JP7265586B2 - 電界紡糸ナノファイバーのハイブリッドフェルト - Google Patents

電界紡糸ナノファイバーのハイブリッドフェルト Download PDF

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Description

本発明は、概して、生物学的及び化学的分離並びに他の用途で使用するための組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、高透過度及び高容量を有する電界紡糸ナノファイバーから製作されたハイブリッドフェルトに関する。
マイクロファイバー及びナノファイバーの膜又は「フェルト」は、生物学的用途と工業用途の両方で様々に使用される。例えば、フェルトは、テキスタイルによる強化、防護衣、触媒媒体、農業用途、環境、医療及び軍事監視用のセンサー、バイオ医療用途(例えば、バイオ分離、組織工学及び創傷被覆材)、電子用途(例えば、コンデンサ、トランジスタ及びダイオード)、並びに宇宙用途(例えば、ソーラーセイル及びスペースミラー用支持構造)を提供するのに有用である。マイクロファイバー及びナノファイバーフェルトは、タンパク質、核酸、炭水化物、細菌、ウイルス、細胞等の生物由来物質を精製するのに特に好都合である。これらは、液状流体もガス状流体も流体の用途すべてにおいて有用である。
バイオ医薬品治療薬産業は、販売を認可されるバイオ医薬品がますます増加するにつれて拡大している。さらに、生物学に基づいた診断ツールを広範囲に使用して、様々な病態のハイスループットな高感度診断検査が行われる。治療薬についても診断薬についても、生物由来物質(例えば、組換えタンパク質、モノクローナル抗体、ウイルスワクチン及び核酸)を効率的に生成及び精製し、使用しなければならない。
従来精製方法としては、例えば、吸着/クロマトグラフィー、限外濾過、及び沈殿/結晶化のために充填されたミクロビーズを使用して、所望の生物由来物質を副生成物及び他の夾雑物から分離する方法が挙げられる。これらの従来分離方法では、生物学的用途に適した結果が得られるが、収率、処理時間及び純度の点から限界がある。これらの限界は、主に比較的大きい生体分子の拡散速度が遅く、それによって、精製される物質(すなわち、「標的物質」)が分離マトリクスの奥深くに存在する利用可能な結合部位に到達する能力が制限されるためである。さらに、これらの系は限定されたサイクル数でしか使用することができず、なかには一度しか使用することができないものもある。
イオン交換(IE)及び疎水相互作用(HI)吸着/クロマトグラフィーは、生物由来物質の分離に広く使用されている、より確固とした従来分離技術の2例である。これらは、一般的に特異的親和性に基づいた分離技術、例えば抗体に基づいた分離より全体的にみて効率が低いが、分離条件が慎重に選択された場合、多くの標的物質を望ましくない副生成物及び不純物から精製するのにやはり有用である。
親和性に基づいた吸着/クロマトグラフィーはIE及びHIより効率的なことがあるが、生物学的リガンド、例えばモノクローナル抗体及び核酸の生成及び精製が複雑であるため、一般的に製造するのが困難でかつ高価である。そのようなリガンドは環境条件(例えば、温度、pH、イオン強度等)に非常に高い感受性を示すことも多く、容易に劣化する恐れがあり、したがって吸着に必要とされる親和性相互作用が破壊される。さらに、結合相互作用を崩壊するには、生物活性、したがって標的物質の有用性及び/又は精製媒体の再使用可能性を低減させる恐れがある苛酷な条件を用いなければ困難な場合もある。
生物由来物質を精製するのに有用である膜が記載されている(例えば、Bioprocessing for Value-Added Products from Renewable Resources, Shang-Tian Yang, Ed., Chapter 7を参照のこと)。最近では、制御厚さを有するマット(すなわち、「ナノファイバーフェルト」)に構築されたナノメートル径のファイバーを使用する膜吸着/クロマトグラフィーは、バイオ分離における使用がかなり有望である(Todd J. Menkhaus, et al., "Chapter 3: Applications of Electrospun Nanofiber Membranes for Bioseparations", in Handbook of Membrane Research, Stephan V. Gorley, Ed.)。そのようなナノファイバーフェルトはマイクロファイバーフェルトよりも、孔径、親和性特性並びに他の性能基準を厳密に制御することができるので優れている。
先に記載された単一成分ナノファイバーフェルトは有望な結果を提供してきたが、フェルトの安定性並びに材料及び時間要件の点から望ましいはずのものより効率的でないことが多い。これは、標的物質が精製する出発材料中に低濃度でしか存在しておらず、夾雑物及び/又は合成の副生成物が豊富である場合に特に当てはまる。したがって、フェルトの安定性及び生物学的生成物の精製効率を改善する必要がある。以下に開示する実施形態によって、その必要性が満たされる。
以下の簡略化した概要によって、請求項に記載された主題のいくつかの態様が基本的に理解される。この概要は包括的な概説ではなく、主要な/重要な要素の特定を意図するものでも又はクレームに記載された主題の範囲の叙述を意図するものでもない。その目的は、いくつかの概念を簡略化した形態で以下に示されるさらに詳細な説明の序文として呈示することである。
一実施形態において、本発明は、複合ナノファイバー及び単一成分ナノファイバーから形成された電界紡糸ハイブリッドナノファイバーフェルトである。複合ナノファイバーは誘導体化セルロースと第1の非セルロース系ポリマーの混合物から電界紡糸することができ、単一成分ナノファイバーは第1の非セルロース系ポリマーと同じでも異なってもよい第2の非セルロース系ポリマーから電界紡糸することができる。通常、第1及び第2の非セルロース系ポリマーはナノファイバーフェルトから差次的に除去可能(differentially removable)である。これは、非セルロース系ポリマーの一方がもう一方より大幅に(例えば、除去可能性における差が10%以上、例えば20%又は50%)除去される(溶媒若しくは熱あるいは溶媒と熱との組合せを使用する)条件が存在することを意味する。
複合ナノファイバー中の誘導体化セルロースはセルロースの有機エステル、セルロースの無機エステル又はアルキルセルロースとすることができる。セルロースの有機エステルは酢酸セルロース、三酢酸セルロース又はプロピオン酸セルロース(cellulose proprionate)とすることができる。
誘導体化セルロースは、無機エステルである場合、硝酸セルロース及び硫酸セルロースとすることができ、アルキルセルロースである場合、ヒドロキシエチルセルロース又はカルボキシメチルセルロースとすることができる。
第1の非セルロース系ポリマーは、ビニルポリマー、ポリエーテル、アクリルポリマー、ポリエステル、ポリカーボナート、ポリウレタン、多糖(例えば、デンプン又はキチン)、ポリアミド(例えば、タンパク質又はゼラチン)、ポリラクチド、ポリグリコリド又はそれらのコポリマー等の合成又は天然ポリマーとすることができる。
一実施形態において、単一成分ナノファイバーを形成する第2の非セルロース系ポリマーは、ビニルポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル又はそれらのコポリマー等の合成ポリマーである。
別の実施形態において、本発明は、上記のナノファイバーフェルトを作製する電界紡糸方法であって、以下のステップで記載することができる方法である。a)複合ポリマースピンドープ及び単一成分ポリマースピンドープを別々に調製するステップ、b)スピンドープを異なる2つの紡糸口金に入れるステップ、c)各スピンドープに電極を用いて電圧をかけるステップ、d)紡糸口金からの複合及び単一成分ナノファイバーを別々に電界紡糸するステップ、及びe)固化したナノファイバーをランダムに重ね合わせた又は部分的に整列させたナノファイバーフェルトとして収集するステップ。
形成したままのナノファイバーフェルトは、複合ナノファイバー中の誘導体化セルロースを再生する(すなわち、変換してセルロースに戻す)ことによってさらに処理することができる。ナノファイバーフェルトを作製する方法は、複合ナノファイバーから非セルロース系第1のポリマーの一部又は全部を除去する追加のステップを含むこともある。別法として又はこれらのステップに加えて、ナノファイバーフェルトを作製する方法は、ナノファイバーフェルト中のポリマーナノファイバーの1つ以上を表面官能基化するステップを含むこともある。そのような表面官能基化は、流体から精製される特定の標的分子への特異的親和性を有する親和性リガンドの結合を伴うことがある。
もう1つの実施形態において、本発明は、生体分子を流体から精製する方法であって、以下のステップで記載することができる方法である。上に記載した方法に従ってナノファイバーフェルトを調製するステップ、b)その流体をナノファイバーフェルトに流すステップ、及び生体分子をナノファイバーフェルトから回収するステップ。
本発明の他の態様は、本明細書の他の箇所で見られる。
電界紡糸方法を示す概略図である。
本発明は全体として、例えば化学的及び生物学的分離に使用される、電界紡糸ナノファイバーから構成されたハイブリッドフェルトに関する。ハイブリッドナノファイバーフェルトは高い分離能を有し、複数のサイクルにわたって高流量及び高圧下で再現性を与える。そのようなナノファイバーフェルトは、複雑で相互に連結した三次元多孔質構造及び比較的大きな表面積を示す。
特に、ハイブリッドナノファイバーフェルトは1つを超えるポリマー型から構成される(すなわち、「ハイブリッド」フェルトである)。
