JP7252727B2 - ポリカーボネート系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1は、芳香族ポリカーボネート樹脂と、有機金属塩化合物と、ポリテトラフルオロエチレンとを含む難燃光拡散ポリカーボネート樹脂組成物に関する。特許文献2は、分岐状ポリカーボネートと芳香族ポリカーボネートからなるポリカーボネートと、難燃剤、ポリテトラフルオロエチレンを含む難燃光拡散ポリカーボネート樹脂組成物に関する。特許文献3は、特定のポリオキシアルキレングリコールを含有させることにより、光線透過率及び輝度を向上させた芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物に関する。特許文献4は、芳香族ポリカーボネート樹脂と、ポリアルキレングリコール又はその脂肪酸エステルとを含む導光板用芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
従って、本発明は、透明性、特に全光線透過率に優れるポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とする。さらに、優れた透明性(高い全光線透過率)と難燃性、特に薄肉難燃性を両立したポリカーボネート系樹脂組成物を提供することを目的とする。
[2]前記含フッ素化合物(B)は、炭化水素の水素原子がすべてフッ素で置換された炭化水素構造として、パーフルオロアルキレン単位を有する含フッ素化合物(B1)及びパーフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物(B2)からなる群から選択される少なくとも1種である、上記[1]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[3]ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対し、パーフルオロアルキレン単位を有する含フッ素化合物(B1)を0.13質量部以下含む、上記[2]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[4]パーフルオロアルキレン単位を有する含フッ素化合物(B1)が、ポリテトラフルオロエチレンである、上記[2]または[3]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[5]前記ポリテトラフルオロエチレンが、水性分散型またはアクリル被覆されたポリテトラフルオロエチレンである、上記[4]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[6]パーフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物(B2)が、パーフルオロアルキルスルホン酸金属塩である、上記[2]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[7]パーフルオロアルキルスルホン酸金属塩が、ノナフルオロブタンスルホン酸カリウムである、上記[6]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[8]含フッ素化合物(B)の平均粒子径が、0.05μm以上1.0μm以下である、上記[1]~[6]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[9]ポリエーテル(C)の数平均分子量が200以上10,000以下である、上記[1]~[8]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[10]前記ポリカーボネート系樹脂(A)中における前記分岐状ポリカーボネート系樹脂(A-1)の含有量が0質量%を超え、かつ前記ポリカーボネート系樹脂(A)中の分岐率が0.01モル%以上3.0モル%以下である、上記[1]~[9]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[11]前記ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対するパーフルオロアルキレン単位を有する含フッ素化合物(B1)の含有量と、前記ポリカーボネート系樹脂(A)中の分岐率との積が0.030以上である、上記[10]に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[12]前記ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対し、前記ポリエーテル(C)を0.6質量部以下含む、上記[1]~[11]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[13]前記ポリエーテル(C)が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシトリメチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール-ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール-ポリオキシプロピレングリコール、及びポリオキシテトラメチレングリコール-ポリオキシエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種である、上記[1]~[12]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[14]難燃剤をさらに含有する、上記[1]~[13]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[15]酸化防止剤をさらに含有する、上記[1]~[14]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[16]紫外線吸収剤をさらに含有する、上記[1]~[15]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[17]光拡散剤をさらに含有する、上記[1]~[16]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
