図1は、本実施形態にかかるマルチホップ通信システムSの全体構成の一例を示す図である。図1に示すように、マルチホップ通信システムSは、第1の根ノード端末20aと、第2の根ノード端末20jと、ノード端末10b~10iとを備える。
第1の根ノード端末20aと、第2の根ノード端末20jと、ノード端末10b~10iとは、互いに無線接続可能な通信装置である。以下、第1の根ノード端末20aおよび第2の根ノード端末20jを総称する場合は、単に根ノード端末20という。また、不特定なノード端末10を示す場合には、単にノード端末10として説明する。
図1において、根ノード端末20および複数のノード端末10の各々に示したアルファベットは、根ノード端末20および複数のノード端末10の各々のID(識別情報)の一例である。また、図1中の矢印は、情報の伝達方向を示す。
また、本実施形態においては、マルチホップ通信システムSに含まれる根ノード端末20およびノード端末10によって構成されるネットワークを、マルチホップネットワークNという。
ノード端末10は、マルチホップネットワークNを構成するノードである。換言すると、ノード端末10は、マルチホップ通信により情報を中継して無線通信する通信装置である。マルチホップ通信では、送信元のノード端末10から送信先のノード端末10(または根ノード端末20)への通信を、他のノード端末10が中継して通信する。このため、各ノード端末10が送信した情報は、他のノード端末10により中継され、または直接、根ノード端末20へ送信される。
根ノード端末20は、ノード端末10の各々から送信された情報を集約する。複数のノード端末10と根ノード端末20は、根ノード端末20を根ノードとしたツリー構成のネットワークを構成する。根ノードは、ルートノード(root node)、集約装置、などと称される場合もある。
本実施形態のマルチホップ通信システムSでは、第1の根ノード端末20aと第2の根ノード端末20jのそれぞれに対して、複数のノード端末10がツリー構造で無線接続されている。
図1に示す第1のツリーT1は、第1の根ノード端末20aを頂点とするツリー構造である。また、第2のツリーT2は、第2の根ノード端末20jを頂点とするツリー構造である。以下、第1のツリーT1と第2のツリーT2を特に区別しない場合は、単にツリーTという。ツリーT内の各ノード端末10および根ノード端末20は、互いに接続している。
ここで、本実施形態において、「ノード端末10が根ノード端末20と接続している」とは、ノード端末10が何れかの根ノード端末20と直接的に通信している状態だけではなく、他のノード端末10に中継されて根ノード端末20に情報送信可能な状態を含むものとする。例えば、図1に示す例では、ノード端末10fは、ノード端末10eおよびノード端末10hを介して、第1の根ノード端末20aと接続している。
また、本実施形態においては、各ツリーTにおいて根ノード端末20に近い方を上流、根ノード端末20から離れる側を下流という。
また、本実施形態のマルチホップ通信システムSに含まれる根ノード端末20およびノード端末10のネットワークアドレスは同一である。また、マルチホップ通信システムSに含まれる根ノード端末20およびノード端末10に割当て周波数は同一である。割当て周波数は、根ノード端末20およびノード端末10が無線通信に使用する周波数である。ネットワークアドレスは、ネットワークIDともいう。
次に、ノード端末10および根ノード端末20のハードウェア構成について説明する。本実施形態においては、ノード端末10および根ノード端末20は、同じハードウェア構成を備えるものとする。
図2は、本実施形態にかかるノード端末10および根ノード端末20のハードウェア構成の一例を示す図である。ノード端末10および根ノード端末20は、第1の無線モジュール101と、第2の無線モジュール102と、フラッシュメモリ103と、プロセッサ104と、ROM(Read Only Memory)105と、RAM(Random Access Memory)106と、通信インターフェース(I/F)107とを備える。また、第1の無線モジュール101と、第2の無線モジュール102と、フラッシュメモリ103と、プロセッサ104と、ROM105と、RAM106と、通信インターフェース107とは、バス108により接続されている。
第1の無線モジュール101は、他のノード端末10または根ノード端末20と無線通信を行う。また、第2の無線モジュール102は、センサと無線通信を行う。
