JP7243835B2 - 細胞回収装置、細胞回収方法、細胞分離システム、および細胞分離方法 - Google Patents

細胞回収装置、細胞回収方法、細胞分離システム、および細胞分離方法 Download PDF

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Description

本開示の技術は、細胞回収装置、細胞回収方法、細胞分離システム、および細胞分離方法に関する。
生物医学的研究および臨床の分野においては、被検体から採取した試料を用いて生体外で培養した後、目的の試料(例えば細胞や液性因子など)の選別および回収を行って、その後の研究および治療に用いることが行われる。例えば、再生医療および細胞療法の分野においては、被検体から採取した細胞を培地中で増殖させた後、培地から、目的としない細胞や夾雑物を分離し、目的の細胞や液性因子を回収して使用する(例えば、米国特許出願公開第2019/0169572号明細書、特表2019-509763号公報、等)。
細胞の回収においては、その後の治療および研究の質を高めるため、細胞を高純度で回収することの他、細胞の品質の保持が求められる。特に、目的の細胞の生化学特性および分子特性を変更する恐れのある微生物汚染は回避されなければならない。そのため、細胞は、無菌状態で取り扱われる必要がある。
そこで、様々な実施形態により、目的の細胞を無菌状態で取り扱うことのできる細胞回収装置および細胞回収方法を提供することを目的とする。また、細胞を高純度で分離回収することが可能な細胞分離システムおよび細胞分離方法を提供することを別の目的とする。
一態様に係る細胞回収装置は、
細胞を含む懸濁液から前記細胞を分別する第1フィルタを有する第1容器と、
第1流路によって前記第1容器と接続される回収容器と、
前記第1流路に介装され、減圧吸引によって前記第1容器から前記回収容器へと、分別された前記細胞を移送し、容積式ポンプである第1ポンプと、
前記第1容器の上流側に配置される第2容器と、
前記第2容器と前記第1容器とを接続する第2流路と、
前記第2容器から前記第2流路を介して前記懸濁液を前記第1容器へと移送する第2ポンプと、
前記第2ポンプと前記第2容器とを接続する第3流路と、
を備え、
前記第1容器、前記第1流路、前記回収容器、前記第1ポンプ、前記第2容器および前記第2流路が、閉鎖系で接続されている。
また、一態様に係る前記細胞回収装置は、前記第3流路に介装される第2フィルタを更に含む。
また、一態様に係る前記細胞回収装置において、前記第2ポンプが、気体によって圧力を印加する方式のポンプである。
また、一態様に係る前記細胞回収装置において、前記懸濁液中、前記細胞は担体に担持されており、前記担体に担持される前記細胞は、前記第1フィルタよりも上流側で前記担体から脱離され、前記第1フィルタによって前記細胞と前記担体とが分別される。
また、一態様に係る前記細胞回収装置において、前記第1容器が、振とう機、攪拌機および遠心機からなる群より選択される少なくとも1つを有する。
また、一態様に係る前記細胞回収装置において、前記第2容器が、振とう機および攪拌機からなる群より選択される少なくとも1つを有する。
また、一態様に係る前記細胞回収装置において、前記第2フィルタが、0.01~30μmの範囲内の孔径を有する。
また、一態様に係る前記細胞回収装置において、前記担体に担持される前記細胞は、前記第2容器において、前記担体から脱離される。
また、一態様に係る前記細胞回収装置において、前記第1流路の流速が、0.0004~8.0L/分の範囲内である。
また、一態様に係る前記細胞回収装置において、前記第1流路が、1.8~13.0mmの範囲の内径を有する。
また、一態様に係る前記細胞回収装置において、前記第1流路が、2.0~16.0mmの範囲の外径を有する。
一態様に係る細胞回収方法は、
細胞を含む懸濁液を、第2ポンプによって第2容器から第1容器へと移送すること、
前記第1容器において、前記懸濁液から前記細胞を分別すること、および、
分別された前記細胞を、容積式ポンプである第1ポンプによる減圧吸引によって、前記第1容器から回収容器へと移送すること、を含み、
前記第2容器から前記第1容器への移送、前記細胞の分別、および、分別された前記細胞の前記回収容器への移送は、閉鎖系で実行される。
また、一態様に係る前記細胞回収方法において、前記第2ポンプが、気体によって圧力を印加する方式のポンプである。
また、一態様に係る前記細胞回収方法は、担体と当該担体に担持される細胞とを含む懸濁液において、前記担体から前記細胞を脱離させることをさらに含む。
また、一態様に係る前記細胞回収方法は、前記細胞の脱離、前記第2容器から前記第1容器への前記懸濁液の移送、前記細胞の分別、および、分別された前記細胞の前記回収容器への移送が、この順に実行される。
また、一態様に係る前記細胞回収方法において、前記細胞の分別は、前記第1容器を振盪若しくは攪拌させながら、前記懸濁液から前記細胞を分別すること、または、
前記第1容器を振盪若しくは攪拌後、前記懸濁液から前記細胞を分別すること、である。
一態様に係る細胞分離システムは、
第1除去標的物および第2除去標的物を少なくとも含む除去標的物と細胞とを含有する懸濁液から、前記第1除去標的物を分別する第1フィルタを有する第1容器と、
外筒と、該外筒の内部に収容され、多数の細孔が形成される側壁を有する内筒と、を備え、前記第2除去標的物と前記細胞とを、前記外筒の内壁と前記内筒の前記側壁との間の収容領域において分離する細胞分離装置と、
前記第1容器と前記細胞分離装置とを接続する第1流路と、
前記第1流路に介装され、減圧吸引によって前記第1容器から前記細胞分離装置へと、前記懸濁液を移送する第1ポンプと、
を少なくとも具備する。
また、一態様に係る前記細胞分離システムにおいて、前記第1容器、前記細胞分離装置、前記第1流路、および前記第1ポンプが、閉鎖系で接続されている。
また、一態様に係る前記細胞分離システムは、前記第1容器の上流側に配置される第2容器と、前記第2容器と前記第1容器とを接続する第2流路と、前記第2容器から前記第2流路を介して前記懸濁液を前記第1容器へと移送する第2ポンプと、前記第2ポンプと前記第2容器とを接続する第3流路と、をさらに具備する。
また、一態様に係る前記細胞分離システムにおいて、前記第1ポンプが、容積式ポンプである。
また、一態様に係る前記細胞分離システムにおいて、前記第2除去標的物には、溶解性担体が少なくとも含まれる。
また、一態様に係る前記細胞分離システムにおいて、前記細胞分離装置は、前記内筒を前記外筒に対して相対回転させ、前記第2除去標的物を、前記側壁を介して前記収容領域から前記内筒の内部に移送させて前記細胞を分離する。
また、一態様に係る前記細胞分離システムにおいて、前記相対回転は、第1の回転速度で実行される第1相対回転と、前記第1の回転速度とは異なる第2の回転速度で実行される第2相対回転とを含む。
また、一態様に係る前記細胞分離システムにおいて、前記第1の回転速度は、前記第2の回転速度に対して高速である。
第1フィルタを有する第1容器に、第1除去標的物および第2除去標的物を少なくとも含む除去標的物と細胞とを含有する懸濁液を供給して、前記第1除去標的物を分別すること、
第1面と、該第1面に対向し多数の細孔が形成される第2面と、の間の細胞分離装置における収容領域に前記懸濁液を供給すること、
前記第1面および前記第2面の一方を他方に対して相対移動させて、前記懸濁液から前記細胞を分離すること、
を含む。
また、一態様に係る前記細胞分離方法において、前記細胞の分離は、前記第1面および前記第2面の一方を他方に対して相対回転させて、前記懸濁液に含まれる前記第2除去標的物を、前記第2面を介して前記収容領域の外側に移送させて、前記収容領域に前記細胞を残留させることを含む。
