JP7284995B2 - 木材乾燥廃液から得られる金属補給体並びに木材乾燥廃液の脱色方法及び木材心材成分の回収方法 - Google Patents

木材乾燥廃液から得られる金属補給体並びに木材乾燥廃液の脱色方法及び木材心材成分の回収方法 Download PDF

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本発明は、木材乾燥機から流出する廃液から得られる金属補給体、並びに木材乾燥機から流出する廃液を脱色する方法、及び木材乾燥機から流出する廃液から木材心材成分を回収する方法に関する。
木材は水分が含まれる生材の状態では変形や割れが生じるため、生材を乾燥して建築用製材などに利用される。生材の乾燥方法としては、天然乾燥のほか、人工的に加熱水蒸気を用いて乾燥させる蒸気式木材乾燥(以下、「蒸気式乾燥」という。)が広く用いられている。この蒸気式乾燥においては、木材中の水分が加熱水蒸気と共に蒸気式乾燥機の排気口から大気中へ排出され、また、蒸気式乾燥機底面から流出する液体(以下、「ドレーン」という。)が廃液として河川などに放出されている。このため蒸気式乾燥において環境中に排出される蒸気及びドレーンの有効利用に向けて各種研究がなされている。
蒸気式乾燥機から排出される蒸気の有効利用については、加熱温度90℃~120℃の蒸気式乾燥で排出される蒸気を自然冷却させて液体を補集し、上部に浮遊した木材精油を除去して消臭剤として利用することが開示されている(特許文献1)。また、このときの排出液は、白濁しており少量の有機層が含まれていることが開示されている(同特許文献1[0013]段落参照)。
また、乾燥機排出口から出る排気を水冷式のコンデンサーを通して液体を回収し、その液体中の油分にセスキテルペンアルコールが含まれること及びこれを用いてナメクジなどの陸生軟体動物の忌避剤とすることが開示されている(特許文献2[0010]段落参照)。
一方、ドレーンの有効利用については殆ど研究がなされておらず、その成分については木材由来の水溶性抽出物が主であることから有害物質は含まれていないと考えられるものの、そのままドレーンを河川などへ廃棄すると、ドレーンが濃い黒色であることから景観を損ねることになり、黒色を呈する原因究明と景観を損なわないような色へ変換すること、あるいはその有効利用などの開発が求められていた。
なお、ドレーンについての唯一の研究報告があるが、これはスギ柱材の木材乾燥機から排出されるドレーン発生量の経時変化及びpHを明らかにしたというものであり、ドレーンにオゾンを添加して黒色を多少淡色化できたこと及びドレーンを用いた微生物培養に利用する可能性が示唆されているのみである(非特許文献1)。このように、乾燥機排出口から排出される蒸気については消臭剤や忌避剤への利用がなされているものの、ドレーンについては有効利用されることもなく、黒色を呈したまま、現在も海洋や河川などへ投棄されているという問題があった。
特開2005-87614号公報 特開平5-311388号公報
宮崎県木材利用技術センター「平成20年度業務報告書2008」(2-1-1、木材化学分野、p15)
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、木材乾燥機から流出する廃液から産業上利用が可能となる物質を提供すると共に、ドレーンの黒色を脱色する方法と、その過程で分離回収される液体を有効利用することを目的とする。
本発明の第一の特徴である金属補給体は、木材の乾燥処理によって回収された廃液を原料とし、該廃液中の金属をキレート化したことである。
本発明の第二の特徴は、前記金属を鉄としたことである。
本発明の第三の特徴は、前記金属のキレート化に利用されるキレート剤をEDTAとしたことである。
本発明の第四の特徴である木材乾燥廃液の脱色方法は、
木材の乾燥処理によって回収された廃液を、キレート処理、還元処理又はpH処理の何れかによる方法で前処理を行う工程と、
前記前処理を行った前処理液を吸着担体に接触させる工程と、
により、前記廃液を脱色することである。
