JP7257235B2 - 射出成形方法と、その方法を使用する射出成形機、及び、それらに用いられる射出成形用スクリュー - Google Patents

射出成形方法と、その方法を使用する射出成形機、及び、それらに用いられる射出成形用スクリュー Download PDF

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Description

本願発明は、新規な混練・溶融モデルによる射出成形方法と、その方法を使用する新規な構成の射出成形機、及びそれらに用いられる新規な構成の射出成形用スクリューに関する。
特に、本願発明は、可塑化プロセスの早い段階で、供給された樹脂材料の一部分を螺旋状スクリュー溝内の固相部或いは液相部の混練帯域に導入して固液両相の強制的な混練・溶融状態を経ることにより、供給樹脂材料の固液両相を強制的に混練して、固相部の溶融を促進する射出成形方法に関する。更には、その方法に使用される射出成形機、及びそれらに用いられる新規な構成の射出成形用スクリューに関する。本願発明において、供給された樹脂材料の一部分とは、スクリュー溝内の溶融状態にある液相部(メルトプール MP:Melt Pool)の一部分、或いは、未溶融状態にある固相部(ソリッドベッド SB:Solid Bed)の一部分である。
本願発明は、具体的には、供給された樹脂ペレットをスクリューの回転により混練して溶融する際に、可塑化プロセスの早い段階での新規な固液両相の混練・溶融モデルによる射出成形方法に関する。ここで、新規な固液両相の混練・溶融モデルとは、スクリューの回転による主流としての溶融樹脂流れに対して、供給された樹脂材料の一部分を支流として形成するものである。つまり、螺旋状のスクリュー溝内の未溶融状態にある固相部(SB)の固相混練帯域内に、液相部(MP)の一部分を導入するか、或いは、より先行する螺旋状スクリュー溝内の溶融状態にある液相部(MP)の液相混練帯域内に、固相部(SB)の一部分を導入するかして、固相及び液相の両相を強制的に混練する固液相混練帯域を構成するものである。これにより、可塑化プロセスの早期の段階で、スクリュー溝内の未溶融状態にある固相部分(SB)を溶融状態にある液相部分(MP)と強制的に混練して固相部の溶融を促進する射出成形方法の提供が可能となる。また、その新規な方法に使用される射出成形機、及びそれらに用いられる新規な構成の射出成形用スクリューを提供する。
本願発明は、更に一つの実施態様として具体的には、スクリューの回転により供給された樹脂ペレットを混練・溶融して螺旋状スクリュー溝内の主流としての溶融樹脂流れを形成する際に、可塑化プロセスの早い段階で、螺旋状スクリュー溝間のフライト部の一部に、主流としての樹脂流れに対して支流を形成するように支流形成開口部(切欠き部)を設けるものである。それにより、スクリュー溝内の未溶融状態にある固相部のソリッドベッド(SB)に対して、それに先行するスクリュー溝内の溶融状態にある液相部のメルトプール(MP)の一部分を導入して、固液両相を強制的に混練するように構成したものである。このように、固液相混練帯域を経ることにより、未溶融状態の樹脂材料を可塑化プロセスの早期の段階で、強制的に液相部の一部分と混練して固相部の溶融を促進する射出成形方法と、その方法に使用される射出成形機、及びそれらに用いられる射出成形用スクリューを提供することができる。
また、本願発明は、射出成形する樹脂の相違や射出条件の相違によっては、上記とは反対に、他の実施態様として、射出成形時に供給された樹脂ペレットをスクリューにより混練・溶融して螺旋状スクリュー溝内の主流としての溶融樹脂流れを形成する際に、上述した支流形成開口部(切欠き部)を通して、スクリュー溝内の未溶融状態のソリッドベッド(SB)の一部分を、先行するスクリュー溝内の溶融状態のメルトプール(MP)内に導入して、固液両相として強制的に混練するように固液相混練帯域を構成することができる。このような固液相混練帯域を経ることにより、溶融状態の樹脂材料を可塑化プロセスの早期の段階で急速に強制的に未溶融の固相部と混練し、固相部の溶融を促進する射出成形方法と、その方法に使用される射出成形機、及びそれらに用いられる射出成形用スクリューを提供することができる。
何れも本願発明は、主流としての溶融樹脂流れに対して支流を形成して、可塑化プロセスの早い段階で、溶融状態の液相部分(メルトプール MP)の一部分、或いは、未溶融状態の固相部分(ソリッドベッド SB)の一部分を、夫々の相状態が相違するスクリュー溝内の混練帯域内に導入する新規な混練・溶融モデルによる射出成形方法と、その方法に使用される射出成形機に係り、更には、その射出成形方法及び射出成形機に用いられる射出成形用スクリューに関する。
以上のとおり、本願発明は、供給された樹脂材料を混練して溶融する際に、可塑化プロセスの初期段階のスクリューによる供給樹脂の圧縮が始まるタイミングにおいて、螺旋状のスクリュー溝内の未溶融状態の固相部(ソリッドベッド SB)の一部分、或いは、それに先行するスクリュー溝内の溶融状態の液相部(メルトプール MP)の一部分の何れか一方を、上述の支流を形成する支流形成開口部(切欠き部)を通して固液相混練帯域内に導入して、固状態のソリッドベッド(SB)の一部分、或いは、液状態のメルトプール(MP)の一部分を強制的に混練し、固相部の溶融を促進して射出成形するものである。
本願発明は、より具体的には、スクリュー外周に形成された螺旋状のスクリュー溝内でソリッドベッド(SB)として滞留する固相部内に、それに先行するスクリュー溝内でメルトプール(MP)として流動する液相の一部分を、上述の支流形成開口部を通して強制的に導入させることにより、固液相混練帯域を形成するものである。それによって、可塑化プロセスの早期の段階で、樹脂材料の固液両相を急速に混練し、固相部の溶融を促進する射出成形方法に関するものである。本願発明の新規な可塑化プロセスは、樹脂材料を可塑化プロセスの早期の段階で、固相部 (ソリッドベッド SB)内に液相部(メルトプール MP)の一部分を強制的に急速に混練し、固相部の溶融を促進するために、フライトに支流形成開口部としての切欠き部を形成することにより達成できる。
また、本願発明は、射出成形する樹脂の相違や射出条件の相違によっては、上記の可塑化プロセスとは反対に、スクリュー外周に形成されたスクリュー溝内でソリッドベッド(SB)として滞留する固相部の一部分を、それに先行するスクリュー溝内で液相部分として流動するメルトプール(MP)内に強制的に導入させることにより、固液相混練帯域を形成するものでもある。それによって、可塑化プロセスの早期の段階で、固液両相の樹脂材料を強制的に混練し、固相の溶融を促進する射出成形方法に関するものである。このような本願発明の可塑化プロセスは、樹脂材料を可塑化プロセスの早期の段階で、液相部内(メルトプール MP)に固相部分(ソリッドベッド SB)を強制的に混練して固相の溶融を促進するために、フライトに支流形成部としての支流形成開口部(切欠き部)を形成することにより達成できる。
さらに、本願発明は、以上の方法に使用される射出成形機に係り、更には、その射出成形機に用いられる射出成形用スクリューに関する。
本願明細書において、用語の意義は以下のとおりとする。
「混練・溶融モデル」とは、可塑化プロセスにおいて、スクリューの回転により供給された樹脂材料が、射出成形機内で加熱され、混練され、溶融される際の樹脂材料の主流としての樹脂流れの挙動の変化の形態をいう。
「固液相混練帯域:Solid Liquid Mixing Zone」とは、射出成形機における樹脂材料の混練・溶融モデルにおいて、スクリュー溝とそれに隣接して先行するスクリュー溝の間の螺旋状フライトに支流を形成するための支流形成開口部(切欠き部)を設け、ソリッドベッド(SB)或いは、メルトプール(MP)の何れかの相の一部分を他の相内に導入して固液両相を強制的に混練して、ソリッドベッド(SB)の溶融を促進させるスクリュー溝内での混練帯域をいう。スクリュー溝内に構成される「混練帯域」は、混練する樹脂の相状態により以下のように称する。
「固相混練帯域:Solid bed Mixing Zone」とは、射出成形機における樹脂材料の混練・溶融モデルにおいて、固相部のソリッドベッド(SB)がスクリュー溝内で混練される混練帯域をいう。
「液相混練帯域:Melt Pool Mixing Zone」とは、射出成形機における樹脂材料の混練・溶融モデルにおいて、液相部のメルトプール(MP)がスクリュー溝内で混練される混練帯域をいう。
本願発明において、より具体的に、固液相混練帯域においては、スクリュー溝内の未溶融の固形粒の塊により形成されるソリッドベッド(SB)の混練帯域(固相混練帯域)内に、それに先行するスクリュー溝内からの支流を形成して、メルトプール(MP)の一部分を強制的に導入し、固相状態(ソリッドベッドSB)の部分と液相状態の部分(メルトプールMP)とを強制的に混練して固相部の溶融を促進させる。
また、他の実施態様として、本願発明は、射出成形する樹脂の相違や射出条件の相違によっては上述の形態とは反対に、スクリュー溝内の未溶融の固形粒の塊により形成されるソリッドベッド(SB)の一部分を、それに先行するスクリュー溝内の固相混練帯域へ向けた支流を通してメルトプール(MP)内に強制的に導入し、固相状態(ソリッドベッドSB)の部分と液相状態の(メルトプールMP)部分とを強制的に混練して固相状態(ソリッドベッドSB)の溶融を促進させるものでもある。
「スクリュー溝」と「それに先行するスクリュー溝」とは、射出成形用スクリューの周りに形成される繋がった一本の溝部であるが、螺旋状に隣り合う溝部を指していう場合に用いる。
「主流としての樹脂流れ」と「支流」とは、「射出成形用スクリューの螺旋溝内を樹脂供給ホッパ側からノズル側に向かって流れる溶融樹脂流れ」の「主流」と、「スクリュー溝」と「それに先行するスクリュー溝」との間のフライト部に形成された支流形成開口部(切欠き部)を通した「支流」としての流れをいう。