本発明のフェルトは1つを超えるポリマー型から構成される(すなわち、「ハイブリッド」フェルトである)。これには、単一成分ナノファイバーと「複合」ナノファイバーとの組合せ(例えば、ナノファイバーは2つ以上の材料の混合物から作製される)から「ハイブリッド」フェルトに作製されたハイブリッドフェルトが含まれる。「複合」ナノファイバーについて、「主鎖ポリマー」は誘導体化セルロースであり、第1の非セルロース系ポリマーは、高温若しくは化学溶媒又は高温と化学溶媒の両方に曝露することによってファイバー/フェルトから除去することができる。いくつかの実施形態において、第1の非セルロース系ポリマーの除去は、同時に、誘導体化セルロースを変換してセルロースに戻す、すなわちセルロースが「再生される」。
本発明のフェルト中のナノファイバーは電界紡糸技法を用いて製造される。これは、押出ポリマー「スピンドープ」を静電場に曝露することによって、押出ポリマー「ジェット」が伸ばされてナノファイバーになることに基づいたファイバーの製造を指している。
本発明の上記その他の例示的な態様を以下にさらに詳細に説明する。
定義
以下の説明において、いくつかの用語が包括的に利用される。以下の非限定的な定義により、そのような用語が付与される例示的な範囲を含めて本明細書及び特許請求の範囲が明瞭にかつ矛盾なく理解される。
「1つの(one)」、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という用語は、本開示で使用される場合、別段の示唆のない限り「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味する。
本明細書では「発明」又は「本発明」という用語は限定を意図するものではなく、特定の発明のいずれか単一の実施形態を指すことを意図するものではないが、本明細書及び特許請求の範囲に記載される考え得る実施形態すべてを包含する。
本明細書では「透過度(permeance)」という用語は、フェルトの単位厚さ当たり、単位圧力損失当たりのナノファイバーフェルトを通過する流体の流束を指している。透過度は500L/(分・m2・105Pa)を超えると「高い」と考えられる。
「流束」という用語は、単位時間当たり、流れに曝露される面の単位面積当たりのナノファイバーフェルトを通過する流体の流速を指している。
本明細書では「能(capacity)」という用語は、単位吸着剤当たりの結合している生成物の量を指している。タンパク質吸着能はタンパク質100mg/吸着剤1gを超えると「高い」と考えられる。
本明細書では「膜」、「フェルト」及び「マット」という用語は同義的に使用可能であり、ファイバーの不織の又はランダムに重ね合わせた集合体を指している。
本明細書では「ナノファイバーフェルト」という用語は、実質的に平面状に配置されたナノファイバーの集合体を指しているが、強度、流束の向上等のために添加されたマイクロファイバーを含むこともある。
本明細書では「マイクロファイバー」という用語は、1.0マイクロメートル超の直径、一般的には1.0マイクロメートル以上1.0ミリメートル以下の直径を有するファイバーを指している。
本明細書では「ナノファイバー」という用語は、1.0マイクロメートル未満の直径、一般的には10ナノメートル以上1.0マイクロメートル以下、例えば200nm以上600nm以下の直径を有するファイバーを指している。
本明細書では「ハイブリッドナノファイバーフェルト」という用語は、単一成分ファイバー又は複合ファイバーと少なくとも1つの他の単一成分ファイバー又は少なくとも1つの他の複合ファイバーとを組み合わせた少なくとも2つのタイプのポリマーからなるファイバーの不織の又はランダムに重ね合わせた集合体を指している。
本明細書では「単一成分ナノファイバー」という用語は、単一ポリマーから生成されたナノファイバーを指している。
本明細書では「単一成分ナノファイバーフェルト」という用語は、多くの単一成分ナノファイバーを集積してファイバーの不織の又はランダムに重ね合わせた集合体にしたものを指している。
本明細書では「複合ナノファイバー」という用語は、少なくとも2つの異なるポリマーから生成されたナノファイバーである。
本明細書では「穏やかに上昇させた温度」という用語は、24℃以上110℃以下の温度を指している。
本明細書では「差次的に除去可能な(differentially removable)」という用語は、ハイブリッドナノファイバーフェルトが少なくとも2つの非セルロース系ポリマーからなる場合、非セルロース系ポリマーの一方がもう一方の非セルロース系ポリマーより大幅に(少なくとも10%の差、最大で100%対0%)除去されるように条件(高温及び/又は溶媒への曝露)を選択できることを意味する。
本明細書では「溶媒」という用語は、ナノファイバーフェルトの1つ以上の成分を溶解することができる、任意の単一成分の液体又は液体の混合物を指している。
本明細書では「スピンドープ」という用語は、電界紡糸プロセスで使用されるポリマー溶液を指している。
本明細書では「電界紡糸」という用語は、電気力(electric forces)をスピンドープに印加して、ナノファイバーを形成することを指している。
本明細書では「熱的に安定な」という用語は、ポリマーが50~110℃の温度範囲で崩壊しないことを意味する。
本明細書では「化学的に安定な」という用語は、ポリマーが水又はよく用いられる有機溶媒(例えば、アルコール及び炭化水素)及びそれらの混合物等の溶媒に可溶でないことを意味する。
誘導体化セルロース
セルロースは植物及び藻類の細胞壁に見られる構造成分である。また、いくつかの細菌によって分泌されるものでもある。したがって、セルロースは地球上で最も豊富な有機化合物である。セルロースは、β(1-4)グリコシド結合を介して直鎖ポリマーに結合しているD-グルコース単位に由来する。生物学的用途及び工業用途では、セルロースは植物、木材パルプ又は綿から精製され、紙、セロファン、レーヨン、バイオ燃料等多くの有用な物質に変換される。セルロースの有用性はその物理的性質に大いに起因し得る。セルロースは無臭、親水性、比較的不溶性であり、非特異的結合性が非常に低く、生分解性である。
セルロース系分離媒体には多くの利点があるが、残念なことに強酸及び塩基中において化学的に不安定である(すなわち、分解する)。さらに、セルロースの溶解には、N-メチルモルホリン-N-オキシド(NMMO)と水又は塩化リチウムとN,N-ジメチルアセトアミド等の特殊な溶媒混合物の使用が必要である。これによって、セルロース系媒体の使用が、FDAによって求められる厳しい清浄規制を満たすためにバイオ医薬品産業において必要とされることが多い苛酷な再生条件を必要としない操作に限定される。
セルロースファイバーを湿式紡糸によって従来通りに生成し、予めセルロースの誘導体を含む。というのは、セルロースを溶液又は溶融物から直接電界紡糸することは非常に困難であるからである。セルロースナノファイバーを調製するために、酢酸セルロース等のセルロース誘導体を電界紡糸するために様々な研究努力がささげられてきた。セルロースとは異なり、酢酸セルロースはアセトン等の多くのよく用いられる溶媒に可溶である。酢酸セルロースを電界紡糸してナノファイバーにすることができ、ナノファイバーを加水分解/脱アセチル化の紡糸後処理にかけることによって再生セルロースナノファイバーを生成することができる。
したがって、本発明の実施において、ハイブリッドナノファイバーフェルト中のポリマーの1つは誘導体化セルロースである。セルロースは、個々のグルコース単位の-OH基をより高い又は低い反応性、様々な電荷等を有する他の部分に変換する周知の方法を用いて容易に誘導体化することができる。そのような誘導体化セルロース種は溶媒に曝露された場合に向上した安定性を示し、また他の望ましい物理的性質を示す。多くのセルロース誘導体は市販品として容易に入手することができる。例示的な誘導体化セルロース種としては、例えば有機エステル(酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース)、無機エステル(硝酸セルロース、硫酸セルロース)、及びアルキルセルロース(ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース)が挙げられる。
本発明のハイブリッドナノファイバーフェルトは、通常、誘導体化セルロースが質量で過半数(すなわち、51%以上)、例えば60%超又は70%超を占める。
非セルロース系ポリマー
ハイブリッドナノファイバーフェルト中の質量で過半数が誘導体化セルロースであるが、追加の型のファイバーをフェルト内に組み込むと、フェルトの用途に必要とされる官能性(functionality)が付与される。したがって、フェルト内に追加のファイバーを有することは、機械的強度の増加をフェルトに付与し、複数の官能性をフェルトに組み込むことが可能になり、安定性及び本明細書の他の箇所で説明する他の態様を製造方法に提供することができるので望ましい。実際に、予想外なことに、ハイブリッドナノファイバーフェルト中に非セルロース系ポリマーがごく一部でさえ含まれていると、電界紡糸プロセスが改善され、また特にハイブリッドナノファイバーフェルトが複合ナノファイバーと単一成分ナノファイバーの両方からなる場合には、仕上げ製品を種々の生物学的用途及び工業用途に適合させることが可能になることも本発明者らによって発見された。
合成ポリマーナノファイバー(例えば、ビニルポリマー及びアクリルポリマーから生成されたもの)は、バイオ分離及び他の用途向けの広範囲の化学官能性(chemical functionality)を提示する。異なるポリマー単位を組み合わせることによって、得られるファイバーの界面化学を電界紡糸プロセスの一部分として制御することができ、生成されたナノファイバーに官能性が直接付与される。代替として、また従来のマイクロメートルスケールのファイバーと同様に、ポリマーナノファイバーの表面官能性を、(以下に述べる)様々なバイオ分離用途のための特定の官能性要件に合うようにするように電界紡糸後に化学修飾することができる。官能基化(functionalization)の化学的性質はポリマー技術において周知である。それらはまた、一般的にバイオプロセスに伴う苛酷な清浄管理に耐える。例示的な官能基化の化学的性質(functionalization chemistries)も本明細書の他の箇所でさらに詳細に述べる。
