JP7284492B2 - パイロットが乗っていない飛行機、その飛行システムおよび管制システム - Google Patents
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Description
また、パイロットが乗っていない飛行機を飛行制御するシステムとして、無人飛行システム(UAS)がある。このシステムは、例えば、飛行制御のための要員を必要とせず、自律的に制御を行うものであり、状況によっては地上側から遠隔で飛行制御できる。
特許文献2の管制用通信システムは、飛行機のパイロットと管制との送受信信号がデータリンク通信なら、音声をメッセージデータに変換して送受信する、というものである。
特許文献3の飛行場運航票管理システムのユーザインターフェース装置は、管制官同士の運航票の移管、飛行計画の確認・変更、並びにパイロットへの連絡を視覚的に伝達可能とするものである。例えばパイロットや管制官の発話内容は、管制側で音声認識により、テキスト情報に変換される。そして、他の管制官やパイロットへの情報のフィードバックとして、確定された運航票の情報が、音声、テキスト表示(視覚的)の一方または両方で行われる。
このために、航空管制に必要な事項について、これまで有人でしていたことを無人にすべく、自動化に置き換える必要がある。例えば、パイロットが目視で行っていた衝突判断、パイロットと管制官の発話によるコミュニケーション、緊急時の飛行機の操作などである。
しかしながら、単に自動化により無人にするだけでは、これらの有人で行っていた事項を完全に代替えすることにはならない。例えば、パイロットと管制官のコミュニケーション内容を聞いていた関係者への対応、緊急時の乗客への対応などである。
パイロットの乗っていない飛行機の普及は加速する傾向にあるが、緊急時に備えて、遠隔操作のできるパイロットが前記飛行機を見守る必要がある。しかし、一人一機を見守るのは効率が悪い。一方で、一人で複数の飛行機を見守るのは負担が大きくなる場合がある。
・「指示情報」とは、管制官からのどのように飛行するのかを指示する飛行指示を示す情報であり、例えば、飛行高度、速度、方向、到達時間、到達位置などからなり、それらに換算できる量を含む概念である。
・「飛行経路情報」とは、飛行機の経時的な位置情報、それに換算できる量を含む概念である。
・「判断情報」とは、指示情報に従うのかの要否に関する情報であり、それに対応する情報を含む概念である。例えば、指示情報と異なる飛行経路情報を送信することにより否を判断することなどを含む。
・「指示受信手段」とは、実施形態では工程S2が対応する。
・「判断手段」とは、実施形態で工程S3が対応する。
・「判断送信手段」とは、実施形態では工程S4が対応する。
・「音声変換手段」とは、実施形態では工程S6が対応する。
・「音声応答手段」とは、実施形態では工程S7が対応する。
・「飛行経路作成手段」とは、実施形態では工程S5が対応する。
・制御命令情報とは、例えば具体的な速度、高度、方向の他、手動への切り替えの情報など手動制御に関するものである。
・「異常検知手段」とは、実施形態で工程U1が対応する。
・「記録送信手段」とは、実施形態では工程U3が対応する。
・「制御命令情報」とは、地上コントロール局からのどのように飛行するのかを指示する飛行指示を示す情報であり、例えば、飛行高度、速度、方向、到達時間、到達位置などからなり、それらに換算できる量を含む概念である。
・「制御情報送信手段」とは、実施形態では工程S0が対応する。
・「制御情報受信手段」とは、実施形態では工程S1が対応する。
・「指示変換手段」とは、実施形態では工程T2が対応する。
・「指示送信手段」とは、実施形態では工程T3が対応する。
とりわけ、複数の無人飛行機が飛行していると、航空管制や地上コントロール局の負担が軽減される効果が高い。
<第1実施形態>
(管制システム1)
図1は本発明の管制システムが用いられる様子を示す概略図である。図に示す管制システム10は、航空管制11に設けられる管制装置12と、地上コントロール局13と、それらの管制装置および地上コントロール局と通信可能な本発明の飛行機(以下、無人飛行機という)1とからなる。この無人飛行機1には操縦するためのパイロットが乗っていない。
なお、無人飛行機1と地上コントロール局13とから、本発明の飛行システム23(図2参照)が構成される。
本発明の無人飛行機1は、操縦されるべき飛行機に操縦者が乗っていない。しかし無操縦者航空機のように、地上から操縦者による遠隔操作を常に受けているのではなく、平時においては自律して航行することができ、緊急時あるいは必要な時に、地上トロール局13から操縦者による遠隔操縦を受けるものである。そして、平時および緊急時等において管制官を含む航空管制11から飛行指示を受ける。