また、一態様に係る前記細胞分離方法において、前記細胞の分離は、前記第1面および前記第2面の一方を、他方に対して第1の回転速度で相対回転させて、前記第2除去標的物のうちの一部を前記収容領域の外側に移送させること、および、前記第1面および前記第2面の一方を、他方に対して第2の回転速度で相対回転させて、前記第2除去標的物のうちの残部を前記収容領域の外側に移送させること、を含む。
また、一態様に係る前記細胞分離方法において、前記第1の回転速度は、前記第2の回転速度に対して高速である。
また、一態様に係る前記細胞分離方法は、前記懸濁液を、第1ポンプによる減圧吸引によって、前記第1容器から前記細胞分離装置へ移送すること、をさらに含む。
また、一態様に係る前記細胞分離方法において、前記第2除去標的物には、溶解性担体が少なくとも含まれる。
様々な実施形態によれば、細胞を無菌状態で取り扱うことのできる細胞回収装置および細胞回収方法を提供することができる。さらに、様々な実施形態によれば、細胞を高純度で分離回収することが可能な細胞分離システムおよび細胞分離方法を提供することができる。
一実施形態に係る細胞回収装置の構成の一例を模式的に示す構成図である。 図1に示した第1容器の配置の例を模式的に示す図である。 一実施形態に係る細胞分離システムの構成の一例を模式的に示す構成図である。 一実施形態に係る細胞分離システムにおける細胞分離装置の構成の一例を模式的に示す図である。 溶解性担体上において培養された細胞の様子を示す顕微鏡写真である。 中抜け構造の細胞の凝集体を示す顕微鏡写真である。 一実施形態に係る細胞分離システムによって分離回収された細胞の様子を示す顕微鏡写真である。
以下、添付図面を参照して様々な実施形態を説明する。なお、図面において共通した構成要件には同一の参照符号が付されている。また、或る図面に表現された構成要素が、説明の便宜上、別の図面においては省略されていることがある点に留意されたい。さらに、添付した図面が必ずしも正確な縮尺で記載されている訳ではないということに注意されたい。
1.細胞回収装置の構成
図1は、一実施形態に係る細胞回収装置1の構成の一例を模式的に示す構成図である。細胞回収装置1に供される細胞としては、例えば、間葉系幹細胞、人工多能性幹細胞(Induced pluripotent stem cell;iPS細胞)、胚性幹細胞(Embryonic stem cell;ES細胞)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(Chinese hamster ovary cell;CHO細胞)、ベロ細胞(Vero cell)等が挙げられるが、これらに限定されない。図1の細胞回収装置1における主要な構成は、第1容器11、第1流路31、回収容器13、第1ポンプ41、第2流路32、第2容器12、第3流路33、第2ポンプ42である。
図1に示すように、細胞回収装置1が備える容器は、上流側から、第2容器12、第1容器11および回収容器13の順で配置されている。第1容器11と回収容器13とは、第1流路31によって接続されており、第1流路31には容積式ポンプである第1ポンプ41が介装されている。また、第2容器12と第1容器11とは、第2流路32によって接続されており、第2容器12と第2ポンプ42とは、第3流路33によって接続されている。
第1容器11は、第1フィルタ21と、細胞を含む懸濁液が供給される供給口111と、細胞が排出される排出口112とを有している。細胞回収装置1において、細胞を含む懸濁液は、第2容器12から第2流路32内を移送され、供給口111から第1容器11内へと供給される。そして、第1フィルタ21によって、細胞を含む懸濁液が濾過され、目的の細胞が分別される。分別された細胞は、排出口112から第1容器11の外へと排出される。
第1フィルタ21による懸濁液の濾過は、重力の作用による重力濾過法を採用することができるが、第1ポンプ41による減圧吸引および/または第2ポンプ42による圧力の印加を利用して、濾過の速度を上げてもよい。その他、振とう機や攪拌機を用いて、濾過の速度を向上させてもよい。
第1フィルタ21の孔の形状は、目的の細胞を濾過、または、目的の細胞と担体とを分離することができればいかなる形状であってもよい。第1フィルタ21の孔の形状としては例えば、円形、楕円形、矩形、多角形等が挙げられる。また、本開示において、孔径とは、第1フィルタ21の孔の形状が円形の場合には直径を意味し、第1フィルタ21の孔の形状が円形以外の場合には、孔の断面において当該孔の中心点を通過する任意の直線のうち最も長い直線の長さを意味する。
第1フィルタ21の孔径は、回収される目的の細胞のサイズや、後述する担体のサイズを考慮して適宜選択されてよい。例えば、第1フィルタ21の孔径は、目的の細胞の最も長い径よりも大きく、且つ担体の最も短い径よりも小さい。第1フィルタ21の孔径は例えば、20~100μmの範囲であるが、この範囲に限定されない。
一態様において、目的の細胞のサイズが12~16μmの範囲内であり、担体のサイズが200μmである場合、第1フィルタ21としては孔径50μmのものが使用される。
第1フィルタ21は第1容器11を2つの空間に分割し、分割された2つの空間の一方に供給口111が設けられ、他方に排出口112が設けられる。細胞を含む懸濁液は、供給口111から第1容器11内の一方の空間に供給され、懸濁液に含まれる目的の細胞は、第1フィルタ21を通過して分別され、他方の空間へと移動する。分別された目的の細胞は、排出口112から第1容器11の外へと排出される。このように、供給口111と排出口112が、第1フィルタ21によって分割された別々の空間に位置することによって、細胞の分別および排出を円滑に行うことができる。
第1容器11は、モータ81によって駆動される振とう機51を有していてもよい。第1容器11を振とうすることによって、目的の細胞、夾雑物および担体の凝集を防ぐとともに、第1フィルタ21による濾過機能を促進することができる。なお、第1容器11の振とうは、手動で行ってもよい。手動で行うと、振とう機による振とうと比較して、目的の細胞の回収率が向上することがある。振とう機51による振とうと、手動による振とうとを組み合わせてもよい。
第1容器11は、振とう機51に加えて、または、振とう機51に代えて、攪拌機および/または遠心機を有していてもよい。これらの部材もまた、細胞、夾雑物および担体の凝集を防ぐとともに、第1フィルタ21による濾過を促進することができる。なお、振とう機51、攪拌機、および遠心機は、第1容器11内に懸濁液が供給される際、第1容器11内で細胞が分別される際、および第1容器11から細胞が排出される際に、モータ81によって駆動されてよい。
第1容器11は、図2に示すように、一態様において、水平位置Hと傾斜位置Sとの間で姿勢変更可能に設けられることが好ましい。水平位置Hとは、第1フィルタ21が地面に対して平行となる位置を意味し、傾斜位置Sとは、第1フィルタ21が地面に対して所定角度(0°および180°を除く)を呈す位置を意味する。細胞を含む懸濁液が、第2容器12から移送されて第1容器11の供給口111から供給される際、第1容器11は傾斜位置Sの姿勢に配置される。なお、傾斜位置Sにおける前述の所定角度とは、地面に対して第1フィルタ21が形成するあらゆる方向の角度を含み、例えば0°より大きく90°以下の範囲内であり、0°より大きく60°以下の範囲内、または0°より大きく45°以下の範囲内とすることができる。
第1容器11の排出口112から細胞が排出されて回収容器13へと移送される際、第1容器11は水平位置Hの姿勢に配置される。なお、第1容器11内で細胞が分別される際には、傾斜位置Sと水平位置Hとの間で、適宜、姿勢を変更することができる。また、第1容器11に対しては、傾斜位置Sと水平位置Hとの間で姿勢を変更させつつ、同時にまたはその前後に、手動(および/または振とう機51)で任意の方向へ振とうさせてもよい。
