JP7285641B2 - 離型フィルム付き粘着シートおよびその製造方法 - Google Patents

離型フィルム付き粘着シートおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、離型フィルムが仮着された粘着シートおよびその製造方法に関する。
液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示装置やタッチパネル等のディスプレイ用入力装置には、光学部材の貼り合わせに、基材レスの透明粘着シートが使用されている。基材レス透明粘着シートは、一般に両面に離型フィルムが付設された離型フィルム付き粘着シートとして提供される。粘着シートの使用時には、まず、一方の離型フィルム(軽剥離フィルム)を剥離して粘着シートの一方の面を露出させて第一の被着体との貼り合わせを行い、他方の離型フィルム(重剥離フィルム)を剥離して粘着シートの他方の面に第二の被着体を貼り合わせる。
基材レス粘着シートの作製方法として、離型フィルム上に光硬化性を有する粘着剤組成物を層状に塗布して、紫外線等の活性光線を照射して光硬化を行う方法が提案されている。離型フィルムとしては、フィルム基材の表面に、シリコーン系離型剤による離型層を形成したものが広く用いられている(例えば特許文献1参照)。
特開2015-151473号公報
粘着シートから離型フィルムを剥離する際は、作業効率の観点から、高速で剥離が行われる場合が多い。特許文献1にも記載されているように、シリコーン系離型層を備える離型フィルム上で粘着剤を光硬化すると、粘着シートからの離型フィルムの剥離が重くなる傾向がある。粘着シートから離型フィルムを剥離する際に大きな力を付与すると、粘着シートの変形(ジッピング)が生じやすい。そのため、高速剥離時の剥離力(ピール強度)が大きい場合は、粘着シートの変形を防止するために剥離速度を小さくする必要があり、作業性が低下する。
一方、高速剥離時の剥離力が小さい場合は、せん断力も小さくなる傾向がある。離型フィルム付き粘着シートのロール搬送時や、離型フィルム付き粘着シートをロール状に巻回する際には、粘着シートが湾曲するため、粘着シートと離型フィルムとの貼り合わせ界面にせん断歪みが生じる。また、粘着シートを所定形状にカッティングする際にも、貼り合わせ界面にせん断力が生じる。離型フィルムのせん断力が小さいと、ハンドリング時や加工時のせん断力により、粘着シートから離型フィルム剥離したり、界面に気泡が混入する場合がある。
上記に鑑み、本発明は、せん断による離型フィルムの剥離が生じ難く、かつ離型フィルムの高速剥離性に優れる離型フィルム付き粘着シートの提供を目的とする。
本発明の離型フィルム付き粘着シートは、第一主面と第二主面とを有する光硬化型の粘着シート、および粘着シートの第一主面に仮着された第一離型フィルムを備える。第一離型フィルムは、フィルム基材上に離型層を備え、離型層と粘着シートとが接している。粘着シートは、光硬化型アクリル系ポリマーを含む。離型フィルム付き粘着シートは、粘着シートの第二主面に仮着された第二離型フィルムを備えていてもよい。
層状の光硬化性粘着剤組成物と、上記の第一離型フィルムの離型層とが接する状態で、光硬化性粘着剤組成物への光照射を行うことにより、離型フィルム付き粘着シートが得られる。光硬化性粘着剤組成物は、アクリル系材料、および光重合開始剤を含む。光硬化性粘着剤組成物に含まれるアクリル系材料としては、アクリル系モノマーおよびその部分重合物が挙げられる。アクリル系材料は、アクリル系モノマーおよびアクリル系モノマーの部分重合物の両方を含んでいてもよい。
第一離型フィルムの離型層は、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂、およびヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂を含むシリコーン系樹脂組成物の硬化樹脂層(シリコーン系離型層)である。シリコーン系離型層の形成に用いられるシリコーン系樹脂組成物は、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂とヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂の合計100重量部に対して、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂を20~80重量部含むことが好ましい。
粘着シートから、剥離速度10m/分で第一離型フィルムを剥離する際の180°ピール強度は、0.05~0.3N/50mmが好ましい。
本発明の離型フィルム付き粘着シートは、粘着シートと離型フィルムが適度な密着性を有するため、保管時、搬送時および輸送時等には離型フィルムの剥離が生じ難く、粘着シートからの離型フィルムを高速剥離する際には剥離が容易であり、作業性に優れている。
離型フィルム付き粘着シートの積層構成を示す断面図である。 せん断力の測定に用いた試験片の長さ方向の断面図である。
本発明の離型フィルム付き粘着シートは、粘着シートの少なくとも一方の面に仮着された離型フィルムを備える。「仮着」とは、剥離可能に貼着された状態を意味する。離型フィルム付き粘着シートは、粘着シートの両面に離型フィルムが仮着されていてもよい。
図1は、粘着シート50の両面に、離型フィルム10,20が仮着された離型フィルム付き粘着シート1の断面図である。粘着シート50は、粘着剤がシート状に形成されたものである。粘着シート50の全光線透過率は85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。粘着シートのヘイズは2%以下が好ましく、1%以下がより好ましい。全光線透過率およびヘイズは、ヘイズメータを用いて、JIS K7136に準じて測定される。