無人飛行機1は、乗客(あるいは動物)を乗せて、さらには荷物を載せて運航できる構造を有しているのがよい。なお、無人飛行機1を気象情報の収集、地表の撮影などの何らかの調査や小型の荷物を載せる目的で使用するなら、上述したような乗客などを乗せるほどの構造を有していなくてもよい。
一方で、本実施形態における有人飛行機20とは、操縦されるべき飛行機に操縦者が乗っている。その操縦者は管制官14による音声あるいはデータリンク通信のテキストデータなどによって航空管制11から飛行指示を受けている。
さらに、有人飛行機20および無人飛行機1以外の飛行機は、その他の飛行機21である。その他の飛行機21は、無操縦者航空機、ドローンなどを含み、操縦されるべき飛行機に操縦者が乗っていないが、無人飛行機1と同じ空域を飛行している。その他の飛行機21は、管制官を含む航空管制11から飛行指示を受けているものと、そうでないものとがある。図の符号22は無操縦者航空機の操縦者が操縦を行っている地上局である。
なお図1では、無人飛行機1、有人飛行機20、その他の飛行機21および地上局22はそれぞれ1つ記載されているが、通常はそれぞれ複数である。
航空管制11、地上コントロール局13(および地上局22)と、各飛行機との間の通信には、音声通信および/あるいはデータリンク通信が用いられる。音声通信とは、例えば、管制官とのやり取りの音声信号を無線周波数帯域に変調して行う通信である。データリンク通信とは、文字や記号などを電気信号に変換して送信するもので、例えばCPDLC(Controller Pilot Link Communication)と呼ばれる。そのデータリンク通信には、インターネット回線を用いてもよい。
また航空管制11と地上コントロール局13(および地上局22)との通信には、データリンク通信が用いられる。なお、緊急等の場合には音声通信を用いてもよい。
なお、上述のいずれの間の通信の場合において、その他の従来公知の通信手法を用いてもよい。
無人飛行機1は、例えば航空衝突防止システム(TCAS:Traffic and Collision Avoidance System)および/または自動従属監視‐ブロードキャスト(ADS-B:Automatic Dependent Surveillance-Broadcast)システムを備えている。なお、有人飛行機20が前記航空衝突防止システムを備えている場合は、無人飛行機1との間でデータリンク通信などを介して、互いの速度、位置、高度および/または予測されたコースなどを提供し合う。なお図示していないが、その他の飛行機21において、前記航空衝突防止システムを備えていてもよい。
(無人飛行機1)
図2は管制システム10の一実施形体例を示す機能ブロック図である。図2には無人飛行機1が示されている。
無人飛行機1は、機体周囲に存在する被衝突物を非接触で検出する衝突検出部2を備えている。衝突検出部2は、例えば、レーダ、レーザレーダ、ソナー、赤外線および/またはカメラ(ステレオカメラ)などを用いることができる。被衝突物としては、主に自機以外の飛行機であるが、鳥、鉄塔などの構造物、斜面、地面などでもよい。
さらに地上コントロール局13からの制御命令情報15aを受信する制御情報受信手段15を備えている。そして、無人飛行機1は制御命令情報15aの受信に基づいて、自律的な制御から遠隔操縦の手動制御に切り替わる。
管制装置12は航空管制11に設けられている。その管制装置12は、管制官14の音声による飛行指示を音声信号14bとして送信している。
また管制装置12は、その音声信号14bを対応したテキストデータを含む指示情報3aに変換する指示変換手段8と、その指示情報3aを無人飛行機1に送信する送信する指示送信手段9とを備えている。
前記地上コントロール局13は、無人飛行機1の飛行を制御するための制御命令情報15aを送信する制御情報送信手段13aを備えている。
次に、図3を用いて無人飛行機1のハードウェア構成を説明する。
図3に示すように、この実施形態の無人飛行機1にはコンピュータが用いられている。そのコンピュータはCPU30を備えており、そのCPU30には、不揮発性メモリ31、揮発性メモリ32、光を用いた記憶デバイス(例えば、DVD)、あるいは磁気を用いた記憶デバイス、さらにはUSBやSDカードなど書き換え可能なデバイス33を読み込むドライブ34および外部とネットワークを介して通信するための通信回路35がバスライン36を介して接続されている。
またバスライン36には衝突検知部2が接続されている。
