JP7245045B2 - 貼付薬用基材 - Google Patents
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Description
特許文献1にかかる貼付薬用基材は、表面層ウェブと裏面層ウェブが積層してなる複合シート状物であり、以下の構成を備えている。
・複合シート状物の表面層が、ウォータージェットによるウォーターニードリングを賦与することで分割された、分割繊維由来の極細繊維によって構成されていること。
・ウォータージェットによるウォーターニードリングを賦与して表面層ウェブと裏面層ウェブの繊維同士を交絡させて調製したものであること。
なお、複合シート状物の表面層が極細繊維により構成されていることによって、薬剤の裏抜けが防止された複合シート状物であること、そして、ウォータージェットによるウォーターニードリング不織布であるため、ノーバインダーで衛生的でありパップ基布などのメディカル用基布として好ましいものであることが開示されている。
該貼付薬用基材の表面層は、使用時に人体に貼付する側(裏面層側)と反対側に存在する。そのため、表面層は露出した状態で使用されるため、人体や衣類に触れる可能性が高い。しかし、該貼付薬用基材の表面層には、分割繊維由来の尖った部分や鋭い端面を有した異形断面繊維が存在している。
そのため、該貼付薬用基材の表面層に人体が触れた際に、平滑さを感じられずざらついた不快な印象を人に与えることがあった。また、該貼付薬用基材の表面層に衣類が触れた際に、衣類が該貼付薬用基材にひっかかるような不快な印象を人に与える恐れがあると考えられた。以降、不快な印象を人に与えることを、風合いが悪いと称することがある。
更に、高圧のウォータージェットによるウォーターニードリングを賦与して分割繊維を分割する必要があるため、得られた皮膚貼付基布では繊維同士の交絡が過剰に行われており、伸張性に富む貼付薬用基材を提供することが困難であった。
このような問題点をふまえ、本発明では、風合いが良く伸張性に富む貼付薬用基材の提供を目的とする。
検討の結果、上述の構成を備えた貼付薬用基材において、細繊維層における捲縮繊維層側と反対側の主面上に存在する繊維の断面形状が円形であることによって、風合いの良い貼付薬用基材を実現できることを見出した。つまり、異形断面繊維を含有する該主面を備えた貼付薬用基材よりも、断面形状が円形である繊維で構成された該主面を備えた貼付薬用基材は、細繊維層における捲縮繊維層側と反対側の主面(引用文献1でいう表面層の主面)の平滑性に優れた貼付薬用基材であると考えられる。
そのため、風合いが良く伸張性に富む貼付薬用基材を提供できる。
第一の発明にかかる構成を備えた貼付薬用基材では、細繊維層と捲縮繊維を含有する捲縮繊維層との伸張性が大きく異なることがある。そのため、貼付薬用基材の製造工程中や保管時あるいは使用時に、貼付薬用基材にカールが生じる恐れがあった。
しかし、細繊維層が捲縮繊維を含有していることによって、細繊維層と捲縮繊維を含有する捲縮繊維層との伸張性の差が小さいものとなる。
そのため、断面形状が円形である繊維で構成された細繊維層を備えていることで、風合いが良くより伸張性に富む貼付薬用基材であると共に、カールが発生し難い貼付薬用基材を提供できる。
以上から、第一の本発明にかかる貼付薬用基材は、風合いが良く伸張性に富む貼付薬用基材である。
以上から、第二の本発明にかかる貼付薬用基材は、風合いが良くより伸張性に富むと共に、捲縮繊維層と細繊維層の伸張性の差が小さいことで、カールが発生し難い貼付薬用基材である。
なお、これらのポリマーは、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、またポリマーがブロック共重合体やランダム共重合体でも構わず、またポリマーの立体構造や結晶性の有無がいかなるものでもよい。
更には、複数のポリマーを備えていても良く、複数のポリマーを混ぜ合わせた混合ポリマーを備えていてもよい。
