2E)-2-ヘプテナールの炭素-炭素二重結合の幾何を利用して11位の幾何をE選択的に、ウィッティヒ反応にて9位の立体をZ選択的に構築することができ、その結果(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエナールを短工程で収率良く、高純度で製造できることを見出し、本発明を為すに至った。
本発明の一つの態様によれば、下記式(1)
Figure 0007291105000001
で表される(2E)-2-ヘプテナールと、下記一般式(2)
ArH(CHCH(OR)(OR) (2)
(式中、Arは互いに同じであっても異なっていてもよいアリール基を表し、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~15の一価の炭化水素基、又はRとRが互いに結合したR-Rとして炭素数2~10の二価の炭化水素基を表す。)
で表されるトリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物とのウィッティヒ反応により、下記一般式(3)
Figure 0007291105000002
(式中、R及びRは、上記で定義した通りである。)
で表される(5E,7Z)-16,16-ジアルコキシ-5,7-ヘキサデカジエン化合物を得る工程と、
上記(5E,7Z)-16,16-ジアルコキシ-5,7-ヘキサデカジエン化合物(3)の加水分解反応により、下記式(4)
Figure 0007291105000003
で表される(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエナールを得る工程と
を少なくとも含む、(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエナールの製造方法が提供される。
本発明によれば、酸化反応を用いることなく、(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエナール(4)を短工程で収率良く製造することができる。
I.(5E,7Z)-16,16-ジアルコキシ-5,7-ヘキサデカジエン化合物の製造
本発明の目的化合物である(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエナールの製造における中間体である下記一般式(3)で表される(5E,7Z)-16,16-ジアルコキシ-5,7-ヘキサデカジエン化合物(以下、「(5E,7Z)-16,16-ジアルコキシ-5,7-ヘキサデカジエン化合物(3)」ともいう。)は、下記の化学反応式に示される通り、下記式(1)で表される(2E)-2-ヘプテナール(以下、「(2E)-2-ヘプテナール(1)」ともいう。)と、下記一般式(2)で表されるトリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(以下、「トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(2)」ともいう。)とのウィッティヒ反応により、製造することができる。
Figure 0007291105000004
<(2E)-2-ヘプテナール(1)について>
(2E)-2-ヘプテナール(1)は市販されているものであってもよく、または、例えば、(2E)-2-ヘプテン-1-オールの酸化、若しくは(2E)-1,1-ジアルコキシ-2-ヘプテンの加水分解反応等で独自に合成したものであってもよい。
<トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(2)について>
上記一般式(2)において、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~15、好ましくは1~6の一価の炭化水素基、又はRとRが互いに結合したR-Rとして炭素数2~10、好ましくは2~5の二価の炭化水素基を表す。
一価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基及びn-ドデシル基等の直鎖状の飽和炭化水素基;イソプロピル基、2-イソブチル基及び2-メチルブチル基等の分岐状の飽和炭化水素基;2-プロペニル基等の直鎖状の不飽和炭化水素基;2-メチル-2-プロペニル基等の分岐状の不飽和炭化水素基;並びに、シクロプロピル基等の環状の飽和炭化水素基等が挙げられ、これらと異性体の関係にある炭化水素基でもよい。また、これらの炭化水素基の水素原子の一部がメチル基又はエチル基等で置換されていてもよい。
一価の炭化水素基としては、取扱いの観点から、メチル基、エチル基、n-プロピル基及びn-ブチル基が好ましい。
二価の炭化水素基としては、エチレン基、1,3-プロピレン基及び1,4-ブチレン基等の直鎖状の飽和炭化水素基;1,2-プロピレン基、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン基、1,2-ブチレン基、1,3-ブチレン基、2,3-ブチレン基及び2,3-ジメチル-2,3-ブチレン基等の分岐状の飽和炭化水素基;1-ビニルエチレン基等の直鎖状の不飽和炭化水素基;2-メチレン-1,3-プロピレン基等の分岐状の不飽和炭化水素基;並びに、1,2-シクロプロピレン基及び1,2-シクロブチレン基等の環状炭化水素基等が挙げられ、これらと異性体の関係にある炭化水素基でもよい。また、これらの炭化水素基の水素原子の一部がメチル基又はエチル基等で置換されていてもよい。