本発明の第五の特徴は、前記前処理がキレート処理又は還元処理であって、該キレート処理に利用されるキレート剤又は該還元処理に利用される還元剤は、鉄と強く結合するものとしたことである。
本発明の第六の特徴である木材心材成分の回収方法は、
木材の乾燥処理によって回収された廃液を、キレート処理、還元処理又はpH処理の何れかによる方法で前処理を行う工程と、
前記前処理を行った前処理液を吸着担体に接触させる工程と、
前記吸着担体を有機溶媒で溶出させる工程と、
により、前記廃液から心材成分を回収することである。
本発明の第七の特徴である木材心材成分は、
前記本発明の第六の特徴である木材心材成分の回収方法によって回収された木材心材成分としたことである。
本発明の第一の特徴により、黒色のドレーンとして利用されることのなかった廃液中の金属をキレート化し、該金属を必要とする産業分野において金属補給体として利用することが可能となる。また、キレート化された金属とキレート剤とが日光などの外的作用により徐々に解離することになり、長期間の間一定濃度の金属補給体を安定して供給することができる。
本発明の第二の特徴により、微量でありながらも植物の成長などに重要な成分である鉄を補給し、鉄成分の欠乏により生ずる生理障害を防ぐことができる。
本発明の第三の特徴により、金属、その中でも特に鉄と容易に、かつ強く結合することができる。また、被金属補給体に吸収され易くなると共に窒素源も付与することができる。
本発明の第四の特徴により、前処理を行って吸着担体に吸着されやすい物質に変換し、吸着担体に吸着された木材心材成分と懸濁のない略無色の液体とに分離することができる。
本発明の第五の特徴により、様々な物質から構成されるドレーンのうち、黒色の原因とされるノルリグナン類と鉄との錯体から鉄を解離させ、鉄とEDTAとの錯塩などのより安定した錯体を形成させることができる。
本発明の第六の特徴により、木材乾燥廃液を脱色することができると共に、有機溶媒中に溶出された木材心材成分を回収することができる。また、吸着担体を容易に再生することができる。
本発明の第七の特徴により、ドレーンから分離回収された木材心材成分を木材強化剤、抗菌剤、防腐剤又は害虫忌避剤などの有価物として利用できる。
本発明を実施するためのフローを示した図である。 黒色のドレーンにEDTA及びDTTをそれぞれ加えて比較した写真である。 図2の各サンプルを酢酸エチルで抽出し、HPLCで分析した結果を示した図である。 (a)は、EDTAによるキレート処理後のドレーンの抽出・分画を示した図であり、(b)は、水と塩化鉄水溶液に(a)の褐色物質を加えた状態を示した写真である。 は、前処理としてキレート処理を行った場合における、ドレーンの色の変化及び心材成分を回収するスキームを示した図である。 は、前処理としてpH処理を行った場合における、ドレーンの色の変化を示した写真である。
以下に、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明の範囲は、以下に示す実施例に限定されるものではない。
本発明は、木材の乾燥機から流出するドレーンを原料とし、この廃出されたドレーンから産業上利用が可能な物質を見いだすと共に、黒色に懸濁したドレーンを脱色する方法を見いだし、さらにその過程で有価物を回収するというものである。これらの発明は一連の分離技術において確立するものであり、下記にそのフローについて図を用いて詳述する。
図1は、本発明を実施するためのフローを示したものである。原料は、木材の乾燥機から流出したものを回収した黒色のドレーンである。木材は、スギ、マツ、ヒノキなどの乾燥処理から回収され、乾燥処理は、例えばスギの蒸気式乾燥処理の場合、初期蒸煮工程、ドライングセット工程、乾燥工程及び冷却工程の4工程で行われる。スギの蒸気式乾燥処理で排出されるドレーンの量は、乾燥処理全工程183時間のうち、計51時間で行われる初期蒸煮工程及びドライングセット工程において、庫内温度96度から120度の環境で大量に回収される。なお、木材の乾燥処理においては、蒸気式乾燥や高周波減圧式乾燥などがあるが、木材乾燥処理において乾燥機底面から廃液として回収されるドレーンであれば本発明を利用することができる。