特に、細繊維層と捲縮繊維を含有する捲縮繊維層との伸張性の差が小さいものとなるように、細繊維層と捲縮繊維層を構成する繊維は共に同様の繊維長を有するのが好ましい。具体的には、細繊維層と捲縮繊維層が共に短繊維で構成されているのが好ましい。
また、直接紡糸法を用いて、紡糸溶液や溶融した樹脂を細径化して直接紡糸すると共に繊維を捕集して繊維ウェブまたは不織布を調製してもよい。
そして、機能性成分は構成繊維の表面及び/又は内部に粒子状、あるいは、各繊維層の表面の一部または全部を被覆するように皮膜状で存在していることができる。
各繊維層に機能性成分を担持する方法は適宜選択できるが、例えば、機能性成分の分散液、あるいはバインダを含んだ機能性成分の分散液を、各繊維層の一方の主面あるいは両主面へ、噴霧あるいは既知のコーティング方法(例えば、グラビアロールを用いたキスコーティング法、ダイコーティング法など)を用いて担持した後、溶媒を除去する方法や、各繊維層や貼付薬用基材を上述の分散液に浸漬し引き上げた後、溶媒を除去する方法などを採用できる。
(1)セキスイ製ビニクロステープNo.750(75mm巾)を20cm程度切り取り、測定対象の両主面に、それぞれ貼付した。なお、貼付は測定対象のタテ方向(測定対象の生産時の流れ方向)とテープの長手方向とを平行とする。また、貼付する際には、テープを測定対象から6cm程度はみ出すように貼付した後、はみ出したテープを折り返し、テープの粘着面同士を粘着させて、掴み部分を3cm程度形成した。
(2)前記テープを貼付した測定対象をロール加圧装置(ロール圧力:1.0kgf、2.0m/min.の速度で圧着)へ供し、長手方向13cm(掴み部分3cmを含む)、幅方向5cmの試験片を得た。
(3)前記試験片を標準状態温度(温度:20℃、相対湿度:65%)にて1時間放置した後、引張り強さ試験機(オリエンテック製、テンシロンUTM-III-100)の各チャックに試験片の掴み部分を各々挟むことで試験片をチャック間(距離:50mm)に固定し、引張速度500m/min.にて、測定対象に層間剥離が生じ2枚の剥離片が得られるまで、引張った。
(4)電子顕微鏡を用いて、両剥離片の厚さ方向における500倍の断面写真を各々撮影した。
(5)撮影した各写真を観察、あるいは、該写真に写る繊維を分析することで、各写真に最も多くの本数が映る繊維種を特定して、一方の剥離片を主として構成する繊維(繊維Aと称する)、ならびに、もう一方の剥離片を主として構成する繊維(繊維Bと称する)を求めた。
(6)写真に写る繊維Aと繊維Bを比較し、捲縮の多い方の繊維を捲縮繊維とし、主として捲縮繊維で構成されている剥離片を捲縮繊維層(構成繊維の50%以上が捲縮繊維である繊維の層)とした。
(7)また、写真に写る繊維Aと繊維Bを比較し、繊維径の細い方の繊維(以降、繊維Bがそうであると仮定し説明する)を細繊維とし、主として細繊維で構成されている剥離片を細繊維層(構成繊維の50%以上が細繊維である繊維の層)とした。
(1)電子顕微鏡を用いて、測定対象における一方の主面の500倍の写真、ならびに、測定対象におけるもう一方の主面の500倍の写真を撮影した。
(2)撮影した各写真を観察、あるいは、該写真に写る繊維を分析することで、各写真に最も多くの本数が映る繊維種を特定して、一方の主面を主として構成する繊維(繊維Aと称する)ならびにもう一方の主面を主として構成する繊維(繊維Bと称する)を求めた。
写真に写る繊維Aと繊維Bを比較し、捲縮の多い方の繊維を捲縮繊維(以降、繊維Aが捲縮繊維であると仮定し説明する)とした。
(3)電子顕微鏡を用いて、測定対象の厚さ方向における500倍の断面写真を撮影した。
(4)断面写真上に、厚さ方向と垂直をなす直線を複数引いた。
(5)直線と交点を有する繊維本数に占める捲縮繊維の本数の百分率を、各直線ごとに各々算出した。
(6)該百分率が50%以上となる直線のうち最も該百分率が小さい直線を求め、一方の主面(主として繊維Aで構成されている主面)から該直線までの範囲を、捲縮繊維を含んでいる捲縮繊維層(構成繊維の50%以上が捲縮繊維である繊維の層)とした。