さらに、不揮発性メモリ31には、無人飛行機1に用いるプログラム37、経路を変更の要否の条件である変更条件38、予め設定された飛行経路情報41、新たな飛行経路を作成するための条件(飛行経路作成条件)43b、さらにはOS39(オペレーティングシステム)が記録されている。なお予め設定された飛行経路情報41には、経路が変更された新たな飛行経路情報43aを含む。
無人飛行機1に用いるプログラム37、37c、条件38、43bおよびOS39は、例えばDVD、さらにはUSBやSDカードなど書き換え可能なデバイス33に記憶されており、ドライブ34を介して、メモリ31にインストールされる。なおメモリ32にインストールされてもよい。
後述する異常情報16a、指示情報3a、判断情報4a、飛行経路情報41、43aは、全部あるいは一部が記録部(メモリ31、32)に記録される。
次に、図4Aを用いて管制装置12のハードウェア構成を説明する。そのハードウェア構成は、前述の無人飛行機1のハードウェア構成とほぼ同じであるので、同じ部分には同じ符号を付して、その説明を省略する。
管制装置12の不揮発性メモリ31には、管制装置12を運転するためのプログラム37aなどがインストールされている。
後述する音声をテキストデータに変更するための条件として用いられるデータベース40(以下、音声変換DB)は、メモリ31に記憶されている。なおメモリ32に記憶されてもよい。
図4Bに、地上コントロール局13のハードウェア構成を示す。そのハードウェア構成は、前述の無人飛行機1のハードウェア構成とほぼ同じであるので、同じ部分には同じ符号を付して、その説明を省略する。
地上コントロール局13の不揮発性メモリ31には、途上コントロール局13を運転するためのプログラム37b、後述する学習部45の機械学習のためのプログラムなどがインストールされている。
さらに異常情報16a、指示情報3a、判断情報4a、飛行経路情報41、43a、条件38、43bの全部あるいは一部は、地上コントロール局13の記録部(メモリ)31またはメモリ32に記録される。また機械学習に用いるための飛行履歴情報49が格納された履歴データベース46(以下、履歴DB)が記録されている。なお、それらの全部あるいは一部は、管制装置12に記録してもよい。
上述した図3、図4Aおよび図4Bに示したハードウェア構成では、図1に示す機能をCPU30とプログラム37(37a、37b)を用いて実現するようにしているが、その一部あるいは全部をマイコンなどの論理回路、あるいは、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)を用いてシーケンス制御してもよい。
さらに、異常情報16a、指示情報3a、判断情報4a、飛行経路情報41、43a、条件38、43bおよび変換DB40、42の一部または全部を外部のサーバに記憶させてもよい。さらに、プログラム37(37a、37b)の一部または全部を外部のサーバで実行するようにしてもよい。
(管制装置12が無人飛行機に飛行指示をする方法)
図5は、管制装置12で用いられるプログラム37aの処理の一実施形態を示すフローチャートである。このフローチャートを用いて管制装置12が無人飛行機1に飛行の指示をする方法を説明する。
(T2)その工程S1の後に、あるいはほぼ同時に、収音された音声による飛行指示を対応したテキストデータを含む指示情報3aに変換する。
(T3)次いで、変換された指示情報3aを無人飛行機1に送信する。
前記変換する方法は、例えば、管制官14(図2参照)の音声を取り込み、音声信号14bに変換する。音声信号14bは周波数信号などである。その音声信号14bを解析して、テキストデータに変換し、そのテキストデータを指示情報3aとして送信する。これらは、従来から知られている方法である。
例えば、管制官が発した音声をマイク装置で取り込み、音声信号の波形に変換し、その音声信号波形から特徴となる量を取得する。その取得した特徴となる量に対して、予め登録された変換条件40を参照して、テキストデータに変換する。
例えば、音声変換条件(以下、音声変換DB)40は、変換すべき言語に対応する周波数特性をデータベース化したものである。管制官14がよく用いる言葉が登録されている。なお、機械学習を用いて音声に対応するテキストデータに変換してもよい。
図6Aは音声変換DBのデータ構造を示す概略図である。符号40aは管制官がよく用いる言葉である。図では文字列が記載されているが、テキストデータが格納されている。符号40bは対応する周波数特性である。図では連番で記載されているが、対応する周波数特性がリンクし、格納されている。
なお音声変換DB40として、変換すべき言語の一語一語に対応する周波数特性をデータベース化したり、単語、いいまわし毎に対応する周波数特性をそれぞれデータベース化してもよい。