ST1はこのドレーンをキレート処理、還元処理又はpH処理の何れかによる方法で前処理を行う工程である。キレート処理の場合は、キレート剤として例えば、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、GEDTA(グリコールエーテルジアミン四酢酸)、HEDTA(ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸)、NTA(ニトリロ三酢酸)などが挙げられる。還元処理の場合は、還元剤として例えば、ジチオトレイトール(DTT)、ジチオエリトリトール(DTE)、システイン、メルカプトエタノール(BME)などが挙げられる。また、これらのキレート剤及び還元剤は鉄と強く結合することができる。pH処理の場合は、例えばpHを酸性にするために硫酸、塩酸、クエン酸などを用いることができる。これらの前処理のうち少なくとも何れかを行うことによって、次のステップで説明する吸着担体通過工程で吸着担体に吸着されやすい物質に変換し、吸着担体に吸着された木材心材成分と懸濁のない略無色の液体とに分離することができる。
ST1における前処理がキレート処理の場合、金属-キレート化合物が形成され、金属を必要とする産業分野において金属補給体として利用できる。例えば、植物の生育においてはCaやMgのほか、Fe、Co、Mn、Cu、Znなどの微量金属の役割が重要となっているが、本発明で得られる金属-キレート化合物を金属補給体として植物に供給することにより、木材乾燥処理から得られた成分を原料とする金属-キレート化合物を有効物質として土壌などに返還することができる。
また、多くの微量金属の中でも鉄は植物の必須元素であり、葉緑素の合成などに重要な役割を担っているが、鉄-キレート化合物を供給することによって植物の鉄成分欠乏症を防ぐことができる。キレート剤においては、特に鉄と強く結合するEDTAを用いて鉄-EDTA化合物とすることにより、植物に吸収され易くなると共に窒素源も付与することができる。
また、従来から鉄の補給に利用されている塩化鉄や硫酸鉄を添加した場合、適当な補給濃度と補給回数が必要になるが、高濃度となれば薬害を起こすこととなり、低濃度となれば補給回数が増えるようになるところ、本発明による鉄-EDTA化合物であれば、日光などの外的作用により徐々に鉄がEDTAから解離することになり、長期間の間一定濃度の金属補給体を安定して供給することができる。
ST2は、ST1で前処理を行った廃液を吸着担体に通過させる工程である。吸着担体は、例えば疎水性吸着担体であればスチレン-ジビニルベンゼン系の合成吸着樹脂である、ダイヤイオンHP20(「ダイヤイオン」は登録商標、以下同じ。)、ダイヤイオンHP21などのダイヤイオンシリーズ(三菱ケミカル株式会社製)やポリスチレン樹脂であるデュオライトS878(住化ケムテックス株式会社製)を用いることができる。
ST3は、ST2の吸着処理により吸着担体を通過した略無色の廃液を河川などへ廃棄する脱色処理済廃液を廃棄する工程である。この廃液は鉄錯体から鉄が解離した鉄イオンとして存在している。
一方、ST4は、ST2により吸着担体に吸着された物質をエタノールやメタノールなどの有機溶媒で溶出させる工程である。この溶出工程により吸着担体を容易に再生し、繰り返し利用することができる。また、有機溶媒中に溶出された成分は、セクイリンCやアガサレジノールを主成分とする赤色(「赤みの強い褐色」の色を「赤色」といい、以下同じである。)の木材心材成分であることから、これを用いた木材強化剤、抗菌剤、防腐剤又は害虫忌避剤などに利用できる。
これらのST1~ST4の処理により、木材乾燥機から流出するドレーンから産業上利用が可能となる金属補給体を得ると共に、黒色のドレーンを脱色し、さらにその過程で分離回収される木材心材成分を有価物として回収することができる。
(実験例1)