上記のように、第1容器11の姿勢を変更することによって、目的の細胞を効率的に分別および移送することができる。
第1フィルタ21によって分別された細胞は、第1流路31に介装された第1ポンプ41の減圧吸引によって、細胞排出口112から排出され、第1流路31を介して回収容器13へと移送される。
第1ポンプ41は、一般的な容積式ポンプを用いることができる。本開示において、「容積式ポンプ」とは、定量性が高く、一動作毎に吸入および/または排出される、被移送物の容積が略一定であるポンプをいう。具体的には、容積式ポンプは、ポンプの入口部分で被移送物を一定量吸入し、次に吸入した当該被移送物をポンプの出口部分から排出するに際し、この吸入および/または排出の容積が、動作ごとに一定である。容積式ポンプを用いることで、目的の細胞を一定量ずつ移送することが可能である。第1ポンプ41としては、例えば一般的なチューブポンプ等を使用することができる。第1ポンプ41に移送される被移送物には、細胞の他、液体が含まれてよい。
第1流路31は、例えば、1.0~15.0mmの範囲の内径および/または1.5~20.0mmの範囲の外径を有し、好ましくは、1.8~13.0mmの範囲の内径および/または2.0~16.0mmの範囲の外径を有する。このような範囲の内径および/または外径の第1流路を備えることにより、第1流路31からの応力によって、移送時に、目的の細胞が破壊されることや、細胞の機能が損なわれることを防ぐことができる。好ましい一態様において、第1流路31の材質は、可撓性を有するものである。第1流路31の材質としては、例えば、オレフィン系、スチレン系、塩化ビニル系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の熱可塑性エラストマーや、シリコーンが用いられるが、これらに限定されない。
第1流路31の流速(すなわち、回収容器13への送液速度)は、第1ポンプ41に接続された第1コントローラ71によって調節可能であり、例えば0.0004~8.0L/分の範囲内、好ましくは0.001~6.0L/分の範囲内、より好ましくは0.1~4.0L/分の範囲内、最も好ましくは1.0~2.5L/分の範囲内、の流速とすることが好ましい。第1流路31の流速が上記の範囲内にある場合、第1ポンプ41の減圧吸引によって、目的の細胞が破壊されることや、細胞の機能が損なわれることを防ぎつつ、回収容器13へと細胞を移送することができる。
第2容器12は、攪拌機52を有している。攪拌機52によって、細胞を含む懸濁液を攪拌することにより、懸濁液における凝集体の形成を防ぐか、または、形成された凝集体を解凝集させて、第2流路32を介した第1容器11への懸濁液の移送を促進する。
第2容器12は、攪拌機52に加えて、または、攪拌機52に代えて、振とう機を有していてもよい。振とう機もまた、懸濁液における凝集体の形成を防ぐか、または、形成された凝集体を解凝集させて、第1容器11への懸濁液の移送を促進することができる。攪拌機52および振とう機は、モータ(図示しない)によって駆動されてよい。
第2容器12は、バルブ62を有する。バルブ62によって、第2容器12を閉鎖系に接続することを確実にする。
一態様において、懸濁液中、細胞は担体に担持されている。ここで、担体は例えば、細胞の浮遊培養に用いられるマイクロキャリアとして公知であり、例えば、直径数百μmのビーズの形態である。目的の細胞が培養される際、培地中を浮遊するビーズ上に細胞を接着させて増殖させることで、当該細胞を、高い培養面積、且つ高密度で得ることができる。細胞が担体に担持されている場合、第2容器12内で、細胞は担体から脱離される。その後、細胞と担体とは、第1容器11に移送された後、第1フィルタ21によって分別される。
担体の材質は、有機物、無機物またはこれらの複合材料であってよく、溶解性または不溶解性のいずれであってもよい。有機物としては、例えば、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、(メタ)アクリル系ポリマー、(メタ)アクリルアミド系ポリマー、シリコーン系ポリマー、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の合成高分子、セルロース、デキストラン、コラーゲン、ポリガラクツロン酸、ポリアルギン酸、ゼラチン等の天然高分子などが挙げられるがこれらに限定されない。無機物としては、例えば、ガラス、セラミック、金属、合金、金属酸化物等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい一態様の担体として、少なくともポリスチレンを含むものが用いられる。また、溶解性の担体(溶解性担体)としては、天然高分子のものが好ましく用いられ、より好ましくはセルロース、デキストラン、コラーゲン、およびポリガラクツロン酸からなる群より選択される少なくとも1つで構成されるものを用いることができる。
担体からの細胞の脱離は、担体と細胞との結合を酵素によって分解することによって行うことができる。担体が例えばアルギン酸等である場合、分解に用いられる酵素はトリプシンである。
担体には、細胞と担体との接着性を向上させるために、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、ビトロネクチン等の細胞接着性ペプチドを結合させてもよい。
細胞回収装置1において、第1容器11、第1流路31、回収容器13、第1ポンプ41、第2流路32および第2容器12は、閉鎖系で接続されている。なお、本開示において、「閉鎖系で接続されている」とは、外界との間で、物質(気体を除く)の移動は許容しないように、構成部材が互いに接続されていることをいう。より具体的には、「閉鎖系で接続されている」とは、外界との間で少なくとも微生物の移動を許容しないように、好ましくは外界との間で微生物および不純物の移動を許容しないように、構成部材が互いに接続されていることをいう。
第2容器12の上流側には、第2ポンプ42が配置されており、第2ポンプ42と第2容器12とは第3流路33によって接続されている。
第2ポンプ42は、第2コントローラ72に接続されており、第2容器12から第2流路32を介して、細胞を含む懸濁液を第1容器11へと移送する。第2ポンプ42は、例えば、第3流路33を介して第2容器12内に圧力を印加することによって、細胞を含む懸濁液を、第2流路32を介して第1容器11へと移送する。
第2ポンプ42は、第2コントローラ72によって、懸濁液の第1容器11への送液速度が、例えば0.0004~8.0L/分の範囲内、好ましくは0.001~6.0L/分の範囲内、より好ましくは0.1~4.0L/分の範囲内、最も好ましくは1.0~2.5L/分の範囲内の流速となるように駆動される。なお、第1容器11への送液速度は、前述の第1流路31における流速と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第2ポンプ42は、非容積式ポンプであっても、容積式ポンプであってもよい。第2ポンプ42としては、例えば、エアポンプを使用することができる。「エアポンプ」とは、気体によって圧力を印加するポンプである。エアポンプは、一般的に、ポンプの入口部分から空気を吸引し、ポンプの排出部分から空気を吐出するように動作する。すなわち、第2ポンプ42がエアポンプである場合、当該エアポンプは、第2容器12内に気体によって圧力を印加して、細胞を含む懸濁液を第1容器11へと移送する。
細胞を含む懸濁液を第1容器11へと移送した後、さらに、洗浄液を第2容器12に入れ、第2ポンプ42によって第1容器11へと移送してもよい。
