JP7263414B2 - セラミックグリーンシート製造用離型フィルム - Google Patents
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Description
1. ポリエステルフィルムを基材とし、前記基材が少なくとも片面に無機粒子を実質的に含有していない表面層Aを有し、少なくとも片面の表面層Aの表面上に直接又は他の層を介して離型層が積層された離型フィルムであって、前記離型層上にセラミックグリーンシート成型した場合に、セラミックグリーンシートと離型フィルムとの剥離温度50℃、剥離角度30°での剥離力F(T50/A30)が60mN/mm以下となるセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
2. 離型層上のナノインデンテーション試験により、前記離型層における前記基材とは反対側の面から測定される被膜弾性率が、2.0GPa以上である上記第1に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
3. 離型層は、少なくとも離型剤及びバインダー成分を含有する塗膜が硬化されてなり、バインダー成分が離型層の固形分の85質量%以上である上記第1または第2に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
4. 離型剤がシリコーン骨格を含んでおり、離型剤の含有量が離型層固形分に対して15質量%以下である上記第3に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
5. 離型層の膜厚が0.01μm~1.5μmである上記第1~第4のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
6. バインダー成分が、メラミン系化合物、エポキシ系化合物、アクリレート系化合物の少なくとも一つの架橋体からなる上記第3~第5のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
7. ポリエステルフィルム基材の表面層Aとは反対側の表面層を形成している表面層Bが粒子を含有し、前記粒子がシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子であり、粒子の合計が表面層B中に5000~15000ppm含有されている上記第1~第6のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
8. 上記第1~第7のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを用いてセラミックグリーンシートを成型するセラミックグリーンシートの製造方法であって、成型されたセラミックグリーンシートが0.2μm~1.0μmの厚みを有するセラミックグリーンシートの製造方法。
9. 上記第8に記載のセラミックグリーンシートの製造方法を採用するセラミックコンデンサの製造方法。
本発明における基材として用いるポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、特に限定されず、離型フィルム用基材として通常一般に使用されているポリエステルをフィルム成形したものを使用することが出来るが、好ましくは、芳香族二塩基酸成分とジオール成分からなる結晶性の線状飽和ポリエステルであるのが良く、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート又はこれらの樹脂の構成成分を主成分とする共重合体がさらに好適であり、とりわけポリエチレンテレフタレートから形成されたポリエステルフィルムが特に好適である。ポリエチレンテレフタレートは、エチレンテレフタレートの繰り返し単位が好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上であり、他のジカルボン酸成分、ジオール成分が少量共重合されていてもよいが、コストの点から、テレフタル酸とエチレングリコールのみから製造されたものが好ましい。また、本発明のフィルムの効果を阻害しない範囲内で、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶化剤などを添加してもよい。ポリエステルフィルムは双方向の弾性率の高さ等の理由から二軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましい。