特許文献1には、射出成形機に用いられる従来のスクリューが開示されている。このスクリューは、回転軸部と、該回転軸部の外周から突出する螺旋状のフライトとを有しており、回転軸部の回転により、基端側(ホッパ側)から先端側(ノズル側)に向けて、軸線方向に沿って樹脂材料を送りながら材料を溶融するように構成されている。そのためには、樹脂材料の溶融状態を均一にすることが必要である。
この点に関して、従来技術では、スクリューのフライト間のスクリュー溝の深さを調整することにより、樹脂材料にはたらくせん断力を変えて、樹脂材料の溶融状態をならしていた。
射出成形において、成形品の品質を安定させるためには、前述のとおり、主流としての溶融樹脂流れにおける固液両相の樹脂材料の溶融状態を均一にすることが必要である。そこで、本願発明者等は、樹脂材料を可塑化プロセスの比較的早い段階で全体的に混練・溶融して溶融状態を均一にすることが、射出成形において重要な要素の一つであるとの知見を得たものである。
一般的に射出成形機に用いられるスクリュー(全長L)は、樹脂投入口側(ホッパ側)から樹脂吐出口側(ノズル側)に向け、順に、供給部・圧縮部・計量部という構成となっている。このようなスクリューの形状及び構成とすることにより、供給された樹脂材料は、効率よく混練され、溶融されると考えられていた。そして、このシリンダ内で回転するスクリューにより樹脂ペレットが溶融していくモデルについては多くの研究がなされて明らかになっている。
これらは、主に、スクリューを用いた押出機における樹脂材料の可塑化の過程のモデルとして検討されたものであるが、現在では、スクリューを用いた射出成形機における樹脂材料の可塑化モデルとしても知られて一般化されている。例えば、非特許文献1に説明されているTadmorモデルが知られている。これは本願発明においても共通する技術が多いので以下に詳細に説明する。
一般的な射出成形用スクリュー130は、図9(a)に示すように、回転軸部の外周部から突出する螺旋状のフライト133によりスクリュー溝Mが形成されている。つまり、フライト133は、スクリュー130の外周に、所定のフライトピッチ(FP:Flight Pitch)により、所定のフライト幅(FW:Flight Width)で、所定のフライト深さ(FD:Flight Depth)をもって螺旋状に形成されている。これにより、スクリュー130の外周に螺旋状のスクリュー溝Mが連続して形成される。このような射出成形用スクリュー130を用いた際のTadmorモデルに代表される射出成形用スクリューのスクリュー溝内における樹脂材料の混練・溶融メカニズムを図9(b)に模式的に示す。
このような射出成形用スクリュー130において、ホッパから投入された固形の樹脂材料は、スクリュー130の回転により、フライト133間に形成されたスクリュー溝M内を射出ノズル側(図9の左側)に向けて、溶融樹脂流れの主流として圧送される。このスクリュー130の回転による樹脂材料の圧送の際に、樹脂材料には剪断力が作用し、加熱シリンダ121からも加熱されて、樹脂は順次溶融される。それにより、スクリュー溝M内の樹脂材料の固液相の状態は、ソリッドベッド(SB)と呼ばれる未溶融樹脂材料の固相部と、加熱シリンダ121の内周面121aに接したメルトフィルム(MF:Melt Film)と呼ばれる液状の溶融層部と、回転するフライト133により、メルトフィルム(MF)が掻き集められたメルトプール(MP)と呼ばれる液状の循環溶融相とが形成される。供給された樹脂ペレットは、スクリュー130の回転により、樹脂投入口側(ホッパ側)から樹脂吐出口側(ノズル側)に向けて圧送されるにつれてメルトプール(MP)の割合が多くなり溶融が進むものである。
加熱シリンダ121の内周面121aに接したメルトフィルム(MF)が形成されると、スクリュー130の回転により、剪断エネルギーによる発熱が加わり、スクリュー溝M内のソリッドベッド(SB)が順次溶融されてメルトフィルム(MF)がスクリューの径方向に成長する。そして、メルトフィルム(MF)の厚さがフライト133の外周面と加熱シリンダ121の内周面121aで形成されるクリアランスC以上の厚みに成長すると、前進してくるフライト133によってメルトフィルム(MF)が掻き取られる。掻き取られた、メルトフィルム(MF)は、スクリュー溝Mの樹脂投入口側(ホッパ側)に集められて循環するメルトプール(MP)が成長していき、矢印で示すように還流しながら混練される。
また、従来の射出成形機のスクリューである特許文献1(特開2016-182687号公報)は、スクリューの振れ回りを抑制し、スクリューとシリンダとの摩擦を低減した射出装置の提供することを課題としている。
この特許文献1には、成形材料を加熱するシリンダと、前記シリンダ内に回転自在に配設されるスクリューとを有する、射出装置が開示されている。前記スクリューは、回転軸部と、前記回転軸部の外周から突出する螺旋状のフライトとを有し、前記回転軸部の回転によって前記回転軸部に沿って上流側から下流側に成形材料を送るものである。前記フライトは、螺旋状の第1フライト部と、前記第1フライト部よりも下流側に配される螺旋状の第2フライト部とを有し、前記第2フライト部は、頂部の上流側端部の高さよりも頂部の下流側端部の高さが低い異径フライト部である。前記第2フライト部のピッチに対する前記第2フライト部のフライト幅の割合が、前記第1フライト部のピッチに対する前記第1フライト部のフライト幅の割合よりも大きい。
特開2016-182687号公報
押出成形と射出成形における可塑化過程モデル https://www.jstage.jst.go.jp/article/seisankenkyu/54/3/54_3_167/_pdf
以上に説明したように、樹脂材料を射出成形する場合に、樹脂材料の溶融・混練を均一にするためにスクリューにフライトを設けることは、従来から一般的に行われている。しかしながら、樹脂材料は種類ごとに特性が異なることから、樹脂材料に合わせてスクリュー溝の仕様(ピッチ、幅、深さ等)を調整するためには高度の技術や経験が必要である。その際、不十分な調整によりスクリュー溝が浅すぎたりすると、樹脂材料に働くせん断力が強くなり過ぎてヤケが生じたり、逆に、スクリュー溝が深過ぎると樹脂材料に働くせん断力が弱くなり過ぎて溶け残りが生じたりしてしまう。そのため、樹脂材料の溶融状態を均一にすることが困難であった。
特に、従来の一般的な形状のスクリューで見られる溶融形態では、着色材を添加したものなどといった材料を均一に混練しなければならないものに対しては、効率的な混練・溶融が達成できてはいなかった。
このような状況で、本願発明者等は、種々の樹脂材料の溶融メカニズムについて鋭意実験的な検討を行った結果、スクリュー溝とそれに隣接して先行するスクリュー溝との間のフライト部に支流形成開口部(切欠き部)を形成して、ソリッドベッド(SB)の一部分又はメルトプール(MP)の一部分を、固液相混練帯域内に導き入れて、可塑化プロセスの早期に、固相と液相とを強制的に混練し、固相の溶融を促進させる帯域を設けることが好ましいことを見いだしたものである。
つまり、本願発明者らは、より具体的には、スクリュー溝とそれに隣接して先行するスクリュー溝との間の壁を構成するフライト部に支流形成開口部(切欠き部)を形成して、スクリュー溝内に滞留する未溶融のソリッドベッド(SB)領域へ、先行するスクリュー溝のメルトプール(MP)の一部分を導き入れることにより、ソリッドベッド(SB)を早期に溶融促進させる構成を見いだしたものである。また、それとは反対に、射出成形する樹脂の相違や射出条件の相違によっては、スクリュー溝内に滞留する未溶融のソリッドベッド(SB)領域の一部を、隣接して先行するスクリュー溝のメルトプール(MP)内に導き入れることにより、ソリッドベッド(SB)を早期に溶融促進させる構成が望ましいことを見いだしたものである。
本願発明では、何れのプロセス(図4(a)(b)、及び図5(a)(b)参照)に拠っても、スクリュー溝内の固液相混練帯域内でのソリッドベッド(SB)とメルトプール(MP)との強制的な混練・溶融により、ソリッドベッド(SB)の溶融を促進するものであるが、供給樹脂材料の混練・溶融を促進するという同一の課題の観点から、その一態様としての射出成形用スクリューの構成を図6及び図7に示す。
この図6及び図7に示すスクリューの実施態様では、回転軸部とその外周面に突出して設けられた螺旋状フライトを有し、回転軸部の軸線とフライトの基端側面とのなす角度が、ホッパ側よりノズル側で漸次大きくなるように形成したものである。その際は、フライト間のスクリュー溝Mの深さ又はスクリュー溝の軸線方向の長さがホッパ側からノズル側に向かうにしたがって小さくなるように形成された圧縮部を有している。フライトを形成した区間内の圧縮部区間においては、ホッパ側からノズル側に向かうにしたがってフライトの角度が漸次連続的に大きくなるようにすることが好ましい。
このように、フライトを形成する場合には、圧縮部より先端側に配置された区間の角度が、圧縮部よりホッパ側に配置された区間の角度よりも大きくなるようにフライトが形成されていることが好ましい。
このような態様を採用することにより、フライトの少なくとも一部の区間が、当該区間における基端側(ホッパ側)の部分より先端側(ノズル側)の部分の方が回転軸部の軸線とフライトの基端側面とのなす角度が大きくなるように形成される。その際、フライト間に形成されるスクリュー溝M内ではホッパ寄りに溶融された樹脂材料が滞留しかつノズル寄りに未溶融の樹脂材料が滞留する。そして、このように構成したことにより、ノズル寄りに滞留する樹脂材料にはたらくせん断力を、フライトの一部の区間または全体において、ホッパ側の部分で強く、ノズル先端側の部分で弱くすることができる。