第3流路33には、第2フィルタ22が介装されている。第3流路33に第2フィルタ22を介装させることで、第2ポンプ42が圧力を印加する際に、微生物や不純物等が、第3流路33から閉鎖系に混入することを防ぐことができる。
第2フィルタ22の孔の形状は、少なくとも微生物の閉鎖系への混入、好ましくは微生物および不純物等の閉鎖系への混入を防ぐことができればいかなる形状であってもよい。第2フィルタ22の孔の形状としては例えば、円形、楕円形、矩形、多角形等が挙げられる。また、本開示において、孔径とは、第2フィルタ22の孔の形状が円形の場合には直径を意味し、第2フィルタ22の孔の形状が円形以外の場合には、孔の断面において当該孔の中心点を通過する任意の直線のうち最も長い直線の長さを意味する。
第2フィルタ22の孔径は、例えば0.01~30.0μmの範囲内である。第2フィルタ22は例えば、滅菌フィルタである。
第3流路33には、第2ポンプ42から第2容器12へと印加される圧力を調整するために、流量調節弁(図示しない)やバルブ(図示しない)が介装されていてもよい。第2ポンプ42から第2容器12へと印加される圧力、および第1容器11への送液速度は、第2コントローラ72によって調節されてもよい。
第1容器11、第1流路31、回収容器13、第1ポンプ41、第2流路32および第2容器12の閉鎖系での接続が維持される限りにおいて、細胞回収装置1を構成する部材の一部は、細胞回収装置1に対して着脱自在に設置されていてもよい。
細胞回収装置1において、目的の細胞の損傷を防ぐ観点から、第1容器11と第2容器12との間にはポンプ、特に容積式ポンプを介装しないことが好ましい。
2.細胞回収方法
次に、前述した細胞処理装置を用いた細胞回収方法について、図1を参照して説明する。また、表1には各工程における部材の動作を示す。
まず、第2容器12に設けられたバルブ62を閉めた状態で、第2コントローラ72によって第2ポンプ42を駆動させ、細胞を含む懸濁液を内部に収容した第2容器12内に、第3流路33を介して圧力を印加する。第2ポンプ42から印加された圧力によって、所定の細胞を含む懸濁液が第2容器12内から第2流路32を介して、第1容器11へと移送される(表1、ステップ1)。
次いで、第2ポンプ42をOFFにし、モータ81をONにし、第1容器11を振とう機51によって振とうする。このとき、第1容器11内では、懸濁液が第1フィルタ21によって濾過され、懸濁液から目的の細胞が分別される(表1、ステップ2)。また、振とう機51の他、図示しない攪拌機や遠心機を作動させて、攪拌および/または遠心分離を行ってもよい。
第1容器11内では、懸濁液が第1フィルタ21によって濾過され、懸濁液から目的の細胞が分別される際、濾過速度を速める目的で、適宜、第1容器11内に圧力を印加してもよい。
その後、バルブ62を開き、第1コントローラ71を駆動させて第1ポンプ41による減圧吸引によって、分別された細胞を、第1容器11から回収容器13へと移送する(表1、ステップ3)。このとき、モータ81は細胞の所望の分別および/または移送の程度によって、ONにしてもよいし、OFFにしてもよい。
Figure 0007243835000001
ここで、ステップ1は、第2ポンプ42によって、細胞を含む懸濁液を第2容器12から第1容器11へと移送する懸濁液移送工程に対応し、ステップ2は、第1容器11において、懸濁液から細胞を分別する細胞分別工程に対応し、ステップ3は、分別された細胞を、第1ポンプ41による減圧吸引によって、第1容器11から回収容器13へと移送する細胞移送工程に対応する。
上記ステップ1、ステップ2およびステップ3(すなわち、懸濁液移送工程、細胞分別工程および細胞移送工程)は、閉鎖系で実行される。なお、「閉鎖系」とは、前述したとおり、境界を越えた外界との間で、物質(気体を除く)の移動は許容しない系をいう。
なお、ステップ2において、目的の細胞を懸濁液から分別する際、第1ポンプ41による減圧吸引および/または第2ポンプ42による圧力の印加を利用して、濾過の速度を上げてもよい。
細胞が担体に担持されている先述の一態様では、担体と当該担体に担持される細胞とを含む懸濁液において、担体から細胞を脱離させる細胞脱離工程を更に含む。かかる細胞脱離工程は、通常、第2容器12で行われるが、懸濁液を第2容器12へ収容する前に行ってもよい。
一態様において、細胞脱離工程、懸濁液移送工程、細胞分別工程、および細胞移送工程は、この順に実行される。これらの工程は、先行の工程が終了した後に、後続の工程を開始する場合に加え、先行の工程の終了前に後続の工程を開始してもよく、これら一連の工程が同時に行われてもよい。工程の順序は、各工程の開始時点を基準として決定される。
その他、回収容器13に回収された細胞に対して、細胞の精製工程、凍結工程、輸送工程等が適宜実行されてよい。
以上のとおりの構成を含む細胞回収装置および細胞回収方法は、閉鎖系で目的の細胞を処理することができるので、無菌状態に保持した状態で目的の細胞を回収することができ、細胞の品質を保持することができる。上記の細胞回収装置および細胞回収方法によれば、規定の操作が行われることにより、品質の一貫性が保たれる。上記の細胞回収装置および細胞回収方法によれば、研究室規模で行われる細胞の処理を、商業的な規模までに拡大することができる。上記の構成によれば、細胞の処理を人の手を介さずに自動で行うことも可能であるため、処理にかかる労力や時間を抑えることが可能であり、自動化によれば、品質の一貫性をさらに高めることができる。
3.細胞分離システム
次に、一実施形態に係る細胞分離システムについて、図3および図4を参照しつつ説明する。図3は、一実施形態に係る細胞分離システム2の構成の一例を模式的に示す構成図である。図4は、一実施形態に係る細胞分離システム2における細胞分離装置200の構成の一例を模式的に示す図である。
一実施形態に係る細胞分離システム2は、図3に示されるように、細胞分離装置200を具備する。さらに、一実施形態に係る細胞分離システム2は、細胞分離装置200の上流側において、後述する第1除去標的物および後述する第2除去標的物を少なくとも含む除去標的物と細胞とを含有する懸濁液から、第1除去標的物を分別する第1フィルタ21を有する第1容器11と、第1容器11と細胞分離装置200とを接続する第1流路31と、第1流路31に介装され、減圧吸引によって第1容器11から細胞分離装置200へと懸濁液を移送する第1ポンプ41と、を具備する。
さらに、一実施形態に係る細胞分離システム2は、第1容器11の上流側に配置される第2容器12と、第2容器12と第1容器11とを接続する第2流路32と、第2容器12から第2流路32を介して前述の懸濁液を第1容器11へと移送する第2ポンプ42と、第2ポンプ42と第2容器12とを接続する第3流路33と、をさらに具備する。なお、細胞分離装置200、第1容器11、第1流路31、第1ポンプ41、第2容器12、第2流路32、第2ポンプ42、および第3流路33は、閉鎖系で接続されている。
一実施形態に係る細胞分離システム2における第1容器11、第1フィルタ21、第1流路31、第1ポンプ41、第2容器12、第2流路32、第2ポンプ42、および第3流路33は、図1を参照しつつ前述にて説明したものと同じものを一例として用いることができる。