プロセッサ104は、本実施形態のノード端末10および根ノード端末20を制御する演算装置である。また、ROM105は、プロセッサ104によって実行されるプログラム等を記憶する。また、RAM106、およびフラッシュメモリ103は、プロセッサ104による各種処理を実行するために必要な情報やセンサデータ等を記憶する。
通信インターフェース107は、PC(Personal Computer)等の外部装置と接続するインターフェースであり、例えばUSB(Universal Serial Bus)ポート等である。
なお、ノード端末10および根ノード端末20のハードウェア構成は、図2に記載の例に限定されるものではない。例えば、ノード端末10および根ノード端末20は、プロセッサ104を中心として他のハードウェア部品がスター型に接続する構成であっても良い。
また、ノード端末10および根ノード端末20は、第1の無線モジュール101および第2の無線モジュール102の代わりに、無線通信機能を実現する他の部品を備えても良い。例えば、ノード端末10および根ノード端末20は、NIC(Network Interface Card)、または無線LANアダプタ等を備えるものとしても良い。
なお、ノード端末10と根ノード端末20とを異なるハードウェア構成にしても良い。この場合は、ノード端末10は、通信インターフェース107を備え無くとも良い。また、根ノード端末20は、第2の無線モジュール102を備え無くとも良い。
次に、本実施形態のノード端末10の機能の詳細を説明する。図3は、本実施形態にかかるノード端末10の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、ノード端末10は、取得部111と、受信部112と、送信部113と、接続制御部114と、記憶部150とを備える。マルチホップ通信システムSに含まれるノード端末10b~10iは、全て同様の機能を備えるものとする。
記憶部150は、センサ30から取得されたセンサデータ、他のノード端末10から送信されたセンサデータ、接続情報、およびノード端末10の処理に必要な各種情報を記憶する。記憶部150は、例えばフラッシュメモリ103またはRAM106等である。
接続情報は、ノード端末10の情報送信先である他のノード端末または根ノード端末20を特定する情報である。一例として、接続情報は、情報送信先である他のノード端末または根ノード端末20のMACアドレスの一部等であるが、他のコード等であっても良い。
また、記憶部150に登録される接続情報は、他のノード端末または根ノード端末20のいずれか1台分の接続情報である。例えば、図1に示す例では、ノード端末10fの記憶部150は、ノード端末10eの接続情報を記憶する。また、ノード端末10dの記憶部150は、第1の根ノード端末20aの接続情報を記憶する。
取得部111は、第2の無線モジュール102を介して、センサ30からセンサデータを取得する。取得部111は、取得したセンサデータを記憶部150に保存する。図3ではセンサ30は1台であるが、センサ30は、ノード端末10b~10iおよび根ノード端末20の周囲に、それぞれ別個のセンサ30が設置されているものとする。
センサ30は、例えば、特定領域の環境情報を検出する。環境情報は、例えば、大気の成分、気温、水温、紫外線などの光量、音量、などであるが、これらに限定されない。センサデータは、センサ30の検出結果である。本実施形態においては、センサ30は、無線通信によってノード端末10にセンサデータを送信するものとする。センサデータは、本実施形態における情報の一例である。
受信部112は、第1の無線モジュール101を介して、他のノード端末10から、センサデータを受信する。受信部112は、受信したセンサデータを記憶部150に保存する。
送信部113は、通信インターフェース107を介して、他のノード端末10、第1の根ノード端末20a、または第2の根ノード端末20jに、取得部111によってセンサ30から取得されたセンサデータ、および他のノード端末10から送信されたセンサデータを送信する。以下、取得部111によってセンサ30から取得されたセンサデータ、および他のノード端末10から送信されたセンサデータを特に区別しない場合は、単にセンサデータという。
送信部113は、記憶部150に保存された接続情報に基づいて、センサデータの送信先を特定する。接続情報には、1台分の他のノード端末10または根ノード端末20の接続情報が保存されているため、送信部113がセンサデータを送信する送信先はいずれか1台の他のノード端末10または根ノード端末20となる。
