JP7267159B2 - 表面処理酸化亜鉛粒子及び塗布用組成物 - Google Patents
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Description
特許文献3には、シランカップリング剤で被覆された酸化亜鉛粒子が開示されている。シランカップリング剤としては、分子内にオクチル基及びアルコキシ基を有するものが特に優れていることが記載されている。また、紫外線吸収剤を含んでもよいことが同文献には記載されており、紫外線吸収剤の一例として4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンが記載されている。
したがって本発明の課題は、白化しづらい紫外線遮蔽膜を形成し得る原料を提供することにある。
前記有機シロキサン化合物が、ジメチルジメトキシシラン及びフェニルトリメトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも一種のシラン化合物の脱水縮合生成物を含む、表面処理酸化亜鉛粒子を提供することによって前記の課題を解決したものである。
I0:84Kにおいて、電子スピン共鳴法で得られる4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(以下「TEMPOL」ともいう。)の2.0mmol/Lのトルエン溶液の吸収強度。
I:84Kにおいて、電子スピン共鳴法で得られる酸化亜鉛の芯材粒子1g当たりのスペクトル吸収強度。
日本電子株式会社製のXバンド(9GHz帯)電子スピン共鳴装置(JES-X330)を使用して測定する。外径5mmの石英管に測定試料を入れ、以下の測定条件で測定を行い、ESRスペクトルを得る。酸化亜鉛の芯材粒子については、得られたESRスペクトルの吸収強度を、試料の1g当たりの値に換算する。
試料質量:20mg
石英管:日本電子株式会社製No.193-S(高精度用)
マイクロ波出力:0.25mW
磁場掃引幅:20mT
変調磁場:0.3mT
感度:50
時定数:0.03秒
測定時間:30秒
測定温度:84K
塗布用組成物に含まれるバインダー樹脂の割合は、該塗布用組成物から形成される紫外線遮蔽膜に十分な強度を付与する観点から、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、2質量%以上20質量%以下であることが更に好ましく、3質量%以上15質量%以下であることが一層好ましい。
塗布用組成物に含まれる有機溶媒の割合は、該塗布用組成物を塗布するときの操作性を良好にする観点から、50質量%以上94質量%以下であることが好ましく、55質量%以上90質量%以下であることが更に好ましく、60質量%以上85質量%以下であることが一層好ましい。
第2の塗布用組成物に含まれるシラン化合物の割合は、該塗布用組成物中での酸化亜鉛粒子の分散性を十分に高める観点から、0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上10質量%以下であることが更に好ましく、0.8質量%以上7質量%以下であることが一層好ましい。
第2の塗布用組成物に含まれるジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤の割合は、該塗布用組成物から形成される紫外線遮蔽膜の紫外線遮蔽能を十分に高める観点から、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上20質量%以下であることが更に好ましく、0.8質量%以上10質量%以下であることが一層好ましい。
第2の塗布用組成物に含まれるバインダー樹脂及び溶媒の割合は、先に述べた塗布用組成物に含まれるバインダー樹脂及び溶媒の割合と同様とすることができる。
本実施例では、酸化亜鉛の芯材粒子を表面処理して表面処理酸化亜鉛粒子を製造し、該表面処理酸化亜鉛粒子を用いて塗布用組成物を調製した。
純度98%の硫酸亜鉛七水和物100gを純水12リットルに溶解して水溶液を得た。この操作とは別に、25%水酸化ナトリウム水溶液を1400g用意した。流量調整可能なポンプを用い、塩化亜鉛水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を連続して供給した。供給速度は40ml/分に設定した。この間、混合液を60℃に加温してpHを9-10に調整した。また、水酸化ナトリウム水溶液の供給中は、液を高速撹拌し続けた。これによって液中に、亜鉛を含む沈殿物を生成させた。
4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンを酢酸エチルに溶解して溶液となした。この溶液中に酸化亜鉛の芯材粒子を添加して混合した。次いで、溶液中から芯材粒子を引き上げた後、該芯材粒子をジメチルジメトキシシラン中に添加して混合した。次いで芯材粒子を引き上げた後、大気中で150℃に加熱して、ジメチルジメトキシシランの脱水縮合反応を行い、有機シロキサン化合物を生成させた。このようにして、酸化亜鉛の芯材粒子の表面を、ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤及び有機シロキサン化合物によって処理してなる表面処理酸化亜鉛粒子を得た。表面処理酸化亜鉛粒子に含まれるジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤の割合は、炭素原子換算で5.5%であり、有機シロキサン化合物の割合は、ケイ素原子換算で0.10%であった。
