以下、図面を参照して本発明の一実施形態における操作支援装置、操作支援方法、操作支援プログラム及び記録媒体について詳細に説明する。
先ず、図1を用いて、操作支援装置の概要を説明する。図1は、実施形態における操作支援装置を含むシステム構成の一例を示すブロック図である。
図1において、操作支援システム100は、操作支援装置1、営業データベース2A、品質データベース2B、現場データベース2C、スキル別ソリューションデータベース3及び実行環境4を有する。
営業データベース2A、品質データベース2B及び現場データベース2Cは、IoTによって取得されるビッグデータの提供元を例示している。IoTのコンセプトにおいては、あらゆる物をインターネット等のネットワークとワークに接続して、あらゆる物から取得した幅広い情報(ビッグデータ)を取得することが提案されている。IoTによって取得されるビッグデータの提供元は、これらのデータベースに限定されるものではなく、ネットワークに接続されてデータを提供可能なあらゆる物が想定される。ビッグデータには、例えば、計測器から取得した計測データ、カメラから取得した画像データ、マイクから取得した音声データ、メールデータ、通信データ等のデータを含んでいてもよい。取得されたビッグデータは、操作支援装置1によって蓄積される。ビッグデータの取得は、取得可能なデータの中から選択して行われる。ビッグデータの取得は、例えば、解析等の必要に応じてその都度選択してもよく、また、予め選択されたデータを定期的に又は不定期に取得するようにしてもよい。
営業データベース2Aは、顧客情報、物流情報、販売情報等を有するデータベースである。営業データベース2Aは、例えば、会社全体の経営資源を管理する基幹業務システムで実現される。基幹業務システムは、これらの情報以外にも、例えば、会計情報、生産管理情報、販売管理情報、在庫管理情報等を有していてもよい。基幹業務システムとしては、例えば、プロセス製造業向けERP(Enterprise Resource Planning:経営資源統合)システムを用いることができる。
また、基幹業務システムは、プラントの運転状態の情報、プラントの保全や修理の業務情報を管理する保全管理システム等を含んでいてもよい。基幹業務システムの情報は、作業者が保全内容を判断するときやスケジュールを立案するときに参照される場合がある。例えば、作業者は、顧客情報に含まれる要求仕様を参照して要求仕様に合致した製品を生産するようにプラントを操作する。熟練作業者は、要求仕様と併せて顧客情報に含まれる過去の受注情報を参照することにより、顧客のニーズに合せた製品を生産する場合がある。また、熟練作業者は、物流情報や生産管理の情報を確認しながら製品の生産速度の調整や生産品種の切替えの操作を判断する場合がある。すなわち、作業者は、営業データベース2Aからこれらの情報を取得して知覚することにより、取得した情報に基づきプラントの操作を変更する場合がある。
品質データベース2Bは、検査データ、分析データ等を有するデータベースである。品質データベース2Bも、例えば、会社全体の経営資源を管理する基幹業務システム等で実現することができる。例えば、作業者は、検査データや分析データを参照して、製品品質の合否を確認し、製品出荷作業の可否を判断することができる。熟練作業者は、検査データや分析データの経時的な変化(トレンド)を参照して、プロセスの設定値等を微調整する場合がある。
なお、品質データベース2Bは、例えば、MES(Manufacturing Execution System)で実現してもよい。MESは、プラントの状態を監視し又は管理するシステムである。MESは、PIMS(Plant Information Management System:プラント情報管理システム)、又はCMMS(Computerised Maintenance Management System:プラント保全管理システム)等の機能を有していてもよい。PIMSは、プラントデータを収集して記録するプラントデータ管理システムとして機能する。PIMSは、例えば、検査装置や分析装置の情報を収集して検査データや分析データとして記録する。また、CMMSは、検査装置や分析装置の保全履歴を記録してもよい。すなわち、作業者は、品質データベース2Bからこれらの情報を取得して知覚することにより、取得した情報に基づきプラントの操作を変更する場合がある。
現場データベース2Cは、通常イベント情報、異常イベント情報、プラントデータ、制御データ、モニタ情報、センサデータ、オペレータデータ、操作履歴、知覚情報等を有するデータベースである。現場データベース2Cも、MESで実現することができる。
通常イベント情報とは、プラントの通常時において発生するイベント情報であって、例えば、プロセスの開始を通知する開始通知イベント、プロセスが所定の状態に達したことを通知する状態通知イベント、プロセスの終了を通知する終了通知イベント等である。例えば、作業者は、通常イベントの発生に応じて所定の作業を開始する。
異常イベント情報とは、プラントの異常時において発生するイベント情報であって、例えば、センサ等により自動的に検出されたプロセスの異常を報知するためのプロセスアラームイベント、操作ミスや異常操作を報知するための操作アラーム等である。これらのアラームイベントを認識した作業者は、例えば、アラームイベントの発生原因に応じて、異常を解消するためのプロセスに対する操作である異常時オペレーションを実施する。
プラントデータとは、プラントの運転状態や生産数量等、プラントの操作に係る情報である。制御データは、プラントを制御するための制御データである。制御データは、例えば、プラントを制御する制御装置から制御プログラム等として取得することができる。モニタ情報とは、プラントに配置されたモニタカメラから取得されるモニタ画像である。センサデータとは、プラントに配置されたセンサから取得されるデータである。オペレータデータとは、作業者の識別するデータであり、例えば作業者のスキル(知識又は技能)レベルの情報を含んでいてもよい。操作履歴は、作業者の操作内容を記録した履歴情報である。知覚情報は、作業者が知覚することができる、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚等を測定及び記録した情報である。
作業者は、例えば、センサデータとしてプラントに配置されたガス濃度センサから出力されるガス濃度データを参照しながらガス濃度調整用バルブを徐々に操作する。熟練作業者は、ガス濃度データに加えて、例えば、ガス濃度のトレンド、反応炉出口の組成データ及びモニタ情報を参照しながら、ガス濃度調整用バルブの操作量を判断する場合がある。すなわち、作業者は、現場データベース2Cから情報を取得して知覚することにより、取得した情報に基づきプラントの操作を変更する場合がある。
操作支援装置1は、営業データベース2A、品質データベース2B及び現場データベース2Cが提供するビッグデータの中から選択された情報を収集して蓄積する。操作支援装置1は、蓄積した情報を検索して読出し、作業者が操作を実施したときに操作内容を判断したときの判断ロジックを生成する。操作支援装置1は、生成した判断ロジックから、作業者のスキルレベルに応じたスキル別ソリューションを生成して提供する。なお、操作支援装置1の詳細は後述する。
スキル別ソリューションデータベース3は、操作支援装置1から提供されるスキル別ソリューションを記憶する。スキル別ソリューションとは、作業者のスキルレベルに応じて利用されるソリューションである。本実施形態においては、スキル別ソリューションとして、異常時操作情報、模範操作情報、自動化情報、及びeラーニング情報を例示する。
<異常時操作情報>
異常時操作情報は、プラントにおいて異常が発生したときのプラントの異常時操作(異常時オペレーション)を支援するための情報である。異常時操作情報は、作業者のスキルレベルに応じた適切な異常時オペレーションを支援する。作業者が実施可能なプラントの操作は作業者のスキルレベルによって異なる。例えば、新人作業者は、一つのバルブ等の機器を指示された状態(例えば、バルブであればバルブ開度)に設定することができる。一方、ベテラン作業者は、複数の機器を、計器を確認しながら調整することができる。異常時操作情報は、作業者に対してスキルレベルに応じた操作の指示を与えることにより、プラントにおいて発生した異常に応じて的確で(ミスのない)迅速な対処を可能とする。異常時操作情報は、スキルレベルの高い作業者が実施した操作に基づき、プラントを操作する作業者のスキルレベルに応じた操作内容が生成される。異常時操作情報は、アラームイベントに対応付けられて作業者に提供される。異常時操作情報は、例えば、表示装置への文字、静止画、動画等の表示、音声による報知等によって提供される。