図7は、無人飛行機1で用いられるプログラム37の処理の一実施形態を示すフローチャートである。このフローチャートを用いて無人飛行機1(図2参照)が飛行指示の要否を判断する方法を説明する。
準備段階として、CPU30(図3参照)は、衝突検知部2(図2参照)からの被衝突物情報2aを所定のタイミングあるいはリアルタイムで取得する。
(S1)地上コントロール局13からの制御命令情報の受信(取得)の有無を確認する。制御命令情報15aを取得していない場合、自律運転の工程S2へ進む。なお取得している場合は工程S8に進む。その説明は後述する。
(S2)航空管制11からの指示情報3aを確認する。航空管制11からの指示情報3aを受信すると、工程S3に進む。受信しない場合は、再び工程S1に戻る。
図6Bは指示把握DB41のデータ構造を示す概略図である。符号41aは指示情報からもたらされたテキストデータである。図では文字列が記載されているが、テキストデータが格納されている。符号41bはテキストデータに対応した確認すべき方向である。
次いで、例えば、
「高度を下げよ」なら、「鉛直方向に対して自機の斜め下前方(約45°)」であり、
「右に旋回せよ」なら、「平面視で進行方向に対して自機の斜め右前方(約45°)の方向」であり、
「左に旋回せよ」なら、「平面視で進行方向に対して自機の斜め左前方(約45°)の方向」である。
変更条件38としては、例えば、下記の条件(1)、(2)の少なくとも一方を満たす場合に、否の判断、すなわち飛行経路を変更しない、の判断をする。
所定の範囲とは、例えば、機体の中央付近から確認すべき方向に軸芯を延ばし、頂点を機体側に向け、底部を外側に向けた略円錐状の範囲であり、その円錐形状の高さ(機体からの距離)が約1000mで、底部の直径が約200mの範囲の空間である。
被衝突物は衝突検知部2で検知したもの、さらには無人飛行機1が航空衝突防止システム(TCAS)および/または自動従属監視‐ブロードキャスト(ADS-B)システム、航空管制から得て、把握しているものを含む。
所定の範囲内とは、例えば、到達予定時刻の前後5分以内の時間で特定された、到達予定位置を中心とした半径200mの球の内部空間である。
飛行経路作成条件43bとしては、前述の条件(1)および/または条件(2)を満たさないこと。その上で、次の条件を満たすことである。
(条件3)飛行経路情報43と異なる経路である。
なお、新たに飛行経路情報43aが作成されると、次回からは、その新たな飛行経路情報43aに基づいて、変更の要否が判断される。
図6Cは信号変換DB42のデータ構造の例を示す。符号42aは要否の判断である。新たな飛行経路情報43aを作成した場合は、無人飛行機1がどのように行動するのかテキストデータで記載されている。図では文字列が記載されているが、テキストデータが格納されている。符号42bはテキストデータに対応した音声信号を示す番号が記載されている。
前記データベースおよび条件に代えて、それらに必要とされる情報を入力し、対応する情報を出力する関数ないし数式を用い、演算で求めるようにしてもよい。その数式等はメモリ31、32に記憶しておく。なお、演算方式とデータテーブル方式(条件方式)を組み合わせてもよい。例えば一部の出力を演算し、残りをデータテーブル(条件)から取得してもよい。
また、上述した自立運転を行う前提として、被衝突物情報2a、指示情報3a、変更条件38によらず、例えば航空衝突防止システム(TCAS)および/または自動従属監視‐ブロードキャスト(ADS-B)システムから警告を受けた場合、CPU30は無人飛行機1に衝突を回避する行動をとらせる。
さらに、衝突検知部からの被衝突物情報に基づいて、上述の条件(1)および/または(2)を満たす場合には、TCASおよびADS-Bに優先して、衝突を回避する行動をとる。
さらになお本実施形態では、制御命令情報15aの受信による手動制御(S1、S8参照)は、上記衝突防止より優先されている。なお衝突防止を優先してもよい。
図7に戻って、
(S1)CPU30は、地上コントロール局13(図2参照)からの制御命令情報15aの取得を確認する。
前記取得の確認は、機体を制御する具体的な制御命令情報の取得の他、手動にするためのスイッチを遠隔操縦者17(図1参照)が切り替えたことの情報でもよい。
(S8)取得を確認すると、制御命令情報15a(図2参照)により飛行制御される。すなわち無人飛行機1は、地上コントロール局13に配置された操縦者17により遠隔操縦される。
なお自動運転の途中(S2~S8)で、制御命令情報が確認された場合は、手動運転による制御が優先される。
