≪重合体組成物(X)≫
本発明に係る重合体組成物(X)(以下単に「組成物(X)」ともいう。)は、
下記要件(A-a)を満たす4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)(以下単に「重合体(A)」ともいう。)70.0~85.0質量%と、
下記要件(B-a)を満たし、前記(共)重合体(A)以外の4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)(以下単に「重合体(B)」ともいう。)30.0~15.0質量%(ただし、重合体(A)および(B)の合計を100質量%とする)と、
を含み、下記要件(X-1)を満たす。
組成物(X)における重合体(A)の含有量は、重合体(A)および(B)の合計100質量%に対し、70.0~85.0質量%であり、好ましくは70.0~80.0質量%、より好ましくは72.0~77.0質量%である。
組成物(X)における重合体(B)の含有量は、重合体(A)および(B)の合計100質量%に対し、30.0~15.0質量%であり、好ましくは30.0~20.0質量%、より好ましくは28.0~23.0質量%である。
重合体(A)および(B)の含有量が前記範囲にあると、耐熱性、剛性、透明性および耐衝撃性にバランスよく優れ、特に、下記要件(X-5)~(X-8)を満たす組成物および成形体を容易に得ることができる。
重合体(A)の含有量が前記範囲を下回ると、耐熱性、剛性、透明性が低下する傾向にあり、重合体(A)の含有量が前記範囲を上回ると、耐衝撃性が低下する傾向にある。
組成物(X)100質量%に対する、重合体(A)および(B)の含有量の合計は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、上限は、100質量%である。
重合体(A)および(B)の含有量の合計が前記範囲にあると、4-メチル-1-ペンテン系重合体が有する物性が十分発揮される組成物および成形体を容易に得ることができる。
組成物(X)は、下記要件(X-1)を満たせば特に制限されないが、さらに、下記要件(X-2)~(X-8)の少なくとも1つを満たすことが好ましく、特にこれら全ての要件を満たすことが好ましい。
[要件(X-1)]
要件(X-1)は、135℃のデカリン中で測定した、前記(共)重合体(A)および共重合体(B)それぞれの極限粘度[ηA]および[ηB]が、下記式を満たすことを規定する。該極限粘度は、具体的には下記実施例に記載の方法で測定できる。
0.7≦1/[ηA]×([η B ]/[η A ])0.84≦5.3
前記式の左辺は、好ましくは1.0、より好ましくは1.5であり、前記式の右辺は、好ましくは5.0、より好ましくは4.5である。
前記式は、海島構造の島の大きさに関するWuの式に基づいた式であり、この式を満たすことで、特に耐衝撃性に優れる組成物や成形体を容易に得ることができる。つまり、用いる特定の重合体の[η]を前記式を満たすようにコントロールすることで、島の大きさを制御することができ、耐衝撃性を向上させることができる。
[要件(X-2)]
要件(X-2)は、海島構造の島相を100個観察し、面積の大きい上位10個の島相の各最長径と最短径とを足して平均化した値を分散径とする時、その分散径が0.3~3.0μmであることを規定する。該島相の大きさ(径)は、具体的には下記実施例に記載の方法で測定できる。
なお、該分散径は、具体的には、「(10個の最長径の合計(μm)+10個の最短径の合計(μm))/20」の式により算出する。
前記分散径は、好ましくは0.3~2.8μm、より好ましくは0.4~2.6μmである。
分散径が前記範囲にある、つまり、島の大きさが前記範囲にあると、特に耐衝撃性に優れる組成物や成形体を容易に得ることができる。
[要件(X-3)]
要件(X-3)は、2mm厚の組成物(X)の成形体を用い、JIS K 7211に準拠して測定した23℃における高速面衝撃強度が4~20Jであることを規定する。該高速面衝撃強度は、具体的には下記実施例に記載の方法で測定できる。
該高速面衝撃強度は、好ましくは5~19J、より好ましくは6~18Jである。
高速面衝撃強度が前記範囲にあるということは、耐衝撃性に優れるといえる。
[要件(X-4)]
要件(X-4)は、3mm厚の組成物(X)の成形体を用い、ASTM D256に準拠して、23℃におけるIzod衝撃試験を行った時に破壊されないことを規定する。該Izod衝撃試験は、具体的には下記実施例に記載の方法で測定できる。
Izod衝撃試験を行った際に試験体が破壊されないということは、該試験体は、耐衝撃性に優れるといえる。
[要件(X-5)]
要件(X-5)は、2mm厚の組成物(X)の成形体を用い、JIS K 7361に準拠して測定した全光線透過率が90~98.0%であることを規定する。該全光線透過率は、具体的には下記実施例に記載の方法で測定できる。
該全光線透過率は、好ましくは90.0~95.0%、より好ましくは90.0~93.5%である。
全光線透過率が前記範囲にあるということは、4-メチル-1-ペンテン系重合体の有する透明性を損なわず、透明性に優れるといえる。
[要件(X-6)]
要件(X-6)は、2mm厚の組成物(X)の成形体を用い、ASTM D638に準拠して測定した引張弾性率が1000~2000MPaであることを規定する。該引張弾性率は、具体的には下記実施例に記載の方法で測定できる。
該引張弾性率は、好ましくは1200~1700MPa、より好ましくは1300~1500MPaである。
引張弾性率が前記範囲にあるということは、4-メチル-1-ペンテン系重合体の有する剛性を損なわず、剛性に優れるといえる。
[要件(X-7)]
要件(X-7)は、1/4インチ厚の組成物(X)の成形体を用い、ASTM D648に準拠して測定した荷重たわみ温度が80℃以上であることを規定する。該荷重たわみ温度は、具体的には下記実施例に記載の方法で測定できる。
該荷重たわみ温度は、好ましくは83℃以上、より好ましくは85℃以上であり、上限は特に制限されないが、例えば、110℃である。
荷重たわみ温度が前記範囲にあるということは、4-メチル-1-ペンテン系重合体の有する耐熱性を損なわず、耐熱性に優れるといえる。
[要件(X-8)]
要件(X-8)は、3mm厚の組成物(X)の成形体を用い、ASTM D1525に準拠して測定したビカット軟化温度が100℃以上であることを規定する。該ビカット軟化温度は、具体的には下記実施例に記載の方法で測定できる。
該ビカット軟化温度は、好ましくは140℃以上、より好ましくは145~160℃である。
ビカット軟化温度が前記範囲にあるということは、4-メチル-1-ペンテン系重合体の有する耐熱性を損なわず、耐熱性に優れるといえる。
耐熱性に優れる組成物を容易に得ることができる等の点から、組成物(X)の、DSCで測定した融点(Tm)は、好ましくは200~260℃、より好ましくは200~250℃、さらに好ましくは205~250℃、特に好ましくは210~245℃である。
該Tmは、具体的には下記実施例に記載の方法で測定できる。
組成物(X)のコモノマー含有量は、好ましくは1.5~5.0モル%、より好ましくは1.7~4.5モル%、特に好ましくは1.9~4.0モル%である。
コモノマー含有量が前記範囲にあると、耐衝撃性、剛性、耐熱性および透明性によりバランスよく優れる。コモノマー含有量が前記範囲を下回ると、耐衝撃性が低下する傾向にあり、コモノマー含有量が前記範囲を上回ると、剛性、耐熱性、透明性が低下する傾向にある。
なお、前記コモノマー含有量とは、組成物(X)中の重合体(A)および(B)を構成する構成単位の合計量を100モル%とした時の、組成物(X)中の重合体(A)および(B)を構成している4-メチル-1-ペンテン由来の構成単位以外の構成単位の含有量の合計のことをいう。具体的には、4-メチル-1-ペンテン由来の構成単位以外の構成単位の含有量がA1モル%である重合体(A)をa質量%、4-メチル-1-ペンテン由来の構成単位以外の構成単位の含有量がB1モル%である重合体(B)をb質量%(但しa+b=100)、含む組成物における前記コモノマー含有量は、(A1×a+B1×b)/100で算出することができる。
A1およびB1は、具体的には下記実施例に記載の方法で測定できる。
<4-メチル-1-ペンテン(共)重合体(A)>
重合体(A)は、下記要件(A-a)を満たせば特に制限されず、4-メチル-1-ペンテンの単独重合体(すなわち、4-メチル-1-ペンテン由来の構成単位の含有量が100モル%である重合体)、または、4-メチル-1-ペンテンと他のオレフィンやモノマーとの共重合体等が挙げられる。さらに、重合体(A)は、これら単独重合体または共重合体を被変性体とし、極性モノマーやシランカップリング剤を用いてグラフト変性したグラフト変性体であってもよい。
組成物(X)に用いる重合体(A)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
[要件(A-a)]
要件(A-a)は、重合体(A)に含まれる全構成単位に対し、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(U1)の含有量が96.0~100モル%であり、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれるオレフィンから導かれる構成単位(U2)の含有量が4.0~0モル%であることを規定する。
透明性および耐熱性によりバランスよく優れる等の点から、構成単位(U1)の含有量は、好ましくは97~100モル%、より好ましくは98.0~99.9モル%であり、構成単位(U2)の含有量は、好ましくは0~3.0モル%、より好ましくは0.1~2.0モル%である。
該構成単位の含有量は、具体的には下記実施例に記載の方法で測定でき、重合反応中に添加する4-メチル-1-ペンテンおよび前記オレフィンの量により調整することができる。
前記構成単位(U2)となるオレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンおよび1-エイコセン等が挙げられる。これらの中でも、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンが好ましく、特に、透明性や成形時のハンドリング性等の点から、1-ヘキセン、1-ヘキサデセンおよび1-オクタデセンが好ましい。
これらのオレフィンは、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
重合体(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、4-メチル-1-ペンテンおよび前記オレフィン以外の他のモノマーに由来する構成単位を有してもよい。
該他のモノマーに由来する構成単位の含有量の上限値は、構成単位(U1)および(U2)の合計100質量部に対して、例えば12.2質量部以下、好ましくは6質量部以下である。
重合体(A)の、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[ηA]は、好ましくは0.5~5.0dl/g、より好ましくは0.7~4.0dl/g、さらに好ましくは0.7~3.0dl/g、特に好ましくは0.8~2.0dl/gである。