<模範操作情報>
模範操作情報は、ゴールデンバッチを発生させるための模範的なプラントの操作(模範操作)を支援するための情報である。模範操作情報は、異常時オペレーションと同様に、作業者のスキルレベルに応じた適切な操作を支援する。例えば、新人作業者は、一つの計器の数値を確認しながら機器を操作することができる。一方、ベテラン作業者は、複数の計器のトレンドを確認しながら機器を調整することができる。模範操作情報は、作業者に対してスキルレベルに応じた操作の指示を与えることにより、ゴールデンバッチに近似したトレンドを発生させるための操作を可能とする。模範操作情報は、スキルレベルの高い作業者が実施した操作に基づき、プラントを操作する作業者のスキルレベルに応じた操作内容が生成される。異常時操作情報は、通常イベントに対応付けられて作業者に提供される。模範操作情報は、例えば、表示装置への文字、静止画、動画等の表示、音声による報知等によって提供される。
<自動化情報>
自動化情報は、プラントを制御する制御装置を動作させるための情報である。自動化情報は、例えば、プラントを自動制御するDCS(Distributed Control System:分散制御システム)制御装置、PLC(Programmable Logic Controller)の制御装置において実行可能なプログラムである。自動化情報は、それぞれの制御装置において実行可能な形態として生成される。自動化情報は、制御装置において実行可能なプログラム自体であってもよく、例えばリンク可能なライブラリであってもよい。また、自動化情報は、プログラムのコードを表したものであってもよく、制御装置に対して所定のパラメータを与えるものであってもよい。
<eラーニング情報>
eラーニング情報は、作業者に対して提供可能なeラーニングの学習コンテンツである。異常時操作情報や模範操作情報は、生産現場において作業者がプラントを操作するときに操作の指示等の情報を提供する所謂オンラインコンテンツであるのに対して、eラーニングは、卓上において作業者の知識を向上させるための所謂オフラインコンテンツである。eラーニング情報は、スキルレベルの高い作業者が実施した操作に基づき、プラントを操作する作業者のスキルレベルに応じた学習内容を含む。eラーニングにおいては、スキルレベルを適宜選択できるようにしてもよい。また、学習の結果に応じてスキルレベルの認定やレベルアップの認定を行うようにしてもよい。eラーニング情報は、例えば、表示装置への文字、静止画、動画等の表示、音声による報知等によって提供される。eラーニング情報は、例えば、VR(Virtual Reality)ゴーグルを使用したプラントの操作環境を提供するものであってもよい。
なお、操作支援装置1から提供されるソリューションは、スキルレベルに応じて生成されたスキル別マニュアル等であってもよい。マニュアルは、作業手順をドキュメントにしたコンテンツであり、作業者が作業を実施するときに内容を参照することができる。
実行環境4は、スキル別ソリューションを利用する環境である。スキル別ソリューションは、例えば、プラントの制御装置において実行させて利用することができる。実行環境4は、スキル別ソリューションをプラントの制御装置において実行することにより、アラームイベントに対応した異常時オペレーションを支援したり、模範操作を支援したりすることができる。また、自動化情報をプラント制御に利用することが可能となる。
また、実行環境4は、例えば、熟練作業者が、新人作業者に対して操作内容を指示し、新人作業者の操作内容を確認して指導し、又は作業方法について話し合う環境(ワイガヤ環境)においても利用することができる。熟練作業者のスキルは、このようなワイガヤ環境において作業者に対して伝承することができる。本実施形態においては、例えばeラーニング情報をワイガヤ環境において実行することにより、熟練作業者の指導を併せて受けることが可能となり、学習効果を向上させることができる。また、実行環境4は、上述したVRゴーグルや生産現場に設置されたコンピュータ、あるいは、作業者が携帯するハンドヘルドコンピュータやスマートフォンであってもよい。
実行環境4は、スキル別ソリューションデータベース3において生成されたスキル別ソリューションを、例えば実行環境4からスキル別ソリューションデータベース3に対して要求することにより取得してもよい。
実行環境4は、スキル別ソリューションに対するフィードバック情報を操作支援装置1に提供する。フィードバック情報とは、例えば、プラントの操作における指示内容等に誤りや追加情報がある場合、これらの情報を操作支援装置1にフィードバックする情報である。フィードバック情報を提供された操作支援装置1は、スキル別ソリューションを修正することが可能となる。なお、実行環境4は、操作支援装置1の一部として実施されてもよい。本実施形態においては、実行環境4が操作支援装置1の機能として実装される場合を例示して後述する。
ところで、熟練作業者は様々な情報を知覚してプラントの操作における意思決定をしている。熟練作業者は、例えば、書類や設備などを見て視認したり(視覚)、他の人からの話や設備から音を聞いたり(聴覚)、温度を感じたり(触覚)、臭いを嗅いだり(嗅覚)して、情報を知覚する。IoTによって物がネットワークにつながると、作業者が知覚していたこれらの情報をコンピュータによって収集して形式化することが可能となる。また、作業者が形式化されたどの情報に基づき意思決定をしたかを明確化することにより、ノウハウを形式知化することが可能となる。熟練作業者が知覚した情報をIoTによって収集することによって様々な分野における作業を形式知化することができる。以下に本実施形態において使用可能な知覚情報を例示する。
<スケジューラ情報>
スケジューラ情報とは、作業者のスケジュールを管理するための情報である。スケジューラ情報には、例えば、日時、場所、行動予定、連絡先、発注リスト等の様々な情報が含まれる。IoTによってスケジューラ情報を収集することにより、作業者が何を情報源として、どのような行動をし、又は計画の立案をしたかの情報を収集できる。スケジューラ情報は、作業者の意思決定において行動を制約する制約条件となる場合がある。スケジューラ情報を形式知化することにより、決定される意思の予想精度を向上させることができる。
<受注情報>
受注情報とは、例えば、営業担当者(作業者)が、誰に電話やメールで連絡し、どのような交渉をすることによって、どのような受注をしたかの情報である。IoTによって受注情報を収集することで、今まで個人的なスキルと考えられていた営業プロセスを明確化することが可能となり、例えば、標準化されたマニュアルの精度を向上させることができる。
<設計・製作情報>
例えば、金型等の製品の製作においては、設計図に記載された情報に対して熟練作業者がノウハウを加えることによって高性能(高精度)の製品を製作することができる。設計・製作情報とは、作業者が誰とどのような打ち合せをしたか(顧客の要望等)、設計図のどこを確認し又は変更したか、製作した金型のどの部分を触診してどのように判断したか等の情報である。IoTによって設計・製作情報を収集することによって、熟練作業者の製品の設計プロセスや製作プロセスを形式知化することができる。
<品質管理情報>
品質管理情報とは、品質管理作業の情報であって、例えば、分析作業における作業手順、参照した指示書の内容、分析結果等の情報である。IoTによって品質管理情報を収集することにより、品質管理作業における操作内容を形式知化して作業効率を向上させ又はマニュアルの精度を向上させることができる。
<現場情報>
現場情報とは、生産現場における作業の情報であって、例えば、現場の位置、作業日時、作業者の動線(移動経路)、知覚した情報(音、温度等)、参照した作業指示書の内容、操作内容等の情報である。IoTによって現場情報を収集することにより、現場作業における操作内容を形式知化して作業効率を向上させ又はマニュアルの精度を向上させることができる。
<教育情報>
教育情報とは、生産現場等において作業者に対する作業者教育を実施したときの情報であり、例えば、被教育者のスキルレベル、現場における事象(計器の数値、機器の状態、時間経過等、生産現場の作業者が認識することができること)、どのような判断をしたか、どのような作業をどのように指示したか等の情報である。IoTによって教育情報を収集することにより、作業者教育における教育内容を形式知化して、擬似的なOJT(On-the-Job Training)を実施可能になる。
なお、上述したようなIoTによる情報の収集と効果は、本実施形態を例示したものであって、本実施形態の利用分野を限定するものではない。
