本発明は、LDHA遺伝子のRNA転写物のRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)媒介性切断をもたらすiRNA組成物を提供する。LDHA遺伝子は、細胞、例えば、ヒトなどの対象中の細胞内にあり得る。本発明は、LDHA遺伝子の発現を阻害するため、及びLDHA遺伝子の発現を阻害するか又は低下させることから利益を得られ得る対象、例えば、尿中オキサレート産生の低下又は阻害から利益を得られ得る対象、例えば、オキサレート経路に関連する疾病、障害、又は病態に罹患しているか又は罹患しやすい対象、例えば、オキサレートに関連する疾病、障害、若しくは病態、例えば、腎臓結石形成疾病、障害、若しくは病態又はシュウ酸カルシウム組織沈着疾病、障害、若しくは病態;又はLDHに関連する疾病、障害、若しくは病態に罹患しているか又は罹患しやすい対象を処置するために、本発明のiRNA組成物を使用する方法も提供する。
本発明は、LDHA遺伝子及びHAO1遺伝子の発現を阻害するか又は低下させることから利益を得られ得る対象、例えば、尿中オキサレート産生の低下又は阻害から利益を得られ得る対象、例えば、オキサレート経路に関連する疾病、障害、又は病態に罹患しているか又は罹患しやすい対象、例えば、オキサレートに関連する疾病、障害、若しくは病態、例えば、腎臓結石形成疾病、障害、若しくは病態又はシュウ酸カルシウム組織沈着疾病、障害、若しくは病態;又はLDHに関連する疾病、障害、若しくは病態に罹患しているか又は罹患しやすい対象を処置するために、LDHA遺伝子及びHAO1遺伝子の発現を阻害するために、本発明のiRNA組成物を使用する方法も提供する。
LDHAを標的とする本発明のiRNAは、約30ヌクレオチド長以下、例えば、15~30、15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、又は21~22ヌクレオチド長である領域を有するRNA鎖(アンチセンス鎖)を含んでいてもよく、この領域は、LDHA遺伝子のmRNA転写物の少なくとも一部に実質的に相補的である。
HAO1を標的とする本発明のiRNAは、約30ヌクレオチド長以下、例えば、15~30、15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、又は21~22ヌクレオチド長である領域を有するRNA鎖(アンチセンス鎖)を含んでいてもよく、この領域は、HAO1遺伝子のmRNA転写物の少なくとも一部に実質的に相補的である。
RNAi剤が、本明細書に記載されるように二重標的化RNAi剤である場合、LDHAを標的とする剤は、HAO1を標的とする剤のアンチセンス鎖の相補性の領域と同じ長さ又は異なる長さである、LDHAに対して相補性の領域を含むアンチセンス鎖を含み得る。
ある実施形態において、本発明の二本鎖RNAi剤の鎖の一方又は両方は、LDHA遺伝子のmRNA転写物の少なくとも一部に実質的に相補的な少なくとも19連続ヌクレオチドの領域を有し、最大で66ヌクレオチド長、例えば、36~66、26~36、25~36、31~60、22~43、27~53ヌクレオチド長である。ある実施形態において、より長い長さのアンチセンス鎖を有するこのようなiRNA剤は、20~60ヌクレオチド長の第2のRNA鎖(センス鎖)を含んでいてもよく、ここで、センス及びアンチセンス鎖は、18~30連続ヌクレオチドの二本鎖を形成する。
他の実施形態において、本発明の二本鎖RNAi剤の鎖の一方又は両方は、HAO1遺伝子のmRNA転写物の少なくとも一部に実質的に相補的な少なくとも19連続ヌクレオチドの領域を有し、最大で66ヌクレオチド長、例えば、36~66、26~36、25~36、31~60、22~43、27~53ヌクレオチド長である。ある実施形態において、より長い長さのアンチセンス鎖を有するこのようなiRNA剤は、20~60ヌクレオチド長の第2のRNA鎖(センス鎖)を含んでいてもよく、ここで、センス及びアンチセンス鎖は、18~30連続ヌクレオチドの二本鎖を形成する。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される実施形態において、第1の剤及び第2の剤の二本鎖長さは、同じか又は異なり得る。
本明細書に記載されるこれらのiRNA剤の使用は、哺乳動物におけるLDHA遺伝子のmRNAの標的化された分解又は哺乳動物におけるLDHA遺伝子及びHAO1遺伝子の標的化された分解を可能にする。
iRNAの非常に低い投与量は、特に、RNA干渉(RNAi)を特異的且つ効率的に媒介して、LDHA遺伝子又はLDHA遺伝子及びHAO1遺伝子の発現のかなりの阻害をもたらし得る。細胞ベース及びインビボでのアッセイを用いて、本発明者らは、LDHAを標的とするiRNAが、RNAiを媒介して、LDHA遺伝子の発現のかなりの阻害及びオキサレート産生のかなりの阻害をもたらし得ることを実証した。したがって、これらのiRNAを含む方法及び組成物は、LDHA発現又はLDHA発現及びHAO1発現の低下又は阻害によって利益を得られ得る対象、例えば、オキサレート経路に関連する疾病、障害又は病態に罹患しているか又は罹患しやすい対象を処置するのに有用である。
以下の詳細な説明は、LDHA遺伝子、HAO1遺伝子、並びにLDHA遺伝子及びHAO1遺伝子の両方の発現を阻害するために、iRNAを含有する組成物を作製及び使用する方法、並びにこれらの遺伝子の発現の阻害及び/又は低下から利益を得られ得る疾病及び障害に罹患している対象を処置するための組成物及び方法を開示する。
I.定義
本発明がより容易に理解され得るように、いくつかの用語がまず定義される。更に、変数の値又は値の範囲が記載されるときは常に、記載される値の中間の値及び範囲も、本発明の一部であることが意図されることに留意されたい。
冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、その冠詞の文法的目的語の1つ又は2つ以上(即ち、少なくとも1つ)を指すために本明細書において使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素又は2つ以上の要素、例えば、複数の要素を意味する。
「~を含む(including)」という用語は、「~を含むがこれらに限定されない(including but not limited to)」という語句を意味するために本明細書において使用され、この語句と同義的に使用される。「又は」という用語は、文脈上明らかに他の意味を示さない限り、「及び/又は」という用語を意味するために本明細書において使用され、この用語と同義的に使用される。
細胞増殖誘導遺伝子19タンパク質、腎臓癌抗原NY-REN-59、LDH筋肉サブユニット、EC 1.1.1.27 4 61、LDH-A、LDH-M、精巣上体分泌***結合タンパク質Li 133P、L-乳酸脱水素酵素A鎖、増殖誘導遺伝子19、乳酸脱水素酵素M、HEL-S-133P、EC 1.1.1、GSD11、PIG19、及びLDHMとしても知られている「LDHA」という用語(明細書において「Ldha」という用語と同義的に使用される)は、特に規定されない限り、限定はされないが、ヒト、ウシ、ニワトリ、げっ歯類、マウス、ラット、ブタ、ヒツジ、霊長類、サル、及びモルモットを含む任意の脊椎動物又は哺乳動物源に由来する乳酸脱水素酵素Aをコードする周知の遺伝子を指す。
この用語は、天然LDHAの少なくとも1つのインビボ又はインビトロ活性を維持する天然LDHAの断片及び変異体も指す。この用語は、LDHAの完全長非プロセシング前駆体形態並びにシグナルペプチドの翻訳後切断から得られる成熟形態及びタンパク質分解処理から得られる形態を包含する。
ヒトLDHA mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank登録番号GI:207028493(NM_001135239.1;配列番号1)、GenBank登録番号GI:260099722(NM_001165414.1;配列番号3)、GenBank登録番号GI:260099724(NM_001165415.1;配列番号5)、GenBank登録番号GI:260099726(NM_001165416.1;配列番号7)、GenBank登録番号GI:207028465(NM_005566.3;配列番号9)に見られ;マウスLDHA mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank登録番号GI:257743038(NM_001136069.2;配列番号11)、GenBank登録番号GI:257743036(NM_010699.2;配列番号13)に見られ;ラットLDHA mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank登録番号GI:8393705(NM_017025.1;配列番号15)に見られ;サルLDHA mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank登録番号GI:402766306(NM_001257735.2;配列番号17)、GenBank登録番号GI:545687102(NM_001283551.1;配列番号19)に見られる。
LDHA mRNA配列の更なる例は、公開されているデータベース、例えば、GenBank、UniProt、及びOMIMを用いて容易に利用可能である。
本明細書において使用される際の「LDHA」という用語は、LDHA遺伝子における一塩基ヌクレオチド多型などの、LDHA遺伝子の天然DNA配列変異によって細胞内で発現される特定のポリペプチドも指す。LDHA遺伝子内の多くのSNPは、同定されており、例えば、NCBI dbSNP(例えば、www.ncbi.nlm.nih.gov/snpを参照)に見られる。
本明細書において使用される際、「HAO1」という用語は、特に規定されない限り、限定はされないが、ヒト、ウシ、ニワトリ、げっ歯類、マウス、ラット、ブタ、ヒツジ、霊長類、サル、及びモルモットを含む任意の脊椎動物又は哺乳動物源に由来する酵素ヒドロキシ酸オキシダーゼ1をコードする周知の遺伝子を指す。他の遺伝子名としては、GO、GOX、GOX1、HAO、及びHAOX1が挙げられる。このタンパク質は、グリコール酸オキシダーゼ及び(S)-2-ヒドロキシ酸オキシダーゼとしても知られている。
この用語は、天然HAO1の少なくとも1つのインビボ又はインビトロ活性を維持する天然HAO1の断片及び変異体も指す。この用語は、HAO1の完全長非プロセシング前駆体形態並びにシグナルペプチドの翻訳後切断から得られる成熟形態及びタンパク質分解処理から得られる形態を包含する。ヒトHAO1 mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank登録番号GI:11184232(NM_017545.2;配列番号21)に見られ;サルHAO1 mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank登録番号GI:544464345(XM_005568381.1;配列番号23)に見られ;マウスHAO1 mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank登録番号GI:133893166(NM_010403.2;配列番号25)に見られ;ラットHAO1 mRNA転写物の配列は、例えば、GenBank登録番号GI:166157785(NM_001107780.2;配列番号27)に見られる。
本明細書において使用される際の「HAO1」という用語は、HAO1遺伝子における一塩基ヌクレオチド多型(SNP)などの、HAO1遺伝子の天然DNA配列変異も指す。例示的なSNPは、www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNPにおいて利用可能なNCBI dbSNP Short Genetic Variationsデータベースに見られる。
本明細書において使用される際、「標的配列」は、一次転写産物のRNAプロセシングの産物であるmRNAを含む、LDHA遺伝子又はHAO1遺伝子の転写の際に形成されるmRNA分子のヌクレオチド配列の連続する部分を指す。一実施形態において、配列の標的部分は少なくとも、LDHA遺伝子の転写の際に形成されるmRNA分子のヌクレオチド配列の該当部分で又はその近くでiRNA指向性切断のための基質としての役割を果たすのに十分な長さであろう。別の実施形態において、配列の標的部分は少なくとも、HAO1遺伝子の転写の際に形成されるmRNA分子のヌクレオチド配列の該当部分で又はその近くでiRNA指向性切断のための基質としての役割を果たすのに十分な長さであろう。
LDHA遺伝子の標的配列は、約9~36ヌクレオチド長、例えば、約15~30ヌクレオチド長であり得る。例えば、標的配列は、約15~30ヌクレオチド、15-29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24,20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、又は21~22ヌクレオチド長であり得る。上に記載される範囲及び長さの中間の範囲及び長さも、本発明の一部であると考えられる。
HAO1遺伝子の標的配列は、約9~36ヌクレオチド長、例えば、約15~30ヌクレオチド長であり得る。例えば、標的配列は、約15~30ヌクレオチド、15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、又は21~22ヌクレオチド長であり得る。上記の範囲及び長さの中間の範囲及び長さも、本発明の一部であるものと考えられる。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される態様において(即ち、二重標的化RNAi剤)、LDHA標的配列の長さは、HAO1標的配列と同じか又は異なり得る。
本明細書において使用される際、「配列を含む鎖」という用語は、標準的なヌクレオチドの命名法を用いて示される配列によって表されるヌクレオチドの鎖を含むオリゴヌクレオチドを指す。
「G」、「C」、「A」及び「U」はそれぞれ、一般に、それぞれ、塩基としてグアニン、シトシン、アデニン、及びウラシルを含むヌクレオチドを表す。しかしながら、「リボヌクレオチド」又は「ヌクレオチド」という用語は、以下に更に詳述されるように、修飾ヌクレオチド、又は代理置換部分(surrogate replacement moiety)も指し得ることが理解されよう(例えば表1を参照)。当業者は、グアニン、シトシン、アデニン、及びウラシルが、このような置換部分を有するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドの塩基対合特性をそれほど変化させずに他の部分によって置換されてもよいことを十分に認識している。例えば、限定はされないが、その塩基としてイノシンを含むヌクレオチドが、アデニン、シトシン、又はウラシルを含むヌクレオチドと塩基対合し得る。したがって、ウラシル、グアニン、又はアデニンを含むヌクレオチドは、本発明において特徴付けられるdsRNAのヌクレオチド配列において、例えば、イノシンを含むヌクレオチドによって置換されてもよい。別の例では、オリゴヌクレオチド中のいずれかの箇所のアデニン及びシトシンが、それぞれグアニン及びウラシルで置換されて、標的mRNAとのG-Uゆらぎ塩基対合が形成され得る。このような置換部分を含有する配列は、本発明に取り上げられる組成物及び方法に好適である。
本明細書において同義的に使用される「iRNA」、「RNAi剤」、「iRNA剤」、「RNA干渉剤」という用語は、その用語が本明細書において定義されるように、RNAを含有し、且つRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)経路を介してRNA転写物の標的化された切断を仲介する剤を指す。iRNAは、RNA干渉(RNAi)として公知のプロセスによってmRNAの配列に特異的な分解を導く。iRNAは、細胞、例えば、哺乳動物対象などの対象中の細胞内でのLDHA及び/又はHAO1遺伝子の発現を調節する(例えば阻害する)。
一実施形態において、本発明のRNAi剤は、標的RNA配列、例えば、LDHA標的mRNA配列及び/又はHAO1標的mRNA配列と相互作用して、標的RNAの切断を導く一本鎖RNAを含む。理論に制約されるのを望むものではないが、細胞中に導入される長い二本鎖RNAが、Dicerとして公知のIII型エンドヌクレアーゼによってsiRNAに分解されると考えられる(Sharp et al.(2001)Genes Dev.15:485)。リボヌクレアーゼIII様酵素であるDicerは、dsRNAをプロセシングして、特徴的な2つの塩基3’オーバーハングを有する19~23塩基対の短干渉RNAにする(Bernstein,et al.,(2001)Nature 409:363)。次に、siRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれ、ここで、1つ又は複数のヘリカーゼが、siRNA二本鎖をほどいて、相補的なアンチセンス鎖が、標的認識を導くことを可能にする(Nykanen,et al.,(2001)Cell 107:309)。適切な標的mRNAに結合すると、RISC中の1つ又は複数のエンドヌクレアーゼが標的を切断して、サイレンシングを誘導する(Elbashir,et al.,(2001)Genes Dev.15:188)。ここで、一態様において、本発明は、細胞中で生成され、且つ標的遺伝子、即ち、LDHA遺伝子及び/又はHAO1遺伝子のサイレンシングをもたらすRISC複合体の形成を促進する一本鎖RNA(sssiRNA)に関する。したがって、「siRNA」という用語はまた、上記のRNAiを指すために本明細書において使用される。
別の実施形態において、RNAi剤は、標的mRNAを阻害するために細胞又は生物に導入される一本鎖RNAi剤であり得る。一本鎖RNAi剤(ssRNAi)は、RISCエンドヌクレアーゼArgonaute 2に結合し、これが、次に、標的mRNAを切断する。一本鎖siRNAは、一般に、15~30のヌクレオチドであり、化学的に修飾される。一本鎖RNAi剤の設計及び試験が、米国特許第8,101,348号明細書及びLima et al.,(2012)Cell 150:883-894に記載され、それぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。本明細書に記載されるアンチセンスヌクレオチド配列のいずれかが、本明細書に記載されるような又はLima et al.,(2012)Cell 150;:883-894に記載される方法によって化学的に修飾される一本鎖siRNAとして使用され得る。
別の実施形態において、本発明の組成物及び方法に使用するための「iRNA」は、二本鎖RNAであり、本明細書において「二本鎖RNAi剤」、「二本鎖RNA(dsRNA)分子」、「dsRNA剤」、又は「dsRNA」と呼ばれる。「dsRNA」という用語は、標的RNA、即ち、LDHA遺伝子及び/又はHAO1遺伝子に対する「センス」及び「アンチセンス」配向を有することが示される、2本の逆平行で且つ実質的に相補的な核酸鎖を含む二本鎖構造を有するリボ核酸分子の複合体を指す。本発明のある実施形態において、二本鎖RNA(dsRNA)は、本明細書においてRNA干渉又はRNAiと呼ばれる、転写後遺伝子サイレンシング機構による、標的RNA、例えば、mRNAの分解を引き起こす。
更に別の実施形態において、本発明の組成物及び方法に使用するための「iRNA」は、「二重標的化RNAi剤」である。「二重標的化RNAi剤」という用語は、第2の標的RNA、即ち、HAO1遺伝子に対する「センス」及び「アンチセンス」配向を有することが示される、2本の逆平行で且つ実質的に相補的な核酸鎖を含む二本鎖構造を有するリボ核酸分子の複合体を含む第2のdsRNA剤を含む分子に共有結合された、第1の標的RNA、即ち、LDHA遺伝子に対する「センス」及び「アンチセンス」配向を有することが示される、2本の逆平行で且つ実質的に相補的な核酸鎖を含む二本鎖構造を有するリボ核酸分子の複合体を含む第1のdsRNA剤を含む分子を指す。本発明のある実施形態において、二重標的化RNAi剤は、本明細書においてRNA干渉又はRNAiと呼ばれる転写後遺伝子サイレンシング機構による、第1及び第2の標的RNA、例えば、mRNAの分解を引き起こす。
一般に、dsRNA分子のそれぞれの鎖のヌクレオチドの大部分は、リボヌクレオチドであるが、本明細書において詳細に記載されるように、それぞれの又は両方の鎖は、1つ又は複数の非リボヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチド及び/又は修飾ヌクレオチドも含み得る。更に、本明細書において使用される際、「RNAi剤」は、化学的修飾を有するリボヌクレオチドを含んでいてもよく;RNAi剤は、複数のヌクレオチドにおける実質的な修飾を含み得る。本明細書において使用される際、「修飾ヌクレオチド」という用語は、独立して、修飾された糖部分、修飾されたヌクレオチド間結合、及び/又は修飾された核酸塩基を有するヌクレオチドを指す。したがって、修飾ヌクレオチドという用語は、ヌクレオシド間結合、糖部分、又は核酸塩基に対する、例えば、官能基又は原子の置換、付加又は除去を包含する。本発明の剤に使用するのに好適な修飾は、本明細書に開示されるか又は当該技術分野において公知のあらゆるタイプの修飾を含む。siRNAタイプの分子に使用される際のいずれのこのような修飾も、本明細書及び特許請求の範囲の目的のために「RNAi剤」によって包含される。
二本鎖領域は、RISC経路を介した所望の標的RNAの特異的な分解を可能にする任意の長さのものであってもよく、約9~36塩基対の長さ、例えば、約15~30塩基対の長さの範囲、例えば、約15~30、15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24,20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、又は21~22塩基対の長さなど、約9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、又は36塩基対の長さであり得る。上に記載される範囲及び長さの中間の範囲及び長さも、本発明の一部であると考えられる。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される実施形態において(即ち、二重標的化RNAi剤)、第1の剤及び第2の剤の二本鎖領域の長さは、同じか又は異なり得る。
二本鎖構造を形成する2本の鎖は、1つのより大きいRNA分子の異なる部分であってもよく、又はそれらは別個のRNA分子であってもよい。2本の鎖が、1つのより大きい分子の一部であり、したがって、二本鎖構造を形成する1本の鎖の3’末端とその他方の鎖の5’末端との間のヌクレオチドの連続した鎖によって結合された場合、結合するRNA鎖は、「ヘアピンループ」と呼ばれる。ヘアピンループは、少なくとも1つの不対ヌクレオチドを含み得る。ある実施形態において、ヘアピンループは、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも23個又はそれ以上の不対ヌクレオチドを含み得る。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される実施形態において(即ち、二重標的化RNAi剤)、第1のdsRNA剤は、ヘアピンループを含んでいてもよく、第2のdsRNA剤は、ヘアピンループを含んでいてもよく、又は第1及び第2のdsRNA剤は両方とも、独立して、ヘアピンループを含み得る。更に、LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される実施形態において(即ち、二重標的化RNAi剤)、第1のdsRNA剤は、不対ヌクレオチドを含んでいてもよく、第2のdsRNA剤は、不対ヌクレオチドを含んでいてもよく、又は第1及び第2のdsRNA剤が両方とも、独立して、不対ヌクレオチドを含み得る。第1及び第2のdsRNA剤が両方とも、独立して、不対ヌクレオチドを含む場合、第1のdsRNA剤及び第2のdsRNA剤は、同じか又は異なる数の不対ヌクレオチドを含み得る。
dsRNAの2つの実質的に相補的な鎖が、別個のRNA分子によって構成される場合、それらの分子は、共有結合され得るが、共有結合されていなくてもよい。2本の鎖が、二本鎖構造を形成する1本の鎖の3’末端とその他方の鎖の5’末端との間のヌクレオチドの連続した鎖以外の手段によって共有結合された場合、結合構造は、「リンカー」と呼ばれる。RNA鎖は、同じか又は異なる数のヌクレオチドを有し得る。塩基対の最大数は、dsRNAの最も短い鎖のヌクレオチドの数から、二本鎖に存在するオーバーハングを引いた数である。二本鎖構造に加えて、RNAi剤は、1つ又は複数のヌクレオチドオーバーハングを含み得る。
一実施形態において、本発明のRNAi剤は、dsRNAであり、その各鎖が、標的RNA配列、例えば、LDHA標的mRNA配列と相互作用して、標的RNAの切断を導く19~23のヌクレオチドを含む。別の実施形態において、本発明のRNAi剤は、dsRNAであり、その各鎖が、標的RNA配列、例えば、HAO1標的mRNA配列と相互作用して、標的RNAの切断を導く19~23ヌクレオチドを含む。更に他の実施形態において、本発明のRNAi剤は、第1のdsRNA剤(その各鎖が、標的RNA配列、例えば、LDHA標的mRNA配列と相互作用して、標的RNAの切断を導く19~23のヌクレオチドを含む)、及び第2のdsRNA剤(その各鎖が、独立して、標的RNA配列、例えば、HAO1標的mRNA配列と相互作用して、標的RNAの切断を導く19~23のヌクレオチドを含む)を含み、第1及び第2のdsRNA剤は、共有結合されている。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される実施形態において(即ち、二重標的化RNAi剤)、第1のdsRNA剤の2本の鎖が、二本鎖構造を形成する1本の鎖の3’末端とその他方の鎖の5’末端との間のヌクレオチドの連続した鎖以外の手段によって共有結合され得、第2のdsRNA剤の2本の鎖が、二本鎖構造を形成する1本の鎖の3’末端とその他方の鎖の5’末端との間のヌクレオチドの連続した鎖以外の手段によって共有結合され得、又は第1のdsRNA剤の2本の鎖及び第2のdsRNA剤の2本の鎖が、独立して、二本鎖構造を形成する1本の鎖の3’末端とその他方の鎖の5’末端との間のヌクレオチドの連続した鎖以外の手段によって共有結合され得る。
本明細書において使用される際、「ヌクレオチドオーバーハング」という用語は、iRNA、例えば、dsRNAの二本鎖構造から突出する少なくとも1つの不対ヌクレオチドを指す。例えば、dsRNAの1本の鎖の3’末端が、他方の鎖の5’末端を越えて延びるか又はその逆である場合、ヌクレオチドオーバーハングが存在する。dsRNAは、少なくとも1つのヌクレオチドのオーバーハングを含み得るか;或いはオーバーハングは、少なくとも2つのヌクレオチド、少なくとも3つのヌクレオチド、少なくとも4つのヌクレオチド、少なくとも5つのヌクレオチド又はそれ以上を含み得る。ヌクレオチドオーバーハングは、デオキシヌクレオチド/ヌクレオシドを含むヌクレオチド/ヌクレオシド類似体を含むか又はそれからなり得る。オーバーハングは、センス鎖、アンチセンス鎖又はそれらの任意の組み合わせであり得る。更に、オーバーハングのヌクレオチドは、dsRNAのアンチセンス鎖又はセンス鎖のいずれかの5’末端、3’末端又は両方の末端に存在し得る。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される実施形態において(即ち、二重標的化RNAi剤)、第1の剤は、ヌクレオチドオーバーハングを含んでいてもよく、第2の剤は、ヌクレオチドオーバーハングを含んでいてもよく、又は第1及び第2の剤は両方とも、独立して、ヌクレオチドオーバーハングを含んでいてもよく、例えば、第1の剤のセンス鎖の5’末端は、オーバーハングを含んでいてもよく、第1の剤のセンス鎖の3’末端は、オーバーハングを含んでいてもよく、第1の剤のアンチセンス鎖の5’末端は、オーバーハングを含んでいてもよく、第1の剤のアンチセンス鎖の3’末端は、オーバーハングを含んでいてもよく、第1の剤のセンス鎖の5’末端及び3’末端は、オーバーハングを含んでいてもよく、第1の剤のアンチセンス鎖の5’末端及び3’末端は、オーバーハングを含んでいてもよく、第2の剤のセンス鎖の5’末端は、オーバーハングを含んでいてもよく、第2の剤のセンス鎖の3’末端は、オーバーハングを含んでいてもよく、第2の剤のアンチセンス鎖の5’末端は、オーバーハングを含んでいてもよく、第2の剤のアンチセンス鎖の3’末端は、オーバーハングを含んでいてもよく、第2の剤のセンス鎖の5’末端及び3’末端は、オーバーハングを含んでいてもよく、第2の剤のアンチセンス鎖の5’末端及び3’末端は、オーバーハングを含んでいてもよく、又はそれらの任意の組み合わせである。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される実施形態において(即ち、二重標的化RNAi剤)、第1の剤及び第2の剤のオーバーハングの長さは、同じか又は異なり得る。
一実施形態において、dsRNAのアンチセンス鎖は、3’末端及び/又は5’末端に、1~10個のヌクレオチド、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のヌクレオチドのオーバーハングを有する。一実施形態において、dsRNAのセンス鎖は、3’末端及び/又は5’末端に、1~10のヌクレオチド、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のヌクレオチドのオーバーハングを有する。別の実施形態において、オーバーハング中のヌクレオチドの1つ又は複数が、ヌクレオシドチオリン酸で置換される。
特定の実施形態において、センス鎖若しくはアンチセンス鎖、又はその両方におけるオーバーハングは、10ヌクレオチド、例えば、10~30ヌクレオチド、10~25ヌクレオチド、10~20ヌクレオチド又は10~15ヌクレオチド長より長い、延長された長さを含み得る。特定の実施形態において、延長されたオーバーハングは、二本鎖のセンス鎖上に存在する。特定の実施形態において、延長されたオーバーハングは、二本鎖のセンス鎖の3’末端上に存在する。特定の実施形態において、延長されたオーバーハングは、二本鎖のセンス鎖の5’末端上に存在する。特定の実施形態において、延長されたオーバーハングは、二本鎖のアンチセンス鎖上にある。特定の実施形態において、延長されたオーバーハングは、二本鎖のアンチセンス鎖の3’末端上に存在する。特定の実施形態において、延長されたオーバーハングは、二本鎖のアンチセンス鎖の5’末端上に存在する。特定の実施形態において、延長されたオーバーハングにおけるヌクレオチドの1つ又は複数が、ヌクレオシドチオホスフェートで置換される。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される実施形態において(即ち、二重標的化RNAi剤)、第1及び第2のdsRNA剤の両方の1つ及び/又は両方の鎖は、独立して、オーバーハング、例えば、延長されたオーバーハングを含み、オーバーハングの長さは、同じか又は異なっていてもよく、及び/又は、ある実施形態において、第1のdsRNA剤中のオーバーハングにおけるヌクレオチドの1つ又は複数及び第2のdsRNA剤中のオーバーハングにおける1つ又は複数のヌクレオチドは、独立して、ヌクレオシドチオホスフェートで置換され得る。
dsRNAに関連して本明細書において使用される際の「平滑な」又は「平滑末端」という用語は、dsRNAの所与の末端に不対ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体が存在しない、即ち、ヌクレオチドオーバーハングが存在しないことを意味する。dsRNAの1つ又は両方の末端は、平滑であり得る。dsRNAの両方の末端が平滑である場合、dsRNAは、平滑末端であると記載される。明確にするために、「平滑末端」dsRNAは、両方の末端が平滑である、即ち、分子のいずれの末端にもヌクレオチドオーバーハングがないdsRNAである。このような分子のほとんどは、多くの場合、その全長にわたって二本鎖である。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される実施形態において(即ち、二重標的化RNAi剤)、dsRNA剤の一方又は両方は、独立して、平滑末端を含み得る。
「アンチセンス鎖」又は「ガイド鎖」という用語は、標的配列、例えば、LDHA mRNA又はHAO1 mRNAに実質的に相補的な領域を含むiRNA、例えば、dsRNAの鎖を指す。
本明細書において使用される際、「相補性の領域」という用語は、本明細書において定義されるように、配列、例えば標的配列、例えば、LDHAヌクレオチド配列又はHAO1ヌクレオチド配列に実質的に相補的なアンチセンス鎖の領域を指す。相補性の領域が、標的配列に完全には相補的でない場合、その分子の内部領域又は末端領域にミスマッチが存在し得る。一般に、ほとんどの許容されるミスマッチは、末端領域、例えば、iRNAの5’末端及び/又は3’末端の5、4、3、又は2つのヌクレオチド中に存在する。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される実施形態において(即ち、二重標的化RNAi剤)、dsRNA剤の一方又は両方は、独立して、ミスマッチを含み得る。
本明細書において使用される際の「センス鎖」、又は「パッセンジャー鎖」という用語は、その用語が本明細書において定義されるように、アンチセンス鎖の領域と実質的に相補的な領域を含むiRNAの鎖を指す。
本明細書において使用される際、「切断領域」という用語は、切断部位に直接隣接して位置する領域を指す。切断部位は、標的における、切断が生じる部位である。ある実施形態において、切断領域は、切断部位のいずれかの末端で、切断部位に直接隣接した3つの塩基を含む。ある実施形態において、切断領域は、切断部位のいずれかの末端で、切断部位に直接隣接した2つの塩基を含む。ある実施形態において、切断部位は、アンチセンス鎖のヌクレオチド10及び11によって結合される部位で特異的に生じ、切断領域は、ヌクレオチド11、12及び13を含む。
本明細書において使用される際、特に示されない限り、「相補的な」という用語は、当業者により理解されるように、第1のヌクレオチド配列を第2のヌクレオチド配列と関連して記載するのに使用される場合、第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが、所定の条件下で、第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドとハイブリダイズし、二本鎖構造を形成する能力を指す。このような条件は、例えば、ストリンジェントな条件であり得、ここで、ストリンジェントな条件は、400mMのNaCl、40mMのPIPES(pH6.4)、1mMのEDTA、50℃又は70℃で12~16時間と、それに続く洗浄を含み得る(例えば“Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrook,et al.(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照)。生物の内部で起こり得る生理学的に関連した条件などの他の条件を適用することができる。当業者は、ハイブリダイズされたヌクレオチドの最終的な用途に従って、2つの配列の相補性の試験に最も適切な条件の組を決定することができるであろう。
本明細書に記載されるiRNA中、例えば、dsRNA中の相補的な配列は、第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドへの第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドの、一方又は両方のヌクレオチド配列の全長にわたる塩基対合を含む。このような配列は、本明細書において互いに対して「完全に相補的な」と称され得る。しかしながら、第1の配列が、本明細書において第2の配列に対して「実質的に相補的な」と称される場合、2つの配列は、完全に相補的であり得、又はそれらの最終的な適用、例えば、RISC経路を介した遺伝子発現の阻害に最適な条件下でハイブリダイズする能力を保持しながら、最大で30塩基対の二本鎖に対するハイブリダイゼーションを行うと、それらは、1つ又は複数であるが、一般に、5つ以下、4つ以下、3つ以下又は2つ以下のミスマッチ塩基対を形成し得る。しかしながら、2つのオリゴヌクレオチドがハイブリダイゼーション後に1つ又は複数の一本鎖オーバーハングを形成するように設計されている場合、このようなオーバーハングは、相補性の決定に関してはミスマッチとみなされないものとする。例えば、本明細書に記載する目的のために、21ヌクレオチド長の一方のオリゴヌクレオチドと、23ヌクレオチド長の他方のオリゴヌクレオチドとを含むdsRNAは、長い方のオリゴヌクレオチドが、短い方のオリゴヌクレオチドに対して完全に相補的な21ヌクレオチドの配列を含む場合、「完全に相補的」と称されてもよい。
本明細書において使用される際の「相補的な」配列は、それらのハイブリダイズする能力に関連した上記の要求が満たされる限り、非ワトソン-クリック塩基対及び/又は非天然及び修飾ヌクレオチドから形成される塩基対も含むことができ、又はこのような塩基対から完全に形成され得る。このような非ワトソン-クリック塩基対としては、限定はされないが、G:Uゆらぎ又はフーグスティーン型塩基対が挙げられる。
本明細書における「相補的な」、「完全に相補的な」及び「実質的に相補的な」という用語は、それらの使用の状況から理解されるように、dsRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖との間で、又はdsRNAのアンチセンス鎖と標的配列との間で、一致する塩基に関連して使用され得る。
本明細書において使用される際、メッセンジャーRNA(mRNA)「の少なくとも一部に実質的に相補的な」ポリヌクレオチドは、5’UTR、オープンリーディングフレーム(ORF)、又は3’UTRを含む目的のmRNA(例えば、LDHAをコードするmRNA又はHAO1をコードするmRNA)の連続する部分に実質的に相補的なポリヌクレオチドを指す。例えば、ポリヌクレオチドは、その配列がLDHAをコードするmRNAの連続する部分と実質的に相補的である場合、LDHA mRNAの少なくとも一部に相補的である。
したがって、ある実施形態において、本明細書に開示されるアンチセンス鎖ポリヌクレオチドは、標的LDHA配列に完全に相補的である。他の実施形態において、本明細書に開示されるアンチセンス鎖ポリヌクレオチドは、標的LDHA配列に実質的に相補的であり、その全長にわたって、配列番号1、又は配列番号1の断片のヌクレオチド配列の相当する領域に少なくとも約80%相補的、例えば、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約%91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%相補的な連続ヌクレオチド配列を含む。
一実施形態において、本発明のRNAi剤は、アンチセンスポリヌクレオチドに実質的に相補的な、ひいては、標的LDHA配列に相補的なセンス鎖を含み、センス鎖ポリヌクレオチドは、その全長にわたって、配列番号2、又は配列番号2のいずれか1つの断片のヌクレオチド配列の相当する領域に少なくとも約80%相補的、例えば、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約%91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%相補的な連続ヌクレオチド配列を含む。
ある実施形態において、本発明のiRNAは、標的LDHA配列に実質的に相補的なアンチセンス鎖を含み、その全長にわたって、表2~5のいずれか1つにおけるセンス鎖のいずれか1つ、又は表2~5のいずれか1つにおけるセンス鎖のいずれか1つの断片のヌクレオチド配列の相当する領域に少なくとも約80%相補的、例えば、約約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%相補的、又は100%相補的な連続ヌクレオチド配列を含む。
したがって、ある実施形態において、本明細書に開示されるアンチセンス鎖ポリヌクレオチドは、標的HAO1配列に完全に相補的である。他の実施形態において、本明細書に開示されるアンチセンス鎖ポリヌクレオチドは、標的HAO1配列に実質的に相補的であり、その全長にわたって、配列番号21、又は配列番号21の断片のヌクレオチド配列の相当する領域に少なくとも約80%相補的、例えば、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約%91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%相補的な連続ヌクレオチド配列を含む。
一実施形態において、本発明のRNAi剤は、アンチセンスポリヌクレオチドに実質的に相補的な、ひいては、標的HAO1配列に相補的なセンス鎖を含み、センス鎖ポリヌクレオチドは、その全長にわたって、配列番号22、又は配列番号22のいずれか1つの断片のヌクレオチド配列の相当する領域に少なくとも約80%相補的、例えば、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約%91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%相補的な連続ヌクレオチド配列を含む。
ある実施形態において、本発明のiRNAは、標的HAO1配列に実質的に相補的なアンチセンス鎖を含み、その全長にわたって、表7~14のいずれか1つにおけるセンス鎖のいずれか1つ、又は表7~14のいずれか1つにおけるセンス鎖のいずれか1つの断片のヌクレオチド配列の相当する領域に少なくとも約80%相補的、例えば、約約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%相補的、又は100%相補的な連続ヌクレオチド配列を含む。
本明細書において使用される際の「阻害する(inhibiting)」という用語は、「低下させる」、「サイレンシングする」、「下方制御する」、「抑制する」及び他の類似語と同義的に使用され、任意のレベルの阻害を含む。
本明細書において使用される際の「LDHA遺伝子の発現を阻害する」という語句は、任意のLDHA遺伝子(例えば、マウスLDHA遺伝子、ラットLDHA遺伝子、サルLDHA遺伝子、又はヒトLDHA遺伝子など)並びにLDHAタンパク質をコードするLDHA遺伝子の変異体又は突然変異体の発現の阻害を含む。
「LDHA遺伝子の発現を阻害する」は、LDHA遺伝子の任意のレベルの阻害、例えば、少なくとも約20%の阻害など、LDHA遺伝子の発現の少なくとも部分的な抑制を含む。特定の実施形態において、阻害は、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%だけである。
本明細書において使用される際の「HAO1遺伝子の発現を阻害する」という語句は、任意のHAO1遺伝子(例えば、マウスHAO1遺伝子、ラットHAO1遺伝子、サルHAO1遺伝子、又はヒトHAO1遺伝子など)並びにHAO1タンパク質をコードするHAO1遺伝子の変異体又は突然変異体の発現の阻害を含む。
「HAO1遺伝子の発現を阻害する」は、HAO1遺伝子の任意のレベルの阻害、例えば、少なくとも約20%の阻害など、HAO1遺伝子の発現の少なくとも部分的な抑制を含む。特定の実施形態において、阻害は、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%,少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%だけである。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される実施形態において、LDHAの発現の阻害は、HAO1発現の阻害と同じか又は異なり得る。
LDHA遺伝子及び/又はHAO1遺伝子の発現は、LDHA遺伝子発現及び/又はHAO1遺伝子発現に関連する任意の変数のレベル、例えば、LDHA及び/又はHAO1 mRNAレベル又はLDHA及び/又はHAO1タンパク質レベルに基づいて評価され得る。LDHA遺伝子及び/又はHAO1遺伝子の発現はまた、尿、血漿、若しくは組織試料中のオキサレート若しくはグリコレートのレベル、又は組織試料、例えば、肝臓試料、骨格筋試料、及び/又は心臓試料中のLDHAの酵素活性に基づいて、間接的に評価され得る。阻害は、対照のレベルと比較したこれらの変数の1つ又は複数の絶対的又は相対的レベルの低下によって評価され得る。対照のレベルは、当該技術分野において用いられる任意のタイプの対照のレベル、例えば、投与前ベースライン(pre-dose baseline)レベル、又は非処理又は対照(例えば、緩衝液のみの対照又は不活性な剤の対照など)で処理された同様の対象、細胞、又は試料から測定されるレベルであり得る。
一実施形態において、LDHA遺伝子の発現の少なくとも部分的な抑制は、LDHA遺伝子が転写され、LDHA遺伝子の発現が阻害されるように処理されている第1の細胞又は細胞群から単離され得るか又はそのような第1の細胞又は細胞群において検出され得るLDHA mRNAの量の、そのように処理されていない以外は第1の細胞又は細胞群と実質的に同一の第2の細胞又は細胞群(対照細胞)と比較した際の低下によって評価される。
一実施形態において、HAO1遺伝子の発現の少なくとも部分的な抑制は、HAO1遺伝子が転写され、HAO1遺伝子の発現が阻害されるように処理されている第1の細胞又は細胞群から単離され得るか又はそのような第1の細胞又は細胞群において検出され得るHAO1 mRNAの量の、そのように処理されていない以外は第1の細胞又は細胞群と実質的に同一の第2の細胞又は細胞群(対照細胞)と比較した際の低下によって評価される。
一実施形態において、LDHA遺伝子及びHAO1遺伝子の発現の少なくとも部分的な抑制は、LDHA遺伝子及びHAO1遺伝子が転写され、LDHA遺伝子及びHAO1遺伝子の発現が阻害されるように処理されている第1の細胞又は細胞群から単離され得るか又はそのような第1の細胞又は細胞群において検出され得るLDHA mRNA及びHAO1 mRNAの量の、そのように処理されていない以外は第1の細胞又は細胞群と実質的に同一の第2の細胞又は細胞群(対照細胞)と比較した際の低下によって評価される。
本明細書において使用される際の「細胞を(dsRNAなどの)RNAi剤と接触させる」という語句は、任意の可能な手段によって細胞を接触させる工程を含む。細胞をRNAi剤と接触させる工程は、細胞をiRNAとインビトロで接触させる工程又は細胞をiRNAとインビボで接触させる工程を含む。接触は、直接又は間接的に行われ得る。したがって、例えば、RNAi剤は、方法を個々に行うことによって細胞と物理的に接触されてもよく、或いはRNAi剤は、それを後に細胞と接触させるのを可能にするか又はそれを後に細胞と接触させる状況に置かれてもよい。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される本発明の方法において(即ち、二重標的化RNAi剤)、細胞を接触させる工程は、細胞を第2の剤と接触させる工程と同時に又は異なる時点で細胞を第1の剤と接触させる工程を含み得る。