合成の炭素系吸着媒体及び濾過膜はセルロース系媒体よりはるかに化学的堅牢性であることが多く、したがって分離媒体を使用後から次に使用するまでの間に清浄するのに強酸及び塩基が必要とされる場合に使用することができる。さらに、セルロース系ポリマーと非セルロース系ポリマー(例えば、ポリアクリロニトリルとポリビニルアルコール)の両方を含むハイブリッドナノファイバーは、単一成分セルロース又は単一成分合成ポリマーナノファイバーと比較するとはるかに大きい比表面積及び高い機械的強度を示す。したがって、複合ナノファイバーがセルロースと非セルロース系ポリマーを両方含む場合、観察可能な相乗作用がある。
(1)ビニルポリマー、アクリルポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル及びポリカーボナート等の熱可塑性ホモポリマー、(2)ビニル-co-ビニルポリマー、アクリル-co-アクリルコポリマー及びビニル-coアクリルポリマー等の熱可塑性コポリマー、(3)トリブロックコポリマーエラストマー、ポリウレタンエラストマー及びエチレン-プロピレン-ジエン-エラストマー等の弾性ポリマー、(4)ポリイミドや芳香族ポリアミド等の高性能ポリマー、(5)ポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)やポリアラミド等の液晶ポリマー、(6)ポリエチレンテレフタラートやポリアクリロニトリル等のテキスタイルポリマー、(7)ポリアニリン等の導電性ポリマー、並びに(8)ポリカプロラクトン、ポリラクチド、キトサン及びポリグリコリドのような生体適合性ポリマー(すなわち「バイオポリマー」)を含めて、多くのポリマーを電界紡糸してナノファイバーにすることに成功した。以上に記載のように、ポリマーは上記に列挙されたポリマー種の2つ以上によるコポリマーとすることもできる。
ハイブリッドナノファイバーフェルト中に添加することができる追加のポリマーの例は、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタラート等)、並びにそれらのコポリマーからの単一成分ナノファイバーとして電界紡糸される。
複合ナノファイバー
本発明の一実施形態において、ハイブリッドナノファイバーフェルトは複合ナノファイバーを含む。これは、ナノファイバーを単一成分の誘導体化セルロース溶液から作製するために使用される電界紡糸プロセスが不安定であり、低収率、低効率(長時間及び多くの中断)になり、ただ1つの化学官能性しかもたない低品質ナノファイバー(広いサイズ分布、脆弱等)を生じる可能性があることにも一部起因する。したがって、複数の官能性を有する大量の高品質ナノファイバーフェルトを効率的に作製するためには、セルロース誘導体と電界紡糸プロセスを安定化する非セルロース系ポリマーを組み合わせる必要もあり得る。
本発明の複合ナノファイバーの非セルロース系ポリマーは、高温及び/又は溶媒に曝露することによってナノファイバーフェルトから除去可能な合成炭素系ポリマーからなることがある。ナノファイバーフェルトの溶媒の混合物又は高温と溶媒の組合せへの曝露は同時に又は順次行うことができる。電界紡糸プロセスにおいて非セルロース系ポリマーが存在すると、ナノファイバー安定性及び本明細書の他の箇所に説明される本方法の他の態様も向上する。
合成ポリマーナノファイバー(例えば、ビニルポリマー及びアクリルポリマーから生成されたもの)は、バイオ分離用途向けの広範囲の化学官能性を提示する。異なるポリマー単位を組み合わせることによって、得られるファイバーの界面化学を電界紡糸プロセスの一部分として制御することができ、生成されたナノファイバーに官能性が直接付与される。代替として、また従来のマイクロメートルスケールのファイバーと同様に、ポリマーナノファイバーの表面官能性を、(以下に述べる)様々なバイオ分離用途のための特定の官能性要件に合うようにするように電界紡糸後に化学修飾することができる。合成ポリマーナノファイバーは驚異的な範囲の潜在的な官能基化の化学的性質を提示して、多種多様な使用に役立つ。そのような官能基化の化学的性質はポリマー技術において周知である。それらはまた、一般的にバイオプロセスに伴う苛酷な清浄管理に耐える。
(1)ビニルポリマー、アクリルポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル及びポリカーボナート等の熱可塑性ホモポリマー、(2)ビニル-co-ビニルポリマー、アクリル-co-アクリルコポリマー及びビニル-coアクリルポリマー等の熱可塑性コポリマー、(3)トリブロックコポリマーエラストマー、ポリウレタンエラストマー及びエチレン-プロピレン-ジエン-エラストマー等の弾性ポリマー、(4)ポリイミドや芳香族ポリアミド等の高性能ポリマー、(5)ポリ-p-フェニレンテレフタルアミドやポリアラミド等の液晶ポリマー、(6)ポリエチレンテレフタラートやポリアクリロニトリル等のテキスタイルポリマー、(7)ポリアニリン等の導電性ポリマー、並びに(8)ポリカプロラクトン、ポリラクチド及びポリグリコリドのような生体適合性ポリマーを含めて、多くのポリマーを電界紡糸してナノファイバーにすることに成功した。
複合ナノファイバーを作製するための例示的な非セルロース系ポリマーとしては、例えばポリエチレンオキシド、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、多糖(キチン、デンプン等)、ポリスチレン、及びポリ(メタクリル酸メチル)が挙げられる。
非セルロース系ポリマーは、通常、複合ナノファイバー中に49質量%以下の量、例えば30質量%、25質量%等で存在している。
電界紡糸
電界紡糸は、電気力(electric force)だけを利用して、紡糸プロセスを推進し、ポリマーファイバーを溶液又は溶融物から生成する技法である。直径がマイクロメートルの範囲(約5~25μm)のファイバーを生成することができる従来の紡糸技法(例えば、溶液紡糸及び溶融紡糸)とは異なり、電界紡糸は直径がナノメートルの範囲のファイバーを生成することができる。電界紡糸ポリマーナノファイバーは、小さいファイバー径及び付随する大きい比表面積、高い高分子配向度及び得られる優れた機械的性質を含めて多くの驚くべき性質を有する。さらに、電界紡糸ポリマーナノファイバーで作製されたフェルトは、他の製作技法を使用して作製されたナノファイバーと比較すると制御された孔径を示す。合成方法で大部分が生成されたナノロッド、ナノチューブ及びナノワイヤとは異なり、電界紡糸ナノファイバーは「ナノ製造方法」によって生成され、それによって、応用品へ組み立てる及び処理するのが比較的容易な低コストナノファイバーになる。
一般に、ナノファイバーの形成は、電気力、表面張力及び粘弾性力を含む、電界紡糸プロセスに関与する主な3つの力の微妙で複雑なバランスである。これらの3つの力のうち、電気力は最大の表面積を有する生成物の形成を常に促進する。表面張力は最小の表面積を有する生成物の形成を常に促進する。粘弾性力は溶媒の蒸発によって大幅に変わる力であり、電界紡糸ジェット/フィラメントが小滴に破断するのを防止する主な理由である。電気力が優勢な場合、粘弾性力は電気力に反対に作用する。表面張力が優勢な場合、粘弾性力は表面張力に反対に作用する。
理論的には、最小のナノファイバーは2つの条件下で形成することができる。(1)電界紡糸ジェットによって運ばれる過剰の電荷密度が高い場合、及び(2)時間はジェット/フィラメントのキャピラリー破断を防止するのに十分に長く、粘弾性力はジェット/フィラメントのキャピラリー破断を防止するのに十分に高いが、電気力がジェットを効果的に延伸できるようにするのに十分に低い場合。条件(1)では、可溶な電解質をスピンドープに添加すること(例えば、NaCl等の強電解質をポリエチレンオキシド水溶液に添加すること)によって、ジェットによって運ばれる過剰の電荷密度が大幅に増加し、より小さい直径のナノファイバーが形成され得ることが見出された。しかし、この方法は、(a)流速の低下及びその結果として生じるナノファイバーの生産性の低下や(b)調製されたナノファイバーの電解質による汚染等のマイナス効果も生み出す。ナノファイバーの性質を犠牲にせずに、電解質を除去することは困難であり得る。
条件(2)では、ジェット固化をさらに理解する必要がある。一般に、ジェット固化は溶媒の揮発性と密接に関連している。溶媒の揮発性が高すぎる場合、電界紡糸ジェット/フィラメントを効果的に延伸する時間は短い。したがって、比較的大きな直径のファイバーが得られる。溶媒の揮発性が低すぎる場合、電界紡糸ジェット/フィラメントは延伸によって小滴に破断する可能性がある。したがって、ビーズ及び/又はビーズ状ファイバーが得られる。
電界紡糸プロセスは一般的に3つのステップを含む。(1)電界紡糸ジェット/フィラメントの開始及びジェットの直線軌道に沿った伸張;(2)ジェットの曲げ不安定性の成長及びさらなる伸び(それによってジェットがループ状及びスパイラル状の経路をたどりながら非常に細長くなることができる);並びに(3)溶媒蒸発又は冷却によるジェットの固化(それによってナノファイバーが形成される)。図1は電界紡糸のプロセスを概略的に示す(Hao Fong, In Polymeric Nanostructures and Their Applications, Volume 2: Applications: Chapter 11, Electrospun Polymer, Ceramic, Carbon/Graphite Nanofibers and Their Applications, Hari S. Nalwa Editor, American Scientific Publishers, Los Angeles, CA (ISBN: 1-58883-070-5), 2007, pp. 451 -474.