[ηA]が前記範囲にあると、組成物(X)の成形時の樹脂流動性の点で好ましい。
[ηA]は、重合系の水素濃度および圧力等を適宜選択することにより調整することができる。
耐熱性に優れる組成物を容易に得ることができる等の点から、重合体(A)の、DSCで測定した融点(Tm)は、好ましくは220~250℃、より好ましくは225~250℃、さらに好ましくは228~245℃、特に好ましくは230~245℃である。
該Tmは、示差走査型熱量測定(昇温速度:10℃/分)によって決定される。該Tmは、コモノマー種およびその量を適宜選択することなどにより任意に調整することができる。
<4-メチル-1-ペンテン共重合体(B)>
重合体(B)は、重合体(A)以外の重合体であり、下記要件(B-a)を満たせば特に制限されず、4-メチル-1-ペンテンと他のオレフィンやモノマーとの共重合体等が挙げられる。さらに、重合体(B)は、この共重合体を被変性体とし、極性モノマーやシランカップリング剤を用いてグラフト変性したグラフト変性体であってもよい。
組成物(X)に用いる重合体(B)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
[要件(B-a)]
要件(B-a)は、重合体(B)に含まれる全構成単位に対し、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位(U3)の含有量が85.0モル%以上96.0モル%未満であり、エチレンおよび炭素数3~20のα-オレフィン(4-メチル-1-ペンテンを除く)からなる群より選ばれるオレフィンから導かれる構成単位(U4)の含有量が4.0モル%を超え15.0モル%以下であることを規定する。
耐衝撃性により優れる等の点から、構成単位(U3)の含有量は、好ましくは87.0~94.0モル%、より好ましくは89.0~93.0モル%であり、構成単位(U4)の含有量は、好ましくは13.0~6.0モル%、より好ましくは11.0~7.0モル%である。
該構成単位の含有量は、IRまたは13C-NMRにより測定することができ、具体的には下記実施例に記載の方法で測定でき、重合反応中に添加する4-メチル-1-ペンテンおよび前記オレフィンの量により調整することができる。
炭素数3~20の4-メチル-1-ペンテン以外のα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンおよび1-エイコセンが挙げられる。これらの中でも、炭素数6~20の4-メチル-1-ペンテン以外のα-オレフィンが好ましく、具体的には、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセンおよび1-オクタデセンが挙げられ、特に、透明性や成形時のハンドリング性等の点から、1-ヘキセン、1-ヘキサデセンおよび1-オクタデセンが好ましい。
前記構成単位(U4)となるオレフィンは、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
重合体(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で、4-メチル-1-ペンテンおよび前記オレフィン以外の他のモノマーに由来する構成単位を有してもよい。
該他のモノマーに由来する構成単位の含有量の上限値は、構成単位(U3)および(U4)の合計100質量部に対して、例えば37質量部以下、好ましくは30質量部以下である。
重合体(B)の、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[ηB]は、好ましくは2.0~6.0dl/g、より好ましくは3.0~5.5dl/g、さらに好ましくは3.5~5.3dl/g、特に好ましくは4.0~5.0dl/gである。
[ηB]が前記範囲にあると、成形性および柔軟性に優れる組成物を容易に得ることができる。
[ηB]は、重合系の水素濃度および圧力等を適宜選択することにより調整することができる。
柔軟性および耐熱性により優れる組成物を容易に得ることができる等の点から、重合体(B)の、DSCで測定した融点(Tm)は、好ましくは、220℃未満の範囲にあるかまたはDSC測定において融点を示すピークが出現しないことである。Tmが存在する場合、その温度は、より好ましくは160℃未満、さらに好ましくは155℃未満である。
該Tmは、示差走査型熱量測定(昇温速度:10℃/分)によって決定される。該Tmは、コモノマー種およびその量を適宜選択することなどにより任意に調整することができる。
[重合体(A)および(B)の製造方法]
重合体(A)および(B)の製造方法としては特に制限されず、例えば、国際公開第01/27124号、国際公開第14/050817号等に記載の方法を採用することができる。
具体的には、重合体(A)および(B)は、後述するオレフィン重合用触媒の存在下で所定のモノマーを重合することで得ることができる。
前記オレフィン重合用触媒としては、
架橋メタロセン化合物(A)と、
(b-1)有機アルミニウムオキシ化合物、(b-2)前記メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および、(b-3)有機アルミニウム化合物から選ばれる少なくとも1種以上の化合物(B)と、
を含む触媒が好ましい。
・架橋メタロセン化合物(A)
架橋メタロセン化合物(A)としては、下記式[A1]で表される化合物が好ましく、下記式[A2]で表される化合物がより好ましい。
式[A1]中、Mは周期表第4族の遷移金属、例えば、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、Qは独立して、ハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子、または、孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、jは1~4の整数であり、RAおよびRBはそれぞれ独立して、Mと共にサンドイッチ構造を形成することができる単核または多核の炭化水素残基であり、Yは炭素原子またはケイ素原子であり、RCおよびRDはそれぞれ独立して、水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子またはハロゲン含有炭化水素基であり、また、RCおよびRDは、互いに結合して環を形成していてもよい。
式[A2]中、R1は炭化水素基、ケイ素含有基またはハロゲン含有炭化水素基であり、R2~R10はそれぞれ独立して、水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子またはハロゲン含有炭化水素基であり、これらのうち、隣接する2つは互いに結合して環を形成してもよい。Mは周期表第4族の遷移金属であり、Qは独立して、ハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子、または、孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、jは1~4の整数である。
式[A2]で表される架橋メタロセン化合物の中でも、重合特性、入手容易性、前記要件を満たす重合体を容易に合成できる等の点から、下記式[A3]で表される架橋メタロセン化合物が特に好ましい。
式[A3]中、R1bは炭化水素基、ケイ素含有基またはハロゲン含有炭化水素基であり、R2b~R12bはそれぞれ独立して、水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子またはハロゲン含有炭化水素基であり、隣接する2つは互いに結合して環を形成してもよい。Mは周期表第4族の遷移金属であり、nは1~3の整数であり、Qは独立して、ハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子、または、孤立電子対で配位可能な中性配位子であり、jは1~4の整数である。
前記炭化水素基としては、例えば、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、飽和炭化水素基が有する1つまたは2つ以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基が挙げられる。該炭化水素基の炭素数は、通常1~20、好ましくは1~15、より好ましくは1~10である。
直鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカニル基等の直鎖状アルキル基;アリル基等の直鎖状アルケニル基が挙げられる。
分岐状炭化水素基としては、例えば、イソプロピル基、tert-ブチル基、tert-アミル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1-メチル-1-プロピルブチル基、1,1-プロピルブチル基、1,1-ジメチル-2-メチルプロピル基、1-メチル-1-イソプロピル-2-メチルプロピル基等の分岐状アルキル基が挙げられる。
環状飽和炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、メチルアダマンチル基等の多環式基が挙げられる。
環状不飽和炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基等のアリール基;シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;5-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エニル(ノルボルネニル)基等の多環の不飽和脂環式基が挙げられる。
飽和炭化水素基が有する1つまたは2つ以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基としては、例えば、ベンジル基、クミル基、1,1-ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基等のアルキル基が有する1つまたは2つ以上の水素原子をアリール基に置換してなる基が挙げられる。
前記ケイ素含有基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の式-SiR3(式中、複数あるRはそれぞれ独立に炭素数1~15のアルキル基またはフェニル基である。)で表される基が挙げられる。
前記ハロゲン含有炭化水素基としては、例えば、トリフルオロメチル基等の、前記炭化水素基が有する1つまたは2つ以上の水素原子をハロゲン原子に置換してなる基が挙げられる。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
R2~R10およびR2b~R12bの置換基のうち、隣接する2つの置換基(例:R2bとR3b、R3bとR4b、R5bとR6b、R6bとR7b、R8bとR9b、R9bとR10b、R10bとR11b、R11bとR12b)は互いに結合して環を形成していてもよく、このような環は、分子中に2箇所以上存在してもよい。
