以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。また以下の説明では、電気化学セルとして、非水電解質二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」という。)を例に挙げて説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の電池の斜視図である。図2は、第1実施形態の電池の断面図である。
図1および図2に示すように、電池1は、平面視円形状のいわゆるボタン形の電池である。電池1の外径は、例えば12mm程度である。電池1は、正極および負極を有する発電要素の電極構造体2と、電極構造体2に含浸される電解質溶液(図示せず)と、電極構造体2が収容された外装体3と、正極に電気的に接続し、外装体3の外面に設けられた正極端子4と、負極に電気的に接続し、外装体3の外面に設けられた負極端子5と、正極端子4と正極とを接続する正極リード6(リード部材)と、負極端子5と負極とを電気的に接続する負極リード7(リード部材)と、を備える。
外装体3は、電池1の外郭を形成している。外装体3は、電極構造体2が収容される収容部10と、収容部10の外面に沿って延びる封止部11と、を備える。なお、封止部11が収容部10の外面に沿って延びる状態とは、例えば封止部11の表面の法線が収容部10の外面に交差する状態である。
図2に示すように、外装体3は、電極構造体2を間に挟む第1容器13(第1部材)および第2容器17(第2部材)を備える。第1容器13および第2容器17は、それぞれラミネートフィルムにより形成されている。ラミネートフィルムは、金属層(金属箔)と、重ね合わせ面(内側面)に設けられ金属箔を被覆する樹脂製の融着層と、外側面に設けられ金属箔を被覆する樹脂製の保護層と、を有する。金属層は、例えばステンレス鋼やアルミニウム等の外気や水を遮断する金属材料を用いて形成されている。重ね合わせ面の融着層は、例えば、ポリオレフィンのポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を用いて形成されている。外側面の保護層は、例えば、上述のポリオレフィンや、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等を用いて形成されている。ラミネートフィルムの厚さは、50μm~200μm程度であって、100μm程度が好適である。
第1容器13は、円形状の第1底壁部14と、第1底壁部14の外周縁から筒状に延びる第1周壁部15と、を備える。
第2容器17は、円形状の第2底壁部18と、第2底壁部18の外周縁から筒状に延びる第2周壁部19と、第2周壁部19の開口縁から径方向外側に張り出すフランジ部20と、フランジ部20の外周縁から第2周壁部19の筒状に延びる囲繞部21と、を備える。
第2底壁部18は、電極構造体2を挟んで第1容器13の第1底壁部14とは反対側に配置されている。第2底壁部18は、第1容器13の第1底壁部14よりも小さく形成されている。第2周壁部19は、第2底壁部18の外周縁から第1容器13の第1底壁部14に向けて延びている。第2周壁部19の外周面は、収容部10の外周面を形成する。フランジ部20は、第2周壁部19のうち、第1底壁部14側の端部から第1底壁部14に沿って延びている。囲繞部21は、フランジ部20の外周縁から第2底壁部18側へ筒状に延びている。囲繞部21は、第1周壁部15の内側に配置されている。囲繞部21の融着層と第1周壁部15の融着層とが熱融着(溶着)されている。フランジ部20の融着層と第1底壁部14の融着層とが熱融着されている。
囲繞部21の融着層と第1周壁部15の融着層とが熱融着され、フランジ部20の融着層と第1底壁部14の融着層とが熱融着されることにより、封止部11が形成される。よって、収容部10の外周が封止部11で封止される。これにより、第1容器13および第2容器17が重ね合わされて外装体3が形成される。封止部11は、収容部10の外側に筒状に形成され、かつ、収容部10の外周面の端部から収容部10の外周面に沿って延びている。収容部10には、第1容器13と第2容器17とが重ね合されることによりキャビティCが形成される。具体的には、収容部10は、第1底壁部14、第2底壁部18、および第2周壁部19により画成され、両端が閉塞された円筒状に形成されている。
外装体3には、キャビティCに連通する第1貫通孔23および第2貫通孔24が形成されている。第1貫通孔23および第2貫通孔24は、外装体3の外面における同一面に開口している。具体的に、第1貫通孔23および第2貫通孔24は、第2容器17の第2底壁部18に形成されている。第1貫通孔23および第2貫通孔24は、それぞれ円形状に形成されている。第1貫通孔23は、第2貫通孔24よりも大径に形成されている。これにより、第1貫通孔23および第2貫通孔24は、互いに異なる形状に形成されている。第1貫通孔23および第2貫通孔24は、第2底壁部18の中心を挟むように配置されている。