例示的な電界紡糸プロセスは、一般的に以下の通り記載することができる。
ステップ1:図1に示すように、スピンドープ(例えば、ポリマー溶液)を、紡糸口金(1)を備えた容器に入れ、通常5~40キロボルトの範囲の高圧DC(2)を、電極(例えば、銅線)(3)を通して溶液に印加する。電気接地したコレクター(4)を紡糸口金から一定の距離(ギャップ距離として知られている)(5)に置く。ギャップ距離は数センチメートルから1メートルにまで及ぶことがある。静電場が臨界値に達し、電気力が表面張力及び粘弾性力を圧倒した場合、ジェット/フィラメントは射出され、一定の距離(ジェット長さとして知られている)をまっすぐに移動する。
ステップ2:次いで、ジェットは曲がり始め、螺旋状ループを形成する。この現象は「曲げ(又はホイッピング)不安定性」と呼ばれる。典型的には、曲げ不安定性によって、ジェットの長さが非常に短時間(50ms以下)で10,000倍超伸びる。したがって、曲げ不安定性時における伸び速度は極めて高い(最高で1,000,000s-1)。この極めて速い伸び速度によって、高分子の鎖を効果的に延伸し、ナノファイバー軸に沿って密接に整列させることができる。
ステップ3:ジェットは、溶媒の蒸発によって又は溶融物が固液転移温度を下回るまで冷えた場合に固化する。固化時間が長くなるほど、ジェットを長くすることができる。固化時間は、多くの要因、例えば溶媒蒸気圧、溶媒拡散率、ジェットによって運ばれた体積電荷密度、及び印加された静電場の強度と関係している。
任意の電界紡糸後処理
収集されたナノファイバーを固化した後、ナノファイバーを特定の使用向けに「カスタマイズ」するために行うことができるいくつかのステップがある。例示的な追加のステップを以下に述べる。
a.第1の非セルロース系ポリマーの除去
場合によっては、複合ナノファイバー中に存在しているポリマーの1つ以上、特に非セルロース系ポリマーを、高熱及び/又は溶媒(複数可)を使用して除去することができる。第1の非セルロース系ポリマーを除去すると、表面積が追加され、残存しているセルロース系ポリマーの多孔性が改善される。これは、非セルロース系ポリマーを除去した後、セルロース系ポリマーには、以前は非セルロース系ポリマーが空間を占拠していた場所にサイズが制御された「細孔」が残されているからである。この追加の「空隙空間」はより大きな表面積を得られたナノファイバーフェルトに提供し、例えば分離のために吸着性結合能を高め、サイズに基づいた分離の選択性を改善し、追加の多孔性から処理量を改善することができる。非セルロース系ポリマーを除去すると、残存しているセルロース系ポリマーナノファイバー上に(複合ナノファイバー内に存在していた)複数の官能性が直接存在する機会が無くなる。
b.セルロース再生
「電界紡糸したままの(as electrospun)」ナノファイバーを調製した後、誘導体化セルロースを再生プロセスによってセルロースに変換することができる。再生セルロースは、以前に記載された純粋な天然のセルロースと同じ性質を有する。再生プロセスは、誘導体化セルロースを含有するナノファイバーを例えば強塩基(例えば、水酸化ナトリウム)又は他の溶媒に接触させることによって完了する。セルロースに変換するための再生反応後に、ナノファイバーを洗浄して、プロセス中に使用された過剰の溶媒を除去することができる。
c.表面官能基化(surface functionalization)
ハイブリッドナノファイバーフェルトを調製した後、ファイバー表面を官能基化することができる。官能基化の非限定的な例としては、弱酸又は強酸、及び塩基(例えば、カルボン酸及びアミン)等のイオン交換基、フェノール化合物等の疎水基、並びに抗体又は酵素基質等の親和性リガンドの添加が挙げられる。
バイオ分離で使用するには、本発明のハイブリッドナノファイバーフェルトが生物学的に不活性であると理想的であり、細胞や細胞残屑等の不溶性固体の非特異的結合、並びにタンパク質、糖、核酸、ウイルス、及び生物学的に生成された多くの系中に存在している他の可溶な成分との望ましくない相互作用を阻止するべきであるということを意味する。
さらに、バイオ分離で使用するためのナノファイバーフェルトはいくつかの品質を示すべきである。(1)比表面積の最大量を可能にする、小径ファイバー(この基準は吸着プロセスにとって最も重要であり、以下に述べる厳密にサイズに基づいた分離にとってあまり重要でない)、(2)吸着用途における流速分布さえも可能にし、サイズに基づいた分離のための厳しいサイズカットオフを可能にする、ファイバー間において十分に制御された狭い細孔径分布、(3)ファイバーは、潜在的に高い操作圧力及び苛酷な清浄条件に耐える優れた機械的及び化学安定性を有するべきであること、かつ(4)ファイバーは、明確に規定され、空間的に一貫したサイズ及び化学組成を有するべきであること。
タンパク質、核酸及びウイルス等の高分子生成物が主要な標的である吸着プロセスでは、ナノファイバーフェルトに伴う極めて大きい比表面積がバイオ吸着分離のための膨大な数の潜在的結合部位を提供する。ナノファイバーには驚異的な数の結合部位が含有されるように修飾を施すことができ、吸着はほとんどファイバーの表面のみで行われ、したがって結合部位は直ちに利用可能になり、比較的大きな標的分子を内部に拡散させる必要がない。伝統的な多孔質樹脂ビーズを使用する場合に、内部拡散はバイオ生成物の多くの吸着プロセスの容量をしばしば限定し得る。さらに、ナノファイバー膜を様々な多くの化学で作製することができるので、吸着リガンドは特定の分離の必要性(例えば、イオン性、疎水性及び親和性)を満たすように適合させることができる。場合によっては、リガンドを電界紡糸時において材料物質からナノファイバーに組み込むことができ、あるいはナノファイバーを生成した後に所望の吸着作用物を提供するように表面を化学修飾することができる。
分離操作の最も重要な特性のうちの2つは、(1)(密に充填された樹脂ビーズとは対照的に)流れがフェルトのミクロ孔及びマクロ孔を通過すること、及び(2)その吸着はファイバーの表面で行われ、内部拡散が必要でないことである。これらの要因によって、高流速での高い圧力損失の懸念が低減され、樹脂ビーズ内での吸着に必要とされる遅い粒子内拡散がなくなる。生体分子の現在流通している吸着フェルトへの結合能は大きさの点で樹脂ビーズと類似しているが、充填層より10倍を超える速い処理流速で操作できることが明らかになった。これらの要因によって、有益な生物学的生成物を精製するのに処理時間がはるかに速くなり、結合レベルが潜在的に高くなる。これは、特に大きい生体分子(250kDaより大きい分子量及び/又は20~300nmの流体力学的径)には極めて望ましい。というのは、大きい生体分子は樹脂ビーズの細孔内における厳しい物質移動限界のため充填層を使用して精製するのが極めて困難であるからである。
本発明のナノファイバーフェルトの表面は、イオン交換及び疎水相互作用化学的性質(hydrophobic interaction chemistry)が提供されるように修飾することができる。ポリスチレンファイバーの硫酸によるスルホン化等の単純な化学修飾を用いて、陽イオン交換媒体が生成された。グラフト反応、原子移動ラジカル重合(ATRP)、及びプラズマ処理を用いて、ポリプロピレン、二フッ化ポリビニリデン、ポリスルホン等を含む種々のポリマー基材からイオン交換表面官能基及び三次元のつなぎ鎖(tethers)が作り出された。フェニル基及びブチル基も疎水性相互作用リガンドとして導入することができる。しばしば、ポリマー膜の表面は、非特異的結合を防ぐように親水性の上昇に向けてさらに修飾しなければならない。これはポリ(エチレングリコール)及び他のポリオールを表面に導入することによって達成された。
ハイブリッドナノファイバーフェルトのイオン交換容量も、例えば弱陰イオン交換リガンドとしてジエチルアミノエチル(DEAE)基を又は弱陽イオン交換リガンドとしてカルボン酸を導入することによって向上させることができる。
d.抗菌物質による表面官能基化
本発明の一実施形態において、非セルロース系ポリマーはポリアクリロニトリル(PAN)である。PANの繊維膜は熱安定性、高い機械的性質、及び化学抵抗性のため濾過において広く採用された。電界紡糸PANナノファイバーフェルトは小さいファイバー径及び付随する大きい比表面積、並びにナノファイバー間で孔径を制御し、抗菌剤をナノスケールで組み込む容量等の性質のため特に重要であった。抗菌性の官能性を有するナノファイバーからなるフェルトは、精製水及び/又は濾過空気の品質並びに処理コストに対する関心のためますます注意を引いた。水及びエアフィルター(特に、暗く湿気のある状態で操作するもの)は環境微生物からの攻撃を常に受けやすい。フィルターで容易に捕捉することができる微生物(細菌等)は急速に増殖して、バイオフィルムが形成する。微生物がフィルター表面で増強すると、精製水及び/又は濾過空気の品質が損なわれる。さらに、それらの増強は水及び/又は空気の流れにも好ましくない影響を及ぼす。
さらに、バイオフィルムで汚染されたフィルターは清浄が困難である。通常、操作時において高圧が必要である。これによって、コストが上がる。報告された方法では、抗菌剤(N-ハラミンや銀イオン/ナノ粒子等)がスピンドープに直接組み込まれ、したがって抗菌剤の分子/粒子がナノファイバー全体に分布している(Xinbo Sun, Lifeng Zhang, Zhengbing Cao, Ying Deng, Li Liu, Hao Fong, and Yuyu Sun. "Electrospun Composite Nanofiber Fabrics Containing Uniformly Dispersed Antimicrobial Agents as an Innovative Type of Polymeric Materials with Superior Anti-Infective Efficacy". ACS Applied Materials and Interfaces, 2(4), 952-956, 2010)。