二価の炭化水素基は、脱保護における反応性若しくは精製の容易さ、又は入手の容易さを考慮すると、反応性が高く、かつ脱保護により生成する副生物が水洗又は濃縮によって容易に除去可能な低級(好ましくは炭素数2~4)の炭化水素基が好ましく、より好ましくはエチレン基、1,2-プロピレン基、1,3-プロピレン基、1,2-ブチレン基、1,3-ブチレン基及び2,3-ジメチル-2,3-ブチレン基である。
トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(2)におけるArは、互いに同じであっても異なっていてもよいアリール基を表す。
アリール基の炭素数は、好ましくは6~24、より好ましくは6~12、更に好ましくは6~7である。
アリール基としては、例としてフェニル基(Ph基)、トリル基、ナフチル基及びアントラセニル基が挙げられるが、合成のしやすさの観点から、フェニル基が好ましく、三つのアリール基が全てフェニル基であることがより好ましい。
トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(2)としては、トリフェニルホスホニウム=ジメトキシノニリド、トリフェニルホスホニウム=ジエトキシノニリド、トリフェニルホスホニウム=ジプロポキシノニリド、トリフェニルホスホニウム=ジブトキシノニリド、トリフェニルホスホニウム=ジペントキシノニリド、トリフェニルホスホニウム=ジヘキソキシノニリド、トリフェニルホスホニウム=ジヘプトキシノニリド及びトリフェニルホスホニウム=ジオクトキシノニリド等のトリフェニルホスホニウム=ジアルコキシノニリド化合物;並びに、トリトリルホスホニウム=ジメトキシノニリド、トリトリルホスホニウム=ジエトキシノニリド、トリトリルホスホニウム=ジプロポキシノニリド、トリトリルホスホニウム=ジブトキシノニリド、トリトリルホスホニウム=ジペントキシノニリド、トリトリルホスホニウム=ジヘキソキシノニリド、トリトリルホスホニウム=ジヘプトキシノニリド及びトリトリルホスホニウム=ジオクトキシノニリド等のトリトリルホスホニウム=ジアルコキシノニリド化合物が挙げられる。
トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(2)は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。
次に、トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(2)は、例えば、下記一般式(5)で表される9-ハロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物(以下、「9-ハロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物(5)」ともいう。)と、下記一般式(6)で表されるリン化合物(以下、「リン化合物(6)」ともいう。)との求核置換反応により、下記一般式(7)で表される9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(以下、「9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(7)」ともいう。)を得る工程と、上記9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(7)と、塩基との脱プロトン化反応により、トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(2)を得る工程とにより、調製することができる。
Figure 0007291105000005
9-ハロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物(5)におけるR及びRは、上記一般式(2)で定義した通りである。
9-ハロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物(5)におけるXは、ハロゲン原子を表し、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられるが、汎用性の観点から、塩素原子及び臭素原子が好ましい。