前記2つの置換基が互いに結合して形成された環(スピロ環、付加的な環)としては、例えば、脂環、芳香環が挙げられる。具体的には、シクロヘキサン環、ベンゼン環、水素化ベンゼン環、シクロペンテン環が挙げられ、好ましくはシクロヘキサン環、ベンゼン環および水素化ベンゼン環である。また、このような環構造は、環上にアルキル基等の置換基をさらに有していてもよい。
R1bは、立体規則性の観点から、炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~20の炭化水素基であることがより好ましく、アリール基ではないことがさらに好ましく、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基または環状飽和炭化水素基であることがとりわけ好ましく、遊離原子価を有する炭素(シクロペンタジエニル環に結合する炭素)が3級炭素である基であることが特に好ましい。
R1bとしては、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、tert-アミル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アダマンチル基が例示でき、より好ましくはtert-ブチル基、tert-ペンチル基、1-メチルシクロヘキシル基、1-アダマンチル基等の遊離原子価を有する炭素が3級炭素である基であり、特に好ましくはtert-ブチル基、1-アダマンチル基である。
式[A3]において、フルオレン環部分は公知のフルオレン誘導体から得られる構造であれば特に制限されないが、R4bおよびR5bは、立体規則性、分子量の観点から、好ましくは水素原子である。
R2b、R3b、R6bおよびR7bは、好ましくは水素原子または炭化水素基であり、より好ましくは炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数1~20の炭化水素基である。また、R2bとR3bが互いに結合して環を形成し、かつR6bとR7bが互いに結合して環を形成していてもよい。このような置換フルオレニル基としては、例えば、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基、1,1,3,3,6,6,8,8-オクタメチル-2,3,6,7,8,10-ヘキサヒドロ-1H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基、1’,1’,3’,6’,8’,8’-ヘキサメチル-1’H,8’H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基が挙げられ、特に好ましくは1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基である。
R8bは水素原子であることが好ましい。
R9bは炭化水素基であることがより好ましく、R9bは直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基等の炭素数2以上のアルキル基、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基であることがさらに好ましく、R9bは炭素数2以上のアルキル基であることがとりわけ好ましい。また、合成上の観点からは、R10bおよびR11bは水素原子であることも好ましい。
また、n=1である場合、R9bおよびR10bが互いに結合して環を形成していることがより好ましく、当該環は、シクロヘキサン環等の6員環であることが特に好ましい。この場合、R11bは水素原子であることが好ましい。
R12bは、炭化水素基であることが好ましく、アルキル基であることが特に好ましい。
Mは、例えばTi、ZrまたはHfであり、好ましくはZrまたはHfであり、特に好ましくはZrである。
Qにおける炭化水素基としては、炭素数1~10のアルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基が好ましい。炭素数1~10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、2-メチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1,1-ジエチルプロピル基、1-エチル-1-メチルプロピル基、1,1,2,2-テトラメチルプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,1,3-トリメチルブチル基、ネオペンチル基が例示され;炭素数3~10のシクロアルキル基としては、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシル基、1-メチル-1-シクロヘキシル基が例示される。炭化水素基の炭素数は、5以下であることがより好ましい。
炭素数10以下の中性の共役または非共役ジエンとしては、s-シス-またはs-トランス-η4-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-3-メチル-1,3-ペンタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジベンジル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-2,4-ヘキサジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,3-ペンタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ジトリル-1,3-ブタジエン、s-シス-またはs-トランス-η4-1,4-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ブタジエンが例示される。
アニオン配位子としては、メトキシ基、tert-ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;アセテート基、ベンゾエート基等のカルボキシレート基;メシレート基、トシレート基等のスルホネート基が例示される。
孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン等の有機リン化合物;テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル類が例示される。
Qの好ましい態様は、ハロゲン原子または炭素数1~5のアルキル基である。
nは1~3の整数であり、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。nがこれらの値であることは、重合体を効率的に合成できる等の点から好ましい。
jは1~4の整数であり、好ましくは2である。
式[A3]で表される架橋メタロセン化合物としては、(8-オクタメチルフルオレン-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライド、または、(8-(2,3,6,7-テトラメチルフルオレン)-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライドが特に好ましい。ここで、前記オクタメチルフルオレンとは1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレンのことである。
・有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)
有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)としては、下記式[B1]で表される化合物および下記式[B2]で表される化合物等の従来公知のアルミノキサン、下記式[B3]で表される構造を有する修飾メチルアルミノキサン、下記式[B4]で表されるボロン含有有機アルミニウムオキシ化合物が例示される。
化合物(b-1)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
式[B1]および[B2]において、Rは炭素数1~10の炭化水素基、好ましくはメチル基であり、nは2以上、好ましくは3以上、より好ましくは10以上の整数である。
式[B1]および[B2]において、Rがメチル基であるメチルアルミノキサンが好適に使用される。
式[B3]において、Meはメチル基であり、Rは独立して、炭素数2~10の炭化水素基であり、mおよびnはそれぞれ独立して、2以上の整数である。
修飾メチルアルミノキサン[B3]は、トリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムとを用いて調製することができる。このような修飾メチルアルミノキサン[B3]は、一般にMMAO(modified methyl aluminoxane)と呼ばれている。MMAOは、具体的には米国特許第4960878号および米国特許第5041584号で挙げられる方法で調製することができる。
また、東ソー・ファインケム(株)等からも、トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとを用いて調製された(すなわち、式[B3]においてRがイソブチル基である)修飾メチルアルミノキサンが、MMAOやTMAOという商品名で商業的に市販されている。
MMAOは各種溶媒への溶解性および保存安定性が改善されたアルミノキサンである。
具体的には式[B1]または[B2]で表される化合物等のようなベンゼンに対して不溶性または難溶性の化合物とは異なり、MMAOは脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素および芳香族炭化水素に溶解するものである。
式[B4]において、Rcは炭素数1~10の炭化水素基である。複数あるRdはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1~10の炭化水素基である。
前記オレフィン重合用触媒を用いた製法では、後述するような高温においても重合体を製造することができる。したがって、特開平2-78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性または難溶性の有機アルミニウムオキシ化合物をも使用できることができる。また、特開平2-167305号公報に記載されている有機アルミニウムオキシ化合物、特開平2-24701号公報、特開平3-103407号公報に記載されている2種以上のアルキル基を有するアルミノキサンなども好適に使用できる。
なお、前記の「ベンゼン不溶性または難溶性の」有機アルミニウムオキシ化合物とは、60℃のベンゼンへの溶解量が、Al原子換算で、通常は10質量%以下、好ましくは5質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である、有機アルミニウムオキシ化合物のことをいう。
・架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(b-2)