第2底壁部18の内面には、シーラントフィルム30(シール部材)が接合されている。シーラントフィルム30は、ポリオレフィンのポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂により形成されている。シーラントフィルム30の厚さは、10μm~100μm程度であって、50μm程度が好適である。シーラントフィルム30は、第2周壁部19の内径以下の平面視円形状に形成され、第2底壁部18の内面に熱融着されている。シーラントフィルム30には、第1貫通孔23と同軸の第1シール孔31と、第2貫通孔24と同軸の第2シール孔32と、が互いに独立して形成されている。第1シール孔31は、第1貫通孔23よりも小径に形成されている。例えば、第1シール孔31の内径は、5mm程度である。第2シール孔32は、第2貫通孔24よりも小径に形成されている。第2シール孔32と第2貫通孔24との内径差は、第1シール孔31と第1貫通孔23との内径差と一致している。例えば、第2シール孔32の内径は、3mm程度である。
正極端子4および負極端子5は、キャビティCに配置され、シーラントフィルム30を介して第2底壁部18の内面に接合されている。正極端子4および負極端子5は、互いに間隔をあけて配置されている。
正極端子4は、第1端子板41および第2端子板42を備える。第1端子板41は、正極端子4の内面を形成する。第1端子板41は、アルミニウムまたはステンレス鋼により形成されたプレート材である。第1端子板41の厚さは、5μm~100μm程度であって、50μm程度が好適である。第1端子板41は、平面視で第1貫通孔23と同心の円形状に形成されている。第1端子板41は、第1貫通孔23よりも大径に形成されている。第1端子板41は、第1貫通孔23を塞ぐように配置され、シーラントフィルム30に熱融着されている。第1端子板41とシーラントフィルム30との融着領域の一部は、シーラントフィルム30と第2底壁部18との融着領域の一部に重なっている。第1端子板41は、第2周壁部19に対してシーラントフィルム30の厚みよりも広い間隔をあけて配置されている。
第2端子板42は、正極端子4の外面の一部を形成し、リード線等の被接合部となる。第2端子板42は、ニッケルにより形成されたプレート材である。第2端子板42は、第1端子板41の外側に配置されている。第2端子板42は、第1貫通孔23および第1シール孔31よりも小径の平面視円形状に形成され、第1シール孔31の中央で第1端子板41の外面に接合されている。例えば、第2端子板42は、第1端子板41に超音波溶着されている。これにより、第2端子板42の外面には、溶着痕が形成されている。なお、正極端子4は、少なくとも一部がニッケルにより形成された外面を有していればよく、例えば第2端子板42に代えて、第1端子板41の表面にニッケルを成膜してもよい。ニッケルの成膜方法は、例えばめっきや溶射等を用いることができる。
なお、第1端子板41がステンレス鋼により形成されている場合、正極端子4の内面(第1端子板41の内面)には、ニオブやタングステン等、電解液に対する耐食性がステンレス鋼よりも高い物質を配置してもよい。例えば、第1端子板41の内面にニオブやタングステン等を成膜してもよいし、ニオブやタングステン等が内面に配置されたクラッド材を第1端子板41に用いてもよい。また、第1端子板41の内面をフッ化物等で被覆してもよい。
負極端子5は、ニッケルにより形成されたプレート材、または銅により形成されたプレート材の表面にニッケルが成膜されたものである。負極端子5を形成するプレート材の厚さは、正極端子4の第1端子板41と同等に設定されている。負極端子5は、平面視で第2貫通孔24と同心の円形状に形成されている。負極端子5は、第2貫通孔24よりも大径に形成されている。負極端子5は、第2貫通孔24を塞ぐように配置され、シーラントフィルム30に熱融着されている。負極端子5とシーラントフィルム30との融着領域の一部は、シーラントフィルム30と第2底壁部18との融着領域の一部に重なっている。負極端子5は、正極端子4および第2周壁部19に対してシーラントフィルム30の厚みよりも広い間隔をあけて配置されている。
正極端子4は、第1貫通孔23および第1シール孔31を通じて外装体3の外側に露出している。負極端子5は、第2貫通孔24および第2シール孔32を通じて外装体3の外側に露出している。第1貫通孔23および第2貫通孔24は、外装体3の外面における同一面(第2底壁部18の外面)に開口しているので、正極端子4および負極端子5は外装体3の外面における同一面に露出している。換言すると、正極端子4および負極端子5は、電極構造体2に対して同じ側に配置されている。ここで、第1シール孔31および第2シール孔32は、互いに異なる内径を有する。このため、正極端子4および負極端子5は、外装体3の外側から見て互いに異なる形状に形成されている。具体的に、第1シール孔31は第2シール孔32よりも大径に形成されているので、正極端子4は外装体3の外側から見て負極端子5よりも面積が大きくなるように形成されている。
図3は、図2のIII部の拡大図である。
図3に示すように、正極端子4と負極端子5との間には、シーラントフィルム30の膨出部33が設けられている。膨出部33は、シーラントフィルム30の内面に形成され、正極端子4の第1端子板41の外縁と負極端子5の外縁との間に膨出している。膨出部33は、少なくとも正極端子4と負極端子5との間隔が最小となる箇所に設けられている。
図4は、第1実施形態の電極構造体の斜視図である。