そのために、早い段階で未溶融の樹脂材料に対して強いせん断力を働かせて溶融を促進するとともに、溶融後の樹脂材料に過度のせん断力がはたらくことを抑制することができるので、樹脂材料の溶融状態を早期に効果的にならすことができる。
本願発明では、このような態様に加えて、可塑化プロセスの早期の段階での混練・溶融の達成までのプロセスを考慮した具体的な態様として、螺旋状のスクリュー溝とそれに隣接して先行するスクリュー溝の間のフライト部に支流形成開口部(切欠き部)を形成して、ソリッドベッド(SB)の一部分又はメルトプール(MP)の一部分を固液相混練帯域内に強制的に導き入れることにより、可塑化プロセスの早期に固液両相を強制的に混練し、固相の溶融を促進させる帯域を設けることが好ましいことを見いだしたものである(図4,5参照)。なお、図4及び図5では支流形成開口部の図示形態が相違しているが、これらはフライトの一部分に切欠き開口部が形成されていることを概念的に示しているものである。
より具体的には、本願発明は、図4(a),(b)に示すように、螺旋状のスクリュー溝Mとそれに隣接して先行するスクリュー溝Mの間のフライト33に支流形成開口部(切欠き部)37を形成して、スクリュー溝M内のソリッドベッド(SB)としての固相部分内に、先行するスクリュー溝M内のメルトプール(MP)の一部分を強制的に導き入れるものである。図4(b)には、未溶融部に溶融部の一部が支流形成開口部(切欠き部)37を通して飛び込む状態が示されている。これにより、樹脂材料を可塑化プロセスの早期の段階において、固液相が急速に混練され固相部の溶融が促進される新規な混練・溶融モデルから成る射出成形方法が達成できるものである。
また、このような射出成形モデルの樹脂の挙動とは反対に、射出成形する樹脂の相違や射出条件の相違によっては、図5(a),(b)に示すように、螺旋状のスクリュー溝Mとそれに隣接して先行するスクリュー溝Mの間のフライト33に支流形成開口部(切欠き部)37を形成して、ソリッドベッド(SB)としての固相部分の一部分を、先行するスクリュー溝M内のメルトプール(MP)内に強制的に導き入れるものである。図5(b)には、溶融部に未溶融部の一部が支流形成開口部(切欠き部)37を通して飛び込む状態が示されている。これにより、樹脂材料を可塑化プロセスの早期の段階において急速に固液両相が混練され、固相の溶融が促進される新規な混練・溶融モデルから成る射出成形方法が達成できるものである。
さらに、本願発明は、本願発明の方法に使用される射出成形機及び射出成形用ノズルを提案するものである。
本発明の射出成形方法は、
円柱状の回転軸と、当該回転軸の外周面に突設して設けられた螺旋状フライトと、を備えた射出成形用スクリュー(ただし、前記回転軸の外周面における前記螺旋状フライトにより形成されたスクリュー溝の部分に突設物が設けられたものを除く。)を用いた射出成形方法であって、
前記射出成形用スクリューの中央部分から先端部に向けて複数条の前記螺旋状フライトが形成された混練部が設けられ、
前記混練部が、後方側から前方側に順に並ぶ、混練溝深さ変化部と、混練溝深さ一定部と、を有し、
前記混練溝深さ変化部における前記スクリュー溝の深さが、後方側から前方側に向かうにしたがって連続的または段階的に小さくなり、
前記混練溝深さ一定部における前記スクリュー溝の深さが、一定であり、
前記複数条の前記螺旋状フライトのそれぞれが、当該螺旋状フライトを挟んで後方側にある前記スクリュー溝と前方側にある先行する前記スクリュー溝とを連通し、当該螺旋状フライトの一部区間に支流を形成する切欠き部を有し、
前記切欠き部が、前記混練溝深さ変化部に配置され、
前記混練部において、一の前記螺旋状フライトの前記切欠き部と、当該一の前記螺旋状フライトに隣接する他の前記螺旋状フライトの前記切欠き部と、が周方向にずれて配置されており、
樹脂材料をホッパから加熱シリンダ内に供給し、該加熱シリンダ内で前記射出成形用スクリューを回転して、ホッパから供給された樹脂材料を前記螺旋状フライトにより形成された前記スクリュー溝内で混練・溶融しながら前方に送る際に、
前記切欠き部を通して、前記スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の一部分、又は、先行する前記スクリュー溝内のメルトプール(MP)の一部分を固液相混練帯域内に強制的に導き入れることにより、樹脂材料の固液両相を可塑化プロセスの早期に混練して固相の溶融を促進させ、
その後、前記射出成形用スクリューを所定回転数だけ回転させつつ後退させて、前記混練・溶融された樹脂材料を計量し、
この計量動作の後に、前記射出成形用スクリューを前進させて、計量された溶融樹脂材料が射出ノズルを通して型閉された金型のキャビティ内へ射出することを特徴とする。
さらに、本発明の射出成形方法は、
前記支流形成開口部を通してのスクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の一部分、又は、先行するスクリュー溝内のメルトプール(MP)の一部分の強制的な導入は、スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の部分に、先行するスクリュー溝内のメルトプール(MP)の一部分を、前記支流形成開口部を通して前記固液相混練帯域に強制的に導き入れて混練することにより、固液両相の樹脂材料を可塑化プロセスの早期に混練して固相の溶融を促進することを特徴とする。
さらに、本発明の射出成形方法は、
前記支流形成開口部を通してのスクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の一部分、又は、先行するスクリュー溝内のメルトプール(MP)の一部分の強制的な導入は、スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の一部分を、先行するスクリュー溝内のメルトプール(MP)内へ、前記支流形成開口部を通して前記固液相混練帯域に強制的に導き入れて混練することにより、固液両相の樹脂材料を可塑化プロセスの早期に混練して固相の溶融を促進することを特徴とする。
さらに、本発明の射出成形方法は、
前記スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の一部分、又は先行するスクリュー溝内のメルトプール(MP)内の一部分を、前記支流形成開口部を通して前記固液相混練帯域に強制的に導き入れるのは、前記スクリュー溝全長の中間部位置又は中間部位置よりも前方側の位置において導入され、可塑化プロセスの早期に固液両相の樹脂材料を混練して固相の溶融を促進することを特徴とする。
本発明の射出成形機は、
複数の加熱ヒータを備えた加熱シリンダと、前記加熱シリンダに樹脂材料を供給するホッパと、前記加熱シリンダ内に回転および前後進可能に収容された射出成形用スクリューと、を備えた射出ユニットを備えた射出成形機であって
前記射出成形用スクリューが、円柱状の回転軸と、当該回転軸の外周面に突設して設けられた螺旋状フライトと、を備え(ただし、前記回転軸の外周面における前記螺旋状フライトにより形成されたスクリュー溝の部分に突設物が設けられたものを除く。)、
前記射出成形用スクリューの中央部分から先端部に向けて複数条の前記螺旋状フライトが形成された混練部が設けられ、
前記混練部が、後方側から前方側に順に並ぶ、混練溝深さ変化部と、混練溝深さ一定部と、を有し、
前記混練溝深さ変化部における前記スクリュー溝の深さが、後方側から前方側に向かうにしたがって連続的または段階的に小さくなり、
前記混練溝深さ一定部における前記スクリュー溝の深さが、一定であり、
前記複数条の前記螺旋状フライトのそれぞれが、当該螺旋状フライトを挟んで後方側にある前記スクリュー溝と前方側にある先行する前記スクリュー溝とを連通し、当該螺旋状フライトの一部区間に支流を形成する切欠き部を有し、
前記切欠き部が、前記混練溝深さ変化部に配置され、
前記混練部において、一の前記螺旋状フライトの前記切欠き部と、当該一の前記螺旋状フライトに隣接する他の前記螺旋状フライトの前記切欠き部と、が周方向にずれて配置されており、
前記射出成形機が、前記ホッパから供給された樹脂材料を前記螺旋状フライトにより形成された前記スクリュー溝内に収容し、回転により前記スクリュー溝内の樹脂材料を混練・溶融しながら前方に送るように構成されており
前記切欠き部を通して、前記スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の一部分、又は、先行する前記スクリュー溝内のメルトプール(MP)の一部分を固液相混練帯域内に強制的に導き入れることにより、可塑化プロセスの早期に固液両相の樹脂材料を混練して固相の溶融を促進するように構成したことを特徴とする。
さらに、本発明の射出成形機は、
前記支流形成開口部を通してのスクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の一部分、又は、先行するスクリュー溝内へのメルトプール(MP)の一部分の強制的な導入は、前記スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の部分内に、先行するスクリュー溝内のメルトプール(MP)の一部分を前記固液相混練帯域に強制的に導き入れるための支流を形成する支流形成開口部を有することにより、可塑化プロセスの早期に固液両相の樹脂材料を混練して固相の溶融を促進することを特徴とする。
さらに、本発明の射出成形機は、
前記支流形成開口部を通してのスクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の一部分、又は、先行するスクリュー溝内へのメルトプール(MP)の一部分の強制的な導入は、前記スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の一部分を、先行するスクリュー溝内のメルトプール(MP)内に強制的に導き入れるための支流を形成する支流形成開口部を有することにより、可塑化プロセスの早期に固液両相の樹脂材料を混練して固相の溶融を促進することを特徴とする。
