JP7267204B2 - 癒着防止用組成物 - Google Patents
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Description
[1-1] 少なくとも一部が硬化剤で架橋されたアルギン酸の1価金属塩のスポンジ状の第1の層および第2の層を含み、第1の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が10,000~2,000,000であり、第2の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が1,000~1,000,000であり、前記重量平均分子量が脱架橋処理後にGPC-MALS法により測定したものであり、第1の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が、第2の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量よりも高く、第1の層および第2の層から選択される少なくとも1つの層が、薬物、成長因子、ホルモン、タンパク質およびこれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの医薬成分を含み、滅菌された、生体に適用可能なスポンジ状積層体を含む、癒着防止材。
[1-1a] アルギン酸の1価金属塩が低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩である、上記[1-1]に記載の癒着防止材。
[1-1b] 少なくとも一部が硬化剤で架橋された低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩のスポンジ状の第1の層および第2の層を含み、第1の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が10,000~2,000,000であり、第2の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が1,000~1,000,000であり、前記重量平均分子量が脱架橋処理後にGPC-MALS法により測定したものであり、第1の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が、第2の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量よりも高く、第1の層および第2の層から選択される少なくとも1つの層が、薬物、成長因子、ホルモン、タンパク質およびこれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの医薬成分を含み、滅菌された、生体に適用可能なスポンジ状積層体を含む、癒着防止材。
[1-2] 第1の層および第2の層のいずれか一方が、硬化剤を含む上記[1-1]~[1-1b]のいずれか1項に記載の癒着防止材。
[1-3] 第1の層および第2の層の両方が、硬化剤を含む上記[1-1]~[1-1b]のいずれか1項に記載の癒着防止材。
[1-4] アルギン酸の1価金属塩(例えば、低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩)の第1の層と第2の層での使用量の合計が、0.1mg/cm2~3mg/cm2の範囲である、上記[1-1]~[1-3]のいずれか1項に記載の癒着防止材。
[1-5] 第1の層と第2の層のアルギン酸の1価金属塩のエンドトキシン含有量が、500EU/g以下である、上記[1-1]~[1-4]のいずれか1項に記載の癒着防止材。
[1-6] 第1の層と第2の層のアルギン酸の1価金属塩が、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸カリウムである、上記[1-1]~[1-5]のいずれか1項に記載の癒着防止材。
[1-7] 第1の層と第2の層の硬化剤が、2価以上の金属イオン化合物である、上記[1-2]~[1-6]のいずれか1項に記載の癒着防止材。
[1-7a] 第1の層と第2の層の硬化剤が、CaCl2、CaSO4、ZnCl2、SrCl2、FeCl3およびBaCl2からなる群より選択される少なくとも1つの金属イオン化合物である、上記[1-2]~[1-6]のいずれか1項に記載の癒着防止材。
[1-8] 第1の層を創傷部側の表面に向けて適用するための、上記[1-1]~[1-7a]のいずれか1項に記載の癒着防止材。
[1-9] スポンジ状積層体が、吸収線量として10kGy~150kGyの電子線および/またはγ線照射により滅菌されたものである、上記[1-1]~[1-8]のいずれか1項に記載の癒着防止材。
[1-10] 少なくとも一部が硬化剤で架橋されたアルギン酸の1価金属塩をそれぞれ含む第1の層および第2の層を含む生体に適用可能なスポンジ状積層体を含み、第1の層の溶解速度が、第2の層よりも遅く、
第1の層および第2の層から選択される少なくとも1つの層が、薬物、成長因子、ホルモン、タンパク質およびこれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの医薬成分を含む、癒着防止材。
[1-10a] アルギン酸の1価金属塩が低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩である、上記[1-10]に記載の癒着防止材。
[1-10b] 少なくとも一部が硬化剤で架橋された低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩をそれぞれ含む第1の層および第2の層を含む生体に適用可能なスポンジ状積層体を含み、第1の層の溶解速度が、第2の層よりも遅く、
第1の層および第2の層から選択される少なくとも1つの層が、薬物、成長因子、ホルモン、タンパク質およびこれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの医薬成分を含む、癒着防止材。
[1-11] pH7.5のリン酸緩衝液に対するアルギン酸の1価金属塩の溶出を指標とする溶解試験において、第2の層のアルギン酸の1価金属塩の溶出量を100%としたときの、第1の層のアルギン酸の1価金属塩の溶出量の割合が、測定開始から1時間の時点で50%未満、2時間の時点で70%未満である、上記[1-10]~[1-10b]のいずれか1項に記載の癒着防止材。
[1-12] pH7.5のリン酸緩衝液に対するアルギン酸の1価金属塩の溶出を指標とする溶解試験において、第1の層は、アルギン酸の1価金属塩の25±10重量%が1時間以内に溶出し、80±10重量%が4時間以内に溶出するものであり、第2の層は、アルギン酸の1価金属塩の70±10重量%が1時間以内に溶出し、90±10重量%が4時間以内に溶出するものである、上記[1-10]~[1-10b]のいずれか1項に記載の癒着防止材。
[1-13] pH7.5、37℃のリン酸緩衝液に対する医薬成分の溶出を指標とする溶解試験において、第1の層に含有させた医薬成分の40±20重量%が1時間以内に溶出し、80±20重量%が4時間以内に溶出するものである、上記[1-10]~[1-10b]のいずれか1項に記載の癒着防止材。
[1-14] pH7.5、37℃のリン酸緩衝液に対する医薬成分の溶出を指標とする溶解試験において、第2の層に含有させた医薬成分の80±20重量%が1時間以内に溶出し、90±10重量%が4時間以内に溶出するものである、上記[1-10]~[1-10b]のいずれか1項に記載の癒着防止材。
[1-15] pH7.5、37℃のリン酸緩衝液に対する医薬成分の溶出を指標とする溶解試験において、第1の層に含有させた医薬成分の40±20重量%が1時間以内に溶出し、80±20重量%が4時間以内に溶出するものであり、第2の層に含有させた医薬成分の80±20重量%が1時間以内に溶出し、90±10重量%が4時間以内に溶出するものである、上記[1-10]~[1-10b]のいずれか1項の癒着防止材。
[1-16] スポンジ状積層体がプレスしたものである、上記[1-1]~[1-15]のいずれか1項に記載の癒着防止材。
[2-1a] アルギン酸の1価金属塩が低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩である、上記[2-1]に記載の癒着防止方法。
[2-1b] 少なくとも一部が硬化剤で架橋された低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩のスポンジ状の第1の層および第2の層を含み、第1の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が10,000~2,000,000であり、第2の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が1,000~1,000,000であり、前記重量平均分子量が脱架橋処理後にGPC-MALS法により測定したものであり、第1の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が、第2の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量よりも高く、第1の層および第2の層から選択される少なくとも1つの層が、薬物、成長因子、ホルモン、タンパク質およびこれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの医薬成分を含み、滅菌された、生体に適用可能なスポンジ状積層体を、癒着防止を必要とする対象に、第1の層を創傷部側の表面に向けて適用することを含む、癒着防止方法。
[2-2] 第1の層および第2の層のいずれか一方が、硬化剤を含む上記[2-1]~[2-1b]のいずれか1項に記載の癒着防止方法。
[2-3] 第1の層および第2の層の両方が、硬化剤を含む上記[2-1]~[2-1b]のいずれか1項に記載の癒着防止方法。
[2-4] アルギン酸の1価金属塩(例えば、低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩)の第1の層と第2の層での使用量の合計が、0.1mg/cm2~3mg/cm2の範囲である、上記[2-1]~[2-3]のいずれか1項に記載の癒着防止方法。
[2-5] 第1の層と第2の層のアルギン酸の1価金属塩のエンドトキシン含有量が、500EU/g以下である、上記[2-1]~[2-4]のいずれか1項に記載の癒着防止方法。
[2-6] 第1の層と第2の層のアルギン酸の1価金属塩が、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸カリウムである、上記[2-1]~[2-5]のいずれか1項に記載の癒着防止方法。
[2-7] 第1の層と第2の層の硬化剤が、2価以上の金属イオン化合物である、上記[2-2]~[2-6]のいずれか1項に記載の癒着防止方法。
[2-7a] 第1の層と第2の層の硬化剤が、CaCl2、CaSO4、ZnCl2、SrCl2、FeCl3およびBaCl2からなる群より選択される少なくとも1つの金属イオン化合物である、上記[2-2]~[2-6]のいずれか1項に記載の癒着防止方法。
[2-8] スポンジ状積層体が、吸収線量として10kGy~150kGyの電子線および/またはγ照射により滅菌されたものである、上記[2-1]~[2-7a]のいずれか1項に記載の癒着防止方法。
