JP7288314B2 - シャント構造体、電流検出装置、電流検出装置の製造方法及び電流検出装置の取付方法 - Google Patents
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Description
また、近年、軽量化や低コスト化の点から、シャント構造体の第1バスバや第2バスバの接続相手となる他のバスバとしては、アルミ合金からなるバスバが普及しつつある。
本発明は、上記のような課題に着目したもので、異種金属接触による電極腐食を防止可能なシャント構造体、電流検出装置、電流検出装置の製造方法及び電流検出装置の取付方法を提供することを目的とする。
なお、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法や装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
また、シャント抵抗16と第1バスバ15との第1接続部17、及びシャント抵抗16と第2バスバ18との第2接続部19は、それぞれロウ付け接続で構成されている。
言い換えると、シャント抵抗16と第1バスバ15との第1接続部17、及びシャント抵抗16と第2バスバ18との第2接続部19は、それぞれロウ付けされている。
また、本発明の実施形態に係るシャント構造体3では、第1バスバ15のシャント抵抗16との接続面、第2バスバ18のシャント抵抗16との接続面、シャント抵抗16の第1バスバ15との接続面及びシャント抵抗16の第2バスバ18との接続面に、ロウ41が含むスズの拡散を抑制するためのバリア層45、46、47を備えることが好ましい。
また、本発明の実施形態に係る電流検出装置1は、第1接続部17の周囲及び第2接続部19の周囲をコーティングしている絶縁樹脂が、筐体2を構成する絶縁樹脂と一体であることが好ましい。
さらに、本発明の実施形態に係る電流検出装置1は、第1バスバ15と第1電極端子11との第3接続部35の周囲、及び第2バスバ18と第2電極端子13との第4接続部37の周囲が絶縁樹脂又は金属でコーティングされていることが好ましい。
また、本発明の実施形態に係る電流検出装置1は、第1バスバ15及び第2バスバ18が、アルミ合金からなる他のバスバ20、24に面接触して溶接又はボルト締めされていることが好ましい。
さらに、本発明の実施形態に係る電流検出装置1の製造方法は、第1電極端子11及び第2電極端子13を接続することにおいて、第1バスバ15に第1電極端子11を接続するとともに、第2バスバ18に第2電極端子13を接続し、第1バスバ15と第1電極端子11との第3接続部35の周囲、及び第2バスバ18と第2電極端子13との第4接続部37の周囲を絶縁樹脂でコーティングすることが好ましい。
また、本発明の実施形態に係る電流検出装置1の製造方法は、第1接続部17の周囲及び第2接続部19の周囲を絶縁樹脂でコーティングする際に、その絶縁樹脂で、第3接続部35の周囲及び第4接続部37の周囲のコーティングも同時に行うことが好ましい。
また、本発明の実施形態に係る電流検出装置1の製造方法は、第3接続部35の周囲、及び第4接続部37の周囲をコーティングする絶縁樹脂が、筐体2を構成する絶縁樹脂よりも弾性率が低い絶縁樹脂であることが好ましい。
本発明の実施形態に係る電流検出装置1の取付方法は、第1バスバ15及び第2バスバ18をアルミ合金からなる他のバスバ20、24に面接触させて、溶接又はボルト締めすることを含んでいる。
次に、本発明の実施形態に係る電流検出装置1について、より詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る電流検出装置1は、図3に示すように、箱状の筐体2と、幅が狭い板状のシャント構造体3と、図2に示すように、板状の検出回路4とを備えている。
筐体2は、上面が開放された箱状に形成された箱体5と、箱体5の開放された上面を塞ぐ蓋体6とを備えている。箱体5及び蓋体6の材料としては、絶縁樹脂が用いられている。箱体5内には、図2に示すように、箱体5内の空間を、シャント構造体3を収容する下部空間7(広義には、「第1空間」)と、検出回路4を収容する上部空間8(広義には、「第2空間」)との2つの空間に区画する内部隔壁9が箱体5と一体に設けられている。