架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(b-2)(以下、「イオン性化合物(b-2)」ともいう。)としては、特開平1-501950号公報、特開平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、特開2004-51676号公報、米国特許第5321106号等に記載された、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物が例示される。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も例示される。これらの中では、下記式[B5]で表される化合物が好ましい。
イオン性化合物(b-2)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
式[B5]において、Re+としては、H+、オキソニウムカチオン、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンが例示される。Rf、Rg、RhおよびRiはそれぞれ独立して有機基を示し、好ましくはアリール基またはハロゲン置換アリール基を示す。
前記カルベニウムカチオンとしては、トリフェニルカルベニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)カルベニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)カルベニウムカチオン等の三置換カルベニウムカチオンが例示される。
アンモニウムカチオンとしては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリ(n-プロピル)アンモニウムカチオン、トリイソプロピルアンモニウムカチオン、トリ(n-ブチル)アンモニウムカチオン、トリイソブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N,2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N-ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオンが例示される。
ホスホニウムカチオンとしては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオンが例示される。
Re+としては、前記例示の中では、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオンが好ましく、トリフェニルカルベニウムカチオン、N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオンが特に好ましい。
Re+がカルベニウムカチオンの場合としては、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(4-メチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(3,5-ジメチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが例示される。
Re+がアンモニウムカチオンの場合としては、トリアルキルアンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩が例示される。
トリアルキルアンモニウム塩としては、具体的には、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(p-トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(4-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(p-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(4-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムが例示される。
N,N-ジアルキルアニリニウム塩としては、具体的には、N,N-ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N,2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N,2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが例示される。
ジアルキルアンモニウム塩としては、具体的には、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートが例示される。
・有機アルミニウム化合物(b-3)
有機アルミニウム化合物(b-3)としては、下記式[B6]で表される有機アルミニウム化合物、下記式[B7]で表される周期表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物が例示される。
化合物(b-3)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
Ra
mAl(ORb)nHpXq [B6]
式[B6]において、RaおよびRbはそれぞれ独立して、炭素数1~15、好ましくは1~4の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。
有機アルミニウム化合物[B6]としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリn-アルキルアルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリtert-ブチルアルミニウム、トリ2-メチルブチルアルミニウム、トリ3-メチルヘキシルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウム等のトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウム等のトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウム等のトリアリールアルミニウム;ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;一般式(i-C4H9)xAly(C5H10)z(式中、x、yおよびzは正の数であり、z≦2xである。)などで表されるイソプレニルアルミニウム等のアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド等のアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;式Ra
2.5Al(ORb)0.5(式中、RaおよびRbは式[B6]中のRaおよびRbと同義である。)で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6-ジtert-ブチル-4-メチルフェノキシド)等のアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムジハライド等の部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリド等の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミド等の部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウム;が例示される。
M2AlRa
4 [B7]
式[B7]において、M2はLi、NaまたはKであり、複数あるRaはそれぞれ独立して、炭素数1~15、好ましくは1~4の炭化水素基である。
錯アルキル化物[B7]としては、LiAl(C2H5)4、LiAl(C7H15)4が例示される。また、錯アルキル化物[B7]に類似する化合物も使用することができ、窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物が例示される。このような化合物としては、(C2H5)2AlN(C2H5)Al(C2H5)2が例示される。
有機アルミニウム化合物(b-3)としては、入手が容易な点から、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。
・担体(C)
オレフィン重合用触媒の成分として、担体(C)を用いてもよい。担体(C)は、無機化合物または有機化合物であって、顆粒状または微粒子状の固体である。
担体(C)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土鉱物、粘土(通常は該粘土鉱物を主成分として構成される。)、イオン交換性層状化合物(大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。)が例示される。多孔質酸化物としては、SiO2、Al2O3、MgO、ZrO、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2;これらの酸化物を含む複合物または混合物が例示される。複合物または混合物としては、天然または合成ゼオライト、SiO2-MgO、SiO2-Al2O3、SiO2-TiO2、SiO2-V2O5、SiO2-Cr2O3、SiO2-TiO2-MgOが例示される。これらの中では、SiO2およびAl2O3の何れか一方または双方の成分を主成分とする多孔質酸化物が好ましい。
多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、粒径は、好ましくは10~300μm、より好ましくは20~200μmであり;比表面積は、好ましくは50~1000m2/g、より好ましくは100~700m2/gであり;細孔容積は、好ましくは0.3~3.0cm3/gである。このような多孔質酸化物は、必要に応じて100~1000℃、好ましくは150~700℃で焼成して使用される。
無機ハロゲン化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2が例示される。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミル等により粉砕した後に用いてもよい。また、アルコール等の溶媒に前記無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させた成分を用いることもできる。
粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。なお、イオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有されるイオンが交換可能な化合物である。