次に、本発明の管制システムの他の実施形態(変形例を含む)を説明する。これらの実施形態は、前述した管制システムとほぼ同様であるので、異なる部分のみ説明し、同じ部分の説明は省略する。
前述の第1実施形態では無人飛行機1は、指示情報3aとしてテキストデータを受信していたが、管制官とのやり取りを、例えばCPDLCと呼ばれるデータリンク通信で行ってもよい。その場合の指示把握DB41は、テキストデータ以外の情報、例えばCPDLCに対応した情報を参照にできるようにしてもよい。
前述の第1実施形態では無人飛行機1は、判断情報4aを音声信号にして送信していたが、本変形例では送信しない。あるいは、予め設定された重要なメッセージを送信するようにしてもよい。
前記変形例1、2について、前述の第1実施形態と同様に、飛行経路情報41よりも管制官14による飛行指示(指示情報3a)を優先し、その指示情報3aよりも被衝突物との衝突の回避を優先する。
図9には管制システムの第2実施形態の概略を示している。図9に示す管制システム18の無人飛行機1は乗員を乗せる機体であり、かつ、地上コントロール局13からの飛行制御時に、地上コントロール局で遠隔操作を行う遠隔操縦者17の音声又は顔映像を前記乗員に提示する提示部25を無人飛行機1内に備えている。
その提示部25はディスプレイやスピーカで構成されている。また地上コントロール局13には、遠隔操縦者を写すためのカメラ、音声を取り込むためのマイクなどの画像・音声取得部26が設けられている。これらの通信は、例えばデータリンク通信で行われる。
さらに図10には、管制システムの第3実施形態の概略を示している。図10に示す管制システム19の無人飛行機1は、予め登録された機体異常条件27aに基づいて、機体の異常を検知する異常検知手段27と、その異常検知手段からの異常情報27b、指示情報3a、判断情報4aを記録する記録部(メモリと、異常情報、指示情報および判断情報を地上コントロール局13に送信する記録送信手段28とを備えている。
図11は、管制システム19(図10参照)の無人飛行機1に用いられるプログラム29の処理の一実施形態を示すフローチャートである。このフローチャートを用いて無人飛行機1が異常を送信する方法を説明する。
(U1)CPU30は、予め登録された機体異常条件27a(図10参照)に基づいて、機体の異常を検知する。
(U2)異常を検知すると、異常情報27b、指示情報3a、判断情報4aを記録部(メモリ31あるいはメモリ32)に記録する。
(U3)次いで、異常情報27b、指示情報3aおよび判断情報4aを地上コントロール局13に送信する。そして地上コントロール局13はメモリ31あるいはメモリ32に記憶する。
(機械学習)
ここから機械学習について説明する。機械学習の手法としては、例えば、「教師あり学習」、「教師なし学習」および「強化学習」がある。さらに、これらの手法を実現するうえで、特徴量そのものの抽出を学習する、「深層学習(ディープラーニング」と呼ばれる手法がある。
ここから機械学習(教師あり)により、判断手段4による飛行経路情報41の変更の要否の判断の精度を向上させるための学習部45について、説明する。
本実施形態において、学習部45は、例えば、地上コントロール局13のサーバに設けられている(図10の二点鎖線参照)。学習部45は飛行経路情報41の変更を要とする要モデルと、変更を不要とする不要モデルを作成するために用いられる。要モデルは、飛行経路情報41の変更を行うことが正しかった飛行履歴情報49(図4B参照)を学習することで生成される。また、不要モデルは、飛行経路情報の変更を行うことが誤りだった飛行履歴情報を学習することで生成される。それらの飛行履歴情報49は履歴DB46に記録されている。
図8は履歴DB46のデータ構造の例を示す。符号46aは判断手段の要否の判断の履歴、符号46bは要否の妥当性に関する情報の履歴、符号46cは指示情報の履歴、符号46dは被衝突物情報の履歴、符号46eは自機能力情報、符号46fは飛行状況の履歴および符号46gは気象情報の履歴である。
「判断の妥当性に関する情報の履歴46b」とは、判断情報に紐付けされた判断が正しいのか否かの情報であり、例えば管制官や他機のパイロットが危険とみなしたのか否かの情報などを含む履歴であり、それらに換算できる量を含む概念である。判断の妥当性に関する情報は、
「指示情報の履歴46c」とは、判断情報に紐付けされた指示情報3aの履歴であり、それに換算できる量を含む概念である。
「被衝突物情報の履歴46d」とは、判断情報に紐付けされた被衝突物情報2aの履歴であり、それに換算できる量を含む概念である。
「自機能力情報46e」とは、自機の飛行高度、旋回半径など、自機の飛行能力に関する情報であり、それらに換算できる量を含む概念である。