[18]下記方法Aで測定され、3mm厚部分の全光線透過率が70%以上である、上記[1]~[17]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
方法A:ポリカーボネート系樹脂組成物から得られたペレットを用いて、310℃の成形温度、95℃の金型温度で、3段プレート90mm×50mm(3mm厚部分:45mm×50mm、2mm厚部分:22.5mm×50mm、1mm厚部分:22.5mm×50mm)の試験片を射出成形法により作成し、JIS K 7375:2008に準拠して、全光線透過率を測定する。
[19]前記方法Aで測定される、3mm厚部分と1mm厚部分の全光線透過率の比(3mm厚の全光線透過率/1mm厚の全光線透過率)が0.70以上である、上記[18]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[20]1.0mm厚に成形した際に、UL94規格においてV-2、V-1またはV-0のいずれかの結果が得られることを特徴とする、上記[1]~[19]のいずれか1つに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[21]上記[1]~[20]のいずれか1つに記載のポリカーボネート系樹脂組成物からなる成形品。
以下、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形品について詳細に説明する。本明細書において、好ましいとされている規定は任意に採用することができ、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましいといえる。本明細書において、「XX~YY」の記載は、「XX以上YY以下」を意味する。
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A-1)、及び該樹脂(A-1)以外の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A-2)の少なくとも一方を含むポリカーボネート系樹脂(A)を含む。
分岐状ポリカーボネート系樹脂(A-1)は、分岐構造を有するポリカーボネート系樹脂であれば特に限定されないが、例えば、下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、かつ下記一般式(II)で表される分岐構造を有するものを挙げることができる。
[式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を示す。Xは単結合、炭素数1~8のアルキレン基、炭素数2~8のアルキリデン基、炭素数5~15のシクロアルキレン基、炭素数5~15のシクロアルキリデン基、-S-、-SO-、-SO2-、-O-又は-CO-を示す。a及びbはそれぞれ独立に、0~4の整数を示す。]
[式中、Rは水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を示し、R11~R16はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又はハロゲン原子を示す。PCはポリカーボネート部分を示し、f、g及びhは整数を表す。]
R1及びR2がそれぞれ独立して示すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基(「各種」とは、直鎖状及びあらゆる分岐鎖状のものを含むことを示す。以下、明細書中同様である。)、各種ペンチル基、及び各種ヘキシル基が挙げられる。R1及びR2がそれぞれ独立して示すアルコキシ基としては、アルキル基部位として前記アルキル基を有するものが挙げられる。
ポリカーボネート系樹脂の製造時に、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A-1)の原料である二価フェノール化合物、分岐剤及び末端停止剤の総モル数に対して、後述する分岐剤を0.01モル%以上3.0モル%以下加えることにより、上記範囲の分岐率を有する分岐状ポリカーボネート系樹脂を得ることができる。
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A-2)は、上記分岐状ポリカーボネート系樹脂(A-1)以外の非分岐状ポリカーボネート系樹脂であり、好ましくは下記一般式(IV)で表される繰り返し単位を有する。
[式中、R21及びR22はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を示し、X’は単結合、炭素数1~8のアルキレン基、炭素数2~8のアルキリデン基、炭素数5~15のシクロアルキレン基、炭素数5~15のシクロアルキリデン基、-S-、-SO-、-SO2-、-O-又は-CO-を示し、t及びuは、それぞれ独立に0~4の整数を示す。]
芳香族ポリカーボネート系樹脂(A-2)として複数種のポリカーボネートブロックを含む場合には、t及びuが0であり、X’がイソプロピリデン基であるものが好ましくは90質量%以上、より好ましくは90.9質量%以上、さらに好ましくは93.3質量%以上、特に好ましくは95質量%以上、最も好ましくは100質量%であることが透明性の観点から好ましい。
粘度平均分子量(Mv)は、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A-1)と同様に、Schnellの式にて算出した。
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物に含まれるポリカーボネート系樹脂(A)は、上述した分岐状ポリカーボネート系樹脂(A-1)と、該樹脂(A-1)以外の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A-2)の少なくとも一方を含むが、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A-1)の含有量が0質量%を超えることが、高い難燃性を得る観点から好ましい。分岐状ポリカーボネート系樹脂(A-1)の含有量は、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらにより好ましくは65質量%以上、特に好ましくは70質量%以上であり、100質量%であってもよい。芳香族ポリカーボネート系樹脂(A-2)の含有量は、上記分岐状ポリカーボネート系樹脂(A-1)の残部である。