[2-9] 少なくとも一部が硬化剤で架橋されたアルギン酸の1価金属塩をそれぞれ含む第1の層および第2の層を含み、第1の層の溶解速度が第2の層よりも遅く、
第1の層および第2の層から選択される少なくとも1つの層が、薬物、成長因子、ホルモン、タンパク質およびこれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの医薬成分を含み、生体に適用可能なスポンジ状積層体を、癒着防止を必要とする対象に適用することを含む、癒着防止方法。
[2-9a] アルギン酸の1価金属塩が低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩である、上記[2-1]に記載の癒着防止方法。
[2-9b] 少なくとも一部が硬化剤で架橋された低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩をそれぞれ含む第1の層および第2の層を含み、第1の層の溶解速度が第2の層よりも遅く、
第1の層および第2の層から選択される少なくとも1つの層が、薬物、成長因子、ホルモン、タンパク質およびこれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの医薬成分を含み、生体に適用可能なスポンジ状積層体を、癒着防止を必要とする対象に適用することを含む、癒着防止方法。
[2-10] pH7.5のリン酸緩衝液に対するアルギン酸の1価金属塩の溶出を指標とする溶解試験において、第2の層のアルギン酸の1価金属塩の溶出量を100%としたときの、第1の層のアルギン酸の1価金属塩の溶出量の割合が、測定開始から1時間の時点で50%未満、2時間の時点で70%未満である、上記[2-9]~[2-9b]のいずれか1項に記載の癒着防止方法。
[2-11] pH7.5のリン酸緩衝液に対するアルギン酸の1価金属塩の溶出を指標とする溶解試験において、第1の層は、アルギン酸の1価金属塩の25±10重量%が1時間以内に溶出し、80±10重量%が4時間以内に溶出するものであり、第2の層は、アルギン酸の1価金属塩の70±10重量%が1時間以内に溶出し、90±10重量%が4時間以内に溶出するものである、上記[2-9]~[2-9b]のいずれか1項に記載の癒着防止方法。
[2-12] pH7.5、37℃のリン酸緩衝液に対する医薬成分の溶出を指標とする溶解試験において、第1の層に含有させた医薬成分の40±20重量%が1時間以内に溶出し、80±20重量%が4時間以内に溶出するものである、上記[2-9]~[2-9b]のいずれか1項に記載の癒着防止方法。
[2-13] pH7.5、37℃のリン酸緩衝液に対する医薬成分の溶出を指標とする溶解試験において、第2の層に含有させた医薬成分の80±20重量%が1時間以内に溶出し、90±10重量%が4時間以内に溶出するものである、上記[2-9]~[2-9b]のいずれか1項に記載の癒着防止方法。
[2-14] pH7.5、37℃のリン酸緩衝液に対する医薬成分の溶出を指標とする溶解試験において、第1の層に含有させた医薬成分の40±20重量%が1時間以内に溶出し、80±20重量%が4時間以内に溶出するものであり、第2の層に含有させた医薬成分の80±20重量%が1時間以内に溶出し、90±10重量%が4時間以内に溶出するものである、上記[2-9]~[2-9b]のいずれか1項に記載の癒着防止方法。
[2-15] スポンジ状積層体がプレスしたものである、上記[2-1]~[2-14]のいずれか1項に記載の癒着防止方法。
(1)重量平均分子量10,000~2,000,000のアルギン酸の1価金属塩を硬化剤により硬化させる工程、
(2)硬化したアルギン酸の1価金属塩を凍結する工程、
(3)(2)で得られたアルギン酸の1価金属塩の上で、重量平均分子量1,000~1,000,000のアルギン酸の1価金属塩を硬化剤により硬化して積層体を得る工程、
(4)得られた積層体を凍結乾燥してスポンジ状積層体を得る工程、
ここで、前記分子量がGPC-MALS法により測定したものであり、
前記スポンジ状積層体は、重量平均分子量10,000~2,000,000のアルギン酸の1価金属塩を含むスポンジ状の第1の層と、重量平均分子量1,000~1,000,000のアルギン酸の1価金属塩を含むスポンジ状の第2の層とを含み、第1の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が第2の層よりも高く、第1の層および第2の層から選択される少なくとも1つの層が、薬物、成長因子、ホルモン、タンパク質およびこれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの医薬成分を含み、
前記少なくとも1つの医薬成分を、工程(1)および/または工程(3)の硬化前のアルギン酸の1価金属塩に対して含有させるか、または工程(4)の凍結乾燥後のスポンジ状積層体の第1の層および/または第2の層に対して含有させる。
[3-1a] アルギン酸の1価金属塩が低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩である、上記[3-1]に記載の癒着防止材の製造方法。
[3-1b] 以下の工程を含む、生体に適用可能なスポンジ状積層体を含む癒着防止材の製造方法。
(1)重量平均分子量10,000~2,000,000の低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩を硬化剤により硬化させる工程、
(2)硬化したアルギン酸の1価金属塩を凍結する工程、
(3)(2)で得られたアルギン酸の1価金属塩の上で、重量平均分子量1,000~1,000,000の低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩を硬化剤により硬化して積層体を得る工程、
(4)得られた積層体を凍結乾燥してスポンジ状積層体を得る工程、
ここで、前記分子量がGPC-MALS法により測定したものであり、
前記スポンジ状積層体は、重量平均分子量10,000~2,000,000の低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩を含むスポンジ状の第1の層と、重量平均分子量1,000~1,000,000の低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩を含むスポンジ状の第2の層とを含み、第1の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が第2の層よりも高く、第1の層および第2の層から選択される少なくとも1つの層が、薬物、成長因子、ホルモン、タンパク質およびこれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの医薬成分を含み、
前記少なくとも1つの医薬成分を、工程(1)および/または工程(3)の硬化前のアルギン酸の1価金属塩に対して含有させるか、または工程(4)の凍結乾燥後のスポンジ状積層体の第1の層および/または第2の層に対して含有させる。
[3-2] スポンジ状積層体が、吸収線量として10kGy~150kGyの電子線および/またはγ照射により滅菌されたものである、上記[3-1]~[3-1b]のいずれか1項に記載の癒着防止材の製造方法。
[3-3] (4)で得られた積層体をプレスする工程をさらに含む、上記[3-1]~[3-2]のいずれか1項に記載の癒着防止材の製造方法。
(1)重量平均分子量10,000~2,000,000のアルギン酸の1価金属塩を硬化剤により硬化させる工程、
(2)硬化したアルギン酸の1価金属塩を凍結する工程、
(3)(2)で得られたアルギン酸の1価金属塩の上で、重量平均分子量1,000~1,000,000のアルギン酸の1価金属塩を硬化剤により硬化して積層体を得る工程、
(4)得られた積層体を凍結乾燥してスポンジ状積層体を得る工程、
ここで、前記分子量がGPC-MALS法により測定したものであり、
前記スポンジ状積層体は、重量平均分子量10,000~2,000,000のアルギン酸の1価金属塩を含むスポンジ状の第1の層と、重量平均分子量1,000~1,000,000のアルギン酸の1価金属塩を含むスポンジ状の第2の層とを含み、第1の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が第2の層よりも高く、第1の層および第2の層から選択される少なくとも1つの層が、薬物、成長因子、ホルモン、タンパク質およびこれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの医薬成分を含み、
前記少なくとも1つの医薬成分を、工程(1)および/または工程(3)の硬化前のアルギン酸の1価金属塩に対して含有させるか、または工程(4)の凍結乾燥後のスポンジ状積層体の第1の層および/または第2の層に対して含有させる。
[4-1a] アルギン酸の1価金属塩が低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩である、上記[4-1]に記載のスポンジ状積層体。
[4-1b] 以下の工程(1)~(4)により得られる生体に適用可能なスポンジ状積層体。
(1)重量平均分子量10,000~2,000,000の低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩を硬化剤により硬化させる工程、
(2)硬化したアルギン酸の1価金属塩を凍結する工程、
(3)(2)で得られたアルギン酸の1価金属塩の上で、重量平均分子量1,000~1,000,000の低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩を硬化剤により硬化して積層体を得る工程、
(4)得られた積層体を凍結乾燥してスポンジ状積層体を得る工程、
ここで、前記分子量がGPC-MALS法により測定したものであり、
前記スポンジ状積層体は、重量平均分子量10,000~2,000,000の低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩を含むスポンジ状の第1の層と、重量平均分子量1,000~1,000,000の低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩を含むスポンジ状の第2の層とを含み、第1の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が第2の層よりも高く、第1の層および第2の層から選択される少なくとも1つの層が、薬物、成長因子、ホルモン、タンパク質およびこれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの医薬成分を含み、
前記少なくとも1つの医薬成分を、工程(1)および/または工程(3)の硬化前のアルギン酸の1価金属塩に対して含有させるか、または工程(4)の凍結乾燥後のスポンジ状積層体の第1の層および/または第2の層に対して含有させる。
[4-2] 癒着防止材として用いる、上記[4-1]~[4-1b]のいずれか1項に記載のスポンジ状積層体。
[4-3] スポンジ状積層体が、吸収線量として10kGy~150kGyの電子線および/またはγ照射により滅菌されたものである、上記[4-1]~[4-2]のいずれか1項に記載のスポンジ状積層体。