細胞をインビトロで接触させる工程は、例えば、RNAi剤とともに細胞をインキュベートすることによって行われ得る。細胞をインビボで接触させる工程は、RNAi剤が接触される細胞が位置する組織に後に到達するように、例えば、RNAi剤を、細胞が位置する組織中又は組織の近傍に注入することによって、又はRNAi剤を、別の領域、例えば、血流又は皮下腔中に注入することによって行われ得る。例えば、RNAi剤は、目的の部位、例えば、肝臓にRNAi剤を指向するリガンド、例えば、GalNAc3を含んでいてもよく、及び/又はそれに結合され得る。インビトロ及びインビボでの接触方法の組み合わせも可能である。例えば、細胞はまた、RNAi剤とインビトロで接触され、その後、対象に移植されてもよい。
一実施形態において、細胞をiRNAと接触させる工程は、細胞中への取り込み又は吸収を促進するか又は行うことによって、「導入する」又は「iRNAを細胞中に送達する」工程を含む。iRNAの吸収又は取り込みは、補助されない拡散(unaided diffusive)又は活性な細胞プロセスによって、又は補助的な薬剤又はデバイスによって行われ得る。細胞中へのiRNAの導入は、インビトロ及び/又はインビボであってもよい。例えば、インビボでの導入の場合、iRNAは、組織部位に注入されるか又は全身投与され得る。インビボでの送達は、全内容が参照により本明細書に援用される、米国特許第5,032,401号明細書及び同第5,607,677号明細書、及び米国特許出願公開第2005/0281781号明細書に記載されるものなどのβ-グルカン送達系によって行うこともできる。細胞中へのインビトロでの導入は、エレクトロポレーション及びリポフェクションなどの当該技術分野において公知の方法を含む。更なる手法が、本明細書において後述され、及び/又は当該技術分野において公知である。
「脂質ナノ粒子」又は「LNP」という用語は、核酸分子、例えば、iRNA又はiRNAが転写されるプラスミドなどの薬学的に有効な分子を封入する脂質層を含むベシクルである。LNPは、例えば、全内容が参照により本明細書に援用される、米国特許第6,858,225号明細書、同第6,815,432号明細書、同第8,158,601号明細書、及び同第8,058,069号明細書に記載されている。
本明細書において使用される際、「対象」は、霊長類(ヒト、非ヒト霊長類、例えば、サル、及びチンパンジーなど)、非霊長類(ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、マウス、ウマ、及びクジラなど)を含む哺乳動物、又は鳥類(例えば、アヒル又はガチョウ)などの動物である。
一実施形態において、対象は、本明細書に記載されるように、LDHA発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害若しくは病態について処置又は評価されているヒト;LDHA発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害若しくは病態のリスクがあるヒト;LDHA発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害若しくは病態に罹患しているヒト;及び/又はLDHA発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害若しくは病態について処置されているヒトなどのヒトである。
LDHA発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害若しくは病態について処置又は評価されているヒトが、LDHA及びHAO1発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害若しくは病態について処置又は評価されているヒトを含むこと;LDHA発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害若しくは病態のリスクがあるヒトが、LDHA及びHAO1発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害若しくは病態のリスクがあるヒトを含むこと;LDHA発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害若しくは病態に罹患しているヒトが、LDHA及びHAO1発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害若しくは病態のリスクがあるヒトを含むこと;及びLDHA発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害若しくは病態について処置されているヒトが、本明細書に記載されるようにLDHA及びHAO1発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害若しくは病態について処置されているヒトを含むことが理解されるべきである。
本明細書において使用される際、「処置する」又は「処置」という用語は、対象におけるオキサレートの尿中***レベルを低下させることなどの、有益な又は所望の結果を指す。「処置する」又は「処置」という用語は、限定はされないが、例えば、疾病の進行を遅らせること;晩期発症型(later-developing)の疾病の重症度を低下させること;四肢、顔、喉頭、上気道、腹部、胴体、及び/又は生殖器の浮腫、前駆症状、喉頭浮腫、掻痒のない発疹、吐き気、嘔吐、及び/又は腹痛の低減;肝疾患の、肝硬変又は肝細胞癌への進行を低減すること;現在の結石負荷を安定させること;結石の形成の再発を減少させること;及び/又は更なるオキサレート組織沈着を予防することなどの、オキサレート経路に関連する疾病、障害、又は病態の1つ又は複数の症状の緩和又は改善も含む。「処置」は、処置をしない場合の予測される生存期間と比較した生存期間の延長も意味し得る。
疾病マーカー又は症状に関連して「低下させる」という用語は、このようなレベルの統計的に有意な低下を指す。低下は、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又はそれ以上であり得、このような障害を有さない個体の正常範囲内であると認められるレベルまで低下されるのが好ましい。
本明細書において使用される際、「予防」又は「予防する」は、LDHA遺伝子の発現の低下から利益を得られ得る疾病、障害若しくはその病態に関連して使用される場合、対象が、このような疾病、障害、若しくは病態に関連する症状、例えば、結石形成を発症する可能性の低下を指す。例えば、結石形成の可能性は、例えば、結石形成の1つ又は複数の危険因子を有する個体が結石を発症しない場合、又は同じ危険因子を有し、本明細書に記載される処置を受けない集団と比べてより軽度の結石を発症する場合のいずれかに低下される。疾病、障害又は病態を発症しないこと、又はこのような疾病、障害又は病態に関連する症状の発生の低下(例えば、その疾病又は障害の臨床的に認められた尺度で少なくとも約10%)、又は症状の遅延の現れ(例えば、数日、数週間、数カ月又は数年だけ)が、有効な予防とみなされる。
オキサレート経路に関連する疾病、障害、又は病態などの、LDHA遺伝子の発現の低下から利益を得られ得る多くの障害がある。
本明細書において使用される際、「オキサレート経路に関連する疾病、障害、若しくは病態」という用語は、乳酸脱水素酵素ノックダウンが治療効果がある又は他の形で有利であることが知られているか又は予測される、例えば、乳酸脱水素酵素産生及び/又は尿中オキサレート産生のかく乱に関連するか又はそれによって引き起こされる、疾病、障害若しくはその病態を指す。
一実施形態において、「オキサレート経路に関連する疾病、障害、若しくは病態」は、「乳酸脱水素酵素に関連する疾病、障害、若しくは病態」である。本明細書において使用される際、「乳酸脱水素酵素に関連する疾病、障害、若しくは病態」は、乳酸脱水素酵素遺伝子発現、複製、又はタンパク質活性の低下から利益を得られ得る任意の疾病、障害若しくは病態を含む。例示的な乳酸脱水素酵素に関連する疾病、障害、及び病態は、例えば、脂肪肝(脂肪症)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変、肝臓中の脂肪の蓄積、肝臓の炎症、肝細胞壊死、肝線維症、肥満、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、及び癌、例えば、肝細胞癌を含む。
別の実施形態において、「オキサレート経路に関連する疾病、障害、若しくは病態」は、「オキサレートに関連する疾病、障害、若しくは病態」である。本明細書において使用される際、「オキサレートに関連する疾病、障害、若しくは病態」は、乳酸脱水素酵素遺伝子発現、複製、又はタンパク質活性の低下から利益を得られ得る任意の疾病、障害若しくは病態を含む。「オキサレートに関連する疾病、障害、若しくは病態」という用語は、遺伝性疾患、又は誘発性若しくは後天性疾患を指す。例示的な「オキサレートに関連する疾病、障害、若しくは病態」は、「腎臓結石形成疾病、障害、及び病態」及び「シュウ酸カルシウム組織沈着疾病、障害、及び病態」を含む。
例示的な腎臓結石形成疾病、障害、及び病態は、「シュウ酸カルシウム結石形成疾病、障害、及び病態」及び「非シュウ酸カルシウム結石形成疾病、障害、及び病態」を含む。
「シュウ酸カルシウム結石形成疾病、障害、及び病態」の非限定的な例は、高シュウ酸尿症(例えば、原発性高シュウ酸尿症1(PH1)、原発性高シュウ酸尿症2(PH2)、原発性高シュウ酸尿症3(PH3)及び非PH1/PH2/PH3などの原発性高シュウ酸尿症;腸管高シュウ酸尿症;食餌性高シュウ酸尿症;及び特発性高シュウ酸尿症)及び非高シュウ酸尿症障害(例えば、原発性副甲状腺機能亢進症、デント病、吸収性高カルシウム尿症、及び腎性高カルシウム尿症などの高カルシウム尿症;及び低クエン酸尿症)を含む。
「非シュウ酸カルシウム結石形成疾病、障害、及び病態」の非限定的な例は、約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、又は約10%未満のオキサレート、及び約50%超の非オキサレート、例えば、リン酸カルシウム、尿酸、ストルバイト、シスチン尿、又は他の成分から構成される腎臓結石を有する対象を含む。
例示的な「シュウ酸カルシウム組織沈着疾病、障害、及び病態」は、全身性シュウ酸カルシウム組織沈着疾病、障害、及び病態、例えば、末期腎疾患、サルコイドーシス、又は関節炎に起因するシュウ酸カルシウム組織沈着;並びに腎臓移植などの臓器移植に起因する、例えば、腎臓における(例えば、腎石灰沈着症、又は海綿腎に起因する)、甲状腺における、***における、骨における、心臓における、血管系における、又は任意の軟組織における、組織特異的シュウ酸カルシウム沈着疾病、障害、及び病態を含む。
本明細書において使用される際の「治療有効量」は、オキサレート経路に関連する疾病、障害、又は病態に罹患している対象に投与される場合、(例えば、既存の疾病又は疾病の1つ又は複数の症状を軽減、改善、又は維持することによって)この疾病の処置を行うのに十分なRNAi剤の量を含むことが意図される。「治療有効量」は、RNAi剤、薬剤が投与される方法、疾病及びその重症度、並びに処置される対象の病歴、年齢、体重、家族歴、遺伝子構造、もしあれば、以前の処置又は併用処置のタイプ、及び他の個体特性に応じて変化し得る。
本明細書において使用される際の「予防的に有効な量」は、オキサレート経路に関連する疾病、障害又は病態に罹患している対象に投与される場合、疾病又は疾病の1つ又は複数の症状を予防又は改善するのに十分なiRNAの量を含むことが意図される。疾病の改善は、この疾病の経過を遅らせること又は後から発症する疾病の重症度を軽減することを含む。「予防的に有効な量」は、iRNA、薬剤が投与される方法、疾病に罹患する危険度、並びに処置される患者の病歴、年齢、体重、家族歴、遺伝子構造、もしあれば、以前の処置又は併用処置のタイプ、及び他の個体特性に応じて変化し得る。
「治療有効量」又は「予防的に有効な量」は、任意の処置に適用される妥当なベネフィット・リスク比である所望の局所又は全身的作用を生じる、RNAi剤の量も含む。本発明の方法に用いられるiRNAは、このような処置に適用される妥当なベネフィット・リスク比を得るのに十分な量で投与され得る。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤を含む医薬組成物を対象に投与する工程を含む本発明の方法において、第1のdsRNA剤の治療有効量は、第2のdsRNA剤の治療有効量と同じか又は異なり得る。同様に、LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤を含む医薬組成物を対象に投与する工程を含む本発明の方法において、第1のdsRNA剤の予防的に有効な量は、第2のdsRNA剤の予防的に有効な量と同じか又は異なり得る。
「薬学的に許容され得る」という語句は、妥当な医学的判断の範囲内で、妥当なベネフィット・リスク比に見合って、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、或いは他の問題又は合併症を伴わずに、ヒト対象及び動物対象の組織と接触して使用するのに好適な化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指すために本明細書において用いられる。
本明細書において使用される際の「薬学的に許容され得る担体」という語句は、身体の1つの器官、又は部分から、身体の別の器官、又は部分へと対象に化合物を運ぶ又は輸送するのに関与する、液体又は固体充填剤、希釈剤、賦形剤、製造助剤(例えば、潤滑剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸亜鉛、又はステアリン酸)、又は溶媒封入材料などの薬学的に許容され得る材料、組成物又はビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合し、処置される対象に有害でないという意味で「許容でき」なければならない。薬学的に許容され得る担体としての役割を果たし得る材料のいくつかの例としては:(1)ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖類;(2)トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン;(3)ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及び酢酸セルロースなどのセルロース、及びその誘導体;(4)トラガカント末;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)マグネシウムステート(state)、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクなどの滑沢剤;(8)カカオ脂及び坐薬ワックスなどの賦形剤;(9)ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及び大豆油などの油;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなどのポリオール;(12)オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱性物質除去蒸留水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝液;(21)ポリエステル、ポリカーボネート及び/又はポリ無水物;(22)ポリペプチド及びアミノ酸などの増量剤(23)血清アルブミン、HDL及びLDLなどの血清成分;並びに(22)医薬製剤に用いられる他の非毒性の適合する物質が挙げられる。
本明細書において使用される際の「試料」という用語は、対象から単離された類似の体液、細胞、又は組織、並びに対象中に存在する体液、細胞、又は組織の集合体を含む。生体液の例としては、血液、血清及び漿膜液、血漿、脳脊髄液、眼液、リンパ液、尿、唾液などが挙げられる。組織試料は、組織、器官又は局所領域に由来する試料を含み得る。例えば、試料は、特定の器官、器官の部分、或いはそれらの器官中の体液又は細胞に由来し得る。特定の実施形態において、試料は、肝臓(例えば、全肝臓又は肝臓の特定の部分、又は例えば肝細胞などの肝臓中の特定のタイプの細胞)に由来し得る。ある実施形態において、「対象に由来する試料」は、対象から得られる血液又は血漿を指す。
II.本発明のiRNA
標的遺伝子の発現を阻害するiRNAが、本明細書に記載される。一実施形態において、iRNAは、LDHA遺伝子の発現を阻害する。一実施形態において、iRNA剤は、細胞、例えば肝細胞、例えば、オキサレート経路に関連する疾病、障害又は病態、例えば、結石形成疾病、障害、若しくは病態に罹患している対象、例えば、哺乳動物、例えばヒト中の肝細胞内でのLDHA遺伝子の発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)分子を含む。別の実施形態において、iRNAは、HAO1遺伝子の発現を阻害する。一実施形態において、iRNA剤は、細胞、例えば肝細胞、例えば、オキサレート経路に関連する疾病、障害又は病態、例えば、オキサレートに関連する疾病、障害、若しくは病態、例えば、腎臓結石形成疾病、障害、若しくは病態又はシュウ酸カルシウム組織沈着疾病、障害、若しくは病態;又はLDHに関連する疾病、障害、若しくは病態に罹患している対象、例えば、哺乳動物、例えばヒト中の肝細胞内でのHAO1遺伝子の発現を阻害するための二本鎖リボ核酸(dsRNA)分子を含む。
二重標的化RNAi剤と呼ばれる、2つの標的遺伝子の発現を阻害するiRNAも、本明細書に提供される。一実施形態において、二重標的化RNAi剤は、細胞(肝細胞、例えば、対象中の肝細胞など)における、例えば、オキサレート経路に関連する疾病、障害又は病態、例えば、オキサレートに関連する疾病、障害、若しくは病態、例えば、腎臓結石形成疾病、障害、若しくは病態又はシュウ酸カルシウム組織沈着疾病、障害、若しくは病態;又はLDHに関連する疾病、障害、若しくは病態に罹患している対象、例えば、哺乳動物、例えばヒト中の細胞内でのHAO1遺伝子の発現を阻害するために第2の二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤に共有結合された、細胞(肝細胞、例えば、対象中の肝細胞など)におけるLDHA遺伝子の発現を阻害するための第1の二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤を含む。
dsRNAは、LDHA遺伝子又はHAO1遺伝子の発現中に形成されるmRNAの少なくとも一部に対して相補性である相補性の領域を有するアンチセンス鎖を含む。相補性の領域は、約30ヌクレオチド長以下(例えば、約30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、又は18ヌクレオチド長以下)である。標的遺伝子を発現する細胞と接触すると、iRNAは、例えば、PCR又は分岐DNA(bDNA)に基づいた方法、或いは例えば、ウエスタンブロット法又はフローサイトメトリー技術を用いた免疫蛍光分析などによるタンパク質に基づいた方法によってアッセイした際に少なくとも約10%、標的遺伝子(例えば、ヒト、霊長類、非霊長類、又は鳥類の標的遺伝子)の発現を阻害する。
dsRNAは、2本のRNA鎖を含み、この2本のRNA鎖は、相補的であり、dsRNAが使用される条件下で二本鎖構造を形成するようにハイブリダイズする。dsRNAの1本の鎖(アンチセンス鎖)は、標的配列に実質的に相補的な、一般に完全に相補的な相補性の領域を含む。標的配列は、LDHA遺伝子又はHAO1遺伝子の発現中に形成されるmRNAの配列に由来し得る。他方の鎖(センス鎖)は、アンチセンス鎖に相補的な領域を含み、2本の鎖がハイブリダイズして、好適な条件下で組み合わされた際に二本鎖構造を形成するようになっている。本明細書のいずれかの箇所に記載されるように、及び当該技術分野において公知であるように、dsRNAの相補的配列はまた、別個のオリゴヌクレオチド上にあるのではなく、1つの核酸分子の自己相補的な領域として含まれることもある。
一般に、二本鎖構造は、15~30塩基対の長さ、例えば、15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24,20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、又は21~22塩基対の長さである。上記の範囲及び長さの中間の範囲及び長さも、本発明の一部であるものと考えられる。
同様に、標的配列の相補性の領域は、15~30ヌクレオチド長、例えば、15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24、20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、又は21~22ヌクレオチド長である。上記の範囲及び長さの中間の範囲及び長さも、本発明の一部であるものと考えられる。
ある実施形態において、dsRNAは、約15~約23ヌクレオチド長、又は約25~約30ヌクレオチド長である。一般に、dsRNAは、Dicer酵素のための基質としての役割を果たすのに十分に長い。例えば、約21~23ヌクレオチドより長いdsRNAがDicerのための基質としての役割を果たし得ることが当該技術分野において周知である。当業者がやはり認識するように、切断のために標的化されたRNAの領域は、ほとんどの場合、より大きいRNA分子(mRNA分子であることが多い)の一部である。関連する場合、mRNA標的の「一部」は、RNAi指向性の切断(即ち、RISC経路を介した切断)のための基質であるのが可能であるほど十分な長さのmRNA標的の連続する配列である。
二本鎖領域が、dsRNAの一次機能部分、例えば、約9~36塩基対、例えば、約10~36、11~36、12~36、13~36、14~36、15~36、9~35、10~35、11~35、12~35、13~35、14~35、15~35、9~34、10~34、11~34、12~34、13~34、14~34、15~34、9~33、10~33、11~33、12~33、13~33、14~33、15~33、9~32、10~32、11~32、12~32、13~32、14~32、15~32、9~31、10~31、11~31、12~31、13~32、14~31、15~31、15~30、15~29、15~28、15~27、15~26、15~25、15~24、15~23、15~22、15~21、15~20、15~19、15~18、15~17、18~30、18~29、18~28、18~27、18~26、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、18~20、19~30、19~29、19~28、19~27、19~26、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~30、20~29、20~28、20~27、20~26、20~25、20~24,20~23、20~22、20~21、21~30、21~29、21~28、21~27、21~26、21~25、21~24、21~23、又は21~22塩基対の二本鎖領域であることも当業者は認識するであろう。ここで、一実施形態において、所望のRNAを切断のために標的とする例えば、15~30塩基対の機能性二本鎖にプロセシングされる程度まで、RNA分子又は30塩基対を超える二本鎖領域を有するRNA分子の複合体はdsRNAである。したがって、当業者は、一実施形態において、miRNAがdsRNAであることを認識するであろう。別の実施形態において、dsRNAは、天然miRNAではない。別の実施形態において、LDHAの発現又はLDHA及びHAO1の発現を標的とするのに有用なiRNA剤は、より大きいdsRNAの切断によって標的細胞中に生成されない。
本明細書に記載されるdsRNAは、1つ又は複数の一本鎖ヌクレオチドオーバーハング、例えば、1、2、3、又は4つのヌクレオチドを更に含み得る。少なくとも1つのヌクレオチドオーバーハングを有するdsRNAは、その平滑末端の同等物と比べて予想外に優れた阻害特性を有し得る。ヌクレオチドオーバーハングは、デオキシヌクレオチド/ヌクレオシドを含むヌクレオチド/ヌクレオシド類似体を含むか又はそれからなり得る。オーバーハングは、センス鎖、アンチセンス鎖又はそれらの任意の組み合わせ上にあり得る。更に、オーバーハングのヌクレオチドは、dsRNAのアンチセンス鎖又はセンス鎖のいずれかの5’末端、3’末端又は両方の末端上に存在し得る。
dsRNAは、例えば、自動DNA合成装置(例えば、Biosearch,Applied Biosystems,Inc.から市販されているものなど)の使用によって、更に後述されるように、当該技術分野において公知の標準的な方法によって合成され得る。
本発明のiRNA化合物は、2工程の手順を用いて調製され得る。まず、二本鎖RNA分子の個々の鎖が別個に調製される。次に、構成要素の鎖はアニールされる。siRNA化合物の個々の鎖は、溶液相又は固相有機合成又は両方を用いて調製され得る。有機合成は、非天然又は修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド鎖が容易に調製され得るという利点を提供する。本発明の一本鎖オリゴヌクレオチドは、溶液相又は固相有機合成又は両方を用いて調製され得る。
一態様において、本発明のdsRNAは、少なくとも2つのヌクレオチド配列、センス配列及びアンチセンス配列を含む。センス鎖配列は、表2~5のいずれか1つに示される配列の群から選択され、センス鎖のアンチセンス鎖対応するヌクレオチド配列は、表2~5のいずれか1つに示される配列の群から選択される。この態様において、2つの配列の一方が2つの配列の他方に相補的であり、配列の一方が、LDHA遺伝子の発現中に生成されるmRNAの配列に実質的に相補的である。したがって、この態様において、dsRNAは、2つのオリゴヌクレオチドを含むことになり、ここで、1つのオリゴヌクレオチドが、表2~5のいずれか1つ中のセンス鎖(パッセンジャー鎖)として表され、第2のオリゴヌクレオチドが、表2~5のいずれか1つ中のセンス鎖の対応するアンチセンス鎖(ガイド鎖)として表される。一実施形態において、dsRNAの実質的に相補的な配列は、別個のオリゴヌクレオチドに含まれる。別の実施形態において、dsRNAの実質的に相補的な配列は、1つのオリゴヌクレオチドに含まれる。
別の態様において、本発明のdsRNAは、HAO1遺伝子を標的とし、少なくとも2つのヌクレオチド配列、センス配列及びアンチセンス配列を含む。センス鎖配列は、表7~14のいずれか1つにおいて提供される配列の群から選択され、センス鎖のアンチセンス鎖の対応するヌクレオチド配列は、表7~14のいずれか1つの配列の群から選択される。この態様において、2つの配列の一方は、2つの配列の他方に相補的であり、配列の一方は、HAO1遺伝子の発現において生成されるmRNAの配列に実質的に相補的である。したがって、この態様において、dsRNAは、2つのオリゴヌクレオチドを含み、ここで、一方のオリゴヌクレオチドは、表7~14のいずれか1つにおいてセンス鎖(パッセンジャー鎖)として表され、第2のオリゴヌクレオチドは、表7~14のいずれか1つにおいてセンス鎖の対応するアンチセンス鎖(ガイド鎖)として表される。一実施形態において、dsRNAの実質的に相補的な配列は、別のオリゴヌクレオチドに含まれる。別の実施形態において、dsRNAの実質的に相補的配列は、単一のオリゴヌクレオチドに含まれる。
表2~5及び7~14中の配列は、修飾された、修飾されていない、コンジュゲートされていない、及び/又はコンジュゲートされた配列として表されるが、本発明のiRNA、例えば、本発明のdsRNAのRNAは、本明細書に記載されるのと異なって、修飾されていない、コンジュゲートされていない、及び/又は修飾された及び/又はコンジュゲートされた、表2~5及び7~14のいずれか1つに記載される配列のいずれか1つを含み得ることが理解されるであろう。
当業者は、約20~23個の塩基対、例えば、21個の塩基対の二本鎖構造を有するdsRNAが、RNA干渉を誘導するのに特に有効であることが認められたことを十分に認識している(Elbashir et al.,(2001)EMBO J.,:6877-6888)。しかしながら、他の当業者が、より短い又はより長いRNA二本鎖構造も有効であり得ることを見出した(Chu and Rana(2007)RNA 14:1714-1719;Kim et al.(2005)Nat Biotech 23:222-226)。上記の実施形態において、本明細書に示されるオリゴヌクレオチド配列の性質によって、本明細書に記載されるdsRNAは、最小限の21ヌクレオチド長の少なくとも1本の鎖を含み得る。一端又は両端におけるごくわずかな数のヌクレオチドを差し引いた、より短い二本鎖が、上記のdsRNAと比較して、同様に有効であり得ることが当然予測され得る。したがって、本明細書に示される配列のうちの1つからの、少なくとも15、16、17、18、19、20、又はそれ以上の連続するヌクレオチド配列を有するdsRNAであって、LDHA遺伝子又はHAO1遺伝子の発現を阻害する能力が、完全な配列を含むdsRNAとは約5、10、15、20、25、又は30%以下の阻害だけ異なるdsRNAが、本発明の範囲内にあるものと考えられる。
更に、表2~5のいずれか1つに記載されるRNAは、RISC媒介性切断を起こしやすいLDHA転写物における部位を同定し、表7~14のいずれか1つに記載されるRNAは、RISC媒介性切断を起こしやすいHAO1転写物における部位を同定する。したがって、本発明は更に、この部位内を標的とするiRNAを特徴とする。本明細書において使用される際、iRNAが、その特定の部位内のいずれかの箇所で転写物の切断を促す場合、iRNAは、RNA転写物の特定の部位内を標的とするとされている。このようなiRNAは、一般に、遺伝子中の選択された配列に隣接する領域から取られた更なるヌクレオチド配列に結合された、本明細書に示される配列のうちの1つからの少なくとも約15連続ヌクレオチドを含むであろう。
標的配列は、一般に、約15~30ヌクレオチド長であるが、任意の所与の標的RNAの切断を導くために、この範囲内の特定の配列の適合性は様々である。本明細書に記載される様々なソフトウェアパッケージ及び指針は、任意の所与の遺伝子標的のために最適な標的配列の特定のための指針を与えるが、所与のサイズ(非限定的な例として、21ヌクレオチド)の「ウインドウ」又は「マスク」が、標的配列としての役割を果たし得るサイズ範囲内の配列を特定するために、標的RNA配列上に文字通りに又は比喩的に(例えば、インシリコを含む)置かれる、経験的手法を取ることもできる。完全な一連の可能な配列が、選択された任意の所与の標的サイズについて特定されるまで、初期の標的配列位置の1ヌクレオチド上流又は下流に徐々に配列「ウインドウ」を移動させることによって、次の潜在的な標的配列を特定することができる。このプロセスは、最適に機能する配列を特定するために(本明細書に記載されるか又は当該技術分野において公知のアッセイを用いて)特定された配列の系統的合成及び試験とともに、iRNA剤を用いて標的化されるとき、標的遺伝子の発現の最良の阻害を仲介するRNA配列を特定することができる。したがって、例えば、本明細書で特定される配列が、有効な標的配列を表すが、同等の又はより良好な阻害特性を有する配列を特定するために、所与の配列の1ヌクレオチド上流又は下流に徐々に「ウインドウを移動させる」ことによって、阻害効率の更なる最適化が達成され得ると考えられる。
更に、例えば、本明細書で特定される任意の配列について、より長い又はより短い配列を生成するためにヌクレオチドを系統的に加えるか又は除去し、より長い又は短いサイズのウインドウをその点から標的RNAの上方又は下方に移動させることによって生成される配列を試験することによって、更なる最適化が達成され得ると考えられる。また、当該技術分野において公知の及び/又は本明細書に記載される阻害アッセイにおいて、新規な候補標的を生成するためのこの手法を、それらの標的配列に基づいたiRNAの有効性の試験と結び付けることで、阻害の効率が更に向上され得る。更にまた、このような最適化された配列は、例えば、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において公知の修飾ヌクレオチドの導入、オーバーハングの追加又は変更、或いは発現阻害因子として分子を更に最適化するための当該技術分野において公知の及び/又は本明細書に説明される他の修飾(例えば、血清安定性の又は循環半減期の増加、熱安定性の増加、膜透過送達の向上、特定の位置又は細胞型への標的化、サイレンシング経路酵素との相互作用の増加、エンドソームからの放出の増加)によって調整され得る。
本明細書に記載されるiRNA剤は、標的配列との1つ又は複数のミスマッチを含み得る。一実施形態において、本明細書に記載されるiRNAは、3つ以下のミスマッチを含む。iRNAのアンチセンス鎖が、標的配列とのミスマッチを含む場合、ミスマッチの領域が相補性の領域の中心に位置しないのが好ましい。iRNAのアンチセンス鎖が標的配列とのミスマッチを含む場合、ミスマッチが、相補性の領域の5’末端又は3’末端のいずれかからの最後の5ヌクレオチド内に制限されるのが好ましい。例えば、23個のヌクレオチドのiRNA剤について、LDHA遺伝子又はHAO1遺伝子の領域に相補的な鎖は、一般に、中央の13個のヌクレオチド内にミスマッチを全く含まない。本明細書に記載される方法又は当該技術分野において公知の方法を用いて、標的配列とのミスマッチを含むiRNAがLDHA遺伝子及び/又はHAO1遺伝子の発現を阻害するのに有効であるかどうかを決定することができる。LDHA遺伝子及び/又はHAO1遺伝子の発現を阻害する際のミスマッチを有するiRNAの有効性を考慮することは、特に、LDHA遺伝子及び/又はHAO1遺伝子における特定の相補性の領域が集団内に多型配列変異を有することが分かっている場合に重要である。
2つのdsRNA剤を含む、本発明の二重標的化RNAi剤は、例えば、共有結合リンカーを介して共有結合される。共有結合リンカーは、当該技術分野において周知であり、例えば、核酸リンカー、ペプチドリンカー、炭水化物リンカーなどを含む。共有結合リンカーは、RNA及び/又はDNA及び/又はペプチドを含み得る。リンカーは、一本鎖、二本鎖、部分的に一本鎖、又は部分的に二本鎖であり得る。修飾ヌクレオチド又はヌクレオチドの混合物も、核酸リンカー中に存在し得る。
本発明の二重標的化剤に使用するための好適なリンカーとしては、全内容が参照により本明細書に援用される米国特許第9,187,746号明細書に記載されているものが挙げられる。
ある実施形態において、リンカーは、ジスルフィド結合を含む。リンカーは、切断可能又は切断不可能であり得る。
リンカーは、例えば、dTsdTuu=(5’-2’デオキシチミジル-3’-チオホスフェート-5’-2’デオキシチミジル-3’-ホスフェート-5’-ウリジル-3’-ホスフェート-5’-ウリジル-3’-ホスフェート);rUsrU(チオホスフェートリンカー:5’-ウリジル-3’-チオホスフェート-5’-ウリジル-3’-ホスフェート);rUrUリンカー;dTsdTaa(aadTsdT、5’-2’デオキシチミジル-3’-チオホスフェート-5’-2’デオキシチミジル-3’-ホスフェート-5’-アデニル-3’-ホスフェート-5’-アデニル-3’-ホスフェート);dTsdT(5’-2’デオキシチミジル-3’-チオホスフェート-5’-2’デオキシチミジル-3’-ホスフェート);dTsdTuu=uudTsdT=5’-2’デオキシチミジル-3’-チオホスフェート-5’-2’デオキシチミジル-3’-ホスフェート-5’-ウリジル-3’-ホスフェート-5’-ウリジル-3’-ホスフェートであり得る。
リンカーは、ポリ(5’-アデニル-3’-ホスフェート-AAAAAAAA)又はポリ(5’-シチジル-3’-ホスフェート-5’-ウリジル-3’-ホスフェート-CUCUCUCU))、例えば、Xn一本鎖ポリRNAリンカーなどのポリRNAであり得、ここで、nが、2以上50以下、好ましくは、4以上15以下、最も好ましくは、7以上8以下の整数である。修飾ヌクレオチド又はヌクレオチドの混合物はまた、前記ポリRNAリンカー中に存在し得る。共有結合リンカーは、ポリ(5’-2’デオキシチミジル-3’-ホスフェート-TTTTTTTT)などのポリDNAであり得、例えば、ここで、nが、2以上50以下、好ましくは、4以上15以下、最も好ましくは、7以上8以下の整数である。修飾ヌクレオチド又はヌクレオチドの混合物はまた、前記ポリDNAリンカー、一本鎖ポリDNAリンカー中に存在し得、ここで、nが、2以上50以下、好ましくは、4を含む、最も好ましくは、7以上8以下の整数である。修飾ヌクレオチド又はヌクレオチドの混合物はまた、前記ポリDNAリンカー中に存在し得る。
リンカーは、ジスルフィド結合、任意選択で、ビス-ヘキシル-ジスルフィドリンカーを含み得る。一実施形態において、ジスルフィドリンカーは、
である。
リンカーは、ペプチド結合を含み得、例えば、アミノ酸を含む。一実施形態において、共有結合リンカーは、好ましくは、4~5つのアミノ酸、任意選択で、X-Gly-Phe-Gly-Yを含む、1~10アミノ酸長のリンカーであり、ここで、X及びYが、任意のアミノ酸を表す。
リンカーは、HEG、ヘキサエチレングリコールリンカーを含み得る。
共有結合リンカーは、第1のdsRNA剤のセンス鎖を、第2のdsRNA剤のセンス鎖に結合し;第1のdsRNA剤のアンチセンス鎖を、第2のdsRNA剤のアンチセンス鎖に結合し;第1のdsRNA剤のセンス鎖を、第2のdsRNA剤のアンチセンス鎖に結合し;又は第1のdsRNA剤のアンチセンス鎖を、第2のdsRNA剤のセンス鎖に結合し得る。
ある実施形態において、共有結合リンカーは、後述される少なくとも1つのリガンドを更に含む。
III.本発明の修飾iRNA
一実施形態において、本発明のiRNAのRNA、例えば、dsRNAは、修飾されておらず、例えば、当該技術分野において公知の及び本明細書に記載される化学的修飾及び/又はコンジュゲートを含まない。別の実施形態において、本発明のiRNAのRNA、例えば、dsRNAは、安定性又は他の有益な特性を向上させるために化学的に修飾される。本発明の特定の実施形態において、本発明のiRNAのヌクレオチドの実質的に全てが修飾される。本発明の他の実施形態において、本発明のiRNAのヌクレオチドの全てが修飾される。「ヌクレオチドの実質的に全てが修飾される」本発明のiRNAは、大部分は修飾されるが、完全に修飾されるわけではなく、5つ以下、4つ以下、3つ以下、2つ以下、又は1つ以下の非修飾ヌクレオチドを含み得る。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される実施形態において(即ち、二重標的化RNAi剤)、第1の剤のヌクレオチドの実質的に全て及び第2の剤のヌクレオチドの実質的に全ては、独立して、修飾されてもよく;第1の剤のヌクレオチドの全ては、修飾されてもよく、第2の剤のヌクレオチドの全ては、独立して、修飾されてもよく;第1の剤のヌクレオチドの実質的に全て及び第2の剤のヌクレオチドの全ては、独立して、修飾されてもよく;又は第1の剤のヌクレオチドの全ては、修飾されてもよく、第2の剤のヌクレオチドの実質的に全ては、独立して、修飾されてもよい。
本発明のある態様において、本発明のiRNAのヌクレオチドの実質的に全ては、修飾され、iRNA剤は、2’-フルオロ修飾(例えば、9つ以下の2’-フルオロ修飾、8つ以下の2’-フルオロ修飾、7つ以下の2’-フルオロ修飾、6つ以下の2’-フルオロ修飾、5つ以下の2’-フルオロ修飾、4つ以下の2’-フルオロ修飾、5つ以下の2’-フルオロ修飾、4つ以下の2’-フルオロ修飾、3つ以下の2’-フルオロ修飾、又は2つ以下の2’-フルオロ修飾)を含む10個以下のヌクレオチドを含む。例えば、ある実施形態において、センス鎖は、2’-フルオロ修飾(例えば、3つ以下の2’-フルオロ修飾、又は2つ以下の2’-フルオロ修飾)を含む4つ以下のヌクレオチドを含む。他の実施形態において、アンチセンス鎖は、2’-フルオロ修飾(例えば、5つ以下の2’-フルオロ修飾、4つ以下の2’-フルオロ修飾、4つ以下の2’-フルオロ修飾、又は2つ以下の2’-フルオロ修飾)を含む6つ以下のヌクレオチドを含む。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される実施形態において(即ち、二重標的化RNAi剤)、第1の剤のヌクレオチドの実質的に全て及び/又は第2の剤のヌクレオチドの実質的に全ては、独立して、修飾されてもよく、第1及び第2の剤は、独立して、2’-フルオロ修飾を含む10個以下のヌクレオチドを含み得る。
本発明の他の態様において、本発明のiRNAのヌクレオチドの全ては、修飾され、iRNA剤は、2’-フルオロ修飾(例えば、9つ以下の2’-フルオロ修飾、8つ以下の2’-フルオロ修飾、7つ以下の2’-フルオロ修飾、6つ以下の2’-フルオロ修飾、5つ以下の2’-フルオロ修飾、4つ以下の2’-フルオロ修飾、5つ以下の2’-フルオロ修飾、4つ以下の2’-フルオロ修飾、3つ以下の2’-フルオロ修飾、又は2つ以下の2’-フルオロ修飾)を含む10個以下のヌクレオチドを含む。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される実施形態において(即ち、二重標的化RNAi剤)、第1の剤のヌクレオチドの全て及び/又は第2の剤のヌクレオチドの全ては、独立して、修飾されてもよく、第1及び第2の剤は、独立して、2’-フルオロ修飾を含む10個以下のヌクレオチドを含み得る。
一実施形態において、本発明の二本鎖RNAi剤は、アンチセンス鎖の5’ヌクレオチドにおいて5’-ホスフェート又は5’-ホスフェート模倣体を更に含む。別の実施形態において、二本鎖RNAi剤は、アンチセンス鎖の5’ヌクレオチドにおいて5’-ホスフェート模倣体を更に含む。特定の実施形態において、5’-ホスフェート模倣体は、5’-ビニルホスフェート(5’-VP)である。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される実施形態において(即ち、二重標的化RNAi剤)、第1の剤は、アンチセンス鎖の5’ヌクレオチドにおいて5’-ホスフェート又は5’-ホスフェート模倣体を更に含んでいてもよく;第2の剤は、アンチセンス鎖の5’ヌクレオチドにおいて5’-ホスフェート又は5’-ホスフェート模倣体を更に含んでいてもよく;又は第1の剤及び第2の剤は、独立して、アンチセンス鎖の5’ヌクレオチドにおいて5’-ホスフェート又は5’-ホスフェート模倣体を更に含んでいてもよい。
本発明に取り上げられる核酸は、参照により本明細書に援用される“Current protocols in nucleic acid chemistry,”Beaucage,S.L.et al.(Edrs.),John Wiley&Sons,Inc.,New York,NY,USAに記載されるものなどの当該技術分野において十分に確立された方法によって合成及び/又は修飾され得る。修飾としては、例えば、末端修飾、例えば、5’末端修飾(リン酸化、コンジュゲート、逆結合(inverted linkage))又は3’末端修飾(コンジュゲート、DNAヌクレオチド、逆結合など);塩基修飾、例えば、安定塩基、不安定塩基、又は広範なパートナーと塩基対合する塩基による置換、塩基の除去(非塩基性ヌクレオチド)、又はコンジュゲート塩基;糖修飾(例えば、2’位又は4’位で)又は糖の置換;及び/又はホスホジエステル結合の修飾又は置換を含む骨格修飾が挙げられる。本明細書に記載される実施形態に有用なiRNA化合物の具体例としては、限定はされないが、修飾された骨格を含むか又は天然のヌクレオシド間結合を含まないRNAが挙げられる。修飾された骨格を有するRNAとしては、特に、骨格中にリン原子を有さないものが挙げられる。本明細書の目的のために、及び当該技術分野において時折言及されるように、ヌクレオシド間骨格中にリン原子を有さない、修飾RNAは、オリゴヌクレオシドであるとみなすこともできる。ある実施形態において、修飾iRNAは、そのヌクレオシド間骨格中にリン原子を有する。
修飾RNA骨格としては、例えば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルホスホネート並びに3’-アルキレンホスホネート及びキラルホスホネートを含む他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’-アミノホスホロアミデート及びアミノアルキルホスホロアミデートを含むホスホロアミデート、チオノホスホロアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、及び通常の3’-5’結合を有するボラノホスフェート、これらの2’-5’結合類似体、及びヌクレオシド単位の隣接する対が、3’-5’~5’-3’又は2’-5’~5’-2’に結合する、反転極性を有するものが挙げられる。様々な塩、混合塩及び遊離酸形態も含まれる。
上記のリン含有結合の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、米国特許第3,687,808号明細書;同第4,469,863号明細書;同第4,476,301号明細書;同第5,023,243号明細書;同第5,177,195号明細書;同第5,188,897号明細書;同第5,264,423号明細書;同第5,276,019号明細書;同第5,278,302号明細書;同第5,286,717号明細書;同第5,321,131号明細書;同第5,399,676号明細書;同第5,405,939号明細書;同第5,453,496号明細書;同第5,455,233号明細書;同第5,466,677号明細書;同第5,476,925号明細書;同第5,519,126号明細書;同第5,536,821号明細書;同第5,541,316号明細書;同第5,550,111号明細書;同第5,563,253号明細書;同第5,571,799号明細書;同第5,587,361号明細書;同第5,625,050号明細書;同第6,028,188号明細書;同第6,124,445号明細書;同第6,160,109号明細書;同第6,169,170号明細書;同第6,172,209号明細書;同第6、239,265号明細書;同第6,277,603号明細書;同第6,326,199号明細書;同第6,346,614号明細書;同第6,444,423号明細書;同第6,531,590号明細書;同第6,534,639号明細書;同第6,608,035号明細書;同第6,683,167号明細書;同第6,858,715号明細書;同第6,867,294号明細書;同第6,878,805号明細書;同第7,015,315号明細書;同第7,041,816号明細書;同第7,273,933号明細書;同第7,321,029号明細書;及び米国再発行特許第RE39464号明細書が挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
内部にリン原子を含まない修飾RNA骨格は、短鎖アルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子及びアルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、又は1つ又は複数の短鎖ヘテロ原子若しくは複素環式ヌクレオシド間結合によって形成される骨格を有する。これらとしては、モルホリノ結合(一部がヌクレオシドの糖部分から形成された)を有するもの;シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシド及びスルホン骨格;ホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファメート骨格;メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノ骨格;スルホネート及びスルホンアミド骨格;アミド骨格;並びに混合N、O、S及びCH2構成要素部分を有する他のものが挙げられる。
