[第1実施形態]
以下に、第1実施形態について説明する。
<プリンタの全体構成>
図1に示すように、第1実施形態に係るプリンタ1は、キャリッジ2、インクジェットヘッド3(本発明の「液体吐出ヘッド」)、プラテン4、及び、搬送ローラ5、6を備えている。
キャリッジ2は、走査方向に延びた2本のガイドレール11、12に支持され、ガイドレール11、12に沿って走査方向に移動する。なお、以下では、図1に示すように、走査方向の右側及び左側を定義して説明を行う。
インクジェットヘッド3は、キャリッジ2に搭載され、キャリッジ2とともに走査方向に移動する。また、インクジェットヘッド3は、その下面(本発明の「ノズル面」)に形成された複数のノズル45からインクを吐出する。なお、インクジェットヘッド3については後ほど詳細に説明する。
プラテン4は、インクジェットヘッド3の下面と対向して配置され、走査方向に記録用紙Pの全長にわたって延びている。プラテン4は、記録用紙Pを下方から支持する。搬送ローラ5、6は、それぞれ、走査方向と直交する搬送方向において、キャリッジ2よりも上流側及び下流側に配置され、記録用紙Pを搬送方向に搬送する。
そして、プリンタ1では、搬送ローラ5、6に、記録用紙Pを搬送方向に所定距離ずつ搬送させ、記録用紙Pが搬送される毎に、キャリッジ2を走査方向に移動させつつ、インクジェットヘッド3の複数のノズル45からインクを吐出させることによって、記録用紙Pに印刷を行う。
<インクジェットヘッド>
次に、インクジェットヘッド3について詳細に説明する。図2~図4に示すように、インクジェットヘッド3は、ノズル45や後述する圧力室40などのインク流路が形成された流路ユニット21(本発明の「流路部材」)と、圧力室40内のインクに圧力を付与する圧電アクチュエータ22と、を備えている。
<流路ユニット>
図4に示すように、流路ユニット21(本発明の「流路部材」)は、8枚のプレート31~38が上からこの順に積層されることによって形成されている。流路ユニット21には、複数の圧力室40と、複数の絞り流路41と、複数のディセンダ流路42(本発明の「接続流路)と、複数の連結流路43(本発明の「循環用流路」)と、複数のノズル45と、4つの供給マニホールド46(本発明の「第1共通流路」)と、3つの帰還マニホールド47(本発明の「第2共通流路」)とが形成されている。
複数の圧力室40は、プレート31に形成されている。図2~図4に示すように、圧力室40は、走査方向を長手方向とする略矩形の平面形状を有している。すなわち、圧力室40は、走査方向及び搬送方向と平行な平面に沿って延びている。圧力室40は、供給マニホールド46又は帰還マニホールド47と、ディセンダ流路42を連通させる流路の一部を形成する。また、複数の圧力室40は、搬送方向に配列されることによって圧力室列29を形成している。また、プレート31には、12列の圧力室列29が走査方向に並んでいる。また、圧力室列29間で、圧力室40の搬送方向の位置がずれている。
複数の絞り流路41は、図4に示すように、プレート32、33にまたがって形成されている。絞り流路41は各圧力室40に対して個別に設けられている。左から奇数番目の圧力室列29を構成する圧力室40に対して設けられた絞り流路41は、圧力室40の左端部と接続され、圧力室40との接続部分から左方に延びている。左から偶数番目の圧力室列29を構成する圧力室40に対して設けられた絞り流路41は、圧力室40の右端部と接続され、圧力室40との接続部分から右方に延びている。
複数のディセンダ流路42は、プレート32~37に形成された貫通孔42a~42fが上下方向(本発明の「所定方向」)に重なることによって形成されている。ディセンダ流路42は、各圧力室40に対して個別に設けられている。左から奇数番目の圧力室列29を構成する圧力室40に対して設けられたディセンダ流路42は、圧力室40の右端部と接続され、圧力室40との接続部分から下方に延びている。左から偶数番目の圧力室列29を構成する圧力室40に対して設けられたディセンダ流路42は、圧力室40の左端部と接続され、圧力室40との接続部分から下方に延びている。
複数の連結流路43は、プレート37に形成されている。連結流路43は、水平で且つ走査方向及び搬送方向に対して傾いた方向に延びて、隣接する2つの圧力室列29のうち、一方の圧力室列29を構成する圧力室40に接続されたディセンダ流路42を形成する貫通孔42fと、他方の圧力室列29を構成する圧力室40に接続されたディセンダ流路42を形成する貫通孔42fとを接続する。第1実施形態では、プレート37に、上記2つのディセンダ流路42の貫通孔42fとなる部分と、連結流路43となる部分とが一体となった貫通孔が形成されている。また、第1実施形態では、連結流路43の下端(下側の縁)、及び、ディセンダ流路42の下端(下側の縁)が、いずれもプレート38の上面によって形成されている。これにより、連結流路43が延びる方向に投影したときに、連結流路43の下側の縁と、ディセンダ流路42の下側の縁とが重なっている。
連結流路43は、供給マニホールド46に連通する流入口43a(本発明の「第1連通口」)と、帰還マニホールド47に連通する流出口43b(本発明の「第2連通口」)と、ノズル45に接続するノズル接続口43cとを有する。流入口43aはディセンダ流路42(本発明の「第1接続流路」)に接続し、ディセンダ流路42、圧力室40及び絞り流路41を介して、供給マニホールド46に連通する。流出口43bはディセンダ流路42(本発明の「第2接続流路」)に接続し、ディセンダ流路42、圧力室40及び絞り流路41を介して、帰還マニホールド47に連通する。即ち、流入口43aと接続するディセンダ流路42は、供給マニホールド46とノズル45とを連通させる流路の少なくとも一部を形成する。流出口43bに接続するディセンダ流路42は、帰還マニホールド47とノズル45とを連通させる流路の少なくとも一部を形成する。