粘着シート50は、光硬化型アクリル系ポリマーを含むアクリル系粘着剤である。アクリル系粘着シートは、アクリル系モノマーおよび/またはアクリル系ポリマーの部分重合物(プレポリマー)、ならびに光重合開始剤を含む光硬化性粘着剤組成物を層状に塗布し、光硬化することにより得られる光硬化型粘着剤からなる。本明細書において、「光硬化性(photocurable)」の粘着剤とは、ビニル基や(メタ)アクリロイル基等の光重合性官能基含有化合物を含み、光硬化が可能である粘着剤を指し、「光硬化型(photocured)」粘着剤とは、光硬化性粘着剤を光硬化した後の粘着剤を指す。なお、光硬化性粘着剤を重合後の粘着剤において、光重合性化合物の一部が未反応で残存している場合は、粘着剤が光硬化型(photocured)であり、かつ光硬化性(photocurable)の場合がある。
[光硬化性粘着剤組成物]
光硬化性粘着剤組成物は、光重合性アクリル系材料、および光重合開始剤を含む。
<光重合性アクリル材料>
光硬化性粘着剤組成物に含まれる光重合性アクリル材料としては、アクリル系モノマーおよびその部分重合物(プレポリマー)が挙げられる。
(モノマー成分)
アクリル系モノマーとしては、アルキル基の炭素数が1~20である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好適に用いられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アルキル基が分枝を有していてもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、アクリル系材料のモノマー成分全量に対して40重量%以上であることが好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルに加えて、ヒドロキシ基含有モノマーや窒素含有モノマー等の高極性モノマーが共重合成分として含まれていてもよい。アクリル系ポリマーが高極性モノマーユニットを含有することにより、粘着剤の凝集力を向上させて粘着シートの被着体に対する接着性が高められるとともに、高温高湿環境下での粘着剤の白濁が抑制され、粘着シートの透明性が向上する傾向がある。
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸2‐ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2‐ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4‐ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6‐ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8‐ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10‐ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12‐ヒドロキシラウリルや(4‐ヒドロキシメチルシクロヘキシル)‐メチルアクリレート等が挙げられる。ヒドロキシ基含有モノマーの含有量は、モノマー成分全量に対して、1~40重量%が好ましく、3~30重量%がより好ましく、5~20重量%がさらに好ましい。
窒素含有モノマーとしては、N-ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルカルボン酸アミド類、N-ビニルカプロラクタム等のビニル系モノマーや、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノアクリレート系モノマー等が挙げられる。窒素含有モノマーは、窒素原子を含む環状構造を有するものが好ましく、中でも、N-ビニルピロリドン等のラクタム系ビニルモノマーが好ましい。窒素含有モノマーの含有量は、モノマー成分全量に対して、0.5~50重量%が好ましく、1~40重量%がより好ましく、3~30重量%がさらに好ましい。
共重合モノマー成分として、カルボキシル基含有モノマー、環状エーテル基含有モノマー、シラン系モノマー等の上記以外のモノマーを含んでいてもよい。
共重合モノマー成分は、1分子中に2以上の重合性官能基を有する多官能重合性化合物を含んでいてもよい。多官能重合性化合物としては、1分子中に2個以上のC=C結合を有する化合物や、1個のC=C結合と、エポキシ、アジリジン、オキサゾリン、ヒドラジン、メチロール等の重合性官能基とを有する化合物等が挙げられる。中でも、1分子中に2個以上のC=C結合を有する多官能重合性化合物が好ましい。多官能重合性化合物は、モノマーまたはオリゴマーとして粘着剤組成物中に存在してもよく、プレポリマー成分のヒドロキシ基等の官能基と結合していてもよい。
1分子中に2個以上のC=C結合を有する多官能重合性化合物としては、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2-エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート(多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物);アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、多官能(メタ)アクリレートが好ましく、光重合性が高いことから多官能アクリレートが特に好ましい。
多官能モノマーの使用量は、その分子量や官能基数等により異なるが、モノマー成分全量に対して、5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましく、2重量%以下がさらに好ましい。多官能モノマーの使用量は、モノマー成分全量に対して、0.001重量部以上、0.01重量部以上、または0.05重量部以上であり得る。