上記のオリゴヌクレオシドの調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、米国特許第5,034,506号明細書;同第5,166,315号明細書;同第5,185,444号明細書;同第5,214,134号明細書;同第5,216,141号明細書;5,同第235,033号明細書;同第5,64,562号明細書;同第5,264,564号明細書;同第5,405,938号明細書;同第5,434,257号明細書;同第5,466,677号明細書;同第5,470,967号明細書;同第5,489,677号明細書;同第5,541,307号明細書;同第5,561,225号明細書;同第5,596,086号明細書;同第5,602,240号明細書;同第5,608,046号明細書;同第5,610,289号明細書;同第5,618,704号明細書;同第5,623,070号明細書;同第5,663,312号明細書;同第5,633,360号明細書;5,677,437号明細書;及び同第5,677,439号明細書が挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
他の実施形態において、好適なRNA模倣体が、iRNAにおける使用のために考えられ、ここで、糖及びヌクレオシド間結合の両方、即ち、ヌクレオチド単位の骨格が、新規な基で置換される。塩基単位は、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのために維持される。優れたハイブリダイゼーション特性を有することが示されている、このようなオリゴマー化合物の1つであるRNA模倣体は、ペプチド核酸(PNA)と呼ばれる。PNA化合物において、RNAの糖骨格が、アミド含有骨格、特に、アミノエチルグリシン骨格で置換される。核酸塩基は、保持され、骨格のアミド部分のアザ窒素原子に直接又は間接的に結合される。PNA化合物の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、米国特許第5,539,082;同第5,714,331号明細書;及び同第5,719,262号明細書が挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。本発明のiRNAに使用するのに好適な更なるPNA化合物が、例えば、Nielsen et al.,Science,1991,254,1497-1500に記載されている。
本発明に取り上げられるある実施形態は、ホスホロチオエート骨格を有するRNA及びヘテロ原子骨格を有するオリゴヌクレオシドを含み、特に、上述した米国特許第5,489,677号明細書の--CH2--NH--CH2-、--CH2--N(CH3)--O--CH2--[メチレン(メチルイミノ)又はMMI骨格として知られている]、--CH2--O--N(CH3)--CH2--、--CH2--N(CH3)--N(CH3)--CH2--及び--N(CH3)--CH2--CH2--[式中、天然のホスホジエステル骨格は、--O--P--O--CH2--として表される]、及び上述した米国特許第5,602,240号明細書のアミド骨格を含む。ある実施形態において、本明細書に取り上げられるRNAは、上述した米国特許第5,034,506号明細書のモルホリノ骨格構造を有する。
修飾RNAは、1つ又は複数の置換された糖部分も含有し得る。本明細書に取り上げられるiRNA、例えば、dsRNAは、2’位において、OH;F;O-、S-、又はN-アルキル;O-、S-、又はN-アルケニル;O-、S-又はN-アルキニル;又はO-アルキル-O-アルキルのうちの1つを含むことができ、ここで、アルキル、アルケニル及びアルキニルは、置換又は非置換のC1~C10アルキル又はC2~C10アルケニル及びアルキニルであり得る。例示的な好適な修飾は、O[(CH2)nO]mCH3、O(CH2).nOCH3、O(CH2)nNH2、O(CH2)nCH3、O(CH2)nONH2、及びO(CH2)nON[(CH2)nCH3)]2を含み、式中、n及びmが、1~約10である。他の実施形態において、dsRNAは、2’位において、C1~C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O-アルカリル又はO-アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、挿入基(intercalator)、iRNAの薬力学的特性を向上させる基、又はiRNAの薬物動態特性を向上させる基、及び同様の特性を有する他の置換基のうちの1つを含む。ある実施形態において、修飾は、2’-メトキシエトキシ(2’-O-(2-メトキシエチル)又は2’-MOEとしても知られている2’-O--CH2CH2OCH3)(Martin et al.,Helv.Chim.Acta,1995,78:486-504)、即ち、アルコキシ-アルコキシ基を含む。別の例示的な修飾は、本明細書において以下の実施例に記載される、2’-DMAOEとしても知られている2’-ジメチルアミノオキシエトキシ、即ち、O(CH2)2ON(CH3)2基、及び2’-ジメチルアミノエトキシエトキシ(当該技術分野において、2’-O-ジメチルアミノエトキシエチル又は2’-DMAEOEとしても知られている)、即ち、2’-O--CH2--O--CH2--N(CH2)2である。更なる例示的な修飾は、5’-Me-2’-Fヌクレオチド、5’-Me-2’-OMeヌクレオチド、5’-Me-2’-デオキシリボヌクレオチド、(これらの3つのファミリーにおけるR及びS異性体の両方);2’-アルコキシアルキル;及び2’-NMA(N-メチルアセトアミド)を含む。
他の修飾は、2’-メトキシ(2’-OCH3)、2’-アミノプロポキシ(2’-OCH2CH2CH2NH2)及び2’-フルオロ(2’-F)を含む。同様の修飾を、iRNAのRNAにおける他の位置、特に、3’末端ヌクレオチド上又は2’-5’結合dsRNA中の糖の3’位及び5’末端ヌクレオチドの5’位で行うこともできる。iRNAはまた、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分などの糖模倣体を有し得る。このような修飾された糖構造の調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、米国特許第4,981,957号明細書;同第5,118,800号明細書;同第5,319,080号明細書;同第5,359,044号明細書;同第5,393,878号明細書;同第5,446,137号明細書;同第5,466,786号明細書;同第5,514,785号明細書;同第5,519,134号明細書;同第5,567,811号明細書;同第5,576,427号明細書;同第5,591,722号明細書;同第5,597,909号明細書;同第5,610,300号明細書;同第5,627,053号明細書;同第5,639,873号明細書;同第5,646,265号明細書;同第5,658,873号明細書;同第5,670,633号明細書;及び同第5,700,920号明細書が挙げられ、これらのうちのいくつかは、本出願と所有者が同一である。上記のそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
本発明のiRNAは、核酸塩基(当該技術分野において多くの場合、単に「塩基」と称される)修飾又は置換も含み得る。本明細書において使用される際、「非修飾」又は「天然」核酸塩基は、プリン塩基アデニン(A)及びグアニン(G)、並びにピリミジン塩基チミン(T)、シトシン(C)及びウラシル(U)を含む。修飾核酸塩基は、5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニン及びグアニンの6-メチル及び他のアルキル誘導体、アデニン及びグアニンの2-プロピル及び他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン及び2-チオシトシン、5-ハロウラシル及びシトシン、5-プロピニルウラシル及びシトシン、6-アゾウラシル、シトシン及びチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル及び他の8-置換アデニン及びグアニン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチル及び他の5-置換ウラシル及びシトシン、7-メチルグアニン及び7-メチルアデニン、8-アザグアニン及び8-アザアデニン、7-デアザグアニン及び7-ダアザアデニン(daazaadenine)並びに3-デアザグアニン及び3-デアザアデニンなどの他の合成及び天然核酸塩基を含む。更なる核酸塩基としては、米国特許第3,687,808号明細書に開示されるもの、Modified Nucleosides in Biochemistry,Biotechnology and Medicine,Herdewijn,P.ed.Wiley-VCH,2008に開示されるもの;Concise Encyclopedia Of Polymer Science and Engineering,pp.858-859,Kroschwitz,J.L,ed.John Wiley&Sons,1990に開示されるもの、Englisch et al.,(1991)Angewandte Chemie,International Edition,30:613によって開示されるもの、及びSanghvi,Y S.,Chapter 15,dsRNA Research and Applications,pp.289-302,Crooke,S.T.and Lebleu,B.,Ed.,CRC Press,1993によって開示されるものが挙げられる。これらの核酸塩基のいくつかは、本発明に取り上げられるオリゴマー化合物の結合親和性を高めるのに特に有用である。これらとしては、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル及び5-プロピニルシトシンを含む、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン及びN-2、N-6及び0-6置換プリンが挙げられる。5-メチルシトシン置換基が、核酸二本鎖安定性を0.6~1.2℃だけ増加させることが示されており(Sanghvi,Y.S.,Crooke,S.T.and Lebleu,B.,Eds.,dsRNA Research and Applications,CRC Press,Boca Raton,1993,pp.276-278)、例示的な塩基置換であり、特に2’-O-メトキシエチル糖修飾と組み合わされる場合は尚更である。
上記の修飾された核酸塩基並びに他の修飾された核酸塩基のいくつかの調製を教示する代表的な米国特許としては、限定はされないが、上記の米国特許第3,687,808号明細書、同4,845,205号明細書;同5,130,30号明細書;同5,134,066号明細書;同5,175,273号明細書;同5,367,066号明細書;同5,432,272号明細書;同5,457,187号明細書;同5,459,255号明細書;同5,484,908号明細書;同5,502,177号明細書;同5,525,711号明細書;同5,552,540号明細書;同5,587,469号明細書;同5,594,121号明細書、同5,596,091号明細書;同5,614,617号明細書;同5,681,941号明細書;同5,750,692号明細書;同6,015,886号明細書;同6,147,200号明細書;同6,166,197号明細書;同6,222,025号明細書;同6,235,887号明細書;同6,380,368号明細書;同6,528,640号明細書;同6,639,062号明細書;同6,617,438号明細書;同7,045,610号明細書;同7,427,672号明細書;及び同第7,495,088号明細書が挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
本発明のiRNAはまた、1つ又は複数のロックト核酸(LNA)を含むように修飾され得る。ロックト核酸は、修飾されたリボース部分を有するヌクレオチドであり、リボース部分は、2’及び4’炭素を結合する追加の架橋を含む。この構造は、3’-endo構造的立体配置におけるリボースを有効に「ロックする」。siRNAにロックト核酸を加えると、血清中のsiRNA安定性が増加し、オフターゲット効果が低下されることが示されている(Elmen,J.et al.,(2005)Nucleic Acids Research 33(1):439-447;Mook,OR.et al.,(2007)Mol Canc Ther 6(3):833-843;Grunweller,A.et al.,(2003)Nucleic Acids Research 31(12):3185-3193)。
本発明のiRNAはまた、1つ又は複数の二環式糖部分を含むように修飾され得る。「二環式糖」は、2個の原子の架橋によって修飾されたフラノシル環である。「二環式ヌクレオシド」(「BNA」)は、糖環の2個の炭素原子を結合し、それによって、二環式環系を形成する架橋を含む糖部分を有するヌクレオシドである。特定の実施形態において、架橋は、糖環の4’-炭素及び2’-炭素を結合する。したがって、ある実施形態において、本発明の剤は、1つ又は複数のロックト核酸(LNA)を含み得る。ロックト核酸は、修飾されたリボース部分を有するヌクレオチドであり、リボース部分は、2’及び4’炭素を結合する追加の架橋を含む。言い換えると、LNAは、4’-CH2-O-2’架橋を含む二環式糖部分を含むヌクレオチドである。この構造は、3’-endo構造的立体配置におけるリボースを有効に「ロックする」。siRNAにロックト核酸を加えると、血清中のsiRNA安定性が増加し、オフターゲット効果が低下されることが示されている(Elmen,J.et al.,(2005)Nucleic Acids Research 33(1):439-447;Mook,OR.et al.,(2007)Mol Canc Ther 6(3):833-843;Grunweller,A.et al.,(2003)Nucleic Acids Research 31(12):3185-3193)。本発明のポリヌクレオチドに使用するための二環式ヌクレオシドの例としては、限定はされないが、4’及び2’リボシル環原子の間の架橋を含むヌクレオシドが挙げられる。特定の実施形態において、本発明のアンチセンスポリヌクレオチド剤としては、4’-2’架橋を含む1つ又は複数の二環式ヌクレオシドが挙げられる。このような4’-2’架橋二環式ヌクレオシドの例としては、限定はされないが、4’-(CH2)-O-2’(LNA);4’-(CH2)-S-2’;4’-(CH2)2-O-2’(ENA);4’-CH(CH3)-O-2’(「拘束エチル」又は「cEt」とも呼ばれる)及び4’-CH(CH2OCH3)-O-2’(及びその類似体;例えば、米国特許第7,399,845号明細書を参照);4’-C(CH3)(CH3)-O-2’(及びその類似体;例えば、米国特許第8,278,283号明細書を参照);4’-CH2-N(OCH3)-2’(及びその類似体;例えば、米国特許第8,278,425号明細書を参照);4’-CH2-O-N(CH3)-2’(例えば、米国特許出願公開第2004/0171570号明細書を参照);4’-CH2-N(R)-O-2’(ここで、Rが、H、C1~C12アルキルである)、又は保護基(例えば、米国特許第7,427,672号明細書を参照);4’-CH2-C(H)(CH3)-2’(例えば、Chattopadhyaya et al.,J.Org.Chem.,2009,74,118-134を参照);及び4’-CH2-C(=CH2)-2’(及びその類似体;例えば、米国特許第8,278,426号明細書を参照)が挙げられる。これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
ロックト核酸ヌクレオチドの調製を教示する更なる代表的な米国特許及び米国特許公報としては、限定はされないが、米国特許第6,268,490号明細書;同6,525,191号明細書;同6,670,461号明細書;同6,770,748号明細書;同6,794,499号明細書;同6,998,484号明細書;同7,053,207号明細書;同7,034,133号明細書;同7,084,125号明細書;同7,399,845号明細書;同7,427,672号明細書;同7,569,686号明細書;同7,741,457号明細書;同8,022,193号明細書;同8,030,467号明細書;同8,278,425号明細書;同8,278,426号明細書;同8,278,283号明細書;米国特許出願公開第2008/0039618号明細書;及び米国特許出願公開第2009/0012281号明細書が挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
例えば、α-L-リボフラノース及びβ-D-リボフラノースを含む1つ又は複数の立体化学的糖配置を有する上記の二環式ヌクレオシドのいずれかが調製され得る(国際公開第99/14226号パンフレットを参照)。
本発明のiRNAはまた、1つ又は複数の拘束エチルヌクレオチドを含むように修飾され得る。本明細書において使用される際、「拘束エチルヌクレオチド」又は「cEt」は、4’-CH(CH3)-0-2’架橋を含む二環式糖部分を含むロックト核酸である。一実施形態において、拘束エチルヌクレオチドは、本明細書において「S-cEt」と呼ばれるS立体配置にある。
本発明のiRNAは、1つ又は複数の「立体配座的に制限されたヌクレオチド」(「CRN」)も含み得る。CRNは、リボースのC2’及びC4’炭素又はリボースのC3及び-C5’炭素を結合するリンカーを有するヌクレオチド類似体である。CRNは、リボース環を安定した立体配置へと固定し、mRNAに対するハイブリダイゼーション親和性(hybridization affinity)を高める。リンカーは、酸素を安定性及び親和性のために最適な位置に配置するのに十分な長さを有し、リボース環の歪み(puckering)を少なくする。
上記のCRNのいくつかの調製を教示する代表的な公報としては、限定はされないが、米国特許出願公開第2013/0190383号明細書;及びPCT公報の国際公開第2013/036868号パンフレットが挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
ある実施形態において、本発明のiRNAは、UNA(アンロックト(unlocked)核酸)ヌクレオチドである1つ又は複数のモノマーを含む。UNAは、アンロックト非環式核酸であり、ここで、糖の結合のいずれかが除去されており、アンロックト「糖」残基を形成する。一例において、UNAは、C1’-C4’の間の結合(即ち、C1’及びC4’炭素の間の共有炭素-酸素-炭素結合)が除去されたモノマーも包含する。別の例において、糖のC2’-C3’結合(即ち、C2’及びC3’炭素の間の共有炭素-炭素結合)が除去されている(参照により本明細書に援用される、Nuc.Acids Symp.Series,52,133-134(2008)及びFluiter et al.,Mol.Biosyst.,2009,10,1039を参照)。
UNAの調製を教示する代表的な米国特許公報としては、限定はされないが、米国特許第8,314,227号明細書;並びに米国特許出願公開第2013/0096289号明細書;同第2013/0011922号明細書;及び同第2011/0313020号明細書が挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
RNA分子の末端に対する潜在的に安定した修飾は、N-(アセチルアミノカプロイル)-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6-NHAc)、N-(カプロイル4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6)、N-(アセチル-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-NHAc)、チミジン-2’-0-デオキシチミジン(エーテル)、N-(アミノカプロイル)-4-ヒドロキシプロリノール(Hyp-C6-アミノ)、2-ドコサノイル-ウリジン-3”-ホスフェート、逆方向塩基(inverted base)dT(idT)などを含み得る。この修飾の開示は、PCT公開番号国際公開第2011/005861号パンフレットに見られる。
本発明のiRNAの他の修飾は、RNAi剤のアンチセンス鎖において5’ホスフェート又は5’ホスフェート模倣体、例えば、5’末端ホスフェート又はホスフェート模倣体を含む。好適なホスフェート模倣体は、例えば、全内容が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2012/0157511号明細書に開示されている。
いくつかの特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、表2~5のいずれか1つに列挙される剤の群から選択される、LDHA遺伝子の発現を阻害する剤である。他の実施形態において、本発明のRNAi剤は、LDHA遺伝子及びHAO1の発現を阻害する二重標的化iRNA剤であり、ここで、第1のdsRNAは、LDHA遺伝子の発現を阻害し、表2~5のいずれか1つに列挙される剤の群から選択され、第1のdsRNAは、HAO1遺伝子の発現を阻害し、表7~14のいずれか1つに列挙される剤の群から選択される。これらの剤のいずれも、リガンドを更に含み得る。
A.本発明のモチーフを含む修飾iRNA
本発明の特定の態様において、本発明の二本鎖RNAi剤としては、例えば、全内容が参照により本明細書に援用される、2012年11月16日に出願された国際公開第2013/075035号パンフレットに開示される化学修飾を有する剤が挙げられる。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される実施形態において(即ち、二重標的化RNAi剤)、第1の剤は、後述されるモチーフのいずれか1つ又は複数を含んでいてもよく、第2の剤は、後述されるモチーフのいずれか1つ又は複数を含んでいてもよく、又は第1の剤及び第2の剤は両方とも、独立して、後述されるモチーフのいずれか1つ又は複数を含み得ることが理解されるべきである。
したがって、本発明は、インビボでの標的遺伝子(即ち、LDHA遺伝子又はLDHA遺伝子及びHAO1遺伝子)の発現を阻害することが可能な二本鎖RNAi剤を提供する。RNAi剤は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含む。RNAi剤の各鎖は、12~30ヌクレオチド長の範囲であり得る。例えば、各鎖は、14~30ヌクレオチド長、17~30ヌクレオチド長、25~30ヌクレオチド長、27~30ヌクレオチド長、17~23ヌクレオチド長、17~21ヌクレオチド長、17~19ヌクレオチド長、19~25ヌクレオチド長、19~23ヌクレオチド長、19~21ヌクレオチド長、21~25ヌクレオチド長、又は21~23ヌクレオチド長であり得る。
センス鎖及びアンチセンス鎖は、典型的に、本明細書において「RNAi剤」とも呼ばれる二本鎖RNA(「dsRNA」)を形成する。RNAi剤の二本鎖領域は、12~30ヌクレオチド対長であり得る。例えば、二本鎖領域は、14~30ヌクレオチド対長、17~30ヌクレオチド対長、27~30ヌクレオチド対長、17~23ヌクレオチド対長、17~21ヌクレオチド対長、17~19ヌクレオチド対長、19~25ヌクレオチド対長、19~23ヌクレオチド対長、19~21ヌクレオチド対長、21~25ヌクレオチド対長、又は21~23ヌクレオチド対長であり得る。別の例では、二本鎖領域は、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、及び27ヌクレオチド長から選択される。
一実施形態において、RNAi剤は、1つ又は両方の鎖の3’末端、5’末端、又は両方の末端において1つ又は複数のオーバーハング領域及び/又はキャッピング基を含み得る。オーバーハングは、1~6ヌクレオチド長、例えば、2~6ヌクレオチド長、1~5ヌクレオチド長、2~5ヌクレオチド長、1~4ヌクレオチド長、2~4ヌクレオチド長、1~3ヌクレオチド長、2~3ヌクレオチド長、又は1~2ヌクレオチド長であり得る。オーバーハングは、1つの鎖が他の鎖より長い結果であるか、又は同じ長さの2つの鎖が互い違いになっている結果であり得る。オーバーハングは、標的mRNAとのミスマッチを形成し得るか、又はオーバーハングは、標的とされる遺伝子配列に相補的であり得るか、又は別の配列であり得る。第1及び第2の鎖がまた、例えば、ヘアピンを形成するように更なる塩基によって、又は他の非塩基リンカーによって結合され得る。
一実施形態において、RNAi剤のオーバーハング領域中のヌクレオチドはそれぞれ、独立して、限定はされないが、2-F、2’-Oメチル、チミジン(T)、2’-O-メトキシエチル-5-メチルウリジン(Teo)、2’-O-メトキシエチルアデノシン(Aeo)、2’-O-メトキシエチル-5-メチルシチジン(m5Ceo)、及びそれらの任意の組み合わせなどの2’-糖修飾を含む、修飾又は非修飾ヌクレオチドであり得る。例えば、TTは、いずれかの鎖上のいずれかの末端のためのオーバーハング配列であり得る。オーバーハングは、標的mRNAとのミスマッチを形成し得るか、又はオーバーハングは、標的とされる遺伝子配列に相補的であり得るか、又は別の配列であり得る。
RNAi剤のセンス鎖、アンチセンス鎖又は両方の鎖における5’-又は3’-オーバーハングは、リン酸化され得る。ある実施形態において、オーバーハング領域は、2つのヌクレオチド間にホスホロチオエートを有する2つのヌクレオチドを含み、ここで、2つのヌクレオチドは、同じか又は異なり得る。一実施形態において、オーバーハングは、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の3’末端に存在する。一実施形態において、この3’-オーバーハングは、アンチセンス鎖中に存在する。一実施形態において、この3’-オーバーハングは、センス鎖中に存在する。
RNAi剤は、その全体的安定性に影響を与えずに、RNAiの干渉活性を強化し得る1つのみのオーバーハングを含み得る。例えば、一本鎖オーバーハングは、センス鎖の3’末端、或いはアンチセンス鎖の3’末端に位置し得る。RNAiは、アンチセンス鎖の5’末端(又はセンス鎖の3’末端)又はその逆に位置する平滑末端も有し得る。一般に、RNAiのアンチセンス鎖は、3’末端にヌクレオチドオーバーハングを有し、5’末端は平滑である。理論に制約されるのを望むものではないが、アンチセンス鎖の5’末端及びアンチセンス鎖の3’末端オーバーハングにおける非対称の平滑末端は、RISCプロセスへのガイド鎖導入に有利に作用する。
一実施形態において、RNAi剤は、19ヌクレオチド長の平滑末端二本鎖(double ended bluntmer)であり、センス鎖は、5’末端から7位、8位、9位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’-F修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。
別の実施形態において、RNAi剤は、20ヌクレオチド長の平滑末端二本鎖であり、センス鎖は、5’末端から8位、9位、10位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’-F修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。
更に別の実施形態において、RNAi剤は、21ヌクレオチド長の平滑末端二本鎖であり、センス鎖は、5’末端から9位、10位、11位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’-F修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。
一実施形態において、RNAi剤は、21ヌクレオチドセンス鎖及び23ヌクレオチドアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、5’末端から9位、10位、11位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’-F修飾の少なくとも1つのモチーフを含み;アンチセンス鎖は、5’末端から11位、12位、13位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含み、RNAi剤の一方の末端が平滑である一方、他方の末端は、2つのヌクレオチドオーバーハングを含む。好ましくは、2つのヌクレオチドオーバーハングは、アンチセンス鎖の3’末端にある。
2つのヌクレオチドオーバーハングが、アンチセンス鎖の3’末端にある場合、末端の3つのヌクレオチドの間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合があり得、3つのうちの2つのヌクレオチドが、オーバーハングヌクレオチドであり、第3のヌクレオチドは、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドである。一実施形態において、RNAi剤は、センス鎖の5’末端及びアンチセンス鎖の5’末端の両方における末端の3つのヌクレオチドの間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を更に有する。一実施形態において、モチーフの一部であるヌクレオチドを含む、RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖中の全てのヌクレオチドが、修飾ヌクレオチドである。一実施形態において、各残基が、独立して、例えば、交互のモチーフ中で、2’-O-メチル又は3’-フルオロで修飾される。任意選択で、RNAi剤は、リガンド(好ましくは、GalNAc3)を更に含む。
一実施形態において、RNAi剤は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、センス鎖は、25~30ヌクレオチド残基長であり、5’末端ヌクレオチド(1位)を起点として、第1の鎖の1~23位が、少なくとも8つのリボヌクレオチドを含み;アンチセンス鎖は、36~66ヌクレオチド残基長であり、3’末端ヌクレオチドを起点として、センス鎖の1~23位と対合される位置において少なくとも8つのリボヌクレオチドを含んで、二本鎖を形成し;アンチセンス鎖の少なくとも3’末端ヌクレオチドが、センス鎖と対合されず、最大で6連続の3’末端ヌクレオチドが、センス鎖と対合されず、それによって、1~6つのヌクレオチドの3’一本鎖オーバーハングを形成し;アンチセンス鎖の5’末端は、センス鎖と対合されない10~30連続ヌクレオチドを含み、それによって、10~30個のヌクレオチド一本鎖5’オーバーハングを形成し;少なくともセンス鎖5’末端及び3’末端ヌクレオチドは、センス鎖及びアンチセンス鎖が最大の相補性のために整列される場合、アンチセンス鎖のヌクレオチドと対合される塩基であり、それによって、センス鎖とアンチセンス鎖との間に実質的に二本鎖の領域を形成し;アンチセンス鎖は、二本鎖核酸が哺乳動物細胞中に導入されたときに標的遺伝子の発現を低下させるように、アンチセンス鎖長の少なくとも19個のリボヌクレオチドに沿って標的RNAに十分に相補的であり;センス鎖は、3連続ヌクレオチドにおける3つの2’-F修飾の少なくとも1つのモチーフを含み、ここで、モチーフのうちの少なくとも1つが、切断部位又はその近傍に存在する。アンチセンス鎖は、切断部位又はその近傍に3連続ヌクレオチドにおける3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む。
一実施形態において、RNAi剤は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、RNAi剤は、少なくとも25且つ29以下のヌクレオチド長を有する第1の鎖と、5’末端から11位、12位、13位の3連続ヌクレオチドにおける3つの2’-O-メチル修飾の少なくとも1つのモチーフを含む、30ヌクレオチド長以下を有する第2の鎖とを含み;第1の鎖の3’末端及び第2の鎖の5’末端が、平滑末端を形成し、第2の鎖は、その3’末端で第1の鎖より1~4ヌクレオチド長く、二本鎖領域は、少なくとも25ヌクレオチド長であり、第2の鎖は、RNAi剤が哺乳動物細胞中に導入されたときに標的遺伝子の発現を低下させるように、第2の鎖長の少なくとも19のヌクレオチドに沿って標的mRNAに十分に相補的であり、RNAi剤のダイサー切断(dicer cleavage)が、第2の鎖の3’末端を含むsiRNAを優先的にもたらし、それにより、哺乳動物における標的遺伝子の発現を低下させる。任意選択で、RNAi剤は、リガンドを更に含む。
一実施形態において、RNAi剤のセンス鎖は、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを含み、モチーフの1つは、センス鎖の切断部位に存在する。
一実施形態において、RNAi剤のアンチセンス鎖も、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを含むことができ、モチーフの1つは、アンチセンス鎖の切断部位又はその近傍に存在する。
17~23ヌクレオチド長の二本鎖領域を有するRNAi剤では、アンチセンス鎖の切断部位は、典型的に、5’末端から10位、11位及び12位の付近である。したがって、3つの同一の修飾のモチーフは、アンチセンス鎖の5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて、又はアンチセンス鎖の5’末端から、二本鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、アンチセンス鎖の9位、10位、11位;10位、11位、12位;11位、12位、13位;12位、13位、14位;又は13位、14位、15位に存在し得る。アンチセンス鎖中の切断部位はまた、5’末端からのRNAiの二本鎖領域の長さに応じて変化し得る。
RNAi剤のセンス鎖は、鎖の切断部位に3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを含んでいてもよく;アンチセンス鎖は、鎖の切断部位又はその近傍に3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の少なくとも1つのモチーフを有し得る。センス鎖及びアンチセンス鎖がdsRNA二本鎖を形成する場合、センス鎖及びアンチセンス鎖は、センス鎖における3つのヌクレオチドの1つのモチーフ及びアンチセンス鎖における3つのヌクレオチドの1つのモチーフが、少なくとも1つのヌクレオチドの重複を有し、即ち、センス鎖中のモチーフの3つのヌクレオチドのうちの少なくとも1つが、アンチセンス鎖中のモチーフの3つのヌクレオチドのうちの少なくとも1つと塩基対を形成するように整列され得る。或いは、少なくとも2つのヌクレオチドが重複してもよく、又は全ての3つのヌクレオチドが重複してもよい。
一実施形態において、RNAi剤のセンス鎖は、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の2つ以上のモチーフを含み得る。第1のモチーフは、鎖の切断部位又はその近傍に存在してもよく、他のモチーフは、ウイング修飾(wing modification)であり得る。本明細書における「ウイング修飾」という用語は、同じ鎖の切断部位又はその近傍のモチーフから離れた鎖の別の部分に存在するモチーフを指す。ウイング修飾は、第1のモチーフに隣接するか、又は少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドによって隔てられている。モチーフが、互いに直接隣接している場合、モチーフの化学構造は、互いに異なり、モチーフが、1つ又は複数のヌクレオチドによって隔てられている場合、化学構造は、同じか又は異なり得る。2つ以上のウイング修飾が存在し得る。例えば、2つのウイング修飾が存在する場合、各ウイング修飾は、切断部位又はその近傍の第1のモチーフに対して1つの端部に又はリードモチーフ(lead motif)のいずれかの側に存在し得る。
センス鎖と同様に、RNAi剤のアンチセンス鎖は、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の2つ以上のモチーフを含んでいてもよく、モチーフの少なくとも1つが、鎖の切断部位又はその近傍に存在する。このアンチセンス鎖はまた、センス鎖に存在し得るウイング修飾と同様の配列で1つ又は複数のウイング修飾を含み得る。
一実施形態において、RNAi剤のセンス鎖又はアンチセンス鎖におけるウイング修飾は、典型的に、鎖の3’末端、5’末端又は両方の末端に第1の1つ又は2つの末端ヌクレオチドを含まない。
別の実施形態において、RNAi剤のセンス鎖又はアンチセンス鎖におけるウイング修飾は、典型的に、鎖の3’末端、5’末端又は両方の末端の二本鎖領域内に第1の1つ又は2つの対合ヌクレオチドを含まない。
RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖がそれぞれ、少なくとも1つのウイング修飾を含む場合、ウイング修飾は、二本鎖領域の同じ末端に位置してもよく、1つ、2つ又は3つのヌクレオチドの重複を有し得る。
RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖がそれぞれ、少なくとも2つのウイング修飾を含む場合、センス鎖及びアンチセンス鎖は、1つの鎖からの2つの修飾がそれぞれ、二本鎖領域の1つの末端に位置して、1つ、2つ又は3つのヌクレオチドの重複を有し;1つの鎖からの2つの修飾がそれぞれ、二本鎖領域の他方の末端に位置して、1つ、2つ又は3つのヌクレオチドの重複を有し;1つの鎖からの2つの修飾がリードモチーフの各側に位置して、二本鎖領域中に1つ、2つ又は3つのヌクレオチドの重複を有するように整列され得る。
一実施形態において、モチーフの一部であるヌクレオチドを含む、RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖中の全てのヌクレオチドが修飾され得る。各ヌクレオチドは、同じ又は異なる修飾で修飾されてもよく、この修飾は、非結合リン酸酸素及び/又は結合リン酸酸素の1つ又は複数の一方又は両方の1つ又は複数の変更;リボース糖の成分、例えば、リボース糖の2’ヒドロキシルの変更;「脱リン(dephospho)」リンカーによるリン酸部分の大規模な置換;天然の塩基の修飾又は置換;及びリボース-リン酸骨格の置換又は修飾を含み得る。
核酸が、サブユニットのポリマーであるため、例えば、塩基、又はリン酸部分、又はリン酸部分の非結合Oの修飾といった修飾の多くは、核酸内の繰り返される位置に存在する。場合によっては、修飾は、核酸中の目的の位置の全てに存在し得るが、多くの場合、そうではない。例として、修飾は、3’又は5’末端位置のみに存在してもよく、末端領域、例えば、末端ヌクレオチド上の位置又は鎖の最後の2、3、4、5、又は10のヌクレオチドのみに存在してもよい。修飾は、二本鎖領域、一本鎖領域、又はその両方に存在してもよい。修飾は、RNAの二本鎖領域のみに存在してもよく、又はRNAの一本鎖領域のみに存在してもよい。例えば、非結合O位置におけるホスホロチオエート修飾は、一方又は両方の末端のみに存在してもよく、末端領域、例えば、末端ヌクレオチド上の位置又は鎖の最後の2、3、4、5、又は10のヌクレオチドのみに存在してもよく、又は二本鎖及び一本鎖領域、特に、末端に存在してもよい。5’末端又は両方の末端が、リン酸化され得る。
例えば、安定性を高めること、オーバーハング中に特定の塩基を含むこと、又は一本鎖オーバーハング、例えば、5’又は3’オーバーハング、又はその両方に修飾ヌクレオチド又はヌクレオチド代用物(surrogate)を含むことが可能であり得る。例えば、オーバーハング中にプリンヌクレオチドを含むことが望ましいことがある。ある実施形態において、3’又は5’オーバーハング中の塩基の全て又は一部が、例えば、本明細書に記載される修飾で修飾されてもよい。修飾は、例えば、当該技術分野において公知の修飾によるリボース糖の2’位における修飾の使用、例えば、核酸塩基のリボ糖の代わりにデオキシリボヌクレオチド、2’-デオキシ-2’-フルオロ(2’-F)又は2’-O-メチル修飾の使用、及びリン酸基の修飾、例えば、ホスホロチオエート修飾を含み得る。オーバーハングは、標的配列と相同である必要はない。
一実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖の各残基は、独立して、LNA、CRN、cET、UNA、HNA、CeNA、2’-メトキシエチル、2’-O-メチル、2’-O-アリル、2’-C-アリル、2’-デオキシ、2’-ヒドロキシル、又は2’-フルオロで修飾される。鎖は、2つ以上の修飾を含み得る。一実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖の各残基は、独立して、2’-O-メチル又は2’-フルオロで修飾される。
少なくとも2つの異なる修飾が、典型的に、センス鎖及びアンチセンス鎖に存在する。それらの2つの修飾は、2’-O-メチル又は2’-フルオロ修飾、又は他のものであり得る。
一実施形態において、Na及び/又はNbは、交互のパターンの修飾を含む。本明細書において使用される際の「交互のモチーフ」という用語は、1つ又は複数の修飾を有するモチーフを指し、各修飾が、1つの鎖の交互のヌクレオチドに存在する。交互のヌクレオチドは、1つおきのヌクレオチドに1つ又は3つおきのヌクレオチドに1つ、又は同様のパターンを指し得る。例えば、A、B及びCがそれぞれ、ヌクレオチドに対する1つのタイプの修飾を表す場合、交互のモチーフは、「ABABABABABAB・・・」、「AABBAABBAABB・・・」、「AABAABAABAAB・・・」、「AAABAAABAAAB・・・」、「AAABBBAAABBB・・・」、又は「ABCABCABCABC・・・」などであり得る。
交互のモチーフに含まれる修飾のタイプは、同じか又は異なり得る。例えば、A、B、C、Dがそれぞれ、ヌクレオチド上の1つのタイプの修飾を表す場合、交互のパターン、即ち、1つおきのヌクレオチドにおける修飾は、同じであってもよいが、センス鎖又はアンチセンス鎖のそれぞれが、「ABABAB・・・」、「ACACAC・・・」「BDBDBD・・・」又は「CDCDCD・・・」などの交互のモチーフ内の修飾のいくつかの可能性から選択され得る。
一実施形態において、本発明のRNAi剤は、アンチセンス鎖における交互のモチーフの修飾パターンに対してシフトされた、センス鎖における交互のモチーフの修飾パターンを含む。このシフトは、センス鎖のヌクレオチドの修飾基が、アンチセンス鎖のヌクレオチドの異なる修飾の基に対応するか、その逆であるようなシフトであり得る。例えば、センス鎖は、dsRNA二本鎖におけるアンチセンス鎖と対合される場合、センス鎖における交互のモチーフは、鎖の5’から3’へと「ABABAB」から開始してもよく、アンチセンス鎖における交互のモチーフは、二本鎖領域内の鎖の5’から3’へと「BABABA」から開始され得る。別の例として、センス鎖における交互のモチーフは、鎖の5’から3’へと「AABBAABB」から開始してもよく、アンチセンス鎖における交互のモチーフは、二本鎖領域内の鎖の5’から3’へと「BBAABBAA」から開始してもよく、それにより、センス鎖とアンチセンス鎖との間の修飾パターンの完全な又は部分的なシフトが存在する。
一実施形態において、RNAi剤は、センス鎖における2’-O-メチル修飾及び2’-F修飾の交互のモチーフのパターンを含み、このパターンは、最初に、アンチセンス鎖における2’-O-メチル修飾及び2’-F修飾の交互のモチーフのパターンに対するシフトを有し、即ち、センス鎖における2’-O-メチル修飾ヌクレオチドが、アンチセンス鎖における2’-F修飾ヌクレオチドと塩基対を形成し、その逆も同様である。センス鎖の1位は、2’-F修飾から開始してもよく、アンチセンス鎖の1位は、2’-O-メチル修飾から開始してもよい。
センス鎖及び/又はアンチセンス鎖への、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つ又は複数のモチーフの導入は、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖中に存在する最初の修飾パターンを中断する。センス鎖及び/又はアンチセンス鎖に3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾の1つ又は複数のモチーフを導入することによる、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖の修飾パターンのこの中断は、標的遺伝子の対する遺伝子サイレンシング活性を意外にも高める。
一実施形態において、3連続ヌクレオチド上の3つの同一の修飾のモチーフが、鎖のいずれかに導入される場合、モチーフに隣接するヌクレオチドの修飾は、モチーフの修飾と異なる修飾である。例えば、モチーフを含む配列の一部は、「・・・NaYYYNb・・・」であり、ここで、「Y」は、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾のモチーフの修飾を表し、「Na」及び「Nb」は、Yの修飾と異なる、モチーフ「YYY」に隣接するヌクレオチドの修飾を表し、Na及びNbは、同じか又は異なる修飾であり得る。或いは、Na及び/又はNbは、ウイング修飾が存在する場合、存在していても又は存在していなくてもよい。
RNAi剤は、少なくとも1つのホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合を更に含み得る。ホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合の修飾は、鎖のいずれかの位置の、センス鎖又はアンチセンス鎖又は両方の鎖の任意のヌクレオチドに存在し得る。例えば、ヌクレオチド間結合の修飾は、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖における全てのヌクレオチドに存在してもよく;各ヌクレオチド間結合の修飾は、センス鎖及び/又はアンチセンス鎖において交互のパターンで存在してもよく;又はセンス鎖又はアンチセンス鎖は、交互のパターンで両方のヌクレオチド間結合の修飾を含み得る。センス鎖におけるヌクレオチド間結合の修飾の交互のパターンは、アンチセンス鎖と同じか又は異なっていてもよく、センス鎖におけるヌクレオチド間結合の修飾の交互のパターンは、アンチセンス鎖におけるヌクレオチド間結合の修飾の交互のパターンに対するシフトを有し得る。一実施形態において、二本鎖RNAi剤は、6~8つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。一実施形態において、アンチセンス鎖は、5’末端に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合及び3’末端に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み、センス鎖は、5’末端又は3’末端のいずれかに少なくとも2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含む。