インクは、流入口43aから連結流路43に流入して、流入口43aから流出口43bへ向かって流れて、流出口43bから流出する。ここで、流入口43a及び流出口43bは、それぞれ、プレート36に形成された貫通孔42eによって、連結流路43の上端(上側の縁)に形成される開口である。連結流路43は、流路の太さが一定ではなく、ディセンダ流路42と接続する両端部と比較して、ノズル45と接続する中央部が上下方向と直交する平面に沿って広がっている。
連結流路43を上下方向に投影した投影形状43Pにおいて、流入口43aの中心と流出口43bの中心とを結んだ中心線m1に平行な方向を第1方向、第1方向に垂直な方向を第2方向と定義し、それぞれ、図3(b)に矢印で示す。図3(b)に示すように、第1方向において、流入口43aと流出口43bの間にノズル接続口43cが配置される。また、ノズル接続口43cは、中心線m1上に配置されている。また、ノズル接続口43cは、第1方向において、流入口43aと流出口43bとの間の中心に配置されている。尚、上下方向に沿って連結流路43の形状又は面積が変化している場合、連結流路43を上下方向に投影した投影形状43Pは、連結流路43の下端(下側の縁)の形状又は上端(上側の縁)の形状であってもよい。即ち、投影形状43Pは、連結流路43のプレート38の上面によって形成されている形状又はプレート36の下面によって形成される形状であってもよい。
第2方向と平行であり、ノズル接続口43cの中心を通る第1仮想線V1上における、投影形状43Pの第1の縁43d(本発明の「一方の縁」)から第2の縁43e(本発明の「他方の縁」)までの距離を第1距離W1とする。第1距離W1は、第2方向における、ノズル接続口43cの中心を通る投影形状43Pの幅である。第2方向と平行であり、流入口43aの中心を通る第2仮想線V2上における、投影形状43Pの第1の縁43dから第2の縁43eまでの距離を第2距離W2とする。第2距離W2は、第2方向における、流入口43aの中心を通る投影形状43Pの幅である。第2方向と平行であり流出口43bの中心を通る第3仮想線V3上における投影形状43Pの第1の縁43dから第2の縁43eまでの距離を第3距離W3とする。第3距離W3は、第2方向における、流出口43bの中心を通る投影形状43Pの幅である。第1距離W1は、第2距離W2及び第3距離W3より大きい(W1>W2及びW1>W3)。
また、第1距離W1は、連結流路43の投影形状43Pの、第2方向における第1の縁43dから第2の縁43eまでの距離の最大値である。また、第1距離W1は、ディセンダ流路42の直径d2より大きい(W1>d2)。ここで、2つあるディセンダ流路42の直径が異なる場合、及び1つのディセンダ流路42の中でその直径が変化する場合は、第1距離W1は、ディセンダ流路42の直径の最大値d2より大きい。
第1距離W1は、ノズル45の直径d1の10倍以上であってもよい(W1≧10・d1)。ここで、ノズル45の直径d1とは、プレート38に形成されたノズル45のプレート38の下面(インクジェットヘッド3の下面、本発明の「ノズル面」)上の開口の直径を意味する。また、第1距離W1は、第2距離W2又は第3距離W3の2倍以上であってもよい(W1≧2・W2、又は、W1≧2・W3)。
第2方向において、中心線m1の一方側に第1の縁43d(本発明の「一方の縁」)が配置され、中心線m1の他方側に第2の縁43e(本発明の「他方の縁」)が配置される。第1の縁43d及び第2の縁43eは、それぞれ、投影形状43P内に曲率中心がある曲線を含む。本実施形態において、第1の縁43dが含む曲線の曲率半径と、第2の縁43eが含む曲線の曲率半径は、ほぼ同一である。即ち、連結流路43の投影形状43Pは、ディセンダ流路42と接続する両端部よりもノズル45と接続する中央部が膨らんだアーモンド型である。
以上に説明したインク流路のうち、1つのノズル45に接続された1つの連結流路43と、この連結流路43に接続された2つのディセンダ流路42と、これら2つのディセンダ流路42に接続された2つの圧力室40と、これら2つの圧力室40と接続された2つの絞り流路41とによって個別流路30が形成されている。
複数のノズル45は、プレート38に形成されている。ノズル45は、各連結流路43に対して個別に設けられており、連結流路43の中央部に接続されている。
4つの供給マニホールド46は、プレート34、35に形成された貫通孔と、プレート36の上側の部分に形成された凹部とが上下に重なることによって形成されている。4つの供給マニホールド46は、それぞれが搬送方向に延び、走査方向に間隔をあけて並んでいる。そして、4つの供給マニホールド46は、それぞれ、左から1、4、5、8、9、12番目の圧力室列29を構成する圧力室40に接続された絞り流路41の、圧力室40と反対側の端部と接続されている。また、各供給マニホールド46の搬送方向における上流側の端部には、インク供給口48が設けられている。そして、インク供給口48は、図示しないインクタンクに接続されており、インクタンクに貯留されたインクがインク供給口48から供給マニホールド46に供給される。そして、供給マニホールド46においては、搬送方向の上流側から下流側に向かってインクが流れ、個別流路30(絞り流路41)へインクを供給する。