次に、図2を用いて、操作支援装置1のソフトウェア構成を説明する。図2は、実施形態における操作支援装置1のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2において、操作支援装置1は、情報取得部11、ソリューション解析部12、ソリューション提供部13及びソリューション修正部14の各機能を有する。情報取得部11は、イベント情報取得部111、事象情報取得部112、知覚情報取得部113、操作情報取得部114及び判断基準取得部115の各機能を有する。ソリューション解析部12は、抽出部121及びソリューション生成部122の各機能を有する。ソリューション提供部13は、異常時操作情報提供部131、模範操作情報提供部132、自動化情報提供部133及びeラーニング情報提供部134の各機能を有する。また、ソリューション修正部14は、フィードバック情報取得部141及びフィードバック情報適用部142の各機能を有する。
本実施形態における操作支援装置1の上記各機能は、操作支援装置1を制御する操作支援プログラム(ソフトウェア)によって実現される機能モジュールであるものとして説明する。
情報取得部11は、操作支援装置1の外部又は内部から情報を取得する。情報取得部11において収集される情報には、上述したIoTによって収集される情報を含んでいてもよい。
イベント情報取得部111は、プラントの操業中に発生するイベントに係るイベント情報を取得する。プラントの操業中に発生するイベント情報とは、プラントの操業中に所定の条件が満足された時に発生する情報であり、例えば、プロセス制御装置等から発生される。イベント情報は、例えば、プラントが異常であるときに所定の条件において発生する異常イベント情報、又はプロセスが正常であるときに所定の条件において発生する通常イベントである。
異常イベントには、例えば異常を報知するためのアラームイベントが含まれる。異常イベントは、異常発生時に発生する非定期的かつ非定常的なイベントであり、発生頻度が低く作業者が経験する頻度も低い場合がある。
一方、通常イベントは、例えば、プロセスのバッチ状態を示すバッチイベントが含まれる。バッチイベントは、バッチが所定の状態になったことを報知するイベントである。バッチイベントは、例えば、バッチの挙動を示すトレンドデータが所定の状態になったときに発生する。バッチイベントは、例えば、プロセスが開始されたことを示すバッチ開始イベント、トレンドデータが所定の閾値に達したことを示す閾値イベント、プロセスが終了したことを示すバッチ終了イベントである。
また、トレンドデータには、プロセスにおける生産物の品質や生産量において最良の結果を得たゴールデンバッチの結果を得たトレンドデータを含んでいてもよい。バッチの結果がゴールデンバッチであったか否かは、プラントの操作の結果であり、プラントの操作とのタイムラグが生じる場合がある。ゴールデンバッチの結果を得たトレンドデータが検出された場合、バッチイベントを発生させることにより、ゴールデンバッチの結果を得たことを報知することが可能となる。プラントの操作は、後述する操作情報取得部114において取得されて記録される。イベント情報取得部111は、バッチイベントを取得することにより、ゴールデンバッチの結果を得たことを後述するソリューション解析部12に通知して、操作情報取得部114において取得されたそのバッチイベントを発生させたときのプラントの操作との対応付けを可能にする。
イベント情報取得部111は、取得したイベント情報を所定の付随情報とともに記録する。付随情報とは、例えば、イベント情報の取得日時(又はイベントの発生日時)、イベントの発生場所(プラントの中の部位)、イベント発生時の作業者の識別情報等である。付随情報は、イベント情報を事象情報、知覚情報又は操作情報と対応付けするのに用いられる情報である。
事象情報取得部112は、プラントにおいて検出された事象に係る事象情報を取得する。事象情報とはプラントにおいて検出可能な全ての事象に係る情報であり、例えば、プラントに設置された計測器の数値、センサの状態、機器の状態等であり、イベント情報や知覚情報を含んでいてもよい。事象情報取得部112は、例えば、プラントを制御するPLC等の制御装置に入力される情報を取得するものであってもよい。
事象情報取得部112は、取得した事象情報を所定の付随情報とともに記録する。付随情報は、例えば、事象情報の取得日時(又は事象の発生日時)、事象の発生場所(プラントの中の部位、センサID、フィールド機器ID等)、事象発生時の作業者の識別情報等である。付随情報は、事象情報を、イベント情報、知覚情報又は操作情報と対応付けするのに用いられる情報である。
知覚情報取得部113は、作業者が認識した知覚に係る知覚情報を取得する。知覚情報には、例えば、作業者の視覚で認識できる視覚情報、作業者の聴覚で認識できる聴覚情報、作業者の触覚で認識できる触覚情報、作業者の嗅覚で認識できる嗅覚情報、作業者の味覚で認識できる味覚情報等を含む。知覚情報は、プラントを操作する作業者が、何を知覚して行動したかを解析するために取得される。従って、作業者が実際に認識できない事象は含まれない。
視覚情報は、例えば、計器の数値、表示装置の表示画面に含まれる情報、印字物の情報、製品の状態等の目視情報、他の作業者の動作等から得られる情報である。視覚情報は、例えば、人の眼球の動きを解析することができる視線検出装置で検出された作業者の視線によって作業者が何を視認していたか(注視していたか)の情報である。
聴覚情報は、例えば、アラームの警報音、設備から発生する異音、聴診器を用いた聴診音、トランシーバやインターカムからの受話音等から得られる情報である。聴覚情報は、例えば、作業者に取り付けられたマイクによって集音された音声データである。
触覚情報は、例えば、設備を触診したときの異常振動、異常温度等から得られる情報である。また、嗅覚情報は、設備から発生する異臭、製品から発生する臭い等から得られる情報である。また、味覚情報は、食品等の製品の味等から得られる情報である。
知覚情報取得部113は、インターネット等のネットワークを介して接続された外部装置の情報を取得する。外部装置とは、操作支援装置1とネットワークを介して接続された操作支援装置1の外部にある装置である。知覚情報取得部113は、例えば、フィールド通信で接続されたフィールド機器の情報を取得するとともに、IoTを利用したビッグデータを取得してもよい。知覚情報取得部113は、IoTを利用したビッグデータ等の中から取得する情報を選択して取得してもよい。知覚情報取得部113は、取得した知覚情報を所定の付随情報とともに記録する。付随情報は、例えば、知覚情報の取得日時(又は作業者の知覚日時)、作業者の識別情報、作業者が知覚した場所、作業者の移動経路、作業者のスキルレベル等である。付随情報は、知覚情報を操作情報等と対応付けするのに用いられる情報である。すなわち、知覚情報は、誰が(作業者の識別情報)、いつ(取得日時)、何を知覚したかを含むものである。知覚情報取得部113は、取得した知覚情報を、例えば、作業者毎に時系列で記録する。
知覚情報取得部113は、特定の作業者の知覚情報のみを取得してもよい。作業者には、新人作業者、中堅作業者、熟練作業者等、様々なスキルレベルの作業者が存在する。知覚情報取得部113は、例えば、熟練作業者の行動を記録する場合、記録対象の熟練作業者の知覚情報を取得してもよい。知覚情報は、プラントの制御において使用されるセンサの検出データ等とは異なり、今までは記録することが困難であった。本実施形態においては、IoTによって取得可能となる様々な情報の中で知覚情報を利用することにより、今まで解析が困難であった作業者の行動を解析することを可能にする。
なお、知覚情報取得部113は、例えば、作業者が操作内容を決定したときに、作業者の明示的な指示に基づき知覚情報を取得するようにしてもよい。また、知覚情報取得部113は、作業者が作業記録を後日確認したときに、作業者の選択によって知覚情報を取得するようにしてもよい。また、知覚情報取得部113は、作業者に対する後日のインタビューに基づき知覚情報を取得してもよい。
操作情報取得部114は、作業者が実施したプラントの操作に係る操作情報を取得する。プラントの操作は、例えば、操作盤の配置されたスイッチ等の操作、バルブ操作、原材料の投入、製品の回収、機器の点検、機器の清掃等、生産現場において作業者が実施する全ての動作を含んでいてもよい。操作情報取得部114は、操作情報と作業者及び時間の情報を対応付けて取得してもよい。すなわち、操作情報は、誰が(どの作業者が)、いつ、何を操作したかを含むものである。操作情報取得部114は、取得した知覚情報を、例えば、作業者毎に時系列で記録する。