本発明における離型層は、少なくとも離型剤とバインダー成分を含む塗膜が硬化されてなることが好ましい。本発明における離型層は、架橋密度が高い方が好ましい。架橋密度を高めることで、弾性率も向上するため剥離時の変形を少なくすることで高温、低角度での剥離力を低くすることができる。また、離型層表面の耐溶剤性が高いことも高温、低角度での剥離力を低くする点で好ましい。離型層表面の耐溶剤性が高いことで、スラリー塗工時に溶剤による離型層表面の浸食などが防げる。溶剤浸食による離型層表面の変形を少なくすることで剥離力を低くすることができる。また、離型層中の離型剤は、バインダーと相互作用を保ったまま表面に適度に偏析していることも、高温、低角度での剥離力を低くする点で好ましい。
本発明における離型層に用いるメラミン系樹脂としては、一般的なものを使用でき特に限定されないが、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られ、1分子中にトリアジン環、及びメチロール基及び/又はアルコキシメチル基をそれぞれ1つ以上有していることが好ましい。具体的には、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロールメラミン誘導体に、低級アルコールとしてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等を脱水縮合反応させてエーテル化した化合物などが好ましい。メチロール化メラミン誘導体としては、例えばモノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンを挙げることができる。1種類を用いても2種類以上も用いても構わない。
本発明における離型層に用いるエポキシ基を含有する化合物の例としては、グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型のエポキシや、脂環式エポキシが挙げられるが、特に、グリシジルエーテル型のエポキシと脂環式エポキシが好ましく、反応性の観点から脂環式エポキシを用いることが最も好ましい。グリシジルエーテル型のエポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂に代表される芳香族グリシジルエーテル、水添A型グリシジルエーテルやブチルグリジシルエーテルに代表される脂肪族グリシジルエーテル等が挙げられる。脂環式エポキシとしては、エステル骨格、ジシクロペンタジエン骨格、フルオレン骨格、ε-カプロラクトン骨格等を導入したものが例として挙げられ、これ以外の骨格を有していても良い。
本発明における離型層にカチオン系硬化樹脂を用いる場合、カチオン重合開始剤を用いることが好ましい。カチオン重合開始剤には、例えば、アリールジアゾニウム塩、アリールヨウドニウム塩アリールハロニウム塩、アリールスルホニウム塩などのオニウム塩、鉄-アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール-アルミニウム錯体などの有機金属錯体などが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明における離型層に用いるアクリレート系化合物としては、紫外線硬化性樹脂である(メタ)アクリレート系化合物であることが好ましい。(メタ)アクリレート化合物は反応速度が非常に早いため、光重合開始剤の開裂と同時に瞬時にラジカル重合反応が進行し、架橋密度の高く、高弾性率な塗膜を形成することができる。離型層の弾性率を高めることで、剥離する際に離型層が変形し追随することがなくなり、セラミックグリーンシートにダメージを与えるおそれがないため好ましい。なお、ここで示す(メタ)アクリレート系化合物とは、分子内に有するメタアクリロイル基およびアクリロリル基が架橋点となってラジカル硬化反応が進行する化合物群を指す。
本発明における離型層にラジカル重合系樹脂を用いる場合は、光ラジカル重合開始剤を添加することが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4-ジエチルチオキサンソン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β-クロールアンスラキノン、(2,4,6-トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2-ベンゾチアゾール-N,N-ジエチルジチオカルバメート等が挙げられる。特に、表面硬化性に優れるとされる、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オンが好ましく、中でも2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オンが特に好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明における離型層に用いる離型剤(離型層の離型性を向上させる添加剤)としては、シリコーン系添加剤や、オレフィン系、長鎖アルキル系、フッ素系などの非シリコーン系添加剤などを用いることができるが、剥離性の観点からシリコーン系添加剤を用いることが好ましい。