一実施形態に係る細胞分離システム2における細胞分離装置200は、担体、とりわけ溶解性担体(可溶性担体)を用いて細胞を培養する場合において、除去標的物(とりわけ、後述する第2除去標的物)と細胞とを分離して、細胞を高純度で分離回収することを可能とするものである。具体的には、溶解性担体を用いて細胞を培養する場合、まず、酵素(例えば、前述のトリプシン)によって、細胞を溶解性担体から脱離させる。次に、溶解性担体の種類等に応じた分解(溶解)方法を用いて、溶解性担体を懸濁液中で分解(溶解)させる。溶解性担体の溶解方法は、特に制限されず、酵素、光反応等が挙げられる。これにより、溶解性担体に付着していた複数の細胞の結合体、または当該培養された細胞の凝集体を懸濁液中に生じさせる。複数の細胞の結合体は、シート状の薄片として懸濁液中に存在してもよく、溶解性担体が「中抜け」したような中空状の塊として存在してもよい。そして、この懸濁液を細胞分離装置200に供することにより、細胞の凝集体(または細胞の結合体)と、除去標的物(第2除去標的物)とを分離させつつ、細胞の凝集体(または細胞の結合体)を単細胞または小さな細胞の凝集体にまで分割させることで、細胞を高純度で分離回収することができる。
細胞分離装置200に供される除去標的物とは、溶解性担体の他、例えば、担体から細胞を脱離させる際に用いられる酵素、溶解性担体を懸濁液中に溶解させるために添加される酵素、当該酵素に由来するタンパク質、死細胞、培地成分としての血清に含まれるタンパク質等が含まれる。本開示において、細胞分離装置200によって分離される微小な除去標的物のことを、便宜上、第2除去標的物と称する場合がある。
溶解性担体としては、例えば、セルロース、デキストラン、コラーゲン、およびポリガラクツロン酸からなる群より選択される少なくとも1つで構成されるものを用いることができるが、これらに限定されない。溶解性担体を懸濁液中に溶解させるために懸濁液中に添加される酵素としては、溶解性担体の種類に応じて適宜選択される。このような酵素としては、タンパク質分解酵素、多糖類分解酵素等が挙げられ、例えば、ペクチナーゼ、コラゲナーゼ、デキストラナーゼ、およびプロテアーゼからなる群より選択される少なくとも1つを用いることができる。懸濁液中に添加される酵素の添加量は、溶解性担体の種類や量に応じて適宜調整されうる。
溶解性担体を懸濁液中に溶解させるために、酵素を添加する代替として、所定の光を懸濁液に照射させてもよい。この場合における光照射の光量、照射時間、光源の種類等は、溶解性担体の種類や量に応じて適宜調整されうる。
溶解性担体を用いて細胞を培養する場合においては、トリプシン等の酵素によって細胞が溶解性担体から脱離され、さらに、デキストラナーゼ等の酵素によって溶解性担体が懸濁液中に溶解された状態の懸濁液を、細胞分離装置200に供する前または後に、第1フィルタ21を有する第1容器11に供することができる。具体的には、培養された細胞(培養された細胞の凝集体)と、溶解性担体を少なくとも含む除去標的物と、を含む懸濁液を、第1フィルタ21を有する第1容器11に供することにより、懸濁液に含まれる除去標的物の一部を第1容器11にて分別することができる。この際、第1容器11にて分別される除去標的物としては、例えば、デキストラナーゼ等の酵素によって溶解されなかった溶解性担体の溶け残り、溶解性担体と不溶解性担体とを併用して細胞を培養する場合における不溶解性担体等が挙げられる。なお、本開示において、第1容器11によって分離される粒度の比較的大きい(少なくとも、単細胞よりも粒度の大きい)除去標的物のことを、便宜上、第1除去標的物と称する場合がある。ただし、第1容器11にて分別される除去標的物に、単細胞よりも粒度の小さい物が、含まれていてもよい。
細胞分離装置200は、図4に示されるように、外筒201と、外筒201に対向するように外筒201の内部に収容され多数の細孔203aが形成される側壁(第2面)203を有する内筒202と、を主に備える。外筒201および内筒202の形状は、円筒および角筒のいずれであってもよい。懸濁液は、外筒201の内壁(第1面)と内筒202の側壁203との間に形成される収容領域205に供給される。
外筒201には供給口210と排出口211とが形成されており、供給口210と排出口211とは閉鎖系で接続されうる。したがって、懸濁液は、供給口210、収容領域205、および排出口211の間を循環することが可能となっている。内筒202には、ドレイン212が接続されており、分離された溶解性担体等の第2除去標的物(例えば、図4に示される第2除去標的物W)を内筒202から除去することが可能とされている。排出口211には、細胞を回収するためのバッグが、ドレイン212には第2除去標的物等を回収するための廃液用のバッグが、各々装着される。
側壁203に形成される細孔203aの孔径は、第1のフィルタ21の孔径よりも小さいものであればよく、第1フィルタ21の孔径との対比で適宜選択でき、例えば、80μm以下、50μm以下、30μm以下、20μm以下とすることができる。細孔203aの孔径の下限値は、特に制限はなく、0.01μm以上、0.5μm以上、または1.0μm以上とすることができる。より効果的に第2除去標的物を除去する観点から、細孔203aの孔径は、10μm以下、例えば、1.0~8.0μm、好ましくは2.0~6.0μm、より好ましくは3.0~5.0μmとすることができる。
内筒202は、外筒201に対して相対回転可能な構成とされている。本開示において相対回転とは、外筒201は回転不能または緩やかに回転し、内筒202が外筒201よりも高速で回転する場合を意味する。一実施形態の細胞分離装置200において、内筒202は、例えば、1000~5000rpmの範囲内、好ましくは1500~4000rpmの範囲内、より好ましくは2000~3000rpmの範囲内の速度で外筒201に対して相対回転することができる。
二つの同軸筒において、内側の内筒(本開示においては内筒202)が外筒よりも速く回転した状態で二つの筒の間に流体を流すとテイラー・クエット流が形成されることが知られている(例えば、Katsuhisa Matsuura, et al, Adequate taylor coquette flow-mediated shear stress is useful for dissociating human iPS cell-derived cell aggregates, Regenerative Therapy vol.12, pp.6-13, 2019.12.15参照)。一実施形態における細胞分離装置200においても、内筒202を外筒201に対して相対回転させつつ、収容領域205に懸濁液を供給すると、収容領域205における懸濁液においてテイラー・クエット流が形成されると考えられる。これにより、図4に示されるように、懸濁液中に含まれる溶解性担体等の第2除去標的物Wを、側壁203aを介して収容領域205から内筒202の内部へと移送させることができる。他方、収容領域205内の懸濁液中の細胞の凝集体Cを収容領域205内に残留させつつ、単細胞または小さな細胞の凝集体にまで分割させることができる。なお、本開示においてテイラー・クエット流なる用語は、渦流を含む概念を意味してもよいし、乱流および層流双方の流れを含む概念を意味してもよい。
このような細胞分離装置200としては、テイラー・クエット流を利用して細胞の分離が可能な装置を好ましく用いることができ、例えば、特開2015-164414号公報(米国特許第9713669号)、特開2019-080562号公報(米国特許公開US2019/0099545号)、特開2019-140985号公報に開示されたものを挙げることができる。
本開示の細胞分離装置200の操作条件は、例えば、特開2019-080562号公報(米国特許公開US2019/0099545号)の装置にも適用することができる。