光硬化性粘着剤組成物において、上記のモノマー成分は、部分重合物(プレポリマー)として存在していてもよい。プレポリマーとは、モノマー成分を一部重合させたものである。モノマー成分がプレポリマーとして存在することにより、光硬化性粘着剤組成物の粘度を支持体上への塗布に適した範囲に調整できる。
プレポリマーは、例えば、モノマー成分と重合開始剤とを混合したプレポリマー形成用組成物を、部分重合させることにより調製できる。プレポリマー形成用組成物は、アクリル系ポリマーを構成する全モノマー成分を含んでいてもよく、アクリル系ポリマーを構成するモノマーの一部のみを含んでいてもよい。アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分が、単官能モノマーと多官能モノマーとを含む場合は、単官能モノマーのみを部分重合したプレポリマー組成物に多官能モノマーを添加して粘着剤組成物を調製してもよい。単官能モノマーのみを部分重合したプレポリマー組成物に、多官能モノマーを添加して後重合を行うことにより、多官能モノマーによる架橋点をポリマー中に均一に導入できる。アクリル系ポリマーを構成する多官能モノマー成分の一部をプレポリマー形成用組成物に含有させ、プレポリマーを重合後に多官能モノマー成分の残部を添加して後重合を行ってもよい。
2段階以上または3段階以上の重合でプレポリマーを調製してもよい。例えば、単官能モノマーのみを予備重合した後、多官能モノマーを添加して部分重合を行ってプレポリマー組成物を調製し、必要に応じてさらにモノマー成分等を添加して後重合を行ってもよい。
プレポリマーの重合方法は特に限定されない。反応時間を調整して、プレポリマーの分子量(重合率)を所望の範囲とする観点から、紫外線等の活性光線照射による光重合が好ましい。光重合を行う場合は、プレポリマー形成用組成物が光重合開始剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、光ラジカル重合を開始するものであれば特に制限されず、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等を用いることができる。
プレポリマー形成用組成物は、モノマー成分および重合開始剤以外に、必要に応じて連鎖移動剤等を含んでいてもよい。連鎖移動剤は、成長ポリマー鎖からラジカルを受け取ってポリマーの伸長を停止させるとともに、ラジカルを受け取った連鎖移動剤がモノマーを攻撃して再び重合を開始させる作用を有する。連鎖移動剤が用いられることにより、反応系中のラジカル濃度を低下させることなく、分子量の過度の増大を抑制できる。連鎖移動剤としては、α-チオグリセロール、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2-メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2-エチルヘキシル、2,3-ジメルカプト-1-プロパノール等のチオール類が好適に用いられる。
プレポリマーの重合率は特に限定されないが、支持体上への塗布に適した粘度とする観点から、3~50%が好ましく、5~40%がより好ましい。プレポリマーの重合率は、光重合開始剤の種類や使用量、紫外線等の活性光線の照射強度・照射時間等を調整することによって、所望の範囲に調整できる。重合率は、プレポリマー組成物を130℃で3時間加熱した際の加熱(乾燥)前後の重量から、下記式により算出される。なお、溶液重合により部分重合を行う場合は、プレポリマー組成物の全重量から溶媒の量を差し引いたものを、下記式における加熱前重量として、重合率が算出される。
ポリマーの重合率(%)=100×(加熱後重量/加熱前重量)
<光硬化性粘着剤組成物の調製>
上記の光重合性アクリル材料(モノマーおよび/またはその部分重合物)に、残部のモノマー成分、光重合開始剤、およびその他の添加剤等を混合することにより、光硬化性粘着剤組成物が得られる。光硬化性粘着剤組成物は、残部のモノマー成分として、多官能モノマーを含むことが好ましい。多官能モノマーとしては、先に例示した1分子中に2個以上のC=C結合を有する多官能重合性化合物が好ましく用いられる。
光重合剤は特に限定されず、例えば、上述の光重合開始剤を用いることができる。光硬化性粘着剤組成物中の光重合開始剤の含有量は、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分およびプレポリマー成分の合計100重量部に対して、0.02~10重量部が好ましく、0.05~5重量部がより好ましい。プレポリマー形成用組成物中の光重合開始剤がプレポリマー組成物中で失活せずに残存している場合は、光重合開始剤の添加を省略してもよい。
光硬化性粘着剤組成物中には、連鎖移動剤が含まれていてもよい。光硬化性粘着剤組成物に含まれる連鎖移動剤は特に限定されず、例えば、上述の連鎖移動剤を用いることができる。粘着剤組成物中には、接着力の調整等を目的として、シランカップリング剤、架橋剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤等が含まれていてもよい。また、粘着剤組成物は、劣化防止剤、充填剤、着色剤、酸化防止剤、界面活性剤、帯電防止剤等の添加剤を、粘着剤の特性を損なわない範囲で含んでいてもよい。
光硬化性粘着剤組成物は、支持体上への塗布に適した粘度(例えば、5~100ポイズ程度)を有することが好ましい。粘着剤組成物の粘度は、例えば、増粘性添加剤等の各種ポリマーや多官能モノマー等の添加、プレポリマーの重合率等により調整できる。光硬化性粘着剤組成物は、アクリル系モノマー成分(アクリル系モノマーおよびアクリル系モノマーの部分重合物)の含有量が、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましい。
[離型フィルム]