具体的には、粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、合成雲母等のウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ヘクトライト、テニオライト、ハロイサイトが例示され;イオン交換性層状化合物としては、六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型等の層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物が例示される。具体的には、イオン交換性層状化合物としては、α-Zr(HAsO4)2・H2O、α-Zr(HPO4)2、α-Zr(KPO4)2・3H2O、α-Ti(HPO4)2、α-Ti(HAsO4)2・H2O、α-Sn(HPO4)2・H2O、γ-Zr(HPO4)2、γ-Ti(HPO4)2、γ-Ti(NH4PO4)2・H2O等の多価金属の結晶性酸性塩が例示される。
粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理としては、具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理が例示される。
また、イオン交換性層状化合物は、そのイオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した層状化合物としてもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常はピラーと呼ばれる。例えば、層状化合物の層間に下記金属水酸化物イオンをインターカレーションした後に加熱脱水することにより、層間に酸化物支柱(ピラー)を形成することができる。なお、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。
インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、ZrCl4等の陽イオン性無機化合物;Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3等の金属アルコキシド(Rは炭化水素基など);[Al13O4(OH)24]7+、[Zr4(OH)14]2+、[Fe3O(OCOCH3)6]+等の金属水酸化物イオンが例示される。これらのゲスト化合物は、単独で用いてもよく2種以上を用いてもよい。
また、ゲスト化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4等の金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)を加水分解および重縮合して得た重合物、SiO2等のコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。
無機化合物の中では、粘土鉱物および粘土が好ましく、モンモリロナイト群、バーミキュライト、ヘクトライト、テニオライトおよび合成雲母が特に好ましい。
前記有機化合物としては、粒径が10~300μmの範囲にある顆粒状または微粒子状の固体が例示される。具体的には、エチレン、炭素数3~20のα-オレフィンを主成分として合成される(共)重合体;ビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として合成される(共)重合体;これら(共)重合体の変成体が例示される。
・有機化合物成分(D)
オレフィン重合用触媒の成分として、有機化合物成分(D)を用いてもよい。有機化合物成分(D)は、必要に応じて、α-オレフィンの重合反応における重合性能およびオレフィン重合体の物性を向上させる目的で使用される。有機化合物成分(D)としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、スルホン酸塩が例示される。
有機化合物成分(D)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
・オレフィン重合用触媒の構成
オレフィン重合用触媒を用いてオレフィンの重合を行うに際して、オレフィン重合用触媒を構成しうる各成分の使用量は例えば以下のとおりである。
(1)前記架橋メタロセン化合物(A)は、反応容積1リットル当り、通常は10-9~10-1モル、好ましくは10-8~10-2モルとなるような量で用いられる。
(2)オレフィン重合用触媒の成分として有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)を用いる場合には、該化合物(b-1)は、該化合物(b-1)中のアルミニウム原子(Al)と架橋メタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔Al/M〕が、通常は0.01~5000、好ましくは0.05~2000となるような量で用いられる。
(3)オレフィン重合用触媒の成分としてイオン性化合物(b-2)を用いる場合には、該化合物(b-2)は、該化合物(b-2)と架橋メタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(b-2)/M〕が、通常は1~10、好ましくは1~5となるような量で用いられる。
(4)オレフィン重合用触媒の成分として有機アルミニウム化合物(b-3)を用いる場合には、該化合物(b-3)は、該化合物(b-3)と架橋メタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(b-3)/M〕が、通常は10~5000、好ましくは20~2000となるような量で用いられる。
(5)オレフィン重合用触媒の成分として有機化合物成分(D)を用いる場合であって、化合物(B)が有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)である場合、有機化合物成分(D)と化合物(b-1)とのモル比〔(D)/(b-1)〕が、通常は0.01~10、好ましくは0.1~5となるような量で;化合物(B)がイオン性化合物(b-2)である場合、有機化合物成分(D)と化合物(b-2)とのモル比〔(D)/(b-2)〕が、通常は0.01~10、好ましくは0.1~5となるような量で;化合物(B)が有機アルミニウム化合物(b-3)である場合、有機化合物成分(D)と化合物(b-3)とのモル比〔(D)/(b-3)〕が、通常は0.01~2、好ましくは0.005~1となるような量で用いられる。
・重合方法
重合体(A)および(B)の製造における重合は、溶液重合、懸濁重合等の液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。
液相重合法では、不活性炭化水素媒体を用いてもよく、該不活性炭化水素媒体としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
該不活性炭化水素媒体は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。また、重合に供給されうる液化オレフィン自身を溶媒として用いる、いわゆるバルク重合法を用いることもできる。
前記重合における重合温度は、通常-50~+200℃、好ましくは0~180℃であり;重合圧力は、通常常圧~10MPaゲージ圧、好ましくは常圧~5MPaゲージ圧である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる二段以上に分けて行うこともできる。得られる重合体の分子量は、重合系に水素等を存在させるか、重合温度を変化させるか、または、化合物(B)の使用量により調節することができる。
前記重合は、工業的製法において有利な高温条件下であっても、高い触媒活性を維持しつつ、高立体規則性・高融点および高分子量を有する重合体を製造することが可能である。このような高温条件下では、重合温度は、通常40℃以上、好ましくは40~200℃、より好ましくは45~150℃、特に好ましくは50~150℃(換言すれば、特に好ましくは工業化可能な温度である。)である。
特に水素は、触媒の重合活性を向上させる効果や、重合体の分子量を増加または低下させる効果が得られることがあり、好ましい添加物であるといえる。系内に水素を添加する場合、その量はオレフィン1モルあたり0.00001~100NL程度が適当である。系内の水素濃度は、水素の供給量を調整する以外にも、水素を生成または消費する反応を系内で行う方法や、膜を利用して水素を分離する方法、水素を含む一部のガスを系外に放出することによっても調整することができる。
前記重合で得られた重合体は、前記方法で合成した後に、必要に応じて公知の触媒失活処理工程、触媒残渣除去工程、乾燥工程等の後処理工程を行ってよい。
また、重合体(A)および(B)がグラフト変性(共)重合体である場合は、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体にエチレン性不飽和結合含有モノマーを、有機過酸化物を用いてグラフト変性することにより前記グラフト変性体を製造することができる。
グラフト変性に用いられるエチレン性不飽和結合含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸またはその誘導体、ビニルエステル化合物、塩化ビニル、カルボジイミド化合物が挙げられる。特に、不飽和カルボン酸またはその誘導体が好ましい。
変性体の変性量(前記モノマーのグラフト量)は、変性体を100質量%とした場合に、通常0.1~50質量%、好ましくは0.2~30質量%、さらに好ましくは0.2~10質量%である。
重合体(A)や(B)として変性体を用いると、他の樹脂との接着性、相溶性に優れ、また得られた成形体表面の濡れ性が改良される場合がある。また、変性体を用いることにより、樹脂以外の他の材料(ガラス、金属、木材など)との相容性または接着性を付加することができる場合もある。
また、前記モノマー(例えば、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体)のグラフト量が前記範囲にある変性体を用いると、組成物(X)は、極性基含有樹脂(例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、PMMA、ポリカーボネート等)に対して高い接着強度を示す。
<その他の成分>
前記組成物(X)は、その用途に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、樹脂用添加剤(以下「添加剤(C)」ともいう。)を任意に含有していてもよい。
〈添加剤(C)〉
前記添加剤(C)としては、例えば、核剤、アンチブロッキング剤、顔料、染料、充填剤、滑剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、界面活性剤、帯電防止剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、スリップ防止剤、発泡剤、結晶化助剤、防曇剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、衝撃改良剤、架橋剤、共架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、加工助剤、分散剤が挙げられる。