ポリカーボネート系樹脂(A)の分岐率は、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A-1)及び該樹脂(A-1)以外の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A-2)の製造に用いた二価フェノール由来の構造単位、分岐剤由来の構造単位及び末端単位の総モル数に対する分岐剤由来の構造単位のモル数(分岐剤由来の構造単位のモル数/(二価フェノール由来の構造単位+分岐剤由来の構造単位+末端単位)の総モル数×100(mol%で表す))を意味する。分岐率は1H-NMR測定により実測することができる。
ポリカーボネート系樹脂(A)を構成する分岐状ポリカーボネート系樹脂(A-1)と、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A-2)とは、それぞれ、有機溶媒中、二価フェノールとホスゲンとを反応させてポリカーボネートオリゴマーを製造する工程(1)、続く該ポリカーボネートオリゴマーと二価フェノールと末端停止剤とを反応させてポリカーボネート系樹脂を製造する工程(2)から製造することができる。
本工程においては、有機溶媒中、二価フェノールとホスゲンとを反応させて、クロロホーメート基を有するポリカーボネートオリゴマーを製造する。
二価フェノールとしては、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A-1)の場合は、下記一般式(i)で表される化合物を、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A-2)の場合は、下記一般式(ii)であらわされる化合物を用いることが好ましい。
[式中、R1、R2、a、b及びXは上述した通りである。]
[式中、R21、R22、t、u及びX’は上述した通りである。]
これらの中でも、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系二価フェノールが好ましく、ビスフェノールAがより好ましい。二価フェノールとしてビスフェノールAを用いた場合、上記一般式(I)において、Xがイソプロピリデン基であり、且つa=b=0の分岐状ポリカーボネート系樹脂(A-1)、上記一般式(II)においてX’がイソプロピリデン基であり、且つt=u=0の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A-2)が得られる。
工程(2)においては、工程(1)で得られたポリカーボネートオリゴマー、及び二価フェノールと末端停止剤とを反応させてポリカーボネート系樹脂を製造する。ポリカーボネートオリゴマーと二価フェノールとを重縮合反応させて、分子量を目的の分子量範囲に調整する。得られるポリカーボネート系樹脂の粘度平均分子量が上述した範囲内となるまで、重縮合反応を行う。
具体的には、工程(1)で分離されたポリカーボネートオリゴマーを含む有機溶媒相と、所望により用いられる末端停止剤と、所望により用いられる重合触媒と、有機溶媒と、アルカリ水溶液と、二価フェノールのアルカリ水溶液とを混合し、通常0~50℃、好ましくは20~40℃の範囲の温度において界面重縮合させる。
工程(2)で使用される反応器は、反応器の処理能力次第では1基の反応器のみで反応を完結することができるが、必要に応じて、後続する2基目の反応器、さらには3基目の反応器等の複数の反応器を使用することができる。これらの反応器としては、撹拌槽、多段塔型撹拌槽、無撹拌槽、スタティックミキサー、ラインミキサー、オリフィスミキサー、及び/又は配管などを用いることができる。
任意の分岐剤を加えることにより、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A-1)を製造することができる。分岐剤を加えないことにより、芳香族ポリカーボネート系樹脂(A-2)を製造することができる。分岐剤は上記工程(1)及び/または(2)のいずれにも加えることができる。工程(1)で加える際は、二価フェノール及びホスゲンと共に加えて反応させる。使用する分岐剤により相違するが、後述する一般式(iii)で表わされる分岐剤は、アルカリ水溶液に溶解させることができるので、アルカリ水溶液に溶解させて導入することが望ましい。また、アルカリ水溶液に溶解させることが困難な分岐剤は、塩化メチレン等の有機溶媒に溶解させて導入することが望ましい。
Rが示す炭素数1~5のアルキル基とは、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基若しくはn-ペンチル基等である。R11~R16が示す炭素数1~5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基等を挙げることができ、ハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、フッ素原子等を挙げることができる。
重合触媒は、上記工程(1)及び工程(2)のいずれにおいても用いることができ、例えばアミン系触媒を用いることができる。
アミン系触媒としては第三級アミン若しくはその塩、又は第四級アンモニウム塩を用いることができる。第三級アミンとしては、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、ジメチルアニリンなどが挙げられ、また三級アミン塩としては、これらの三級アミンの塩酸塩、臭素酸塩などが挙げられる。第四級アンモニウム塩としては、例えばトリメチルベンジルアンモニウムクロリド、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド、トリブチルベンジルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミドなどを挙げることができる。アミン系触媒としては、第三級アミンが好ましく、特にトリエチルアミンが好適である。これらの触媒は、液体状態ものであればそのまま、または有機溶媒や水に溶解させて導入することができる。また固体状態ものは、有機溶媒や水に溶解させて導入することができる。