操作情報取得部114は、知覚情報取得部113と同様に、例えば、熟練作業者の作業情報を記録する場合、熟練作業者が実施した操作情報を取得してもよい。すなわち、操作情報取得部114において取得される操作情報は、知覚情報取得部113において取得される知覚情報と対応付けられて取得することができる。
操作情報取得部114が取得する操作情報には、操作対象とその操作対象に対する操作方法を含んでいてもよい。例えば、操作対象がスイッチである場合、操作情報には、ボタンの押下、長押し、連打等の情報が含まれていてもよい。また、操作対象がバルブである場合、操作情報には、バルブの全開、全閉、回転方向、回転角度、回転速度又は開度等の情報が含まれていてもよい。また、操作対象が移動する物品である場合、操作情報には、物品の移動経路、移動速度、移動順序等の情報が含まれていてもよい。また、操作情報には、操作対象が複数ある場合、操作順序、複数の操作のタイミング等の情報を含んでいてもよい。操作情報取得部114は、作業者が実施した操作を、例えば、作業者の姿を撮影することができるテレビカメラの撮影画像、操作対象からの操作がされたことを示す信号、作業者が記録した作業記録等から取得する。操作情報取得部114は、例えば、作業者による作業開始の入力によって操作情報の取得を開始して、作業終了の入力によって取得を終了する。操作情報取得部114は、アラームイベント等のイベントの発生によって操作情報の取得を開始して、イベントの解除によって取得を終了してもよい。操作情報取得部114は、取得した操作情報を所定の付随情報とともに記録する。付随情報は、例えば、操作情報の取得日時(又は作業の実施日時)、作業者の識別情報、作業が実施された場所、作業者のスキルレベル等である。付随情報は、操作情報と知覚情報とを対応付けするのに用いられる情報である。
なお、操作情報取得部114において取得される操作情報には、ゴールデンバッチの結果を得たときのプラントの操作情報が含まれる。
判断基準取得部115は、プラントの操作を実施した作業者の判断基準を取得する。判断基準取得部115は、操作情報取得部114で取得された操作情報に係るプラントの操作を実施した作業者の判断基準を取得する。知覚情報は、操作内容やタイミングを判断するために参照したものであるため、作業者が実際に知覚した情報であっても、操作の判断に影響が無い情報は含めないようにすることが望ましい。したがって、付随情報のみでは実際に作業者がその知覚情報を参照したか否かを判断できない場合がある。また、知覚情報に基づき作業者がどのような思考(ロジック)でその操作内容の実施を判断したかは作業者自身にしかわからない。判断基準取得部115は、どの知覚情報に基づきどの様なロジックで操作内容を決定したかの判断基準を、作業者から取得する。判断基準取得部115は、作業者に対する後日のインタビューに基づき判断基準を取得してもよい。判断基準取得部115は、取得した判断基準を記録する。
例えば、作業者は、1つの知覚情報に基づき1つの操作の実施を決定し、その結果を知覚情報として知覚することにより次の操作内容を決定する場合がある。また、作業者は複数の知覚情報を取得して、取得した複数の情報に基づき1つの操作内容を決定する場合がある。判断基準取得部115は、例えば、作業者がどの知覚情報を知覚したかを取得するために、知覚情報取得部113で取得された知覚情報を選択可能に表示して、作業者に選択させることにより判断基準を取得する。また、判断基準取得部115は、例えば、知覚情報を選択可能に表示して、さらに選択された知覚情報に基づきどの様に判断したかの判断条件を入力可能に表示して、判断基準を取得してもよい。
ソリューション解析部12は、抽出部121及びソリューション生成部122の各機能を有し、情報取得部11において取得された情報を解析してソリューションを生成する。
抽出部121は、イベント情報取得部111において取得されたイベント情報と、少なくとも、事象情報取得部112において取得された事象情報、知覚情報取得部113において取得された知覚情報、又は操作情報取得部114において取得された操作情報のいずれか一つとの関連性を抽出する。関連性の抽出は、例えば、上述した付随情報に基づき行われる。
例えば、抽出部121は、イベント情報の付随情報に含まれる日時情報と、事象情報、知覚情報又は操作情報の付随情報に含まれる日時情報を検索条件として、それぞれの情報を時系列でソートして比較し、日時が接近しているイベント情報と、少なくとも事象情報、知覚情報又は操作情報のいずれか一つとを関連した情報であるとして関連性を抽出する。これらの情報の関連性は、日時情報以外に、例えば、プラント名、作業者名、スキルレベル等を抽出の検索条件として抽出するようにしてもよい。
また、抽出部121は、例えば、所定期間内において作業者(抽出対象の作業者)が実施した操作の中から、操作内容を検索条件として知覚情報と判断基準の情報を抽出することにより、その操作が実施される判断基準を対応付けて抽出(解析)することができる。また、抽出部121は、例えば、知覚情報を検索条件として判断基準と操作情報を抽出することにより、知覚情報がどのような条件になったときにどのような操作を実施すべきかの対応付けを抽出することができる。
また、抽出部121は、抽出対象の作業者(作業者のスキルレベルを含む)に応じて判断基準を抽出することができる。例えば、抽出対象の作業者が特定の熟練作業者であった場合、抽出部121は、その熟練作業者が生産現場で実施した様々な操作(作業)についての判断基準の対応付けを抽出することができる。また、抽出対象の作業者が複数であった場合、複数の作業者間の判断基準の平均やバラツキを抽出し、また、多数意見の収集をすることが可能となる。また、抽出対象の作業者がスキルレベルの異なる複数の作業者であった場合、スキルレベル毎の判断基準の差異を抽出することができる。
抽出部121は、抽出した関連性に基づき、作業者の判断ロジックを生成することができる。判断ロジックとは、作業者の思考を形式知化したものであり、例えば、知覚情報と判断基準を入力条件として、操作情報を条件に対応した出力結果としたものである。判断ロジックは、例えばフローチャート、シーケンス図、コラボレーション図(UML)等の定型化された方法で表現することにより形式知化することができる。判断ロジックを生成することにより、作業者の思考内容である判断ロジックを可視化することができ、スキルを形式知化して伝承することが可能となる。
例えば、抽出部121は、イベント情報取得部111において取得されたプラントの異常を報知するアラーム発生イベントと、操作情報取得部において取得された異常時オペレーションに係る操作情報とに基づき、アラーム発生イベントと異常時オペレーションとの関連性を抽出する。
また、抽出部121は、イベント情報取得部111において取得されたプラントにおける所定の挙動を示すバッチの発生を示すバッチ発生イベントと、操作情報取得部において取得された作業者が実施したバッチ発生イベントを発生させるための模範操作に係る操作情報とに基づき、ゴールデンバッチと模範操作との関連性を抽出してもよい。
また、抽出部121は、上述したような関連性を作業者のスキルレベルに応じて行うことにより、スキルレベルに応じたeラーニング情報の生成を可能にする。
ところで、熟練作業者の中には、「匠」と呼ばれる作業者が存在する。匠は、作業を実施する分野において、高度な知識や技能を有する者であり、他の作業者の模範となるべき存在である。ある程度のスキルを有する熟練作業者は匠からの指導を受けながら匠のスキルの承継を受けることにより、さらなるスキルアップを目指すことができる。抽出部121は、匠レベルの作業者の判断基準を抽出することにより、他の熟練作業者又は熟練作業者よりスキルレベルが低い作業者のスキルアップに有益な情報(例えば、スキル別ソリューション)を生成するための情報を得ることが可能となる。同様に、熟練作業者の判断基準は中堅レベルの作業者又は中堅レベルよりスキルレベルが低い作業者にとって有用な情報に、中堅レベルの作業者の判断基準は新人レベルの作業者にとって有用な情報とすることができる。
ソリューション生成部122は、抽出部121において抽出された関連性に基づき、イベント情報と、少なくとも事象情報、知覚情報又は操作情報のいずれか一つとを関連付けた、プラントの操作を支援するソリューションを生成する。