3つの帰還マニホールド47は、プレート34、35に形成された貫通孔と、プレート36の上側の部分に形成された凹部とが上下に重なることによって形成されている。3つの帰還マニホールド47は、それぞれが搬送方向に延び、走査方向において、隣接する供給マニホールド46の間に、それぞれ配置されている。そして、3つの帰還マニホールド47は、それぞれ、左から2、3、6、7、10、11番目の圧力室列29を構成する圧力室40に接続された絞り流路41の圧力室40と反対側の端部と接続されている。また、各帰還マニホールド47の搬送方向における上流側の端部には、インク排出口49が設けられている。インク排出口49は、図示しないインクタンクに接続されている。そして、帰還マニホールド47においては、個別流路30(絞り流路41)からインクが流れ込み、搬送方向の下流側から上流側に向かってインクが流れ、インク排出口49からインクが流出する。インク排出口49から流出したインクは、図示しないインクタンクに戻される。すなわち、第1実施形態では、インクジェットヘッド3と図示しないインクタンクとの間でインクが循環する。
ここで、インク供給口48とインクタンクとの間の流路の途中、又は、インク排出口49とインクタンクとの間の流路の途中に、図示しないポンプが設けられており、このポンプが駆動されることにより生じるインクの流れによって、上述したようにインクが循環する。
また、プレート37には、供給マニホールド46と上下方向に重なり、供給マニホールド46と隔てられたダンパ室51が形成されている。そして、プレート36の下端部によって形成される、供給マニホールド46とダンパ室51とを隔てる隔壁が変形することにより、供給マニホールド46内のインクの圧力変動が抑制される。また、プレート37には、帰還マニホールド47と上下方向に重なり、帰還マニホールド47と隔てられたダンパ室52が形成されている。そして、プレート36の下端部によって形成される、帰還マニホールド47とダンパ室52とを隔てる隔壁が変形することにより、帰還マニホールド47内のインクの圧力変動が抑制される。
<圧電アクチュエータ>
図2~図4に示すように、圧電アクチュエータ22は、2つの圧電層61、62と、共通電極63と、複数の個別電極64とを有する。圧電層61、62は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との混晶であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電材料からなる。圧電層61は、流路ユニット21の上面に配置され、圧電層62は、圧電層61の上面に配置されている。なお、圧電層61は、圧電層62とは異なり、例えば合成樹脂材料等、圧電材料以外の絶縁性材料からなるものであってもよい。
共通電極63は、圧電層61と圧電層62との間に配置され、圧電層61、62のほぼ全域にわたって連続的に延びている。共通電極63はグランド電位に保持されている。複数の個別電極64は、複数の圧力室40に対して個別に設けられている。個別電極64は、走査方向を長手方向とする略矩形の平面形状を有し、対応する圧力室40の中央部と上下方向に重なるように配置されている。また、個別電極64の走査方向におけるディセンダ流路42と反対側の端部は、圧力室40と重ならない位置まで延び、その先端部が、図示しない配線部材との接続を行うための接続端子64aとなっている。複数の個別電極64の接続端子64aは、図示しない配線部材を介して図示しないドライバICに接続されている。そして、複数の個別電極64には、ドライバICにより個別に、グランド電位、及び、所定の駆動電位(例えば20V程度)のうちいずれかの電位が選択的に付与される。また、共通電極63と複数の個別電極64とがこのように配置されるのに対応して、圧電層62の各個別電極64と共通電極63とに挟まれた部分は、それぞれ、厚み方向に分極された活性部となっている。
ここで、圧電アクチュエータ22を駆動してノズル45からインクを吐出させる方法について説明する。圧電アクチュエータ22では、ノズル45からインクを吐出させない待機状態において、全ての個別電極64が共通電極63と同じグランド電位に保持されている。あるノズル45からインクを吐出させるときには、そのノズル45に接続された2つの圧力室40に対応する2つの個別電極64の電位をグランド電位から駆動電位に切り換える。
すると、上記2つの個別電極64に対応する2つの活性部に、分極方向と平行な電界が発生し、上記2つの活性部が分極方向と直交する水平方向に収縮する。これにより、圧電層61、62の上記2つの圧力室40と上下方向に重なる部分が全体として圧力室40側に凸となるように変形する。その結果、圧力室40の容積が小さくなることで圧力室40内のインクの圧力が上昇し、圧力室40に連通するノズル45からインクが吐出される。また、ノズル45からインクが吐出された後には、上記2つの個別電極64の電位をグランド電位に戻す。これにより、圧電層61、62が変形前の状態に戻る。