テイラー・クウェット流を利用して細胞の分離を行う条件としては、細胞分離装置200の構造、サイズ、機構等によって適宜変更することができる。第1面(外筒201の内壁)と第2面(内筒202の側壁)との間の隙間幅の寸法は、好ましくは、所望の相対回転速度で、テイラー・クエット流が当該隙間内に生成されるように選択することができ、例えば、第1面と第2面との間の隙間幅の距離は0.05cm~0.30cm、または0.1~0.25cmとすることができる。第1面と第2面との間の隙間幅の距離は一定であってもよいし、変化してもよい。隙間幅は、内筒202の外径および/または対向する外筒201の内径を変化させることによって変化させることができる。隙間幅に生じる流体の線速度(周速度)としては、テイラー・クエット流が隙間内に生成されるように適宜選択することができ、例えば、内筒202の側壁表面における周速度として0.58m/s~2.88m/sの範囲から適宜選択することができる。この周速度の範囲は、内筒202が、前述のとおり1000~5000rpmの範囲内の速度で外筒201に対して相対回転する場合であって、且つ、内筒202の外径を1.1cmとした場合に基づいて換算されるものであり、内筒202の外径等の変更に応じて、適宜変更することができる。
細胞分離装置200において、懸濁液から溶解性担体を含む第2除去標的物と細胞とを分離して(且つ、細胞の凝集体を単細胞または小さな細胞の凝集体にまで分割させて)、細胞を高純度で分離回収するに際し、内筒202の外筒201に対する相対回転は少なくとも2段階に細分化することが好ましい。具体的には、内筒202の外筒201に対する相対回転は、第1の回転速度で実行される第1相対回転と、第1の回転速度とは異なる第2の回転速度で実行される第2相対回転と、の2段階とすることができる。このように相対回転を2段階とすることで、第1相対回転にて、溶解性担体を含む第2除去標的物のうちの一部を収容領域205から内筒202の内部へと移送させ、第2相対回転にて、第2除去標的物の残部を収容領域205から内筒202の内部へと移送させることができる。これにより、単細胞または小さな細胞の凝集体を高純度で分離回収することが可能となる。
また、内筒202の外筒201に対する相対回転を前述のとおり2段階とすることで、第1相対回転にて、細胞の凝集体Cを単細胞または小さな細胞の凝集体にまで分割させることを促進させることができる。これにより、第2相対回転にて、第2除去標的物を効率的に内筒202の内部へと移送させることができる。この場合、第1相対回転後、且つ、第2相対回転前に、細胞の凝集体Cによって生じる側壁203に形成される細孔203aの目詰まりを取り除くことで、第2相対回転による第2除去標的物の分離機能をさらに効率的なものとすることができる。
第1相対回転は第2相対回転よりも前に実行されるものであり、第1の回転速度は第2の回転速度よりも高速とすることが好ましい。第1の回転速度としては、例えば、2500~5000rpmの範囲内、好ましく2700~3500rpmの範囲内とすることができる。第2の回転速度としては、例えば、1000~3000rpmの範囲内、好ましくは2000rpm~3000rpmの範囲内とすることができる。
第1の回転速度は第2の回転速度よりも高速である場合には、第1相対回転が実行される実行時間は、第2相対回転が実行される実行時間よりも短いことが好ましい。これにより、懸濁液中に含まれる細胞(細胞の凝集体)が、第1の回転速度で回転する流体中に滞在する時間を短くすることができ、分離回収すべき細胞への傷付き、死滅の恐れを回避することができ、換言すれば細胞の分離回収効率を上げることができる。別の観点からいえば、懸濁液を第1相対回転に供する回数は1回(排出口211から排出された懸濁液を再度供給口210から収容領域205内に供給しない)とし、懸濁液を第2相対回転に供する回数は複数(排出口211から排出された懸濁液を、再度供給口210から収容領域205内に供給する)とすることが好ましい。
懸濁液が第1相対回転および第2相対回転に供される際の処理温度は、適宜設定することができるが、例えば、20~50℃とすることができ、または30~40℃とすることができる。懸濁液を第1相対回転および第2相対回転に供する合計の処理時間は、細胞の種類や内筒202の回転速度等に応じて適宜設定することができるが、例えば、10秒~60分の範囲内、好ましくは1分~30分の範囲内とすることができる。
不溶解性担体(可溶性担体)を用いて細胞を培養する場合においても、一実施形態に係る細胞分離システム2における細胞分離装置200を適用することは有用である。不溶解性担体から細胞を脱離させるために、懸濁液中には酵素が添加されるため、懸濁液中には細胞の凝集体または細胞の結合体が生じる。この懸濁液を細胞分離装置200に供することにより、細胞の凝集体または細胞の結合体を効果的に単細胞に分離するとともに、懸濁液中に含まれる除去標的物(第2除去標的物)を効果的に分離することができる。
一実施形態に係る細胞分離システム2は、第1フィルタ21を有する第1容器11と、細胞分離装置200とを含み、第1フィルタ21の孔径と細胞分離装置200における細孔203aの孔径とを異ならせつつ、それぞれ異なる機構によって、第1除去標的物および第2除去標的物を細胞から効率的に分離させることが可能となる。
細胞分離装置200における第1面(例えば、外筒201の内壁)と第2面(例えば、内筒202の側壁203)との相対移動は、前述の相対回転に限定されず、第1面と第2面との対向距離をほぼ維持した平行移動であってもよいし、第1面と第2面との対向距離を変動させた垂直移動であってもよい。また、相対移動は、連続的に実行されてもよいし、断続的(非連続的)に実行されてもよい。
本実施形態に係る細胞分離システム2によれば、培養槽中の細胞懸濁液から第1除去標的物および第2除去標的物を効率よく除去して、細胞を回収することができる。
この結果、回収目的とする細胞を効率よく高純度に濃縮することができ、例えば、10L、20L、30L、40L、50L、またはそれ以上の容量の培養槽で増やした目的細胞を10L、1L、500mL、またはそれ以下の容量の細胞懸濁液として回収することができる。このとき回収された細胞懸濁液の濃縮率(培養槽中の容量/回収後の容量)としては、例えば、5倍以上、50倍以上、100倍以上、または200倍以上とすることができる。この場合の最終細胞密度としては、例えば、1×10/mL以上、1×10/mL以上、または1×10/mL以上とすることができる。
以下、実施例を挙げて本開示をより具体的に説明するが、本開示はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
(1)細胞の培養
攪拌翼付きの培養バッグを収容した2Lバイオリアクタ(Univessel SU、Sartorius社)中で、幹細胞をマイクロキャリア(直径200μm、SynthemaxII coating dissolvable microcarrier、コーニング社)に接着させて、攪拌しながら懸濁培養した。
次いで、2Lバイオリアクタの攪拌を停止し、10分間静置させ、マイクロキャリアが完全に沈降した後、上清を約1.6L除去した。
(2)洗浄
上記2Lバイオリアクタに、1.0LのPBS(-)を添加し、80rpmの回転速度で10分間、攪拌した。攪拌を停止して、マイクロキャリアが完全に沈降した後、上清を除去した。このとき、2Lバイオリアクタ内には約0.4Lの懸濁液が残っていた。本洗浄を2回実施した。
(3)酵素処理および細胞の脱離
0.4Lの2倍濃度トリプシン酵素液(「TrypLE(2x)」、Thermofisher社)を添加し、37℃、90rpmの条件で、20分間攪拌して、マイクロキャリアから細胞を脱離した。
(4)酵素活性化
0.4LのalphaMEM/20%FBSを添加した。このとき、バイオリアクタ内には31.2Lの懸濁液が入っていた。
(5)細胞の分別
2Lバイオリアクタにおいて、ビーズ(マイクロキャリア)が均一に分散するように80rpmで攪拌しながら、2.5L/分未満の送液速度となるように第2ポンプとしてエアポンプ(アズワン社)を駆動して、孔径50μmのメッシュを備えたマイクロキャリア分離器へ送液した。その後、さらにPBS(-)300mlを2Lバイオリアクタに添加して洗浄し、マイクロキャリア分離器へ送液した。