上記の光硬化性粘着剤組成物を支持体上に塗布し、光硬化を行うことにより粘着シートが得られる。空気中の酸素により光ラジカル重合が阻害されるため、光硬化の前に、光硬化性粘着剤組成物の塗布層上にカバーシートを付設して、支持体とカバーシートの間に光硬化性粘着剤組成物が層状に設けられた積層体を形成して、酸素を遮断することが好ましい。光硬化性粘着剤組成物を2枚のシート(支持体およびカバーシート)の間に層状に塗布して、支持体とカバーシートの間に光硬化性粘着剤組成物が層状に設けられた積層体を形成してもよい。
粘着剤組成物を塗布するための支持体、および粘着剤組成物の塗布層表面に付設されるカバーシートの少なくとも一方は、粘着剤組成物の塗布層(粘着シート)との接触面に離型層を備える離型フィルムである。支持体とカバーシートの間に光硬化性粘着剤組成物が層状に設けられた積層体は、支持体およびカバーシートの両方が離型フィルムであることが好ましい。
<フィルム基材>
離型フィルム10,20のフィルム基材11,21としては、透明性を有する各種の樹脂フィルムが用いられる。樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂が特に好ましい。フィルム基材11,21の厚みは、10~200μmが好ましく、25~150μmがより好ましい。
<離型層>
離型層の材料としては、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキル系離型剤、脂肪酸アミド系離型剤が挙げられる。離型フィルム10の離型層15は、硬化性シリコーン系樹脂組成物の硬化により形成されるシリコーン系離型層である。
シリコーン系離型層15の形成には、付加反応により硬化するタイプのシリコーン系樹脂組成物が用いられる。付加反応により硬化するタイプのシリコーン系樹脂組成物は、付加反応性の官能基を有するポリオルガノシロキサン樹脂と、ヒドロシリル基(SiH)を有するポリオルガノシロキサン化合物(架橋剤)とを含み、さらに硬化触媒(ヒドロシリル化触媒)を含むことが好ましい。このシリコーン系樹脂組成物は、加熱により、ポリオルガノシロキサン樹脂の付加反応性基と、架橋剤のヒドロシリル基との反応(ヒドロシリル化反応)により剥離性被膜(離型層)を形成する。
付加反応性の官能基としては、アルケニル基が挙げられる。アルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基等が挙げられる。シリコーン系離型層15の形成には、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂と、ヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂の混合物が用いられる。
ポリオルガノシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン等のポリアルキルアルキルシロキサン;ポリアルキルアリールシロキサン;ポリ(ジメチルシロキサン-ジエチルシロキサン等が挙げられる。これらの中でも、ポリジメチルシロキサンが好ましい。ポリオルガノシロキサンは、Si基に複数種の有機基が結合したものでもよい。
架橋剤は、ヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサンであり、1分子中にSi-H結合を有するケイ素原子を2個以上有するものが好ましい。ヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサンとしては、ポリメチルハイドロジェンシロキサンやポリ(ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサン)、ヒドロシリル基末端ポリジメチルシロキサン等が好ましい。
シリコーン系樹脂組成物として、付加反応の官能基を有するポリオルガノシロキサン樹脂と、ヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサン化合物とが予め混合された市販品を用いてもよい。ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂とヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサン化合物とを含む市販品としては、信越化学工業製の「KS-847」および「X-62-2829」、ならびに東レ・ダウコーニング製の「SRX211」等が挙げられる。ヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂とヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサン化合物とを含む市販品としては、東レ・ダウコーニング製の「LTC761」および「LTC300B」等が挙げられる。
ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂とヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂の合計100重量部に対する、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂の含有量は、20~80重量部が好ましく、30~70重量部がより好ましい。両者の比率をこの範囲とすることにより、離型フィルムのせん断力が大きく、かつ高速剥離時のピール強度が小さい離型フィルム付き粘着シートが得られる。
シリコーン系樹脂組成物の硬化触媒としては、白金系触媒が好ましい。白金系触媒としては、塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、塩化白金酸のオレフィン錯体等が挙げられる。白金系触媒の使用量(白金換算)は、付加反応性の官能基を有するポリオルガノシロキサン樹脂およびヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサン化合物等の架橋剤の合計に対して、10~1000ppm程度が好ましい。