例えば、ソリューション生成部122は、アラーム発生イベントと異常時オペレーションとを関連付けた異常時操作情報に係るソリューションを生成する。また、ソリューション生成部122は、ゴールデンバッチと模範操作とを関連付けた模範操作情報に係るソリューションを生成してもよい。また、ソリューション生成部122は、イベント情報と操作情報とを関連付けた自動化情報に係るソリューションを生成してもよい。また、ソリューション生成部122は、イベント情報、知覚情報及び操作情報を関連付けたeラーニングに係るソリューションを生成してもよい。ソリューション生成部122は、抽出部121において生成された判断ロジックに基づき、これらのソリューションを生成してもよい。
ソリューション提供部13は、異常時操作情報提供部131、模範操作情報提供部132、自動化情報提供部133及びeラーニング情報提供部134の各機能を有し、ソリューション生成部122において生成されたソリューションを提供する。
異常時操作情報提供部131は、プラントの操業中に発生したアラーム発生イベントに応じて、異常時操作情報に係るソリューションを提供する。異常時操作情報は、上述の通り、プラントにおいて異常が発生したときのプラントの異常時オペレーションを支援するための情報である。異常時操作情報提供部131は、作業者のスキルレベルに応じた適切な異常時オペレーションを支援する。例えば、異常時操作情報提供部131は、プラントの作業を行っている作業者のスキルレベルを事象情報から取得して、その作業者のスキルレベルに応じた操作情報を選択して提供する。異常時操作情報提供部131は、操作情報取得部114において取得された操作情報に基づき、異常時オペレーションの進捗を把握し、作業者に対して適切なタイミングで適切な操作を指示するようにしてもよい。これにより、アラーム発生原因の異常に対して的確で迅速な対応を指示することが可能となる。異常時操作情報提供部131は、例えば、表示装置への文字、静止画、動画等の表示、音声による報知等によって異常時操作情報を提供する。
模範操作情報提供部132は、ゴールデンバッチの結果を得るように、模範操作情報に係るソリューションを提供する。模範操作情報は、上述のように、ゴールデンバッチを発生させるための模範的なプラントの操作(模範操作)を支援するための情報である。模範操作情報提供部132は、異常時操作情報提供部131と同様に、作業者のスキルレベルを事象情報から取得して、その作業者のスキルレベルに応じた模範操作情報を選択して提供する。ゴールデンバッチは、時間経過において所定のトレンドを有するものであるため、模範操作情報提供部132は、適切なタイミングで適切な操作方法を提供する。模範操作情報提供部132は、例えば、表示装置への文字、静止画、動画等の表示、音声による報知等によって模範操作情報を提供する。なお、模範操作情報提供部132は、提供した模範操作情報に対して実施された操作結果やプロセスのトレンドの結果を収集することにより、後述するソリューション修正部14に対するフィードバック情報を生成してもよい。
自動化情報提供部133は、プラントの制御装置に対して自動化情報に係るソリューションを提供する。自動化情報は、上述のように、プラントを制御する制御装置を動作させるための情報である。自動化情報提供部133は、例えば、DCS又はPLCで実行可能なプログラムをDCS又はPLCに対して提供する。例えば、所定の事象に対して実施する操作が簡単な判断において実施できる程度に単純である場合、自動化情報提供部133は、自動化情報を提供することにより、形式知化された判断を制御装置にプログラムとして組み込むことが可能となる。
eラーニング情報提供部134は、被教育者となる作業者のレベルに応じてeラーニングに係るeラーニング情報をソリューションとして提供する。eラーニング情報は、作業者に対して提供可能なeラーニングの学習コンテンツである。被教育者は、スキルアップ対象の作業者である。eラーニング情報は、作業者のスキルレベルを向上させるためのコンテンツであり、例えば、マニュアルのドキュメント、作業訓練や作業支援のプログラムである。
例えば、eラーニング情報提供部134は、被教育者のスキルレベル毎のeラーニング情報を提供してもよい。例えば、eラーニング情報提供部134は、作業者のスキルレベルを選択可能にして、選択されたスキルレベルに応じたeラーニング情報を提供する。スキルレベルは、例えば、新人用、中堅レベル用、熟練レベル用等、複数のレベルとしてもよい。eラーニング情報は、例えば、操作訓練用のプログラムであってもよい。操作訓練用のプログラムは、例えば、作業現場に対応した事象をシミュレートした課題を被訓練者に対して出題し、被訓練者に回答を求めることにより被訓練者のレベルを認定し、また被訓練者の知識レベルを向上させてもよい。操作訓練用のプログラムには、中堅レベル又は熟練レベルの作業者の動作や感性をIoTで収集したものを活用するものであってもよい。また、操作訓練プログラムは、被訓練者の正解率によって作業者としてのスキルレベルを認定し、さらに上位のレベルの課題を提供するものであってもよい。操作訓練用のプログラムは、被訓練者のスキルレベルに応じて出題の難易度を調整するようにしてもよい。操作訓練用のプログラムは、スキルレベルの高い作業者の知識を形式知化したものであり、スキルの承継をすることが可能となる。
なお、eラーニング情報提供部134は、例えば、Webブラウザに対してWebページを提供可能なWebサーバであってもよい。eラーニング情報をWebブラウザにおいて提供することにより、例えばPCやスマートフォン等幅広い機器からの利用を容易にすることができる。
ソリューション修正部14は、フィードバック情報取得部141及びフィードバック情報適用部142の機能を有し、ソリューション提供部13において提供されたソリューションの内容を修正するための情報を提供する。
フィードバック情報取得部141は、ソリューション生成部122において生成されたソリューションのコンテンツの内容に修正すべき内容が発見された場合、修正すべき内容をフィードバック情報として取得する。コンテンツの内容の修正には、内容の一部又は全部の削除、追加又は変更を含む。フィードバック情報取得部141は、例えば、コンテンツを利用した作業者によって修正された修正情報を取得する。コンテンツの修正は、例えばプラントの工程の変更に伴う操作対象の変更や機器の設定値の変更があった場合に行われる。
フィードバック情報適用部142は、フィードバック情報取得部141によって取得されたフィードバック情報をコンテンツ内容に適用する。フィードバック情報適用部142は、例えば、抽出部121に対してフィードバック情報を提供し、判断ロジックの再生成を実行させる。また、フィードバック情報適用部142は、ソリューション生成部122によって生成されたコンテンツの内容をフィードバック情報に基づき直接修正するものであってもよい。
なお、操作支援装置1が有する、情報取得部11、ソリューション解析部12、ソリューション提供部13、ソリューション修正部14、イベント情報取得部111、事象情報取得部112、知覚情報取得部113、操作情報取得部114、判断基準取得部115、抽出部121、ソリューション生成部122、異常時操作情報提供部131、模範操作情報提供部132、自動化情報提供部133、eラーニング情報提供部134、フィードバック情報取得部141及びフィードバック情報適用部142の各機能は、上述の通り、ソフトウェアによって実現されるものとして説明した。しかし、操作支援装置1が有する上記機能の中で少なくとも1つ以上の機能は、ハードウェアによって実現されるものであっても良い。
また、操作支援装置1が有する上記何れかの機能は、1つの機能を複数の機能に分割して実施してもよい。また、操作支援装置1は、上記何れか2つ以上の機能を1つの機能に集約して実施してもよい。
また、操作支援装置1は、1つの筐体によって実現される装置であっても、ネットワーク等を介して接続された複数の装置から実現されるシステムであってもよい。例えば、操作支援装置1は、クラウドコンピューティングシステムによって提供されるクラウドサービス等、仮想的な装置であってもよい。また、操作支援装置1は、サーバ装置等の汎用のコンピュータであってもよく、機能が限定された専用の装置であってもよい。
また、操作支援装置1の上記各機能のうち、少なくとも1以上の機能を他の装置において実現するようにしてもよい。すなわち、操作支援装置1は上記全ての機能を有している必要はなく、一部の機能を有するものであってもよい。
次に、図3を用いて、イベント情報取得動作を説明する。図3は、実施形態における操作支援装置1のイベント情報取得動作の一例を示すフローチャートである。なお、以下に説明する操作支援装置1の動作は、操作支援装置1で実行される操作支援プログラムによって実行される。従って、動作の主体は操作支援装置1として説明する。