送液した後、エアポンプを停止し、マイクロキャリア分離器を水平状態にして左右に優しく揺さぶり、フィルタ透過していない細胞を透過させた。
細胞の分別処理の後、2.5L/分未満の送液速度となるように第1ポンプとして容積式のペリスタルティックポンプ(Cole Parmer社 型番07522-20)を駆動して、細胞懸濁液を回収バッグに送液した。
(6)精製
分別工程でマイクロキャリアと分離された細胞を含む細胞懸濁液を、4μmの孔径のメッシュを備えた精製器に送液して、4μm以下の夾雑物を除去して、細胞懸濁液を精製した。この場合における精製器としては、前述の細胞分離装置200であり、後述の実施例2における細胞分離装置を用いることができる。
本実施例において、細胞およびマイクロキャリアのサイズはそれぞれ、12~16μmおよび200μmであった。
(実施例2)
(1)細胞の培養
攪拌翼付きの培養バッグを収容した2Lバイオリアクタ中で、幹細胞をマイクロキャリア(直径200μm、SynthemaxII coating dissolvable microcarrier、コーニング社)に接着させて、攪拌しながら懸濁培養した。培養された細胞の数が、予め決められた目標数に達したことを確認した培養を終了した。
(2)洗浄
上記2Lバイオリアクタに、1.0LのPBS(-)を添加し、80rpmの回転速度で10分間、攪拌した。攪拌を停止して、マイクロキャリアが完全に沈降した後、上清を除去した。本洗浄を2回実施した。
(3)細胞の脱離および可溶性マイクロキャリアの溶解(酵素処理)
予め37℃に温めておいた酵素(TrypLE(1x):238.4ml,Pectinase:6.6ml,EDTA:5.0mlで調整されたHavest solution)を2Lバイオリアクタに添加し、85rpmで10~15分撹拌した。その後、培養液の一部を2Lバイオリアクタから採取し、細胞がマイクロキャリアから脱離され、さらに、マイクロキャリアが培養液中に溶解していることを位相差顕微鏡で確認した。また、マイクロキャリアが酵素によって培養液中に溶解されたことに伴い形成される、中抜け構造の細胞(細胞の凝集体)を得た。
(4)細胞分離(マイクロキャリア溶解物の除去、等)
(3)で得た中抜け構造の細胞の凝集体を含む懸濁液を血液分離バッグに充填した後、血液分離バッグを細胞分離装置の供給口に接続し、排出口には回収用の空のバッグを接続して、細胞分離装置の外筒と内筒との間の収容領域に懸濁液を供給した。また、細胞分離装置のドレインには、除去標的物を回収する廃液用の空のバッグを接続した。そして、収容領域に供給される際の(供給口での)懸濁液の流速を140ml/minとし、排出される際の(排出口での)懸濁液の流速を27ml/minとなるように調整して、内筒を2700~3500rpmの回転速度で外筒に対して回転させることで、前述の第1相対回転に基づく処理を行った。なお、細胞分離装置としては、LOVO(登録商標)細胞処理装置(フレゼニウスカービジャパン株式会社)を使用した。
次いで、第1相対回転に基づく処理の後、細胞分離装置における様々な物品の交換を必要に応じて行った上で、収容領域に供給される際の(供給口での)懸濁液の流速を100ml/minとし、排出される際の(排出口での)懸濁液の流速を35ml/minとなるように調整して、内筒を2000rpm~3000rpmの回転速度で外筒に対して回転させることで、前述の第2相対回転に基づく処理を行った(1回目の第2相対回転に基づく処理)。次に、収容領域に供給される際の(供給口での)懸濁液の流速を100ml/minとし、排出される際の(排出口での)懸濁液の流速を10ml/minとなるように調整して、内筒を2000rpm~3000rpmの回転速度で外筒に対して回転させることで、2回目の第2相対回転に基づく処理を行った。つまり、本実施例2においては、第2相対回転に基づく処理を2サイクル行った。
(5)分析結果
一連の本実施例2に関し、第1相対回転に基づく処理を行った後の洗浄効率を確認したところ、約81%であった。ここで、この場合の洗浄効率とは、第1相対回転に基づく処理前に含まれる溶解性担体等の除去標的物の除去率と理解されたい。
他方、第1相対回転に基づく処理、1回目および2回目の第2相対回転に基づく処理の全てを行った後の洗浄効率を確認したところ、99.76%であった。ここで、この場合の洗浄効率は、前述と同様に理解されたい。
また、一連の本実施例2によって分離回収された細胞が、単細胞または小さな細胞の凝集体にまで分割された様子を、図5A~図5Cを参照しつつ説明する。なお、図5Aは、溶解性担体上において培養された細胞の様子を示す顕微鏡写真である。図5Bは、中抜け構造の細胞の凝集体を示す顕微鏡写真である。図5Cは、一実施形態に係る細胞分離システム2によって分離回収された細胞の様子を示す顕微鏡写真である。
図5Cを参照するとおり、図5Aおよび図5Bの顕微鏡写真に比して、圧倒的に細胞が細分化、分割されていることが理解される。
以上の通り、一実施形態に係る細胞分離システム2に基づけば、細胞の凝集体と溶解性担体等を含む除去標的物とを効率的に分離させつつ、細胞の凝集体を単細胞または小さな細胞の凝集体にまで効率的に分割させることで可能となり、結果として細胞を高純度で分離回収することができる。
以上、前述の通り、様々な実施形態を例示したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。
本開示において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値または下限値は、他の段階の数値範囲の上限値または下限値と任意に組み合わせることができる。
本開示は、以下の日本国特許出願に基づくものであって、当該日本国特許出願による優先権の利益を享受するものである。また、以下の日本国特許出願の全体の内容が参照により本開示に組み入れられる。
(1)「細胞回収装置および細胞回収方法」と題して2020年3月11日に提出された日本国特許出願第2020-42322
本開示に記載されたすべての文献、特許出願、および技術規格は、参照によりその全体が本開示に組み入れられる。

Claims (31)

  1. 細胞を含む懸濁液から前記細胞を分別する第1フィルタを有する第1容器と、
    第1流路によって前記第1容器と接続される回収容器と、
    前記第1流路に介装され、減圧吸引によって前記第1容器から前記回収容器、分別された前記細胞を移送し、容積式ポンプである第1ポンプと、
    前記第1容器の上流側に配置される第2容器と、
    前記第2容器と前記第1容器とを接続する第2流路と、
    前記第2容器から前記第2流路を介して前記懸濁液を前記第1容器移送する第2ポンプと、
    前記第2ポンプと前記第2容器とを接続する第3流路と、
    を備え、
    前記第1容器、前記第1流路、前記回収容器、前記第1ポンプ、前記第2容器および前記第2流路が、閉鎖系で接続されており
    前記懸濁液において担体に担持される前記細胞は、前記第2容器において該担体から脱離される、細胞回収装置。
  2. 前記第3流路に介装される第2フィルタを更に含む、請求項1に記載の細胞回収装置。
  3. 前記第2ポンプが、気体によって圧力を印加する方式のポンプである、請求項1または請求項2に記載の細胞回収装置。
  4. 記第1フィルタによって前記細胞と前記担体とが分別される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の細胞回収装置。
  5. 前記第1容器が、振とう機、攪拌機および遠心機からなる群より選択される少なくとも1つを有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の細胞回収装置。