[4-4] (4)で得られた積層体をプレスする工程をさらに含む、上記[4-1]~[4-3]のいずれか1項に記載のスポンジ状積層体。
[5-1a] アルギン酸の1価金属塩が低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩である、上記[5-1]に記載の原料の組合せ。
[5-1b] 重量平均分子量10,000~2,000,000の低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩を含む第1の原料と、重量平均分子量1,000~1,000,000の低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩を含む第2の原料とを含み、第1の原料の重量平均分子量が第2の原料よりも高く、第1の層および第2の層から選択される少なくとも1つの層が、薬物、成長因子、ホルモン、タンパク質およびこれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの医薬成分を含む、癒着防止材を製造するための原料の組合せ。
[5-2] スポンジ状積層体の製造に用いるためのものである、上記[5-1]~[5-1b]のいずれか1項に記載の原料の組合せ。
[6-1a] アルギン酸の1価金属塩が低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩である、上記[6-1]に記載の医薬組成物。
[6-1b] 少なくとも一部が硬化剤で架橋された、低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩のスポンジ状の第1の層および第2の層を含み、第1の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が10,000~2,000,000であり、第2の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が1,000~1,000,000であり、前記重量平均分子量が脱架橋処理後にGPC-MALS法により測定したものであり、第1の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が、第2の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量よりも高く、第1の層および第2の層から選択される少なくとも1つの層が、薬物、成長因子、ホルモン、タンパク質およびこれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの医薬成分を含み、滅菌された、生体に適用可能なスポンジ状積層体を含む、癒着防止効果を有する医薬組成物。
[6-2] 第1の層および第2の層のいずれか一方が、硬化剤を含む、上記[6-1]~[6-1b]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[6-3] 第1の層および第2の層の両方が、硬化剤を含む、上記[6-1]~[6-1b]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[6-4] アルギン酸の1価金属塩(例えば、低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩)の第1の層と第2の層での使用量の合計が、0.1mg/cm2~3mg/cm2の範囲である、上記[6-1]~[6-3]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[6-5] 第1の層と第2の層のアルギン酸の1価金属塩のエンドトキシン含有量が、500EU/g以下である、上記[6-1]~[6-4]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[6-6] 第1の層と第2の層のアルギン酸の1価金属塩が、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸カリウムである、上記[6-1]~[6-5]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[6-7] 第1の層と第2の層の硬化剤が、2価以上の金属イオン化合物である、上記[6-1]~[6-6]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[6-7a] 第1の層と第2の層の硬化剤が、CaCl2、CaSO4、ZnCl2、SrCl2、FeCl3およびBaCl2からなる群より選択される少なくとも1つの金属イオン化合物である、上記[6-1]~[6-6]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[6-8] 第1の層を創傷部側の表面に向けて適用するための、上記[6-1]~[6-7a]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[6-9] スポンジ状積層体がプレスしたものである、上記[6-1]~[6-8]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
「癒着」とは、互いに分離しているべき組織の表面が線維性の組織で連結または融合された状態のことをいう。癒着の原因は、外科手術において組織の表面にできる外傷や、外傷により引き起こされる炎症、外科手術において組織表面が乾燥することによる炎症などである。これらの外傷や炎症に伴い組織の表面にフィブリンを含む滲出液が生じ、この滲出液が器質化して組織表面が連結または融合されることにより癒着が形成される。
また、実施例に示したとおり、対象となる癒着としては、手術時の対象臓器の切除した部位の癒着およびde novo癒着(手術部位以外の周辺および腹腔および体内での広範な部位との癒着)がある。
本発明は、少なくとも一部が硬化剤で架橋されたアルギン酸の1価金属塩(例えば、低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩)のスポンジ状の第1の層および第2の層を含み、重量平均分子量が比較的高いアルギン酸の1価金属塩(例えば、低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩)を含むスポンジ状の第1の層と、重量平均分子量が比較的低いアルギン酸の1価金属塩(例えば、低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩)を含むスポンジ状の第2の層を含む生体に適用可能なスポンジ状積層体を含み、第1の層および第2の層から選択される少なくとも1つの層が、薬物、成長因子、ホルモン、タンパク質およびこれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの医薬成分を含む、癒着防止材(以下、「癒着防止材A」という場合がある)を提供する。第1の層と第2の層で用いるアルギン酸の1価金属塩(例えば、低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩)の重量平均分子量は、それぞれ、例えば、10,000~2,000,000と、1,000~1,000,000である。このような重量平均分子量は脱架橋処理、例えばキレート剤溶液に溶解した後にGPC-MALS法により測定したものである。
なお、本明細書において、数値範囲に「~」の記号を用いる場合、「下限値以上、上限値以下」を意味するものであり、記号の両端の数値は当該範囲に含まれる。
別の好ましい例として、癒着防止材Bは、アルギン酸の1価金属塩の溶出を指標とする溶解試験において、第1の層は、アルギン酸の1価金属塩の25±10重量%が1時間以内に溶出し、80±10重量%が4時間以内に溶出するものであり、第2の層は、アルギン酸の1価金属塩の70±10重量%が1時間以内に溶出し、90±10重量%が4時間以内に溶出するものである。溶解試験は、具体的には、後述の実施例に記載の通りである。
別の好ましい態様では、癒着防止材Bは、pH7.5、37℃のリン酸緩衝液に対する医薬成分の溶出を指標とする溶解試験において、第2の層に含有させた医薬成分の40~100重量%が1時間以内に溶出し、60~100重量%が4時間以内に溶出するものであり、より好ましくは、同試験において、第2の層に含有させた医薬成分の80±20重量%が1時間以内に溶出し、90±10重量%が4時間以内に溶出するものである。
別の好ましい態様では、癒着防止材Bは、pH7.5、37℃のリン酸緩衝液に対する医薬成分の溶出を指標とする溶解試験において、第1の層に含有させた医薬成分の10~70重量%が1時間以内に溶出し、20~100重量%が4時間以内に溶出するものであり、第2の層に含有させた医薬成分の40~100重量%が1時間以内に溶出し、60~100重量%が4時間以内に溶出するものであり、より好ましくは、同試験において、第1の層に含有させた医薬成分の40±20重量%が1時間以内に溶出し、80±20重量%が4時間以内に溶出するものであり、第2の層に含有させた医薬成分の80±20重量%が1時間以内に溶出し、90±10重量%が4時間以内に溶出するものである。
癒着防止材に用いられる生体に適用可能なスポンジ状の積層体は、上記の第1の層、第2の層以外に、任意の成分を含む第3の層を有していてもよく、また、多層構造を有していてもよい。また、各層が明瞭な境界面を持たず、分子量が連続的に漸増または漸減するような構造を有するスポンジ状積層体も含まれる。
少なくとも1つの医薬成分は、例えば、3つ以上、2つまたは1つの医薬成分である。
ペニシリン、アンピシリン、アモキシシリン等のペニシリン系抗生物質、セファゾリン、セフォチアム、セフタジジム、セフピロム等のセフェム系抗生物質、メロペネム等のカルバペネム系抗生物質、タゾバクタム等のモノバクタム系抗生物質、ファロペネム等のペネム系抗生物質、ストレプトマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ゲンタマイシン、ネオマイシン等のアミノグリコシド系抗生物質、リンコマイシン等のリンコマイシン系抗生物質、ホスホマイシン等のホスホマイシン系抗生物質、テトラサイクリン、ミノサイクリン等のテトラサイクリン系抗生物質、クロラムフェニコール等のクロラムフェニコール系抗生物質、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、ジョサマイシン等のマクロライド系抗生物質、テリスロマイシン等のケトライド系抗生物質、ポリミキシン等のポリペプチド系抗生物質、バンコマイシン等のグリコペプチド系抗生物質、キヌプリスチン・ダルホプリスチン等のストレプトグラミン系抗生物質、ナリジクス酸、エノキサシン、レボフロキサシン、ガチフロキサシン等のキノロン系抗生物質、リネゾリド等のオキサゾリジノン系抗生物質、およびアンホテリシンB等の抗菌、抗真菌作用を有する抗生物質、
非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs、例えば、アスピリン、ロキソプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、インドメタシン、ピロキシカム、メフェナム酸、スルピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、メロキシカム、マレイン酸クロルフェニラミン等)、ステロイド系抗炎症薬(例えば、デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム、ヒドロコルチゾン、コハク酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニドおよびベタメタゾン等)等の抗炎症薬、