シリコーン系樹脂組成物は、触媒を添加後の保存安定向上を目的として、反応抑制剤(ヒドロシリル化抑制剤)を含んでいてもよい。反応抑制剤としては、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、3-メチル-1-ペンテン-3-オール、3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン等が挙げられる。
シリコーン系樹脂組成物は、有機溶媒を含んでいてもよい。有機溶媒としては、シクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタン等の炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。有機溶媒は混合溶媒でもよい。有機溶媒の使用量は、シリコーン系樹脂組成物中80~99.9質量%程度が好ましい。
シリコーン系樹脂組成物は、反応性官能基を有していないポリオルガノシロキサン樹脂(例えば、トリメチルシロキシ基末端封鎖ポリジメチルシロキサン等)を含んでいてもよい。ただし、反応性官能基を有していないポリオルガノシロキサン樹脂の添加量が多くなると、離型フィルムと粘着シートとのせん断力が小さくなり、離型フィルム付き粘着シートのロール搬送時や、離型フィルム付き粘着シートをロール状に巻回した際に、不所望の剥離が生じる場合がある。そのため、反応性官能基を有していないポリオルガノシロキサン樹脂の量は、付加反応の官能基を有するポリオルガノシロキサン樹脂と、ヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサン化合物の合計100重量部に対して2重量部以下が好ましく、1重量部以下がより好ましく、0.5重量部以下がさらに好ましい。
シリコーン系樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、可塑剤、着色剤等の各種の添加剤を含んでいてもよい。
シリコーン系樹脂組成物をフィルム基材11上に塗布し、加熱することにより、ヒドロシリル化反応によりシリコーン系樹脂組成物が硬化し、シリコーン系離型層15が形成される。塗布方法としては、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコートが挙げられる。加熱乾燥方法としては、熱風乾燥が挙げられる。熱風乾燥の条件は、フィルム基材の耐熱性により異なるが、通常80~150℃程度で、10秒~10分程度である。必要に応じて、シリコーンの付加反応促進等を目的として、熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
シリコーン系樹脂組成物の塗布量は、シリコーン樹脂量が0.03~1g/m程度となるように調整すればよい。シリコーン系離型層15の厚みは、例えば、10~500nm程度が好ましい。
[粘着シートの形成]
光硬化性粘着剤組成物を支持体上に塗布し、または、支持体とカバーシートとの間に粘着剤組成物層を形成し、粘着剤組成物に活性エネルギー線を照射して光硬化を行うことにより粘着シートが得られる。粘着剤組成物の塗布方法としては、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコートが挙げられる。光硬化性粘着剤組成物の塗布厚み(粘着シート50の厚み)は特に限定されないが、例えば10~500μm程度である。
光硬化のために照射する活性光線の波長および強度は、粘着剤の組成や厚み等に応じて適宜決定すればよい。光照射のための光源としては、粘着剤組成物に含まれる光重合開始剤が感度を有する波長範囲の光を照射できるものであれば特に限定されず、LED光源、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が好ましく用いられる。
硬化速度向上の観点から、光照射強度は5mW/cm以上が好ましい。光硬化後のアクリル系ポリマーの分子量を十分に高め、高温での保持力を確保する観点から、光照射強度は20mW/cm以下が好ましい。照射光の積算光量は、100~5000mJ/cm程度が好ましい。
光硬化後の粘着シートにおけるモノマー成分の最終的な重合率は90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、98%以上がさらに好ましい。粘着シートのゲル分率は、50%以上が好ましく、75%以上がより好ましく、85%以上がさらに好ましい。
[離型フィルムと粘着シートの剥離性]
離型フィルム10の離型層15に光硬化性粘着剤組成物が接した状態で、粘着剤組成物の光硬化が行われる。シリコーン系離型剤に未反応のアルケニル基(C=C結合)が残存していると、光硬化性粘着剤組成物を光硬化する際に、離型層の残存C=C結合がラジカル重合反応に関与するため、離型層のシリコーン樹脂と粘着剤の間に化学結合が形成され、粘着シートからの離型フィルムの剥離が重くなる(ピール強度およびせん断力が大きくなる)傾向がある。
ピール強度が過度に大きい場合は、粘着シートから離型フィルムを高速剥離する際に、粘着シートの変形等の不具合が生じやすい。粘着シートからの離型フィルムの高速剥離を容易とする観点から、粘着シート50から離型フィルム10を、剥離速度10m/分で180°ピールする際のピール強度は、0.3N/50mm以下が好ましく、0.25N/50mm以下がより好ましく、0.23N/50mm以下がさらに好ましい。一方、粘着シート50と離型フィルム10との密着性を確保する観点から、ピール強度は0.05N/50mm以上が好ましく、0.1N/50mm以上がさらに好ましい。剥離速度0.3m/分での180°ピール強度も、上記範囲内であることが好ましい。
離型フィルム付き粘着シートを湾曲させた場合や、カッティング等の加工の際のせん断力による離型フィルムの剥離を抑制する観点から、粘着シートとの接触領域:20mm×20mmの試料を用いて測定した離型フィルムのせん断力は、20N以上が好ましく、25N以上がより好ましい。