さらに、本発明の射出成形機は、
前記射出成形用スクリューは、前記スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の一部分、又は、先行するスクリュー溝内のメルトプール(MP)の一部分を強制的に導き入れるための支流を形成する支流形成開口部を、前記スクリュー溝全長の中間部位置又は中間部位置より前方側の位置において設けることにより、可塑化プロセスの早期に固液両相の樹脂材料を混練して固相の溶融を促進することを特徴とする。
本発明の射出成形用スクリューは、
円柱状の回転軸と、該回転軸の外周面に突設して設けられた螺旋状フライトとを備えた射出成形用スクリュー(ただし、前記回転軸の外周面における前記螺旋状フライトにより形成されたスクリュー溝の部分に突設物が設けられたものを除く。)であって
前記射出成形用スクリューの中央部分から先端部に向けて複数条の前記螺旋状フライトが形成された混練部が設けられ、
前記混練部は、後方側から前方側に順に並ぶ、混練溝深さ変化部と、混練溝深さ一定部と、を有し、
前記混練溝深さ変化部における前記スクリュー溝の深さが、後方側から前方側に向かうにしたがって連続的または段階的に小さくなり、
前記混練溝深さ一定部における前記スクリュー溝の深さが、一定であり、
前記複数条の前記螺旋状フライトのそれぞれが、当該螺旋状フライトを挟んで後方側にある前記スクリュー溝と前方側にある先行する前記スクリュー溝とを連通し、当該螺旋状フライトの一部区間に支流を形成する切欠き部を有し、
前記切欠き部が、前記混練溝深さ変化部に配置され、
前記混練部において、一の前記螺旋状フライトの前記切欠き部と、当該一の前記螺旋状フライトに隣接する他の前記螺旋状フライトの前記切欠き部と、が周方向にずれて配置されており、
前記切欠き部を通して、可塑化プロセスの早期に固液相混練帯域を構成できるように、前記スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の一部分、又は、先行する前記スクリュー溝内のメルトプール(MP)の一部分を、当該固液相混練帯域に強制的に導き入れるように前記切欠き部を構成したことを特徴とする。
本発明において、
前記螺旋状フライトの前記切欠き部における前方を向く開口が、当該切欠き部における後方を向く開口に対して、当該螺旋状フライトの延在方向前方側にずれて配置されている、ことが好ましい。
さらに、本発明の射出成形用スクリューは、
前記螺旋状フライトが、少なくとも前記回転軸の軸方向の一部区間において複数条設けられ、
前記支流を形成する支流形成開口部が、複数条のフライトのうちの少なくとも1つフライトに設けられ、該螺旋状フライトを挟んで後方側にあるスクリュー溝と前方側にある先行するスクリュー溝とを連通する切欠き部であることを特徴とする。
さらに、本発明の射出成形用スクリューは、
前記支流を形成する支流形成開口部が、互いに隣り合う2つのスクリュー溝間の螺旋状フライトに設けられ、これら隣り合う溝間の螺旋状フライトに設けられた支流形成開口部が、互いに周方向にずれて配置されていることを特徴とする。
本願発明は、実証的な実験による検討を行った結果、得られた新規な可塑化プロセスによる射出成形が達成できたものである。そのためには、本願発明は、主流としての溶融樹脂流れに加えて支流を形成して、可塑化プロセスの早い段階で、供給された合成樹脂の固相部の一部分、或いは、液相部の一部分を、それに隣り合うスクリュー溝Mの固液相混練帯域内に導入して強制的に混練することにより、固相部の溶融を促進することができるものである。
本願発明は、スクリュー溝内に滞留する未溶融のソリッドベッド(SB)の一部分、又は、それに先行するスクリュー溝内のメルトプール(MP)の一部分を固液相混練帯域内に導き入れて、可塑化プロセスの早期の段階で、固液両相の混練・溶融を促進させることにより、樹脂材料の効率的で均一な混練・溶融が達成できるものである。
本願発明は、上記のような混練・溶融メカニズムを実現するために、具体的には、ホッパ供給口から供給された樹脂材料を、ホッパ側からノズル側に、混練・溶融して圧送する主流としての溶融樹脂の流れに加えて、螺旋状フライトに設けた支流形成開口部(切欠き部)により支流を形成したものである。この支流を通して、スクリュー溝内に滞留する未溶融のソリッドベッド(SB)の一部分、又は、それに先行するスクリュー溝内のメルトプール(MP)の一部分を、隣接したスクリュー溝内の固液相混練帯域内に導き入れて強制的に混練することにより、固相部の溶融を促進できる。
つまり、スクリュー溝内を加熱シリンダの基端側から先端側に向かって樹脂を混練・溶融しながら主流としての溶融樹脂流れを圧送し、螺旋状溝を形成する螺旋状フライトの途中に支流形成開口部(切欠き部)を形成し、スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)としての固相部分に、隣接して先行するスクリュー溝からのメルトプール(MP)の一部分の支流を形成して、該メルトプール(MP)の一部分を固液相混練帯域内に強制的に導き入れて混練することにより、固液両相の樹脂材料を可塑化プロセスの早期の段階から混練・溶融して均一化することが可能となる。
本願発明では、ホッパ供給口から供給された樹脂材料を螺旋状フライトにより形成されたスクリュー溝内を加熱シリンダの基端側から先端側に向かって混練・溶融しながら主流の溶融樹脂流れを圧送する際に、螺旋状フライトの途中に支流形成開口部(切欠き部)を形成している。これにより、上述の可塑化プロセスでの混練・溶融メカニズムでの樹脂の挙動とは反対に、スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)としての固相部分の一部分を、先行するスクリュー溝内のメルトプール(MP)内への支流を形成して固液相混練帯域内に強制的に導き入れることにより、樹脂材料を可塑化プロセスの早期の段階から混練・溶融して均一化することが可能となる。
さらに、本願発明の射出成形方法及び射出成形機及びスクリュー構成は、スクリュー溝M内で混ざり難くなるソリッドベッド(SB)が形成し難いことから、色付け、混練の効果もあり、色むらの改善にも効果がある。
本願発明の一実施形態に係る射出成形機の概略構成を示す平面図である。 本願発明の一実施形態に係る射出成形機が備える射出成形用スクリューを示す側面図であり、(a)はスクリュー全体、(b)はスクリューにスクリューヘッドを備えたもの、(c)は(b)にノズルと加熱シリンダを備えたものである。 図2の射出成形用スクリューの混練・溶融部の詳細を示す部分断面図である。 本願発明の一つの実施形態に係る射出成形方法に用いられるスクリューのスクリュー溝内の樹脂の溶融メカニズムでの挙動を模式的に説明する図である。 本願発明の別の実施形態に係る射出成形方法に用いられるスクリューのスクリュー溝内の樹脂の溶融メカニズムでの挙動を模式的に説明する図である。 別態様の射出成形機が備える射出成形用スクリューの側面図である。 図5の別態様の射出成形機が備える射出成形用スクリューの側面図である。 図5の射出成形用スクリューのスクリュー溝内での溶融メカニズムを模式的に示す図である。 本願発明の従来技術の実施形態に係る射出成形方法での樹脂の溶融メカニズムでの挙動を模式的に説明する図である。
以下、本願発明の一実施形態に係る射出成形方法、その方法に使用される射出成形機、及びこの射出成形機のスクリューについて、図面を参照して説明する。しかしながら、図面は、本願発明の実施態様に沿って具体的に説明しているが、それは本願発明の理解を容易にするためのものであり、技術的範囲を減縮するためのものではない。
図1は、本願発明の一実施形態に係る射出成形機の概略構成を示す図である。図2は、図1の射出成形機が備えている射出成形用スクリューの側面図である。図3は、図2の射出成形用スクリューの部分詳細図である。
図4は、一つの実施形態として、図2に示す射出成形用スクリューのスクリュー溝内の混練・溶融メカニズムでの樹脂の挙動を模式的に説明する図である。図4(a)は、本発明の一つの実施態様として、1条の連続した仮想的なスクリュー溝として示し、そのスクリュー溝内での混練・溶融状態の連続的な変遷を示している。図4(b)は、隣接した3条のフライトを展開したものであり、スクリュー溝とそれに隣接した先行するスクリュー溝のフライト部に支流形成開口部(切欠き部)が設けられて支流が形成されて、メルトプール(MP)の一部分がソリッドベッド(SB)の固相内に導き入れられる状況を示す概念図である。
図5は、図4に対応した図であり、本願発明の別の実施形態に係る射出成形方法に用いられるスクリューのスクリュー溝内の溶融メカニズムでの樹脂の挙動を模式的に説明する図である。図5(a)は、本発明の別の実施態様として、1条の連続した仮想的なスクリュー溝として示し、そのスクリュー溝内での混練・溶融状態の連続的な変遷を示している。図5(b)は、隣接した3条のフライトを展開したものであり、スクリュー溝とそれに隣接した先行するスクリュー溝のフライト部に支流形成開口部(切欠き部)が設けられて支流が形成されて、ソリッドベッド(SB)の一部分がメルトプール(MP)の液相内に導き入れられる状況を示す概念図である。
また、図6及び図7に示すスクリューは、本願発明と同じ課題を解決するための一つの態様から成るスクリューであり、図8はその溶融メカニズムを模式的に説明する概念図である。図9は、従来考えられていた樹脂の溶融メカニズムでの溶融樹脂の挙動を模式的に説明する図である。
図1に示す本願発明の一実施形態の射出成形機1は、熱可塑性の粒状の樹脂材料(樹脂ペレット)を原料として成形体を成形するものである。射出成形機1は、機台2上に配設された型締ユニット10及び射出ユニット20を有している。