9-ハロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物(5)としては、9-クロロ-1,1-ジメトキシノナン、9-クロロ-1,1-ジエトキシノナン、9-クロロ-1,1-ジプロポキシノナン、9-クロロ-1,1-ジブトキシノナン、9-クロロ-1,1-ジペントキシノナン、9-クロロ-1,1-ジヘキソキシノナン、9-クロロ-1,1-ジヘプトキシノナン、及び9-クロロ-1,1-ジオクトキシノナン等の9-クロロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物;9-ブロモ-1,1-ジメトキシノナン、9-ブロモ-1,1-ジエトキシノナン、9-ブロモ-1,1-ジプロポキシノナン、9-ブロモ-1,1-ジブトキシノナン、9-ブロモ-1,1-ジペントキシノナン、9-ブロモ-1,1-ジヘキソキシノナン、9-ブロモ-1,1-ジヘプトキシノナン、及び9-ブロモ-1,1-ジオクトキシノナン等の9-ブロモ-1,1-ジアルコキシノナン化合物;並びに、9-ヨード-1,1-ジメトキシノナン、9-ヨード-1,1-ジエトキシノナン、9-ヨード-1,1-ジプロポキシノナン、9-ヨード-1,1-ジブトキシノナン、9-ヨード-1,1-ジペントキシノナン、9-ヨード-1,1-ジヘキソキシノナン、9-ヨード-1,1-ジヘプトキシノナン、及び9-ヨード-1,1-ジオクトキシノナン等の9-ヨード-1,1-ジアルコキシノナン化合物等が挙げられる。
9-ハロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物(5)は、9-ハロ-1,1-ジアルコキシノニン化合物又は9-ハロ-1,1-ジアルコキシノネン化合物を接触還元反応させることにより得られる。または、9-ハロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物(5)は、9-クロロノナナールをアセタール化させることによっても得られる。
リン化合物(6)におけるArは、上記一般式(2)で定義した通りである。
リン化合物(6)としては、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリナフチルホスフィン、及びトリアントラセニルホスフィン等のトリアリールホスフィン化合物が挙げられ、反応性の観点から、トリフェニルホスフィンが好ましい。
リン化合物(6)の使用量は、反応性の観点から、9-ハロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物(5)1molに対して、好ましくは0.8~5.0molである。
9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(7)の調製には、必要に応じて、ハロゲン化物を用いてもよい。
該ハロゲン化物としては、例えば、ヨウ化ナトリウム及びヨウ化カリウム等のヨウ化物;並びに、臭化ナトリウム及び臭化カリウム等の臭化物が挙げられ、反応性の観点から、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等のヨウ化物が好ましい。
該ハロゲン化物は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該ハロゲン化物は、市販されているものを用いることができる。
該ハロゲン化物の使用量は、反応性の観点から、9-ハロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物(5)1molに対して、好ましくは0.1~5.0molである。
9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(7)の調製には、必要に応じて、塩基を加えてもよい。
該塩基としては、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;並びに、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジエチルアニリン及びピリジン等のアミン等が挙げられ、取扱いの観点から、アルカリ金属炭酸塩が好ましい。
該塩基は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該塩基は、市販されているものを用いることができる。
該塩基の使用量は、反応性の観点から、9-ハロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物(5)1molに対して、好ましくは0.001~1.0molである。
9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(7)の調製における反応温度は、用いる溶媒により至適温度は異なるが、好ましくは60~180℃である。
9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(7)の調製における反応時間は、用いる溶媒又は反応スケールにより異なるが、好ましくは1~100時間である。
9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(7)におけるR及びRは、上記一般式(2)で定義した通りである。
9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(7)におけるYは、ハロゲン原子を表し、例として塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(7)の調製において、ハロゲン化物を用いない場合は、YはXと同じハロゲン原子であり、ハロゲン化物としてヨウ化物を用いる場合には、YはXと同じハロゲン原子又はヨウ素原子である。