本発明の離型フィルム付き粘着シートでは、離型フィルム10の離型層15が、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂、およびヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂を含むシリコーン系樹脂組成物の硬化樹脂層であることにより、高速剥離時のピール強度が小さく、かつせん断力が大きい。そのため、保管・搬送・輸送や、カッティング等の作業の際は離型フィルムが剥離し難く、粘着シートを被着体と貼り合わせるために離型フィルムを剥離する際は、高速での剥離が容易であり、作業性に優れる。
シリコーン系樹脂組成物中のビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂の比率が高いほど、剥離速度10m/分の180°ピール試験によるピール強度(高速剥離力)、およびせん断力が大きくなる傾向があり、シリコーン系樹脂組成物中のヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂の比率が高いほど、高速剥離力およびせん断力が小さくなる傾向がある。
ビニル基含有成分とヘキセニル基含有成分の比率が、離型フィルムと光硬化型粘着シートとの剥離力に影響を及ぼす一因として、シリコーン系離型層の形成時(シリコーン系樹脂組成物の硬化時)に、ビニル基が未反応で残存しやすいことが考えられる。ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂では、ポリオルガノシロキサンのSi原子に結合する炭素原子が付加反応性基(C=C結合)を形成している。そのため、ビニル基のC=C結合はポリオルガノシロキサンの樹脂マトリクス中に埋まりやすい。一方、ヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂では、ポリオルガノシロキサンのSi原子と、C=C結合を形成している炭素原子との間に、4つの炭素原子が介在しているため、ヘキセニル基のC=C結合はポリオルガノシロキサンの樹脂マトリクスからの距離が大きい。
シリコーン系樹脂組成物を硬化する際には、ポリオルガノシロキサンの樹脂マトリクス中に埋まりやすいビニル基は相対的に反応性が低く、Si原子とC=C結合との距離が大きいヘキセニル基は相対的に反応性が高いと考えられる。そのため、ヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂の比率が高いほど、シリコーン系離型層における残存C=C結合の量が小さく、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂の比率が高いほど、シリコーン系離型層における残存C=C結合の量が大きくなると考えられる。したがって、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂と、ヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂とを併用し、その比率を調整することにより、シリコーン系離型層中の残存C=C結合量(光硬化性粘着剤組成物中のモノマーとの反応点の密度)が適切に調整され、光硬化後の粘着シートと離型フィルムとの剥離力を適切な範囲に調整できると考えられる。
粘着シートの両面に離型フィルムが仮着された離型フィルム付き粘着シートでは、一般に、粘着シートから一方の離型フィルムを剥離する際のピール強度が、粘着シートから他方の離型フィルムを剥離する際のピール強度に比べて相対的に小さい。粘着シートの使用時には、相対的に低ピール強度の離型フィルム(軽剥離フィルム)を粘着シートから剥離して第一の被着体との貼り合わせを行った後、相対的に高ピール強度の離型フィルム(重剥離フィルム)を剥離して、第二の被着体との貼り合わせを行う。粘着シートの表裏に仮着する離型フィルムにピール強度の差を設けておくことにより、第一の被着体との貼り合わせ時に、軽剥離フィルムを選択的に剥離できるため、貼り合わせの作業性を高められる。
図1に示すように、粘着シート50の両面に離型フィルムが仮着されている場合、上記のシリコーン系樹脂組成物の硬化により形成される離型層15を備える離型フィルム10は、軽剥離フィルムおよび重剥離フィルムのいずれでもよい。他方の離型フィルム20の離型層25の構成は特に限定されない。離型層15に加えて、離型層25も、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂、およびヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂を含むシリコーン系樹脂組成物の硬化樹脂層であってもよい。例えば、離型層15と離型層25の樹脂組成(ビニル基を有するポリオルガノシロキサンとヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサンの比率)を変えることにより、粘着シート50の表裏に仮着された離型フィルム10,20の剥離力に差異を持たせてもよい。
[粘着シートの用途]
上記の光硬化型粘着シートは、可視光透過率が高いことから、表示装置形成用の光学粘着剤として好適に用いられる。表示装置としては、液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパー等が挙げられる。また、上記の光硬化型粘着シートは、表示装置とタッチパネル等の入力装置との貼り合わせ、表示装置や入力装置の表面に配置される透明板との貼り合わせ等に用いることもできる。