添加剤(C)は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
添加剤(C)の含有量は、本発明の目的を損なわない限り特に限定されないが、組成物(X)の総質量に対して、配合される添加剤の合計が0.001~30質量%であることが好ましい。
核剤としては、組成物(X)の成形性をさらに改善させる、すなわち結晶化温度を高め、結晶化速度を速めるために公知の核剤が使用可能である。具体的には、ジベンジリデンソルビトール系核剤、リン酸エステル塩系核剤、ロジン系核剤、安息香酸金属塩系核剤、フッ素化ポリエチレン、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、ピメリン酸やその塩、2,6-ナフタレン酸ジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド、エチレンビスステアリン酸アマイド等が挙げられる。
核剤の配合量は、特に限定されないが、重合体(A)および(B)の総量100質量部に対して、好ましくは0.001~5質量部である。核剤は、前記重合体を製造する際、重合後、または成形加工時など適宜添加が可能である。
アンチブロッキング剤としては、公知のアンチブロッキング剤が使用可能である。具体的には、微粉末シリカ、微粉末酸化アルミニウム、微粉末クレー、粉末状もしくは液状のシリコン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、微粉末架橋樹脂、例えば架橋されたアクリル、メタクリル樹脂粉末、アマイド系滑剤等が挙げられる。これらのうちでは、微粉末シリカおよび架橋されたアクリル、メタクリル樹脂粉末が好ましい。
顔料としては、無機顔料(例:酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、硫化カドミウム)、有機顔料(例:アゾレーキ系、チオインジゴ系、フタロシアニン系、アントラキノン系)が挙げられる。染料としてはアゾ系、アントラキノン系、トリフェニルメタン系等が挙げられる。これら顔料および染料の添加量は、特に限定されないが、組成物(X)の総質量に対して、合計で、通常5質量%以下、好ましくは0.1~3質量%である。
充填剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、シリカ繊維、金属(ステンレス、アルミニウム、チタン、銅等)繊維、カーボンブラック、シリカ、ガラスビーズ、珪酸塩(珪酸カルシウム、タルク、クレー等)、金属酸化物(酸化鉄、酸化チタン、アルミナ等)、金属の炭酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム等)および各種金属(マグネシウム、珪素、アルミニウム、チタン、銅等)粉末、マイカ、ガラスフレークが挙げられる。
滑剤としては、例えば、ワックス(カルナバロウワックス等)、高級脂肪酸(ステアリン酸等)、高級アルコール(ステアリルアルコール等)、高級脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド等)が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、芳香族カルボン酸エステル(フタル酸ジブチル等)、脂肪族カルボン酸エステル(メチルアセチルリシノレート等)、脂肪族ジアルボン酸エステル(アジピン酸-プロピレングリコール系ポリエステル等)、脂肪族トリカルボン酸エステル(クエン酸トリエチル等)、リン酸トリエステル(リン酸トリフェニル等)、エポキシ脂肪酸エステル(ステアリン酸エポキシブチル等)、石油樹脂が挙げられる。
離型剤としては、例えば、高級脂肪酸の低級(C1~4)アルコールエステル(ステアリン酸ブチル等)、脂肪酸(C4~30)の多価アルコールエステル(硬化ヒマシ油等)、脂肪酸のグリコールエステル、流動パラフィンが挙げられる。
酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤が使用可能である。具体的には、フェノール系(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール等)、多環フェノール系(2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール等)、リン系(トリ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4-ビフェニレンジホスフォネート等)、イオウ系(チオジプロピオン酸ジラウリル等)、アミン系(N,N-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン等)、ラクトン系の酸化防止剤等が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、有機系難燃剤(含窒素系、含硫黄系、含珪素系、含リン系等)、無機系難燃剤(三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、赤リン等)が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、アクリレート系の紫外線吸収剤が挙げられる。
抗菌剤としては、例えば、4級アンモニウム塩、ピリジン系化合物、有機酸、有機酸エステル、ハロゲン化フェノール、有機ヨウ素が挙げられる。
界面活性剤としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤を挙げることができる。非イオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビットもしくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン性界面活性剤が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両面界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキル時ヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、前記の界面活性剤、脂肪酸エステル、高分子型帯電防止剤が挙げられる。脂肪酸エステルとしては、例えば、ステアリン酸やオレイン酸のエステルが挙げられ、高分子型帯電防止剤としては、例えば、ポリエーテルエステルアミドが挙げられる。
耐熱安定剤としては、例えば、アミン系安定剤、フェノール系安定剤および硫黄系安定剤などの従来公知の安定剤が挙げられる。具体的には、フェニルブチルアミンおよびN,N'-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミンなどの芳香族2級アミン系安定剤;ジブチルヒドロキシトルエンおよびテトラキス[メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン、オクタデシル3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノール系安定剤;ビス[2-メチル-4-(3-n-アルキルチオプロピオニルオキシ)-5-t-ブチルフェニル]スルフィドなどのチオエーテル系安定剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケルなどのジチオカルバミン酸塩系安定剤;2-メルカプトベンゾイルイミダゾールおよび2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩;ジラウリルチオジプロピオネートおよびジステアリルチオジプロピオネートなどの硫黄系安定剤などが挙げられる。これらの安定剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
架橋剤としては、例えば、有機ペルオキシドが用いられる。
有機ペルオキシドとしては、例えば、ジクミル有機ペルオキシド、ジ-tert-ブチル有機ペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイル有機ペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイル有機ペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチル有機ペルオキシド、ラウロイル有機ペルオキシド、tert-ブチルクミル有機ペルオキシドが挙げられる。
有機ペルオキシドは、重合体(A)および(B)の総量100質量部に対して、好ましくは0.05~10質量部の割合で用いられる。
有機ペルオキシドによる架橋処理に際し、架橋助剤として、硫黄、p-キノンジオキシム、p,p'-ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N-4-ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋助剤、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
前記化合物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。これらの中でも、特に、ジビニルベンゼンが好適に用いられる。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、重合体(A)や(B)との相溶性が良好であり、かつ、有機ペルオキシドを可溶化する作用を有し、有機ペルオキシドの分散剤として働く。このため、均質な架橋効果が得られ、流動性と物性とのバランスのとれた動的熱処理物が得られる。
前記架橋助剤は、重合体(A)および(B)の総量100質量部に対して、好ましくは0.05~10質量部の割合で用いられる。
軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の鉱物油系軟化剤、コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤、ヒマシ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、密ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸またはその金属塩、ナフテン酸またはその金属石鹸、パイン油、ロジンまたはその誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤、ジイソドデシルカーボネート等の炭酸エステル系可塑剤、その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油が挙げられる。これらの中でも、石油系軟化剤および炭化水素系合成潤滑油が好ましい。