(7)更に、測定対象を以下の分析方法へ供することによって、細繊維層を判断できる。
電子顕微鏡を用いて、測定対象における一方の主面の500倍の写真、ならびに、測定対象におけるもう一方の主面の500倍の写真を撮影した。
(8)撮影した各写真を観察、あるいは、該写真に写る繊維を分析することで、各写真に最も多くの本数が映る繊維種を特定して、一方の主面を主として構成する繊維(繊維Aと称する)ならびにもう一方の主面を主として構成する繊維(繊維Bと称する)を求めた。
(9)写真に写る繊維Aと繊維Bを比較し、繊維径の細い方の繊維(以降、繊維Bがそうであると仮定し説明する)を判断した。
(10)電子顕微鏡を用いて、測定対象の厚さ方向における500倍の断面写真を撮影した。
(11)断面写真上に、貼付薬用基材の厚さ方向と垂直をなす直線を複数引いた。
(12)直線と交点を有する繊維本数に占める繊維Bの本数の百分率を、各直線ごとに各々算出した。
(13)該百分率が50%以上となる直線のうち最も該百分率が小さい直線を求め、もう一方の主面(主として繊維Bで構成されている貼付薬用基材の主面)から該直線までの範囲を、細繊維層(構成繊維の50%以上が細繊維である繊維の層)とした。
細繊維層における捲縮繊維層側と反対側の主面上に存在する繊維の平均繊維径は、上述した細繊維層の判断方法において、繊維径の細い方の繊維で構成されている主面を撮影した写真から求めることができる。つまり、該主面を撮影した写真からランダムに10点の繊維を選出し、選出された各繊維径の算術平均値を該平均繊維径とする。なお、繊維の断面形状が完全な円でない場合には、断面積と同じ面積の円の直径を繊維径とみなす。
具体例として、繊維径が0.6~6.6dtex(好ましくは1.1~2.2dtex)の捲縮繊維と、接着繊維とで構成された捲縮繊維層であってもよい。本構成の捲縮繊維層は伸張性が低下する傾向にあるものの、強度が向上することでコシに優れ貼り易い貼付薬用基材を提供できる。また、捲縮繊維と該捲縮繊維よりも繊度の小さい繊維とで構成された捲縮繊維層であってもよい。本構成の捲縮繊維層は伸張性が低下する傾向にあるものの捲縮繊維層がきめ細かくなり、薬剤が細繊維層側にしみ出し難い付薬用基材を提供できる。
具体例として、繊維径が0.01~0.5dtexの断面形状が円形の単繊維と、断面形状が円形の接着繊維で調製された細繊維層であってもよい。本構成の細繊維層であることによって、モモケの発生が防止された細繊維層を備える貼付薬用基材を提供できる。なお、貼付薬用基材において、接着繊維の細繊維と接着している部分以外の断面形状が円形である場合、該接着繊維の断面形状は円形であると判断する。
なお、上述した効果がより効果的に発揮されるよう、他種の繊維が捲縮繊維層の全体や細繊維層の全体に存在しているのが好ましい。
(1)主として潜在捲縮繊維を含んだ繊維ウェブA、または、主として潜在捲縮繊維を含み構成された不織布Aを用意する工程。
(2)繊維ウェブAまたは不織布A上に、主として断面形状が円形の細繊維を含んだ繊維ウェブBを積層してなる、積層体を調製する工程。
(3)積層体における繊維ウェブB側から、ニードルや水流などの絡合手段を作用させる工程。
(4)絡合手段を作用させた積層体を加熱処理へ供し、潜在捲縮繊維の捲縮を発現する工程。
サイドバイサイド型に構成されたポリエステル系樹脂の潜在捲縮繊維(繊維の断面形状:円形、繊度:2.2dtex、繊維長:51mm、160℃の加熱条件下では溶融せず)のみをカード機へ供し、繊維ウエブA1(目付:20g/m2、クロスレイウエブ)を調製した。
次いで、繊維ウエブA1上に、ポリエステル単繊維(繊維の断面形状:円形、繊度:0.06dtex、繊維長:3mm)のみを湿式抄造して繊維ウェブB1(目付:20g/m2)の層を備えた積層体を調製した。
そして、積層体における繊維ウェブB1側から3MPa、ウェブA1側から3MPaの圧力で水流絡合を施すことで、繊維ウェブB1を構成するポリエステル単繊維の一部を繊維ウェブA1へ入り込ませた。