以上説明した本実施形態のインクジェットヘッド3は、例えば、以下に説明する作用効果を奏する。上述したように、循環型ヘッドにおいて、ノズルから流れ込んだ気泡を排出可能な循環量でインクを循環させ続けると、インクジェットヘッド3内を循環するインク全体を乾燥させ、インクの増粘を引き起こす虞がある。本実施形態のインクジェットヘッド3は、図3(b)に示すように、連結流路43を上下方向に投影した投影形状43Pにおいて、第1距離W1が、第2距離W2及び第3距離W3よりも大きい(W1>W2及びW1>W3)。この構成により、インクジェットヘッド3全体としては、気泡排出に必要なインクの循環流量を維持しつつ、ノズル接続口43c直上を流れるインクの流速、即ち、ノズル45直上を流れるインクの流速を遅くでき、インクの循環流量を小さくできる。これにより、気泡排出の機能を維持しつつ、インクジェットヘッド3内を循環するインク全体の乾燥及び増粘を抑制できる。また、ノズル45直上を流れるインクの流速を遅くすることにより、ノズル45から吐出されるインク滴の飛行方向がインクの流れる方向に曲げられること(飛行曲り)を抑制できる。更に、複数のノズル45において、それぞれのノズル45直上を流れるインクの流速を遅くすることにより、それぞれのノズル45の設けられた位置に起因する、複数のノズル45間での、ノズル45直上におけるインクの流動抵抗及び圧力変動の不均一(バラツキ)を低減できる。これにより、複数のノズル45から吐出される液滴間において、吐出方向の不均一(バラツキ)を抑制して、これらを揃えられる。
第1距離W1は、連結流路43の投影形状43Pの、第2方向における第1の縁43dから第2の縁43dまでの距離の最大値である。即ち、第2方向において、第1距離W1は、投影形状43Pの幅の最大値である。この構成により、ノズル45直上を流れるインクの流速をより遅くできる。
第2方向おいて、第1距離W1は、ディセンダ流路42の直径d2より大きい(W1>d2)。また、第1距離W1は、ノズル45の直径d1の10倍以上であってもよく(W1≧10・d1)、第2距離W2又は第3距離W3の2倍以上であってもよい(W1≧2・W2、又は、W1≧2・W3)。第1距離W1の値を、上記条件を満たす範囲とすることで、第1距離W1の大きさを十分に広くでき、ノズル45直上を流れるインクの流速をより遅くできる。
また、投影形状43Pにおいて、第1の縁43d及び第2の縁43eは、それぞれ、投影形状43P内に曲率中心がある曲線を含む。この構成により、投影形状43Pは、端部よりも中央部が膨らんだ形状となり、第1の距離W1の大きさを十分に広くできる。この結果、ノズル45直上を流れるインクの流速をより遅くできる。
また、本実施形態では、連結流路43に対するノズル45の位置が、全ての連結流路43において同一であるが、本実施形態はこれに限定されない。連結流路43に対するノズル45の位置は、複数の連結流路43間で異なっていてもよい。即ち、複数の連絡流路43において、1つの連絡流路43の投影形状43Pにおけるノズル接続口43cが配置される位置が、他の1つの連絡流路43の投影形状43Pにおけるノズル接続口43cの位置と異なっていてもよい。本実施形態の連絡流路43は、上下方向に投影した投影形状43Pの面積が広い。このため、投影形状43P内において、ノズル接続口43cを配置できる位置(ノズル45を配置する位置)の自由度が高い。したがって、本実施形態のインクジェットヘッド3では、ノズルピッチの変更等の設計変更が容易である。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、インクジェットヘッドの構造が第1実施形態と異なっている。
図5~図7に示すように、第2実施形態に係るインクジェットヘッド100は、流路ユニット101と、圧電アクチュエータ102とを備えている。
<流路ユニット>
流路ユニット101は、8枚のプレート111~118が上からこの順に積層されることによって形成されている。流路ユニット101には、複数の圧力室120と、複数の絞り流路121と、複数のディセンダ流路122(本発明の「接続流路」)と、複数の循環用流路123と、複数のノズル125と、6つの供給マニホールド126(本発明の「第1共通流路」)と、6つの帰還マニホールド127(本発明の「第2共通流路」)とが形成されている。
複数の圧力室120は、プレート111に形成されている。圧力室120は、圧力室40(図2参照)と同様の形状のものである。圧力室120は、帰還マニホールド127と、ディセンダ流路122を連通させる流路の一部を形成する。また、複数の圧力室120は、搬送方向に配列されることによって圧力室列119を形成している。また、プレート111には、6列の圧力室列119が走査方向に並んでいる。また、圧力室列119間で、圧力室120の搬送方向の位置がずれている。
複数の絞り流路121は、プレート112、113にまたがって形成されている。絞り流路121は絞り流路41(図2参照)と同様の形状を有するものであり、各圧力室120に対して個別に設けられている。絞り流路121は、圧力室120の左端部と接続され、圧力室120との接続部分から左方に延びている。
複数のディセンダ流路122は、プレート112~117に形成された貫通孔122a~122fが上下方向に重なることによって形成されている。ディセンダ流路122は、各圧力室120に対して個別に設けられている。ディセンダ流路122は、圧力室120の右端部と接続され、圧力室120との接続部分から下方に延びている。