一実施形態において、RNAiは、オーバーハング領域にホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合の修飾を含む。例えば、オーバーハング領域は、2つのヌクレオチド間にホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合を有する2つのヌクレオチドを含み得る。ヌクレオチド間結合の修飾はまた、オーバーハングヌクレオチドを、二本鎖領域内の末端の対合ヌクレオチドと結合するために形成され得る。例えば、少なくとも2、3、4、又は全てのオーバーハングヌクレオチドが、ホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合によって結合されてもよく、任意選択で、オーバーハングヌクレオチドを、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドと結合する更なるホスホロチオエート又はメチルホスホネートヌクレオチド間結合が存在し得る。例えば、末端の3つのヌクレオチド間に少なくとも2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合が存在してもよく、3つのヌクレオチドのうちの2つが、オーバーハングヌクレオチドであり、第3のヌクレオチドが、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドである。これらの末端の3つのヌクレオチドは、アンチセンス鎖の3’末端、センス鎖の3’末端、アンチセンス鎖の5’末端、及び/又はアンチセンス鎖の5’末端に存在し得る。
一実施形態において、2つのヌクレオチドオーバーハングは、アンチセンス鎖の3’末端にあり、末端の3つのヌクレオチド間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合が存在し、3つのヌクレオチドのうちの2つが、オーバーハングヌクレオチドであり、第3のヌクレオチドが、オーバーハングヌクレオチドに隣接する対合ヌクレオチドである。任意選択で、RNAi剤は、センス鎖の5’末端及びアンチセンス鎖の5’末端の両方において、末端の3つのヌクレオチド間に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を更に有し得る。
RNAi剤は、標的とのミスマッチ、二本鎖内のミスマッチ、又はそれらの組み合わせを含む。ミスマッチは、オーバーハング領域又は二本鎖領域で生じ得る。塩基対は、解離又は融解(例えば、特定の対合の結合又は解離の自由エネルギーに対してであり、最も簡単な手法は、個々の対ごとに対を調べることであるが、類似の又は同様の分析も使用され得る)を促進する傾向に基づいて評価され得る。解離の促進に関して:A:Uが、G:Cより好ましく;G:Uが、G:Cより好ましく;I:Cが、G:Cより好ましい(I=イノシン)。ミスマッチ、例えば、非正準又は正準以外の対合(本明細書の他の箇所に記載される)が、正準な(A:T、A:U、G:C)対合より好ましく;ユニバーサル塩基を含む対合が、正準な対合より好ましい。
一実施形態において、RNAi剤は、A:U、G:U、I:Cの群から独立して選択されるアンチセンス鎖の5’末端からの二本鎖領域内の最初の1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの塩基対のうちの少なくとも1つ、及び二本鎖の5’末端におけるアンチセンス鎖の解離を促進するためのミスマッチ対、例えば、非正準又は正準以外の対合又はユニバーサル塩基を含む対合を含む。
一実施形態において、アンチセンス鎖の5’末端からの二本鎖領域内の1位におけるヌクレオチドは、A、dA、dU、U、及びdTからなる群から選択される。或いは、アンチセンス鎖の5’末端からの二本鎖領域内の最初の1、2又は3塩基対のうちの少なくとも1つは、AU塩基対である。例えば、アンチセンス鎖の5’末端からの二本鎖領域内の第1の塩基対は、AU塩基対である。
別の実施形態において、センス鎖の3’末端におけるヌクレオチドは、デオキシ-チミン(dT)である。別の実施形態において、アンチセンス鎖の3’末端におけるヌクレオチドは、デオキシ-チミン(dT)である。一実施形態において、デオキシ-チミンヌクレオチド、例えば、センス及び/又はアンチセンス鎖に3’末端における2つのdTヌクレオチドの短い配列がある。
一実施形態において、センス鎖配列は、式(I):
5’np-Na-(XXX)i-Nb-YYY-Nb-(ZZZ)j-Na-nq3’(I)
(式中:
i及びjがそれぞれ、独立して、0又は1であり;
p及びqがそれぞれ、独立して、0~6であり;
各Naが、独立して、0~25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み;
各Nbが、独立して、0~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
各np及びnqが、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し;
ここで、Nb及びYが、同じ修飾を有さず;
XXX、YYY及びZZZがそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の1つのモチーフを表す)
によって表され得る。好ましくは、YYYが、全て2’-F修飾ヌクレオチドである。
一実施形態において、Na及び/又はNbは、交互のパターンの修飾を含む。
一実施形態において、YYYモチーフは、センス鎖の切断部位又はその近傍に存在する。例えば、RNAi剤が、17~23ヌクレオチド長の二本鎖領域を有する場合、YYYモチーフは、5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて;又は任意選択で、5’末端から、二本鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、センス鎖の切断部位又はその近傍に存在し得る(例えば:6位、7位、8位、7位、8位、9位、8位、9位、10位、9位、10位、11位、10位、11位、12位又は11位、12位、13位に存在し得る)。
一実施形態において、iが1であり、jが0であり、又はiが0であり、jが1であり、又はi及びjの両方が1である。したがって、センス鎖は、以下の式によって表され得る:
5’np-Na-YYY-Nb-ZZZ-Na-nq3’(Ib);
5’np-Na-XXX-Nb-YYY-Na-nq3’(Ic);又は
5’np-Na-XXX-Nb-YYY-Nb-ZZZ-Na-nq3’(Id)。
センス鎖が、式(Ib)によって表される場合、Nbは、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naは、独立して、2~20、2~15、又は2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
センス鎖が、式(Ic)として表される場合、Nbは、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naは、独立して、2~20、2~15、又は2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
センス鎖が、式(Id)として表される場合、各Nbは、独立して、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。好ましくは、Nbは、0、1、2、3、4、5又は6である。各Naは、独立して、2~20、2~15、又は2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
X、Y及びZのそれぞれが、互いに同じか又は異なり得る。
他の実施形態において、iが0であり、jが0であり、センス鎖は、以下の式によって表され得る:
5’np-Na-YYY-Na-nq3’(Ia)。
センス鎖が、式(Ia)によって表される場合、各Naは、独立して、2~20、2~15、又は2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し得る。
一実施形態において、RNAiのアンチセンス鎖配列は、式(II):
5’nq’-Na’-(Z’Z’Z’)k-Nb’-Y’Y’Y’-Nb’-(X’X’X’)l-N’a-np’3’(II)
(式中:
k及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり;
p’及びq’がそれぞれ、独立して、0~6であり;
各Na’が、独立して、0~25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み;
各Nb’が、独立して、0~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
各np’及びnq’が、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し;
ここで、Nb’及びY’が、同じ修飾を有さず;
X’X’X’、Y’Y’Y’及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチドにおける3つの同一の修飾の1つのモチーフを表す)
によって表され得る。
一実施形態において、Na’及び/又はNb’は、交互のパターンの修飾を含む。
Y’Y’Y’モチーフは、アンチセンス鎖の切断部位又はその近傍に存在する。例えば、RNAi剤が、17~23ヌクレオチド長の二本鎖領域を有する場合、Y’Y’Y’モチーフは、5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて;又は任意選択で、5’末端から、二本鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、アンチセンス鎖の9位、10位、11位;10位、11位、12位;11位、12位、13位;12位、13位、14位;又は13位、14位、15位に存在し得る。好ましくは、Y’Y’Y’モチーフは、11位、12位、13位に存在する。
一実施形態において、Y’Y’Y’モチーフは、全て2’-OMe修飾ヌクレオチドである。
一実施形態において、kが1であり、lが0であり、又はkが0であり、lが1であり、又はk及びlの両方が1である。
したがって、アンチセンス鎖は、以下の式によって表され得る:
5’nq’-Na’-Z’Z’Z’-Nb’-Y’Y’Y’-Na’-np’3’(IIb);
5’nq’-Na’-Y’Y’Y’-Nb’-X’X’X’-np’3’(IIc);又は
5’nq’-Na’-Z’Z’Z’-Nb’-Y’Y’Y’-Nb’-X’X’X’-Na’-np’3’(IId)。
アンチセンス鎖が、式(IIb)によって表される場合、Nb
’は、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na’は、独立して、2~20、2~15、又は2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
アンチセンス鎖が、式(IIc)として表される場合、Nb’は、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na’は、独立して、2~20、2~15、又は2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
アンチセンス鎖が、式(IId)として表される場合、各Nb’は、独立して、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2又は0の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na’は、独立して、2~20、2~15、又は2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。好ましくは、Nbは、0、1、2、3、4、5又は6である。
他の実施形態において、kが0であり、lが0であり、アンチセンス鎖は、以下の式によって表され得る:
5’np’-Na’-Y’Y’Y’-Na’-nq’3’(Ia)。
アンチセンス鎖が、式(IIa)として表される場合、各Na’は、独立して、2~20、2~15、又は2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
X’、Y’及びZ’のそれぞれが、互いに同じか又は異なり得る。
センス鎖及びアンチセンス鎖の各ヌクレオチドは、独立して、LNA、CRN、UNA、cET、HNA、CeNA、2’-メトキシエチル、2’-O-メチル、2’-O-アリル、2’-C-アリル、2’-ヒドロキシル、又は2’-フルオロで修飾され得る。例えば、センス鎖及びアンチセンス鎖の各ヌクレオチドは、独立して、2’-O-メチル又は2’-フルオロで修飾される。各X、Y、Z、X’、Y’及びZ’は、特に、2’-O-メチル修飾又は2’-フルオロ修飾を表し得る。
一実施形態において、RNAi剤のセンス鎖は、二本鎖領域が21のヌクレオチドである場合、5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて;又は任意選択で、5’末端から、二本鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、鎖の9位、10位及び11位に存在するYYYモチーフを含んでいてもよく;Yは、2’-F修飾を表す。センス鎖は、二本鎖領域の反対側の末端にウイング修飾としてXXXモチーフ又はZZZモチーフを更に含んでいてもよく;XXX及びZZZはそれぞれ、独立して、2’-OMe修飾又は2’-F修飾を表す。
一実施形態において、アンチセンス鎖は、5’末端から1つ目のヌクレオチドから数え始めて;又は任意選択で、5’末端から、二本鎖領域内の1つ目の対合ヌクレオチドから数え始めて、鎖の11位、12位、13位に存在するY’Y’Y’モチーフを含んでいてもよく;Y’は、2’-O-メチル修飾を表す。アンチセンス鎖は、二本鎖領域の反対側の末端にウイング修飾としてX’X’X’モチーフ又はZ’Z’Z’モチーフを更に含んでいてもよく;X’X’X’及びZ’Z’Z’はそれぞれ、独立して、2’-OMe修飾又は2’-F修飾を表す。
上の式(Ia)、(Ib)、(Ic)、及び(Id)のいずれか1つによって表されるセンス鎖はそれぞれ、式(IIa)、(IIb)、(IIc)、及び(IId)のいずれか1つによって表されるアンチセンス鎖と二本鎖を形成する。
したがって、本発明の方法に使用するためのRNAi剤は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含んでいてもよく、各鎖は、14~30のヌクレオチドを有し、RNAi二本鎖は、式(III):
センス:5’np-Na-(XXX)i-Nb-YYY-Nb-(ZZZ)j-Na-nq3’
アンチセンス:3’np
’-Na
’-(X’X’X’)k-Nb
’-Y’Y’Y’-Nb
’-(Z’Z’Z’)l-Na
’-nq
’5’
(III)
(式中:
i、j、k、及びlがそれぞれ、独立して、0又は1であり;
p、p’、q、及びq’がそれぞれ、独立して、0~6であり;
各Na及びNa
’が、独立して、0~25の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し、各配列が、少なくとも2つの異なる修飾のヌクレオチドを含み;
各Nb及びNb
’が、独立して、0~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表し;
ここで、
それぞれ存在していても又は存在していなくてもよい各np’、np、nq’、及びnqが、独立して、オーバーハングヌクレオチドを表し;
XXX、YYY、ZZZ、X’X’X’、Y’Y’Y’、及びZ’Z’Z’がそれぞれ、独立して、3連続ヌクレオチド上に3つの同一の修飾の1つのモチーフを表す)
によって表される。
一実施形態において、iが0であり、jが0であり;又はiが1であり、jが0であり;又はiが0であり、jが1であり;又はi及びjの両方が0であり;又はi及びjの両方が1である。別の実施形態において、kが0であり、lが0であり;又はkが1であり、lが0であり;kが0であり、lが1であり;又はk及びlの両方が0であり;又はk及びlの両方が1である。
RNAi二本鎖を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖の例示的な組み合わせは、以下の式を含む:
5’np-Na-YYY-Na-nq3’
3’np
’-Na
’-Y’Y’Y’-Na
’nq
’5’
(IIIa)
5’np-Na-YYY-Nb-ZZZ-Na-nq3’
3’np
’-Na
’-Y’Y’Y’-Nb
’-Z’Z’Z’-Na
’nq
’5’
(IIIb)
5’np-Na-XXX-Nb-YYY-Na-nq3’
3’np
’-Na
’-X’X’X’-Nb
’-Y’Y’Y’-Na
’-nq
’5’
(IIIc)
5’np-Na-XXX-Nb-YYY-Nb-ZZZ-Na-nq3’
3’np
’-Na
’-X’X’X’-Nb
’-Y’Y’Y’-Nb
’-Z’Z’Z’-Na-nq
’5’
(IIId)
RNAi剤が、式(IIIa)によって表される場合、各Naは、独立して、2~20、2~15、又は2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
RNAi剤が、式(IIIb)によって表される場合、各Nbは、独立して、1~10、1~7、1~5又は1~4の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naは、独立して、2~20、2~15、又は2~10の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
RNAi剤が、式(IIIc)として表される場合、各Nb、Nb’が、独立して、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2又は0個の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Naが、独立して、2~20、2~15、又は2~10個の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。
RNAi剤が、式(IIId)として表される場合、各Nb、Nb’が、独立して、0~10、0~7、0~10、0~7、0~5、0~4、0~2又は0個の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。各Na、Na’が、独立して、2~20、2~15、又は2~10個の修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド配列を表す。Na、Na’、Nb及びNb’のそれぞれは、独立して、交互のパターンの修飾を含む。
式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)中のX、Y及びZのそれぞれは、互いに同じか又は異なり得る。
RNAi剤が、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)によって表される場合、Yヌクレオチドの少なくとも1つが、Y’ヌクレオチドの1つと塩基対を形成し得る。或いは、Yヌクレオチドの少なくとも2つが、対応するY’ヌクレオチドと塩基対を形成し;又はYヌクレオチドの全ての3つが全て、対応するY’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
RNAi剤が、式(IIIb)又は(IIId)によって表される場合、Zヌクレオチドの少なくとも1つが、Z’ヌクレオチドの1つと塩基対を形成し得る。或いは、Zヌクレオチドの少なくとも2つが、対応するZ’ヌクレオチドと塩基対を形成し;又はZヌクレオチドの全ての3つが全て、対応するZ’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
RNAi剤が、式(IIIc)又は(IIId)として表される場合、Xヌクレオチドの少なくとも1つが、X’ヌクレオチドの1つと塩基対を形成し得る。或いは、Xヌクレオチドの少なくとも2つが、対応するX’ヌクレオチドと塩基対を形成し;又はXヌクレオチドの全ての3つが全て、対応するX’ヌクレオチドと塩基対を形成する。
一実施形態において、Yヌクレオチド上の修飾は、Y’ヌクレオチド上の修飾と異なり、Zヌクレオチド上の修飾は、Z’ヌクレオチド上の修飾と異なり、及び/又はXヌクレオチド上の修飾は、X’ヌクレオチド上の修飾と異なる。
一実施形態において、RNAi剤が、式(IIId)によって表される場合、Na修飾は、2’-O-メチル又は2’-フルオロ修飾である。別の実施形態において、RNAi剤が、式(IIId)によって表される場合、Na修飾は、2’-O-メチル又は2’-フルオロ修飾であり、np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合される。更に別の実施形態において、RNAi剤が、式(IIId)によって表される場合、Na修飾は、2’-O-メチル又は2’-フルオロ修飾であり、np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され、センス鎖は、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体にコンジュゲートされる(後述される)。別の実施形態において、RNAi剤が、式(IIId)によって表される場合、Na修飾は、2’-O-メチル又は2’-フルオロ修飾であり、np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され、センス鎖は、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含み、センス鎖は、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体にコンジュゲートされる。
一実施形態において、RNAi剤が、式(IIIa)によって表される場合、Na修飾は、2’-O-メチル又は2’-フルオロ修飾であり、np’>0であり、少なくとも1つのnp’が、ホスホロチオエート結合を介して隣接するヌクレオチドに結合され、センス鎖は、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含み、センス鎖は、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc誘導体にコンジュゲートされる。
一実施形態において、RNAi剤は、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)によって表される少なくとも2つの二本鎖を含む多量体であり、この二本鎖は、リンカーによって結合される。リンカーは、切断可能又は切断不可能であり得る。任意選択で、多量体は、リガンドを更に含む。二本鎖のそれぞれは、同じ遺伝子又は2つの異なる遺伝子を標的とすることができ;又は二本鎖のそれぞれは、2つの異なる標的部位において同じ遺伝子を標的とすることができる。
一実施形態において、RNAi剤は、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)によって表される3つ、4つ、5つ、6つ又はそれ以上の二本鎖を含む多量体であり、この二本鎖は、リンカーによって結合される。リンカーは、切断可能又は切断不可能であり得る。任意選択で、多量体は、リガンドを更に含む。二本鎖のそれぞれは、同じ遺伝子又は2つの異なる遺伝子を標的とすることができ;又は二本鎖のそれぞれは、2つの異なる標的部位において同じ遺伝子を標的とすることができる。
一実施形態において、式(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、及び(IIId)によって表される2つのRNAi剤は、5’末端、及び3’末端の一方又は両方で互いに結合され、任意選択で、リガンドにコンジュゲートされる。RNAi剤のそれぞれは、同じ遺伝子又は2つの異なる遺伝子を標的とすることができ;又はRNAi剤のそれぞれは、2つの異なる標的部位において同じ遺伝子を標的とすることができる。
特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、2’-フルオロ修飾を含有する少ない数のヌクレオチド、例えば、2’-フルオロ修飾を有する10個以下のヌクレオチドを含有する。例えば、RNAi剤は、2’-フルオロ修飾を有する10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0個のヌクレオチドを含有し得る。特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、2’-フルオロ修飾を有する10個のヌクレオチド、例えば、センス鎖に2’-フルオロ修飾を有する4つのヌクレオチド及びアンチセンス鎖に2’-フルオロ修飾を有する6つのヌクレオチドを含有する。別の特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、2’-フルオロ修飾を有する6つのヌクレオチド、例えば、センス鎖に2’-フルオロ修飾を有する4つのヌクレオチド及びアンチセンス鎖に2’-フルオロ修飾を有する2つのヌクレオチドを含有する。
他の実施形態において、本発明のRNAi剤は、2’-フルオロ修飾を含有するごく少ない数のヌクレオチド、例えば、2’-フルオロ修飾を含有する2つ以下のヌクレオチドを含有し得る。例えば、RNAi剤は、2’-フルオロ修飾を有する2、1又は0個のヌクレオチドを含有し得る。特定の実施形態において、RNAi剤は、2’-フルオロ修飾を有する2つのヌクレオチド、例えば、センス鎖に2-フルオロ修飾を有する0個のヌクレオチド及びアンチセンス鎖に2’-フルオロ修飾を有する2つのヌクレオチドを含有し得る。
様々な刊行物に、本発明の方法に使用され得る多量体RNAi剤が記載されている。このような刊行物としては、国際公開第2007/091269号パンフレット、米国特許第7858769号明細書、国際公開第2010/141511号パンフレット、国際公開第2007/117686号パンフレット、国際公開第2009/014887号パンフレット及び国際公開第2011/031520号パンフレットが挙げられ、それぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
以下により詳細に説明されるとおり、RNAi剤に対する1つ又は複数の炭水化物部分のコンジュゲーションを含むRNAi剤は、RNAi剤の1つ又は複数の特性を最適化することができる。多くの場合、炭水化物部分は、RNAi剤の修飾サブユニットに結合される。例えば、dsRNA剤の1つ又は複数のリボヌクレオチドサブユニットのリボース糖は、別の部分、例えば、炭水化物リガンドが結合される非炭水化物(好ましくは環状の)担体で置換され得る。サブユニットのリボース糖がこのように置換されたリボヌクレオチドサブユニットは、本明細書において、リボース置換修飾サブユニット(RRMS)と呼ばれる。環状担体は、炭素環系であってもよく、即ち、全ての環原子が、炭素原子であり、又は複素環系、即ち、1つ又は複数の環原子が、ヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、硫黄であり得る。環状担体は、単環系であってもよく、又は2つ以上の環、例えば縮合環を含み得る。環状担体は、完全に飽和した環系であってもよく、又は1つ又は複数の二重結合を含み得る。
リガンドは、担体を介してポリヌクレオチドに結合され得る。担体は、(i)少なくとも1つの「骨格結合点」、好ましくは、2つの「骨格結合点」及び(ii)少なくとも1つの「テザー結合点(tethering attachment point)」を含む。本明細書において使用される際の「骨格結合点」は、官能基、例えば、ヒドロキシル基、又は一般に、骨格、例えば、リン酸塩、又は修飾リン酸塩、例えば、硫黄を含有する、リボ核酸の骨格中への担体の組み込みに利用可能であり且つそれに適した結合を指す。「テザー結合点」(TAP)は、ある実施形態において、選択された部分を接続する環状担体の構成環原子、例えば、炭素原子又はヘテロ原子(骨格結合点を提供する原子と異なる)を指す。この部分は、例えば、炭水化物、例えば、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖及び多糖であり得る。任意選択で、選択された部分は、介在するテザー(intervening tether)によって環状担体に接続される。したがって、環状担体は、多くの場合、官能基、例えば、アミノ基を含み、又は一般に、構成環への別の化学成分、例えば、リガンドの組み込み又は連結(tethering)に適した結合を提供する。
RNAi剤は、担体を介してリガンドにコンジュゲートされてもよく、この担体は、環式基又は環式基であり得;好ましくは、環式基は、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、[1,3]ジオキソラン、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル(pyridazinonyl)、テトラヒドロフリル及びデカリンから選択され;好ましくは、環式基は、セリノール骨格又はジエタノールアミン骨格から選択される。
本発明の別の実施形態において、iRNA剤は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、各鎖は、14~40個のヌクレオチドを有する。RNAi剤は、式(L):
によって表され得る。
式(L)において、B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、及びB4’がそれぞれ、独立して、2’-O-アルキル、2’-置換アルコキシ、2’-置換アルキル、2’-ハロ、ENA、及びBNA/LNAからなる群から選択される修飾を含有するヌクレオチドである。一実施形態において、B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、及びB4’がそれぞれ、2’-OMe修飾を含有する。一実施形態において、B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、及びB4’がそれぞれ、2’-OMe又は2’-F修飾を含有する。一実施形態において、B1、B2、B3、B1’、B2’、B3’、及びB4’の少なくとも1つが、2’-O-N-メチルアセトアミド(2’-O-NMA)修飾を含有する。
C1は、アンチセンス鎖のシード領域(即ち、アンチセンス鎖の5’末端の2~8位)と反対側の部位に配置された熱的不安定化ヌクレオチドである。例えば、C1は、アンチセンス鎖の5’末端の2~8位においてヌクレオチドと対合するセンス鎖の位置にある。一例において、C1は、センス鎖の5’末端から15位にある。C1ヌクレオチドは、非塩基性修飾;二本鎖中の対向するヌクレオチドとのミスマッチ;及び2’-デオキシ修飾又は非環式ヌクレオチド、例えば、アンロックト核酸(UNA)又はグリセロール核酸(GNA)などの糖修飾を含み得る熱的不安定化修飾を有する。一実施形態において、C1は、i)アンチセンス鎖中の対向するヌクレオチドとのミスマッチ;ii)以下からなる群から選択される非塩基性修飾:
;及びiii)以下からなる群から選択される糖修飾:
からなる群から選択される熱的不安定化修飾を有し、式中、Bが、修飾又は非修飾核酸塩基であり、R
1及びR
2が、独立して、H、ハロゲン、OR
3、又はアルキルであり;R
3が、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又は糖である。一実施形態において、C1中の熱的不安定化修飾は、G:G、G:A、G:U、G:T、A:A、A:C、C:C、C:U、C:T、U:U、T:T、及びU:Tからなる群から選択されるミスマッチであり;任意選択で、ミスマッチ対における少なくとも1つの核酸塩基は、2’-デオキシ核酸塩基である。一例において、C1中の熱的不安定化修飾は、GNA又は
である。
T1、T1’、T2’、及びT3’がそれぞれ、独立して、2’-OMe修飾の立体嵩高さ(steric bulk)以下の立体嵩高さをヌクレオチドに与える修飾を含むヌクレオチドを表す。立体嵩高さは、修飾の立体効果の総計を指す。ヌクレオチドの修飾の立体効果を決定するための方法は、当業者に公知である。修飾は、ヌクレオチドのリボース糖の2’位にあり得るか、又は非リボースヌクレオチド、非環式ヌクレオチド、若しくはリボース糖の2’位と同様又は同等のヌクレオチドの骨格に対する修飾であり得、2’-OMe修飾の立体嵩高さ以下の立体嵩高さをヌクレオチドに与える。例えば、T1、T1’、T2’、及びT3’がそれぞれ、独立して、DNA、RNA、LNA、2’-F、及び2’-F-5’-メチルから選択される。一実施形態において、T1がDNAである。一実施形態において、T1’が、DNA、RNA又はLNAである。一実施形態において、T2’が、DNA又はRNAである。一実施形態において、T3’が、DNA又はRNAである。
n1、n3、及びq1が、独立して、4~15ヌクレオチド長である。
n5、q3、及びq7が、独立して、1~6ヌクレオチド長である。
n4、q2、及びq6が、独立して、1~3ヌクレオチド長であり;或いは、n4が0である。
q5が、独立して、0~10ヌクレオチド長である。
n2及びq4が、独立して、0~3ヌクレオチド長である。
或いは、n4が、0~3ヌクレオチド長である。
一実施形態において、n4が0であり得る。一例において、n4が0であり、q2及びq6が1である。別の例において、n4が0であり、q2及びq6が1であり、(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。
一実施形態において、n4、q2、及びq6がそれぞれ、1である。
一実施形態において、n2、n4、q2、q4、及びq6がそれぞれ、1である。
一実施形態において、センス鎖が19~22ヌクレオチド長である場合、C1は、センス鎖の5’末端の14~17位にあり、n4が1である。一実施形態において、C1は、センス鎖の5’末端の15位にある。
一実施形態において、T3’が、アンチセンス鎖の5’末端から2位から開始する。一例において、T3’が、アンチセンス鎖の5’末端から2位にあり、q6が1に等しい。
一実施形態において、T1’が、アンチセンス鎖の5’末端から14位から開始する。一例において、T1’が、アンチセンス鎖の5’末端から14位にあり、q2が1に等しい。
例示的な実施形態において、T3’が、アンチセンス鎖の5’末端から2位から開始し、T1’が、アンチセンス鎖の5’末端から14位から開始する。一例において、T3’が、アンチセンス鎖の5’末端から2位から開始し、q6が1に等しく、T1’が、アンチセンス鎖の5’末端から14位から開始し、q2が1に等しい。
一実施形態において、T1’及びT3’が、11ヌクレオチド長離間している(即ち、T1’及びT3’ヌクレオチドを数えない)。
一実施形態において、T1’が、アンチセンス鎖の5’末端から14位にある。一例において、T1’が、アンチセンス鎖の5’末端から14位にあり、q2が1に等しく、修飾が、2’位にあるか、又は2’-OMeリボースより小さい立体嵩高さを与える非リボース、非環式若しくは骨格における位置にある。
一実施形態において、T3’が、アンチセンス鎖の5’末端から2位にある。一例において、T3’が、アンチセンス鎖の5’末端から2位にあり、q6が1に等しく、修飾が、2’位にあるか、又は2’-OMeリボース以下の立体嵩高さを与える非リボース、非環式若しくは骨格における位置にある。
一実施形態において、T1が、センス鎖の切断部位にある。一例において、センス鎖が19~22ヌクレオチド長である場合、T1は、センス鎖の5’末端から11位にあり、n2が1である。例示的な実施形態において、センス鎖が19~22ヌクレオチド長である場合、T1は、センス鎖の5’末端から11位におけるセンス鎖の切断部位にあり、n2が1である。
一実施形態において、T2’が、アンチセンス鎖の5’末端から6位から開始する。一例において、T2’が、アンチセンス鎖の5’末端から6~10位にあり、q4が1である。
例示的な実施形態において、センス鎖が19~22ヌクレオチド長である場合、T1は、例えば、センス鎖の5’末端から11位における、センス鎖の切断部位にあり、n2が1であり;T1’が、アンチセンス鎖の5’末端から14位にあり、q2が1に等しく、T1’に対する修飾が、リボース糖の2’位にあるか、又は2’-OMeリボースより小さい立体嵩高さを与える非リボース、非環式若しくは骨格における位置にあり;T2’が、アンチセンス鎖の5’末端から6~10位にあり、q4が1であり;T3’が、アンチセンス鎖の5’末端から2位にあり、q6が1に等しく、T3’に対する修飾が、2’位にあるか、又は2’-OMeリボース以下の立体嵩高さを与える非リボース、非環式若しくは骨格における位置にある。
一実施形態において、T2’が、アンチセンス鎖の5’末端から8位から開始する。一例において、T2’が、アンチセンス鎖の5’末端から8位から開始し、q4が2である。
一実施形態において、T2’が、アンチセンス鎖の5’末端から9位から開始する。一例において、T2’が、アンチセンス鎖の5’末端から9位にあり、q4が1である。
一実施形態において、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が1であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が6であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。
一実施形態において、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が1であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が6であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1である。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が6であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が7であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1である。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が6であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が7であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が1であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が6であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1である。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が1であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が6であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が5であり、T2’が2’-Fであり、q4が1であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;任意選択で、アンチセンス鎖の3’末端に少なくとも2つの更なるTTを有する。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が5であり、T2’が2’-Fであり、q4が1であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;任意選択で、アンチセンス鎖の3’末端に少なくとも2つの更なるTTを有し;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1である。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1である。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1である。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。
RNAi剤は、センス鎖又はアンチセンス鎖の5’末端にリン含有基を含み得る。5’末端リン含有基は、5’末端ホスフェート(5’-P)、5’末端ホスホロチオエート(5’-PS)、5’末端ホスホロジチオエート(5’-PS
2)、5’末端ビニルホスホネート(5’-VP)、5’末端メチルホスホネート(MePhos)、又は5’-デオキシ-5’-C-マロニル
であり得る。5’末端リン含有基が、5’末端ビニルホスホネート(5’-VP)である場合、5’-VPは、5’-E-VP異性体(即ち、トランス-ビニルホスフェート、
)、5’-Z-VP異性体(即ち、シス-ビニルホスフェート、
)、又はそれらの混合物のいずれかであり得る。
一実施形態において、RNAi剤は、センス鎖の5’末端にリン含有基を含む。一実施形態において、RNAi剤は、アンチセンス鎖の5’末端にリン含有基を含む。
一実施形態において、RNAi剤は、5’-Pを含む。一実施形態において、RNAi剤は、アンチセンス鎖に5’-Pを含む。
一実施形態において、RNAi剤は、5’-PSを含む。一実施形態において、RNAi剤は、アンチセンス鎖に5’-PSを含む。
一実施形態において、RNAi剤は、5’-VPを含む。一実施形態において、RNAi剤は、アンチセンス鎖に5’-VPを含む。一実施形態において、RNAi剤は、アンチセンス鎖に5’-E-VPを含む。一実施形態において、RNAi剤は、アンチセンス鎖に5’-Z-VPを含む。
一実施形態において、RNAi剤は、5’-PS2を含む。一実施形態において、RNAi剤は、アンチセンス鎖に5’-PS2を含む。