型締ユニット10は、図示しないモータの駆動力を駆動源としてトグルリンク機構11を屈曲作動させることで可動ダイプレート12を固定ダイプレート14に対して進退させる。これにより、可動ダイプレート12に取り付けられた可動金型13を、固定ダイプレート14に取り付けられた固定金型15に対して型閉動作及び型開動作をする。
射出ユニット20は、筒型の加熱シリンダ21と、該加熱シリンダ21の先端に設けられた射出ノズル22と、加熱シリンダ21内に収容され、当該加熱シリンダ21内に供給された樹脂材料を加熱・混練・溶融し、ノズル側に向けて圧送する射出成形用スクリュー(以下、単に「スクリュー30」という場合もある)と、スクリュー30を回転および前後進可能に支持する支持部材23と、加熱シリンダ21内に樹脂材料を投入するホッパ24と、ホッパ24が設けられたホッパブロック25と、加熱シリンダ21の外側に配設された複数の加熱ヒータ26と、を有している。
この射出成形機1の射出成形動作では、樹脂材料は、加熱シリンダ21内に収容されたスクリュー30が回転されることにより、樹脂材料に作用する剪断力により加熱されるとともに、加熱シリンダ21の加熱ヒータ26によりにより高温に加熱される。これにより、ホッパ24の供給口24aから供給された樹脂材料が加熱シリンダ21の基端側(ホッパ側)から先端側(ノズル側)に向かい、圧送されながら混練され溶融されて、後方から前方に向かう主流としての溶融樹脂流れを形成する。この主流としての溶融樹脂流れは、後方から前方への圧送の途中で固体状の樹脂ペレットが混練・溶融される。そして、混練・溶融された樹脂材料は、図示しない計量用モータ等から成る回転駆動手段によりスクリュー30が所定回転数で回転されつつ後退されることで計量される。この計量動作の後、図示しない射出用モータ及びボールネジ機構等からなる進退駆動手段によりスクリュー30が前進されることで、所定量の溶融樹脂材料が、射出ノズル22を通じて型閉された金型のキャビティ内へ射出され、製品が成形される。なお、本明細書においては、射出ノズル22側を「前方」と称し、ホッパ側を「後方」と称している。
次に、加熱シリンダ21内に収容されたスクリュー30ついて詳細に説明する。スクリューの構成に関しては、本願発明とも共通するので、まずは混練・溶融の促進を考慮した一つの態様として、図6、図7に示すスクリューの構成を説明する。
このスクリューは、可塑化プロセスの早期の段階で混練・溶融を達成するとした本願発明の作用効果を直接的に達成するものではないが、本願発明のスクリューにも共通する構成が多いので、これによりスクリューの構成及び機能を説明する。スクリュー30は、基端側(後方:ホッパ側)から先端側(前方:ノズル側)に向けて順に供給部(A)、圧縮部(B)及び計量部(C)が順に設けられている。また、スクリュー30は、全体的に円柱状の回転軸部31と、回転軸部31の先端に設けられた逆流抑止弁として機能するスクリューヘッド32と、回転軸部31の外周面に突出して設けられた螺旋状のフライト33とを有している。
回転軸部31は、供給部(A)では、全体に渡り同一径に形成され、圧縮部(B)では、基端側(ホッパ側)から先端側(ノズル側)に向かって径が連続的に大きくなるように形成され、計量部(C)では、全体に渡り同一径に形成され、供給部(A)としての部分よりも大径である。
回転軸部31の外周に形成されたフライト33は、回転軸部31の軸線Lから外周先端面までの距離が一定でかつ全体にわたって等ピッチの螺旋状となるように形成されている。ここで、圧縮部(B)では基端側(ホッパ側)から先端側(ノズル側)に向かうにしたがい回転軸部31の径が大きくなることから、圧縮部(B)では基端側(ホッパ側)から先端側(ノズル側)に向かうにしたがいフライト33間に形成されるスクリュー溝Mの深さは浅くなる。また、圧縮部(B)においては、基端側(ホッパ側)から先端側(ノズル側)に向かうにしたがってフライトのピッチ(スクリュー溝Mの軸線L方向の長さ)が連続的に小さくなるように形成していてもよい。
フライト33は、供給部(A)のフライト部分34と、圧縮部(B)のフライト部分35と、計量部(C)のフライト部分36とを有している。
供給部(A)のフライト部分34は、回転軸部31の軸線Lと基端側面34aとのなす角αが全体にわたって一定となるように形成されている。供給部(A)のフライト部分34は、フライト33における圧縮部(B)より基端側の供給部(A)に配置された区間である。
圧縮部(B)のフライト部分35は、供給部(A)のフライト部分34に連なり、基端側(ホッパ側)から先端側(ノズル側)に向かうにしたがって回転軸部31の軸線Lと基端側(ホッパ側)面35aとのなす角βが連続的に大きくなるように形成されている。ここで、β7>β6>β5>β4>β3>β2>β1≧αである。圧縮部(B)のフライト部分35は、フライト33における圧縮部(B)に配置された区間である。
計量部(C)のフライト部分36は、圧縮部(B)のフライト部分35に連なり、回転軸部31の軸線Lと基端側(ホッパ側)面36aとのなす角γ(ただしγ≧β)が全体にわたって一定となるように形成されている。計量部(C)のフライト部分36は、フライト33における圧縮部(B)より先端側(ノズル側)の計量部(C)に配置された区間である。
本実施態様においては、角αが20度であり、角βが20度から80度まで連続的に変化し、角γが80度であるが、角α、角β、角γはこれら以外の大きさとしてもよい。
フライト33は、回転軸部31の軸線Lと供給部(A)のフライト部分34、圧縮部(B)のフライト部分35及び計量部(C)のフライト部分36の先端側面(図7において左側を向く面)とのなす角が一定で、例えば、90度となるように形成されている。
次に、このようなスクリュー30を用いた本発明の射出成形方法における、圧縮部(B)のスクリュー溝M内における樹脂材料の溶融メカニズムにおける溶融樹脂の溶融状態での挙動について説明する。このような態様の射出成形方法では、スクリュー溝M内の主流としての溶融樹脂流れにおいては、固相としてのソリッドベッド(SB)及び、そのソリッドベッド(SB)に重なるように、液相としてのメルトフィルム(MF)が形成される。加熱シリンダ21の内周に沿って溶融した液状相のメルトフィルム(MF)は、フライト33に掻き取られてなるメルトプール(MP)がスクリュー溝Mの後方寄り、すなわち基端寄り(ホッパ寄り)に形成される。このような樹脂の挙動は、図4,5及び図9にも示すように、本願発明においても従来技術においても類似した挙動である。
そして、圧縮部(B)における基端側(ホッパ側)の部分のスクリュー溝Mでは、図8(a)に示すように、回転軸部31の軸線Lとフライト33(具体的には、圧縮部のフライト部分35)の基端側面35aとのなす角が小さいので、当該基端側面35aと加熱シリンダ21の内面21aとの間隔が狭い部分が多く、そのため、ソリッドベッド(SB)に対しては比較的強い剪断力が働く。そのために、スクリュー溝M内のソリッドベッド(SB)の溶融を促進することができる。
また、圧縮部(B)における先端側(ノズル側)の部分のスクリュー溝Mでは、図8(b)に示すように、回転軸部31の軸線Lとフライト33(具体的には圧縮部のフライト部分35)の基端側面35aとのなす角が大きいので、当該基端側面35aと加熱シリンダ21の内面21aとの間隔が広く、そのため、矢印で示すように還流する溶融後の樹脂材料に働くせん断力は抑制される。
このようなスクリュー30を備えた射出成形機1によれば、圧縮部(B)の一部区間のフライト部分35が、基端側(ホッパ側)の部分より先端側(ノズル側)の部分の方が回転軸部31の軸線Lと基端側面35aとのなす角βが大きくなるように形成されている。このようにしたことから、フライト33間に形成されるスクリュー溝M内では基端(ホッパ側)寄りに溶融された樹脂材料(メルトプール MP)が滞留し、かつ先端(ノズル側)寄りに未溶融の樹脂材料(ソリッドベッド SB)が滞留する。これにより、先端寄りに滞留する樹脂材料(ソリッドベッド SB)にはたらくせん断力を、圧縮部(B)のフライト部分35の基端側(ホッパ側)で強くし、先端側(ノズル側)で弱くすることができる。そのため、早い段階で未溶融の樹脂材料(ソリッドベッド SB)に対して強いせん断力をはたらかせて溶融を促進することができるので、樹脂材料の溶融状態を早期に達成できて効果的に溶融することができる。
スクリュー30の全体の構成を見たときに、計量部(C)のフライト部分36の角γが供給部(A)のフライト部分34の角αより大きい。それにより、供給部(A)において未溶融の樹脂材料(ソリッドベッド SB)に対して強いせん断力を働かせて溶融を促進するとともに、計量部(C)において溶融後の樹脂材料(メルトプール MP)の溶融状態とを効果的にならすことができる。
また、圧縮部(B)のフライト部分35のスクリュー溝Mの深さが基端側(ホッパ側)から先端側(ノズル側)に向かうにしたがって浅くなるように形成され、角度βが基端側(ホッパ側)から先端側(ノズル側)に向かうにしたがって大きくなるように形成されている。このようにしたことから、スクリュー溝M内の先端寄りに滞留する樹脂材料にはたらく剪断力を当初は比較的強くするとともに基端側から先端側に進むにしたがって徐々に弱くしていくことができる。そのため、樹脂材料の溶融状態をより効果的にならすことができる。
また、上記角α、上記角β及び上記角γが、20度~80度の範囲内であるので、比較的大きい角度範囲であり、剪断力を広い範囲で変化させることができる。
上述の態様では、圧縮部(B)のフライト部分35の角βが20度から80度まで連続的に変化する構成であるが、これに限定されるものではない。例えば、圧縮部(B)のフライト部分35は、上記角βが全体にわたって一定、例えば、50度となるように形成されており、上記角α、上記角β及び上記角γとの関係が、γ>β>αとなるようして、供給部(A)、圧縮部(B)及び計量部(C)に進むにしたがって段階的に変化するようにしてもよい。