複数の循環用流路123は、プレート117に形成されている。循環用流路123は、ディセンダ流路122に対して個別に設けられ、ディセンダ流路122を形成する貫通孔122a~122fのうち、プレート117に形成された貫通孔122fの側壁面の左下端部に接続され、ディセンダ流路122(貫通孔122f)との接続部分から左方に延びている。また、第2実施形態では、循環用流路123の下端(下側の縁)、及び、ディセンダ流路122の下端(下側の縁)が、いずれもプレート118の上面によって形成されている。これにより、循環用流路123が延びる走査方向に投影したときに、循環用流路123の下側の縁と、ディセンダ流路122の下側の縁とが重なっている。
循環用流路123は、供給マニホールド126に連通する流入口123a(本発明の「第1連通口」)と、帰還マニホールド127に連通する流出口123b(本発明の「第2連通口」)と、ノズル125に接続するノズル接続口と123cを有する。流入口123aは供給マニホールド126に接続する。流出口123bはディセンダ流路122に接続し、ディセンダ流路122、圧力室120及び絞り流路121を介して、帰還マニホールド127に連通する。即ち、ディセンダ流路122は、ノズル125と帰還マニホールド127とを連通させる流路の一部を形成している。
インクは、流入口123aから循環用流路123に流入して、流入口123aから流出口123bへ向かって流れて、流出口123bから流出する。ここで、流入口123aは、プレート117とプレート118とによって、循環用流路123の左側の端部に形成される開口である。また、流出口123bは、プレート117に形成された貫通孔122fによって、循環用流路123の上端(上側の縁)に形成される開口である。循環用流路123は、流路の太さが一定ではなく、ディセンダ流路122、供給マニホールド126とそれぞれ接続する両端部と比較して、ノズル125と接続する中央部が上下方向と直交する平面に沿って広がっている。
循環用流路123を上下方向に投影した投影形状123Pにおいて、流入口123aの中心と流出口123bとの中心とを結んだ中心線m2に平行な方向を第1方向、第1方向に垂直な方向を第2方向と定義し、それぞれ、図7に矢印で示す。尚、流入口123aは、上下方向と平行な面上に開口しているため、投影形状123Pにおいて、直線で表される。図7に示すように、第1方向において、流入口123aと流出口123bの間にノズル接続口123cが配置される。また、ノズル接続口123cは、中心線m2上に配置されている。また、ノズル接続口123cは、第1方向において、流出口123bよりも流入口123aに近い位地に配置されている。尚、上下方向に沿って循環用流路123の形状又は面積が変化している場合、循環用流路123を上下方向に投影した投影形状123Pは、循環用流路123の下端(下側の縁)の形状又は上端(上側の縁)の形状であってもよい。即ち、投影形状123Pは、循環用流路123のプレート118の上面によって形成されている形状又はプレート117の下面によって形成される形状であってもよい。
第2方向と平行であり、ノズル接続口123cの中心を通る第1仮想線V11上における、投影形状123Pの第1の縁123dから第2の縁123eまでの距離を第1距離W11とする。第1距離W11は、第2方向における、ノズル接続口123cの中心を通る投影形状123Pの幅である。第2方向と平行であり、流入口123aの中心を通る第2仮想線V12上における、投影形状123Pの第1の縁123dから第2の縁123eまでの距離を第2距離W12とする。第2距離W12は、第2方向における、流入口123aの中心を通る投影形状123Pの幅である。第2方向と平行であり流出口123bの中心を通る第3仮想線V13上における投影形状123Pの第1の縁123dから第2の縁123eまでの距離を第3距離W13とする。第3距離W13は、第2方向における、流出口123bの中心を通る投影形状123Pの幅である。第1距離W11は、第2距離W12及び第3距離W13より大きい(W11>W12及びW11>W13)。
また、第1距離W11は、循環用流路123の投影形状123Pの、第2方向における第1の縁123dから第2の縁123eまでの距離の最大値である。また、第1距離W11は、ディセンダ流路122の直径d12より大きい(W11>d12)。ここで、ディセンダ流路122の直径が変化する場合は、第1距離W11は、ディセンダ流路122の直径の最大値d12より大きい。
第1距離W11は、ノズル125の直径d11の10倍以上であってもよい(W11≧10・d11)。ここで、ノズル125の直径d11とは、プレート118に形成されたノズル125のプレート118の下面(インクジェットヘッド3の下面、本発明の「ノズル面」)上の開口の直径を意味する。また、第1距離W11は、第2距離W12又は第3距離W13の2倍以上であってもよい(W11≧2・W12、又は、W11≧2・W13)。
第2方向において、中心線m2の一方側に第1の縁123dが配置され、中心線m2の他方側に第2の縁123eが配置される。第1の縁123d及び第2の縁123eは、それぞれ、投影形状123P内に曲率中心がある曲線を含む。本実施形態において、第1の縁123dが含む曲線の曲率半径と、第2の縁123eが含む曲線の曲率半径は、ほぼ同一である。即ち、連結流路123の投影形状123Pは、ディセンダ流路122及び供給マニホールド126とそれぞれ接続する両端部よりもノズル125と接続する中央部が膨らんだ形状である。
ディセンダ流路122と、ディセンダ流路122に接続された循環用流路123及び圧力室120と、圧力室120に接続された絞り流路121とによって、個別流路110が形成されている。また、複数の個別流路110が搬送方向に配列されることによって個別流路列109を形成している。また、流路ユニット101では、6列の個別流路列109が走査方向に並んでいる。