一実施形態において、RNAi剤は、5’-PS2を含む。一実施形態において、RNAi剤は、アンチセンス鎖に5’-デオキシ-5’-C-マロニルを含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1である。RNAi剤は、5’-PSも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1である。RNAi剤は、5’-Pも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1である。RNAi剤は、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、又はそれらの組み合わせであり得る。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1である。RNAi剤は、5’-PS2も含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1である。RNAi剤は、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-Pも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-PSも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、又はそれらの組み合わせであり得る。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-PS2も含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1である。RNAi剤は、5’-Pも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1である。dsRNA剤は、5’-PSも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1である。RNAi剤は、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、又はそれらの組み合わせであり得る。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1である。RNAi剤は、5’-PS2も含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1である。RNAi剤は、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-Pも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-PSも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、又はそれらの組み合わせであり得る。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-PS2も含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1である。RNAi剤は、5’-Pも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1である。RNAi剤は、5’-PSも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1である。RNAi剤は、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、又はそれらの組み合わせであり得る。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1である。dsRNAi RNA剤は、5’-PS2も含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1である。RNAi剤は、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-Pも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-PSも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、又はそれらの組み合わせであり得る。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-PS2も含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1である。RNAi剤は、5’-Pも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1である。RNAi剤は、5’-PSも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1である。RNAi剤は、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、又はそれらの組み合わせであり得る。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1である。RNAi剤は、5’-PS2も含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1である。RNAi剤は、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-Pも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-PSも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-VPも含む。5’-VPは、5’-E-VP、5’-Z-VP、又はそれらの組み合わせであり得る。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-PS2も含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-デオキシ-5’-C-マロニルも含む。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-P及び標的化リガンドも含む。一実施形態において、5’-Pは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、標的化リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-PS及び標的化リガンドも含む。一実施形態において、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、標的化リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-VP(例えば、5’-E-VP、5’-Z-VP、又はそれらの組み合わせ)、及び標的化リガンドも含む。一実施形態において、5’-VPは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、標的化リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-PS2及び標的化リガンドも含む。一実施形態において、5’-PS2は、アンチセンス鎖の5’末端にあり、標的化リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-デオキシ-5’-C-マロニル及び標的化リガンドも含む。一実施形態において、5’-デオキシ-5’-C-マロニルは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、標的化リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-P及び標的化リガンドも含む。一実施形態において、5’-Pは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、標的化リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-PS及び標的化リガンドも含む。一実施形態において、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、標的化リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-VP(例えば、5’-E-VP、5’-Z-VP、又はそれらの組み合わせ)及び標的化リガンドも含む。一実施形態において、5’-VPは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、標的化リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-PS2及び標的化リガンドも含む。一実施形態において、5’-PS2は、アンチセンス鎖の5’末端にあり、標的化リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-OMeであり、q7が1であり;(5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-デオキシ-5’-C-マロニル及び標的化リガンドも含む。一実施形態において、5’-デオキシ-5’-C-マロニルは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、標的化リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-P及び標的化リガンドも含む。一実施形態において、5’-Pは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、標的化リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-PS及び標的化リガンドも含む。一実施形態において、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、標的化リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-VP(例えば、5’-E-VP、5’-Z-VP、又はそれらの組み合わせ)及び標的化リガンドも含む。一実施形態において、5’-VPは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、標的化リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-PS2及び標的化リガンドも含む。一実施形態において、5’-PS2は、アンチセンス鎖の5’末端にあり、標的化リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、T2’が2’-Fであり、q4が2であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が5であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-デオキシ-5’-C-マロニル及び標的化リガンドも含む。一実施形態において、5’-デオキシ-5’-C-マロニルは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、標的化リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-P及び標的化リガンドも含む。一実施形態において、5’-Pは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、標的化リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-PS及び標的化リガンドも含む。一実施形態において、5’-PSは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、標的化リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-VP(例えば、5’-E-VP、5’-Z-VP、又はそれらの組み合わせ)及び標的化リガンドも含む。一実施形態において、5’-VPは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、標的化リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-PS2及び標的化リガンドも含む。一実施形態において、5’-PS2は、アンチセンス鎖の5’末端にあり、標的化リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
一実施形態において、B1が、2’-OMe又は2’-Fであり、n1が8であり、T1が2’Fであり、n2が3であり、B2が2’-OMeであり、n3が7であり、n4が0であり、B3が2’-OMeであり、n5が3であり、B1’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q1が9であり、T1’が2’-Fであり、q2が1であり、B2’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q3が4であり、q4が0であり、B3’が、2’-OMe又は2’-Fであり、q5が7であり、T3’が2’-Fであり、q6が1であり、B4’が2’-Fであり、q7が1であり;(センス鎖の5’末端から数えて)センス鎖の1~5位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾、並びに(アンチセンス鎖の5’末端から数えて)1及び2位に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾及びアンチセンス鎖の18~23位以内に2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合の修飾を有する。RNAi剤は、5’-デオキシ-5’-C-マロニル及び標的化リガンドも含む。一実施形態において、5’-デオキシ-5’-C-マロニルは、アンチセンス鎖の5’末端にあり、標的化リガンドは、センス鎖の3’末端にある。
特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、
(a)以下を有するセンス鎖:
(i)21ヌクレオチドの長さ;
(ii)3’末端に結合されたASGPRリガンド(ここで、前記ASGPRリガンドは、三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された3つのGalNAc誘導体を含む);及び
(iii)(5’末端から数えて)1、3、5、7、9~11、13、17、19、及び21位に2’-F修飾、及び2、4、6、8、12、14~16、18、及び20位に2’-OMe修飾;
並びに
(b)以下を有するアンチセンス鎖:
(i)23ヌクレオチドの長さ;
(ii)(5’末端から数えて)1、3、5、9、11~13、15、17、19、21、及び23位に2’-OMe修飾、及び2、4、6~8、10、14、16、18、20、及び22位に2’F修飾;及び
(iii)(5’末端から数えて)ヌクレオチド位置21及び22の間、及びヌクレオチド位置22及び23の間にホスホロチオエートヌクレオチド間結合
を含み;
ここで、dsRNA剤は、アンチセンス鎖の3’末端に2つのヌクレオチドオーバーハング、及びアンチセンス鎖の5’末端に平滑末端を有する。
別の特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、
(a)以下を有するセンス鎖:
(i)21ヌクレオチドの長さ;
(ii)3’末端に結合されたASGPRリガンド(ここで、前記ASGPRリガンドは、三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された3つのGalNAc誘導体を含む);
(iii)(5’末端から数えて)1、3、5、7、9~11、13、15、17、19、及び21位に2’-F修飾、及び2、4、6、8、12、14、16、18、及び20位に2’-OMe修飾;及び
(iv)(5’末端から数えて)ヌクレオチド1及び2位の間、及びヌクレオチド位置2及び3の間にホスホロチオエートヌクレオチド間結合;
並びに
(b)以下を有するアンチセンス鎖:
(i)23ヌクレオチドの長さ;
(ii)(5’末端から数えて)1、3、5、7、9、11~13、15、17、19、及び21~23位に2’-OMe修飾、及び2、4、6、8、10、14、16、18、及び20位に2’F修飾;及び
(iii)(5’末端から数えて)ヌクレオチド1及び2位の間、ヌクレオチド位置2及び3の間、ヌクレオチド位置21及び22の間、及びヌクレオチド位置22及び23の間にホスホロチオエートヌクレオチド間結合
を含み;
ここで、RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端に2つのヌクレオチドオーバーハング、及びアンチセンス鎖の5’末端に平滑末端を有する。
別の特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、
(a)以下を有するセンス鎖:
(i)21ヌクレオチドの長さ;
(ii)3’末端に結合されたASGPRリガンド(ここで、前記ASGPRリガンドは、三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された3つのGalNAc誘導体を含む);
(iii)(5’末端から数えて)1~6、8、10、及び12~21位に2’-OMe修飾、7、及び9位に2’-F修飾、及び11位にデスオキシ-ヌクレオチド(例えばdT);及び
(iv)(5’末端から数えて)ヌクレオチド1及び2位の間、及びヌクレオチド位置2及び3の間にホスホロチオエートヌクレオチド間結合;
並びに
(b)以下を有するアンチセンス鎖:
(i)23ヌクレオチドの長さ;
(ii)(5’末端から数えて)1、3、7、9、11、13、15、17、及び19~23位に2’-OMe修飾、及び2、4~6、8、10、12、14、16、及び18位に2’-F修飾;及び
(iii)(5’末端から数えて)ヌクレオチド1及び2位の間、ヌクレオチド位置2及び3の間、ヌクレオチド位置21及び22の間、及びヌクレオチド位置22及び23の間にホスホロチオエートヌクレオチド間結合
を含み;
ここで、RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端に2つのヌクレオチドオーバーハング、及びアンチセンス鎖の5’末端に平滑末端を有する。
別の特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、
(a)以下を有するセンス鎖:
(i)21ヌクレオチドの長さ;
(ii)3’末端に結合されたASGPRリガンド(ここで、前記ASGPRリガンドは、三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された3つのGalNAc誘導体を含む);
(iii)1~6、8、10、12、14、及び16~21位に2’-OMe修飾、及び7、9、11、13、及び15位に2’-F修飾;及び
(iv)(5’末端から数えて)ヌクレオチド1及び2位の間、及びヌクレオチド位置2及び3の間にホスホロチオエートヌクレオチド間結合;
並びに
(b)以下を有するアンチセンス鎖:
(i)23ヌクレオチドの長さ;
(ii)(5’末端から数えて)1、5、7、9、11、13、15、17、19、及び21~23位に2’-OMe修飾、及び2~4、6、8、10、12、14、16、18、及び20位に2’-F修飾;及び
(iii)(5’末端から数えて)ヌクレオチド1及び2位の間、ヌクレオチド位置2及び3の間、ヌクレオチド位置21及び22の間、及びヌクレオチド位置22及び23の間にホスホロチオエートヌクレオチド間結合
を含み;
ここで、RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端に2つのヌクレオチドオーバーハング、及びアンチセンス鎖の5’末端に平滑末端を有する。
別の特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、
(a)以下を有するセンス鎖:
(i)21ヌクレオチドの長さ;
(ii)3’末端に結合されたASGPRリガンド(ここで、前記ASGPRリガンドは、三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された3つのGalNAc誘導体を含む);
(iii)1~9、及び12~21位に2’-OMe修飾、及び10、及び11位に2’-F修飾;及び
(iv)(5’末端から数えて)ヌクレオチド1及び2位の間、及びヌクレオチド位置2及び3の間にホスホロチオエートヌクレオチド間結合;
並びに
(b)以下を有するアンチセンス鎖:
(i)23ヌクレオチドの長さ;
(ii)(5’末端から数えて)1、3、5、7、9、11~13、15、17、19、及び21~23位に2’-OMe修飾、及び2、4、6、8、10、14、16、18、及び20位に2’-F修飾;及び
(iii)(5’末端から数えて)ヌクレオチド1及び2位の間、ヌクレオチド位置2及び3の間、ヌクレオチド位置21及び22の間、及びヌクレオチド位置22及び23の間にホスホロチオエートヌクレオチド間結合
を含み;
ここで、RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端に2つのヌクレオチドオーバーハング、及びアンチセンス鎖の5’末端に平滑末端を有する。
別の特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、
(a)以下を有するセンス鎖:
(i)21ヌクレオチドの長さ;
(ii)3’末端に結合されたASGPRリガンド(ここで、前記ASGPRリガンドは、三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された3つのGalNAc誘導体を含む);
(iii)1、3、5、7、9~11、及び13位に2’-F修飾、及び2、4、6、8、12、及び14~21位に2’-OMe修飾;及び
(iv)(5’末端から数えて)ヌクレオチド1及び2位の間、及びヌクレオチド位置2及び3の間にホスホロチオエートヌクレオチド間結合;
並びに
(b)以下を有するアンチセンス鎖:
(i)23ヌクレオチドの長さ;
(ii)(5’末端から数えて)1、3、5~7、9、11~13、15、17~19、及び21~23位に2’-OMe修飾、及び2、4、8、10、14、16、及び20位に2’-F修飾;及び
(iii)(5’末端から数えて)ヌクレオチド1及び2位の間、ヌクレオチド位置2及び3の間、ヌクレオチド位置21及び22の間、及びヌクレオチド位置22及び23の間にホスホロチオエートヌクレオチド間結合
を含み;
ここで、RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端に2つのヌクレオチドオーバーハング、及びアンチセンス鎖の5’末端に平滑末端を有する。
別の特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、
(a)以下を有するセンス鎖:
(i)21ヌクレオチドの長さ;
(ii)3’末端に結合されたASGPRリガンド(ここで、前記ASGPRリガンドは、三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された3つのGalNAc誘導体を含む);
(iii)1、2、4、6、8、12、14、15、17、及び19~21位に2’-OMe修飾、及び3、5、7、9~11、13、16、及び18位に2’-F修飾;及び
(iv)(5’末端から数えて)ヌクレオチド1及び2位の間、及びヌクレオチド位置2及び3の間にホスホロチオエートヌクレオチド間結合;
並びに
(b)以下を有するアンチセンス鎖:
(i)25ヌクレオチドの長さ;
(ii)(5’末端から数えて)1、4、6、7、9、11~13、15、17、及び19~23位に2’-OMe修飾、2、3、5、8、10、14、16、及び18位に2’-F修飾、及び24及び25位にデスオキシ-ヌクレオチド(例えばdT);及び
(iii)(5’末端から数えて)ヌクレオチド1及び2位の間、ヌクレオチド位置2及び3の間、ヌクレオチド位置21及び22の間、及びヌクレオチド位置22及び23の間にホスホロチオエートヌクレオチド間結合
を含み;
ここで、RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端に4つのヌクレオチドオーバーハング、及びアンチセンス鎖の5’末端に平滑末端を有する。
別の特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、
(a)以下を有するセンス鎖:
(i)21ヌクレオチドの長さ;
(ii)3’末端に結合されたASGPRリガンド(ここで、前記ASGPRリガンドは、三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された3つのGalNAc誘導体を含む);
(iii)1~6、8、及び12~21位に2’-OMe修飾、及び7、及び9~11位に2’-F修飾;及び
(iv)(5’末端から数えて)ヌクレオチド1及び2位の間、及びヌクレオチド位置2及び3の間にホスホロチオエートヌクレオチド間結合;
並びに
(b)以下を有するアンチセンス鎖:
(i)23ヌクレオチドの長さ;
(ii)(5’末端から数えて)1、3~5、7、8、10~13、15、及び17~23位に2’-OMe修飾、及び2、6、9、14、及び16位に2’-F修飾;及び
(iii)(5’末端から数えて)ヌクレオチド1及び2位の間、ヌクレオチド位置2及び3の間、ヌクレオチド位置21及び22の間、及びヌクレオチド位置22及び23の間にホスホロチオエートヌクレオチド間結合
を含み;
ここで、RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端に2つのヌクレオチドオーバーハング、及びアンチセンス鎖の5’末端に平滑末端を有する。
別の特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、
(a)以下を有するセンス鎖:
(i)21ヌクレオチドの長さ;
(ii)3’末端に結合されたASGPRリガンド(ここで、前記ASGPRリガンドは、三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された3つのGalNAc誘導体を含む);
(iii)1~6、8、及び12~21位に2’-OMe修飾、及び7、及び9~11位に2’-F修飾;及び
(iv)(5’末端から数えて)ヌクレオチド1及び2位の間、及びヌクレオチド位置2及び3の間にホスホロチオエートヌクレオチド間結合;
並びに
(b)以下を有するアンチセンス鎖:
(i)23ヌクレオチドの長さ;
(ii)(5’末端から数えて)1、3~5、7、10~13、15、及び17~23位に2’-OMe修飾、及び2、6、8、9、14、及び16位に2’-F修飾;及び
(iii)(5’末端から数えて)ヌクレオチド1及び2位の間、ヌクレオチド位置2及び3の間、ヌクレオチド位置21及び22の間、及びヌクレオチド位置22及び23の間にホスホロチオエートヌクレオチド間結合
を含み;
ここで、RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端に2つのヌクレオチドオーバーハング、及びアンチセンス鎖の5’末端に平滑末端を有する。
別の特定の実施形態において、本発明のRNAi剤は、
(a)以下を有するセンス鎖:
(i)19ヌクレオチドの長さ;
(ii)3’末端に結合されたASGPRリガンド(ここで、前記ASGPRリガンドは、三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された3つのGalNAc誘導体を含む);
(iii)1~4、6、及び10~19位に2’-OMe修飾、及び5、及び7~9位に2’-F修飾;及び
(iv)(5’末端から数えて)ヌクレオチド1及び2位の間、及びヌクレオチド位置2及び3の間にホスホロチオエートヌクレオチド間結合;
並びに
(b)以下を有するアンチセンス鎖:
(i)21ヌクレオチドの長さ;
(ii)(5’末端から数えて)1、3~5、7、10~13、15、及び17~21位に2’-OMe修飾、及び2、6、8、9、14、及び16位に2’-F修飾;及び
(iii)(5’末端から数えて)ヌクレオチド1及び2位の間、ヌクレオチド位置2及び3の間、ヌクレオチド位置19及び20の間、及びヌクレオチド位置20及び21の間にホスホロチオエートヌクレオチド間結合
を含み;
ここで、RNAi剤は、アンチセンス鎖の3’末端に2つのヌクレオチドオーバーハング、及びアンチセンス鎖の5’末端に平滑末端を有する。
IV.リガンドにコンジュゲートされたiRNA
本発明のiRNAのRNAの別の修飾は、iRNAの活性、細胞分布又は細胞取り込みを向上させる1つ又は複数のリガンド、部分又はコンジュゲートをRNAに化学的に結合することを含む。このような部分としては、限定はされないが、コレステロール部分(Letsinger et al.,(1989)Proc.Natl.Acid.Sci.USA,86:6553-6556)、コール酸(Manoharan et al.,(1994)Biorg.Med.Chem.Let.,4:1053-1060)、チオエーテル、例えば、ベリル-S-トリチルチオール(Manoharan et al.,(1992)Ann.N.Y.Acad.Sci.,660:306-309;Manoharan et al.,(1993)Biorg.Med.Chem.Let.,3:2765-2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,(1992)Nucl.Acids Res.,20:533-538)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオール又はウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al.,(1991)EMBO J,10:1111-1118;Kabanov et al.,(1990)FEBS Lett.,259:327-330;Svinarchuk et al.,(1993)Biochimie,75:49-54)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロール又はトリエチル-アンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-ホスホネート(Manoharan et al.,(1995)Tetrahedron Lett.,36:3651-3654;Shea et al.,(1990)Nucl.Acids Res.,18:3777-3783)、ポリアミン又はポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,(1995)Nucleosides&Nucleotides,14:969-973)、又はアダマンタン酢酸(Manoharan et al.,(1995)Tetrahedron Lett.,36:3651-3654)、パルミチル部分(Mishra et al.,(1995)Biochim.Biophys.Acta,1264:229-237)、又はオクタデシルアミン又はヘキシルアミノ-カルボニルオキシコレステロール部分(Crooke et al.,(1996)J.Pharmacol.Exp.Ther.,277:923-937)などの脂質部分が挙げられる。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される実施形態において(即ち、本明細書に記載される二重標的化RNAi剤)、dsRNA剤の一方又は両方は、独立して、1つ又は複数のリガンドを含み得る。
一実施形態において、リガンドは、それが組み込まれるiRNA剤の分布、標的化又は寿命を変化させる。好ましい実施形態において、リガンドは、例えば、このようなリガンドのない種と比較して、選択された標的(例えば、分子、細胞又は細胞型)、区画(例えば、細胞又は器官の区画)、身体の組織、器官又は領域に対する向上した親和性を提供する。好ましいリガンドは、二本鎖核酸における二本鎖の対合に関与しない。
リガンドは、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、低比重リポタンパク(LDL)、又はグロブリン);炭水化物(例えば、デキストラン、プルラン、キチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン又はヒアルロン酸);又は脂質などの天然の物質を含み得る。リガンドはまた、合成ポリマー、例えば、合成ポリアミノ酸などの組み換え又は合成分子であり得る。ポリアミノ酸の例としては、ポリアミノ酸は、ポリリジン(PLL)、ポリL-アスパラギン酸、ポリL-グルタミン酸、スチレン-マレイン酸無水物コポリマー、ポリ(L-ラクチド-コ-グリコリド)コポリマー、ジビニルエーテル-無水マレイン酸コポリマー、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドコポリマー(HMPA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン、ポリ(2-エチルアクリル酸)、N-イソプロピルアクリルアミドポリマー、又はポリホスファジンである。ポリアミンの例としては、ポリエチレンイミン、ポリリジン(PLL)、スペルミン、スペルミジン、ポリアミン、擬似ペプチド-ポリアミン、ペプチド模倣ポリアミン、デンドリマーポリアミン、アルギニン、アミジン、プロタミン、カチオン性脂質、カチオン性ポルフィリン、ポリアミンの第四級塩、又はα-へリックスペプチドが挙げられる。
リガンドはまた、標的基、例えば、細胞又は組織標的剤、例えば、レクチン、糖タンパク質、脂質又はタンパク質、例えば、腎細胞などの特定の細胞型に結合する抗体を含み得る。標的基は、サイロトロピン、メラノトロピン、レクチン、糖タンパク質、界面活性剤タンパク質A、ムチン炭水化物、多価ラクトース、多価ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン、多価マンノース、多価フコース、グリコシル化ポリアミノ酸、多価ガラクトース、トランスフェリン、ビスホスホネート、ポリグルタメート、ポリアスパルテート、脂質、コレステロール、ステロイド、胆汁酸、フォレート、ビタミンB12、ビタミンA、ビオチン、又はRGDペプチド、又はRGDペプチド模倣体又はアプタマーであり得る。
リガンドの他の例としては、色素、挿入剤(例えばアクリジン)、架橋剤(例えばソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ又はキレート剤(例えばEDTA)、親油性分子、例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コレン酸(cholenic acid)、ジメトキシトリチル、又はフェノキサジン)及びペプチド複合体(例えば、アンテナペディア(antennapedia)ペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、ホスフェート、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG-40K)、MPEG、[MPEG]2、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射性標識マーカー、酵素、ハプテン(例えばビオチン)、輸送/吸収促進剤(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター(cluster)、アクリジン-イミダゾール複合体、Eu3+テトラアザ大員環複合体)、ジニトロフェニル、HRP、又はAPが挙げられる。
リガンドは、タンパク質、例えば、糖タンパク質、又はペプチド、例えば、コリガンド(co-ligand)、又は抗体、例えば、肝細胞などの特定の細胞型に結合する抗体に対する特異親和性を有する分子であり得る。リガンドはまた、ホルモン及びホルモン受容体を含んでもよい。リガンドはまた、脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、補因子、多価ラクトース、多価ガラクトース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン、又は多価マンノース、多価フコース又はアプタマーなどの非ペプチド種を含み得る。リガンドは、例えば、リポ多糖、p38MAPキナーゼの活性化因子、又はNF-κBの活性化因子であり得る。
リガンドは、例えば、細胞の微小管、マイクロフィラメント、及び/又は中間径フィラメントを破壊することによって、例えば、細胞骨格を破壊することによって、細胞中へのiRNA剤の取り込みを向上させ得る物質、例えば、薬剤であり得る。薬剤は、例えば、タクソン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、サイトカラシン、ノコダゾール、ジャスプラキノリド、ラトランクリンA、ファロイジン、スウィンホリドA、インダノシン、又はミオセルビンであり得る。
ある実施形態において、本明細書に記載されるiRNAに結合されたリガンドは、薬物動態学的調節剤(pharmacokinetic modulator)(PK調節剤)としての役割を果たす。PK調節剤としては、親油性物質(lipophile)、胆汁酸、ステロイド、リン脂質類似体、ペプチド、タンパク質結合剤、PEG、ビタミンなどが挙げられる。例示的なPK調節剤としては、限定はされないが、コレステロール、脂肪酸、コール酸、リトコール酸、ジアルキルグリセリド、ジアシルグリセリド、リン脂質、スフィンゴ脂質、ナプロキセン、イブプロフェン、ビタミンE、ビオチンなどが挙げられる。いくつかのホスホロチオエート結合を含むオリゴヌクレオチドはまた、血清タンパク質に結合することが知られており、したがって、短いオリゴヌクレオチド、例えば、骨格中に複数のホスホロチオエート結合を含む、約5塩基、10塩基、15塩基又は20塩基のオリゴヌクレオチドも、リガンド(例えばPK調節リガンド)として本発明に適している。更に、血清成分(例えば血清タンパク質)に結合するアプタマーも、本明細書に記載される実施形態においてPK調節リガンドとして使用するのに好適である。
本発明のリガンドコンジュゲートオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドへの結合分子の結合から誘導されるものなどの反応性のペンダント官能基を有するオリゴヌクレオチドの使用によって合成され得る(後述される)。この反応性オリゴヌクレオチドは、市販のリガンド、様々な保護基のいずれかを有する、合成されたリガンド、又は結合部分が結合されたリガンドと直接反応されてもよい。
本発明のコンジュゲートに使用されるオリゴヌクレオチドは、固相合成の周知の技術によって好都合に及び日常的に作製され得る。このような合成のための装置は、例えば、Applied Biosystems(Foster City,Calif.)を含むいくつかの業者によって販売されている。当該技術分野において公知のこのような合成のための任意の他の手段が、それに加えて又はその代わりに用いられてもよい。ホスホロチオエート及びアルキル化誘導体などの他のオリゴヌクレオチドを調製するための同様の技術を使用することも公知である。
本発明の配列特異的結合ヌクレオシドを有するリガンドコンジュゲートオリゴヌクレオチド及びリガンド分子において、オリゴヌクレオチド及びオリゴヌクレオシドは、標準的なヌクレオチド又はヌクレオシド前駆体、或いは結合部分を既に有するヌクレオチド又はヌクレオシドコンジュゲート前駆体、リガンド分子を既に有するリガンド-ヌクレオチド又はヌクレオシドコンジュゲート前駆体、或いは非ヌクレオシドリガンド含有ビルディングブロックを用いて、好適なDNA合成装置において組み立てられ得る。
結合部分を既に有するヌクレオチドコンジュゲート前駆体を用いる場合、配列特異的結合ヌクレオシドの合成が、典型的に、完了されてから、リガンド分子が、結合部分と反応されて、リガンドコンジュゲートオリゴヌクレオチドが形成される。ある実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチド又は結合ヌクレオシドは、オリゴヌクレオチド合成に通例使用される市販の、標準的なホスホロアミダイト及び非標準的なホスホロアミダイトに加えて、リガンド-ヌクレオシドコンジュゲートから誘導されるホスホロアミダイトを用いて、自動合成装置によって合成される。
A.脂質コンジュゲート
一態様において、リガンド又はコンジュゲートは、脂質又は脂質ベースの分子である。このような脂質又は脂質ベースの分子は、好ましくは、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)に結合する。HSA結合リガンドは、身体の標的組織、例えば、非腎臓標的組織へのコンジュゲートの分配を可能にする。例えば、標的組織は、肝臓の実質細胞を含む肝臓であり得る。HSAに結合し得る他の分子も、リガンドとして使用され得る。例えば、ネプロキシン又はアスピリンが使用され得る。脂質又は脂質ベースのリガンドは、(a)コンジュゲートの分解に対する耐性を増大し、(b)標的細胞又は細胞膜への標的化又は輸送を増大し、及び/又は(c)血清タンパク質、例えば、HSAへの結合を調整するのに使用され得る。
脂質ベースのリガンドを用いて、標的組織へのコンジュゲートの結合を阻害すること、例えば、制御することができる。例えば、より強くHSAに結合する脂質又は脂質ベースのリガンドは、腎臓に対して標的化される可能性が低く、したがって、身体から除去される可能性が低い。より弱くHSAに結合する脂質又は脂質ベースのリガンドを用いて、コンジュゲートを腎臓に対して標的化することができる。
好ましい実施形態において、脂質ベースのリガンドは、HSAに結合する。好ましくは、脂質ベースのリガンドは、コンジュゲートが好ましくは非腎臓組織に分配されるような十分な親和性でHSAに結合する。しかしながら、親和性は、HSA-リガンド結合が反転され得ないほど強力でないのが好ましい。
別の好ましい実施形態において、コンジュゲートが好ましくは腎臓に分配されるように、脂質ベースのリガンドは、HSAに弱く結合するか又は全く結合しない。腎細胞を標的とする他の部分も、脂質ベースのリガンドの代わりに又はそれに加えて使用され得る。
別の態様において、リガンドは、標的細胞、例えば、増殖細胞によって取り込まれる部分、例えば、ビタミンである。これらは、例えば、悪性又は非悪性の望ましくない細胞増殖、例えば、癌細胞を特徴とする障害を処置するのに特に有用である。例示的なビタミンは、ビタミンA、E、及びKを含む。他の例示的なビタミンは、ビタミンB、例えば、葉酸、B12、リボフラビン、ビオチン、ピリドキサール又は他のビタミン或いは肝細胞などの標的細胞によって取り込まれる栄養素を含む。HAS及び低比重リポタンパク(LDL)も含まれる。
B.細胞透過剤
別の態様において、リガンドは、細胞透過剤(cell-permeation agent)、好ましくは、らせん状細胞透過剤である。好ましくは、この剤は両親媒性である。例示的な剤は、tat又はアンテノペディア(antennopedia)などのペプチドである。この剤がペプチドである場合、それは、ペプチジル模倣体、逆転異性体、非ペプチド又は擬ペプチド結合、及びD-アミノ酸の使用を含めて修飾され得る。らせん状剤は、好ましくはα-へリックス剤であり、これは、好ましくは、親油性及び疎油性相を有する。
リガンドは、ペプチド又はペプチド模倣体であり得る。ペプチド模倣体(本明細書においてオリゴペプチド模倣体とも呼ばれる)は、天然ペプチドと類似した明確な三次元構造に折り畳まれることが可能な分子である。ペプチド及びペプチド模倣体のiRNA剤への結合は、例えば細胞認識及び吸収を強化することにより、iRNAの薬物動態分布に影響を及ぼし得る。ペプチド又はペプチド模倣体部分は、約5~50個のアミノ酸の長さ、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50個のアミノ酸の長さであり得る。
ペプチド又はペプチド模倣体は、例えば、細胞透過性ペプチド、カチオン性ペプチド、両親媒性ペプチド、又は疎水性ペプチド(例えば、主にTyr、Trp又はPheからなる)であり得る。ペプチド部分は、デンドリマーペプチド、構造規制(constrained)ペプチド又は架橋ペプチドであり得る。別の代替例において、ペプチド部分は、疎水性膜輸送配列(MTS)を含み得る。例示的な疎水性MTS含有ペプチドは、アミノ酸配列AAVALLPAVLLALLAP(配列番号2986)を有するRFGFである。疎水性MTSを含有するRFGF類似体(例えば、アミノ酸配列AALLPVLLAAP(配列番号2987)も、標的部分であり得る。ペプチド部分は、細胞膜を介してペプチド、オリゴヌクレオチド、及びタンパク質を含む大型極性分子を運搬することができる「送達」ペプチドであり得る。例えば、HIV Tatタンパク質に由来する配列(GRKKRRQRRRPPQ(配列番号2988)及びショウジョウバエアンテナペディア(Drosophila Antennapedia)タンパク質(RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号2989)は、送達ペプチドとして機能することが可能であることが分かっている。ペプチド又はペプチド模倣体は、ファージディスプレイライブラリー、又は1ビーズ1化合物(one-bead-one-compound)(OBOC)コンビナトリアルライブラリーから特定されたペプチドなどのDNAのランダム配列によってコードされ得る(Lam et al.,Nature,354:82-84、1991)。細胞標的の目的のために組み込まれたモノマー単位を介してdsRNA剤に結合されたペプチド又はペプチド模倣体の例は、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)-ペプチド、又はRGD模倣体などのペプチドである。ペプチド部分は、約5つのアミノ酸から約40個のアミノ酸の長さの範囲であり得る。ペプチド部分は、安定性又は直接配座特性を高めるためなどの構造修飾を有し得る。後述される構造修飾のいずれも用いられ得る。
本発明の組成物及び方法において使用するためのRGDペプチド部分は、直鎖状又は環状であり得、特定の組織に対する標的化を促進するために、修飾、例えば、グリコシル化又はメチル化されてもよい。RGD含有ペプチド及びペプチド模倣体は、D-アミノ酸、並びに合成RGD模倣体を使用し得る。RGDに加えて、インテグリンリガンドを標的とする他の部分を使用することができる。このリガンドの好ましいコンジュゲートは、PECAM-1又はVEGFを標的とする。
「細胞透過性ペプチド」は、細胞、例えば、細菌又は真菌細胞などの微生物細胞、或いはヒト細胞などの哺乳動物細胞を透過することが可能である。微生物細胞を透過するペプチドは、例えば、α-へリックス直鎖状ペプチド(例えば、LL-37又はCeropin P1)、ジスルフィド結合含有ペプチド(例えば、α-デフェンシン、β-デフェンシン又はバクテネシン(bactenecin))、又は1つ若しくは2つの支配的アミノ酸のみを含有するペプチド(例えば、PR-39又はインドリシジン)であり得る。細胞透過性ペプチドはまた、核局在化シグナル(NLS)を含み得る。例えば、細胞透過性ペプチドは、HIV-1 gp41の融合ペプチドドメイン及びSV40大型T抗原のNLSに由来する、MPGなどの二分両親媒性ペプチドであり得る(Simeoni et al.,Nucl.Acids Res.31:2717-2724,2003)。
C.炭水化物コンジュゲート
本発明の組成物及び方法のある実施形態において、iRNAオリゴヌクレオチドは、炭水化物を更に含む。炭水化物コンジュゲートiRNAは、本明細書に記載されるように、インビボでの核酸の送達に有利であり、また組成物は、インビボでの治療的使用に好適である。本明細書において使用される際、「炭水化物」は、少なくとも6個の炭素原子(直鎖状、分枝鎖状又は環状であってもよい)を有し、各炭素原子に酸素、窒素又は硫黄原子が結合している1つ又は複数の単糖単位から構成されている炭水化物それ自体である化合物;又はその一部として、1つ又は複数の単糖単位から構成されている炭水化物部分を有し、単糖単位の各々が、少なくとも6個の炭素原子(直鎖状、分枝鎖状又は環状であってもよい)を有し、各炭素原子に酸素、窒素又は硫黄原子が結合している化合物のいずれかを指す。代表的な炭水化物としては、糖(単糖、二糖、三糖及び約4、5、6、7、8、又は9つの単糖単位を含むオリゴ糖)、並びにデンプン、グリコーゲン、セルロース及び多糖ゴムなどの多糖が挙げられる。特定の単糖としては、C5以上(例えば、C5、C6、C7、又はC8)の糖が挙げられ;二糖及び三糖としては、2つ又は3つの単糖単位(例えば、C5、C6、C7、又はC8)を有する糖が挙げられる。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される実施形態において(即ち、二重標的化RNAi剤)、dsRNA剤の一方又は両方は、独立して、1つ又は複数の炭水化物リガンドを含み得る。
一実施形態において、本発明の組成物及び方法に使用するための炭水化物コンジュゲートは、
(式中、Yが、O又はSであり、nが、3~6である)(式XXIV);
(式中、Yが、O又はSであり、nが、3~6である)(式XXV);
(式中、Xが、O又はSである)(式XXVII);
からなる群から選択される。
別の実施形態において、本発明の組成物及び方法に使用するための炭水化物コンジュゲートは、単糖である。一実施形態において、単糖は、
などのN-アセチルガラクトサミンである。
本明細書に記載される実施形態に使用するための別の代表的な炭水化物コンジュゲートとしては、限定はされないが、
が挙げられ、X又はYの一方が、オリゴヌクレオチドである場合、他方は水素である。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される実施形態において(即ち、二重標的化RNAi剤)、dsRNA剤の一方又は両方は、独立して、GalNAc又はGalNAc誘導体リガンドを含み得る。
本発明の特定の実施形態において、GalNAc又はGalNAc誘導体は、一価リンカーを介して本発明のiRNA剤に結合される。ある実施形態において、GalNAc又はGalNAc誘導体は、二価リンカーを介して本発明のiRNA剤に結合される。本発明の更に他の実施形態において、GalNAc又はGalNAc誘導体は、三価リンカーを介して本発明のiRNA剤に結合される。
一実施形態において、本発明の二本鎖RNAi剤は、iRNA剤、例えば、dsRNA剤のセンス鎖の5’末端、又は本明細書に記載される二重標的化RNAi剤の一方又は両方のセンス鎖の5’末端に結合された1つのGalNAc又はGalNAc誘導体を含む。別の実施形態において、本発明の二本鎖RNAi剤、又は本明細書に記載される二重標的化RNAi剤の一方又は両方のdsRNA剤は、複数(例えば、2、3、4、5、又は6つ)のGalNAc又はGalNAc誘導体を含み、これはそれぞれ独立して、複数の一価リンカーを介して二本鎖RNAi剤の複数のヌクレオチドに結合される。
ある実施形態において、例えば、本発明のiRNA剤の2本の鎖が、複数の不対ヌクレオチドを含むヘアピンループを形成する1本の鎖の3’末端とその他方の鎖の5’末端との間のヌクレオチドの連続した鎖によって結合される1つのより大きい分子の一部である場合、ヘアピンループ中の各不対ヌクレオチドは、独立して、一価リンカーを介して結合されたGalNAc又はGalNAc誘導体を含み得る。
ある実施形態において、炭水化物コンジュゲート(及びリンカー)は、限定はされないが、PK調節剤及び/又は細胞透過性ペプチドなどの上述したような1つ又は複数の更なるリガンドを更に含む。
本発明での使用に好適な更なる炭水化物コンジュゲートは、それぞれの全内容が参照により本明細書に援用される、PCT公報の国際公開第2014/179620号パンフレット及び国際公開第2014/179627号パンフレットに記載されるものを含む。
D.リンカー
ある実施形態において、本明細書に記載されるコンジュゲート又はリガンドは、切断可能又は切断不可能であり得る様々なリンカーを用いて、iRNAオリゴヌクレオチドに結合され得る。
「リンカー」又は「結合基」という用語は、化合物の2つの部分を接続し、例えば、化合物の2つの部分を共有結合する有機部分を意味する。リンカーは、典型的に、直接結合又は酸素若しくは硫黄などの原子、NR8、C(O)、C(O)NH、SO、SO2、SO2NHなどの単位、又は限定はされないが、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、アルキニルヘテロアリール(1つ又は複数のメチレンがO、S、S(O)、SO2、N(R8)、C(O)、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環式により中断又は終端され得る)などの原子の鎖を含み;ここでR8は、水素、アシル、脂肪族又は置換された脂肪族である。一実施形態において、リンカーは、約1~24個の原子、2~24、3~24、4~24、5~24、6~24、6~18、7~18、8~18個の原子、7-17、8~17、6~16、7~17、又は8~16個の原子である。