表面処理酸化亜鉛粒子と、ウレタン樹脂と、酢酸エチルとを混合して塗布用組成物を調製した。塗布用組成物における表面処理酸化亜鉛粒子の割合は14.0%、ウレタン樹脂の割合は5.7%、酢酸エチルの割合は69.0%とした。
本実施例では実施例1と同様に、酸化亜鉛の芯材粒子を表面処理して表面処理酸化亜鉛粒子を製造し、該表面処理酸化亜鉛粒子を用いて塗布用組成物を調製した。
純度99%の塩化亜鉛600gを純水12リットルに溶解して水溶液を得た。この操作とは別に、25%水酸化ナトリウム水溶液を1400g用意した。流量調整可能なポンプを用い、塩化亜鉛水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を連続して供給した。供給速度は40ml/分に設定した。この間、混合液を60℃に加温してpHを9-10に調整した。また、水酸化ナトリウム水溶液の供給中は、液を高速撹拌し続けた。これによって液中に、亜鉛を含む沈殿物を生成させた。
実施例1と同様とした。表面処理酸化亜鉛粒子に含まれるジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤の割合は、炭素原子換算で5.5%であり、有機シロキサン化合物の割合は、ケイ素原子換算で0.10%であった。
本実施例では実施例1と同様に、酸化亜鉛の芯材粒子を表面処理して表面処理酸化亜鉛粒子を製造し、該表面処理酸化亜鉛粒子を用いて塗布用組成物を調製した。
本実施例においては、実施例1で用いたジメチルジメトキシシランに代えてフェニルトリメトキシシランを用いた。これ以外は実施例1と同様にして、表面処理酸化亜鉛粒子及びそれを含む塗布用組成物を得た。表面処理酸化亜鉛粒子に含まれるジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤の割合は、炭素原子換算で5.5%であり、有機シロキサン化合物の割合は、ケイ素原子換算で0.10%であった。
本実施例では実施例2と同様に、酸化亜鉛の芯材粒子を表面処理して表面処理酸化亜鉛粒子を製造し、該表面処理酸化亜鉛粒子を用いて塗布用組成物を調製した。
本実施例においては、実施例2で用いたジメチルジメトキシシランに代えてフェニルトリメトキシシランを用いた。これ以外は実施例2と同様にして、表面処理酸化亜鉛粒子及びそれを含む塗布用組成物を得た。表面処理酸化亜鉛粒子に含まれるジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤の割合は、炭素原子換算で5.5%であり、有機シロキサン化合物の割合は、ケイ素原子換算で0.10%であった。
本実施例では、酸化亜鉛の芯材粒子を表面処理せずに使用して塗布用組成物を調製した。詳細には以下に示す成分を、以下に示す組成で混合して塗布用組成物を調製した。
・実施例1で合成した酸化亜鉛の芯材粒子 13%
・ジメチルジメトキシシラン 1%
・4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン 1%
・ウレタン樹脂 6%
・酢酸エチル 残部
本実施例では、酸化亜鉛の芯材粒子を表面処理せずに使用して塗布用組成物を調製した。詳細には以下に示す成分を、以下に示す組成で混合して塗布用組成物を調製した。
・実施例2で合成した酸化亜鉛の芯材粒子 13%
・ジメチルジメトキシシラン 1%
・4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン 1%
・ウレタン樹脂 6%
・酢酸エチル 残部
本実施例では、酸化亜鉛の芯材粒子を表面処理せずに使用して塗布用組成物を調製した。詳細には以下に示す成分を、以下に示す組成で混合して塗布用組成物を調製した。
・実施例1で合成した酸化亜鉛の芯材粒子 13%
・フェニルトリメトキシシラン 1%
・4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン 1%
・ウレタン樹脂 6%
・酢酸エチル 残部
本実施例では、酸化亜鉛の芯材粒子を表面処理せずに使用して塗布用組成物を調製した。詳細には以下に示す成分を、以下に示す組成で混合して塗布用組成物を調製した。
・実施例2で合成した酸化亜鉛の芯材粒子 13%
・フェニルトリメトキシシラン 1%
・4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン 1%
・ウレタン樹脂 6%
・酢酸エチル 残部
本比較例では実施例6と同様に、酸化亜鉛の芯材粒子を表面処理せずに使用して塗布用組成物を調製した。ただし、本比較例においては、実施例6で用いたジメチルジメトキシシランに代えてメチルトリメトキシシランを用いた。これ以外は実施例6と同様にして、表面処理酸化亜鉛粒子及びそれを含む塗布用組成物を得た。