このため、本実施形態の送信部113は、第1の根ノード端末20aまたは第1の根ノード端末20aと接続するノード端末10b~10fのいずれかにセンサデータを送信する第1のタイミングにおいては、第2の根ノード端末20jまたは第2の根ノード端末20jと接続するノード端末10h,10iにセンサデータを送信しない。また、送信部113は、第2の根ノード端末20jまたは第2の根ノード端末20jと接続するノード端末10h,10iにセンサデータを送信する第2のタイミングにおいては、第1の根ノード端末20aまたは第1の根ノード端末20aと接続するノード端末10b~10fにセンサデータを送信しない。
また、送信部113によるセンサデータの送信先である他のノード端末10または根ノード端末20を、親ノードという。例えば、図1に示す例では、ノード端末10fの親ノードは、ノード端末10eである。また、ノード端末10iの親ノードは、第2の根ノード端末20jである。
図3に戻り、接続制御部114は、送信部113によるセンサデータの送信先、つまり親ノードを、他のノード端末10、第1の根ノード端末20a、または第2の根ノード端末20jのいずれかに決定する。
接続制御部114は、自装置と接続可能な他のノード端末10または根ノード端末20のいずれかを、センサデータの送信先として決定する。また、接続制御部114は、センサデータの送信先との接続が切断したと判断した場合に、接続可能な他のノード端末10または根ノード端末20を特定し、いずれか一の他のノード端末10または根ノード端末20をセンサデータの送信先として決定する。
具体的には、接続制御部114は、他のノード端末10または根ノード端末20から発信されるビーコン信号を検出することにより、接続可能な他のノード端末10または根ノード端末20を特定する。ビーコン信号には、当該ビーコン信号の発信元である他のノード端末10または根ノード端末20の接続情報、およびが当該他のノード端末10または根ノード端末20の接続情報の中継数またはレベルが含まれるものとする。ビーコン信号は、本実施形態における信号の一例である。
接続可能な他のノード端末10または根ノード端末20が複数存在する場合、接続制御部114は、接続可能な他のノード端末10または根ノード端末20のうち、根ノード端末20に接続するための中継数が最も少ない他のノード端末10または根ノード端末20を、センサデータの送信先として決定する。
ここで、中継数は、他のノード端末10が、第1の根ノード端末20aまたは第2の根ノード端末20jに接続するために経由するノード端末10の数である。中継数は、ホップ数ともいう。
また、マルチホップネットワークNにおいては、より少ない中継数で根ノード端末20と接続するほど、ノード端末10のレベルが低くなるように各ノード端末10がレベル分けされる。このため、換言すれば、接続制御部114は、接続可能な他のノード端末10または根ノード端末20のうち、最もレベルが低いノード端末10または根ノード端末20を、センサデータの送信先として決定する。
また、接続制御部114は、接続可能な複数の他のノード端末10または根ノード端末20の中継数またはレベルが同一の場合は、送信されたビーコン信号の電波強度が最も強い他のノード端末10または根ノード端末20を、センサデータの送信先として決定する。接続制御部114は、ビーコン信号の電波強度を、例えば、LQI(Link Quality Indicator)またはRSSI(Received Signal Strength Indication)等に基づいて検出するものとする。
例えば、根ノード端末20自体は、根ノード端末20に接続するための中継数が“0”のため、根ノード端末20の中継数はいずれのノード端末10よりも少ない。また同様に、根ノード端末20のレベルはいずれのノード端末10よりも低い。このため、接続制御部114は、第1の根ノード端末20aまたは第2の根ノード端末20jのいずれか一方から発信されたビーコン信号を検出した場合は、当該ビーコン信号の発信元の第1の根ノード端末20aまたは第2の根ノード端末20jをセンサデータの送信先として決定する。また、接続制御部114は、第1の根ノード端末20aおよび第2の根ノード端末20jの両方から発信されたビーコン信号を検出した場合は、第1の根ノード端末20aおよび第2の根ノード端末20jのうち、送信されたビーコン信号の電波強度が強い根ノード端末20を、センサデータの送信先として決定する。