しかし、これは、主に抗菌剤の含有量が高いと電界紡糸プロセスに深刻な影響を与え、かつ/又は得られるナノファイバーの性質を損なう恐れがあるので、プロセスの問題につながることが多い。これらの問題に対する潜在的な解決策は、ナノファイバーが生成した後に抗菌性の官能性をナノファイバー表面に導入することである(Lifeng Zhang, Jie Luo, Todd J. Menkhaus, Hemanthram Varadaraju, Yuyu Sun, and Hao Fong. "Antimicrobial Nano-fibrous Membranes Developed from Electrospun Polyacrylonitrile Nanofibers". Journal of Membrane Science, 369, 499-505, 2011)。
PAN中のニトリル(-C≡N)基をアミドキシム(-C(NH2)=NOH)基に化学変換できることは公知である。アミドキシム基は銀イオンを含めて広範囲の金属イオンと配位結合することができ、配位銀イオンを銀ナノ粒子に還元することができる。銀イオンも銀ナノ粒子も高い抗菌効果を有する抗菌剤である。
e.他の例
充填層クロマトグラフィー及び他の分離技術に代わる有望な選択肢は、本発明のハイブリッドナノファイバーフェルトの選択的吸着膜としての使用である。このスタイルの吸着は、選択的吸着プロセスにおいて使用されるリガンドの支持体としてナノファイバーフェルトを利用する。
選択的吸着はハイブリッドナノファイバーフェルトの「活性」表面官能基化を伴い、標的物質の直接捕捉(吸着)が可能になる。そのような修飾は、ハイブリッドナノファイバーフェルトがそれらの表面に吸着部位を提供するように化学修飾することが比較的簡単な化学的部分を含む場合に単純化される。
ナノファイバー表面をイオン交換及び疎水相互作用官能性のために修飾するのとは違って、親和性リガンドのナノファイバー上への組み込みはより難しいことがある。本方法では、まず表面を、リガンドの固定化用のカップリング部位を作り出すように修飾すること、続いてリガンドを活性部位に結合させることが必要であることが多い。重要なことには、最初の表面改質もリガンドのカップリングも、処理中に浸出しないように頑強であるべきである。
ある場合には、表面へのグラフト化メタクリル酸の単純なカルボキシル基は、共有アミド結合を官能化カルボキシル基とタンパク質リガンド上の曝露されたアミン基との間に作り出すことによって活性カップリング部位として働くことができる。同様に、セルロースの酸化(適切に制御された場合)は、タンパク質(プロテインA及びプロテインGを含む)の第一級アミンへの共有結合を特にアミノ酸のリシンを介して形成することができるアルデヒド基をファイバー表面に提供することができる。別の場合には、一般的な親和性染料(例えば、いくつかのタンパク質を結合することができるCibacron Blue)を用いた表面官能基化をセルロースナノファイバーに直接カップリングさせることができる。
さらに精巧には、タンパク質リガンド固定化用の生物活性部位をナノフェルト構築時においてナノファイバーバックボーンに組み込むことができる。この一例はポリエチレングリコール(PEG)をポリD,Lラクチド(PDLLA)と共にブロック共重合体として使用することである。電界紡糸後に、グリコールをビオシチンとカップリングさせて(ストレプトアビジン融合タンパク質と親和性相互作用が可能である)、親和性ナノファイバーを作り出すことができる。同様に、ホモ二官能性カップリング剤を使用してタンパク質とカップリングさせるための表面アミノ化ナノファイバーを含有する、ポリカプロラクトン(PCL)及びポリ(D,L-乳酸-co-グリコール酸)-b-PEG-NH2(PLGA-b-PEF-NH2)ジブロックコポリマーを作り出すことができる。最後に、場合によっては、いくつかのナノファイバーマトリックスに伴う固有活性部位を使用することが可能である。例えば、コンカナバリン(Concanavalin)A(グリコール-タンパク質及び/又は他のグリコールコンジュゲートに伴うレクチンのための親和性タグ)のキトサン系ナノファイバーへのカップリングが成功した。
特異的リガンドをセルロース系化合物及び/又は合成ポリマーに結合させる他の技法は化学技術において公知である。
サイズに基づいた分離
吸着に対する直交精製機構として、サイズに基づいた分離も下流バイオプロセシングで日常的に使用される。深層濾過及び精密濾過は発酵ブロスの清澄化に使用される一般的な操作であり、細胞(約1~20μm)及び細胞残屑(0.1~1μm)がバイオリアクタースラリーから除去される。膜を用いたナノ濾過はウイルス排除及び/又は20~200nmのウイルス粒子の精製に利用され、限外濾過が通常タンパク質の濃縮及び精製に利用される。どの場合でも、分離媒体のいくつかの特性が望ましい。第1に、明確に定義されたサイズカットオフは綿密に制御された分離を得るのに望ましい。第2に、操作時間及び/又は膜面積要件を最小限に抑えるために過剰の圧力要件なしで高処理プロセシングを行うには、高多孔性材料が必要である。また第3に、中等度の圧力下における苛酷な清浄条件及び操作には化学的及び物理的堅牢性が望ましい。ナノファイバーフェルトは、機械的及び化学的に強靱なファイバーから大量に安価で生成することができ、ファイバーのうち(又は中空糸として)十分に制御された孔径を有するので、進行したサイズに基づいた分離媒体として驚くほど優れた機会を提示する。ポリマーナノファイバーは一般に最少量の非特異的結合を示すが、化学的堅牢性が炭素及びセラミックファイバーより低いことに悩まされることがある。セラミックファイバーは脆いことに悩まされ、付随する汚損と共にバイオマス/生体粒子の大量の非特異的吸着の可能性があるが、苛酷な再生条件を耐えることができる。
現在まで、サイズに基づいた分離用のナノファイバーメッシュは主として、深層濾過機構によるナノメートル及びマイクロメートルスケールの生体粒子(又は代用物)の単離に応用された。濾過マット内のナノファイバーの比表面積の増大によって、より曲がりくねった経路が提供され、高多孔性を維持しながら溶液から所望の粒子を捕獲するチャンスが増加する。ポリマー、炭素、及びセラミックナノファイバーはすべて評価され、すべて高流束を維持しながら所望の粒径を混合物から分離することができた。具体的には、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)及びナイロン6から作製された電界紡糸ナノファイバーは0.5から10μmの間のポリスチレン粒子を除去することができた。セラミックナノファイバーメッシュはおそらく最も広範に使用された。一例は、大きいチタナアートナノファイバーとより小さいベーマイトナノファイバーの組合せは、比較的低圧の駆動力(20kPa)で非常に高い流束(1000L/m2.h)が可能であり、60nmより大きい粒子を実質的にすべて溶液から除去できたことを示す。マイクロ及びナノ深層濾過の多くの用途も、表面への粒子の化学吸着に依拠し、そのナノファイバーは容易に製造することができて、所望の不純物を特異的に吸着することに留意されたい。
ナノフェルト構築/構成
直径がサブミクロンからナノメートルの範囲のファイバー(1~1000nm、「ナノファイバー」フェルトと呼ばれる)を利用することによって、潜在的な結合のための所与のベッドボリューム内の利用可能な表面積が2桁ほど大いに増加するであろう。ナノファイバーフェルトの孔径を制御することによって、圧力損失及び流体力学的流動特性も制御し、マイクロファイバーフェルトと同様に効率的にさせることができる。
さらに、フェルト中のファイバーの孔径が通常は密接な孔径分布(ナノファイバーの90%超が100nm~500nmの範囲に入る)を有し、チャネリングを防ぎ、濾過操作のため所望のサイズカットオフを超える種のみ保持する。最後に、ナノファイバーフェルトは通常、潜在的に大きい圧力損失(100psiまで)及び高い流速(30L/(分・m2)を超える流束値)の条件下で操作するのに十分なほど機械的に強靱であり、(しばしば強酸、塩基、及び有機溶媒を含む)潜在的に苛酷な清浄管理に壊れることなく耐えるのに十分なほど化学的に堅牢である。
一実施形態において、ナノファイバーフェルトは、複合ナノファイバー(1つの誘導体化セルロースポリマーに加えて1つの非セルロースポリマー)及び単一成分ナノファイバー(非セルロース系ポリマー)からなる。しかし、上述のように、本発明のハイブリッドナノフェルトはポリマーとナノファイバーの種々の組合せから形成することができる。これらの例としては、例えば下記が挙げられる。
・ フェルト中のナノファイバーはすべて、主鎖ポリマー及び第1の非セルロース系ポリマーの同時押出混合物から作製された単一種の複合ナノファイバーからなる、複合ナノファイバーフェルト。
・ 異なる少なくとも2つの単一成分ナノファイバーからなるナノファイバーフェルト。・ 少なくとも1つの単一成分ナノファイバー及び少なくとも1つの複合ナノファイバーからなるナノファイバーフェルト。
上記のナノフェルト構成以外に、本発明のナノフェルトは、安定性、強度を加え、フェルトの他の物理的特性を特定の用途における使用に適合させるためにマイクロファイバーも含むことができる。単一成分ナノファイバーフェルトと比較すると、本発明のハイブリッドナノファイバーフェルトは以下の例示的な改善された性質を示す。
Figure 0007265586000001
[実施例]
[実施例1]
先行技術酢酸セルロース単一成分ナノファイバーフェルトの調製
酢酸セルロース単一成分ナノファイバーフェルトをHandbook of Membrane Research, Chapter 3, Applications of Electrospun Nanofiber Membranes for Bioseparations, Todd J. Menkhaus, et al, Nova Science Publishers, Inc., edited by Stephan V. Gorleyに記載されるように作製した。酢酸セルロース(平均分子量約30,000g/mol)、NaOH、NaCl、アセトン、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)をSigma-Aldrich Co. (Milwaukee, WI)から購入した。純度98%の2-(ジエチルアミノ)エチルクロリド塩酸塩(DAECH)をAlfa Aesar Co. (Ward Hill, MA)から購入した。