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、含フッ素化合物(B)を含む。含フッ素化合物は、炭化水素構造の水素原子がすべてフッ素で置換された炭化水素構造を有する含フッ素化合物である。含フッ素化合物(B)としては、パーフルオロアルキレン単位を有する含フッ素化合物(B1)及びパーフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物(B2)からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。含フッ素化合物(B)が含まれることにより、ポリカーボネート系樹脂組成物の難燃性をさらに高めることができる。
含フッ素化合物(B1)は、炭化水素の水素原子がすべてフッ素で置換された炭化水素構造として、パーフルオロアルキレン単位を有する。かかる含フッ素化合物(B1)としては、フィブリル形成能を有する含フッ素ポリマーを挙げることができ、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等)等を挙げることかできる。好ましくはポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと称することがある)である。含フッ素化合物(B1)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
含フッ素化合物(B2)は、炭化水素の水素原子がすべてフッ素で置換された炭化水素構造として、パーフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物である。含フッ素化合物(B2)としては、含フッ素有機金属塩化合物を挙げることができる。含フッ素有機金属塩化合物は、パーフルオロアルキル基を有する有機酸からなるアニオン成分と、金属イオンからなるカチオン成分とからなる金属塩化合物である。より好適な具体例としては、パーフルオロアルキル基を有するスルホン酸の金属塩、パーフルオロアルキル基を有する硫酸エステルの金属塩、およびパーフルオロアルキル基を有するリン酸エステルの金属塩を挙げることができる。含フッ素化合物(B2)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
含フッ素化合物の平均粒子径は、具体的には電気泳動光散乱法により測定される。
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、ポリオキシアルキレン構造を有するポリエーテル(C)を含有する。当該ポリオキシアルキレン構造を有するポリエーテル(C)は、(RC1O)mで表されるポリオキシアルキレン構造及び(RC2O)nで表されるポリオキシアルキレン構造を有することが好ましい。ここで、RC1及びRC2はそれぞれ独立に、炭素数1以上のアルキレン基を示す。m+nは5以上300未満であり、好ましくは10~200、より好ましくは20~100である。
m個のRC1O基において、複数のRC1は互いに同一のアルキレン基でもよく、炭素数の異なるアルキレン基であってもよい。すなわち、(RC1O)mで表されるポリオキシアルキレン基は、ポリオキシエチレン基やポリオキシプロピレン基等の単一のオキシアルキレン単位を繰り返し単位として有するものに限定されず、オキシエチレン単位及びオキシプロピレン単位など炭素数の異なる複数のオキシアルキレン単位を繰り返し単位として有するものであってもよい。
RC2もRC1と同様であり、n個のRC2O基において、複数のRC2は互いに同一のアルキレン基でもよく、炭素数の異なるアルキレン基であってもよい。
上記RC1及びRC2で示されるアルキレン基の中でも、特に、RC1及びRC2が、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基から選択されたアルキレン基であり、かつ、RC1及びRC2の少なくとも1つは、エチレン基又はプロピレン基のいずれかであることが、初期色調を改善する観点から好ましい。
RC3O-(RC1O)m-A-(RC2O)n-RC4 (V)
(式中、RC1及びRC2はそれぞれ独立に、炭素数1以上のアルキレン基を示す。m+nは5以上300未満である。RC3及びRC4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~30の炭化水素基、炭素数1~30のアルカノイル基、炭素数2~30のアルケノイル基、又はグリシジル基を示す。Aは、単結合又は2価の有機基を示す。)
アルキル基及びアルケニル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アリル基、プロペニル基、各種ブテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、メチルベンジル基等が挙げられる。
RC3及びRC4で示される炭素数2~30のアルケノイル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えばエテノイル基、n-プロペノイル基、イソプロペノイル基、n-ブテノイル基、tert-ブテノイル基、n-ヘキセノイル基、n-オクテノイル基、n-デセノイル基、n-ドデセノイル基等が挙げられる。中でも、低分子量とする観点、相溶性や溶解性の観点及び製造容易性の観点から、炭素数2~10のアルケノイル基が好ましく、炭素数2~6のアルケノイル基がより好ましい。
環状ポリエーテル化合物(C-3)の具体例としては、18クラウン6、ジベンゾ18クラウン6等が挙げられる。
前記ポリエーテル(C)としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシトリメチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール-ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール-ポリオキシプロピレングリコール、及びポリオキシテトラメチレングリコール-ポリオキシエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
また、分岐状ポリカーボネート系樹脂(A-1)を含まない場合、含フッ素化合物(B)/ポリエーテル(C)の質量比は1.00以上であることが好ましい。この範囲を満たす場合に、含フッ素化合物(B)の凝集が抑制できると同時に優れた難燃性を得ることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、上述の成分(A)~(C)の他に、透明性や色調、難燃性に悪影響を与えない範囲で、各種の添加剤を含有させることができる。これらの添加剤として、例えば、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光拡散剤等を挙げることができる。