両面に離型フィルムが仮着された離型フィルム付き粘着シートの使用に際しては、まず軽剥離フィルム(第一離型フィルム10)を剥離して粘着シート50の第主面を露出させ、第一の被着体との貼り合わせを行う。その後、重剥離フィルム(第二離型フィルム20)を剥離して粘着シート50の第主面を露出させ、第二の被着体との貼り合わせを行う。両面の離型フィルムを剥離した後に被着体との貼り合わせを行ってもよい。粘着シートが光硬化性を有している場合は、被着体との貼り合わせ後の粘着シートにさらに光照射を行ってもよい。被着体との貼り合わせ後に粘着シートをさらに光硬化することにより、被着体との接着信頼性を向上できる場合がある。
以下に実施例および比較例を挙げてさらに説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[光硬化性粘着剤組成物の調製]
アクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA):78重量部、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP):18重量部、およびアクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA):4重量部から構成されるモノマー混合物に、光重合開始剤として、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF製「イルガキュア184」):0.035重量部、および2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(BASF製「イルガキュア651」):0.035重量部を添加した。この組成物に紫外線を照射して、室温における粘度が約20Pa・sとなるまで予備重合を行い、重合率が約8%のプレポリマーを得た。
プレポリマー100重量部に、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA):0.15重量部、シランカップリング剤(信越化学工業製「KBMー403」):0.3重量部、および光重合開始剤として、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(BASF製「イルガキュア819」):0.15重量部を添加して、光硬化性アクリル系粘着剤組成物を得た。
[比較例1]
<離型フィルムの作製>
ビニル基含有付加型シリコーンの30%トルエン溶液(信越化学工業製「KS-847T」)100重量部およびシリコーン硬化用白金触媒(信越化学工業製「CAT-PL-50T」)1重量部を、体積比1:1のトルエンとヘキサンの混合溶媒により、シリコーン濃度が0.7重量%となるように希釈して、離型剤溶液を調製した。この離型剤溶液を、ワイヤーバー(#9)を用いて、厚み75μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東レアドバンストマテリアルズコリア製「ルミラー XD500P」)の一方の面に塗布し、130℃の熱風乾燥機で1分間加熱し、離型層を形成した。
<離型フィルム付き粘着シートの作製>
比較例1では、支持離型フィルムおよびカバー離型フィルムの両方に、上記の離型フィルムを用いた。支持離型フィルムの離型層形成面に、粘着剤組成物を150μmの厚みで塗布して塗布層を形成し、塗布層の表面にカバー離型フィルムを貼り合わせて積層体を得た。この積層体に、カバー離型フィルム側から、照度:6.5mW/cm、積算光量:1500mJ/cmの条件で紫外線照射を行い、塗布層を光硬化させて、光硬化型粘着剤層の両面に離型フィルムを有する粘着シートを得た。
[比較例2]
<支持離型フィルムの作製>
ヘキセニル基含有付加型シリコーン(分子中にヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサン、および分子中にヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサン架橋剤を含有する付加型シリコーン系離型剤)の30%トルエン溶液(東レ・ダウコーニング製「LTC761」):100重量部、シリコーンディスパージョン(東レ・ダウコーニング製「BY 24-850」):3.0重量部、およびシリコーン硬化用白金触媒(東レ・ダウコーニング製「SRX 212」):6.7重量部を、体積比1:1のトルエンとヘキサンの混合溶媒により、シリコーン濃度が0.7重量%となるように希釈して、離型剤溶液を調製した。この離型剤溶液を、ワイヤーバー(#9)を用いて、厚み75μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東レアドバンストマテリアルズコリア製「ルミラー XD500P」)の一方の面に塗布し、130℃の熱風乾燥機で1分間加熱し、離型層を形成した。
<離型フィルム付き粘着シートの作製>
支持離型フィルムとして上記の離型フィルムを用い、カバー離型フィルムとして比較例1の離型フィルムと同一の離型フィルムを用いた。それ以外は実施例1と同様にして、支持離型フィルム上への粘着剤組成物の塗布、カバー離型フィルムの積層、および紫外線照射を行い、光硬化型粘着剤層の両面に離型フィルムを有する粘着シートを得た。
[実施例1~4]
支持離型フィルムの離型層を形成するための離型剤溶液として、ビニル基含有付加型シリコーンの溶液(KS-847T)とキセニル基含有付加型シリコーンの溶液(LTC761)とを、表1に示す比率で混合し、両者の比率にあわせて、触媒等の使用量を調整した。離型剤溶液の組成を変更したこと以外は比較例2と同様にして、光硬化型粘着剤層の両面に離型フィルムを有する粘着シートを得た。
[剥離性評価]
<離型フィルムのピール強度>
離型フィルム付き粘着シートを50mm幅に切り出し、23℃の環境下で、引張試験機を用いて、引張速度10m/分(高速)および0.3m/分(低速)で、180°ピール試験を行い、粘着シートから支持離型フィルムを剥離する際のピール強度を測定した。
<せん断力>