癒着防止作用を有する薬物(上記、抗炎症薬に同じ)、および創傷治癒促進作用を有する薬物、トラネキサム酸、カルバゾクロム等の止血作用を有する薬物などである。好ましくは、薬物は、非ステロイド系抗炎症薬またはステロイド系抗炎症薬であり、より好ましくは、ステロイド系抗炎症薬(例えば、デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム、トリアムシノロンアセトニド等)である。これらの薬物は、市販のものを入手してもよいし、あるいは公知の方法で製造してもよい。
また、第1の層に含有させる別の好ましい医薬成分として、脂溶性の医薬成分が挙げられる。
また、第1の層に含有させる別の好ましい医薬成分として、持続的に放出させるために含有させる医薬成分が挙げられる。
また、第2の層に含有させる別の好ましい医薬成分として、水溶性の医薬成分が挙げられる。
また、第2の層に含有させる別の好ましい医薬品成分として、術後速やかに放出させるために含有させる医薬成分が挙げられる。
第1の層と第2の層に異なる医薬成分を含有させる場合の好ましい医薬成分の組合わせは、次の組合わせである。
(1)第1の層:創傷治癒促進作用、止血作用を有する任意の医薬成分の1つ以上と、第2の層:炎症緩和作用、癒着防止作用を有する任意の医薬成分の1つ以上との組合わせ。
(2)第1の層:創傷治癒促進作用、止血作用を有する任意の医薬成分の1つ以上と、第2の層:非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド性抗炎症薬から選択される1つ以上との組合わせ。
(3)第1の層:FGF、トロンビン、ウリナスタチンから選択される1つ以上と、第2の層:ジクロフェナクナトリウム、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムから選択される1つ以上との組合わせ。
いくつかの態様のスポンジ状積層体は医薬成分を含有させることにより、医薬成分を含有しないものと比較して、優れた癒着防止効果を示す。
スポンジ状積層体、医薬成分などに関する説明は、前記と同様である。
「アルギン酸の1価金属塩」は、アルギン酸の6位のカルボン酸の水素原子を、Na+やK+などの1価金属イオンとイオン交換することでつくられる水溶性の塩である。アルギン酸の1価金属塩としては、具体的には、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウムなどを挙げることができるが、特には、市販品により入手可能なアルギン酸ナトリウムが好ましい。アルギン酸の1価金属塩の溶液は、硬化剤と混合したときにゲルを形成する。
少なくとも一部が硬化剤で架橋されたアルギン酸の1価金属塩については、任意の脱架橋処理後にGPC-MALS法により測定することにより、架橋されていないアルギン酸の1価金属塩としての重量平均分子量を測定することができる。脱架橋処理としては、例えば、任意のキレート剤、例えばEDTA(エチレンジアミン四酢酸)、フィチン酸などのキレート剤溶液に溶解することが挙げられる。用いるキレート剤としてはEDTAが好ましい。
アルギン酸類の分子量の測定は、常法に従い測定することができる。分子量測定にGPC-MALSを用いる場合の代表的な条件は、本明細書の実施例1に記載のとおりである。検出器として、例えば、RI検出器と光散乱検出器(MALS)を用いることができる。
低エンドトキシン処理は、公知の方法またはそれに準じる方法によって行うことができる。例えば、ヒアルロン酸ナトリウムを精製する、菅らの方法(例えば、特開平9-324001号公報など参照)、β1,3-グルカンを精製する、吉田らの方法(例えば、特開平8-269102号公報など参照)、アルギネート、ゲランガム等の生体高分子塩を精製する、ウィリアムらの方法(例えば、特表2002-530440号公報など参照)、ポリサッカライドを精製する、ジェームスらの方法(例えば、国際公開第93/13136号パンフレットなど参照)、ルイスらの方法(例えば、米国特許第5589591号明細書など参照)、アルギネートを精製する、ハーマンフランクらの方法(例えば、Appl Microbiol Biotechnol(1994)40:638-643など参照)等またはこれらに準じる方法によって実施することができる。低エンドトキシン処理は、それらに限らず、洗浄、フィルター(エンドトキシン除去フィルターや帯電したフィルターなど)によるろ過、限外ろ過、カラム(エンドトキシン吸着アフィニティーカラム、ゲルろ過カラム、イオン交換樹脂によるカラムなど)を用いた精製、疎水性物質、樹脂または活性炭などへの吸着、有機溶媒処理(有機溶媒による抽出、有機溶剤添加による析出・沈降など)、界面活性剤処理(例えば、特開2005-036036号公報など参照)など公知の方法によって、あるいはこれらを適宜組合せて実施することができる。これらの処理の工程に、遠心分離など公知の方法を適宜組み合わせてもよい。アルギン酸の種類に合わせて適宜選択するのが望ましい。
癒着防止材は、第1の層および第2の層のいずれか一方が硬化剤を含有してもよく(すなわち、第1の層および第2の層のいずれか一方が硬化剤を含有しなくてもよく)、あるいは、第1の層および第2の層の両方が硬化剤を含有してもよい。
あるいは、癒着防止材は、第1の層および第2の層のいずれもが硬化剤を含有していなくてもよい。
生体適用可能なスポンジ状積層体を含む癒着防止材や生体適用可能なスポンジ状積層体は、例えば、以下の工程を経て作製することができる。
(2)硬化したアルギン酸の1価金属塩を凍結する工程、
(3)(2)で得られたアルギン酸の1価金属塩の上で、重量平均分子量1,000~1,000,000のアルギン酸の1価金属塩(例えば、低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩)を硬化剤により硬化して積層体を得る工程、
(4)得られた積層体を凍結乾燥してスポンジ状積層体を得る工程。
(1’)第2のアルギン酸塩を硬化剤により硬化させる工程、
(2’)硬化した第2のアルギン酸塩を凍結する工程、
(3’)(2’)で得られた第2のアルギン酸塩の上で、第1のアルギン酸塩を硬化剤により硬化して積層体を得る工程、
(4’)得られた積層体を凍結乾燥してスポンジ状積層体を得る工程。
各工程の具体的な説明は、前記の方法と同様である。また、医薬成分をスポンジ状積層体に含有させる方法も、前記の方法と同様である。
ここで、薬物、成長因子、ホルモン、タンパク質およびこれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの医薬成分を、硬化前の第1のアルギン酸塩および/または硬化前の第2のアルギン酸塩に対して含有させるか、または貼りあわせ後のスポンジ状積層体の第1の層および/または第2の層に対して含有させる。
各工程の具体的な説明は、前記の方法と同様である。また、医薬成分をスポンジ状積層体に含有させる方法も、前記の方法と同様である。
電子線および/またはγ線滅菌する場合の照射条件として、例えば、吸収線量が10kGy~150kGyが挙げられ、より好ましくは20kGy~100kGyが挙げられ、さらに好ましくは40kGy~80kGyが挙げられる。電子線および/またはγ線滅菌する場合の照射条件の別の好ましい態様として、例えば、吸収線量が20kGy~80kGy、20kGy~60kGy、40kGy~60kGy等が挙げられる。γ線滅菌よりも電子線滅菌が好ましい。
癒着防止材または医薬組成物(以下、「癒着防止材」と記載する)は、癒着防止を必要とする対象に適用することにより使用される。好ましくは、癒着防止材は、通常、癒着防止効果を奏するのに必要な1週間程度、適用局所に滞留した後に吸収分解され、最終的には1~2カ月程度で代謝・***されてなくなるため、安全性に優れる。
また、好ましくは、癒着防止材のスポンジ積層体は、INTERCEED(商品名)と比較して、癒着防止対象が広範である。
また、医薬成分を含む癒着防止材または医薬組成物を用時に調製するための、スポンジ状積層体と医薬成分とを含むキット、および、医薬成分を含む癒着防止材または医薬組成物を用時に調製するために、スポンジ状積層体と医薬成分とを組み合わせて使用する方法が提供される。具体的なスポンジ状積層体および医薬成分は、前述の通りである。
癒着防止材または医薬組成物を外科手術に関連した組織に適用する前に、あるいは同時に、あるいは後で、癒着防止材に用いることができるとして前記した抗生物質、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)、ステロイド系抗炎症薬等の併用薬を癒着防止材とは別に投与するようにしてもよい。
アルギン酸積層スポンジを、以下のように作製した。
アルギン酸積層スポンジの調製に用いた各試薬は以下の通りである。
低エンドトキシンアルギン酸ナトリウムは、持田製薬株式会社から入手した。
・AL10:(Lot NO.5K12202),エンドトキシン量4EU/g。
・AL500:(Lot NO.BL150713-500),エンドトキシン量19EU/g。
塩化カルシウムは、和光純薬工業株式会社から入手した(商品コード:036-00485)。
35mm無処理ディッシュ(IWAKI社 商品コード1000-035)
マイクロピペット(Gilson社 ピペットマン(商品名))
純水製造装置(メルクミリポア社 Elix Essential UV5(商品名))
冷凍庫(SHARP社 SJ-56S(商品名))
凍結乾燥器(TAITEC社 VD-550R(商品名))
(1)溶液の調製
AL500を1.0wt%の濃度で純水に溶解させて、AL500溶液を調製した。同様に、AL10を1.0wt%の濃度で純水に溶解させて、AL10溶液を調製した。さらに、塩化カルシウムを純水に溶解させ、10mMおよび15mMの塩化カルシウム水溶液をそれぞれ調製した。
AL500溶液1.0mLおよび10mM塩化カルシウム水溶液1.0mLをマイクロピペットを使用して35mm無処理ディッシュに加え、ピペッティングによって均一になるように混合した。これを一晩静置し、ゲル化させた。ディッシュを冷凍庫に移し、-20℃で4時間凍結させた。
ディッシュを冷凍庫から取り出し、凍結したAL500層の上に、AL10溶液1.0mLおよび15mM塩化カルシウム水溶液1.0mLをマイクロピペットで加え、ピペッティングによって均一になるように混合した。これを再びディッシュを冷凍庫に移し、-20℃で4時間凍結させた。
凍結後のディッシュを凍結乾燥器にセットし、2晩凍結乾燥を行って、目的のアルギン酸積層スポンジを得た。
製造原料として用いたアルギン酸について、以下のGPC-MALS法により重量平均分子量を測定した。
試料に溶離液を加え溶解後、0.45μmメンブランフィルター濾過したものを測定溶液とした。
示差屈折率計:Optilab T-rEX
測定波長:658nm
測定温度:40℃
溶媒:200mM硝酸ナトリウム水溶液
試料濃度:0.5~2.5mg/mL(5濃度)
カラム:TSKgel GMPW-XL×2+G2500PW-XL(7.8mm I.D.×300mm×3本)
溶離液:200mM硝酸ナトリウム水溶液
流量:1.0mL/min.