「飛行状況」とは、飛行高度、飛行速度、日時、飛行時間、燃料の残量および機体重量など飛行に関する情報であり、それらに換算できる量を含む概念である。
「飛行状況の履歴46f」とは、判断情報に紐付けされた過去の飛行状況の関する情報の履歴であり、それらに換算できる量を含む概念である。
「気象情報」とは、気象予報事業者などによって提供され、実測の気象情報及び将来の気象情報の予報を含む。例えば、日時、場所、温度、湿度、風速、風向、竜巻に関する情報、台風に関する情報、高潮に関する情報、地震に関する情報など気象予報事業者などによって提供される情報である。
「気象情報の履歴46g」とは、判断情報に紐付けされた過去の気象情報に関する情報の履歴であり、それに換算できる量を含む概念である。
プログラム37cに入力される情報は、例えば被衝突物情報2a、指示情報3a、気象情報47、飛行状況48、自機能力情報46eである、飛行状況48、気象情報47は受信手段3により取得される(図2の二点鎖線参照)。自機能力情報は46eは飛行機のメモリ31、32に予め登録されている。
飛行機1がプログラム37cに従って飛行している間も、飛行履歴情報49は履歴DB46に蓄積されていく。その蓄積された情報に基づき学習部45は一層精度の高い学習済みモデルを作成する。判断手段4のプログラム37cは、新たな学習モデルに定期的に更新される。
図12に本発明の飛行制御方法24を示す。この飛行制御方法は、無人飛行機1(図1参照)が自律的に飛行を制御する方法である。
(V1)まず、無人飛行機1は、機体周囲に存在する被衝突物を非接触で検出する。
(V2)次いで、検出した被衝突物の位置情報を含む被衝突物情報2aおよび航空管制11による飛行指示に関連する指示情報3aを受信する。
(V3)受信した被衝突物情報2a、指示情報3aおよび予め登録された経路変更条件38に基づいて、予め設定された飛行経路情報41の変更の要否を判断する。
(V4)飛行経路情報41の変更の要否に関するデータを含む判断情報4aを航空管制11に送信する。
前述した各データテーブルにおける範囲は、適宜に変更することができる。
また上述した実施形態は、それぞれを適宜に組み合わせて用いることができる。
また、自律して航行するとは、飛行指示を受けて、それに従うかどうかを判断することを少なくとも含む。その判断は要否以外に、何も応答をしないことで否と判断したり、異なる飛行経路で飛行したりすること等で要を判断することを含む。例えば、判断が要であるときに、飛行経路作成条件43bに基づいて新たに作成された飛行経路情報43aを要の判断情報4aとしてもよい。
なお、地上コントロール局のプログラム37b(図7参照)は、制御命令情報15aを送信する。また遠隔操縦者17の画像などのデータを無人飛行機1に送信する。
なお判断手段4は、履歴DB46のデータに基づいて、変更する飛行経路情報を選択してもよい。
なお飛行機1に学習部45を設けても良い。
2 衝突検出部
2a 被衝突部情報
3 受信手段
3a 指示情報
4 判断手段
4a 判断情報
5 判断送信手段
6 音声変換手段
7 音声応答手段
8 指示変換手段
9 指示送信手段
10 管制システム
11 航空管制
12 管制装置
13 地上コントロール局
13a 制御情報送信手段
14 管制官
14a 音声信号(無人飛行機)
14b 音声信号(管制官)
15 制御情報受信手段
15a 制御命令情報
16 制御命令送信手段
17 遠隔操縦者
18 管制システム(第2実施形態)
19 管制システム(第3実施形態)
20 有人飛行機
21 他の飛行機
22 地上局
23 飛行システム
24 飛行制御方法
25 提示部
26 画像・音声取得部
27 異常検知手段
27a 機体異常条件
28 記録送信手段
29 プログラム
30 CPU
31 不揮発性メモリ
32 揮発性メモリ
33 デバイス
34 ドライブ
35 通信回路
36 バスライン
37 プログラム(無人飛行機)
37a プログラム(管制装置)
37b プログラム(地上コントロール局)
37c プログラム(学習部)
38 変更条件(経路変更の要否)
39 OS
40 音声変換データベース(音声変換DB)
41 指示把握データベース(指示把握DB)
42 音声信号変換データベース(信号変換DB)
43 飛行経路作成手段
43a 新たな飛行経路情報
43b 飛行経路作成条件
44 飛行経路情報
44a 新たな飛行経路情報
45 学習部
46 履歴データベース(履歴DB)
46a 判断手段の要否の判断の履歴
46b 要否の妥当性に関する情報の履歴
46c 指示情報の履歴
46d 被衝突物情報の履歴
46e 自機能力情報
46f 飛行状況の履歴
46g 気象情報の履歴
47 気象情報
48 飛行状況