切断可能な結合基は、細胞の外部では十分安定であるが、標的細胞内に入った後、切断されて、リンカーが一緒に保持する2つの部分を解放するものである。好ましい実施形態において、切断可能な結合基は、標的細胞内又は第一の参照条件(例えば、細胞内条件を模倣し又は表すよう選択され得る)下で、対象の血液中、又は第二の参照条件(例えば、血液又は血清に見出される条件を模倣し又は表すよう選択され得る)下の少なくとも約10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍又はそれ以上、又は少なくとも約100倍速く切断される。
切断可能な結合基は、切断剤、例えば、pH、酸化還元電位又は分解性分子の存在に敏感である。一般に、切断剤は、血清又は血液中と比較して細胞内部に広く存在し、又はより高いレベル若しくは活性で見出される。このような分解剤の例としては、例えば、細胞内に存在する酸化若しくは還元酵素又は還元により酸化還元切断可能な結合基を分解できるメルカプタンなどの還元剤を含む、特定の基質用に選択され又は基質特異性を有さない酸化還元剤、;エステラーゼ;エンドソーム又は酸性環境を形成可能な薬剤、例えば、5以下のpHをもたらす薬剤;一般的な酸として作用することにより、酸切断可能な結合基を加水分解又は分解できる酵素、ペプチダーゼ(基質特異的であり得る)、及びホスファターゼが挙げられる。
ジスルフィド結合などの切断可能な結合基は、pHに敏感であり得る。ヒト血清のpHは7.4である一方、平均細胞内pHは、僅かに低く、約7.1~7.3の範囲である。エンドソームは、5.5~6.0の範囲内のより酸性のpHを有し、リソソームは、ほぼ5.0の、更により酸性のpHを有する。いくつかのリンカーは、好ましいpHで切断される切断可能な結合基を有することによって、細胞内部でリガンドからカチオン性脂質を放出し、又は細胞の所望の区画内へ放出するであろう。
リンカーは、特定の酵素により切断可能な、切断可能な結合基を含み得る。リンカーに組み込まれる切断可能な結合基のタイプは、標的とされる細胞に依存し得る。例えば、肝臓を標的とするリガンドは、エステル基を含むリンカーを介して、カチオン性脂質に結合され得る。肝細胞はエステラーゼに富んでいるため、このリンカーは、エステラーゼに富んでいない細胞型内と比較して、肝細胞内でより効率的に切断されるであろう。エステラーゼに富んだ他の細胞型としては、肺、腎皮質、及び精巣の細胞が挙げられる。
ペプチド結合を含むリンカーは、肝細胞及び滑膜細胞などのペプチダーゼに富んだ細胞型を標的とする際に使用することができる。
一般に、切断可能な候補結合基の適切性は、分解剤(又は分解条件)の候補結合基を切断する能力を試験することにより評価することができる。血液中、又は他の非標的組織との接触の際に、切断可能な候補結合基が切断に抵抗する能力を試験することも望ましいであろう。したがって、第一の条件と第二の条件との間の、切断に対する相対的な感受性を決定することができ、第一の条件は標的細胞内での切断を示すよう選択され、第二の条件は他の組織内又は生体液、例えば血液又は血清中での切断を示すよう選択される。この評価は、無細胞系内、細胞内、細胞培養物中、器官内若しくは組織培養物中、又は全動物内で行うことができる。無細胞又は培養物条件内で最初の評価を行い、全動物内での更なる評価によって確認することが有用であり得る。好ましい実施形態において、有用な候補化合物は、血液又は血清(又は細胞外条件を模倣するよう選択された、インビトロでの条件下)と比較して、細胞内(又は細胞内条件を模倣するよう選択された、インビトロでの条件下)で少なくとも約2、4、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は約100倍速く切断される。
i.酸化還元切断可能な結合基
一実施形態において、切断可能な結合基は、還元又は酸化後に切断される酸化還元切断可能な結合基である。還元的に切断可能な結合基の例は、ジスルフィド結合基(-S-S-)である。切断可能な候補結合基が好適な「還元的に切断可能な結合基」であるか、又は例えば特定のiRNA部分及び特定の標的化剤との使用に好適であるかを決定するために、本明細書に記載される方法に注目し得る。例えば、候補は、ジチオスレイトール(DTT)、又は当該技術分野において公知の試薬を用いた他の還元剤とのインキュベーションによって評価することができ、これは、細胞、例えば標的細胞内で観察され得る切断の速度を模倣する。候補は血液又は血清条件を模倣するよう選択された条件下でも評価され得る。その1つにおいて、候補化合物は、血液中で約10%以下切断される。他の実施形態において、有用な候補化合物は、血液中(又は、細胞外条件を模倣するように選択されたインビトロでの条件下)と比較して、細胞内(又は、細胞内条件を模倣するように選択されたインビトロでの条件下)で少なくとも約2、4、10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は約100倍速く分解される。候補化合物の切断速度は、細胞内媒体を模倣するように選択された条件下での標準的な酵素動力学アッセイを用いて決定され、細胞外媒体を模倣するように選択された条件と比較され得る。
ii.リン酸塩ベースの切断可能な結合基
別の実施形態において、切断可能なリンカーは、リン酸塩ベースの切断可能な結合基を含む。リン酸塩ベースの切断可能な結合基は、リン酸基を分解又は加水分解する薬剤によって切断される。細胞内でリン酸基を切断する薬剤の一例は、細胞内のホスファターゼなどの酵素である。リン酸塩ベースの結合基の例は、-O-P(O)(ORk)-O-、-O-P(S)(ORk)-O-、-O-P(S)(SRk)-O-、-S-P(O)(ORk)-O-、-O-P(O)(ORk)-S-、-S-P(O)(ORk)-S-、-O-P(S)(ORk)-S-、-S-P(S)(ORk)-O-、-O-P(O)(Rk)-O-、-O-P(S)(Rk)-O-、-S-P(O)(Rk)-O-、-S-P(S)(Rk)-O-、-S-P(O)(Rk)-S-、-O-P(S)(Rk)-S-である。好ましい実施形態は、-O-P(O)(OH)-O-、-O-P(S)(OH)-O-、-O-P(S)(SH)-O-、-S-P(O)(OH)-O-、-O-P(O)(OH)-S-、-S-P(O)(OH)-S-、-O-P(S)(OH)-S-、-S-P(S)(OH)-O-、-O-P(O)(H)-O-、-O-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-O、-S-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-S-、-O-P(S)(H)-S-である。好ましい実施形態は、-O-P(O)(OH)-O-である。これらの候補は、上述した方法と類似した方法を用いて評価することができる。
iii.酸切断可能な結合基
別の実施形態において、切断可能なリンカーは、酸切断可能な結合基を含む。酸切断可能な結合基は、酸性条件下で切断される結合基である。好ましい実施形態において、酸切断可能な結合基は、約6.5以下(例えば、約6.0、5.75、5.5、5.25、5.0、又はそれ以下)のpHを有する酸性環境内で、又は一般的な酸として作用し得る酵素などの薬剤により、切断される。細胞内では、エンドソーム及びリソソームなどの特定の低pH小器官は、酸切断可能な結合基のための切断環境を提供し得る。酸切断可能な結合基の例には、限定はされないが、ヒドラゾン、エステル、及びアミノ酸のエステルが挙げられる。酸切断可能な基は、一般式-C=NN-、C(O)O、又は-OC(O)で表され得る。好ましい実施形態は、エステルの酸素に結合した炭素(アルコキシ基)が、アリール基、置換アルキル基、又はジメチルペンチル若しくはt-ブチルなどの第三級アルキル基である場合である。これらの候補は、上述した方法と類似した方法を用いて評価することができる。
iv.エステルベースの結合基
別の実施形態において、切断可能なリンカーは、エステルベースの切断可能な結合基を含む。エステルベースの切断可能な結合基は、細胞内のエステラーゼ及びアミラーゼなどの酵素により切断される。エステルベースの切断可能な結合基の例としては、限定はされないが、アルキレン、アルケニレン及びアルキニレン基のエステルが挙げられる。エステル切断可能な結合基は、一般式-C(O)O-、又は-OC(O)-で表される。これらの候補は、上述した方法と類似した方法を用いて評価することができる。
v.ペプチドベースの切断基
更に別の実施形態において、切断可能なリンカーは、ペプチドベースの切断可能な結合基を含む。ペプチドベースの切断可能な結合基は、細胞内のペプチダーゼ及びプロテアーゼなどの酵素により切断される。ペプチドベースの切断可能な基は、アミノ酸間で形成されてオリゴペプチド(例えば、ジペプチド、トリペプチドなど)及びポリペプチドを与えるペプチド結合である。ペプチドベースの切断可能な基は、アミド基(-C(O)NH-)を含まない。アミド基は、任意のアルキレン、アルケニレン又はアルキニレンの間で形成され得る。ペプチド結合は、アミノ酸間で形成されてペプチド及びタンパク質を与えるアミド結合の特別なタイプである。ペプチドベースの切断基は、一般に、アミノ酸間で形成されてペプチド及びタンパク質を与えるペプチド結合(即ち、アミド結合)に限定され、アミド官能基全部は含まない。ペプチドベースの切断可能な結合基は、一般式-NHCHRAC(O)NHCHRBC(O)-で表され、式中、RA及びRBは、隣接する2つのアミノ酸のR基である。これらの候補は、上述した方法と類似した方法を用いて評価することができる。
一実施形態において、本発明のiRNAは、リンカーを介して炭水化物とコンジュゲートされる。本発明の組成物及び方法のリンカーとのiRNA炭水化物コンジュゲートの非限定的な例としては、限定はされないが、
が挙げられ、X又はYの一方がオリゴヌクレオチドである場合、他方は水素である。
本発明の組成物及び方法の特定の実施形態において、リガンドは、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数の「GalNAc」(N-アセチルガラクトサミン)誘導体である。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される実施形態において(即ち、二重標的化RNAi剤)、dsRNA剤の一方又は両方は、独立して、二価又は三価の分枝鎖状リンカーを介して結合された1つ又は複数のGalNAc(N-アセチルガラクトサミン)誘導体を含むリガンドを含み得る。
一実施形態において、本発明のdsRNAは、式(XLV)~(XLVI):
のいずれかに示される構造の群から選択される二価又は三価の分枝鎖状リンカーにコンジュゲートされ、
式中:
q2A、q2B、q3A、q3B、q4A、q4B、q5A、q5B及びq5Cが、出現するごとに独立して、0~20を表し、繰返し単位は、同一又は異なっていてもよく;
P
2A、P
2B、P
3A、P
3B、P
4A、P
4B、P
5A、P
5B、P
5C、T
2A、T
2B、T
3A、T
3B、T
4A、T
4B、T
4A、T
5B、T
5Cがそれぞれ、出現するごとに独立して、存在しないか、CO、NH、O、S、OC(O)、NHC(O)、CH
2、CH
2NH又はCH
2Oであり;
Q
2A、Q
2B、Q
3A、Q
3B、Q
4A、Q
4B、Q
5A、Q
5B、Q
5Cが、出現するごとに独立して、存在しないか、アルキレン、置換アルキレンであり、ここで1つ又は複数のメチレンが、O、S、S(O)、SO
2、N(R
N)、C(R’)=C(R”)、C≡C又はC(O)のうちの1つ又は複数により中断又は終端されてもよく;
R
2A、R
2B、R
3A、R
3B、R
4A、R
4B、R
5A、R
5B、R
5Cがそれぞれ、出現するごとに独立して、存在しないか、NH、O、S、CH
2、C(O)O、C(O)NH、NHCH(R
a)C(O)、-C(O)-CH(R
a)-NH-、CO、CH=N-O、
又はヘテロシクリルであり;
L
2A、L
2B、L
3A、L
3B、L
4A、L
4B、L
5A、L
5B及びL
5Cが、リガンドを表し;即ち、それぞれ、出現するごとに独立して、単糖(GalNAcなど)、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖、又は多糖であり;R
aが、H又はアミノ酸側鎖である。三価コンジュゲートGalNAc誘導体は、RNAi剤とともに使用されて、式(XLIX):
のものなどの標的遺伝子の発現を阻害するのに特に有用であり、
式中、L
5A、L
5B及びL
5Cが、GalNAc誘導体などの単糖を表す。
GalNAc誘導体にコンジュゲートする好適な二価及び三価の分枝鎖状結合基の例としては、限定はされないが、式II、VII、XI、X、及びXIIIとして上に列挙される構造が挙げられる。
RNAコンジュゲートの調製を教示する代表的な特許としては、限定はされないが、米国特許第4,828,979号明細書;同4,948,882号明細書;同5,218,105号明細書;同5,525,465号明細書;同5,541,313号明細書;同5,545,730号明細書;同5,552,538号明細書;同5,578,717号明細書、同5,580,731号明細書;同5,591,584号明細書;同5,109,124号明細書;同5,118,802号明細書;同5,138,045号明細書;同5,414,077号明細書;同5,486,603号明細書;同5,512,439号明細書;同5,578,718号明細書;同5,608,046号明細書;同4,587,044号明細書;同4,605,735号明細書;同4,667,025号明細書;同4,762,779号明細書;同4,789,737号明細書;同4,824,941号明細書;同4,835,263号明細書;同4,876,335号明細書;同4,904,582号明細書;同4,958,013号明細書;同5,082,830号明細書;同5,112,963号明細書;同5,214,136号明細書;同5,082,830号明細書;同5,112,963号明細書;同5,214,136号明細書;同5,245,022号明細書;同5,254,469号明細書;同5,258,506号明細書;同5,262,536号明細書;同5,272,250号明細書;同5,292,873号明細書;同5,317,098号明細書;同5,371,241号明細書、同5,391,723号明細書;同5,416,203号明細書、同5,451,463号明細書;同5,510,475号明細書;同5,512,667号明細書;同5,514,785号明細書;同5,565,552号明細書;同5,567,810号明細書;同5,574,142号明細書;同5,585,481号明細書;同5,587,371号明細書;同5,595,726号明細書;同5,597,696号明細書;同5,599,923号明細書;同5,599,928号明細書及び同5,688,941号明細書;同6,294,664号明細書;同6,320,017号明細書;同6,576,752号明細書;同6,783,931号明細書;同6,900,297号明細書;同7,037,646号明細書;同8,106,022号明細書が挙げられ、これらのそれぞれの全内容が、参照により本明細書に援用される。
所与の化合物の全ての位置が均一に修飾されている必要はなく、実際には、上記の修飾のうちの2つ以上を、単一の化合物中に又は更にはiRNA内の単一のヌクレオシドに組み込むことができる。本発明は、キメラ化合物であるiRNA化合物も含む。
本発明に関連して、「キメラ」iRNA化合物又は「キメラ」は、少なくとも1つのモノマー単位、即ち、dsRNA化合物の場合はヌクレオチドからそれぞれ構成される2つ以上の化学的に異なる領域を含むiRNA化合物、好ましくは、dsRNAである。これらのiRNAは、典型的に、少なくとも1つの領域を含み、ここで、RNAは、ヌクレアーゼ分解に対する耐性の増加、細胞取り込みの増加、及び/又は標的核酸に対する結合親和性の増加をiRNAに与えるように修飾される。iRNAの更なる領域は、RNA:DNA又はRNA:RNAハイブリッドを切断することが可能な酵素のための基質としての役割を果たし得る。例として、RNアーゼHは、RNA:DNA二本鎖のRNA鎖を切断する細胞エンドヌクレアーゼである。したがって、RNアーゼHの活性化は、RNA標的の切断をもたらし、それによって、遺伝子発現のiRNA阻害の効率を大幅に高める。その結果として、キメラdsRNAが使用される場合、同じ標的領域にハイブリダイズするホスホロチオエートデオキシdsRNAと比較して、より短いiRNAによって同等の結果が得られることが多い。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動によって、及び必要に応じて、当該技術分野において公知の関連する核酸ハイブリダイゼーション技術によって、通例検出され得る。
場合によっては、iRNAのRNAは、非リガンド基によって修飾され得る。いくつかの非リガンド分子が、iRNAの活性、細胞分布又は細胞取り込みを向上させるためにiRNAにコンジュゲートされており、このようなコンジュゲートを行うための手順は、科学文献で入手可能である。このような非リガンド部分は、コレステロール(Kubo,T.et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.,2007,365(1):54-61;Letsinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86:6553)、コール酸(Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994,4:1053)、チオエーテル、例えば、ヘキシル-S-トリチルチオール(Manoharan et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660:306;Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Let.,1993,3:2765)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,Nucl.Acids Res.,1992,20:533)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオール又はウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al.,EMBO J.,1991,10:111;Kabanov et al.,FEBS Lett.,1990,259:327;Svinarchuk et al.,Biochimie,1993,75:49)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロール又はトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651;Shea et al.,Nucl.Acids Res.,1990,18:3777)、ポリアミン又はポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,Nucleosides&Nucleotides,1995,14:969)、又はアダマンタン酢酸(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36:3651)、パルミチル部分(Mishra et al.,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264:229)、又はオクタデシルアミン又はヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分(Crooke et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277:923)などの脂質部分を含んでいた。このようなRNAコンジュゲートの調製を教示する代表的な米国特許が上に列挙されている。典型的なコンジュゲートプロトコルは、配列の1つ又は複数の位置にアミノリンカーを有するRNAの合成を含む。次に、適切なカップリング剤又は活性化試薬を用いて、アミノ基をコンジュゲートされた分子と反応させる。コンジュゲート反応は、固体担体に依然として結合されたRNAを用いて、又は溶液相中のRNAの切断の後に行うことができる。HPLCによるRNAコンジュゲートの精製により、典型的に、純粋なコンジュゲートが得られる。
IV.本発明のiRNAの送達
細胞、例えば、ヒト対象(例えば、脂質代謝障害を有する対象などのiRNA剤を必要とする対象)などの対象中の細胞への本発明のiRNAの送達は、いくつかの様々な方法で行うことができる。例えば、送達は、細胞を、本発明のiRNAとインビトロ又はインビボのいずれかで接触させることによって行われ得る。インビボ送達はまた、iRNA、例えば、dsRNAを含む組成物を対象に投与することによって直接行われ得る。或いは、インビボ送達は、iRNAの発現をコードし、それを導く1つ又は複数のベクターを投与することによって、間接的に行われ得る。これらの代替例は、以下に更に説明される。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤が共有結合される本発明の方法において(即ち、二重標的化RNAi剤)、第1の剤の送達は、第2の剤の送達と同じか又は異なり得る。
一般に、核酸分子を(インビトロ又はインビボで)送達する任意の方法は、本発明のiRNAとともに使用するために適合され得る(例えば、全体が参照により本明細書に援用される、Akhtar S.and Julian RL.,(1992)Trends Cell.Biol.2(5):139-144及び国際公開第94/02595号パンフレットを参照)。インビボ送達の場合、iRNA分子を送達するために考慮される因子としては、例えば、送達される分子の生物学的安定性、非特異的効果の防止、及び標的組織における送達される分子の蓄積が挙げられる。iRNAの非特異的効果は、局所投与によって、例えば、組織への直接注入又は移植によって、或いは製剤を局所的に投与することによって、最小限に抑えられ得る。処置部位への局所投与は、剤の局所濃度を最大にし、剤によって悪影響を受け得るか又は剤を分解し得る、全身組織への剤の曝露を制限し、投与されるiRNA分子の総投与量を少なくすることができる。いくつかの研究が、iRNAが局所投与される場合の遺伝子産物のノックダウンの成功を示している。例えば、カニクイザルの硝子体内注射によるVEGF dsRNAの眼内送達(Tolentino,MJ.et al.,(2004)Retina 24:132-138)及びマウスの網膜下注射(Reich,SJ.et al.(2003)Mol.Vis.9:210-216)は両方とも、加齢性黄斑変性症の実験モデルにおける新血管形成を防ぐことを示した。更に、マウスにおけるdsRNAの直接腫瘍内投与が腫瘍容積を減少させ(Pille,J.et al.(2005)Mol.Ther.11:267-274)、担癌マウスの生存を延長することができる(Kim,WJ.et al.,(2006)Mol.Ther.14:343-350;Li,S.et al.,(2007)Mol.Ther.15:515-523)。RNA干渉は、直接注入による中枢神経系への局所送達(Dorn,G.et al.,(2004)Nucleic Acids 32:e49;Tan,PH.et al.(2005)Gene Ther.12:59-66;Makimura,H.et al.(2002)BMC Neurosci.3:18;Shishkina,GT.,et al.(2004)Neuroscience 129:521-528;Thakker,ER.,et al.(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.101:17270-17275;Akaneya,Y.,et al.(2005)J.Neurophysiol.93:594-602)及び鼻腔内投与による肺への局所送達(Howard,KA.et al.,(2006)Mol.Ther.14:476-484;Zhang,X.et al.,(2004)J.Biol.Chem.279:10677-10684;Bitko,V.et al.,(2005)Nat.Med.11:50-55)による成功も示している。疾病の処置のためにiRNAを全身投与するために、RNAは、修飾され得るか、或いは薬剤送達システムを用いて送達され得;両方の方法は、インビボでのエンドヌクレアーゼ及びエキソヌクレアーゼによるdsRNAの急速な分解を防ぐ役割を果たす。RNA又は医薬担体の修飾は、標的組織へのiRNA組成物の標的化を可能にし、望ましくないオフターゲット効果を回避することもできる。iRNA分子は、細胞取り込みを向上させ、分解を防ぐコレステロールなどの親油基への化学的結合によって修飾され得る。例えば、親油性コレステロール部分にコンジュゲートされるApoBに対するiRNAを、マウスに全身投与し、肝臓及び空腸の両方においてapoB mRNAのノックダウンを得た(Soutschek,J.et al.,(2004)Nature 432:173-178)。アプタマーへのiRNAのコンジュゲートは、前立腺癌のマウスモデルにおける腫瘍増殖を阻害し、腫瘍退縮を仲介することが示されている(McNamara,JO.et al.,(2006)Nat.Biotechnol.24:1005-1015)。代替的な実施形態において、iRNAは、ナノ粒子、デンドリマー、ポリマー、リポソーム、又はカチオン性送達システムなどの薬剤送達システムを用いて送達され得る。正に帯電したカチオン性送達システムは、iRNA分子(負に帯電した)の結合を促進し、また、負に帯電した細胞膜における相互作用を向上させて、細胞によるiRNAの効率的な取り込みを可能にする。カチオン性脂質、デンドリマー、又はポリマーは、iRNAに結合され得るか、又はiRNAを包む小胞又はミセル(例えば、Kim SH.et al.,(2008)Journal of Controlled Release 129(2):107-116を参照)を形成するように誘導され得る。小胞又はミセルの形成は、全身投与される場合のiRNAの分解を更に防ぐ。カチオン性iRNA複合体を作製し、投与するための方法は、十分当業者の能力の範囲内である(例えば、全体が参照により本明細書に援用される、Sorensen、DR.,et al.(2003)J.Mol.Biol 327:761-766;Verma,UN.et al.,(2003)Clin.Cancer Res.9:1291-1300;Arnold,AS et al.,(2007)J.Hypertens.25:197-205を参照)。iRNAの全身送達に有用な薬剤送達システムのいくつかの非限定的な例としては、DOTAP(Sorensen,DR.,et al(2003)、上記参照;Verma,UN.et al.,(2003)、上記を参照)、Oligofectamine、「固体核酸脂質粒子」(Zimmermann,TS.et al.,(2006)Nature 441:111-114)、カルジオリピン(Chien,PY.et al.,(2005)Cancer Gene Ther.12:321-328;Pal,A.et al.,(2005)Int J.Oncol.26:1087-1091)、ポリエチレンイミン(Bonnet ME.et al.,(2008)Pharm.Res.Aug 16 Epub ahead of print;Aigner,A.(2006)J.Biomed.Biotechnol.71659)、Arg-Gly-Asp(RGD)ペプチド(Liu,S.(2006)Mol.Pharm.3:472-487)、及びポリアミドアミン(Tomalia,DA.et al.,(2007)Biochem.Soc.Trans.35:61-67;Yoo,H.et al.,(1999)Pharm.Res.16:1799-1804)が挙げられる。ある実施形態において、iRNAは、全身投与のためにシクロデキストリンとともに複合体を形成する。投与のための方法及びiRNAs及びシクロデキストリンの医薬組成物が、全体が参照により本明細書に援用される米国特許第7,427,605号明細書に見出され得る。
A.ベクターでコードされた本発明のiRNA
LDHA遺伝子を標的とするiRNA並びにLDHA及びHAO1を標的とするiRNAは、DNA又はRNAベクターに挿入された転写単位から発現され得る(例えば、Couture,A,et al.,TIG.(1996),12:5-10;Skillern,A.らの国際PCT公開番号国際公開第00/22113号パンフレット、Conradの国際PCT公開番号国際公開第00/22114号パンフレット、及びConradの米国特許第6,054,299号明細書を参照)。発現は、使用される特定の構築物及び標的組織又は細胞型に応じて、一時的(およそ数時間から数週間)であるか又は持続され得る(数週間から数カ月又はそれ以上)。これらの導入遺伝子は、線状構築物、環状プラスミド、又はウイルスベクターとして導入することができ、これらは、組み込み又は非組み込みベクターであり得る。導入遺伝子は、染色体外プラスミドとして継承されるのを可能にするように構築することもできる(Gassmann,et al.,(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA92:1292)。
iRNAの個々の1つ又は複数の鎖は、発現ベクターにおけるプロモーターから転写され得る。2本の別個の鎖が発現されて、例えば、dsRNAを生成する場合、2つの別個の発現ベクターが、(例えば、トランスフェクション又は感染によって)標的細胞中に共導入され得る。或いは、dsRNAの各個々の鎖が、同じ発現プラスミド上に位置するプロモーターによって転写され得る。一実施形態において、dsRNAは、ステム・ループ構造を有するように、リンカーポリヌクレオチド配列によって接合される逆方向反復ポリヌクレオチドとして発現される。
iRNA発現ベクターは、一般に、DNAプラスミド又はウイルスベクターである。真核細胞と適合する発現ベクター、好ましくは、脊椎動物細胞と適合する発現ベクターを用いて、本明細書に記載されるiRNAの発現のための組み換え構築物を産生することができる。真核細胞の発現ベクターは、当該技術分野において周知であり、多くの商業的供給源から入手可能である。通常、所望の核酸セグメントを挿入するのに好都合な制限部位を含むこのようなベクターが提供される。iRNA発現ベクターの送達は、例えば、静脈内又は筋肉内投与によるか、患者から移植された標的細胞に投与した後に患者に再導入することによるか、又は所望の標的細胞への導入を可能にする任意の他の手段などによる全身送達であり得る。
本明細書に記載される方法及び組成物とともに用いられ得るウイルスベクター系としては、限定はされないが、(a)アデノウイルスベクター;(b)レンチウイルスベクター、モロニーマウス白血病ウイルスなどを含むがこれらに限定されないレトロウイルスベクター;(c)アデノ随伴ウイルスベクター;(d)単純ヘルペスウイルスベクター;(e)SV40ベクター;(f)ポリオーマウイルスベクター;(g)パピローマウイルスベクター;(h)ピコルナウイルスベクター;(i)オルソポックス(orthopox)、例えば、ワクシニアウイルスベクター又は鳥ポックス、例えばカナリア痘又は鶏痘などのポックスウイルスベクター;及び(j)ヘルパー依存性又は弱毒アデノウイルスが挙げられる。複製欠損ウイルスも有利であり得る。異なるベクターが、細胞のゲノムに組み込まれるか又は組み込まれないであろう。構築物は、必要に応じて、トランスフェクションのためのウイルス配列を含み得る。或いは、構築物は、エピソーム複製が可能なベクター、例えばEPV及びEBVベクターに組み込まれ得る。iRNAの組み換え発現のための構築物は、一般に、標的細胞内でのiRNAの発現を確実にするために、調節要素、例えば、プロモーター、エンハンサーなどを必要とする。ベクター及び構築物について考慮される他の態様が、当該技術分野において公知である。
V.本発明の医薬組成物
本発明は、本発明のiRNAを含む医薬組成物及び製剤も含む。したがって、一実施形態において、肝細胞などの細胞内での乳酸脱水素酵素A(LDHA)の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤であって、dsRNA剤が、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、センス鎖が、配列番号1のヌクレオチド配列と3つ以下のヌクレオチドだけ異なる少なくとも15連続ヌクレオチドを含み、前記アンチセンス鎖が、配列番号2のヌクレオチド配列と3つ以下のヌクレオチドだけ異なる少なくとも15連続ヌクレオチドを含む、dsRNA剤と;薬学的に許容され得る担体とを含む医薬組成物が本明細書に提供される。
別の実施形態において、肝細胞などの細胞内での乳酸脱水素酵素A(LDHA)の発現を阻害するdsRNA剤であって、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖が、表2~5のいずれか1つに列挙されるアンチセンス配列のいずれか1つと3つ以下のヌクレオチドだけ異なる少なくとも15連続ヌクレオチドを含む相補性の領域を含む、dsRNA剤と;薬学的に許容され得る担体とを含む医薬組成物が本明細書に提供される。
一実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖を含む、肝細胞などの細胞内での乳酸脱水素酵素A(LDHA)の発現を阻害する第1の二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤であって、センス鎖が、配列番号1のヌクレオチド配列と3つ以下のヌクレオチドだけ異なる少なくとも15連続ヌクレオチドを含み、アンチセンス鎖が、配列番号2のヌクレオチド配列と3つ以下のヌクレオチドだけ異なる少なくとも15連続ヌクレオチドを含む、第1の二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤と;センス鎖及びアンチセンス鎖を含む、肝細胞などの細胞内でのヒドロキシ酸オキシダーゼ1(グリコール酸オキシダーゼ)(HAO1)の発現を阻害する第2の二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤であって、センス鎖が、配列番号21のヌクレオチド配列と3つ以下のヌクレオチドだけ異なる少なくとも15連続ヌクレオチドを含み、アンチセンス鎖が、配列番号22のヌクレオチド配列と3つ以下のヌクレオチドだけ異なる少なくとも15連続ヌクレオチドを含む、第2の二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤と;薬学的に許容され得る担体とを含む医薬組成物が本明細書に提供される。
別の実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖を含む、肝細胞などの細胞内での乳酸脱水素酵素A(LDHA)の発現を阻害する第1の二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤であって、アンチセンス鎖が、表2~5のいずれか1つに列挙されるアンチセンス配列のいずれか1つと3つ以下のヌクレオチドだけ異なる少なくとも15連続ヌクレオチドを含む相補性の領域を含む、第1の二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤と;センス鎖及びアンチセンス鎖を含む、肝細胞などの細胞内でのヒドロキシ酸オキシダーゼ1(グリコール酸オキシダーゼ)(HAO1)の発現を阻害する第2の二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤であって、アンチセンス鎖が、表7~14のいずれか1つに列挙されるアンチセンス配列のいずれか1つと3つ以下のヌクレオチドだけ異なる少なくとも15連続ヌクレオチドを含む相補性の領域を含む、第2の二本鎖リボ核酸(dsRNA)剤とを含む医薬組成物が本明細書に提供される。
更に別の実施形態において、本発明は、本発明の二重標的化RNAi剤と、薬学的に許容され得る担体とを含む、医薬組成物及び製剤を提供する。
本発明のiRNAを含有する医薬組成物は、LDHA遺伝子又はLDHA遺伝子及びHAO1遺伝子の発現又は活性に関連する疾病又は障害、例えば、オキサレート経路に関連する疾病、障害又は病態を処置するのに有用である。
このような医薬組成物は、送達様式に基づいて製剤化される。一例は、非経口投与を介した、例えば、静脈内(IV)による又は皮下送達のための、全身投与用に製剤化される組成物である。別の例は、例えば、持続性ポンプ注入などによる肝臓への注入による、肝臓への直接送達用に製剤化される組成物である。
本発明の医薬組成物は、LDHA遺伝子又はLDHA遺伝子及びHAO1遺伝子の発現を阻害するのに十分な投与量で投与され得る。一般に、本発明のiRNAの好適な用量は、1日当たりレシピエントの体重キログラム当たり約0.001~約200.0ミリグラムの範囲、一般に、1日当たり体重キログラム当たり約1~50mgの範囲である。典型的に、本発明のiRNAの好適な用量は、約0.1mg/kg~約5.0mg/kgの範囲、好ましくは、約0.3mg/kg及び約3.0mg/kgである。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤を含む本発明の方法において、第1の剤及び第2の剤は、同じ医薬製剤又は別の医薬製剤中に存在し得る。
反復投与計画は、定期的な、例えば、1日置きないし年に1回の、治療量のiRNAの投与を含み得る。特定の実施形態において、iRNAは、月に約1回ないし四半期に約1回(即ち、3か月に約1回)投与される。
最初の処置計画の後、治療剤は、より少ない頻度で投与され得る。
当業者は、非限定的に疾病又は疾患の重篤さ、以前の処置、対象の全体的な健康及び/又は年齢、並びに存在する他の疾病を含む所定の因子が対象を効果的に処置するのに必要な投与量及び時間に影響し得ることを認識するであろう。更に、治療的有効量の組成物による対象の処置は、単一の処置又は一連の処置を含み得る。本発明により包含される個々のiRNAに関する有効な投与量、及びインビボでの半減期は、従来の方法論を用いて、又は本明細書の他の箇所に記載されるような適切な動物モデルを使用したインビボでの試験に基づいて概算することができる。
マウス遺伝学の進歩が、LDHA及び/又はLDHA及びHAO1の発現の低下から利益を得られ得る、オキサレート経路に関連する疾病、障害又は病態などの様々なヒトの疾病の研究のための多くのマウスモデルを生み出してきた。このようなモデルは、iRNAのインビボ試験のため、並びに治療的に有効な用量を決定するために使用され得る。好適なマウスモデルは、当該技術分野において公知であり、例えば、AGXT又はGRHPR遺伝子における突然変異又は欠失を含み得るマウスモデル(例えば、Salido EC,et al.(2006)PNAS 103(48):18249-18254及びKnight J,et al.(2012)Am.J.Physiol.Renal Physiol.302:F688-F693を参照);PH3マウスモデル(例えば、Li,et al.(2015)biochem Biophys Acta 1852(12):2700を参照);及びエチレングリコール尿路結石症マウスモデルを含む。
本発明の医薬組成物は、局所的又は全身的処置が必要かどうか及び処置される部位に応じて、いくつかの方法で投与され得る。投与は、局所投与(例えば、経皮パッチによる)、例えば、噴霧器などによる、粉末又はエアロゾルの吸入又は吹送による経肺投与;気管内、鼻腔内、表皮及び経皮、経口又は非経口投与であり得る。非経口投与としては、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内又は筋肉内注射又は注入;例えば、埋め込みデバイスによる皮下投与;又は例えば、実質内、髄腔内若しくは脳室内投与による頭蓋内投与が挙げられる。
iRNAは、肝臓(例えば、肝臓の肝細胞)などの特定の細胞又は組織を標的とするように送達され得る。
局所投与用の医薬組成物及び製剤には、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、液滴、坐薬、噴霧剤、液剤及び散剤が挙げられる。従来の医薬担体、水性、粉末又は油性基剤、増粘剤などが必要であり、又は所望され得る。被覆コンドーム、手袋なども有用であり得る。好適な局所製剤は、本発明を特徴付けるiRNAが、脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート化剤及び界面活性剤などの局所送達薬剤との混合物であるものを含む。好適な脂質及びリポソームは、中性(例えば、ジオレイルホスファチジルDOPEエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルコリンDMPC、ジステアロイルホスファチジルコリン)、陰イオン性(例えば、ジミリストイルホスファチジルグリセロールDMPG)及び陽イオン性(例えば、ジオレイルテトラメチルアミノプロピルDOTAP及びジオレイルホスファチジルエタノールアミンDOTMA)を含む。本発明を特徴付けるiRNAは、リポソーム中に封入されることができ、又はリポソームに対して、特に陽イオン性リポソームに対して錯体を形成することができる。代替的に、iRNAは、脂質に対して、特に陽イオン性脂質に対して錯体化されてもよい。好適な脂肪酸及びエステルには、非限定的にアラキドン酸、オレイン酸、エイコサン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1-モノカプレート、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、アシルカルニチン、アシルコリン、又はC1~20アルキルエステル(例えば、ミリスチン酸イソプロピルIPM)、モノグリセリド、ジグリセリド又はこれらの薬学的に許容され得る塩が挙げられる)。局所製剤は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,747,014号明細書に詳細に記載されている。
経口投与用の組成物及び製剤には、散剤又は顆粒、微粒子、ナノ粒子、縣濁剤、又は水若しくは非水性媒体中の液剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、薬袋、錠剤又は小型錠剤が挙げられる。増粘剤、風味剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤又は結合剤は、所望され得る。いくつかの実施形態では、経口製剤は、本発明を特徴付けるdsRNAが、1種又は複数種の透過促進剤界面活性剤及びキレート剤とともに投与されるものである。好適な界面活性剤には、脂肪酸及び/若しくはエステル又はその塩、胆汁酸及び/又はその塩が挙げられる。好適な胆汁酸/塩には、ケノデオキシコール酸(CDCA)及びウルソデオキシケノデオキシコール酸(UDCA)、コール酸、デヒドロコール酸、デオキシコール酸、グルコール酸、グリコール酸、グリコデオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、タウロ-24,25-ジヒドロ-フシジン酸ナトリウム及びグリコジヒドロフシジン酸ナトリウムが挙げられる。好適な脂肪酸には、アラキドン酸、ウンデカン酸、オレイン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン、ジラウリン、グリセリル1-モノカプレート、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、アシルカルニチン、アシルコリン、若しくはモノグリセリド、ジグリセリド、又はこれらの薬学的に許容され得る塩(例えば、ナトリウム)が挙げられる。いくつかの実施形態において、浸透促進剤の組み合わせ、例えば胆汁酸/塩と組み合わせた脂肪酸/塩が使用される。例示的な1つの組み合わせは、ラウリン酸、カプリン酸及びUDCAのナトリウム塩である。更なる浸透促進剤には、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-20-セチルエーテルが挙げられる。本発明を特徴付けるDsRNAは、噴霧乾燥粒子、又はマイクロ若しくはナノ粒子を形成するために錯体化されたものを含む顆粒形態で経口的に送達され得る。dsRNA錯体化剤には、ポリ-アミノ酸;ポリイミン;ポリアクリレート;ポリアルキルアクリレート、ポリオキセタン、ポリアルキルシアノアクリレート;陽イオン化ゼラチン、アルブミン、澱粉、アクリレート、ポリエチレングリコール(PEG)及び澱粉;ポリアルキルシアノアクリレート;DEAE-誘導体化ポリイミン、プルラン、セルロース及び澱粉が挙げられる。好適な錯体化剤には、キトサン、N-トリメチルキトサン、ポリ-L-リシン、ポリヒスチジン、ポリオルニチン、ポリスペルミン、プロタミン、ポリビニルピリジン、ポリチオジエチルアミノメチルエチレンP(TDAE)、ポリアミノスチレン(例えば、p-アミノ)、ポリ(メチルシアノアクリレート)、ポリ(エチルシアノアクリレート)、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソブチルシアノアクリレート)、ポリ(イソヘキシルシアノ(cynao)アクリレート)、DEAE-メタクリレート、DEAE-ヘキシルアクリレート、DEAE-アクリルアミド、DEAE-アルブミン及びDEAE-デキストラン、ポリメチルアクリレート、ポリヘキシルアクリレート、ポリ(D,L-乳酸)、ポリ(DL-乳酸-コ-グリコール酸(PLGA)、アルギン酸塩、及びポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。dsRNA用の経口製剤、及びそれらの製剤は、その各々が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,887,906号明細書、米国特許出願公開第20030027780号明細書及び米国特許第6,747,014号明細書に記載されている。
非経口、実質内(脳内へ)、くも膜下腔内、脳室内又は肝内投与用の組成物及び製剤には、無菌水性溶液を挙げることができ、その無菌水性溶液は、緩衝液、希釈剤、並びに非限定的に浸透促進剤、担体化合物、及び他の薬学的に許容され得る担体又は賦形剤などの他の好適な添加剤も含み得る。
本発明の医薬組成物は、非限定的に、液剤、乳剤、及びリポソーム含有製剤を含む。これらの組成物は、非限定的に予め形成された液剤、自己乳化型固体及び自己乳化型半固体を含む多様な構成成分から生成され得る。肝癌腫などの肝疾患を処置する際、肝臓を標的とする製剤が特に好ましい。
単位剤形にて都合よく存在し得る本発明の医薬製剤は、医薬産業にて周知の従来の技術に従って調製することができる。そのような技術は、活性成分を医薬担体又は賦形剤と関連させるステップを含む。一般に、製剤は、活性成分を液体担体又は微粉化固体担体又は両方と均一且つ親密に関連させた後、必要であれば、製品を成形することにより調製される。
本発明の組成物は、非限定的に錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、液体シロップ剤、ソフトゲル剤、坐薬、及び浣腸などの多数の可能な剤形のいずれかに処方され得る。本発明の組成物はまた、水性、非水性又は混合媒体中の懸濁液として処方され得る。水性縣濁液は、更に、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール及び/又はデキストランを含む、縣濁液の粘度を増大させる物質を含んでもよい。縣濁液はまた、安定剤を含み得る。
A.更なる製剤
i.エマルション