図4に示すように、電極構造体2は、正極体51および負極体52がセパレータ53を挟んで積層されたものである。なお、電極構造体2は、帯状の正極体51および負極体52を重ねて扁平に捲回した捲回型であってもよいし、シート状の複数の正極体51および負極体52を交互に積層した積層型であってもよい。電極構造体2は、外装体3の形状に合わせて、平面視円形状に形成されている。
正極体51は、金属材料により形成された正極集電箔と、正極活物質を含み正極集電箔に担持された正極と、を備えた1枚のシート状の部材である。正極集電箔は、例えばアルミニウムやステンレス鋼等の金属箔により形成されている。正極は、正極活物質の他に、導電助剤や結着剤等を含み、正極集電箔の表面に塗工または物理的手法により配置されている。正極活物質は、例えば、コバルト酸リチウムやチタン酸リチウム、マンガン酸リチウム等のように、リチウムと遷移金属とを含む複合酸化物である。
正極集電箔の表面に正極を配置する方法としては、塗工の場合、正極活物質と導電助剤と結着剤とを含むスラリーを用いたスラリー塗工のほか、インクジェット法、グラビア印刷、スクリーン印刷等を採用することができる。また、物理的手法の場合、レーザーアブレーションやRFスパッタ法、真空蒸着、ショットピーニング等により正極集電箔の表面に成膜することができる。
負極体52は、金属材料により形成された負極集電箔と、負極活物質を含み負極集電箔に担持された負極と、を備えた1枚のシート状の部材である。負極集電箔は、例えば銅やステンレス鋼等の金属箔により形成されている。負極は、負極活物質の他に、導電助剤や結着剤、増粘剤等を含み、正極と同様の手法により、負極集電箔の表面に塗工または物理的手法により配置されている。負極活物質は、例えば、珪素やシリコン酸化物、グラファイト、ハードカーボン、チタン酸リチウム等であり、単独または混合物で用いられる。
セパレータ53は、リチウムイオンを通す特性を有する部材である。セパレータ53は、例えばポリオレフィン製の樹脂ポーラスフィルムやガラス製不織布、樹脂製不織布、セルロース繊維の積層体等により形成されている。
正極リード6は、正極体51の正極集電箔からタブ状に延びる延長部である。また、正極リード6は、タブ状に形成された部材を正極体51の正極集電箔に接合することにより形成され、正極に電気的に接続していてもよい。正極リード6は、電極構造体2から延出している。
負極リード7は、負極体52の負極集電箔からタブ状に延びる延長部である。また、負極リード7は、タブ状に形成された部材を負極体52の負極集電箔に接合することにより形成され、負極に電気的に接続していてもよい。負極リード7は、電極構造体2から延出している。
図2に示すように、正極リード6および負極リード7は、互いに接触しないように配置されている。正極リード6および負極リード7は、それぞれ電極構造体2と第2容器17の第2底壁部18との間で電極構造体2の外面に沿うように配置されている。正極リード6は、先端部において正極端子4の内面に接合されている。これにより、正極リード6は、正極と正極端子4とを電気的に接続している。負極リード7は、先端部において負極端子5の内面に接合されている。これにより、負極リード7は、負極と負極端子5とを電気的に接続している。なお、正極リード6および負極リード7は、それぞれ電極構造体2と第2容器17の第2底壁部18との間で折り返されていてもよい。
以上に説明したように、本実施形態の電池1は、外装体3の収容部10の外面に露出した正極端子4と、収容部10の外面のうち正極端子4と同一面に露出した負極端子5と、を備える。この構成では、正極端子4および負極端子5がそれぞれ収容部10の外面の同一面に露出しているので、正極端子4および負極端子5が電極構造体2に対して同じ側で並んで配置される。仮に正極端子および負極端子が電極構造体に対して互いに反対側に配置された場合、電極構造体は正極端子および負極端子に挟まれた状態で配置される。これに対して正極端子4および負極端子5が電極構造体2に対して同じ側で並んで配置された場合には、電極構造体2は外装体3と正極端子4および負極端子5とに挟まれた状態で配置される。このため、上記構成によれば、正極端子および負極端子が電極構造体に対して互いに反対側に配置される構成と比較して、キャビティCにおける電極構造体2の配置スペースを少なくとも正極端子4または負極端子5の1層分大きくすることができる。したがって、電極構造体2の配置スペースの拡大が図られた電池1とすることができる。
特に本実施形態では、電極構造体2が捲回型または積層型とされている。捲回型の電極構造体の場合、正極端子または負極端子を避けるように一部だけ層数を少なくして薄く形成することは困難である。積層型の電極構造体も同様である。すなわち、キャビティに正極端子および負極端子が配置される場合には、電極構造体の全体の層数を減らすことで、キャビティの寸法に対して電極構造体を薄くする必要がある。よって、捲回型または積層型の電極構造体2に対して正極端子4および負極端子5が同じ側で並んで配置されることで、上述した効果をより顕著に得ることができる。
また、本実施形態では、正極端子4および負極端子5が外装体3の収容部10の同一面に露出しているので、電池1が搭載される機器も正極端子4および負極端子5との接続部材を電池1に対する同じ側に配置できる。よって、正極端子および負極端子が収容部の互いに異なる面に露出している構成と比較して、電池1が搭載される機器の体積効率を向上させることができる。