上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属(以下、両者を合わせて「アルカリ(土類)金属」と記載することがある)の有機スルホン酸塩としては、芳香族スルホン酸とアルカリ金属又はアルカリ土類金属との金属塩等が挙げられる。
これらのアルカリ金属の中でも、難燃性と熱安定性の観点からカリウム及びナトリウムが好ましく、特にカリウムが好ましい。カリウム塩と他のアルカリ金属からなるスルホン酸アルカリ金属塩とを併用することもできる。
難燃剤として用いられるポリオルガノシロキサンとしては、例えば、市販の東レ・ダウコーニング(株)製のSH1107、SR2402、BY16-160、BY16-161、BY16-160E、BY16-161E、信越化学(株)製のKR511等を好適に使用することができる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば1,3-ビス-[(2’-シアノ-3’,3’-ジフェニルアクリロイル)オキシ]-2,2-ビス[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチルプロパン、および1,3-ビス-[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどを挙げることができる。
中でも、難燃性発現補助及び光拡散効果を付与できることから、Si系光拡散剤が好ましい。Si系光拡散剤は、ケイ素(Si)を含有するものであれば特に限定されず、公知のものを使用することができ、例えば、シリコーン系エラストマー、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの中でも成形等の滞留熱安定性が良く、難燃性向上効果があることから、シリコーン樹脂からなる有機微粒子が好ましく、好ましい粒径は0.5~10μm、より好ましくは1~5μmである。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物における光拡散剤の含有量は、成形品の厚みにより最適値は変わるが、ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは0.1~5.0質量部であり、より好ましくは0.1~4.0質量部、さらに好ましくは0.1~3.0質量部である。光拡散剤の含有量が上記範囲にあると、十分な拡散性能を得られると共に、成形品の強度を十分に保つことができる。光拡散剤を添加する場合はその添加量に応じて全光線透過率は全体的に低下するが、この場合であっても本発明によれば、試験片の厚みによる透過率の差は小さく、優れた透過率を維持することができる。
<<透明性>>
下記方法Aで測定された際に、試験片の3mm厚部分について70%以上の全光線透過率を達成することができる。当該3mm厚部分の全光線透過率はより好ましくは72%以上、さらに好ましくは74%以上である。
方法A:ポリカーボネート系樹脂組成物から得られたペレットを用いて、310℃の成形温度、95℃の金型温度で、3段プレート90mm×50mm(3mm厚部分:45mm×50mm、2mm厚部分:22.5mm×50mm、1mm厚部分:22.5mm×50mm)の試験片を射出成形法により作成し、JIS K 7375:2008に準拠して、全光線透過率を測定する。
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は試験片の厚みによる透明性の差も小さく抑えることができる。具体的には、上記方法Aで測定される、試験片の3mm厚部分と1mm厚部分の全光線透過率の比(3mm厚の全光線透過率/1mm厚の全光線透過率)を0.70以上とすることができる。当該全光線透過率の比が大きいほど、試験片の厚みによる透過率の差が少なく、より透明性に優れることが分かる。当該全光線透過率の比はより好ましくは0.76以上、さらに好ましくは0.80以上である。
<<難燃性>>
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、1.0mm厚に成形した際に、UL94規格においてV-2、V-1またはV-0のいずれかの結果を得ることができる。1.0mm厚という非常に高度な薄肉難燃性を達成することができる。
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物は、上記した各成分を配合し、混合、混練することにより得ることができる。
混練方法としては、特に制限されず、例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等を用いる方法が挙げられる。また、混練に際の加熱温度は、通常240~330℃、好ましくは250~320℃の範囲で選択される。
このとき、ポリカーボネート系樹脂(A)の分岐率が、0.01モル%以上3.0モル%以下となるように配合することが好ましい。分岐状ポリカーボネート系樹脂(A-1)、及び該樹脂(A-1)以外の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A-2)は、ポリカーボネート系樹脂(A)の分岐率が、より好ましくは0.3モル%以上、さらに好ましくは0.5モル%以上、よりさらに好ましくは0.7モル%以上、よりさらに好ましくは1.0モル%以上であり、よりさらに好ましくは1.4モル%以上、よりさらに好ましくは1.5モル%以上、より好ましくは2.8モル%以下、さらに好ましくは2.6モル%以下、よりさらに好ましくは2.3モル%以下、よりさらに好ましくは2.0モル%以下となるように配合することができる。ポリカーボネート系樹脂(A)中の分岐率が上記範囲にあると、優れた難燃性、具体的には薄肉難燃性に優れるポリカーボネート系樹脂組成物が得られる。
ポリカーボネート系樹脂以外の含有成分は、あらかじめ、ポリカーボネート系樹脂又は他の熱可塑性樹脂と溶融混練、即ち、マスターバッチとして添加することもできる。
本発明のポリカーボネート系樹脂組成物からなる成形品は、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物を成形することにより得ることができる。