また、接続制御部114は、センサデータの送信先である他のノード端末10または根ノード端末20から送信されたビーコン信号の電波強度が所定の強度以下の場合、または、センサデータの送信先である他のノード端末10または根ノード端末20のビーコン信号を検出しない場合に、当該他のノード端末10または根ノード端末20との接続が切断したと判断する。所定の強度は、特に限定されるものではないが、センサデータを伝送可能な電波強度とする。
センサデータの送信先である他のノード端末10または根ノード端末20から送信されたビーコン信号の電波強度が所定の強度以下となる場合とは、例えば、自装置と他のノード端末10または根ノード端末20との間に建物が建設されて電波環境が悪化した場合、妨害電波が発生した場合等である。
また、接続制御部114がセンサデータの送信先である他のノード端末10または根ノード端末20のビーコン信号を検出しない場合とは、例えば、センサデータの送信先である他のノード端末10または根ノード端末20に何らかの障害が発生し、ビーコン信号の送信が停止した場合等である。
ここで、接続制御部114がビーコン信号を検出する対象は、自装置と同一のネット―ワークアドレス、および自装置と同一の割当て周波数のノード端末10または根ノード端末20である。つまり、接続制御部114は、自装置が属するツリーTだけではなく、マルチホップネットワークNに含まれる他のツリーTに属するノード端末10または根ノード端末20から送信されたビーコン信号を検出することができる。
図4は、本実施形態にかかる接続先の変更の一例を示す図である。図4に示すノード端末10dの親ノードは、図1と同様に第1の根ノード端末20aであった。この時点では、ノード端末10dは、第1のツリーT1に属していた。しかしながら、電波環境の悪化により、第1の根ノード端末20aから送信されるビーコン信号の電波強度が所定の強度以下となったものとする。この場合、ノード端末10dの接続制御部114は、他のノード端末10または根ノード端末20から発信されるビーコン信号を検出することにより、接続可能な他のノード端末10または根ノード端末20を特定する。
図4に示す例では、ノード端末10dの接続制御部114は、第2のツリーT2に属するノード端末10hから送信されたビーコン信号を検出し、その他のノード端末10または根ノード端末20から送信されたビーコン信号は検出しなかったものとする。この場合、ノード端末10dの接続制御部114は、ノード端末10hを、新たな親ノードとして決定する。このため、図4に示すように、ノード端末10dは、第1のツリーT1から第2のツリーT2に移動する。このような移動により、ノード端末10dのセンサデータは、第2のツリーT2の頂点に位置する第2の根ノード端末20jに収集されることとなる。
本実施形態のマルチホップ通信システムSには、根ノード端末20が2台備えられているため、図4に示すように、ノード端末10と、一方の根ノード端末20との接続が切断した場合であっても、他の根ノード端末20が当該ノード端末10のセンサデータの収集を継続する。
また、図5は、本実施形態にかかる接続先の変更の他の一例を示す図である。図5示すノード端末10bおよびノード端末10cの親ノードは、図1と同様に第1の根ノード端末20aであった。しかしながら、第1の根ノード端末20aに何らかの障害が発生し、情報および信号の送受信が停止した。この場合、第1の根ノード端末20aを頂点とする第1のツリーT1は消滅する。
図7に示す例では、例えば、ノード端末10cの接続制御部114は、ノード端末10dから送信されたビーコン信号を検出し、ノード端末10dを新たな親ノードとして決定する。また、ノード端末10bの接続制御部114は、ノード端末10cおよびノード端末10gの両方からビーコン信号を検出したものとする。この場合、ノード端末10gの方が、ノード端末10cよりも、第2の根ノード端末20jに接続するための中継数が少ない。このため、ノード端末10bの接続制御部114は、ノード端末10gを新たな親ノードとして決定する。
接続制御部114は、接続可能な他のノード端末10または根ノード端末20のうち、センサデータの送信先である親ノードとして決定した他のノード端末10または根ノード端末20の接続情報を、記憶部150に保存する。
また、接続制御部114は、定期的に、他のノード端末10または根ノード端末20に対して自装置の接続情報、および自装置の中継数またはレベルを含むビーコン信号を送信する。