シャント構造体3は、図1に示すように、シャント抵抗16と、シャント抵抗16の両端のそれぞれに接続された第1バスバ15及び第2バスバ18とを備えている。シャント構造体3全体は、第1バスバ15、シャント抵抗16及び板状の第2バスバ18が並んでいる方向に細長く形成されている。シャント構造体3は、図2に示すように、下部空間7の開口部10から第2バスバ18の端部が突き出すように、下部空間7に第1バスバ15とシャント抵抗16と第2バスバ18の一部とが収容される。収容された第1バスバ15は、バッテリポスト端子20(以下、「他のバスバ20」とも呼ぶ)に接続される。また、突き出ている第2バスバ18は、電流検出装置1を車両搭載する際に、図示を省略した接地ライン等に接続されている他のバスバ24に接続される。他のバスバ24の材料としては、他のバスバ20と同様に、軽量化や低コスト化の点からアルミ合金が用いられる。
メッキ層42は、第1バスバ15及び第2バスバ18の表面に、下地層43及び最外層44がこの順に積層されて形成されている。下地層43の材料としては、例えば、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)の1つ又は複数を含む合金又は化合物を用いることができる。最外層44の材料としては、例えば、スズを用いることができる。メッキ層42の厚みとしては、例えば100nm以上10μm以下が好ましい。
また、スズが含有されたロウ41を用いる場合、シャント抵抗16の材料として、スズが含有された銅合金を用いることが好ましい。例えば、シャント抵抗16の全質量に対して、銅(Cu)を約90質量%、マンガン(Mn)を約6~8質量%、スズ(Sn)を約2~3質量%含むものを用いる。シャント抵抗16の材料としてスズが含有された銅合金を用いることにより、シャント抵抗16にロウ41が馴染みやすく、ロウ付けを容易に実行できる。
また、溶接の方法としては、電子ビーム溶接、レーザービーム溶接等が挙げられる。また、シャント抵抗16、第1バスバ15及び第2バスバ18間を溶接で接続する場合にも、シャント抵抗16の材料としてスズが含有された銅合金を用いることで、スズが含有されていない銅合金を用いる場合に比べ、溶接熱影響部(HAZ)の領域が少なくて済む。
なお、本実施形態では、第1バスバ15と他のバスバ20との接続方法、及び第2バスバ18と他のバスバ24との接続方法として、端部同士を面接触させて溶接する方法を用いる例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、端部同士を上下に重ねてボルト締結する方法を用いることができる。端部同士を上下に重ねてボルト締結する方法によれば、溶接する方法と異なり、溶接用の特殊な機材が必要なく、接続に要する手間を軽減できる。
第1電極端子11と第1バスバ15との接続方法、及び第2電極端子13と第2バスバ18との接続方法としては、例えば、上下に重ね合わせて溶接する方法を採用できる。
検出回路4は、図2に示すように、一方の面を上方に向け、他方の面を下方に向けて上部空間8に収容され、シャント構造体3の第1電極端子11及び第2電極端子13、並びに、コネクタ22の出力端子23に接続されている。そして、検出回路4は、第1電極端子11及び第2電極端子13を介してパルス放電を行い、パルス放電によってシャント抵抗16に流れた電流の大きさ等を第1電極端子11及び第2電極端子13を介して検出する。また、検出回路4は、検出結果を出力端子23を介して外部の装置に出力する。
次に、本発明の実施形態に係る電流検出装置1の製造方法について説明する。
まず、シャント構造体3に対して、筐体2を一体に形成する。筐体2の形成方法としては、例えば、インサート成形法を採用できる。インサート成形法では、まず、第1バスバ15をバッテリポスト端子20に面接触させて溶接する。続いて、箱体5の成形金型にシャント構造体3、バッテリポスト端子20及び出力端子23を装填する。続いて、箱体5の成形金型内に絶縁樹脂を注入し、注入した絶縁樹脂を硬化させ、図7に示すように、シャント構造体3、バッテリポスト端子20及び出力端子23に箱体5を一体に形成する。
電流検出装置1を形成した後、シャント構造体3の第2バスバ18を、接地ライン等に接続されている他のバスバ24に面接触させて溶接する。また、出力端子23をECU等の外部の装置に接続する。これにより、電動車両に電流検出装置1を搭載させる。
なお、第2バスバ18と他のバスバ24との接続方法としては、ボルト締結する方法を用いてもよい。また、第1バスバ15と他のバスバ20との接続方法も同様である。
