JP7285641B2 - 離型フィルム付き粘着シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
光硬化性粘着剤組成物は、光重合性アクリル系材料、および光重合開始剤を含む。
光硬化性粘着剤組成物に含まれる光重合性アクリル材料としては、アクリル系モノマーおよびその部分重合物(プレポリマー)が挙げられる。
アクリル系モノマーとしては、アルキル基の炭素数が1~20である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好適に用いられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アルキル基が分枝を有していてもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、アクリル系材料のモノマー成分全量に対して40重量%以上であることが好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。
ポリマーの重合率(%)=100×(加熱後重量/加熱前重量)
上記の光重合性アクリル材料(モノマーおよび/またはその部分重合物)に、残部のモノマー成分、光重合開始剤、およびその他の添加剤等を混合することにより、光硬化性粘着剤組成物が得られる。光硬化性粘着剤組成物は、残部のモノマー成分として、多官能モノマーを含むことが好ましい。多官能モノマーとしては、先に例示した1分子中に2個以上のC=C結合を有する多官能重合性化合物が好ましく用いられる。
上記の光硬化性粘着剤組成物を支持体上に塗布し、光硬化を行うことにより粘着シートが得られる。空気中の酸素により光ラジカル重合が阻害されるため、光硬化の前に、光硬化性粘着剤組成物の塗布層上にカバーシートを付設して、支持体とカバーシートの間に光硬化性粘着剤組成物が層状に設けられた積層体を形成して、酸素を遮断することが好ましい。光硬化性粘着剤組成物を2枚のシート(支持体およびカバーシート)の間に層状に塗布して、支持体とカバーシートの間に光硬化性粘着剤組成物が層状に設けられた積層体を形成してもよい。
離型フィルム10,20のフィルム基材11,21としては、透明性を有する各種の樹脂フィルムが用いられる。樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂が特に好ましい。フィルム基材11,21の厚みは、10~200μmが好ましく、25~150μmがより好ましい。
離型層の材料としては、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキル系離型剤、脂肪酸アミド系離型剤が挙げられる。離型フィルム10の離型層15は、硬化性シリコーン系樹脂組成物の硬化により形成されるシリコーン系離型層である。
光硬化性粘着剤組成物を支持体上に塗布し、または、支持体とカバーシートとの間に粘着剤組成物層を形成し、粘着剤組成物に活性エネルギー線を照射して光硬化を行うことにより粘着シートが得られる。粘着剤組成物の塗布方法としては、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコートが挙げられる。光硬化性粘着剤組成物の塗布厚み(粘着シート50の厚み)は特に限定されないが、例えば10~500μm程度である。
離型フィルム10の離型層15に光硬化性粘着剤組成物が接した状態で、粘着剤組成物の光硬化が行われる。シリコーン系離型剤に未反応のアルケニル基(C=C結合)が残存していると、光硬化性粘着剤組成物を光硬化する際に、離型層の残存C=C結合がラジカル重合反応に関与するため、離型層のシリコーン樹脂と粘着剤の間に化学結合が形成され、粘着シートからの離型フィルムの剥離が重くなる(ピール強度およびせん断力が大きくなる)傾向がある。
上記の光硬化型粘着シートは、可視光透過率が高いことから、表示装置形成用の光学粘着剤として好適に用いられる。表示装置としては、液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパー等が挙げられる。また、上記の光硬化型粘着シートは、表示装置とタッチパネル等の入力装置との貼り合わせ、表示装置や入力装置の表面に配置される透明板との貼り合わせ等に用いることもできる。
アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA):78重量部、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP):18重量部、およびアクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA):4重量部から構成されるモノマー混合物に、光重合開始剤として、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF製「イルガキュア184」):0.035重量部、および2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(BASF製「イルガキュア651」):0.035重量部を添加した。この組成物に紫外線を照射して、室温における粘度が約20Pa・sとなるまで予備重合を行い、重合率が約8%のプレポリマーを得た。
<離型フィルムの作製>
ビニル基含有付加型シリコーンの30%トルエン溶液(信越化学工業製「KS-847T」)100重量部およびシリコーン硬化用白金触媒(信越化学工業製「CAT-PL-50T」)1重量部を、体積比1:1のトルエンとヘキサンの混合溶媒により、シリコーン濃度が0.7重量%となるように希釈して、離型剤溶液を調製した。この離型剤溶液を、ワイヤーバー(#9)を用いて、厚み75μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東レアドバンストマテリアルズコリア製「ルミラー XD500P」)の一方の面に塗布し、130℃の熱風乾燥機で1分間加熱し、離型層を形成した。
比較例1では、支持離型フィルムおよびカバー離型フィルムの両方に、上記の離型フィルムを用いた。支持離型フィルムの離型層形成面に、粘着剤組成物を150μmの厚みで塗布して塗布層を形成し、塗布層の表面にカバー離型フィルムを貼り合わせて積層体を得た。この積層体に、カバー離型フィルム側から、照度:6.5mW/cm2、積算光量:1500mJ/cm2の条件で紫外線照射を行い、塗布層を光硬化させて、光硬化型粘着剤層の両面に離型フィルムを有する粘着シートを得た。
<支持離型フィルムの作製>