一般に、積層セラミックコンデンサは、直方体状のセラミック素体を有する。セラミック素体の内部には、第1の内部電極と第2の内部電極とが厚み方向に沿って交互に設けられている。第1の内部電極は、セラミック素体の第1の端面に露出している。第1の端面の上には第1の外部電極が設けられている。第1の内部電極は、第1の端面において第1の外部電極と電気的に接続されている。第2の内部電極は、セラミック素体の第2の端面に露出している。第2の端面の上には第2の外部電極が設けられている。第2の内部電極は、第2の端面において第2の外部電極と電気的に接続されている。
非接触表面形状計測システム(VertScan R550H-M100)を用いて、下記の条件で測定した値である。領域表面平均粗さ(Sa)は、5回測定の平均値を採用し、最大突起高さ(P)は7回測定し最大値と最小値を除いた5回の最大値を使用した。
(測定条件)
・測定モード:WAVEモード
・対物レンズ:10倍
・0.5×Tubeレンズ
・測定面積 936μm×702μm
(解析条件)
・面補正: 4次補正
・補間処理: 完全補間
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを分散質とするビーズミルを用いて60分間分散し、セラミックスラリーを得た。
トルエン 43.75質量部
エタノール 43.75質量部
チタン酸バリウム(富士チタン社製 HPBT-1) 10.86質量部
ポリビニルブチラール(積水化学社製 エスレックBM-S) 1.09質量部
DOP(フタル酸ジオクチル) 0.55質量部
次いで得られた離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のスラリーが1.0μmの厚みになるように塗布し90℃で2分乾燥しセラミックグリーンシートを離型フィルム上に成型した。
前記方法で作成したセラミックグリーンシート付き離型フィルムを30mm幅、80mm長さにカットし、剥離力測定用サンプルとした。除電機(キーエンス社製、SJ-F020)を用いて除電した後に、剥離試験機(協和界面科学社製、VPA-3)を用いて、剥離角度90度または30度、剥離温度25℃または50℃、剥離速度10m/minで剥離した。剥離する向きとしては、剥離試験機付属のSUS板上に両面接着テープ(日東電工社製、No.535A)を貼りつけ、その上にセラミックグリーンシート側を両面テープと接着する形で離型フィルムを固定し、離型フィルム側を引っ張る形で剥離した。得られた測定値のうち、剥離距離20mm~70mmの剥離力の平均化を算出し、その値を剥離力とした。測定は計5回実施し、その剥離力の平均値の値を採用し、評価を行った。得られた剥離力の数値から下記の基準で判定した。
○:45.0mN/mm以下
△:45.0mN/mmより大きく、60.0mN/mm以下
×:60.0mN/mmより大きい
なお、本評価方法における剥離角度とは、剥離試験機に固定した評価サンプル軸に対し、離型フィルムを引っ張る方向の角度を指す。剥離温度とは、装置付属のヒーター式ステージシステムを用いて固定した離型フィルムを加熱した時の温度である。ハンディータイプ温度計(安立計器社製、HD-1400E)を用いて、測定サンプルが該当温度になったことを確認後、剥離を行っている。
25℃、50%RHの条件下で接触角計(協和界面科学社製、全自動接触角計 DM-701)を用いて、静置した離型フィルムの離型面上にジヨードメタン(液滴量0.9μL)の液滴を作成しその接触角を測定した。接触角は離型フィルム上に滴下後30秒後の接触角を採用し、5回測定した値の平均値を採用した。
測定に用いる離型フィルムを5cm×5cmの大きさに切り取り、液温25℃のトルエン30mLが入ったガラス製のトレーの中に、離型面を下にして5分間浸漬させた。浸漬した離型フィルムを取り出し離型面を上にして15分間風乾した後、25℃で1晩真空乾燥させた。こうして得たトルエン浸漬後の離型フィルムを前記接触角の測定方法と同様の方法にて測定した。
(初期接触角の評価)
○:45.0°≦ θ1
×:θ1< 45.0°
(接触角変化の評価)
◎:|θ1―θ2| < 1.0°
○:1.0°≦ |θ1―θ2| < 2.0°
△:2.0°≦ |θ1―θ2| ≦ 3.0°
×:|θ1―θ2| > 3.0°
実施例および比較例で得られた離型フィルムを10mm×10mmサイズに裁断し、次いで、アルミニウム製の台座に接着したガラス板上に、裁断した離型フィルムの基材裏面を2液系エポキシ接着剤で固定した。そして、微小硬度評価装置(エリオニクス社製,ENT-3100)を使用して、圧子の最大押し込み深さ50nm、23℃の雰囲気下にてナノインデンテーション試験を行い、上記離型フィルムの離型層の弾性率を測定した。結果を表2に示す。