以下に、木材乾燥廃液の黒色の原因と金属イオンとの関係を解明するために前処理を行った実験例について説明する。まず、ドレーンにキレート剤及び還元剤をそれぞれ加えた場合について検討した。図2は、右から順に、(1)何も加えていない状態のドレーン、(2)ドレーンにキレート剤としてEDTAを加えたもの、(3)ドレーンに還元剤としてDTTを加えたものを示している。写真から明らかなように、(2)においては、懸濁した黒色が解消され、赤褐色の沈殿が確認できたことから3価の鉄がキレート化されて沈殿していると考えられる。また、(3)においては、懸濁した黒色が解消され、緑色の沈殿が確認できたことから2価の鉄が関与していることが考えられる。何れにしても、黒色の原因は金属イオンとフェノール性物質との錯体形成が関与し、その金属は鉄が主であることが強く疑われた。
次に、これらの(1)~(3)の各サンプルを酢酸エチルで抽出し、HPLCを用いて分析を行った。その結果を図3に示す。(1)の原料ドレーンにおいては、保持時間9分においてのみアガサレジノールを示すピークを示した。(2)のEDTA添加においては、保持時間3~4.5分において僅かな複数のピークと、保持時間6~6.5分においてセクイリンCを示す強いピーク、保持時間9分においてアガサレジノールを示すピークを示した。(3)のDTT添加においては、保持時間5分付近で何らかの成分を示すピーク、保持時間6~6.5分においてセクイリンCを示す強いピーク、保持時間7.5分と9分付近で弱い何らかのピークを確認した。これらの分析結果より、黒色のドレーンをキレート処理もしくは還元処理することで、セクイリンCやアガサレジノールなどを含むノルリグナン類(以下、単に「ノルリグナン類」という。)と金属との錯体から金属が解離し、ノルリグナン類が単体として存在することが明らかになった。
(実験例2)
さらに、金属の確定を行うため、キレート剤を用いて黒色物質の探索を行った結果について以下に詳述する。原料となる黒色のドレーンのサンプルは、スギの蒸気式乾燥処理にて96度から120度で51時間蒸煮処理し、乾燥機底面に流出したものを回収したものである(図5に示す左の写真)。このドレーンサンプル500mLにEDTA-2Na(以下、単に「EDTA」という。)10gを加えて攪拌したところ赤色を呈した(図5に示す右の写真)。
次に、図4(a)にEDTAによるキレート処理後のドレーンの抽出・分画手順を示す。黒色のドレーンにEDTAを加えた赤色の廃液をヘキサン200mLで3回抽出したところ、黄色い精油成分が69.8mg得られた(図4(a)右上写真)。一方、ヘキサン不溶物を、酢酸エチル200mLで4回抽出したところ、703.9mgの褐色物質が得られた(図4(a)右下写真)。この褐色物質をHPLCで分析したところ、図2(2)で示したピークと同じであった。以上より、黒色ドレーンにEDTAを加えた赤色の廃液のうち、精油を除く酢酸エチル抽出物は、単体のノルリグナン類2種が主要に含まれる物質であることが確認できた。
次に、0.5%塩化鉄水溶液に上記の処理で得られた褐色物質1μL、即ち単体のノルリグナン類を加えて呈色を確認したところ、黒色に近い呈色を示すことが確認できた(図4(b)の右の写真)。なお、水に上記の処理で得られた褐色物質1μLを加えたものは、透明のまま色の変化は確認できなかった(図4(b)左の写真)。このことから、スギの蒸気式乾燥処理によってスギの心材成分のノルリグナン類が溶出しており、ドレーンは該ノルリグナン類と金属とで錯体が形成されており、ドレーン即ち該錯体が黒色を呈しているのは「鉄」が原因であることが明らかとなった。
(実験例3)
次に、前処理としてキレート処理を行った場合における、ドレーンの色の変化及び心材成分を回収するスキームについて図5を用いて説明する。図5の左に示す黒色廃液は原料のドレーンであり、この中には多くの成分のうち、例えばセクイリンCの一部を示した写真下の化学式のように、2価のフェノールのOH基のHとFe3+が置換され、フェノール類と鉄との錯体となって存在していることが考えられる。このドレーンにEDTAを添加することによって、セクイリンCを主成分とするノルリグナン類と3価の鉄イオンとによる鉄錯体から鉄が分離し、3価の鉄イオンはEDTAと結合してより安定な錯体を形成し、Fe-EDTA錯体となっていると考えられる。