また、電池1の生産時や評価時等には、正極端子4および負極端子5にプローブを接触させる場合がある。本実施形態では、正極端子4および負極端子5が外装体3の収容部10の同一面に露出しているので、正極端子4および負極端子5の両方にプローブを同時に接触させる作業を容易に行うことができる。よって、作業性に優れた電池1とすることができる。
また、本実施形態では、外装体3は、収容部10の外周面に沿って延びる封止部11を備える。これにより、封止部が収容部の外周面に沿って延びていない構成、すなわち封止部の全体が収容部の外周面から張り出す構成と比較して、外装体3の寸法を小さくすることができる。よって、電極構造体2に対する外装体3の外形寸法の比率を小さくできるので、体積エネルギー密度の向上が図られた小型の電池1が得られる。
また、正極端子4および負極端子5は、外装体3の外側から見て互いに異なる形状に形成されている。この構成によれば、正極端子4および負極端子5の識別を容易にすることができる。これにより、正極端子4および負極端子5の少なくともいずれか一方にリード線やコンタクト、プローブ等を接触させる場合等の誤接触を抑制できる。
また、正極端子4の外面の一部は、ニッケルにより形成されている。この構成によれば、正極端子4の外面にコンタクトやプローブ等を接触させて電気的に接続させる場合に、ステンレス鋼の正極端子に直接接触する構成と比較して、正極端子4とコンタクトやプローブ等との接触抵抗の低減を図ることができる。
また、正極端子4は、外装体3の外側から見て負極端子5よりも面積が大きくなるように形成されている。この構成によれば、正極端子が外装体の外側から見て負極端子よりも面積が小さくなるように形成された構成と比較して、第2端子板42を配置する領域を大きく確保することができる。よって、リード線等の接合可能範囲が大きく確保されるので、正極端子4にリード線等を接合する場合の作業性の向上を図ることができる。
また、シーラントフィルム30は、正極端子4と負極端子5との間に膨出した膨出部33を有する。この構成によれば、膨出部33によって正極端子4と負極端子5との接触を抑制できる。したがって、電池1の不良率を低下させることができる。
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態の電池の斜視図である。図6は、第2実施形態の電池の断面図である。
図5および図6に示す第2実施形態では、正極端子4Aおよび負極端子5Aのそれぞれの外面が凸部を備える点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図5および図6に示すように、電池1Aは、第1実施形態の外装体3、正極端子4および負極端子5に代えて、外装体3A、正極端子4Aおよび負極端子5Aを備える。
外装体3Aの第2容器17Aは、第1実施形態のフランジ部20および囲繞部21に代えて、囲繞部21Aを備える。囲繞部21Aは、第2周壁部19のうち、第1底壁部14側の端部から第2周壁部19に沿って筒状に延びている。囲繞部21Aは、第2周壁部19に対して外側に間隔をおいて配置されている。囲繞部21Aは、第1周壁部15の内側に配置されている。囲繞部21Aの融着層と第1周壁部15の融着層とが熱融着されている。囲繞部21Aの融着層と第1周壁部15の融着層とが熱融着されることにより、封止部11が形成される。これにより、封止部11は、収容部10の外側に筒状に形成され、かつ、収容部10の外周面の端部から収容部10の外周面に沿って延びている。この場合、封止部11は、例えば絞り成形によって、収容部10の外周面に沿って折り曲げられている。
図6に示すように、正極端子4Aは、アルミニウムまたはステンレス鋼により形成されたプレート材の表面の一部にニッケルが配置されたものである。正極端子4Aは、平面視で第1貫通孔23と同心の円形状に形成されている。正極端子4Aは、第1貫通孔23よりも大径に形成されている。正極端子4Aは、第1貫通孔23を塞ぐように配置され、シーラントフィルム30に熱融着されている。
プレート材の表面の一部にニッケルを配置する方法としては、蒸着やスパッタリング、ニッケルめっき等による成膜のほか、アルミニウムまたはステンレス鋼とニッケルとのクラッド材を用いる方法を挙げることができる。
プレート材の表面にニッケルを配置する場合、キャビティC内にニッケルが露出し電解液と接触しないよう、ニッケルは正極端子4Aの外面のうち外縁全体よりも内側の領域のみに配置されていることが望ましい。例えば、ニッケルは、正極端子4Aの外面のうちシーラントフィルム30との熱融着面よりも内側のみに配置されている。
正極端子4Aの外面は、外装体3Aの外側に向けて突出した正極端子凸部43を備える。正極端子凸部43は、正極端子4Aの中央部であって、第1貫通孔23および第1シール孔31の内側に形成されている。正極端子凸部43は、平面視で第1貫通孔23と同心の円形状に形成されている。例えば、正極端子凸部43は、第1シール孔31の内径と同径に形成されている。正極端子凸部43は、頂部43aと、外周面43bと、を備える。頂部43aは、第1貫通孔23の中心で平坦に形成されている。具体的に、頂部43aは、平面視で第1貫通孔23と同心の円形状に形成され、第1貫通孔23の中心軸の垂直面となっている。頂部43aは、第2底壁部18の外面と面一になっている。外周面43bは、頂部43aの外周縁からキャビティC側に延びている。なお、上述したプレート材の表面のニッケルは、正極端子凸部43の頂部43aの少なくとも一部のみに配置されていてもよい。