エステル化反応装置として、攪拌装置、分縮器、原料仕込口及び生成物取出口を有する3段の完全混合槽よりなる連続エステル化反応装置を用いた。TPA(テレフタル酸)を2トン/時とし、EG(エチレングリコール)をTPA1モルに対して2モルとし、三酸化アンチモンを生成PETに対してSb原子が160ppmとなる量とし、これらのスラリーをエステル化反応装置の第1エステル化反応缶に連続供給し、常圧にて平均滞留時間4時間、255℃で反応させた。次いで、第1エステル化反応缶内の反応生成物を連続的に系外に取り出して第2エステル化反応缶に供給し、第2エステル化反応缶内に第1エステル化反応缶から留去されるEGを生成PETに対して8質量%供給し、さらに、生成PETに対してMg原子が65ppmとなる量の酢酸マグネシウム四水塩を含むEG溶液と、生成PETに対してP原子が40ppmのとなる量のTMPA(リン酸トリメチル)を含むEG溶液を添加し、常圧にて平均滞留時間1時間、260℃で反応させた。次いで、第2エステル化反応缶の反応生成物を連続的に系外に取り出して第3エステル化反応缶に供給し、高圧分散機(日本精機社製)を用いて39MPa(400kg/cm2)の圧力で平均処理回数5パスの分散処理をした平均粒径が0.9μmの多孔質コロイダルシリカ0.2質量%と、ポリアクリル酸のアンモニウム塩を炭酸カルシウムあたり1質量%付着させた平均粒径が0.6μmの合成炭酸カルシウム0.4質量%とを、それぞれ10%のEGスラリーとして添加しながら、常圧にて平均滞留時間0.5時間、260℃で反応させた。第3エステル化反応缶内で生成したエステル化反応生成物を3段の連続重縮合反応装置に連続的に供給して重縮合を行い、95%カット径が20μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターで濾過を行ってから、限外濾過を行って水中に押出し、冷却後にチップ状にカットして、固有粘度0.60dl/gのPETチップを得た(以後、PET(I)と略す)。PETチップ中の滑剤含有量は0.6質量%であった。
一方、上記PET(I)チップの製造において、炭酸カルシウム、シリカ等の粒子を全く含有しない固有粘度0.62dl/gのPETチップを得た(以後、PET(II)と略す。)。
これらのPETチップを乾燥後、285℃で溶融し、別個の溶融押出し機押出機により290℃で溶融し、95%カット径が15μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターと、95%カット径が15μmのステンレススチール粒子を焼結したフィルターの2段の濾過を行って、フィードブロック内で合流して、PET(I)を表面層B(反離型面側層)、PET(II)を表面層A(離型面側層)となるように積層し、シート状に45m/分のスピードで押出(キャスティング)し、静電密着法により30℃のキャスティングドラム上に静電密着・冷却させ、固有粘度が0.59dl/gの未延伸ポリエチレンテレフタレートシートを得た。層比率は各押出機の吐出量計算でPET(I)/(II)=60質量%/40質量%となるように調整した。次いで、この未延伸シートを赤外線ヒーターで加熱した後、ロール温度80℃でロール間のスピード差により縦方向に3.5倍延伸した。その後、テンターに導き、140℃で横方向に4.2倍の延伸を行なった。次いで、熱固定ゾーンにおいて、210℃で熱処理した。その後、横方向に170℃で2.3%の緩和処理をして、厚さ31μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムX1を得た。得られたフィルムX1の表面層AのSaは2nm、表面層BのSaは28nmであった。
バインダー成分としては、以下の材料を使用した。
(A-1)エポキシ系化合物(脂環式エポキシ化合物)
3',4'-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
(製品名:セロキサイド(登録商標)2021P、ダイセル社製、固形分100質量%)
(A-2)エポキシ系化合物(脂環式エポキシ化合物)
ブタンテトラカルボン酸 テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル修飾
ε-カプロラクトン
(製品名:エポリード(登録商標)GT401、ダイセル社製、固形分100質量%)
(A-3)エポキシ系化合物(脂環式エポキシ化合物)
多官能脂環式エポキシ基含有ポリマー
(製品名:EHPE(登録商標)3150、ダイセル社製、固形分100質量%)
(B-1) アクリレート系化合物(6官能)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(製品名:A-DPH、新中村化学工業社製、固形分100質量%)
(B-2) アクリレート系化合物(10官能)
10官能ウレタンアクリレート (製品名:紫光(登録商標)UV1700B、日本合成化学工業社製、固形分100質量%)
(C-1)メラミン系化合物