成形方法としては、従来公知の各種成形方法を用いることができ、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、異形押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法及び発泡成形法等が挙げられる。
本発明の成形体を外観部材として使用する場合には、ヒートサイクル成形法、高温金型、断熱金型等の外観を向上させる成形技術を用いることが好ましい。
後述する実施例及び比較例のポリカーボネート系樹脂(A)の分岐率を1H-NMR測定により求めた。分岐剤由来の構造単位のモル数/(二価フェノール由来の構造単位+分岐剤由来の構造単位+末端単位)の総モル数×100(mol%で表す)として求めた。
後述する実施例及び比較例のポリカーボネート系樹脂組成物から得られたペレットを用い、UL94規格に準じて作製した、長さ127mm、幅12.7mm、厚さ1mmの試験片の垂直燃焼試験を行った。試験の結果に基づいてV-0、V-1、V-2又はNot-Vの等級に分類し、難燃性を評価した。
なお、UL94規格とは、鉛直に保持した所定の大きさの試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時間から難燃性を評価する方法である。またドリップ回数はUL94規格に従い、5回試験を行ったうち試料が燃焼滴下物を滴下させた回数を示した。
後述する実施例及び比較例のポリカーボネート系樹脂組成物から得られたペレットを、射出成形機[ニイガタマシンテクノ社製 MD50X]を用いて、310℃の成形温度、95℃の金型温度で、3段プレート90mm×50mm(3mm厚部分:45mm×50mm、2mm厚部分:22.5mm×50mm、1mm厚部分:22.5mm×50mm)の試験片を作製し、全光線透過率を測定した。全光線透過率は、JIS K 7375:2008に準拠して、日本電色工業(株)製の試験機 NDH 5000を用いて測定した。測定は、3段プレート試験片の1mm厚部分、3mm厚部分について行った。
測定された3mm厚の全光線透過率と1mm厚の全光線透過率の比による評価も行った。(3mm厚の全光線透過率)/(1mm厚の全光線透過率)が0.85以上であればA、0.85未満で0.75を超える場合はB、0.75以下で0.70を超える場合はC、0.70以下であればDとした。
前記全光線透過率の測定で用いた3段プレートを用い、当該3段プレートの3mm部分を評価した。評価には、光学顕微鏡[OLYMPUS製 BX51]を用いて、以下の基準で評価した。
A 凝集体はないか、ほとんど見当たらない
B 凝集体が目立たない
C 凝集体が目立つ
(A)ポリカーボネート(PC)系樹脂
(A-1)分岐状ポリカーボネート系樹脂(分岐PC)
製造例1(分岐PC1:THPE0.40mol%の製造)
(ポリカーボネートオリゴマー(i)合成工程)
5.6wt%水酸化ナトリウム水溶液に、後から溶解するBPA(ビスフェノールA)に対して2000質量ppmの亜二チオン酸ナトリウムを加え、これにBPA濃度が13.5wt%となるようにBPAを溶解し、BPAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。
5.6wt%水酸化ナトリウム水溶液に、後から溶解するTHPE(1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニルエタン))に対して2000質量ppmの亜二チオン酸ナトリウムを加え、これにTHPE濃度が11.3wt%となるようにTHPEを溶解し、THPEの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。
上記BPAの水酸化ナトリウム水溶液42L/hr、THPEの水酸化ナトリウム水溶液0.41L/hr、塩化メチレン15L/hrの流量で、ホスゲンを4.0kg/hrの流量で、内径6mm、管長30mの管型反応器に連続的に通した。管型反応器はジャケット部分を有しており、ジャケットに冷却水を通して反応液の温度を40℃以下に保った。
管型反応器を出た反応液を、後退翼を備えた内容積40Lのバッフル付き槽型反応器へ連続的に導入し、ここにBPAの水酸化ナトリウム水溶液2.8L/hr、25wt%水酸化ナトリウム水溶液0.07L/hr、水17L/hr、1wt%トリエチルアミン水溶液を0.69L/hr、PTBP(p-tert-ブチルフェノール)の塩化メチレン溶液(濃度4.0wt%)3.4L/hrをさらに添加して反応を行った。
槽型反応器から溢れ出る反応液を連続的に抜き出し、静置することで水相を分離除去し、塩化メチレン相を採取した。
得られたポリカーボネートオリゴマーは濃度329g/L、クロロホーメート基濃度0.74mol/Lであった。
邪魔板、パドル型攪拌翼及び冷却用ジャケットを備えた50L槽型反応器に、先に得られたポリカーボネートオリゴマー溶液15L、塩化メチレン10.2L及びトリエチルアミン2.8mLを仕込み、混合した。
この混合液に、BPAの水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:639gと亜二チオン酸ナトリウム:2.3gを水:9.3Lに溶解した水溶液に、BPA:1166gを溶解させたもの)を添加し60分間重合反応を実施した。
希釈のために塩化メチレン10Lを加え10分間攪拌した後、ポリカーボネート樹脂を含む有機相と、過剰のBPA及びNaOHを含む水相とに分離し、有機相を単離した。
得られたポリカーボネートの塩化メチレン溶液を、その溶液に対して順次、15容積%の0.03mol/L水酸化ナトリウム水溶液、0.2N塩酸で洗浄し、次いで洗浄後の水相中の電気伝導度が0.01μS/m以下になるまで純水で洗浄を繰り返した。洗浄により得られたポリカーボネート系樹脂の塩化メチレン溶液を濃縮・粉砕し、このフレークを減圧下120℃で乾燥した。
得られた分岐状ポリカーボネート系樹脂1の1H-NMRにより求めた分岐率は0.40mol%、ISO 1628-4(1999)に準拠して測定した粘度平均分子量Mvは17,400であった。
ポリカーボネートオリゴマー合成工程において、THPEの水酸化ナトリウム水溶液の供給量を0.87L/hr、PTBPの塩化メチレン溶液(濃度4.0wt%)の供給量を4.6L/hrとしたこと以外は、製造例1と同様の方法で、分岐状ポリカーボネート系樹脂2を得た。なお、ポリカーボネートオリゴマー合成工程において得られたポリカーボネートオリゴマーは濃度330g/L、クロロホーメート基濃度0.72mol/Lであった。