また、シャント抵抗16及び第1バスバ15、並びにシャント抵抗16及び第2バスバ18のそれぞれは、ロウ付けで接続されている構成とした。それゆえ、例えば、シャント抵抗16とバスバ(第1バスバ15、第2バスバ18)とを溶接で接続させる方法と異なり、シャント抵抗16とバスバが接続部で合金化せずに済み、また、溶接熱影響部(HAZ)を生じないため、品質の高いシャント構造体3を安定的に形成することができる。
さらに、ロウ付け接続を構成するロウ41がスズを含有し、第1バスバ15のシャント抵抗16との接続面、及び第2バスバ18のシャント抵抗16との接続面に、スズを含有するメッキ層42を有する構成とした。それゆえ、第1バスバ15及び第2バスバ18にロウ41が馴染みやすく、ロウ付け接続を容易に実現することができる。
また第1接続部17が、シャント抵抗16と第1バスバ15との端面同士を突き合わせたロウ付け接続で構成され、第2接続部19が、シャント抵抗16と第2バスバ18との端面同士を突き合わせたロウ付け接続で構成されるものとした。それゆえ、第1バスバ15とシャント抵抗16との接触面積、第2バスバ18とシャント抵抗16との接触面積を増大でき、シャント抵抗16、第1バスバ15及び第2バスバ18を強固に接合できる。
さらに、第1接続部17の周囲、及び第2接続部19の周囲をコーティングしている絶縁樹脂を、筐体2の箱体5を構成する絶縁樹脂と一体とした。それゆえ、箱体5の形成時に、コーティングも一緒に行うことができ、コーティングに要する手間を軽減できる。
さらに、第1電極端子11及び第2電極端子13と、第1貫通孔12及び第2貫通孔14の内周面とを離間させる構成とした。それゆえ、外力等でシャント構造体3と筐体2とが相対移動しても、第1貫通孔12の内周面と第1電極端子11との直接衝突や、第2貫通孔14の内周面と第2電極端子13との直接衝突を防止できる。そのため、第1電極端子11及び第2電極端子13の破損を抑制できる。
また、第3接続部35の周囲及び第4接続部37の周囲をコーティングしている絶縁樹脂を、箱体5を構成する絶縁樹脂よりも弾性率が低い絶縁樹脂とした。それゆえ、外力等でシャント構造体3と筐体2とが相対移動し、第1貫通孔12の内周面で第1端子カバー36が押され、第2貫通孔14の内周面で第2電極端子13が押されても、押圧力を第1端子カバー36や第2端子カバー38で吸収することができる。そのため第1端子カバー36から第1電極端子11への力の伝達や第2端子カバー38から第2電極端子13への力の伝達を抑制でき、第1電極端子11及び第2電極端子13の破損を防止できる。
また、本発明の実施形態に係る電流検出装置1の製造方法では、箱体5のカバー26が、シャント構造体3に密着して第1接続部17及び第2接続部19の周囲を覆うように、シャント構造体3に箱体5を一体に形成するようにした。それゆえ、箱体5の形成時に、第1接続部17及び第2接続部19の周囲のコーティングも一緒に行うことができ、第1接続部17及び第2接続部19の周囲のコーティングに要する手間を軽減できる。
(1)なお、上記実施形態では、第1接続部17の周囲及び第2接続部19の周囲の両方を1つの大型のカバー26で覆う例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、図10に示すように、第1接続部17の周囲及び第2接続部19の周囲のそれぞれを小型のカバー39、40で個別に覆う構成としてもよい。カバー39、40は、第1接続部17及び第2接続部19の周囲及びその周辺に絶縁樹脂を塗布して形成してもよい。また、カバー39、40は、第1接続部17の周囲及びその周辺、並びに第2接続部19の周囲及びその周辺に金属をコーティングして形成するようにしてもよい。コーティングとしては、例えば、金属の薄膜を被覆するメッキ処理を採用することができる。金属としては、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)の1つ又は複数を含む合金又は化合物や、スズ(Sn)を用いることができる。
この場合、第1バスバ15及び第2バスバ18のメッキ層42は、第1バスバ15のバリア層45の表面と、第2バスバ18のバリア層47の表面とのそれぞれに設ける。バリア層45、46、47を備えることにより、例えば、ロウ付け時に加えられる熱や、シャント抵抗16の使用時に発生される熱が生じたときに、ロウ41に含まれるスズが第1バスバ15内、第2バスバ18内及びシャント抵抗16内に拡散されることを抑制できる。バリア層45、46、47の材料としては、例えば、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)の1つ又は複数を含む合金又は化合物等の融点の高い金属を用いることができる。