ヘキセニル基含有付加型シリコーン(分子中にヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサン、および分子中にヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサン架橋剤を含有する付加型シリコーン系離型剤)の30%トルエン溶液(東レ・ダウコーニング製「LTC761」):100重量部、シリコーンディスパージョン(東レ・ダウコーニング製「BY 24-850」):3.0重量部、およびシリコーン硬化用白金触媒(東レ・ダウコーニング製「SRX 212」):6.7重量部を、体積比1:1のトルエンとヘキサンの混合溶媒により、シリコーン濃度が0.7重量%となるように希釈して、離型剤溶液を調製した。この離型剤溶液を、ワイヤーバー(#9)を用いて、厚み75μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東レアドバンストマテリアルズコリア製「ルミラー XD500P」)の一方の面に塗布し、130℃の熱風乾燥機で1分間加熱し、離型層を形成した。
支持離型フィルムとして上記の離型フィルムを用い、カバー離型フィルムとして比較例1の離型フィルムと同一の離型フィルムを用いた。それ以外は実施例1と同様にして、支持離型フィルム上への粘着剤組成物の塗布、カバー離型フィルムの積層、および紫外線照射を行い、光硬化型粘着剤層の両面に離型フィルムを有する粘着シートを得た。
支持離型フィルムの離型層を形成するための離型剤溶液として、ビニル基含有付加型シリコーンの溶液(KS-847T)とキセニル基含有付加型シリコーンの溶液(LTC761)とを、表1に示す比率で混合し、両者の比率にあわせて、触媒等の使用量を調整した。離型剤溶液の組成を変更したこと以外は比較例2と同様にして、光硬化型粘着剤層の両面に離型フィルムを有する粘着シートを得た。
<離型フィルムのピール強度>
離型フィルム付き粘着シートを50mm幅に切り出し、23℃の環境下で、引張試験機を用いて、引張速度10m/分(高速)および0.3m/分(低速)で、180°ピール試験を行い、粘着シートから支持離型フィルムを剥離する際のピール強度を測定した。
離型フィルム付き粘着シートを長さ200mm×幅20mmに切り出し、カバー離型フィルム20側を上にして、長さ方向の一方の端から90mmの位置に切り込みを入れ、一端から90mmの領域のカバー離型フィルム20および粘着剤層50を取り除いた。試料を裏返し、長さ方向の他方の端から90mmの位置で、支持離型フィルム10に切り込み10xを入れ、支持離型フィルムの一方の切断片10aと粘着剤層50とが20mm×20mmの領域で接着している試験片を作製した(図2参照)。試験片の両端をチャック間距離100mmでチャッキングし、23℃の環境下、引張速度10mm/分で引張試験を実施し、支持離型フィルム10aが粘着剤層50から完全に剥がれるまでの間の試験力の最大値をせん断力とした。
実施例および比較例の支持離型フィルムの作製に用いた離型剤溶液の組成、および支持離型フィルムの剥離性評価結果を表1に示す。表1における離型剤の組成の数値は全て重量部である。
10,20 :離型フィルム
11,21 :フィルム基材
15,25 :離型層
5 :積層体
9 :せん断力測定用試験片
Claims (7)
- 第一主面と第二主面とを有する光硬化型の粘着シート;前記粘着シートの第一主面に仮着された第一離型フィルム;および前記粘着シートの第二主面に仮着された第二離型フィルムを備える離型フィルム付き粘着シートであって、
前記第一離型フィルムは、フィルム基材上に離型層を備え、
前記離型層と前記粘着シートとが接しており、
前記粘着シートは、光硬化型アクリル系ポリマーを含み、
前記離型層は、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂、およびヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂を含むシリコーン系樹脂組成物の硬化樹脂層であり、
前記第一離型フィルムの前記粘着シートからのピール強度が、前記第二離型フィルムの前記粘着シートからのピール強度よりも小さい、離型フィルム付き粘着シート。 - 前記シリコーン系樹脂組成物は、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂とヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂の合計100重量部に対して、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂を20~80重量部含む、請求項1に記載の離型フィルム付き粘着シート。
- 剥離速度10m/分の180°ピール試験により求められる前記粘着シートから前記第一離型フィルムを剥離する際のピール強度が、0.05~0.3N/50mmである、請求項1または2に記載の離型フィルム付き粘着シート。
- 前記光硬化型アクリル系ポリマーが、共重合モノマー成分として、1分子中に2以上の重合性官能基を有する多官能モノマーを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の離型フィルム付き粘着シート。
- 第一主面と第二主面とを有する光硬化型の粘着シート;前記粘着シートの第一主面に仮着された第一離型フィルム;および前記粘着シートの第二主面に仮着された第二離型フィルムを備え、前記第一離型フィルムの前記粘着シートからのピール強度が、前記第二離型フィルムの前記粘着シートからのピール強度よりも小さい離型フィルム付き粘着シートの製造方法であって、
アクリル系モノマーおよび/またはアクリル系モノマーの部分重合物、ならびに光重合開始剤を含む光硬化性粘着剤組成物が、前記第一離型フィルムと前記第二離型フィルムとの間に層状に設けられた積層体を形成する工程;および
前記第一離型フィルムと前記第二離型フィルムとの間の前記光硬化性粘着剤組成物に光を照射して、光硬化性粘着剤組成物を光硬化する工程を有し、
前記第一離型フィルムは、フィルム基材上の前記光硬化性粘着剤組成物と接する側の面に離型層を備え、
前記離型層は、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂、およびヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂を含むシリコーン系樹脂組成物の硬化樹脂層である、離型フィルム付き粘着シートの製造方法。 - 前記シリコーン系樹脂組成物は、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂とヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂の合計100重量部に対して、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂を20~80重量部含む、請求項5に記載の離型フィルム付き粘着シートの製造方法。
- 前記光硬化性粘着剤組成物が、1分子中に2以上の重合性官能基を有する多官能モノマーを含む、請求項5または6に記載の離型フィルム付き粘着シートの製造方法。
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