1H-NMRにより求めた分岐率は0.90mol%、ISO 1628-4(1999)に準拠して測定した粘度平均分子量Mvは22,800であった。
ポリカーボネートオリゴマー合成工程において、THPEの水酸化ナトリウム水溶液の供給量を1.55L/hr、PTBPの塩化メチレン溶液(濃度4.0wt%)の供給量を6.6L/hrとした以外は、製造例1と同様の方法で、分岐状ポリカーボネート系樹脂3を得た。なお、ポリカーボネートオリゴマー合成工程において得られたポリカーボネートオリゴマーは濃度328g/L、クロロホーメート基濃度0.71mol/Lであった。
1H-NMRにより求めた分岐率は1.50mol%、ISO 1628-4(1999)に準拠して測定した粘度平均分子量Mvは17,300であった。
ポリカーボネートオリゴマー合成工程において、THPEの水酸化ナトリウム水溶液の供給量を2.32L/hr、PTBPの塩化メチレン溶液(濃度4.0wt%)の供給量を6.5L/hrとした以外は、製造例1と同様の方法で、分岐状ポリカーボネート系樹脂3を得た。なお、ポリカーボネートオリゴマー合成工程において得られたポリカーボネートオリゴマーは濃度334g/L、クロロホーメート基濃度0.73mol/Lであった。
1H-NMRにより求めた分岐率は2.30mol%、ISO 1628-4(1999)に準拠して測定した粘度平均分子量Mvは23,000であった。
・タフロンFN2500A[出光興産(株)製、ビスフェノールAから製造されたホモポリカーボネート、粘度平均分子量=23,500]
・タフロンFN1700[出光興産(株)製、ビスフェノールAから製造されたホモポリカーボネート、粘度平均分子量=17,700]
(B)含フッ素化合物
(B1):パーフルオロアルキレン単位を有する含フッ素化合物
・PTFE1,メタブレン A3800[三菱レイヨン(株)製:ポリテトラフルオロエチレン50質量%、炭素数4以上のアルキル基を有するポリアルキル(メタ)アクリレート50質量%]
・PTFE2(PTFE水分散体),ポリフロン D210C[ダイキン工業(株)製:ポリテトラフルオロエチレン60質量%,平均粒径:0.22μm]
(B2):パーフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物
・ノナフルオロブタンスルホン酸カリウム塩[三菱マテリアル(株)製,商品名「エフトップKFBS」]
(C1):PEG-PPG「ユニルーブ 50DE-25」(日油(株)製、ポリオキシエチレングリコール-ポリオキシプロピレングリコール、Mn:1,750)
(C2):PPG「ユニオール D-2000」(日油(株)製、ポリプロピレングリコール、Mn:2,000)
(C3):PEG「PEG#2000」(日油(株)製、ポリエチレングリコール、Mn:2,000)
(C4):PPG-PTMG「ポリセリン DCB-2000」(日油(株)製、ポリオキシエチレングリコール-ポリオキシプロピレングリコール、Mn:2,000)
(C5):PEG-PTMG「ポリセリン DC-1800E」(日油(株)製、ポリオキシテトラメチレングリコール-ポリオキシエチレングリコール、Mn:1,800)
(C6):PTMG「PTMG2000」(三菱化学(株)製、ポリオキシテトラメチレングリコール,Mn=2,000)
(C7):PO3G「ECOPROL2000」(SK Chemicals社製、ポリオキシトリメチレングリコール(PO3G)、Mn=2,000)
<酸化防止剤>
・「Doverphos S-9228PC」(Dover Chemical社製、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト,表中Dover28と略記)
・「Irgafos 168」(BASFジャパン(株)製,トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト,表中Irg 168と略記]
・「アデカスタブ PEP-36」((株)ADEKA製、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト,表中PEP-36と略記)
・「Irganox 1076」(BASFジャパン(株)製,オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート,表中Irg 1076と略記)
・「KR511」(信越化学工業(株)製,フェニル基、メトキシ基及びビニル基含有反応性シリコーン化合物,屈折率=1.518)
<紫外線吸収剤>
・「ケミソーブ79」(ケミプロ化成(株)製,2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール)
・「Cyasorb UV-3638」(Cytec社製,2,2’-(1,4-フェニレン)ビス[4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン),表中UV-3638と略記)
<光拡散剤>
・「KMP590」(信越化学工業(株)製,架橋シリコーン樹脂粒子,平均粒径:5μm)
表1~5に示す割合で各成分を混合し、ベント式二軸押出成形機[東芝機械(株)製:TEM37SS]に供給し、バレル温度270~280℃、スクリュー回転数300回転、吐出量50kg/hrにて溶融混練し、評価用ペレットサンプルを得た。得られたペレットを120℃で5時間乾燥した後、上記した通り各種評価を行った。結果を表1~5に併せて示す。なお、表中の「分岐mol」は、ポリカーボネート系樹脂(A)の分岐率(モル%)を示す。
PTFEの添加量が増えるにつれて、3mmt/1mmtの比率が小さくなる傾向があり、PTFEが透明性に影響を与えているものと考えられる。しかしながら本発明のポリカーボネート系樹脂組成物はこの問題への解決策を示す。例えば、ポリエーテルを特定量加えた実施例17とポリエーテルを加えていない比較例3では、実施例17の方が3mmtの全光線透過率に優れ、3mmt/1mmtの比率も大きく、厚みによる透明性の差が小さいことがわかる。また、目視によるPTFEの凝集度合いの結果から、ポリエーテルを加えることでPTFEの凝集がさらに抑制されていることがわかる。実施例29と比較例4、実施例31と比較例5、実施例32と比較例6とを比べた場合に、ポリエーテルを加えることで、厚みによる透明性の差が小さく、またPTFEの凝集がさらに抑制されていることがわかる。特に実施例31と実施例32はPTFEの量が比較的多いながらも、ポリエーテルを含まない以外はそれぞれ同一組成である比較例5と比較例6と比べて、厚みによる透明性の差が小さく、PTFEの凝集も抑制されている。