次に、本実施形態の根ノード端末20の機能の詳細を説明する。図6は、本実施形態にかかる根ノード端末20の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図6に示すように、根ノード端末20は、取得部211と、受信部212と、通信部213と、記憶部250とを備える。マルチホップ通信システムSに含まれる全ての根ノード端末20(すなわち、第1の根ノード端末20aおよび第2の根ノード端末20j)は、同様の機能を備えるものとする。
取得部211は、第2の無線モジュール102を介して、センサ30からセンサデータを取得する。取得部211は、取得したセンサデータを記憶部250に保存する。
受信部212は、自装置に直接接続するノード端末10から、センサデータを受信する。より詳細には、第1の根ノード端末20aの受信部212は、ノード端末10b~10dの各々から、ノード端末10b~10dが取得したセンサデータおよび、ノード端末10b~10dの各々の配下のノード端末10e~10gが取得したセンサデータを受信する。受信部212は、受信したセンサデータを記憶部250に保存する。
記憶部250は、受信部212が受信したセンサデータ、および取得部211が取得したセンサデータを記憶する。記憶部250は、例えばフラッシュメモリ103またはRAM106である。
通信部213は、記憶部250に保存されたセンサデータを、PC40に送信する。マルチホップ通信システムSに含まれる全ての根ノード端末20の通信部213が、センサデータを1台のPC40に送信することにより、センサデータの収集結果を統合することができる。また、根ノード端末20が収集したセンサデータの送信先はPC40に限定されるものではない。例えば、通信部213は、無線通信によってクラウド環境にセンサデータを送信しても良い。
次に、以上のように構成されたマルチホップ通信システムSで実行される親ノードの変更の流れについて説明する。
図7は、本実施形態にかかるノード端末10で実行される親ノードの変更の流れの一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、例えば、定期的に実行されるものとしても良いし、ノード端末10の取得部111がセンサデータを取得したタイミング、またはノード端末10の受信部112がセンサデータを受信したタイミングで実行されるものとしても良い。
まず、接続制御部114は、親ノードと接続中であるか否かを判断する(S1)。
接続制御部114は、記憶部150に保存された接続情報によって特定されるノード端末10または根ノード端末20から送信されたビーコン信号の電波強度が所定の強度以下である場合、または、接続情報によって特定されるノード端末10または根ノード端末20から送信されたビーコン信号を検出しない場合に、親ノードとの接続が切断したと判断する(S1“No”)。この場合、接続制御部114は、親ノード以外の、いずれかの他のノード端末10または根ノード端末20から送信されたビーコン信号を検出したか否かを判断する(S2)。
接続制御部114は、検出したビーコン信号の発信元のうち、最もランクの低いノード端末10または根ノード端末20(つまり、最も中継数の少ないノード端末10または根ノード端末20)を新たな親ノードとして決定する(S3)。接続制御部114は、新たな親ノードとして決定した他のノード端末10または根ノード端末20の接続情報を、記憶部150に保存する。
そして、送信部113は、記憶部150に保存された接続情報に基づいて、新たな親ノードを特定する。送信部113は、新たな親ノードにセンサデータを送信する(S4)。新たな親ノードが第2のツリーT2に属するノード端末10または第2の根ノード端末20jである場合、当該送信タイミングは、第2の送信タイミングの一例となる。送信部113がセンサデータを送信する送信先は1つであるため、S4の処理のタイミングでは、送信部113は、第1のツリーT1に属するノード端末10または第1の根ノード端末20aにセンサデータを送信しない。
また、接続制御部114は、親ノードと接続中であると判断した場合は(S1“Yes”)、記憶部150に保存された接続情報を変更しない。
この場合、送信部113は、記憶部150に保存された接続情報に基づいて親ノードを特定し、親ノードにセンサデータを送信する(S5)。既存の親ノードが第1のツリーT1に属するノード端末10または第1の根ノード端末20aである場合、当該送信タイミングは、第1の送信タイミングの一例となる。送信部113がセンサデータを送信する送信先は1つであるため、S5の処理のタイミングでは、送信部113は、第2のツリーT2に属するノード端末10または第2の根ノード端末20jにセンサデータを送信しない。