図7は、図6のVII部の拡大図である。
図7に示すように、外周面43bは、頂部43a側の端部に設けられた凸曲面の先端部43cと、頂部43aとは反対側の端部に設けられた凹曲面の基端部43dと、を備える。基端部43dは、先端部43cよりも大きい曲率で湾曲している。なお、先端部43cおよび基端部43dは、互いに直接連なっていてもよいし、間隔をあけて設けられていてもよい。
図6に示すように、正極端子4Aの内面は、正極端子凸部43の裏側に正極端子凹部44を有する。正極端子凹部44は、正極端子4Aの中央部であって、外装体3Aの外側に向けて窪んでいる。例えば、正極端子凹部44は、正極端子凸部43とともにプレス加工によって形成される。正極端子凹部44の内側には、正極リード6の先端部が配置され、接合されている。
負極端子5Aは、ニッケルにより形成されたプレート材、または、銅もしくはステンレス鋼により形成されたプレート材の表面の一部にニッケルが配置されたものである。プレート材の表面の一部にニッケルを配置する方法としては、蒸着やスパッタリング、ニッケルめっき等による成膜のほか、銅またはステンレス鋼とニッケルとのクラッド材を用いる方法を挙げることができる。負極端子5Aは、平面視で第2貫通孔24と同心の円形状に形成されている。負極端子5Aは、第2貫通孔24よりも大径に形成されている。負極端子5Aは、第2貫通孔24を塞ぐように配置され、シーラントフィルム30に熱融着されている。
負極端子5Aの外面は、外装体3Aの外側に向けて突出した負極端子凸部45を備える。負極端子凸部45は、負極端子5の中央部であって、第2貫通孔24および第2シール孔32の内側に形成されている。負極端子凸部45は、平面視で第2貫通孔24と同心の円形状に形成されている。例えば、負極端子凸部45は、第2シール孔32の内径と同径に形成されている。負極端子凸部45は、正極端子凸部43よりも小径に形成されている。
負極端子凸部45は、頂部45aと、外周面45bと、を備える。頂部45aは、第2貫通孔24の中心で平坦に形成されている。具体的に、頂部45aは、平面視で第2貫通孔24と同心の円形状に形成され、第2貫通孔24の中心軸の垂直面となっている。頂部45aは、第2底壁部18の外面と面一になっている。外周面45bは、頂部45aの外周縁からキャビティC側に延びている。外周面45bは、頂部45a側の端部に設けられた凸曲面の先端部45cと、頂部45aとは反対側の端部に設けられた凹曲面の基端部45dと、を備える。基端部45dは、先端部45cよりも大きい曲率で湾曲している。なお、先端部45cおよび基端部45dは、互いに直接連なっていてもよいし、間隔をあけて設けられていてもよい。
負極端子5Aの内面は、負極端子凸部45の裏側に負極端子凹部46を有する。負極端子凹部46は、負極端子5Aの中央部であって、外装体3Aの外側に向けて窪んでいる。例えば、負極端子凹部46は、負極端子凸部45とともにプレス加工によって形成される。負極端子凹部46の内側には、負極リード7の先端部が配置され、接合されている。
正極端子4Aおよび負極端子5Aは、第1シール孔31および第2シール孔32それぞれの内径が互いに異なることに加え、正極端子凸部43および負極端子凸部45の寸法も異なるので、外装体3Aの外側から見て互いに異なる形状に形成されている。
本実施形態の電池1Aは、上述した第1実施形態の電池1と同様の作用効果に加えて以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、正極端子4Aの外面が外装体3Aの外側に向けて突出した正極端子凸部43を有し、負極端子5Aの外面が外装体3Aの外側に向けて突出した負極端子凸部45を有する。この構成によれば、正極端子4Aの外面を外装体3Aの外側に近付けることができる。これにより、正極端子凸部43にリード線等を接続させる場合や、正極端子凸部43にコンタクトやプローブ等を接触させる場合等の作業性の向上を図ることができる。負極端子凸部45についても同様である。
また、電池1Aの製造工程において正極端子凸部43を第1貫通孔23に挿入することで、正極端子4Aの位置決めを行うことができる。負極端子凸部45についても同様である。したがって、電池1Aの製造時の作業性の向上を図ることができる。
さらに、第1貫通孔23の端面に正極端子4Aの外面を対向させ、第2貫通孔24の端面に負極端子5Aの外面を対向させることができる。これにより、ラミネートフィルムの金属層が第1貫通孔23および第2貫通孔24の端面で露出している場合に、上述したリード線やコンタクト、プローブ等がラミネートフィルムの金属層に接触することを抑制できる。例えば、リチウムイオン二次電池では、ラミネートフィルムの内側面を形成する樹脂層に微小な亀裂や欠損等が存在してラミネートフィルムの金属層のアルミが電解液に接触した状態で、金属層のアルミと負極とが同電位になると金属層の腐食が生じるおそれがある。よって、上記構成によりリード線やコンタクト、プローブ等がラミネートフィルムの金属層に接触することを抑制することで、ラミネートフィルムの金属層と電極構造体2とが同電位になることを抑制できる。したがって、ラミネートフィルムの金属層の腐食等を抑制して電池1Aの信頼性を向上させることができる。