最後に、水流絡合を施した積層体を160℃の加熱条件下へ供して積層体に含まれている潜在捲縮繊維の捲縮を発現させ、加熱圧縮することで厚みを調整し、貼付薬用基材(目付:56.7g/m2、厚さ:0.51mm)を調製した。
なお、このようにして調製した貼付薬用基材は、本発明の構成を満足するものであった。
実施例1で採用した潜在捲縮繊維のみをカード機へ供し、調製されたパラレルウエブへ実施例1と同じ条件で水流絡合を施して不織布C1(目付:40g/m2)を調製した。
繊維ウェブAの代わりに、このようにして調製した不織布C1を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、貼付薬用基材(目付:81.2g/m2、厚さ:0.63mm)を調製した。
なお、このようにして調製した貼付薬用基材は、本発明の構成を満足するものであった。
不織布C1上に、実施例1で採用したポリエステル単繊維80質量%と、芯部がポリエチレンテレフタレートであり鞘部が低融点ポリエチレンテレフタレートである芯鞘型の接着繊維(繊維の断面形状:円形、繊度:1.1dtex、繊維長:5mm、160℃の加熱条件下で鞘部のみが溶融する)20質量%を湿式抄造して繊維ウェブB2(目付:20g/m2)の層を備えた積層体を調製した。
そして、積層体へ実施例1と同じ条件で水流絡合を施して、繊維ウェブB2を構成するポリエステル単繊維の一部を繊維不織布C1へ入り込ませた。
最後に、水流絡合を施した積層体を160℃の加熱条件下へ供して接着繊維による繊維接着機能を発揮させると共に、積層体に含まれている潜在捲縮繊維の捲縮を発現させ、貼付薬用基材(目付:85.3g/m2、厚さ:0.66mm)を調製した。
なお、このようにして調製した貼付薬用基材は、本発明の構成を満足するものであった。更に、実施例3の貼付薬用基材は、モモケの発生が防止された細繊維層を備える貼付薬用基材であった。
実施例1で採用した潜在捲縮繊維のみをカード機へ供し、調製されたパラレルウエブへ実施例1と同じ条件で水流絡合を施して不織布C2(目付:25g/m2)を調製した。
次いで、不織布C2上に、実施例1で採用したポリエステル単繊維50質量%と、実施例1で採用した潜在捲縮繊維50質量%を湿式抄造して繊維ウェブB3(目付:20g/m2)の層を備えた積層体を調製した。
そして、積層体へ実施例1と同じ条件で水流絡合を施して、繊維ウェブB3を構成するポリエステル単繊維の一部を不織布C2へ入り込ませた。
最後に、水流絡合を施した積層体を160℃の加熱条件下へ供して積層体に含まれている潜在捲縮繊維の捲縮を発現させ、貼付薬用基材(目付:71.3g/m2、厚さ:0.49mm)を調製した。
なお、このようにして調製した貼付薬用基材は、本発明の構成を満足するものであった。
不織布C1へ更に実施例1と同じ条件で水流絡合を施した後、160℃の加熱条件下へ供し繊維ウェブに含まれている潜在捲縮繊維の捲縮を発現させ、貼付薬用基材(目付:82.8g/m2、厚さ:0.61mm)を調製した。
なお、このようにして調製した貼付薬用基材は、細繊維層を備えていないため、本発明の構成を満足するものではなかった。
実施例1で採用した潜在捲縮繊維のみをカード機へ供し、繊維ウエブA2(目付:30g/m2)を調製した。
次いで、ポリエチレンテレフタレート樹脂を第一成分、ナイロンを第二成分とした、断面形状が略均等に16分割可能なオレンジ型の分割型複合繊維(分割型複合繊維の断面形状:円形(分割後に断面形状が非円形であるオレンジ型の繊維が形成される)、繊度:2.5デニール、繊維長:51mm)のみをカード機へ供し、繊維ウェブB4(目付:25g/m2)を調製し、繊維ウエブA2上に重ね積層体を調製した。
そして、積層体における繊維ウェブB4側からから6MPa、繊維ウェブA2側から6MPaの圧力で水流絡合を施すことで、繊維ウェブB4を構成する分割型複合繊維を分割させると共に分割した繊維の一部を繊維ウェブA2へ入り込ませた。なお、実施例および比較例1で採用した水流絡合条件では、分割型複合繊維を十分に分割させることができないものであった。