49 飛行履歴情報
Claims (12)
- 航空管制と通信可能で且つパイロットが乗っていない飛行機であって、
機体周囲に存在する被衝突物を非接触で検出する衝突検出部と、
前記被衝突物の位置情報を含む被衝突物情報および前記航空管制による飛行指示に関連する指示情報を受信する指示受信手段と、
その指示受信手段で受信した前記被衝突物情報、前記指示情報および予め登録された変更条件に基づいて、予め設定された飛行経路情報の変更の要否を判断する判断手段と、
その判断手段による飛行経路情報の変更の要否に関するデータを含む判断情報を前記航空管制に送信する判断送信手段と、
前記判断情報を対応する音声信号に変換する音声変換手段と、
前記音声信号を前記航空管制に応答する音声応答手段とを備えている、飛行機。 - 航空管制と通信可能で且つパイロットが乗っていない飛行機であって、
機体周囲に存在する被衝突物を非接触で検出する衝突検出部と、
前記被衝突物の位置情報を含む被衝突物情報および前記航空管制による飛行指示に関連する指示情報を受信する指示受信手段と、
その指示受信手段で受信した前記被衝突物情報、前記指示情報および予め登録された変更条件に基づいて、予め設定された飛行経路情報の変更の要否を判断する判断手段と、
その判断手段による飛行経路情報の変更の要否に関するデータを含む判断情報を前記航空管制に送信する判断送信手段とを備えており、
前記判断手段は、機械学習により生成したモデルを用いて飛行経路情報の変更の要否を判定し、
前記モデルは、過去の管制官指示に基づく飛行履歴情報を教師データとして用いて生成されている、飛行機。 - 請求項1記載の飛行機であって、
前記航空管制により、管制官の音声信号と共に、その音声信号に対応したテキストデータを含む情報が、前記指示情報として送信されている、飛行機。 - 航空管制と通信可能で且つパイロットが乗っていない飛行機であって、
機体周囲に存在する被衝突物を非接触で検出する衝突検出部と、
前記被衝突物の位置情報を含む被衝突物情報および前記航空管制による飛行指示に関連する指示情報を受信する指示受信手段と、
その指示受信手段で受信した前記被衝突物情報、前記指示情報および予め登録された変更条件に基づいて、予め設定された飛行経路情報の変更の要否を判断する判断手段と、
その判断手段による飛行経路情報の変更の要否に関するデータを含む判断情報を前記航空管制に送信する判断送信手段と、
前記判断が要であるときに、要の判断情報として、新たな飛行経路情報を作成する飛行経路作成手段と、
地上コントロール局からの飛行制御時に、前記地上コントロール局で遠隔操作を行うパイロットの音声又は顔映像を乗員に提示する提示手段とを備えており、
前記判断送信手段は、前記地上コントロール局および前記航空管制に前記飛行経路情報を送信する、飛行機。 - 航空管制と通信可能で且つパイロットが乗っていない飛行機であって、
機体周囲に存在する被衝突物を非接触で検出する衝突検出部と、
前記被衝突物の位置情報を含む被衝突物情報および前記航空管制による飛行指示に関連する指示情報を受信する指示受信手段と、
その指示受信手段で受信した前記被衝突物情報、前記指示情報および予め登録された変更条件に基づいて、予め設定された飛行経路情報の変更の要否を判断する判断手段と、
その判断手段による飛行経路情報の変更の要否に関するデータを含む判断情報を前記航空管制に送信する判断送信手段と、
前記判断が要であるときに、要の判断情報として、新たな飛行経路情報を作成する飛行経路作成手段 と、
予め登録された機体異常条件に基づいて、前記機体の異常を検知する異常検知手段と、
その異常検知手段からの異常情報、前記航空管制による指示情報、前記判断手段からの判断情報を記録する記録部と、
前記異常情報、指示情報および判断情報を、地上コントロール局に送信する記録送信手段とを備えており、
前記判断送信手段は、前記地上コントロール局および前記航空管制に前記飛行経路情報を送信する、飛行機。 - 請求項1~4のいずれか1項に記載の飛行機であって、
前記判断が要であるときに、要の判断情報として、新たな飛行経路情報を作成する飛行経路作成手段を備えており、
その飛行経路情報を飛行機の飛行を支援する地上コントロール局および航空管制に前記判断送信手段で送信する、飛行機。 - 請求項6記載の飛行機であって、
前記地上コントロール局から飛行の制御に関する制御命令情報を受信する制御情報受信手段を備えており、
前記制御命令情報の受信に基づいて、制御命令情報が優先して機体を制御する、飛行機。 - 航空管制と通信可能で且つパイロットが乗っていない飛行機であって、
機体周囲に存在する被衝突物を非接触で検出する衝突検出部と、