また、正極端子凸部43は第1貫通孔23の中心で平坦に形成された頂部43aを有し、負極端子凸部45は第2貫通孔24の中心で平坦に形成された頂部45aを有する。この構成によれば、正極端子凸部43の頂部43aをリード線等の被接合部とする場合に、例えば頂部が凸曲面状に形成された構成と比較して、接合作業の際にリード線を正極端子凸部43上に安定して配置することができる。負極端子凸部45についても同様である。よって、正極端子凸部43および負極端子凸部45にリード線等を接合する場合の作業性の向上を図ることができる。
また、正極端子凸部43の外周面43bは、頂部43a側の端部に設けられた凸曲面の先端部43cと、頂部43aとは反対側の端部に設けられ、先端部43cよりも大きい曲率で湾曲した凹曲面の基端部43dと、を備える。この構成では、正極端子凸部の外周面の先端部が基端部よりも大きい曲率で湾曲した構成と比較して、正極端子凸部43が基端において急激に立ち上がるとともに先端において緩やかに先細る。これにより、電池1Aの製造工程において正極端子凸部43を第1貫通孔23に挿入する際に正極端子凸部43を第1貫通孔23に案内させやすくなる。また、外周面43bが第1貫通孔23の端面に近付くので、第1貫通孔23に対する正極端子凸部43の位置決めをしやすくなる。負極端子凸部45の外周面45bについても同様である。したがって、電池1Aの製造時の作業性の向上を図ることができる。
また、正極端子凸部43の頂部43a、および負極端子凸部45の頂部45aは、収容部10の外面と面一に設けられている。この構成によれば、正極端子4Aおよび負極端子5Aが外装体3Aから突出しないので、電池1Aの大型化を抑制できる。また、電池の外形寸法を所定の寸法に形成するために、正極端子および負極端子が突出する分、外装体を小さく形成しなければならないことを回避できる。よって、電極構造体2の小型化による電池1Aの容量の低下を抑制できる。
また、正極端子4Aの内面は、正極端子凸部43の裏側に正極端子凹部44を有し、正極リード6の先端部が正極端子凹部44の内側に配置されている。この構成によれば、正極リード6が正極端子凹部44の内側に配置される分、キャビティCにおける電極構造体2の配置スペースを大きくすることができる。負極端子凹部46についても同様である。したがって、電極構造体2の配置スペースの更なる拡大を図ることができる。
なお、本実施形態では、正極端子凸部43の頂部43aは、平面視で第1貫通孔23と同心の円形状に形成されている。しかしながらこれに限定されず、頂部は、第1貫通孔23の中心で平坦に形成されていればよく、第1貫通孔23の中心軸に交差するように設けられていればよい。
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態の電池の斜視図である。図9は、第3実施形態の電池の断面図である。
図5および図6に示す第2実施形態では、正極端子凸部43の頂部43aが平面視円形状に形成されている。これに対して図8および図9に示す第3実施形態では、正極端子凸部47の頂部47aが平面視円環状に形成されている点で、第2実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第2実施形態と同様である。
図8および図9に示すように、電池1Bは、第2実施形態の正極端子4Aに代えて、正極端子4Bを備える。正極端子4Bの外面は、外装体3Aの外側に向けて突出した正極端子凸部47を備える。
正極端子凸部47は、第1貫通孔23および第1シール孔31の内側に形成されている。正極端子凸部47は、平面視で第1貫通孔23と同心の円環状に形成されている。正極端子凸部47の外径は、第1シール孔31の内径と等しい。正極端子凸部47は、頂部47aと、外周面47bと、内周面47eと、を備える。頂部47aは、第1貫通孔23の中心軸の垂直面に沿って、平面視で第1貫通孔23と同心の円周状に延びている。頂部47aは、第2底壁部18の外面と面一になっている。外周面47bは、頂部47aの外周縁からキャビティC側に延びている。外周面47bは、第2実施形態の外周面43bと同様に形成され、先端部43cおよび基端部43dを備えている。内周面47eは、頂部47aの内周縁からキャビティC側に延びている。このように正極端子凸部47が円環状に形成されることで、正極端子4Bの外面は、中央部分がキャビティC側に窪んだ形状を有する。正極端子4Bの外面において、正極端子凸部47よりも内側部分および外側部分は、互いに面一に形成されていてもよいし、互いに異なる高さに形成されていてもよい。
本実施形態の電池1Bは、上述した第2実施形態の電池1Aと同様の作用効果に加えて以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、正極端子凸部47は環状に形成された頂部47aを有する。この構成によれば、正極端子4Bの外面が正極端子凸部47の内側で窪んだ形状に形成されるので、正極端子4Bにプローブを接触させる場合に、プローブを正極端子凸部47の内側に接触させることで正極端子凸部47によってプローブの位置ずれを抑制できる。したがって、正極端子4Bにプローブを接触させる場合の作業性の向上を図ることができる。
なお、本実施形態では、正極端子凸部47のみが平面視円環状に形成されているが、負極端子凸部も正極端子凸部47と同様に平面視円環状に形成されていてもよい。これにより、負極端子にプローブを接触させる場合の作業性の向上を図ることができる。