最後に、水流絡合を施した積層体を165℃の加熱条件下へ供して積層体に含まれている潜在捲縮繊維の捲縮を発現させ、貼付薬用基材(目付:66.1g/m2、厚さ:0.55mm)を調製した。
なお、このようにして調製した貼付薬用基材は、細繊維層における捲縮繊維層側と反対側の主面上に、断面形状が円形ではない繊維(分割型複合繊維を分割してなる繊維)が存在しているため、本発明の構成を満足するものではなかった。
なお測定における「タテ」とは、測定対象の生産方向(流れ方向ともいい、具体的には貼付薬用基材を構成する捲縮繊維層の生産方向)をいい、「ヨコ」とは「タテ」に直交する方向をいう。
測定対象から幅が20mm、長さが80mmの試料片を採取し、定速伸長型引張試験機(オリエンテック社製、テンシロン、つかみ間隔:50mm、引張速度:100mm/分)を用い、試験片を長辺方向へ引張り、試料片が破断するまでの最大荷重を測定する。この最大荷重の測定を3枚の試料片について行い、これら最大荷重を算術平均し「引張り強さ」とする。
前述の引張り強さの測定を行った時の、最大荷重時の試料片の伸び(Smax、単位:mm)[=(最大荷重時の長さ、単位:mm)-(つかみ間隔=50mm)]のつかみ間隔(50mm)に対する百分率をいう。つまり、次の式から得られる値である。この測定を3回行い、前記百分率の算術平均値を「伸び率」とする。
Sr=(Smax/50)×100
なお、「伸び率」が高いほど伸張性に優れる測定対象であることを意味する。
比較例1の貼付薬用基材の主面を人が触った際に感じた触感を基準(表1において「±」と記載)として、調製された実施例および比較例2の各貼付薬用基材の、細繊維層における捲縮繊維層側と反対側の主面(繊維ウェブB1~B4由来の主面)を人が触った際に感じた触感を評価した。つまり、比較例1の貼付薬用基材よりも風合いが良いと感じた貼付薬用基材には、表1において「+」を記載した。一方、比較例1の貼付薬用基材よりも風合いが悪いと感じた貼付薬用基材には、表1において「-」を記載した。
調製された実施例および比較例の各貼付薬用基材を自然条件下(常圧の25℃雰囲気下)に静置した際に、貼付薬用基材にカールが発生しているか否かを目視で確認した。なお、表1においてカールが発生したものには「有」を、カールが発生しなかったものには「無」を記載した。
測定対象から幅が20mm、長さが80mmの試料片を採取し、定速伸長型引張試験機(オリエンテック社製、テンシロン)を用い、試料片をつかみ間隔50mmで固定した後、10mm(=20%)伸長(つかみ間隔:50mm)するまでの最大荷重を測定する。この最大荷重の測定を3枚の試料片について行い、これら最大荷重を算術平均し、「20%モジュラス強度」とする。なお、測定は引張速度100mm/分の条件で行う。
また、20%モジュラス強度の測定と同様に、25mm(=50%)伸長(つかみ間隔:50mm)するまでの最大荷重を測定し、この最大荷重の測定を3枚の試料片について行い、これら最大荷重を算術平均し、「50%モジュラス強度(単位:N/20mm)」とする。
なお、「20%モジュラス強度」ならびに「50%モジュラス強度」が低いほど、わずかな力で伸張できる測定対象であることを意味する。
測定対象から幅が20mm、長さが80mmの試料片を採取し、定速伸長型引張試験機(オリエンテック社製、テンシロン)を用い、試料片をつかみ間隔50mmで固定する。このつかみ間隔50mmの位置を始点とし、始点から10mmの位置、即ち20%伸長位置(L20=10mm)まで速度100mm/分で引張った後、同速度で始点まで戻す。
この引張時に試料片の引張応力が0.05Nになったときのつかみ間隔の長さから初期つかみ間隔の長さ(50mm)を引いた長さ(Lf)、及び、戻す時に試料片の引張応力が0.05Nになったときのつかみ間隔の長さから初期つかみ間隔の長さ(50mm)を引いた長さ(Lb)を測定する。この測定を3枚の試料片について行い、前記長さをそれぞれ算術平均することで、つかみ間隔の長さ(Lf)の平均値(Lf1)及びつかみ間隔の長さ(Lb)の平均値(Lb1)を求め、次の式から算出される数値を20%伸長時の回復率とする。