9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(7)におけるArはアリール基を表す。Arは、トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(2)において定義した通りである。
9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(7)の具体例としては、9,9-ジメトキシノニルトリフェニルホスホニウム=クロリド、9,9-ジエトキシノニルトリフェニルホスホニウム=クロリド、9,9-ジプロポキシノニルトリフェニルホスホニウム=クロリド及び9,9-ジブトキシノニルトリフェニルホスホニウム=クロリド等の9,9-ジアルコキシノニルトリフェニルホスホニウム=クロリド化合物;9,9-ジメトキシノニルトリフェニルホスホニウム=ブロミド、9,9-ジエトキシノニルトリフェニルホスホニウム=ブロミド、9,9-ジプロポキシノニルトリフェニルホスホニウム=ブロミド及び9,9-ジブトキシノニルトリフェニルホスホニウム=ブロミド等の9,9-ジアルコキシノニルトリフェニルホスホニウム=ブロミド化合物;9,9-ジメトキシノニルトリフェニルホスホニウム=ヨージド、9,9-ジエトキシノニルトリフェニルホスホニウム=ヨージド、9,9-ジプロポキシノニルトリフェニルホスホニウム=ヨージド及び9,9-ジブトキシノニルトリフェニルホスホニウム=ヨージド等の9,9-ジアルコキシノニルトリフェニルホスホニウム=ヨージド化合物;9,9-ジメトキシノニルトリトリルホスホニウム=クロリド、9,9-ジエトキシノニルトリトリルホスホニウム=クロリド、9,9-ジプロポキシノニルトリトリルホスホニウム=クロリド、9,9-ジブトキシノニルトリトリルホスホニウム=クロリド等の9,9-ジアルコキシノニルトリトリルホスホニウム=クロリド化合物;9,9-ジメトキシノニルトリトリルホスホニウム=ブロミド、9,9-ジエトキシノニルトリトリルホスホニウム=ブロミド、9,9-ジプロポキシノニルトリトリルホスホニウム=ブロミド及び9,9-ジブトキシノニルトリトリルホスホニウム=ブロミド等の9,9-ジアルコキシノニルトリトリルホスホニウム=ブロミド化合物;並びに、9,9-ジメトキシノニルトリトリルホスホニウム=ヨージド、9,9-ジエトキシノニルトリトリルホスホニウム=ヨージド及び9,9-ジプロポキシノニルトリトリルホスホニウム=ヨージド、9,9-ジブトキシノニルトリトリルホスホニウム=ヨージド等の9,9-ジアルコキシノニルトリトリルホスホニウム=ヨージド化合物等が挙げられる。
トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(2)は、調製した9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(7)を塩基の存在下で脱プロトン化することにより得られる。
トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(2)は、9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド(7)を調製する反応系中に塩基を加えて、トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(2)に直接導いてもよいし、単離精製してから塩基と反応させてトリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(2)に導いてもよい。
トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(2)の調製に用いる塩基としては、例えば、n-ブチルリチウム及びtert-ブチルリチウム等のアルキルリチウム;メチルマグネシウム=クロリド、メチルマグネシウム=ブロミド、ナトリウム=アセチリド及びカリウム=アセチリド等の有機金属試薬類;カリウム=tert-ブトキシド、ナトリウム=tert-ブトキシド、カリウム=メトキシド、ナトリウム=メトキシド及びカリウム=エトキシド、ナトリウム=エトキシド等の金属アルコキシド;並びに、リチウム=ジイソプロピルアミド、ナトリウム=ビス(トリメチルシリル)アミド等の金属アミド等が挙げられ、反応性の観点から、金属アルコキシドが好ましく、カリウム=tert-ブトキシド、ナトリウム=メトキシド及びナトリウム=エトキシドがより好ましい。
該塩基の使用量は、反応性の観点から、9-ハロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物(5)1molに対して、好ましくは0.7~5.0molである。
トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(2)の調製における反応温度は、用いる溶媒又は塩基により至適温度は異なるが、好ましくは-78~70℃であり、例えば、塩基として金属アルコキシドを用いた場合の至適温度は-78~15℃である。
トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(2)の調製における反応時間は、用いる溶媒又は反応スケールにより異なるが、好ましくは0.5~100時間である。
9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(7)及びトリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(2)の調製には、必要に応じて、溶媒を用いてもよい。
該溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチル=エーテル、ジブチル=エーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、シクロペンチルメチルエーテル及び1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びクメン等の炭化水素系溶媒;並びに、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチル=スルホキシド、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル、ジクロロメタン及びクロロホルム等の極性溶媒等が挙げられ、反応性の観点から、テトラヒドロフラン、4-メチルテトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒及びアセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド及びN,N-ジメチルアセトアミド等の極性溶媒が好ましい。
該溶媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該溶媒は、市販されているものを用いることができる。
該溶媒の使用量は、反応性の観点から、9-ハロ-1,1-ジアルコキシノナン化合物(5)又は9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(7)1molに対して、好ましくは50~5000gである。
<ウィッティヒ反応について>
トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(2)の使用量は、反応性の観点から、(2E)-2-ヘプテナール(1)1molに対して、好ましくは1.0~4.0mol、より好ましくは1.0~2.0molである。
ウィッティヒ反応には、必要に応じて、溶媒を用いてもよい。
該溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチル=エーテル、ジブチル=エーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、シクロペンチルメチルエーテル及び1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びクメン等の炭化水素系溶媒;並びに、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチル=スルホキシド、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル、ジクロロメタン及びクロロホルム等の極性溶媒等が挙げられ、反応性の観点から、テトラヒドロフラン及び4-メチルテトラヒドロピラン等のエーテル系溶媒;並びに、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド及びN,N-ジメチルアセトアミド等の極性溶媒が好ましい。
該溶媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該溶媒は、市販されているものを用いることができる。
該溶媒の使用量は、反応性の観点から、(2E)-2-ヘプテナール(1)1molに対して、好ましくは50~5000gである。
ウィッティヒ反応における反応温度は、用いる溶媒により最適温度は異なるが、好ましくは-78~80℃である。ウィッティヒ反応をZ選択的に行うために、-78~30℃で反応させることがより好ましい。なお、-78~-40℃でウィッティヒ反応させた後、フェニルリチウム等の強塩基で処理することによるシュロッサー(Schlosser)変法等の条件下にて、生じる中間体を反応させることにより、E選択的に反応を行うこともできる。
ウィッティヒ反応における反応時間は、反応スケールにより異なるが、好ましくは0~100時間である。
<(5E,7Z)-16,16-ジアルコキシ-5,7-ヘキサデカジエン化合物について>
上述の(5E,7Z)-16,16-ジアルコキシ-5,7-ヘキサデカジエン化合物(3)について、以下に説明する。
Figure 0007291105000006
(5E,7Z)-16,16-ジアルコキシ-5,7-ヘキサデカジエン化合物(3)におけるR及びRは、上記一般式(2)で定義した通りである。