射出成形機での混練・溶融モデルは、例えば、従来から知られているTadmorモデルにおいても説明したが、射出成形機の分野においても、可視化して実際の動作と同一であることが検証されている。この混練・溶融モデルにおいて、固形状体のソリッドベッド(SB)と呼ばれる部分は、溶融した状態のメルトプール(MP)と呼ばれる部分の温度と比較すると、比較的温度が低く溶けにくいものである。従って、射出成形モデルの早い段階において、比較的温度が低く溶けにくい固相のソリッドベッド(SB)の部分を、溶融した状態の温度の高い液相のメルトプール(MP)の部分と強制的に混練することによって、固相部分の溶融を促進することができる。
上記態様のスクリュー構成のものは、主流としての溶融樹脂材料の混練・溶融を促進させるための手段として有効なものであるが、本願発明は、さらなる新規な態様により、可塑化プロセスの早期の段階において、スクリュー溝内の固体相のソリッドベッド(SB)の部分に、先行するスクリュー溝内の液相のメルトプール(MP)の一部分を導き入れることにより、或いは、固体相のソリッドベッド(SB)の一部分を、先行するスクリュー溝内の液相のメルトプール(MP)内に導き入れることにより、固液両相の樹脂材料を強制的に急速に混練させて溶融し、固相の溶融を促進する射出成形方法及び射出成形機を提供できるものである。
しかし、前述したように、樹脂材料の溶けている部分(メルトプール部 MP)に対して、溶けていない部分の温度は相対的に低く、ソリッドベッド(SB)が生成すると、なかなか溶けにくいものである。そこで、発明者等は、生成したソリッドベッド(SB)と比較して温度が高いメルトプール(MP)の一部分を、未溶融のソリッドベッド(SB)へ導入して強制的に混練する(図4(b)参照)ことによって、或いは、温度が高いメルトプール(MP)の部分へ、未溶融のソリッドベッド(SB)の一部分を導入して強制的に混練する(図5(b)参照)ことによって可塑化プロセスの早期に固液相混練帯域内で効率よく樹脂材料の固液両相を混練・溶解することを試行錯誤的にいろいろと実験し、検証したものである。
そのための具体的な射出成形機として、どのような構成のスクリューを採用したかというと、従来のスクリューにおいて圧縮部と計量部と称されていた部分のフライト構成を、図2及び図3に示すように構成したものである。これは、多条ネジ部の一部に切欠き部37を支流形成開口部として設け、スクリュー溝M内のソリッドベッド(SB)の部分に先行するスクリュー溝M内のメルトプール(MP)の一部分を強制的に導くように、つまり、固体相の未溶融部に液体相の溶融部が飛び込めるように、フライトの切欠き部に支流を形成する構成としたものである。また、フライトに支流形成部としての切欠き部の構成を備えることにより、スクリュー溝M内のソリッドベッド(SB)の一部分を先行するスクリュー溝M内のメルトプール(MP)の部分に強制的に導くようにして、固液両相の樹脂材料を可塑化プロセスの早期の段階で早期に混練し、容易に溶融できる構成とすることができたものである。
従来から、溶融を促進するスクリューとしては、一般的にサブフライトスクリューと称するスクリューが知られていた。これは、複数の計量部に複数条のフライトを設けることにより溶融を早めようとしているが、フライトにより溶けていない部分と溶けている部分とが分かれてしまうものだった。
そこで、本願発明において、図4(a),(b)に示すように、スクリュー溝M内の溶けていない部分(ソリッドベッドSB)内へ、先行するスクリュー溝M内の溶融部(メルトプールMP)の一部分を導入できるように支流を形成する構成とする。また、図5(a),(b)に示すように、スクリュー溝M内の溶けていない部分(ソリッドベッドSB)の一部分を、先行するスクリュー溝M内の溶融部(メルトプールMP)の部分に導入できるように支流を形成する構成とする。このように、先行するスクリュー溝M内の溶融部(メルトプールMP)の一部分、或いは、スクリュー溝M内の溶けていない部分(ソリッドベッドSB)の一部分を、螺旋状のフライト33に形成された支流形成開口部37を通して固液相混練帯域内で強制的に混練させ、溶けた部分と溶けていない部分を分けることなく前方に送ることができる。支流の形成は、螺旋状のフライト33に支流形成開口部としての切欠き部37を形成することにより達成でき、これにより固液相混練帯域内での固液両相の混練・溶融が促進されるものである。
従来のスクリューは、連続した1条ネジで構成するが、途中から溶けていない部分をすり潰すような構造にするために複数条のフライトを設けることがある。そのようなスクリューを使った場合には、スクリュー溝Mの最初の部分では滞留している固相の樹脂材料(ソリッドベッドSB)が前方に送られるのだが、ある領域を境に溶かす能力は落ちてしまう。それは、スクリューの回転による溶かす能力が圧送する能力に追い付かないが故である。これに比して、図2及び図3に示した本願発明を実施したスクリューを用いた射出成形方法及び射出成形機では、相対的に搬送速度は遅いように見えるが、主流としての溶融樹脂流れに固相の溶けていない部分が少なくて、可塑化プロセスの早期の段階から安定した可塑化の達成が可能である。これは実験により確認されており、このような構成によると、樹脂材料の量を増やそうが減らそうが、可塑化能力には影響が無かった。
可塑化の安定化とは別に、色の配合、或いは樹脂材料の混練機能と云う点に注目すると、樹脂材料に色を付ける数%の顔料を混ぜ合わせると、ソリッドベッド(SB)内ではかき混ぜる能力が小さいので混練能力は小さくなり、色が混ざり難くなり、それを解決するために各社各様に混練機能を考えたスクリューを作っている。
本願発明のスクリュー構成を備えた射出成形方法及び射出成形機は、基端側(ホッパ側)から先端側(ノズル側)に向かう主流としての溶融樹脂流れに加えて、スクリュー溝Mを構成するフライト33とフライト33の間の支流形成開口部37(切欠き部)を通る支流を構成することは新規なものである。また、これにより樹脂材料が行ったり来たりすることも可能としている点も新規なものである。従来の平行フライト構成だと、樹脂材料は同じスクリュー溝を辿って圧送されていくが、本願発明では、主流としての溶融樹脂流れに加えて、フライト33の一部に支流を形成する支流形成開口部としての切欠き37を設けるものである。これによって、スクリュー溝Mの第1リードと第2リードの間を樹脂材料が行ったり来たりして踊るような動作も可能な支流を形成することが可能であり、固液両相の混練が促進されるものである。
異なるピッチの複数条のスクリュー溝Mを備えたスクリューを用いる場合には、スクリュー溝M間に上述の支流が形成されるように構成すれば、スクリュー溝M内の未溶融部(ソリッドベッドSB)の部分に隣り合って先行するスクリュー溝M内のメルトプール(MP)の一部分が飛び込めるように、或いは、それと逆方向に、スクリュー溝M内の未溶融部(ソリッドベッドSB)の一部分が隣り合って先行するスクリュー溝M内のメルトプール(MP)の部分に飛び込めるように、フライト33に支流形成部としての切欠き部37が形成されているものである。
フライトに切欠き部を形成すること自体は、ダルメージスクリューにおいて、溶けた樹脂材料を掻き混ぜる形状として従来から知られている形状であった。しかし、従来は、溶けた樹脂材料を溶けた後に掻き混ぜようとするために、従来のダルメージ部は、スクリューの比較的先端側に形成されていた。従来の混練・溶融モデルにおいては、樹脂材料が溶けて行く形態の中でソリッドベッド(SB)ができるものであり、それを主流としての溶融樹脂流れの中で溶融させて液化するものである。つまり、従来の混練・溶融モデルでは、樹脂材料が溶けていないスクリューの位置でダルメージを付けるとした発想はないものである。
それに対して、本願発明は、螺旋状のフライト33に支流形成開口部37(切欠き部)を形成し、可塑化プロセスの中で比較的早期の段階から、固相のソリッドベッド(SB)の混練帯域内に、先行するスクリュー溝M内の液相のメルトプール(MP)の一部分を強制的に導き入れることにより、固液両相を強制的に混練してソリッドベッド(SB)の溶融を促進するものである。或いは、本願発明は、固相のソリッドベッド(SB)の一部分を、先行するスクリュー溝M内の液相のメルトプール(MP)内に強制的に導き入れることにより、固液両相を強制的に混練してソリッドベッド(SB)の溶融を促進するものでもある。
更により具体的には、本願発明の一つの態様においては、1条のスクリュー溝Mとそれに先行するスクリュー溝Mの間のフライト33に、樹脂流れの支流を形成するように支流形成開口部37(切欠き部)を構成し、1条のスクリュー溝M内の固相状態のソリッドベッド(SB)部分に対して、先行するスクリュー溝M内の液相状態のメルトプール(MP)の一部分を強制的に導き入れて、溶けていない固相部分と溶けている液相部分を可塑化プロセスの早期の段階から混練させて溶融を促進するものである。つまり、従来のスクリューの中央部分に配置される圧縮部と称されるフライト部分に支流形成部としての切欠き部37を設けて、スクリュー溝M内にソリッドベッド(SB)の部分にメルトプール(MP)の一部分を導入して固液両相を強制的に混練した固相の溶融を促進するようにしたものである。これにより、可塑化プロセスの早い段階でソリッドベッド(SB)とメルトプール(MP)とが入り混じるように強制的に混練するものである。また、本願発明は、先行するスクリュー溝M内のメルトプール(MP)の部分にソリッドベッド(SB)の一部分を導入して固液両相を強制的に混練した固相の溶融を促進するようにしても良い。
しかし、切欠き部37を形成する位置は適宜選択できるものであり、スクリューの圧縮部か否かにとらわれるものではない。このように、従来の射出成形モデルでの射出成形方法と本願発明の射出成形モデルでの射出成形方法では混練・溶融の挙動に関した考え方が全く相違するものである。