複数のノズル125は、プレート118に形成されている。ノズル125は、循環用流路123に対して個別に設けられている。
6つの供給マニホールド126は、プレート117に形成されている。6つの供給マニホールド126は、それぞれが搬送方向に延び、走査方向に間隔をあけて並んでいる。6つの供給マニホールド126は、6列の個別流路列109に対応しており、各供給マニホールド126は、対応する個別流路列109を構成する複数の個別流路110の循環用流路123と接続されている。また、各供給マニホールド126は、個別流路列109よりも搬送方向の上流側の部分において、走査方向の右側に傾いて延びている。各供給マニホールド126の搬送方向における上流側の端部には、インク供給口128が設けられている。そして、図示しないインクタンクに貯留されたインクが、インク供給口128から供給マニホールド126に供給される。これにより、供給マニホールド126においては、搬送方向の上流側から下流側に向かってインクが流れ、個別流路110(循環用流路123)へインクが供給される。
6つの帰還マニホールド127は、プレート114に形成されている。6つの帰還マニホールド127は、それぞれが搬送方向に延び、走査方向に間隔をあけて並んでいる。帰還マニホールド127は、供給マニホールド126よりも上方に位置し、供給マニホールド126と上下方向に重なっている。また、6つの帰還マニホールド127は、6列の個別流路列109に対応しており、各帰還マニホールド127は、対応する個別流路列109を構成する複数の個別流路110の絞り流路121と接続されている。また、各帰還マニホールド127は、個別流路列109よりも搬送方向の上流側の部分において、走査方向の左側に傾いて延びている。また、各帰還マニホールド127の搬送方向における上流側の端部には、インク排出口129が設けられている。インク排出口129には、図示しないインクタンクが接続されている。そして、帰還マニホールド127においては、個別流路110(絞り流路121)からインクが流れ込み、搬送方向の下流側から上流側に向かってインクが流れ、インク排出口129からインクが流出する。インク排出口129から流出したインクは、図示しないインクタンクに戻される。すなわち、第2実施形態では、インクジェットヘッド100と図示しないインクタンクとの間でインクが循環する。
ここで、インク供給口128とインクタンクとの間の流路の途中、又は、インク排出口129とインクタンクとの間の流路の途中に、図示しないポンプが設けられており、このポンプが駆動されることにより生じるインクの流れによって、上述したようにインクが循環する。
また、流路ユニット101には、プレート115の下側の部分とプレート116の上側の部分にまたがって延び、供給マニホールド126及び帰還マニホールド127と上下方向に重なるダンパ室130が形成されている。そして、プレート116の下端部によって形成される、供給マニホールド126とダンパ室130とを隔てる隔壁が変形することにより、供給マニホールド126内のインクの圧力変動が抑制される。また、プレート115の上端部によって形成される、帰還マニホールド127とダンパ室130とを隔てる隔壁が変形することにより、帰還マニホールド127内のインクの圧力変動が抑制される。
<圧電アクチュエータ>
圧電アクチュエータ102は、2つの圧電層141、142と、共通電極143と、複数の個別電極144とを有する。圧電層141、142は、圧電材料からなる。圧電層141は、流路ユニット101の上面に配置され、圧電層142は圧電層141の上面に配置されている。なお、圧電層141は、圧電層61と同様、圧電材料以外の絶縁性材料からなるものであってもよい。
共通電極143は、圧電層141と圧電層142との間に配置され、圧電層141、142の全域にわたって連続的に延びている。共通電極143はグランド電位に保持されている。複数の個別電極144は、複数の圧力室120に対して個別に設けられている。個別電極144は、個別電極64と同様の略矩形の平面形状を有し、対応する圧力室120の中央部と上下方向に重なるように配置されている。複数の個別電極144の接続端子144aは、図示しない配線部材を介して図示しないドライバICに接続されている。そして、複数の個別電極144には、ドライバICにより個別に、グランド電位及び駆動電位のうちいずれかの電位が選択的に付与される。また、共通電極143と複数の個別電極144とがこのように配置されるのに対応して、圧電層142の各個別電極144と共通電極143とに挟まれた部分は、それぞれ、厚み方向に分極された活性部となっている。
ここで、圧電アクチュエータ102を駆動してノズル125からインクを吐出させる方法について説明する。圧電アクチュエータ102では、ノズル125からインクを吐出させない待機状態において、全ての個別電極144が共通電極143と同じグランド電位に保持されている。あるノズル125からインクを吐出させるときには、そのノズル125に対応する個別電極144の電位をグランド電位から駆動電位に切り換える。
すると、第1実施形態で説明したのと同様に、圧電層141、142の圧力室120と上下方向に重なる部分が全体として圧力室120側に凸となるように変形する。これにより、圧力室120の容積が小さくなることで圧力室120内のインクの圧力が上昇し、圧力室120に連通するノズル125からインクが吐出される。また、ノズル125からインクが吐出された後には、個別電極144の電位をグランド電位に戻す。