Claims (6)
- シャント抵抗、前記シャント抵抗の両端のそれぞれに接続された第1バスバ及び第2バスバ、前記第1バスバ又は前記シャント抵抗に接続された第1電極端子、及び前記第2バスバ又は前記シャント抵抗に接続された第2電極端子を有するシャント構造体と、
前記第1電極端子及び前記第2電極端子に接続され、前記シャント抵抗に流れた電流の大きさを検出する検出回路と、
前記シャント構造体及び前記検出回路を収容する筐体とを備え、
前記第1バスバ及び前記第2バスバは、純アルミ又はアルミ合金からなり、
前記第1バスバと前記第1電極端子との第3接続部の周囲及び前記第2バスバと前記第2電極端子との第4接続部の周囲が特定絶縁樹脂でコーティングされており、
前記筐体は、前記シャント構造体を収容するための第1空間、前記検出回路を収容するための第2空間、及び前記第1空間と前記第2空間とを区画する内部隔壁を有し、
前記内部隔壁は、前記第1電極端子及び前記第2電極端子を通す貫通孔を有し、
前記第1電極端子及び前記第2電極端子と前記貫通孔の内周面とは離間しており、
前記第3接続部の周囲及び前記第4接続部の周囲をコーティングしている前記特定絶縁樹脂は、前記筐体を構成する絶縁樹脂よりも弾性率が低い絶縁樹脂であり、
前記シャント構造体と前記筐体とが相対移動して前記貫通孔の内周面が前記特定絶縁樹脂を押した場合に生じる押圧力を前記特定絶縁樹脂によって吸収する電流検出装置。 - 前記シャント抵抗と前記第1バスバとの第1接続部の周囲及び前記シャント抵抗と前記第2バスバとの第2接続部の周囲が絶縁樹脂又は金属でコーティングされている請求項1に記載の電流検出装置。
- 前記第1接続部の周囲及び前記第2接続部の周囲をコーティングしている絶縁樹脂は、前記筐体を構成する絶縁樹脂と一体である請求項2に記載の電流検出装置。
- 前記第1バスバ及び前記第2バスバは、アルミ合金からなる他のバスバに面接触して溶接又はボルト締めされている請求項1から3の何れか1項に記載の電流検出装置。
- シャント抵抗、及び前記シャント抵抗の両端のそれぞれに接続された純アルミ又はアルミ合金からなる第1バスバ及び第2バスバを有するシャント構造体に、前記シャント抵抗と前記第1バスバとの第1接続部の周囲及び前記シャント抵抗と前記第2バスバとの第2接続部の周囲を絶縁樹脂でコーティングすることと、
前記第1バスバに第1電極端子を接続するとともに、前記第2バスバに第2電極端子を接続することと、
前記第1電極端子及び前記第2電極端子のそれぞれに、前記シャント抵抗に流れた電流の大きさを検出する検出回路を接続することと、
前記第1バスバと前記第1電極端子との第3接続部の周囲、及び前記第2バスバと前記第2電極端子との第4接続部の周囲を特定絶縁樹脂でコーティングすることとを含み、
前記第1接続部の周囲及び前記第2接続部の周囲を絶縁樹脂でコーティングすることにおいて、電流検出装置の筐体の一部が前記シャント構造体に密着して前記第1接続部及び前記第2接続部の周囲を覆うように、前記シャント構造体に前記筐体を一体に形成し、
前記筐体は、前記シャント構造体を収容するための第1空間、前記検出回路を収容するための第2空間、及び前記第1空間と前記第2空間とを区画し且つ前記第1電極端子及び前記第2電極端子を通すための貫通孔が形成された内部隔壁を有する絶縁樹脂製の樹脂成形体であり、
前記第1電極端子及び前記第2電極端子を接続することにおいて、前記第1電極端子と前記貫通孔の内周面とが離間し、前記第2電極端子と前記貫通孔の内周面とが離間するように、前記第1電極端子及び前記第2電極端子の接続位置を決定し、
前記第3接続部の周囲及び前記第4接続部の周囲を特定絶縁樹脂でコーティングすることにおいて、前記シャント構造体と前記筐体とが相対移動して前記貫通孔の内周面が前記特定絶縁樹脂を押した場合に生じる押圧力が前記特定絶縁樹脂によって吸収されるように、前記筐体を構成する絶縁樹脂よりも弾性率が低い絶縁樹脂で当該コーティングを行う電流検出装置の製造方法。 - 請求項1から4の何れか1項に記載の電流検出装置の取付方法であって、
前記電流検出装置のシャント構造体が備える第1バスバ及び第2バスバをアルミ合金からなる他のバスバに面接触させて溶接又はボルト締めすることを含む電流検出装置の取付方法。
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