本発明の組成物は、エマルションとして、調製され、製剤化され得る。エマルションは、典型的に、1つの液体が、通常、直径が0.1μmを超える液滴の形態の別の液体中に分散された不均一系である(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,Volume 1,p.245;Block in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 2,p.335;Higuchi et al.,in Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1985,p.301を参照)。エマルションは、多くの場合、互いに親密に混合され及び分散された2つの非混和性液体相を含む二層系である。一般に、エマルションは、油中水(w/o)又は水中油(o/w)の種類のいずれかであり得る。水性相が微小液滴として塊の油相中に微細に分割され及び分散された場合、得られた組成物は、油中水(w/o)エマルションと呼ばれる。代替的に、油相が微小液滴として塊の水性相中に微細に分割され及び分散された場合、得られた組成物は、水中油(o/w)エマルションと呼ばれる。エマルションは、分散相及び活性薬物に加えて追加の構成成分を含むことができ、その構成成分は、水性相、油相中の溶液として、又はそれ自体が別個の相として存在し得る。必要に応じてエマルション中に乳化剤、安定剤、染料、及び抗酸化剤などの医薬賦形剤も存在し得る。医薬エマルションは、例えば、油中水中油(o/w/o)及び水中油中水(w/o/w)エマルションの場合など、3つ以上の相からなる多エマルションであり得る。そのような複合製剤は、多くの場合、単純な二成分エマルションが提供しない所定の利点を提供する。o/wエマルションの個々の油小滴が小さい水小滴を囲い込む多エマルションは、w/o/wエマルションを構成する。同様に、油の連続相中で安定化された水の小球中に囲い込まれた油小滴の系は、o/w/oエマルションを提供する。
エマルションは、熱力学的安定性を殆ど又は全く有さないことにより特徴付けられる。多くの場合、エマルションの分散又は不連続相は、外部又は連続相中に良好に分散され、乳化剤の手段、又は製剤の粘度を介してこの形態に維持される。エマルションの相のいずれかは、エマルション型軟膏ベース及びクリームの場合のように半固体又は固体であり得る。エマルションを安定化させる他の手段には、エマルションのいずれかの相に組み込まれ得る乳化剤の使用が含まれる。乳化剤は、合成界面活性剤、天然乳化剤、吸収基剤、及び微細に分散した固体の4つのカテゴリーに大きく分類され得る(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199を参照)。
表面活性剤としても知られている合成界面活性剤は、エマルションの製剤化に広範な適用性が見出されており、文献に概説されている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.285;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,1988,volume 1,p.199を参照)。界面活性剤は、通常、両親媒性であり、親水性部分及び疎水性部分を含む。界面活性剤の疎水性に対する親水性の比率は、親水性/親油性バランス(HLB)と称されており、製剤の調製の際の界面活性剤の分類及び選択の際の貴重な手段である。界面活性剤は、親水性基の性質に基づいて、異なる種類、即ち、非イオン性、アニオン性、カチオン性及び両性に分類され得る(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY Rieger,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.285を参照)。
エマルション製剤中に使用される、天然に存在する乳化剤には、ラノリン、蜜蝋、ホスファチド、レシチン及びアカシアが挙げられる。吸収ベースは、無水ラノリン及び親水性ワセリンのように、水を取り入れてw/oエマルションを形成するが、尚それらの半固体稠度を維持する親水性特性を所有する。微粉化固体は、特に界面活性剤の組み合わせ中、及び粘稠な製剤中で、良好な乳化剤として使用されている。これらには、重金属水酸化物などの極性無機固体、ベントナイト、アタパルジャイト、ヘクトライト、カオリン、モンモリロナイト、コロイド状ケイ酸アルミニウム及びコロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウムなどの非膨潤粘土、顔料、及び炭素などの非極性固体又はトリステアリン酸グリセリルが挙げられる。
非常に多様な非乳化材料もエマルション製剤中に含まれ、エマルションの特性に寄与する。それらには、脂肪、油、蝋、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪エステル、湿潤剤、親水性コロイド、保存剤及び抗酸化剤が挙げられる(Block,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.335;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199)。
親水性コロイド又は親水コロイドには、多糖(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、カラゲナン、グァーガム、カラヤガム、及びトラガカント)などの天然に存在するゴム及び合成ポリマー、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース及びカルボキシプロピルセルロース)、及び合成ポリマー(例えば、カルボマー、セルロースエーテル、及びカルボキシビニルポリマー)が挙げられる。これらは水中に分散し又は水中で膨潤して、分散相の小滴の周囲に強力な界面フィルムを形成することにより、また、外部相の粘度を増大させることにより、エマルションを安定化するコロイド溶液を形成する。
エマルションは、多くの場合、微生物の増殖を容易に支持し得る炭水化物、タンパク質、ステロール及びホスファチドなどの多数の成分を含むため、これらの製剤は、多くの場合、保存剤を組み込んでいる。製剤に含まれる、通常使用される保存剤には、メチルパラベン、プロピルパラベン、第四級アンモニウム塩、塩化ベンズアルコニウム、p-ヒドロキシ安息香酸のエステル、及びホウ酸が挙げられる。抗酸化剤も、通常、エマルション製剤に加えられて、製剤の変質を防止する。使用される抗酸化剤は、トコフェロール、没食子酸アルキル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンなどの遊離基スカベンジャー、又はアスコルビン酸及びメタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤、並びにクエン酸、酒石酸及びレシチンなどの抗酸化剤共力剤であり得る。
皮膚、経口及び非経口経路を介したエマルション製剤の適用並びにそれらの製造方法は、文献に概説されている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199を参照)。経口送達用のエマルション製剤は、製剤化の容易さ、並びに吸収及び生物学的利用能の観点からの有効性のため、非常に広範に使用されている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245;Idson,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.199を参照)。鉱油基剤の緩下剤、油溶性ビタミン及び高脂肪栄養製剤が、o/w型エマルションとして一般的に経口投与されている材料に含まれる。
ii.マイクロエマルション
本発明の一実施形態において、iRNA及び核酸の組成物は、マイクロエマルションとして製剤化される。マイクロエマルションは、単一の光学的に等方性で且つ熱力学的に安定した液体溶液である、水、油及び両親媒性物質の系として定義され得る(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245を参照)。典型的には、マイクロエマルションは、最初に油を水性界面活性剤溶液中に分散した後、十分な量の第四の構成成分、一般に中間の鎖長のアルコールを加えて透明系を形成することにより調製される。従って、マイクロエマルションは、表面活性分子の界面フィルムにより安定化されている2つの非混和性液体からなる熱力学的に安定な、等方的に透明な分散物として記載されている(Leung and Shah,in:Controlled Release of Drugs:Polymers and Aggregate Systems,Rosoff,M.,Ed.,1989,VCH Publishers,New York,pp.185-215)。マイクロエマルションは通常、油、水、界面活性剤、補助界面活性剤及び電解質を含む3~5つの構成成分の組み合わせを用いて調製される。マイクロエマルションが油中水(w/o)タイプ又は水中油(o/w)タイプのいずれのものであるかは、使用される油及び界面活性剤の特性と、界面活性剤分子の極性頭部及び炭化水素尾部の構造及び幾何学的充填(geometric packing)とに依存する(Schott,in Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1985,p.271)。
状態図を用いる現象論的手法が広範に研究されており、マイクロエマルションを製剤化する方法についての広範な知識を当業者に与えている(例えば、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Allen,LV.,Popovich NG.,and Ansel HC.,2004,Lippincott Williams&Wilkins(8th ed.),New York,NY;Rosoff,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.245;Block,in Pharmaceutical Dosage Forms,Lieberman,Rieger and Banker(Eds.),1988,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,volume 1,p.335を参照)。従来のエマルションと比較して、マイクロエマルションは、自発的に形成する熱力学的に安定な小滴の製剤中で水不溶性薬物を可溶化する利点を提供する。
マイクロエマルションの調製に使用される界面活性剤には、単独で又は補助界面活性剤との組み合わせで、非限定的に、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、Brij 96、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、モノラウリン酸テトラグリセロール(ML310)、モノオレイン酸テトラグリセロール(MO310)、モノオレイン酸ヘキサグリセロール(PO310)、ペンタオレイン酸ヘキサグリセロール(PO500)、モノカプリン酸デカグリセロール(MCA750)、モノオレイン酸デカグリセロール(MO750)、セスキオレイン酸(sequioleate)デカグリセロール(SO750)、デカオレイン酸デカグリセロール(DAO750)が挙げられる。通常、エタノール、1-プロパノール、及び1-ブタノールなどの短鎖アルコールである補助界面活性剤は、界面活性剤フィルム中に浸透し、その結果、界面活性剤分子間に生成された空隙空間によって不規則フィルムを形成することにより、界面流動性を増大させる役割を果たす。しかしながら、マイクロエマルションは、補助界面活性剤を使用することなく調製されることができ、アルコールフリー自己乳化型マイクロエマルション系は、当該技術分野にて既知である。水性相は、典型的には、非限定的に水、薬物の水性溶液、グリセロール、PEG300、PEG400、ポリグリセロール、プロピレングリコール、及びエチレングリコールの誘導体とすることができる。油相は、非限定的にCaptex 300、Captex 355、Capmul MCM、脂肪酸エステル、中鎖(C8~C12)モノ、ジ、及びトリ-グリセリド、ポリオキシエチル化グリセリル脂肪酸エステル、脂肪アルコール、ポリグリコール化グリセリド、飽和ポリグリコール化C8~C10グリセリド、植物油及びシリコーン油などの材料を含むことができる。
マイクロエマルションは、薬物可溶化及び薬物吸収向上の観点から特に興味深い。脂質ベースのマイクロエマルション(o/w及びw/oの両方)は、ペプチドを含む薬物の経口バイオアベイラビリティの向上に提案されている(例えば米国特許第6,191,105号明細書、米国特許第7,063,860号明細書、米国特許第7,070,802号明細書、米国特許第7,157,099号明細書、Constantinides et al.,Pharmaceutical Research,1994,11,1385-1390;Ritschel,Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol.,1993,13,205を参照されたい)。マイクロエマルションは、薬物可溶化の改善、酵素加水分解からの薬物の保護、界面活性剤誘導による膜流動性及び透過性の変更に起因する薬物吸収の可能な向上、調製の容易さ、固体剤形を超える経口投与の容易さ、臨床的効能の改善、及び毒性の低下の利点を提供する(例えば例えば米国特許第6,191,105号明細書、米国特許第7,063,860号明細書、米国特許第7,070,802号明細書、米国特許第7,157,099号明細書、Constantinides et al.,Pharmaceutical Research,1994,11,1385;Ho et al.,J.Pharm.Sci.,1996,85,138-143を参照されたい)。多くの場合、マイクロエマルションは、マイクロエマルションの構成成分が周囲温度で一緒にされた際に自発的に形成され得る。このことは、易熱性薬物、ペプチド又はiRNAを処方する際に特に有利であり得る。マイクロエマルションはまた美容及び医薬用途の両方において活性構成成分の経費送達に有効である。本発明のマイクロエマルション組成物及び製剤が胃腸管からのiRNA及び核酸の全身吸収の増大、並びにiRNA及び核酸の局部細胞取り込みの改善を促進することが期待される。
本発明のマイクロエマルションはまた、モノステアリン酸ソルビタン(Grill 3)、ラブラソール(Labrasol)、及び透過促進剤などの追加の構成成分及び添加剤を含んで、製剤の特性を改善し、且つ本発明のiRNA及び核酸の吸収を向上させ得る。本発明のマイクロエマルション中で使用される浸透促進剤は、5つの広いカテゴリーの1つに属するものとして分類され得る--界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート化剤、及び非キレート化非界面活性剤(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92)。これらのクラスの各々は、上記に論じられている。
iii.微粒子
本発明のiRNA剤は、粒子、例えば、微粒子に組み込まれてもよい。微粒子は、噴霧乾燥によって生成され得るが、凍結乾燥、蒸発、流体床乾燥、真空乾燥、又はこれらの技術の組み合わせを含む他の方法によって生成されてもよい。
iv.浸透促進剤
一実施形態において、本発明は、動物の皮膚への、核酸、特にRNAiの効率的な送達を行うために様々な浸透促進剤を用いる。ほとんどの薬剤が、イオン化及び非イオン化の両方の形態で溶液中に存在する。しかしながら、通常、脂溶性又は親油性の薬剤のみが、細胞膜を容易に横断する。横断される膜が浸透促進剤で処理されている場合、非親油性薬剤でも細胞膜を横断することができることが発見されている。細胞膜をわたる非親油性薬剤の拡散の補助に加えて、浸透促進剤は、親油性薬剤の浸透性も向上させる。
浸透促進剤は、即ち、界面活性剤、脂肪酸、胆汁塩、キレート剤、及び非キレート非界面活性剤の5つの大きいカテゴリーのうちの1つに属するものとして分類され得る(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92を参照)。浸透促進剤の上記の種類のそれぞれが、以下により詳細に記載される。
界面活性剤(又は「表面活性剤」)は、水溶液に溶解されると、溶液の表面張力又は水溶液と別の液体との間の界面張力を低下させ、粘膜を通るiRNAの吸収が向上されるという結果を生じる化学物質である。胆汁塩及び脂肪酸に加えて、これらの浸透促進剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル及びポリオキシエチレン-20-セチルエーテル)(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92を参照);及びFC-43などのペルフルオロ化合物エマルション(Takahashi et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1988,40,252)が挙げられる。
浸透促進剤として作用する様々な脂肪酸及びそれらの誘導体としては、例えば、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸(n-デカン酸)、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン(1-モノオレイル-rac-グリセロール)、ジラウリン、カプリル酸、アラキドン酸、グリセロール1-モノカプレート、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、アシルカルニチン、アシルコリン、それらのC1~20アルキルエステル(例えば、メチル、イソプロピル及びt-ブチル)、並びにそれらのモノグリセリド及びジグリセリド(即ち、オレエート、ラウレート、カプレート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、リノレエートなど)が挙げられる(例えば、Touitou,E.,et al.Enhancement in Drug Delivery,CRC Press,Danvers,MA,2006;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1-33;El Hariri et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1992,44,651-654を参照)。
胆汁の生理学的役割には、脂質及び脂溶性ビタミンの分散及び吸収の促進が含まれる(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Brunton,Chapter 38 in:Goodman&Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,9th Ed.,Hardman et al.Eds.,McGraw-Hill,New York,1996,pp.934-935を参照)。様々な天然の胆汁塩、及びそれらの合成誘導体が、浸透促進剤として作用する。したがって、「胆汁塩」という用語は、胆汁の天然成分のいずれか並びにそれらの合成誘導体のいずれかを含む。好適な胆汁塩としては、例えば、コール酸(又はその薬学的に許容され得るナトリウム塩、コール酸ナトリウム)、デヒドロコール酸(デヒドロコール酸ナトリウム)、デオキシコール酸(デオキシコール酸ナトリウム)、グルコール酸(glucholic acid)(グルコール酸ナトリウム(sodium glucholate))、グリコール酸(グリココール酸ナトリウム)、グリコデオキシコール酸(グリコデオキシコール酸ナトリウム)、タウロコール酸(タウロコール酸ナトリウム)、タウロデオキシコール酸(タウロデオキシコール酸ナトリウム)、ケノデオキシコール酸(ケノデオキシコール酸ナトリウム)、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、ナトリウムタウロ-24,25-ジヒドロ-フシデート(STDHF)、グリコジヒドロフシジン酸ナトリウム及びポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル(POE)が挙げられる(例えば、Malmsten,M.Surfactants and polymers in drug delivery,Informa Health Care,New York,NY,2002;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,page 92;Swinyard,Chapter 39 In:Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Gennaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1990,pp.782-783;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1-33;Yamamoto et al.,J.Pharm.Exp.Ther.,1992,263,25;Yamashita et al.,J.Pharm.Sci.,1990,79,579-583を参照)。
本発明に関連して使用されるキレート剤は、金属イオンとの錯体を形成することによって溶液から金属イオンを除去し、粘膜を通るiRNAの吸収が向上されるという結果を生じる化合物として定義され得る。本発明における浸透促進剤としてのキレート剤の使用に関して、ほとんどの特徴付けられたDNAヌクレアーゼが触媒作用のために二価金属イオンを必要とし、したがって、キレート剤によって阻害されるため、キレート剤は、DNアーゼ阻害剤としても作用するという更なる利点を有する(Jarrett,J.Chromatogr.,1993,618,315-339)。好適なキレート剤としては、限定はされないが、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、クエン酸、サリチレート(例えば、サリチル酸ナトリウム、5-メトキシサリチレート及びホモバニレート(homovanilate))、コラーゲンのN-アシル誘導体、ラウレス-9及びβ-ジケトンのN-アミノアシル誘導体(エナミン)が挙げられる(例えば、Katdare,A.et al.,Excipient development for pharmaceutical,biotechnology,and drug delivery,CRC Press,Danvers,MA,2006;Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92;Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1-33;Buur et al.,J.Control Rel.,1990,14,43-51を参照)。
本明細書において使用される際、非キレート非界面活性剤の浸透促進化合物は、キレート剤又は界面活性剤としてのわずかな活性を示すが、それにもかかわらず、消化器粘膜を通るiRNAの吸収を促進する化合物として定義され得る(例えば、Muranishi,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1990,7,1-33を参照)。この種類の浸透促進剤としては、例えば、不飽和環状尿素、1-アルキル-及び1-アルケニルアザシクロ-アルカノン誘導体(Lee et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,1991,p.92);並びにジクロフェナクナトリウム、インドメタシン及びフェニルブタゾンなどの非ステロイド性抗炎症剤(Yamashita et al.,J.Pharm.Pharmacol.,1987,39,621-626)が挙げられる。
細胞レベルにおけるiRNAの取り込みを促進する剤も、本発明の医薬組成物及び他の組成物に加えられ得る。例えば、リポフェクチン(lipofectin)などのカチオン性脂質(Junichiらの米国特許第5,705,188号明細書)、カチオン性グリセロール誘導体、及びポリリジンなどのポリカチオン性分子(LolloらのPCT出願の国際公開第97/30731号パンフレット)も、dsRNAの細胞取り込みを促進することが知られている。市販のトランスフェクション試薬の例としては、特に、例えば、Lipofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Lipofectamine 2000(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、293fectin(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Cellfectin(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、DMRIE-C(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、FreeStyle(商標)MAX(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Lipofectamine(商標)2000 CD(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Lipofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、RNAiMAX(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Oligofectamine(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、Optifect(商標)(Invitrogen;Carlsbad,CA)、X-tremeGENE Q2 Transfection Reagent(Roche;Grenzacherstrasse,Switzerland)、DOTAP Liposomal Transfection Reagent(Grenzacherstrasse,Switzerland)、DOSPER Liposomal Transfection Reagent(Grenzacherstrasse,Switzerland)、又はFugene(Grenzacherstrasse,Switzerland)、Transfectam(登録商標)Reagent(Promega;Madison,WI)、TransFast(商標)Transfection Reagent(Promega;Madison,WI)、Tfx(商標)-20 Reagent(Promega;Madison,WI)、Tfx(商標)-50 Reagent(Promega;Madison,WI)、DreamFect(商標)(OZ Biosciences;Marseille,France)、EcoTransfect(OZ Biosciences;Marseille,France)、TransPassa D1 Transfection Reagent(New England Biolabs;Ipswich,MA,USA)、LyoVec(商標)/LipoGen(商標)(Invitrogen;San Diego,CA,USA)、PerFectin Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、NeuroPORTER Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、GenePORTER Transfection reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、GenePORTER 2 Transfection reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、Cytofectin Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、BaculoPORTER Transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、TroganPORTER(商標)transfection Reagent(Genlantis;San Diego,CA,USA)、RiboFect(Bioline;Taunton,MA,USA)、PlasFect(Bioline;Taunton,MA,USA)、UniFECTOR(B-Bridge International;Mountain View,CA,USA)、SureFECTOR(B-Bridge International;Mountain View,CA,USA)、又はHiFect(商標)(B-Bridge International,Mountain View,CA,USA)が挙げられる。
エチレングリコール及びプロピレングリコールなどのグリコール、2-ピロールなどのピロール、アゾン、並びにリモネン及びメントンなどのテルペンを含む、他の剤を用いて、投与される核酸の浸透を促進することができる。
v.担体
本発明の所定の組成物は、製剤中に担体化合物も組み込んでいる。本明細書で使用される「担体化合物」又は「担体」は、不活性(即ち、生物学的活性perseを所有しない)であり得るが、例えば、生物学的に活性な核酸を分解し、又は循環からの核酸の除去を促進することによる、生物学的活性を有する核酸のバイオアベイラビリティを低下させるインビボでのプロセスによって、核酸であると認識される核酸又はその類似体を指すことができる。核酸及び担体化合物の共投与、典型的には過剰な後者の物質による共投与により、おそらくは共通の受容体に対する担体化合物と核酸との競合に起因して、肝臓、腎臓又は他の循環外リザーバ(extracirculatory reservoir)中で回収される核酸の量が実質的に低下し得る。例えば、肝組織内での部分的ホスホロチオエートの回収は、それがポリイノシン酸、デキストラン硫酸塩、ポリシチジル酸(polycytidic acid)又は4-アセトアミド-4’イソチオシアノ-スチルベン-2,2’-ジスルホン酸と共投与された際、低下され得る(Miyao et al.,DsRNA Res.Dev.,1995,5,115-121;Takakura et al.,DsRNA&Nucl.Acid Drug Dev.,1996,6,177-183。
vi.賦形剤
担体化合物とは対照的に、「医薬担体」又は「賦形剤」は、動物に1つ又は複数の核酸を送達するための薬学的に許容され得る溶媒、懸濁剤、又は任意の他の薬理学的に不活性なビヒクルである。賦形剤は、液体又は固体とすることができ、計画された投与方法を考慮に入れて、核酸及び医薬組成物の他の所定の構成成分と組み合わされた際に、所望の嵩、稠度などを提供するように選択される。典型的な医薬担体には、非限定的に、結合剤(例えば、α化トウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロースなど);充填剤(例えば、乳糖及び他の糖、微結晶セルロース、ペクチン、ゼラチン、硫酸カルシウム、エチルセルロース、ポリアクリレート又はリン酸水素カルシウムなど);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸、金属ステアリン酸塩、水素化植物油、トウモロコシ澱粉、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなど);錠剤崩壊剤(例えば、澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウムなど);及び湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど)が挙げられる。
核酸と有害に反応しない、非-非経口投与に薬学的に許容され得る好適な有機又は無機賦形剤も本発明の組成物の処方に使用され得る。薬学的に許容され得る好適な担体には、非限定的に、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
核酸の局所投与用の製剤には、アルコールなどの通常の溶媒中の無菌及び非無菌水性溶液、非水性溶液、又は液体若しくは固体油ベース中の核酸溶液を挙げることができる。溶液は、緩衝剤、希釈剤及び他の好適な添加剤も含み得る。核酸と有害に反応しない、非-非経口投与に薬学的に許容され得る好適な有機又は無機賦形剤を使用し得る。
薬学的に許容され得る好適な賦形剤には、非限定的に、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、乳糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
vii.他の構成成分
本発明の組成物は更に、医薬組成物中に従来見出される他の補助構成成分も、当該技術分野にて確立されたそれらの使用レベルで含有し得る。それ故、例えば、組成物は、例えば、鎮痒薬、収斂薬、局所麻酔薬若しくは抗炎症薬剤など、更なる適合可能な医薬的に活性な材料を含有することができ、又は染料、風味剤、保存剤、抗酸化剤、乳白剤、増粘剤及び安定剤などの本発明の組成物の様々な剤形を物理的に処方するのに有用な更なる材料を含有することができる。しかしながら、それらの材料は、加えられた際、本発明の組成物の構成成分の生物学的活性を過度に妨害しない必要がある。製剤は滅菌されてもよく、また所望の場合、製剤の核酸と有害に相互作用しない補助剤、例えば滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝液、着色料、調味料及び/又は芳香性物質などと混合される。
水性縣濁液は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール及び/又はデキストランを含む、縣濁液の粘度を増大させる物質を含み得る。縣濁液は、安定剤も含み得る。
ある実施形態において、本発明において特徴付けられる医薬組成物は、(a)1つ又は複数のiRNA化合物及び(b)非RNAi機構によって機能し、オキサレート経路に関連する疾病、障害又は病態を処理するのに有用な1つ又は複数の剤を含む。このような剤の例としては、限定はされないが、ピリドキシン、ACE阻害剤(アンジオテンシン転化酵素阻害剤)、例えば、ベナゼプリル(Lotensin);アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)(例えば、Merck & Co.’s Cozaar(登録商標)などのロサルタンカリウム)、例えば、カンデサルタン(Atacand);HMG-CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、スタチン);食餌性オキサレート分解化合物、例えば、オキサレートデカルボキシラーゼ(Oxazyme);カルシウム結合剤、例えば、セルロースリン酸ナトリウム(Calcibind);利尿薬、例えば、ヒドロクロロチアジド(Microzide)などのチアジド利尿薬;ホスフェートバインダー、例えば、セベラマー(Renagel);マグネシウム及びビタミンB6栄養補助食品;クエン酸カリウム;オルトホスフェート、ビスホスホネート;経口ホスフェート及びシトレート溶液;高い水分摂取量、尿路内視鏡検査;体外衝撃波結石破砕術;腎臓透析;腎臓結石除去(例えば、外科手術);及び腎臓/肝臓移植;又は上記のいずれかの組み合わせが挙げられる。
このような化合物の毒性及び処置効果は、例えば、LD50(個体群の50%の致死量)及びED50(個体群の50%に治療に有効な用量)を決定するための、細胞培養物又は実験動物における標準的な薬学的手順によって決定され得る。毒性作用と処置効果との間の用量比は、処置指数であり、LD50/ED50比として表され得る。高い処置指数を示す化合物が好ましい。
細胞培養アッセイ及び動物試験から得られるデータは、ヒトに使用するためのある範囲の投与量を製剤化するのに使用され得る。本発明における本明細書に取り上げられる組成物の投与量は、一般に、ほとんど又は全く毒性を伴わずにED50を含む血中濃度の範囲内である。投与量は、用いられる剤形及び用いられる投与経路に応じて、この範囲内で変化し得る。本発明に取り上げられる方法に使用される任意の化合物では、治療に有効な用量は、細胞培養アッセイから最初に推測され得る。用量は、細胞培養物中で測定して、IC50(即ち、症状の最大阻害の半分を達成する試験化合物の濃度)を含む、化合物の、又は適切な場合、標的配列のポリペプチド産物の循環血漿濃度範囲を動物モデル内で達成する(例えば、ポリペプチドの濃度の低下を達成する)ように処方され得る。そのような情報を使用して、ヒトでの有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
上記に述べたそれらの投与に加えて、本発明を特徴付けるiRNAは、LDHA又はLDHA及びHAO1発現により仲介される病理過程の処置に有効な他の既知の薬剤と組み合わせて投与されてもよい。いずれの場合でも、投与する医師は、観察された結果に基づいて、当該技術分野にて既知の又は本明細書に記載される標準的な有効性の尺度を使用して、iRNAの量及び投与時間を調整することができる。
VI.本発明の方法
本発明は、細胞、例えば対象中の細胞内でのLDHA又はLDHA及びHAO1発現を低下及び/又は阻害するために、本発明のiRNA及び/又は本発明の組成物を使用する方法も提供する。本方法は、細胞を、本発明のRNAi剤(又はiRNA剤を含む医薬組成物)又は医薬組成物と接触させる工程を含む。ある実施形態において、細胞は、LDHA遺伝子のmRNA転写物の分解を得るのに十分な時間にわたって維持される。他の実施形態において、細胞は、細胞内のLDHA遺伝子及びHAO1遺伝子のmRNA転写物の分解を得るのに十分な時間にわたって維持される。
本発明の組成物は、以下の実施例において実証されるように、多くの細胞過程(例えば、図1A及び1Bを参照)に関与する酵素であるLDHAを標的とするが、細胞を、本発明の組成物と接触させる工程、又は本発明の組成物を対象に投与する工程が、野生型又は罹患した対象のいずれにおいても副作用をもたらさず、それによって、本発明の組成物の安全性を実証することが留意されるべきである。
遺伝子発現の低下は、当該技術分野において公知の任意の方法によって評価され得る。例えば、LDHA、及び/又はHAO1、及び/又はグリコレートの発現の低下は、当業者に周知の方法、例えば、ノーザンブロット法、qRT-PCRを用いて、LDHA、及び/又はHAO1、及び/又はグリコレートのmRNA発現レベルを決定することによって;当業者に周知の方法、例えば、ウエスタンブロット法、免疫学的方法を用いて、LDHA、及び/又はHAO1、及び/又はグリコレートのタンパク質レベルを決定することによって決定され得る。LDHA、及び/又はHAO1、及び/又はグリコレートの発現の低下はまた、LDHA、及び/又はHAO1、及び/又はグリコレートの生物学的活性の低下、例えば、LDHAの酵素活性の低下及び/又は組織若しくは血漿オキサレート、若しくは尿中オキサレート及び/又はグリコレート***の減少を測定することによって、間接的に評価され得る。
本発明の方法において、細胞は、インビトロ又はインビボで接触されてもよく、即ち、細胞は、対象中にあり得る。
本発明の方法を用いた処置に好適な細胞は、LDHA遺伝子を発現する任意の細胞、HAO1遺伝子を発現する細胞、グリコレート遺伝子を発現する細胞、LDHA遺伝子及びグリコレート遺伝子を発現する細胞、HAO1遺伝子及びグリコレート遺伝子を発現する細胞、LDHA遺伝子及びHAO1遺伝子を発現する細胞、又はLDHA遺伝子、HAO1遺伝子、及びグリコレート遺伝子を発現する細胞であり得る。本発明の方法に使用するのに好適な細胞は、哺乳動物細胞、例えば、霊長類細胞(ヒト細胞又は非ヒト霊長類細胞、例えば、サル細胞又はチンパンジー細胞など)、非霊長類細胞(ウシ細胞、ブタ細胞、ラクダ細胞、ラマ細胞、ウマ細胞、ヤギ細胞、ウサギ細胞、ヒツジ細胞、ハムスター、モルモット細胞、ネコ細胞、イヌ細胞、ラット細胞、マウス細胞、ライオン細胞、トラ細胞、クマ細胞、又は水牛細胞など)、鳥類細胞(例えば、アヒル細胞又はガチョウ細胞)、又はクジラ細胞であり得る。一実施形態において、細胞は、ヒト細胞、例えば、ヒト肝細胞である。
LDHA発現は、細胞内で、少なくとも約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は約100%阻害される。好ましい実施形態において、LDHA発現は、少なくとも20%阻害される。
HAO1発現は、細胞内で、少なくとも約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は約100%阻害され得る。好ましい実施形態において、HAO1発現は、少なくとも20%阻害される。
細胞が、本発明の二重標的化RNAi剤と接触される実施形態において、LDHAの阻害のレベルは、HAO1のレベルと同じか又は異なり得る。
一実施形態において、本発明のインビボ方法は、iRNAを含有する組成物を対象に投与することを含んでいてもよく、iRNAは、処置される哺乳動物のLDHA遺伝子のRNA転写物の少なくとも一部に相補的なヌクレオチド配列を含む。別の実施形態において、本発明のインビボ方法は、iRNAを含有する組成物を対象に投与することを含んでいてもよく、iRNAは、処置される哺乳動物のLDHA遺伝子のRNA転写物の少なくとも一部に相補的なヌクレオチド配列、及びHAO1遺伝子のRNA転写物の少なくとも一部に相補的なヌクレオチド配列を含む。
処置される生物が、ヒトなどの哺乳動物である場合、組成物は、限定はされないが、経口、腹腔内、又は頭蓋内(例えば、脳室内、実質内及びくも膜下腔内)、静脈内、筋肉内、皮下、経皮、気道(エアゾール)、経鼻、直腸、及び局所(口腔及び舌下を含む)投与を含む非経口経路を含む、当該技術分野において公知の任意の手段によって投与され得る。特定の実施形態において、組成物は、静脈内注入又は注射によって投与される。特定の実施形態において、組成物は、皮下注射によって投与される。
ある実施形態において、投与は、デポー注射による。デポー注射は、長時間にわたってiRNAを一貫して放出することができる。したがって、デポー注射は、所望の効果、例えば、LDHAの所望の阻害、又はLDHA及びHAO1の両方の所望の阻害、又は治療又は予防効果を得るのに必要な投与の頻度を低減し得る。デポー注射はまた、より一貫した血清濃度を提供することができる。デポー注射は、皮下注射又は筋肉内注射を含み得る。好ましい実施形態において、デポー注射は、皮下注射である。
ある実施形態において、投与は、ポンプによる。ポンプは、外部ポンプ又は手術により埋め込まれたポンプであってもよい。特定の実施形態において、ポンプは、皮下に埋め込まれた浸透圧ポンプである。他の実施形態において、ポンプは、注入ポンプである。注入ポンプは、静脈内、皮下、動脈内、又は硬膜外注入に使用され得る。好ましい実施形態において、注入ポンプは、皮下注入ポンプである。他の実施形態において、ポンプは、iRNAを肝臓に送達する、手術により埋め込まれたポンプである。
本発明のiRNAは、医薬組成物中、例えば好適な緩衝液中に存在し得る。緩衝液は、酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、若しくはリン酸塩、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。一実施形態において、緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。iRNAを含有する緩衝液のpH及び浸透圧は、対象に投与するのに好適なように調整され得る。
或いは、本発明のiRNAは、dsRNAリポソーム製剤などの医薬組成物として投与され得る。
投与方法は、局所処置が所望されるか又は全身処置が所望されるかに基づいて、及び処置される領域に基づいて選択され得る。投与の経路及び部位は、標的化を促進するように選択され得る。
一態様において、本発明は、哺乳動物におけるLDHA遺伝子の発現を阻害するための方法も提供する。本方法は、哺乳動物の細胞内のLDHA遺伝子を標的とするdsRNAを含む組成物を哺乳動物に投与し、それによって、細胞内のLDHA遺伝子の発現を阻害する工程を含む。
別の態様において、本発明は、哺乳動物におけるLDHA遺伝子及びHAO1遺伝子の発現を阻害するための方法も提供する。本方法は、哺乳動物の細胞内のLDHA遺伝子を標的とするdsRNA剤及びHAO1遺伝子を標的とするdsRNA剤を含む医薬組成物を哺乳動物に投与し、それによって、哺乳動物におけるLDHA遺伝子及びHAO1遺伝子の発現を阻害する工程を含む。一態様において、本発明は、哺乳動物におけるLDHA遺伝子及びHAO1遺伝子の発現を阻害するための方法を提供する。本方法は、哺乳動物の細胞内のLDHA遺伝子及びHAO1遺伝子を標的とする二重標的化RNAi剤(又は二重標的化剤を含む医薬組成物)を哺乳動物に投与し、それによって、対象におけるLDHA遺伝子及びHAO1遺伝子の発現を阻害する工程を含む。
遺伝子発現の低下は、当該技術分野において公知の任意の方法によって、及び本明細書に記載される方法、例えばqRT-PCRによって評価され得る。タンパク質産生の低下は、当該技術分野において公知の任意の方法によって、及び本明細書に記載される方法、例えばELISA、酵素活性によって評価され得る。
本発明は、オキサレートに関連する疾病、障害、若しくは病態に罹患しているか、又はそれらを発症しやすい対象に、iRNA剤、iRNA剤を含む医薬組成物、又は本発明のiRNAを含むベクターを投与する工程を含む、治療及び予防方法も提供する。
一態様において、本発明は、LDHA発現の低下から利益を得られ得る障害、例えば、オキサレート経路に関連する疾病、障害又は病態に罹患している対象を処置する方法を提供する。
本発明の処置方法(及び使用)は、治療有効量の、dsRNA剤、二重標的化iRNA剤又はdsRNAを含む医薬組成物、二重標的化RNAi剤を含む医薬組成物又はLDHAの発現を阻害する第1のdsRNA剤及びHAO1の発現を阻害する第2のdsRNA剤を含む本発明の医薬組成物を対象、例えば、ヒトに投与し、それによって、対象を処置する工程を含む。
一態様において、本発明は、LDHA発現の低下から利益を得られ得る障害、例えば、オキサレート経路に関連する疾病、障害又は病態に罹患している対象の少なくとも1つの症状を予防する方法を提供する。本方法は、予防的に有効な量の、dsRNA剤、二重標的化iRNA剤又はdsRNAを含む医薬組成物、二重標的化RNAi剤を含む医薬組成物又はLDHAの発現を阻害する第1のdsRNA剤及びHAO1の発現を阻害する第2のdsRNA剤を含む本発明の医薬組成物を対象に投与し、それによって、対象の少なくとも1つの症状を予防する工程を含む。
LDHA遺伝子発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る対象は、LDHA及びHAO1遺伝子発現の両方の低下から利益を得られ得る対象を含む。
したがって、一実施形態において、LDHAの発現レベルの低下又はLDHA及びHAO1の発現の低下から利益を得られ得る対象は、正常な尿中オキサレート***レベル、例えば、24時間で約40mg(440μmol)未満を有する(例えば、男性は、約43mg/日未満の正常な尿中オキサレート***レベルを有し、女性は、約32mg/日未満の正常な尿中オキサレート***レベルを有する)。別の実施形態において、LDHAの発現レベルの低下又はLDHA及びHAO1の発現の低下から利益を得られ得る対象は、軽度の高シュウ酸尿症(約40~約60mg/日の尿中オキサレート***レベル)に罹患している。別の実施形態において、LDHAの発現レベルの低下又はLDHA及びHAO1の発現の低下から利益を得られ得る対象は、重度の高シュウ酸尿症(約60mg/日を超える尿中オキサレート***レベル)に罹患している。