濃度:0.05%
検出器:RI検出器、光散乱検出器(MALS)
カラム温度:40℃
注入量:200μL
AL10 : 55,000
AL500: 280,000
(電子線滅菌の照射線量が20kGyの場合)
AL10 :36,000
AL500:75,000
(電子線滅菌の照射線量が40kGyの場合)
AL10 :27,000
AL500:45,000
尚、後述の実施例6および7では、積層スポンジとして、非滅菌のものを用いた。
(1)スポンジの作製
以下の[試薬]に記載のアルギン酸を用い、AL100またはAL500を下層の原料として、AL10またはAL20を上層の原料として使用し、実施例1に記載の方法に準じて、AL10(上層)-AL100(下層)、AL20(上層)-AL100(下層)、AL20(上層)-AL500(下層)の組合せによる、各アルギン酸積層スポンジを作製した。
・AL10:実施例1と同じ
・AL20:(Lot NO.BL150713-20),エンドトキシン量13EU/g。
・AL100:(Lot NO.5G17201),エンドトキシン量6EU/g。
・AL500:実施例1と同じ
また、スポンジ作製に用いたアルギン酸のうち、AL20およびAL100について、実施例1に記載の方法を用いて、GPC-MALS法により重量平均分子量を測定した。
[結果]
AL20 : 82,000
AL100: 170,000
(電子線滅菌の照射線量が20kGyの場合)
AL20 :46,000
AL100:63,000
(電子線滅菌の照射線量が40kGyの場合)
AL20 :33,000
AL100:40,000
上層または下層が蛍光修飾された積層スポンジをそれぞれ作製し、溶解速度の測定を行った。具体的な方法を以下に示す。なお、蛍光標識試薬としてはFTSC(Fluorescein-5-Thiosemicarbazide)を使用し、アルギン酸の標識は常法により行った。
蛍光標識されたアルギン酸を用い、実施例1に記載の方法に準じて積層スポンジを作製した。
低エンドトキシンアルギン酸ナトリウムは、実施例1に記載の通りである。リン酸緩衝液は、リン酸二水素ナトリウム(和光純薬社、197-09705(商品名))、リン酸二水素カリウム(和光純薬社、166-04255(商品名))、塩化ナトリウム(和光純薬社、191-01665(商品名))、塩化カリウム(和光純薬社、166-17945(商品名))を用いて調整した。エチレンジアミン四酢酸ナトリウム(N001)はDojindo社から購入した。
直径8mm生検トレパン(Kai medical社 BP-80F(商品名))
96穴黒色マイクロプレート(Nunc社 137101(商品名))
蛍光プレートリーダー (Perkin Elmer社 ARVO X3(商品名))
まず、蛍光修飾された積層スポンジを直径8mmの生検トレパン(Kai medical社 BP-60F(商品名))で打ち抜いた。これを150mMリン酸緩衝液(pH7.5)10mL中に浸漬し、一定時間毎に浸漬液を200μLずつ回収した。回収した溶液を96穴プレートに移し、蛍光プレートリーダーによって蛍光強度を測定することで、溶解したアルギン酸量を定量化した。
積層スポンジの各層の溶解挙動の測定結果を、図2に示す。図2に示されているように、下層では、アルギン酸の1価金属塩の25±10重量%が1時間以内に溶出し、80±10重量%が4時間以内に溶出していた。一方、上層は、アルギン酸の1価金属塩の70±10重量%が1時間以内に溶出し、90±10重量%が4時間以内に溶出していた。また、上層のアルギン酸の1価金属塩の溶出量を100%としたときの、下層のアルギン酸の1価金属塩の溶出量の割合は、測定開始から1時間の時点で36%(50%未満)、2時間の時点で55%(70%未満)であった。
このように上層の溶解速度が、下層に比べて速いことが確認できた。下層を創傷部側、上層を腹腔側に向けてアルギン酸スポンジを適用することで、下層は、創傷部に残留して創傷部の癒着を防止することができるとともに、上層は比較的速く溶解して創傷部から遠く離れた場所にも多数形成されるde novo癒着、例えば、腹腔内全般の癒着等を抑えることができると考えられる。
ラット一部肝切除モデルを用いて、癒着の形成を評価した。ラット一部肝切除モデルは、重篤な炎症を惹起し高い強度を有する癒着の形成を再現性高く観察できるモデルである(Shimizu A et al.,(2014)Surg Today.(44):314-323)。具体的には、以下のように癒着の形成を評価した。
低エンドトキシンアルギン酸ナトリウムは、実施例1に記載の通りである。
Seprafilm(商品名)は、カルボキシメチルセルロース(CMC)とヒアルロン酸を混合したシート状材料であり、Genzyme GmbHより入手した。
Interceed(商品名)は、再生酸化セルロースシートであり、Johnson&Johnsonより入手した。
Control群(n=8):left lateral lobeの辺縁を3cm計測し切離し凝固止血した(無処置対照群)。
500-10積層スポンジ群(n=8):実施例1で作製したアルギン酸スポンジを癒着防止材として適用した。
Seprafilm群(n=8):2×3cmのSeprafilmを癒着防止材として適用した。
Interceed群(n=8):2×3cmのInterceedを癒着防止材として適用した。
ペントバルビタール35mg/kg相当の腹腔投与によりラットに麻酔をかけ、体重を電子天秤で測定した。その後、ラットを、正中切開で開腹した。次に、腹壁をピンセットでつまんで持ち上げ、腹壁を切断した。肝切除を行う前準備として、left lateral lobeを腹腔の奥から引き出し、その下にガーゼを敷いた。次に、実際の肝切除に移った。具体的には、ものさしを肝臓にあて、離断面が3cmになる位置を探し、その両端に、バイポーラで焼灼し、印をつけた。印をつけた2点の間を直線的に切除していった。Control群では、この後すぐ閉腹して処置を終了した。癒着防止材を適用する群では、この後、ガーゼを除去したのちに癒着防止材を適用した。次に、腹壁と皮膚を二回に分けて縫合し閉腹した。腹壁を縫合する際には生分解糸を用い、皮膚を縫合する際には非吸収糸を用いた。閉腹から一週間後に、ラットに過剰量の麻酔として約2mLのペントバルビタールの過剰投与によって安楽死させ、体重を電子天秤で測定した。その後、再び開腹し、以下の通り癒着を評価した。脾臓重量は、腹腔から脾臓を摘出した後、電子天秤で測定した。
以下の通り、癒着の評価を行った。
上記[手順]に記載した肝離断面について、以下の(a)、(b)の評価を行った。
(a)癒着グレード
癒着の評価は、目視により行った。肝離断面について、下記スコアリング法に基づき癒着スコアをつけた。
癒着スコア:
Grade0:癒着が全く見られない。
Grade1:自重により剥離する程度の癒着(生理的な癒着)
Grade2:ピンセットによる剥離が可能な癒着(鈍的な癒着)
Grade3:ハサミ、メスを使わないと剥離できない癒着(鋭的な癒着)
3cmの肝離断面のうち、癒着が形成された幅を定規(ものさし)にて計測し、長さ(単位:mm)で表した(従って、離断面の最大Extentは30mmとなる)。
肝離断面以外、具体的には肝表面、大網、腹膜、小腸、正中創直下、等について、以下の(a)、(b)の評価を行った。
(a)癒着グレード
癒着の評価は、目視により行った。肝離断面以外の部位について、下記スコアリング法に基づき癒着スコアをつけた。部位は特定せず、認められた癒着スコアの最大値を、その試験動物の癒着スコアとして記録した。
癒着スコア:
Grade0:癒着が全く見られない。
Grade1:自重により剥離する程度の癒着(生理的な癒着)
Grade2:ピンセットによる剥離が可能な癒着(鈍的な癒着)
Grade3:ハサミ、メスを使わないと剥離できない癒着(鋭的な癒着)
肝離断面以外の部位について、癒着が形成された組織部分について、定規(ものさし)にて、その接着している幅を計測し、長さ(単位:mm)で表した。上記(2)(a)と同様、部位は特定せず、認められた癒着が形成された幅の最大値を、その試験動物の癒着Extentとして記録した。
癒着の評価の結果を図3(離断面)および図4(非離断面)に示した。また、体重測定および脾臓重量測定の結果を図5に示した。
離断面においては、各群とも、Control群に比べて癒着が抑制される傾向が認められた(図3(A)~(C))。
非離断面において、500-10積層スポンジ群での顕著な癒着防止効果が確認された(図4(A)~(C))。陽性対照として用いたSeprafilm(商品名)およびInterceed(商品名)では癒着防止効果は認められず、Control群に比べて癒着が増悪する傾向が認められた。一方、500-10積層スポンジ群では顕著な癒着防止効果が確認された。