以上説明した本実施形態のインクジェットヘッド100は、第1実施形態と同様に、循環用流路123を上下方向に投影した投影形状123Pにおいて、第1距離W11が、第2距離W12及び第3距離W13よりも大きい(W11>W12及びW11>W13)。本実施形態のインクジェットヘッド100は、第1実施形態のインクジェットヘッド3と同様の作用効果を奏する。
尚、インクジェットヘッド100の循環用流路123では、インクが流入口123a(本発明の「第1連通口」)から流出口123b(本発明の「第2連通口」)へ向かって流れるが、例えば、インクが逆の方向に流れる場合、即ち、インクが流出口123b(本発明の「第2連通口」)から流入口123a(本発明の「第1連通口」)へ流れる場合であっても、本実施形態のインクジェットヘッド100は、同様の作用効果を奏する。インクが逆の方向に流れる場合とは、例えば、上下方向において、上側に配置されている帰還マニホールド127(本発明の「第2共通流路」)から、下側に配置されている供給マニホールド126(本発明の「第1共通流路」)に向ってインクが流れる場合である。
[変形例1~5]
変形例1~5に係るインクジェットヘッドは、第1実施形態に係るインクジェットヘッド3の連結流路43(図3参照)を、図8~図12に示す連結流路153、163、173、183及び203に置き換えた変形例である。その他の構成は、第1実施形態に係るインクジェットヘッド3と同様である。図8~図12において、第1実施形態と同様の構成物に対しては、同様の参照番号を用いる。以下に説明する変形例1~5に係るインクジェットヘッドは、第1実施形態と同様に、連結流路を上下方向に投影した投影形状において、第1距離W1が、第2距離W2及び第3距離W3よりも大きい(W1>W2及びW1>W3)。変形例1~5に係るインクジェットヘッドは、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
変形例1では、図8に示すように、連結流路153内に、上下方向に延びる柱154が少なくとも1つ設けられている。具体的には、変形例1では、柱154を4個設けている。柱154は、上下方向に延びて、プレート38と、プレート36とを繋いでいる。連結流路153は、その中央部が上下方向と直交する平面に沿って広がっているが、内部に柱154を有することにより、機械的強度の低下を防止できる。
上述した第1実施形態では、連結流路43を上下方向に投影した投影形状43Pにおいて、ノズル接続口43cは、中心線m1上に配置されているが(図3(b)参照)、第1実施形態はこれに限定されない。ノズル接続口43cは、中心線m1から外れた位置に配置されてもよい。また、ノズル接続口43cは、第1仮想線V1上において、中心線m1よりも、第1の縁43d又は第2の縁43eに近い位置に配置されてもよい。変形例2では、図9に示すように、連結流路163を上下方向に投影した投影形状163Pにおいて、ノズル接続口43cが中心線m1から外れた位置に配置されている。また、ノズル接続口43cは、第1仮想線V1上において、中心線m1よりも、第1の縁43cに近い位置に配置されている。連結流路163内を流れるインクは、中心線m1上の流速よりも、中心線m1から外れた位置での流速の方が遅い。したがって、ノズル接続口43cを中心線m1から外れた位置に配置することで、ノズル45直上を流れるインクの流速をより遅くできる。
上述した第1実施形態では、連結流路43を上下方向に投影した投影形状43Pにおいて、第1の縁43dが含む曲線の曲率半径と、第2の縁43eが含む曲線の曲率半径は、ほぼ同一であるが(図3(b)参照)、第1実施形態はこれに限定されない。変形例3では、図10に示すように、連結流路173を上下方向に投影した投影形状173Pにおいて、第1の縁43dが含む曲線の曲率半径が、第2の縁が含む曲線43eの曲率半径より小さい。そして、ノズル接続口43cが、第2の縁43eよりも第1の縁43dに近い位置に配置されている。連結流路173内を流れるインクの流速は、曲率半径より小さい第1の縁43d近傍で遅くなる。したがって、ノズル接続口43cを第1の縁43d近傍に配置することで、ノズル45直上を流れるインクの流速をより遅くできる。
上述した第1実施形態では、連結流路43にノズル接続口43cは1個形成されている(図3(b)参照)。即ち、1個の連結流路43に1個のノズル45が対応している。しかし、第1実施形態はこれに限定されない。変形例4では、図11に示すように、連結流路183にノズル接続口43cが複数個、具体的には、2個形成されている。即ち、1個の連結流路183に2個のノズル45が対応している。この構成により、各々のノズル45から吐出されるインク滴量を少量にでき、精細な画像の印字が可能となる。