[第4実施形態]
図10は、第4実施形態の電池の斜視図である。
図1に示す第1実施形態では、電池1が平面視円形状に形成されている。これに対して図10に示す第4実施形態では、電池1Cが平面視長円形状に形成されている点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図10に示すように、電池1Cは、平面視で直線部と半円部とが組み合わさった長円形状に形成されている。この場合、外装体3Cの第1容器13Cの底壁部(不図示)、および第2容器17Cの底壁部18Cは長円形状に形成されている。第2容器17Cの底壁部18Cには、第1貫通孔23および第2貫通孔24が形成されている。電極構造体(不図示)は、外装体3Cの形状に合わせて平面視長円形状に形成されている。
第1貫通孔23および第2貫通孔24は、底壁部18Cの外面における長軸上で、底壁部18Cの中心を挟んで互いに反対側に形成されている。これにより、正極端子4および負極端子5は、底壁部18Cの外面における長軸上で、底壁部18Cの中心を挟んで互いに反対側で露出している。これにより、正極端子4と負極端子5との接触を抑制しつつ、正極端子4および負極端子5を大きく形成することができる。
以上に説明したように、本実施形態の電池1Cは、外装体3Cおよび電極構造体の形状を除き、第1実施形態の電池1と同様に形成されているので、上述した第1実施形態の電池1と同様の作用効果を奏する。
[第5実施形態]
図11は、第5実施形態の電池の斜視図である。
図1に示す第1実施形態では、電池1が平面視円形状に形成されている。これに対して図11に示す第5実施形態では、電池1Dが平面視で四角形状に形成されている点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
図11に示すように、電池1Dは、平面視で四角形状(図示の例では正方形状)に形成されている。この場合、外装体3Dの第1容器13Dの底壁部(不図示)、および第2容器17Dの底壁部18Dは四角形状に形成されている。底壁部18Dには、第1貫通孔23および第2貫通孔24が形成されている。電極構造体(不図示)は、外装体3Dの形状に合わせて平面視四角形状に形成されている。なお、電池1Dの平面視形状は、菱形状や長方形状等、正方形状以外の四角形状であってもよい。
第1貫通孔23および第2貫通孔24は、底壁部18Dの外面における対角線上で、底壁部18Dの中心を挟んで互いに反対側に形成されている。これにより、正極端子4および負極端子5は、底壁部18Dの外面における対角線上で、底壁部18Dの中心を挟んで互いに反対側で露出している。これにより、正極端子4と負極端子5との接触を抑制しつつ、正極端子4および負極端子5を大きく形成することができる。
以上に説明したように、本実施形態の電池1Dは、外装体3Dおよび電極構造体の形状を除き、第1実施形態の電池1と同様に形成されているので、上述した第1実施形態の電池1と同様の作用効果を奏する。
[第6実施形態]
図12は、第6実施形態の電池の断面図である。
図5および図6に示す第2実施形態では、外装体3Aの封止部11が収容部10の外周面の端部から延びている。これに対して図12に示す第6実施形態では、外装体3Eの封止部11Eは、収容部10Eの外周面の中間部から延びている点で、第2実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第2実施形態と同様である。
図12に示すように、外装体3Eは、電極構造体2を間に挟む第1容器13Eおよび第2容器17Eを備える。第1容器13Eは、円形状の第1底壁部14Eと、第1底壁部14Eの外周縁から筒状に延びる第1周壁部15Eと、第1周壁部15Eのうち、第1底壁部14Eとは反対側の端部から第1底壁部14Eとは反対側に筒状に延びる第1囲繞部16Eと、を備える。第1囲繞部16Eは、第1周壁部15Eよりも拡径して延びている。
第2容器17Eは、円形状の第2底壁部18Eと、第2底壁部18Eの外周縁から筒状に延びる第2周壁部19Eと、第2周壁部19Eのうち、第1底壁部14E側の端部から第2周壁部19Eに沿って筒状に延びる第2囲繞部21Eと、を備える。第2底壁部18Eは、第1底壁部14Eと略同径に形成されている。第2底壁部18Eには、第1貫通孔23および第2貫通孔24が形成されている。第2周壁部19Eは、第1周壁部15Eと略同径に形成されている。第2囲繞部21Eは、第2周壁部19Eに対して外側に間隔をおいて配置されている。第2囲繞部21Eは、第1囲繞部16Eの内側に配置されている。
第1囲繞部16Eの融着層と第2囲繞部21Eの融着層とが熱融着されている。第1囲繞部16Eの融着層と第2囲繞部21Eの融着層とが熱融着されることにより、封止部11Eが形成される。これにより、封止部11Eは、収容部10Eの外側に筒状に形成され、かつ、収容部10Eの外周面の中間部から収容部10Eの外周面に沿って延びている。この場合、封止部11Eは、例えば絞り成形によって、収容部10Eの外周面に沿って折り曲げられている。収容部10Eは、第1底壁部14E、第1周壁部15E、第2底壁部18E、および第2周壁部19Eにより画成されている。