体重および脾臓重量については、Control群、Seprafilm群、Interceed群、および500-10積層スポンジ群間で有意差はなく、500-10積層スポンジを適用しても、生体に悪影響がないことが確認された(図5(A)および(B))。
ここで、実施例における有意差検定は、特に断りがない限りStudent’s t-testによって行い、Gradeの評価のみMann-Whitney U testで行った。
肝臓の離断の際にペアン鉗子を用いたことを除き、実施例3と同じ材料、実験群、手順および癒着の評価方法を用いて、肝離断面と非離断面の癒着グレードと癒着Extentを評価した。
癒着の評価の結果を図6(離断面)および図7(非離断面)に示した。また、体重測定および脾臓重量測定の結果を図8に示した。
離断面においては、各群(n=8)とも、Control群(n=8)に比べて癒着が抑制される傾向が認められ、500-10積層スポンジ群においては、Control群との間に統計的に有意な差が認められた(図6(A)~(C))。
非離断面において、500-10積層スポンジ群での顕著な癒着防止効果が確認された(図7(A)~(C))。陽性対照として用いたSeprafilm(商品名)については癒着防止効果が認められず、Interceed(商品名)についてはControl群に比べて癒着が増悪する傾向が認められた。一方、500-10積層スポンジ群では顕著な癒着防止効果が確認された。
体重および脾臓重量については、Control群、Seprafilm群、Interceed群、および500-10積層スポンジ群間で有意差はなく、500-10積層スポンジを適用しても、生体に悪影響がないことが確認された(図8(A)および(B))。
アルギン酸積層スポンジの各層について蛍光標識による可視化の試験を以下のように行った。
低エンドトキシンアルギン酸ナトリウムは、実施例1に記載の通りである。
ハンディー紫外線ランプ(UVP社 UVGL-58(商品名))
ラットの肝臓切除の手順は、実施例3に記載の通りである。作製された肝臓の離断面に、第1の層または第2の層が蛍光標識されたアルギン酸スポンジを貼付した。貼付には、材料の残存を観察しやすくするために、実施例1よりも多い4.0mg/cm2のアルギン酸を使用した積層スポンジを実施例1の方法に準じて作製し、使用した。その後、実施例3に記載の手順で閉腹し、1週間後に開腹を行った。露出した腹腔内にランプで紫外線を照射し、蛍光標識されたアルギン酸の腹腔内分布を可視化した。
また、AL500層は、一部腹壁などでも見られるものの、離断面からの蛍光がより際立って観察された。このことから、スポンジ状積層体の第1の層はアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が比較的高いため、離断面に留まって物理的なバリアとなることが示唆された。
アルギン酸積層スポンジの曲面への貼付追従性を示すために、巻き付け試験を以下のように行った。
低エンドトキシンアルギン酸ナトリウムは、実施例1に記載の通りである。寒天(010-08725)は、和光純薬から購入した。
寒天をお湯に溶解した後、円柱状の型に流し込んで冷やし、直径20mmのアガロースゲル円柱を作製した。これをモデル管状臓器とし、実施例1で作製したスポンジを巻き付けることで、巻き付けの追従性を検証した。
アルギン酸積層スポンジのプレス、プレス後の厚みの測定および膨潤試験を以下のように行った。
アルギン酸積層スポンジ(AL10(上層)-AL500(下層))は、実施例1に記載の通りである。
アガロースは、和光純薬工業株式会社から入手した(商品コード:010-08725)。
(1)プレスおよびプレス後の厚みの測定
(1-1)手動プレス
アルギン酸積層スポンジを平面上に静置し、手のひらで、アクリル定規を介してスポンジ全体に均一に圧がかかるよう押圧した。押圧前後のスポンジの厚みを電子ノギスにて計測し、平均値を算出した(n=4)。
アルギン酸積層スポンジをプレス機(アズワン株式会社製、製品名AH-1T)にセットした。10MPaの圧力で室温にてアルギン酸積層スポンジをプレスし、5分間保持した。プレス後のスポンジの厚みを電子ノギスで測定し、平均値を算出した(n=4)。
アガロースを熱湯に2重量%で溶解させ、室温まで冷却することでアガロースゲルを作製した。アガロースゲルを2cm×2cm角に切り取り、ガラスシャーレ上で純水に浸漬し、湿潤させた。
1cm×1cm角に切り取ったプレス前後のアルギン酸積層スポンジをアガロースゲル上に静置した。一定時間毎に横方向から撮影し、撮影した画像からスポンジの厚みを算出し、膨潤に及ぼすプレスの影響の有無を確認した(プレス前:n=3;プレス後:n=3。尚、膨潤試験では、プレスしたアルギン酸積層スポンジとして、プレス機によりプレスしたものを用いた。
プレス後の厚みの測定結果を表1に示す。
このことから、スポンジをプレスすることによりコンパクトにまとめることができるので、内視鏡手術においてトロッカー等を介して癒着防止材であるスポンジを患部に比較的容易に適用できることが示唆された。
さらに、患部に適用されたプレスしたスポンジは、患部に存在する、または患部に適用される水分を吸収して、厚みが回復することも示唆された。厚みが回復することにより、積層スポンジとしての機能を発揮し得る。
アルギン酸積層スポンジおよびSeprafilm(商品名)について、吸水時の脆弱性を評価するために以下の試験を行った。
アルギン酸積層スポンジは実施例1に、Seprafilm(商品名)は実施例3に記載の通りである。また、アルギン酸積層スポンジのプレス有りものとして、実施例6に記載のプレス機によりプレスしたものを用いた。
アルギン酸積層スポンジおよびSeprafilm(商品名)から1cm×2cmの試験片を作成した。試験片の片端1cm×1cmに両面テープを貼付し、試験台の端に把持した。これにより他方の端1cm×1cmが中空に出るように試験片を固定した。
各試験片に対し、霧吹きを用いて純水を5回噴霧した。試験片が湿潤に伴って下方に折れ曲がっていく過程を動画で撮影した。
得られた動画の画像解析によって、試験片先端の試験台からの高さと角度の両方を算出し、その時間変化をプロットした。
結果を図10に示した。
高さについては、アルギン酸積層スポンジは、霧吹き後50秒まで高さの低下は2mm以内であり、90秒後においても3mm程度であった(図10(A))。また、プレス有りのアルギン酸積層スポンジも、霧吹き後90秒後においても高さの低下は9mm程度であった。いっぽう、Seprafilm(商品名)は、霧吹き直後から著しい高さの低下が認められた(図10(A))。角度についても、高さの結果と同様の結果であった(図10(B))。
このことから、アルギン酸積層スポンジは、プレスの有無に関わらず吸水状態にあっても暫くはその形状、強度が維持されることが示唆された。このため、癒着防止材として患部に適用した際に、貼付位置を調整して貼り直すことが可能である、あるいは、内視鏡手術の際、トロッカー等を介して癒着防止材であるスポンジを患部に適用する際に、トロッカー内の水分を吸収して上手く広げることができない等の事態が避けられる、などの利点がある。なお、アルギン酸積層スポンジが、患部、あるいはそのモデル系に対して好適な圧着性を有することは、実施例3、実施例5等において確認している。
医薬成分含有アルギン酸スポンジを、以下のように作製した。
[試薬]
医薬成分含有アルギン酸スポンジの調製に用いた各試薬は以下の通りである。
低エンドトキシンアルギン酸ナトリウムは、持田製薬株式会社から入手した。
・AL500:(Lot NO.5F05204),エンドトキシン量19EU/g。
塩化カルシウム、デキサメタゾン(Dex)およびデキサメタゾンリン酸エステルナトリウム(DSP)は、和光純薬工業株式会社から入手した。
・塩化カルシウム:(商品コード:036-00485)。
Dex:(商品コード:040-30811)。
DSP:(商品コード:041-18861」)。
10mLシリンジ
シリンジジョイント
マイクロピペット
シャーレ
(1)溶液の調製
i)Dex溶液:Dexをエタノールに溶解し、10mg/mLのDex溶液を調製した。
ii)DSP溶液:DSPを純粋に溶解し、25mg/mLのDSP溶液を調製した。
Dex含有アルギン酸スポンジおよびDSP含有アルギン酸スポンジを、AL500から調製したアルギン酸スポンジにDexまたはDSPを滴下することによって含有させる方法と、AL500からなるゲルにDexまたはDSPを混合した後、凍結、乾燥させることで含有させる方法の二つの方法で作製した。
A-1)Dex含有アルギン酸スポンジ