(5E,7Z)-16,16-ジアルコキシ-5,7-ヘキサデカジエン化合物(3)としては、(5E,7Z)-16,16-ジメトキシ-5,7-ヘキサデカジエン、(5E,7Z)-16,16-ジエトキシ-5,7-ヘキサデカジエン、(5E,7Z)-16,16-ジプロポキシ-5,7-ヘキサデカジエン、(5E,7Z)-16,16-ジブトキシ-5,7-ヘキサデカジエン、(5E,7Z)-16,16-ジペントキシ-5,7-ヘキサデカジエン、(5E,7Z)-16,16-ジヘキソキシ-5,7-ヘキサデカジエン、(5E,7Z)-16,16-ジヘプトキシ-5,7-ヘキサデカジエン及び(5E,7Z)-16,16-ジオクトキシ-5,7-ヘキサデカジエン等挙げられる。
II.(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエナール(4)の製造
本発明の目的化合物である(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエナール(4)は、下記の化学反応式に示される通り、上述の(5E,7Z)-16,16-ジアルコキシ-5,7-ヘキサデカジエン化合物(3)の加水分解反応により、製造することができる。
Figure 0007291105000007
<加水分解反応について>
上記加水分解反応において、(5E,7Z)-16,16-ジアルコキシ-5,7-ヘキサデカジエン化合物(3)は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。
また、例えば、(5E,7Z)-16,16-ジアルコキシ-5,7-ヘキサデカジエン化合物と(5E,7E)-16,16-ジアルコキシ-5,7-ヘキサデカジエン化合物との混合物を用いることにより、(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエナールと(9E,11E)-9,11-ヘキサデカジエナールとの混合物を得ることができる。
加水分解反応は、例えば、酸と水を用いて行うことができる。
上述の酸としては、塩酸、臭化水素酸等の無機酸類、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、蟻酸、しゅう酸、ヨードトリメチルシラン及び四塩化チタン等が挙げられるが、反応性の観点から、酢酸、ギ酸及びしゅう酸が好ましい。
該酸は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該酸は、市販されているものを用いることができる。
該酸の使用量は、(5E,7Z)-16,16-ジアルコキシ-5,7-ヘキサデカジエン化合物(3)1molに対して、好ましくは0.01~10.0molである。
上述の水の使用量は、(5E,7Z)-16,16-ジアルコキシ-5,7-ヘキサデカジエン化合物(3)1molに対して、反応性の観点から、好ましくは18~3000gである。
加水分解反応には、上述の酸又は水とともに、必要に応じて溶媒を更に用いてもよい。
該溶媒としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン及びクメン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチル=エーテルジブチル=エーテル、4-メチルテトラヒドロピラン、シクロペンチルメチルエーテル及び1,4-ジオキサン等のエーテル系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチル=スルホキシド、アセトニトリル、アセトン、γ―ブチロラクトン、ジクロロメタン及びクロロホルム等の極性溶媒;並びに、メタノール及びエタノール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。
該溶媒は、1種類又は必要に応じて、2種類以上を使用してもよい。また、該溶媒は、市販されているものを用いることができる。
用いる酸により最適な溶媒は異なるが、例えば、酸として、しゅう酸を用いる場合は、反応性の観点から、テトラヒドロフラン、アセトン及びγ―ブチロラクトンが好ましい。
該溶媒の使用量は、(5E,7Z)-16,16-ジアルコキシ-5,7-ヘキサデカジエン化合物(3)1molに対して、反応性の観点から、好ましくは0~3000gである。
加水分解反応における反応温度は、用いる酸又は溶媒により異なるが、反応性の観点から、好ましくは5~180℃である。
加水分解反応における反応時間は、用いる酸、溶媒又は反応スケールにより異なるが、反応性の観点から、好ましくは1~100時間である。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
なお、以下において、「純度」は、特に明記しない限り、ガスクロマトグラフィー(GC)分析によって得られた面積百分率を示し、「生成比」はGC分析によって得られた面積百分率の相対比を示す。また「収率」は、GC分析によって得られた面積百分率を基に算出した収率を示す。
各実施例において、反応のモニタリング及び収率の算出は、次のGC条件に従って行った。
GC条件:GC:島津製作所 キャピラリガスクロマトグラフ GC-2014,カラム:DB-5,0.25mmx0.25mmφx30m,キャリアーガス:He(1.55mL/分)、検出器:FID,カラム温度:150℃ 5℃/分昇温 230℃。