ここで、このフローチャートの処理は終了する。なお、親ノードの変更処理と、センサデータの送信処理とは、別個の処理として、異なるタイミングで実行されても良い。
従来技術においては、ツリー構造のマルチホップネットワークによって各ノード端末の情報を収集する場合に、電波環境の変化等によって、根ノード端末と、ノード端末との通信が切断と、ノード端末から送信されるデータを収集することが困難になる場合があった。また、このような事態を回避するために、1つノード端末が複数の根ノード端末に常時接続するように構成された場合、同じ情報が複数のノード端末に重複して収集されることとなり、不要なデータの蓄積が生じる可能性があった。
これに対して、本実施形態のマルチホップ通信システムSは、第1の根ノード端末20aと、第2の根ノード端末20jと、第1の根ノード端末20aまたは第2の根ノード端末20jと無線接続可能な複数のノード端末10とを備える。そして、ノード端末10は、第1の根ノード端末20aまたは第1の根ノード端末20aと接続する他のノード端末10にセンサデータを送信する第1のタイミングにおいては、第2の根ノード端末20jまたは前記第2の根ノード端末20jと接続する他のノード端末10にセンサデータを送信しない。また、ノード端末10は、第2の根ノード端末20jまたは第2の根ノード端末20jと接続する他のノード端末10にセンサデータを送信する第2のタイミングにおいては、第1の根ノード端末20aまたは第1の根ノード端末20aと接続する他のノード端末10にセンサデータを送信しない。このため、本実施形態のマルチホップ通信システムSによれば、同じセンサデータが複数の根ノード端末20によって重複して収集されることを回避すると共に、データ収集の安定性を向上することができる。
また、本実施形態のマルチホップ通信システムSでは、第1の根ノード端末20a、第2の根ノード端末20j、および複数のノード端末10のネットワークアドレスおよび割当て周波数は同一である。このため、各ノード端末10は、自装置と異なるツリーTに属する他のノード端末または根ノード端末20とも接続することが可能となる。このため、本実施形態のマルチホップ通信システムSによれば、一方の根ノード端末20との接続が切断した場合であっても、他の根ノード端末20が当該ノード端末10のセンサデータの収集を継続することができる。
また、本実施形態のマルチホップ通信システムSによれば、ネットワークアドレスおよび周波数を統一することにより、各ノード端末10および根ノード端末20の設定を一律にすることができるため、各ノード端末10および根ノード端末20の設置の際の作業者の負荷、または誤設定等による不具合の発生を低減することができる。
また、本実施形態のノード端末10は、センサデータの送信先との接続が切断したと判断した場合に、接続可能な他のノード端末10、第1の根ノード端末20a、または第2の根ノード端末20jを特定し、いずれか一の他のノード端末、第1の根ノード端末20a、または第2の根ノード端末20jをセンサデータの新たな送信先として決定する。具体的には、本実施形態のノード端末10は、他のノード端末10または第1の根ノード端末20a、または第2の根ノード端末20bから発信されるビーコン信号を検出することにより、接続可能な他のノード端末10または根ノード端末20を特定する。このため、本実施形態のマルチホップ通信システムSによれば、予め予備の接続先の情報を登録していなくとも、自動的に新たな親ノードを検出することができる。
また、本実施形態のノード端末10は、他のノード端末10、第1の根ノード端末20a、または第2の根ノード端末20bから発信されたビーコン信号を検出した場合に、検出したビーコン信号の発信元のうち、中継数が最も少ない他のノード端末10、第1の根ノード端末20a、または第2の根ノード端末20bをセンサデータの送信先として決定する。このため、本実施形態のマルチホップ通信システムSによれば、根ノード端末20にセンサデータを収集するための最短の経路を選択することができる。
また、本実施形態のノード端末10は、中継数が同一の場合は、ビーコン信号の電波強度が最も強い他のノード端末10、第1の根ノード端末20a、または第2の根ノード端末20jをセンサデータの送信先として決定する。このため、本実施形態のマルチホップ通信システムSによれば、センサデータ収集の安定性をより向上することができる。