1%のAL500溶液2ml、および10mM塩化カルシウム水溶液2mLを用いて、実施例1の[調製手順](2)、(4)の方法に準じて、AL500単層スポンジを調製した。得られたアルギン酸スポンジは、実施例1で得られた積層スポンジと同様の直径、厚みを有する略円形であった。調製したアルギン酸スポンジにDex溶液を500μL滴下し、放置することでエタノールを揮発させ、5mgのDexを含有するアルギン酸スポンジを得た。
A-1)と同様の方法でAL500を用いてアルギン酸スポンジを調製した。調製したアルギン酸スポンジにDSP溶液を200μL滴下し、再度-20℃で4時間凍結、乾燥させることにより水分を除去し、5mgのDSPを含有するアルギン酸スポンジを得た。
B-1)Dex含有アルギン酸スポンジ
1)1wt%アルギン酸溶液は、実施例1[調製手順](1)の方法で調製した。上記(1)i)で調製したDex溶液3mLを1wt%アルギン酸溶液6mLに加え、よく混合した。
2)100mM塩化カルシウム溶液600μLを純水2.4mLに加え、よく混合した。
3)2つの溶液を10mLシリンジ内でよく混合することでDex含有アルギン酸ゲルを得た。
4)3)で得られたアルギン酸ゲルをシャーレに2mLずつ分注し、-20℃で凍結した後、凍結乾燥器で4時間乾燥させ、5mgのDexを含有するアルギン酸スポンジを得た。得られたアルギン酸スポンジは、実施例1で得られた積層スポンジと同様の直径、厚みを有する略円形であった。
また、シリンジを使用せず、シャーレ上で2液をピペットを用いて混合した以外は上記と同様の方法により、別のDex含有アルギン酸スポンジを作製した。
1)1wt%アルギン酸溶液は、実施例1[調製手順](1)の方法で調製した。上記(1)ii)で調製したDSP溶液1.2mLを1wt%アルギン酸溶液6mLに加え、よく混合した。
2)100mM塩化カルシウム溶液600μLを純水4.2mLに加えよく混合した。
3)2つの溶液を10mLシリンジ内でよく混合することでDSP含有アルギン酸ゲルを得た。
4)3)で得られたアルギン酸ゲルをシャーレに2mLずつ分注し、-20℃で凍結した後、凍結乾燥器で4時間乾燥させ、5mgのDSPを含有するアルギン酸スポンジを得た。得られたアルギン酸スポンジは、実施例1で得られた積層スポンジと同様の直径、厚みを有する略円形であった。
また、シリンジを使用せず、シャーレ上で2液をピペットを用いて混合した以外は上記と同様の方法により、別のDSP含有アルギン酸スポンジを作製した。
DexまたはDSPを滴下して調製したアルギン酸スポンジは、医薬成分を含有しないアルギン酸スポンジとの外観上の差異は認められなかった。
一方、アルギン酸ゲルにDexまたはDSPを混合して調製したアルギン酸スポンジは、シャーレ上でピペットを用いて混合する場合と、シリンジ内で十分に混合した場合とで異なる結果が得られた。シャーレ上で混合したものは、シャーレ上に2液を注入した直後からゲル化を開始し、混合することが困難であったため、混合が不十分になった。その結果、架橋密度が不均一なスポンジが得られた。一方、二つのシリンジを用いてよく混合しゲル化させた場合では、均一なゲルが得られ、その結果、架橋密度が均一なスポンジが得られた。
in vivoでの癒着防止効果を評価するために、ラット70%肝切除モデル(Shimizu et al.Surgery Today(2014)44、pp.314~323)を用いた。実施例3および3-2に記載したラット一部肝切除モデルを用いた結果から、アルギン酸積層スポンジの癒着防止効果が確認されている。本実施例では、実施例3および3-2のラット一部肝切除モデルよりも侵襲度が高く、より重度な癒着が惹起される70%肝切除モデルを用いて癒着防止効果を評価した。
低エンドトキシンアルギン酸ナトリウムは、持田製薬株式会社から入手した。
・AL10:(Lot NO.5K12202),エンドトキシン量4EU/g。
・AL500:実施例8に記載の通りである。
Seprafilm(商品名)およびInterceed(商品名)は、実施例3に記載の通りである。
単層スポンジおよび医薬成分含有アルギン酸積層スポンジを以下のように調製した。
AL500単層スポンジは実施例8に記載した方法により調製した。
1)第1の層(下層)にDexを含有し、第2の層(上層)に医薬成分を含有しない積層スポンジの調製:
実施例8、B-1)、1)~3)の方法により得られたDex含有アルギン酸ゲルを2mLシャーレに分取し、-20℃で4時間凍結させた。以下、実施例1[調製手順](3)および(4)に従って、第1の層にDexを含有する積層スポンジを得た。
2)第1の層(下層)に医薬成分を含有せず、第2の層(上層)にDexを含有する積層スポンジの調製:
実施例1[調製手順](1)、(2)に従ってAL500層(下層)を作成した後、実施例8、B-1)、1)~3)の方法に準じて、AL10の1%溶液を用いて調製したDex含有アルギン酸ゲルを、AL500層に積層し、-20℃で4時間凍結させた。以下、実施例1[調製手順](4)に従って、第2の層にDexを含有する積層スポンジを得た。
3)第1の層(下層)にDSPを含有し、第2の層(上層)に医薬成分を含有しない積層スポンジの調製:
実施例8、B-2)、1)~3)の方法により得られたDSP含有アルギン酸ゲルを2mLシャーレに分取し、-20℃で4時間凍結させた。以下、実施例1[調製手順](3)および(4)に従って、第1の層にDSPを含有する積層スポンジを得た。
4)第1の層(下層)に医薬成分を含有せず、第2の層(上層)にDSPを含有する積層スポンジの調製:
実施例1[調製手順](1)、(2)に従ってAL500層(下層)を作成した後、実施例8、B-2)、1)~3)の方法に準じて、AL10の1%溶液を用いて調製したDSP含有アルギン酸ゲルを、AL500層に積層し、-20℃で4時間凍結させた。以下、実施例1[調製手順](4)に従って、第2の層にDSPを含有する積層スポンジを得た。
Control群(n=8):ラットの肝臓を切除した後、生理食塩水で腹腔内を洗浄し閉腹した(無処置対照群)。
単層スポンジ群
・AL500群(n=8):Control群と同様の処置を行った後、肝臓離断面に2cm×2cmの1wt%アルギン酸(AL500)溶液と10mM塩化カルシウム溶液から作製したスポンジを貼付し閉腹した。
Interceed群(n=8):Control群と同様の処置を行った後、肝臓離断面に2cm×2cmのInterceedを貼付し閉腹した。
Seprafilm群(n=8):Control群と同様の処置を行った後、肝臓離断面に2cm×2cmのSeprafilmを貼付し閉腹した。
積層スポンジ群
・下層:Dex群(n=8):Control群と同様の処置を行った後、肝臓離断面に2cm×2cmのDex含有積層スポンジを貼付し閉腹した。積層スポンジ下層のAL500にDexを含有させている。
・下層:DSP群(n=8):Control群と同様の処置を行った後、肝臓離断面に2cm×2cmのDSP含有積層スポンジを貼付し閉腹した。積層スポンジ下層のAL500にDSPを含有させている。
・上層:Dex群(n=8):Control群と同様の処置を行った後、肝臓離断面に2cm×2cmのDex含有積層スポンジを貼付し閉腹した。積層スポンジ上層のAL10にDexを含有させている。
・上層:DSP群(n=8):Control群と同様の処置を行った後、肝臓離断面に2cm×2cmのDex含有積層スポンジを貼付し閉腹した。積層スポンジ上層のAL10にDSPを含有させている。
ソムノペンチル腹腔投与によりラットに麻酔をかけた。その後、正中切開でラットの腹壁を切断した。肝切除を行う前準備として、非吸収性糸を輪になるように軽く結び、輪になった糸を通すようにラットの肝臓を持ち上げ、固定した。糸を徐々に縛りつつ肝臓の根本へ移動させ、肝臓の根本へ移動させた。肝臓の根本の血管を縛るように糸をきつく結んだ。その後、肝臓を糸の結び目付近で切除した。もう一つの肝臓も同様の手順を行い、切除した。生理食塩水10mlをシリンジから腹腔内に注いで、洗浄した。滅菌ガーゼで水分を取り除いた。Control群では、この後すぐ閉腹して処置を終了した。癒着防止材を適用する群では、この後、離断面に癒着防止材を貼付し、腹壁、皮膚を縫合し閉腹した。なお、積層スポンジについては、下層(第1の層、AL500)側が創傷面と接するようにスポンジを貼付した。閉腹から一週間後に、ラットに過剰量の麻酔として約2mLのペントバルビタールを投与してラットを安楽死させた。その後、開腹し、以下の通り癒着を評価した。
癒着の有無、および離断面と非離断面についての癒着Extentを、実施例3と同様の方法で評価した。