離型フィルム付き粘着シートを長さ200mm×幅20mmに切り出し、カバー離型フィルム20側を上にして、長さ方向の一方の端から90mmの位置に切り込みを入れ、一端から90mmの領域のカバー離型フィルム20および粘着剤層50を取り除いた。試料を裏返し、長さ方向の他方の端から90mmの位置で、支持離型フィルム10に切り込み10xを入れ、支持離型フィルムの一方の切断片10aと粘着剤層50とが20mm×20mmの領域で接着している試験片を作製した(図2参照)。試験片の両端をチャック間距離100mmでチャッキングし、23℃の環境下、引張速度10mm/分で引張試験を実施し、支持離型フィルム10aが粘着剤層50から完全に剥がれるまでの間の試験力の最大値をせん断力とした。
[評価結果]
実施例および比較例の支持離型フィルムの作製に用いた離型剤溶液の組成、および支持離型フィルムの剥離性評価結果を表1に示す。表1における離型剤の組成の数値は全て重量部である。
Figure 0007285641000001
離型層の形成材料としてビニル基含有付加型シリコーンを用いた比較例1では、高速剥離時のピール強度が大きく、粘着シートから離型フィルムを剥離する際の作業性に劣っていた。離型層の形成材料としてヘキセニル基含有付加型シリコーンを用いた比較例2では、せん断力が小さく、粘着シートを湾曲させた際に、粘着シートと支持離型フィルムとの界面のせん断歪みにより、両者の界面で剥離が生じた。ビニル基含有付加型シリコーンとヘキセニル基含有付加型シリコーンを併用した実施例1~4は、高速剥離力が0.3N/50mm以下であり高速剥離性に優れ、かつ十分に大きいせん断力を示した。
1 :離型フィルム付き粘着シート
10,20 :離型フィルム
11,21 :フィルム基材
15,25 :離型層
5 :積層体
9 :せん断力測定用試験片

Claims (7)

  1. 第一主面と第二主面とを有する光硬化型の粘着シート;前記粘着シートの第一主面に仮着された第一離型フィルム;および前記粘着シートの第二主面に仮着された第二離型フィルムを備える離型フィルム付き粘着シートであって、
    前記第一離型フィルムは、フィルム基材上に離型層を備え、
    前記離型層と前記粘着シートとが接しており、
    前記粘着シートは、光硬化型アクリル系ポリマーを含み、
    前記離型層は、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂、およびヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂を含むシリコーン系樹脂組成物の硬化樹脂層であり、
    前記第一離型フィルムの前記粘着シートからのピール強度が、前記第二離型フィルムの前記粘着シートからのピール強度よりも小さい、離型フィルム付き粘着シート。
  2. 前記シリコーン系樹脂組成物は、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂とヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂の合計100重量部に対して、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂を20~80重量部含む、請求項1に記載の離型フィルム付き粘着シート。
  3. 剥離速度10m/分の180°ピール試験により求められる前記粘着シートから前記第一離型フィルムを剥離する際のピール強度が、0.05~0.3N/50mmである、請求項1または2に記載の離型フィルム付き粘着シート。
  4. 前記光硬化型アクリル系ポリマーが、共重合モノマー成分として、1分子中に2以上の重合性官能基を有する多官能モノマーを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の離型フィルム付き粘着シート。
  5. 第一主面と第二主面とを有する光硬化型の粘着シート;前記粘着シートの第一主面に仮着された第一離型フィルム;および前記粘着シートの第二主面に仮着された第二離型フィルムを備え、前記第一離型フィルムの前記粘着シートからのピール強度が、前記第二離型フィルムの前記粘着シートからのピール強度よりも小さい離型フィルム付き粘着シートの製造方法であって、
    アクリル系モノマーおよび/またはアクリル系モノマーの部分重合物、ならびに光重合開始剤を含む光硬化性粘着剤組成物が、前記第一離型フィルムと前記第二離型フィルムとの間に層状に設けられた積層体を形成する工程;および
    前記第一離型フィルムと前記第二離型フィルムとの間の前記光硬化性粘着剤組成物に光を照射して、光硬化性粘着剤組成物を光硬化する工程を有し、
    前記第一離型フィルムは、フィルム基材上の前記光硬化性粘着剤組成物と接する側の面に離型層を備え、
    前記離型層は、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂、およびヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂を含むシリコーン系樹脂組成物の硬化樹脂層である、離型フィルム付き粘着シートの製造方法。
  6. 前記シリコーン系樹脂組成物は、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂とヘキセニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂の合計100重量部に対して、ビニル基を有するポリオルガノシロキサン樹脂を20~80重量部含む、請求項に記載の離型フィルム付き粘着シートの製造方法。
  7. 前記光硬化性粘着剤組成物が、1分子中に2以上の重合性官能基を有する多官能モノマーを含む、請求項5または6に記載の離型フィルム付き粘着シートの製造方法。
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