収率は、原料及び生成物の純度(%GC)を考慮して、以下の式に従い計算した。
収率(%)={[(反応によって得られた生成物の重量×%GC)/生成物の分子量]
÷[(反応における出発原料の重量×%GC)/出発原料の分子量]}×100
なお、THFはテトラヒドロフラン、Buはtert-ブチル基、及びPhはフェニル基を表す。
実施例1
<(5E,7Z)-16,16-ジエトキシ-5,7-ヘキサデカジエン(3:R=CHCH,R=CHCH)の製造>
Figure 0007291105000008
室温にて、反応器に9-クロロ-1,1-ジエトキシノナン(5:X=Cl;R=CHCH,R=CHCH)(300.97g、1.20mol)、トリフェニルホスフィン(6:Ar=Ph)(315.50g、1.20mol)、ヨウ化ナトリウム(194.86g、1.30mol)、炭酸カリウム(9.67、0.07mol)、及びアセトニトリル(450.00g)を加えて、75~85℃にて15.5時間撹拌することにより、9,9-ジエトキシノニルトリフェニルホスホニウム=ヨージド(7:Y=I;Ar=Ph、;R=CHCH,R=CHCH)を調製した。次に、該反応器にテトラヒドロフラン(800.00g)を30~40℃にて滴下し、滴下終了後、反応液を-5~10℃に冷却した。続いて、カリウム=t-ブトキシド(129.04g、1.15mol)を加えた後、1時間撹拌することにより、トリフェニルホスホニウム=9,9-ジエトキシノニリド(2:Ar=Ph;R=CHCH,R=CHCH)を調製した。
その後、上記調製物に、(2E)-2-ヘプテナール(1)(120.50g、1.00mol、純度93.09%、2E:2Z=99.0:1.0)を-70~-60℃にて滴下し、滴下終了後、20~30℃にて12時間撹拌した。その後、反応液に食塩(151.57g)及び水(1515.50g)の混合液を加えて分液し、水層を除去して、有機層を得た。そして、該有機層を減圧下濃縮することにより、(5E,7Z)-16,16-ジエトキシ-5,7-ヘキサデカジエン(3:R=CHCH,R=CHCH)の粗生成物(275.15g、0.82mol、純度92.37%、5Z7E:5E7Z:5E7E:5Z7Z=0.4:90.5:8.3:0.8)が粗収率81.85%で得られた。(2E)-2-ヘプテナールの炭素-炭素二重結合に由来する、(5E,7Z)-16,16-ジエトキシ-5,7-ヘキサデカジエン(3:R=CHCH,R=CHCH)の5位は、E体を維持しており、且つ5E:5Z=98.8:1.2であった。また、(5E,7Z)-16,16-ジエトキシ-5,7-ヘキサデカジエン(3:R=CHCH,R=CHCH)の粗生成物には、不純物としてトリフェニルホスフィン(6:Ar=Ph)及びトリフェニルホスフィンオキシドが含まれていた。
上記で得られた(5E,7Z)-16,16-ジエトキシ-5,7-ヘキサデカジエン(3:R=CHCH,R=CHCH)のスペクトルデータを以下に示す。
〔核磁気共鳴スペクトル〕H-NMR(500MHz,CDCl):δ=0.89(3H,t,J=7.3Hz),1.20(6H,t,J=7.3Hz),1.25-1.41(14H,m),1.56-1.63(2H,m),2.09(2H,dt,J=6.9Hz,6.9Hz),2.14(2H,dt,J=6.5Hz,6.5Hz),3.48(2H,dq,J=9.4Hz,7.2Hz),3.63(2H,dq,J=9.4Hz,7.3Hz),4.47(1H,t,J=5.7Hz),5.28(1H,dt,J=10.9Hz,7.6Hz),5.64(1H,dt,J=14.5Hz,6.9Hz),5.93(1H,dd,J=11.0Hz,11.0Hz),6.28(1H,dddt,J=14.9Hz,10.9Hz,1.2Hz,1.2Hz);13C-NMR(500MHz,CDCl):δ=13.91,15.33,22.25,24.72,27.64,29.15,29.40,29.67,31.53,32.53,33.55,60.77,102.92,125.57,128.57,129.99,134.61
〔マススペクトル〕EI-マススペクトル(70eV):m/z 309(M-1),264,220,193,137,121,103,85,67,47
〔赤外吸収スペクトル〕(NaCl):νmax=2974,2926,2856,1458,1374,1128,1063,982,947,729
実施例2
<(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエナール(4)の製造>
Figure 0007291105000009