  6. 前記第2容器が、振とう機および攪拌機からなる群より選択される少なくとも1つを有する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の細胞回収装置。
  7. 前記第2フィルタが、0.01~30μmの範囲内の孔径を有する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の細胞回収装置。
  8. 当該細胞回収装置が作動する間において、前記第1容器の排出口は前記第1流路のみに接続され、
    前記第1容器から前記第2容器に対して、前記懸濁液は供給されない、請求項1から請求項7のいずれかに記載の細胞回収装置。
  9. 前記第1流路の流速が、0.0004~8.0L/分の範囲内である、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の細胞回収装置。
  10. 前記第1流路が、1.8~13.0mmの範囲の内径を有する、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の細胞回収装置。
  11. 前記第1流路が、2.0~16.0mmの範囲の外径を有する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の細胞回収装置。
  12. 細胞を含む懸濁液を、第2ポンプによって第2容器から第1容器移送すること、
    前記第1容器において、前記懸濁液から前記細胞を分別すること、および、
    分別された前記細胞を、容積式ポンプである第1ポンプによる減圧吸引によって、前記第1容器から回収容器移送すること、
    を含み、
    前記第2容器から前記第1容器への前記懸濁液の移送、前記細胞の分別、および、分別された前記細胞の前記回収容器への移送は、閉鎖系で実行され
    前記懸濁液において担体に担持される前記細胞は、前記第2容器において該担体から脱離される、細胞回収方法。
  13. 前記第2ポンプが、気体によって圧力を印加する方式のポンプである、請求項12に記載の細胞回収方法。
  14. 前記第1容器、前記第2容器及び前記回収容器を具備する細胞回収装置が作動する間において、前記第1容器の排出口は、前記第1ポンプが介装され該第1容器と前記回収容器とを接続する流路のみに接続され、
    前記第1容器から前記第2容器に対して、前記懸濁液は供給されない、請求項12または請求項13に記載の細胞回収方法。
  15. 前記細胞の脱離、前記第2容器から前記第1容器への前記懸濁液の移送、前記細胞の分別、および、分別された前記細胞の前記回収容器への移送が、この順に実行される、請求項14に記載の細胞回収方法。
  16. 前記細胞の分別は、
    前記第1容器を振盪若しくは攪拌させながら、前記懸濁液から前記細胞を分別すること、または、
    前記第1容器を振盪若しくは攪拌後、前記懸濁液から前記細胞を分別すること、
    である、請求項12から請求項15のいずれか1項に記載の細胞回収方法。
  17. 第1除去標的物および第2除去標的物を少なくとも含む除去標的物と細胞とを含有する懸濁液から、前記第1除去標的物を分別する第1フィルタを有する第1容器と、
    外筒と、該外筒の内部に収容され、多数の細孔が形成される側壁を有する内筒と、を備え、前記第2除去標的物と前記細胞とを、前記外筒の内壁と前記内筒の前記側壁との間の収容領域において分離する細胞分離装置と、
    前記第1容器と前記細胞分離装置とを接続する第1流路と、
    前記第1流路に介装され、減圧吸引によって前記第1容器から前記細胞分離装置に、前記懸濁液を移送する第1ポンプと、
    前記第1容器の上流側に配置される第2容器と、
    前記第2容器と前記第1容器とを接続する第2流路と、
    前記第2容器から前記第2流路を介して前記懸濁液を前記第1容器に移送する第2ポンプと、
    前記第2ポンプと前記第2容器とを接続する第3流路と、
    を少なくとも具備
    前記懸濁液において担体に担持される前記細胞は、前記第2容器において該担体から脱離される、細胞分離システム。
  18. 前記第1容器、前記細胞分離装置、前記第1流路、および前記第1ポンプが、閉鎖系で接続されている、請求項17に記載の細胞分離システム。
  19. 当該細胞分離システムが作動する間において、前記第1容器の排出口は、前記第1流路のみに接続され、
    前記第1容器から前記第2容器に対して、前記懸濁液は供給されない、請求項17または請求項18に記載の細胞分離システム。
  20. 前記第1ポンプが、容積式ポンプである、請求項17から請求項19のいずれか一項に記載の細胞分離システム。
  21. 前記第2除去標的物には、溶解性担体が少なくとも含まれる、請求項17から請求項20のいずれか一項に記載の細胞分離システム。
  22. 前記細胞分離装置は、前記内筒を前記外筒に対して相対回転させ、前記第2除去標的物を、前記側壁を介して前記収容領域から前記内筒の内部に移送させて前記細胞を分離する、請求項17から請求項21のいずれか一項に記載の細胞分離システム。
  23. 前記相対回転は、第1の回転速度で実行される第1相対回転と、前記第1の回転速度とは異なる第2の回転速度で実行される第2相対回転とを含む、請求項22に記載の細胞分離システム。
  24. 前記第1の回転速度は、前記第2の回転速度に対して高速である、請求項23に記載の細胞分離システム。
  25. 懸濁液において担体に担持される細胞を、第2容器において該担体から脱離させること、
    前記第2容器から、第1フィルタを有する第1容器に、前記第2容器と該第1容器とを接続する流路を介して、第1除去標的物および第2除去標的物を少なくとも含む除去標的物と前記細胞とを含有する前記懸濁液を供給して、前記第1除去標的物を分別すること、 第1面と、該第1面に対向し多数の細孔が形成される第2面と、の間の細胞分離装置における収容領域に前記懸濁液を供給すること、
    前記第1面および前記第2面の一方を他方に対して相対移動させて、前記懸濁液から前記細胞を分離すること、
    を含む、細胞分離方法。
  26. 前記細胞の分離は、
    前記第1面および前記第2面の一方を他方に対して相対回転させて、前記懸濁液に含まれる前記第2除去標的物を、前記第2面を介して前記収容領域の外側に移送させて、前記収容領域に前記細胞を残留させることを含む、請求項25に記載の細胞分離方法。
  27. 前記細胞の分離は、
    前記第1面および前記第2面の一方を、他方に対して第1の回転速度で相対回転させて、前記第2除去標的物のうちの一部を前記収容領域の外側に移送させること、および、
    前記第1面および前記第2面の一方を、他方に対して第2の回転速度で相対回転させて、前記第2除去標的物のうちの残部を前記収容領域の外側に移送させること、
    を含む、請求項25または請求項26に記載の細胞分離方法。
  28. 前記第1の回転速度は、前記第2の回転速度に対して高速である、請求項27に記載の細胞分離方法。
  29. 前記懸濁液を、第1ポンプによる減圧吸引によって、前記第1容器から前記細胞分離装置へ移送すること、をさらに含む、請求項25から請求項28のいずれか一項に記載の細胞分離方法。
  30. 前記第2除去標的物には、溶解性担体が少なくとも含まれる、請求項25から請求項29のいずれか一項に記載の細胞分離方法。
  31. 前記細胞分離装置が作動する間において、前記第1容器の排出口は、該第1容器と該細胞分離装置とを接続する流路のみに接続され、
    前記第1容器から前記第2容器に対して、前記懸濁液は供給されない、請求項25から請求項30のいずれかに記載の細胞分離方法。
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