また、本実施形態のノード端末10は、センサデータの送信先である他のノード端末10、第1の根ノード端末20a、または第2の根ノード端末20jから送信されたビーコン信号の電波強度が所定の強度以下の場合、または、センサデータの送信先である他のノード端末10、第1の根ノード端末20a、または第2の根ノード端末20jのビーコン信号を検出しない場合に、他のノード端末10、第1の根ノード端末20a、または第2の根ノード端末20jとの接続が切断したと判断する。このため、本実施形態のマルチホップ通信システムSによれば、自動的に接続状態を判断し、新たな接続先を迅速に探索することができる。
なお、本実施形態においては、マルチホップ通信システムSは2つの根ノード端末20を備えるものとしたが、マルチホップ通信システムSは3つ以上の根ノード端末20を備えるものとしても良い。また、図1、図4、および図5に示したマルチホップ通信システムSの構成は一例であり、ノード端末10および根ノード端末20の数、およびノード端末10および根ノード端末20の接続関係は、上述の例に限定するものではない。
また、本実施形態においては、センサ30は、無線通信によってノード端末10および根ノード端末20にセンサデータを送信するものとしたが、ノード端末10とセンサ30とが有線接続する構成を採用しても良い。例えば、センサ30がノード端末10または根ノード端末20と同一のユニットに組み込まれた構成を採用しても良い。この場合、センサ30は、ノード端末10または根ノード端末20と通信インターフェース107を介して接続するものとする。また、センサ30は、その他の手段によってノード端末10または根ノード端末20のプロセッサ104にセンサデータを提供可能であるものとしても良い。また、当該構成を採用する場合は、ノード端末10および根ノード端末20は、第2の無線モジュール102を有さなくとも良い。センサ30は、ノード端末10または根ノード端末20と同一の筐体内に備えられても良いし、別個の筐体として設けられても良いものとする。
また、本実施形態においては、マルチホップ通信システムSは、各ノード端末10が取得したセンサデータを収集するものとしたが、マルチホップ通信システムSが収集する情報は、センサデータに限定されるものではない。
なお、本実施形態のノード端末10および根ノード端末20で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良いし、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。また、各種プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成しても良い。
本実施形態のノード端末10で実行されるプログラムは、上述した各機能部(取得部、受信部、送信部、接続制御部)を含むモジュール構成となっている。
また、本実施形態の根ノード端末20で実行されるプログラムは、上述した各機能部(取得部、受信部、通信部)を含むモジュール構成となっている。
また、本実施形態における上記処理を実行するためのプログラムは、上記各機能部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしては、例えば、CPU(プロセッサ)がROMまたはフラッシュメモリから上記プログラムを読み出して実行することにより、上述した各機能部がRAM(主記憶)上にロードされ、上述した各機能部がRAM(主記憶)上に生成されるようになっている。なお、上述した各機能部の一部または全部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの専用のハードウェアを用いて実現することも可能である。
また、本実施形態では、ノード端末10の取得部111、受信部112、送信部113、接続制御部114、および根ノード端末20の取得部211、受信部212、通信部213を、プロセッサ104によって実現される機能の一例として記載したが、各機能部がハードウェア回路等によって実現されるものとしても良い。例えば、ノード端末10の取得部111および根ノード端末20の取得部211は、第2の無線モジュール102または通信インターフェース107によって実現されるものとしても良い。また、ノード端末10の受信部112、送信部113および根ノード端末20の受信部212は、第1の無線モジュールまたは通信インターフェースによって実現されるものとしても良い。また、根ノード端末20の通信部213は、通信インターフェースによって実現されるものとしても良い。また、根ノード端末20の通信部213は、無線通信機能を実現するハードウェア部品によって実現されるものとしても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。