ヘキサメトキシメチルメラミン、固形分100%、東京化成工業社製、(製品名 N,N,N’,N’,N’’,N’’-ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン、分子量390)
(C-2)メラミン系化合物
ヘキサメトキシメチルメラミン、固形分100%、MTアクアポリマー社製、(製品名 サイメル303)
積層フィルムX1の表面層A上に以下組成の塗布液1をリバースグラビアを用いて乾燥後の離型層膜厚が0.8μmになるように塗工し、90℃で15秒乾燥後、70mJ/cm2の紫外線を紫外線照射機(ヘレウス社製、LC6B、Hバルブ)を用いて照射することでセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。得られた離型フィルムに上記方法にてセラミックスラリーを塗工し剥離力を評価したところ、良好な評価結果が得られた。
(塗布液1)
メチルエチルケトン 43.70質量部
トルエン 43.70質量部
バインダー成分(A-1) 9.00質量部
(製品名:セロキサイド(登録商標)2021P、ダイセル社製、固形分100質量%))
離型剤 1.00質量部
(脂環式エポキシ基含有シリコーン樹脂、UV POLY215、固形分100%、荒川化学工業社製)
光カチオン開始剤 2.60質量部
(UV CATA211、有効成分19質量%、荒川化学工業社製)
下記に示した組成である塗布液2に変更した以外は、実施例1と同様にしてセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(塗布液2)
メチルエチルケトン 43.70質量部
トルエン 43.70質量部
バインダー成分(A-2) 9.00質量部
(製品名:エポリード(登録商標)GT401、ダイセル社製、固形分100%)
離型剤 1.00質量部
(脂環式エポキシ基含有シリコーン樹脂、UV POLY215、固形分100%、荒川化学工業社製)
光カチオン開始剤 2.60%質量部
(UV CATA211、有効成分19質量%、荒川化学工業社製)
下記に示した組成である塗布液3に変更した以外は、実施例1と同様にしてセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(塗布液3)
メチルエチルケトン 44.50質量部
トルエン 44.50質量部
バインダー成分(A-3) 9.00質量部
((製品名:EHPE(登録商標)3150、ダイセル社製、固形分100質量%)
離型剤 1.00質量部
(脂環式エポキシ基含有シリコーン樹脂、UV POLY215、固形分100%、荒川化学工業社製)
光カチオン開始剤 1.00%質量部
(ヘキサフルオロアンチモネートトリアリールスルフォニウム塩)
(製品名:CPI(登録商標)101A、有効成分50質量%、サンアプロ社製)
塗布液1を塗布液4に変更した以外は、実施例1と同様にしてセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(塗布液4)
イソプロピルアルコール 59.40質量部
メチルエチルケトン 19.80質量部
バインダー成分(B-1) 19.00質量部
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 製品名:A-DPH、新中村化学工業社製、固形分100質量%)
(メタ)アクリロイル基含有共重合シリコーンアクリルポリマー 1.00質量部
(製品名:GL-04R、共栄社化学社製、固形分20%)
α-ヒドロキシアルキルフェノン 0.80質量部
(製品名:IRGACURE127、BASF社製、有効成分100%)
塗布液1を塗布液5に変更した以外は、実施例1と同様にしてセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(塗布液5)
イソプロピルアルコール 59.40質量部
メチルエチルケトン 19.80質量部
バインダー成分(B-2) 19.00質量部
(10官能ウレタンアクリレートアクリレート 製品名:紫光(登録商標)UV1700B、日本合成化学工業社製、固形分100質量%)
(メタ)アクリロイル基含有共重合シリコーンアクリルポリマー 1.00質量部
(製品名:GL-04R、共栄社化学社製、固形分20%)
α-ヒドロキシアルキルフェノン 0.80質量部
(製品名:IRGACURE127、BASF社製、有効成分100%)
積層フィルムX1の表面層A上に以下組成の塗布液6をリバースグラビアを用いて乾燥後の離型層膜厚が0.6μmになるように塗工し、140℃で15秒乾燥することでセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(塗布液6)
メチルエチルケトン 44.50質量部
トルエン 44.50質量部
バインダー(C-1) 10.00質量部