なお、Fe-EDTA錯体は前述の金属補給体として利用できる。また、Fe-EDTA錯体だけでなく、このようにして得られた赤色の廃液そのもの、即ちノルリグナン類とFe-EDTA錯体の混在する廃液そのものも金属補給体に含まれ、即ち木材の乾燥処理によって回収された廃液中の金属がキレート化された状態の物質が含まれる溶液全体を金属補給体として利用することが可能である。
この赤色の廃液を吸着樹脂により吸着させて3価もしくは2価の鉄イオン単体として脱色させた廃液を略無色の廃液として排出することができる。また、吸着樹脂に吸着された物質はアルコールなどの有機溶媒によって心材成分であるノルリグナン類を含む鮮やかな赤色溶液として回収することが可能である。
(実験例4)
次に、前処理としてpH処理を行った場合における、ドレーンの色の変化を示した実験例について図6を用いて説明する。まず、pH5.5~6.0の黒色のドレーン100mLに、pHが2になるまで硫酸を加えた。この時の溶液は褐色を呈した。次に吸着樹脂としてデュオライトS878を20mL充填させたカラムを使用し、これに100mLの褐色溶液を通過させることで得られたフルースロー画分は、略無色の廃液として排水することができる。一方、カラムに吸着された物質をエタノールで溶出し、得られた吸着画分は、赤色の心材成分として回収することができると共に、カラムを水で平衡化することで再生し、同カラムを繰り返し利用することができる。また、得られた心材成分はHPLCの分析の結果図3の(2)と同じピークを示したことから、セクイリンCやアガサレジノールが主要に回収されていることが確認された。よって、回収された赤色の心材成分からは、抗菌作用、抗蟻作用、害虫忌避作用などの様々な生理活性が期待されると共に、天然由来の木材防腐剤としての利用が期待できる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
本発明は、木材乾燥機から流出するドレーンを原料とし、該ドレーンから金属補給体としての産業上の利用を見いだすと共に、黒色に懸濁したドレーンを略無色に脱色する方法と、その脱色過程において心材成分を回収する方法を見いだしたものである。

Claims (4)

  1. 木材の乾燥処理によって回収された廃液を、キレート処理、還元処理又はpH処理の何れかによる方法で前処理を行う工程と、
    前記前処理を行った前処理液を吸着担体に接触させる工程と、
    により、前記廃液を脱色することを特徴とする木材乾燥廃液の脱色方法。
  2. 前記前処理がキレート処理又は還元処理であって、
    前記キレート処理の場合に利用されるキレート剤が、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸又はニトリロ三酢酸であり、
    前記還元処理の場合に利用される還元剤が、ジチオトレイトール、ジチオエリトリトール、システイン又はメルカプトエタノールであることを特徴とする請求項に記載の木材乾燥廃液の脱色方法。
  3. 木材の乾燥処理によって回収された廃液を、キレート処理、還元処理又はpH処理の何れかによる方法で前処理を行う工程と、
    前記前処理を行った前処理液を吸着担体に接触させる工程と、
    前記吸着担体を有機溶媒で溶出させる工程と、
    により、前記廃液から心材成分を回収することを特徴とする木材心材成分の回収方法。
  4. 前記前処理がキレート処理又は還元処理であって、
    前記キレート処理の場合に利用されるキレート剤が、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸又はニトリロ三酢酸であり、
    前記還元処理の場合に利用される還元剤が、ジチオトレイトール、ジチオエリトリトール、システイン又はメルカプトエタノールであることを特徴とする請求項3に記載の木材心材成分の回収方法
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