軟化剤の量は特に限定されないが、重合体(A)および(B)の総量100質量部に対して、1~20質量部の量であることが好ましい。軟化剤は、組成物(X)を調製する際に加工を容易にするとともにカーボンブラック等の分散を助ける。
<組成物(X)の製造方法>
組成物(X)の製造方法は特に限定されないが、例えば、重合体(A)、(B)、および、必要に応じて他の任意成分を前述の添加割合で混合した後、溶融混練することで得ることができる。
溶融混練の方法は特に制限されず、一般的に市販されている押出機などの溶融混練装置を用いて行うことが可能である。
例えば、混練機にて混練を行う部分のシリンダ温度は、通常240~320℃、好ましくは270~300℃である。温度が240℃よりも低いと、溶融不足により混練が不十分となり、組成物の物性が向上し難い場合がある。一方、温度が320℃よりも高いと、重合体(A)および(B)等の成分の熱分解が起こる場合がある。
≪成形体≫
本発明に係る成形体は、前記組成物(X)を含めば特に制限されないが、通常、該組成物(X)を成形することで得られる。
組成物(X)の成形方法としては、公知の各種の成形方法が適用でき、例えば射出成形や押出成形、射出延伸ブロー成形法、ブロー成形法、キャスト成形法、カレンダ一成形法、プレス成形、スタンピング成形、インフレーション成形、ロール成形等の各種成形法を挙げることができる。これらの成形方法により、目的とする成形体、例えばフィルム、シート、中空成形体、射出成形体、繊維等に加工することができる。成形条件は従来公知の4-メチル-1-ペンテン系重合体の成形条件と同様である。成形体の形状には特に制約はない。例えば、チューブ状、フィルム状、シート状、膜(メンブレン)状、テープ状、板状、棒状、繊維状、不織布状である。
前記組成物(X)および前記成形体は、従来の4-メチル-1-ペンテン系重合体が用いられてきた用途に制約なく用いることができるが、耐衝撃性、剛性、耐熱性および透明性が要求される用途にはさらに適している。
具体的な用途としては、例えば、容器、フィルム、包材が挙げられる。
容器としては、例えば、食器、食品容器、調昧料容器、台所用品、レトルト容器、冷凍保存容器、レトルトパウチ、電子レンジ耐熱容器、電子レンジスチーム滅菌用容器、冷凍食品容器、冷菓カップ、カップ、乳幼児用品(例:哺乳瓶)、ボトル容器、医療用器具、(例:輸血セット、医療用ボトル、医療用容器、医療用中空瓶、医療バッグ、輸液バッグ、血液保存バック、輸液ボトル)、薬品容器、洗剤容器、柔軟剤用容器、漂白剤用容器、シャンプー用容器、リンス用容器、化粧品容器、香水容器、トナー容器、粉末容器、接着剤用容器、ガソリンタンク用容器、灯油用容器、耐熱容器、アニマルケージ、実験用器材(例:理化学実験器具)が挙げられる。
フィルムの用途としては、例えば、食品(例:食肉、加工魚、野菜、果物、発酵食品、レトルト食品、菓子、医薬、球根、種子、キノコ)等の包材や、ラップフィルム、細胞培養バック、細胞検査フィルム、耐熱真空成形容器、惣菜容器、惣菜用蓋材、ベーキングカートン、各種離型フィルムなどが挙げられる。
フィルムとしては、さらに、例えば、フレキシブルプリント基板用離型フィルム、ACM基板用離型フィルム、リジット基板用離型フィルム、リジットフレキシブル基板用離型フィルム、先端複合材料用離型フィルム、炭素繊維複合材硬化用離型フィルム、ガラス繊維複合材硬化用離型フィルム、アラミド繊維複合材硬化用離型フィルム、ナノ複合材硬化用離型フィルム、フィラー充填材硬化用離型フィルム、半導体封止用離型フィルム、偏光板用離型フィルム、拡散シート用離型フィルム、プリズムシート用離型フィルム、反射シート用離型フィルム、離型フィルム用クッションフィルム、燃料電池用離型フィルム、各種ゴムシート用離型フィルム、ウレタン硬化用離型フィルム、エポキシ硬化用離型フィルムなどの離型フィルム、太陽電池セル封止シート、太陽電池セルバックシート、太陽電池用プラスチックフィルム、バッテリーセパレーター、リチウムイオン電池用セパレーター、燃料電池用電解質膜、粘着・接着材セパレーター、導光板、光ディスク、ダイシングテープ・バックグラインドテープ・ダイボンデイングフィルム、二層FCCL、フィルムコンデンサー用フィルムなどの半導体用工程フィルムの基材・粘着材・セパレーター、粘着フィルム、応力緩和フィルム、ペリクル用フィルム、偏光板用フィルム、偏光板用保護フィルム、液品パネル用保護フィルム、光学部品用保護フィルム、レンズ用保護フィルム、電気部品・電化製品用保護フィルム、携帯電話用保護フィルム、パソコン用保護フィルム、タッチパネル用保護フィルム、窓ガラス保護フィルム、焼付塗装用フィルム、マスキングフィルム、コンデンサー用フィルム、キャパシタフィルム、タブリードフィルム、燃料電池用キャパシタフィルム、反射フィルム、拡散フィルム、積層体(ガラスを含む)、耐放射線フィルム、耐γ線フィルム、多孔フィルムなどの保護フィルム、放熱フィルム・シート、電子部品封止体製造用型枠、LEDモールド、高周波回路用積層板、高周波ケーブル用被覆材、光導波路基板、ガラス繊維複合体、炭素繊維複合体、ガラス中間膜、合わせガラス用フィルム、建材用ウインドウフィルム、アーケードドーム、体育館窓ガラス代替、LCD基板用フィルム、防弾材、防弾ガラス用フィルム、遮熱シート、遮熱フィルム、合皮用離型紙、先端複合材料用離型紙、炭素繊維複合材硬化用離型紙、ガラス繊維複合材硬化用離型紙、アラミド繊維複合材硬化用離型紙、ナノ複合材硬化用離型紙、フィラー充填材硬化用離型紙などの離型紙、耐熱耐水印画紙、包装用フィルム、離型フィルム、通気性フィルム、反射フィルム、合成紙、ディスプレイ用フィルム、ディスプレイ導電フィルム、ディスプレイバリアフィルムが挙げられる。
包材としては、例えば、食品包材(例:食肉包材、加工魚包材、野菜包材、果物包材、発酵食品包材、菓子包装材、酸素吸収剤包材、レトルト食品用包材)、鮮度保持フィルム、医療用包装材、医薬包材、細胞培養バック、細胞検査フィルム、球根包材、種子包材、野菜・キノコ栽培用フィルム、耐熱真空成形容器、惣菜容器、惣菜用蓋材、業務用ラップフィルム、家庭用ラップフィルム、ベーキングカートンが挙げられる。
その他の用途としては、例えば、ゴムホース製造用マンドレル、シース、ゴムホース製造用シース、ホース、チューブ、合皮用離型紙、医療用チューブ、産業用チューブ、冷却水配管、温水配管、電線被覆材、ミリ波信号ケーブル被覆材、高周波信号ケーブル被覆材、エコ電線被覆材、車載用ケーブル被覆材、信号ケーブル被覆材、高圧電線用碍子、配線ダクト、化粧品・香水スプレー用チューブ、医療用チューブ、輸液チューブ、パイプ、ワイヤーハーネス、自動車・自動二輪・鉄道車両・航空機・船舶等の内外装材、耐磨耗自動車内外装材、インストルメントパネル表皮、ドアトリム表皮、リアーパッケージトリム表皮、天井表皮、リアピラー表皮、シートバックガーニッシュ、コンソールボックス、アームレスト、エアバックケースリッド、シフトノブ、アシストグリップ、サイドステップマット、メーターカバー、バッテリーキャップ、ヒューズ、自動水洗センサ部品、イグニッション、コイルボビン、ブッシング、バンパ、カーヒーターファン、ラジエータグリル、ホイールキャップ、EV用電源コネクタ、車載用ディスプレイ偏光板、ルーバー、ひじ掛け、レール絶縁版、二輪車防風、リクライニングカバー、トランク内シート、シートベルトバックル、インナー・アウターモール、バンパーモール、サイドモール、ルーフモール、ベルトモールなどのモール材、エアスポイラー、ドアシール、ボディーシールなどの自動車用シール材、グラスランチャンネル、泥よけ、キッキングプレート、ステップマット、ナンバ-プレートハウジング、自動車用ホース部材、エアダクトホース、エアダクトカバー、エアインテークパイプ、エアダムスカート、タイミングベルトカバーシール、ボンネットクッション、ドアクッション、カップホルダー、サイドブレーキグリップ、シフトノブカバー、シート調整ツマミ、ワイヤーハーネスグロメット、サスペンションカバーブーツ、ガラスガイド、インナーベルトラインシール、ルーフガイド、トランクリッドシール、モールデッドクォーターウインドガスケット、コーナーモールデイング、グラスエンキャプシュレーション、フードシール、グラスランチャンネル、セカンダリーシール、バンパー部品、ボディーパネル、サイドシールド、ドア表皮、ウェザーストリップ材、ホース、ステアリングホイール、ワイヤーハーネスカバー、シートアジャスターカバーなどの自動車内外装材、制振タイヤ、静動タイヤ、カーレースタイヤ、ラジコンタイヤなどの特殊タイヤ、パッキン、自動車ダストカバー、ランプシール、自動車用ブーツ材、ラックアンドピニオンブーツ、タイミングベルト、ワイヤーハーネス、グロメット、エンプレム、エアフィルタパッキン、自動車用コネクタ、イグニッションコイル、スイッチ、ランプリフレクタ、リレー、電気制御ユニットケース、センサーハウジング、ヘッドランプ、メーター板、ベアリングリテーナ、スラストワッシャー、ランプリフレクタ、ドアハンドル、グレージング、パノラマルーフ、ソレノイバルブ、ECUケース、ユニット接続用コネクタ、オルタネータ、HEV用端子台、電磁弁、コイル封止部品、家具・履物・衣料・袋物・建材等の表皮材、建築用シール材、防水シート、建材シート、配管継ぎ手、化粧台、浴室天井、インペラ、建材ガスケット、建材用ウインドウフィルム、鉄芯保護部材、地盤改良用シート、止水材、目地材、ガスケット、ドア、ドア枠、窓枠、廻縁、巾木、開口枠等、床材、天井材、壁紙、健康用品(例:滑り止めマット・シート、転倒防止フィルム・マット・シート)、健康器具部材、衝撃吸収パッド、プロテクター・保護具(例:ヘルメット、ガード)、スポーツ用品(例:スポーツ用グリップ、プロテクター)、スポーツ用防具、ラケット、マウスガード、ボール、ゴルフボール、運搬用具(例:運搬用衝撃吸収グリッフ、衝撃吸収シート)、制振パレット、衝撃吸収ダンパー、インシュレーター、履物用衝撃吸収材、衝撃吸収発泡体、衝撃吸収フィルム・シートなどの衝撃吸収材、グリップ材(筆記具、工具、運動用具、乗り物のハンドル、日用品、電気器具、家具等の)、カメラボディ、カメラ部品、OA機器部品、複写機構造部品、プリンタ構造部品、航空機用部材、機内食トレー、ファクシミリ構造部品、ポンプ部品、電動工具部品、乾燥洗濯機部品、ヒーターポンプ噴出口・取り出し口、IH炊飯器、炊飯器中フタ、レンジローラーステーリング、掃除機ファンガイド、電子ジャー用ポンプ・フィルターケース、生ごみ処理機部品・処理槽・加熱乾燥部品、ミルク用メーター、フィルターボウル、エスカレータ部品、超音波モーターハウジング、アブソリュートエンコーダー、小型ポンプハウジング、テレビ部材、ヘアドライヤハウジング、照明カバー、雑貨、コーヒードリッパー、加湿器部品、アイロン部品、水道器具部品、水筒、櫛、万年筆、筆箱、鉛筆削り、スポーツレジャー用品、スキーゴーグル、空手・剣道防具、サーフィン用フィン、楽器、養魚槽、サンダル、雪かきスコップ、釣竿ケース、玩具、靴底、靴底ソール、靴のミッドソール・インナーソール、ソール、サンダル、椅子表皮、鞄、ランドセル、ジャンバー・コートなどのウェア、帯、棒、リボン、手帳カバー、ブックカバー、キーホルダー、ペンケース、財布、箸、レンゲ、電子レンジ調理なべ、名刺入れ、定期入れ、吸盤、歯ブラシ、床材、体操用マット、電動工具部材、農機具部材、放熱材、透明基板、防音材、吸音材、クッション材、電線ケーブル、形状記憶材料、コネクタ、スイッチ、プラグ、家電部品(モータ部品、ハウジング等)、医療用ガスケット、スピーカ振動板、医療用キャップ、薬栓、ガスケット、ベビーフード・酪農製品・医薬品・滅菌水等を瓶に充填後、煮沸処理、高圧蒸気滅菌等高温処理される用途のパッキング材、工業用シール材、工業用ミシンテーブル、ナンバープレートハウジング、ペットボトルキャップライナーなどのキャップライナー、プロテクトフィルム粘着層、ホットメルト粘着材などの粘着材、文房具、オフィス用品、OAプリンタ脚、FAX脚、ミシン脚、モータ支持マット、オーディオ防振材などの精密機器・OA機器支持部材、OA用耐熱パッキン、アニマルケージ、ビーカー、メスシリンダー等の理化学実験機器、医療用フィルム・シート、細胞培養用フィルム・シート、シリンジ、CD/DVD/ブルーレイ等光学メディア、光学測定用セル、衣装ケース、クリアーケース、クリアーファイル、クリアーシート、デスクマット、人工心肺、注射器シリンジ、三方活栓、輸液セット、外科医用器具、流量計、歯科用器具、コンタクトレンズ殺菌用器具、吸入マスク、分析用セル、搾乳機、火災報知器、消火器、ヘルメット、保護メガネ、ICキャリア、ピックアップレンズ、バーンインソケットが上げられる。
