JP7271833B2 - リチウムの回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムの回収方法に関するものであり、より詳しくは、例えば廃リチウムイオン電池等のリチウムを含む合金材料を処理対象として用いて、その処理対象からリチウムを選択的に回収するリチウムの回収方法に関する。
電気自動車やハイブリット自動車等の車両、携帯電話やスマートフォン、パソコン等の電子機器には、軽量で大出力であるという特徴を有するリチウムイオン電池(以下「LIB」とも称する)が搭載されている。
LIBは、アルミニウムや鉄等の金属製あるいは塩化ビニル等のプラスチック製の外装缶の内部に、銅箔を負極集電体に用いて表面に黒鉛等の負極活物質を固着させた負極材と、アルミニウム箔からなる正極集電体にニッケル酸リチウムやコバルト酸リチウム等の正極活物質を固着させた正極材とを、ポリプロピレンの多孔質樹脂フィルム等からなるセパレータと共に装入し、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)等の電解質を含んだ有機溶媒を電解液として含浸させた構造を有する。
LIBは、上記のような車両や電子機器等の中に組み込まれて使用されると、やがて自動車や電子機器等の劣化あるいはLIBの寿命等で使用できなくなり、廃リチウムイオン電池(廃LIB)となる。また、廃LIBは、最初から製造工程内で不良品として発生することもある。
これらの廃LIBには、ニッケルやコバルト、銅等の有価成分が含まれており、資源の有効活用のためにも、それら有価成分を回収して再利用することが望まれる。
一般に、金属で作られた装置、部材、材料から有価成分を効率よく回収しようとする場合、炉等に投入して高温下で全て熔解し、有価物のメタルと廃棄処分等するスラグとに分離する乾式製錬の技術を用いた乾式処理が簡易であると考えられる。
例えば特許文献1には、乾式処理を用いて有価金属の回収を行う方法が開示されている。この特許文献1に開示の方法を廃LIBから有価金属を回収する方法に適用することで、ニッケルやコバルトを含む銅合金を得ることができる。
乾式処理は、高温に加熱するためのエネルギーを要するという課題はあるものの、様々な不純物を簡単な工程で処理して一括して分離できるという利点がある。また、得られるスラグは、化学的に比較的安定な性状であるため、環境問題を引き起こす懸念がなく、廃棄処分しやすいという利点もある。
ただし、乾式処理により廃LIBを処理した場合、一部の有価成分、特にコバルトの殆どがスラグに分配され、コバルトの回収ロスとなることが避けられないという問題がある。また、乾式処理で得られるメタルは、有価成分が共存した「合金」であり、再利用するためには、その合金から成分ごとに分離し、不純物を除去する精製が必要となる。
一方で、酸による浸出処理や、中和処理、溶媒抽出処理等の方法を用いる湿式処理では、消費するエネルギーが少なく、混在する有価成分を個々に分離でき、直接高純度な品位で回収できるというメリットがある。しかしながら、湿式処理を用いて廃LIBを処理する場合、廃LIBに含まれる電解液成分の六フッ化リン酸アニオンは、高温、高濃度の硫酸でも完全に分解されない難処理物であり、有価成分を浸出させた酸溶液に混入することになる。さらに、その六フッ化リン酸アニオンは、水溶性の炭酸エステルであることから、有価物を回収した後の水溶液からリンやフッ素を回収することも困難で、排水処理によって公共海域等に放出することを抑制し難くなるという問題がある。
また、酸のみで廃LIBから有価成分を効率的に浸出して精製に供することができる溶液を得ることは容易ではない。廃LIBそのものは浸出し難くいため、有価成分の浸出率を向上させるため酸化力の強い酸を用いる等して強引に浸出処理を施すと、有価成分と共に回収対象ではないアルミニウムや鉄、マンガン等の成分までもが大量に浸出され、これらを処理するための中和剤添加量や取り扱う排水量が増加したりするという問題がある。
さらに、酸性の浸出液から溶媒抽出やイオン交換等の分離処理を施すために、溶液のpHを調整したり、不純物を中和して澱物に固定したりする場合、中和澱物の発生量も増加するため、処理場所の確保や安定性の確保等の面で多くの問題がある。
またさらに、廃LIBには電荷が残留していることがあり、そのまま処理しようとすると発熱や爆発等を引き起こす恐れがある。そのため、塩水に浸漬して放電する等の手間の掛かる処置も必要となる。
このように、湿式処理だけを用いて廃LIBを処理することも、必ずしも有利な方法とは言えない。