反応器に、上記実施例1で得られた(5E,7Z)-16,16-ジエトキシ-5,7-ヘキサデカジエン(3:R=CHCH,R=CHCH)の粗生成物(275.15g、0.82mol、純度92.37%、5Z7E:5E7Z:5E7E:5Z7Z=0.4:90.5:8.3:0.8)、しゅう酸二水和物(305.86g、2.43mol)、テトラヒドロフラン(808.70g)、及び純水(808.70g)を加えて、60~65℃にて3時間撹拌した。そして、反応液を50℃に冷却し、ヘキサン(247.84g)を加えて、30分間撹拌した。撹拌終了後、反応液を静置して分液し、水層を除去して、有機層を得た。そして、該有機層を減圧下濃縮し、残留物を減圧蒸留(140.5~143.8℃/0.40kPa(3.0mmHg))することにより、(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエナール(4)(165.05g、0.68mol、純度98.08%、9E11Z:9Z11E:9E11E:9Z11Z=0.4:90.6:8.2:0.8)が2工程の収率として収率68.48%で得られた。(2E)-2-ヘプテナールの炭素-炭素二重結合に由来する、(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエナールの11位は、E体を維持しており、且つ11E:11Z=98.8:1.2であった。
上記で得られた(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエナール(4)のスペクトルデータを以下に示す。
〔核磁気共鳴スペクトル〕H-NMR(500MHz,CDCl):δ=0.89(3H,t,J=7.3Hz),1.26-1.40(14H,m),1.62(2H,quin-like,J=7.3Hz),2.09(2H,dt,J=6.9Hz,6.9Hz),2.14(2H,dt,J=7.1Hz,7.1Hz),2.41(2H,dt,J=1.9Hz,7.3Hz),5.27(1H,dt,J=10.9Hz,7.6Hz),5.65(1H,dt,J=7.3Hz,7.3Hz),5.93(1H,dd,J=11.1Hz,11.1Hz),6.28(1H,dddt,J=14.9Hz,11.1Hz,1.2Hz,1.2Hz),9.75(1H,t,J=1.9Hz);13C-NMR(500MHz,CDCl):δ=13.90,22.01,22.23,27.57,28.95,29.07,29.17,29.58,31.51,32.52,43.85,125.52,128.68,129.79,134.70,202.82
〔マススペクトル〕EI-マススペクトル(70eV):m/z 236(M),221,207,193,179,165,151,135,123,109,95,81,67,55,41
〔赤外吸収スペクトル〕(NaCl):νmax=2927,2855,1727,1465,983,949,730

Claims (2)

  1. 下記式(1)
    Figure 0007291105000010
    で表される(2E)-2-ヘプテナールと、下記一般式(2)
    ArH(CHCH(OR)(OR) (2)
    (式中、Arは互いに同じであっても異なっていてもよいアリール基を表し、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1~15の一価の炭化水素基、又はRとRが互いに結合したR-Rとして炭素数2~10の二価の炭化水素基を表す。)
    で表されるトリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物とのウィッティヒ反応により、下記一般式(3)
    Figure 0007291105000011
    (式中、R及びRは、上記で定義した通りである。)
    で表される(5E,7Z)-16,16-ジアルコキシ-5,7-ヘキサデカジエン化合物を得る工程と、
    前記(5E,7Z)-16,16-ジアルコキシ-5,7-ヘキサデカジエン化合物(3)の加水分解反応により、下記式(4)
    Figure 0007291105000012
    で表される(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエナールを得る工程と
    を少なくとも含む、(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエナールの製造方法。
  2. 下記一般式(5)
    X(CHCH(OR)(OR) (5)
    (式中、Xはハロゲン原子を示し、R及びRは、上記で定義した通りである。)
    で表される9-ハロ-1,1-ジアルコキシ-ノナン化合物と、下記一般式(6)
    PAr (6)
    (式中、Arは、上記で定義した通りである。)
    で表されるリン化合物との求核置換反応により、下記一般式(7)
    ArCH(CHCH(OR)(OR) (7)
    (式中、Yはハロゲン原子を示し、Ar、R及びRは、上記で定義した通りである。)
    で表される9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物を得る工程と、
    前記9,9-ジアルコキシノニルトリアリールホスホニウム=ハライド化合物(7)と、塩基との脱プロトン化反応により、トリアリールホスホニウム=9,9-ジアルコキシノニリド化合物(2)を得る工程と
    を更に含む、請求項1に記載の(9Z,11E)-9,11-ヘキサデカジエナール化合物の製造方法。
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