図11(A)および(B)に肝離断面-横隔膜(創傷面(離断面))での癒着の有無および癒着長さの評価結果を示した。また、図12(A)および(B)に肝臓-胃(非離断面)での癒着の有無および癒着長さの評価結果を示した。
実施例8、B)の方法に準じて、AL10単層スポンジおよびAL500単層スポンジのそれぞれにデキサメタゾン(Dex)およびデキサメタゾンリン酸エステルナトリウム(DSP)を含有させたスポンジ(計4種)を製造し、各スポンジからの医薬成分の溶出速度の測定を行った。
[材料]
低エンドトキシンアルギン酸ナトリウムは実施例1に、リン酸緩衝液は実施例2に、デキサメタゾンおよびデキサメタゾンリン酸エステルナトリウムは実施例9に、それぞれ記載の通りである。
直径8mm生検トレパン(Kai medical社 BP-80F(商品名))
プラスチックボトル
UVvis(吸光度測定時に使用)
Dex含有AL10スポンジ、DSP含有AL10スポンジ、Dex含有AL500スポンジ、DSP含有AL500スポンジを、実施例8、B)の方法に準じてそれぞれ作成した。各スポンジを直径8mmの生検トレパン(Kai medical社 BP-60F(商品名))で打ち抜いた。これを150mMリン酸緩衝液(pH7.5、37℃)15mL中に浸漬し、浸漬前、浸漬後30分、1時間、2時間、4時間および6時間の時点で浸漬液を500μLずつ採取した。採取した溶液のλ=242nmの吸光度を測定し、医薬成分の溶出速度を評価した。
各スポンジからの医薬成分の溶出挙動を、図13(A)および(B)に示した。図13(A)に示した通り、脂溶性ステロイドであるDexは、AL10(第2の層、上層に相当)に含有させた場合(上層:Dex)には比較的速やかに溶出することが確認された。いっぽう、AL500(第1の層、下層に相当)に含有させた場合(下層:Dex)には放出速度が緩徐であった。図13(B)に示した通り、水溶性ステロイドであるDSPは、AL10(第2の層、上層に相当)に含有させた場合(上層:DSP))、AL500(第1の層、下層に相当)に含有させた場合(下層:DSP))のいずれについても、速やかに溶出することが確認された。
2 第1の層
3 第2の層
4 スポンジ状積層体
Claims (11)
- 少なくとも一部が硬化剤で架橋された、アルギン酸の1価金属塩のスポンジ状の第1の層および第2の層を含み、第1の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が25,000~500,000であり、第2の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が3,000~100,000であり、前記重量平均分子量が脱架橋処理後にGPC-MALS法により測定したものであり、第1の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が、第2の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量よりも高く、アルギン酸の1価金属塩の第1の層と第2の層での使用量の合計が、0.1mg/cm 2 ~10mg/cm 2 の範囲であり、第1の層および第2の層から選択される少なくとも1つの層が、薬物、成長因子、ホルモン、タンパク質およびこれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの医薬成分を含み、滅菌された、生体に適用可能なスポンジ状積層体を含む、癒着防止材。
- アルギン酸の1価金属塩が低エンドトキシンアルギン酸の1価金属塩であり、第1の層と第2の層のアルギン酸の1価金属塩のエンドトキシン含有量が、500EU/g以下である、請求項1に記載の癒着防止材。
- 第1の層および第2の層の両方が、硬化剤を含む請求項1または2に記載の癒着防止材。
- アルギン酸の1価金属塩の第1の層と第2の層での使用量の合計が、0.1mg/cm2~3mg/cm2の範囲である、請求項1~3のいずれか1項に記載の癒着防止材。
- 第1の層と第2の層のアルギン酸の1価金属塩が、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸カリウムである、請求項1~4のいずれか1項に記載の癒着防止材。
- 第1の層と第2の層の硬化剤が、2価以上の金属イオン化合物である、請求項3または4に記載の癒着防止材。
- 第1の層を創傷部側の表面に向けて適用するための、請求項1~6のいずれか1項に記載の癒着防止材。
- 少なくとも一部が硬化剤で架橋されたアルギン酸の1価金属塩をそれぞれ含む第1の層および第2の層を含む生体に適用可能なスポンジ状積層体を含み、第1の層の溶解速度が、第2の層よりも遅く、
pH7.5のリン酸緩衝液に対するアルギン酸の1価金属塩の溶出を指標とする溶解試験において、第2の層のアルギン酸の1価金属塩の溶出量を100%としたときの、第1の層のアルギン酸の1価金属塩の溶出量の割合が、測定開始から1時間の時点で50%未満、2時間の時点で70%未満であるか、または、
pH7.5のリン酸緩衝液に対するアルギン酸の1価金属塩の溶出を指標とする溶解試験において、第1の層は、アルギン酸の1価金属塩の25±10重量%が1時間以内に溶出し、80±10重量%が4時間以内に溶出するものであり、第2の層は、アルギン酸の1価金属塩の70±10重量%が1時間以内に溶出し、90±10重量%が4時間以内に溶出するものであり、
第1の層および第2の層から選択される少なくとも1つの層が、薬物、成長因子、ホルモン、タンパク質およびこれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの医薬成分を含む、癒着防止材。 - スポンジ状積層体がプレスしたものである、請求項1~8のいずれか1項に記載の癒着防止材。
- 以下の工程を含む、生体に適用可能なスポンジ状積層体を含む癒着防止材の製造方法。
(1)重量平均分子量25,000~500,000のアルギン酸の1価金属塩を硬化剤により硬化させる工程、
(2)硬化したアルギン酸の1価金属塩を凍結する工程、
(3)(2)で得られたアルギン酸の1価金属塩の上で、重量平均分子量3,000~100,000のアルギン酸の1価金属塩を硬化剤により硬化して積層体を得る工程、
(4)得られた積層体を凍結乾燥してスポンジ状積層体を得る工程、
ここで、前記分子量がGPC-MALS法により測定したものであり、
前記スポンジ状積層体は、重量平均分子量25,000~500,000のアルギン酸の1価金属塩を含むスポンジ状の第1の層と、重量平均分子量3,000~100,000のアルギン酸の1価金属塩を含むスポンジ状の第2の層とを含み、第1の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が第2の層よりも高く、アルギン酸の1価金属塩の第1の層と第2の層での使用量の合計が、0.1mg/cm 2 ~10mg/cm 2 の範囲であり、第1の層および第2の層から選択される少なくとも1つの層が、薬物、成長因子、ホルモン、タンパク質およびこれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの医薬成分を含み、
前記少なくとも1つの医薬成分を、工程(1)および/または工程(3)の硬化前のアルギン酸の1価金属塩に対して含有させる、または工程(4)の凍結乾燥後のスポンジ状積層体の第1の層および/または第2の層に対して含有させる。 - 少なくとも一部が硬化剤で架橋された、アルギン酸の1価金属塩のスポンジ状の第1の層および第2の層を含み、第1の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が25,000~500,000であり、第2の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が3,000~100,000であり、前記重量平均分子量が脱架橋処理後にGPC-MALS法により測定したものであり、第1の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量が、第2の層のアルギン酸の1価金属塩の重量平均分子量よりも高く、アルギン酸の1価金属塩の第1の層と第2の層での使用量の合計が、0.1mg/cm 2 ~10mg/cm 2 の範囲であり、第1の層および第2の層から選択される少なくとも1つの層が、薬物、成長因子、ホルモン、タンパク質およびこれらの組合わせからなる群から選択される少なくとも1つの医薬成分を含み、滅菌された、生体に適用可能なスポンジ状積層体を含む、癒着防止効果を有する医薬組成物。
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