そこで、上述した乾式処理単独や湿式処理単独では処理が困難な廃LIBを、乾式処理と湿式処理とを組み合わせた方法、つまり、廃LIBを焙焼する等して乾式処理により不純物をできるだけ除去して均一な廃LIB処理物を生成させた後、その処理物を湿式処理して有価成分とそれ以外の成分とに分離しようとする試みが行われている。
この乾式処理と湿式処理とを組み合わせた方法では、電解液のフッ素やリンは乾式処理によって揮発する等して除去され、廃LIBの構造部品であるプラスチックやセパレータ等の有機物による部材は分解される。上述のように、乾式処理を経ることによって、廃LIBに含まれるコバルトがスラグに分配されるため、それにより生じる回収ロスの問題は依然として残るものの、乾式処理における雰囲気や、温度、還元度等を調整することで、コバルトをメタルとして分配させ、スラグへの分配を減じるように還元熔融する対応も考えられる。
さて、LIBに含有されるリチウムは、上記の方法では乾式処理によってスラグに分配され、有効に回収できないという問題がある。上述のように、スラグには、銅やニッケル等の成分は含まれないものの、鉄やアルミニウム等の不純物が酸化物の形態で多く分配され、スラグ自体の商業的な価値も低下させている。
リチウムは資源量が多いと考えられ、従来回収対象としてはそれほど重視されてこなかったが、近年のLIB需要の急拡大に伴う必要資源量の増大もあり、廃LIBからの回収も望まれるようになってきた。
しかしながら、上述のように、スラグにはリチウム以外にも一部のコバルトやその他様々な不純物も含有されており、これら不純物からリチウムだけを選択的に回収することは容易ではなかった。
特開2012-172169号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、廃リチウムイオン電池等のリチウムを含む合金材料からリチウムを選択的に回収する方法を提供する。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、廃リチウムイオン電池等のリチウムを含む合金材料に対して乾式処理を施すことでリチウムを含むスラグを得た後、そのスラグを水溶液に接触させて浸出処理に供することにより、リチウムが選択的に溶出して浸出液中に含まれるようになることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、リチウムを含む合金材料を熔解し還元することで得られるメタルとスラグとを分離し、分離した前記スラグを水溶液に接触させて浸出処理に付し、前記浸出処理により得られる浸出スラリーのpHを11以上に維持して、該浸出スラリーを固液分離することにより、リチウムを含む浸出液と浸出後スラグとに分離する、リチウムの回収方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記スラグをその平均粒径が5mm以下となるように調整し、粒径調整後のスラグを水溶液に接触させて前記浸出処理に付す、リチウムの回収方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記浸出処理では、前記スラグをpH5~7の水溶液に接触させる、リチウムの回収方法である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記浸出処理では、液温を60℃~100℃として処理する、リチウムの回収方法である。
(5)本発明の第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記浸出処理では、前記スラグを水溶液に接触させて得られるスラリーの濃度を10g/L~100g/Lとして処理する、リチウムの回収方法である。
(6)本発明の第6の発明は、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記リチウムを含む合金材料は、廃リチウムイオン電池である、リチウムの回収方法である。
本発明によれば、廃リチウムイオン電池等のリチウムを含む合金材料から、リチウムを選択的に回収することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、本明細書にて、「X~Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
本発明に係るリチウムの回収方法は、廃リチウムイオン電池等のリチウムを含む合金材料からリチウムを選択的に回収する方法である。