上述した第1実施形態では、連結流路43は、第1の方向、即ち、中心線m1に平行な方向に沿って延びている(図3(b)参照)。このため、第2方向において、中心線m1の一方側に第1の縁43dが配置され、中心線m1の他方側に第2の縁43eが配置される。中心線m1は、第2方向において、第1の縁43dと第2の縁43eとの間に配置される。流入口43aの中心から流出口43bの中心までの間において、中心線m1は、投影形状43P内に配置される。流入口43aの中心から流出口43bの中心までの間において、中心線m1は、第1の縁43d及び第2の縁43eと交差しない。しかし、第1実施形態はこれに限定されない。変形例5では、図12に示すように、連結流路203は、中心線m1に対して湾曲している。このため、連結流路203の投影形状203Pの中央部(ノズル接続口43c近傍)では、中心線m1は、第2方向において、第1の縁43dと第2の縁43eとの間に配置されていない。投影形状203Pの中央部では、第2方向において、第1の縁43d及び第2の縁43eは、共に、中心線m1の他方側に配置される。また、連結流路203の投影形状203Pの両端部(流入口43a近傍及び流出口43b近傍)では、中心線m1は投影形状43P内に配置されるが、投影形状203Pの中央部(ノズル接続口43c近傍)では、中心線m1は投影形状43Pの外側に配置される。即ち、流入口43aの中心から流出口43bの中心までの間において、中心線m1は、第1の縁43dと交差している。変形例5では、連結流路203を中心線m1に対して湾曲させることで、ノズル45直上を流れるインクの流速をより遅くできる。
[変形例6]
変形例6に係るインクジェットヘッドは、第1実施形態に係るインクジェットヘッド3の連結流路43(図3(a)及び(b)参照)を、図13(a)及び(b)に示すバイパス流路194が接続する連結流路193に置き換えた変形例である。その他の構成は、第1実施形態に係るインクジェットヘッド3と同様である。図13(a)及び(b)において、第1実施形態と同様の構成物に対しては、同様の参照番号を用いる。
バイパス流路194は、連結流路193と同様に、プレート37(図4参照)に形成されている。バイパス流路194は、その両端部が連結流路193接続されている。バイパス流路194は、1個の連結流路193に1個設けてもよいし、複数個設けてもよい。変形例6では、1個の連結流路193に2個のバイパス流路194を設ける。図13(b)に示す、連結流路193を上下方向に投影した投影形状193Pにおいて、中心線m1の一方側に位置する第1の縁43dにバイパス流路194aの両端が接続し、中心線m1の他方側に位置する第2の縁43eにバイパス流路194bの両端が接続する。第1方向において、バイパス流路194aの両端の間にノズル43c及びノズル45が配置される。同様に、第1方向において、バイパス流路194bの両端の間にノズル43c及びノズル45が配置される。
変形例6では、連結流路193内に流れるインクの一部が、バイパス流路194内に流れ込み、再び連結流路193に戻る。即ち、バイパス流路194は、連結流路193内に流れるインクの一部を迂回させて再び連結流路193に戻す。この構成により、ノズル接続口43c直上のインクの流量を低減できる。結果として、ノズル接続口43c直上を流れるインクの流速、即ち、ノズル45直上を流れるインクの流速を遅くできる。これにより、変形例6では、第1実施形態と同様に、気泡排出の機能を維持しつつ、インクジェットヘッド3内を循環するインク全体の乾燥及び増粘を抑制できる。また、第1実施形態と同様に、ノズル45から吐出されるインク滴の飛行曲りを抑制でき、複数のノズル45から吐出される液滴間において、吐出方向の不均一(バラツキ)を抑制して、これらを揃えられる。
変形例6では、第1実施形態と異なり、第1距離W1が、第2距離W2及第3距離W3よりも大きい必要はない。例えば、距離W1、距離W2及び距離W3が、同一であってもよい(W1=W2=W3)。変形例6では、距離W1、距離W2及び距離W3の大小関係が第1実施形態と異なっていても、バイパス流路194が接続する連結流路193により、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
以上説明した第1実施形態の変形例1~6は、第2実施形態にも適用可能である。また、変形例1~6で説明した、図8~図13に示す連結流路153、163、173、183、203及び193の構成は、適宜、組合せることも可能である。
[変形例7]
変形例7は、所謂、シェアモード型インクジェットヘッドの例である。例えば、特開2018‐103557号公報に開示される循環式のインクジェットヘッドは、その内部に、上下方向に延びる吐出チャンネル(本発明の「接続流路」)と、同様に上下方向に延びる循環流路(本発明の「接続流路」)と、水平方向に延びて、吐出チャンネルの下端部と循環流路の下端部とを連結し、且つノズルに接続する帰還流路とが形成されている(特開2018‐103557号公報の図8参照)。特開2018‐103557号公報のインクジェットヘッドにおいて、インクは、吐出チャンネルから、帰還流路を経て、循環流路へ流れて、循環している。また、吐出チャンネルは、電圧の印可により壁面が変形して、その容積が増減変化する。特開2018‐103557号公報のインクジェットヘッドは、吐出チャンネルの容積の増減変化により、ノズルからインクを吐出する。
変形例7では、特開2018‐103557号公報に開示されるインクジェットヘッドの帰還流路を、図3(b)に示す第1実施形態の連結流路43に置き換える。これにより、変形例7では、シェアモード型インクジェットヘッドにおいて、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明は以上の例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載の限りにおいて様々な変更が可能である。
また、以上では、ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。インク以外の液体を吐出する、インクジェットヘッド以外の液体吐出ヘッドに本発明を適用することも可能である。