本願発明は、別の言い方で表現するとすれば、1条のスクリュー溝Mの固相のソリッドベッド(SB)の一部分、或いは、先行するスクリュー溝Mの液相のメルトプール(MP)の一部分が、支流形成開口部37(切欠き部)を通して混練帯域内に自由に導入されて固相・液相の両相が踊るように強制的に混練されることによって良い結果が得られる。このような構成により、スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)部の混練帯域内に、先行するスクリュー溝内のメルトプール(MP)の一部分を導入して固相のソリッドベッド(SB)に強制的にかき混ぜて固相部の溶融を促進して、大きなソリッドベッド(SB)として滞留させることがないものである。また或いは、先行するスクリュー溝内のメルトプール(MP)部の混練帯域内に、隣接する1条のスクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の一部分を導入して、固液両相を強制的に混練して固相部の溶融を促進するものである。
従来の混練・溶融モデルにおいては、主流としての溶融樹脂流れに沿って、ソリッドベッド(SB)の部分がだんだん小さくなるように溶けていくものであるが、本願発明の混練・溶融モデルでは、可塑化プロセスの早期の段階から、溶けている樹脂材料(メルトプールMP)と、溶けていない樹脂材料(ソリッドベッドSB)とを同じフライトの中で強制的に混ぜ合せることにより、混練して固相の溶融を促進するとの考え方から成るものである。これに対して、従来のサブフライトの考え方は、順次フライトの間隔を狭くしていくことにより過度に圧力を掛けてすり潰して強引に溶かすという考え方である。
本願発明の射出成形方法及び射出成形機に用いられるスクリュー30は、図2に示すように、後方のホッパ側の供給部30-1と前方のノズル側の混練部30-2から成る。このスクリュー30は、図2に示すように、スクリュー全長の後方の約1/2が供給部30-1であり、前方の約1/2が混練部30-2である。この供給部30-1から混練部30-2への遷移部は、スクリュー全長の中央部分が望ましい。ここで、中央部分とは、スクリュー全長の正確に1/2の位置との意味ではなく、スクリュー全長の中間部分の位置であり、中間部分の位置であれば、樹脂の種類や成形条件によって、遷移部の位置を前後に変更することは可能である。しかし、略中央部分に位置することが望ましい。それにより、可塑化プロセスの早期の段階で急速に混練・溶融を達成できる。図2(b)の符号32はスクリューヘッドであり、図2(c)の符号21は加熱シリンダであり、符号32はスクリューヘッドである。ホッパから加熱シリンダ21内に供給された樹脂材料は、複数の加熱ヒータ26により加熱されながら、スクリュー30の回転により溶融されてノズル側の前方に移送される。
更に、本願発明のスクリュー30の混練部30-2の詳細は図3に示されており、ダルメージが形成された混練溝深さ変化部30-3と、ダルメージが形成された混練溝深さ一定部30-4とから成っている。図2及び図3に示した本願発明のスクリュー30の実施例では、混練溝深さ変化部30-3と混練溝深さ一定部30-4との軸方向の長さは略等しい長さに形成しているが、成形に用いる材料等により適宜変更することは可能である。
スクリュー30のスクリュー軸径Dは、混練溝深さ変化部30-3のホッパ側の後方でD1、混練溝深さ変化部30-3と混練溝深さ一定部30-4との遷移部でD2、混練溝深さ一定部30-4のノズル側の前方でD3とすると、
D1<D2
D2=D3 である。
これにより、混練溝深さ変化部30-3での溝底までの深さが変化し、混練溝深さ一定部30-4での溝底までの深さが一定に形成される。混練溝深さ変化部30-3での溝底までの深さの変化は一定の傾斜角で連続的に変化させるのが望ましい。勿論、この変化率(傾斜角)を連続的、或いは段階的に変化するように変えることも可能である。
このように、本願発明のスクリュー30では、スクリュー30の中央部分からノズル側の前方に向けて全体的にフライト33が形成されており、そのフライト33には、支流形成部としての切欠き部37が形成され、ダルメージを構成している。
本願発明の射出成形用スクリュー30は、回転軸部31と、該回転軸部31の外周面に突設して設けられた螺旋状のフライト33とを備えており、該フライト33には、スクリュー30の中央部分からスクリュー30の先端部に向けて、フライト33の一部区間に支流形成部としての支流形成開口部(切欠き部)37を構成している。これにより、1条のスクリュー溝Mと、それに先行するスクリュー溝Mとの間に樹脂の一部を導き入れる支流を形成することができる。
さらに、本願発明の射出成形用スクリュー30は、フライト33が、少なくとも前記回転軸部31の軸方向の一部区間において複数条設けられ、支流形成開口部37が、複数条のフライト33のうちの少なくとも1つのフライト33に設けられる。この場合は、この支流形成開口部37が、該1つのフライト33を挟んで後方側(ホッパ側)にあるスクリュー溝Mと前方側(ノズル側)にあるスクリュー溝Mとを連通する切欠き部37である。さらに、本願発明の射出成形用スクリュー30では、支流形成開口部37が、互いに隣り合う2つのフライト33に設けられ、これら隣り合うフライト33に設けられた支流形成開口部37が、互いに周方向にずれて配置されている。
本願発明においては、スクリュー溝M内のソリッドベッド(SB)は、スクリューの回転により樹脂材料を主流の溶融樹脂流れに沿って前方に圧送されるので、フライト33に接しながら送られ、その際に、フライト33に支流形成開口部としての切欠き部37が形成されていることにより、ソリッドベッド(SB)部分に先行する別のフライトのスクリュー溝M内の溶けた部分(メルトプールMP)が混ぜられる。また、ソリッドベッド(SB)の一部分が、先行する別のフライトのスクリュー溝M内の溶けた部分(メルトプールMP)に混ぜられる。
このように、従来方法の混練・溶融モデルでは、溶融樹脂流れの主流に沿って、順次メルトフィルム(MF)を成長させ、それを掻き取ってメルトプール(MP)として、溶けていない部分(ソリッドベッドSB)をだんだん小さくするものであった。これに対して、本願発明の混練・溶融モデルは、フライト33の一部分に形成した支流形成開口部としての切欠き部37により、可塑化プロセスの早期の段階から、溶けていない固相部分(ソリッドベッドSB)に先行するスクリュー溝M内の溶けている液相部(メルトフィルムMF)の一部分を混練させて、溶けていない固相部分(ソリッドベッドSB)を急速に溶かすものである。また、可塑化プロセスの早期の段階から、溶けていない固相部分(ソリッドベッドSB)を、先行するスクリュー溝M内の溶けている液相部部(メルトフィルムMF)に導入して混練して、溶けていない固相部分(ソリッドベッドSB)を急速に溶かすものである。この手法は、スクリューの中央部分に配置された圧縮部から実行される。
本願発明は、可塑化プロセスの早期の段階から、スクリュー溝Mの混練帯域内で強制的に固液両相を共存させ、強制的な固液相混練帯域を作ることができる射出成形方法及び射出成形機に関するものである。つまり、これは全く新規な射出成形モデルに基づいた射出成形方法及び射出成形機に関するものである。具体的には、スクリュー全長に渡って20ピッチのスクリューによる射出成形機の場合は、基端部から1/2(10ピッチ)程度の位置から切欠き部37を形成して、固液相混練状態を作るものである。本願発明の射出成形方法及び射出成形機に用いられるスクリューは、基端部の供給部(30-1)ではメインフライト部が形成されており、スクリュー全長の中央部分の1/2程度近くの位置からの混練部(30-2)では多条のフライトを形成し、その多条のフライトに支流形成開口部としての切欠き部37を形成する。これにより、可塑化プロセスの早期の段階から固液相混練帯域を作るものである。この固液相混練帯域の形成位置は、大よそスクリュー全体の中央部分の1/2の位置近傍が好ましいが、最適位置は、樹脂材料の種類によって違うものである。その位置は、スクリューの回転による樹脂の溶融開始位置から形成するのが良い。
本願発明は、新規な樹脂の混練・溶融モデルによる射出成形方法、射出成形機、及びそれに使用するスクリューに関するものであるが、スクリューの外周のフライトの形成は、供給部分の最初から多条ネジを形成することも可能である。また、フライトの支流形成開口部としての切欠き部37の形成は、固液相混練帯域だけのフライトに形成する態様でも良く、また、図示はしていないが、計量部では切欠き部37のないフライトにしても良い。
本願発明において、フライトの支流形成開口部としての切欠き部37は、強制的に固液相混練帯域を形成するものであり、その切欠き部37を形成する開始位置は、スクリュー全長の基端部から1/2近傍の位置が望ましい。本願発明の具体的実施例の一つとして示すものは、具体的には、スクリュー全長の基端部から1/2の位置から3/4の位置において形成された多条ネジのフライトに切欠き部37を形成するものである。
従来の考え方からすれば、サブフライト部をスクリューの圧縮部から形成するなどとする考え方は、当業者のスクリューメーカーからすると、非常識のものであり、このようなスクリューでは計量が不可能であるとされていたものである。
本願発明の具体的実施態様としては、スクリュー全長の基端部から1/2の位置から3/4の位置において形成された多条ネジのフライトに、支流形成部としての切欠き部37を形成するものであるが、図5及び図6に示したスクリューの圧縮部のフライトに切欠き部を設けたものでも良い。
上記で実施形態を説明したが、本願発明はこれらの例に限定されるものではない。前述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本願発明の要旨を備えている限り、本願発明の範囲に含まれる。勿論、本願発明は押出し装置においても同じに適用可能である。