具体的に、本発明に係るリチウムの回収方法は、リチウムを含む合金材料を熔解し還元する乾式処理により得られるメタルとスラグとを分離する工程と、分離したスラグを水溶液に接触させて浸出処理に付す工程と、浸出処理により得られる浸出スラリーを固液分離することにより浸出液と浸出後スラグとに分離する工程と、を含む。
ここで、処理対象であるリチウムを含む合金材料とは、自動車や電気機器等の劣化による廃棄や寿命に伴い発生した使用済みリチウムイオン電池のスクラップやリチウムイオン電池の製造過程において発生した廃材等のスクラップ等が挙げられる。なお、これらのスクラップを「廃リチウムイオン電池」と総称する。また、リチウムイオン電池以外のリチウムを含む廃電池や、電池以外のリチウムを含む合金についても処理対象として用いることができる。なお、以下では、処理対象として廃リチウムイオン電池を用いた場合を例に挙げて説明する。
[乾式処理を施す工程]
先ず、このリチウムの回収方法では、処理対象である廃リチウムイオン電池を熔解し還元する乾式処理を施す。具体的には、廃リチウムイオン電池を還元雰囲気下において高い温度条件で焙焼することによって熔解する。
このような還元焙焼に基づく乾式処理により、廃リチウムイオン電池に含まれるリチウムは容易に酸化されて、スラグ(カラミとも呼ばれる)として分配される。一方で、この乾式処理により、廃リチウムイオン電池に含まれる銅やニッケル、コバルト等の有価金属は、メタル(粗メタル)として分配される。このようにして、廃リチウムイオン電池に対して乾式処理を施すことによって、回収対象であるリチウムをスラグの形態として、銅やニッケル等の金属をメタルの形態として、それぞれを効果的に分離することができる。
より具体的に、この工程では、廃リチウムイオン電池を焙焼炉に投入して、例えば1100℃~1500℃程度の温度で焙焼する処理を行う。これにより、銅、ニッケル、コバルトを主成分とする粗メタルと、リチウム及び不純物元素を含むスラグとが得られる。また、このような還元焙焼処理では、廃リチウムイオン電池に含まれる電解液を分解し、揮発させて除去することができる。さらに、廃リチウムイオン電池に含まれる筺体を含む構造体についても、その構造体を構成する材料の融点に基づいて焙焼温度を制御することで分離除去することができる。
還元焙焼処理においては、酸化度を調整しながら行うことが好ましい。酸化度の調整には、適宜酸化剤を添加して行うことができる。酸化剤としては、取り扱いが容易な点から、空気、純酸素、酸素富化気体等の酸素を含む気体を用いることができる。なお、還元焙焼処理により得られるスラグの主成分は、リチウムの酸化物、アルミニウムの酸化物、カルシウムの酸化物等である。
また、還元焙焼処理においては、焙焼物と共にフラックスを投入して行うことができる。フラックスとしては、例えば酸化物系のものを用いることができ、特に限定されないが、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等が挙げられる。
なお、還元焙焼処理に先立って、廃リチウムイオン電池を予め焼成したり、塩水浸漬を行うといった方法で、その廃リチウムイオン電池に残留する電荷を解消する無害化処理を行うようにしてもよい。また、無害化処理を行ったのち、破砕し、選別して、鉄やアルミニウムを主成分とする外装缶等を除去してもよい。
このような還元焙焼に基づく乾式処理によって、銅、ニッケル、コバルトを主成分とする粗メタルと、リチウム及び不純物元素を含むスラグとを生成させると、得られた熔融物から粗メタルとスラグとを分離する。分離方法としては、熔融状態にあるメタルと固形分であるスラグとを分離できれば特に限定されず、公知の固液分離の方法により行うことができる。
[浸出処理を施す工程]
次に、分離したスラグを水溶液に接触させて浸出処理に付す。
上述した還元焙焼による乾式処理では、廃リチウムイオン電池に含まれるリチウムは容易に酸化されてスラグとして分配されるが、鉄やアルミニウム等の電池を構成する成分が不純物として酸化物の形態でスラグ中に多く分配される。そのため、スラグは、これまで商業的な価値はほとんどないものと考えられていた。ところが、本発明者らによる鋭意研究の結果、分離して得られたスラグを水溶液に接触させることで、スラグに含まれるリチウム(リチウムの酸化物)が選択的に水溶液中に溶出することが分かった。つまり、スラグに対して水溶液と接触させる浸出処理を施すことによって、リチウムを含む浸出液が得られることが分かった。
浸出処理においては、例えばpH5~7程度の弱酸性から中性の水溶液と接触させて処理する。その水溶液としては、例えば純水を好適に用いることができる。