前記組成物(X)および前記成形体は、繊維として使用することもできる。
繊維としての用途として、例えば、モノフィラメント、マルチフィラメント、カットファイバー、中空糸、不織布、伸縮性不織布、繊維、防水布、通気性の織物や布、紙おむつ、生理用品、衛生用品、フィルター、バグフィルター、集塵用フィルター、エアクリーナー、中空糸フィルター、浄水フィルター、慮布、慮紙、ガス分離膜、人工肝臓(ケース、中空糸)、濾過機逆浸透膜が挙げられる。
また、前記組成物(X)および前記成形体は、コーティング材、コーティングによって得られるフィルム、シート、離型材、撮水材、絶縁膜、接着材、粘着材、コート紙、透明シーラント、シーラント、ホットメルト型粘接着剤、溶剤型粘接着剤、フィルム状粘接着剤、布テープ、クラフトテープ、弾性接着剤などにも好適に使用される。
また、組成物(X)は、粉砕処理により微粉末に加工することもできる。得られた微粉末は、例えば、インキ組成物や塗料組成物の添加剤として、冶金用粉末組成物の添加剤として、セラミック焼結用粉末組成物の添加剤として、粘着剤の添加剤として、ゴムの添加剤として、トナーの離型剤として、金型離型剤などとして用いられ得る。さらには、得られた微粉末は、軸上、歯車、カム、電気部品、カメラ部品、自動車部品、家庭用品向けの部品への樹脂添加剤として、ワックス、グリース、エンジンオイル、ファインセラミックス、メッキなどの樹脂添加剤としても用いられうる。
本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
[製造例1]4-メチル-1-ペンテン/1-デセン共重合体(A1)
国際公開第2006/054613号の比較例7において、得られる共重合体の4-メチル-1-ペンテンおよび1-デセンから導かれる構成単位の含有量が下記表1に記載の含有量となるように、モノマーの装入量を変更することによって、4-メチル-1-ペンテン/1-デセン共重合体(A1)を得た。
[製造例2]4-メチル-1-ペンテン/1-ヘキサデセン/1-オクタデセン共重合体(A2)
国際公開第2014/050817号の合成例4に従い、(8-オクタメチルフルオレン-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライド(以下「メタロセン化合物(a)」ともいう。)を合成した。
充分に乾燥し、窒素置換したシュレンク管に、磁気攪拌子を入れ、メタロセン化合物(a)5.0μmolを入れ、修飾メチルアルミノキサンの懸濁液300eq/cat.(n-ヘキサン溶媒、アルミニウム原子換算で1.50mmol)を攪拌しながら室温で加え、メタロセン化合物(a)の濃度が1μmol/mLとなる量のヘプタンを加えて触媒液を調製した。
充分に乾燥し、窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、4-メチル-1-ペンテン500mL、シクロヘキサン250mL、リニアレン168(出光興産(株)製)(1-ヘキサデセンと1-オクタデセンの混合物)1.7mL、および、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al濃度:0.5M)0.5mmolを装入し、水素124.3mLを加えた後、850回転/分で撹拌しながら重合温度60℃に昇温した。
このオートクレーブに前記触媒液0.1mL(メタロセン化合物(a)の濃度:0.1μmol)を装入して重合を開始し、重合開始から20分後にメタノールを加えて重合を停止した。
冷却/脱圧したオートクレーブから取り出した重合液を、アセトンとメタノールの1:1溶液中に投入し、ポリマーを析出させて、濾過により回収した。その後、回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥して、4-メチル-1-ペンテン/1-ヘキサデセン/1-オクタデセン共重合体(A2)を得た。
[製造例3~12]4-メチル-1-ペンテン/1-ヘキサデセン/1-オクタデセン共重合体(A3~A6およびB1~B6)
1-ヘキサデセンと1-オクタデセンから導かれる構成単位の含有量が表1または2に示す数値となるように、4-メチル-1-ペンテンとリニアレン168の装入量を変更し、また、水素の装入量を変更した以外は、製造例2と同様にして、4-メチル-1-ペンテン/1-ヘキサデセン/1-オクタデセン共重合体(A3)~(A6)および(B1)~(B6)を得た。
<共重合体の組成測定>
前記製造例で得られた共重合体中の、各モノマーから導かれる構成単位の含有量は、以下の装置および条件により、13C-NMRスペクトルより算出した。
装置として、ブルカー社製のAVANCEIIIcryo-500型核磁気共鳴装置を用い、溶媒として、o-ジクロロベンゼン/ベンゼン-d6(4/1 v/v)混合溶媒を用い、試料濃度:55mg/0.6mL、測定温度:120℃、観測核:13C(125MHz)、シーケンス:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅:5.0μ秒(45°パルス)、繰返し時間:5.5秒、積算回数:64回の条件で、ベンゼン-d6の128ppmのピークをケミカルシフトの基準値として測定した。主鎖メチンシグナルの積分値を用い、各モノマーから導かれる構成単位の含有量(モル%)を算出した。結果を表1または2に示す。
なお、これらの表では、4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量を4-メチル-1-ペンテン含有量といい、4-メチル-1-ペンテン以外のモノマー(コモノマー)から導かれる構成単位の含有量の合計をコモノマー含有量という。
<極限粘度[η]測定>
極限粘度[η]は、デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した。具体的には、各共重合体約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値(dl/g)を極限粘度として求めた(下記式参照)。
なお、製造例1~6で得られた共重合体の[η]を[ηA]とし、製造例7~12で得られた共重合体の[η]を[ηB]とした。結果を表1または2に示す。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
[実施例1~4および比較例1~4]
前記製造例で得られた各共重合体を、下記表3に記載の組成物配合となるように、二軸押出機(PCM43、(株)池貝製、スクリュー径:43mm、温度:280℃、回転数:200rpm)を用いて溶融混練することで、重合体組成物を得た。
得られた重合体組成物を、(株)名機製作所製の70トン射出成形機(M70B)を用い、シリンダ温度:280℃、金型温度:60℃の条件で、厚さ0.5mm、2mm、3mmまたは1/4インチの角板状に射出することで、射出試験片を作成した。
この射出試験片を用い、下記試験を行った。
<融点(Tm)>
セイコーインスツル(株)製のDSC測定装置(DSC220C)により、発熱・吸熱曲線を求め、昇温時の最大融解ピーク位置の温度を融点(Tm)とした。測定は、以下のようにして行った。
0.5mm厚の射出試験片から試料約5mgを切り出し、測定用アルミパンにつめ、10℃/分の加熱速度で20℃から280℃に昇温し、280℃で5分間保持した後、10℃/分の冷却速度で20℃まで降温し、20℃で5分間保持した後、再度10℃/分の加熱速度で20℃から280℃に昇温し、再度50℃/分の冷却速度で50℃まで降温した。2回目の昇温時に発現した融解ピークを、融点(Tm)とした。
<引張試験>
2mm厚の射出試験片を使用して、ASTM D638に準拠してASTM-4ダンベル形試験片を作製し、インストロン社製の万能引張試験機3380にて、引張速度:50mm/min、測定温度:23℃の条件で引張試験を実施し、引張弾性率(YM)を測定した。
<高速面衝撃試験>
2mm厚の射出試験片を使用して、JIS K 7211に準拠して、高速パンクチャー衝撃試験機「ハイドロショット HITS-P10形」((株)島津製作所製)を用いて、試験片をクランプで固定し、温度23℃の条件で、直径1/2インチの撃芯を落下速度3m/秒で試験片中央に落として衝撃を与えた。試験片が破壊するときの破壊エネルギーを求めた。
<Izod衝撃試験>
3mm厚の射出試験片を使用して、ASTM D256に準拠して、(株)東洋精機製作所製のデジタル衝撃試験機 DG-IB型を用い、ハンマー容量3.92J、空振り確度148.9°、試験温度23℃でIzod衝撃試験を実施し、Izod衝撃強度を測定した。
<荷重たわみ温度試験>
1/4インチ厚の射出試験片を使用して、ASTM D648に準拠して、(株)安田精機製作所製のHDT測定装置を用い、昇温速度:50℃毎時間、試験荷重:0.45MPaの条件にて荷重たわみ温度試験を実施し、荷重たわみ温度(HDT)を測定した。
<ビカット軟化温度試験>
3mm厚の射出試験片を使用して、ASTM D1525に準拠して、(株)安田精機製作所製のHDT測定装置を用い、シリコーン油中、昇温速度:50℃毎時間、試験荷重:10Nの条件にてビカット軟化温度試験を実施し、ビカット軟化温度を測定した。
<全光線透過率>
2mm厚の射出試験片を使用して、JIS K 7361に準拠して、(株)村上色彩技術研究所製のヘイズ・透過率計 HM-150(D65光源)を用い、全透過光量を測定し、下記式にて全光線透過率を求めた。
全光線透過率(%)=100×(全透過光量)/(入射光量)
[モルフォロジー観察]
2mm厚の射出試験片のコア部分(内部)を薄く削り、日本電子(株)製の透過型電子顕微鏡にて観察を行った。海島構造の島相を100個観察し、面積の大きな上位10個の島相の各最長径と最短径を足し平均化したものを分散径とした。具体的には、下記式により算出した。
分散径(μm)=(10個の最長径の合計(μm)+10個の最短径の合計(μm))/20