20%伸長時の回復率(%)=〔[(L20-Lf1)―(Lb1-Lf1)]/(L20-Lf1)〕×100
また、同一の試料片を、上述の測定へ連続して3回供する。3回目の測定において測定された、つかみ間隔の長さ(Lb)の平均値(Lb3)を用いて、次の式から算出される数値を「3回繰り返した際の20%伸長時の回復率(%)」とする。
3回繰り返した際の20%伸長時の回復率(%)=〔[(L20-Lf1)―(Lb3-Lf1)]/(L20-Lf1)〕×100
試料片を、始点から25mmの位置、即ち50%伸長位置(L50=25mm)まで引っ張ったこと以外は、(20%伸長時の回復率(単位:%)の測定方法)で説明した方法と同じく、つかみ間隔の長さ(Lf)の平均値(Lf1)及びつかみ間隔の長さ(Lb)の平均値(Lb1)を求め、次の式から算出される数値を50%伸長時の回復率とする。
50%伸長時の回復率(%)=〔[(L50-Lf1)―(Lb1-Lf1)]/(L50-Lf1)〕×100
また、(20%伸長時の回復率(単位:%)の測定方法)で説明した方法と同じく、3回目の測定において測定された、つかみ間隔の長さ(Lb)の平均値(Lb3)を用いて、次の式から算出される数値を「3回繰り返した際の50%伸長時の回復率(%)」とする。
3回繰り返した際の50%伸長時の回復率(%)=〔[(L50-Lf1)―(Lb3-Lf1)]/(L50-Lf1)〕×100
測定対象の静摩擦係数及び動摩擦係数は、JIS K 7125:1999に基づいて、株式会社トリニティーラボ製の静動摩擦測定機 TL201Ttにて測定・算出した。1cm2の面積の接触端子にJIS染色堅ろう度試験用ポリエステル標準白布をセットし、100gの荷重をかけながら、20mm/secの速さで測定対象の表面をなぞり、得られたデータをもとに静摩擦係数、動摩擦係数、動摩擦係数の偏差を算出した。
なお、本発明の効果が効果的に発揮されるよう、貼付薬用基材の細繊維層における静摩擦係数と動摩擦係数の値は適宜調整するものであるが、該効果がより効果的に発揮されるよう、静摩擦係数の値は0.554未満であるのが好ましい。同理由から、動摩擦係数の値は0.347未満であるのが好ましく、0.340以下であるのが好ましく、0.330以下であるのが好ましい。
また、動摩擦係数の偏差が小さいほど、主面の平滑性に優れて風合いに富む貼付薬用基材を提供できることから、動摩擦係数の偏差の値は0.096未満であるのが好ましく、0.090以下であるのが好ましく、0.085以下であるのが好ましい。
一方、実施例の貼付薬用基材は、細繊維層における主面の静摩擦係数と動摩擦係数が十分小さいと共に、平滑性に富む(動摩擦係数の偏差が小さい)ため、風合いが良い貼付薬用基材であると考えられた。
Claims (2)
- 細繊維層と捲縮繊維を含んでいる捲縮繊維層が積層してなると共に、前記細繊維層を構成する繊維の一部が前記捲縮繊維層へ入り込んでおり、一方の主面に前記細繊維層が露出しており、もう一方の主面に前記捲縮繊維層が露出している、貼付薬用基材であって、
前記細繊維層を構成する繊維と前記捲縮繊維層を構成する繊維は、共に繊維長が100mm以下の特定長にカットされた繊維であって、
前記細繊維層は、繊維径が0.01~0.5dtexの断面形状が円形の単繊維を含んでおり、
前記細繊維層における前記捲縮繊維層側と反対側の主面上に存在する繊維の平均繊維径は前記捲縮繊維層の平均繊維径よりも小さく、
前記細繊維層における前記捲縮繊維層側と反対側の主面上に存在する繊維の断面形状は円形である、
貼付薬用基材。
- 細繊維層は、その全体に断面形状が円形の捲縮繊維を含んでいる、請求項1に記載の貼付薬用基材。
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