また、浸出処理においては、スラグの重量体積比(スラリー濃度)が好ましくは10g/L~100g/Lの範囲となるように、より好ましくは20g/L~80g/Lの範囲となるように、水溶液と接触させて処理する。スラリー濃度が低過ぎると、詳しくは後述するが浸出スラリーのpHが11以上に効率的に上昇せず、不純物が浸出液中に混入してリチウムの浸出率(回収率)が低下する可能性がある。一方で、スラリー濃度が高過ぎると、リチウムの溶解度の観点からリチウムの溶解が十分に進まない可能性がある。
また、浸出処理における処理温度(浸出時の液温)としては、特に限定されず、室温以上であればよい。なお、液温が高いほど浸出速度は上昇するものの、同時に不純物の溶解度も高まり、またエネルギーコストが増加して経済的にも不利となるため、品質、コストの両面から適宜調整することが好ましい。例えば、反応を有効に促進させ、設備材質等の問題を回避し、昇温に必要なエネルギーの効率を考慮すると、最低でも60℃程度の液温とすることが必要であり、一方で、加圧浸出等の特別な装置を用いた加熱までは必要ではなく、上限としては100℃以下の常圧下での温度範囲で行うことができる。工業的には、70℃~90℃程度とすることが好ましく、75℃~85℃程度とすることがさらに好ましい。
ここで、浸出処理に供するスラグは、その平均粒径が5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることをより好ましく、1mm以下であることが特に好ましい。スラグの粒径が大きければ溶出に時間を要する一方で、そのスラグの平均粒径を所定の大きさ以下とすることで、効率的な溶出を実現することができる。そして、特に、スラグの平均粒径を好ましくは5mm以下に調整したうえで浸出処理を施すことによって、リチウムの浸出率を効果的に高めることができる。
スラグの粒径調整は、乾式処理を経てメタルと分離して得られたスラグを回収し、そのスラグに対して公知の粉砕、破砕処理等を施し、また適宜篩分け処理等を施すことによって行うことができる。このようにして粒径調整した後のスラグを、浸出処理に供する。なお、平均粒径は、レーザー回折散乱法により測定することができる。
なお、スラグの粒径が小さくなるほどより効率的に溶出させることができるが、微粉であると取り扱いが困難となり、また粉砕等の処理に要するコストもかかるため、取り扱い性や経済性の観点から粒径の下限値を設定することが好ましい。例えば、0.5mm以上とすることが実用的であり好ましい。
[浸出スラリーを固液分離する工程]
次に、浸出処理により得られた浸出スラリーに対して固液分離処理を施し、浸出液と、浸出後スラグとに分離する。上述したように、スラグを水溶液と接触させて浸出処理を施すことで、スラグに含まれるリチウムは浸出液中に溶出する。したがって、浸出スラリーから浸出液を分離することによって、リチウムを含む浸出液を回収することができる。
このとき、本発明に係るリチウムの回収方法では、得られる浸出スラリーのpHを11以上に維持して固液分離することを特徴としている。
上述した浸出処理においては、スラグ中のリチウム酸化物が水溶液と接触することによってそのリチウムが水溶液中に浸出(溶出)することに伴い、得られる浸出液のpHは上昇してアルカリ性の領域に属するようになる。このようなアルカリ性の状態であっても、リチウムは両性金属であることから、再沈殿化せずに溶解状態を維持するようになる。一方で、リチウム以外の不純物成分は、アルカリ性下においては沈殿を形成する。
このことから、浸出処理により得られる浸出スラリーのpHをアルカリ性、特にpH11以上に維持し、その状態で固液分離することによって、リチウムを浸出液に溶解させたままの状態とすることができる一方で、浸出液中に含まれるようになった不純物成分を沈殿物化することができる。なお、浸出スラリーのpHが11未満であると、リチウムも沈殿を形成してしまい、回収ロスが生じる。
また、このように浸出スラリーのpHが11以上となるように調整、維持することで、ニッケル、コバルト、銅、鉄等のメタルに関しても水酸化物等を形成する領域とすることができるため、仮にそれら金属成分の一部が浸出処理により浸出されたとしても、溶解度を低く維持することができ、リチウムと効果的に分離することができる。
浸出スラリーのpHとしては13以上とすることがより好ましく、これにより、リチウムと不純物元素との分離性をさらに向上させることができる。