Claims (19)
- 分岐状ポリカーボネート系樹脂(A-1)、及び該分岐状ポリカーボネート系樹脂(A-1)以外の芳香族ポリカーボネート系樹脂(A-2)の少なくとも一方を含むポリカーボネート系樹脂(A)、炭化水素構造の水素原子がすべてフッ素で置換された炭化水素構造を有する含フッ素化合物(B)、ポリオキシアルキレン構造を有するポリエーテル(C)を含み、ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対し、ポリオキシアルキレン構造を有するポリエーテル(C)を0.02質量部以上0.6質量部以下含み、含フッ素化合物(B)/ポリエーテル(C)の質量比が15.00以下であり、
前記含フッ素化合物(B)は、炭化水素の水素原子がすべてフッ素で置換された炭化水素構造として、パーフルオロアルキレン単位を有する含フッ素化合物(B1)を含み、
前記パーフルオロアルキレン単位を有する含フッ素化合物(B1)が、ポリテトラフルオロエチレンである、ポリカーボネート系樹脂組成物。 - ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対し、パーフルオロアルキレン単位を有する含フッ素化合物(B1)を0.13質量部以下含む、請求項1に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記ポリテトラフルオロエチレンが、水性分散型またはアクリル被覆されたポリテトラフルオロエチレンである、請求項1又は2に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記含フッ素化合物(B)が、炭化水素の水素原子がすべてフッ素で置換された炭化水素構造として、パーフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物(B2)を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- パーフルオロアルキル基を有する含フッ素化合物(B2)が、パーフルオロアルキルスルホン酸金属塩である、請求項4に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- パーフルオロアルキルスルホン酸金属塩が、ノナフルオロブタンスルホン酸カリウムである、請求項5に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 含フッ素化合物(B)の平均粒子径が、0.05μm以上1.0μm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- ポリエーテル(C)の数平均分子量が200以上10,000以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート系樹脂(A)中における前記分岐状ポリカーボネート系樹脂(A-1)の含有量が0質量%を超え、かつ前記ポリカーボネート系樹脂(A)中の分岐率が0.01モル%以上3.0モル%以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート系樹脂(A)100質量部に対するパーフルオロアルキレン単位を有する含フッ素化合物(B1)の含有量と、前記ポリカーボネート系樹脂(A)中の分岐率との積が0.030以上である、請求項9に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 前記ポリエーテル(C)が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシトリメチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール-ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール-ポリオキシプロピレングリコール、及びポリオキシテトラメチレングリコール-ポリオキシエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~10のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 難燃剤をさらに含有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 酸化防止剤をさらに含有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 紫外線吸収剤をさらに含有する、請求項1~13のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 光拡散剤をさらに含有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 下記方法Aで測定され、3mm厚部分の全光線透過率が70%以上である、請求項1~15のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
方法A:ポリカーボネート系樹脂組成物から得られたペレットを用いて、310℃の成形温度、95℃の金型温度で、3段プレート90mm×50mm(3mm厚部分:45mm×50mm、2mm厚部分:22.5mm×50mm、1mm厚部分:22.5mm×50mm)の試験片を射出成形法により作成し、JIS K 7375:2008に準拠して、全光線透過率を測定する。 - 前記方法Aで測定される、3mm厚部分と1mm厚部分の全光線透過率の比(3mm厚の全光線透過率/1mm厚の全光線透過率)が0.70以上である、請求項16に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 1.0mm厚に成形した際に、UL94規格においてV-2、V-1またはV-0のいずれかの結果が得られる、請求項1~17のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
- 請求項1~18のいずれか一項に記載のポリカーボネート系樹脂組成物からなる成形品。
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