一実施形態において、LDHA発現又はLDHA及びHAO1発現の低下から利益を得られ得る対象は、オキサレート経路に関連する疾病、障害又は病態を発症するリスクがあるヒトである。一実施形態において、LDHA発現又はLDHA及びHAO1発現の低下から利益を得られ得る対象は、オキサレート経路に関連する疾病、障害又は病態に罹患しているヒトである。更に別の実施形態において、LDHA発現又はLDHA及びHAO1発現の低下から利益を得られ得る対象は、オキサレート経路に関連する疾病、障害又は病態について処置されているヒトである。
一実施形態において、オキサレート経路に関連する疾病、障害又は病態に罹患している対象は、オキサレートに関連する疾病、障害、若しくは病態に罹患している。オキサレートに関連する疾病、障害、若しくは病態の非限定的な例は、腎臓結石形成疾病、障害、若しくは病態、又はシュウ酸カルシウム組織沈着疾病、障害、若しくは病態を含む。腎臓結石形成疾病、障害、若しくは病態は、シュウ酸カルシウム結石形成疾病、障害、若しくは病態又は非シュウ酸カルシウム結石形成疾病、障害、若しくは病態であり得る。シュウ酸カルシウム結石形成疾病、障害、若しくは病態は、高シュウ酸尿症疾病、障害、若しくは病態(例えば、軽度の高シュウ酸尿症(約40~約60mg/日の尿中オキサレート***レベル)又は重度の高シュウ酸尿症(約60mg/日を超える尿中オキサレート***レベル));又は非高シュウ酸尿症疾病、障害、若しくは病態(即ち、高シュウ酸尿症を伴わないシュウ酸カルシウム結石形成疾病、例えば、正常な尿中オキサレート***レベル、例えば、24時間で約40mg(440μmol)未満(例えば、男性は、約43mg/日未満の正常な尿中オキサレート***レベルを有し、女性は、約32mg/日未満の正常な尿中オキサレート***レベルを有する)であり得る。
一実施形態において、高シュウ酸尿症疾病、障害、若しくは病態は、原発性高シュウ酸尿症、腸管高シュウ酸尿症、食餌性高シュウ酸尿症、及び特発性高シュウ酸尿症からなる群から選択される。
一実施形態において、非高シュウ酸尿症結石形成疾病、障害、若しくは病態は、高カルシウム尿症及び/又は低クエン酸尿症である。別の実施形態において、非高シュウ酸尿症結石形成疾病、障害、若しくは病態は、シュウ酸カルシウム又は非シュウ酸カルシウム腎臓結石形成疾病である。
一実施形態において、シュウ酸カルシウム結石形成疾病、障害、若しくは病態は、原発性高シュウ酸尿症(PH)、例えば、原発性高シュウ酸尿症1型(PH1);原発性高シュウ酸尿症2型(PH2);原発性高シュウ酸尿症3型(PH3);又は原発性高シュウ酸尿症非1型、非2型、非3型(PH-非1型、非2型、非3型)などの遺伝性疾患である。PH1は、アラニングリオキシレートアミノトランスフェラーゼ(AGT)における突然変異によって引き起こされる遺伝性疾患であり、PH2は、グリオキシレートレダクターゼ/ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ(GRHPR)における突然変異に起因し、PH3は、HOGA1(旧DHDPSL)における突然変異によって引き起こされる。PH-非1型、非2型、非3型に罹患している対象は、正常なAGT、GRHPR、及びHOGA1肝臓酵素活性を有する以外は、1、2、及び3型と区別できない臨床的特徴を有し、このような対象における顕著な高シュウ酸尿症の病因はまだ解明されていない。
AGT又はGRHPR活性のいずれかの欠損は、過剰なグリオキシレート及びオキサレートをもたらす(例えば、Knight et al.,(2011)Am J Physiol Renal Physiol 302(6):F688-F693を参照)。したがって、LDHA発現及び/又は活性の阻害は、過剰なオキサレートのレベルを低下させる。更に、グリコール酸オキシダーゼ(HAO1)の阻害は、グリオキシレートのレベルを更に低下させる。PHに罹患している対象におけるオキサレートの増加は、オキサレートの***の増加を引き起こし、これが、ひいては、腎臓及び膀胱結石をもたらす。結石は、尿路閉塞(重篤及び急性疼痛を伴うことが多い)、尿の二次感染、最終的には腎損傷を引き起こす。オキサレート結石は、重篤になりやすく、比較的早期の腎損傷(例えば、10代から早期成人期に発症)をもたらし、これは、オキサレートの***を損ない、体内におけるオキサレートの蓄積の更なる加速につながる。腎不全の発症後、患者は、骨、関節及び骨髄にオキサレートを堆積させ得る。重症例では、貧血及び血小板減少症などの血液学的問題を発症することがある。体内におけるオキサレートの堆積は、尿中のオキサレートを指す「シュウ酸塩尿」と区別するために「シュウ酸症」と呼ばれることがある。腎不全は、それ自体で処置を必要とする重篤な合併症である。透析は、腎不全を制御することができるが、過剰なオキサレートに対処するには不十分である傾向がある。腎臓移植は、より効果的であり、これは、重度の高シュウ酸尿症の一次治療である。肝臓移植(多くの場合、腎臓移植に加えて)は、代謝障害を直すことによって疾病を制御することが可能であり得る。原発性高シュウ酸尿症1型に罹患している患者の一部では、ピリドキシン処理(ビタミンB6)も、オキサレート***を減少させ、腎臓結石形成を予防し得る。
実施例3に例示されるように、PH1の当該技術分野において承認されている動物モデル、例えば、Agxt欠損マウスの尿中に***された内因性オキサレートのレベルは、LDHA特異的siRNAの投与後に低下された(例えば、図6を参照)。したがって、一態様において、本発明は、PH1に罹患している対象を処置するための方法を提供する。本方法は、治療有効量の、LDHA遺伝子及び/又はHAO1遺伝子を標的とするdsRNA、LDHA遺伝子を標的とするdsRNA剤及び/又はHAO1遺伝子を標的とするdsRNA剤を含む医薬組成物を対象に投与する工程を含む。
同様に実施例3に例示されるように、PH2の当該技術分野において承認されている動物モデル、例えば、Grhpr欠損マウスの尿中に***された内因性オキサレートのレベルは、LDHA特異的siRNAの投与後に低下された(例えば、図6を参照)。したがって、一態様において、本発明は、PH2に罹患している対象を処置するための方法を提供する。本方法は、治療有効量の、LDHA遺伝子及び/又はHAO1遺伝子を標的とするdsRNA、対象の細胞内のLDHA遺伝子を標的とするdsRNA剤及び/又はHAO1遺伝子を標的とするdsRNA剤を含む医薬組成物を対象に投与する工程を含む。
ある実施形態において、PH2に罹患している対象を処置するための方法は、対象の食事を変化させること(例えば、タンパク質摂取量を減少させること、ナトリウム摂取量を減少させること、アスコルビン酸摂取量を減少させること、カルシウム摂取量を抑えること、リン酸塩を補給すること、マグネシウムを補給すること、又はピリドキシン処理;又は上記のいずれかの組み合わせ)及び/又は対象に腎臓を移植することを更に含む。
別の実施形態において、シュウ酸カルシウム結石形成疾病、障害、若しくは病態は、腸管高シュウ酸尿症である。腸管高シュウ酸尿症は、腸内細菌異常増殖症候群、脂肪吸収不良、慢性胆道疾患又は膵疾患、様々な腸外科手術、胃バイパス手術、炎症性腸疾患、又は慢性下痢を引き起こす任意の病状、例えば、クローン病又は潰瘍性大腸炎)の結果として発生する、結腸からのオキサレートの過剰な吸収に起因する、尿路におけるシュウ酸カルシウム結石の形成である。
別の実施形態において、シュウ酸カルシウム結石形成疾病、障害、若しくは病態は、食餌性高シュウ酸尿症、例えば、食事中の過剰なオキサレート、例えば、過剰なホウレンソウ、ルバーブ、アーモンド、ブルグア、キビ、粗挽きトウモロコシ、大豆粉、コーンミール、白インゲンマメなどの結果としての高シュウ酸尿症である。
別の実施形態において、シュウ酸カルシウム結石形成疾病、障害、若しくは病態は、特発性高シュウ酸尿症である。特発性高シュウ酸尿症に罹患している対象は、原因不明の、尿中オキサレートの正常値より高いレベルを有するが、依然として結石を発症する。特発性高シュウ酸尿症を発症するリスクがある対象は、糖尿病及び肥満の対象を含む。例えば、疫学的データは、体格指数(BMI)が増加するにつれて、尿中オキサレート***が増加し、糖尿病に罹患している対象が、増加した尿中オキサレートレベルを有することを実証している。
一実施形態において、非シュウ酸カルシウム結石形成疾病、障害、若しくは病態は、高カルシウム尿症(カルシウム過剰尿症)である。高カルシウム尿症は、尿中のカルシウムが増加した状態である。慢性カルシウム過剰尿症は、腎機能の障害、腎石灰沈着症、及び腎不全につながり得る。高カルシウム尿症を発症するリスクがある対象は、デント病、吸収性高カルシウム尿症、及び原発性副甲状腺機能亢進症に罹患している対象を含む。
別の実施形態において、非シュウ酸カルシウム結石形成疾病、障害、若しくは病態は、低クエン酸尿症である。一実施形態において、低クエン酸尿症は、重度の低クエン酸尿症、例えば、1日当たり100mg未満のシトレート***である。別の実施形態において、低クエン酸尿症は、軽度ないし中等度の低クエン酸尿症、例えば、1日当たり100~320mgのシトレート***である。
一実施形態において、非シュウ酸カルシウム結石形成疾病、障害、若しくは病態は、カルシウム結石;ストルバイト(リン酸マグネシウムアンモニウム)結石;尿酸結石;又はシスチン結石の、疾病、障害、若しくは病態、例えば、尿管結石症又は腎石灰沈着症である。このような疾病、障害、及び病態における結石の主要成分は、オキサレート以外であるが、オキサレートが、依然として存在することがあり、結石の更なる成長のための病巣を形成する。したがって、カルシウム結石、ストルバイト(リン酸マグネシウムアンモニウム)結石、尿酸結石、又はシスチン結石の疾病、障害、若しくは病態に罹患している対象は、本発明の方法から利益を得られ得る。
一実施形態において、オキサレートに関連する疾病、障害、若しくは病態は、シュウ酸カルシウム組織沈着疾病、障害、若しくは病態である。例えば、糸球体ろ過率(GFR)が、1.73m2当たり約30~40mL/分を下回る場合、シュウ酸カルシウムを***する腎機能が、著しく低下される。この段階で、シュウ酸カルシウムが、腎外組織に堆積し始める。シュウ酸カルシウムの堆積は、甲状腺、***、腎臓、骨、及び骨髄、心筋、心伝導系において発生し得る。これは、心筋症、心臓ブロック及び他の心伝導系障害、血管疾患、網膜症、滑膜炎、オキサレート骨病及び治療に対して耐性があることが示されている貧血をもたらし得る。シュウ酸カルシウムの堆積は、全身性又は組織特異的であり得る。例えば、関節炎、サルコイドーシス、末期腎疾患に罹患している対象は、全身性シュウ酸カルシウム組織沈着疾病、障害、若しくは病態を発症するリスクがある。例えば、腎臓における組織特異的堆積を発症するリスクがある対象は、海綿腎、腎石灰沈着症、尿細管性アシドーシス(RTA)に罹患している対象、及び移植レシピエント、例えば、腎臓移植レシピエントを含む。
一実施形態において、オキサレート経路に関連する疾病、障害又は病態は、乳酸脱水素酵素に関連する疾病、障害、若しくは病態である。乳酸脱水素酵素に関連する疾病、障害、若しくは病態の非限定的な例は、癌、例えば、癌、例えば、肝細胞癌、脂肪肝(脂肪症)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変、肝臓中の脂肪の蓄積、肝臓の炎症、肝細胞壊死、肝線維症、及び非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)を含む。
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の診断は、(a)イメージング又は組織学のいずれかによって、肝脂肪症のエビデンスが存在すること、及び(b)かなりのアルコール摂取、脂肪合成薬物療法(steatogenic medication)の使用又は遺伝性疾患などの、二次的な肝脂肪蓄積の原因がないことを必要とする。患者の大部分において、NAFLDは、肥満、糖尿病、及び脂質異常症などの代謝危険因子に関連している。NAFLDは、組織学的に、非アルコール性脂肪肝(NAFL)及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に更に分類される。NAFLは、肝細胞の膨張の形態の肝細胞障害のエビデンスのない肝脂肪症の存在として定義される。NASHは、線維症を伴うか又は伴わない肝細胞障害(膨張)を伴う肝脂肪症及び炎症の存在として定義される(Chalasani et al.,Hepatol.55:2005-2023,2012)。単純脂肪症に罹患している患者が、あったとしても非常に遅い組織学的進行を有する一方、NASHに罹患している患者は、肝硬変段階の疾病への組織学的進行を示し得ることが、一般的に認められている。NAFLD及びNASHに罹患している患者の長期転帰は、いくつかの研究において報告されている。
LHDAは、腫瘍の発生、維持及び進行に必要とされ(Shi and Pinto,PLOS ONE 2014,9(1),e86365;Le et al.Proc Natl Acad Sci U S A 107:2037-2042)、LDHAの上方制御は、例えば、乳癌、リンパ腫、腎臓癌(腎細胞癌腫瘍を含む)、遺伝性平滑筋腫症、膵臓癌、肝臓癌(肝細胞癌を含む)、及び他の形態の癌を含む、多くの癌型に特徴的である(Goldman RD et al.,Cancer Res 24:389-399.;Koukourakis MI,et al,Br J Cancer 89:877-885.;Koukourakis MI,et al,LJ Clin Oncol 24:4301-4308.;Kolev Y,et al,Ann Surg Oncol 15:2336-2344.;Zhuang L,et al,Mod Pathol 23:45-53)。
別の態様において、本発明は、対象、例えば、LDHA発現又はLDHA及びHAO1発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る対象、例えば、オキサレート経路に関連する疾病、障害又は病態を処置するための、治療有効量の、dsRNA剤、二重標的化iRNA剤又はdsRNAを含む医薬組成物、二重標的化RNAi剤を含む医薬組成物又はLDHAの発現を阻害する第1のdsRNA剤及びHAO1の発現を阻害する第2のdsRNA剤を含む本発明の医薬組成物の使用を提供する。
更なる態様において、本発明は、対象、例えば、LDHA発現又はLDHA及びHAO1発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る対象、例えば、オキサレート経路に関連する疾病、障害又は病態を処置するための薬剤の製造における、二重標的化iRNA剤又はdsRNA剤を含む医薬組成物、二重標的化iRNA剤又はdsRNAを含む医薬組成物、二重標的化RNAi剤を含む医薬組成物又はLDHAの発現を阻害する第1のdsRNA剤及びHAO1の発現を阻害する第2のdsRNA剤を含む本発明の医薬組成物の使用を提供する。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤を対象に投与する工程を含む本発明の方法(及び使用)において、第1及び第2のdsRNA剤は、同じ組成物又は異なる組成物中で製剤化されてもよく、同じ組成物又は別の組成物中で対象に投与され得る。
dsRNA剤は、約0.1mg/kg~約50mg/kgの用量で対象に投与され得る。典型的に、好適な用量は、約0.1mg/kg~約5.0mg/kgの範囲、好ましくは、約0.3mg/kg及び約3.0mg/kgである。更に、
二重標的化RNAi剤は、約0.1mg/kg~約50mg/kgの用量で対象に投与され得る。典型的に、好適な用量は、約0.1mg/kg~約5.0mg/kgの範囲、好ましくは、約0.3mg/kg及び約3.0mg/kgである。更に、第1のdsRNA剤及び第2のdsRNA剤はそれぞれ、独立して、約0.5mg/kg~約50mg/kg、例えば、約0.1mg/kg~約5.0mg/kgの範囲、好ましくは、約0.3mg/kg及び約3.0mg/kgの用量で対象に投与され得る。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤を対象に投与する工程を含む本発明の方法(及び使用)において、第1及び第2のdsRNA剤は、同じ用量又は異なる用量で対象に投与され得る。
iRNAは、定期的に、所定の期間にわたって静脈内注入によって投与され得る。特定の実施形態において、最初の処置計画の後、治療剤は、より少ない頻度で投与され得る。
iRNAの投与は、例えば、患者の細胞、組織、血液、尿又は他の区画におけるLDHAレベルを、少なくとも約5%、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、39、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは少なくとも約99%又はそれ以上だけ低下させ得る。好ましい実施形態において、iRNAの投与は、例えば、患者の細胞、組織、血液、尿又は他の区画におけるLDHAレベルを、少なくとも20%低下させ得る。
iRNAの投与は、例えば、患者の細胞、組織、血液、尿又は他の区画におけるHAO1レベルを、少なくとも約5%、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、39、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、若しくは少なくとも約99%又はそれ以上だけ低下させ得る。好ましい実施形態において、iRNAの投与は、例えば、患者の細胞、組織、血液、尿又は他の区画におけるHAO1レベルを、少なくとも20%低下させ得る。
LDHAを標的とする第1のdsRNA剤及びHAO1を標的とする第2のdsRNA剤を対象に投与する工程を含む本発明の方法(及び使用)において、LDHAの阻害のレベルは、HAO1の阻害のレベルと同じか又は異なり得る。
二重標的化RNAi剤を対象に投与する工程を含む本発明の方法(及び使用)において、二重標的化RNAi剤は、LDHA遺伝子及びHAO1遺伝子の発現を、細胞を両方のdsRNA剤と個別に接触させることによって得られる発現の阻害のレベルと実質的に同じレベルに阻害し得、又は二重標的化RNAi剤は、LDHA遺伝子及びHAO1遺伝子の発現を、細胞を両方のdsRNA剤と個別に接触させることによって得られる発現の阻害のレベルより高いレベルに阻害し得る。
iRNAの総量の投与の前に、患者は、5%の輸注反応などの、より少ない用量を投与され、アレルギー反応などの副作用について監視され得る。別の例において、患者は、サイトカイン(例えば、TNF-α又はINF-α)レベルの増加などの好ましくない免疫賦活作用について監視され得る。
或いは、iRNAは、皮下に、即ち、皮下注射によって投与され得る。1回又は複数回の注射を用いて、所望の1日用量のiRNAを対象に送達し得る。注射は、所定の期間にわたって繰り返され得る。投与は、定期的に繰り返され得る。特定の実施形態において、最初の処置計画の後、治療剤は、より少ない頻度で投与され得る。反復投与計画は、定期的な、例えば、1日置きないし年に1回の、治療量のiRNAの投与を含み得る。特定の実施形態において、iRNAは、月に約1回ないし四半期に約1回(即ち、3か月に約1回)投与される。
一実施形態において、本方法は、標的LDHA遺伝子及び/又は標的HAO1遺伝子の発現が、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、12、16、18、24時間、28、32、又は約36時間にわたって低下されるように、本明細書において特徴付けられる組成物を投与する工程を含む。一実施形態において、標的LDHA遺伝子及びHAO1遺伝子の発現は、長期間にわたって、例えば、少なくとも約2、3、4日又はそれ以上、例えば、約1週間、2週間、3週間、又は4週間又はそれ以上にわたって低下される。
好ましくは、本明細書において特徴付けられる方法及び組成物に有用なiRNAは、標的LDHA及びHAO1遺伝子のRNA(一次又はプロセシングされた)を特異的に標的とする。iRNAを用いてこれらの遺伝子の発現を阻害するための組成物及び方法が、本明細書に記載されるように調製及び実施され得る。
本発明の方法に係るdsRNAの投与は、脂質代謝障害を有する患者における、このような疾病又は障害の重症度、兆候、症状、及び/又はマーカーを低下させ得る。これに関連して、「低下」とは、このようなレベルの統計的に有意な低下を意味する。低下は、例えば、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は約100%であり得る。
疾病の処置又は予防の有効性は、例えば、疾病の進行、疾病の寛解、症状の重症度、痛みの減少、クオリティオブライフ、処置効果を持続させるのに必要な薬剤の用量、疾病マーカーのレベル、又は処置されている若しくは予防の対象となる所定の疾病に適切な測定可能な任意の他のパラメータを測定することによって評価され得る。このようなパラメータのいずれか1つ、又はパラメータの任意の組み合わせを測定することによって処置又は予防の有効性を監視することは、十分当業者の能力の範囲内である。例えば、脂質代謝障害の処置の有効性は、例えば、1つ又は複数の血清脂質レベル、例えば、トリグリセリドレベルの定期的な監視によって評価され得る。初期の読み取り値と後の読み取り値との比較は、処置が有効かどうかの指標を医師に与える。このようなパラメータのいずれか1つ、又はパラメータの任意の組み合わせを測定することによって処置又は予防の有効性を監視することは、十分当業者の能力の範囲内である。iRNA又はその医薬組成物の投与と関連して、脂質代謝障害「に対して有効」は、臨床的に適切な方法での投与が、症状の改善、治癒、疾病の軽減、寿命の延長、クオリティオブライフの改善、又は脂質代謝障害及び関連する原因の処置に精通した医師によって好ましいと一般に認識される他の効果など、少なくとも統計的に有意な割合の患者に対する有益な効果をもたらすことを示す。
処置又は予防の効果は、疾病状態の1つ又は複数のパラメータの統計的に有意な改善がある場合、又は悪化若しくは本来予想されていた症状が発生しないことにより明らかである。一例として、疾病の測定可能なパラメータの少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、30%、40%、50%又はそれ以上の好ましい変化は、有効な処置を示し得る。所定のiRNA薬剤又はその薬剤の製剤の有効性も、当該技術分野において公知であるように、所定の疾病に関して実験動物モデルを用いて判断することができる。
本発明は、例えば、LDHA発現又はLDHA及びHAO1発現の低下及び/又は阻害から利益を得られ得る対象、例えば、オキサレート経路に関連する疾病、障害又は病態に罹患している対象を処置するための、他の医薬品及び/又は他の治療方法、例えば、公知の医薬品及び/又は公知の治療方法、例えば、これらの障害を処置するために現在用いられているものなどと組み合わせた、本発明のiRNA剤又は医薬組成物の使用のための方法を更に提供する。例えば、特定の実施形態において、本発明のiRNA剤又は医薬組成物は、例えば、ピリドキシン、ACE阻害剤(アンジオテンシン転化酵素阻害剤)、例えば、ベナゼプリル(Lotensin);アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)(例えば、Merck & Co.’s Cozaar(登録商標)などのロサルタンカリウム)、例えば、カンデサルタン(Atacand);HMG-CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、スタチン);食餌性オキサレート分解化合物、例えば、オキサレートデカルボキシラーゼ(Oxazyme);カルシウム結合剤、例えば、セルロースリン酸ナトリウム(Calcibind);利尿薬、例えば、ヒドロクロロチアジド(Microzide)などのチアジド利尿薬;ホスフェートバインダー、例えば、セベラマー(Renagel);マグネシウム及びビタミンB6栄養補助食品;クエン酸カリウム;オルトホスフェート、ビスホスホネート;経口ホスフェート及びシトレート溶液;高い水分摂取量、尿路内視鏡検査;体外衝撃波結石破砕術;腎臓透析;腎臓結石除去(例えば、外科手術);及び腎臓/肝臓移植;又は上記のいずれかの組み合わせと組み合わせて投与される。
特定の実施形態において、本明細書に記載されるiRNA剤は、ヒドロキシプロリンデヒドロゲナーゼ(HYPDH;HPOX又はPRODH2としても知られている)(例えば、Li,et al.(Biochem Biophys Acta(2016)1862:233-239を参照)又はHYPDHの阻害性類似体(例えば、Summitt,et al.(Biochem J(2015)466:273-281を参照)を標的とするiRNA剤と組み合わせて投与される。
iRNA剤及び更なる治療剤及び/又は処置剤は、同時に及び/又は同じ組み合わせで、例えば、皮下的に投与されてもよく、又は更なる治療剤が、別個の組成物の一部として、又は別の時点で、及び/又は当該技術分野において公知の又は本明細書に記載される別の方法によって、投与され得る。
VII.キット
本発明は、本発明の方法のいずれかを実施するためのキットも提供する。このようなキットは、1つ又は複数のRNAi剤及び使用説明書、例えば、LDHA又はLDHA及びHAO1の発現を阻害するのに有効な量の本発明のRNAi剤又は医薬組成物と細胞を接触させることによって、細胞内でのLDHA又はLDHA及びHAO1の発現を阻害するための説明書を含む。キットは、任意選択で、細胞をRNAi剤と接触させるための手段(例えば、注射デバイス)、又はLDHA及び/又はHAO1の阻害を測定するための手段(例えば、LDHA及び/又はHAO1 mRNA及び/又はLDHA及び/又はHAO1タンパク質の阻害を測定するための手段)を更に含み得る。LDHA及び/又はHAO1の阻害を測定するためのこのような手段は、例えば、血漿試料などの、対象からの試料を採取するための手段を含み得る。本発明のキットは、任意選択で、RNAi剤を対象に投与するための手段又は治療有効量又は予防的に有効な量を決定するための手段を更に含み得る。
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者により通常に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載したものと同様の又は等価な方法及び材料を、本発明を特徴付けるiRNA及び方法の実践又は試験に使用できるが、好適な方法及び材料は下記に記載されている。本明細書に言及した全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合、定義を含む本明細書が支配する。加えて、材料、方法及び実施例は、単なる例示であり、限定を意図するものではない。
実施例1.iRNA設計、合成、選択、及びインビトロ評価
試薬の供給源
本明細書に試薬の供給源が特に示されていない場合、このような試薬は、分子生物学用の試薬の任意の供給業者から、分子生物学における用途のための品質/純度基準で得ることができる。
転写物
マウス及びラットLdhaと交差反応するLDHA(ヒトNCBI refseqID:NM_010699.2)を標的とするiRNAの組を、カスタムR及びPythonスクリプトを用いて設計した。マウスLdha、変異体1 REFSEQ mRNAは、1,661塩基の長さを有する。
LDHA(ヒト:NCBI refseqID NM_005566.3;NCBI GeneID:3939)、並びに毒性種LDHAオーソログ(カニクイザル:NM_001283551.1)を標的とする更なる組のiRNAを、カスタムR及びPythonスクリプトを用いて設計した。ヒトNM_005566 REFSEQ mRNA、version 3は、2226塩基の長さを有する。
非修飾マウス/ラット交差反応性LDHAセンス及びアンチセンス鎖配列の詳細なリストが、表2に示される。修飾マウス/ラット交差反応性LDHAセンス及びアンチセンス鎖配列の詳細なリストが、表3に示される。
非修飾ヒト/カニクイザル交差反応性LDHAセンス及びアンチセンス鎖配列の詳細なリストが、表4に示される。修飾ヒト/カニクイザル交差反応性LDHAセンス及びアンチセンス鎖配列の詳細なリストが、表5に示される。
PCT公報、国際公開第2016/057893号パンフレット(その全内容が参照により本明細書に援用される)に記載されるように、HAO1を標的とするiRNAの組も設計した。設計には、NCBI RefSeq collectionからの以下の転写物を使用した:ヒト(ホモ・サピエンス(Homo sapiens))HAO1 mRNAは、NM_017545.2であり;カニクイザル(マカカ・ファシキュラリス(Macaca fascicularis))HAO1 mRNAは、XM_005568381.1であり;マウス(ムス・ムスクルス(Mus musculus))HAO1 mRNAは、NM_010403.2であり;ラット(ラツス・ノルベギクス(Rattus norvegicus))HAO1 mRNAは、XM_006235096.1である。
表7及び8は、HAO1を標的とする二本鎖の修飾センス及びアンチセンス鎖配列を示す。表9、10、11、14、及び15は、HAO1を標的とする二本鎖の非修飾センス及びアンチセンス鎖配列を示す。表12、13、及び16は、HAO1を標的とする二本鎖の非修飾及び修飾センス及びアンチセンス鎖配列を示す。
知られている場合、二本鎖によって阻害されるHAO1の種が示される:Hsは、剤がヒトHAO1の発現を阻害することを示し;Mmは、剤がマウスHAO1の発現を阻害することを示し;Hs/Mmは、剤がヒト及びマウスHAOの両方の発現を阻害することを示す。
インビトロスクリーニング:
細胞培養及びトランスフェクション
初代マウス肝細胞(PMH)(MSCP10、ロット番号MC613)を、ウェル当たり4.9μlのOpti-MEM及び0.1μlのLipofectamine RNAiMax(Invitrogen,Carlsbad CA.カタログ番号13778-150)を、384ウェルプレート中の各ウェルの5μlのsiRNA二本鎖に加えることによってトランスフェクトし、室温で15分間インキュベートした。次に、約5×103個の細胞を含むウィリアムE培地(William’s E Medium)(PMH)の40μlのDMEM(Hep3b)を、siRNA混合物に加えた。RNA精製の前に、細胞を24時間インキュベートした。10nM及び0.1nMの最終二本鎖濃度で単回用量実験を行った。
Hep3b細胞(ATCC)を、ウェル当たり4.9μlのOpti-MEM及び0.1μlのLipofectamine RNAiMax(Invitrogen,Carlsbad CA.カタログ番号13778-150)を、384ウェルプレート中の各ウェルの5μlのsiRNA二本鎖に加えることによってトランスフェクトし、室温で15分間インキュベートした。次に、約5×103個の細胞を含む40ulのイーグル最小必須培地(Eagle’s Minimal Essential Medium)(Life Tech)を、siRNA混合物に加えた。RNA精製の前に、細胞を24時間インキュベートした。単回用量実験を10nMで行った。
DYNABEADS mRNA単離キット(Invitrogen、パーツ番号:610-12)を用いた総RNA単離
細胞を、ウェル当たり3μLのビーズを含む75μlの溶解/結合緩衝液に溶解させ、静電シェーカー(electrostatic shaker)で10分間混合した。洗浄工程を、磁気プレートの補助を用いて、Biotek EL406で自動化した。緩衝液Aで1回、緩衝液Bで1回、及び緩衝液Eで2回、ビーズを洗浄し(90μL)、それらの間に吸引工程を行った。最後の吸引の後、完成した10μLのRT混合物を、後述されるように、各ウェルに加えた。
ABI高容量cDNA逆転写キット(Applied Biosystems,Foster City,CA、カタログ番号4368813)を用いたcDNA合成
反応当たり1μlの10倍緩衝液、0.4μlの25倍dNTP、1μlのランダムプライマー、0.5μlの逆転写酵素、0.5μlのRNアーゼ阻害剤及び6.6μlのH2Oのマスターミックスを、ウェルごとに加えた。プレートを密閉し、静電シェーカーで10分間撹拌し、次に、37℃で2時間インキュベートした。この後、プレートを80℃で8分間撹拌した。
リアルタイムPCR
2μlのcDNAを、384ウェルプレート(Rocheカタログ番号04887301001)中のウェル当たり0.5μlのヒトGAPDH TaqMan Probe(4326317E)、0.5μlのヒトLDHA、2μlのヌクレアーゼフリー水及び5μlのLightcycler 480プローブマスターミックス(Rocheカタログ番号04887301001)を含むマスターミックスに加えた。リアルタイムPCRを、ΔΔCt(RQ)アッセイを用いて、LightCycler480 Real Time PCRシステム(Roche)において行った。要約表に特に示されない限り、各二本鎖を、少なくとも2回の独立したトランスフェクションにおいて試験した。
相対的な倍加変化を計算するために、ΔΔCt方法を用いてリアルタイムデータを分析し、10nMの非特異的siRNAでトランスフェクトした細胞、又は疑似トランスフェクト細胞を用いて行ったアッセイに対して正規化した。
表6Aは、示されるGalNACコンジュゲート修飾iRNAでトランスフェクトした初代マウス肝細胞における単回用量スクリーンの結果を示す。データが、非処理の細胞に対して残っているメッセージのパーセントとして表される。
表6Bは、示されるGalNACコンジュゲート修飾iRNAでトランスフェクトした初代マウス肝細胞における単回用量スクリーンの結果を示す。データが、非処理の細胞に対して残っているメッセージのパーセントとして表される。
表1:核酸配列の説明に使用されるヌクレオチドモノマーの略語。
これらのモノマーが、オリゴヌクレオチド中に存在する場合、5’-3’-ホスホジエステル結合によって互いに結合されることが理解されるであろう。
実施例2.AD-84788の単回投与は、インビボでのLdha発現及び活性を強力に阻害する
インビボでのLdhaの発現のレベルに対するAD-84788の効果を、単回の0.1mg/kg、0.3mg/kg、1.0mg/kg、3.0mg/kg、又は10mg/kgの用量のAD-84788の皮下投与によって、C57BL/6J野生型マウスにおいて評価した。投与の48時間後、マウス安楽死させ、肝臓を切開し、液体窒素中で急速冷凍した。肝臓を粉砕し、試料当たり約10mgの肝臓粉末をRNA単離に使用した。RNA濃度を測定し、100ng/μlに調整し、cDNAを調製し、RT-PCR分析を上述されるように行った。
これらのアッセイの結果が、図2に示され、この図は、単回の1mg/kg、3mg/kg又は10mg/kgの用量のAD-84788が、Ldha発現を強力に阻害することを示す。
肝臓Ldha酵素活性に対するAD-84788の単回の0.1mg/kg、0.3mg/kg、1.0mg/kg、3.0mg/kg、又は10mg/kgの皮下投与の効果を、Agxt欠損マウスにおいて評価した。
Agxt欠損マウスは、アラニン-グリオキシレートアミノトランスフェラーゼ遺伝子(Agxt)の標的化された破壊を有する(Salido,et al.(2006)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.103:18249)。突然変異体マウスは、正常に発達するが、高シュウ酸尿症及びシュウ酸カルシウム結晶形成を示す。これらのAgxtノックアウトマウスは、AGXT遺伝子における突然変異によって引き起こされる、腎不全につながる過剰な肝臓オキサレート産生を特徴とする希少疾患である原発性高シュウ酸尿症I型の承認された動物モデルである。
肝臓LDH酵素活性を、肝臓組織溶解物におけるNADHへのNADの還元によって測定した。投与の4週間後、マウス安楽死させ、肝臓試料を採取し、処理した。簡潔に述べると、肝臓試料を秤量し、溶解緩衝液(25mMのHEPES、1%のTriton、1%のプロテアーゼ阻害剤)中で均質化し、ホモジネートを遠心分離して、細胞残屑をペレット化した。上清を回収し、NAD及び乳酸又はグリオキシレートのいずれかの溶液を加えた。試料をマルチウェルプレートに入れ、プレートリーダーに入れた。340nmにおける吸光度読み取り値を、1分間隔で20分間にわたって収集した。データを用いて、LDHA比活性度(LDHA活性のnモル/分/mgタンパク質)を計算した。
これらのアッセイの結果が、図3に示され、この図は、単回の0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg又は10mg/kgの用量のAD-84788が、Ldha酵素活性を強力に阻害することを示す。
実施例3.AD-84788は、インビボでの内因性LDHA発現、LDHA活性、及びオキサレートレベルを強力に低下させる
インビボでの内因性オキサレート産生に対するAD-84788の効果を、野生型マウス、Agxt欠損マウス、及びGrhprノックアウトマウスにおいて評価した。
Grhpr欠損マウスは、グリオキシレートレダクターゼ/ヒドロキシピルビン酸レダクターゼ(Grhpr)遺伝子の標的化された破壊を有する(例えば、Knight et al.,(2011)Am J Physiol Renal Physiol 302(6):F688-F693を参照)。突然変異体マウスは、成長及び発達の差を示さないが、皮質及び髄質管におけるシュウ酸カルシウムの堆積を含む腎石灰沈着症を示す。Grhprノックアウトマウスは、Grhpr遺伝子における突然変異によって引き起こされるオキサレートの過剰な産生を特徴とする遺伝性疾患である原発性高シュウ酸尿症II型の当該技術分野において承認されている動物モデルである。
方法及び材料
動物
C57BL/6Jバックグラウンド上の成体(12~14週齢)雄Agt欠損(Agxt Ko)マウス、Grhpr欠損(Grhpr Ko)マウス、及び野生型同腹子を、これらの試験に使用した。マウスを、12:12時間の明暗周期及び23±1℃の周囲温度で、バリア施設内で飼育し、食物及び水を自由に与えた。全てのマウスを、極低オキサレート食で飼育して、例えば、尿中オキサレート***レベルが実質的に内因性オキサレート産生のみを示すように、食餌によるオキサレートの寄与を取り除いた。全ての動物試験は、施設内動物管理使用委員会(Institutional Animal Use and Care Committee)によって承認された。
代謝ケージでの採尿
代謝ケージでの採尿のために、既に記載されるように、動物を、24時間の尿の採取のために、Nalgene代謝ケージ内で、単独で飼育した(Li,et.al.(2016)Biochimica et Biophysica Acta 1862:233)。iRNA剤の投与の前及び後に、各マウスについて3~4回の24時間の採尿を行った。これらの採取の平均を用いて、各動物の尿中オキサレート***を特性評価した。
LDHA iRNA投与
尿中オキサレート***に対するAD-84788の効果及び持続性を、0日目に、滅菌した0.9%の塩化ナトリウムで希釈した単回の0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg、又は10mg/kgの用量のAD-84788をAgxt欠損マウス(n=6)に投与することによって決定した。24時間の尿を、投与の1、2、3、4、6、8、9、及び10週間後に採取した。また、ベースラインの24時間の採尿を、AD-84788の投与の前に行った。
尿中オキサレート***に対するAD-84788の効果を、0日目に、滅菌した0.9%の塩化ナトリウムで希釈した単回の10mg/kgの用量のAD-84788を野生型マウス(n=6)、Agxtマウス(n=6)又はGrhprマウス(n=6)に投与することによって更に決定した。24時間の尿試料を、投与の7~10日後に採取した。また、ベースラインの24時間の採尿を、AD-84788の投与の前に行った。
また、尿中オキサレート***に対するAD-84788の複数回用量の投与の効果を、Agxtマウス(n=6)において決定した。Agxt欠損マウスに、0、11、18、及び25日目に、10mg/kgの用量のAD-84788を投与した。24時間の尿を、投与前の-6、-5、-4、及び-3日目に採取した。24時間の尿を、投与の7、8、9、及び10日後;並びに投与の28、29、30、及び31日後にも採取した。
24時間の採尿の完了の後(投与の32日後)、酵素アッセイによってLDHAタンパク質及び活性の阻害を決定するために組織を採取した。動物を6時間絶食させ、組織採取の前に気化イソフルラン(Fluriso,MWI,Boise ID)で麻酔をかけた。この複数回投与試験プロトコルの概略図が、図4に示される。
分析方法
尿中オキサレートレベルを、既に記載されるように、質量分析と組み合わせたイオンクロマトグラフィー(ICMS)によって決定した(Li,et.al.(2016)Biochimica et Biophysica Acta 1862:233)。肝臓ラクテートをICMSによって決定し(Knight,et.al.(2012).Anal Biochem.421:121-124)、ピルベート及びグリオキシレートレベルをHPLCによって決定した(Knight and Holme s(2005)Am J Nephrol 25:171)。ラクテート、ピルベート及びグリオキシレートの測定の前に、組織を、トリクロロ酢酸(最終的に10% v/v)中で抽出した。
肝臓LDH酵素アッセイ-乳酸又はグリオキシレート基質
肝臓LDH酵素活性を、肝臓組織溶解物におけるNADHへのNADの還元によって測定した。簡潔に述べると、肝臓試料を秤量し、溶解緩衝液(25mMのHEPES、1%のTriton、1%のプロテアーゼ阻害剤)中で均質化し、ホモジネートを遠心分離して、細胞残屑をペレット化した。上清を回収し、NAD及び乳酸又はグリオキシレートのいずれかの溶液を加えた。試料をマルチウェルプレートに入れ、プレートリーダーに入れた。340nmにおける吸光度読み取り値を、1分間隔で20分間にわたって収集した。データを用いて、LDHA比活性度(LDHA活性のnモル/分/mgタンパク質)を計算した。
心臓及び大腿骨格筋LDH酵素アッセイ
また、心臓及び大腿骨格筋LDH酵素活性を、乳酸を基質として用いて測定した。簡潔に述べると、肝臓試料を秤量し、溶解緩衝液(25mMのHEPES、1%のTriton、1%のプロテアーゼ阻害剤)中で均質化し、ホモジネートを遠心分離して、細胞残屑をペレット化した。上清を回収し、NAD及び乳酸の溶液を加えた。試料をマルチウェルプレートに入れ、プレートリーダーに入れた。340nmにおける吸光度読み取り値を、1分間隔で20分間にわたって収集した。データを用いて、LDHA比活性度(LDHA活性のnモル/分/mgタンパク質)を計算した。
結果
また、内因性オキサレート***に対するLDHA阻害の効果及び持続性を評価し、図5に示されるように、非処理の対照動物と比較して、単回の0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg又は10mg/kgの用量のAD-84788の投与は、AD-84788の投与後少なくとも4週間にわたって尿中オキサレート***を減少させた。
更に、図6に示されるように、単回の10mg/kgの用量のsiRNAの投与の4週間後、Agxt欠損マウスの尿中に***された内因性オキサレートのレベルは、ベースラインと比較して、約75%±3%だけ有意に低下され、Grhpr欠損マウスの尿中の内因性オキサレート***のレベルは、約32%±5%だけ低下された。
図7に示されるように、単回の10mg/kgの用量のAD-84788の1週間後の時点で、Agxt欠損マウスの尿中に***された内因性オキサレートのレベルは、低下された。4回の10mg/kgの用量のAD-84788の投与後、Agxt欠損マウスの尿中に***された内因性オキサレートレベルは、予想外にも、120mg/dlのベースラインレベルから約75±3%だけ低下され、これは、Ldhaのレベルの低下が、***されるオキサレートのレベルを低下させ、ひいては、腎臓結石形成疾病、障害、若しくは病態に罹患している対象(例えば、非高シュウ酸尿症腎臓結石形成疾病、障害、若しくは病態に罹患している対象)を処置するのに有用であることを実証している。
また、Ldhaタンパク質のレベルに対する4回の10mg/kgの用量のAD-84788の投与の効果を、乳酸又はグリオキシレートのいずれかを基質として用いて野生型及びAgxtマウスの両方からの肝臓試料中に存在するLdhaの酵素活性を測定することによって評価した。図8A、8B、9A、及び9Bは、非処理の対照動物と比較して、野生型マウスへの4回の10mg/kgの用量のAD-84788の投与後、乳酸(図8A及び8B)又はグリオキシレート(図9A及び9B)のいずれかを用いてNADHへのNADの還元によって測定した際に肝臓LDH酵素活性が有意に低下されたことを示す。
同様に、Agxtマウスにおいて、非処理の対照動物と比較して、4回の10mg/kgの用量のAD-84788の投与後、乳酸(図10A及び10B)又はグリオキシレート(図11A及び11B)のいずれかを用いてNADHへのNADの還元によって測定した際に肝臓LDH酵素活性が有意に低下された。
乳酸脱水素酵素は、体中に存在し、LDHAを標的とするiRNA剤の使用は、全身性作用を与え得る。しかしながら、図12A~12Dに示されるように、AD-84788(即ち、肝細胞を標的とするGalNAcリガンドにコンジュゲートされたiRNA剤)の投与によるLDH酵素活性の低下は、肝臓中に存在するLDHに特異的である。特に、非処理の対照動物と比較して、野生型マウスへの4回の10mg/kgの用量のAD-84788の投与は、乳酸(図8A及び8B)を基質として用いて、心臓(図12A及び12B)又は骨格筋(図12C及び12D)のいずれのLDH酵素活性も有意に低下させない。
更に、Agxt欠損マウスのいずれかの野生型への4回の10mg/kgの用量のAD-84788の投与によるLdhaレベルの低下は、肝臓又は筋肉のラクテートレベルを増加させなかった。実際に、野生型(図13A)及びAgxt欠損マウス(図14A)の両方において、ラクテートレベルは、複数回用量のAD-84788を投与された動物において有意に低下された。更に、図13B及び14Bに示されるように、肝臓ピルベートレベルはより高く、図15A及び15Bに示されるように、肝臓グリオキシレートレベルは、複数回用量のAD-84788を投与された野生型マウス及びAgxt欠損マウスにおいて変化していなかった。更に、4回の10mg/kgの用量のAD-84788の投与後の野生型及びAgxt欠損マウスの両方における肝臓ラクテートレベルの低下にもかかわらず、野生型及びAgxt欠損マウスの両方におけるラクテートの血漿中レベルは、影響されなかった(図17A及び17B)。特に、試験全体を通して、処理された及び非処理の対照マウスの挙動及び体重(図16A及び16Bを参照)は、一定のままであり、これは、動物における有意な代謝性変化がなかったことを示し、ひいては、AD-84788などのiRNA剤を用いた肝臓Ldhaの特異的阻害の安全性を実証している。
要約すると、本発明のdsRNA剤を用いたLDHAの肝臓特異的ノックダウンは、健常な動物及び罹患した動物の両方において顕著なオキサレート低下をもたらした。更に、炭水化物代謝におけるLDHの役割と一致して、処理された動物の肝臓中のラクテート、ピルベート及びTCA回路有機酸のレベルの大きな変化が見られた(例えば、図1Bを参照)。しかしながら、処理されたマウスのいずれも、挙動及び/又は体重の変化の兆候を示さず、これは、動物における有意な代謝性変化がなかったことを示す。したがって、本明細書に示されるデータは、腎臓結石形成疾病、障害、若しくは病態に罹患している対象(例えば、非高シュウ酸尿症腎臓結石形成疾病、障害、若しくは病態に罹患している対象)などの対象におけるオキサレート合成を減少させ、副作用又は安全性への懸念をもたらさずにこのような対象に有益である、オキサレートのレベルの好適な低下の測定を可能にするための、本明細書に提供される組成物及び方法の有用性を実証している。