なお、例えばスラグに含まれるリチウムが少なく、浸出処理に伴って得られる浸出スラリーのpHを11以上の領域に上昇しきれない場合には、スラグを、濃度1規定程度の水酸化ナトリウム溶液や水酸化マグネシウムのような水溶性のアルカリ、あるいは消石灰等の固体のアルカリと混合する等して、pHを調整することが好ましい。
浸出スラリーに対する固液分離の方法としては、浸出液と浸出後スラグとを効率的に分離できる方法であれば特に限定されず、公知の方法により行うことができる。
以下に、本発明についての実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
廃リチウムイオン電池を熔解炉に装入し、還元雰囲気下における焙焼によって熔解する乾式処理に付し、スラグと、銅やニッケル等の金属を含むメタルと、に分離した。
次に、分離したスラグを、その平均粒径が0.5mm~5mmの範囲になるように粉砕し、選別した。なお、平均粒径は、粒子径分布測定装置を用いてレーザー回折散乱法により測定した。そして、粉砕後(粒径調整後)のスラグをpH5~7の純水と混合し、重量体積比(スラリー濃度)が100g/Lのスラリーとした。このスラリーを、常温、常圧で6時間振とうして浸出処理を行った。
次に、浸出処理により得られた浸出スラリーのpHを11以上に維持し、そのスラリーをヌッチェと濾瓶を用いて固液分離し、浸出液と浸出後スラグとに分離した。
分離して回収した浸出液中のリチウムの濃度を測定したところ、浸出処理に供したスラグ中に含まれた総リチウム量の11%であり、リチウムを有効に回収することができた。
<実施例2>
浸出処理に供するスラグに関して、その平均粒径が5mmを超えるサイズのものとしたこと以外は、実施例1と同様にして処理した。
その結果、回収した浸出液中にはリチウムが含まれており、リチウムを有効に回収することができた。ただし、そのリチウム量は、浸出処理に供したスラグ中に含まれた総リチウム量の3%程度であり、実施例1に比べて低下した。
<実施例3>
浸出処理において、液温を80℃に維持したこと以外は、実施例1と同様にして処理した。
その結果、浸出液中のリチウムの濃度を測定したところ、浸出に供したスラグ中に含まれた総リチウム量の22%であり、リチウムを効率よく回収することができた。
<実施例4>
浸出処理において、液温を80℃とし、スラグを濃度1規定の水酸化ナトリウム溶液と混合したこと以外は、実施例1と同様にして処理した。
その結果、浸出液中のリチウムの濃度を測定したところ、浸出に供したスラグ中に含まれた総リチウム量の31%であり、リチウムを効率よく回収することができた。
<実施例5>
浸出処理において、液温を80℃とし、スラグを濃度1規定の水酸化ナトリウム溶液と混合し、また、スラリー濃度を20g/Lとしたこと以外は、実施例1と同様にして処理した。
その結果、浸出液中のリチウムの濃度を測定したところ、浸出に供したスラグ中に含まれた総リチウム量の43%であり、リチウムを効率よく回収することができた。

Claims (7)

  1. リチウムを含む合金材料を熔解し還元することで得られるメタルと、リチウムの酸化物とアルミニウムの酸化物とカルシウムの酸化物とを含むスラグとを分離し、
    分離した前記スラグを水溶液に接触させて浸出処理に付し、
    前記浸出処理により得られる浸出スラリーのpHを11以上に維持して、該浸出スラリーを固液分離することにより、リチウムを含む浸出液と、アルミニウムの酸化物とカルシウムの酸化物とを含む浸出後スラグとに分離する
    リチウムの回収方法。
  2. 前記浸出処理では、アルカリと混合して浸出スラリーのpHを11以上に維持する
    請求項1に記載のリチウムの回収方法。
  3. 前記スラグをその平均粒径が5mm以下となるように調整し、粒径調整後のスラグを水溶液に接触させて前記浸出処理に付す
    請求項1又は2に記載のリチウムの回収方法。
  4. 前記浸出処理では、前記スラグをpH5~7の水溶液に接触させる
    請求項1乃至3のいずれかに記載のリチウムの回収方法。
  5. 前記浸出処理では、液温を60℃~100℃として処理する
    請求項1乃至のいずれかに記載のリチウムの回収方法。
  6. 前記浸出処理では、前記スラグを水溶液に接触させて得られるスラリーの濃度を10g/L~100g/Lとして処理する
    請求項1乃至のいずれかに記載のリチウムの回収方法。
  7. 前記リチウムを含む合金材料は、廃リチウムイオン電池である
    請求項1乃至のいずれに記載のリチウムの回収方法。
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