(ヘキサメトキシメチルメラミン、固形分100%、東京化成工業社製、商品名 N,N,N’,N’,N’’,N’’-ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン、分子量390))
離型剤 0.50質量部
(片末端カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、X22-3710、固形分100%、信越化学工業社製、ジメチルシロキサンとカルボキシル基の間にアルキル基が介在)
酸触媒(p-トルエンスルホン酸) 0.50質量部
実施例6の塗布液6の離型剤(X22-3710)の添加量を0.20質量部に変更した以外は実施例6と同様にしてセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
実施例6の塗布液6のヘキサメトキシメチルメラミンの添加量を9.0質量部、離型剤(X22-3710)の添加量を1.0質量部に変更した以外は実施例6と同様にしてセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
実施例6の塗布液6のヘキサメトキシメチルメラミンの添加量を8.0質量部、離型剤(X22-3710)の添加量を2.0質量部に変更した以外は実施例6と同様にしてセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
実施例6の離型層の膜厚を表2に記載の膜厚に変更した以外は実施例6と同様にしてセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
塗布液1を塗布液7に変更した以外は、実施例1と同様にしてセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。比較例1ではエポキシ系バインダー成分と相互作用を示さないポリエーテル変性シリコーンを使用したため、離型層表面の耐溶剤性が悪くなり、低角度、高温での剥離力が顕著に高くなった。
(塗布液7)
メチルエチルケトン 43.70質量部
トルエン 43.70質量部
バインダー成分(A-1) 9.00質量部
(製品名:セロキサイド(登録商標)2021P、ダイセル社製、固形分100質量%))
離型剤 1.00質量部
(ポリエーテル変性シリコーン樹脂、BYK-302、固形分100%、荒川化学工業社製)
光カチオン開始剤 2.60質量部
(UV CATA211、有効成分19質量%、荒川化学工業社製)
塗布液1を塗布液8に変更した以外は、実施例1と同様にしてセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。比較例2ではポリジメチルシロキサンが主鎖である離型剤を使用していることと、ラジカル重合特有の酸素による表面硬化阻害が発生するため、離型層表面付近の耐溶剤性が悪くなった。その結果、離型層の弾性率は高いが、離型層表面の耐溶剤性が悪いため、低角度、高温での剥離力が顕著に高くなった。
(塗布液8)
イソプロピルアルコール 60.00質量部
メチルエチルケトン 20.00質量部
バインダー成分(B-1) 19.00質量部
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 製品名:A-DPH、新中村化学工業社製、固形分100質量%)
アクリロイル基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 0.20質量部
(製品名:BYK-UV3500、ビッグケミー・ジャパン社製、固形分100%)
α-ヒドロキシアルキルフェノン 0.80質量部
(製品名:IRGACURE127、BASF社製、有効成分100%)
塗布液6を以下塗布液9に変更した以外は、実施例6と同様にしてセラミックシート製造用離型フィルムを得た。離型剤を多く添加し、メラミン樹脂が離型層の70質量%しかない比較例3では離型層の弾性率が低く、離型層表面の耐溶剤性も悪いため、セラミックグリーンシート剥離力が大きくなった。特に低角度、高温での剥離力が顕著に高くなった。
(塗布液9)
メチルエチルケトン 44.80質量部
トルエン 44.80質量部
バインダー(C-1) 7.00質量部
(ヘキサメトキシメチルメラミン、固形分100%、東京化成工業社製)
離型剤 3.00質量部
(片末端カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、X22-3710、固形分100%、信越化学工業社製)
酸触媒(p-トルエンスルホン酸) 0.40質量部
塗布液1を以下塗布液10に変更した以外は、実施例1と同様にしてセラミックシート製造用離型フィルムを得た。離型剤のヒドロキシル基とメラミン系樹脂の相互作用が強く、離型剤が表面に出ていないためか、離型層の弾性率が高く離型層表面の耐溶剤性も高いものの、剥離力が高くなった。
(塗布液10)
メチルエチルケトン 44.75質量部