アセトン/DMAc(質量比2/1)中の15%(質量分率)酢酸セルロースの溶液を室温で調製した。溶液を注射器に添加した。電界紡糸セットアップは高圧電源及び実験室で生産されたローラーを含むものであった。電界紡糸時に、正の高圧15kVを針に印加し、シリンジポンプを使用して流速1.0mL/時を維持した。酢酸セルロースナノファイバーを、ローラーを覆っている電気接地したアルミニウム箔上にランダムに重ね合わせたフェルトとして収集した。加熱灯を使用して、電界紡糸時にナノファイバーフェルトを乾燥し、電界紡糸後にフェルトを真空オーブン中でさらに乾燥した。総合的に見て、電界紡糸プロセスは比較的不安定であり、約2時間間隔で頻繁に中断した。収集された酢酸セルロースナノファイバーフェルトは厚さ約225μm及び単位面積当たりの質量約60g/m2であった。
電界紡糸したままの酢酸セルロースナノファイバーフェルトをまず0.05M NaOH水溶液に24時間浸漬することによって加水分解/脱アセチル化した。次いで、再生セルロースナノファイバーフェルトと呼ばれる生成物を蒸留水中で3回すすぎ、真空オーブン中、60℃で乾燥した。試料を15%(質量分率)DAECH水溶液に10分間浸漬し、続いて60℃で乾燥した。次いで、試料を0.5M NaOH水溶液に90℃で10分間浸漬した。試料を蒸留水中で3回すすぎ、60℃で乾燥して、DEAE陰イオン交換セルロースナノファイバーフェルトを得た。
[実施例2]
CA/PEO複合ナノファイバー及びPAN単一成分ナノファイバーのハイブリッドナノファイバーフェルトの調製
酢酸セルロース(CA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、クロロホルム(CHCl3)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、及びジエチルアミノエチルクロリドをSigma-Aldrich Co. (Milwaukee, WI)から購入した。
PAN及びCA+PEOのスピンドープを別々に調製した。簡潔に言えば、PANスピンドープの調製については、PANをDMFに溶解して、溶液を作製した。CA+PEOスピンドープについては、ジエチルアミノエチルクロリドを有するCHCl3/DMF中のCAプラスPEOを調製した。
電界紡糸プロセス時に、PAN又はCA+PEOのスピンドープを充填した2本の注射器を実験室で生産されたローラーの反対側に置いた。総合的に見て、電界紡糸プロセスは非常に安定であり、長時間(>48時間)持続可能であり、CA+PEO複合ナノファイバー及びPANナノファイバーからなる(自己支持している(self-supporting)又は医療用綿ガーゼに支持させた)電界紡糸ハイブリッドナノ繊維状マットを、ローラーを覆っている電気接地したアルミニウム箔上に収集した。
次いで、電界紡糸したままのCA+PEO+PANハイブリッドナノ繊維状マットを24時間アニールして、CA及びPEOの相分散を完了した。その後、マットをNaOH水溶液に24時間浸漬することによって加水分解/脱アセチル化した。再生セルロースナノファイバー及びPANナノファイバーからなる得られたハイブリッドナノ繊維状マットを蒸留水ですすぎ、乾燥した。
[実施例3]
CA/PVP複合ナノファイバー及びPAN単一成分ナノファイバーのハイブリッドナノファイバーフェルトの調製
酢酸セルロース(CA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、クロロホルム(CHCl3)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、及びジエチルアミノエチルクロリドをSigma-Aldrich Co. (Milwaukee, WI)から購入した。
PAN及びCA+PVPのスピンドープを別々に調製した。簡潔に言えば、PANスピンドープの調製については、PANをDMFに溶解して、溶液を作製した。CA+PEOスピンドープについては、ジエチルアミノエチルクロリドを有するCHCl3/DMF中のCAプラスPVPを調製した。
電界紡糸プロセス時に、PAN又はCA+PVPのスピンドープを投入した2本の注射器を実験室で生産されたローラーの反対側に置いた。総合的に見て、電界紡糸プロセスは非常に安定であり、長時間(>48時間)持続可能であり、CA+PVP複合ナノファイバー及びPANナノファイバーからなる(自己支持している又は医療用綿ガーゼに支持させた)電界紡糸ハイブリッドナノ繊維状マットを、ローラーを覆っている電気接地したアルミニウム箔上に収集した。
次いで、電界紡糸したままのCA+PVP+PANハイブリッドナノ繊維状マットを24時間アニールして、CA及びPVPの相分散を完了した。その後、マットをNaOH水溶液に24時間浸漬することによって加水分解/脱アセチル化した。このプロセスはまた、PVPをマットから溶解/除去する。再生セルロースナノファイバー及びPANナノファイバーからなる得られたハイブリッドナノ繊維状マットを蒸留水ですすぎ、乾燥した。
[実施例4]
CA/PEO複合ナノファイバー及びナイロン6単一成分ナノファイバーのハイブリッドナノファイバーフェルトの調製
酢酸セルロース(CA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、クロロホルム(CHCl3)、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、ナイロン6、及びジエチルアミノエチルクロリドをSigma-Aldrich Co. (Milwaukee, WI)から購入した。
ナイロン6及びCA+PEOのスピンドープを別々に調製した。簡潔に言えば、ナイロン6スピンドープの調製については、ポリマーをHFIPに溶解した。CA+PEOスピンドープについては、ジエチルアミノエチルクロリドを有するCHCl3/DMF中のCAプラスPEOを調製した。
電界紡糸プロセス時に、ナイロン6又はCA+PEOのスピンドープを投入した2本の注射器を実験室で生産されたローラーの反対側に置いた。総合的に見て、電界紡糸プロセスは非常に安定であり、長時間(>48時間)持続可能であり、CA+PEO複合ナノファイバー及びナイロン6ナノファイバーからなる(自立している又は医療用綿ガーゼに支持させた)電界紡糸ハイブリッドナノ繊維状マットを、ローラーを覆っている電気接地したアルミニウム箔上に収集した。
次いで、電界紡糸したままのCA+PEO+ナイロン6ハイブリッドナノ繊維状マットを24時間アニールして、CA及びPEOの相分散を完了した。その後、マットをNaOH水溶液に24時間浸漬することによって加水分解/脱アセチル化した。このプロセスはまた、PEOをマットから溶解/除去する。再生セルロースナノファイバー及びナイロン6ナノファイバーからなる得られたハイブリッドナノ繊維状マットを蒸留水ですすぎ、乾燥した。
[実施例5]
CA/PVP複合ナノファイバー及びナイロン6単一成分ナノファイバーのハイブリッドナノファイバーフェルトの調製
酢酸セルロース(CA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、クロロホルム(CHCl3)、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、ナイロン6、及びジエチルアミノエチルクロリドをSigma-Aldrich Co. (Milwaukee, WI)から購入した。
ナイロン6及びCA+PVPのスピンドープを別々に調製した。簡潔に言えば、ナイロン6スピンドープの調製については、ナイロン6をHFIPに溶解して、溶液を作製した。CA+PEOスピンドープについては、ジエチルアミノエチルクロリドを有するCHCl3/DMF中のCAプラスPVPを調製した。
電界紡糸プロセス時に、ナイロン6又はCA+PVPのスピンドープを投入した2本の注射器を実験室で生産されたローラーの反対側に置いた。総合的に見て、電界紡糸プロセスは非常に安定であり、長時間(>48時間)持続可能であり、CA+PVP複合ナノファイバー及びナイロン6ナノファイバーからなる(自己支持している又は医療用綿ガーゼに支持させた)電界紡糸ハイブリッドナノ繊維状マットを、ローラーを覆っている電気接地したアルミニウム箔上に収集した。
次いで、電界紡糸したままのCA+PVP+ナイロン6ハイブリッドナノ繊維状マットを24時間アニールして、CA及びPVPの相分散を完了した。その後、マットをNaOH水溶液に24時間浸漬することによって加水分解/脱アセチル化した。このプロセスはまた、PVPをマットから溶解/除去する。再生セルロースナノファイバー及びナイロン6ナノファイバーからなる得られたハイブリッドナノ繊維状マットを蒸留水ですすぎ、乾燥した。
[実施例6]
単一成分及びハイブリッドナノファイバーフェルトの性能評価
バッチ吸着、動的吸着、フロー分散及び透過性について、単一成分ナノファイバーマット(実施例1)及びハイブリッドナノファイバーマット(実施例2~6)を用いた研究を市販の再生セルロース吸着膜及び綿ボールと比較した。市販のセルロース膜及び綿ボールは、単一成分ナノファイバーフェルト及びハイブリッドナノファイバーフェルトと同じ電界紡糸後処理を、試験する前に受けた。