図3において、操作支援装置1は、イベント情報を取得したか否かを判断する(ステップS11)。イベント情報を取得したか否かは、例えば、イベント情報取得部111がイベント情報を取得したか否かで判断することができる。イベント情報を取得していないと判断した場合(ステップS11:NO)、操作支援装置1は、ステップS11の動作を繰り返してイベント情報の取得を待機する。
一方、イベント情報を取得したと判断した場合(ステップS11:YES)、操作支援装置1は、取得したイベント情報を記録する(ステップS12)。ステップS12において記録されるイベント情報には、例えば知覚情報等と対応付けるための付随情報を含めることができる。付随情報は、上述の通り、例えば、イベント情報の取得日時(又はイベントの発生日時)、イベントの発生場所(プラントの中の部位)、イベント発生時の作業者の識別情報等である。
ステップS12の処理を実行した後、操作支援装置1は、記録を終了するか否かを判断する(ステップS13)。記録を終了するか否かの判断は、例えば、作業者からの記録の終了指示を取得したか否かで判断することができる。作業者は、複数のイベントに対する操作を逐次実施する場合がある。1つのイベントを一つのイベント情報として記録するとともに(ステップS12)、連続したイベントに対する操作を実施する場合、記録終了の指示をするまで記録動作を継続するようにしてもよい。記録を終了しないと判断した場合(ステップS13:NO)、操作支援装置1は、ステップS11の処理に戻ってイベント情報取得の動作を繰り返す。一方、記録を終了すると判断した場合(ステップS13:YES)、操作支援装置1は、フローチャートで示した動作を終了する。
次に、図4を用いて、事象情報取得動作を説明する。図4は、実施形態における操作支援装置1の事象情報取得動作の一例を示すフローチャートである。
図4において、操作支援装置1は、事象情報を取得したか否かを判断する(ステップS21)。事象情報を取得したか否かは、例えば、事象情報取得部112が事象情報を取得したか否かで判断することができる。事象情報を取得していないと判断した場合(ステップS21:NO)、操作支援装置1は、ステップS21の動作を繰り返して事象情報の取得を待機する。
一方、事象情報を取得したと判断した場合(ステップS21:YES)、操作支援装置1は、取得した事象情報を記録する(ステップS22)。ステップS22において記録される事象情報には、例えば知覚情報等と対応付けるための付随情報を含めることができる。付随情報は、上述の通り、例えば、事象情報の取得日時(又は事象の発生日時)、事象の発生場所(プラントの中の部位、センサID、フィールド機器ID等)、事象発生時の作業者の識別情報等である。
ステップS22の処理を実行した後、操作支援装置1は、記録を終了するか否かを判断する(ステップS23)。記録を終了するか否かの判断は、例えば、作業者からの記録の終了指示を取得したか否かで判断することができる。作業者は、複数の事象に対する操作を逐次実施する場合がある。1つの事象を一つの事象情報として記録するとともに(ステップS22)、連続した事象に対する操作を実施する場合、記録終了の指示をするまで記録動作を継続するようにしてもよい。記録を終了しないと判断した場合(ステップS23:NO)、操作支援装置1は、ステップS21の処理に戻って事象情報取得の動作を繰り返す。一方、記録を終了すると判断した場合(ステップS23:YES)、操作支援装置1は、フローチャートで示した動作を終了する。
次に、図5を用いて、知覚情報取得動作を説明する。図5は、実施形態における操作支援装置1の知覚情報取得動作の一例を示すフローチャートである。
図5において、操作支援装置1は、知覚情報を取得したか否かを判断する(ステップS31)。知覚情報を取得したか否かは、例えば、知覚情報取得部113が知覚情報を取得したか否かで判断することができる。知覚情報を取得していないと判断した場合(ステップS31:NO)、操作支援装置1は、ステップS31の動作を繰り返して知覚情報の取得を待機する。
一方、知覚情報を取得したと判断した場合(ステップS31:YES)、操作支援装置1は、取得した知覚情報を記録する(ステップS32)。ステップS32において記録される知覚情報には、例えば事象情報等と対応付けるための付随情報を含めることができる。付随情報は、上述の通り、例えば、知覚情報の取得日時(又は作業者の知覚日時)、作業者の識別情報、作業者が知覚した場所、作業者の移動経路、作業者のスキルレベル等である。
ステップS32の処理を実行した後、操作支援装置1は、記録を終了するか否かを判断する(ステップS33)。記録を終了するか否かの判断は、例えば、作業者からの記録の終了指示を取得したか否かで判断することができる。作業者は、複数の知覚に対する操作を逐次実施する場合がある。1つの知覚を一つの知覚情報として記録するとともに(ステップS32)、連続した知覚に対する操作を実施する場合、記録終了の指示をするまで記録動作を継続するようにしてもよい。記録を終了しないと判断した場合(ステップS33:NO)、操作支援装置1は、ステップS31の処理に戻って知覚情報取得の動作を繰り返す。一方、記録を終了すると判断した場合(ステップS33:YES)、操作支援装置1は、フローチャートで示した動作を終了する。
次に、図6を用いて、操作情報取得動作を説明する。図6は、実施形態における操作支援装置1の操作情報取得動作の一例を示すフローチャートである。
図6において、操作支援装置1は、操作情報を取得したか否かを判断する(ステップS41)。操作情報を取得したか否かは、例えば、操作情報取得部114が操作情報を取得したか否かで判断することができる。操作情報を取得していないと判断した場合(ステップS41:NO)、操作支援装置1は、ステップS41の動作を繰り返して操作情報の取得を待機する。
一方、操作情報を取得したと判断した場合(ステップS41:YES)、操作支援装置1は、取得した操作情報を記録する(ステップS42)。ステップS42において記録される知覚情報には、例えば事象情報等と対応付けるための付随情報を含めることができる。付随情報は、上述の通り、例えば、操作情報の取得日時(又は作業の実施日時)、作業者の識別情報、作業が実施された場所、作業者のスキルレベル等である。
ステップS42の処理を実行した後、操作支援装置1は、記録を終了するか否かを判断する(ステップS43)。記録を終了するか否かの判断は、例えば、作業者からの記録の終了指示を取得したか否かで判断することができる。作業者は、複数の操作を逐次実施する場合がある。1つの操作を一つの操作情報として記録するとともに(ステップS42)、連続した操作を実施する場合、記録終了の指示をするまで記録動作を継続するようにしてもよい。記録を終了しないと判断した場合(ステップS43:NO)、操作支援装置1は、ステップS41の処理に戻って操作情報取得の動作を繰り返す。一方、記録を終了すると判断した場合(ステップS43:YES)、操作支援装置1は、フローチャートで示した動作を終了する。
次に、図7を用いて、スキル別ソリューション生成動作を説明する。図7は、実施形態における操作支援装置のスキル別ソリューション生成動作の一例を示すフローチャートである。
図7において、操作支援装置1は、ステップS12の処理で記録されたイベント情報を取得する(ステップS51)。ステップS51の処理を実行した後、操作支援装置1は、ステップS22の処理で記録された事象情報を取得する(ステップS52)。ステップS52の処理を実行した後、操作支援装置1は、ステップS32の処理で記録された知覚情報を取得する(ステップS53)。ステップS53の処理を実行した後、操作支援装置1は、ステップS42の処理で記録された操作情報を取得する(ステップS54)。ステップS54の処理を実行した後、操作支援装置1は、判断基準を取得する(ステップS55)。判断基準は、判断基準取得部115において取得されて記録されている。
ステップS55の処理を実行した後、操作支援装置1は、取得したイベント情報、事象情報、知覚情報及び操作情報を付随情報の時間の情報に基づき、時系列でソートして、それぞれの情報の時間的な順序を明確にする(ステップS56)。例えば、規模の大きいプラントにおいては、膨大な数のイベント情報や事象情報が取得される。ステップS56の処理において情報を時系列でソートして比較することにより、膨大な数の情報を整理して、情報同士の関連性の抽出を容易にすることができる。
ステップS56の処理を実行した後、操作支援装置1は、関連性を抽出する(ステップS57)。ここで、ステップS57の処理の詳細を、図8を用いて説明する。図8は、実施形態における操作支援装置の関連性抽出動作の一例を示すフローチャートである。