以上に説明したように、本実施形態の電池1Eは、外装体3Eの形状を除き、第2実施形態の電池1Aと同様に形成されているので、上述した第2実施形態の電池1Aと同様の作用効果を奏する。
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、電気化学セルの一例として、非水電解質二次電池を例に挙げて説明したが、この場合に限定されず、電気二重層キャパシタや一次電池等に上述した構成を適用してもよい。
また、上記各実施形態では、正極端子および負極端子は、第2容器の底壁部の外面に露出している。しかしながらこれに限定されず、正極端子および負極端子は、例えば第1容器の底壁部の外面に露出するように設けられていてもよい。なお、正極端子および負極端子は、外装体の形状によらず、収容部の外面に含まれる平坦面のうち、最も面積が広い平坦面、その平坦面とは反対側に向く平坦面、または封止部に対向していない平坦面に露出していることが望ましい。
また、電池は、上述した正極端子および負極端子に加えて、第3の端子を備えていてもよい。例えば、第3の端子は、ドーピング電極に電気的に接続した端子である。ドーピング電極は、負極にリチウムイオン等のイオンをドーピングするための電極であって、電池の製造過程で使用されるものである。このような第3の端子を備える電池であっても、第3の端子を正極端子および負極端子と同一面で露出させることで、上述した作用効果を奏することができる。
また、上記実施形態では、正極端子および負極端子がシーラントフィルム30を介して外装体の収容部の内面に接合されている。しかしながらこれに限定されず、正極端子および負極端子の少なくともいずれか一方は、収容部の内面に直接接合されていてもよい。
また、上記実施形態では、外装体の第1容器および第2容器の両方がラミネートフィルムにより形成されている。しかしながらこれに限定されず、第1容器および第2容器の一方が、ステンレス鋼やアルミニウム等からなる金属缶により形成されていてもよい。この場合、第1貫通孔および第2貫通孔は、ラミネートフィルムに形成されていてもよいし、金属缶に形成されていてもよい。またその際、金属缶の内面は、コーティング等により樹脂製の被膜が形成されている構成や、樹脂製のテープが貼り付けられている構成により絶縁されていてもよい。被膜を形成する樹脂としては、エポキシ樹脂や尿素樹脂、フッ素樹脂等を用いることができる。フッ素樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やフッ化ビニリデン6フッ化プロピレン共重合体(PVDF-HFP)等が挙げられる。また、テープを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂等を挙げることができる。このうち、耐熱性に優れたPIまたはPTFEを用いることが好ましい。
また、上記実施形態では、電極構造体2が捲回型または積層型とされているが、これに限定されない。電極構造体は、ペレット状に成型された正極および負極を有するものであってもよい。ペレット状の正極及び負極としては、上記実施形態で挙げた材料のほか、負極として、金属リチウムやリチウム-アルミニウム合金を用いることができる。
また、上記実施形態では、第1貫通孔23および第2貫通孔24が第2容器の底壁部の中心を挟んで互いに反対側に形成されている。これにより、正極端子および負極端子が第2容器の底壁部の外面で、その中心を挟んで互いに反対側で露出している。しかしながら正極端子および負極端子の位置はこれに限定されない。正極端子および負極端子の一方が第2容器の底壁部の外面の中心に露出していてもよい。この構成によれば、正極端子および負極端子をそれぞれの位置で識別することができる。よって、正極端子および負極端子の少なくともいずれか一方にリード線やコンタクト、プローブ等を接触させる場合等の誤接触を抑制できる。
また、上記実施形態では、正極端子が外装体の外側から見て負極端子よりも面積が大きく形成されている。しかしながらこれに限定されず、負極端子が外装体の外側から見て正極端子よりも面積が大きく形成されていてもよい。この構成によれば、負極端子が外装体の外側から見て正極端子よりも面積が小さくなるように形成された構成と比較して、負極端子の外面の中心を貫通孔の端面から遠ざけることができる。これにより、ラミネートフィルムの金属層が貫通孔の端面で露出している場合に、負極端子の外面に接触するリード線やコンタクト、プローブ等がラミネートフィルムの金属層に接触することを抑制できる。よって、ラミネートフィルムの金属層と負極とが同電位になることを抑制できる。したがって、ラミネートフィルムの金属層の腐食等を抑制して電気化学セルの信頼性を向上させることができる。
また、上記実施形態では、正極端子および負極端子は外装体の外側から見てそれぞれ円形状に形成されている。すなわち、第1貫通孔および第2貫通孔、並びに第1シール孔および第2シール孔は、それぞれ円形状に形成されているが、例えば四角形状に形成されていてもよい。また、正極端子凸部および負極端子凸部の平面視形状は、円形状以外の形状、例えば四角形状に形成されていてもよい。
また、外装体の形状は、上記実施形態の外装体の形状に限定されず、例えば平面視三角形状に形成されていてもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各実施形態を適宜組み合わせてもよい。