本比較例では実施例6と同様に、酸化亜鉛の芯材粒子を表面処理せずに使用して塗布用組成物を調製した。ただし、本比較例においては、実施例6で用いたジメチルジメトキシシランに代えてメチルトリエトキシシランを用いた。これ以外は実施例6と同様にして、表面処理酸化亜鉛粒子及びそれを含む塗布用組成物を得た。
本比較例では実施例6と同様に、酸化亜鉛の芯材粒子を表面処理せずに使用して塗布用組成物を調製した。ただし、本比較例においては、実施例6で用いたジメチルジメトキシシランを用いなかった。これ以外は実施例6と同様にして、表面処理酸化亜鉛粒子及びそれを含む塗布用組成物を得た。
実施例及び比較例で合成した酸化亜鉛の芯材粒子について、相対スペクトル吸収強度、ハロゲンの含有量及び一次粒子径を上述の方法で測定した。それらの結果を以下の表1に示す。
また、実施例及び比較例で得られた塗布用組成物を、ポリエチレンテレフタレート製のフィルム(厚さ100μm、東レ株式会社製のT-60(商品名))に塗布した。塗布にはバーコーター(#7)を用いた。塗布量は3g/m2とした。このようにして得られた塗膜を大気下に80℃で乾燥した。乾燥時間は15分とした。これによって得られた膜についてヘイズをヘイズメータ(日本電色工業株式会社製、NDH-4000)によって測定した。測定は、膜の形成直後、及び膜の形成後、該膜を40℃、80%RHに保った恒温恒湿槽内に24時間保管後に行った。測定されたヘイズの値からヘイズ上昇率を算出した。その結果を表1に示す。ヘイズ上昇率の算出は以下に示す式を用いて行った。
ヘイズ上昇率(%)=(H2-H1)/H1×100
H1:膜の形成直後のヘイズ
H2:膜を形成して24時間(40℃、80%RH)経過後のヘイズ
Claims (12)
- 酸化亜鉛の芯材粒子の表面に、ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤及び有機シロキサン化合物を有してなり、
前記有機シロキサン化合物が、ジメチルジメトキシシラン及びフェニルトリメトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも一種のシラン化合物の脱水縮合生成物を含む、表面処理酸化亜鉛粒子。 - 前記ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤が、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンである請求項1に記載の表面処理酸化亜鉛粒子。
- 前記酸化亜鉛の芯材粒子がハロゲンを含有する、請求項1又は2に記載の表面処理酸化亜鉛粒子。
- ハロゲンの含有量が0.015質量%以上1.0質量%以下である、請求項3に記載の表面処理酸化亜鉛粒子。
- 84Kにおいて、電子スピン共鳴法で得られる4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルの2.0mmol/Lのトルエン溶液の吸収強度をI0とし、
84Kにおいて、電子スピン共鳴法で得られる前記酸化亜鉛の芯材粒子1g当たりのスペクトル吸収強度をIとしたとき、
I/I0で表される相対スペクトル吸収強度が0.001以上である、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の表面処理酸化亜鉛粒子。 - 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の表面処理酸化亜鉛粒子と、バインダー樹脂と、有機溶媒とを含む塗布用組成物。
- 酸化亜鉛粒子と、ジメチルジメトキシシラン及びフェニルトリメトキシシランからなる群より選ばれる少なくとも一種のシラン化合物と、ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤と、バインダー樹脂と、有機溶媒とを含む塗布用組成物。
- 前記ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤が、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンである請求項7に記載の塗布用組成物。
- 前記酸化亜鉛の芯材粒子がハロゲンを含有する、請求項7又は8に記載の塗布用組成物。
- ハロゲンの含有量が0.015質量%以上1.0質量%以下である、請求項9に記載の塗布用組成物。
- 84Kにおいて、電子スピン共鳴法で得られる4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルの2.0mmol/Lのトルエン溶液の吸収強度をI0とし、
84Kにおいて、電子スピン共鳴法で得られる前記酸化亜鉛の芯材粒子1g当たりのスペクトル吸収強度をIとしたとき、
I/I0で表される相対スペクトル吸収強度が0.001以上である、請求項7ないし10のいずれか一項に記載の塗布用組成物。 - 請求項7ないし11のいずれか一項に記載の塗布用組成物を基材の表面に塗布して塗膜を形成し、該塗膜から前記有機溶媒を除去する工程を有する紫外線遮蔽膜の製造方法。
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