図8において、操作支援装置1は、イベント情報を抽出する(ステップS571)。イベント情報の抽出は、例えば、抽出部121が検索対象のイベント情報を抽出することにより実行することができる。例えば、抽出部121は、所定のプロセスにおいて過去に発生したアラームイベントとそのアラームイベントに対する異常時オペレーションを実行した熟練作業者を識別する識別情報から記録されたイベント情報を検索してイベント情報を抽出する。
ステップS571の処理を実行した後、操作支援装置1は、ステップS571の処理で抽出したイベントに対応する事象情報を抽出する(ステップS572)。事象情報は、例えばステップS56の処理において時系列でソートされている。操作支援装置1は、例えば、記録された事象の中から発生時刻が近接している事象を抽出する。事象の抽出は、例えば、アラームイベントが発生したプラントやプロセスを検索条件として抽出してもよい。また、操作支援装置1は、アラームイベントが発生したプラントに関連する営業データ、品質データ、環境データを検索条件として検索してもよい。
ステップS572の処理を実行した後、操作支援装置1は、抽出した事象数nが1つ(n=1)であるか否かを判断する(ステップS573)。事象数はステップS752の処理において抽出したときの検索条件によって異なる。事象数nが1つである場合(ステップS573:YES)、操作支援装置1は、自動化が可能であるか否かを判断する(ステップS574)。自動化が可能であるか否かは、イベントの発生と事象との関連性が明確であり、事象をイベントの発生条件と考えてよいと判断される場合である。自動化が可能であるか否かは、例えば、操作支援装置1の判定プログラムにおいて実行することができる。また、自動化が可能であるか否かは、操作支援装置1が判断の入力を可能にして、熟練作業者等が判断を入力することにより実行してもよい。
自動化が可能であると判断した場合(ステップS574:YES)、操作支援装置1は、抽出されたイベント情報と事象情報との関連性を抽出し(ステップS575)、関連性抽出処理(ステップS57)の処理を終了する。
一方、自動化が可能ではないと判断した場合(ステップS574:NO)、又は事象数nが1つではない場合(ステップS573:NO)、操作支援装置1は、それぞれの事象に対応する知覚情報と操作情報を抽出する(ステップS576)。例えば、事象数がnである場合、操作支援装置1は、事象(i)(但し、i=1~nの自然数)に対応する知覚情報と操作情報を抽出する。本実施形態においては、操作方法はスキル別において抽出するものとする。例えば、同じ事象に対する同じ知覚情報であったとしても、スキルレベルが違う作業者は異なる操作を実施する場合がある。例えば、事象が反応タンクに設置された圧力計で計測された圧力が所定の範囲である場合、新人作業者は反応タンクに注入される原材料の投入バルブを絞る操作を行うのに対して、熟練作業者は、反応タンクから製品を排出するポンプの回転数を上げる場合がある。スキル別の操作方法を抽出することにより、スキルレベルに応じた操作の違いを抽出することが可能となる。
ステップS576の処理を実行した後、操作支援装置1は、スキル別ロジックを抽出する(ステップS577)。スキル別ロジックは、例えば、判断基準取得部115において取得された判断基準に基づき、事象、知覚情報又は操作情報に対応した判断基準を抽出して、それぞれの情報を関連付けることにより実行することができる。関連付ける情報は限定されるものではない。例えば、イベント情報、事象情報、知覚情報、操作情報の中のいずれか2以上の情報同士を関連付けることができる。情報同士の関連付けは、例えば、イベント情報と操作情報にように、異なる種類の情報を関連付けるものであっても、イベント情報とイベント情報のように同じ種類の情報を対応付るものであってもよい。スキル別ロジックは、これらの1つの関連付け(関連性)を含むものであっても、複数の関連性を組み合わせたものであってもよい。スキル別ロジックを抽出することにより、イベント情報、事象情報及び知覚情報に基づくスキル別の操作を特定することが可能となる。
ステップS577の処理を実行した後、操作支援装置1は、i=nであるか否かを判断する(ステップS578)。i=nではないと判断した場合(ステップS578:NO)、iを1だけインクリメントして(ステップS579)、ステップS576~ステップS578の処理を繰返す。一方、i=nであると判断した場合(ステップS578:YES)、操作支援装置1は、関連性抽出処理(ステップS57)の処理を終了する。すなわち、ステップS576~ステップS579においては、それぞれの事象(i)におけるスキル別ロジックを抽出する処理が実行される。
再び図7の説明に戻る。ステップS57の処理を実行した後、操作支援装置1は、スキル別ロジックを生成する(ステップS58)。スキル別ロジックの生成は、ステップS577の処理で抽出されたスキル別ロジックについて、全ての事象を統合することにより実行することができる。例えば、スキル別ロジックの生成は、抽出されたロジックの中から関連性が大きいロジックのみを選択して生成するようにしてもよい。関連性の大きさは、例えば、関連付けがされた頻度や件数で算出してもよい。また、スキル別ロジックの生成は、抽出されたロジックを全て含んで生成されるものであってもよい。
ステップS58の処理を実行した後、操作支援装置1は、スキル別ソリューションを生成する(ステップS59)。スキル別ソリューションは、例えば、異常時操作情報、模範操作情報、自動化情報又はeラーニング情報である。いずれのソリューションを生成するかは、例えば選択により指定できるようにしてもよい。
ステップS59の処理を実行した後、操作支援装置1は、ステップS59の処理で生成したスキル別ソリューションを記録して(ステップS60)、フローチャートで示した動作を終了する。記録されたソリューションは、ソリューション提供部13から読み出されて提供される。
次に、図9を用いて、ソリューション提供動作を説明する。図9は、実施形態における操作支援装置のレベル別ソリューション提供動作の一例を示すフローチャートである。
図9において、操作支援装置1は、スキルレベルを取得する(ステップS61)。スキルレベルの取得は、例えば、ソリューション提供部13がスキルレベルを選択可能に表示して、ソリューションの提供を受ける作業者が選択することにより取得してもよい。
ステップS61の処理を実行した後、操作支援装置1は、選択されたスキルレベルに応じて処理を分岐させる(ステップS62)。ステップ62で分岐可能なおスキルレベルの数は、例えば新人から匠レベルまで所定のレベル数であってもよい。図9においては、中堅レベルがLV1~LVnまでのn段階である場合を示している。
選択されたスキルレベルが「新人レベル」であった場合(ステップS62:「新人レベル」)、操作支援装置1は、新人レベルに対応したコンテンツを提供する(ステップS63)。選択されたスキルレベルが「LV(レベル)1中堅レベル」であった場合(ステップS62:「LV1中堅レベル」)、操作支援装置1は、LV1中堅レベルに対応したコンテンツを提供する(ステップS64)。選択されたスキルレベルが「LV2中堅レベル」であった場合(ステップS62:「LV2中堅レベル」)、操作支援装置1は、LV2中堅レベルに対応したコンテンツを提供する(ステップS65)。また、選択されたスキルレベルが「LVn中堅レベル」であった場合(ステップS62:「LVn中堅レベル」)、操作支援装置1は、LVn中堅レベルに対応したコンテンツを提供する(図示せず)。
各スキルレベルにおけるコンテンツは、プラントの操業中に発生するイベントに係るイベント情報に対応して選択される。例えば、イベント情報に対応した事象情報に基づき、作業者が確認するべき確認項目(事象)を指示し、確認項目の内容に応じて操作項目(操作内容)を指示するものであってもよい。また、各スキルレベルにおけるコンテンツとしては、イベント情報に対応した事象情報と操作情報に基づき確認項目(事象)を指示するものであってもよい。また、各スキルレベルにおけるコンテンツとしては、イベント情報に対応した事象情報と知覚情報に基づき操作項目(操作内容)を指示するものであってもよい。これらのコンテンツは、例えば、図7で説明したように、取得されたイベント情報、事象情報、知覚情報、操作情報を関連付けることにより生成することが可能となる。
次に、図10を用いて、作業支援のフィードバック動作を説明する。図10は、実施形態における操作支援装置1の作業支援のフィードバック動作の一例を示すフローチャートである。