バッチ吸着実験を完了して、ラングミュア平衡吸着等温線を決定した。バッチ解析では、単一成分フェルト、ハイブリッドフェルト、市販のセルロース及び綿ボールをバッファーですすぎ、約1cm2の個々の小片に裁断し、秤量した。各媒体について、次いで、個々の小片(約100mg)の10個を15ミリリットル(mL)遠心管に入れた。標的タンパク質のストック溶液を既知質量の凍結乾燥タンパク質とバッファーを混合することによって2.0mg/mLで調製した。ストック溶液とバッファーの適切な組合せを、裁断されたフェルト小片、市販のセルロース膜、又は綿ボールを含有している各試験管に添加して、各試験管の最終液量を14mL及び初期のタンパク質濃度をタンパク質0.0mg/mLから2.0mg/mLの間とした。異なる初期のタンパク質濃度のそれぞれから1.0mLの液体試料を直ちに採取し、280nmでUV吸光度測定した。次いで、試料を1分当たり約40回転(rpm)で回転する転倒型ミキサーに入れた。最低24時間混合した後、各試料の液体を取り出し、Thermo Electron Corporation (Madison, WI)から購入したGenesys 10 UV分光光度計を用いて、タンパク質濃度をUV-280nm吸光度で決定した。差により、フェルトに吸着されたタンパク質を算出することができた。2.0mgのタンパク質/mL及びフェルトなしの試験管も調製して、試験管表面に吸着するタンパク質の可能性を評価した。試験管表面への吸着は見られなかった。同様に、対照を監視して、UV-280nm吸光度に寄与する可能性がある浸出した化学物質の可能性、及び非誘導体化膜へのタンパク質の非特異的結合(NaOHを用いた再生後)を評価した。試料のいずれについても、浸出も非特異的結合も観察されなかった。次いで、ラングミュア吸着等温線を作成し、モデリング定数(Qmax及びKd)を次式への最小二乗回帰適合によって決定した。
Figure 0007265586000002
式中、Qはタンパク質の膜への吸着平衡濃度(mg/g)であり、Qmaxは漸近最大飽和容量であり、Cはタンパク質の液相平衡濃度(mg/mL)であり、Kdは脱着定数(mg/mL)である。Qの高値及びKdの低値は、効率的な吸着プロセスを示す。吸着分析に続いて、液体をデカンテーションし、フェルトを14mLのバッファーで1時間混合すると共に洗浄した。洗浄液を除去した後、1M NaClを含むバッファーを試験管に添加し、1時間混合し、UV-280nm吸光度によるタンパク質濃度用の液体をサンプリングした。溶離百分率を、研究の吸着時期に見られた結合量に基づいて算出した。
以下の表2に示す結果から、電界紡糸ハイブリッドナノファイバーフェルトが最も高い容量を有し、その後に単一成分セルロースナノファイバーフェルトが続いたことが示された。両ナノファイバー系吸着材料はすべての平衡液相濃度において市販のセルロース系吸着媒体のいずれよりも大幅に高い飽和容量を有した。再生セルロースマイクロファイバーフェルト及び綿ボールは最も低い結合能を示した。独特なナノファイバーフェルト形態と組み合わせられた高い比表面積は、結合能の増大に起因する。どの場合でも、タンパク質の定量的な溶離を行うことができる。
Figure 0007265586000003
単一成分及びハイブリッドナノファイバーフェルト並びに市販の再生セルロース吸着膜を通過するバッファーの透過性を測定した。透過性値が高くなるほど、より高い処理量(より早い処理時間)及び/又はより低い圧力で操作する能力を示す。これらは両方とも、著しい利益を製造プロセスにもたらす。小スケールの「コイン」膜吸着ホルダーをすべての実験で利用した。そのユニットは約1.5cm2の有効濾過面積を可能にし、O型リングで密封して、漏れを防ぐ。最初に、膜ホルダーを定位置に置いているが、膜を存在させていないシステムだけの圧力損失を2.0mL/分~30.0mL/分に及ぶ流速で評価した。次いで、様々な流速で圧力損失を測定しながら、ナノファイバーフェルト又は市販の膜それぞれの層を連続的にユニットに加えた。各フェルト/膜について、1、3、5、7、及び9層を評価した。フェルト/膜を定位置で用いて測定された圧力損失から、システムの圧力損失を差し引いて、各流速におけるフェルト/膜の透過性を算出した。最小の5流速及び対応する圧力の読み取りを異なる層数のそれぞれについて行った。
以下の表3に示すように、ハイブリッドナノファイバーフェルトの積み重ねを通過するバッファーの透過性は単一成分フェルトより大幅に高く、単一成分ナノファイバーフェルトの透過性は対応する市販の再生セルロース試料の透過性より少なくとも5倍高い。また、比較のために、Sepharose Fast Flowの15cmの充填層は製造業者によって約7L/(分・m2・105Pa)の透過性を有することが報告され、官能基化された市販の膜と同様であったが、ナノフェルトよりはるかに低かった。
Figure 0007265586000004
システム分散分析をハイブリッド及び単一成分ナノファイバーフェルト及び市販の再生セルロース吸着膜について行って、定位置に存在する異なる層数を用いて軸混合の程度を決定した。より低い軸混合(よりよいフロー分散)が、吸着プロセス時におけるチャネリング及び早期漏出を最小限に抑えるには望ましい。プロセス全体を通して流速を1.0mL/分で維持した点以外は、透過性分析に使用されたのと同じ配置をシステム分散試験に使用した。フェルト/膜の積み重ねをバッファーで平衡化した後、バッファー中1%(体積含有率)のアセトンの溶液をシステムに添加した。UV-280nmにおけるオンライン吸光度をモニターし、得られた曲線を分析して、次式の最小二乗適合によりペクレ(Pe)数を算出した。
Figure 0007265586000005
式中、Coutは溶出液280nm吸光度であり、Cinは入口280nm吸光度であり、Vは添加されたアセトン溶液の体積であり、V50はCout/Cin=0.50の場合の体積である。より大きいPe値を使用して、プラグフロー(より低い軸混合及びよりよいフロー分散)により近似しているという望ましい性質を示した。
以下の表4に、様々な層数のハイブリッド及び単一成分ナノファイバーマット及び市販の再生セルロースフェルト/膜層について決定されたPe数の結果をまとめる。結果は、本研究で生成されたナノファイバーフェルトが類似の流体力学を有することを示している。
Figure 0007265586000006
動的漏出分析(Dynamic breakthrough analyses)を完了して、フロー条件下で操作される場合の吸着効率を評価した。低漏出%において容量が高くなるほど、より効率的な吸着剤材料になることを示す。動的漏出実験は、製造業者の勧めに従ってPall Mustangコインホルダーを使用して完了した。ナノファイバーフェルト又は市販の膜いずれかの9層を分析で使用した。実験はすべて、AKTA Purifier(GE Healthcare, Piscataway, NJ)で操作され、UV-280nm吸光度、pH、及び伝導率をオンライン測定し、Unicornソフトウェアバージョン5.01で制御した。画分は、システムによって自動的に0.60mLずつ(約2ベッドボリューム)収集した。最低10ベッドボリュームを平衡化に使用した。100%バッファーBへのステップ溶離(1.0M NaClを添加した平衡化バッファー)を各実験について使用した。すべての動的漏出試験では、流速を1.0mL/分の値で維持した。バッファー中1.5mg/mLで調製されたタンパク質貯蔵液を、漏出100%が実現されるまで投入した。次いで、フェルトを脱着前に最低10ベッドベッドボリュームのバッファーで洗浄した。すべての溶離液(投入、洗浄、及び溶離時におけるフロースルー)を収集し、秤量して、体積を決定し、タンパク質濃度をUV-280nm吸光度で分析した。次いで、タンパク質質量収支を、投入された体積及びプロセス時に収集したすべての画分に基づいて算出した。
任意の吸着システムの最終的な実施評価は動的漏出分析であり、平衡結合能、吸着速度論、及びシステム分散の組合せである。また、結合している分子が他の不純物から選択的に溶離される必要がないフロースルーモードの操作に、容量を直接適用することでもある。
以下の表5は、ナノファイバーフェルト及び市販の再生セルロース吸着膜で漏出10%におけるタンパク質の動的結合容量を示す。ハイブリッドナノファイバーマットは、動的容量が評価した他のいかなる吸着媒体と比較しても実質的に高かった。さらに、溶離の結果から、実験の不確実性の範囲内で、タンパク質の溶離は各吸着システムについて完全であり、全体の質量収支で損失は認められなかったことが示された。
Figure 0007265586000007
以上に記載の実施例は、当業者に組成物の実施形態の作製及び使用について完全な開示及び説明をもたらすために記載したものであって、本発明者らが本発明とみなすものの範囲を限定するものではない。(当業者に自明である、本発明を実施する)上記の様式の修正形態は以下の特許請求の範囲内であることが意図されている。本明細書に引用されたすべての刊行物、特許及び特許出願は、個々の刊行物、特許又は特許出願がそれぞれ、具体的にかつ個別に示されて参照により本明細書に組み込まれているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
本開示には以下の実施形態も開示される。
[実施形態1]
複合ナノファイバー及び単一成分ナノファイバーを含む電界紡糸ハイブリッドナノファイバーフェルトであって、複合ナノファイバーは誘導体化セルロース及び第1の非セルロース系ポリマーの混合物を含み、単一成分ナノファイバーは第2の非セルロース系ポリマーを含み、第1及び第2の非セルロース系ポリマーはナノファイバーフェルトから差次的に除去可能であるナノファイバーフェルト。
[実施形態2]
誘導体化セルロースが、セルロースの有機エステル、セルロースの無機エステル及びアルキルセルロースからなる群から選択される、実施形態1に記載のナノファイバーフェルト。
[実施形態3]
誘導体化セルロースが、酢酸セルロース、三酢酸セルロース及びプロピオン酸セルロースからなる群から選択されるセルロースの有機エステルを含む、実施形態2に記載のナノファイバーフェルト。
[実施形態4]
誘導体化セルロースが、硝酸セルロース及び硫酸セルロースからなる群から選択されるセルロースの無機エステルを含む、実施形態2に記載のナノファイバーフェルト。