トルエン 44.75質量部
バインダー(C-2) 9.00質量部
(ヘキサメトキシメチルメラミン、固形分100%、MTアクアポリマー社製、商品名 サイメル303)
離型剤 1.00質量部
(ポリエステル変性OH基含有ポリジメチルシロキサン、BYK-370、固形分25%、ビックケミージャパン社製)
酸触媒(パラトルエンスルホン酸) 0.50質量部
2 : 両面粘着テープ
3 : セラミックグリーンシート
4 : 離型層
5 : ポリエステルフィルム基材
6 : 引っ張り方向
7 : 剥離角度
8 : 離型フィルム
9 : セラミックグリーンシート付き離型フィルム
Claims (10)
- ポリエステルフィルムを基材とし、前記基材が表面層Aを有し、
少なくとも片面の表面層Aの表面上に直接又は他の層を介して離型層が積層された離型フィルムであって、
離型層が少なくとも離型剤及びバインダー成分を含有しており、バインダー成分が離型層の固形分の85質量%以上であり
前記離型層上にセラミックグリーンシートを成型した場合に、セラミックグリーンシートと離型フィルムとの剥離温度50℃、剥離角度30°での剥離力F(T50/A30)が60mN/mm以下であり、
前記ポリエステルフィルム基材は、前記表面層Aとは反対側の面に表面層Bを有し、
表面層Aの領域表面平均粗さ(Sa)が、表面層Bの領域表面平均粗さ(Sa)よりも小さく、
前記離型層におけるバインダー成分が、メラミン系化合物、エポキシ系化合物、アクリレート系化合物の少なくとも一つの架橋体を含み、
前記バインダー成分がエポキシ系化合物を含む場合、前記バインダー成分は、更に、光カチオン重合開始剤を含み、
前記離型剤は、シリコーン骨格を含んでおり、
更に、エポキシ基、アクリロイル基及びカルボキシル基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有し、
前記離型剤の含有量が離型層固形分に対して、0.1質量%以上15質量%以下であり、
前記剥離力Fの測定に用いるセラミックグリーンシートは、
トルエン、エタノール及びチタン酸バリウムを含む組成物から形成されたセラミックグリーンシートであり、
前記組成物は、トルエンとエタノールを同量で含む、
セラミックグリーンシート製造用離型フィルム。 - 離型層上のナノインデンテーション試験により、前記離型層における前記基材とは反対側の面から測定される被膜弾性率が、2.0GPa以上である請求項1に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- 表面層Aの領域表面平均粗さ(Sa)は、0.1nm以上7nm以下であり、表面層Bのフィルムの領域表面平均粗さ(Sa)は、1~40nmである、請求項1または2に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- 剥離力Fの測定に用いるセラミックグリーンシートを形成する前記組成物は、ポリビニルブチラールを含む、請求項3に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- 離型層の膜厚が0.01μm~1.5μmである請求項1~4のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- 前記剥離力Fの測定に用いるセラミックグリーンシートは、更に、チタン酸バリウムを含む組成物から形成されたセラミックグリーンシートである、
請求項1~5のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。 - ポリエステルフィルム基材の表面層Aとは反対側の表面層を形成している表面層Bが粒子を含有し、前記粒子がシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子であり、粒子の合計が表面層B中に5000~15000ppm含有されている請求項1~6のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
- 表面層Bは、少なくとも2種類の粒子を含み、該粒子は、平均粒径の異なる粒子である、
請求項1~7のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。 - 請求項1~8のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを用いてセラミックグリーンシートを成型するセラミックグリーンシートの製造方法であって、成型されたセラミックグリーンシートが0.2μm~1.0μmの厚みを有するセラミックグリーンシートの製造方法。
- 請求項9に記載のセラミックグリーンシートの製造方法を採用するセラミックコンデンサの製造方法。
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