前記被衝突物の位置情報を含む被衝突物情報および前記航空管制による飛行指示に関連する指示情報を受信する指示受信手段と、
その指示受信手段で受信した前記被衝突物情報、前記指示情報および予め登録された変更条件に基づいて、予め設定された飛行経路情報の変更の要否を判断する判断手段と、
その判断手段による飛行経路情報の変更の要否に関するデータを含む判断情報を前記航空管制に送信する判断送信手段と、
前記判断が要であるときに、要の判断情報として、新たな飛行経路情報を作成する飛行経路作成手段と、
地上コントロール局の操縦者の遠隔操縦に基づく飛行の制御に関する制御命令情報を受信する制御情報受信手段とを備えており、
前記飛行経路情報を前記地上コントロール局および前記航空管制に前記判断送信手段で送信し、
前記制御命令情報の受信に基づいて、当該制御命令情報が優先して前記機体を制御する、飛行機。 - 請求項1、3、4、5または6のいずれかに記載の飛行機であって、
前記変更条件は、
前記飛行経路情報より管制官による飛行指示を優先し、
前記飛行指示より被衝突物との衝突の回避を優先するものである、飛行機。 - 航空管制と通信可能で且つパイロットの乗っていない飛行機と、それらの飛行機と通信可能な地上コントロール局とからなる飛行システムであって、
前記地上コントロール局は、飛行を制御するための制御命令情報を送信する制御情報送信手段を備えており、
前記飛行機は、機体周囲に存在する被衝突物を非接触で検出する衝突検出部と、
前記被衝突物の位置情報を含む被衝突物情報および前記航空管制による飛行指示に関連する指示情報を受信する指示受信手段と、
その指示受信手段で受信した前記被衝突物情報、前記指示情報および予め登録された変更条件に基づいて、予め設定された飛行経路情報の変更の要否を判断する判断手段と、
前記判断が要であるときに、要の判断情報として、新たな飛行経路情報を作成する飛行経路作成手段と、
前記判断手段による飛行経路情報の変更の要否に関するデータを含む判断情報を前記地上コントロール局および前記航空管制に送信する判断送信手段と、
前記判断情報を対応する音声信号に変換する音声変換手段と、
前記音声信号を応答するための音声応答手段と、
前記地上コントロール局からの制御に関する制御命令情報を受信する制御情報受信手段とを備えており、
前記飛行機は制御命令情報を受信すると、その制御命令情報を優先する、飛行システム。 - 航空管制と通信可能で且つパイロットの乗っていない飛行機の飛行制御方法であって、
機体周囲に存在する被衝突物を非接触で検出するステップと、
検出した被衝突物の位置情報を含む被衝突物情報および前記航空管制による飛行指示に関連する指示情報を受信するステップと、
受信した前記被衝突物情報、前記指示情報および予め登録された変更条件に基づいて、予め設定された飛行経路情報の変更の要否を判断するステップと、
飛行経路情報の変更の要否に関するデータを含む判断情報を前記航空管制に送信するステップと、
前記判断情報を対応する音声信号に変換するステップと、
前記音声信号を航空管制に応答するステップとを含む、飛行制御方法。 - 航空管制に設けられる管制装置と、地上コントロール局と、それらの管制装置および地上コントロール局と通信可能で且つパイロットの乗っていない飛行機とからなる管制システムであって、
前記管制装置は、管制官の音声による飛行指示を音声信号として飛行機に送信しており、かつ、その音声信号を対応したテキストデータを含む指示情報に変換する指示変換手段と、
その指示情報を前記飛行機に送信する指示送信手段とを備え、
前記地上コントロール局は、飛行機の飛行を制御するための制御命令情報を送信する制御情報送信手段を備え、
前記飛行機は、機体周囲に存在する被衝突物を非接触で検出する衝突検出部と、
前記被衝突物の位置情報を含む被衝突物情報および前記管制装置による指示情報を受信する受信手段と、
その受信手段で受信した前記被衝突物情報、前記指示情報および予め登録された変更条件に基づいて、予め設定された飛行経路情報の変更の要否を判断する判断手段と、
前記判断が要であるときに、要の判断情報として、新たな飛行経路情報を作成する飛行経路作成手段と、
前記判断手段による飛行経路情報の変更の要否に関するデータを含む判断情報を前記地上コントロール局および前記航空管制に送信する判断送信手段と、
前記判断情報を対応する音声信号に変換する音声変換手段と、
前記音声信号を応答するための音声応答手段と、
前記地上コントロール局からの制御に関する制御命令情報を受信する制御情報受信手段とを備えており、
前記飛行機は制御命令情報を受信すると、その制御命令情報を優先する、管制システム。
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