[実施形態5]
誘導体化セルロースが、ヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択されるアルキルセルロースを含む、実施形態2に記載のナノファイバーフェルト。
[実施形態6]
第1の非セルロース系ポリマーが合成ポリマーを含む、実施形態1に記載のナノファイバーフェルト。
[実施形態7]
合成ポリマーが、ビニルポリマー、ポリエーテル、アクリルポリマー、ポリエステル、ポリカーボナート及びポリウレタンからなる群から選択される、実施形態6に記載のナノファイバーフェルト。
[実施形態8]
第1の非セルロース系ポリマーが天然ポリマーを含む、実施形態1に記載のナノファイバーフェルト。
[実施形態9]
天然ポリマーが、多糖、ポリアミド及びポリラクチドからなる群から選択される、実施形態8に記載のナノファイバーフェルト。
[実施形態10]
天然ポリマーが、デンプン及びキチンからなる群から選択される多糖である、実施形態9に記載のナノファイバーフェルト。
[実施形態11]
天然ポリマーが、タンパク質及びゼラチンからなる群から選択されるポリアミドである、実施形態9に記載のナノファイバーフェルト。
[実施形態12]
第2の非セルロース系ポリマーが合成ポリマーを含む、実施形態1に記載のナノファイバーフェルト。
[実施形態13]
合成ポリマーが、ビニルポリマー、ポリアミド、ポリイミド及びポリエステルからなる群から選択される、実施形態12に記載のナノファイバーフェルト。
[実施形態14]
第1の非セルロース系ポリマーがコポリマーである、実施形態6に記載のナノファイバーフェルト。
[実施形態15]
第2の非セルロース系ポリマーがコポリマーである、実施形態12に記載のナノファイバーフェルト。
[実施形態16]
実施形態1に記載のナノファイバーフェルトを作製する電界紡糸方法であって、
a)複合ポリマースピンドープ及び単一成分ポリマースピンドープを別々に調製するステップと、
b)スピンドープを異なる2つの紡糸口金に入れるステップ、
c)各スピンドープに電極を用いて電圧をかけるステップ、
d)紡糸口金からの複合及び単一成分ナノファイバーを別々に電界紡糸するステップ、及び
e)固化したナノファイバーを、ランダムに重ね合わせた又は部分的に整列させたナノファイバーフェルトとして収集するステップ
を含む方法。
[実施形態17]
誘導体化セルロースをセルロースに変換するステップをさらに含む、実施形態14に記載の方法。
[実施形態18]
ナノファイバーフェルト中の複合ナノファイバーから非セルロース系の第1のポリマーの少なくとも一部分を除去するステップをさらに含む、実施形態14に記載の方法。
[実施形態19]
ナノファイバーフェルト中のナノファイバーの1つ以上を表面官能基化するステップをさらに含む、実施形態14に記載の方法。
[実施形態20]
表面官能基化が親和性リガンドの結合を含む、実施形態17に記載の方法。
[実施形態21]
生体分子を流体から精製する方法であって、
a)実施形態14に記載のナノファイバーフェルトを調製するステップ、
b)流体をナノファイバーフェルトに流すステップ、及び
c)生体分子をナノファイバーフェルトから回収するステップ
を含む方法。

Claims (36)

  1. 化学的又は生物学的分離に使用するための、複合ナノファイバー及び単一成分ナノファイバーを含む電界紡糸ハイブリッドナノファイバーフェルトであって、複合ナノファイバーは誘導体化セルロース及び第1の非セルロース系ポリマーの混合物を含み、単一成分ナノファイバーは第2の非セルロース系ポリマーを含み、第1又は第2の非セルロース系ポリマーの少なくとも一部はナノファイバーフェルトから除去されている、ナノファイバーフェルト。
  2. 誘導体化セルロースが、セルロースの有機エステル、セルロースの無機エステル及びアルキルセルロースからなる群から選択される、請求項1に記載のナノファイバーフェルト。
  3. 誘導体化セルロースが、酢酸セルロース、三酢酸セルロース及びプロピオン酸セルロースからなる群から選択されるセルロースの有機エステルを含む、請求項2に記載のナノファイバーフェルト。
  4. 誘導体化セルロースが、硝酸セルロース及び硫酸セルロースからなる群から選択されるセルロースの無機エステルを含む、請求項2に記載のナノファイバーフェルト。
  5. 誘導体化セルロースが、ヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択されるアルキルセルロースを含む、請求項2に記載のナノファイバーフェルト。
  6. 第1の非セルロース系ポリマーが合成ポリマーを含む、請求項1に記載のナノファイバーフェルト。
  7. 合成ポリマーが、ビニルポリマー、ポリエーテル、アクリルポリマー、ポリエステル、ポリカーボナート及びポリウレタンからなる群から選択される、請求項6に記載のナノファイバーフェルト。
  8. 第1の非セルロース系ポリマーが天然ポリマーを含む、請求項1に記載のナノファイバーフェルト。
  9. 天然ポリマーが、多糖、ポリアミド及びポリラクチドからなる群から選択される、請求項8に記載のナノファイバーフェルト。
  10. 天然ポリマーが、デンプン及びキチンからなる群から選択される多糖である、請求項9に記載のナノファイバーフェルト。
  11. 天然ポリマーが、タンパク質及びゼラチンからなる群から選択されるポリアミドである、請求項9に記載のナノファイバーフェルト。
  12. 第2の非セルロース系ポリマーが合成ポリマーを含む、請求項1に記載のナノファイバーフェルト。
  13. 合成ポリマーが、ビニルポリマー、ポリアミド、ポリイミド及びポリエステルからなる群から選択される、請求項12に記載のナノファイバーフェルト。
  14. 第1又は第2の非セルロース系ポリマーがコポリマーである、請求項6に記載のナノファイバーフェルト。
  15. 複合ナノファイバーの誘導体化セルロースがセルロースに再生されている、請求項1に記載のナノファイバーフェルト。
  16. 単一成分ナノファイバーが表面官能基を含む、請求項1に記載のナノファイバーフェルト。
  17. 表面官能基が親和性リガンドを含む、請求項16に記載のナノファイバーフェルト。
  18. 親和性リガンドがプロテインA又はプロテインGを含む、請求項17に記載のナノファイバーフェルト。
  19. 表面官能基がイオン交換基を含む、請求項16に記載のナノファイバーフェルト。
  20. イオン交換基が強酸、弱酸、又は塩基を含む、請求項19に記載のナノファイバーフェルト。
  21. イオン交換基がジエチルアミノエチル又はカルボン酸を含む、請求項19に記載のナノファイバーフェルト。
  22. 表面官能基が水基を含む、請求項16に記載のナノファイバーフェルト。
  23. 水基がフェニル基、ブチル基、又はフェニル基とブチル基の両方を含む、請求項22に記載のナノファイバーフェルト。
  24. 化学的又は生物学的分離に使用するためのナノファイバーフェルトを作製する電界紡糸方法であって、
    a)複合ポリマースピンドープ及び単一成分ポリマースピンドープを別々に調製するステップであって、複合ポリマースピンドープは誘導体化セルロース及び第1の非セルロース系ポリマーの混合物を含み、単一成分ポリマースピンドープは第2の非セルロース系ポリマーを含む、ステップ、
    b)スピンドープを異なる2つの紡糸口金に入れるステップ、
    c)各スピンドープに電極を用いて電圧をかけるステップ、
    d)紡糸口金からの複合及び単一成分ナノファイバーを別々に電界紡糸するステップ、
    e)固化したナノファイバーを、ランダムに重ね合わせた又は部分的に整列させたナノファイバーフェルトとして収集するステップ、及び
    f)第1又は第2の非セルロース系ポリマーの少なくとも1つの少なくとも一部を、ナノファイバーフェルトから差次的に除去するステップ、
    を含む方法。
  25. 誘導体化セルロースをセルロースに変換するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
  26. ナノファイバーフェルト中のナノファイバーの1つ以上を表面官能基化するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
  27. 表面官能基化が親和性リガンドの結合を含む、請求項26に記載の方法。
  28. 親和性リガンドがプロテインA又はプロテインGを含む、請求項27に記載の方法。
  29. 表面官能基化がイオン交換基の結合を含む、請求項26に記載の方法。
  30. イオン交換基が強酸、弱酸、又は塩基を含む、請求項29に記載の方法。
  31. イオン交換基がジエチルアミノエチル又はカルボン酸を含む、請求項29に記載の方法。
  32. 表面官能基化が疎水基の結合を含む、請求項26に記載の方法。
  33. 水基がフェニル基、ブチル基、又はフェニル基とブチル基の両方を含む、請求項32に記載の方法。
  34. 生体分子を流体から精製する方法であって、
    a)複合ナノファイバー及び単一成分ナノファイバーを含む電界紡糸ハイブリッドナノファイバーフェルトを提供するステップであって、複合ナノファイバーは誘導体化セルロース及び第1の非セルロース系ポリマーの混合物を含み、単一成分ナノファイバーは第2の非セルロース系ポリマーを含み、第1又は第2の非セルロース系ポリマーの少なくとも1つはナノファイバーフェルトから差次的に除去される、ステップ、
    b)流体をナノファイバーフェルトに流すステップ、及び
    c)生体分子をナノファイバーフェルトから回収するステップ
    を含む方法。
  35. 生体分子が、タンパク質、核酸又はウイルスの1つ以上を含む、請求項34に記載の方法。
  36. ナノファイバーの1つ以上が親和性リガンド、イオン交換基、又は疎水基によって表面が官能化されている、請求項34に記載の方法。
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