図10において、操作支援装置1は、フィードバック情報を取得したか否かを判断する(ステップS71)。フィードバック情報を取得したか否かの判断は、例えば、フィードバック情報取得部141が作業者から情報の入力を受けたか否かで判断することができる。フィードバック情報を取得していないと判断した場合(ステップS71:NO)、操作支援装置1は、ステップS71の処理を繰り返して、フィードバック情報の取得を待機する。
フィードバック情報を取得したと判断した場合(ステップS71:YES)、操作支援装置1は、提案内容が適切であったか否かを判断する(ステップS72)。提案内容が適切であったか否かの判断は、例えば、フィードバック情報取得部141が作業者から入力されたフィードバック情報に要修正の情報が含まれているか否かで判断することができる。提案内容が適切であったと判断した場合(ステップS72:YES)、操作支援装置1は、フローチャートで示した作業支援のフィードバックの動作を終了する。すなわち、スキル別ソリューションの修正は行われない。なお、提案内容が適切であった場合に、その旨を記録して判断ロジックにおける提案内容の生成に使用するようにしてもよい。
一方、提案内容が適切でないと判断した場合(ステップS72:NO)、操作支援装置1は、提案した操作内容を修正する(ステップS73)。操作内容の修正は、ステップS577におけるスキル別ロジックの抽出を修正するものであってもよく、また、生成される作業支援プログラム等のソリューションコンテンツの修正のみをするものであってもよい。ステップS73の処理を実行した後、操作支援装置1は、スキル別ソリューションを再生成して(ステップS74)、フローチャートで示した作業支援のフィードバックの動作を終了する。
なお、操作内容の修正には、機械学習を用いてもよい。例えば、ステップS72における判断結果をサポートベクターマシンに入力することにより、適切な提案内容を学習させることができる。本実施形態においては、作業者が操作内容の決定に使用した知覚情報以外のビッグデータを取得することが可能であるため、機械学習によって匠レベルの作業者でさえ気が付かなかった情報に有意な情報を発見することができる可能性がある。
次に、図11を用いて、操作支援装置1のハードウェア構成を説明する。図11は、実施形態における操作支援装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図11において、操作支援装置1は、CPU101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、HDD104、タッチパネル105、通信I/F(Interface)106、及び通信I/F107を有する。
操作支援装置1は、例えば、ノート型PC、タブレット型PC、PDA、又はスマートフォン等の汎用装置、又は操作支援専用の装置によって実現することができる。操作支援装置1は、図2で説明した操作支援プログラムを実行する装置である。
CPU101は、RAM102、ROM103又はHDD104に記憶された操作支援プログラムを実行することにより、操作支援装置1の制御を行う。操作支援プログラムは、例えば、操作支援プログラムを記録した記録媒体、又はネットワークを介した操作支援プログラムを提供するサーバ等から取得されて、HDD104にインストールされ、RAM102にCPU101から読出し可能に記憶される。
タッチパネル105は、操作入力機能と表示機能とを有する操作表示機能を有する。タッチパネル105は、操作支援装置1で実行されるプログラムのUI(User Interface)を表示する。タッチパネル105は、作業者に対して指先又はタッチペン等を用いた操作入力を可能にする。本実施形態における操作支援装置1は操作表示機能を有するタッチパネル105を用いる場合を説明するが、操作支援装置1は、表示機能を有する表示装置と操作入力機能を有する操作入力装置とを有するものであってもよい。その場合、タッチパネル105の表示画面は表示装置の表示画面、タッチパネル105の操作は操作入力装置の操作として実施することができる。なお、タッチパネル105は、ヘッドマウント型、メガネ型、腕時計型のディスプレイ等の種々の形態によって実現されてもよい。
通信I/F106は、無線LAN通信、有線LAN通信、赤外線通信、近距離無線通信等の汎用通信を使用する他の装置と、ネットワーク9を介した通信を制御する。他の装置は、例えば、クラウドサーバ91、外部アプリ92が配置される装置等である。クラウドサーバ91とは、クラウドコンピューティングによってクラウドサービスを提供するサーバである。クラウドサーバ91は、例えばビッグデータを1次記憶するものであってもよい。クラウドサーバ91は、図示しない他の操作支援装置に対して操作支援装置1と共通した情報を提供することができる。外部アプリ92とは、操作支援装置1の外部で動作するアプリであって、例えば図2で説明した操作支援装置の機能の一部であってもよい。また、通信I/F106は、図示しない、他の操作支援装置、汎用通信が可能なフィールド機器、保全情報を管理する保全情報管理サーバ、DCS(Distributed Control System:分散制御システム)制御装置、PLC(Programmable Logic Controller)等であってもよい。なお、図12においては外部アプリ92がネットワークを介して接続される装置に配される場合を示したが、同機能のアプリは、操作支援装置1から読取り可能な記録媒体や、操作支援装置1内容に存在してもよい。
通信I/F107は、フィールド機器において使用可能な通信プロトコルを用いてフィールド機器2とのフィールド通信を制御する。プラントで使用される様々なフィールド機器においては種々のフィールド通信プロトコルが用いられている。通信I/F107は、例えば、ISA100、HART(登録商標)、BRAIN(登録商標)、FOUNDATION Fieldbus、PROFIBUS等のフィールド通信を使用するフィールド機器2との通信を制御する。操作支援装置1は、フィールド通信の種類に応じて複数の通信I/F107を有するものであってもよい。
以上説明したように、本実施形態における操作支援装置は、プラントの操業中に発生するイベントに係るイベント情報を取得するイベント情報取得部と、前記プラントにおいて検出された事象に係る事象情報を取得する事象情報取得部と、作業者が認識した知覚に係る知覚情報を取得する知覚情報取得部と、前記作業者が実施した前記プラントの操作に係る操作情報を取得する操作情報取得部と、前記イベント情報と、少なくとも前記事象情報、前記知覚情報又は前記操作情報のいずれか一つとの関連性を抽出する抽出部と、抽出された前記関連性に基づき、前記プラントの操作を支援するソリューションを生成するソリューション生成部とを備える。これにより、プラントの操業において発生するイベントに対応した作業に係るスキルの承継を容易にすることができる。
なお、上述した操作支援装置は、上述した機能を有する装置であればよく、例えば、複数の装置の組み合わせで構成されてそれぞれの装置を通信可能に接続したシステムで実現されるものであってもよい。また、操作支援装置は、ネットワークで接続された他の装置の機能の一部として実現されるものであってもよい。
また、本実施形態における操作支援方法は、プラントの操業中に発生するイベントに係るイベント情報を取得するイベント情報取得ステップと、前記プラントにおいて検出された事象に係る事象情報を取得する事象情報取得ステップと、作業者が認識した知覚に係る知覚情報を取得する知覚情報取得ステップと、前記作業者が実施した前記プラントの操作に係る操作情報を取得する操作情報取得ステップと、前記イベント情報と、少なくとも前記事象情報、前記知覚情報又は前記操作情報のいずれか一つとの関連性を抽出する抽出ステップと、抽出された前記関連性に基づき、前記プラントの操作を支援するソリューションを生成するソリューション生成ステップとを含む。これにより、プラントの操業において発生するイベントに対応した作業に係るスキルの承継を容易にすることができる。
なお、上述した操作支援方法は、上述したステップを含む方法であればよく、これらのステップの実行は、任意の順序で実行するようにしてもよい。すなわち、上述した各ステップの実行のタイミングは任意であり、例えば、上述した何れかのステップを数回実行してから他のステップを実行するようにしてもよい。
また、本実施形態で説明した装置を構成する機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本実施形態の上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。