1…射出成形機、2…機台、10…型締ユニット、11…トグルリンク機構、12…可動ダイプレート、13…可動金型、14…固定ダイプレート、15…固定金型、20…射出ユニット、21…加熱シリンダ、21a…内面、22…射出ノズル、23…支持部材、24…ホッパ、24a…供給口、25…ホッパブロック、26…加熱ヒータ、30…スクリュー(射出成形用スクリュー)、30-1…供給部、30-2…混練部、30-3…混練溝深さ変化部、30-4…混練溝深さ一定部、31…回転軸部、32…スクリューヘッド、33…フライト、34…供給部のフライト部分、34a…基端側面、35…圧縮部のフライト部分、35a…基端側面、36…計量部のフライト部分、36a…基端側面、37…支流形成部としての切欠き部、121…加熱シリンダ、130…射出成形用スクリュー、133…フライト、L…軸線、M…スクリュー溝、SB…ソリッドベッド、MF…メルトフィルム、MP…メルトプール。

Claims (8)

  1. 円柱状の回転軸と、当該回転軸の外周面に突設して設けられた螺旋状フライトと、を備えた射出成形用スクリュー(ただし、前記回転軸の外周面における前記螺旋状フライトにより形成されたスクリュー溝の部分に突設物が設けられたものを除く。)を用いた射出成形方法であって、
    前記射出成形用スクリューの中央部分から先端部に向けて複数条の前記螺旋状フライトが形成された混練部が設けられ、
    前記混練部が、後方側から前方側に順に並ぶ、混練溝深さ変化部と、混練溝深さ一定部と、を有し、
    前記混練溝深さ変化部における前記スクリュー溝の深さが、後方側から前方側に向かうにしたがって連続的または段階的に小さくなり、
    前記混練溝深さ一定部における前記スクリュー溝の深さが、一定であり、
    前記複数条の前記螺旋状フライトのそれぞれが、当該螺旋状フライトを挟んで後方側にある前記スクリュー溝と前方側にある先行する前記スクリュー溝とを連通し、当該螺旋状フライトの一部区間に支流を形成する切欠き部を有し、
    前記切欠き部が、前記混練溝深さ変化部に配置され、
    前記混練部において、一の前記螺旋状フライトの前記切欠き部と、当該一の前記螺旋状フライトに隣接する他の前記螺旋状フライトの前記切欠き部と、が周方向にずれて配置されており、
    樹脂材料をホッパから加熱シリンダ内に供給し、該加熱シリンダ内で前記射出成形用スクリューを回転して、ホッパから供給された樹脂材料を前記螺旋状フライトにより形成された前記スクリュー溝内で混練・溶融しながら前方に送る際に、
    前記切欠き部を通して、前記スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の一部分、又は、先行する前記スクリュー溝内のメルトプール(MP)の一部分を固液相混練帯域内に強制的に導き入れることにより、樹脂材料の固液両相を可塑化プロセスの早期に混練して固相の溶融を促進させ、
    その後、前記射出成形用スクリューを所定回転数だけ回転させつつ後退させて、前記混練・溶融された樹脂材料を計量し、
    この計量動作の後に、前記射出成形用スクリューを前進させて、計量された溶融樹脂材料を射出ノズルを通して型閉された金型のキャビティ内へ射出することを特徴とする射出成形方法。
  2. 前記切欠き部を通しての前記スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の一部分、又は、先行する前記スクリュー溝内のメルトプール(MP)の一部分の前記固液相混練帯域への強制的な導入は、前記スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の部分に、先行する前記スクリュー溝内のメルトプール(MP)の一部分を、前記切欠き部を通して強制的に導き入れることである、請求項1記載の射出成形方法。
  3. 前記切欠き部を通しての前記スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の一部分、又は、先行する前記スクリュー溝内のメルトプール(MP)の一部分の前記固液相混練帯域への強制的な導入は、前記スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の一部分を、先行する前記スクリュー溝内のメルトプール(MP)内へ、前記切欠き部を通して強制的に導き入れることである、請求項1記載の射出成形方法。
  4. 複数の加熱ヒータを備えた加熱シリンダと、前記加熱シリンダに樹脂材料を供給するホッパと、前記加熱シリンダ内に回転および前後進可能に収容された射出成形用スクリューと、を備えた射出ユニットを備えた射出成形機であって
    前記射出成形用スクリューが、円柱状の回転軸と、当該回転軸の外周面に突設して設けられた螺旋状フライトと、を備え(ただし、前記回転軸の外周面における前記螺旋状フライトにより形成されたスクリュー溝の部分に突設物が設けられたものを除く。)、
    前記射出成形用スクリューの中央部分から先端部に向けて複数条の前記螺旋状フライトが形成された混練部が設けられ、
    前記混練部が、後方側から前方側に順に並ぶ、混練溝深さ変化部と、混練溝深さ一定部と、を有し、
    前記混練溝深さ変化部における前記スクリュー溝の深さが、後方側から前方側に向かうにしたがって連続的または段階的に小さくなり、
    前記混練溝深さ一定部における前記スクリュー溝の深さが、一定であり、
    前記複数条の前記螺旋状フライトのそれぞれが、当該螺旋状フライトを挟んで後方側にある前記スクリュー溝と前方側にある先行する前記スクリュー溝とを連通し、当該螺旋状フライトの一部区間に支流を形成する切欠き部を有し、
    前記切欠き部が、前記混練溝深さ変化部に配置され、
    前記混練部において、一の前記螺旋状フライトの前記切欠き部と、当該一の前記螺旋状フライトに隣接する他の前記螺旋状フライトの前記切欠き部と、が周方向にずれて配置されており、
    前記射出成形機が、前記ホッパから供給された樹脂材料を前記螺旋状フライトにより形成された前記スクリュー溝内に収容し、回転により前記スクリュー溝内の樹脂材料を混練・溶融しながら前方に送るように構成されており
    前記切欠き部を通して、前記スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の一部分、又は、先行する前記スクリュー溝内のメルトプール(MP)の一部分を固液相混練帯域内に強制的に導き入れることにより、可塑化プロセスの早期に固液両相の樹脂材料を混練して固相の溶融を促進するように構成したことを特徴とする射出成形機。
  5. 前記切欠き部を通しての前記スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の一部分、又は、先行する前記スクリュー溝内のメルトプール(MP)の一部分の前記固液相混練帯域への強制的な導入は、前記スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の部分に、先行する前記スクリュー溝内のメルトプール(MP)の一部分を、前記切欠き部を通して強制的に導き入れることである、請求項記載の射出成形機。
  6. 前記切欠き部を通しての前記スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の一部分、又は、先行する前記スクリュー溝内のメルトプール(MP)の一部分の前記固液相混練帯域への強制的な導入は、前記スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の一部分を、先行する前記スクリュー溝内のメルトプール(MP)内へ、前記切欠き部を通して強制的に導き入れることである、請求項記載の射出成形機。
  7. 円柱状の回転軸と、該回転軸の外周面に突設して設けられた螺旋状フライトとを備えた射出成形用スクリュー(ただし、前記回転軸の外周面における前記螺旋状フライトにより形成されたスクリュー溝の部分に突設物が設けられたものを除く。)であって
    前記射出成形用スクリューの中央部分から先端部に向けて複数条の前記螺旋状フライトが形成された混練部が設けられ、
    前記混練部は、後方側から前方側に順に並ぶ、混練溝深さ変化部と、混練溝深さ一定部と、を有し、
    前記混練溝深さ変化部における前記スクリュー溝の深さが、後方側から前方側に向かうにしたがって連続的または段階的に小さくなり、
    前記混練溝深さ一定部における前記スクリュー溝の深さが、一定であり、
    前記複数条の前記螺旋状フライトのそれぞれが、当該螺旋状フライトを挟んで後方側にある前記スクリュー溝と前方側にある先行する前記スクリュー溝とを連通し、当該螺旋状フライトの一部区間に支流を形成する切欠き部を有し、
    前記切欠き部が、前記混練溝深さ変化部に配置され、
    前記混練部において、一の前記螺旋状フライトの前記切欠き部と、当該一の前記螺旋状フライトに隣接する他の前記螺旋状フライトの前記切欠き部と、が周方向にずれて配置されており、
    前記切欠き部を通して、可塑化プロセスの早期に固液相混練帯域を構成できるように、前記スクリュー溝内のソリッドベッド(SB)の一部分、又は、先行する前記スクリュー溝内のメルトプール(MP)の一部分を、当該固液相混練帯域に強制的に導き入れるように前記切欠き部を構成したことを特徴とする射出成形用スクリュー。
  8. 前記螺旋状フライトの前記切欠き部における前方を向く開口が、当該切欠き部における後方を向く開口に対して、当該螺旋状フライトの延在方向前方側にずれて配置されている、請求項7記載の射出成形用スクリュー。
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